説明

サポシンおよび他のマーカーを用いるリソソーム貯蔵障害の診断

【課題】新生児をスクリーニングする方法(好ましくは、最小の数のアッセイを用いて、すべてまたはほとんどのリソソーム障害を検出し得るスクリーニング方法を提供すること。
【解決手段】患者におけるリソソーム貯蔵障害を診断またはモニターする方法であって、該患者の組織サンプル中の少なくとも1つのサポシンのレベルを測定する工程であって、ここで、該レベルは、該患者における該障害の存在または程度を示す、工程、を包含する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国特許出願第60/124,864号(1999年3月17日出願)およびGB99 08190.3(1999年4月9日出願)からの優先権を得ており、これらの出願はいずれも、すべての目的のために、参考としてその全体を援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
リソソーム貯蔵障害(LSD)は、重篤な臨床的症状の徴候を引き起こし得る、遺伝的障害の大きなファミリーである。各それぞれの疾患の頻度は、比較的まれであるが、すべてのリソソーム貯蔵障害の全体的な発生率は、約7000人の新生児中1人である。これは、新生児のスクリーニング方法が利用可能である他の疾患(例えば、フェニルケトン尿症)の発生率よりも大きい。各リソソーム貯蔵障害は、リソソームの生合成または機能に関与する、リソソーム酵素、輸送体またはタンパク質の欠損により生じる[1](非特許文献1)。この欠損は、基質の蓄積(通常、リソソーム中で分解される)ならびに細胞内のリソソームの大きさおよび数の増加を導く。
【0003】
主に幼い子供に発症するLSDは、関与する特定の遺伝子型に依存する、広範な臨床的症状(精神遅滞、骨格異常、臓器巨大症、角膜の白濁および粗雑な顔面特徴(coarse facial features)を含む)を有し、非常に重篤であり得る[2][1]。近年、いくつかのLSDのための処置が可能になってきており、そのような処置としては、薬物治療[3−5](非特許文献3〜5)、骨髄移植[2、6](非特許文献2および6)、および酵素交換治療(enzyme replacement therapy)[6、7](非特許文献6および7)が挙げられる。新しい処置プロトコルは、特定の障害の根底にある原因の増加した知識、および新しい技術の開発と共に動物モデルの利用可能性により、開発されている。動物モデルは、新しい処置(例えば、酵素交換治療)の試験のために特に重要であり[2、6、8、9](非特許文献2、6、8および9)、動物モデルにおける研究はまた、処置が病理の初期の段階で与えられた場合は、ほとんどの場合、最大の有効性が達成されることを示してきた[10、11](非特許文献10および11)
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Hopwood JJ, Brooks DA. An introduction to the basic science and biology of the lysosome and storage diseases. In Applegarth D A, Dimmick J E, Hall J G, eds. Organelle Diseases. New York: Chapman & Hall Medical. 1997: 7−35
【非特許文献2】Neufeld EF, Meunzer J. The Mucopolysaccharidosis. In Schriver C R, Beaudet A C, Sly W S, Valle D, eds. The Metabolic and Molecular Basis of Inherited Disease (Seventh Edition). New York: McGraw−Hill Inc. 1995: Vol. ll, 2465−2494.
【非特許文献3】Markello TC, Bernardin IM, Gahl WA. Improved renal function in children with cystinosis treated with cysteamine. N Engl J Med 1993; 328: 1157−1162.
【非特許文献4】Platt FM, Neises GR, Reinkensmeier G, Townsend MJ, Perry VH, Proia RL, et al. Prevention of lysosomal storage in Tay−Sachs mice treated with N−butyideoxynojirimycin. Science 1997; 276: 428−431.
【非特許文献5】Reuser AJ, Kroos MA, Visser WJ, Willemsen R. Lysosomal storage diseases: cellular pathology, clinical and genetic heterogeneity, therapy. Ann Biol Clin (Paris) 1994; 52: 721−728.
【非特許文献6】Beutler E, Grabowski GA. Gaucher Disease. In Scriver C R, Beaudet A C, Sly W S, Valle D, eds. The Metabolic and Molecular Basis of Inherited Disease (Seventh Edition). New York: McGraw− Hill Inc. 1995: Vol. 11,2641−2670.
【非特許文献7】Salvetti A, Heard JM, Danos 0. Gene therapy of lysosomal storage disorders. Br Med Bull 1995; 51: 106−122
【非特許文献8】Gieselmann V. Lysosomal storage diseases. Biochim Biophys Acta 1995; 1270: 103−136.
【非特許文献9】Schuchman EH, Desnick RJ. Niemann−Pick disease types A and B: Acid Shphingomyelinase deficiencies. In Scriver C R, Beaudet A C, Sly W S, Valle D, eds. The Metabolic and Molecular Basis of Inherited Disease (Seventh Edition). New York: McGraw−Hill Inc. 1995: Vol. II, 2641−2670.
【非特許文献10】Crawley AC, Niedzielski KH, Isaac EL, Davey RC, Byers S, Hopwood JJ. Enzyme replacement therapy from birth in a feline model of mucopolysaccharidosis type VI. J Clin Invest 1997; 99: 651−662.
【非特許文献11】Taylor RM, Stewart GJ, Farrow BR. Improvement in the neurologic signs and storage lesions of fucosidosis in dogs given marrow transplants at an early age. Transplant Proc 1989; 21: 3818−3819.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ほとんどの障害においては、臨床的病理は、出生のときに明らかではないが、人生の最初の数年で現れる。最大の有効性を達成するための現在の治療および提案された治療については、特に中枢神経系および/または骨の病理の関与がある場合、障害が早期に、不可逆的な病理の発症前に、検出されることが重要である。従って、新生児をスクリーニングする方法(好ましくは、最小の数のアッセイを用いて、すべてまたはほとんどのリソソーム障害を検出し得るスクリーニング方法)の必要性が存在する。本発明は、この必要性および他の必要性を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(定義)
患者は、被験体(代表的には、ヒト)であり、生きているか、または死後の分析に供されているかのいずれかであり、その患者が、障害、障害への感受性または障害の通常のリスクを超えるリスクを有するか否かを決定するための診断試験を受けている。患者が、現在その症状を示している場合は、その患者は、疾患を有している。患者が、現在は無症候性であるが、後の時点でその疾患を得る遺伝的素質または他の素質を有する場合、その患者は、その疾患に対して感受性がある。患者が、個々の集団におけるその疾患の存在に関する遺伝的マーカーまたは生化学的マーカーを保有している場合に、その患者は、その疾患を有することについての通常のリスクを超えている。診断試験を受けている何人かの患者は、症状、家族歴または以前に行われた他の試験から、その疾患を有する疑いがある。診断試験を受けている他の患者は、既知の症状またはその疾患についての他のリスク因子を有さないが、必要に応じて他の試験と共に、予防的スクリーニングとしてその試験を受ける。
【0007】
診断テストは、患者が、それについて試験を受けている障害を有するか、そのような障害に対する感受性があるか、または一般的な集団に対してそのような障害を有することについての通常を越えるリスクを有することを示すために役立つ。
【0008】
文脈が他に必要としない限り、用語「含む(comprise)」または「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」のような変形は、記載されている要素もしくは整数(integer)または要素もしくは整数の群の包含を意味するが、任意の他の要素もしくは整数または要素もしくは整数の群の限定ではない。
【0009】
複合体を形成する、試薬の分析物との特異的結合は、その複合体がマイクロモル濃度よりも小さい解離定数を有することを意味する。
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、患者におけるリソソーム貯蔵疾患を診断またはモニターする方法を提供する。この方法は、患者の組織サンプルにおける少なくとも1つのサポシンのレベルを測定する工程を伴い、このレベルは、患者におけるこの障害の存在もしくは非存在または程度の指標を提供する。いくつかの方法においては、サンプルは血漿サンプルである。いくつかの方法においては、障害の存在は、リソソーム貯蔵疾患を有さない個体のコントロール集団におけるサポシンの平均レベルを超える、サポシンの測定されたレベルによって示される。いくつかの方法においては、障害の存在は、測定されたサポシンのレベルが、コントロール集団における95百分位数レベルを超えている場合に示される。いくつかの方法においては、患者は、測定する工程の前に、リソソーム貯蔵障害を有することを知られていない。いくつかの方法においては、患者は1歳未満である。いくつかの方法においては、患者は胎児である。このような方法で検出されるサポシンは、サポシンA、B、CもしくはD、プロサポシン、任意のこれらのサポシンもしくはこれらのサポシンの亜型をコードするmRNAのいずれでもあり得る。いくつかの方法においては、サポシンは、診断試薬としての抗体を用いて検出される。いくつかの方法においては、リソソーム貯蔵疾患は、シスチン症、ファブリー病、ニーマン−ピック病、ポーンプ病またはウォルマン病である。いくつかの方法はまた、患者、両親または保護者に、測定する工程によって示されたリソソーム貯蔵疾患の存在の結果を知らせる工程を包含する。
【0011】
本発明はさらに、α−グルコシダーゼのレベルが患者由来の組織サンプルにおいて測定される患者において、リソソーム貯蔵障害を診断またはモニターする方法を提供する。α−グルコシダーゼのレベルは、患者におけるその障害の存在または程度の指標を提供する。いくつかの方法においては、サンプルは、血漿サンプルまたは全血サンプルである。いくつかの方法においては、測定する工程は、リソソーム貯蔵疾患を有さない個体のコントロール集団における平均レベルに対して、増加したα−グルコシダーゼの濃度から、酸リパーゼ疾患、マンノシドーシス、ムコ多糖症II(MPS II)、MPS IIIA、MSD、ムコリピドーシス、N−P(A/B)、N−P(C)、ザントホフ、SASまたはTSD B1の存在を示す。いくつかの方法においては、測定する工程は、リソソーム貯蔵疾患を有さない個体のコントロール集団における平均レベルに対して、減少したα−グルコシダーゼのレベルから、MPS IVAまたはポーンプ病の存在を示す。
【0012】
本発明はさらに、患者由来の同一または異なる組織サンプルにおいて、サポシンのレベルを測定し、LAMP−1またはLAMP−2のレベルを測定し、そしてα−グルコシダーゼのレベルを測定することによって、リソソーム貯蔵疾患を診断する方法を提供する。リソソーム貯蔵障害を有さない個体のコントロール集団における対応するレベルに対して、増加したレベルのサポシン、LAMP−1またはLAMP−2、および増加したレベルまたは減少したレベルのいずれかのα−グルコシダーゼの存在は、リソソーム貯蔵障害の指標である。
【0013】
本発明はさらに、診断キットを提供する。いくつかのこのようなキットは、LAMPと結合する第1の試薬およびサポシンと結合する第2の試薬を含む。いくつかのキットは、α−グルコシダーゼと結合する第3の試薬をさらに含む。
【0014】
本発明はまた、患者におけるリソソーム貯蔵疾患の処置をモニターする方法を提供する。このような方法は、薬剤を用いる処置の前のリソソーム貯蔵障害を有する患者由来の組織サンプルにおける、サポシンのベースラインレベルを決定する工程を伴う。次いで、ベースラインレベルは、患者がその薬剤を用いて処置された後に得られたサンプルにおけるレベルと比較される。処置後のサポシンのレベルにおける、ベースラインに対する減少は、陽性の処置結果を示す。
【0015】
本発明はまた、酸リパーゼ疾患、マンノシドーシス、MPS II、MPS IIIA、MSD、ムコリピドーシス、N−P(A/B)、N−P(C)、ザントホフ、SASまたはTSD B1の処置をモニターする方法を提供する。このような方法は、薬剤を用いる処置前の、この障害を有する患者由来の組織サンプルにおけるα−グルコシダーゼのベースラインレベルを決定する工程を伴う。次いで、ベースラインレベルは、この薬剤を用いる処置後の、この障害を有する患者由来の組織サンプルにおけるα−グルコシダーゼのレベルと比較される。ベースラインに対する減少は、陽性の処置結果を示す。
【0016】
本発明はまた、ガラクトシアリドーシス、MPS IVAまたはポーンプ病を有する患者をモニターする方法を提供する。このような方法は、薬剤を用いる処置の前に、この障害を有する患者由来の組織サンプルにおけるα−グルコシダーゼのベースラインレベルを決定する工程を伴う。次いで、ベースラインレベルは、薬剤を用いる処置後の患者由来の組織サンプルにおけるα−グルコシダーゼのレベルと比較される。ベースラインに対する増加は、陽性の処置結果を示す。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によれば、以下の方法などが提供される:
(項目1) 患者におけるリソソーム貯蔵障害を診断またはモニターする方法であって、該患者の組織サンプル中の少なくとも1つのサポシンのレベルを測定する工程であって、ここで、該レベルは、該患者における該障害の存在または程度を示す、工程、を包含する方法。
(項目2) 前記サンプルが、血漿サンプルである、項目1に記載の方法。
(項目3) 前記サンプルが、全血サンプルである、項目1に記載の方法。
(項目4) 前記測定されたレベルが、リソソーム貯蔵障害を有さない個体のコントロール集団における平均レベルを超えると、前記患者における該障害の存在を示す、項目1に記載の方法。
(項目5) 前記患者由来の第2の組織サンプルにおける少なくとも1つのサポシンのレベルを測定する工程であって、第1および第2のサンプルは、異なる時間に得られる、工程;ならびに該サンプルにおける該レベルを比較して、疾患の進行を示す工程をさらに包含する、項目1に記載の方法。
(項目6) 前記患者が、前記リソソーム貯蔵障害のための処置を受けている、項目1に記載の方法。
(項目7) 前記測定されたレベルが、前記コントロール集団における95%百分位数レベルよりも大きい、項目4に記載の方法。
(項目8) 前記患者が、前記測定する工程の前に、リソソーム貯蔵障害を有することが知られている、項目1に記載の方法。
(項目9) 前記患者が、1歳未満の乳児である、項目1に記載の方法。
(項目10) 前記患者が、胎児であり、かつ前記サンプルが、胎児血液サンプルである、項目1に記載の方法。
(項目11) 前記患者が、リソソーム貯蔵障害を有することが知られており、そして前記サポシンの前記レベルが、前記障害の進行を示す、項目1に記載の方法。
(項目12) 前記患者が、リソソーム貯蔵障害が有することが知られており、そして該障害のために処置されており、そして前記サポシンの前記レベルが、処置に対する応答を示す、項目1に記載の方法。
(項目13) 前記サポシンが、サポシンA、サポシンB、サポシンC、サポシンD、プロサポシン、およびプロサポシンをコードするmRNAからなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目14) 前記サポシンが、サポシンA、サポシンCまたはサポシンDからなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目15) 前記測定する工程が、サポシンポリペプチドと抗体との間の結合を検出する工程を包含する、項目1に記載の方法。
(項目16) 前記抗体が、モノクロナール抗体である、項目15に記載の方法。
(項目17) 前記抗体が、固相に固定される、項目15に記載の方法。
(項目18) 前記リソソーム貯蔵障害が、シスチン症、ファブリー病、ニーマン−ピック病、ポーンプ病、およびウォルマン病からなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目19) 前記患者またはその両親もしくは保護者に、前記リソソーム貯蔵障害の存在を知らせる工程をさらに包含する、項目1に記載の方法。
(項目20) 前記測定に基づいて処置プログラムを決定する工程をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目21) 患者におけるリソソーム貯蔵障害を診断またはモニターする方法であって、患者の組織におけるα−グルコシダーゼのレベルを測定する工程であって、ここで、該レベルは、該患者における該障害の存在または程度を示す、工程を包含する、方法。
(項目22) 前記サンプルが血漿サンプルである、項目21に記載の方法。
(項目23) 前記サンプルが血液サンプルである、項目21に記載の方法。
(項目24) 項目21に記載の方法であって、測定されたα−グルコシダーゼのレベルが、リソソーム貯蔵疾患を有さない個体のコントロール集団における平均レベルを超える場合に、酸リパーゼ疾患、マンノシドーシス、MPS
II、MPS IIIA、MSD、ムコリピドーシス、N−P(A/B)、N−P(C)、ザントホフ、SASまたはTSD B1からなる群より選択される障害の存在を診断する工程をさらに包含する、方法。
(項目25) 項目21に記載の方法であって、測定されたα−グルコシダーゼのレベルが、リソソーム貯蔵疾患を有さない個体のコントロール集団における平均レベル未満である場合に、ガラクトシアリドーシス、MPS IVAおよびポーンプ病からなる群より選択される障害の存在を診断する工程をさらに包含する、方法。
(項目26) リソソーム貯蔵障害を診断する方法であって、患者由来の組織サンプルにおけるサポシンのレベルを測定する工程;該患者由来の第2の組織サンプルにおけるLAMP−1またはLAMP−2のレベルを測定する工程;該患者由来の第3の組織サンプルにおけるαグルコシダーゼのレベルを測定する工程、を包含し;ここで、該サンプルにおける、コントロール集団におけるそれぞれの平均レベルに対して増加したサポシンおよび/またはLAMP−1もしくはLAMP−2のレベル、ならびに/あるいは増加または減少したα−グルコシダーゼのレベルが、該患者における該障害の存在または程度を示す、方法。
(項目27) 患者においてポーンプ病を診断する方法であって、該患者由来の組織サンプルにおけるサポシンのレベルを測定する工程;該患者由来の第2の組織サンプルにおけるα−グルコシダーゼのレベルを測定する工程、を包含し;ここで、リソソーム貯蔵障害を有さない個体のコントロール集団における、サポシンおよびα−グルコシダーゼのレベルの平均レベルに対して増加した該サポシンのレベルおよび減少した該α−グルコシダーゼのレベルの存在が、ポーンプ病またはポーンプ病への感受性を示す、方法。
(項目28) 患者を、リソソーム貯蔵障害の存在についてスクリーニングする方法であって、以下の工程:該患者由来のサンプルにおけるLAMP−1ポリペプチドのレベルを測定する工程;該サンプルにおけるサポシンペプチドのレベルを測定する工程であって、コントロール集団における平均レベルに対して増加したLAMP−1もしくはサポシンまたは両方のレベルの存在が、リソソーム障害に対する感受性を示す工程を包含する、方法。
(項目29) LAMPに結合する第1の試薬;サポシンに結合する第2の試薬、を含む、診断キット。
(項目30) α−グルコシダーゼに結合する第3の試薬をさらに含む、項目29に記載の診断キット。
(項目31) 前記第1、第2および第3の試薬が抗体である、項目30に記載の診断キット。
(項目32) 疾患の存在または感受性について患者をスクリーニングする方法であって、複数の疾患についての複数の診断試験を該患者由来の組織サンプルにおいて行う工程を包含し、該診断試験のうちの1つが、サポシンのレベルを測定する工程を包含するという改良を有する、方法。
(項目33) 項目32に記載の方法であって、第2の前記診断試験が、前記患者の前記組織サンプルにおけるLAMP−1のレベルを測定する工程を包含するという、さらなる改良を有する、方法。
(項目34) 項目33に記載の方法であって、第3の前記診断試験が、前記患者由来の前記組織サンプルにおけるα−グルコシダーゼのレベルを測定する工程を包含するという、さらなる改良を有する、方法。
(項目35) 項目32に記載の方法であって、第4の前記診断試験が、リソソーム貯蔵障害に関連する酵素をコードする核酸を、該障害に相関する多型形態について分析する工程を包含するという、さらなる改良を有する、方法。
(項目36) 患者におけるリソソーム貯蔵疾患の処置をモニターする方法であって、薬剤を用いる処置の前に、リソソーム貯蔵障害を有する患者由来の組織サンプルにおけるサポシンのベースラインレベルを決定する工程;該薬剤を用いる処置の後に得られた該患者由来の組織サンプルにおける、該サポシンのレベルを比較する工程、を包含し;ここで、処置後の該レベルにおける該ベースラインに対する減少が、陽性の処置結果を示す、方法。
(項目37) 酸リパーゼ疾患、マンノシドーシス、MPS II、MPS IIIA、MSD、ムコリピドーシス、N−P(A/B)、N−P(C)、ザントホフ、SASまたはTSD B1の処置をモニターする方法であって、以下の工程:薬剤を用いる処置の前に、障害を有する患者由来の組織サンプルにおけるα−グルコシダーゼのベースラインレベル決定する工程;該薬剤を用いる処置の後に、該障害を有する患者由来の組織サンプルにおける該α−グルコシダーゼのレベルを、該ベースラインレベルと比較する工程、を包含し;ここで、該ベースラインに対する減少が、陽性の処置結果を示す、方法。
(項目38) ポーンプ病を有する患者をモニターする方法であって、以下の工程:薬剤を用いる処置の前に、障害を有する該患者由来の組織サンプルにおけるα−グルコシダーゼのベースラインレベルを決定する工程;該薬剤を用いる処置の後に、該患者由来の組織サンプルにおけるα−グルコシダーゼのレベルを、該ベースラインレベルと比較する工程、を包含し;ここで、該ベースラインに対する増加が、陽性の処置結果を示す、方法。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、サポシンA、B、CおよびD免疫定量化アッセイについての較正曲線である。それぞれのタンパク質の免疫定量化における使用のための、サポシンA(パネルa)、サポシンB(パネルb)、サポシンC(パネルc)およびサポシンD(パネルd)検量線を作製するために、最適な免疫定量化条件が使用された。マイクロタイタープレートを、一次抗サポシンポリクロナール抗体でコートし(2.5mg/L、4℃、終夜)、標準をインキュベートし(4℃、4時間)、そしてEu標識した抗サポシンポリクロナール抗体を用いて検出した(0.25mg/L、4℃、終夜)。
【図2−1】図2は、コントロールおよびLSDを発症した個体由来の血漿におけるサポシン濃度のボックスプロットである。サポシン濃度は、0.25〜2μLの血漿サンプルを用いることにより決定した。N=各グループにおいて使用したサポシンの数。ボックス内の線は、平均レベルであり、平均の下および上の影を付けた領域は、25百分位数(centile)および75百分位数をそれぞれ表し、バーは範囲を表す。○は、アウトライヤーを示し、そしては、極度なアウトライヤーを示す。Galact=ガラクトシアリドーシス;GM I=GM Iガングリオシドーシス;Mann=α−マンノシドーシス;MLD=異染性白質萎縮症;MSD=多発性スルファターゼ欠損;NCL=ニューロンセロイド脂褐素症;N−P=ニーマン−ピック病;SAS=シアリン酸貯蔵疾患;TSD=テイ−サックス病。
【図2−2】図2は、コントロールおよびLSDを発症した個体由来の血漿におけるサポシン濃度のボックスプロットである。サポシン濃度は、0.25〜2μLの血漿サンプルを用いることにより決定した。N=各グループにおいて使用したサポシンの数。ボックス内の線は、平均レベルであり、平均の下および上の影を付けた領域は、25百分位数(centile)および75百分位数をそれぞれ表し、バーは範囲を表す。○は、アウトライヤーを示し、そしては、極度なアウトライヤーを示す。Galact=ガラクトシアリドーシス;GM I=GM Iガングリオシドーシス;Mann=α−マンノシドーシス;MLD=異染性白質萎縮症;MSD=多発性スルファターゼ欠損;NCL=ニューロンセロイド脂褐素症;N−P=ニーマン−ピック病;SAS=シアリン酸貯蔵疾患;TSD=テイ−サックス病。
【図3】図3は、コントロールおよびLSDを発症した個体由来の血漿におけるα−グルコシダーゼレベルのボックスプロットである。α−グルコシダーゼ濃度は、5.0μLの血漿サンプルを用いることにより決定した。N=各グループにおいて使用したサポシンの数。ボックス内の線は、平均レベルであり、平均の下および上の影を付けた領域は、25百分位数(centile)および75百分位数をそれぞれ表し、バーは範囲を表す。○は、アウトライヤーを示し、そしては、極度なアウトライヤーを示す。Galact=ガラクトシアリドーシス;GM I=GM Iガングリオシドーシス;MLD=異染性白質萎縮症;MSD=多発性スルファターゼ欠損;N−P=ニーマン−ピック病;SAS=シアリン酸貯蔵疾患;TSD=テイ−サックス病。Y軸は、コントロールとLSD患者との間の差異を強調表示するために、拡大されている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(詳細な説明)
(I.概論)
本発明は、リソソーム貯蔵障害の存在について患者を診断する方法を提供する。この方法は、このような障害のすくなくとも1つまたはサブセットと相関する生物学的マーカーを検出することによって行われる。いくつかの方法は、サポシンと呼ばれる、1以上の天然に存在するポリペプチドを検出する。患者由来の組織サンプル中のこのようなポリペプチドの正常なレベルを超える存在は、いくつかの型のリソソーム疾患(シスチン症、 ファブリー病、ニーマン−ピック病(A/B型およびC型)、ポーンプ病、ウォルマン病、クラッベ病、異染性白質萎縮症およびテイ−サックス病を含む)と相関する。他の方法は、患者由来の組織サンプル中のα−グリコシダーゼのレベルを決定する工程を包含する。α−グリコシダーゼのレベルは、ポーンプ病では正常レベルに対して抑制されている。α−グリコシダーゼのレベルは、酸リパーゼ疾患、マンノシドーシス、MPS II、MPS IIIA、多発性スルファターゼ欠損症、ムコリピドーシス、ニーマン−ピック病(A/B)、ニーマン−ピック病(C)、シアル酸貯蔵疾患またはザントホフ病、テイ−サックス病A/Bでは正常レベルに対して上昇している。
【0020】
本方法は、必要に応じて、新生児に存在し得る他の障害のさらなる生化学マーカーおよび遺伝マーカーとともに、リソソーム貯蔵障害の存在について最近生まれた乳児または胎児の大規模なスクリーニングに適切である。この方法はまた、リソソーム貯蔵疾患であると以前に診断された患者、特に処置に対するそれらの応答をモニターするために適切である。サポシンおよびα−グルコシダーゼを分析する方法は、必要に応じて、WO97/44668により記載されるようなリソソーム貯蔵障害と相関する他の生化学マーカーを検出する工程とのさらなる組合せにおいて、組み合わせて行われる。必要に応じて、生化学マーカーの分析はまた、疾患と相関する多型に対する、リソソーム酵素をコードする遺伝子の多型分析と組み合わされ得る。
【0021】
(II.リソソーム貯蔵障害)
30を超えるリソソーム疾患(各々が、通常は、遺伝子変異の結果として特定のリソソームタンパク質の不全から生じる)が、存在する。例えば、Cotranら、Robbins Pathologic Basis of Disease(第4版、1989)(全ての目的のために、その全体が参考として援用される)を参照のこと。リソソームタンパク質における不全は、通常、代謝物の有害な蓄積を生じる。例えば、フルラー症候群、ハンター症候群、モルキオ症候群およびサンフィリポ症候群において、ムコポリサッカリドの蓄積が存在し;テイ−サックス症候群、ゴシェ症候群、クラッベ症候群、ニーマン−ピック症候群、およびファブリー症候群においては、スフィンゴ脂質の蓄積が存在し;そしてフコース蓄積症およびマンノシドーシスにおいては、それぞれ、フコース含有スフィンゴ脂質および糖タンパク質フラグメント、ならびにマンノース含有オリゴサッカリドの蓄積が存在する。
【0022】
II型グリコーゲン貯蔵疾患(GSD II;ポーンプ病;酸マルトース欠乏症)は、リソソーム酵素である酸α−グルコシダーゼ(酸マルターゼ))の不全によって引き起こされる。3つの臨床形態(乳児性、若年性および成人性)が、区別される。乳児性GSDIIは、誕生のすぐ後にその発症を有し、そして進行性の筋肉の弱さおよび心不全を示す。この臨床の変種は、誕生の2年以内に致死性である。成人および若年性患者における症状は、寿命のより後に生じ、そして骨格筋のみが関与する。患者は、最終的に、呼吸不全に起因して死亡する。患者は、例外的に、60年を超えて生存し得る。疾患の重篤度と残留している酸α−グリコシダーゼ活性(この活性は、この疾患の後期発症形態においては正常なものの10〜20%であり、早期発症形態では2%未満である)との間に良好な相関性が存在する(Hirschhom、The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease(Schriverら編(第7版)McGraw−Hill(1995)、2443〜2464頁を参照のこと)。
【0023】
リソソーム酵素をコードする30を超える既知の遺伝子(α−グルコシダーゼ、αL−イズロニダーゼ(iduronidase)、イズロネート−サルフェートスルファターゼ、ヘキソサミニダーゼAおよびB、ガングリオシドアクチベータータンパク質、アリールスルファターゼAおよびB、イズロネートスルファターゼ、ヘパリンN−スルファターゼ、ガラクト−セラミダーゼ、α−ガラクトシルセラミダーゼA、スフィンゴミエリナーゼ、α−フコシダーゼ、α−マンノシダーゼ、アスパルチルグリコサミニンアミドヒドロラーゼ、酸リパーゼ、N−アセチル−α−D−グルコサミン−6−サルフェートスルファターゼ、α−ガラクトシダーゼおよびβ−ガラクトシダーゼ、β−グルクロニダーゼ、β−マンノシダーゼ、セラミダーゼ、ガラクトセレブロシダーゼ、α−N−アセチルガラクトサミニダーゼ、および保護タンパク質などが挙げられる)が存在する。リソソームタンパク質をコードする多数の既知の遺伝子のゲノム配列またはcDNA配列を含むDNAクローンが、入手可能である。(Scottら、Am.J.Hum.Genet.47,802〜807(1990);Wilsonら、PNAS 87、8531〜8535(1990);Steinら、J.Biol.Chem.264、1252〜1259(1989);Ginnsら、Biochem.Biophys.Res.Comm.123、574〜580(1984);Hoefslootら、EMBO J.7、1697〜1704(1988);Hoefslootら、Biochem J.272、473〜479(1990);Meyerowitz & Proia、PNAS 81、5384〜5398(1984);Scriverら、前出、パート12、2427〜2882頁、ならびにこれらの中に引用される参考文献)。ゲノム配列およびcDNA配列の他の例が、GenGankから入手可能である。
【0024】
(III.サポシン)
サポシンは、小さな熱に安定な糖タンパク質であり、サポシンA、B、CおよびDと呼ばれる4つの糖タンパク質が存在する。全ての4つのサポシンは、プロサポシン(prosaposin)と呼ばれる単一の73kD前駆体タンパク質に由来する。成熟サポシンは、それらのそれぞれのリソソーム加水分解の活性を活性化および増強することにおいて特異的な役割を有する[15、16]。サポシンは、リソソーム加水分解経路を通じる糖スフィンゴ脂質流動の制御[15]およびスフィンゴ脂質ヒドロラーゼにおける遺伝子欠損に重要であり、そして/またはサポシンは、スフィンゴ脂質の貯蔵に関連している[17]。全てのサポシンは、約80個のアミノ酸を含み、そして互いに高度な配列同一性を示す。各サポシンは、ほとんど同一の位置に6個のシステイン残基を含み、このシステイン残基の全てが3個のジスルフィド架橋を形成して、ヘアピン型構造を提供する。各サポシンはまた、N−グリコシド型の糖質鎖を含む。それらは、各サポシンのN末端から21位にある同一のアスパラギン残基に結合している。4個のサポシンのうち、サポシンAのみが、42個のアスパラギン残基に連結したさらなる糖質鎖を有する。構造的に重要なプロリン残基もまた、ほとんど同一の位置に保存される。全てにおいて、13個のアミノ酸が、各サポシンドメインにおいて同一の位置に保存される。さらに、各ドメインにおいて同じ位置に、類似する性質の多くのアミノ酸残基、特に疎水性のアミノ酸残基が存在する。このような類似性にもかかわらず、それらは、免疫学的に識別可能であり、そして機能的に異なる。サポシンは、異なる動物種(ヒト、ウシ、ラット、ブタ、およびニワトリさえも含む)の間で十分に保存されている。
【0025】
サポシンは、特定のリソソームヒドロラーゼによる特定のスフィンゴ脂質の酵素的加水分解に必要とされる。サポシンは、互いに高度に相同であるが、それらは、独特かつ異なる特異性を示す。初めに発見されたサポシンであるサポシンBは、アリールスルファターゼA、GM1ガングリオシドβ−ガラクトシダーゼ、およびα−ガラクトシターゼAによる加水分解反応を刺激する。サポシンCもまた、この反応を触媒するが、これは、より低い活性を有する。サポシンDは、スフィンゴミエリナーゼおよびセラミダーゼの活性を刺激する。ヒト組織では、おそらく3つの異なるプールのプロサポシン(リソソーム標的についてのもの、分泌についてのもの、および原形質膜に対する標的化についてのもの)が存在する。
【0026】
実施例1に記載されるように、上昇したレベルのサポシンは、いくつかのリソソーム貯蔵障害の存在と正の相関をする。任意のサポシン、およびこのサポシンをコードするmRNAは、スクリーニングマーカーとして使用され得るが、サポシンA、Cおよび/またはDが、好ましい。なぜなら、これらのサポシンは、最も強力な相関を示すからである。すくなくとも3つの機構のいずれかまたは全てが、実施例1におけるLSD患者由来の組織サンプル中のサポシンの観察された蓄積を説明し得る。第1に、サポシンの合成は、代償性機構としての欠損酵素または脂質のいずれかの蓄積によって刺激され得る。第2に、サポシンは、欠損性酵素によるプロセシングの欠落を通じて蓄積する基質とともに沈着する。第3に、サポシンは、非機能的リソソーム酵素との相互作用能がないことにより分解され得ない。しかし、本発明は、機構の理解に依存しない。
【0027】
(IV.α−グリコシダーゼ)
酸α−グルコシダーゼは、ポーンプ病と呼ばれるリソソーム貯蔵障害と関連する酵素である。α−グルコシダーゼは、約100〜110kDの前駆形態において最初に合成される(この前駆体の見かけの分子量または相対移動度は、使用される分析方法に依存してある程度変動し得るが、代表的には、95kDと120kDとの間の範囲である)。酸α−グルコシダーゼのタンパク質分解プロセシングは、複雑であり、そして種々の胸膜下の位置で生じるシグナルペプチドの切断に加えて、一連の段階を含む。ポリペプチドは、N末端およびC末端の両方で切断され、それによって特異的な触媒活性が増大される。認識される主な種は、110/100kD前駆体、95kD中間体ならびに76kDおよび70kDの成熟形態である(Hasidicら、J.Biol.Chem.255,4937〜4945(1980);Ode Elferinkら、Eur.J.Biochem.139,489〜495(1984);Reuserら、J.Biol.Chem.260,8336〜8341(1985);Hoefslootら、EMBO J.7,1697〜1704(1988))。
【0028】
本発明は、酸α−グルコシダーゼのレベルがポーンプ病において、および特定の他のリソソーム貯蔵障害において抑制されるという証拠を提供する。逆に、酸α−グルコシダーゼのレベルは、特定の他のリソソーム貯蔵障害(マンノシドーシス、MPS II、MPS IIIA、MSD、ムコリピドーシス、ニーマン−ピック病(A/B)、ニーマン−ピック病(C)、ザントホフ病、SASまたはテイ−サックス病(A/B)を含む)において上昇する。従って、酸α−グルコシダーゼレベルは、リソソーム貯蔵障害のスクリーニングのために有用な生化学マーカーである。本発明の方法は、酸α−グルコシダーゼの種々の分子量形態、それらの組合せ、および酸α−グルコシダーゼをコードするmRNAの各々を検出する。
【0029】
(V.他の生化学マーカー)
WO97/44668は、リソソーム貯蔵障害と相関する多数のタンパク質マーカー(LAMP−1およびLAMP−2を含む)を記載している。LAMP−1およびLAMP−2は、リソソーム膜糖タンパク質である(Dahlgrenら、Biochem.J.311,667〜674(1995)。LAMP−1が好ましいマーカーである。LAMP−1の上昇レベルは、ゴシェ病、ガラクトシアリドーシス、GM−1−ガングリオシドーシス、I細胞病、酸マンノシドーシス、MPS I、MPS II、MPS IIIA、MPS IIIB、MPS IIID、MPS IVA、MPS VI、多発性スルファターゼ欠損症、ザントホフ病、シアル酸貯蔵疾患、およびテイ−サックス(AB)病と相関する(13)。LAMP−2のレベルはまた、LAMP−1と同じ多くのLSDにおいて増大される[14]。LAMP−1と相関しない、いくつかのLSDは、サポシンレベルと相関する(表1を参照のこと)。従って、LAMP−1およびサポシンについて組み合わされたスクリーニングは、いずれかのスクリーニング単独よりもリソソーム貯蔵障害を患う患者を同定する。
【0030】
(VI.組織サンプル)
分析用サンプルは、リソソームまたはそれらの成分タンパク質を含む、任意の器官、組織、流体または他の生物学的サンプルから入手され得る。好ましい組織サンプルは、全血および全血由来の産物(例えば、血漿および血清)である。血液サンプルは、例えば、ガスリーカード(Guthrie card)から採取された血斑から入手され得る。組織サンプルの他の供給源は、皮膚、毛髪、尿、唾液、精液、糞便、汗、乳汁、羊水、肝臓、心臓、筋肉、腎臓および他の身体器官である。他の組織供給源は、患者由来の初代細胞から増殖された細胞株である。組織サンプルは、代表的には、サンプル中の細胞のタンパク質内容物および/または核酸内容物を放出するように溶解される。次いで、このような粗溶解物からのタンパク質画分および/または核酸画分は、分析前に部分的精製または完全な精製に供される。
【0031】
サンプルは、胚、胎児、新生児、幼い乳児、または成人から入手され得る。代表的には、サンプルは、一日齢、一週齢、一ヶ月齢または生後6ヶ月以内の新生児から入手され得る。胎児サンプルは、例えば、母体からの羊水、または胎児血液の形態にて入手され得る。羊水は、好ましくは、例えば、20または22ゲージの針を連続的な超音波の案内の下で使用して、妊婦の子宮から引き抜かれる。胎児血液を入手するための方法は、Daffos,The Unborn Patient−Prenatal Diagnosis and Treatment(Harissonら(編),W.B.Sanders,Philadelphia,PA 1991)11章に記載されている。
【0032】
いくつかの方法において、複数のマーカーに対する複数の診断試験が、同じ患者に行われる。代表的には、複数の試験は、同じ組織サンプルの異なるアリコートで行われる。しかし、複数のアッセイもまた、同じ組織供給源の別々のサンプルで、または異なる組織供給源の複数のサンプルで行われ得る。例えば、1つのマーカーに対する試験は、血漿サンプルで行われ得、そして第2のマーカーに対する試験は、全血サンプルで行われる。いくつかの方法において、複数のサンプルは、異なる時点で同じ患者から入手される。このような方法において、複数のサンプルは、代表的には、同じ組織(例えば、全ての血漿)由来である。
【0033】
(VI.タンパク質アッセイ形式)
ポリペプチド検体(例えば、サポシン、α−グルコシダーゼおよびLAMP−1)は、検体に対して特異的な結合親和性を有する抗体または他の試薬を使用して、結合アッセイによってアッセイされ得る。簡潔には、検体を含むサンプルは、抗体または他の結合試薬とともにインキュベートされ、そして形成された複合体が、検出および定量される。抗体または他の結合試薬を試験サンプルとともにインキュベートするための条件は、このアッセイに用いられる形式、このアッセイに用いられる検出方法ならびに使用される結合試薬の型および性質に依存して変動する。市販されている免疫学的アッセイ形式のいずれか1つ(例えば、放射免疫アッセイ、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、拡散ベースのオークターロニー、ロケットゲル(rocket−gel)免疫電気泳動またはインサイチュハイブリダイゼーション)が、使用され得る。
【0034】
このようなアッセイ形式の例は、米国特許第3,791,932号;同第3,817,837号;同第3,839,153号;同第3,850,752号;同第3,850,578号;同第3,853,987号;同第3,867,517号;同第3,879,262号;同第3,901,654号;同第3,935,074号;同第3,984,533号;同第3,996,345号;動宇内4,034,074号;および同第4,098,876号;同第3,791,932号;同第3,839,153号;同第3,850,752号;同第3,879,262号;ならびに同第4,034,074号、同第4,016,043号、同第4,424,279号および同第4,018,653号において見出され得る。結果は、可視的なシグナルの簡単な観察による定量的なものであり得るか、または既知の量の検体を含むコントロールサンプルとの比較によって定量され得る。このアッセイのバリエーションとしては、同時アッセイ(ここでサンプルおよび標識された抗体の両方が結合した抗体に同時に添加される)、または逆アッセイ(ここで標識された抗体および試験されるサンプルが初めに組み合わされ、インキュベートされ、次いで結合された抗体に同時に添加される)が挙げられる。上記で使用される抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであり得る。
【0035】
固相アッセイにおける使用のための基質は、代表的には、ガラスまたはポリマーであり、最も一般的に使用されるポリマーは、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルクロリド、またはポリプロピレンである。固体支持体は、チューブ、ビーズ、ディスク、またはマイクロプレートの形態、あるいは免疫アッセイを行うに適切な任意の他の表面であり得る。結合試薬は、共有結合による架橋によって基質に結合され得る。結合プロセスは、一般に、分子を不溶性キャリアに、共有結合によって架橋すること、または物理的に吸着させることを包含する。
【0036】
このようなアッセイにおける使用のための標識としては、酵素、蛍光団または放射性核種含有分子(すなわち、放射性同位体)が挙げられる。酵素免疫アッセイの場合、酵素は、一般的には、グルタルアルデヒトまたは過ヨウ素酸塩によって抗体に結合体化される。一般的に使用される酵素としては、とりわけ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、およびアルカリホスファターゼが挙げられる。特定の酵素とともに使用される基質は、一般に、対応する酵素による加水分解の際の、検出可能な色の変化の発生について選択される。蛍光産物を生じる蛍光基質を用いることもまた、可能である。あるいは、蛍光化合物(例えば、フルオレセイン、Eu3+または他のランタニド金属、およびローダミン)は、抗体にその結合能を変更することなく化学的に結合され得る。特定の波長の光による照射により活性化される場合、蛍光色素で標識された抗体は、光エネルギーを吸収して、分子の励起状態、続いて光学顕微鏡で視覚的に検出可能な特有の色の光の放出を誘導する。ELISAのように、蛍光標識された抗体は、1次抗体−ハプテン複合体に結合させられる。非結合試薬を洗浄して除いた後に、次いで、残留している複合体を、適切な波長の光に曝して、蛍光を観察する。これにより、目的のハプテンの存在が示される。他のレポーター分子(例えば、化学発光分子または生物発光分子)もまた用いられ得る。
【0037】
(VII.タンパク質アッセイ形式における使用のための結合試薬)
上記の結合アッセイは、代表的には、結合試薬として抗体を使用して実行される。抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであり得る。非ヒト(例えば、マウス、ラットなど)のモノクローナル抗体の産生は、周知であり、そして例えば、検体ポリペプチド(例えば、サポシン、LAMP−1もしくはα−グルコシダーゼ)またはその免疫原性フラグメントを含む調製物(必要に応じて、アジュバントを含む)で動物を免疫することによって達成され得る。免疫された動物から得られた抗体産生細胞は、不死化され得、そして検体に結合する抗体の産生についてスクリーニングされ得る。Harlow & Lane,Antibodies,A Laboratory Manual(C.S.H.P.NY,1988)(全ての目的のために、その全体が参考として援用される)を参照のこと。ヒト抗体およびヒト化抗体もまた、作製され得るが、インビトロでの診断アッセイに関しては、げっ歯類抗体よりも優れてはいない。インタクトな抗体およびそれらの結合フラグメント(例えば、Fv、Fabおよび(Fab’))が、本発明の方法に使用され得る。
【0038】
他の適切な結合試薬が、適合性についてまたスクリーニングされ得るペプチドまたは他の化合物のランダムライブラリーからスクリーニングされ得る。コンビナトリアルライブラリーは、段階的な様式で合成され得る多くの型の化合物について産生され得る。このような化合物としては、ポリペプチド、β−ターン模倣物、ポリサッカリド、リン脂質、ホルモン、プロスタグランジン、ステロイド、芳香族化合物、複素環式化合物、ベンゾジアゼピン、N置換グリシンオリゴマーおよびオリゴカルバメートが挙げられる。化合物の大規模なコンビナトリアルライブラリーは、Affymax,WO95/12608,Affymax,WO93/06121,Columbia University,WO94/08051,Pharmacopeia,WO95/35503およびScripps,WO95/30642(これらの各々は、全ての目的のために参考として援用される)に記載されるコード合成ライブラリー(ESL)方法によって構築され得る。ペプチドライブラリーもまた、ファージディスプレイ方法によって作製され得る。例えば、Devlin,WO91/18980を参照のこと。
【0039】
(IX.mRNAアッセイ)
あるいは、またはタンパク質の分析に加えて、本発明は、サポシン、LAMP−1もしくはα−グルコシダーゼをコードするmRNA、またはその増幅産物の検出および定量に基づく診断方法を提供する。分析用のRNA転写物は、目的の遺伝子が発現している生物学的組織または生物学的流体から入手された生物学的サンプルから単離される。サンプルとしては、痰、血液、血球(例えば、白血球)、組織または微細な針による生検サンプル、尿、腹膜液、および胸膜液、あるいはこれらに由来する細胞が挙げられる。総mRNAを単離する方法は、Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biologyの第3章:Hybridisation With Nucleic Acid Probes,Part I.Theory and Nucleic Aicd Preparation、P.Tijssen(編).Elsevier,N.Y.(1993)およびLaboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biologyの第3章:Hybridisation With Nucleic Acid Probes,Part I.Theory and Nucleic Aicd Preparation、P.Tijssen(編).Elsevier,N.Y.(1993)に記載されている。
【0040】
しばしば、ハイブリダイゼーション前にRNAを増幅することが所望され得る。増幅産物は、一本鎖もしくは二本鎖のRNAもしくはDNAであり得る。1つの手順において、mRNAは、逆転写酵素、ならびにオリゴdT、およびファージT7プロモーターをコードする配列からなるプライマーを用いて逆転写され、一本鎖DNA鋳型を提供し得る。第2DNA鎖は、DNAポリメラーゼを使用してポリマー化され得る。二本鎖cDNAの合成後に、T7 RNAポリメラーゼを添加し、そしてRNAを、cDNA鋳型から転写する。各単一のcDNA鋳型からの首尾のよい回数の転写は、増幅されたRNAを生じる。あるいは、cDNAは、二本鎖アンプリコンを生成するために増幅され得、そしてアンプリコンの一方の鎖が、すなわち、ストレプトアビジンビーズ上への所望されない鎖の捕捉を可能にするビオチン化プライマーを使用して単離され得る。あるいは、非対称性PCRが、一本鎖標的を生成するために使用され得る。必要に応じて、増幅産物は、増幅中にまたはその後のいずれかに標識される。種々の異なる蛍光標識(フルオレセインおよびフィコエリトリンを含む)が、利用可能である。
【0041】
RNAまたはその増幅産物は、代表的には、相補プローブへのハイブリダイゼーションによって検出される。検体またはプローブのいずれかが、標識され得る。いくつかのアッセイ形式において、検体は固定化され、そして他の形式において、プローブが固定化される。必要に応じて、複数の検体に対するプローブが、同じ支持体上に固定化され、そして複数の検体が、同時に検出および定量される。プローブアレイを使用する、転写物の分析および定量のための方法は、WO96/14839およびWO97/01603に詳細に記載されている。
【0042】
(X.診断方法およびモニター方法)
上記のサポシン、LAMP−1およびα−グルコシダーゼのレベルの分析は、少なくとも2つの主な適用を有する。第1に、このような分析は、リソソーム貯蔵疾患を有すると既にはっきりと特徴付けられていない患者を診断することにおいて有用である。サポシン、LAMP−1およびα−グルコシダーゼのレベルの分析は、患者がこのような疾患に罹患しているか、またはこのような疾患に対して感受性であるか、もしくはこの疾患の危険性があるという指標を提供する。異なるマーカーの相対レベルはまた、時折、特定のリソソーム貯蔵障害または障害のサブセットが存在するという指標を提供する(表1を参照のこと)。
【0043】
【表1】

表1は、種々のリソソーム貯蔵障害と4つのサポシンマーカー、Lamp−1およびα−グルコシダーゼとの間の相関性を示す。記号++は、強い正の相関を示す(すなわち、この障害を患う患者のうち少なくとも80%が、コントロール集団の少なくとも95百分位数(95th percentile)のマーカーレベルを有する)。記号+は、より低いがなお正の相関を示す(すなわち、この障害を患う患者のうち少なくとも40%が、コントロール集団のすくなくとも95百分位数のマーカーレベルを有する)。記号「−」は、マーカーレベルと疾患の存在との間の負の相関を示す。記号「O」は、他の測定されたレベルに対して使用される。記号「ND」は、決定されていないことを意味する。
【0044】
この表は、ゴシェ病が、試験した6つ全てのマーカーに対して強い正の相関を示す唯一のリソソーム貯蔵障害であることを示す。多数の疾患は、少なくとも1つのサポシンおよびLamp−1について強い正の相関を示した。これらの疾患は、ゴシェ病に加えて、GM−1ガングリオシドーシス、I細胞病、MPS I、MPS II、多発性スルファターゼ欠損症、ザントホフ病およびテイ−サックス病(A/B)であった。これらの疾患のうちのいくつかは、少なくとも1つのサポシンについて強い正の相関を示したが、LAMP−1については強い正の相関を示さなかった。これらの疾患は、ニーマン−ピック病(A/B)および.ニーマン−ピック病C、ポーンプ病ならびにシアル酸貯蔵疾患であった。他の疾患は、Lamp−1について強い正の相関を示したが、サポシンのいずれにも強い正の相関を示さなかった。これらの疾患は、ガラクトシアリドーシス、α−マンノシドーシス、MPS IIIA、MPS IIIB、MPS II、MPS
IIIC、MPS IIID、MPS IVA、およびMPS VIを含んだ。従って、患者において示されるいくつかまたは全てのマーカーのレベルを試験して、そして表1または同様の表に示される相関と比較することによって、特定の疾患または疾患のサブセットを有するとして患者を分類することが可能である。
【0045】
上記の診断試験は、リソソーム貯蔵障害に罹患していない患者のコントロール集団において決定されたベースラインレベルと、患者の検体の測定されたレベルとを比較することによって行われる。患者において測定されたレベルと罹患していないヒトにおけるベースラインレベルとの間の有意な逸脱は、診断試験の正の結果の合図である。測定値が、個体と実験誤差との間の固有の変動に起因して、罹患していない個体において代表的に観察される範囲の外側に入る場合、逸脱が有意であるとみなされる。例えば、測定レベルが、コントロール集団におけるレベルの平均+一定の標準偏差に入らない場合、逸脱が有意であるとみなされ得る。いくつかの方法において、測定レベルとコントロールレベルとの間の逸脱は、測定レベルがコントロール集団の少なくとも75、80または95百分位数のレベルである場合に、有意であると判定される。言い換えると、患者における測定レベルは、正常な個体のうち50%、25%、20%または5%のみで生じる。検体の測定レベルがコントロール集団のベースラインレベルと有意に異ならない場合、診断試験の結果は、陰性であるとみなされる。
【0046】
サポシンおよびLamp−1に関して、陽性の結果が、代表的には、過剰の正常レベルにおける測定レベルによって示される。α−マンノシドーシスに関して、陽性の結果が、ベースラインを超えるレベルまたはベースライン未満のレベルのいずれかの測定レベルによって示され得る。α−グルコシダーゼの測定レベルが、ベースラインレベルを超えるかまたはそれ未満であるかは、リソソーム貯蔵障害に罹患している患者のサブタイプを示す(表1を参照のこと)。測定値とコントロール集団のベースライン値との間の逸脱の程度はまた、診断の潜在的な正確性、および/または患者が罹患している疾患の重篤度の指標を提供する。
【0047】
診断試験が陽性の結果を与える場合に、患者は、リソソーム貯蔵障害に感受性であるか、またはこの障害の危険性があると最低でも示される。次いで、患者は、代表的には、さらなる試験またはスクリーニングに供される。このような試験またはスクリーニングは、まだ試験していないリソソーム貯蔵障害と相関するさらなる検体の分析を含み得る。このようなスクリーニングはまた、特定のリソソーム貯蔵障害と関連する酵素の欠損について生化学試験を行う工程を包含する。このようなアッセイは、代表的には、患者由来の尿、血液および皮膚線維芽細胞に対して行われる(Schriverら、前出)。例えば、αグルコシダーゼは、4−メチル−ウンベリフェリル−α−D−グルコピラノシドを基質として使用してアッセイされ得る(Van der Ploegら、Ped.Res.24:90〜94(1988)を参照のこと)。さらなる試験はまた、リソソーム貯蔵障害の臨床上の症状(これは、小人症、角膜の混濁、肝脾腫大症、弁病変、冠状動脈の病変、骨格の変形、関節の硬直および進行性の精神遅滞のうちの1以上を含む)についてモニターする工程を包含し得る。さらなるスクリーニングもまた、リソソーム貯蔵障害を患う関連する家族のメンバーについての家族の病歴の分析、および/またはリソソーム貯蔵障害に関連する多型について患者からの、このような障害と関連する酵素をコードするDNAの遺伝子分析を含む(例えば、米国5,266,459)。1以上のこれらのスクリーニングアッセイの結果として、検体レベルに基づく最初の診断が、確認され得、(またはそうでなければ)、そして特定のリソソーム貯蔵障害に罹患している患者が、同定され得る。
【0048】
次いで、特定のリソソーム貯蔵障害を有すると同定された患者は、代表的には、この障害の処置を投与される。処置は、代表的には、特定の障害において損なわれるかまたは欠損している酵素を使用する、酵素置換療法の形式である。例えば、ポーンプ病は、同時継続出願USSN08/700,760(1996年7月29日出願)に記載されるようにα−グルコシダーゼで処置され得る。さらなる例としては、ゴシェ病は、グルコセンドロシダーゼ(glucocendorosidase)を用いて処置され得る(例えば、米国5,879,680を参照のこと)。
【0049】
本方法の第2の主な適用は、リソソーム貯蔵障害の処置を受けている患者の状態をモニターすることによる。首尾のよい処置結果は、検体(例えば、サポシン、Lamp−1、およびα−グルコシダーゼ)の異常なレベルから正常なレベルへの回復によって示される。代表的には、このような方法は、患者が処置を受ける前に、検体レベルについての初期値を測定する。次いで、繰り返しの測定が、経時的になされる。コントロール集団における平均レベルに対して初期レベルが評価される場合、その後の測定におけるレベルの有意な減少は、余生の処置結果を示す。同様に、検体の初期レベルが、コントロール集団の平均に対して減少している場合、初期レベルに対する測定レベルにおける有意な増大は、陽性の処置結果の合図である。その後に測定されたレベルが、初期レベルの繰り返しの測定の平均から一定の標準偏差程度を超えて異なる場合に、その後に測定されたレベルは、初期レベルに対して有意な変化を有するとみなされる。モニターすることによって陽性の処置結果が示される場合には、同じ処置レジメンが、継続され得るか、または低用量の処置レジメンに交換され得る。モニターすることによって陰性の処置結果が示される場合には、先行する処置レジメンは、代表的には、異なる治療剤の使用または以前の薬剤の投薬量の増加のいずれかに改変される。
【0050】
(XII.診断キット)
本発明はさらに、上記の方法に使用するための試薬を含む診断キットを提供する。代表的には、このようなキットは、サポシン、Lampまたはα−グルコシダーゼに特異的に結合する、少なくとも1つの試薬を含む。いくつかのキットは、異なる検体に特異的に結合する複数の試薬を含む。例えば、キットは、サポシンに特異的に結合する試薬、Lamp−1に特異的に結合する試薬、およびα−グルコシダーゼに特異的に結合する試薬を含み得る。いくつかのキットは、2以上の異なるサポシンに対する複数の異なる試薬を含む。例えば、いくつかのキットは、他のサポシンに結合することなくサポシンAに結合する試薬、他のサポシンに結合することなくサポシンCに結合する試薬、および他のサポシンに結合することなくサポシンDに結合する試薬を含む。この試薬は、代表的には、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であるが、上記のような他の結合剤であり得る。いくつかのキットにおいて、結合剤は、固相に固定化されて提供される。いくつかのキットは、マイクロタイターディッシュのウェルに固定化された結合試薬を提供する。いくつかのキットはさらに、シグナルのレベルと検体の濃度とを相関付けるキットの較正に使用するためのキットによって、検出される検体のサンプルを含む。いくつかのキットはまた、上記のような1つの標識を含む。例えば、標識は、標識された抗イディオタイプ抗体の形態であり得る。キットはまた、代表的には、標識、または上記の診断アッセイの実行方法および/もしくはそれによって得られた結果を解釈する方法を記載する説明書を含む。
【実施例】
【0051】
(実施例)
(1.リソソーム貯蔵疾患に対するマーカーとしてのサポシン)
本実施例は、罹患していない個体およびLSDに罹患している個体から採取された血漿サンプル中のこれらのタンパク質レベルを決定することによって、LSDのスクリーニングマーカーとしての、サポシンA、B、CおよびDの適合性を示す。
【0052】
(材料および方法)
(患者サンプル)
使用された血漿サンプルは、LSDスクリーニングおよび慣用的な生化学のための処理のために、National Referral Laboratory(Women’s and Childern’s Hospital,Adelaide,Australia)に提出されたサンプルに由来した。分画研究のための全血サンプルを、実験室内の健康な志願者から得た。
【0053】
(ポリクローナル抗体)
抗サポシンA、B、CおよびDポリクローナル抗体を産生して、そして以前に記載されたように特徴付けした[15]。各抗体を2−mL HitrapTMProtein Gカラム(Pharmacia Biotech,Uppsala,Sweden)で精製して、そして280nmでの吸光度(1.0g/Lに対して吸光度=1.4)によって定量した。
【0054】
(ポリクローナル抗体のユーロピウム標識)
精製された抗サポシンポリクローナル抗体を、DELFIA(登録商標)標識キット(Wallac,North Ryde,Australia)を使用して、Eu3+ランタニドで標識した。標識された抗体を、1.5×30cm Superose 12 fast−phase液体クロマトグラフィーカラム(Pharmacia Biotech,Uppsala,Sweden)で以前に記載されたように精製した[13]。各抗体分子に結合体化したEu3+の量を、1nMEu3+標準溶液に比較して、既知の抗体の濃度の蛍光によって決定した。
【0055】
(キャリブレータ(calibrator)および品質コントロール標準物の調製)
サポシンの免疫定量のための液体キャリブレータを、精製されたサポシンA、B、CおよびDタンパク質を使用して調製した[20]。精製されたサポシンAタンパク質を、DELFIA(登録商標)アッセイ緩衝液中に希釈して、最終濃度2.43、1.21、0.61、0.3および0.15μg/Lを得た。サポシンA免疫定量アッセイに関しては、低品質コントロール標準物および高品質コントロール標準物を、それぞれ0.24および2.43μg/LにサポシンAタンパク質を希釈することによって調製した。精製されたサポシンBタンパク質を、同じ緩衝液中に希釈して、最終濃度6.78、3.34、1.67、0.83および0.42μg/Lを得た。サポシンB免疫定量アッセイに関しては、低品質コントロール標準物および高品質コントロール標準物を、それぞれ0.67および6.78μg/LにサポシンBタンパク質を希釈することによって調製した。精製されたサポシンCタンパク質を希釈して、最終濃度1.88、0.94、0.47および0.24μg/Lを得た。サポシンC免疫定量アッセイに関しては、低品質コントロール標準物および高品質コントロール標準物を、それぞれ0.47および1.88μg/LにサポシンCタンパク質を希釈することによって調製した。精製されたサポシンDタンパク質を希釈して、最終濃度0.92、0.46、0.23および0.11μg/Lを得た。サポシンD免疫定量アッセイに関しては、低品質コントロール標準物および高品質コントロール標準物を、それぞれ0.23および0.92μg/LにサポシンDタンパク質を希釈することによって調製した。
【0056】
サポシンCおよびDについてのキャリブレータおよびコントロールに、アッセイされているサンプルに等容量のコントロール血漿サンプルを補充して、サポシンCおよびDアッセイに対する血漿の阻害効果を補正した。全ての液体サポシンキャリブレータおよびコントロールを、4℃で保存した。
【0057】
(サポシンの免疫定量)
サポシンの決定を、時間遅延型蛍光免疫アッセイを使用して行った。このアッセイ形式の基礎は、以前に概略されている[13]。マイクロタイタープレート(Immulon 4;Dynatech Labs,Chantilly,VA)を、抗サポシンポリクローナル抗体(0.1M NaHCO(pH8.8)中に2.5mg/Lに希釈、100μL/ウェル)で、4℃で一晩コーティングして、そしてDELFIA(登録商標)洗浄緩衝液で予備洗浄(×1)した。サンプルをDELFIA(登録商標)洗浄緩衝液(100μL/ウェル)中に希釈して、20℃で10分間振盪して、そしてインキュベート(4℃で4時間)した。次いで、プレートを洗浄(×6)して、Eu−標識抗サポシンポリクローナル抗体を添加して(DELFIA(登録商標)アッセイ緩衝液中に0.25mg/Lに希釈、100μL/ウェル)、そしてインキュベートした(4℃で一晩)。プレートを洗浄して(×6)、次いでDELFIA(登録商標)増強溶液(200μL)を各ウェルに添加して、そしてプレートを振盪した(2℃で10分間)。蛍光をWallac 1234 DELFIA(登録商標)Research Fluorometerで読み取った。各サポシンアッセイに関して、対応するサポシンキャリブレータを、無作為に分散された品質コントロールを含むマイクロタイタープレートの第1列にわたって配置した。全てのサポシンキャリブレータ、品質コントロールおよびサンプルを、二連でアッセイした。サポシン濃度を、線形回帰を使用して算定した。
【0058】
(全血の分画)
6つのコントロール個体由来の全血サンプルを、以前に記載されたように、血漿、白血球および赤血球に分画した[21]。
【0059】
(結果)
(サポシン免疫定量アッセイの最適化)
抗サポシンポリクローナル抗体のユーロピウム標識は、各抗体分子に結合した4〜7個のEu3+原子を伴って75〜100%の範囲の回収を生じた。免疫定量アッセイの最終パラメータを、試験した異なる条件下で一連の較正曲線を生成することによって最適化した。最適化されたパラメータとしては、コーティング抗体およびEu−標識された抗体の濃度、ならびに抗体およびサンプルのインキュベーション時間が挙げられた。費用、時間の最小化、および各アッセイの再現性を、最終アッセイ条件を選択したときに考慮した。
【0060】
最適化されたサポシンA、BおよびCの較正曲線は、標準範囲に対して線形の応答を生じたが(R>0.99)、サポシンDの較正曲線は、減少した線形範囲を有した(R=0.9575)(図1)。コントロール血漿をサポシンCおよびD較正曲線に添加した場合、シグナル強度の減少を観察した。2μLの血漿は、20%の減少を生じた。サポシンCおよびDの免疫定量アッセイに対する血漿の阻害効果を補正するために、アッセイされている血漿に対して等容量のコントロール血漿を、キャリブレータに添加した。LSD罹患血漿はコントロール血漿と同じ様式でこのアッセイを阻害し、従ってコントロール血漿のみがキャリブレータをスパイクするために使用されたという仮説をたてた。
【0061】
(コントロールおよびLSDに罹患した個体の血漿中のサポシンレベル)
LSDについての新生児スクリーニングのマーカーとして各サポシンの適合性を評価するために、サポシンA、B、CおよびDのレベルを、111人のコントロール個体(中央年齢=7、範囲0〜66)由来、および28の異なる障害を示す、334人のLSDに罹患した個体由来の血漿サンプルにおいて決定した(表1)。コントロール集団のサポシン濃度の95百分位点(95th centile)を、このレベルを超えて上昇した血漿サポシンを有するLSDに罹患した個体の集団全体とともに表1に示す。サポシンA、CおよびDのレベルは、コントロール集団の血漿サンプルでは厳密な分布を示したが、一方、広範な範囲のサポシンBレベルを観察した(図2)。かなりの割合のLSDに罹患した個体が、コントロール集団の95百分位点を超えるサポシンレベルを有し、ここで数人の個体は、コントロール集団の中央濃度の10倍までの上昇を有することが見出された。28の障害のうちの15は、コントロール集団の95百分位点を超える、1以上のサポシンレベルを有する80%を超える個体を有した。
【0062】
【表2】

全てのサポシンアッセイは、17〜24の範囲の複製(replicate)数で行われた各アッセイに対するアッセイ間の変動係数を決定するために、低品質コントロール標準物および高品質コントロール標準物を含んだ。低品質コントロール標準物および高品質コントロール標準物の両方のサポシンAアッセイの変動係数は、10%未満であった。サポシンB、CおよびDアッセイは、高品質コントロール標準物については10%未満の変動係数、および低品質コントロール係数については15〜20%の変動係数を生じた。別々の実験を行い、ここで高標準物および低標準物の24連のサンプルを、単一のプレート上でアッセイして、アッセイ間の変動係数を算定した。低品質コントロール標準物については6〜16%の範囲の値を得て、そして高品質コントロール標準物については10%未満の値を得た。
【0063】
同じ血漿サンプル中のLAMP−1レベルは、以前にアッセイされているので[13]、サポシンレベルとLAMP−1レベルとの間の直接的な比較を行い得た。ピヤソン相関を使用して、サポシンBがサポシンCおよびDレベルの両方と低い相関性を示した(表3)ということを除いて、全てのサポシンの間で強い相関(p<0.01)を観察した。サポシンとLAMP−1との間に弱い相関(p<0.05)が観察され、そしてコントロール集団においてサポシン濃度と年齢との間には相関性がみられなかった。
【0064】
【表3】

(白血球におけるサポシンレベル)
6人の罹患していない個体由来の全血サンプルを分画して、そして血漿、白血球および赤血球におけるサポシンの分布を決定した(表3)。白血球における優勢なサポシンはサポシンD(濃度75μg/L)であることが見出され、一方、より高い割合(77%)のサポシンBが、他のサポシンと比較して血漿画分に見出された。血漿、白血球および赤血球におけるサポシンA、CおよびDの分布は、比較的等しい。
【0065】
【表4】

(考察)
59%の患者において、サポシンAが、コントロール集団の95百分位点を超えて上昇することが見出され、そしてサポシンB、CおよびDは、それぞれ、25%、61%および75%の患者で上昇した(表1)。本発明者らの研究において28の示される障害のうち、6群におけるサポシンAレベルが、コントロール群の95百分位点を超える80%よりも多くの個体を有し、サポシンBは、2つの群において増大し、そしてサポシンCおよびDは、10の群において各々上昇した(表2)。28のうちの15のLSD群において80%よりも多くの個体で同定されたサポシンとともに、これらのうち6つ(すなわち、シスチン症、ファブリー病、ニーマン−ピック病(A/B型およびC型)、ポーンプ病、およびウォルマン病)が、LAMP−1で上昇したことが以前に観察されなかった[13]。Lamp−1に関して上昇しなかった残りのLSD(クラッベ病、異染性白質萎縮症、およびテイ−サックス病)は、サポシンレベルの増大を示すかなりの数の患者(44〜71%)を有した(表2)。約85%のLSDに罹患した個体が、LAMP−1およびサポシンの両方をスクリーニングマーカーとして使用して検出され得る。
【0066】
スフィンゴ脂質またはスフィンゴ脂質誘導体を貯蔵するLSD群と、サポシンレベルの増大を示したLSD群との間には、相関性が存在した。例えば、スフィンゴ脂質が貯蔵されるニーマン−ピック病(A/B型およびC型)は、全てのサポシンの上昇を示した。しかし、研究したMPS群のうちMPS IIのみが、サポシンCの上昇を示した。サポシンはまた、脱髄障害(例えば、MLDおよびクラッベ病)において上昇しなかった。従って、種々のLSD群で観察されたサポシンの上昇は、貯蔵に関与する組織および貯蔵される基質の型に関係し得る。さらに、サポシン増加の程度はまた、個体の重篤度を反映し得る。
【0067】
LSD群由来の血漿中の個々のサポシンレベルの比率もまた、試験して、そしてコントロール集団に比較して、この比率の値が良好なLSD検出パラメータであるか否かを決定した。しかし、サポシン間の強い相関(表3)は、個々のサポシンよりも低い推定値を生じる任意の2つのサポシンの比率を生じた。
【0068】
サポシンBは、コントロール個体の血漿中でかなり最も優勢なサポシンであった(表2)。サポシンA,CおよびD(それぞれ、38、23および30%)と比較してより高い割合のサポシンB(77%)が、血漿画分中に見出された。サポシンDは、全血中で優勢なサポシン(75μg/L)である。サポシンは同じ前駆体を起源とするので、それらの合成速度は等しいはずである。従って、観察された異なるレベルは、おそらく、異なる半減期から生じ、ここでサポシンDは、細胞中でより長い半減期を有し、そしてサポシンBは血漿中でより長い半減期を有した。
【0069】
(実施例2)
血漿サンプルを、サポシン研究について記載されたのと同じ技術を使用する免疫定量アッセイによってα−グルコシダーゼタンパク質についてアッセイした。結果を、図3において囲いのプロットとして表す。結果をまた、表5に示す。この表5は、各障害の群における中央レベル、およびコントロール集団の95百分位点を超えて上昇したα−グルコシダーゼレベルを有する患者の%を示す。患者の55%全体が、α−グルコシダーゼの上昇を示した。全てのポーンプ患者は、コントロール集団の5百分位点未満のα−グルコシダーゼレベルを示した。
【0070】
従って、α−グルコシダーゼは、血漿血清または全血中のこのタンパク質のレベルにおける上昇または減少のいずれかを検出することにより、一定範囲のLSDの検出のために有用なマーカーである。
【0071】
【表5】

(実施例3)
図2に示される実験を、サポシンCに対するモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体の組合せを使用して、いくつかのサンプルについて繰り返した。マイクロリッタープレートを、モノクローナル抗体7B2(4mg/L、16時間、4℃)でコーティングして、洗浄して、次いでアッセイ緩衝液中で血漿サンプル(2μL)とともにインキュベートした(6時間、4℃)。このプレートを再度洗浄して、次いで示されるような液相ユーロピウム標識抗体を500μg/mLでインキュベートした(6時間、4℃)。このプレートを洗浄して、そして増強緩衝液(200μL/ウェル)で発色させ、そして蛍光を読み取った。サポシンCの濃度を、組換えサポシンCを使用した較正曲線に基づいて算定した。
【0072】
【表6】

7B2抗体は、捕捉工程のポリクローナル血清と同様に挙動した。しかし、3A1抗体は、コントロールサンプルとの反応性の減少、ゴシェ病サンプルとの反応性の減少、ならびに異染性白質萎縮症およびニューロン性セロイド脂褐素沈着症のサンプルとの反応性の増加を示した。これらの結果は、免疫学的に識別可能なサポシンCの複数のサブタイプが存在することを示す。
【0073】
サポシンA、B、CおよびDの4つのクラス全体における免疫学的に識別可能なサブタイプの存在は、サブタイプに特異的なモノクローナル抗体を使用する、より感度のよい診断アッセイを可能にする。例えば、モノクローナル抗体3A1の使用は、コントロールに対する、異染性白質萎縮症およびニューロン性セロイド脂褐素沈着症サンプルのサポシンCレベルの上昇を検出するための感度の改善を提供する。任意のサポシンに対する他のモノクローナルは、上記の手順を使用して、コントロールに対する感度の増大について試験され得る。
【0074】
いくつかの方法において、1次スクリーニングを、1以上のサポシンに対するポリクローナル血清、およびサンプルを使用して行い、それによって同定された保障となるさらなる調査を、モノクローナル抗体を用いる二次スクリーニングに供する。いくつかの方法において、二次スクリーニングに使用されるモノクローナルを選択する。なぜなら、それらは、1次スクリーニングにより示唆される特定の疾患状態におけるサポシンの検出において感度の増強を示すからである。いくつかの方法において、サンプルを、同じサポシン型(例えば、サポシンC)を結合するが、この分類の異なるサブタイプに特異的に結合する、複数のモノクローナルを用いて試験する。特定のサブタイプに特異的なモノクローナル抗体(例えば、3A1)を使用することによって、減少したシグナルとコントロールの患者との間のより高いレベルでの識別を達成することが可能になり、このことは、このアッセイの正確性を増大させる。
【0075】
(参考文献)
【0076】
【表7】


前述の発明は、理解を明解にする目的のために詳細に記載されているが、特定の改変が添付の特許請求の範囲内で行われ得ることが明らかである。本明細書中に引用される全ての刊行物および特許文献は、各々がそのように個別に示されるのと同じ程度に、全ての目的のためにそれらの全体において、本明細書によって参考として援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。

【図1】
image rotate

【図2−1】
image rotate

【図2−2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−139511(P2010−139511A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49695(P2010−49695)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【分割の表示】特願2000−605213(P2000−605213)の分割
【原出願日】平成12年3月17日(2000.3.17)
【出願人】(399031609)チルドレン・ユース・アンド・ウィメンズ・ヘルス・サービス・インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】Children, Youth and Women’s Health Service Incorporated
【Fターム(参考)】