説明

サトウキビ・ワックスから得られる第一級脂肪酸の混合物

【課題】24〜38個の炭素原子の範囲の高分子量の第一級脂肪酸の新規天然混合物を提供する。
【解決手段】この脂肪酸混合物は、サトウキビ・ワックスを均一鹸化し、有機溶媒で抽出後、酸性化して得られる。低コレステロール血症として、高コレステロール血症のタイプIIに対して、抗血小板剤として、抗血栓剤及び抗虚血剤として用いられる製薬配合物の活性成分としてその使用を支持する特定の製薬学的特性を有する。この第一級脂肪酸混合物は、異なる薬剤で誘発される胃潰瘍の進行の阻害にも有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、24〜38個の炭素原子の高分子量の第一級脂肪酸、特に26〜36の炭素原子からのそれら、更に特に26、28、29、30、31、32、33、34、35及び36個の炭素原子の直鎖を有するそれらの新規な混合物に関する。この混合物は、すべてのバッチで高度に再生し得る脂肪酸の関連配合物である。この混合物は、サトウキビ(Saccarum officinarum、L.)ワックスから抽出することができ、タイプIIの高コレステロール血症の処置のために、抗血小板剤として、抗虚血剤として、及び胃潰瘍に対する保護及び/又は治療剤として用いることができる。
【0002】
生物学的特性を報告している脂肪酸の他の混合物があり、それは、前立腺疾患を治療する製薬学的配合物が請求されている米国特許5,284,873に報告されている場合であり、そこで、活性成分は、炭素原子20個より大きな数を有するものである、ラウリン酸及びパルミチン酸を伴い、主成分としてオレイン酸を有するSabal Serrulataの実から得られる脂肪酸の画分である。米国特許5,502,045において、a−シストスタノール及び2〜22個の炭素原子の脂肪酸により形成されるエステルを用いて、血清中のコレステロールレベルを減少させる方法が請求されている。また、エステル0.2〜20gの有効一日用量である、そのようなエステルの製法も請求されている。米国特許5,444,054において、そこで用いられる画分の一つが、18〜22個の炭素原子を含むある種の脂肪酸である、潰瘍性大腸炎の治療方法が報告されているが、しかしそれは不飽和である。脂肪酸から誘導される脂肪アルデヒドの混合物を、多発性硬化症並びに神経及び皮膚疾患の患者の処置のために請求し、発明者が患者の体重当たり100〜400mg/kgの1日用量を請求している米国特許4,505,933及び4,687,783は、本特許出願に近接していない。最近の10年間に、オメガ−3−ポリ不飽和脂肪酸が血清コレステロール及び血小板凝固に効果を有することを報告している数多くの特許が現れ、それは、活性成分が、リノール酸、リノレイン酸及びその誘導体を伴う、不飽和エイコサペンタエン及びドコヘキサエン脂肪酸である、血栓−塞栓状態の処置のための製薬学的配合物を請求している米国の特許4,526,902の場合である。また、米国特許5,502,077において、心臓血管の疾患のための多重危険要因の処置又は予防のための脂肪酸の配合物が請求され、そこで、80重量%は、主成分がエイコサペンタエン及びドコヘキサエン酸であるオメガ−3−脂肪酸、その塩又はその誘導体に相当している。EPO特許O 422490A2において、好ましくは、20個〜24個の炭素原子の飽和脂肪酸の混合物により形成されるトリグリセリドを含む、コレステロールの吸収を阻害するための製薬学的配合物が請求されているが、それらは2〜10gの1日用量で投与されるべきである。また、Tokiwa Shigeruらの日本特許55092316A及び56115736Aにおいて、高度に不飽和な脂肪酸、特にエイコサトリエン酸及びドコサテトラエン酸の混合物より構成されている、コレステロールを減少させるための薬剤の実証、並びに単離及び精製が報告されている。他の日本特許(刊行物番号:1290625A、02053724 A、02243622 A及び04169524 A)において、脳機能改善剤のような若しくは退行性疾患の処置のための、又は血液中のコレステロールを低下させるための、及び血清の脂質−改善活性を有する、活性成分として、脂肪酸、特にエイコサペンタエン及びドコサヘキサエン酸の混合物が存在し、1日用量として、500mg/kg〜体重当たり0.5〜30gである。種々の製薬学的配合物が請求されている。
【0003】
示されているように、これらの特許は、特定の生物学的特性を有する脂肪酸の混合物を請求し、それらのいくつかは、本出願で請求しているものに密接に関連している。しかし、それら混合物の組成は、それらの特許で請求しているそれらと顕著に異なり、そして、また、それらの処置で用いられるべきとして提案された1日用量は本出願で請求されているそれよりも高い。
【0004】
本発明は、主として、製薬産業界、特に特定の性質を有する製薬学的配合物の開発に関連している。何故なら、それらを、低コレステロール血症及び高コレステロール血症、抗血栓、抗虚血剤並びに異なる薬剤により誘発される胃潰瘍及び十二指腸潰瘍防止に用いることができるためである。
【0005】
これらの配合物は、活性成分として、サトウキビ・ワックス(M.F.A.S.C.W.と名付けた)から得られる、24〜38個の炭素原子の高分子量の第一級脂肪酸、特に26〜36個の炭素原子のそれら、更に特には26、28、29、30、31、32、33、34、35、及び36個の炭素原子の直鎖のそれらの天然の混合物を含む。
【0006】
活性成分として、植物又は動物ワックスから得られた高分子量(26〜36個の炭素原子)の第一級脂肪酸の使用に基づく、特定の薬理学的特性を有する医薬が以前に報告され、サトウキビ・ワックスから得られた高分子量の第一級脂肪アルコールが、同一の薬理特性を示すことが知られている。ヨーロッパ特許O488928A2において、高コレステロール血症及び高リポタンパク血症タイプIIの処置のための脂肪酸の混合物が請求され、特許WO 94/07830において、抗血小板剤、抗虚血剤、抗血栓剤並びに異なる薬剤に誘発される胃潰瘍及び十二指腸潰瘍の防止に、同じ混合物の使用が請求されている。
【0007】
本発明の高分子量の第一級脂肪酸の混合物を得るための方法は、アルカリ及びアルカリ土類水酸化物、特に低分子量及び更に特には、ナトリウム、カリウム及びカルシウムのそれらの濃厚溶液でサトウキビ・ワックスの均一な鹸化に基づいている。アルカリ溶液の濃度は、加工されるべきワックスのそれと、相当する水酸化物の重量比が、5%を超えねばならず、特に8〜25%、更に特には15〜25%であるようである。鹸化工程は、30分を超える時間、更に特には1〜5時間継続する。この工程で得られた個体は、慣用の固−液抽出器を用いて加工され、ここで、塩形態のM.F.A.S.C.W.は、3〜8個の炭素原子のケトン、1〜5個の炭素原子のアルコール、5〜8個の炭化水素、ハロホルム及びそれらの混合物を含む芳香族化合物から選択される適切な有機溶媒を用いるそれらの成分の抽出により構成分の残りから単離される。本発明で用いられるいくつかの好適な溶媒は、以下のものである:アセトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、ヘキサノン、t−ブタノール、エタノール、メタノール、2−プロパノール、ブタノール、ヘキサン、ペンタン、イソペンタン、シクロヘキサン、ヘプタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロロメタン、1,2,3−トリクロロプロパン、ベンゼン、トルエン、フェノール、p−メチルトルエン及びその他。
【0008】
塩形態での高分子量の第一級脂肪酸の混合物は、それらの混合物を含む、3〜8個の炭素原子のケトン、1〜5個の炭素原子のアルコール、5〜8個の炭素原子の炭化水素、ハロホルム及び芳香族化合物から選択される適切な有機溶媒又は水性溶液中で、連続的再結晶により精製される。この方法で用いられるいくつかの好適な溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、ヘキサノン、t−ブタノール、エタノール、メタノール、2−プロパノール、ブタノール、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、フェノール、p−メチルトルエン及び水並びに他との混合物である。
【0009】
高分子量の第一級脂肪酸のこの混合物の精製工程は、それらの混合物を含む、3〜8個の炭素原子のケトン、1〜5個の炭素原子のアルコール、5〜8個の炭素原子の炭化水素、ハロホルム及び芳香族化合物から選択される適切な有機溶媒中で成分を還流し、直ちに脂肪酸塩を熱ろ過することからなる。
【0010】
この方法の最終工程において、遊離の脂肪酸は、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、酢酸及びシュウ酸、などから選択されるべき鉱酸及び/又は有機酸を用いて調製してもよい酸溶液を用いて再生される。脂肪酸の収量は、10〜40%であり、一方、M.F.A.S.C.W.の純度は、ガスクロマトグラフィ及び/又は容積測定の化学的分析により測定して、一般範囲で85〜100%、更に特には90〜99%である。
【0011】
本発明において得られるM.F.A.S.C.W.は、26〜36個の炭素原子の高分子量の第一級脂肪酸、より特に26、28、29、30、31、32、33、34、35及び36個の炭素原子のそれの混合物である。表Iに、このM.F.A.S.C.W.の定性的及び定量的構成を示した。
【0012】
【表1】

【0013】
異なる疾患の処置のために用いられるべきM.F.A.S.C.W.の1日用量は、1日当たり1〜100mgであり、投与の最も適切な経路は、経口固体用量−形態、例えば錠剤、糖衣錠又はカプセルである。また、この薬剤は、本発明で請求した用途を考慮して、経口的又は非経口的又は局所的に投与してもよい。
【0014】
経口経路で用いられる製薬学的配合物は、活性成分として、M.F.A.S.C.W.の0.5〜25重量%を含む。この用量は、M.F.A.S.C.W.を種々の賦形剤、例えば崩壊剤、接着剤、滑沢剤、滑剤又は充填剤と混合することにより得られる。
【0015】
本発明の目的の一つは、サトウキビワックスからの26〜36個の炭素原子の高分子量の第一級脂肪酸の天然混合物、特に26、28、29、30、31、32、33、34、35及び36個の炭素原子の直鎖の脂肪酸の混合物を単離し、精製することである。
【0016】
本発明の他の目的は、比較的低用量で、低コレステロール血症及び低脂血症薬剤として用いられる製薬学的配合物として、脂肪酸のこの天然混合物を用いることである。また、本発明の目的の一つは、経口的、局所的又は非経口的に投与される、抗−虚血剤及び抗−凝固剤として、用いられるための活性成分としてM.F.A.S.C.W.を含む製薬学的配合物の開発である。
【0017】
最後に、M.F.A.S.C.W.のプロフィールとして、及び製薬学的配合物の活性成分として提案されている全体像として、この混合物は、無毒であり、かつ重要な利点を表すものとして非常によく許容し得るものである。したがって、げっ歯類で実施された毒性評価で得られた結果は、M.F.A.S.C.W.に関連する毒性がないことを示した。本発明の目的である生成物で処理したものにおいて副作用は検出されていない。本発明の目的は、以下のページに詳細に記載されるであろう。これは、該発明の範囲を制限しない成果を例示するものである。
【0018】
例1
精製したサトウキビ・ワックス1000gをとり、100〜110℃で溶融し、水酸化カリウム200gを水150mLに溶解した。鹸化工程に、周期的に撹拌しながら、30分の間維持した。この工程で得られた個体から、固−液抽出システム中でアセトンを用いて脂肪酸を抽出した。得られた残渣を室温に冷却し、ヘプタン中で再結晶し、次いで、メタノールと共に2時間還流し、最後に熱ろ過した。M.F.A.S.C.W.を濃硫酸で処理して再生した。このM.F.A.S.C.W.の250gを94.0%の純度で得た。
【0019】
例2
精製したサトウキビ・ワックス10kgをとり、100〜110℃で溶融し、水酸化ナトリウ2kgを水1.5Lに溶解した溶液に加えた。加水分解工程に、周期的に撹拌しながら、2時間維持した。この工程で得られた個体から、固−液抽出システム中でエタノールを用いて抽出した。得られた抽出物を室温に冷却し、得られた個体を、アセトン中で再結晶し、次いで、ペンタンと共に2時間還流し、最後に熱ろ過した。M.F.A.S.C.W.を濃硝酸で処理し、M.F.A.S.C.W.の2.45kgを95.0%の純度で得た。
【0020】
例3
精製したサトウキビ・ワックス10kgをとり、水に溶解した水酸化カルシウム2.5kgを加えて溶融した。鹸化工程に、周期的に撹拌しながら、2時間維持した。この工程で得られた個体を、固−液抽出システム中でアセトンを用いて抽出した。この方法のこの工程で得られた残渣を室温に冷却し、ベンゼン中で再結晶し、次いで、トルエン中1時間還流し、最後に熱ろ過した。M.F.A.S.C.W.を濃硫酸で処理して得た。M.F.A.S.C.W.の2.3kgを93.5%の純度で得た。
【0021】
例4
精製したサトウキビ・ワックス50kgをとり、溶融し、次いで水に溶解した水酸化カリウムの十分量を加えた。鹸化工程に、周期的に撹拌しながら、30分間維持した。この工程で得られた個体を、固−液抽出システム中でクロロホルムを用いて抽出した。この方法のこの工程で得られた残渣を室温に冷却し、メチルエチルケトン中で再結晶した。次いで、メタノール中3時間還流し、最後に熱ろ過した。M.F.A.S.C.W.を、固体を濃塩酸で処理して得た。M.F.A.S.C.W.の13.6kgを96.5%の純度で得た。
【0022】
例5
精製したサトウキビ・ワックス1000gをとり、100〜110℃で溶融し、水250mLに溶解した水酸化カリウム250gを加え、ワックスを周期的に撹拌しながら1時間鹸化した。この方法で得られた個体を、固−液抽出システム中でn−ヘキサンで12時間抽出した。この方法のこの工程で得られた残渣を室温に冷却し、エタノール中で再結晶し、次いで、アセトン中で30分還流し、最後に熱ろ過した。M.F.A.S.C.W.を、硫酸の水性溶液で処理して再生した。M.F.A.S.C.W.の250gを96.7%の純度で得た。
【0023】
例6
活性成分としてM.F.A.S.C.W.を用いて、錠剤タイプの二つの異なる製薬学的配合物を調製した。これらの製薬学的配合物を、表IIに示した。これらの配合物は、活性成分の物理的、化学的及び化学−物理的特性を考慮して調製した。
【0024】
【表2】

【0025】
例7
この仕事の目的は、ラットにおいて誘導された血小板凝集でのM.F.A.S.C.W.の効果を評価することである。一群の、250〜300gの体重の雄Sprague Dawleyを、15日間の水及び食料への自由接近を有する実験室条件(25+/−2℃、12hの光/暗黒サイクル)に適応させた。M.F.A.S.C.W.は、アカシアゴム/水ビヒクル(10mg/mL)中の懸濁物として調製し、胃への強制栄養により経口的に投与した。動物を3つの実験的なグループ1:対照、等価のビヒクルを投与された動物;2:M.F.A.S.C.W.20mg/kgを投与された動物及び3:M.F.A.S.C.W.200mg/kgを投与された動物に出鱈目に配置した。全ての動物は、薬剤投与前、12時間食物を与えなかった。評価を実施するために、ラットをペントバルビツールナトリウムで麻酔し、腹部を開き、血液を大静脈血管から取出し、クエン酸ナトリウムと混合(血液9に対し、クエン酸1)した。血小板過剰プラズマ(PRP)を160gで10分間の血液の遠心分離により得た。血小板欠乏プラズマ(PPP)を2500gで5分間のプラズマアリコートの遠心分離により得た。血小板凝固を、Elvi-840凝固計を用いて37℃、撹拌(1000rpm)によりBorn方法により測定した。血小板凝固レベルをPRPの0%光透過及びPPPの100%光透過で装置を更正した後に測定した。ADP(sigma)を、血小板凝固を誘導するために用いた。
【0026】
処理及び対照グループ間の結果の統計的比較は、非母数特性値のMann-Whitney Uテストを用いて実施した。
【0027】
特定の用量で投与されたM.F.A.S.C.W.(20及び200mg/kg)は、表IIIで示したように、ラットにおいてADPによって誘導される血小板凝固の顕著な阻害を示した。これらの結果は、M.F.A.S.C.W.が抗血小板剤として作用することを確証している。
【0028】
【表3】

【0029】
例8
ラットにおいて実験的に誘発される静脈血栓でのM.F.A.S.C.W.の効果及び血流時間でのあり得る効果を検討した。300〜350gの体重の雄Sprague Dawleyを、7日間の水及び食料への自由接近を有する実験室条件(25+/−2℃、12hの光/暗黒サイクル)に適応させた。M.F.A.S.C.W.は、アカシアゴム/水ビヒクル(10mg/mL)中の懸濁物として、胃への強制栄養により経口的に投与した。動物を3つの実験的なグループ1:対照、ビヒクルのみを投与された動物;2:M.F.A.S.C.W.5mg/kgを投与された動物及び3:M.F.A.S.C.W.100mg/kgを投与された動物に出鱈目に配置した。基質投与後1時間に、ラットをペントバルビツールナトリウム(30mg/kg)で麻酔し、動物の尾部を37℃で塩水に沈め、尾部の最後尾の2cmを切断し、流血時間を計数型クロノメータを用いて測定した。
【0030】
静脈血栓:動物を、4つの実験グループ1)対照;2、3及び4は、M.F.A.S.C.W.を20、100及び200mg/kgの用量でそれぞれ投与されている、に出鱈目に配置した。
【0031】
血栓の誘導:全ての配合物を、経口投与し、1時間後に動物を、低張塩溶液(0.22%)と共にバルビツールナトリウム(1ml/100g体重)の腹腔内注射により麻酔し、直ちにそれらの腹部を開き、大静脈を上部2cmで結さくし、その静脈部分をろ紙上に集め、開き、1時間室温に放置した生理食塩水で湿らせたろ紙でペトリ皿に移した血栓を抽出した。この血栓の重量を、この時間後に測定した。
【0032】
処理及び対照群の結果の統計的比較は、非母数特性値のMann-Whitney Uテストを用いて実施し、これを分析するために、Fisherテストを用いた。
【0033】
100mg/kg及び200mg/kgの用量で経口的に投与されたM.F.A.S.C.W.は、静脈血栓を顕著に阻止したが、20mg/kgの用量は、阻止しなかった。結果を表IV及びVに示した。
【0034】
【表4】

【0035】
【表5】

【0036】
観察することができるように、この結果は、評価された用量範囲のM.F.A.S.C.W.が、流血時間を増大することなしに、ラットの血栓の寸法及び重量を減少させることを示した。これらの結果は、M.F.A.S.C.W.が、血液凝固での顕著な変化を引き起こすことなく、抗血栓効果を示し、抗−血栓治療での流血の効果を減少させる利点を表すことを示し、作用の効果は、他の作用のなかで、凝固要因の阻止よりむしろ血小板上での効果に関連していることを示唆している。
【0037】
例9
実験的に誘導された胃潰瘍でのM.F.A.S.C.W.の効果を分析するために、二つの実験モデルを研究し、一方の胃潰瘍においては、エタノールで誘導され、他方はストレスで誘導された。200〜250gの体重の雌雄のSprague Dawleyを、7日間の水及び食料への自由接近を有する実験室条件(25+/−2℃、12hの光/暗黒サイクル)に適応させた。M.F.A.S.C.W.は、アカシアゴム/水ビヒクル中の懸濁物として調製された。動物を、異なる実験グループへ出鱈目に配置し、生成物の投与は、胃への強制栄養(5ml/kg)により経口的に行い、対照は、等価のビヒクロのみを投与した。実験系列に従い、胃潰瘍の導入はエタノール(60%)の経口投与又はストレスにより導入された。24時間後、早い期間で、胃潰瘍は動物に導入された。
【0038】
エタノールでの導入:
ラットを、4つの実験グループ1)対照;2、3及び4は、M.F.A.S.C.W.を25、50及び100mg/kgの用量でそれぞれ投与されている、に出鱈目に配置した。処理後1時間で、それぞれのラットに胃の強制栄養でエタノール1mLを投与した。1時間後に、動物を、犠牲にし、それらの胃を直ちに取り除き、より大きな曲線に沿って縦に開き、蒸留水で洗浄し、次いで損傷部位を拡大鏡(X3)を用いて測定した。
【0039】
ストレスでの導入:動物を、3つの実験グループ1)対照;2及び3は、M.F.A.S.C.W.を50及び200mg/kgの用量でそれぞれ投与されている、に出鱈目に配置した。投与後直ちに、ラットを、5cm直径の鉄の円筒に固定し、ラットにストレスを与えるために24±1℃の水浴中に木質レベルまで沈めた。7時間後に動物を犠牲にし、胃を直ちに取り除き、より大きな曲線に沿って縦に開き、蒸留水で洗浄した。損傷部位を二重盲検様式で二人の独立の専門家により測定した。傷は、胃潰瘍のmmとして報告された損傷部位の寸法の全合計として評価した。
【0040】
処理及び対照群の結果の統計的比較は、非母数特性値のMann-Whitney Uテストを用いて実施した。
【0041】
【表6】

【0042】
表VIにおいて観測されているように、M.F.A.S.C.W.(100mg/kg)は、エタノールで誘導された胃潰瘍の発生を顕著に阻害した。
【0043】
【表7】

【0044】
評価することができるように、M.F.A.S.C.W.は、投与用量の独立モデルである、エタノール又はストレスの両方で誘導される傷から胃の粘膜を保護する。
【0045】
例10
M.F.A.S.C.W.の5mgを含む錠剤を、高コレステロール血症タイプIIに罹っている患者のグループに投与した。これらの患者が研究される前に、彼らは4週間の食事療法のみを行い、3.8mmol/Lより高いL−C値を有する患者のみを研究に含めた。M.F.A.S.C.W.での処置を、6週間維持した。この活性な処置期間において、食事療法の状態を維持した。この期間の後、脂質のプロフィールをそれぞれの患者で測定し、結果を表VIII及びIXに示した。
【0046】
【表8】

【0047】
【表9】

【0048】
6週間の処置期間の後、コレステロール(p<0.001)、トリグリセリド(p<0.01)及びLDL-Cレベル(p<0.001)の顕著な減少、及びHDL−Cレベルの顕著な増大(p<0.05)が生じることを観察することができた。平均減少は、18.2%(コレステロール)、17.4%(トリグリセリド)、25.7%(LDL-C)であり、そしてHDL−Cの増加は20.7%であった。
【0049】
これらの結果は、患者の100%において、最終レベルは処置の初めより低く、変動の割合はコレステロール及びLDL−Cの減少に効果的と考えられる薬剤により必要とされるそれより大きいので、M.F.A.S.C.W.での処置が非常に効果的であることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
24〜38個の炭素原子の脂肪酸を含む高分子量の第一級脂肪酸の混合物。
【請求項2】
26〜36個の炭素原子の脂肪酸を含む、請求項1記載の混合物。
【請求項3】
1−ヘキサコサン酸、1−オクタコサン酸、1−ノナコサン酸、1−トリアコンタン酸、1−ヘントリアコンタン酸、1−ドトリアコンタン酸、1−トリトリアコンタン酸、1−テトラトリアコンタン酸、1−ペンタトリアコンタン酸、及び1−ヘキサトリアコンタン酸を含む、請求項1又は2記載の混合物。
【請求項4】
1−ヘキサコサン酸0.3〜1.5重量%
1−オクタコサン酸25.0〜50.0重量%
1−ノナコサン酸1.0〜3.0重量%
1−トリアコンタン酸15.0〜30.0重量%
1−ヘントリアコンタン酸0.8〜3.0重量%
1−ドトリアコンタン酸10.0〜22.0重量%
1−トリトリアコンタン酸1.0〜3.0重量%
1−テトラトリアコンタン酸10.0〜22.0重量%
1−ペンタトリアコンタン酸0.5〜1.5重量%及び
1−ヘキサトリアコンタン酸2.0〜9.0重量%
を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の混合物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の高分子量の第一級脂肪酸の混合物を活性成分0.5〜25.0重量%の割合で、並びに充填剤、接着剤、崩壊剤、滑剤及び/又は他の許容し得る製薬学的賦形剤を含む、錠剤、カプセル又は糖衣錠のような製薬学的配合物。
【請求項6】
抗−虚血及び/若しくは抗−血栓剤として、抗血小板剤として、又は化合物、試剤若しくは医薬により誘導される胃潰瘍に対する薬剤として、タイプIIの高コレステロール血症の処置のための、請求項1〜4のいずれか1項記載の混合物又は請求項5記載の製薬学的配合物の使用。
【請求項7】
経口又は非経口的に投与される、請求項1〜4のいずれか1項記載のそのような混合物1〜100mg、特に10〜20mgの一日投与用量を特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の混合物又は請求項5記載の製薬学的配合物。
【請求項8】
サトウキビ・ワックスから、遊離酸として又はその塩の形態で、請求項1〜4のいずれか1項記載の混合物を得る方法であって、
アルカリ及びアルカリ土類水酸化物の濃縮溶液でサトウキビ・ワックスを均一鹸化し、固−液抽出システムを用いてこれらの構成成分を抽出することにより構成成分の残りから混合物を分離し、その際に
有機溶媒は、それらの混合物を含み、3〜8個の炭素原子のケトン、1〜5個の炭素原子のアルコール、5〜8個の炭素原子の炭化水素、ハロホルム及び芳香族化合物から選択されかつその混合物を精製していることを特徴とする方法。
【請求項9】
塩の形態の請求項1〜4のいずれか1項記載の混合物を、それらの混合物を含む、3〜8個の炭素原子のケトン、1〜5個の炭素原子のアルコール、5〜8個の炭素原子の炭化水素、ハロホルム及び芳香族化合物から選択される適切な有機溶媒又は水性溶液から連続再結晶により精製し、それによりこの混合物の精製の一つの工程は、それらの混合物を含む、3〜8個の炭素原子のケトン、1〜5個の炭素原子のアルコール、5〜8個の炭素原子の炭化水素、ハロホルム及び芳香族化合物から選択される適切な有機溶媒中で、成分を還流し、次いで直ちに脂肪酸塩を熱濾過し、最後に鉱酸及び/又は有機酸溶液を用いて混合物を再生することからなることを特徴とする、請求項8記載方法。
【請求項10】
アルカリ溶液の濃度が、加工されるべきワックスのそれと相当する水酸化物の重量比が5%を超えねばならず、特に8〜25%、更に特には15〜25%であるようであり、鹸化工程が、30分を超え、より特に1〜5時間の期間継続し、脂肪酸塩の分離が、1〜20時間にわたり、脂肪酸塩の再結晶が、1〜10時間にわたり、脂肪酸塩の還流が15分〜3時間にわたり及び/又は脂肪酸塩の再生が15分〜3時間で行なわれることを特徴とする、請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
鹸化工程で用いられる水酸化物が、低分子量のそれらであり、そしてナトリウム、カリウム及びカルシウムのそれらであることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
アセトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、メチルブチルケトン及び/又はヘキサノンを、脂肪酸塩の取得及びその再結晶でのケトンとして用いることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、n−ペンタノール及び/又はt−ブタノールを脂肪酸塩の取得及び再結晶用のアルコールとして用いることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、フェノール及び/又はp−メチルトルエンを、脂肪酸塩の取得及びその再結晶用の芳香族化合物として用いることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロロメタン及び/又は1,2,3−トリクロロプロパンを、脂肪酸塩の取得及びその再結晶に用いることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
ヘキサン、ペンタン、イソペンタン、シクロヘキサン及び/又はヘプタンを、脂肪酸塩の取得及びその再結晶用の炭化水素として用いることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
水を、脂肪酸の再結晶用の溶媒として用いる、請求項8〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
とりわけ、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、酢酸及び/又はシュウ酸を、脂肪酸の再生のための酸として用いる、請求項8〜10のいずれか1項記載の方
法。

【公開番号】特開2012−67119(P2012−67119A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−250436(P2011−250436)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【分割の表示】特願平10−541355の分割
【原出願日】平成10年4月1日(1998.4.1)
【出願人】(510333689)
【Fターム(参考)】