説明

サラダ用竹輪

【課題】新しい食感の竹輪の提供。具体的には、生でサラダの素材に用いるのに適した食感の竹輪の提供。
【解決手段】魚肉を主原料とする竹輪であって、乳化剤を原料総湿重量あたり0.005%〜0.3%用い、かつ、植物油を原料総湿重量あたり8〜20%用いて製造したことを特徴とする竹輪である。乳化剤は消泡効果を有する乳化剤が好ましく、HLBが10以下のポリグリセリン脂肪酸エステル又はグリセリン脂肪酸エステルが例示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔らかく、色が白みに優れた、生でサラダの具材として用いるのに適した食感を有する竹輪に関する。
【背景技術】
【0002】
練り製品の品質改良剤として乳化剤、油脂、糖類などを組み合わせて使用することが報告されている(特許文献1〜7等)。それらの効果は、配合するものの種類や配合比率によっていろいろの効果を有する。
【0003】
【特許文献1】特開昭62−275671号
【特許文献2】特開昭63−116673号
【特許文献3】特開平6−22730号
【特許文献4】特開平6−90713号
【特許文献5】特開平6−153095号
【特許文献6】特開平9−215号
【特許文献7】特開平10−108641号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、洋風の献立にあう新しい食感の竹輪を提供することを課題とする。具体的には、レタスやトマトなどの生野菜と一緒に生でサラダにするのに適した食感の竹輪を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、食生活の洋風化の中で消費量が減少傾向にある竹輪を洋風の食生活に適したものにできないか種々検討を重ねたところ、従来の竹輪よりも柔らかいレタスやトマトと一緒にサラダにしたときに好ましい食感を有する竹輪を製造することを見出し、本発明を完成させた。
サラダに適する食感にするには、野菜のシャキシャキとした食感を生かすため、竹輪のしなやかさを維持し、従来よりも柔らかい食感に調整する必要があった。固い食感だと野菜のシャキシャキ感を感じにくく、しなやかさがないと竹輪の食感を楽しむことができないためである。竹輪の食感をただ柔らかくするのは、水を加えれば良いし、ゲル強度が小さいすり身を使用すれば良いが、これらの方法では、しなやかさを失ってしまう。油脂を加えただけの方法も同様である。しかしながら、融点が低い植物油脂に代表される油脂とともに、気泡を消失させる性質を持つ乳化剤を併用すれば、しなやかさを維持し、柔らかい食感にできることを見出し、本発明を完成させた。つまり、脂質を添加しても、内部に空気を多く含むとボソボソとした固い食感となってしまうが、消泡効果がある乳化剤を併用することにより、空気を除き、しなやかで柔らかい竹輪の製造が可能となる。なおこの時、柔らかい食感を得るのに必要な油脂量は、8〜20%であり、竹輪の消泡に必要な乳化剤量は0.005〜0.3%である。この添加量以下だと固さや消泡への効果が低いし、油脂量が多くなると竹輪の成型が難しくなり、また乳化剤を多くすると味に影響が出てしまう。
【0006】
本発明は(1)〜(6)の竹輪を要旨とする。
(1)魚肉を主原料とする竹輪であって、原料として植物油を原料総湿重量あたり8〜20%、及び乳化剤を原料総湿重量あたり0.005%〜0.3%含有することを特徴とする竹輪。
(2)植物油を原料総湿重量あたり10〜16%含有することを特徴とする請求項1又は2の竹輪。
(3)乳化剤を原料総湿重量あたり0.01〜0.03%含有することを特徴とする請求項1の竹輪。
(4)乳化剤が消泡効果を有する乳化剤である請求項1、2又は3の竹輪。
(5)乳化剤がHLBが10以下のポリグリセリン脂肪酸エステル又はグリセリン脂肪酸エステルである請求項4の竹輪。
(6)植物油が菜種油、コーン油、大豆油、紅花油のいずれかである請求項1ないし5いずれかの竹輪。
【発明の効果】
【0007】
本発明の竹輪は、通常の竹輪よりも植物油を高含量用い、消泡効果を有する乳化剤を用いたことにより、柔らかく白さに優れたものであり、従来の竹輪とは異なる食感を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
竹輪は魚肉練製品の一つとして日本では良く知られた食品である。竹輪は、魚肉塩ずり身を串の外周に付着させ、表面に焦げ目が付く程度まで焼き上げ、串を抜くことにより製造されたものである。竹輪は、おでんなどの煮込み材料としたり、そのままわさびやしょうゆをつけて賞味されてきた。
竹輪の原料は、魚肉のすり身である。例えばスケソウダラ、グチ、サメ、ヒラメ、ホッケ等の原料魚またはそれらより製造したすり身に、食塩を2〜4%添加し、さらに必要に応じて澱粉、油脂、グルタミン酸ナトリウム、みりん、砂糖、卵白、水等の副材料を添加し、撹拌機によって練成して魚肉塩ずり身を調整する。さらに、大豆蛋白、蓄肉ペースト、イカ、タコ、貝、のり、えびなどを混合してもよい。
【0009】
従来の竹輪では油脂として植物油を原料総湿重量の2〜3%添加されている。本発明ではこの植物油を原料総湿重量あたり8〜20%、好ましくは10〜16%用いる。さらに植物油を多く添加すると竹輪の組織に発泡が生じる。そうすると食感が硬くなってしまう。それを抑制するために消泡作用を有する乳化剤を添加する。乳化剤は原料総湿重量あたり0.005%〜0.3%、好ましくは、0.01〜0.03%用いる。これらを、竹輪の製造工程において、すり身に副原料を添加する際に一緒に添加する。
【0010】
植物油としては、菜種油、コーン油、大豆油、紅花油などを使用することができる。
乳化剤は消泡効果を有する乳化剤であれば何でも使用できるが、液状で水への分散性が有る、不飽和脂肪酸が結合した乳化剤が好ましい。HLBでいえば10以下のものが好ましい。具体的には、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルなどが例示される。
【0011】
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0012】
解凍したスケトウダラの冷凍すり身30kgとブルーホワイティングの冷凍すり身90kgに食塩1.69kg、グルタミン酸ソーダ0.8kg、乳酸カルシウム0.03kg、キシロース0.5kg、菜種油28kg(12.4重量%)、制菌剤を1.2kg、精製魚油3kg、澱粉2.4kg、ソルビトール6.7kg、乳化剤(リョートウポリグリエステル O-50D;デカグリセリンオレイン酸エステル)0.025kg(0.0111重量%)及び水61kgを添加し、混練し、竹輪の串に成型し、すわり工程、焼き工程を経て竹輪を製造した(実施例)。
同様の材料で乳化剤のみ添加せずに竹輪を製造した(比較例)。
【0013】
実施例と比較例の竹輪の物性の違いを測定した。
比較例は、ジェリー強度(JS)448.8g・cm、W値458g、L値0.98cmに対し、実施例は、ジェリー強度(JS)324.4g・cm、W値331g、L値0.98cmであった。乳化剤を添加したことにより、L値を維持し、W値が顕著に低下した。W値は固さを示し、L値はしなやかさを示すため、上記結果は、しなやかさを維持したまま、柔らかい食感となったことを意味している。
【0014】
上記実施例と従来品の竹輪を斜めにスライスし、野菜と一緒にサラダとし、25名のパネルで嗜好調査を行ったところ、色、味、食感のいずれの項目においても、実施例の竹輪のほうがサラダに合うと思うという回答が多かった。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明の竹輪は、その色、味、食感のいずれもが生でサラダに用いるのに適しているので、サラダなど洋風の料理に合う新しいタイプの竹輪を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚肉を主原料とする竹輪であって、原料として植物油を原料総湿重量あたり8〜20%、及び乳化剤を原料総湿重量あたり0.005%〜0.3%含有することを特徴とする竹輪。
【請求項2】
植物油を原料総湿重量あたり10〜16%含有することを特徴とする請求項1又は2の竹輪。
【請求項3】
乳化剤を原料総湿重量あたり0.01〜0.03%含有することを特徴とする請求項1の竹輪。
【請求項4】
乳化剤が消泡効果を有する乳化剤である請求項1、2又は3の竹輪。
【請求項5】
乳化剤がHLBが10以下のポリグリセリン脂肪酸エステル又はグリセリン脂肪酸エステルである請求項4の竹輪。
【請求項6】
植物油が菜種油、コーン油、大豆油、紅花油のいずれかである請求項1ないし5いずれかの竹輪。

【公開番号】特開2008−178330(P2008−178330A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13513(P2007−13513)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(000004189)日本水産株式会社 (119)
【Fターム(参考)】