説明

サブミクロン重合体粒子及びこれを備えた絶縁被覆導電粒子

【課題】単分散性に優れ、かつ、シランカップリング剤又はそれをオリゴマー化したシリコーンオリゴマーにより表面処理可能なサブミクロン重合体粒子を提供すること、及び、これにより絶縁被覆された絶縁被覆導電粒子を提供すること。
【解決手段】重合性モノマは溶解するが生成するポリマは溶解しない媒体中、分散安定剤の非存在下、(A)二重結合及び加水分解性シリル基を有する重合性モノマと、(B)親水性官能基を有する重合性モノマとを重合させることにより得られるサブミクロン重合体粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サブミクロン重合体粒子及びこれを性に優れ備えた絶縁被覆導電粒子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
重合体粒子は、例えば、塗料や、インキ粘着剤用、接着剤用、人工大理石用等の添加剤、紙処理剤用、化粧品用等の充填材、クロマトグラフィーのカラム充填材、静電荷像現像に使用されるトナー用の添加剤、フィルム用のアンチブロッキング剤、及び、光拡散剤等の用途で使用されている。特に、粒径が1μm以下になると表面積の増大に伴い特異な光学性能が発現することからも種々の用途でその利用価値は高まっている。
【0003】
粒径が1μm以下となる重合体粒子の製造方法としては、乳化重合、ソープフリー乳化重合等が知られている。この方法では、水媒体中、非水溶性重合性ビニル系モノマを水溶性重合開始剤の存在下で重合させることで、容易に粒径が0.01〜1μmの重合体粒子が得られることが知られている。上記のような粒子をフィラー等として樹脂中で使用する場合、耐溶剤性(架橋度)や樹脂又は溶剤中での分散性を向上させるために表面処理のし易さが要求される。
【0004】
ところで、上記のような乳化重合やソープフリー乳化重合で、エチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン等の架橋性モノマを重合させた場合、凝集を誘発しやすく、粒径の単分散性が低下する。そのため、架橋度が高く、単分散性を有するサブミクロン重合体粒子を合成することは困難であった(例えば、非特許文献1)。また、粒子が架橋三次元構造を有さない場合には耐熱性や耐溶剤性に劣り、熱膨張係数が大きい等使用範囲が著しく限定される。
【0005】
一方、粒子架橋度を向上させる方法としてシリル基を有するビニル単量体を含むビニル単量体を原料とし、高分子の分散安定剤の存在下で分散重合を行うことにより粒子を得た後、粒子内のシリル基を加水分解することにより架橋構造を有する粒子を得る方法が報告されている(例えば、特許文献1,2)。
【0006】
また、高分子分散安定剤を使用しない重合法として沈殿重合が報告されている(例えば特許文献3,4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−319412号公報
【特許文献2】特表2007−537570号公報
【特許文献3】特開2006−282772号公報
【特許文献4】特許3111815号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Journal of Applied PolymerScience, 1996, Vol61,485-493。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
分散安定剤とは、粒子を合成する際に溶媒中に事前に添加しておくことによって、粒子の凝集を防止することができる化合物である。具体的には、高分子の分散安定剤、乳化剤等が挙げられる。分散重合を行う場合、高分子の分散安定剤が使用され、特許文献1のようにミクロン粒子が得られることが一般的である。また、サブミクロン粒子を得るためには特許文献2のように重合性モノマに対し過剰の高分子の分散安定剤を添加する必要があるため、その除去が困難となり、粒子の単分散性、物性に影響を与える。さらに、高分子の分散剤が粒子表面に残存し、粒子の耐水性が悪化する上に、合成時に使用しているシリル基を有する単量体由来のアルコキシ基、シラノール基が有効に機能しないため、シランカップリング剤等により表面処理を行うことが困難となるという欠点がある。
【0010】
分散安定剤として乳化剤による乳化重合を行なった場合、サブミクロン粒子は得られるが、分散重合と同様に乳化剤の除去が困難となるため、使用用途での物性に影響を与える。また、溶媒に水を使用するため、二重結合と加水分解性シリル基を有する重合性モノマを使用した場合、ラジカル重合と脱水縮合が併発し、凝集が起き易くなり、粒子の単分散性に影響を与える問題が発生していた。さらに、生成する粒子は脱水縮合による架橋が進行するため、合成後における架橋度の調整が困難となる。
【0011】
また、特許文献4においてはサブミクロン架橋粒子が得られているが、これをフィラーとして使用する場合、シリル基を有していないため、シリコーン等を用いた簡便な疎水化処理が困難である。そのため、樹脂中への分散が困難になるといった問題がある。反応性官能基としてカルボキシル基を有する製造例が示されているが、カルボキシル基を変性する場合、変性に時間を要するといった問題もある。
【0012】
ところで、導電粒子を絶縁被覆する絶縁被覆用粒子として、アクリル粒子、シリカ粒子が主に用いられている。アクリル粒子を絶縁被覆用粒子として用いた場合、アクリル粒子が柔軟であるため導通性が良好となるが、粒子の架橋度が低いために耐溶剤性が悪く、また、熱膨張係数が大きいために異方導電性フィルムに使用した際の導通信頼性が悪い。これに対し、シリカ粒子を絶縁被覆用粒子として用いた場合は、高弾性であり、変形が起きないため絶縁性が良好である。しかし、異方導電性フィルムを低圧実装する際には、導通性が悪くなる。
【0013】
そこで本発明は、単分散性に優れ、かつ、シランカップリング剤又はそれをオリゴマー化したシリコーンオリゴマーにより表面処理可能なサブミクロン重合体粒子を提供すること、及び、これにより絶縁被覆された絶縁被覆導電粒子を提供することを目的とする。当該サブミクロン重合体粒子は、シリル基を有する重合性モノマを含有する重合性モノマを重合した後、シリル基を加水分解することにより粒子内が架橋されて耐溶剤性に優れたものとなる。また粒子表面のシリル基は加水分解後、シラノール基となるため、該シラノール基がシリコーンオリゴマーで処理されることで、疎水性が向上し、これにより絶縁被覆された絶縁被覆導電粒子の絶縁信頼性が向上する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、(A)二重結合及び加水分解性シリル基を有する重合性モノマと、(B)親水性官能基を有する重合性モノマとを重合させることにより得られ、(A)二重結合及び加水分解性シリル基を有する重合性モノマが、全重合性モノマ中で15〜70mol%を占めるサブミクロン重合体粒子を提供する。
【0015】
また、本発明は、(A)二重結合及び加水分解性シリル基を有する重合性モノマと、(B)親水性官能基を有する重合性モノマと、(C)(メタ)アクリル基を有する重合性モノマとを重合させることにより得られ、(A)二重結合及び加水分解性シリル基を有する重合性モノマが、全重合性モノマ中で15〜70mol%を占めるサブミクロン重合体粒子を提供する。
【0016】
上記いずれのサブミクロン重合体粒子も、単分散性に優れ、かつ、シランカップリング剤又はそれをオリゴマー化したシリコーンオリゴマーにより表面処理可能である。より具体的には、(A)二重結合及び加水分解性シリル基を有する重合性モノマが共重合されるため、サブミクロン重合体粒子を合成後、粒子表面又は粒子内部のシラノール基、アルコキシ基が有効に機能して粒子内を架橋することができ、耐溶剤性、耐熱性、熱による膨張を防止することが可能となる。さらに、加水分解の程度により粒子の硬さを調整することも可能である。また、(B)親水性官能基を有する重合性モノマを用いることにより高分子分散安定剤や乳化剤を使用することなく単分散粒子を合成することが可能となる。また、(C)(メタ)アクリル基を有する重合性モノマを重合性モノマとして含有させる場合は、重合速度が高まり、重合時の粒子生成核数が増加し、粒径をサブミクロンと呼ばれる大きさにまで低下させることがより容易となる。なお、サブミクロンの粒子群とは、平均粒径が1μm未満の粒子群を意味する。
【0017】
上記重合反応は、分散安定剤の非存在下で行われることが好ましい。
【0018】
上記サブミクロン重合体粒子の合成において、(B)親水性官能基を有する重合性モノマが、全重合性モノマ中で30mol%以上を占めることが好ましい。これにより、粒子の凝集防止、粒子としての析出性を向上させることが可能となる。
【0019】
上記サブミクロン重合体粒子の合成において、(A)二重結合及び加水分解性シリル基を有する重合性モノマは、下記一般式(1)で示される構造を有するものであることが好ましい。
【化1】


(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、及び、炭素数6〜10のアラルキル基からなる群から選ばれる炭化水素基を示し、Xは炭素数1〜4のアルコキシ基、又は、ハロゲン原子を示し、nは1〜3の整数を示す。)
【0020】
特に、(A)二重結合及び加水分解性シリル基を有する重合性モノマが、二重結合を含む部分構造として(メタ)アクリル基を有するものであることが好ましい。
【0021】
また、本発明のサブミクロン重合体粒子は、粒子表面又は粒子内部に加水分解性シリル基又はシラノール基を有することが好ましい。これにより、サブミクロン重合体粒子に対するシランカップリング剤等を用いた表面処理が容易となる。
【0022】
また、本発明のサブミクロン重合体粒子は、平均粒径が1μm以下、かつ、粒径の変動係数(C.V.)が10%以下であることが好ましい。平均粒径が1μm以下であることにより、サブミクロン重合体粒子を、塗料や、インキ粘着剤用、接着剤用、人工大理石用等の添加剤、紙処理剤用、化粧品用等の充填材、クロマトグラフィーのカラム充填材、静電荷像現像に使用されるトナー用の添加剤、フィルム用のアンチブロッキング剤、及び、光拡散剤等の用途に好適に使用することができる。また、粒径の変動係数(C.V.)が10%以下であると、当該用途への使用に、より適している。
【0023】
また、本発明のサブミクロン重合体粒子の合成において、媒体中の溶存酸素量を1mg/L以下として重合性モノマを重合させることにより、ロット間の粒径の変動係数(C.V.)を5%以下にすることがより容易となる。
【0024】
また、本発明は、上記サブミクロン重合体粒子と、サブミクロン重合体粒子によって表面の少なくとも一部が被覆された導電性を有する基材粒子とを備える絶縁被覆導電粒子を提供する。この絶縁被覆導電粒子は、サブミクロン重合体粒子により基材粒子に耐溶剤性、導通信頼性が付与されたものである。重合時の架橋度を調整することにより、例えば回路接続に用いた場合に、導電粒子の導通性と絶縁性の両立が可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、単分散性に優れ、かつ、シランカップリング剤又はそれをオリゴマー化したシリコーンオリゴマーにより表面処理可能なサブミクロン重合体粒子を提供することができる。また、このサブミクロン重合体粒子により絶縁被覆された絶縁被覆導電粒子を提供することができる。また、サブミクロン重合体粒子の粒子内部はシリル基同士の脱水縮合により高度に架橋されるため、耐溶剤性に優れたものとなる。さらに、その粒子表面がシリコーンオリゴマーで処理されることで疎水性が向上し、これにより絶縁被覆された絶縁被覆導電粒子の絶縁信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】絶縁被覆導電粒子の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図2】異方導電性材料の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図3】回路電極同士が接続された接続構造体の一例を模式的に示す断面図である。
【図4】接続構造体の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。図1に示されるように、本実施形態のサブミクロン重合体粒子1は、基材粒子2の表面を被覆して絶縁被覆導電粒子10を構成するものである。以下、それぞれの構成について説明する。
【0028】
<サブミクロン重合体粒子>
サブミクロン重合体粒子(以下、絶縁被覆用粒子ともいう。)は有機高分子からなる絶縁性粒子であり、(A)二重結合及び加水分解性シリル基を有する重合性モノマと、(B)親水性官能基を有する重合性モノマとを重合させることにより得られ、(A)二重結合及び加水分解性シリル基を有する重合性モノマが、全重合性モノマ中で15〜70mol%を占めるものである。
【0029】
[(A)二重結合及び加水分解性シリル基を有する重合性モノマ]
(A)二重結合及び加水分解性シリル基を有する重合性モノマにおいて、加水分解性シリル基とは下記の構造を有するものである。
【化2】


式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜10のアラルキル基からなる群から選ばれる炭化水素基を示す。Xは、例えば−OCH、−OC等のアルコキシ基、−Cl、−Br等のハロゲン原子等の加水分解可能な基である。nは1〜3の整数を示す。また、二重結合とは、ラジカル重合可能な二重結合である。
【0030】
二重結合及び加水分解性シリル基を有する重合性モノマを具体的に例示すれば、γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ―メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ―メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ―アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ―メタクリロキシプロピルビス(トリメトキシ)メチルシラン、11―メタクリロキシウンデカメチレントリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4―ビニルテトラメチレントリメトキシシラン、8―ビニルオクタメチレントリメトキシシラン、3―トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、ビニルトリアセトキシシラン、p―トリメトキシシリルスチレン、p―トリエトキシシリルスチレン、p―トリメトキシシリル−α―メチルスチレン、p―トリエトキシシリル−α―メチルスチレン、γ―アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β(N−ビニルベンジルアミノエチル−γ―アミノプロピル)トリメトキシシラン・塩酸塩等がある。中でも、二重結合を含む部分構造として(メタ)アクリル基を有するものが二重結合及び加水分解性シリル基を有する重合性モノマとして好ましい。
【0031】
(A)二重結合及び加水分解性シリル基を有する重合性モノマは、架橋性又は、サブミクロン重合体粒子の粒子表面にシラノール基を導入する観点から、全重合性モノマ中で、15〜60mol%を占めることが好ましく、15〜50mol%を占めることがより好ましい。
【0032】
[(B)親水性官能基を有する重合性モノマ]
(B)親水性官能基を有する重合性モノマの親水性官能基としては、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、チオール基、カルボニル基、エーテル基、シアノ基、アミド基、スルホ基、リン酸基、第4級アンモニウム(塩)基、アルキレンオキサイド基等が挙げられる。なお、重合性モノマには、上記親水性官能基が1種が単独で存在していてもよく、2種以上が混在していてもよい。このような親水性官能基を有する重合性モノマとしては、例えば、下記のものが挙げられる。以下の説明において「C」は炭素原子を意味する。
【0033】
(1)アミノ基含有重合性モノマ
アクリル酸アミノエチル、アクリル酸−N−プロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N−エチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸−N−フェニルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N−シクロヘキシルアミノエチル等のアミノ基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル誘導体、アリルアミン、N−メチルアリルアミン等のアリルアミン系誘導体、p−アミノスチレン等のアミノ基含有スチレン誘導体、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン等のトリアジン誘導体等が挙げられる。これらの中でも1級又は2級アミノ基を有する化合物が好ましい。なお、これらの化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
(2)カルボキシル基含有重合性モノマ
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸、イタコン酸モノブチル等のイタコン酸モノC1〜8アルキルエステル、マレイン酸モノブチル等のマレイン酸モノC1〜8アルキルエステル、ビニル安息香酸等のビニル基含有芳香族カルボン酸等の各種カルボキシル基含有単量体及びこれらの塩等が挙げられる。なお、これらの化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
(3)水酸基含有重合性モノマ
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル系単量体、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリル系単量体、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル系単量体、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル等の水酸基含有アリル単量体等が挙げられる。なお、これらの化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
(4)チオール(メルカプト)基含有重合性モノマ
(メタ)アクリル酸2−メルカプトエチル、(メタ)アクリル酸2−メルカプト−1−カルボキシエチル、N−(2−メルカプトエチル)アクリルアミド、N−(2−メルカプト−1−カルボキシエチル)アクリルアミド、N−(2−メルカプトエチル)メタクリルアミド、N−(4−メルカプトフェニル)アクリルアミド、N−(7−メルカプトナフチル)アクリルアミド、マレイン酸モノ2−メルカプトエチルアミド等が挙げられる。
【0037】
(5)カルボニル基含有重合性モノマ
ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等が挙げられる。なお、これらの化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる

【0038】
(6)エーテル基含有重合性モノマ
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル系単量体が挙げられる。
【0039】
(7)シアノ基含有重合性モノマ
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ヘキセンニトリル、4−ペンテンニトリル、p−シアノスチレン等が挙げられる。なお、これらの化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
(8)アミド基含有重合性モノマ
(メタ)アクリルアミド、α−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル−p−スチレンスルホンアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。なお、これらの化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
(9)スルホ基含有重合性モノマ
エチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸等のアルケンスルホン酸、スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸等の芳香族スルホン酸、C1〜10アルキル(メタ)アリルスルホコハク酸エステル、スルホプロピル(メタ)アクリレート等のスルホC2〜6アルキル(メタ)アクリレート、メチルビニルスルホネート,2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有不飽和エステル及びこれらの塩等が挙げられる。
【0042】
(10)リン酸基含有重合性モノマ
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルリン酸モノエステル、ビニルリン酸等のリン酸基含有不飽和エステル及びこれらの塩等が挙げられる。なお、これらの化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
(11)第4級アンモニウム(塩)基含有重合性モノマ
C1〜12アルキルクロライド、ジアルキル硫酸、ジアルキルカーボネート、ベンジルクロライド等の4級化剤により、3級アミンを4級化したものが挙げられる。具体例としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルモルホリノアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリレート系第4級アンモニウム塩、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリルアミド系第4級アンモニウム塩、ジメチルジアリルアンモニウムメチルサルフェート、トリメチルビニルフェニルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウム(メタ)アクリレート、トリメチルベンジルアンモニウム(メタ)アクリレート、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムジメチルホスフェート等が挙げられる。なお、これらの化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0044】
(12)アルキレンオキサイド基含有重合性モノマ
(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリル系単量体、メトキシ(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルコキシ(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリル系単量体等が挙げられる。なお、これらの化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0045】
以上のような重合性モノマの中でも、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基及びアルキレンオキサイド基のいずれかの重合性モノマが好ましく、特に、水酸基、カルボキシル基及びエチレンオキサイド基のいずれかの官能基を有する重合性モノマがより好ましい。これらの官能基を用いることで、溶液中で得られる粒子同士の反発が強くなるため、分散系の安定性が高くなり、より一層単分散性を向上できるとともに、耐熱性、耐薬品性、反応性、溶液分散性及び粉体分散性、機械的特性等に優れた重合体粒子を得ることができる。
【0046】
さらに、親水性官能基を有する重合性モノマは、水溶性の化合物が好適である。水溶性単量体を用いることで、単分散性をさらに向上させることが可能である。また、得られる架橋性ポリマ微粒子を水又は水系媒体に容易に単分散させることができる。
【0047】
また、粒子の分散安定性、及び、粒子として析出させる観点からは、親水性官能基を有する重合性モノマは、全重合性モノマ中で30mol%以上を占めることが好ましく、30〜50%を占めることがより好ましい。
【0048】
[その他の重合性モノマ]
本発明においては、上記(A)二重結合及び加水分解性シリル基を有する重合性モノマ及び(B)親水性官能基を有する重合性モノマに加え、これらと共重合可能な重合性モノマを併用することもできる。
【0049】
例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、α−クロロアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、アクリル酸トリフルオロエチル、アクリル酸テトラフルオロプロピル等のフッ化アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
【0050】
また、その他の重合性モノマとして、不飽和2重結合を2つ以上有する重合性モノマも併用することができる。具体例として、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコール系ジ(メタ)アクリレート;1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,7−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオール系ジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリアクリレート、が挙げられる。
【0051】
なお、製品名としては新中村化学工業(株)製のNKエステル[A−TMPT−6P0、A−TMPT−3E0、A−TMM−3LMN、A−GLYシリーズ、A−9300、AD−TMP、AD−TMP−4CL、ATM−4E、A−DPH]等が挙げられる。また、上記「その他の重合性モノマ」は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0052】
上記「その他の重合性モノマ」の中でも、(C)(メタ)アクリル基を有する重合性モノマを使用することが好ましい。これにより、重合速度が高まり、重合時の粒子生成核数が増加し、粒径をサブミクロンと呼ばれる大きさにまで低下させることがより容易となる。
【0053】
また、上記「その他の重合性モノマ」は、サブミクロン重合体粒子の合成において、全重合性モノマ中で50mol%以下を占めることが好ましく、30mol%以下を占めることがより好ましい。
【0054】
[重合開始剤]
サブミクロン重合体粒子の合成においては、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、公知のラジカル重合開始剤から適宜選択して用いることができる。油溶性開始剤の具体例としては、過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスメチルブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物等が挙げられる。親水性官能基、活性水素基を有する重合性開始剤の具体例としては2’−アゾビス{2−[N−(2−カルボキシエチル)アミジノプロパン、2,2’−アゾビス[2−(フェニルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−545、和光純薬製)、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−クロロフェニル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−546、和光純薬製)、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−ドロキシフェニル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−548、和光純薬製)、2,2’−アゾビス[2−(N−ベンジルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−552、和光純薬製)、2,2’−アゾビス[2−(N−アリルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−553、和光純薬製)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(V−50、和光純薬製)、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−ヒドロキシエチル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−558、和光純薬製)、2,2−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−041、和光純薬製)、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−044、和光純薬製)、2,2−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−054、和光純薬製)、2,2−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−058、和光純薬製)、2,2−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−059、和光純薬製)、2,2−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−060、和光純薬製)、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン](VA−061、和光純薬製)、ペルオキソ二硫酸カリウム(和光純薬製)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム(和光純薬製)が挙げられる。また高分子アゾ開始剤としてポリジメチルシロキサンユニット含有高分子アゾ重合開始剤(VPS−1001、和光純薬製)、ポリエチレングリコールユニット含有高分子アゾ重合開始剤(VPE−0201,VPE−0401,VPE−0601、和光純薬製)等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、上記ラジカル重合開始剤の配合量は、通常、重合性モノマ100質量部に対して、0.1〜50質量部である。
【0055】
[サブミクロン重合体粒子の合成]
サブミクロン重合体粒子の合成は、重合性モノマは溶解するが生成するポリマは溶解しない媒体中で行うことが好ましく、分散安定剤の非存在下で行うこともできる。合成用媒体(溶媒)としては、重合性モノマは溶解するが生成するポリマ(微粒子)は溶解しない媒体であれば特に限定されるものではなく、一般的な溶媒の中から、使用する原料等に応じて適宜なものを選択すればよい。使用可能な溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチルブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、(アルキル)セロソルブアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のエステル類;ペンタン、2−メチルブタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、デカン、ノナン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p−メンタン、ジシクロヘキシル、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の脂肪族又は芳香族炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、テトラブロムエタン等のハロゲン化炭化水素類;エチルエーテル、ジメチルエーテル、トリオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;メチラール、ジエチルアセタール等のアセタール類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の脂肪酸類;ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ジメチルアミン、モノエタノールアミン、ピリジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリドン等の硫黄、窒素含有有機化合物類等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、中でもアセトニトリルを使用することが、粒径の制御、分散性の点で好ましい。
【0056】
反応溶液中における、重合性モノマの含有量(濃度)は、全反応溶液中1〜50質量%とすることが好ましく、より好ましくは2〜30質量%、さらに好ましくは3〜20質量%、最良は3〜15質量%である。本発明の架橋球状ポリマ微粒子の製造方法では、従来法のように、反応系中のモノマ量を多くしても粒子の凝集物が極端に増大することはないが、原料モノマの含有量が、50質量%を超えると、粒子を単分散化した状態で高収率で得ることが困難になる。一方、1質量%未満であると、反応が完結するまでに長時間を要し、また工業的観点から、実用的ではない。
【0057】
重合時の反応温度は、使用する溶媒の種類によっても変わるものであり、一概には規定できないが、通常、好ましくは10〜200℃程度であり、より好ましくは30〜130℃、更に好ましくは40〜90℃である。また、反応時間は、目的とする反応がほぼ完結するのに要する時間であれば特に限定されるものではなく、モノマ種及びその配合量、官能基の種類、溶液の粘度、その濃度並びに目的の粒子径等に大きく左右されるが、例えば、40〜90℃の場合、1〜72時間、好ましくは2〜24時間程度である。なお、得られた粒子は、シード重合することでコア−シェル構造を有するものや、その他の反応性官能基等を導入した複合粒子とすることもでき、その用途等に応じて、適宜な形態とすることができる。
【0058】
[粒子硬化触媒]
上記方法によって得られる重合体粒子は加水分解性シリル基を含有するため、酸又はアルカリによって加水分解すると該シリル基はシラノール基となり、シラノール基相互反応してシラン架橋を生成する。この際用いられる酸としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、蟻酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸等、トリクロロ酢酸等の有機酸があり、アルカリとしては水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア、アミン等がある。また、マレイン酸ジ−n−ブチル錫、ラウリン酸−n−ジブチル錫等の錫系触媒を加えて架橋を進行させる。硬化触媒は架橋後、遠心分離による洗浄により除去されることが好ましい。触媒の添加は、粒子合成後、遠心分離後であってもよい。望ましくは遠心分離後に硬化触媒を添加する。
【0059】
[平均粒径、粒径の変動係数(C.V.)]
平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)にて粒子径を100個観察した平均値である。粒径の変動係数(C.V.)は以下の式(1)を用いて算出される。
C.V.={(粒径の標準偏差)/(平均粒径)}×100(%) ・・・(1)
【0060】
粒径は1μm以下であることが好ましく、最も好ましくは500nm以下である。粒径の変動係数(C.V.)は10%以下であることが特性の向上に好ましく、より好ましくは7%以下、最も好ましくは5%以下である。
【0061】
[ロット間粒径の変動係数(C.V.)]
同じ実験を5回ロット合成し、ロット間の粒径の変動係数(C.V.)を算出した。ロット間粒径C.V.は以下の式(2)を用いて算出される。
ロット間粒径の変動係数(C.V.)={(ロット間粒径の標準偏差)/(ロット間平均粒径)}×100 ・・・(2)
【0062】
[溶存酸素量]
溶存酸素量は、サブミクロン重合体粒子の合成における重合溶媒中に溶存している酸素量である。溶存酸素量が低い場合、溶存酸素による重合阻害を防止できるためロット間の粒径の変動係数(C.V.)を低下することができる。好ましくは2mg/L以下であり、更に好ましくは1mg/L以下、最も好ましくは0.1mg/L以下である。
【0063】
[シリコーンオリゴマー処理]
絶縁被覆用粒子がその表面にシラノール基を有する場合、シランカップリング剤又はシランカップリング剤をオリゴマー化したシリコーンオリゴマーにより処理することによって、後述する絶縁被覆導電粒子の絶縁信頼性を向上することができる。また、粒子表面への反応のし易さから上記シランカップリング剤をシリコーンオリゴマー化して使用することが好ましい。シリコーンオリゴマーは、縮合反応により予め3次元架橋されていることが好ましい。また、シリコーンオリゴマーは、疎水性基と、シリカ等の無機材料と反応する官能基とを有していることが好ましい。
【0064】
シリコーンオリゴマーは、一般に、下記各化学式で表される構造を有するシロキサン単位から構成される。
【0065】
【化3】

【0066】
式中、R及びRはそれぞれ独立に疎水性基を示す。R及びRは、メチル基及びエチル基のような炭素数1又は2のアルキル基、フェニル基等の炭素数6〜12のアリール基、又はビニル基であることが好ましい。R及びRはそれぞれ独立にメチル基又はフェニル基であることがより好ましい。なお、R及びRは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0067】
シリコーンオリゴマーの重合度は、通常3以上であり、好ましくは5以上、より好ましくは6以上、さらに好ましくは10以上である。また、シリコーンオリゴマーの重合度は、通常90以下であり、好ましくは80以下、より好ましくは70以下、さらに好ましくは50以下である。重合度が大きくなると、表面処理の際に処理むらが起こり易くなり、信頼性が低下することがある。また、重合度が小さいと十分な厚みでシリコーンオリゴマーが付着し難くなる傾向がある。
【0068】
シリコーンオリゴマーの重合度は、GPC測定によって求められる標準ポリスチレン換算の重量平均分子量に基づいて以下の式(3)により算出される。
重合度=重量平均分子量/シロキサン単位の分子量 ・・・(3)
なお、シリコーンオリゴマー中に複数種のシロキサン単位が含まれる場合、それらの平均値によって重合度が計算される。
【0069】
3次元架橋されたシリコーンオリゴマーは、一般に、RSiO3/2で表される3官能性のシロキサン単位、及びSiO4/2で表される4官能性のシロキサン単位のうち少なくとも一方を含む。例えば、シリコーンオリゴマーは、RSiO2/2で表される2官能性のシロキサン単位及びSiO4/2で表される4官能性のシロキサン単位を含んでいてもよいし、RSiO2/2で表される2官能性のシロキサン単位及びRSiO3/2で表される3官能性のシロキサン単位を含んでいてもよい。
【0070】
シロキサンオリゴマーは、全シロキサン単位を基準として、4官能性のシロキサン単位を15モル%以上含むことが好ましく、20〜60モル%含むことがより好ましい。
【0071】
シリコーンオリゴマーは、例えば、所望のシロキサン単位に対応するクロロ又はアルコキシシランを、水の存在下、酸触媒を用いて縮合させる方法により合成することができる。縮合反応は、シリコーンオリゴマーをサブミクロン重合体粒子に付着させる前にゲル状態とならない程度に行う。このためには、反応温度、反応時間、オリゴマーの組成比、触媒の種類や量を変えて調整する。触媒としては、酢酸、塩酸、マレイン酸、リン酸等が好ましく用いられる。
【0072】
シリコーンオリゴマーは、サブミクロン重合体粒子に付着するとともに、その一部が導電粒子にも付着している場合が多い。絶縁被覆導電粒子全体におけるシリコーンオリゴマーの付着量は、サブミクロン重合体粒子の質量を基準として好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.05〜5.00質量%である。この付着量が0.01質量%未満であると界面接着性向上の効果は得にくくなる傾向があり、10質量%を超えると耐熱性等が低下する可能性がある。
【0073】
<基材粒子>
基材粒子は、その表面が導電性を有する金属からなり、導電粒子として機能するものである。この場合、図1に示されるように、基材粒子2は無機化合物や有機化合物からなる球状芯材粒子2aの表面に導電性を有する金属の層2bがめっき等で形成されたものでもよく、導電性を有する金属のみからなる金属粒子であってもよい。なかでも、有機化合物からなる球状芯材粒子の表面に導電性の金属層が形成されたものは、基板間を導電接続する際の圧着時に変形して接合面積を増やすことができることから、接続安定性の点で好ましい。
【0074】
上記導電性を有する金属としては特に限定されず、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、パラジウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、カドミウム等の金属や、ITO、ハンダ等の金属化合物からなるもの等が挙げられる。
【0075】
上記金属層は、単層構造であってもよく、複数の層からなる積層構造であってもよい。積層構造からなる場合には、最外層は金、パラジウム、ニッケルからなることが好ましい。最外層を金からなるものにすることにより、耐食性が高く接触抵抗も小さいので、得られる被覆粒子は更に優れたものとなる。
【0076】
金属層を形成する方法としては、無電解めっきの他、置換めっき、電気めっき、スパッタリング等の方法がある。金属層の厚みは特に限定されないが、0.005〜1.0μmの範囲が好ましく、0.01〜0.3μmの範囲がより好ましい。金属層の厚みが0.005μm未満だと導通不良を起こし易い傾向があり、1.0μmを超えるとコスト面で好ましくない傾向がある。
【0077】
上記金属層の最外層に金層を形成する方法としては特に限定されず、例えば、無電解メッキ、置換メッキ、電気メッキ、スパッタリング等の既知の方法等が挙げられる。
【0078】
上記金属層の厚みとしては特に限定されないが、好ましい下限は0.005μm、好ましい上限は2μmである。0.005μm未満であると、導電層としての充分な効果が得られないことがあり、2μmを超えると、得られる絶縁被覆導電粒子の比重が高くなりすぎたり、有機化合物からなる球状芯材粒子の硬さがもはや充分変形できる硬度ではなくなったりすることがある。より好ましい下限は0.01μm、より好ましい上限は1μmである。
【0079】
また、上記金属層の最外層を金層とする場合には、金層の厚みの好ましい下限は0.001μm、好ましい上限は0.5μmである。0.001μm未満であると、均一に金属層を被覆することが困難になり耐食性や接触抵抗値の向上効果が期待できないことがあり、0.5μmを超えると、その効果の割には高価である。より好ましい下限は0.01μm、より好ましい上限は0.3μmである。
【0080】
上記基材粒子が球状芯材粒子の表面に上記導電性を有する金属の層が形成されている場合、上記球状芯材粒子としては特に限定されず、例えば、均一な組成からなる粒子や、複数の原料が層状に構成された多層構造の粒子等が挙げられる。なかでも、基材粒子に機械的特性や電気的特性等の種々の特性を付与したい場合には、多層構造の粒子が好適である。
【0081】
基材粒子の平均粒径は、通常、基板の電極の最小の間隔よりも小さく、また、電極の高さばらつきがある場合は、高さばらつきよりも大きいことが好ましい。電極の高さばらつきとは、電極の最大高さと最小高さの差のことをいう。基材粒子の平均粒径は1〜10μmの範囲が好ましく、2.5〜5μmの範囲がより好ましい。1μmより小さいと導通不良の原因となる傾向があり、10μmより大きいと絶縁不良の原因となる傾向がある。
【0082】
上記球状芯材粒子を構成する材料は特に限定されず、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂等が挙げられる。
【0083】
<絶縁被覆導電粒子>
本実施形態の絶縁被覆導電粒子は、上記基材粒子の表面が上記絶縁被覆用粒子(サブミクロン重合体粒子)で被覆されてなるものである。ここで、絶縁被覆用粒子は、その表面積の20%以下が上記基材粒子の表面と接触していることが好ましい。接触する表面積が20%を超えると、上記絶縁被覆用粒子の変形が大きく、得られる被覆導電粒子の大きさが不均一となる傾向がある。なお、下限については特に限定されず、絶縁被覆用粒子と基材粒子とが、例えば鎖長の長いポリマ等により結ばれている場合には、実質的に0%であってもよい。
【0084】
本実施形態の絶縁被覆導電粒子は、上記基材粒子の表面積の5%以上が上記絶縁被覆用粒子により被覆されていることが好ましい。被覆された表面積が5%未満であると、絶縁被覆導電粒子の絶縁性を確保できなことがある。また、絶縁被覆導電粒子が異方導電性材料に用いられる場合、絶縁被覆用粒子の被覆密度の好ましい下限は5%、好ましい上限は60%である。これが5%未満であると、隣接粒子間で基材粒子の金属表面が接触して横方向のリークが起こりやすくなり、60%を超えると、充分な導通性を確保することができなくなるおそれがある。なお、上記基材粒子表面の絶縁被覆用粒子による被覆率は、絶縁被覆用粒子の添加量(濃度)、基材粒子表面に導入する官能基の量(密度)、反応溶媒の種類等によって制御可能である。
【0085】
上記基材粒子表面の絶縁被覆用粒子による被覆率は以下の式(4)により算出される値である。
被覆率(%)={(基材粒子表面の絶縁被覆用粒子で覆われている部分の面積)/(基材粒子の全表面積)}×100 ・・・(4)
【0086】
絶縁被覆導電粒子は、乾式のハイブリダイゼーション又は湿式のヘテロ凝集によって作製することができる。被覆率、粒子間距離制御の観点より湿式のヘテロ凝集を用いることが好ましい。湿式のヘテロ凝集を利用する方法としては、粒子同士の共有結合、静電引力を使用する方法が用いられる。絶縁被覆用粒子の脱落防止のために共有結合を利用することが好ましい。被覆率は導電粒子と絶縁被覆用粒子の割合を適宜調整することにより調整することができる。また、共有結合の形成が遅い場合、溶媒を加熱することにより共有結合の形成を促進することが可能である。
【0087】
このような絶縁被覆導電粒子は、半導体素子等の小型電機部品を基板に電気的に接続したり、基板同士を電気的に接続したりするためのいわゆる異方導電性材料として用いることができる。
【0088】
<異方導電性材料>
絶縁被覆導電粒子を絶縁性のバインダー樹脂中に分散させることによって、接着剤組成物を調製することができる。そして、この接着剤組成物は、異方導電性材料(回路接続材料)として使用することができる。異方導電性材料は、フィルム状に成形して異方導電性フィルムを使用してもよい。図2に示す異方導電性フィルム50は、絶縁性のバインダー樹脂20に導電粒子10を分散させた接着剤組成物を、フィルム状に成形したものである。
【0089】
<接続構造体>
図3に示す接続構造体100は、相互に対向する第1の回路部材30及び第2の回路部材40を備えており、第1の回路部材30と第2の回路部材40との間には、これらを接続する接続部50aが設けられている。
【0090】
第1の回路部材30は、回路基板(第1の回路基板)31と、回路基板31の主面31a上に形成される回路電極(第1の回路電極)32とを備える。第2の回路部材40は、回路基板(第2の回路基板)41と、回路基板41の主面41a上に形成される回路電極(第2の回路電極)42とを備える。
【0091】
回路部材の具体例としては、ICチップ(半導体チップ)、抵抗体チップ、コンデンサチップ、ドライバーIC等のチップ部品やリジット型のパッケージ基板等が挙げられる。これらの回路部材は、回路電極を備えており、多数の回路電極を備えているものが一般的である。上記回路部材が接続される、もう一方の回路部材の具体例としては、金属配線を有するフレキシブルテープ基板、フレキシブルプリント配線板、インジウム錫酸化物(ITO)が蒸着されたガラス基板等の配線基板が挙げられる。異方導電性フィルム50によれば、これらの回路部材同士を効率的且つ高い接続信頼性をもって接続することができる。したがって、異方導電性フィルム50は、微細な接続端子(回路電極)を多数備えるチップ部品の配線基板上へのCOG実装もしくはCOF実装に好適である。
【0092】
接続部50aは回路接続材料に含まれる絶縁性のバインダー樹脂の硬化物20aと、これに分散している絶縁被覆導電粒子10とを備える。そして、接続構造体100においては、対向する回路電極32と回路電極42とが、絶縁被覆導電粒子10を介して電気的に接続されている。より具体的には、図3に示すとおり、絶縁被覆導電粒子10にあっては、絶縁被覆用粒子1が圧縮により変形し、回路電極32,42の双方に直接接触している。他方、図示横方向は基材粒子2間に絶縁被覆用粒子1が介在することで絶縁性が維持される。従って、異方導電性フィルム50を用いれば、10μmレベルの狭ピッチでの絶縁信頼性を向上させることが可能となる。
【0093】
絶縁性のバインダー樹脂20としては、熱反応性樹脂と硬化剤の混合物が用いられ、具体的には、エポキシ樹脂と潜在性硬化剤との混合物が好ましい。
【0094】
エポキシ樹脂としては、エピクロルヒドリンとビスフェノールAやF、AD等から誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリンとフェノールノボラックやクレゾールノボラックから誘導されるエポキシノボラック樹脂やナフタレン環を含んだ骨格を有するナフタレン系エポキシ樹脂、グリシジルアミン、グリシジルエーテル、ビフェニル、脂環式等の1分子内に2個以上のグリシジル基を有する各種のエポキシ化合物等を単独に又は2種以上を混合して用いることが可能である。
【0095】
これらのエポキシ樹脂は、不純物イオン(Na、Cl等)や、加水分解性塩素等を300ppm以下に低減した高純度品を用いることが好ましい。これによりエレクトロマイグレーションを防止しやすくなる。
【0096】
潜在性硬化剤としては、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミンの塩、ジシアンジアミド等が挙げられる。この他、接着剤には、ラジカル反応性樹脂と有機過酸化物の混合物や紫外線等のエネルギー線硬化性樹脂が用いられる。
【0097】
絶縁性のバインダー樹脂20には、接着後の応力を低減するため、又は接着性を向上するために、ブタジエンゴム、アクリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴム等を混合することができる。
【0098】
接着剤組成物をフィルム状にするためには、フェノキシ樹脂、当該組成物にポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂を配合することが効果的である。これらのフィルム形成性高分子は、反応性樹脂の硬化時の応力緩和にも効果がある。特に、フィルム形成性高分子が、水酸基等の官能基を有する場合、接着性が向上するためより好ましい。 フィルムの形成は、エポキシ樹脂、アクリルゴム、潜在性硬化剤、及びフィルム形成性高分子からなる接着組成物を、有機溶剤に溶解又は分散させることにより、液状化して、剥離性基材(セパレータフィルム)上に塗布し、硬化剤の活性温度以下で溶剤を除去することにより行われる。このとき用いる有機溶剤としては、材料の溶解性を向上させる点において、芳香族炭化水素系と含酸素系の混合溶剤が好ましい。
【0099】
異方導電性フィルム50の厚さは、絶縁被覆導電粒子の粒径及び接着剤組成物の特性を考慮して相対的に決定されるが、1〜100μmであることが好ましい。1μm未満では充分な接着性が得られず、100μmを超えると導電性を得るために多量の絶縁被覆導電粒子を必要とするために現実的ではない。こうした理由から、厚さは3〜50μmであることがより好ましい。
【0100】
<接続構造体の製造方法>
図4は、異方導電性材料を用いて上記接続構造体を製造する工程を概略断面図により示す工程図である。本実施形態では、異方導電性材料を熱硬化させて接続構造体を製造する。
【0101】
先ず、上述した第1の回路部材30と、異方導電性フィルム50を用意する。異方導電性フィルム50は、上記のように絶縁被覆導電粒子10を含有する接着剤組成物からなる。
【0102】
回路接続材料50の厚さは、5〜50μmであることが好ましい。異方導電性フィルム50の厚さが5μm未満であると、第1及び第2の回路電極32,42間に異方導電性フィルム50が充填不足となる傾向がある。他方、50μmを超えると、第1及び第2の回路電極32,42間の導通の確保が困難となる傾向がある。
【0103】
次に、異方導電性フィルム50を第1の回路部材30の回路電極32が形成されている面上に載せる。そして、異方導電性フィルム50を、図4(a)の矢印A及びB方向に加圧し、異方導電性フィルム50を第1の回路部材30に仮接続する(図4(b))。
【0104】
このときの圧力は回路部材に損傷を与えない範囲であれば特に制限されないが、一般的には0.1〜30.0MPaとすることが好ましい。また、加熱しながら加圧してもよく、加熱温度は異方導電性フィルム50が実質的に硬化しない温度とする。加熱温度は一般的には50〜190℃にするのが好ましい。これらの加熱及び加圧は0.5〜120秒間の範囲で行うことが好ましい。
【0105】
次いで、図4(c)に示すように、第2の回路部材40を、第2の回路電極42を第1の回路部材30の側に向けるようにして異方導電性フィルム50上に載せる。そして、異方導電性フィルム50を加熱しながら、図4(c)の矢印A及びB方向に全体を加圧する。
【0106】
このときの加熱温度は、異方導電性フィルム50が硬化可能な温度とする。加熱温度は、60〜180℃が好ましく、70〜170℃がより好ましく、80〜160℃が更に好ましい。加熱温度が60℃未満であると硬化速度が遅くなる傾向があり、180℃を超えると望まない副反応が進行し易い傾向がある。加熱時間は、0.1〜180秒が好ましく、0.5〜180秒がより好ましく、1〜180秒が更に好ましい。
【0107】
異方導電性フィルム50の硬化により接着部50aが形成されて、図3に示すような接続構造体100が得られる。接続の条件は、使用する用途、接着剤組成物、回路部材によって適宜選択される。なお、異方導電性フィルム50における絶縁性のバインダー樹脂20として、光によって硬化するものを使用した場合には、異方導電性フィルム50に対して活性光線やエネルギー線を適宜照射すればよい。活性光線としては、紫外線、可視光、赤外線等が挙げられる。エネルギー線としては、電子線、エックス線、γ線、マイクロ波等が挙げられる。
【0108】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0109】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0110】
[サブミクロン重合体粒子の合成と評価]
<実施例1>
(粒子の合成)
500mlフラスコに下記に示した各化合物を一括して仕込み、窒素(100mL/min)にて1h溶存酸素を置換した後、溶存酸素計(飯島電子工業DoメーターB506)を用いて溶存酸素を測定した所、0.07mg/mLであった。その後、攪拌機を用い、ウォーターバス温度80℃で、約6時間加熱撹拌をして、重合体粒子分散液を得た。
【0111】
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン 15.9g
メタクリル酸 2.5g
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 0.36g
アセトニトリル 350g
【0112】
(粒子の精製と評価)
次に、得られた分散液を遠心分離機を用いて粒子を沈降させ、上澄みを捨てた後、再度アセトニトリルを添加し、粒子を再分散させた。その後、粒子硬化触媒としてアンモニア水溶液(28wt%)を1.76g(粒子の仕込みカルボキシル基量に対して等モル)添加し、粒子を架橋させた。続いて、再度遠心分離にて粒子を沈降させ、上澄みを捨てた後メタノールに粒子を再分散させた。ここまでの一連の実験を5回繰り返し、平均粒径、粒径の変動係数(C.V.)、ロット間の粒径の変動係数(C.V.)を算出した。結果を表1に示す。
【0113】
(粒子のシリコーンオリゴマー処理)
最終的に得られた粒子分散液中にシリコーンオリゴマー(信越化学KR−212)を粒子重量と等量添加し、60℃、2時間撹拌を行った。その後、トルエンを粒子分散液の重量に対し、2倍量添加した後、さらに3倍量の水を添加し、粒子がオリゴマーにより処理され、トルエン層に移行するかどうかを確認した。結果を表1に示す。
【0114】
<実施例2>
500mlフラスコに下記に示した各化合物を一括して仕込み、窒素(100mL/min)にて1h溶存酸素を置換した後、溶存酸素を測定した所、0.07mg/mLであった。その後、攪拌機を用い、ウォーターバス温度80℃で、約6時間加熱撹拌をして、重合体粒子分散液を得た。
【0115】
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン 13.5g
アクリル酸メチル 1.0g
メタクリル酸 4.0g
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 0.36g
アセトニトリル 350g
【0116】
以下、実施例1と同様に粒子の精製、評価、オリゴマー処理を行った。
【0117】
<実施例3>
500mlフラスコに下記に示した各化合物を一括して仕込み、窒素(100mL/min)にて1h溶存酸素を置換した後、溶存酸素を測定した所、0.07mg/mLであった。その後、攪拌機を用い、ウォーターバス温度80℃で、約6時間加熱撹拌をして、重合体粒子分散液を得た。
【0118】
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン 11.9g
アクリル酸メチル 1.1g
メタクリル酸 5.5g
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 0.36g
アセトニトリル 350g
【0119】
以下、実施例1と同様に粒子の精製、評価、オリゴマー処理を行った。
【0120】
<実施例4>
500mlフラスコに下記に示した各化合物を一括して仕込み、窒素(100mL/min)にて1h溶存酸素を置換した後、溶存酸素を測定した所、0.07mg/mLであった。その後、攪拌機を用い、ウォーターバス温度80℃で、約6時間加熱撹拌をして、重合体粒子分散液を得た。
【0121】
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン 7.5g
アクリル酸メチル 4.1g
メタクリル酸 6.9g
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 0.36g
アセトニトリル 350g
【0122】
以下、実施例1と同様に粒子の精製、評価、オリゴマー処理を行った。
【0123】
<実施例5>
実施例1において溶媒の溶存酸素濃度を0.52mg/Lにした以外は同様にして行った。
【0124】
<実施例6>
実施例1において溶媒の溶存酸素濃度を0.98mg/Lにした以外は同様にして行った。
【0125】
<比較例1>
特許文献1の実施例1と同様に高分子分散安定剤の存在下で分散重合により粒子を合成した。高分子分散安定剤として、ポリビニルピロリドンを使用した。得られた粒子について、実施例1と同様に粒子の精製、評価、オリゴマー処理を行った。
【0126】
<比較例2>
特許文献2の実施例3と同様に高分子分散安定剤の存在下で分散重合により粒子を合成した。高分子分散安定剤として、ポリビニルピロリドンを使用した。得られた粒子について、実施例1と同様に粒子の精製、評価、オリゴマー処理を行った。
【0127】
<比較例3>
500mlフラスコに下記に示した各化合物を一括して仕込み、窒素(100mL/min)にて1h溶存酸素を置換した後、溶存酸素を測定した所、0.07mg/mLであった。その後、攪拌機を用い、ウォーターバス温度80℃で、約6時間加熱撹拌をして、重合体粒子分散液を得た。
【0128】
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン 12.4g
ジビニルベンゼン 10.9g
メタクリル酸 3.0g
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 0.36g
アセトニトリル 350g
【0129】
以下、実施例1と同様に粒子の精製、評価、オリゴマー処理を行った。
【0130】
<比較例4>
500mlフラスコに下記に示した各化合物を一括して仕込み、窒素(100mL/min)にて1h溶存酸素を置換した後、溶存酸素を測定した所、0.07mg/mLであった。その後、攪拌機を用い、ウォーターバス温度80℃で、約6時間加熱撹拌をして、重合体粒子分散液を得た。
【0131】
アクリル酸メチル 9.2g
メタクリル酸 9.2g
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 0.36g
アセトニトリル 350g
【0132】
以下、実施例1と同様に粒子の精製、評価、オリゴマー処理を行った。
【0133】
【表1】

【0134】
[導電粒子の絶縁被覆と異方導電性フィルムの実装試験]
(導電粒子)
平均粒径3.0μmの架橋ポリスチレン粒子の表面に、厚み0.2μmのニッケル層を無電界めっきで形成し、さらにそのニッケルの外側に厚み0.04μmのパラジウム層を形成させて、導電粒子を得た。
【0135】
(絶縁被覆用粒子1)
実施例4で得られた粒子を絶縁被覆用粒子1とした。
【0136】
(絶縁被覆用粒子2)
コロイダルシリカ分散液(濃度20質量%、扶桑化学工業社製、製品名クオートロンPL−13、平均粒子径130nm)を絶縁被覆用粒子2とした。
【0137】
(絶縁被覆用粒子3)
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管、及び、温度プローブを取り付けた1000mLのセパラブルフラスコに、メタクリル酸グリシジル20mmol、メタクリル酸メチル180mmol、ジメタクリル酸エチレングリコール6mmol、メタクリル酸フェニルジメチルスルホニウムメチル硫酸塩1mmol、2,2’−アゾビス{2−[N−(2−カルボキシエチル)アミノ]ジプロパン}1mmolを含有するモノマ組成物を作製した。モノマ組成物の固形分率が5重量%となるようにイオン交換水に分散させた後、200rpmで攪拌し、窒素雰囲気下70℃で24時間重合した。反応終了後、凍結乾燥して、表面にスルホニウム基及びエポキシ基を有する平均直径310nm、粒径の変動係数(C.V.値)7%の絶縁被覆用粒子3を作製した。
【0138】
(絶縁被覆用粒子4)
比較例4で得られた粒子を絶縁被覆用粒子4とした。
【0139】
(導電粒子の絶縁被覆)
メルカプト酢酸8mmoLをメタノール200mLに溶解させて反応液を作製した。この反応液に導電粒子1を10g加え、室温で2時間スリーワンモータと直径45mmの攪拌羽を用いて攪拌して、上記導電粒子の表面をメルカプト酢酸で処理した。φ3μmのメンブレンフィルタ(ミリポア社製)を用いた濾過により処理後の導電粒子を取出し、取り出された導電粒子をメタノールで洗浄して、表面にカルボキシル基を有する導電粒子1gを得た。
【0140】
分子量70000の30%ポリエチレンイミン水溶液(和光純薬社製)を超純水で希釈し、0.3質量%ポリエチレンイミン水溶液を得た。このポリエチレンイミン水溶液に、上記で得た表面にカルボキシル基を有する導電粒子1gを加え、室温で15分攪拌した。次にφ3μmのメンブレンフィルタ(ミリポア社製)を用いた濾過により導電粒子を取出し、取り出された導電粒子を超純水200gに入れて室温で5分攪拌した。その後、φ3μmのメンブレンフィルタ(ミリポア社製)を用いた濾過により導電粒子を取出し、メンブレンフィルタ上の導電粒子を200gの超純水で2回洗浄して、吸着していないポリエチレンイミンを除去した。以上の操作により、表面にポリエチレンイミンが吸着した導電粒子を得た。
【0141】
次にポリエチレンイミンで処理した導電粒子をイソプロピルアルコールに浸漬し、絶縁被覆用粒子(1〜4)分散液を滴下することで、微粒子被覆率が30%の絶縁被覆導電粒子を作製した。被覆率は滴下量で調整した。次にφ3μmのメンブレンフィルタ(ミリポア社製)を用いた濾過により導電粒子を取出し、取り出された導電粒子を超純水200gに入れて室温で5分攪拌した。その後、φ3μmのメンブレンフィルタ(ミリポア社製)を用いた濾過により導電粒子を取出し、メンブレンフィルタ上の導電粒子を200gの超純水で2回洗浄して、吸着していない絶縁被服用粒子を除去した。次いで80℃で30分、120℃で1時間の順で加熱して導電粒子を乾燥して、絶縁被覆用粒子が吸着した導電粒子(絶縁被覆導電粒子)を作製した。
【0142】
続いて、得られた絶縁被覆導電粒子10gを、上述のシリコーンオリゴマーの処理液100gに入れ、常温1時間の条件でスリーワンモータを用いて攪拌した。その後、絶縁被覆導電粒子を濾過により取出し、取り出された絶縁被覆導電粒子をメタノールで洗浄してから乾燥することで、表面にシリコーンオリゴマーが付着した絶縁被覆導電粒子を得た。
【0143】
(絶縁被覆用粒子の耐溶剤性試験)
得られた絶縁被覆導電粒子をトルエン/酢酸エチル(5/5wt%)溶液に浸漬し、5分超音波照射(24kHz)後、SEMにて絶縁被覆導電粒子を確認し、絶縁被覆用粒子が剥離しているかどうかを確認した。絶縁被覆用粒子の吸着量に変化が無い場合を○、絶縁被覆用粒子が部分的に剥離した場合を×とした。
【0144】
[異方性導電接着フィルムの作製及びこれを用いた回路接続]
フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製商品名、PKHC)100gと、アクリルゴム(ブチルアクリレート40部、エチルアクリレート30部、アクリロニトリル30部、グリシジルメタクリレート3部の共重合体、分子量:85万)75gを酢酸エチル400gに溶解し、30質量%溶液を得た。この溶液に、マイクロカプセル型潜在性硬化剤を含有する液状エポキシ樹脂(エボキシ当量185、旭化成エポキシ株式会社製、ノバキュアHX−3941)300gを加え、撹拌して接着剤溶液を準備した。
【0145】
この接着剤溶液に、表面にシリコーンオリゴマーが付着した上記絶縁被覆導電粒子を分散させた。その濃度は接着剤溶液の量を基準として9体積%とした。得られた分散液をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフイルム、厚み40μm)にロールコータを用いて塗布し、90℃で10分の加熱により乾燥して、厚み25μmの異方性導電接着フィルムをセパレータ上に形成させた。
【0146】
次に、作製した異方性導電性フィルムを用いて、金バンプ(面積:30×90μm、スペース12μm、高さ:15μm、バンブ数362)付きチップ(1.7×1.7mm、厚み:0.5μm)とITO回路付きガラス基板(厚み:0.7mm)との接続を、以下に示すi)〜iii)の手順に従って行い、接続構造体サンプル(実施例7、及び、比較例5〜7)を作製した。
【0147】
i)異方性導電接着フィルム(2×19mm)をITO回路付きガラス基板に80℃、0.98MPa(10kgf/cm)での圧力で貼り付けた。
ii)セパレータを剥離し、チップのバンプとITO回路付きガラス基板の位置合わせを行った。
iii)190℃、40MPa(低圧実装条件)、10秒の条件でチップ上方から加熱及び加圧を行い、本接続を行った。
【0148】
(絶縁抵抗試験及び導通抵抗試験)
作製した接続構造体サンプルについて絶縁抵抗試験及び導通抵抗試験を行った。異方性導電接着フィルムはチップ電極間の絶縁抵抗が高く、チップ電極/ガラス電極間の導通抵抗が低いことが重要である。10サンプルのチップ電極間の絶縁抵抗を測定した。絶縁抵抗は初期値と、気温60℃、湿度90%、20V印加の条件で1000時間放置する信頼性試験(マイグレーション試験)後の値を測定した。また、信頼性試験後の絶縁抵抗が>10(Ω)であったものを良品とした場合の歩留まりを算出した。さらに、チップ電極/ガラス電極間の導通抵抗に関しては14サンプルの平均値を測定した。導通抵抗は初期値と気温85℃、湿度85%の条件で1000時間放置する信頼性試験(吸湿耐熱試験)後の値を測定した。測定結果を表2に示す。
【0149】
表2における絶縁抵抗試験及び導通抵抗試験の結果のまとめを表3に示す。導通抵抗評価として信頼性試験前の導通抵抗が1Ω以下の場合を○、1〜5Ωの場合を△、5Ω以上の場合を×とした。絶縁信頼性の評価として信頼性試験前の歩留まりが100%以下80%以上の場合を○、80%未満50%以上の場合を△、50%未満を×とした。さらに、導通信頼性の評価として信頼性試験後の導通抵抗が0Ω以上50Ω未満の場合を○、50Ω以上100Ω未満の場合を△、100Ω以上の場合を×とした。
【0150】
【表2】

【0151】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0152】
本発明の重合体粒子は、高分子分散安定剤や乳化剤を使用しないで、粒子の凝集がなく分散性に優れた1μm以下の重合体粒子が得られるという特徴を有している。得られた重合体粒子は、塗料や、フィラー、陰気粘着剤用、接着剤用、人工大理石用等の添加剤、紙処理材用、化粧品用等の充填剤、クロマトグラフィーのカラム重点在、静電荷現像に使用されるトナー用の添加剤、フィルム用のアンチブロッキング剤、光拡散剤、導電粒子用絶縁粒子等として使用できる。
【符号の説明】
【0153】
1…絶縁被覆用粒子、2…基材粒子、2a…球状芯材粒子、2b…金属の層、10…絶縁被覆導電粒子、20…絶縁性のバインダー樹脂、20a…絶縁性のバインダー樹脂の硬化物の硬化物、30…第1の回路部材、31…回路基板(第1の回路基板)、31a…第1の回路基板の主面、32…回路電極(第1の回路電極)、40…第2の回路部材、41…回路基板(第2の回路基板)、41a…第2の回路基板の主面、42…回路電極(第2の回路電極)、50…異方導電性フィルム、100…接続構造体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)二重結合及び加水分解性シリル基を有する重合性モノマと、(B)親水性官能基を有する重合性モノマとを重合させることにより得られ、
前記(A)二重結合及び加水分解性シリル基を有する重合性モノマが、全重合性モノマ中で15〜70mol%を占めるサブミクロン重合体粒子。
【請求項2】
(A)二重結合及び加水分解性シリル基を有する重合性モノマと、(B)親水性官能基を有する重合性モノマと、(C)(メタ)アクリル基を有する重合性モノマとを重合させることにより得られ、
前記(A)二重結合及び加水分解性シリル基を有する重合性モノマが、全重合性モノマ中で15〜70mol%を占めるサブミクロン重合体粒子。
【請求項3】
重合反応を分散安定剤の非存在下で行うことにより得られる、請求項1又は2に記載のサブミクロン重合体粒子。
【請求項4】
前記(B)親水性官能基を有する重合性モノマが、全重合性モノマ中で30mol%以上を占める請求項1〜3のいずれか一項に記載のサブミクロン重合体粒子。
【請求項5】
前記(A)二重結合及び加水分解性シリル基を有する重合性モノマが、下記一般式(1)で示される構造を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のサブミクロン重合体粒子。
【化1】


(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、及び、炭素数6〜10のアラルキル基からなる群から選ばれる炭化水素基を示し、Xは炭素数1〜4のアルコキシ基、又は、ハロゲン原子を示し、nは1〜3の整数を示す。)
【請求項6】
前記(A)二重結合及び加水分解性シリル基を有する重合性モノマは、二重結合を含む部分構造として(メタ)アクリル基を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のサブミクロン重合体粒子。
【請求項7】
粒子表面又は粒子内部に加水分解性シリル基又はシラノール基を有する請求項1〜6のいずれか一項に記載のサブミクロン重合体粒子。
【請求項8】
平均粒径が1μm以下、かつ、粒径の変動係数(C.V.)が10%以下である請求項1〜7のいずれか一項に記載のサブミクロン重合体粒子。
【請求項9】
前記媒体中の溶存酸素量を1mg/L以下として前記重合性モノマを重合させることにより得られる請求項1〜8のいずれか一項に記載のサブミクロン重合体粒子。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のサブミクロン重合体粒子と、前記サブミクロン重合体粒子によって表面の少なくとも一部が被覆された導電性を有する基材粒子とを備える、絶縁被覆導電粒子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−108026(P2013−108026A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256174(P2011−256174)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000004455)日立化成株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】