説明

サブチラーゼ変異体

【課題】新規なサブチラーゼ変異体の提供。
【解決手段】本発明は、洗浄性能、熱安定性、貯蔵安定性及び触媒活性を包含する1又は複数の性質において、親サブチラーゼに対する改良性を示す新規サブチラーゼ変異体に関する。本発明の変異体は、例えば洗浄又は洗剤組成物、例えば洗濯洗剤組成物及び皿洗い洗浄組成物、例えば自動皿洗い組成物への使用のために適切である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄性能、熱安定性、貯蔵安定性及び触媒活性を包含する1又は複数の性質において、親サブチラーゼに対する変更を示す新規サブチラーゼ変異体に関する。本発明の変異体は、例えば洗浄又は洗剤組成物、例えば洗濯洗剤組成物及び皿洗い洗浄組成物、例えば自動皿洗い組成物への使用のために適切である。本発明はまた、変異体をコードする単離されたDNA配列、発現ベクター、宿主細胞、及び本発明の変異体の生成及び使用方法にも関する。さらに、本発明は、本発明の変異体を含んで成る洗浄及び洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
洗剤産業においては、酵素は、洗浄配合物に30年以上の間、使用されて来た。そのような配合物に使用される酵素は、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、及び他の酵素、又はそれらの混合物を包含する。商業的に最も重要な酵素は、プロテアーゼである。
【0003】
多数の商業的に使用されるプロテアーゼは、天然に存在する野生型プロテアーゼのタンパク質構築された変異体、例えばRelase(商標)、 Alcalase(商標)、 Savinase(商標)、 Primase(商標)、 Everlase(商標)、 Esperase(商標)、 Ovozyme(商標)、 Coronase(商標)、 Polarzyme(商標) 及びKannase(商標) (Novozymes NS)、MaxataseTM、 MaxacalTM、 MaxapemTM、 ProperaseTM、PurafectTM、Purafect OxPTM、 FN2TM、FN3TM、 FN4TM 及び Purafect PrimeTM (Genencor International, Inc.)、 BLAP X 及び BLAP S(Henkel) である。さらに、多くのプロテアーゼ変異体が当業界において記載されている。従来技術のプロテアーゼ変異体の完全な一覧表がWO99/27082号に与えられている。
【0004】
しかしながら、多くの有用なプロテアーゼ変異体が記載されて来たが、多くの産業使用、例えば洗濯物又は硬質表面清浄のために新規の改良されたプロテアーゼ又はプロテアーゼ変異体の必要性がまだ存在する。従って、本発明の目的は、そのような目的のための改良されたサブチラーゼ変異体を供給することである。
【発明の概要】
【0005】
発明の要約
従って、第1の観点においては、本発明は、表1に列挙される、1又は複数の修飾を含んで成るサブチラーゼ変異体に関する。
【0006】
【表1】

【0007】
【表2】

【0008】
表1に列挙される変異体はプロテアーゼ活性を示し、そして個々の位置は、図1及び配列番号1に示されるスブチリシンBPN’のアミノ酸配列の位置に対応する。
第2の観点においては、本発明は、本発明のサブチラーゼ変体をコードする、単離されたポリヌクレオチドに関する。
第3の観点においては、本発明は、本発明の単離されたポリヌクレオチドを含んで成る発現ベクターに関する。
第4の観点においては、本発明は、本発明の発現ベクターにより形質転換された微生物宿主細胞に関する。
【0009】
第5の観点においては、本発明は、本発明のサブチラーゼ変異体の生成方法に関し、ここで前記方法は、本発明の宿主を、前記変異体の発現及び分泌の助けとなる条件下で培養し、そして前記変異体を回収することを含んで成る。
第6の観点においては、本発明は、本発明の変異体を含んで成る、清浄又は洗剤組成物、好ましくは洗濯又は皿洗い組成物に関する。
一列整列及び番号付けに関しては、スブチリシンBPN’(a)(BASBPN)とスブチリシン309(b)(BLSAVI)との間の一列整列を示す図1が言及される。この一列整列は、本特許出願においては、残基を番号付けるための参照として使用される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、上記に言及されるGAPルーチンを用いてのスブチリシンBPN’(a)とサブナーゼ(商標)(b)との間の一列整列を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
本発明をさらに詳細に論じる前、次の用語及び慣例が最初に定義されるであろう。アミノ酸及び核酸の命名法の詳細な説明に関しては、引用により本明細書に組込まれるWO00/71691号(5ページで開始する)を参照のこと。
【0012】
変異体の企画のための命名法及び慣例
本発明に従って生成され又は企画される種々のサブチラーゼ酵素変異体を記載する場合、次の命名法及び慣例が参照の容易さのために適合されて来た:参照の枠は、サブチリシンBPN’(BASBPN)と単離された又は親酵素とを整列することによって、最初に定義される。
【0013】
一列整列は、次のパラメーターを用いて、サブチラーゼを番号付けするためにGCGパッケージバージョンのGAP慣例により得られる:ギャップ創造ペナルティー=8及びギャップ延長ペナルティー=8、並びにそれらのデフォールト値で維持されるすべての他のパラメーター。
もう1つの方法は、サブチラーゼ間の既知の認識される一列整列、例えばWO91/00345号に示される一列整列を使用することである。ほとんどの場合、差異は重要なものではないであろう。
【0014】
それにより、多くの欠失及び挿入は、BASBPN(配列番号1)に関して定義されるであろう。図1においては、スブチリシン309(配列番号2)は、BASBPNに比較して、位置36, 58, 158, 162, 163及び164で6個の欠失を有する。それらの欠失は、図1において、星印()により示される。遺伝子操作によりポリペプチドに導入される修飾の命名法の詳細な説明については、引用により本明細書に組込まれるWO00/71691号(7−12ページ)を参照のこと。
【0015】
プロテアーゼ
タンパク質基質におけるアミド結合を切断する酵素は、プロテアーゼ、又は(交換可能的には)ペプチダーゼとして分類される(Walsh, 1979, Enzymatic Reaction Mechanisms, W.H. Freeman and Campany, San francisco, Chapter 3を参照のこと)。
【0016】
アミノ酸位置/残基の番号付け
他に何も言及されていなければ、本明細書において使用されるアミノ酸番号付けは、サブチラーゼBPN’ (BASBPN) 配列のそのアミノ酸番号付けに対応する。BPN’配列のさらなる記載については、図1、又はSiezenなど., Protein Engng. 4 (1991) 719-737を参照のこと。
【0017】
セリンプロテアーゼ
セリンプロテアーゼは、ペプチド結合の加水分解を触媒し、そして活性部位で必須セリン残基が存在する酵素である(White, Handler and Smith, 1973 “Principles of Biochmistry”, Fifth Edition, McGraw-Hill Book Company, NY, pp. 271-272)。 細菌セリンプロテアーゼは、20,000〜45,000ドルトン範囲の分子量を有する。それらはジイソプロピルフルオロホスフェートにより阻害される。それらは単純な末端エステルを加水分解し、そして活性的に、真核キモトリプシン、すなわちまたセリンプロテアーゼに類似する。サブグループを包含するより狭い用語アルカリプロテアーゼは、いくつかのセリンプロテアーゼの高い最適度(pH9.0〜11.0)に影響を及ぼす(再考のためには、Priest(1977)Bacteriological Rev. 41: 711-753を参照のこと)。
【0018】
サブチラーゼ
Siezenなどは、セリンプロテアーゼにより試験的に企画されたサブチラーゼのサブグループを提案している(Protein Engng, 4(1991) 719-737及びSiezenなど。Protein Science 6(1997) 501-523)。それらは、サブチリシン−様プロテアーゼとして、これまで言及されているセリンプロテアーゼの170個よりも多くのアミノ酸配列の相同性分析により定義される。サブチリシンは、グラム−陽性細菌又は菌類により生成されるセリンプロテアーゼとしてこれまでしばしば定義されており、そしてSiezenなどによれば、現在、サブチラーゼのサブグループである。広範囲の種類のサブチラーゼが同定されており、そして多くのサブチラーゼのアミノ酸配列が決定されている。そのようなサブチラーゼ及びそれらのアミノ酸配列のさらなる詳細な記載に関しては、Siezenなど.(1997)を参照のこと。
【0019】
サブチラーゼの1つのサブグループ、I−S1又は“真の”サブチリシンは、“標準的な”サブチリシン、例えばサブチリシン168(BSS168)、サブチリシンBPN’、サブチリシンCarlsberg (ALCALASE(商標), NOVO NORDISK A/S)、及びサブチリシンDY(BSSDY)を包含する。
【0020】
サブチラーゼのさらなるサブグループ、I−S3又は高アルカリサブチリシンは、Siezenなど. (前記)により認識されている。サブグループI−S2プロテアーゼは、高アルカリサブチリシンとして記載され、そして酵素、例えばサブチリシンPB92(BAALKP)(MAXACAL(商標), Genencor International Inc.)、サブチリシン309(SAVINASE(商標), NOVO NORDISK A/S)、サブチリシン147(BLS147)(ESPERASE(商標), NOVO NORDISK A/S)及びアルカリエラスターゼYaB(BSEYAB)を包含する。
【0021】
サビナーゼ(商標)”:
サブナーゼ(商標) は、NOVOZYMES A/Sにより市販されている。それは、B.レンタスからのスブチリシン309であり、そして1つの位置においてのみ、BAALKPとは異なる(N87S)。サビナーゼ(商標) は、図1のb)に表されるアミノ酸配列を有する。
【0022】
親サブチラーゼ
用語“親サブチラーゼ”とは、Siezenなど. (1991及び1997)に従って定義されるサブチラーゼを記載する。さらなる詳細については、上記“サブチラーゼ”の記載を参照のこと。親サブチラーゼはまた、天然源から単離されたサブチラーゼでもあり得、ここで続く修飾は、サブチラーゼの特徴を保持しながら、行なわれている。さらに、親サブチラーゼは、J.E. Nessなど., Nature Biotechnology, 17, 893-896 (1999) により記載されるDNAシャフリング技法により調製されたサブチラーゼでもあり得る。他方では、用語“親サブチラーゼ”とは、“野生型サブチラーゼ”と呼ばれ得る。
【0023】
サブチラーゼ変異体の修飾
本明細書において使用される用語“修飾”とは、サブチラーゼの化学的修飾、及びサブチラーゼをコードするDNAの遺伝子操作を包含するよう定義される。修飾は、アミノ酸側鎖の置換、興味あるアミノ酸における、又はそのアミノ酸での置換、欠失及び/又は挿入であり得る。
【0024】
サブチラーゼ変異体
本発明においては、用語サブチラーゼ変異体又は突然変異誘発されたサブチラーゼは、原又は親遺伝子を有し、そして対応する親酵素を生成する親微生物に由来する変異体遺伝子を発言する生物により生成されたサブチラーゼを意味し、ここで前記親遺伝子は、突然変異誘発されたサブチラーゼプロテアーゼが、適切な宿主において発現される場合、生成される、変異体遺伝子を生成するために突然変異誘発されている。
【0025】
相同サブチラーゼ配列
本発明においては、2種のアミノ酸配列間の相同性は、パラメーター“同一性”により記載される。2種のサブチラーゼ間の同一性の程度を決定するためには、GCGパッケージバージョン9.1のGAPルーチンが、同じ設定を用いて適用され得る(下記参照のこと)。前記ルーチンからの出力は、アミノ酸一列整列の他に、2種の配列間の“%同一性”の計算である。この記載に基づけば、本発明に従って修飾され得る、適切な相同サブチラーゼ及び対応する相同活性部位ループ領域を同定することは、当業者にとって通常のことである。
【0026】
単離されたポリヌクレオチド
用語“単離された”とは、ポリヌクレオチドに適用される場合、ポリヌクレオチドがその天然の遺伝子環境から除かれており、そして従って、他の外因性又は所望しないコード配列を有さず、そして遺伝子的に構築されたタンパク質生成システム内での使用のために適切な形で存在することを示す。そのような単離された分子は、それらの天然の環境から分離され、そしてcDNA及びゲノムクローンを含むそれらの分子である。本発明の単離されたDNA分子は、それらが通常関連する他の遺伝子を有さないが、しかし天然に存在する5’及び3’未翻訳領域、例えばプロモーター及びターミネーターを含むことができる。関連する領域の識別は、当業者に明らかであろう(例えば、Dynan and Tijan, Nature 316: 774-78, 1985 を参照のこと)。用語“単離されたポリヌクレオチド”とは、二者択一的に“単離されたポリヌクレオチド”と呼ばれる。
【0027】
単離されたタンパク質
タンパク質に適用される場合、用語“単離された”とは、タンパク質がその天然の環境から分離されていることを示す。
好ましい形においては、単離されたタンパク質は、他のタンパク質、特に他の相同タンパク質(すなわち、“相同不純物”(下記参照のこと)を実質的に有さない。
【0028】
単離されたタンパク質は、SDS−PAGEにより決定される場合、10%以上の純度好ましくは20%以上の純度、より好ましくは30%以上の純度である。さらに、SDS−PAGEにより決定される場合、高く精製された形、すなわち40%以上の純度、60%以上の純度、80%以上の純度、より好ましくは95%以上の純度、及び最も好ましくは99%以上の純度で、タンパク質を供給することが好ましい。 用語“単離されたタンパク質”は、二者択一的に、“精製されたタンパク質”と称する。
【0029】
相同不純物
用語“相同不純物”とは、本発明のサブチラーゼが本来得られる相同細胞に起因するいずれかの不純物(例えば、本発明のサブチラーゼ以外のポリペプチド)を意味する。
【0030】
〜から得られる
用語“〜から得られる”とは、特定の微生物源に関して本明細書において使用される場合、ポリヌクレオチド及び/又はサブチラーゼが、特定の源、又は前記源からの遺伝子が挿入されている細胞により生成されることを意味する。
【0031】
基質
プロテアーゼのための基質に関して使用される用語“基質”とは、サブチリシンプロテアーゼによる加水分解に対して敏感な少なくとも1つのペプチド(アミド)結合を含む化合物を含んで成るようなその広い形で解釈されるべきである。
【0032】
生成物
プロテアーゼ酵素反応から誘導された生成物に関して使用される用語“生成物”は、サブチラーゼプロテアーゼを包含する加水分解反応の生成物を包含するものとして、本明細書において解釈されるべきである。生成物は、続く加水分解反応における基質であるべきである。
【0033】
洗浄性能
本発明においては、用語“洗浄性能”とは、例えば洗浄又は硬質表面清浄の間、清浄される目的物上に存在するタンパク質性又は有機物質のしみを除去する酵素の能力として使用される。また、本明細書における例3の“洗浄性能”を参照のこと。
【0034】
発明の特定の記載
本発明は、洗浄性能、熱安定性、貯蔵安定性及び触媒活性を包含する1又は複数の性質において、親サブチラーゼに対する変更を示す新規サブチラーゼ変異体に関する。本発明の一部であるよう企画される変異体は、野生型サブチラーゼに比較される場合、1又は複数のアミノ酸残基が置換、欠失又は挿入により修飾されるそのような変異体である。本発明の変異体は、表1に列挙される1又は複数のそれらの修飾を含んで成る。
【0035】
表1に列挙される変異体は、プロテアーゼ活性を示し、そして個々の位置は、図1及び配列番号1に示されるスブチリシンBPN’のアミノ酸配列の位置に対応する。
本発明の第1観点のサブチラーゼ変異体は、天然から同定され、そして単離された親又は野生型サブチラーゼであり得る。そのような親野生型サブチラーゼは特に、当業界において知られている標準技法によりスクリーンされ得る。
【0036】
これを行うことの1つの好ましい手段は、多くの異なった微生物、好ましくは異なったバチルス株からのサブチラーゼからの興味ある保存されたDNA領域を特異的にPCR増幅することによることができる。
サブチラーゼは、それらのDNA及びアミノ酸配列が相同である点で、保存された酵素のグループである。従って、興味あるポリヌクレオチド配列を両端に有する比較的特異的なプライマーを構成することが可能である。
【0037】
多くの異なった微生物、好ましくは異なったバチルス株からDNAを増幅するためにそのようなPCRプライマーを用い、続いて前記増幅されたPCRフラグメントのDNA配列決定により、本発明のサブチラーゼ変異体を生成する菌株を同定することが可能である。前記菌株及びそのような興味あるサブチラーゼの部分的DNA配列を同定すると、そのようなサブチラーゼのクローニング、発現及び精製を完結することは、当業者の通常の作業である。しかしながら、本発明のサブチラーゼ変異体は優先的に親サブチラーゼの変体であると思われる。
【0038】
本明細書に記載される使用のために適切なサブチラーゼ変異体は、当業界において知られている標準技法、例えば特定部位の突然変異誘発、又は異なったサブチラーゼ配列のDNAシャフリングにより構成され得る。さらなる詳細については、本明細書における“材料及び方法”のセクション及び例1を参照のこと。
【0039】
当業者により認識されるように、本明細書に記載される変異体は、1又は複数の追加の修飾、特に1又は複数の追加の置換又は挿入を含んで成る。さらに、本明細書に記載される変異体は、1つよりも多くの位置で突然変異を包含することができる。例えば、本発明の変異体は、1つの位置、2つの位置、3つの位置又は3以上の位置、例えば4〜8の位置で突然変異を含むことができる。親サブチラーゼは、天然又は多様性の人工的創造からの酵素のために、及び親サブチラーゼからの変異体の企画及び生成のために、サブグループI-S1又はI-S2、特にサブグループI-S2に属することが好ましい。
【0040】
サブグループI-S1からの変異体に関しては、BSS168 (BSSAS, BSAPRJ, BSAPRN, BMSAMP), BASBPN, BSSDY, BLSCAR (BLKERA, BLSCA1 , BLSCA2, BLSCA3), BSSPRC及び BSSPRD、又はサブグループI-S1の特徴を保持するそれらの機能的変異体から成る群から親サブチラーゼを選択することが好ましい。
【0041】
サブグループI-S2からの変異体に関しては、BSAPRQ, BLS147 (BSAPRM, BAM 01), BLSAVI (BSKSMK, BAALKP, BLSUBL), BYSYAB, BAPB92, TVTHER及び BSAPRS、又はサブグループI-S2の特徴を保持するそれらの機能的変異体から成る群から親サブチラーゼを選択することが好ましい。特に親サブチラーゼは、BLSAVI (Savinase(商標), NOVOZYMES A/S)であり、そして従って、本発明の好ましいサブチラーゼ変異体はサビナーゼ(商標)の変異体である。
【0042】
本発明はまた、上記に言及されるサブチラーゼ変異体のいずれかを、そのアミノ酸配列に対するいずれか他の修飾を組合して包含する。特に、酵素に改良された性質を付与するために当業界において知られている他の修飾との組み合わせが考えられる。異なった改良された性質を有する多くのサブチラーゼ変異体が存在し、そしてそれらの多くは、本明細書における“発明の背景”セクションに言及されている。それらの参照は、本明細書に記載されるサブチラーゼ変異体と都合良く組み合わされ得るサブチラーゼ変異体を同定するための参照として開示される。そのような組合せは、位置222(酸化安定性を改良する)、218(熱安定性を改良する)、酵素を安定化するCa2+−結合部位、例えば位置76での置換、及び従来の技術から明らかな多くの他の手段を包含する。
【0043】
さらなる態様においては、本明細書に記載されるサブチラーゼ変異体は、好都合には、次に位置のいずれかにおける1又は複数の修飾と組み合わされ得る:27, 36, 56, 76, 87, 95, 96, 97, 98, 99, 100, 101, 102, 103, 104, 120, 123, 159, 167, 170, 206, 218, 222, 224, 232, 235, 236, 245, 248, 252 及び 274。
【0044】
特に、次のBLSAVI, BLSUBL,BSKSMK,及びBAALKPの修飾は、次の組合せのために適切であると思われる:
K27R, *36D, S56P, N62D, V68A, N76D, S87N, G97N, S99SE, S101G, S101 R, S103A, V104A, V104I, V104N, V104Y, S106A, H120D, H120N, N123S, G159D, Y167A, R170S, R170L, A194P, N204D, V205I, Q206E, L217D, N218S, N218D, M222S, M222A, T224S, A232V, K235L, Q236H, Q245R, N248D, N252K 及び T274A。
【0045】
さらに、修飾S101G+V104N、S87N+S101G+V104N、K27R+V104Y+N123S+T274A、 N76D+S103A+V104I、S99D+S101R+S103A+V104I+G160S、S3T+V4I+S99D+S101R+S103A+V104I+G160S+V199M+V205I+L217D、S3T+V4I+S99D+S101R+S103A+V104I+G160S+A194P+V199M+V205I+L217D、S3T+V4I+S99D+S101 R+S103A+V104I+G160S+V2051 又はN76D+V104A、あるいは上記に言及される1又は複数の修飾のいずれかと組合せての修飾K27R, *36D, S56P, N62D, V68A, N76D, S87N, G97N, S99SE, S101 G, S103A, V104A, V104I, V104N, V104Y, S106A, H120D, H120N, N123S, G159D, Y167A, R170S, R170L, A194P, N204D, V205I, Q206E, L217D, N218S, N218D, M222S, M222A, T224S, A232V, K235L, Q236H, Q245R, N248D, N252K 及びT274Aの他の組合せのいずれかを含んで成る変異体が、改良された性質を示す。特に興味ある変異体は、本発明の修飾の他に、次の置換を含む変異体である:
【0046】
S101G+S103A+V104I+G159D+A232V+Q236H+Q245R+N248D+N252K。
さらに、本発明の主要観点のサブチラーゼ変異体は好ましくは、位置129, 131及び194のいずれかにおける1又は複数の修飾、好ましくは129K, 131H及び194P修飾、及び最も好ましくはP129K, P131H及びA194P修飾と組み合わされる。それらの修飾のいずれかが、より高い発現レベルのサブチラーゼ変異体を、その生成において提供することが予測される。
【0047】
本発明の選択された変異体の洗浄性能は、本明細書の例3に開示される洗浄性能試験において試験され得る。洗浄性能試験は、標準の又は市販の洗剤組成物に組込まれる場合、対照システム、すなわち親サブチラーゼの又はより良好な洗浄性能を示す類似するサブチラーゼ(同じ洗剤システムに組込まれ、そして同一の条件下で試験される)に比較して、標準の布からタンパク質のしみを除去する変異体の能力を評価するために使用され得る。本出願の酵素変異体は、自動機械応力アッセイ(AMSA)を用いて試験された。AMSA試験により、多量の小体積の酵素−洗剤溶液の洗浄性能が急速に試験され得る。この試験を用いて、選択された変異体の洗浄性能が最初に調べられ、その根本的理由は、選択された変異体が親サブチラーゼに比較して試験において有意な改良性を示さない場合、さらなる試験実験を通常実施する必要はないことである。
【0048】
従って、本明細書に記載される目的のために特に興味ある変異体は、市販の洗剤組成物、例えば洗剤性能試験(例3)に記載されるような、USタイプの洗剤、アジアタイプ、ヨーロッパタイプ又はラテンアメリカタイプの洗剤において試験される場合、同一の条件下で試験される親サブチラーゼに比較して、改良された洗浄性能を示すそのような変異体である。
【0049】
洗浄性能の改良性は、本明細書の例3に定義される、いわゆる強度値(Int)を計算することにより定量化され得る。
結果的に、本発明の変異体が少なくとも前記言及された最低レベル、より好ましくはその最高レベルに基づく上記基準を満たすことが好ましい。
【0050】
サブチラーゼ変異体の生成
サブチラーゼをクローニングし、そして遺伝子(例えば、サブチラーゼ遺伝子)中に挿入物を導入するための多くの方法は、当業界においてよく知られている。
【0051】
一般的に、遺伝子のクローニング及び前記遺伝子中への挿入物の導入(ランダム及び/又は特定部位)のための標準方法が、本発明のサブチラーゼ変異体を得るために使用され得る。適切な技法のさらなる記載は、本明細書における例1(下記参照のこと)、及び(Sambrookなど. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory manual, Cold Spring Harbor Lab., Cold Spring Harbor, NY; Ausubel, F.M. など. (eds.) “Current Protocols in Molecular Biology”, John Wiley and Sons, 1995; Harwood, C.R., and Cutting, S.M. (eds.) “Molecular Biological Methods for Bacillus”, John Wiley and Sons, 1990); 及びWO96/34946号に言及される。
【0052】
さらに、サブチラーゼ変異体は、多様性の人工的創造のための標準技法、例えば異なったサブチラーゼ遺伝子のDNAシャフリングにより構成され得る(WO95/22625号;Stemmer WPC, Nature 370: 389-91 (1994))。天然において同定される1又は複数の部分サブチラーゼ配列による、Savinase(商標) をコードする遺伝子のDNAシャフリングは、改良された洗浄性能変異体についてのスクリーニングの後、本明細書に記載される目的のために適切であるサブチラーゼ変異体を提供するであろう。
【0053】
発現ベクター
本発明の酵素をコードするDNA構造体を含んで成る組換え発現ベクターは、便利には、組換えDNA方法にゆだねられ得るいずれかのベクターであり得る。ベクターの選択は、それが導入される宿主細胞にしばしば依存する。従って、ベクターは自律的に複製するベクター、すなわち染色体存在物として存在するベクター(この複製は染色体複製に無関係である)、例えばベクターであり得る。
【0054】
他方では、ベクターは、宿主細胞中に導入される場合、その宿主細胞ゲノム中に一部又は完全に組み込まれ、そしてそれが組み込まれている染色体と一緒に複製されるベクターであり得る。
【0055】
ベクターは好ましくは、本発明の酵素をコードするDNA配列がそのDNAの転写のために必要とされる追加のセグメントに操作可能に連結されている発現ベクターである。一般的に、発現ベクターは、プラスミド又はウィルスDNAに由来し、又は両要素を含むことができる。用語“操作可能的に連結される”とは、セグメントが、それらの意図された目的のために協調して機能し、例えば転写がプロモーターにより開始し、そして酵素をコードするDNA配列を通して進行するよう配置されることを示す。
【0056】
プロモーターは、選択の宿主細胞において転写活性を示す配列を有するいずれかのDNA配列であり、そして宿主細胞に対して相同であるか又は異種のタンパク質をコードする遺伝子に由来することができる。
【0057】
細菌宿主細胞に使用するための適切なプロモーターの例は、バチルス・ステアロサーモフィラス マルトゲン性アミラーゼ遺伝子、バチルス・リケニホルミスα−アミラーゼ遺伝子、バチルス・アミロリケファシエンスα−アミラーゼ遺伝子、バチルス・サブチリスアルカリプロテアーゼ遺伝子又はバチルス・プミラスキシロシダーゼ遺伝子のプロモーター、又はファージλPR又はPLプロモーター又はE.コリlac, trp又はtacプロモーターを包含する。本発明の酵素をコードするDNA配列はまた、必要なら、適切なターミネーターに操作可能に連結され得る。
【0058】
本発明の組換えベクターはさらに、問題の宿主細胞におけるベクターの複製を可能にするDNA配列を含んで成る。ベクターはまた、選択マーカー、例えば宿主細胞における欠損を補足する生成物をコードする遺伝子、又は抗生物質、例えばカナマイシン、クロラムフェニコール、エリトロマイシン、テトラサイクリン、スペクチノマイシン又は同様のものに対する耐性、又は重金属又は除草剤に対する耐性をコードする遺伝子を含んで成ることができる。
【0059】
宿主細胞の分泌経路中に本発明の酵素を方向づけるためには、分泌シグナル配列(リーダー配列、プレプロ配列又はプレ配列としても知られている)が、組換えベクターに供給され得る。分泌シグナル配列は、正しい読み取り枠で酵素をコードするDNA配列に連結される。分泌シグナル配列は、酵素をコードするDNA配列の5’側に通常、位置する。分泌シグナル配列は、酵素と通常関連するその配列であり得るか、又はもう1つの分泌されるタンパク質をコードする遺伝子からであり得る。
【0060】
それぞれ、本発明の酵素をコードするDNA配列、プロモーター及び任意には、ターミネーター及び/又は分泌シグナル配列を連結するために、又は適切なPCR増幅によりそれらの配列をアセンブリーするために、及び複製又は組み込みのために必要な情報を含む適切なベクター中にそれらを挿入するために使用される方法は、当業者に良く知られている(例えば、Sanbrookなど., 前記)。
【0061】
宿主細胞
宿主細胞中に導入される、本発明の酵素をコードするDNA配列は、問題の宿主に対して相同であっても、又は異種であっても良い。宿主細胞に対して相同である場合、すなわち天然において宿主細胞により生成される場合、それは、典型的には、もう1つのプロモーター配列、又は適用できるなら、その天然の環境においてよりももう1つの分泌シグナル配列及び/又はターミネーター配列に操作可能的に連結されるであろう。用語“相同”とは、問題の宿主生物に対して生来の酵素をコードするDNA配列を包含することが意図される。用語“異種”とは天然において宿主細胞により発現されないDNA配列を包含することが意図される。従って、DNA配列は、もう1つの生物からであり得るか、又はそれは合成配列でもあり得る。
【0062】
本発明のDNA構造体又は組換えベクターが導入される宿主細胞は、本発明の酵素を生成できるいずれかの細胞であり得、そして細胞、酵母、菌類及び高等真核細胞、例えば植物を包含する。
【0063】
培養に基づいて、本発明の酵素を生成することができる菌類宿主細胞の例は、グラム陽性細菌、例えばバチルス株、例えばバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス・アルカロフィラス(Bacillus alkalophllus)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バチルス・ラウタス(Bacillus lautus)、バチルス・メガテリウス(Bacillus megaterium)、又はバチルス・スリンジエンシス(Bacillus thuringiens)、特にバチルス・レンタスの株;又はストレプトミセス、例えばストレプトミセス・リビダンス又はストレプトミセス・ムリナスの株;又はグラム陰性細菌、例えばE.コリの株である。
【0064】
細菌の形質転換は、プロトプラスト形質転換、エレクトロポレーション、接合により、又はそれ自体知られている態様でのコンピテント細胞を用いることによりもたらされ得る(Sambrookなど., 前記を参照のこと)。
【0065】
細胞、例えばE.コリにおいて酵素を発現する場合、酵素は、典型的には不溶性粒質物(封入体として知られている)として細胞質に保持され得るか、又は細菌分泌配列により細胞周辺腔に向けられ得る。前者の場合、細胞は溶解され、そして粒質物が回収され、そして変性され、この後、酵素は変性剤を希釈することによって再生される。後者の場合、酵素は、細胞周辺腔の内容物を放すために、例えば音波処理又は浸透ショックにより細胞を破壊することにより、細胞周辺腔から回収され得る。
【0066】
グラム−陽性細胞、例えばバチルス又はストレプトミセス株において酵素を発現する場合、酵素は細胞質に保持され得るか、又は細菌分泌配列により細胞外培地に向けられ得る。後者の場合、酵素は、下記のように培地から回収され得る。
【0067】
サブチラーゼ変異体の生成方法
本発明は、本発明の単離された酵素の生成方法を提供し、ここで前記酵素をコードするDNA配列により形質転換されている適切な宿主細胞が、前記酵素の生成を可能にする条件下で培養され、そしてその得られる酵素が培養物から回収される。
前記酵素をコードするDNA配列を含んで成る発現ベクターが異種細胞中に形質転換される場合、本発明の酵素の異種組換え生成を可能にすることができる。それにより、相同不純物を有さないことにおいて特徴づけられる高く精製されたサブチラーゼ組成物を製造することが可能である。
【0068】
形質転換された宿主細胞を培養するために使用される培地は、問題の宿主細胞を増殖するために適切ないずれかの従来の培地であり得る。発現されたサブチラーゼは、便利には、培養培地中に分泌され、そして良く知られている方法、例えば培地から細胞を、遠心分離又は濾過により分離し、培地のタンパク質性成分を、塩、例えば硫酸アンモニウムにより沈殿せしめ、続いて、クロマトグラフィー方法、例えばイオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー又は同様の方法により、それらから回収され得る。
【0069】
洗剤用途
本発明の酵素は、洗剤組成物に添加され、そして従って、その組成物の成分に成ることができる。本発明の洗剤組成物は、手動又は機械洗濯用洗剤組成物、例えば染色された布の前処理のために適切な洗濯用添加剤組成物及びすすぎ用布ソフトナー組成物として配合され得、又は一般的な家庭用硬質表面洗浄操作における使用のための洗剤組成物として配合され得、又は手動又は機械皿洗い操作のために配合され得る。
【0070】
特定の観点においては、本発明は、本発明の酵素を含んで成る洗剤添加剤を提供する。前記洗剤添加剤及び洗剤組成物は、1又は複数の他の酵素、例えばプロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、アミラーゼ、カーボヒドラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、アラビナーゼ、ガラクタナーゼ、キシラナーゼ、オキシダーゼ、例えばラッカーゼ及び/又はポロキシダーゼを含んで成ることができる。
一般的に、選択された酵素の性質は、選択された洗剤と適合できるべきであり(すなわち、他の酵素及び非酵素の成分、等とのpH−最適適合性)、そして酵素は効果的な量で存在すべきである。
【0071】
プロテアーゼ
適切なプロテアーゼは、動物、植物又は微生物起源のものを包含する。微生物起源が好ましい。化学的に修飾された、又はタンパク質構築された変異体が含まれる。プロテアーゼは、セリンプロテアーゼ又は金属プロテアーゼ、好ましくはアルカリ微生物プロテアーゼ又はトリプシン−様プロテアーゼであり得る。アルカリプロテアーゼの例は、スブチリシン、特にバチルスに由来するそれらのもの、例えばスブチリシンNovo、スブチリシンCarlsberg、スブチリシン309、スブチリシン147及びスブチリシン168(WO89/06279号に記載される)である。トリプシン−様プロテアーゼの例は、トリプシン(例えば、ブタ又はウシ起源のもの)、及びWO89/06270号及びWO94/25583号に記載されるフサリウムプロテアーゼである。
【0072】
有用なプロテアーゼの例は、WO92/19729号、WO98/20115号、WO98/20116号及びWO98/34946号に記載される変異体、特に1又は複数の次の位置での置換を有する変異体である:27,36, 56,76, 87,95, 96,97, 98,99, 100,101, 102,103, 104,120, 123, 159,167, 170,206, 218,222, 224,232, 235,236, 245,248, 252 及び 274。好ましい市販のプロテアーゼ酵素は、Relase(商標)、 Alcalase(商標)、Savinase(商標)、 Primase(商標)、 Everlase(商標)、 Esperase(商標)、 Ovozyme(商標)、 Coronase(商標)、 Polarzyme(商標) 及び Kannase(商標) (Novozymes A/S)、 MaxataseTM、 MaxacalTM、 MaxapemTM、 ProperaseTM、 PurafectTM、 Purafect OxPTM、 FN2TM、 FN3TM、 FN4TM 及びPurafect PrimeTM (Genencor International, Inc.), BLAP X and BLAP S (Henkel)を包含する。
【0073】
リパーゼ
適切なリパーゼは、細菌又は菌類起源のそれらのものを包含する。化学的に修飾された又はタンパク質構築された変異体が包含される。有用なリパーゼの例は、ヒューミコラ(別名、サーモミセス)、例えばヨーロッパ特許第258068号及び第305216号に記載のようなヒューミコラ・ラウギノサ(T.ラウギノサ)、又はWO96/13580号に記載のようなヒューミコラ・インソレンス、P.アルカリゲネス又はP.プソイドアルカリゲネス(ヨーロッパ特許第218272号)、P.セパシア(ヨーロッパ特許第331376号)、P.スツゼリ(P.stutzeri)(イギリス特許第1,372,034号)、P.フルオレセンス、プソイドモナスsp. SD705株(WO75/06720号及びWO96/27002号)、P.ウイスコンシネンシス(WO96/12012号)からのリパーゼ、バチルスリーパーゼ、例えばB.スブチリス(Dartoisなど. (1993), Biochemica et Biophysica Acta, 1131, 253-360)、B. ステアロサーモフィラス(日本特許64/744992)又はB.プミラス(WO91/16422号)からのリーパーゼを包含する。他の例は、リパーゼ変異体、例えばWO92/05249号、WO94/01541号、ヨーロッパ特許第407225号、ヨーロッパ特許第206105号、WO95/35381号、WO96/00292号、WO95/30744号、WO94/25576号、WO95/14783号、WO95/22615号、WO97/04079号及びWO97/0720号に記載されるものを包含する。好ましい市販のリパーゼ酵素は、Lipolase(商標)、 Lipolase Ultra(商標) 及び Lipex(商標) (Novozymes A/S)を包含する。
【0074】
アミラーゼ
適切なアミラーゼ(α−及び/又はβ)は、細菌又は菌類起源のそれらのものを包含する。化学的に修飾された又はタンパク質構築された変異体が包含される。アミラーゼは、バチルス、例えばイギリス特許第1,296,839号により詳細に記載される、B.リケニルホルミスの特許株から得られるα−アミラーゼを包含する。有用なアミラーゼの例は、WO94/02597号、WO94/18314号、WO96/23873号及びWO/43424号に記載される変異体、特に1又は複数の次の位置での置換を有する変異体である:15, 23, 105, 106, 124, 128, 133, 154, 156, 181, 188, 190, 197, 202, 208, 209, 243, 264, 304, 305, 391, 408, 及び 444。市販のアミラーゼは、Duramyl(商標)、 Termamyl(商標)、 Stainzyme(商標)、 Fungamyl(商標) 及び BAN(商標) (Novozymes A/S)、 RapidaseTM、 PurastarTM 及びPurastar OxAmTM (Genencor International Inc.からの)である。
【0075】
セルラーゼ
適切なセルラーゼは、細菌又は菌類起源のそれらのものを包含する。化学的に修飾された又はタンパク質構築された変異体が包含される。適切なセルラーゼは、バチルス、ヒューミコラ、フサリウム、チエラビア、アクレモニウム属からのセルラーゼ、例えばアメリカ特許第4,435,307号、アメリカ特許第5,648,263号、アメリカ特許第5,691,178号、アメリカ特許第5,776,757号及びWO89/09259号に開示されるヒューミコラ・インソレンス、マイセリオプソラ・サーモフィラ/オキシスポラムから生成される菌類セルラーゼを包含する。
【0076】
特に適切なセルラーゼは、色彩保護有益性を有するアルカリ又は中性セルラーゼである。そのようなセルラーゼの例は、ヨーロッパ特許第0495257号、ヨーロッパ特許第0531372号、WO96/11262号、WO96/29397号、WO98/08940号に記載されるセルラーゼである。例の例は、WO94/07998号、ヨーロッパ特許第0531315号、アメリカ特許第5,457,046号、アメリカ特許第5,685,593号、アメリカ特許第5,763,254号、WO95/24471号、WO98/12307号及びPCT/DK98/0299号に記載されるそれらのものである。市販のセルラーゼは、Renozyme(商標)、Celluzyme(商標) 及びCarezyme(商標) (Novo Nordisk A/S), ClazinaseTM 及びPuradex HATM (Genencor International Inc.) 及びKAC−500 (B)TM (Kao Corporation) を包含する。
【0077】
ペルオキシダーゼ/オキシダーゼ
適切なペルオキシダーゼ/オキシダーゼは、植物、細菌又は菌類起源のそれらのものを包含する。化学的に修飾された又はタンパク質構築された変異体が包含される。有用なペルオキシダーゼの例は、コプリナス、例えばコプリナス・シネレウス、及びWO93/24618 号、WO95/10602号及びWO98/15257号に記載されるそれらのようなそれらの変異体からのペルオキシダーゼを包含する。市販の使用されているペルオキシダーゼは、GuardzymeTM (Novozyme A/S)を包含する。
【0078】
ヘミセルラーゼ
適切なヘミセルラーゼは、細菌又は菌類起源のそれらを包含する。化学的に修飾された又はタンパク質構築された変異体が包含される。適切なヘミセルラーゼは、WO95/35362号に記載されるように、マンナナーゼ、リケナーゼ、キシラナーゼ、アラビナーゼ、ガラクタナーゼアセチルキシランエステラーゼ、グルクルニダーゼ、フェルラ酸エステラーゼ、クマリン酸エステラーゼ及びアラビノフラノシダーゼを包含する。適切なマンナナーゼは、WO99/64619号に記載されている。
【0079】
洗剤酵素は、1又は複数の酵素を含む別々の添加剤を添加することにより、又はそれらの酵素のすべてを含んで成る組合された添加剤を添加することにより洗剤組成物に包含され得る。本発明の洗剤添加剤、すなわち別々の添加剤又は組合された添加剤が、例えば粒質物、液体、スラリー、等として配合され得る。好ましくは洗剤添加剤配合物は、粒質物、特に非−ダスチング粒質物、液体、特に安定された液体又はスラリーである。
【0080】
非−ダスチング粒質物は、アメリカ特許第4,106,991号及び第4,661,452号に開示のようにして生成され得、そして任意には、当業界において知られている方法により被覆され得る。蝋被覆材料の例は、1000〜20,000の平均モル重量を有するポリ(酸化エチレン)生成物(ポリエチレングリコール、PEG);16〜50の酸化エチレン単位を有する、エトキシル化されたノニルフェノール;12〜20個の炭素原子を有するアルコールを有し、そして15〜80の酸化エチレン単位を有する、エトキシ化された脂肪アルコール;脂肪アルコール、脂肪酸;及び脂肪酸のモノ−、ジ−及びトリグリセリドである。流動層技法による適用のために適切なフィルム形成被覆材料の例は、イギリス特許第1483591号に与えられている。例えば、液体酵素調製物は、確立された方法に従って、ポリオール、例えばプロピレングリコール、糖又は糖アルコール、硫酸又は硼酸を添加することによって、安定化される。保護された酵素は、ヨーロッパ特許第238,216号に開示される方法に従って調製され得る。
【0081】
本発明の洗剤組成物は、いずれかの便利な形、例えば棒状、錠剤、粉末、顆粒、ペースト又は液体の形で存在することができる。液体洗剤は、水性であり、典型的には、70%までの水及び0〜30%の有機溶媒を含み、又は非水性であり得る。
洗剤組成物は、非イオン性、例えば半−極性及び/又はアニオン性及び/又はカチオン性及び/又は両性イオンであり得る1又は複数の界面活性剤を含んで成る。界面活性剤は典型的には、0.1〜6.0重量%のレベルで存在する。
【0082】
そこに含まれる場合、洗剤は通常、約1%〜約40%のアニオン性界面活性剤、例えば線状アルキルベンゼンスルホネート、α−オレフィンスルホネート、アルキルスルフェート(脂肪酸スルフェート)、アルコールエトキシスルフェート、第二アルカンスルホネート、α−スルホ脂肪酸メチルエステル、アルキル−又はアルケニル琥珀酸又は石鹸を含むであろう。
【0083】
そこに含まれる場合、界面活性剤は通常、約0.2%〜約40%の非イオン性界面活性剤、例えばアルコールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、アルキルポリグリコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、エトキシル化された脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸モノエタノールアミド、ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド、又はグルコサミンのN−アシルN−アルキル誘導体(“グルコサミド”)を含むであろう。
【0084】
洗剤は、0〜65%の洗剤ビルダー又は錯生成剤、例えばゼオライト、ジホスフェート、三リン酸、ホスホネート、カーボネート、シトレート、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン六酢酸、アルキル−又はアルキニル琥珀酸、可溶性シリケート又は層化されたシリケート(例えばHoechstからのSKS−6)を含むことができる。
洗剤は、1又は複数のポリマーを含んで成る。例としては、カルボキシメチルセルロース、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピリジン−N−オキシド)、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリカルボキシレート(例えばポリアクリレート、マレイン酸/アクリル酸コポリマー及びラウリルメタクリレート/アクリル酸コポリマーを含んで成る。
【0085】
洗剤は、H2O2源を含んで成る漂白システム、例えば過酸形成漂白活性化剤、例えばテトラアセチルエチレンジアミン又はノナノイルオキシベンゼンスルホネートと共に組合され得る過硼酸塩又は過炭酸塩を含むことができる。他方では、漂白システムは、例えばアミド、イミド又はスルホン型のペルオキシ酸を含むことができる。
【0086】
本発明の洗剤組成物の酵素は、従来の安定剤、例えばポリオール、例えばプロピレングリコール又はグリセロール、糖又は糖アルコール、乳酸、硼酸又は硼酸誘導体、例えば芳香族硼酸エステル又はフェニル硼素酸誘導体、例えば4−ホルミルフェニル硼素酸を用いて安定化され得、そして前記組成物は、例えばWO92/19709号及びWO92/19708号に記載のようにして配合され得る。
【0087】
洗剤はまた、他の従来の洗剤組成物、例えば布コンディショナー、例えばクレー、泡増強剤、石鹸泡抑制剤、抗腐蝕剤、土壌懸濁剤、抗−土壌再沈着剤、染料、殺菌剤、蛍光増白剤、ヒドロトロープ、曇りインヒビター、又は香料を含むことができる。
洗剤組成物においては、いずれかの酵素、特に本発明の酵素は、洗浄液体1L当たり0.01−100mgの酵素タンパク質、好ましくは洗浄液体1L当たり0.05−5mgの酵素タンパク質、特に洗浄液体1L当たり0.1−1mgの酵素タンパク質に対応する量で添加され得ることが、現在企画される。
【0088】
地方及び地域の条件、例えば水硬度及び洗浄温度の変動が、地域的洗剤組成物を必要とする。洗剤の例1及び2は、それぞれ、典型的なラテンアメリカ洗剤及び典型的なヨーロッパ粉末洗剤の組成物について範囲を提供する。
【0089】
【表3】

【0090】
【表4】

【0091】
他の用途
本発明のサブチラーゼ変異体は、食品の加工、特に、乳製品、例えばミルク、クリーム及びチーズの分野、及びまた、食肉及び野菜の加工に使用され得る。本発明のサブチラーゼ変異体はまた、家畜、家禽及びブタの飼料、及び特にペットフードの加工に使用され得る。さらに、本発明のサブチラーゼは、獣皮の処理のために使用され得る。本発明のサブチラーゼ変異体はまた、プリオン又は他の感染剤を分解するために、病院、診療所及び食肉加工プラント、等の装置、表面及び他の材料を除菌するための工程にも使用され得る。
【0092】
材料及び方法
プロテアーゼ変異体の生成方法
本発明は、本発明の単離された酵素の生成方法を提供し、ここで、前記方法は、前記酵素をコードするDNA配列により形質転換された適切な宿主細胞が、前記酵素の生成を可能にする条件下で培養され、そして得られる酵素がその培養物から回収されることを含んで成る。
酵素をコードするDNA配列を含んで成る発現ベクターが異種宿主細胞を形質転換する場合、本発明の酵素の異種組換え生成を可能にする。それにより、同種不純物を有さないことを特徴とする、高度に精製されたRP-IIプロテアーゼ組成物の製造を可能にする。
【0093】
形質転換された宿主細胞を培養するために使用される培地は、問題の宿主細胞を増殖するために適切ないずれかの従来の培地であり得る。発現されたサブチラーゼ変異体は、便利には、培養培地中に分泌され、そして良く知られている方法、例えば遠心分離又は濾過により培地から細胞を分離し、培地中のタンパク質成分を、塩、例えば硫酸アンモニウムにより沈殿し、続いてクロマトグラフィー方法、例えばイオン交換のクロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー又は同様のものにより処理することにより、それらから回収され得る。
【0094】
タンパク質加水分解活性
酵素活性は、基質としてスクシニル−アラニン−プロリン−グルタミン酸−パラニトロアニリンを用いて、PNAアッセイにより測定される。PNAアッセイの原理は、Journal of American Oil Chemists Society, Rothgeb, T.M., Goodlander, B. D., Garrison, P.H., and Smith, LA, (1988)に記載される。
【0095】

標準の布片を、EMPA St. Gallen, Lerchfeldstrasse 5, CH- 9014 St. Gallen, Switzerland or CFT, Center For Testmaterials, Vlaardingen, Netherlandsから入手する。特に重要なものは、EMPA116(血液、ミルク及びインキにより汚された綿布)、EMPA117(血液、ミルク及びインキにより汚されたポリエステル/綿布)、C-03(チョコレートミルク及びすすにより汚された綿布)、C-05(血液、ミルク及びインキにより汚された綿布)及びC-10(ミルク、油世帯顔料により汚された綿布)である。
【0096】
【表5】

【0097】
洗剤
本発明の酵素は、WO97/07202号に開示される洗剤配合物又は上記洗剤例において試験され得る。さらに、試験が、wfk testgewebe GmbH (Germany)又は類似する供給者から購入される洗剤配合物、又は市販の洗剤において行われる。
Wfk testgewebeからの試験洗剤の列挙:
- IEC 60456 タイプ A* 基材洗剤
- IEC 60456 タイプ B 基材洗剤
- IEC 60456 タイプ C 洗剤
- ECE 参照 洗剤 (リン酸塩を含む) (1977)
- ECE 参照 洗剤(リン酸塩を含まない) (1998)
- AHAM 標準 洗剤
- EU ECOLABEL (洗剤) 軽質洗剤
- EU ECOLABEL (洗剤) PVP
【0098】
しかしながら、また次の市販の洗剤の1つが洗浄アッセイに使用され得る:Ariel HDP, P&G, Mexico; Omo Multi Acao HDP, Unilever, Brazil; Breeze HDP, Unilever Thailand; Diao PaI1 Nice, China; Tide HDL, P&G, US; Wisk HDL, Unilever, US; TOP HDP, Lion, Japan; Attack HDP, Kao, Japan; Ariel Regular HDP, P&G, Europe; Ariel Compact HDPC, P&G, Europe; Persil Megaperls, Henkel, Germany及び Persil, Unilever, UK。
さらに、上記に特定される洗剤についての商標拡張又は色/コンパクトバーションが同様に使用され得る。
【0099】
洗剤が酵素を含む場合、洗剤は、洗剤にすでに存在する酵素を除去するために、使用の前、不活性化されるべきである。これは、洗剤原液を、電子オーブンにおいて85℃で5分間、加熱することにより行われる。電子オーブンにおいて不活性化される洗剤原液の濃度は4〜20g/lである。
【0100】
自動機械応力アッセイ
自動機械応力アッセイ(AMSA)は、下記例3に記載される。
ミニ洗浄アッセイ
【0101】
【表6】

【0102】
洗浄の後、布片が水道水に流され、そして空気乾燥され、そして試験材料の規約反射率が、Zeiss MCS521 VIS分光計を用いて、460nmで測定される。測定は、製造業者のプロトコールに従って行われる。
新規変異体の性能が、相対的性能を計算することにより、サビナーゼの性能に比較される:
RP=(Rvarjant-RBLANK)/(RSAVINASE-RBANK)
変異体は、それが少なくとも1つの洗剤組成物において参照により良好に遂行する場合、改良された洗浄性能を示すと思われる。
【実施例】
【0103】
例1:酵素変異体の構成及び発現
特定部位の突然変異誘発:
特定の挿入/欠失/置換を含んで成る本発明のサブチラーゼ309(Savinase(商標))特定部位変異体を、所望する突然変異体を含むオリゴヌクレオチドを用いて、PCRにより生成されたDNAフラグメント(Bambrookなど., molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor, 1989)の従来のクローニングにより製造した(下記参照のこと)。
【0104】
手短には、スブチリシン309wt又はスブチリシン309変異体遺伝子を担持するプラスミドDNA pAX222 (WO96/34946号に開示される、適切な選択マーカー、バチルス及びE. コリのための複製の起点、消化部位、等を含むE. コリ/B. サブチリスシャトルベクター)を、PCR反応において鋳型として使用する。最初のPCRにおいて、所望する突然変異(アンチセンス)及び適切な反射のオリゴヌクレオチド(センス)を含むオリゴヌクレオチドを使用する。得られるDNAフラグメントを、適切なアンチセンスオリゴヌクレオチドと共に、第2のPCRにおいて、センスオリゴヌクレオチドとして使用する。得られるDNAフラグメントを、適切な制限酵素により消化し、そして同じ酵素により消化された適切なE. コリ/バチルスシャトルベクター(例えば、pSX222)中に連結する。
【0105】
その連結生成物を用いて、コンピテントE. コリを形質転換し、そして適切な選択マーカーを含む固体寒天上に配置する。単一のコロニーから精製されたDNAを配列決定し、企画された突然変異を確かめる。プラスミドDNAを、企画された突然変異と共にサブチリシン309遺伝子を含むプラスミドを担持するE. コリから単離し、適切なコンピテントB. サブチリス株、例えばB. サブチリスDN1885を形質転換し:WO01/16285号に開示される(例えば、Dubnau など., 1971 , J. MoI. Biol. 56, pp. 209-221により記載のようにして)、そして適切な選択マーカーを含む固体寒天上にプレートする。
【0106】
プロテアーゼ活性を示す単一のバチルスコロニーからのプラスミドDNAを単離し、そして配列決定し、企画された突然変異を確かめる。所望する突然変異を有するサブチリシン309遺伝子を包含するプラスミドDNAを担持するバチルスコロニーを、そらせ板付き振盪フラスコにおける適切な培地において発酵する。
【0107】
例2:酵素濃縮物の精製及び評価
発酵の後、スブチリシン変異体の精製を、疎水性変化誘発クロマトグラフィー(HCIC)及び続く真空濾過により達成する。酵素を捕獲するために、HCICは、4−メルカプト−エチル−ピリジン(4−MEP)が結合されているセルロースマトリックスを使用する。
【0108】
80〜100μmのセルロースのビースを、酵母抽出物、及びスブチリシン変異体を分泌できる、形質転換されたB. サブチリスを含む培地と共に混合し、そしてUnifilter(商標)マイクロプレートにおいてpH9.5でインキュベートする。4−MEPはpH>7で疎水性であり、そしてスブチリシン変異体はpH9.5℃で疎水性であるので、ビース上での分泌された酵母と4−MEPとの間で疎水性結合が製造される。インキュベーションの後、培地及び細胞残骸を真空濾過により除去し、そしてビース及び酵母はフィルター上二保持する。ビースから酵素を溶出するために、pHを、溶出緩衝液(pH5)によりフィルターを洗浄することにより低める。これにより、酵素はビースから離れ、そして緩衝液から再生され得る。
【0109】
精製されたスブチリシン酵素変異体の濃度を、活性部位滴定(AST)により評価する。精製された酵素を、種々の量の活性部位を阻害するために異なった濃度で高親和性インヒビターCI−2Aと共にインキュベートする。プロテアーゼ及びインヒビターはお互い1:1の比で結合し、そして従って、酵素濃度は、すべてのプロテアーゼが不活性である、インヒビターの濃度に直接的に関連する。残留プロテアーゼ活性を測定するために、基質(トリス/HCl緩衝液中、0.6mMのSuc-Ala-Ala-Pro-Phe-PNA)を、インヒビターとのインキュベーションの後、添加し、そして次の4分間、分解生成物pNA(パラニトロフェノール)の進行を、Elsa リーダー上で405nmで定期的に測定する。表1に列挙される本発明の変異体のそれぞれを、上記方法に従って精製し、そして続いて酵素濃度を決定する。
表1の既知濃度の変異体を、下記のように洗剤における洗浄性能について試験した。
【0110】
例3サブチラーゼ変異体を含んで成る洗剤組成物の洗浄性能
本出願の酵素変異体を、自動機械応力アッセイ(AMSA)を用いて試験する。AMSA試験により、大量の少体積の酵素−洗剤溶液の洗浄性能を試験することができる。AMSAプレートは、試験溶液のための多くのスロット、及びすべてのスロット開口に対して洗浄される布スワッチを強く絞る蓋を有する。洗浄時間の間、プレート、試験溶液、布及び蓋を、激しく振盪し、試験溶液と布とを接触し、そして機会的応力を適用する。さらなる説明のためには、WO02/42740号(特に“特定方法の態様”、23−24ページ)を参照のこと。このアッセイを、下記に特定される実験条件下で行う。
【0111】
洗剤: ラテンアメリカタイプHDP
潜在用量: 2.2g/l
試験溶液の体積: 160μl
pH: NaHCO3によりpH9.5−10.3に調節する
洗浄時間: 14分
温度: 20℃
水の硬度: 9°dH*
試験溶液における酵素濃度: 5nM, 10nM及び30nM
試験材料: C-10
*:°dH:Milli-Q水にCaCl2・2H2O、MgCl2・6H2O(Ca2+:Mg2+=2:1)を添加することにより調節される。
【0112】
ラテンアメリカタイプ洗剤を、本明細書における16ページの洗剤例1における規定に従って構成した。洗浄の後、布片を水道水に流し、そして空気乾燥する。
酵素変異体の性能を、特定酵素変異体により洗浄される布サンプルの色彩の明るさとして測定する。明るさはまた、白色光により照らされる場合、布サンプルから反射される光の強度としても表され得る。布が汚れる場合、反射される光の強度は、きれいな布の強度よりも低い。従って、反射される光の強度が、酵素変異体の洗浄性能を測定するために使用され得る。
【0113】
色の測定を、洗浄された布サンプルの像を捕獲するために使用される専門平台スキャナー(PFU DL2400 pro)により行う。走査を、200dplの解像度、及び24ビットの出力カラーデプト(output color dupt)により行った。正確な結果を得る雨に、スキャナーは時折、kodak反射IT8標的物により構成される。走査された像から光強度についての値を得るために、特別に企画されたソフトフェアを用いる(Novozymes Color Vector Analyzer)。そのプログラムは、像から24ビット画素値を再生し、そして赤(r)、緑(g)及び青(b)についての値に、それらを転換する。強度値(Int)を、ベクターとして(r)、(g)及び(b)を加え、そして次に、得られるベクターの長さを計ることにより計算する:
【0114】
【数1】

【0115】
変異体の洗浄性能(P)を、酵素変異体により洗浄される布表面の光強度値として定義する:
P=Int(V)
その結果は表2に示され、ここで性能は、10nMのプロテアーゼ濃度でのサブナーゼの性能に対する新規変異体の相対的性能として与えられる:
RP=(PVARIANT-PBLANK)/(PSAVINASE-PBLANK)
【0116】
【表7】

【0117】
【表8】

【0118】
例4サブチラーゼ変異体を含んで成る洗剤組成物の洗浄性能
ml規模の洗浄性能アッセイを、次の条件下で行った:
【0119】
【表9】

【0120】
洗浄の後、布片を水道水に流し、そして空気乾燥し、そして試験材料の規約反射率を、Zeiss MCS521 VIS分光計を用いて、460nmで測定する。測定は、製造業者のプロトコールに従って行われる。
新規変異体の性能を、相対的性能を計算することにより、10nMのプロテアーゼ濃度で、サビナーゼの性能に比較する:
RP=(Rvarjant-RBLANK)/(RSAVINASE-RBANK)
【0121】
変異体は、それが少なくとも1つの洗剤組成物において参照により良好に遂行する場合、改良された洗浄性能を示すと思われる。
評点:評点=1は、1.1に等しいか又は良好な改良された洗浄性能を有する変異体に対して与えられる。
【0122】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記修飾:
T143K,Y167A,R170S,A194P;
Y167A,R170S,A194P,K251R;
Y167A,R170S,A194P,S265K;
Y167A,R170S,A194P,V244R;
S141E,Y167A,R170S,A194P;
Y167A,R170S,M175I;
Y167A,R170S,A172T;
Y167A,R170S,A174V,M175F;
Y167A,R170S,A172V,A174V;
Y167A,R170S,A172E;
Y167A,R170S,M175L;
Y167A,R170S,A174T;
Y167A,R170S,A174T,M175L;
G53C,G61E;
A98S,S99D,G100S;
S9R,T22A,V68A,S99A,*99aD;
S9R,P14H,R19L,N62D;
G61P,*99aS;
N43S,N62D;
*96aG,P131S,V203A,A228T;
N62D,A232C,Q236L,Q245N;
*96aA,A98T,R247K;
S99D,S101R,S103A,V104I,G160S,A194P,L217D;
*61aD;
N62D,S106A;
V68A,S106M,N184D;
S9R,A15T,*97aV,H120N;
A15M,A16P,*99aD;
*99aE,G160S,S163T, G195S,G211S,K237R,G258A,T260L;
G23S,*99aD,A194P,S242T,Q245R;
G100S,N173D;
Y167A,R170S,A172E;
A98T,Q137L,Y167A,R170S,M175L;
*98aA,S99D;
S99A, *99aD,V203A;
N62D,K237R;
V11M,N76D,L126F,K251R;
S9F,A15L,A16P,T22l,*98aA,S99D,R170H;
*96aA, *130aG,P131H;
E54D,N62D;
*98aA,*98bS,S99G,S101T;
S9R,A15T,V68A,I79T,G102S,P131 H,Q137H;
*100aA,*100bG,*100cS,*10OdG;
V68A,L111I;
*98aA,R170H,Q245R;
I35V,N62D,N183D,T224S;
*97aG,P131S,V203A,A228T;
S9R,R10K,P14Q,T22A,Y167A,R170S;
S9R,*22aL,S57A,G61E,*98aA,V139L,N173S;
P14T,N18K,Y167A,R170S;
S9R,Q12E,P14Q,K27R,Y167A,R170S;
N62D,R170L;
N62D,R170S,Q245R;
Y167A,R170S,A194P,K251R,S265K;
P14T,N18K,Y167A,R170S,A194P;
N62D,A151G,K237R;
N62D,A151G,Q245R;
N62D,A151G, K237R,Q245R;
S103A, V104I, G159D, A232V, Q236H, Q245R;
S9R, A15T, T22A, V139L;
S9R, A15T, G61E, A85T, E89Q, P239L, Q245C;
S9R, A15T, V68A, H120N, Q245R;
N248R;
S9R, A15T, *22aL, V139L, N204D, Q245L;
N218S;
S9R, A15T, V68A, Q245R, N252K;
S9R, A15T, V68A, Q245R, H120N;
V68A, S106A, H120N;
V68A, S106A, N252K;
A15T,V68A,S99G,Q245R,N261D;
S9R,V68A,S99G,Q245R,N261D;
V68A,S99G,Q245R,N261D;
S9R,A15T,V68A,S99G,N261D;
S9R, A15T, V68A, Q245R, N261D;
S9R,A15T,*22aL,V139L,S163G,N204D,Q245L;
Q245R,N252H;
S9R,*22aL,G61E,*97aA,M119l,Q137H,N173S;
V68A, S106A, T213A;
S9R,A15T,V68A,H120N,P131 S,Q137H,Q245M;
S9R, A15T, V68A, I72F, S99G, Q245R, N261D;
S9R, A15T, V68A, S99D, Q245R, N261D;
S9R, A15T, V68A, S99G, A194P, Q245R, N261D;
S9R, A15T, V68A, N76I, S99G, Q245R, N261D 及び
S9R, A15T, V68A, S99G, A228V, Q245R, N261D、
からなる群から選択された1又は複数の修飾を含んで成るサブチラーゼ変異体。
【請求項2】
前記親サブチラーゼが、サブグループI-S1に属する請求項1記載の変異体。
【請求項3】
前記親サブチラーゼがサブグループI-S2に属し、そして前記親が好ましくはBLSAVIである請求項1又は2記載の変異体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載のサブチラーゼ変異体をコードする単離されたDNA配列。
【請求項5】
請求項4記載の単離されたDNA配列を含んで成る発現ベクター。
【請求項6】
請求項5記載の発現ベクターにより形質転換された微生物宿主細胞。
【請求項7】
細菌、好ましくはバチルス(Bacillus)、特にB, レンタス(B, lentus)である請求項6に記載の微生物宿主細胞。
【請求項8】
菌類又は酵母、好ましくは糸状菌、特にアスペルギラス(Aspergillus)である請求項6に記載の微生物宿主細胞。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれか1項記載のサブチラーゼ変異体の生成方法であって、請求項6〜8のいずれか1項記載の宿主を、前記変異体の発現及び分泌の助けとなる条件下で培養し、そして前記変異体を回収することを含んで成る方法。
【請求項10】
請求項1〜3のいずれか1項記載の変異体を含んで成る、清浄又は洗剤組成物、好ましくは洗濯又は皿洗い組成物。
【請求項11】
セルラーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、クチナーゼ、プロテアーゼ、ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、ラクターゼ、グリコアミラーゼ、ポリガラクツロナーゼ、β−ガラクトシダーゼ、リグニナーゼ又はそれらの混合物を、さらに含んで成る請求項10記載の組成物。
【請求項12】
洗濯及び/又は皿洗い洗剤への請求項1〜3のいずれか1項記載の変異体の使用。
【請求項13】
前記変異体がさらに、1又は複数の修飾K27R, *36D, S56P, N62D, V68A, N76D, S87N, G97N, S99SE, S101 G, S101 R, S103A, V104A, V104I, V104N, V104Y, S106A, H120D, H120N, N123S, G159D, Y167A, R170S, R170L, A194P, N204D, V205I, Q206E, L217D, N218S, N218D, M222S, M222A, T224S, A232V, K235L, Q236H, Q245R, N248D, N252K, T274A, S101G+V104N, S87N+S101G+V104N, K27R+V104Y+N123S+T274A, N76D+S103A+V104I,
S99D+S101R+S103A+V104I+G160S,
S3T+V4I+S99D+S101R+S103A+V104I+G160S+V199M+V205I+L217D,
S3T+V4I+S99D+S101R+S103A+V104I+G160S+A194P+V199M+V205I+L217D, S3T+V4I+S99D+S101R+S103A+V104I+G160S+V205I 及び N76D+V104Aを含んで成る請求項1記載のサブチラーゼ変異体。
【請求項14】
次の置換:
S101G+S103A+V104I+G159D+A232V+Q236H+Q245R+N248D+N252K
を含んで成る請求項1記載のサブチラーゼ変異体。

【図1】
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【公開番号】特開2012−125253(P2012−125253A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−62381(P2012−62381)
【出願日】平成24年3月19日(2012.3.19)
【分割の表示】特願2008−519797(P2008−519797)の分割
【原出願日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(500586299)ノボザイムス アクティーゼルスカブ (164)
【Fターム(参考)】