説明

サンシェード装置

【課題】金属製の補強部材等を用いることなく、シェード部材の剛性を高めることのできるサンシェード装置を提供する。
【解決手段】車両の天井部40の前部に配置されたフロントウィンドウ30を覆うためのボード状のシェード部材12を備えたサンシェード装置10であって、シェード部材12は、ルーフトリム42とルーフパネル44との間に形成された空間46内から車室内前方側に向けて引出し可能となっており、シェード部材12の前端部には、上方側に向けて屈曲したフランジ部16が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロントウィンドウから差し込む光を遮光するためのサンシェード装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のフロントウィンドウから差し込む光を遮光するためのサンシェード装置として、特許文献1に記載のサンシェード装置が知られている。
特許文献1に記載のサンシェード装置は、車室内においてルーフパネルの前端部から前方側へ引出し可能なボード状のシェード部材(日除け部材)を備えている。シェード部材の下面側には、サンバイザーが取り付けられている。このサンシェード装置によれば、シェード部材によって上方から差し込む光を遮光することができる。また、サンバイザーによって車両前方側から差し込む光を遮光することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2006−335300公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のサンシェード装置によれば、ボード状のシェード部材が十分な剛性を有していないために、シェード部材がその重みによって下方に撓んでしまう場合があった。この場合、例えば図6に示すように、シェード部材100の前端部とフロントウィンドウ102の間に隙間104が発生してしまい、シェード部材100の上方が車室内の乗員に見えてしまうために見栄えが悪いという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するためには、シェード部材100の前端部に金属製の補強部材(リインフォース)を取り付けるなどの方法が考えられる。しかし、この方法を用いた場合には、金属製の補強部材を取り付けた分だけ車両全体の重量が増加してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであって、金属製の補強部材等を用いることなく、シェード部材の剛性を高めることのできるサンシェード装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題を解決するための手段は、以下の発明である。
第1発明は、車両の天井部の前部に配置され前記天井部の一部を形成するフロントウィンドウを覆うためのボード状のシェード部材を備えたサンシェード装置であって、前記シェード部材は、ルーフトリムとルーフパネルとの間に形成された空間内から車室内前方側に向けて引出し可能となっており、前記シェード部材の前端部には、上方側に向けて屈曲したフランジ部が形成されていることを特徴とするサンシェード装置である。
【0008】
第1発明によれば、金属製の補強部材等を用いることなく、シェード部材の剛性を高めることが可能である。したがって、シェード部材の前端部とフロントウィンドウの間に隙間が発生することを防止することが可能である。
【0009】
第2発明は、上記第1発明のサンシェード装置であって、前記シェード部材を前後方向の動作に対してガイドする一対のガイドレールを備えており、前記一対のガイドレールと前記フロントウィンドウにおける左右の両側縁部との間には、長尺状のカバー部材が取り付けられており、前記カバー部材は、前記フランジ部とほぼ同一の高さに取り付けられていることを特徴とするサンシェード装置である。
【0010】
第2発明によれば、長尺状のカバー部材とフランジ部の高さとがほぼ同一となる。したがって、車室内側から見たときに、これら2つの部材が一直線上につながっているように見えるために、天井部の見栄えがよくなる。
【0011】
第3発明は、上記第2発明のサンシェード装置であって、前記カバー部材の後端部は、車幅方向中心側に向けて屈曲していることを特徴とするサンシェード装置である。
【0012】
第3発明によれば、カバー部材の後端部が車幅方向中心側に向けて屈曲している。したがって、カバー部材の後端部とフランジ部とが、連続的に、かつ、なだらかにつながっているように見えるために、天井部の見栄えがよくなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、金属製の補強部材等を用いることなく、シェード部材の剛性を高めることのできるサンシェード装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1、図2は、本実施形態のサンシェード装置10を車室内側から見た平面図である。ただし、図1は、ボード状のシェード部材12を車両後方側に格納した状態を示しており、図2は、ボード状のシェード部材12を車両前方側に引き出した状態を示している。以下では、図1、図2の左側を車両前方側とし、右側を車両後方側として説明する。
【0015】
図1、図2に示すように、本実施形態に係るサンシェード装置10は、フロントウィンドウ30が車両の前方側から車両の天井部40の少なくとも前部にかけて配置されており、フロントウィンドウ30が運転席の上方及び上方よりも後方側にまで大きく広がっている車両に適用されるものである。フロントウィンドウ30には、運転者が車両の後方を確認するためのルームミラー32が取り付けられている。
【0016】
サンシェード装置10は、車両の天井部40の前部(すなわち、フロントウィンドウ30の後方側の一部)を覆うためのボード状(板状)のシェード部材12を備えている。シェード部材12は、例えばポリプロピレン等の合成樹脂材料によって形成されている。
【0017】
また、サンシェード装置10は、シェード部材12を車両の前後方向の動作に対してガイドするための一対のガイドレール14a、14bを備えている。一対のガイドレール14a、14bは、アルミニウム等の金属材料により形成された断面略コの字型の部材によって構成されている。一対のガイドレール14a、14bは、車両の天井部40の両側縁部40a、40bに沿って取り付けられている。
【0018】
シェード部材12の両側縁部12a、12bは、一対のガイドレール14a、14bに対してそれぞれ嵌合している。したがって、シェード部材12は、一対のガイドレール14a、14bに沿って車両の前後方向に移動可能となっている。
【0019】
図3は、図1に示すサンシェード装置10のA−A線断面図である。図3に示すように、車両の天井部40の後部には、合成樹脂材料等によって板状に形成された天井用内装材であるルーフトリム42、及び、鉄、アルミニウム等の金属材料によって板状に形成された天井用外装材であるルーフパネル44が配置されている。ルーフトリム42とルーフパネル44の間には、シェード部材12を格納するための空間46が形成されている。シェード部材12を使用しないときには、シェード部材12をルーフトリム42とルーフパネル44の間に形成された空間46内に格納しておくことが可能となっている。これとは反対に、シェード部材12を使用するときには、シェード部材12をルーフトリム42とルーフパネル44の間に形成された空間46内から車室内前方側に向けて引き出すことが可能となっている。
【0020】
図4は、サンシェード装置10の分解斜視図である。図4に示すように、シェード部材12の前端部には、上方側に向けて略直角に屈曲したフランジ部16が形成されている。また、フロントウィンドウ30の両側縁部と一対のガイドレール14a、14bの間には、合成樹脂等によって長尺状に形成されたカバー部材18a、18bが取り付けられている。なお、このカバー部材18a、18bは、「ガーニッシュ」などと呼ばれる場合もある。
【0021】
図4に示すように、カバー部材18a、18bは、フランジ部16の高さとほぼ同じ高さとなるように取り付けられている。また、カバー部材18a、18bの後端部19a、19bは、車幅方向中心側に向けてなだらかに屈曲している。
【0022】
以上に説明した本実施形態のサンシェード装置10によれば、シェード部材12の前端部にフランジ部16が形成されているために、シェード部材12の剛性が高くなっている。したがって、シェード部材12がその重みによって下方に撓んでしまうことがなく、シェード部材12とフロントウィンドウ30の間に隙間が発生することもなくなる。これにより、シェード部材12の上方とルーフパネル44の下方との隙間が車室内の乗員から見えることがなくなるために、車室内の天井部の意匠性が高くなるという効果がある。
【0023】
また、本実施形態のサンシェード装置10によれば、長尺状のカバー部材18a、18bとフランジ部16の高さが同一となっている。したがって、車室内側から見たときに、これらの部材が一直線上につながっているように見えるために、天井部の意匠性が高くなるという効果がある。
【0024】
また、本実施形態のサンシェード装置10によれば、長尺状のカバー部材18a、18bの後端部19a、19bが、車幅方向中心側に向けてなだらかに屈曲している。したがって、カバー部材18a、18bの後端部19a、19bとフランジ部16とが、連続的に、かつ、なだらかにつながっているように見えるために、天井部の意匠性がさらに高くなるという効果がある。
【0025】
図5は、サンシェード装置10の変形例を示している。
図5に示すように、サンシェード装置10は、一対のガイドレール14a、14bに沿って前後方向に移動可能なヘッダー20を備えている。シェード部材12及びヘッダー20は、それぞれ独立に車両の前後方向に移動させることが可能となっている。ヘッダー20の下面には、サンバイザー22、マップランプ24等の各種装備が設けられている。
【0026】
シェード部材12とは別体に可動式のヘッダー20を取り付けることによって、サンバイザー22やマップランプ24等をいつでも使用することが可能となる。例えば、シェード部材12を車両後方側に格納して使用しない場合であっても、ヘッダー20のみを車両前方側に引き出すことによってサンバイザー22やマップランプ24等をいつでも使用することが可能である。
【0027】
以上説明したように、本実施形態のサンシェード装置10によれば、金属製の補強部材等を用いることなく、シェード部材12の剛性を高めることが可能である。これにより、シェード部材12とフロントウィンドウ30の間に隙間が発生することを防止することが可能であり、車室内の天井部の意匠性を高めることが可能である。
【0028】
なお、上記実施形態では、フロントウィンドウ30が車両の前方側から車両の天井部40の少なくとも前部にかけて配置されたもののシェード部材12に本発明を適用した例を示したが、本発明は、天井部を開口したサンルーフ装置におけるボード状のシェード部材にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】サンシェード装置を車室内側から見た平面図であり、ボード状のシェード部材を車両後方側に格納した状態を示している。
【図2】サンシェード装置を車室内側から見た平面図であり、ボード状のシェード部材を車両前方側に引き出した状態を示している。
【図3】図1に示すサンシェード装置のA−A線断面図である。
【図4】サンシェード装置の分解斜視図である。
【図5】サンシェード装置の変形例を示している。
【図6】従来のサンシェード装置を車室内前方側から見た状態を示している。
【符号の説明】
【0030】
10…サンシェード装置
12…シェード部材
14a、14b…ガイドレール
16…フランジ部
18a、18b…カバー部材
19a、19b…後端部
30…フロントウィンドウ
40…天井部
42…ルーフトリム
44…ルーフパネル
46…空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の天井部の前部に配置され前記天井部の一部を形成するフロントウィンドウを覆うためのボード状のシェード部材を備えたサンシェード装置であって、
前記シェード部材は、ルーフトリムとルーフパネルとの間に形成された空間内から車室内前方側に向けて引出し可能となっており、
前記シェード部材の前端部には、上方側に向けて屈曲したフランジ部が形成されていることを特徴とするサンシェード装置。
【請求項2】
請求項1に記載のサンシェード装置であって、
前記シェード部材を前後方向の動作に対してガイドする一対のガイドレールを備えており、
前記一対のガイドレールと前記フロントウィンドウにおける左右の両側縁部との間には、長尺状のカバー部材が取り付けられており、
前記カバー部材は、前記フランジ部とほぼ同一の高さに取り付けられていることを特徴とするサンシェード装置。
【請求項3】
請求項2に記載のサンシェード装置であって、
前記カバー部材の後端部は、車幅方向中心側に向けて屈曲していることを特徴とするサンシェード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−292273(P2009−292273A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147118(P2008−147118)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】