説明

サブチャンネルの記録/再生を可能にする方法と装置

【課題】テレビジョン信号受信機のような装置が、ディジタル・データ・バスを介し、ディジタル記録装置を制御して、サブチャンネルの記録と再生を可能にする。
【解決手段】装置20は、複数のサブチャンネルを表す信号を処理して、該複数のサブチャンネルのうち第1のサブチャンネルについてディジタル・データを発生する。このディジタル・データには、前記第1のサブチャンネルについての番組データと識別データが含まれる。入力/出力端子13が、ディジタル・データ・バスを介して前記ディジタル・データをディジタル記録装置40に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般に、本発明は、ディジタル記録装置を制御する技術に関し、特に、サブチャンネル(sub−channel)の記録および再生を可能にするためにディジタル・データ・バスを介してディジタル記録装置を制御する方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク内で、テレビジョン信号受信機、パーソナル・コンピュータ(PC)、ディスプレイ、VCR(ビデオ・カセット・レコーダ)、DVDプレーヤ、DBS(直接衛星放送)受信機、家庭用制御装置(例えば、セキュリティ・システム、温度制御装置)などのような、ディジタル装置間でディジタル信号を送信するためにディジタル・データ・バスを利用する。通常、ディジタル・データ・バスは、ある特定の規格、標準或いは仕様に従う。有線のディジタル・バスの規格の一例として、IEEE(Institute for Electrical and Electronic Engineers)1394高速シリアル・バス規格が、当技術分野で広く知られている。Hiperlan2のような、無線ディジタル・バス規格も当技術分野で知られている。
【0003】
有線ディジタル・バス(例えば、IEEE‐1394、Ethernet(イーサネット(登録商標))など)および/または無線ディジタル・バス(Hiperlan2、Wi‐Fiなど)を介して、オーディオ/ビデオ・ハード・ディスク・ドライブ(AVHDD)、ディジタル・ビデオ・カセット・レコーダ(DVCR)などのディジタル記録装置にディジタル・データを記録する際、コンテンツの帯域幅が広すぎるためにディジタル・データを全てディジタル記録装置が、正しく記録できないこともある。例えば、256QAM(Quadrature Amplitude Modulated)ディジタル・ケーブル・ストリームのような、ディジタル・ストリームに含まれるデータが、多すぎて、そのディジタル・データ・ストリームの全部を正しく記録できない記録装置もある。即ち、ディジタル記録装置はデータであふれ、ディジタル・データ・ストリーム全体を正しく記録できない。
【0004】
従って、前述した問題を回避し、ディジタル記録装置に供給されるデータの量を減少できる方法と装置が必要である。本発明ではこれらのおよび/または他の問題を取り扱う。
【発明の概要】
【0005】
本発明の態様による、ディジタル記録を可能にする方法を開示する。実施例によれば、この方法は、複数のサブチャンネルを表す信号を受信するステップと、受信した信号を処理して、複数のサブチャンネルのうち第1のサブチャンネルについての番組データと識別データを含むディジタル・データを発生するステップと、前記ディジタル・データをデータ・バスを介してディジタル記録装置に供給するステップと、から成る。
【0006】
本発明の別の態様による装置を開示する。実施例によれば、この装置は複数のサブチャンネルを表す信号を処理して、複数のサブチャンネルのうち第1のサブチャンネルについてのディジタル・データを発生する処理手段を具える。ディジタル・データには、第1のサブチャンネルについての番組データと識別データが含まれる。入力/出力手段がディジタル・データをデータ・バスを介してディジタル記録装置に供給する。
【0007】
本発明の別の態様によるテレビジョン信号受信機を開示する。このテレビジョン信号受信機は、複数のサブチャンネルを表す信号を処理し、該複数のサブチャンネルのうち第1のサブチャンネルについてディジタル・データを発生するプロセッサを具える。ディジタル・データには、第1のサブチャンネルの番組データと識別データが含まれる。入力/出力端子がディジタル・データをデータ・バスを介してディジタル記録装置に供給する。
【0008】
本発明の上述のおよびその他の特徴と利点、およびそれらを達成する方法は、添付する図面に関連して以下の実施例についての説明を参照することにより、一層明白となり、より良く理解される。
【0009】
文中に記述される本発明の好ましい実施例は、本発明の範囲を制限すると解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を実施するのに適する環境を例示する。
【図2】本発明の実施例による図1の装置をブロック図で詳細に示す。
【図3】本発明の1つの態様によるステップを例示するフローチャートである。
【図4】本発明の別の態様によるステップを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に、本発明を実施するのに適する環境100を例示する。環境100は、ユーザ入力手段(ユーザ入力装置10)、制御手段(装置20)、ディジタル・バス手段(ディジタル・データ・バス30)、およびディジタル記録手段(ディジタル記録装置40)を具える。
【0012】
ユーザ入力装置10は、装置20とディジタル記録装置40の動作を制御するユーザ入力を受信する。実施例により、ユーザ入力装置10は、複数のキーを具え、ユーザ(利用者)キーを押すと、無線の赤外線(IR)/無線周波数(RF)信号のようなコマンド信号を装置20に送信する。ユーザ入力装置10は、例えば、携帯型リモコン(遠隔制御装置)、有線または無線のキーボード、または他のユーザ入力装置として具現化される。
【0013】
装置20は、地上/ケーブル/衛星/インターネットなどのような信号源からチャンネルとして表されるアナログまたはディジタル形式(フォーマット)の信号(オーディオ、ビデオ、またはデータ信号を含む)を受信する。以下に述べるように、各チャンネルには複数のサブチャンネルが含まれる。また、装置20は、これらの受信した信号を処理し、処理済みの信号およびコマンド信号を、ディジタル・データ・バス30を介して、1つまたは複数の装置(ディジタル記録装置40を含む)に供給する。また、装置20は、ディジタル・データ・バス30を介して、1つまたは複数の装置(ディジタル記録装置40を含む)から信号を受信する。実施例によれば、装置20は、ディジタル・データ・バス30を介して、ディジタル記録装置40を制御し、サブチャンネルの記録と再生を可能にする。装置20のこれらの態様に関する更なる詳細は、以下に述べる。
【0014】
ディジタル・データ・バス30は、複数の装置(装置20とディジタル記録装置40を含む)間にディジタル信号を送信する。実施例によれば、ディジタル・データ・バス30は、一定の規格、標準または仕様書に従う有線または無線のディジタル・バスとして具現化される。例えば、ディジタル・データ・バス30は、IEEE1394バスのような有線ディジタル・バス、またはHiperlan2バスのような無線ディジタル・バスとして具現化される。
【0015】
ディジタル記録装置40は、ディジタル・データ・バス30を介し装置20から供給されるデータ(オーディオ、ビデオ、その他のデータ)をディジタル的に記録する。ディジタル記録装置40で記録されたディジタル・データは、再生の間、出力としてディジタル・データ・バス30を介し装置20にも供給される。ディジタル記録装置40は、ディジタル・データ・バス30のバス規格(IEEE1394、Hiperlan2など)に従うAVHDD、DVCR、または他のあらゆるタイプのディジタル記録装置として具現化される。
【0016】
図2は、本発明の実施例による装置(20)の更なる詳細を示すブロック図である。図2の装置は、フロント・パネル組立構体(FPA:Front Panel Assemble:フロント・パネル・アセンブリ)11のような前面パネル手段、増幅器12のような増幅手段、I/Oブロック13のような入力/出力(I/O)手段、プロセッサ14のような処理手段、およびメモリ15のような記憶手段を具える。前述した構成要素(図2)の幾つかは集積回路(IC)を使用して具現化され、IC上に具えられる構成要素も幾つかある。説明を平明にするため、或る制御信号、電力信号などのような、装置20に関連する従来の構成要素は図示されていない。
【0017】
フロント・パネル組立構体(FPA)11は、ユーザ入力装置10からのユーザ入力を受信すると共に、ユーザ入力に対応する出力信号を増幅器12に出力する。FPA11は、ユーザ入力装置10から赤外線(IR)または無線周波数(RF)信号を受信して、それに対応する信号を発生し、増幅器12に出力する。増幅器12は、FPA11から供給される信号を増幅してプロセッサ14に出力する。
【0018】
I/O(入力/出力)ブロック13は、装置20のI/O機能を実行する。I/Oブロック13は、地上波/ケーブル/衛星波/インターネットなどの信号源から、チャンネルとして表されるアナログまたはディジタル形式のオーディオ/ビデオ/データ信号を受信する。前述のように、各チャンネルに複数のサブチャンネルが含まれる。また、I/Oブロック13は、他の装置(ディジタル記録装置40を含む)に、処理済みの信号とコマンド信号を出力すると共に、他の装置(ディジタル記録装置40を含む)から信号を受信する。I/Oブロック13は、ディジタル・データ・バス30に接続される複数の入力/出力端子(少なくとも1つの双方向端子を含む)を具える。
【0019】
プロセッサ14は、種々の信号処理を行い、装置20の機能を制御する。プロセッサ14は、複数の機能(チューニング(同調)、復調、前方誤り(フォワード・エラー)訂正、トランスポート処理機能など)を実行することにより、I/Oブロック13から供給される信号を処理して、1つまたは複数のサブチャンネルを表すディジタル・データを発生する。このような処理機能から発生されるディジタル・データは、更なる処理(例えば、MPEG復号化など)/表示用に供給され、またはディジタル・データ・バス30を介して、他の装置(ディジタル記録装置40を含む)に供給される。プロセッサ14より発生されるディジタル・データは、当技術分野で知られているパケット化されたストリームの形をとる。従って、本明細書中で使用する「データ・パケット(data packet)」または「ディジタル・データ・ストリーム(digital data stream)」という用語は、このようなディジタル・データを指す。
【0020】
また、プロセッサ14は、ユーザ入力装置10を介して供給されるコマンド信号のような信号を受信し処理し、このようなコマンド信号を使用して、装置20および/またはディジタル記録装置40を制御する。実施例によれば、プロセッサ14は、1394 Trade Assocation(1394 同業組合)、米国テキサス州グレープバイン、で規定されるオーディオ・ビデオ/コントロール(AV/C)プロトコル信号、或いは別のプロトコル信号のようなコマンド信号を、ユーザ入力装置10から発生される信号に応答し、発生する。プロセッサ14より発生されるコマンド信号を使用して、ディジタル・データ・バス30に接続されるディジタル記録装置40を制御する。
【0021】
また、プロセッサ14は、パケット識別子(PID:パケットID)フィルタリング処理を実行し、利用者が記録用に選択した一つ以上のサブチャンネルおよび番組ガイド・データに対応する所望のPIDを有するデータ・パケット以外、受信したチャンネル内のデータ・パケットを全てフィルタして除去する。このパケットID(PID)フィルタリング処理により、ディジタル記録装置40に供給されるデータ量を減少させて、必要とされる帯域幅を減少させる。この態様に関する更なる詳細は、以下に示す。また、プロセッサ14は、本明細書中で述べる他の種々の機能(データをメモリ15から読み出しおよびメモリ15に書き込む、メニューの表示/信号形式の検出/他の機能をイネーブルするなど)を実行する。
【0022】
メモリ15は、装置20のデータ記憶機能を行う。メモリ15は、ソフトウェア・コード、現在動作中のモードのデータ、ユーザ・セットアップ(設定)データ、メニュー・データ、および/または他のデータを記憶する。それにより、プロセッサ14は、本明細書中で述べる種々の機能を実行できる。
【0023】
図3は、本発明の1つの態様によるステップを例示するフローチャート300である。図4は、本発明の実施例により、記録がどのように行われるかを説明する。図3のステップは、図1に示す構成要素に関して説明する。図3のステップは単に例示的なもので、本発明を制限する意図のものではない。
【0024】
ステップ301で、利用者がユーザ入力装置10の記録キーを押して、或る1つのチャンネルのサブチャンネル(1つまたは複数)の記録を開始する。ステップ301は、地上波/ケーブル/衛星波/インターネットなどの信号源から特定のチャンネルとして表されるオーディオ/ビデオ/データ信号を装置20が受信している間に行われる。装置20は、プロセッサ14で、受信したこれらの信号を処理することができ、その特定のチャンネル内に含まれる複数のサブチャンネルを表すディジタル・データ・ストリームを発生する。この実施例によれば、装置20が提供する画面上メニューにより、利用者は、そのディジタル・データ・ストリームの全体(そのチャンネルの全てのサブチャンネル)を記録するか、それとも、そのデータ・ストリームの一部だけ(そのチャンネルの1つまたは複数のサブチャンネル)を記録するのか、を選択できる。例えば、利用者は、現在見ている特定のサブチャンネルだけを記録することを選択するかもしれない。ステップ301で、利用者はユーザ入力装置10の記録キーを押して受信したチャンネル内に含まれるサブチャンネル(1つまたは複数)の記録(録画)を開始する。
【0025】
ステップ302で、装置20は、現在、記録(録画)モードになっているかどうかを判断する。記録モードの間、装置20は、ディジタル記録装置40のような記録装置にデータを出力して記録する。ステップ302で、プロセッサ14は、メモリ15に記憶された動作モードのデータを読み出して、装置20が、現在、記録(録画)モードになっているかどうかを判断する。
【0026】
ステップ302で、判断がYES(イエス)であれば、プロセスの流れはステップ303に進み、動作の変化は生じない。もしステップ302における判断がNO(ノー)であれば、プロセスの流れはステップ304に進み、ここで装置20は、記録モードがイネーブルされ、デフォルト記録装置が識別されるかどうか、を判断する。装置20のセットアップ・プロセスにより、利用者はその記録モードを選択的にイネーブル(作動)またはディスエーブル(非作動)にし、且つデフォルト記録装置を選択することができる(記録モードがイネーブルされる場合)。従って、ステップ304で、プロセッサ14は、メモリ15に記憶された或るユーザ・セットアップ・データを読み出し、記録モードがイネーブルされ且つデフォルト記録装置が識別されるかどうか、を判断する。
【0027】
ステップ304で判断がNO(ノー)であれば、プロセスの流れはステップ305に進み、装置20はプロセッサ14の制御の下で、記録動作を放棄する。ステップ304で判断がYES(イエス)であれば、ステップ306に進み、装置20は、現在のチャンネルがディジタル・チャンネルであるかどうかを判断する。ステップ306で、プロセッサ14は、装置20が現在受信中の信号がATSC(Advanced Television Standards Commitee:次世代テレビジョン規格委員会)信号のようなディジタル形式の信号であるかどうか検出して、判断する。
【0028】
ステップ306で判断がNO(ノー)であれば、ステップ305に戻り、ここで装置20は、プロセッサ14の制御の下で、記録動作を放棄する。ステップ306での判断がYES(イエス)であれば、307に進み、装置20はパケットID(PID)フィルタリングを実行すべきか判断する。ステップ301で、受信したチャンネルの全てのサブチャンネルよりも少ない数のサブチャンネルを記録することを利用者が選択した場合は、プロセッサ14は、サブチャンネルをブロックするためにPIDフィルタリング行う。この場合、プロセッサ14は、利用者が記録するために選択したサブチャンネルと番組ガイド・データ以外は、受信したチャンネルにおける全てのサブチャンネルをブロックする根拠として、パケットID(PID)を使用する。
【0029】
ステップ307で、判断がYES(イエス)であれば、ステップ308に進み、プロセッサ14のPIDフィルタが始動され、利用者の選択に従うサブチャンネル記録の間、PIDフィルタリングを実行する。ステップ308から、ステップ309に進み、装置20は記録動作をスタートし、プロセッサ14の制御の下でディジタル・データ・バス30を介し、記録コマンド信号およびPIDフィルタされたディジタル・データ・ストリームをディジタル記録装置40に供給する。プロセッサ14は、記録用に利用者が選択した一つ以上のサブチャンネルおよび番組ガイド・データに対応する所望のPIDを有するデータ・パケット以外は、受信したチャンネルにおけるデータ・パケットを全てフィルタし、除去する。データ・パケットのフィルタリングは、当技術分野で知られている方法で行われる。このように、所望のパケットID(PID)を有するデータ・パケットのみがディジタル記録装置40に供給され記録される。2次的オーディオ・パケットも全てフィルタされて、必要とされる帯域幅を更に減少させる。ディジタル・データ・バス30が十分な帯域幅を有し且つディジタル記録装置40が追加的データを処理できるなら、利用可能な2次的オーディオ・パケットおよびサブピクチャ・パケットのような他のパケットも、利用者の選択に基づいて、ディジタル記録装置40に送られる。この点に関し、装置20は帯域幅の限度を選択でき、帯域幅の限度を超過するとフィルタで除去すべきディジタル・データ・ストリームを選択することを利用者は促される。
【0030】
ステップ307で判断がNO(ノー)であれば、ステップ309に進み、装置20は記録をスタートし、プロセッサ14の制御の下でディジタル・データ・バス30を介し記録コマンド信号と完全な(フィルタされない)ディジタル・データ・ストリームをディジタル記録装置40に供給する。ステップ309でディジタル記録装置40に供給される記録コマンド信号はAV/Cプロトコルのコマンド信号、または別のプロトコルのコマンド信号である。ステップ309でディジタル記録装置40に供給されるディジタル・データ・ストリームにはサブチャンネルの番組データ(オーディオ/ビデオ・データ)と番組ガイド・データが含まれる。
【0031】
ステップ310で、装置20はディジタル記録装置40に、所定の記憶場所に記録されるチャンネルとサブチャンネルの識別データを記憶させる。装置20はプロセッサ14の制御の下でディジタル・データ・ストリーム内に含まれる番組ガイド・データからチャンネルとサブチャンネル識別データを得る。チャンネルとサブチャンネル識別データは、番組ガイド・データ内に含まれている、番組アソシエーション表(PAT:Program Association Table、プログラム・アソシエーション・テーブル)データと番組マップ表(PMT:Program Map Table、プログラム・マップ・テーブル)データまたは番組(プログラム)システム情報プロトコル(PSIP:Program and System Information Protocol)情報から得られる。ステップ310で使用される所定の記憶場所には、記録のタイトルまたは名称を記憶するタイトル・フィールドが含まれるが、他の記憶場所またはフィールドも使用できる。例えば、ディジタル記録装置40が、オーディオ/ビデオ・ハード・ディスク・ドライブ(AVHDD)であれば、各トラックについてのタイトル・フィールドは、コンテンツ・テーブルのエリア内に記憶される。
【0032】
タイトル・フィールド(title feild)またはそれと同等のもの(例えば、名称ブロック)を使用してチャンネルおよびサブチャンネルの識別データを記憶すると、再生中、チャンネル情報およびサブチャンネル情報が、タイトルの一部として利用者に表示されるので、望ましい。逆に言えば、チャンネルおよびサブチャンネルの識別データは、タイトル・フィールドあるいは他のフィールドの末端に記憶されるので、チャンネル情報およびサブチャンネル情報は、利用者のためにタイトルを表示する際に切り取られる。別の実施例によれば、タイトル情報が既にタイトル・ストリングの全長を占めている場合には、タイトル・フィールドの最後の部分(例えば、最後の10バイト)は、チャンネルおよびサブチャンネルの識別データで上書きされる。
【0033】
ステップ310でデータの記憶をイネーブル(可能に)するために、装置20は、プロセッサ14の制御の下でディジタル・データ・バスを介し、ディジタル記録装置40に記録されているチャンネルとサブチャンネルについてコマンド信号と識別データを供給し、ディジタル記録装置40は所定の記憶場所にチャンネルおよびサブチャンネルの識別データを記憶する。ステップ310で供給されるコマンド信号はAV/Cプロトコルのコマンド信号か、または別のプロトコルのコマンド信号である。例えば、AV/Cプロトコルの場合、ステップ310において「WRITE INFO BLOCK(書込み情報ブロック)」コマンド信号が装置20で使用され、それにより、ディジタル記録装置40は、名称情報ブロックのような、所定の記憶場所にチャンネルおよびサブチャンネルの識別データを記憶する。実施例によれば、チャンネルおよびサブチャンネルの識別データは、「XXX‐YYY」のような所定の形式を有する。ここで、「XXX」は3桁のチャンネル番号を表し、「YYY」は3桁のサブチャンネル番号を表す。このタイプの識別データ形式は、記録される各サブチャンネルについて使用される。チャンネルおよびサブチャンネルの識別データに関しては他のタイプ(型)の形式も使用される。
【0034】
上述したステップ310は、本発明による再生(プレイバック)動作を可能にするのに特に役に立つ。記録動作の間、前述したパケットID(PID)フィルタリングを行う際に、ディジタル記録装置40に供給されるディジタル・データ・ストリーム内に含まれる番組アソシエーション表(PAT)および番組マップ表(PMT)データのような番組ガイド・データを装置20が編集できなければ、問題となる。もしこのような番組(プログラム)ガイド・データが編集できないと、たとえ利用者が記録用にサブチャンネルを1つだけ選択したとしても、ディジタル記録装置40で記録されるデータの中にそのディジタル・データ・ストリーム内に含まれる全てのサブチャンネルの番組ガイド・データが含まれることになる。従って、利用者は、或るサブチャンネルが既に記録されており再生できると誤信するかもしれない。例えば、利用者は、再生用に或る一定のサブチャンネルを選択することにより、記録済みの番組ガイド・データ(例えば、PAT、PMT)において照会されているサブチャンネルを装置20に探させるが、それは以前にパケットID(PID)フィルタリングで除去されているので、記録済みのディジタル・データ・ストリーム内には存在していない。その結果として、再生中に、空白の画面となり音声も出なくなり、利用者は望ましくない視聴を経験するかもしれない。以下に述べるように、ステップ310で、記録されるチャンネルおよびサブチャンネルの識別データを記憶することはこの問題を回避するのに役立つ。
【0035】
図4に、本発明の別の態様によるステップを説明するフローチャート400を示す。図4は、本発明の実施例により再生(プレイバック)動作がいかに行われるかを説明する。
図4のステップも、図1の環境100に示す構成要素に関して記述する。図4のステップは例示的なものにすぎず、本発明を制限する意図のものでない。
【0036】
ステップ401で、利用者がユーザ入力装置10の再生(プレイ)キーを押して、記録済みのサブチャンネルの再生(プレイバック)動作を開始する。ステップ402で、装置20は、現在、再生モードになっているかどうか判断する。再生モードの間、装置20は、ディジタル記録装置40から供給される記録済みデータに対応する出力をイネーブルする。ステップ402で、プロセッサ14はメモリ15に記憶された動作モード・データを読み出して、装置20が再生モードになっているかどうか判断する。
【0037】
ステップ402で判断がYES(イエス)であれば、ステップ403に進み、ここで、再生動作に変化は生じない。もしステップ402で判断がNO(ノー)であれば、流れはステップ404に進み、ここで装置20は、所定の記憶場所にチャンネルおよびサブチャンネル識別データをディジタル記録装置40が記憶しているかどうか判断する。前述のように、ステップ310の記録動作の間、装置20はディジタル記録装置40に、所定の記憶場所(タイトル・フィールドまたは他の場所)にチャンネルおよびサブチャンネルの識別データを記憶させる。
【0038】
実施例によれば、ステップ404で、装置20は判断を行い、プロセッサ14の制御の下でディジタル・データ・バス30を介し、コマンド信号をディジタル記録装置40に供給し、それにより、所定の記憶場所からデータを読み出す。ステップ404で供給されるコマンド信号は、AV/Cプロトコルのコマンド信号、または別のプロトコルのコマンド信号である。例えば、AV/Cプロトコルの場合、ステップ404において「READ INFO BLOCK(読取り情報ブロック)」コマンド信号が装置20で使用されて、名称情報ブロックのような所定の記憶場所からデータを読み出す。以下に述べるように、チャンネルおよびサブチャンネルの識別データが、所定の形式(例えば、「XXX‐YYY」)により所定の記憶場所に記憶される。ここで、「XXX」は3桁のチャンネル番号を表し、「YYY」は3桁のサブチャンネル番号を表す。従って、装置20は、読出しデータの形式に基づいて所定の記憶場所にチャンネルおよびサブチャンネルの識別データをディジタル記録装置40が記憶していることを容易に検出できる。
【0039】
ステップ404で判断がNO(ノー)であれば、流れはステップ405に進み、ここで装置20は、第1のサブチャンネルの再生(プレイ)を試みる。ステップ405で、装置20は再生動作を開始しようと試み、プロセッサ14の制御の下で、ディジタル・データ・バス30を介して、再生コマンド信号をディジタル記録装置40に供給する。再生コマンド信号は、AV/Cプロトコルのコマンド信号、または別のプロトコルのコマンド信号である。ステップ405で供給される再生コマンド信号により、ディジタル記録装置40は、記録済みのサブチャンネルの番組データ(オーディオ/ビデオ・データ)および番組ガイド・データを含む記憶されたディジタル・データを装置20に供給し、装置20は、受信したデータを処理し、第1のサブチャンネルに対応する聴覚的/視覚的出力をイネーブルする。プロセッサ14は、受信した番組ガイド・データ内の情報(PAT、PMTなど)に基づいて第1のサブチャンネルに同調を試みるが、ステップ301で、第1のサブチャンネルが利用者より記録用に選択されていなければ、第1のサブチャンネルは記録されておらず、従って、ディジタル記録装置40から供給されたディジタル・データ内に存在していない。その場合、ステップ405で、第1のサブチャンネルは再生できず、空白の画面となり、音声も生じない。
【0040】
ステップ404で、判断がYES(イエス)であれば、ステップ406に進み、ここで装置20は、識別された第1のサブチャンネルを再生する。ステップ406で、装置20は再生動作を開始し、ディジタル・データ・バス30を介して、再生コマンド信号をディジタル記録装置40に供給する。再生(プレイ)コマンド信号は、AV/Cプロトコルのコマンド信号、または別のプロトコルのコマンド信号である。ステップ406で供給される再生コマンド信号により、ディジタル記録装置40は、記録済みのサブチャンネルの番組データ(オーディオ/ビデオ・データ)と番組ガイド・データを含む記憶されたディジタル・データを装置20に供給する。装置20は、ステップ404で読み出されるチャンネルおよびサブチャンネルの識別データを使用し、受信したディジタル・データを処理し、識別された第1のサブチャンネルに対応する聴覚的/視覚的出力をイネーブルする。プロセッサ14は、ステップ404で読み出されるサブチャンネル識別データを使用して、識別された第1のサブチャンネルに同調し、対応する聴覚的/視覚的出力をイネーブルする。装置20は、識別された第1のサブチャンネルを、その識別データがステップ404で所定の記憶場所から最初に読み出されるので、再生する。記録済みの1つのチャンネルに2つの記録済みサブチャンネルが含まれると、ステップ404で、第2のサブチャンネルの前に第1のサブチャンネルの識別データが読み出され、それにより識別されるので、ステップ406で、装置20はこれらのサブチャンネルのうち第1のサブチャンネルを再生する。ステップ406で、チャンネルおよびサブチャンネルの識別データを使用して、再生動作を可能にすることにより、本発明は、ステップ405で起こり得る、記録されていないサブチャンネルの再生が試みられるという問題を回避できるので有利である。従って、ステップ406の再生動作中に、利用者は空白の画面や無音声に遭遇しない。
【0041】
上述のように、本発明は、サブチャンネルの記録と再生をイネーブルする(可能にする)ために、ディジタル・データ・バスを介しディジタル記録装置を制御する方法と装置を提供する。本発明は、表示装置を具えるか、または具えない種々の装置に利用される。従って、本明細書中で「テレビジョン信号受信機(television signal receiver)」とは、表示装置を具えるテレビジョン・セット、コンピュータまたはモニタを含むシステムまたは装置、および表示装置を具えないセットトップ・ボックス(STB)、VCR、DVDプレーヤ、テレビ・ゲーム機、パーソナル・ビデオ・レコーダ(PVR)、コンピュータその他の装置を指す。
【0042】
本発明は、好ましい設計を有するものとして記述されているが、本開示の技術思想と範囲内で更に変更可能である。従って、本出願は、その原理を使用して本発明の変更または改造を包含する意図のものである。更に、本出願は、本発明が属する技術分野で知られており慣例とされ、且つ特許請求の範囲に述べる制限内に入るような、本発明からの乖離をも包含する意図のものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディジタル記録を可能にする方法であって、
複数のサブチャンネルを有するチャンネルを表す信号を受信するステップと、
前記複数のサブチャンネルの全てを記録する第1の記録オプションと、前記複数のサブチャンネルの全てより少ない1つ以上を記録する第2の記録オプションとの間でのユーザの選択を可能にするステップと、
前記ユーザ選択に応答して、ディジタル・データを、ディジタル・データ・バスを介して、記録のためのディジタル記録装置に供給するステップと、
前記ディジタル記録装置に、前記ユーザ選択に対応する識別データであって、チャンネル番号および少なくともサブチャンネル番号の1つを含む当該識別データをメモリに記憶させるステップと、
再生動作を開始するユーザ入力に応答して、前記メモリから前記識別データを読み出すステップと、
前記再生動作中に、前記識別データの表示を可能にするステップと、を備える前記方法。
【請求項2】
前記ディジタル・データ・バスが、IEEE1394バスを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ディジタル記録装置が、オーディオ/ビデオ・ハード・ディスク・ドライブ(AVHDD)を備える、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記識別データが、所定の記憶場所に記憶される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記ディジタル・データが、オーディオ・データ及びビデオ・データを有する番組データを含み、
前記所定の記憶場所が、タイトル・フィールドを含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記再生動作中に、前記ディジタル・データ・バスを介して、前記番組データを前記ディジタル記録装置から受信するステップと、
前記再生動作中に、前記複数のサブチャンネルのひとつに対応する出力をイネーブルするステップと、を更に含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記ディジタル記録装置が前記ディジタル・データを記憶する間、前記複数のサブチャンネルのひとつに対応する出力をイネーブルするステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
複数のサブチャンネルを有するチャンネルを表す信号を受信する装置であり、
前記複数のサブチャンネルの全てを記録する第1の記録オプションと、前記複数のサブチャンネルの全てより少ない1つ以上を記録する第2の記録オプションとの間でのユーザの選択を可能にする手段と、
前記ユーザ選択に応答して、ディジタル・データを、ディジタル・データ・バスを介して、記録のためのディジタル記録装置に供給する手段と、を備え、
前記可能にする手段は、
前記ディジタル記録装置に、前記ユーザ選択に対応する識別データであってチャンネル番号および少なくとも1つのサブチャンネル番号を含む当該識別データをメモリに記憶させ、
再生動作を開始するユーザ入力に応答して、前記メモリから前記識別データを読み出し、
前記再生動作中に、前記識別データの表示を可能にする、前記装置。
【請求項9】
前記ディジタル・データ・バスが、IEEE1394バスを含む、請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記ディジタル記録装置が、オーディオ/ビデオ・ハード・ディスク・ドライブ(AVHDD)を備える、請求項8記載の装置。
【請求項11】
前記可能にする手段が、前記ディジタル記録装置に前記識別データを所定の記憶場所に記憶させる、請求項8記載の装置。
【請求項12】
前記ディジタル・データが、オーディオ・データ及びビデオ・データを有する番組データを含み、
前記所定の記憶場所が、タイトル・フィールドを含む、請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記可能にする手段が、前記再生動作を開始する前記ユーザ入力に応答して、前記複数のサブチャンネルのひとつに対応する出力をイネーブルする、請求項11記載の装置。
【請求項14】
前記可能にする手段が、前記ディジタル記録装置が前記ディジタル・データを記憶する間、前記複数のサブチャンネルのひとつに対応する出力をイネーブルする、請求項8記載の装置。
【請求項15】
複数のサブチャンネルを有するチャンネルを表す信号を受信するテレビ信号受信機であって、
前記複数のサブチャンネルの全てを記録する第1の記録オプションと、前記複数のサブチャンネルの全てより少ない1つ以上を記録する第2の記録オプションとの間でのユーザの選択を可能にするプロセッサと、
前記ユーザ選択に応答して、ディジタル・データを、ディジタル・データ・バスを介して、記録するためのディジタル記録装置に供給する端子と、を備え、
前記プロセッサは、
前記ディジタル記録装置に、前記ユーザ選択に対応する識別データであってチャンネル番号および少なくとも1つのサブチャンネル番号を含む当該識別データをメモリに記憶させ、
再生動作を開始するユーザ入力に応答して、前記メモリから前記識別データを読み出し、
前記再生動作中に、前記識別データを表示可能にする、前記テレビジョン信号受信機。
【請求項16】
前記ディジタル・データ・バスが、IEEE1394バスを含む、請求項15記載のテレビジョン信号受信機。
【請求項17】
前記ディジタル記録装置が、オーディオ/ビデオ・ハード・ディスク・ドライブ(AVHDD)を備える、請求項15記載のテレビジョン信号受信機。
【請求項18】
前記プロセッサが、前記ディジタル記録装置に前記識別データを所定の記憶場所に記憶させる、請求項15記載のテレビジョン信号受信機。
【請求項19】
前記ディジタル・データが、オーディオ・データ及びビデオ・データを有する番組データを含み、
前記所定の記憶場所が、タイトル・フィールドを含む、請求項18記載のテレビジョン信号受信機。
【請求項20】
前記プロセッサが、前記再生動作を開始する前記ユーザ入力に応答して、前記複数のサブチャンネルのひとつに対応する出力をイネーブルする、請求項18記載のテレビジョン信号受信機。
【請求項21】
前記プロセッサが、前記ディジタル記録装置が前記ディジタル・データを記憶する間、前記複数のサブチャンネルの1つに対応する出力をイネーブルする、請求項15記載のテレビジョン信号受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−250417(P2011−250417A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128129(P2011−128129)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【分割の表示】特願2006−514282(P2006−514282)の分割
【原出願日】平成16年5月4日(2004.5.4)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】1−5, rue Jeanne d’Arc, 92130 ISSY LES MOULINEAUX, France
【Fターム(参考)】