説明

サワードウの製造における少なくとも6種の乳酸菌および/またはビフィズス菌の混合物

パン製品および医薬分野に使用される少なくとも6種の乳酸菌および/またはビフィズス菌の混合物が開示される。好ましい 混合物は、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)、ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバシラス・デルブルエッキ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)を含む。該混合物は、パンの種の組成物であるサワードウに有用である。焼いた食品およびそれから得られるその他の食品が開示される。これら製品はグルテン含量が低いかグルテンを含まず、セリアック病に罹患している対象の食事への組込み、小麦粉アルブミンおよびグロブリンによるアレルギーのリスクの低下、統合失調症症状の治療、腸溶性食事のための製品の調製のために好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は焼いた食品、より具体的には、でんぷん質の多い食物の製造に関する。より消化されやすい焼いた食品およびその他の食品が提供され、それらはグルテン非含有であるかグルテン含量が低下および顕著に加水分解されており、セリアック病に罹患している対象に特に好適である。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
穀類は日々の食事の重要な成分である。しかし、小麦粉グルテン、特にグリアジン画分は、ヒトへの不耐性の原因である。セリアックスプルー (CS)またはグルテン感受性腸疾患としても知られているセリアック病は、広汎性食品不耐性の一つであり、欧米集団の130〜300人に1人起こっている。南米、北米およびアジアでは一般に低く見積もられている(Fasano and Catassi; 2001、Gastroenterology、120:636-651)。CSの疫学的分布はLoganによって1992年に導入されたiceberg モデル(Logan; 1992、Dyn. Nutr. Res. 2:14-24)によって有効に概念化され、該モデルでは、その疾患の有病率は集団における素因である遺伝子型の頻度に影響される。一生涯にわたるグルテン摂取の回避がいまだにCS 治療の基礎である。国際食品局はこのたびグルテンに対するゼロトレランスとしてグルテン非含有という用語を再定義しているが、国際食品規格は食品あたり200 ppm のグルテン濃度を許容している。ヒトの穀類に対する不耐性を低減する努力は、医学的、栄養学的および経済的に非常に興味を持たれている。これは製パン産業にCSの拡大している疫学において影響を有しうる非常に迅速な技術的工程が用いられている現在の状況に特にあてはまる。
【0003】
それゆえ、より消化されやすく耐容されやすい、パンおよび焼いた製品の必要性が実際に感じられている。
【0004】
CSは、遺伝的に過敏なヒトにおける小腸粘膜の自己免疫疾患である。グルテンを摂取すると、かかる患者は吸収性絨毛が徐々に欠損し陰窩が肥厚することに特徴づけられる永続性の粘膜炎症を患う(Silano and De Vincenzi、1999; Nahrung、43:175-184)。腔内のタンパク分解消化の際に、例えばコムギのグリアジンがProおよびGluに富むオリゴペプチドのファミリーを放出し、かかるオリゴペプチドは、T-細胞媒介免疫応答、および/または、より一般的には、CSの初期段階を特徴づける炎症状態の原因である(Silano and De Vincenzi; 1999)。文献には、以下のオリゴペプチドの同定が報告されている: A-グリアジンのフラグメント 31-43 (Silano and De Vincenzi; 1999)、α2-グリアジンのフラグメント 62-75(Auricchio、S.、et al.; 1996、Scand. J. Gastroenterol.、31:247-253; Picarelli、A.、et al.; 1999、Scand. J. Gastroenterol.、34:1099-1102)、α2-グリアジンのフラグメント 57-89に対応する33-merのエピトープ (Shan、L.、et al.; 2002. Science、297:2275-2279)、γ-グリアジンのフラグメント 134-153 (Aleanzi、M.、et al.; 2001、Clin. Chem.、47: 2023-2028) および、α9-グリアジンのフラグメント 57-68 (Arentz-Hansen、et al.; 2000、J. Exp. Med.、191:603-612)。CS 患者によって耐容されない粉は、コムギ、ライムギ、オオムギ、カムート、ライコムギおよびスペルトコムギを含んでいた。いくらかの議論がカラスムギについていまだになされている。
【0005】
多くの専門分野にわたる研究の努力がCSを管理するためにいくつかの分野において行われている。それらは、グルテン非含有-穀物の操作(Fasano、A.、et al.; 2003、Arch. Intern. Med.、163:286-292)、ヒトにおけるCS 遺伝子の探索(Fasano、A.、et al.; 2003)、いくつかの保護物質、例えば、マンナンおよびN-アセチルグルコサミンのオリゴマーの使用および、フラボバクテリウム・メニンゴセプチカム(Flavobacterium meningosepticum)からの細菌プロリル-エンドペプチダーゼの経口的補助的療法としての使用 (Shan、et al.; 2002)に関する。
【0006】
より最近では、2つの文献が選択されたサワードウ乳酸菌、例えば、 Lactobacillus alimentarius 15M、L. brevis 14G、L. sanfranciscensis 7Aおよび L. hilgardii 51Bによるグリアジン画分の甚大な加水分解を示しており(Di Cagno、et al.; 2002、Appl. Environ. Microbiol.、68:623-33)、特に、17名のCS 患者の2 gのグルテンを含むパンに対する、腸透過性に基づく急性インビボ攻撃によって測定した耐性が示されている (Di Cagno、et al.; 2004、Appl. Environ. Microbiol.、70:1088-1096)。これらの結果は、少なくとも症候学の観点からは興味深いが、組織病理学的損傷の退行を与えるものではない。
【0007】
Wei et al. (Wei、J. and Hemmings、G. P.; Medical Hypotheses、(2005)、64、547-552)は、セリアック病と統合失調症との間の系統関係を確立しており、グルテン非含有食事で処置されたセリアック病患者における統合失調症症状の退行の有益効果を報告している(De Santis、A.、et al.; J. Intern. Med. 1997; 242: 421-3)。
【0008】
焼いた食品の製造における特定の乳酸菌の使用は既に知られている。
【0009】
Kline のUS 4,140,800は、フリーズドライのサワードウパン製品の出発組成物の製造方法を開示しており、この方法では、フランスパンの調製に有用な製品を提供する目的でLactobacillus sanfranciscoを使用している。望ましくは、粉は高グルテンである。
【0010】
サワードウ乳酸菌の使用についてDi Cagno et al.により提供された課題はいまだに未解決の実際的な問題を残している。具体的には、(i)選択された株は非常に時間のかかる研究の結果得られたものであり、サワードウ乳酸菌の上記種の中で株レベルで顕著な相違を示した; (ii)パン製品プラントにおいて同じ結果は明らかに再現できない;そして特に(iii) 選択された株は市販されていない。
【0011】
他の文献では、食品製造における乳酸菌およびビフィズス菌の使用が開示されている。
【0012】
EP 0 856 259は、以下を含む凍結乾燥した生細菌の混合物を含有する飼料用組成物に関する:ビフィズス菌から選択される少なくとも2種の細菌および、ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ラクトバシラス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)およびストレプトコッカス・フィシウム(Streptococcus faecium)から選択される少なくとも2種の細菌および1以上のオリゴ糖。該組成物は、液体、クリーム状またはペースト状食品に添加され、該食品は、ミルク、ミルクに基づくかまたはミルクに由来する製品、または植物性産物に基づくかそれに由来する製品であり、該添加は食品の使用時に行われる。製品はパン製品においては使用されない。
【0013】
WO 03/071883は、ヒトおよび/または動物用の食事および/または医薬組成物、および一般的食品に関し、これは、乳酸菌、プロピオン酸菌、酵母および/またはカビの種から選択される、ヒトおよび動物に対して内在性および外来性種からなる微生物培養物に基づく。それらは宿主であるヒトまたは動物の腸管内菌叢の平衡化作用を有するとともに、宿主生物に対する様々な有益/プロバイオティクス効果を有する。セリアック病における使用可能性についてはなんら示されていない。
【0014】
US 2004/265291は、対象に有益細菌を提供または回復させる組成物、キットおよび方法を提供する。該組成物およびキットは、対象における細菌の成長および増殖を促進するための食品または栄養素、あるいは、対象における望ましくないかまたは病原性の微生物の存在を低下させるための抗菌薬を所望により含んでいてもよい。
【0015】
WO 02/065842は、すべてのタイプの穀類に好適な出発調製物および、パン種に基づくかまたはパン種を用いるパンおよびパン製品の生産のためのその使用に関し、特に、セリアック病のヒトのためのグルテン非含有パン製品の生産のためのその使用に関する。乳酸菌およびビフィズス菌の特定の混合物に関する開示はない。
【0016】
US 5,185,165はパン製品の生地製品における使用のための前駆体基剤(precursor base) を開示しており、それは酸性濃縮物、少なくとの1タイプの糖、酵母、少なくとの1タイプの粉、脱脂粉乳および少なくとの1タイプの乳酸産生細菌を含み、該前駆体基剤の生産方法が開示されている。該前駆体基剤は、パン製品の生地製品の調製のための発酵前(preferment)生地混合物の製造における使用のための前駆体スラリー(または活性発酵濃縮物)の産生工程において使用される。さらに、前駆体スラリーおよび発酵前生地混合物の調製方法ならびに発酵前生地混合物の生産装置が開示されている。乳酸菌に関する言及はまったく一般的なものである。
【0017】
US 2004/110270は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの株を含む免疫調節性を有する細菌組成物を記載している:ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) PTA-4797、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum) PTA-4799、ラクトバシラス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius) PTA-4800、ラクトバシラス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei) PTA-4798、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum) PTA-4801およびビフィドバクテリウム・ラクティス( Bifidobacterium lactis) PTA-4802。
【0018】
EP 1 258 526は、水と製粉したコムギ製品の混合物を乳酸菌および酵母を含む種菌とともに部分的に発酵させることによるコムギ前生地(predough)およびコムギサワードウの製造のための出発物の産生を開示しており、これは、少なくとも1つの酵母株、少なくとも1つのホモ発酵性ラクトバシラス株および少なくとも1つのヘテロ発酵性ラクトバシラス株を含む適合性混合細菌叢を含む種菌の使用を含む。以下の株が提供されている:Saccharomyces sp. DSM 14265、Lactobacillus pontis DSM 14269、Lactobacillus pontis DSM 14272、Lactobacillus pontis DSM 14273、Lactobacillus pontis DSM 14274、Lactobacillus crispatus DSM 14271、Lactobacillus plantarum DSM 14268および Lactobacillus sanfranciscensis DSM 14270;以下を含む適合性混合細菌叢:Saccharomyces sp. DSM 14265 および少なくとも3つのLactobacillus pontis DSM 14269、Lactobacillus pontis DSM 14272、Lactobacillus pontis DSM 14273、Lactobacillus pontis DSM 14274、Lactobacillus crispatus DSM 14271、Lactobacillus plantarum DSM 14268 およびLactobacillus sanfranciscensis DSM 14270。この文献はパン製品の一般的技術に関するものであり、特定の医薬的示唆はなされていない。
【0019】
WO 99/09839は、そのままの使用、詰め物、被覆またはその他の様々な食品の成分に適用できるペースト状組成物に関し、それは有意な量のプロバイオティクスを含有する。食品は好ましくはパン製品であり、特にライムギ含有パン、ラスク、ビスケットなどである。この文献はプロバイオティクスの使用の一般的に知られた側面を扱う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
セリアック病に罹患する対象に好適な焼いた製品であって、容易に得ることが出来る製品、再現性のある製造方法および信頼でき、安全かつ市販の材料の必要性がこの分野においていまだに感じられている。
【0021】
本発明は、セリアック病に罹患する対象のための焼いた製品を提供することによってかかる必要性を満たす。しかし、該焼いた製品は、そのより高い消化性のためにヒト食事における一般的有用性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0022】
発明の概要
このたび、ヒトおよびミルク起源の乳酸菌とビフィズス菌の特定の混合物が、セリアック病の原因となるグリアジンおよびグルテン画分を加水分解することが出来る驚くべき性質を有することが見いだされた。
【0023】
かかる特定の混合物はサワードウの製造において非常に有用であり、明確な細菌種を提供する。
【0024】
それゆえ、本発明の目的は、サワードウの製造のための乳酸菌およびビフィズス菌の特定の混合物の使用である。
【0025】
本発明の別の目的は、一般的により消化されやすく、特にCS 患者に耐容されうる、穀類に基づく食品、特に焼いた食品により表される。
【0026】
本発明の別の目的は、セリアック病に罹患している対象に好適であり、グルテン非含有製品におけるグルテンによる汚染を妨げるために好適な、穀類に基づく食品、特に焼いた食品の製造方法である。
【0027】
本発明のさらなる目的は、グルテン非含有の穀類に基づく食品、特に小麦粉でできた焼いた食品によって表され、乳酸菌およびビフィズス菌の特定の混合物の使用が、製パン産業において常套的に用いられる微生物タンパク質分解酵素とともに特定の条件下で実施される。
【0028】
本発明の別の目的は、セリアック病に罹患している対象のための食品であり、該食品は本明細書に開示する乳酸菌およびビフィズス菌の特定の混合物を含有する。
【0029】
本発明のさらに別の目的は、上記の乳酸菌およびビフィズス菌の混合物の、血小板活性化因子 (PAF)およびその他の炎症性サイトカインの低減に有用な製品の調製のための使用である。
【0030】
本発明のこれらおよびその他の目的は上記に詳細に開示されているが、以下実施例および図面によっても詳細に開示する。
【0031】
図 1は、小麦粉でできた様々な生地のグリアジンタンパク質画分の2DE 分析を示す。(A) 化学的に酸性化された生地 (対照)。プロラミンポリペプチドを番号付けした赤の楕円により示した。(B)以下の実施例の混合物 1と24時間37℃でインキュベートした生地。プロラミンポリペプチドを番号付けした赤の楕円によって示した。青の番号は80%以上が分解したポリペプチドを示す。Mr、分子量。
【0032】
図 2は、33-mer ペプチドの混合物 1 (109 cfu/ml)による加水分解を示す。微生物種菌無しでの37℃での24時間のインキュベーション後(A)、および、混合物 1による37℃での24時間の加水分解の後(B)の200 μM 33-merのUV 214 nmでのRP-FPLCトレース。
【0033】
発明の詳細な説明
本発明によると、少なくとも 6、好ましくは少なくとも 7、より好ましくは少なくとも 8 種の以下からなる群から選択される乳酸菌および/またはビフィズス菌の混合物が本発明の実施に好適である:ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバシラス・ブチネリ(Lactobacillus buchneri)、ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバシラス・カテナフォルメ(Lactobacillus catenaforme)、ラクトバシラス・セロビオサス(Lactobacillus Cellobiosus)、ラクトバシラス・クリスパツス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバシラス・クルヴァツス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバシラス・デルブルエッキ(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバシラス・デルブルエッキ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、ラクトバシラス・デルブルエッキ亜種ラクティス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)、ラクトバシラス・ヘルヴェティクス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバシラス・ジェネセニ(Lactobacillus jensenii)、ラクトバシラス・レイクマンニ(Lactobacillus leichmannii)、ラクトバシラス・ミヌツス(Lactobacillus minutus)、ラクトバシラス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシラス・ロゴサエ(Lactobacillus rogosae)、ラクトバシラス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバシラス・ブレヴィス(Lactobacillus brevis)、ラクトバシラス・ガッセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバシラス・フェルメンツム(Lactobacillus fermentum)、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・アングラツム(Bifidobacterium angulatum)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・カテヌラツム(Bifidobacterium catenulatum)、ビフィドバクテリウム・デンティウム(Bifidobacterium dentium)、ビフィドバクテリウム・エリクソニ(Bifidobacterium eriksonii)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・プランタルム(Bifidobacterium plantarum)、ビフィドバクテリウム・シュードカテヌカツム(Bifidobacterium pseudo-catenulatum)、ビフィドバクテリウム・シュードロングム(Bifidobacterium pseudolongum)、ストレプトコッカス・ラクティス(Streptococcus lactis)、ストレプトコッカス・ラフィノラクティス(Streptococcus raffinolactis)、アシダミノコッカス・フェルメンタ(Acidaminococcus fermenta)、サイトファーガ・フェルメンタンス(Cytophaga fermentans)、ロドフェラックス・フェルメンタンス(Rhodoferax fermentans)、セルロモナス・フェルメンタンス(Cellulomonas fermentans)、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)。
【0034】
例えば、当該技術分野において開示されており、コレクション、例えば、 ECACC、ASTM; DSMから一般に入手できるその他の種を利用することも出来る。
【0035】
本発明による好ましい混合物は以下である:
ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、
ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、
ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、
ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)、
ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、
ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、
ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)、
ラクトバシラス・デルブルエッキ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)。
ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、
ビフィドバクテリウム・ラクティス( Bifidobacterium lactis)、
ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)、
ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、
ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、
ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)、
ラクトバシラス・ヘルヴェティクス(Lactobacillus helveticus)。
【0036】
周知の種のこれら混合物は、当業者によって容易に調製することが出来る。
【0037】
便宜には、これら混合物は凍結乾燥形態で市販される。
【0038】
かかる製剤は、サワードウの調製における出発物としての使用に好適である。
【0039】
本発明により得られる、穀類に基づく食品、特に焼いた食品は一般により消化されやすく、それゆえ一般消費者または特により消化されやすい食品を望むかそれを必要とするヒトによってより許容されやすい。
【0040】
本発明の特定の態様において、穀類に基づく食品、特に焼いた食品はセリアック病に罹患しているヒトの食事への組込みに利用できる。というのはグルテン濃度が低い値まで低減されており、生地に残ったグルテンの量は、特にCSの原因であるペプチド配列について、劇的に加水分解されているからである。
【0041】
上記微生物混合物の一つに十分な量の微生物プロテアーゼ、例えば、200 ppmの微生物プロテアーゼ (典型的にはアスペルギルス種(Aspergillus sp.)由来)が本発明において最適化した条件下で組み込まれると、発酵したサワードウのグルテン濃度は、モノクローナル抗体 R5を用いて測定して、200 ppm未満となる。国際食品規格により述べられているように、かかるタイプの製品はグルテン非含有と規定され、それゆえセリアック病患者に好適である。
【0042】
微生物プロテアーゼはパン製品において一般に用いられており、例えば WO 88/03365、EP 0588426、US 6,465,209、GB1,196,946を参照されたい。かかるプロテアーゼは一般に市販されており、例えば Enzyme Development Corporation U.S.Aを参照されたい。そして本発明は、市販されているパン製品において一般に用いられているあらゆる製品を用いて実施することが出来る。
【0043】
本発明の好ましい態様において、微生物プロテアーゼは、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)由来の真菌プロテアーゼである; 活性は500,000 HUT/g; 至適pHは約 3.0でありpH 3.0〜6.0の範囲で活性; 至適温度は約 50℃であり、25-60℃の範囲で活性; またはその他のプロテアーゼはアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来の酸安定プロテアーゼである; 活性は3,000 SAPU/g; 至適 pH 2.0-3.0 でありpH 2,0 〜6,0の範囲で活性; 至適温度50-60℃であり、30-60℃の範囲で活性。これらの酵素は Bio-Cat Inc.、Troy、Virginia、U.S.A.およびその他の多くの供給源から市販されている。
【0044】
本発明により、小麦粉のパーセンテージがより高い焼いた食品を作ることが可能となり、その結果、より快い風味を有し、セリアック病に罹患しているヒトにより受け入れられる製品が得られる。本発明はまた、一般消費者、例えば健康なヒト向けの、よりよい消化性を備えた製品を得ることも可能とする。
【0045】
より広い側面において、本発明は、乳酸菌の混合物を含み、所望により上記酵素調製物を備えたデンプンを多く含む製品にも関する。
【0046】
その最も広い側面において、本発明は所望により微生物起源のタンパク分解酵素を添加されていてもよい乳酸菌およびビフィズス菌の混合物を提供し、それは、グルテンおよびグルテン-関連物質の消化の改善のための経口投与用の製品の調製に有用である。
【0047】
本発明の特定の混合物を含むサワードウは本発明の重要な側面である。
【0048】
該サワードウは、焼いた食品、特にパンの調製方法に有用であるが、これはすべての発酵および非発酵製品、例えば、ビスケット、ペストリー、ケーキ、パイ、ピザ、クラッカー、スティックパン、スナックおよびその他のあらゆる当該技術分野において知られている製品に適用できる。
【0049】
本発明によるサワードウは、穀類に基づく食品、特に焼いた食品の製造、また自家製造のための調製物のためにも好適である。この場合、焼いた食品のためのパッケージは、本発明の特定の混合物を含む特定の製品、発酵調製物の通常の成分以外の成分を含むであろう。
【0050】
本発明による発酵調製物は、乳酸菌およびビフィズス菌の特定の混合物との組み合わせてあってもよいし、乳酸菌およびビフィズス菌混合物と別々にパッケージ中にて提供されてもよく、例えば水中で乳酸菌およびビフィズス菌の特定の混合物と使用時に混合してパン種懸濁液を形成させればよい。乳酸菌の混合物は単一の容器中にパッケージしてもよいし、上記タンパク分解酵素 (プロテアーゼ)と混合してパッケージしてもよい。
【0051】
デンプンを多く含む製品は一般に当該技術分野において周知であり消費者および自家製料理の一般知識の一部をなす。特に、本発明は穀類に基づく製品に適用される。
【0052】
デンプンを多く含む製品の例はすべてのパスタ類、麺類、例えば、油で揚げたインスタント麺類および水分を含む麺類、スナック製品、トーティーヤ、コーンチップス、押し出された穀類および細かく切った穀類である。
【0053】
パスタの製造方法は当該技術分野において周知であり、例えば、Pasta and Semolina Technology、Edited by R.C. Kill and K. Turnbull、Blackwell Science、2001およびBarillaの特許を参照されたい。アジア風のデンプンを多く含む製品の製造方法も周知であり、例えば、Asian Food、Science and Technology、Edited by Catharina Y.W. Ang、KeShun Liu and Yao-Wen Huang、Technomic Publishing Company、Inc.、1999および花王のUS 20020160093およびSociete de Produits Nestle S.A.のWO 99/65331を参照されたい。
【0054】
今日、ほとんどのパスタは、オージェ(auger) 押出原理で作動する連続的高容量押し出し機によって製造されており、この原理では、混練と押出が一つの操作で行われる。パスタの製造には、乾燥マカロニ、麺、およびスパゲッティー産生が含まれる。
【0055】
パスタ製品は、粉砕されたコムギ、水、卵(卵麺類または卵スパゲッティーについて)、および場合により所望の他の成分を混合することにより産生される。これら成分は典型的には連続的高容量オージェ(auger) 押し出し機に添加され、かかる機械はパスタの形状を決定する様々なダイを備えていてもよい。パスタは次いで乾燥され、販売用にパッケージとされる。
【0056】
パスタ製品は、粉砕されたコムギ、水、および場合により卵および/または任意の成分を含む。パスタ製造業者は典型的には粉砕されたデュラムコムギ (セモリナ、デュラム顆粒(durum granulars)およびデュラム小麦粉)をパスタ産生に用いるが、一般のコムギからの穀粉および粉も場合によっては用いられる。多くのパスタ製造業者はセモリナを好み、これはサイズが均一な微細粒子からなり、高品質のパスタ製品を作り出す。パスタ産生に使用する水は異臭がなく、純粋で飲用に好適なものでなければならない。また、パスタは低温殺菌温度より低温で作られるので、使用する水は低細菌数でなければならない。卵(新鮮卵、冷凍卵、乾燥卵、卵黄または、乾燥卵固体)が、卵麺類または卵スパゲッティーの製造および栄養品質およびパスタの高級さの改善のためにパスタに添加される。少量の任意の成分、例えば、塩、セロリ、ニンニク、およびローリエも風味を増すためにパスタに添加されうる。リン酸ナトリウムを調理時間の短縮のために用いてもよい。その他の成分、例えば、粘性グルテン、モノステアリン酸グリセリン、および卵白も添加してもよい。すべての任意の成分はパッケージに明示されるべきである。
【0057】
デュラムコムギは、ロール製粉機を用いて粉砕されて、セモリナ、デュラム顆粒、またはデュラム小麦粉となる。セモリナ製粉は、粉の産生を最小にして顆粒状ミドリング粉を調製する目的であるという点で独特である。コムギは粉砕された後、水、卵およびその他の任意の成分と混合される。
【0058】
混合操作において、水が混合ボウル中の粉砕されたコムギに添加されて、水分含量がおよそ 31 パーセントの生地が作られる。卵およびあらゆる任意の成分も添加してもよい。もっとも現代的なパスタプレスは、押出前のパスタから気泡を除くために真空槽を備えている。押出前に空気が除かれなければ、小さな泡がパスタ中に形成され、それによって機械強度が低下し、最終製品が白く、粉を吹いた外観となるであろう。
【0059】
生地が混合された後、それは押し出し機へと移される。押出オージェ(auger)は生地をダイに通すよう押すだけでなく、生地を均一な塊となるよう混練し、産生速度を制御し、最終製品の全品質に影響する。押出オージェ(auger)の構成と大きさは装置の製造業者によって異なるが、もっとも現代的なプレスは全長に渡って均一なピッチにて刃の鋭いオージェ(auger)を有する。オージェ(auger)は溝付きの押出バレルに適合し、それは生地を前方に動かし、オージェ(auger) とバレルの内側との間の摩擦を減らすのを助ける。押出バレルは押出工程中に生じた熱を発散させるために水冷ジャケットを備えている。該冷却ジャケットはまた、およそ 51℃(華氏124度)であるべき押出温度を一定に維持するのを助ける。生地が熱くなりすぎると(74℃ [華氏165度]を超えると)、パスタは損傷を受けるであろう。
【0060】
押し出し機を通る生地の流量が均一であることも重要である。ダイを通る生地の流量の変動によりパスタが様々な速度で押し出されことになる。サイズが不均一な製品は廃棄または再処理しなければならず、それによって、製品の単位当たり原価が高くなる。ダイの内側表面もまた、製品の外観に影響を及ぼす。最近まで、ほとんどのダイは青銅でできていたが、それは比較的軟らかく、修復または定期的交換を必要とするものであった。最近、ダイはその押出し面にテフロン(登録商標)インサートを適用することにより改善され、それによってダイの寿命が長くなり、パスタの品質が改善された。
【0061】
乾燥はパスタ産生工程の制御のためにもっとも困難で重要な工程である。乾燥の目的はパスタの水分含量をおよそ 31 パーセントから12〜13 パーセントに低めて、最終製品を硬くし、その形状を保持させ、劣化せずに保存させることである。
【0062】
ほとんどのパスタ乾燥操作では押出の直後に予備乾燥機を用いてパスタが互いにひっついてしまうことを防ぐ。予備乾燥はパスタの外側表面を硬くしつつ内側を軟らかく可塑性に維持する。その後に最終乾燥機を用いて製品からほとんどの水分を除く。
【0063】
乾燥温度および相対湿度の上昇は乾燥における重要な因子である。パスタの外側表面は内側より速く乾燥するため、パスタの表面から内側へと水分勾配が発生する。速く乾燥させすぎると、パスタにひびが入り、製品の外観が悪くなり、機械強度が非常に低くなってしまう。亀裂は乾燥工程の間に起こり得、あるいは製品が乾燥機の外に出てから数週間後までに起こりうる。パスタをゆっくりと乾燥させすぎると、劣化し、または乾燥工程の際にカビが生える傾向がある。それゆえ、乾燥サイクルを製品のタイプごとの要求条件に応じるように調整することが重要である。乾燥サイクルがうまくいくと、パスタは硬くかつ柔軟となり、破断する前にかなりの程度の角度まで曲がるようになる。
【0064】
パッケージングは、製品を汚染されないように維持し、パスタを出荷および保存の際の損傷から保護し、製品を好ましいものに見せる。麺類のための主なパッケージング材料はセロファン袋であり、それは製品に防湿性の保護を提供し、自動パッケージング機で容易に用いられるが、食料品店の棚の上で積み上げにくい。多くの製造業者がパスタのパッケージのために袋の代わりに箱を用いている。というのは箱は積み上げやすく、壊れやすいパスタ製品を良好に保護し、袋よりも読みやすい公告を印刷する機会を与えるからである。
【0065】
パスタ製造において様々な源からの大気放出が起こりうる。粒状物質 (PM) 放出は主に固体の操作および混合に起因する。パスタ製造について、PM 放出はコムギ製粉工程において、生の食材が混合される際、そしておそらくパッケージングの際に起こる。コムギ製粉に伴う放出源には、穀粒の受け取り、前洗浄/取り扱い、洗浄室、製粉、および荷の積込が含まれる。その他の情報はD. E. Walsh and K. A. Gilles、"Pasta Technology"、Elements Of Food Technology、N. W. Desrosier、Editor、AVI Publishing Company、Inc.、1977において得られる。
【0066】
本発明はパスタの工業生産と家庭での作成との両方に適用され、後者の場合、好ましくは卵パスタの調製において適用される。
【0067】
本発明によると、生地の製造工程において、本明細書に開示する乳酸菌の混合物が用いられる。
【0068】
本発明の別の態様において、典型的なアジア風の穀類に基づく食品が提供される。好ましい例は、麺の一種であり、韓国ではラミュン(Ramyun)、中国では、ラミエン(Ramien)、そして日本ではラーメン(Ramen)として知られている麺である。
【0069】
本発明の一般的実施においては、生地は、乳酸菌の混合物を添加し、十分な時間前発酵させることにより調製される。
【0070】
本発明による、所望により微生物プロテアーゼの上記混合物が添加されていてもよい乳酸菌およびビフィズス菌の混合物は、食品、特にセリアック病に罹患する対象向けのグルテン非含有品質の食品の製造において利用することも出来る。この種の食品の例は、パスタ、シリアル、タコス、トーティーヤ、ポップコーンである。Practical Gastroenterology April 2004、pages 86-104 およびその引用文献を参照されたい。
【0071】
本発明の別の目的は、上記サワードウ調製物の添加を含む、焼いた食品の製造方法である。
【0072】
本発明の好ましい態様において、該方法は以下の工程を含む:
a) 20-50重量%の小麦粉 (全混合物は20%-50% の粉および80%-50%の水、1gの生地当たり本発明の混合物の約 109 細胞により生地収率 約 300)の、約 37℃で少なくとも 約 24時間、好ましくは約 24〜約 31 時間の液体前発酵工程;
b)発酵の後、生地と1以上の耐容性の粉、例えば、雑穀粉との混合により、最終生地収率約 150 (固体生地)とし、市販のパン酵母を濃度約 1 重量%にて添加する工程;
c) 生地を約 37℃で約 2 時間、パン種が完成するまでインキュベートする工程;
d)約 250℃で約 20 分間焼く工程。
【0073】
本発明の第二の態様において、該方法は以下のように改変されうる:
a) 20%の小麦粉とさらなる真菌プロテアーゼ添加物 (200 ppm)との37℃で24-31 時間の液体発酵工程;
b)発酵の後、乾燥させて水を除き、グルテン非含有小麦粉を得る工程(グルテン< 200 ppm);
c)グルテン非含有小麦粉を、穀類に基づく食品、特に焼いた食品の製造のための基本成分として使用する工程。
【0074】
この状況において「約」という語は、本発明の通常の実施において含まれる示された値の周囲の値であって、測定装置の器械誤差または当業者による示された値の周囲の偏差に依存し得るが、本発明により得られる結果に影響を与えない値を意味する。
【0075】
上記範囲は概ね下限より高く、概ね上限より低いことを意味する。それゆえ、工程 a)の液体前発酵は、約 20%以上であり50重量%以下である量の小麦粉の、約 24時間以上約 31 時間以下の発酵を含む。
【0076】
耐容される粉の例示的列挙は、ベスン粉、そば粉、亜麻、コーン(トウモロコシ)、豆類粉 (ヒヨコマメ/チャナダル豆、レンティル豆、エンドウ豆)、雑穀、インディアン・ライスグラス、ナッツ粉 (アーモンド、ヘーゼルナッツ、ピーカン)、キノア、ジャガイモ粉、サツマイモ粉、サゴ、種子粉 (ゴマ)、ソルガム、大豆、タピオカ、テフを含む。雑穀は好ましい耐容される粉の一つである。
【0077】
本発明の非常に有利な態様は、耐容される粉を含むか否かにかかわらず、焼いた食品にプレバイオティクスを含めることである。
【0078】
プレバイオティクスは消化されにくい繊維状物質であり、その例は、短鎖および直鎖オリゴ糖、例えば、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キシロオリゴ糖およびイソマルトオリゴ糖である。
【0079】
本発明のさらに有利な態様は、本明細書に開示する焼いた食品を、例えば、EP 1 010 372に開示の焼いた食品に導入することである。この態様において、該焼いた食品は、生きた凍結乾燥乳酸菌を含む、焼いていない、実質的に水を含まない、脂肪に基づく組成物を含む。生きた凍結乾燥乳酸菌を含むこの脂肪に基づく組成物は、本発明のすべての焼いた製品と組み合わせることが出来る。
【0080】
穀類に基づく食品、特に焼いた食品および、本発明による穀類に基づく食品、特に焼いた食品を作るためのパッケージは、セリアック病に罹患している対象への投与に好適である。
【0081】
上記のように、本発明は、でんぷん質の多い食物、特に穀類に基づく食品の一般名称にて知られる一般的食品も含む。
【0082】
微生物プロテアーゼを添加していてもよい上記の乳酸菌の混合物は、でんぷん質の多い食物、特に穀類に基づく食品の製造において、焼いた食品の上記態様と同じ結果と利点を得るために用いられる。いわば、本発明により得られる食品は、セリアック病に罹患している対象またはより消化されやすい食品を求めている健康である一般消費者に好適である。例えば子供や老人はより消化されやすい食品を求めているであろう。
【0083】
それゆえ、本発明のさらなる目的は、セリアック病に罹患している対象の治療方法であり、該方法は、該対象の食事に上記の焼いた食品および/またはでんぷん質の多い食物を導入することを含む。上記において、本発明による焼いた食品およびでんぷん質の多い食物は「穀類に基づく食品」という用語に含まれる。
【0084】
本発明の別の態様において、穀類に基づく食品、特に焼いた食品は、グルテン耐性の維持またはグルテン耐性の誘導または小麦粉アルブミンおよびグロブリンによるアレルギーのリスクの低下のために用いうる。
【0085】
本発明の別の態様において、穀類に基づく食品、特に焼いた食品はグルテン濃度が低いため(< 200 ppm) セリアック病患者に安全に用いることが出来る。
【0086】
本発明による治療方法は、セリアック病のその他の薬物治療と組み合わせて用いることも出来る。
【0087】
上記のように、統合失調症症状がセリアック病患者にみられ、統合失調症患者はグルテンに対する感受性の高い挙動を示す。本発明による混合物はグルテン非含有食品の調製に有用である。
【0088】
それゆえ、本発明のさらなる目的は、上記の混合物の統合失調症症状の治療に有用なグルテン非含有食品の調製における使用である。特に、該症状はセリアックまたは非セリアック病患者に影響を及ぼす。
【0089】
当該技術分野における別の問題は、腸溶性食事の調製におけるプロリンの使用である。特定の対象において、プロリンは加水分解されず、腸溶性食事のための溶液を作るこの化合物は吸収されない。アレルギー応答もプロリンに起因して起こりうる。本発明に開示する乳酸菌およびビフィズス菌の混合物は、プロリンまたはプロリンに富むペプチドの加水分解に有用であり、それにより腸溶性食事のための調製物が有効かつ非アレルゲン性となる。
【0090】
その性質のために、本発明に開示する乳酸菌およびビフィズス菌の混合物はまた、グリアジンに富むグルタミン溶液を低刺激性にするのに有用である。
【0091】
本発明の別の態様において、本明細書に開示する混合物が、胃腸疾患の治療のために血小板活性化因子 (PAF) およびその他の炎症性サイトカインのレベルを低下させる製品の製造にも利用可能であることも見いだされた。
【0092】
PAFは一連の胃腸疾患、特に炎症性障害に関与する。本発明者らにより、 虚血性腸壊死 (Hsueh W.、Gonzalez-Crussi F.; Methods Achiev. Exp. Pathol.; 1988:13; 208-39)、胃潰瘍 (Esplugues JV.、Whittle B.J.、Methods Find.; 1989: Suppl. 1、61-6)、出血性結腸大腸炎 (Chaussade S.、Denizot Y、Ann. Gastroenterol. Hepatol. (Paris); 1991、May 27(3): 117-21)、壊死性腸炎 (Ewer AK.、Acta Pediatr. Suppl.; 2002、91(437): 2-5; neonatal: Caplan MS.、et al.、Semin. Pediatr. Surg.; 2005、Aug 14(3): 154-51)、炎症性腸疾患 (Nassif A.、et al. Dis. Colon Rectum; 1996、Feb.; 39(2):217-23)、嚢炎 (Rothenberg DA.、et al. Ann. Chir.; 1993; 47(10):1043-6)が言及されうる。
【0093】
上記説明に鑑み、本発明による製品は、対象、特に、PAF-ヒドロラーゼに欠損を有し、一連の炎症性疾患に罹患しうる日本人にも補給することが出来る(Karasawa K.; et al.; Prog. Lipid. Res.; 2003 Mar.、42(2):93-114)。
【0094】
上記のように製品は食品の形態を取ってもよいし、または、栄養サプリメント、栄養補助食品、薬剤の形態を取ってもよい。
【0095】
栄養サプリメントおよび栄養補助食品は当該技術分野において周知の用語であり(Arvanitoyannis IS、et al.; Crit. Rev. Food Sci. Nutr.; 2005,45(5):385-404 and Kalra EK、AAPS PharmSci.; 2003、5(3); E25)、さらに定義する必要はない。
【0096】
以下の実施例により本発明をさらに説明する。
【0097】
実施例 1
サワードウ発酵および電気泳動分析
用いた小麦粉の特徴は以下の通りであった: 水分、12.8%; タンパク質 (N x 5.70)、乾物(d.m.)の10.7%; 脂肪、d.m.の1.8%.; 灰分、d.m.の0.6%; および総可溶性炭水化物、d.m.の1.5% 。80gの小麦粉および190 ml の水道水 (1gの生地当たり約 109 cfuの細胞調製物の細胞濃縮物を含有)を用いて270 gの生地を作った(生地収率、220)。4つの生地を、以下の乳酸菌およびビフィズス菌の混合物を用いて作った。
【0098】
本発明による混合物 1:
ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、
ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、
ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、
ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)、
ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、
ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、
ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)、
ラクトバシラス・デルブルエッキ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)。
【0099】
本発明による混合物2
ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus) 、
ビフィドバクテリウム・ラクティス( Bifidobacterium lactis) 、
ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve) 、
ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) 、
ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum) 、
ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei) 、
ラクトバシラス・ヘルヴェティクス(Lactobacillus helveticus)。
【0100】
混合物 3
ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) 、
ラクトバシラス・ブレヴィス(Lactobacillus brevis) 、
ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus) 、
ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)。
【0101】
混合物 4
ラクトバシラス・ブレヴィス(Lactobacillus brevis) 、
ラクトバシラス・サリバリウス菌種サリシニウス(Lactobacillus salivarius spp. salicinius)、
ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)。
【0102】
発酵を37℃で24時間行った。細菌種菌を含まない生地を乳酸および酢酸の混合物(モル比 4:1)を用いて化学的に酸性化してpH 4.0とし、対照として用いた。インキュベーションの後、グリアジンを、Osborne (Osborne、T.B.; 1970、The Proteins of the wheat kernel. Carnegie Institute of Washington publication 84. Judd and Detweiler、Washington、D.C.)により元々記載され、Weiss et al. (Weiss、et al.; 1993、Electrophoresis、14:805-816)によりさらに改変された方法にしたがって生地から抽出した。
【0103】
10-20μlのアリコット(約 10μgのグリアジン)をサンプルバッファーで1:1に希釈し、100℃で5分間処理し、Laemmliの方法 (Laemmli; 1970、Nature、227:680-685)にしたがってドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動 (SDS-PAGE)によって分析した; ゲルは 12%のアクリルアミドを含んでおり、B10 Bio-Safe クーマシーブルー (Bio-Rad Laboratories、Hercules、CA)で染色した。二次元電気泳動 (2DE)をDi Cagno et al. (Di Cagno; et al.、2004) に記載のようにして行った。3つのゲルを分析し、化学的に酸性化された生地 (siCAD)およびサワードウ (混合物 1を添加) (siSD)のスポット強度をBini et al. (Bini、et al.; 1997、Electrophoresis、18:2832-2841)に報告されているようにして規準化した。個々のタンパク質についての加水分解係数を[(siCAD siSD)/siCAD] x 100として表現した。すべての加水分解係数は3つのゲルのスポット強度の平均に基づいて計算し、標準偏差を計算した。P値が< 0.05であった有意差を示す加水分解係数のみを報告した。
【0104】
合成基質、プロリンに富むポリペプチドの加水分解およびRP-FPLC 分析
予備的に、混合物 1のプロリン特異的ペプチダーゼ活性を合成基質、例えば、 Pro-p-NA、Leu-p-NA、Ala-p-NA、Leu-Leu、Val-Leu、Pro-Gly、Gly-Pro-Ala、Leu-Leu-Leu、Z-Gly-Pro-p-NAおよびNCBZ-Gly-Gly-Leu-p-NA (Sigma Chemical Co、St. Louis、Mo)を用いて特徴決定した。アッセイ混合物には、500μl の 200 mM リン酸バッファー、pH 7.5、150μl の 基質 (0.2-3 mM、終濃度)、8μl の NaN3 (0.05% 終濃度)および50μl の 混合物 1調製物 (5 x 109 cfu/ml、終濃度)が含まれていた。A-グリアジンのフラグメント 62-75 (P-Q-P-Q-L-P-Y-P-Q-P-Q-S-F-P) (Silano and De Vincenzi; 1999)およびエピトープ 33-mer (L-Q-L-Q-P-F-P-Q-P-Q-L-P-Y-P-Q-P-Q-L-P-Y-P-Q-P-Q-L-P-YP-Q-P-Q-P-F) (Shan et al.、2002) をNeosystem Laboratoire (Strasbourg、France)により化学的に合成した。フラグメント 62-75についてのアッセイ混合物は、320μl の 20 mM リン酸バッファー、pH 7.0、150μl の 基質 (450 μM、終濃度)、8μl の NaN3 (0.05% 終濃度)および50 μl の 混合物 1調製物 (5 x 109 cfu/ml、終濃度)を含んでいた。エピトープ 33-merについてのアッセイ混合物は、500μl の 200 mM リン酸バッファー、pH 7.5、150μl の 基質 (200 μM、終濃度)、8μl の NaN3 (0.05% 終濃度)および50μl の 混合物 1調製物 (5 x 109 cfu/ml、終濃度)を含んでいた。両方の混合物を撹拌条件下で (150 rpm) 37℃でインキュベートした。33-merの加水分解についての酵素動力学はLineweaver-Burk plot (Lineweaver and Burk; 1934、J. American Chem. Soc.、56:658-666)を用いて計算した。
【0105】
酵素反応を0.05% (vol/vol) (終濃度) トリフルオロ酢酸の添加により終了させた。ペプチドを混合物から以下を用いたRP-FPLCにより分離した:Resource II RPC 3ml カラム および214 nmで作動するUV 検出器を備えたFPLC (Amersham Bioscences、Upssala、Sweden)。溶出は、0.05% トリフルオロ酢酸中のアセトニトリルのグラジエント (5〜100%)を用いて流速 1 ml/分にて行った。CH3CNの濃度を、16 〜62 分で5〜46%そして62〜72分で 46%〜100%に線形に上昇させた。
【0106】
同じ方法を用いて発酵した生地の70% エタノール可溶性抽出物に含まれるオリゴペプチドを測定した。
【0107】
乳酸菌およびビフィズス菌と組み合わせての真菌プロテアーゼの使用
グルテン非含有(< 200 ppm)サワードウを作るために、混合物 1をパン製品に常套的に用いられている200 ppmの真菌プロテアーゼと組み合わせて用いた。発酵の際、細菌および真菌源からのタンパク質分解活性の補完的活性により、画分中の特にグリアジンおよびグルテンが顕著に低下した。発酵したサワードウのエタノール可溶性抽出物は、モノクローナル抗体 R5の使用により測定して200 ppm未満のグルテン濃度を示した。
【0108】
R5 モノクローナル抗体を用いたウェスタンブロット分析およびRAPD PCR 分析
混合物 1 (1gの生地当たり約109 cfu)を含む発酵した生地 (37℃で24時間)を非タンパク質成分および耐容される粉 (例えば、雑穀) と混合してイタリアンビスケットを作り、250℃で15分間の焼く工程に供した。混合物 1による発酵を利用せずに作ったイタリアンビスケットを対照として用いた。ビスケットをCentro National de Biotecnologia、Gluten Unit、CNB (28049 Madrid Spain)にてR5 モノクローナル抗体でのウェスタンブロットおよびRAPD PCRにより分析した。R5 モノクローナル抗体は、潜在的毒性セリアックペプチド: QQPFPおよび33-mer、を認識する。RAPD PCRは、潜在的毒性ペプチドに関連する特異的DNA 配列に基づいて行った。
【0109】
小麦粉塩可溶性タンパク質(アルブミンおよびグロブリン)の加水分解
アルブミンおよびグロブリンを、Weiss (1993)の方法により小麦粉から抽出した。アッセイ混合物は、50 mM Tris-HCl、pH 7.0中の0.8 ml の アルブミン/グロブリン(約3 mg/ml)、5 x 109 cfu/ml の混合物 1およびNaN3 0.05%を含むものであった。インキュベーションは37℃で24時間撹拌条件下で行った。微生物細胞を含まない対照を試験に含めた。インキュベーションの後、上清を遠心分離によって回収し、電気泳動に用いた。水/塩可溶性画分からのタンパク質(アルブミンおよびグロブリン)をイムノブロッティング (Curioni、A.、et al.、1999、Clin. Exp. Allergy、29:407-413)により分析し、コムギ摂取に関連する胃腸症状を患うものと以前に特徴づけられているアトピー患者からのプールした血清のIgE結合を検出した。半乾燥ブロッティングを用いることにより、SDS-PAGEによって分離したタンパク質バンドをTrans-blot Cell (Bio-Rad Laboratories、Milan、Italy)および48 mM Tris、pH 9.2、39 mM グリシン、20% メタノールおよび 0.1% SDSを含むトランスファーバッファーを用いて5時間 50 Vの電位でニトロセルロースシートにトランスファーした。ブロッティングバンドを数分間Ponceau S (3% トリクロロ酢酸中0.1%)にメンブレンを浸すことにより可視化し、鉛筆で印を付けた後、水で脱染した。メンブレンを0.05% Tween 20 (TBS-T) および5% 脱脂粉乳 (M-TBS-T)を含むTBS で2時間ブロッキングし、TBS-T中に1:20に希釈した患者からのプールした血清とともに一晩インキュベートした。5回M-TBS-Tで洗浄した後、ブロットをM-TBS-Tで1:5000に希釈したモノクローナル抗ヒト IgE ペルオキシダーゼ-結合抗体 (Sigma Chemical Co)とともに1時間インキュベートした(Curioni、et al.; 1999)。M-TBS-Tで4回TBSで1回洗浄した後、結合したIgEをSupersignal Detection Kit (Pierce Biotechnology Inc.、Rockford、IL)を用いた化学発光により製造業者による指示に従って可視化した。この手順は室温で行った。
【0110】
対照と比較して、示した4つの細胞調製物を用いて発酵させた生地から抽出したグリアジン画分のSDS-PAGE プロファイルは、すべての細胞調製物がグリアジンの分解能を同一に有するわけではないことを示した。加水分解は、本発明の混合物 1について非常に高く、混合物 2についてはわずかであり、その他の細胞調製物(混合物3 および4)は検知できる分解は起こさなかった。
【0111】
4つの細胞調製物の間での相違を、電気泳動によって検出可能な分子量より小さいみかけの分子量を有するオリゴペプチドの全体像が与えられる、70% エタノール可溶性タンパク質画分のRP-FPLC 分析により確認した。
【0112】
上記結果は、グリアジンに対してより特異的なタンパク質分解活性を有すると考えられる混合物 1の高い性能の大きな証拠を与えた。
【0113】
混合物 1から構成される細菌種を別々に1gの生地当たり約 109 細胞の同一の濃度で用いた場合、8 種のいずれも混合物によって示されたような顕著な加水分解を示さなかった。これは、よく規定された割合で混合物 1において用いられる少なくとも 6 株の種の間の補完的なタンパク質分解活性を示す最初の証拠であった。
【0114】
グリアジンおよび関連オリゴペプチドは、その配列内のプロリン残基の割合が高いことに特徴づけられる(Wieser、1996、Acta Pediatr. Suppl. 412:3-9)。プロリンは20 アミノ酸のなかでその環状構造により特有である。この特定の立体構造がペプチドおよびタンパク質の構造面に多くの制約を課すことにより、非常に加水分解に耐性となっている。かかるペプチドを適切に扱うために、一群の特異的ペプチダーゼが、様々な位置で潜在的な基質としてプロリン残基が存在するすべてのペプチド結合の加水分解に必要である(Cunningham and Connor; 1997、Biochim. Biophys. Acta、1343:160-186)。予備的に、混合物 1のプロリン特異的ペプチダーゼ活性は合成基質、例えば、 Pro-p-NA、Leu-p-NA、Ala-p-NA、Leu-Leu、Val-Leu、Pro-Gly、Gly-Pro-Ala、Leu-Leu-Leu、Z-Gly-Pro-p-NAおよびNCBZ-Gly-Gly-Leu-p-NAを用いて特徴決定し、これらは、プロリンイミノペプチダーゼ、アミノペプチダーゼ、ジペプチダーゼ、プロリナーゼ、プロリダーゼ、ジペプチジルペプチダーゼ、トリペプチダーゼ、プロリル-エンドペプチダーゼおよびエンドペプチダーゼ 酵素にそれぞれ比較的特異的である (表 1)。
【0115】
表 1
混合物 1の酵素活性
【表1】

各値は3つの酵素アッセイの平均であり、標準偏差を計算した。p-NA 基質に対する酵素活性ユニット (U)は0.01/分の410での吸光度の上昇をもたらす酵素の量として規定した。ポリペプチドに対するユニットは、1 μmole基質/ 分を放出する酵素の量とした。
【0116】
すべての上記酵素活性は混合物 1調製物において大きく分布していた。一つの微生物株がすべての前記の酵素活性を有することは非常に稀であるため (Cunningham and O'Connor; 1997; Kunjii、et al.; 1996、Antoine Van Leeuwenhoek 70:187-221; Di Cagno et al.; 2004)、選択された細菌、例えば、混合物 1に含まれるもののプールのみがプロリンに富むオリゴペプチドの加水分解に必要とされるペプチダーゼの完全なパターンを有しうる。
【0117】
生地の発酵の際の混合物 1調製物によるグリアジンオリゴペプチドの加水分解をさらに2DE 分析により特徴づけた。84のタンパク質 スポットが対照として用いた化学的に酸性化された生地において同定された (図 1A)。84のグリアジンオリゴペプチドスポットのうち79が混合物 1との生地の発酵の後に対照と比較して顕著に分解されていた (図 1B)。表 2は、2DEによって同定されたスポットの加水分解係数を示す。ほとんどの分解したオリゴペプチド(79のうち65) が80%を超える加水分解係数を有しており、8のみが40 %未満の加水分解係数を示した。
【0118】
表 2
37℃で24時間の生地インキュベーションの後の混合物 1 によって加水分解されたアルコール-可溶性 ポリペプチドの性質a
【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

a分析はImage Master software (Pharmacia)により行った。独立の複製である4つのゲルを分析した。スポットの定量および加水分解係数の計算については、材料および方法を参照されたい。加水分解係数はすべて4つのゲルのそれぞれのスポット強度の平均に基づいて算出し、標準偏差を算出した。bスポット名は、図 1Aおよび1Bにおけるゲルのものに対応する。
【0119】
上記結果は、混合物 1がグリアジンオリゴペプチドをほとんど完全に加水分解する能力を有していたことを示す。
【0120】
混合物 1の活性をさらに以下のCSの主な原因であるとして文献に報告されているオリゴペプチドのいくつかに対してインビトロで特徴決定した: A-グリアジンのフラグメント 62-75 (Silano and De Vincenzi; 1999)およびエピトープ 33-mer (Shan、et al.; 2002)。RP-FPLC 分析によって示されるように、450 μMの濃度のA-グリアジンのフラグメント 62-75は、混合物 1の5 x 109 cfu/ml 細胞との6時間のインキュベーションの後に完全に加水分解された。200 μMの濃度のエピトープ 33-merは、同じ細胞濃度の混合物 1との24時間のインキュベーションの後に完全に加水分解された(図 2)。33-merの加水分解の動力学をLineweaver-Burkプロットにより判定したところ、Vmax が0.26μmol/ml/分であり、Kmが216μMであった。文献において以前に報告されているように、エピトープ 33-mer は以下の性質を有することに注意すべきである: (i)胃および膵臓プロテアーゼへの長期曝露にもよってもインタクトなままである; (ii)小さい刷子縁膜酵素との20 時間のインキュベーションによって20%未満の加水分解を示す;および(iii)小腸において長時間(約 24時間) インタクトなままであり、低濃度においてもT-細胞増殖についての潜在的抗原として作用する (Shan、et al. 2002)。上記結果は、混合物 1は33-merを完全に加水分解するのに必要な酵素活性の複雑なプールを含んでおり、かかる活性は胃腸レベルに位置するものよりも顕著に高いということを示す。
【0121】
ヨーロッパのグリアジンの基準と比較して、イタリアンビスケットのR5 モノクローナル抗体によるウェスタンブロットはインタクトなグリアジンの典型的なプロファイルを有していた。R5 モノクローナル抗体の主な利点は、複数の免疫反応性 エピトープリピートに対応するコンセンサスアミノ酸配列 QXPW/FP (Osman、et al.; 2001、Eur. J. Gastroenterol. Hepatol.、13: 1189-1193)を認識するその能力であり、かかるリピートはα-、γ-およびω-グリアジンならびに様々なコムギ変種において起こる(Shewry、et al.; 1992、Cereal's Proteins and Celiac disease. In: Celiac disease、Marsh M. [ed]、Oxford、Blackwell Scientific Publications pp.305-348)。最大の反応性はQQPFP アミノ酸配列に伴っていたが、相同的なリピート、例えば、LQPFP、QLPYP、QLPTF、QQSFP、QQTFP、PQPPP、QQPYP およびPQPFPも、R5 抗体との反応性はより低いが認識される(Osman、et al.; 2001)。これらエピトープのうち3つ(LQPFP、QLPYPおよびPQPFP)が、セリアック病患者の腸由来ヒト T-細胞株の強力な誘導物質であるA-グリアジン 33-mer ペプチドの配列に位置していることは注目に値する(Shan、et al.; 2002)。混合物 1とともに発酵させたイタリアンビスケットのウェスタンブロットはR5 モノクローナル抗体により認識されるα-、β-およびγ-グリアジンのほとんどの分解を示した。
【0122】
同じ結果がRAPD PCR 分析により確認された。
【0123】
コムギアルブミンおよびグロブリンのアレルゲン画分の同定のための予備実験によると、試験した血清の100%がアルブミンおよびグロブリン画分に対して陽性であることが示された。応答は15〜70 KDaの範囲のみかけの分子量を有するタンパク質成分に対してみられ、15 〜45 KDaあたりにいくつかの血清について強い染色がみられた。一次元 SDS-PAGEにより判定して、混合物 1調製物によって加水分解されたものと非処理アルブミンおよびグロブリンの比較は、いくつかの潜在的アレルゲンポリペプチドの加水分解を強調するものであった。
【0124】
実施例 2
実施例 1にしたがって調製したサワードウを、焼いた製品の製造に用いた。
【0125】
米国特許第6,884,443号の実施例に開示の焼いた製品を該特許のものの代わりに本発明による生地組成物を用いて調製した。発酵は、上記実施例 1に開示のように37℃で24時間行い、混合物 1を用いた。
【0126】
結果として得られた製品はより消化されやすくセリアック病に罹患している対象に好適なものであった。
【0127】
実施例 3
混合物 2を用いて実施例 1にしたがって調製したサワードウをパスタの製造に用いた。
【0128】
結果として得られたパスタはより消化されやすく、セリアック病に罹患している対象により摂取可能なものであった。
【0129】
実施例 4
実施例 1による混合物 1をUS 2002/0160093の教示にしたがった麺類の製造に用いた。
【0130】
US 2002/0160093の実施例1-4を繰り返したが、ただし、本発明による混合物 1を含むパケットをカン水と粉の混合物に添加した。混練の後、混合物を37℃で24時間放置した。麺類を文献に開示されているように調製した。
【0131】
結果として得られた製品はより消化されやすく、セリアック病に罹患している対象に好適なものであった。
【0132】
実施例 5
実施例 1による混合物 2を、WO 99/65331の教示に従った麺類の製造に用いた。
【0133】
WO 99/65331の実施例1-2を繰り返したが、ただし、本発明による混合物 2 を含むパケットを生地の成分に添加した。混合後、生地を37℃で24時間放置した。麺類を文献に開示されているように調製した。
【0134】
結果として得られた製品はより消化されやすく、セリアック病に罹患している対象に好適なものであった。
【0135】
実施例 6
実施例 1による混合物 1を、EP 0 614 609の教示にしたがったパン派生物の製造に用いた。
【0136】
EP 0 614 609の実施例1-5を繰り返したが、ただし、本発明による混合物 1 を含むパケットを生地調製物に添加した。混練の後、生地を37℃で24時間放置した。次いで製品を文献に開示のようにして調製した。
【0137】
結果として得られた製品はより消化されやすく、セリアック病に罹患している対象に好適なものであった。
【0138】
実施例 7
実施例 1による混合物 2を、EP 1 338 209の教示に従ってスパゲッティーの製造に用いた。
【0139】
EP 1 338 209の実施例を繰り返したが、ただし、本発明による混合物 2を含むパケットを生地の成分に添加した。混合後、生地を37℃で 24時間放置した。次いで麺類を文献に開示のようにして調製した。
【0140】
結果として得られた製品はより消化されやすく、セリアック病に罹患している対象に好適なものであった。
【0141】
実施例 8
ラミュン(Ramyun)
組成:
1.麺
粉: 83-85%
白絞油: 15-18%
塩 : 1%
その他: 0.6-1%
2. 乾燥スープのもと
乾燥ビーフフレーク、醤油、グルタミン酸1ナトリウム、グルタミン酸2ナトリウム、香味料、グルコース、ニンニク、タマネギ、ネギ、赤トウガラシ粉、風味用のその他の成分
【0142】
ラミュン(Ramyun)の製造方法
粉 (場合によってデンプン、コメ粉、オオムギ粉を様々な比で用いることが出来る)および水を製造業者の推奨にしたがって混合した。混合物 1を生地に添加し、 37℃で24時間放置した。
【0143】
混合した生地を木玉でロールし、生地を機械から押し出して、麺類の個々のストリングを作った。麺の形状と厚さは粉砕装置のスロットサイズ、および麺を運ぶコンベヤの速度を調整することにより所望の厚さと形状に調節することが出来た。
【0144】
麺を温度が100℃を超える蒸気室を通過させ、アルファ化デンプン (α- デンプン)をより消化しやすいものに誘導した。
【0145】
蒸気処理工程の後、麺を成型ケースにより特定の形状へと成型した。
【0146】
ディープ・フライ工程:ラミュン(Ramyun)のタイプに応じて、ディープ・フライ工程の際に脱水が起こった。麺を150℃でディープ・フライ工程に供した。いくつかのラミュン(Ramyun)はこのディープ・フライ工程に供さなかった。
【0147】
ディープ・フライ工程の後、ラミュン(Ramyun)を冷却工程に供した。
【0148】
本発明によると、乳酸菌およびビフィズス菌の特定の混合物は、CS 患者により耐容されうる穀類に基づく食品、特に焼いた食品の製造に好適である。特に、以下の利点が提供される:
(i)生地発酵の際にグリアジンオリゴペプチドを分解する顕著な能力;
(ii) 2DE 分析によって同定された84のグリアジンオリゴペプチドのうち79の加水分解;
(iii)プロリンを様々な位置で含む合成ペプチドに対する補完的かつ高い酵素活性;
(iv) CSの原因であるオリゴペプチド(A-グリアジンのフラグメント 62-75およびエピトープ 33-mer)を完全に加水分解する能力;
(v) R5 モノクローナル抗体と反応するα-、β-およびγ-グリアジンを顕著に低下させる能力;
(vi)いくつかのアレルゲンポリペプチドを加水分解する能力;
(vii)上記細菌の活性に真菌プロテアーゼを追加し、液体発酵下で20% 小麦粉に対して用いた場合、グルテン非含有小麦粉の産生を強く上昇させる。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】図 1は、小麦粉でできた様々な生地のグリアジンタンパク質画分の2DE 分析を示す。(A) 化学的に酸性化された生地 (対照)。プロラミンポリペプチドを番号付けした赤の楕円により示した。(B)以下の実施例の混合物 1と24時間37℃でインキュベートした生地。プロラミンポリペプチドを番号付けした赤の楕円によって示した。青の番号は80%以上が分解したポリペプチドを示す。Mr、分子量。
【図2】図 2は、33-mer ペプチドの混合物 1 (109 cfu/ml)による加水分解を示す。微生物種菌無しでの37℃での24時間のインキュベーション後(A)、および、混合物 1による37℃での24時間の加水分解の後(B)の200 μM 33-merのUV 214 nmでのRP-FPLCトレース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下からなる群から選択される少なくとも6種の乳酸菌および/またはビフィズス菌の混合物を含むサワードウ:ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバシラス・ブチネリ(Lactobacillus buchneri)、ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバシラス・カテナフォルメ(Lactobacillus catenaforme)、ラクトバシラス・セロビオサス(Lactobacillus Cellobiosus)、ラクトバシラス・クリスパツス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバシラス・クルヴァツス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバシラス・デルブルエッキ(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバシラス・デルブルエッキ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、ラクトバシラス・デルブルエッキ亜種ラクティス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)、ラクトバシラス・ヘルヴェティクス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバシラス・ジェネセニ(Lactobacillus jensenii)、ラクトバシラス・レイクマンニ(Lactobacillus leichmannii)、ラクトバシラス・ミヌツス(Lactobacillus minutus)、ラクトバシラス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシラス・ロゴサエ(Lactobacillus rogosae)、ラクトバシラス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバシラス・ブレヴィス(Lactobacillus brevis)、ラクトバシラス・ガッセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバシラス・フェルメンツム(Lactobacillus fermentum)、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・アングラツム(Bifidobacterium angulatum)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・カテヌラツム(Bifidobacterium catenulatum)、ビフィドバクテリウム・デンティウム(Bifidobacterium dentium)、ビフィドバクテリウム・エリクソニ(Bifidobacterium eriksonii)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・プランタルム(Bifidobacterium plantarum)、ビフィドバクテリウム・シュード・カテヌカツム(Bifidobacterium pseudo-catenulatum)、ビフィドバクテリウム・シュードロングム(Bifidobacterium pseudolongum)、ストレプトコッカス・ラクティス(Streptococcus lactis)、ストレプトコッカス・ラフィノラクティス(Streptococcus raffinolactis)、アシダミノコッカス・フェルメンタ(Acidaminococcus fermenta)、サイトファーガ・フェルメンタンス(Cytophaga fermentans)、ロドフェラックス・フェルメンタンス(Rhodoferax fermentans)、セルロモナス・フェルメンタンス(Cellulomonas fermentans)、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)。
【請求項2】
該乳酸菌およびビフィズス菌の混合物が、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)、ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバシラス・デルブルエッキ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)を含むか、または該混合物が、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ビフィドバクテリウム・ラクティス( Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)、ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバシラス・ヘルヴェティクス(Lactobacillus helveticus)を含む、請求項 1のサワードウ。
【請求項3】
製パン業に用いられる少なくとも1つの微生物タンパク質分解酵素をさらに含む、請求項 1または2のサワードウ。
【請求項4】
該タンパク分解酵素が真菌または細菌に由来する請求項 3のサワードウ。
【請求項5】
該タンパク分解酵素がアスペルギルス種(Aspergillus sp.)から得られるものである請求項 4のサワードウ。
【請求項6】
以下からなる群から選択される少なくとも6種の乳酸菌および/またはビフィズス菌の混合物を含むパンの種の組成物:ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバシラス・ブチネリ(Lactobacillus buchneri)、ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバシラス・カテナフォルメ(Lactobacillus catenaforme)、ラクトバシラス・セロビオサス(Lactobacillus Cellobiosus)、ラクトバシラス・クリスパツス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバシラス・クルヴァツス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバシラス・デルブルエッキ(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバシラス・デルブルエッキ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、ラクトバシラス・デルブルエッキ亜種ラクティス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)、ラクトバシラス・ヘルヴェティクス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバシラス・ジェネセニ(Lactobacillus jensenii)、ラクトバシラス・レイクマンニ(Lactobacillus leichmannii)、ラクトバシラス・ミヌツス(Lactobacillus minutus)、ラクトバシラス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシラス・ロゴサエ(Lactobacillus rogosae)、ラクトバシラス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバシラス・ブレヴィス(Lactobacillus brevis)、ラクトバシラス・ガッセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバシラス・フェルメンツム(Lactobacillus fermentum)、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・アングラツム(Bifidobacterium angulatum)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・カテヌラツム(Bifidobacterium catenulatum)、ビフィドバクテリウム・デンティウム(Bifidobacterium dentium)、ビフィドバクテリウム・エリクソニ(Bifidobacterium eriksonii)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・プランタルム(Bifidobacterium plantarum)、ビフィドバクテリウム・シュード・カテヌカツム(Bifidobacterium pseudo-catenulatum)、ビフィドバクテリウム・シュードロングム(Bifidobacterium pseudolongum) からなる群から選択されるビフィズス菌、ストレプトコッカス・ラクティス(Streptococcus lactis)、ストレプトコッカス・ラフィノラクティス(Streptococcus raffinolactis)、アシダミノコッカス・フェルメンタ(Acidaminococcus fermenta)、サイトファーガ・フェルメンタンス(Cytophaga fermentans)、ロドフェラックス・フェルメンタンス(Rhodoferax fermentans)、セルロモナス・フェルメンタンス(Cellulomonas fermentans)、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)。
【請求項7】
該乳酸菌およびビフィズス菌の混合物が、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)、ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバシラス・デルブルエッキ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)を含むか、または該混合物が、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ビフィドバクテリウム・ラクティス( Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)、ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバシラス・ヘルヴェティクス(Lactobacillus helveticus)を含む、請求項 6のパンの種の組成物。
【請求項8】
製パン業に使用される少なくとも1つの微生物タンパク質分解酵素をさらに含む請求項 6または7のパンの種の組成物。
【請求項9】
該タンパク分解酵素が真菌または細菌から得られるものである請求項 8のパンの種の組成物。
【請求項10】
該タンパク分解酵素がアスペルギルス種(Aspergillus sp.) から得られるものである請求項 9のパンの種の組成物。
【請求項11】
請求項1-5のいずれかのサワードウまたは請求項6-10のいずれかのパンの種の組成物の、焼いた食品の製造における使用。
【請求項12】
以下からなる群から選択される少なくとも6種の乳酸菌および/またはビフィズス菌の混合物を含む、でんぷん質の多い食物、特に、穀類に基づく食品:ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバシラス・ブチネリ(Lactobacillus buchneri)、ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバシラス・カテナフォルメ(Lactobacillus catenaforme)、ラクトバシラス・セロビオサス(Lactobacillus Cellobiosus)、ラクトバシラス・クリスパツス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバシラス・クルヴァツス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバシラス・デルブルエッキ(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバシラス・デルブルエッキ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、ラクトバシラス・デルブルエッキ亜種ラクティス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)、ラクトバシラス・ヘルヴェティクス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバシラス・ジェネセニ(Lactobacillus jensenii)、ラクトバシラス・レイクマンニ(Lactobacillus leichmannii)、ラクトバシラス・ミヌツス(Lactobacillus minutus)、ラクトバシラス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシラス・ロゴサエ(Lactobacillus rogosae)、ラクトバシラス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバシラス・ブレヴィス(Lactobacillus brevis)、ラクトバシラス・ガッセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバシラス・フェルメンツム(Lactobacillus fermentum)、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・アングラツム(Bifidobacterium angulatum)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・カテヌラツム(Bifidobacterium catenulatum)、ビフィドバクテリウム・デンティウム(Bifidobacterium dentium)、ビフィドバクテリウム・エリクソニ(Bifidobacterium eriksonii)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・プランタルム(Bifidobacterium plantarum)、ビフィドバクテリウム・シュード・カテヌカツム(Bifidobacterium pseudo-catenulatum)、ビフィドバクテリウム・シュードロングム(Bifidobacterium pseudolongum)、ストレプトコッカス・ラクティス(Streptococcus lactis)、ストレプトコッカス・ラフィノラクティス(Streptococcus raffinolactis)、アシダミノコッカス・フェルメンタ(Acidaminococcus fermenta)、サイトファーガ・フェルメンタンス(Cytophaga fermentans)、ロドフェラックス・フェルメンタンス(Rhodoferax fermentans)、セルロモナス・フェルメンタンス(Cellulomonas fermentans)、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)。
【請求項13】
該乳酸菌およびビフィズス菌の混合物が、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)、ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバシラス・デルブルエッキ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)を含むか、または該混合物が、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ビフィドバクテリウム・ラクティス( Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)、ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバシラス・ヘルヴェティクス(Lactobacillus helveticus)を含む、請求項 12の食品。
【請求項14】
焼いた食品である、請求項 12または13の食品。
【請求項15】
ビスケット、ペストリー、ケーキ、パイ、ピザ、クラッカー、スティックパン、スナック、パスタ、麺類、トーティーヤ、コーンチップス、押し出された穀類および細かく切った穀類、ラミュンからなる群から選択される請求項 14の食品。
【請求項16】
製パン業に使用される少なくとも1つの微生物タンパク質分解酵素をさらに含む請求項 14-15のいずれかの焼いた食品。
【請求項17】
該タンパク分解酵素が真菌または細菌から得られるものである、請求項 16の焼いた食品。
【請求項18】
該タンパク分解酵素がアスペルギルス種(Aspergillus sp.) から得られるものである、請求項 17の焼いた食品。
【請求項19】
通常の成分と、請求項6-10のいずれかのパンの種の組成物を含む、焼いた食品の製造用のパッケージ。
【請求項20】
請求項1-5のいずれかのサワードウ調製物を通常の成分に添加することを含む、焼いた食品の調製方法。
【請求項21】
以下の工程を含む請求項 20の方法:
a)約 20-50重量%の小麦粉(全混合物は20%-50%の粉および80%-50% の水、生地収率 約 300)と1gの生地当たり約 109 細胞の請求項1-5のいずれかの混合物とを37℃で少なくとも 約 24時間、好ましくは約 24〜約 31 時間液体前発酵させる工程;
b)発酵後、生地を1以上の耐容性の粉、例えば、雑穀粉と混合して、最終生地収率150 (固体生地)を得て、市販のパン酵母を濃度約 1 重量%にて添加する工程;
c)生地を約 37℃で約 2 時間、パン種ができあがるまでインキュベートする工程;
d) 250℃で約 20 分間焼く工程。
【請求項22】
工程 b)において、生地が耐容される粉と混合される請求項 21の方法。
【請求項23】
該耐容される粉が、ベスン粉、そば粉、亜麻、コーン(トウモロコシ)、豆類粉、雑穀、インディアン・ライスグラス、ナッツ粉、キノア、ジャガイモ粉、サツマイモ粉、サゴ、種子粉、ソルガム、大豆、タピオカ、テフからなる群から選択される、請求項 22の方法。
【請求項24】
さらに真菌プロテアーゼの添加を含む、請求項20-23のいずれかの方法。
【請求項25】
請求項19-21のいずれかに従属する場合、工程 a)において、該添加が37℃で行われ、 24-31 時間発酵され、小麦粉が20重量%である、請求項 24の方法。
【請求項26】
請求項20-25のいずれかの方法によって得られうる焼いた食品。
【請求項27】
1以上の耐容される粉を含む、焼いた食品、特に請求項 26の焼いた食品。
【請求項28】
該耐容される粉が、ベスン粉、そば粉、亜麻、コーン(トウモロコシ)、豆類粉、雑穀、インディアン・ライスグラス、ナッツ粉、キノア、ジャガイモ粉、サツマイモ粉、サゴ、種子粉、ソルガム、大豆、タピオカ、テフからなる群から選択される、請求項 27の焼いた食品。
【請求項29】
さらにプレバイオティクスを含む請求項12-18または26-28のいずれかの食品。
【請求項30】
凍結乾燥した生きた乳酸菌を含む実質的に水を含まない脂肪に基づく組成物と組み合わされた請求項12-18または26-29のいずれかの食品。
【請求項31】
請求項12-18または請求項26-30のいずれかによる、グルテン非含有製品またはグルテンレベルが低下した製品。
【請求項32】
請求項1-5のいずれかの混合物を含む腸溶性食事用製品。
【請求項33】
請求項1-5のいずれかの混合物を含むグリアジンに富むグルタミン溶液。
【請求項34】
請求項 1-5のいずれかのサワードウおよび/または請求項6-10のいずれかのパンの種の組成物の、セリアック病に罹患している対象の食事に組込むための食品、特に焼いた食品の製造のための使用。
【請求項35】
請求項 1-5のいずれかのサワードウおよび/または請求項6-10のいずれかのパンの種の組成物の、セリアック病に罹患している対象におけるグルテン耐性を維持するための食品、特に焼いた食品の製造のための使用。
【請求項36】
請求項 1-5のいずれかのサワードウおよび/または請求項6-10のいずれかのパンの種の組成物の、セリアック病に罹患している対象におけるグルテン耐性を誘導するための食品、特に焼いた食品の製造のための使用。
【請求項37】
請求項 1-5のいずれかのサワードウおよび/または請求項6-10のいずれかのパンの種の組成物の、小麦粉アルブミンおよびグロブリンによるアレルギーのリスクの低下のための食品、特に焼いた食品の製造のための使用。
【請求項38】
統合失調症症状の治療に有用なグルテン非含有食品の調製における請求項1-5のいずれかの混合物の使用。
【請求項39】
該症状がセリアック病患者に影響を及ぼすものである請求項 38の使用。
【請求項40】
該症状が非セリアック病患者に影響を及ぼすものである請求項 38の使用。
【請求項41】
腸溶性食事のための製品の調製における請求項1-5のいずれかの混合物の使用。
【請求項42】
胃腸疾患における血小板凝集因子 (PAF)および/または炎症性サイトカインを低下させる製品の調製のための請求項 1-5のいずれかの混合物の使用。
【請求項43】
該疾患が炎症性疾患である、請求項 42の使用。
【請求項44】
該疾患が、虚血性腸壊死、胃潰瘍、出血性結腸大腸炎、壊死性腸炎、新生児壊死性腸炎、炎症性腸疾患および嚢炎からなる群から選択される請求項 43の使用。
【請求項45】
グリアジンに富むグルタミン溶液の調製における請求項1-5のいずれかの混合物の使用。
【請求項46】
グルテンおよびグルテン-関連物質の消化を向上させるための経口投与用製品の調製における、請求項1-5のいずれかの混合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−532532(P2008−532532A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501271(P2008−501271)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【国際出願番号】PCT/EP2006/060505
【国際公開番号】WO2006/097415
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(503220679)アクティアル・ファルマセウティカ・ソシエダデ・ポル・クオタス・デ・レスポンサビリダデ・リミターダ (10)
【Fターム(参考)】