サラシア属植物の葉の粉砕物を配合した麺類
【課題】色素の安定性が優れ、麺類の製造特性および香味特性に適した植物の葉の粉砕物を配合することによって、緑色が美しく、紫外線に対して退色せず、歯ごたえがよく、香味性に優れた緑色麺類を提供すること。
【解決手段】サラシア属植物の葉の粉砕物を配合したことを特徴とする緑色麺類であり、サラシア属植物が、サラシア レティキュラータ(Salacia reticulata)あるいはサラシア オブロンガ(Salacia oblonga)であり、麺類として、パスタ(スパゲッティ、リングイネ、フェットチーネ、タニアテッレ、マカロニ、ペンネ、ラザニア)、そば、うどん、きしめん、中華麺等の形態にある緑色麺類である。
【解決手段】サラシア属植物の葉の粉砕物を配合したことを特徴とする緑色麺類であり、サラシア属植物が、サラシア レティキュラータ(Salacia reticulata)あるいはサラシア オブロンガ(Salacia oblonga)であり、麺類として、パスタ(スパゲッティ、リングイネ、フェットチーネ、タニアテッレ、マカロニ、ペンネ、ラザニア)、そば、うどん、きしめん、中華麺等の形態にある緑色麺類である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の葉の粉末を含有する着色麺類、特に緑色麺類に関わり、詳細には、色素の安定性に優れ、麺類の製造特性および香味特性に適した物性を持ち、歯ごたえがよく、香味性に優れた緑色麺類に関する。
【背景技術】
【0002】
茶蕎麦などの抹茶を含有する着色麺類は、麺類中に添加された抹茶に由来する鮮やかな緑色と、良好な風味を有するものとして、愛好家に広く食されている。
また、緑色は「安全」、「自然」をイメージさせるものであり、食品には必要な色調であり、特に、明るい黄緑色は食欲をそそる色調と言われている。したがって、茶蕎麦のみならず、天然色素を含有する物質を添加して緑色麺類を製造しようとする種々の試みがなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、海産の紅藻類の一種である布海苔を特殊加工したものを添加した緑色うどんの製造法が開示されており、特許文献2には、笹の葉入り麺の製造法が開示されており、特許文献3には、低温・攪拌で熟成することを特徴とする緑色麺類の製造法が開示されており、特許文献4には茶葉入りうどんの製造法が、また、特許文献5には蕗粉末およびその粉末を入れた麺類の製造法が開示されている。
【0004】
このように、植物の葉には緑色の本体である葉緑素以外にも、ミネラル、食物繊維、ポリフェノールなどが豊富に含まれているために健康イメージもあり、植物葉を混合して緑色麺類を製造しようとする種々の試みがなされている。
しかしながら、植物葉を用いて麺類を製造した場合においては、従来、緑色麺類の安定な緑色を確保することと、良好な食感の麺類を得ることの二つの問題を同時に満足させるものが少なかった。
【0005】
そのため、植物葉の本来保有する緑色の色調に加えて、さらに色調を強化する目的のために人為的に加工段階で着色料(たとえば、クチナシの実由来の色素)を添加するなどの工夫がなされている。また、着色剤を用いること自体が消費者から好まれない傾向にあることから、例えば、茶蕎麦にリン酸ナトリウムを加える方法(特許文献6)や、緑色野菜をブランチング(湯通し)した後、アルカリ液に浸漬するなどで緑色を維持させる処理方法(特許文献7)などが提案されている。
【0006】
着色剤を人為的に添加する方法は、植物葉本来の色素ではないものを緑色麺類として食することになり、その色調と色度を指標に摂取した消費者に誤った情報を提供することになる。また、リン酸ナトリウムを添加する方法、あるいはアルカリ液に浸漬する方法によって得られた麺類は、アルカリ度が高く食味を損なうアルカリ領域になっている。
したがって、調理などの工程で、水洗、茹でなどの操作を行い、アルカリ度を低くする必要がある。また、植物葉の収斂性や苦みが強すぎる場合には、その混合量も抑えられるため着色料の添加が必要となるし、パサパサしすぎる場合には、麺類に歯ごたえを付与するためにツナギのためにさらに食品素材の添加が必要になる。
【0007】
ところで、植物葉は、種々の成分が豊富に含まれている一方、多量に植物葉の粉末を混合して緑色麺類を製造した場合には、麺類の収斂性や苦みが強くなること、更には麺類自体がパサパサして歯ごたえがなくなること等、嗜好性に悪影響を及ぼす問題点も指摘されている。
したがって、植物の葉の粉砕物を配合した場合であっても、植物の葉が有する緑色を維持し、緑色が美しく、紫外線に対して退色せず、歯ごたえがよく、香味性に優れた緑色麺類の提供が期待されている。
【0008】
【特許文献1】特開昭56−109559号公報
【特許文献2】特開昭58−013357号公報
【特許文献3】特開昭62−107759号公報
【特許文献4】特開2002−238482号公報
【特許文献5】特開2003−047428号公報
【特許文献6】特開平03−015354号公報
【特許文献7】特開昭61−047141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はかかる現状を鑑み、色素の安定性が優れ、麺類の製造特性および香味特性に適した植物の葉の粉砕物を配合することによって、緑色が美しく、紫外線に対して退色せず、歯ごたえがよく、香味性に優れた緑色麺類を提供することを課題とする。
【0010】
かかる課題を解決するために本発明者等は鋭意検討を行い、色調が鮮やかな黄緑であること、製造時・飲食時の加圧・加熱操作で変色しないこと、紫外線などに対しても退色しにくいこと、香が強すぎないこと、味の収斂性が高濃度でも弱いこと、麺類に多量の植物葉を添加しても生地がパサパサにならないことの観点で種々の植物葉を評価した結果、植物の葉として、サラシア属植物の葉を使用し、その葉の粉砕物を配合することによって製造した麺類は、緑色が明るく鮮やかで、製造時・飲食時の捏ね、茹でなどの加圧・加熱操作でも変色することがなく、また、紫外線に対して退色せず、歯ごたえがよく、香味性に優れていることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって本発明は、その基本的態様として、サラシア属植物の葉の粉砕物を配合したことを特徴とする緑色麺類である。
【0012】
具体的には、本発明は、サラシア属植物が、サラシア レティキュラータ(Salacia reticulata)あるいはサラシア オブロンガ(Salacia oblonga)であることを特徴とする緑色麺類である。
【0013】
さらに具体的には、本発明は、その麺類が、パスタ(スパゲッティ、リングイネ、フェットチーネ、タニアテッレ、マカロニ、ペンネ、ラザニア)、そば、うどん、きしめん、中華麺から選択されるものであることを特徴とする緑色麺類である。
【発明の効果】
【0014】
本発明により提供される緑色麺類は、緑色が美しく、製造時・飲食時の捏ね、茹でなどの加圧・加熱操作でも変色せず、紫外線に対して退色せず、歯ごたえがよく、香味性に優れている。したがって、本発明により、食感に優れた種々の緑色麺類が提供され、嗜好家の要望を満足させるものである。
【0015】
特に本発明は、色調が鮮やかな黄緑を有する麺類であり、製造時・飲食時の捏ね、茹でなどの加圧・加熱操作でも褐変などの変色をせず、紫外線などに対しても退色しにくく、香も強すぎることがないこと、サラシア属植物の葉を使用したものであり、かかるサラシア属植物の葉の粉砕物を配合した麺類とすることで、味の収斂性が高濃度でも弱く、麺類生地がパサパサにならないこと等の利点を有するものである。
したがって、本発明は、植物葉以外の緑色色素を添加せずに緑色麺類を製造すること、および植物葉を高濃度含有する緑色麺類を製造することを可能にするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、上記したように、その基本は、サラシア属植物の葉の粉砕物を配合したことを特徴とする緑色麺類である。
すなわち、本発明は、サラシア属植物の葉を乾燥して、粉砕したものを麺原料に混合し、製麺することにより得られた緑色麺類である。
【0017】
本発明において、麺類の原料に配合する葉の粉砕物のもととなるサラシア属植物としては、特に、サラシア レティキュラータ(Salasia reticulata)、及びサラシア オブロンガ(Salasia oblonga)の葉が適している。
葉の粉砕物としては、微粉砕物であっても、荒粉砕物であってもよい。すなわち、微粉砕物は100メッシュの篩を通過するごく微粉末であり、荒粉砕物は目視で葉の切片が確認できる程度の、例えば、約10mm四方のものであり、本発明にあってはこの範囲内におけるどの粉砕物を使用しても、目的とする緑色麺類を製造することができる。
また、本発明において、サラシア属植物の葉とともに、サラシア属植物の根や幹などが混合していてもよい。
【0018】
本発明にいう麺類とは、特に限定されるものではない。一般的に麺類と称される各種のものが挙げられ、具体的には、パスタ、そば、うどん、きしめん、中華麺等およびこれらを乾燥したもの、さらには即席麺としたもの全てを包含する。また、パスタとは、スパゲッティ、リングイネ、フェットチーネ、タニアテッレ、マカロニ、ペンネ、ラザニアなどを包含する。
また、本発明の麺類は、生麺類、乾燥麺類、半乾燥麺類、茹麺類、蒸麺類、冷凍麺類などのいずれの形態であってもよい。
【0019】
本発明において、サラシア属植物の葉を含有する物質以外に使用する原料としては通常の麺類の製造に用いられる穀粉類でよく、例えば、小麦粉、そば粉、でん粉粉のでん粉、食塩、かんすい、酒精、みず等が用いられる。
穀粉類として、より具体的には、小麦粉、蕎麦粉、未加工澱粉類、加工澱粉類、米粉、大麦粉、大豆粉等等を挙げることができる。小麦粉としては強力粉、中力粉、薄力粉のいずれであってもよいが、強力粉が好ましく使用される。
【0020】
なお、本発明の麺類を調製するには、麺類の種類に応じて、上記した麺類の原料としての粉以外の副原料或いは添加剤として、従来から用いられている例えば、食塩、卵又は卵粉末、山芋又は山芋粉、布海苔など、更にはアミノ酸などの栄養強化剤、ビタミン、ミネラル類などを適宜添加して使用することもできる、
【0021】
サラシア属植物の粉砕物は、サラシア属植物の葉を採取後、よく洗浄した後、乾燥させたものを用いるのがよい。乾燥は、自然乾燥でも人工乾燥でも構わないが、人工乾燥の場合には、過度に高温になることを避ける必要がある。乾燥温度としては、120℃以下、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下であることが望ましい。乾燥した葉を粉砕するが、この粉砕は、通常の乾燥粉砕機での粉砕でも支障はないが、目的とする粉砕物の大きさによって粉砕法を選択することができる。例えば、微粉末を得るにはボールミル粉砕機、荒粉砕物を得るには荒粉砕専用機などを挙げることができる。粉砕物は、気流式殺菌機で殺菌後、篩にかけた後、金属探知等により不純物の除外等を行ったうえで、使用に供せられる。
【0022】
かくして得られたサラシア属植物の葉の粉砕物は、きわめて鮮明な明るい緑色を呈し、色調は安定であり、原料と共に捏ねる製造工程、および茹でなどの加熱操作段階でも変色しにくく、紫外線のもとでも退色しにくい。また、香味もまろやかで、強い収斂性は感じられないものである。
サラシア属植物葉の麺類への添加量は、麺類の原料に対して0.1重量%〜20重量%程度、特に、好ましくは全原料の0.5重量%から10重量%程度を配合するのがよい。
20重量%を超える添加では所望の麺類の物性が好ましいものではなく、また0.1重量%未満であると、目的とする緑色の着色が不十分となる。
なお、このサラシア属植物の微粉砕物を混合して麺類を製造したところ、茶葉などに比べて、麺のツナギがよくなり、いわゆる麺類の腰が強くなり、物性面でも嗜好性が向上することが判明した。
【0023】
本発明が提供する着色麺類の調製方法は特に限定されるものではなく、また、製麺条件、製麺装置なども限定されず、目的とする麺類の種類や形態に応じて適宜選択して行えばよい。機械製麺法によっておこなってもよく、また手延べ製麺法などの人手による製造であっても、また両者を組み合わせたものであっても良い。
さらに、提供する着色麺が茹麺類や冷凍麺類である場合には、その茹で処理或いは冷凍処理は、従来から行われている方法で適宜行うことができる。
【実施例】
【0024】
以下に本発明の着色麺類について、サラシア属植物の葉の粉砕物を混合して作った麺類の代表的な実施例を幾つか示すことにより、詳細に説明する。
なお、下記に示す実施例は、本発明の理解のためであり、これらに限定されるものではない。
【0025】
実施例1:緑色パスタの製造
練り水(食塩:250g、乳酸ナトリウム:500g、酒精:1kg、水:8.5kg)を調製した。
一方、下記のレシピからなるパスタ材料を用いた。
(1)小麦粉 12.5kg
(2)強力粉 12.5kg
(3)サラシア レティキュラータ葉の粉砕物
(粉砕粒度40メッシュ以下) 1kg
(4)卵白粉 500g
(5)サラダ油 600g
この混合物に上記の練り水を添加して、ミキサーでよく混合攪拌して生地を調製した。得られた生地を、自動製麺機で圧延して麺帯とした。得られた麺帯を所定の太さに切刃で切り出し、暫く乾燥させた後、長さをそろえて、緑色パスタを得た。
かくして調製された緑色パスタを熱湯で3分程度茹で上げた場合、茹で上げられた緑色パスタは、色が鮮やかであり、香味も、また歯ごたえも良好な、よい品質のパスタであった。
また、上記で切り出した緑色パスタをビニール製の袋に封入後、紫外線のもとに3週間静置したところ、変色は見られなかった。
【0026】
実施例2:緑色うどんの製造
小麦粉:100kgとサラシア レティキュラータ葉の粉砕物(40メッシュ以下)4kgを混合し、これに食塩3kg及び水33kgから調製した食塩水を徐々に加えながら混合物を捏ねてうどん生地とした後、自動製麺機で圧延して麺帯とした。この麺帯を所定の太さに切刃で切り出し、暫く乾燥させた後、長さをそろえて、緑色うどんを得た。
得られた緑色うどんを熱湯で4分程度茹で上げた場合、色が鮮やかで、香味も、歯ごたえもよい品質のうどんが調製された。
また、上記で切り出した緑色麺線を乾燥して乾麺を得た。この乾麺を1ヶ月貯蔵したところ褪色はほとんど認められなかった。
さらにこの乾麺を、熱湯で5分間茹で上げた場合、茹で上がったうどんは、鮮やかな緑色呈しており、その食感も良好なものであった。
【0027】
実施例3:緑色そばの製造
そば粉30kg、小麦粉70kg及びサラシア レティキュラータ葉の微粉末(80メッシュ以下)3kgをよく混合し、そこに水26kgを徐々に加え、よく捏ねる常法での処理し付し、麺帯を調製した。この麺帯を常法により麺線に切り出し緑色生そばを得た。
得られた緑色生そば、色が鮮やかであり、熱湯で2.5分程度茹で上げた場合、香味も、歯ごたえもよい品質を有するそばに茹で上がった。
特に、小麦粉そば粉に対してつなぎの役割を果たしているが、サラシア属植物の葉を添加することによって、そばの歯触りがさらに向上し、パサパサ感が一層改善された。この緑色生そばを7日間冷蔵庫に保管したところ褪色は殆どなく、さらにこの生そばを熱湯で3.5分茹で上げた場合の食感も良好であった。
【0028】
実施例4:緑色そばの製造:茶葉配合そばとの比較
サラシア レティキュラータ葉および茶葉を粉砕し、それぞれ40メッシュ以下の粉砕物を得、それぞれ以下の配合で緑色そばを製造し、製造時の色調の安定性を評価した。
(1)サラシア レティキュラータ葉配合の緑色そば
そば粉125g、サラシア レティキュラータ葉5gを混合し、湯100mLを加えながら混合物を捏ねて麺帯とした。この麺帯を所定の太さに切刃で切り出し、緑色そば(サラシア植物葉)を得た。
(2)茶葉配合の緑色そば
そば粉125g、茶葉5gを混合し、湯100mLを加えながら混合物を捏ねて麺帯とした。この麺帯を所定の太さに切刃で切り出し、緑色そば(茶葉)を得た。
【0029】
上記の製造過程(混合粉末時、捏ね工程時、捏ね15分後及び製麺時)における色調の変化を肉眼で観察し、その結果を下記表1にまとめた。
【0030】
【表1】
【0031】
すなわち、緑色そば(サラシア植物葉)は、色調が製造過程で変化せず一定して明るい緑色であったが、緑色そば(茶葉)にあっては、製造過程での色調の変化が激しく、当初はきれいな緑色であったが、どんどん色調が変化し、濃くなって褐色に近づいていった。
特に、混合粉末を捏ねた後、茶葉混合そば粉は色調の変化が激しく、15分で、さらに色が濃くなり、褐色に近づいていった。しかし、サラシア植物葉混合そば粉の色調は変化せず、明るい緑色のままであった。
両者をそれぞれ圧延して麺帯とし、この麺帯を常法により麺線に切り出し緑色生そばを得た。得られた緑色そば(サラシア植物葉)は明るい緑色のそばであったが、緑色そば(茶葉)は色調がやや褐色を帯びており、さらにその傾向が強まった。
【0032】
得られた両緑色そばを茹で上げ、その香味及び食感について官能試験を行った。その結果、緑色そば(サラシア植物葉)はそばの香味が適度にして、おいしい緑色そばであった。しかしながら、緑色そば(茶葉)は茶の香りが強く、そばの香りが感じられず、渋みも強く、また、噛んだ時のパサパサ感が感じられた。
【0033】
実施例5:緑色うどんの製造:茶葉配合との比較
サラシア レティキュラータ葉および茶葉を粉砕し、それぞれ40メッシュ以下の粉砕物を得、それぞれ以下の配合で緑色うどんを製造し、製造時の色調の安定性を評価した。
(1)サラシア レティキュラータ葉配合の緑色うどん
小麦後(中力粉)100g、サラシア レティキュラータ葉5g、これに食塩5g及び水52mLから調製した食塩水を徐々に加えながら混合物を捏ねてうどん生地とした後、圧延して麺帯とした。この麺帯を所定の太さに切刃で切り出し、暫く乾燥させた後、長さをそろえて、緑色うどん(サラシア植物葉)を得た。
(2)茶葉配合の緑色うどん
小麦後(中力粉)100g、茶葉5g、これに食塩5g及び水54mLから調製した食塩水を徐々に加えながら混合物を捏ねてうどん生地とした後、圧延して麺帯とした。この麺帯を所定の太さに切刃で切り出し、暫く乾燥させた後、長さをそろえて、緑色うどん(茶葉)を得た。
【0034】
茶葉配合のうどんの製造にあっては、つなぎが悪く、サラシア植物葉配合に比べ、約4%水の添加量を増やさないと適当な粘度が得られないことが明らかになった。
サラシア植物葉配合うどんは捏ねている間も、色調の変化が見られなかったが、茶葉配合うどんはどんどん色調が変化し、明るい緑色、濃緑食、褐色がかった緑色と変化していった。
また、緑色うどん(サラシア植物葉)は、食する際、4分熱湯で茹でても色調の変化がなく明るい緑色だった。また、香りもおだやかで、味も支障はなかった。しかしながら、緑色うどん(茶葉)は、食する際、4分熱湯で茹でると明るい緑色から濃緑食に色調が変化した。また、茶の香りが強く、渋みが感じられた。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上説明したように、本発明により緑色が美しく、捏ねるなどの製造工程や茹でなどの加熱操作でも変色しにくく、紫外線に対して退色せず、歯ごたえがよく、香味性に優れた緑色麺類が提供される。
したがって、本発明により、食感に優れた種々の緑色麺類が提供され、味の収斂性が高濃度でも弱く、麺類生地がパサパサにならないこと等の利点を有するものであることから、嗜好家の要望を満足させるものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の葉の粉末を含有する着色麺類、特に緑色麺類に関わり、詳細には、色素の安定性に優れ、麺類の製造特性および香味特性に適した物性を持ち、歯ごたえがよく、香味性に優れた緑色麺類に関する。
【背景技術】
【0002】
茶蕎麦などの抹茶を含有する着色麺類は、麺類中に添加された抹茶に由来する鮮やかな緑色と、良好な風味を有するものとして、愛好家に広く食されている。
また、緑色は「安全」、「自然」をイメージさせるものであり、食品には必要な色調であり、特に、明るい黄緑色は食欲をそそる色調と言われている。したがって、茶蕎麦のみならず、天然色素を含有する物質を添加して緑色麺類を製造しようとする種々の試みがなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、海産の紅藻類の一種である布海苔を特殊加工したものを添加した緑色うどんの製造法が開示されており、特許文献2には、笹の葉入り麺の製造法が開示されており、特許文献3には、低温・攪拌で熟成することを特徴とする緑色麺類の製造法が開示されており、特許文献4には茶葉入りうどんの製造法が、また、特許文献5には蕗粉末およびその粉末を入れた麺類の製造法が開示されている。
【0004】
このように、植物の葉には緑色の本体である葉緑素以外にも、ミネラル、食物繊維、ポリフェノールなどが豊富に含まれているために健康イメージもあり、植物葉を混合して緑色麺類を製造しようとする種々の試みがなされている。
しかしながら、植物葉を用いて麺類を製造した場合においては、従来、緑色麺類の安定な緑色を確保することと、良好な食感の麺類を得ることの二つの問題を同時に満足させるものが少なかった。
【0005】
そのため、植物葉の本来保有する緑色の色調に加えて、さらに色調を強化する目的のために人為的に加工段階で着色料(たとえば、クチナシの実由来の色素)を添加するなどの工夫がなされている。また、着色剤を用いること自体が消費者から好まれない傾向にあることから、例えば、茶蕎麦にリン酸ナトリウムを加える方法(特許文献6)や、緑色野菜をブランチング(湯通し)した後、アルカリ液に浸漬するなどで緑色を維持させる処理方法(特許文献7)などが提案されている。
【0006】
着色剤を人為的に添加する方法は、植物葉本来の色素ではないものを緑色麺類として食することになり、その色調と色度を指標に摂取した消費者に誤った情報を提供することになる。また、リン酸ナトリウムを添加する方法、あるいはアルカリ液に浸漬する方法によって得られた麺類は、アルカリ度が高く食味を損なうアルカリ領域になっている。
したがって、調理などの工程で、水洗、茹でなどの操作を行い、アルカリ度を低くする必要がある。また、植物葉の収斂性や苦みが強すぎる場合には、その混合量も抑えられるため着色料の添加が必要となるし、パサパサしすぎる場合には、麺類に歯ごたえを付与するためにツナギのためにさらに食品素材の添加が必要になる。
【0007】
ところで、植物葉は、種々の成分が豊富に含まれている一方、多量に植物葉の粉末を混合して緑色麺類を製造した場合には、麺類の収斂性や苦みが強くなること、更には麺類自体がパサパサして歯ごたえがなくなること等、嗜好性に悪影響を及ぼす問題点も指摘されている。
したがって、植物の葉の粉砕物を配合した場合であっても、植物の葉が有する緑色を維持し、緑色が美しく、紫外線に対して退色せず、歯ごたえがよく、香味性に優れた緑色麺類の提供が期待されている。
【0008】
【特許文献1】特開昭56−109559号公報
【特許文献2】特開昭58−013357号公報
【特許文献3】特開昭62−107759号公報
【特許文献4】特開2002−238482号公報
【特許文献5】特開2003−047428号公報
【特許文献6】特開平03−015354号公報
【特許文献7】特開昭61−047141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はかかる現状を鑑み、色素の安定性が優れ、麺類の製造特性および香味特性に適した植物の葉の粉砕物を配合することによって、緑色が美しく、紫外線に対して退色せず、歯ごたえがよく、香味性に優れた緑色麺類を提供することを課題とする。
【0010】
かかる課題を解決するために本発明者等は鋭意検討を行い、色調が鮮やかな黄緑であること、製造時・飲食時の加圧・加熱操作で変色しないこと、紫外線などに対しても退色しにくいこと、香が強すぎないこと、味の収斂性が高濃度でも弱いこと、麺類に多量の植物葉を添加しても生地がパサパサにならないことの観点で種々の植物葉を評価した結果、植物の葉として、サラシア属植物の葉を使用し、その葉の粉砕物を配合することによって製造した麺類は、緑色が明るく鮮やかで、製造時・飲食時の捏ね、茹でなどの加圧・加熱操作でも変色することがなく、また、紫外線に対して退色せず、歯ごたえがよく、香味性に優れていることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって本発明は、その基本的態様として、サラシア属植物の葉の粉砕物を配合したことを特徴とする緑色麺類である。
【0012】
具体的には、本発明は、サラシア属植物が、サラシア レティキュラータ(Salacia reticulata)あるいはサラシア オブロンガ(Salacia oblonga)であることを特徴とする緑色麺類である。
【0013】
さらに具体的には、本発明は、その麺類が、パスタ(スパゲッティ、リングイネ、フェットチーネ、タニアテッレ、マカロニ、ペンネ、ラザニア)、そば、うどん、きしめん、中華麺から選択されるものであることを特徴とする緑色麺類である。
【発明の効果】
【0014】
本発明により提供される緑色麺類は、緑色が美しく、製造時・飲食時の捏ね、茹でなどの加圧・加熱操作でも変色せず、紫外線に対して退色せず、歯ごたえがよく、香味性に優れている。したがって、本発明により、食感に優れた種々の緑色麺類が提供され、嗜好家の要望を満足させるものである。
【0015】
特に本発明は、色調が鮮やかな黄緑を有する麺類であり、製造時・飲食時の捏ね、茹でなどの加圧・加熱操作でも褐変などの変色をせず、紫外線などに対しても退色しにくく、香も強すぎることがないこと、サラシア属植物の葉を使用したものであり、かかるサラシア属植物の葉の粉砕物を配合した麺類とすることで、味の収斂性が高濃度でも弱く、麺類生地がパサパサにならないこと等の利点を有するものである。
したがって、本発明は、植物葉以外の緑色色素を添加せずに緑色麺類を製造すること、および植物葉を高濃度含有する緑色麺類を製造することを可能にするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、上記したように、その基本は、サラシア属植物の葉の粉砕物を配合したことを特徴とする緑色麺類である。
すなわち、本発明は、サラシア属植物の葉を乾燥して、粉砕したものを麺原料に混合し、製麺することにより得られた緑色麺類である。
【0017】
本発明において、麺類の原料に配合する葉の粉砕物のもととなるサラシア属植物としては、特に、サラシア レティキュラータ(Salasia reticulata)、及びサラシア オブロンガ(Salasia oblonga)の葉が適している。
葉の粉砕物としては、微粉砕物であっても、荒粉砕物であってもよい。すなわち、微粉砕物は100メッシュの篩を通過するごく微粉末であり、荒粉砕物は目視で葉の切片が確認できる程度の、例えば、約10mm四方のものであり、本発明にあってはこの範囲内におけるどの粉砕物を使用しても、目的とする緑色麺類を製造することができる。
また、本発明において、サラシア属植物の葉とともに、サラシア属植物の根や幹などが混合していてもよい。
【0018】
本発明にいう麺類とは、特に限定されるものではない。一般的に麺類と称される各種のものが挙げられ、具体的には、パスタ、そば、うどん、きしめん、中華麺等およびこれらを乾燥したもの、さらには即席麺としたもの全てを包含する。また、パスタとは、スパゲッティ、リングイネ、フェットチーネ、タニアテッレ、マカロニ、ペンネ、ラザニアなどを包含する。
また、本発明の麺類は、生麺類、乾燥麺類、半乾燥麺類、茹麺類、蒸麺類、冷凍麺類などのいずれの形態であってもよい。
【0019】
本発明において、サラシア属植物の葉を含有する物質以外に使用する原料としては通常の麺類の製造に用いられる穀粉類でよく、例えば、小麦粉、そば粉、でん粉粉のでん粉、食塩、かんすい、酒精、みず等が用いられる。
穀粉類として、より具体的には、小麦粉、蕎麦粉、未加工澱粉類、加工澱粉類、米粉、大麦粉、大豆粉等等を挙げることができる。小麦粉としては強力粉、中力粉、薄力粉のいずれであってもよいが、強力粉が好ましく使用される。
【0020】
なお、本発明の麺類を調製するには、麺類の種類に応じて、上記した麺類の原料としての粉以外の副原料或いは添加剤として、従来から用いられている例えば、食塩、卵又は卵粉末、山芋又は山芋粉、布海苔など、更にはアミノ酸などの栄養強化剤、ビタミン、ミネラル類などを適宜添加して使用することもできる、
【0021】
サラシア属植物の粉砕物は、サラシア属植物の葉を採取後、よく洗浄した後、乾燥させたものを用いるのがよい。乾燥は、自然乾燥でも人工乾燥でも構わないが、人工乾燥の場合には、過度に高温になることを避ける必要がある。乾燥温度としては、120℃以下、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下であることが望ましい。乾燥した葉を粉砕するが、この粉砕は、通常の乾燥粉砕機での粉砕でも支障はないが、目的とする粉砕物の大きさによって粉砕法を選択することができる。例えば、微粉末を得るにはボールミル粉砕機、荒粉砕物を得るには荒粉砕専用機などを挙げることができる。粉砕物は、気流式殺菌機で殺菌後、篩にかけた後、金属探知等により不純物の除外等を行ったうえで、使用に供せられる。
【0022】
かくして得られたサラシア属植物の葉の粉砕物は、きわめて鮮明な明るい緑色を呈し、色調は安定であり、原料と共に捏ねる製造工程、および茹でなどの加熱操作段階でも変色しにくく、紫外線のもとでも退色しにくい。また、香味もまろやかで、強い収斂性は感じられないものである。
サラシア属植物葉の麺類への添加量は、麺類の原料に対して0.1重量%〜20重量%程度、特に、好ましくは全原料の0.5重量%から10重量%程度を配合するのがよい。
20重量%を超える添加では所望の麺類の物性が好ましいものではなく、また0.1重量%未満であると、目的とする緑色の着色が不十分となる。
なお、このサラシア属植物の微粉砕物を混合して麺類を製造したところ、茶葉などに比べて、麺のツナギがよくなり、いわゆる麺類の腰が強くなり、物性面でも嗜好性が向上することが判明した。
【0023】
本発明が提供する着色麺類の調製方法は特に限定されるものではなく、また、製麺条件、製麺装置なども限定されず、目的とする麺類の種類や形態に応じて適宜選択して行えばよい。機械製麺法によっておこなってもよく、また手延べ製麺法などの人手による製造であっても、また両者を組み合わせたものであっても良い。
さらに、提供する着色麺が茹麺類や冷凍麺類である場合には、その茹で処理或いは冷凍処理は、従来から行われている方法で適宜行うことができる。
【実施例】
【0024】
以下に本発明の着色麺類について、サラシア属植物の葉の粉砕物を混合して作った麺類の代表的な実施例を幾つか示すことにより、詳細に説明する。
なお、下記に示す実施例は、本発明の理解のためであり、これらに限定されるものではない。
【0025】
実施例1:緑色パスタの製造
練り水(食塩:250g、乳酸ナトリウム:500g、酒精:1kg、水:8.5kg)を調製した。
一方、下記のレシピからなるパスタ材料を用いた。
(1)小麦粉 12.5kg
(2)強力粉 12.5kg
(3)サラシア レティキュラータ葉の粉砕物
(粉砕粒度40メッシュ以下) 1kg
(4)卵白粉 500g
(5)サラダ油 600g
この混合物に上記の練り水を添加して、ミキサーでよく混合攪拌して生地を調製した。得られた生地を、自動製麺機で圧延して麺帯とした。得られた麺帯を所定の太さに切刃で切り出し、暫く乾燥させた後、長さをそろえて、緑色パスタを得た。
かくして調製された緑色パスタを熱湯で3分程度茹で上げた場合、茹で上げられた緑色パスタは、色が鮮やかであり、香味も、また歯ごたえも良好な、よい品質のパスタであった。
また、上記で切り出した緑色パスタをビニール製の袋に封入後、紫外線のもとに3週間静置したところ、変色は見られなかった。
【0026】
実施例2:緑色うどんの製造
小麦粉:100kgとサラシア レティキュラータ葉の粉砕物(40メッシュ以下)4kgを混合し、これに食塩3kg及び水33kgから調製した食塩水を徐々に加えながら混合物を捏ねてうどん生地とした後、自動製麺機で圧延して麺帯とした。この麺帯を所定の太さに切刃で切り出し、暫く乾燥させた後、長さをそろえて、緑色うどんを得た。
得られた緑色うどんを熱湯で4分程度茹で上げた場合、色が鮮やかで、香味も、歯ごたえもよい品質のうどんが調製された。
また、上記で切り出した緑色麺線を乾燥して乾麺を得た。この乾麺を1ヶ月貯蔵したところ褪色はほとんど認められなかった。
さらにこの乾麺を、熱湯で5分間茹で上げた場合、茹で上がったうどんは、鮮やかな緑色呈しており、その食感も良好なものであった。
【0027】
実施例3:緑色そばの製造
そば粉30kg、小麦粉70kg及びサラシア レティキュラータ葉の微粉末(80メッシュ以下)3kgをよく混合し、そこに水26kgを徐々に加え、よく捏ねる常法での処理し付し、麺帯を調製した。この麺帯を常法により麺線に切り出し緑色生そばを得た。
得られた緑色生そば、色が鮮やかであり、熱湯で2.5分程度茹で上げた場合、香味も、歯ごたえもよい品質を有するそばに茹で上がった。
特に、小麦粉そば粉に対してつなぎの役割を果たしているが、サラシア属植物の葉を添加することによって、そばの歯触りがさらに向上し、パサパサ感が一層改善された。この緑色生そばを7日間冷蔵庫に保管したところ褪色は殆どなく、さらにこの生そばを熱湯で3.5分茹で上げた場合の食感も良好であった。
【0028】
実施例4:緑色そばの製造:茶葉配合そばとの比較
サラシア レティキュラータ葉および茶葉を粉砕し、それぞれ40メッシュ以下の粉砕物を得、それぞれ以下の配合で緑色そばを製造し、製造時の色調の安定性を評価した。
(1)サラシア レティキュラータ葉配合の緑色そば
そば粉125g、サラシア レティキュラータ葉5gを混合し、湯100mLを加えながら混合物を捏ねて麺帯とした。この麺帯を所定の太さに切刃で切り出し、緑色そば(サラシア植物葉)を得た。
(2)茶葉配合の緑色そば
そば粉125g、茶葉5gを混合し、湯100mLを加えながら混合物を捏ねて麺帯とした。この麺帯を所定の太さに切刃で切り出し、緑色そば(茶葉)を得た。
【0029】
上記の製造過程(混合粉末時、捏ね工程時、捏ね15分後及び製麺時)における色調の変化を肉眼で観察し、その結果を下記表1にまとめた。
【0030】
【表1】
【0031】
すなわち、緑色そば(サラシア植物葉)は、色調が製造過程で変化せず一定して明るい緑色であったが、緑色そば(茶葉)にあっては、製造過程での色調の変化が激しく、当初はきれいな緑色であったが、どんどん色調が変化し、濃くなって褐色に近づいていった。
特に、混合粉末を捏ねた後、茶葉混合そば粉は色調の変化が激しく、15分で、さらに色が濃くなり、褐色に近づいていった。しかし、サラシア植物葉混合そば粉の色調は変化せず、明るい緑色のままであった。
両者をそれぞれ圧延して麺帯とし、この麺帯を常法により麺線に切り出し緑色生そばを得た。得られた緑色そば(サラシア植物葉)は明るい緑色のそばであったが、緑色そば(茶葉)は色調がやや褐色を帯びており、さらにその傾向が強まった。
【0032】
得られた両緑色そばを茹で上げ、その香味及び食感について官能試験を行った。その結果、緑色そば(サラシア植物葉)はそばの香味が適度にして、おいしい緑色そばであった。しかしながら、緑色そば(茶葉)は茶の香りが強く、そばの香りが感じられず、渋みも強く、また、噛んだ時のパサパサ感が感じられた。
【0033】
実施例5:緑色うどんの製造:茶葉配合との比較
サラシア レティキュラータ葉および茶葉を粉砕し、それぞれ40メッシュ以下の粉砕物を得、それぞれ以下の配合で緑色うどんを製造し、製造時の色調の安定性を評価した。
(1)サラシア レティキュラータ葉配合の緑色うどん
小麦後(中力粉)100g、サラシア レティキュラータ葉5g、これに食塩5g及び水52mLから調製した食塩水を徐々に加えながら混合物を捏ねてうどん生地とした後、圧延して麺帯とした。この麺帯を所定の太さに切刃で切り出し、暫く乾燥させた後、長さをそろえて、緑色うどん(サラシア植物葉)を得た。
(2)茶葉配合の緑色うどん
小麦後(中力粉)100g、茶葉5g、これに食塩5g及び水54mLから調製した食塩水を徐々に加えながら混合物を捏ねてうどん生地とした後、圧延して麺帯とした。この麺帯を所定の太さに切刃で切り出し、暫く乾燥させた後、長さをそろえて、緑色うどん(茶葉)を得た。
【0034】
茶葉配合のうどんの製造にあっては、つなぎが悪く、サラシア植物葉配合に比べ、約4%水の添加量を増やさないと適当な粘度が得られないことが明らかになった。
サラシア植物葉配合うどんは捏ねている間も、色調の変化が見られなかったが、茶葉配合うどんはどんどん色調が変化し、明るい緑色、濃緑食、褐色がかった緑色と変化していった。
また、緑色うどん(サラシア植物葉)は、食する際、4分熱湯で茹でても色調の変化がなく明るい緑色だった。また、香りもおだやかで、味も支障はなかった。しかしながら、緑色うどん(茶葉)は、食する際、4分熱湯で茹でると明るい緑色から濃緑食に色調が変化した。また、茶の香りが強く、渋みが感じられた。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上説明したように、本発明により緑色が美しく、捏ねるなどの製造工程や茹でなどの加熱操作でも変色しにくく、紫外線に対して退色せず、歯ごたえがよく、香味性に優れた緑色麺類が提供される。
したがって、本発明により、食感に優れた種々の緑色麺類が提供され、味の収斂性が高濃度でも弱く、麺類生地がパサパサにならないこと等の利点を有するものであることから、嗜好家の要望を満足させるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サラシア属植物の葉の粉砕物を配合したことを特徴とする緑色麺類。
【請求項2】
サラシア属植物が、サラシア レティキュラータ(Salacia reticulata)あるいはサラシア オブロンガ(Salacia oblonga)であることを特徴とする請求項1に記載の緑色麺類。
【請求項3】
麺類が、パスタ(スパゲッティ、リングイネ、フェットチーネ、タニアテッレ、マカロニ、ペンネ、ラザニア)、そば、うどん、きしめん、中華麺からなる群から選択されるものであることを特徴とする請求項1又は2記載の緑色麺類。
【請求項1】
サラシア属植物の葉の粉砕物を配合したことを特徴とする緑色麺類。
【請求項2】
サラシア属植物が、サラシア レティキュラータ(Salacia reticulata)あるいはサラシア オブロンガ(Salacia oblonga)であることを特徴とする請求項1に記載の緑色麺類。
【請求項3】
麺類が、パスタ(スパゲッティ、リングイネ、フェットチーネ、タニアテッレ、マカロニ、ペンネ、ラザニア)、そば、うどん、きしめん、中華麺からなる群から選択されるものであることを特徴とする請求項1又は2記載の緑色麺類。
【公開番号】特開2010−11749(P2010−11749A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172359(P2008−172359)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【出願人】(502365977)株式会社盛光 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【出願人】(502365977)株式会社盛光 (10)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]