説明

サンショール類の製造方法

【課題】短工程かつ高立体選択的なサンショール類の製造方法および該製造方法に有用な中間体であるアルキン誘導体を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)、


(式中、Aはハロゲン原子を表し、Rは水素原子、ヒドロキシ基またはメチル基を表す。)で表されることを特徴とするアルキン誘導体、およびこれを用いるサンショール類の製造方法であって、アルキン誘導体と、ボロン酸誘導体とをクロスカップリング反応させる工程を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンショール類の製造方法および該製造方法に有用な中間体であるアルキン誘導体に関し、詳しくは、短工程でかつ高立体選択的にサンショール類を製造することのできるサンショール類の製造方法および該製造方法に有用な中間体である新規なアルキン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
サンショール類は,生薬「サンショウ」の主要成分である。近年になってHαS(ヒドロキシ−α−サンショール)がTRPV1、TRPA1刺激などの作用を有することが報告され、医薬化学上の脚光を浴びている。
【0003】
HαSを初めとするサンショール類は、トリエン部位に由来する不安定構造が故に、物質単体として恒常的に製造・供給することが困難であった。従来は、サンショウエキスを原料としてシリカゲルおよびODSカラムクロマトグラフィーによってサンショール類が単離・精製されてきた。
【0004】
HαSとHβS(ヒドロキシ―β−サンショール)の全合成は過去に報告されていないが、それらの類縁体であるα−サンショールの全合成が報告されている(非特許文献1、非特許文献2参照)。非特許文献1および2記載の方法は、どちらもWittig反応によってトリエン部分を構築する方法である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Sonnet P. E., J. Org. Chem., 34, 1147-1149(1969)
【非特許文献2】Crombie L., Fisher D., Tetrahedron Lett., 26, 2481-2484(1985)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1および2記載の方法は、収率もE/Z選択性も低く、実用的な合成方法とは言い難いものであった。
【0007】
そこで本発明の目的は、短工程でかつ高立体選択的にサンショール類を製造することのできるサンショール類の製造方法および該製造方法に有用な安定中間体である新規なアルキン誘導体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の新規なアルキン誘導体を用いることで上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明のアルキン誘導体およびサンショール類の製造方法は、下記の[1]〜[7]である。
【0010】
[1]下記一般式(I)、

(式中、Aはハロゲン原子を表し、Rは水素原子、ヒドロキシ基またはメチル基を表す。)で表されることを特徴とするアルキン誘導体。
【0011】
[2]下記一般式(II)、

(式中、Rは水素原子を表し、Rは下記式(III)で表される構造をとる。)

(式中、Rは水素原子、ヒドロキシ基またはメチル基を表す。)
で表されるサンショール類の製造方法であって、
下記一般式(I)、

(式中、Aはハロゲン原子を表し、Rは水素原子、ヒドロキシ基またはメチル基を表す。)
で表されるアルキン誘導体と、
下記一般式(IV)、

で表されるボロン酸誘導体とをクロスカップリング反応させる工程を備えることを特徴とするサンショール類の製造方法。
【0012】
[3]前記一般式(I)で表されるアルキン誘導体と前記一般式(IV)で表されるボロン酸誘導体とを反応させて得られる下記一般式(X)、

(式中、Rは水素原子、ヒドロキシ基またはメチル基を表す。)
で表されるアルキン誘導体の三重結合を還元する工程をさらに備える[2]のサンショール類の製造方法。
【0013】
[4]下記一般式(V)、

(式中、Rは下記式(III)で表される構造をとり、Rは水素原子を表す。)

(式中、Rは水素原子、ヒドロキシ基またはメチル基を表す。)
で表されるサンショール類の製造方法であって、
下記一般式(I)、

(式中、Aはハロゲン原子を表し、Rは水素原子、ヒドロキシ基またはメチル基を表す。)
で表されるアルキン誘導体を(E)−ハロゲン化アルケンに変換し、
得られた下記一般式(VI)、

(式中、Aはハロゲン原子を表し、Rは水素原子、ヒドロキシ基またはメチル基を表す。)で表されるアルケン誘導体と、下記一般式(IV)、

で表されるボロン酸誘導体とを、クロスカップリング反応させる工程を備えることを特徴とするサンショール類の製造方法。
【0014】
[5]前記クロスカップリング反応が、パラジウム触媒の存在下で行われる[2]〜[4]のいずれかのサンショール類の製造方法。
【0015】
[6]前記一般式(I)で表されるアルキン誘導体が、
下記式(VII)、

で表されるカルボン酸と、
下記一般式(VIII)、

(式中、Rは水素原子、ヒドロキシ基またはメチル基を表す。)で表されるアミン誘導体とを反応させ、得られた下記一般式(IX)、

(式中、Rは上記と同じものを表す。)
で表されるアミド化合物をハロゲン化することにより得られるものである[2]〜[5]のいずれかのサンショール類の製造方法。
【0016】
[7]前記一般式(IV)で表されるボロン酸誘導体が、トランス−2−ブロモビニルボロン酸N−メチルイミノ二酢酸エステルとトランス−1−プロペン−1−イルボロン酸とのクロスカップリング反応により得られるものである[2]〜[6]のいずれかのサンショール類の製造方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、短工程でかつ高立体選択的にサンショール類を製造することのできるサンショール類の製造方法および該製造方法に有用な中間体であるアルキン誘導体を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0019】
[アルキン誘導体]
本発明のアルキン誘導体は、
下記一般式(I)、

(式中、Aはハロゲン原子を表し、Rは水素原子、ヒドロキシ基またはメチル基を表す。)で表されることを特徴とするものである。
【0020】
上記一般式(I)中のAが表すハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0021】
上記アルキン誘導体を、上記一般式(IV)で表されるボロン酸誘導体とクロスカップリング反応させることにより、上記一般式(II)で表されるサンショール類を製造することができる。上記一般式(II)で表されるサンショール類としては、例えば、α−サンショール、ヒドロキシα−サンショールが挙げられる。
【0022】
また、上記アルキン誘導体を、(E)−ハロゲン化アルケンに変換し、上記一般式(VI)で表されるアルケン誘導体を得た後、該アルケン誘導体と上記一般式(IV)で表されるボロン酸誘導体とをクロスカップリング反応させることにより、上記一般式(V)で表されるサンショール類を製造することができる。上記一般式(V)で表されるサンショール類としては、例えば、β−サンショール、ヒドロキシβ−サンショールが挙げられる。
【0023】
このように、本発明のアルキン誘導体は、簡便な操作により、サンショール類のα体、β体を作り分けることができるため有用である。
【0024】
上記本発明のアルキン誘導体は、いずれの方法で合成してもよいが、好ましくは、以下の合成方法である。
下記式(VII)、

で表されるカルボン酸と、
下記一般式(VIII)、

(式中、Rは水素原子、ヒドロキシ基またはメチル基を表す。)で表されるアミン誘導体とを反応させ、得られた下記一般式(IX)、

(式中、Rは上記と同じものを表す。)
で表されるアミド化合物をハロゲン化する方法。
【0025】
上記式(VII)で表されるカルボン酸と上記一般式(VIII)で表されるアミン誘導体とのアミド化反応は、一般的なアミド化反応により行なうことができるが、縮合剤としてシアノリン酸ジエチル(DEPC)やヨウ化2−クロロ−1−メチルピリジニウム(CMPI)、水溶性カルボジイミド(WSC、 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等)などを用いて行うことが好ましい。反応温度に特に制限はなく、好ましくは、0〜30℃である。
アミド化合物のハロゲン化反応は、一般的なハロゲン化剤によるハロゲン化により行うことができるが、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、臭素、ヨウ素を用いたハロゲン化が好ましい。
【0026】
上記一般式(VIII)で表されるアミン誘導体は公知の方法で合成できる。例えば、上記アミン誘導体のうちRがヒドロキシ基のもの、即ち、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルアミンは、1,2−エポキシ−2−メチルプロパン(EMP)に対して1.1等量のベンジルアミンを反応させた後、接触水素化反応で脱保護することにより得られる。上記反応は、例えば、CandiceMenzzi-Smarrito et al., J. Agric. Food Chem. 57, 1982 (2009)記載の方法を参考に行うことができる。
【0027】
上記接触水素化反応は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金などの白金属元素を触媒とする方法など、公知の方法で行うことができる。活性炭、アルミナなどの不溶性物質を担体として、その表面上に微細な金属を還元的に析出させた金属担体触媒を用いてもよい。
【0028】
[サンショール類の製造方法]
本発明のサンショール類の製造方法は、上記一般式(II)で表されるサンショール類の製造方法であって、上記一般式(I)で表されるアルキン誘導体と、上記一般式(IV)で表されるボロン酸誘導体とをクロスカップリング反応させる工程を備えることを特徴とするものである。
【0029】
上記クロスカップリング反応は、塩基性条件下、ニッケル触媒、ルテニウム触媒、パラジウム触媒等を用いて行うことができるが、パラジウム触媒の存在下で行われるのが好ましい。パラジウム触媒としては、酢酸パラジウム(Pd(OAc)2)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh34)、アリルパラジウム(II)クロリド (ダイマー)、[1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]パラジウム(II)ジクロリド、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物等を挙げることができる。パラジウム触媒としては、酢酸パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィンパラジウムが好ましく、酢酸パラジウムは、トリフェニルホスフィン(PPh3)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(S-Phos)等のリガンドを併用するのが好ましい。また、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化バリウム、リン酸カリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、ナトリウムメトキシド、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)等を用いてもよい。
溶媒は、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトニトリル、水等公知のものを用いることができる。反応温度は、特に制限はなく、好ましくは0〜50℃である。
【0030】
また、上記一般式(II)で表されるサンショール類の製造方法は、上記一般式(I)で表されるアルキン誘導体と、上記一般式(IV)で表されるボロン酸誘導体とをクロスカップリング反応させる工程で得られた、上記一般式(X)で表されるアルキン誘導体の三重結合を還元する工程をさらに備えることが好ましい。
【0031】
上記三重結合の還元とは、三重結合の(Z)−二重結合への選択的還元である。そのような選択的還元方法としては、金属亜鉛などの亜鉛化合物、酢酸銅などの銅化合物、および、硝酸銀などの銀化合物を用いた還元方法が、過剰な還元が抑えられるため好ましい。該還元方法は、例えば、Boland W., Schroer N., Sieler C., Helv. Chim. Acta., 70,1025-1040(1987)記載の方法を参考に行うことができる。
【0032】
上記一般式(IV)で表されるボロン酸誘導体は、例えば、トランス-2-ブロモビニルボロン酸N−メチルイミノ二酢酸(MIDA)エステル (以下、BB1とも称す)と、1-プロペン-1-イルボロン酸とをクロスカップリングさせることで得ることができる。クロスカップリング反応については上記と同様に行うことができる。
【0033】
本発明のその他のサンショール類の製造方法は、上記一般式(V)で表されるサンショール類の製造方法であって、上記一般式(I)で表されるアルキン誘導体を(E)−ハロゲン化アルケンに変換し、得られた上記一般式(VI)で表されるアルケン誘導体と、上記一般式(IV)で表されるボロン酸誘導体とを、クロスカップリング反応させる工程を備えることを特徴とするものである。
【0034】
上記一般式(I)で表されるアルキン誘導体の(E)−ハロゲン化アルケンへの変換は、上記アルキン誘導体の炭素−炭素三重結合をパラジウム触媒の存在下、ヒドロスタニル化し、その後ハロゲン化、好ましくはヨード化または臭素化する反応である。パラジウム触媒としては上記と同様のものを挙げることができる。反応条件としては、例えば、Zhang H. X. et al. J. Org. Chem., 55,1857-1867(1990)に記載の条件を採用することができる。
【0035】
上記(E)−ハロゲン化アルケンへの変換により得られた一般式(VI)で表されるアルケン誘導体と、上記一般式(IV)で表されるボロン酸誘導体とのクロスカップリング反応は、上記と同様に行うことができる。
【実施例】
【0036】
以下、実験例を示して、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下の実験例によっては何ら制限されない。
【0037】
(実験例1)
(E)-ヘプト-2-エン-6-イン酸(化合物2)の合成

化合物1 (4.03 g,29.17 mmol)のTHF (40 mL) 溶液に、1 mol/L-NaOH水溶液 (43.8 mL, 43.8 mmol) を加え、50℃で1時間撹拌した。反応液を1 mol/L-塩酸で中和後、酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し、化合物2を3.36 g(収率93%)得た。
なお、化合物1は、Jean-MichelVatele, Tetrahedron Lett. 47, 715 (2006)に記載の方法に従い、4−ペンチン−1−オールから合成できる。
【0038】
生成物の物性データは下記の通り。
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz) δ: 2.01 (1H,t, J=2.4 Hz), 2.30-2.50 (4H, m), 5.91 (1H, td, J=1.5, 15.7 Hz),7.10 (1H, td, J=6.4, 15.7 Hz).
-ESI-MSm/z: 123 [M-H]-
【0039】
(実験例2)
(E)-N-イソブチルヘプト-2-エン-6-インアミド (化合物3)の合成

化合物2 (1.06 g,8.54 mmol),イソブチルアミン (1.25 g,17.08 mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン (5.95 mL,34.16 mmol) のTHF (20 mL) 溶液を0℃に冷却し、ここにシアノリン酸ジエチル (2.59 mL,17.08 mmol) を加え、0℃で1時間その後室温で0.5時間撹拌した。反応液に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=5/3)で精製し、化合物3を1.51 g(収率99%)得た。
【0040】
生成物の物性データは下記の通り。
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz) δ: 0.93 (6H,d, J=6.7 Hz), 1.81 (1H, m), 1.99 (1H, t, J=2.3 Hz), 2.25-2.50(4H, m), 3.16 (2H, t, J=6.5 Hz), 5.53 (1H, brs), 5.85 (1H, td, J=1.4,14.3 Hz), 6.84 (1H, td, J=6.4, 14.3 Hz).
13C-NMR (CDCl3, 100 MHz) δ: 17.63,20.13, 28.57, 30.90, 46.88, 69.23, 83.01, 124.88, 141.72, 165.63.
+ESI-MSm/z: 202 [M+Na]+
【0041】
(実験例3−1)
(N-B)-6-メチル-2-[(1E,3E)-ペンタ-1,3-ジエニル]-1,3,6,2-ジオキサザボロカン-4,8-ジオン (化合物4) の合成


酢酸パラジウム(60.6mg, 0.27mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(S-Phos)(221.7 mg, 0.54 mmol) およびアセトニトリル (7 mL) を、室温で1時間撹拌した(触媒液)。
トランス-2-ブロモビニルボロン酸MIDA エステル (BB1)(707.2 mg, 2.70 mmol)、1-プロペン-1-イルボロン酸 (463.9 mg, 5.40 mmol)、炭酸セシウム (CsCO3, 1.76 g, 5.40 mmol) およびアセトニトリル (14 mL) に、先の触媒液を加え、50℃で3時間撹拌した。反応液をセライトろ過し、ろ液を濃縮し、得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1 → 1/3その後 酢酸エチル/メタノール=100/1)で精製し、化合物4を461.1 mg(収率77%)得た。
【0042】
生成物の物性データは下記の通り。
mp.104.4-106.4 ℃ (EtOAc -hexane)
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz)δ: 1.78 (3H,d, J=6.5 Hz), 2.83 (3H, s), 3.67 (2H, d, J=16.3 Hz), 3.84 (2H, d,J=16.3 Hz), 5.41 (1H, d, J=17.4 Hz), 5.82 (1H, qd, J=6.5,15.1 Hz), 6.16 (1H, dd, J=10.1, 15.1 Hz), 6.64 (1H, dd, J=10.1,17.4 Hz).
13C-NMR (CDCl3, 100 MHz)δ: 18.12,46.71, 61.39, 132.47, 133.42, 144.95, 167.44.
+ESI-MSm/z: 246 [M+Na]+
HR-ESI-MSm/z: 246.0915 (Calcd for C10H14BNO4Na,223.03)
IR(KBr) cm-1: 1753, 1647, 1604.
【0043】
(実験例3−2〜3−4)
触媒、溶媒、反応温度、時間といった反応条件を下記表1記載のように変えた以外は、実験例3−1と同様にして化合物4を得た。収率を表1に示す
【0044】
【表1】

【0045】
(実験例4)
(E)-7-ブロモ-N-イソブチルヘプト-2-エン-6-インアミド (化合物5)の合成

化合物3 (253.8 mg,1.42 mmol),NBS (277.6mg, 1.56 mmol)、硝酸銀 (24.1 mg,0.142 mmol)のアセトン (7 mL) 溶液を、室温で2時間撹拌した。反応液をセライトろ過し、ろ液を濃縮し,得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製し、化合物5を353.7 mg(収率96%)得た。
【0046】
生成物の物性データは下記の通り。
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz)δ: 0.93 (6H,d, J=6.7 Hz), 1.81 (1H, m), 2.30-2.50 (4H, m), 3.16 (2H, t, J=6.4Hz), 5.52 (1H, brs), 5.83 (1H, d, J=15.3 Hz), 6.82 (1H, m).
13C-NMR (CDCl3, 100 MHz)δ: 18.91,20.13, 28.58, 30.74, 39.13, 46.89, 78.84, 124.96, 141.61, 165.58.
+ESI-MSm/z: 280 [M+Na]+
【0047】
(実験例5)
(2E,8E,10E)-N-イソブチルドデカ-2,8,10-トリエン-6-インアミド (化合物6)の合成

化合物5 (162.2 mg,0.628 mmol)、化合物4 (211.0 mg,0.946 mmol) およびPd(PPh3)4(72.6 mg, 0.0628 mmol) のTHF (10 mL) 溶液に、1 mol/L-NaOH水溶液 (4.7 mL) を加え、50℃で2時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=3/1)で精製し、化合物6を134.3 mg(収率87%)得た。
【0048】
生成物の物性データは下記の通り。
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz)δ: 0.93 (6H,d, J=6.7 Hz), 1.77 (3H, d, J=6.6 Hz), 1.81 (1H, m), 2.30-2.50(4H, m), 3.16 (2H, t, J=6.6 Hz), 5.44 (1H, d, J=15.5 Hz), 5.48(1H, brs), 5.79 (1H, m), 5.83 (1H, d, J=15.5 Hz), 6.06 (1H, m), 6.48(1H, dd, J=10.6, 15.5 Hz), 6.84 (1H, m).
13C-NMR (CDCl3, 100 MHz)δ: 18.29,18.84, 20.13, 28.59, 31.32, 46.88, 80.82, 90.30, 108.81, 124.73, 131.05,131.85, 141.29, 142.15, 165.71.
+ESI-MSm/z: 268 [M+Na]+
【0049】
(実験例6)
(2E,6Z,8E,10E)- N-イソブチルドデカ-2,6,8,10-テトラエンアミド(α−サンショール)の合成

亜鉛粉末 (250 mg) を水 (1.5 mL) 中で15分間撹拌し、酢酸銅 (25 mg) を加え15分間撹拌し、硝酸銀 (25 mg) を加え30分間撹拌した。その後ここに化合物6 (21.6 mg,0.088 mmol) のメタノール (1.5 mL) 溶液を加え、24時間撹拌した。反応混合物をセライトろ過後、濃縮した。残渣に飽和食塩水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/2)で精製し、α−サンショールを11.6 mg(収率53%)得た。
【0050】
生成物の物性データは下記の通り。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz)δ: 0.92 (6H,d, J=6.7 Hz), 1.78 (3H, dd, J=1.2, 6.8 Hz), 1.79 (1H, m), 2.26(2H, m), 2.34 (2H, m), 3.15 (2H, dd, J=6.1, 6.8 Hz), 5.37 (1H, td, J=7.1,10.6 Hz), 5.47 (1H, brs), 5.73 (1H, qd, J=6.8, 13.5 Hz), 5.79 (1H, td, J=1.5,15.2 Hz), 6.02 (1H, tt, J=1.5, 10.6 Hz), 6.11 (1H, qdd, J=1.2,10.4, 13.5 Hz), 6.18 (1H, dd, J=10.4, 13.8 Hz), 6.33 (1H, dd, J=10.6,13.8 Hz), 6.82 (1H, td, J=6.7, 15.2 Hz).
13C-NMR (CDCl3, 100 MHz)δ: 18.33,20.13, 26.52, 28.59, 32.03, 46.85, 124.22, 125.28, 129.58, 129.67, 130.17,131.78, 133.46, 143.41, 165.93.
+ESI-MSm/z: 270 [M+Na]+
【0051】
(実験例7−1)
(E)-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)ヘプト-2-エン-6-イルアミド (化合物7)の合成

イソブチルアミンに代えて2-ヒドロキシ-2-メチルプロピルアミンを用いた以外は実験例2と同様の条件により、化合物7を合成した。収率は、67%であった。
【0052】
生成物の物性データは下記の通り。
mp.62.9-63.5 ℃ (EtOAc -hexane)
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz)δ: 1.24 (6H,s), 1.99 (1H, t, J=2.6 Hz), 2.35 (2H, m), 2.43 (2H, m), 2.50 (1H, s),3.34 (2H, d, J=6.1 Hz), 5.90 (1H, td, J=1.5, 15.4 Hz), 5.99 (1H,brs), 6.88 (1H, td, J=6.5, 15.4 Hz).
13C-NMR (CDCl3, 100 MHz)δ: 17.59,27.36, 30.93, 50.42, 69.34, 71.06, 82.92, 124.42, 142.61, 166.63.
+ESI-MSm/z: 218 [M+Na]+
HR-ESI-MSm/z: 218.1153 (Calcd for C11H17NO2Na,218.1157)
IR(KBr) cm-1: 3313, 3284, 1670, 1626, 1548.
【0053】
(実験例7−2、7−3)
触媒、溶媒、反応温度、時間といった反応条件を下記表2記載のように変えた以外は、実験例7−1と同様にして化合物7を得た。収率を表2に示す。
【0054】
【表2】

【0055】
(実験例8)
(E)-7-ブロモ-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)ヘプト-2-エン-6-イルアミド (化合物8)の合成

化合物3に代えて化合物7を用いた以外は実験例4と同様の条件により、化合物8を合成した。収率は、97%であった。
【0056】
生成物の物性データは下記の通り。
mp.97.5-98.0 ℃ (EtOAc -hexane)
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz)δ: 1.24 (6H, s),2.34-2.45 (4H, m), 2.54 (1H, s), 3.35 (2H, d, J=6.1 Hz), 5.89 (1H, td,J=1.5, 15.2 Hz), 6.04 (1H, brs), 6.85 (1H, td, J=6.6, 15.2 Hz).
13C-NMR (CDCl3, 100 MHz)δ: 18.87,27.34, 30.77, 39.24, 50.40, 71.07, 78.76, 124.53, 142.45, 166.58.
+ESI-MSm/z: 296 [M+Na]+
HR-ESI-MSm/z: 296.0260 (Calcd for C11H16BrNO2Na,296.0262)
IR(KBr) cm-1: 3289, 1671, 1624, 1548.
【0057】
(実験例9−1)
(2E,8E,10E)-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)ドデカ-2,8,10-トリエン-6-インアミド (化合物9)の合成

酢酸パラジウム (5mg, 0.0223mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル (18.3 mg, 0.0446 mmol) およびTHF (1 mL) を、室温で1時間撹拌した(触媒液)。
化合物8 (61.2 mg, 0.223 mmol)、化合物4(69.6 mg, 0.312 mmol) のTHF (2.2 mL) 溶液に上記触媒液および1 mol/L-NaOH水溶液 (1.6 mL) を加え、30℃で2時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン= 2/1)で精製し、化合物9を33.7 mg(収率58%)得た。
【0058】
生成物の物性データは下記の通り。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz)δ: 1.24 (6H,s), 1.78 (3H, dd, J=1.0, 6.8 Hz), 2.39-2.51 (5H, m), 3.34 (2H, d, J=6.1Hz), 5.44 (1H, d, J=15.6 Hz), 5.76 (1H, qd, J=6.8, 15.0 Hz), 5.89(1H, td, J=1.5, 15.4 Hz), 5.93 (1H, brs), 6.07 (1H, m), 6.48 (1H, dd, J=10.9,15.4 Hz), 6.88 (1H, td, J=6.7, 15.6 Hz).
13C-NMR (CDCl3, 100 MHz)δ: 18.28,18.79, 27.37, 31.35, 50.42, 71.09, 80.88, 90.19, 108.78, 124.26, 131.05,131.89, 141.32, 143.03, 166.72.
+ESI-MSm/z: 284 [M+Na]+
HR-ESI-MSm/z: 284.1626 (Calcd for C16H23NO2Na,284.1626)
IR(KBr) cm-1: 3353, 1673, 1632, 1548.
【0059】
(実験例9−2、9−3)
触媒、溶媒、反応温度、時間といった反応条件を下記表3記載のように変えた以外は、実験例9−1と同様にして化合物9を得た。収率を表3に示す。なお、実験例9−2の条件では不純物と生成物との分離が困難であった。
【0060】
【表3】

【0061】
(実験例10)
(2E,6Z,8E,10E)- N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)ドデカ-2,6,8,10-テトラエンアミド(ヒドロキシ-α-サンショール)の合成

化合物6に代えて化合物9を用いた以外は実験例6と同様の条件により、ヒドロキシ-α-サンショールを合成した。収率は、84%であった。
【0062】
生成物の物性データは下記の通り。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz)δ: 1.24 (6H,s), 1.78 (3H, dd, J=1.2, 8.0 Hz), 2.29 (2H, m), 2.35 (2H, m), 2.45 (1H,s), 3.33 (2H, d, J=6.1Hz), 5.37 (1H, td, J=6.8, 10.9 Hz), 5.73(1H, qd, J=8.0, 13.5 Hz), 5.84 (1H, td, J=1.5, 15.4 Hz), 5.89(1H, brt), 6.03 (1H, tt, J=1.5, 10.9 Hz), 6.11 (1H, qtt, J=1.2,10.5, 13.5 Hz), 6.18 (1H, dd, J=10.5, 14.0 Hz), 6.33 (1H, dd, J=10.9,14.0 Hz), 6.86 (1H, td, J=6.7, 15.4 Hz).
【0063】
(実験例11)
(2E,6E)-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-7-ヨードヘプタ-2,6-ジエンアミド (化合物10)の合成

化合物8 (125.0 mg, 0.456 mmol) とPd(PPh3)4(53 mg, 0.0456 mmol) のTHF (3 mL) 溶液を0℃に冷却し、ここにnBu3SnH (0.25mL, 0.912 mmol) を加え0.5時間撹拌した。反応液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン= 1/1)で精製し、スズ化合物を190.5 mg得た。前記スズ化合物 (190.5 mg, 0.392 mmol) のジクロロメタン (3 mL) 溶液を0℃に冷却し、ここにヨウ素 (116 mg,0.456 mmol) を加え1時間撹拌した。反応液にチオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=2/1)で精製し、化合物10を99.9 mg(化合物8からの収率68%)得た。
【0064】
生成物の物性データは下記の通り。
mp.95.0-96.0 ℃ (EtOAc -hexane)
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz)δ: 1.24 (6H,s), 2.22 (2H, m), 2.30 (2H, m), 2.32 (1H, s), 3.34 (2H, d, J=6.1 Hz),5.83 (1H, td, J=1.5, 15.2 Hz), 5.88 (1H, brs), 6.08 (1H, td, J=1.3,14.4 Hz), 6.51 (1H, td, J=7.0, 14.4 Hz), 6.83 (1H, td, J=6.6,15.2 Hz).
13C-NMR (CDCl3, 100 MHz)δ: 27.39,30.80, 34.58, 50.39, 71.08, 75.86, 124.21, 143.33, 144.73, 166.58.
+ESI-MSm/z: 346 [M+Na]+
HR-ESI-MSm/z: 346.0271 (Calcd for C11H18INO2Na,346.0280)
IR(KBr) cm-1: 3362, 3275, 1677, 1635, 1577.
【0065】
(実験例12)
(2E,6E)-N-(2-メチルプロピル)-7-ヨードヘプタ-2,6-ジエンアミド (化合物11)の合成

化合物8に代えて化合物5を用いた以外は実験例11と同様の条件により、化合物11を合成した。収率は、74%であった。
【0066】
生成物の物性データは下記の通り。
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz)δ: 0.93 (6H,d, J=6.7 Hz), 1.80 (1H, m), 2.15-2.35 (4H, m), 3.16 (2H, t, J=6.7Hz), 5.44 (1H, brs), 5.77 (1H, d, J=15.3 Hz), 6.07 (1H, d, J=14.4Hz), 6.51 (1H, td, J=6.9, 14.4 Hz), 6.79 (1H, td, J=6.5, 15.3Hz).
+ESI-MSm/z: 330 [M+Na]+
【0067】
(実験例13)
(2E,6E,8E,10E)- N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)ドデカ-2,6,8,10-テトラエンアミド(ヒドロキシ-β-サンショール)の合成

酢酸パラジウム (2.2mg, 0.01mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル (8.2 mg, 0.02 mmol) およびTHF(0.5 mL) を、室温で1時間撹拌した(触媒液)。
化合物10 (30.9 mg, 0.0956 mmol),化合物4(32 mg, 0.143 mmol) のTHF(1 mL) 溶液に上記触媒液および1 mol/L-NaOH水溶液(0.72 mL) を加え、30℃で1時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン= 2/1)で精製し、ヒドロキシ-β-サンショールを13.6 mg(収率54%)得た。
【0068】
生成物の物性データは下記の通り。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz)δ: 1.24 (6H,s), 1.77 (3H, dd, J=1.0, 7.3 Hz), 2.22-2.32 (4H, m), 2.41 (1H, s), 3.33(2H, d, J=6.1 Hz), 5.59-5.73 (2H, m), 5.82 (1H, td, J=1.5, 15.4Hz), 5.86 (1H, brt), 6.01-6.14 (4H, m), 6.86 (1H, td, J=6.6, 15.4 Hz).
【0069】
(実験例14)
(2E,6E,8E,10E)- N-(2-メチルプロピル)ドデカ-2,6,8,10-テトラエンアミド(β-サンショール)の合成

Pd(PPh3)4 (2.2mg,0.01mmol)およびTHF (0.5 mL) を、室温で1時間撹拌した(触媒液)。
化合物11 (30.9 mg, 0.0956 mmol)、化合物4 (32 mg, 0.143 mmol) のTHF(1 mL) 溶液に上記触媒液および1 mol/L-NaOH水溶液(0.72 mL) を加え、50℃で2時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=2/1)で精製し、β-サンショールを13.6 mg(収率54%)得た。
【0070】
生成物の物性データは下記の通り。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz)δ: 0.92 (6H,d, J=6.8 Hz), 1.76 (3H, dd, J=1.0, 7.3 Hz), 2.20-2.35 (5H, m),3.15 (2H, t, J=6.1 Hz), 5.48 (1H, brs), 5.60-5.70 (2H, m), 5.77 (1H, d, J=15.4Hz), 6.00-6.15 (4H, m), 6.82 (1H, td, J=6.6, 15.4 Hz).
13C-NMR (CDCl3, 100 MHz)δ: 18.28,20.14, 28.60, 31.44, 31.87, 46.86, 124.12, 129.34, 130.12, 131.40, 131.53,131.67, 132.16, 143.58, 165.91.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)、

(式中、Aはハロゲン原子を表し、Rは水素原子、ヒドロキシ基またはメチル基を表す。)で表されることを特徴とするアルキン誘導体。
【請求項2】
下記一般式(II)、

(式中、Rは水素原子を表し、Rは下記式(III)で表される構造をとる。)

(式中、Rは水素原子、ヒドロキシ基またはメチル基を表す。)
で表されるサンショール類の製造方法であって、
下記一般式(I)、

(式中、Aはハロゲン原子を表し、Rは水素原子、ヒドロキシ基またはメチル基を表す。)
で表されるアルキン誘導体と、
下記一般式(IV)、

で表されるボロン酸誘導体とをクロスカップリング反応させる工程を備えることを特徴とするサンショール類の製造方法。
【請求項3】
前記一般式(I)で表されるアルキン誘導体と前記一般式(IV)で表されるボロン酸誘導体とを反応させて得られる下記一般式(X)、

(式中、Rは水素原子、ヒドロキシ基またはメチル基を表す。)
で表されるアルキン誘導体の三重結合を還元する工程をさらに備える請求項2記載のサンショール類の製造方法。
【請求項4】
下記一般式(V)、

(式中、Rは下記式(III)で表される構造をとり、Rは水素原子を表す。)

(式中、Rは水素原子、ヒドロキシ基またはメチル基を表す。)
で表されるサンショール類の製造方法であって、
下記一般式(I)、

(式中、Aはハロゲン原子を表し、Rは水素原子、ヒドロキシ基またはメチル基を表す。)
で表されるアルキン誘導体を(E)−ハロゲン化アルケンに変換し、
得られた下記一般式(VI)、

(式中、Aはハロゲン原子を表し、Rは水素原子、ヒドロキシ基またはメチル基を表す。)で表されるアルケン誘導体と、下記一般式(IV)、

で表されるボロン酸誘導体とを、クロスカップリング反応させる工程を備えることを特徴とするサンショール類の製造方法。
【請求項5】
前記クロスカップリング反応が、パラジウム触媒の存在下で行われる請求項2〜4のいずれか一項記載のサンショール類の製造方法。
【請求項6】
前記一般式(I)で表されるアルキン誘導体が、
下記式(VII)、

で表されるカルボン酸と、
下記一般式(VIII)、

(式中、Rは水素原子、ヒドロキシ基またはメチル基を表す。)で表されるアミン誘導体とを反応させ、得られた下記一般式(IX)、


(式中、Rは上記と同じものを表す。)
で表されるアミド化合物をハロゲン化することにより得られるものである請求項2〜5のいずれか一項記載のサンショール類の製造方法。
【請求項7】
前記一般式(IV)で表されるボロン酸誘導体が、トランス−2−ブロモビニルボロン酸N−メチルイミノ二酢酸エステルとトランス−1−プロペン−1−イルボロン酸とのクロスカップリング反応により得られるものである請求項2〜6のいずれか一項記載のサンショール類の製造方法。

【公開番号】特開2012−116786(P2012−116786A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267653(P2010−267653)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000003665)株式会社ツムラ (43)
【Fターム(参考)】