説明

サンスクリーンおよび化粧品組成物中で遊離ラジカルスカベンジャーとして有用な金属酸化物粒子

遊離ラジカルスカベンジャーとして100 nmを超えない近接酸化状態を有する希土類または遷移金属の酸化物の少なくとも一つの粒子を含有する遊離ラジカル攻撃を受けやすい成分を含有する組成物が記述されている。この組成物は好ましくは化粧品への使用にも好適である紫外線サンスクリーン組成物である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は遊離ラジカルスカベンジャーとして有用な金属酸化物粒子に関する。
【0002】
多くの化合物が遊離ラジカルによって攻撃を受ける。そのような化合物は本来安定であってもよい。遊離ラジカルによる攻撃はホモリティック結合解離エネルギーに関係する。そのような成分は大きな分子(例えばポリマー)並びに小さな分子(例えばエチレン性不飽和を含む分子または不安定な水素原子をもつ分子(例えば第三級水素原子)または塩素を含む他の不安定な化学種)を含む。遊離ラジカル攻撃はまた小さな分子または大きな分子(例えばポリアミドまたはポリエステル)のアミドまたはエステル結合も切断する。これらは有機サンスクリーン剤、すなわち紫外線を吸収する有機化合物、を含む。攻撃はしばしば光、特に紫外線、によって開始されるが、更にガンマ線、X線および高エネルギー電子および/または熱によっても開始される。また、一度遊離ラジカルが発生させられると、その分子中の他の遊離ラジカルの生成を本質的に伴う連鎖反応が後に続き得る。最初に発生した遊離ラジカルが他の分子に移動し、そこでの遊離ラジカルの発生を起こす、または触媒する遊離ラジカル移動反応が起こる。これらのメカニズムは、もちろん当業者によく知られている。ポリマーテクノロジーでは配合中に酸化防止剤を導入するのが通常であり、通常かなり高温(例えば250°〜300℃)を必要とするポリマーの製造の間および更に続く光が遊離ラジカルの通常の活性剤である使用の間、ポリマーを保護する。それゆえに、これら二つの起こりうることをカバーするために異なる酸化防止剤がしばしば必要とされることが認識されるべきである。
【0003】
驚くべきことに、本発明によると、組成物が遷移金属または希土類金属のある酸化物の小さな粒子を含有する場合、化合物への攻撃が緩和され得ることがわかった。それゆえに本発明は、遊離ラジカルスカベンジャーとして100 nmを超えない近接酸化状態を有する希土類または遷移金属の酸化物の少なくとも一つの粒子を含有する遊離ラジカル攻撃を受けやすい成分を含有する組成物を提供する。
【0004】
遊離ラジカル攻撃が起こるか起こらないか、およびどのような条件の下で起こるかは一般的に本明細書において当業者に明白になる。その攻撃が不利であるか、および関連する条件は異なる製品および異なる最終用途にとって異なり得る。例えば、サンスクリーン用および他の化粧品および体の局所使用のための組成物に関しては、この組成物が例えば8時間290〜400 nmの波長の紫外線に真昼の地中海の太陽光に一致する強度で、すなわち一平方センチメートルあたり10 mWの強度でさらされるときに起こる成分への悪影響に関連するかもしれない。体に使用されない組成物(例えばペイントおよび被膜)の場合、長時間(例えば一週間、一ヶ月または一年)にわたる組成物の露光後、またはより苛酷な条件下でのみ明らかになる成分への悪影響が関心事であり得る。好ましい態様では、我々は遊離ラジカル攻撃を行う成分に関心を持った。
【0005】
本発明で使用される酸化物は希土類または遷移金属、好ましくは遷移金属の酸化物である。ここで使用される「遷移金属」は周期表のVA〜VIII族の元素である(Chemistry of the Elements, Greenwood & Earnshaw, Pergamon 1984参照)。この金属は近接酸化状態(例えばM2+およびM3+)をもつ。更に一般的にこれらの近接エネルギー状態は2 eV以下、好ましくは1 eV以下だけ異なることが必要である。使用されてもよい希土類金属はテルビウム、ユーロピウムおよびセリウム(好ましい)を含む。使用されてもよい好ましい遷移金属はマンガン(特別好ましい)、クロム、鉄およびバナジウム並びにルテニウムを含む。従って好ましい酸化物は酸化マンガン(MnO)である。
【0006】
混合物でない酸化物を用いることがより通常であるが、混合酸化物を使用することもまた可能である。これらの混合酸化物は通常2以上の遷移/希土類金属の混合酸化物であるが他の金属(例えばアルミニウムおよびチタン)の使用は排除されない。
【0007】
本発明で使用される粒子は常套の方法で得られてもよい。従って、この粒子は制御された沈殿(controlled precipitation)、酸化合成(combustion synthesis)または火炎熱分解(flame pyrolysis)並びにナノ粒子の製造に関する文献に開示されている他の方法によって調製されてもよい。
【0008】
本発明の一つの態様で、この粒子は、好ましくは10ミクロンを超えない、特別に1ミクロンを超えないサイズの概して大きな粒子として、不活性なキャリヤー上に提供される。好適なキャリヤー材料は無機酸化物および元素(例えばアルミニウム、ジルコニウムおよびケイ素)のオキシアニオンをもつ化合物、特にシリカ、または例えばケイ酸アルミニウムを含む。従って本発明で使用される粒子はキャリヤー粒子の層の表面を「雑多に(speckle)」してもよい。このようにして、本発明で使用される粒子の量はよりたやすく決定されてもよい。不活性コア材料を使用してこの材料の他の特性に影響を与えることもまた可能である。例えば、プラスチック材料では屈折率および機械的性質はコア粒子によって変化させてもよく、一方、分解はナノ粒子被覆表面によって最小にされる。エマルジョンでは、配合の色はコア粒子からの光散乱によって制御され、一方、掃去効率は表面によって制御される。
【0009】
そのような粒子は二相を互いに結合させる前に静電相互作用によってコア粒子を装飾することによって調製されてもよい。例えば、シリカは一般的な方法によるテトラエチルオルトシリケート(TEOS)の加水分解によって調製されてもよい。このシリカ表面は高分子電解質材料の結合によって負に帯電し、遊離ラジカル掃去材料の沈殿ナノ粒子が静電相互作用によって結合する。更に薄い(一般的に2 nmよりも薄い)シリカ層が次にこの相を互いに結合する。
【0010】
この組成物中の粒子の存在は遊離ラジカルが捕捉されることに帰着する。すなわち、この組成物は遊離ラジカルの悪影響に対して安定化される。
【0011】
本発明は二酸化チタンまたは酸化亜鉛を含有する組成物に特に応用可能性を有する、というのも露光すると遊離ラジカルを発生することが知られているからである。二酸化チタンおよび酸化亜鉛は紫外線を効率的に吸収し、電子孔ペア(electron hole pairs)の初期形成を経てスーパーオキシドおよびヒドロキシルラジカルの形成に導く。TiO2の結晶形態、アナターゼおよびルチル、はそれぞれ約385 nmおよび400 nmの光に対応する3.23および3.06 eVのバンドギャップエネルギーをもつ半導体である(1 eVは8066 cm-1に対応する)。従ってこれらの酸化物は良好な波長のカバーを提供する一方、UVA有機サンスクリーン(例えばオキシベンゼン)を含む有機サンスクリーン剤を含む化合物の分解を高め、並びに配合の他の化合物の分解を引き起こす。必ずしも有効ではない被膜による被覆によってTiO2およびZnOの悪影響を減らす試みが行われた。従って本発明は特にTiO2および/またはZnOを含有するペイント、被膜およびサンスクリーンに有用である。しかしながら、遊離ラジカル攻撃を受けやすい成分を含有する全ての組成物にあてはまることが理解されるべきである。
【0012】
TiO2またはZnOまたは他の活性剤の存在はその成分の物理的性質を変えるかもしれない。ポリマーではこのことは、例えば、引張強さまたは破断点伸びの変化であるが、小さな分子では遊離ラジカル攻撃は通常化学構造の変化をもたらし、これが物理的性質(例えば融点、沸点、粘度)の変化、機能特性、またはある場合には毒性の変化を引き起こす。これら全ての変化は、もちろん、当業者が差異を認めるように測定され得る。
【0013】
本発明は化粧品または薬剤への使用に好適な紫外線サンスクリーン組成物に特に応用可能性を有する。「化粧品または局所薬剤への使用に好適な紫外線サンスクリーン組成物」は、通常遊離ラジカル攻撃を受けやすい有機サンスクリーン剤成分を有する全ての化粧品または局所薬剤組成物を意味するが、主な機能が遮光作用ではない組成物を含む。
【0014】
その粒子の平均一次粒度は約100 nmを超えず、好ましくは50 nmを超えず、特別に20 nmを超えずおよび特に10 nmを超えないべきである。下限はもたないが、実質的な目的に関して下限は約1 nmである。望ましいサイズ範囲は30〜5 nm、典型的には15〜5 nmである。掃去効果は基本的に触媒的であると信じられているので、表面積を最大にするために粒子ができるだけ小さいことが望ましい。
【0015】
本発明で使用される酸化物粒子は無機または有機被膜を有してもよい。例えば、この粒子は元素(例えばアルミニウム、ジルコニウムまたはケイ素)の酸化物、特別にシリカまたは、例えば、ケイ酸アルミニウムで被覆されてもよい。金属酸化物の粒子は、また一以上の有機材料(例えばポリオール、アミン、アルカノールアミン、有機高分子ケイ素化合物(polymeric organic silicon compounds)(例えば、RSi[{OSi(Me)2}xOR1]3、式中RはC1〜C10アルキル、R1はメチルまたはエチルおよびxは4〜12の整数を示す。)、親水性ポリマー(例えばポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロースおよびキサンタンガム)または界面活性剤(例えばTOPO))で被覆されてもよい。所望するならば表面ドーピングが独立に、または無機または有機被覆剤と組み合わせて被覆技術によって行われてもよい。従って例えばドープされていない酸化物は例えば酸化マンガンで有機または無機被覆剤(例えばシリカ)と共に被覆されてもよい。酸化物粒子を親水性にするために被覆することは一般的に不必要であるので水性相に関してはこの粒子は被覆されなくてもよい。しかしながらこの粒子が有機または油性相に存在する場合、それらの表面は疎水性または油分散性にされる必要がある。このことは例えば好適な疎水性ポリマーの適用によって直接にまたは酸化物(例えばシリカ(これは親水性の性質を付与する))の被膜の疎水性分子(例えば金属石けんまたは長鎖(例えばC12〜C22)カルボン酸またはそれらの金属塩(例えばステアリン酸、ステアリン酸塩、特にステアリン酸アルミニウム、ラウリル酸アルミニウムおよびステアリン酸亜鉛)への被膜の適用によって間接的に達成され得る。
【0016】
「被膜」という語は完全な被覆に限定して解釈されるべきでないことが理解されるべきである。実際に不完全に被覆することが通常有益である。というのも被膜はこの粒子の表面上または中でドーパント(dopant)と遊離ラジカルとの相互作用に対するバリアとして作用し得るからである。従って最大掃去効果が所望される場合には被膜が不連続であることが好ましい。しかしながら、表面上のドーパントがさらにこの粒子中で発生した遊離ラジカルをクエンチするように働き得ることが認識され、その場合被膜が連続であってもよい。重合体または短鎖またはモノマーシランであってもよいシランおよびシリコーンの被膜は通常連続であるので、これらは通常好ましくない。従って無機酸化物をもつ被膜が通常好ましい。というのもそれらは通常この粒子の表面上で完全な被膜にならないからである。
【0017】
典型的な被覆方法は粒子の存在下でアルカリ(例えば水酸化アンモニウム)をオルトシリケート(例えばTEOS)と混合することによるシリカの沈着を含む。また、粒子を最初にシラン(例えば(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン(MPS))で被覆し、次いでシリケート(例えばケイ酸ナトリウム)を添加してもよい。シランは粒子表面に付着し、シリケートの基材として作用し、次に重合してシリカを形成する。類似した技術が他の無機酸化物に使用されてもよい。
【0018】
本発明の組成物、特別にポリマー成分を含有する組成物、は固体であっても液体であってもよい。
【0019】
典型的な固形材料は三次元物体、フィルムおよび繊維並びに織物(textiles and fabrics)(例えば織布および不織布から作られた衣類および網)並びに発泡製品を含むポリマー固体を含む。三次元物質は押出品および成形品を含む溶融成形法(melt-forminig processes)によって作られるものを含む。本発明が適用されてもよい典型的な製品は通常ブラインドおよびプラスチックカーテン(plastics curtains)、トレリス(trellis)、パイプおよび桶(guttering)、クラッドおよびフェーシング(例えば波板(corrugated sheeting)のように成形されてもよいソフィット板(soffit board)およびプラスチック屋根材)、ドアおよび窓枠を含む外部家庭用品および建築材である。他の製品は容器(例えばボトル、缶、ドラム、バケツおよび油および水貯蔵容器)に加えて広告板など(例えば乗り物の側面の広告板)並びに車体および車、バスおよびトラックのバンパーを含む車体部品、並びにボートにも使用されてもよい屋根、並びにボートの上部構造および船体および更に草刈り機およびトラクターの車体およびヨットを含む。他の物体はガーデンファーニチャ(garden furniture)を含む。
【0020】
本発明が適用されてもよいフィルムは自立の並びに非自立のフィルム(例えば被膜)を含む。本発明が適用する自立フィルムは写真フィルム、包装用フィルム、および表示がついているプラスチックフィルムを含み、通常広告フィルムとしてこれらはまた広告板に適用されてもよい。そのようなフィルムはそのような製品のための一以上の通例の成分を含んでもよい。従って写真フィルムは一以上の染料または染料カップラーおよび、任意にハロゲン化銀を含有してもよい。
【0021】
いくつかの場合、ポリマー組成物それ自体は分解を受け難いが、組成物は基材、または容器の場合、その中にあるものを保護することが意図されている。このようにしてそのような組成物は金属酸化物を含有してもよい。例としては着色および無着色容器、典型的にはボトルを含む。従って、本発明はまた特定の金属酸化物を含有する自立ポリマー組成物、またはワニス組成物を提供し、それに隣接する組成物を光の悪影響から保護することを意図する。一つの態様でこの組成物は三次元であり金属酸化物をもつ表層を備え、一方、表面でない部分は一般的に木材でも再生木材(例えばチップボード、合板または繊維板)でもなく、好ましくは合成物である。
【0022】
被覆組成物は一般的に、ある種のワニスにあるような活性成分か、家具用艶出剤、ワックスおよびクリームと伴にペイントにおける支持体としてのいずれかとしてポリマーを含むペイントまたはワニスである。それらは水性でも非水性、すなわち有機溶媒を含有してもよい。この被覆組成物は防水剤の形態であってもよい。これらの被覆組成物はそのような製品用の市販の一以上の成分を含有してもよい。いくつかの化粧品組成物は一以上のポリマーを含有するが、そのような組成物は本発明では好ましくない。
【0023】
本発明の組成物中で使用されてもよいポリマーは天然および合成ポリマー(熱可塑性または熱硬化性でもよい)を含む。
【0024】
好適なポリマーはホモポリマーでもコポリマーでもよく、ランダム、ブロックまたはグラフトコポリマーであってもよい。このポリマーは架橋していてもよい。そのようなポリマーは飽和でも不飽和でもよい。典型的なポリマーはアルキレンポリマー(例えばエチレンおよびプロピレンポリマー、典型的にはホモポリマー(ポリエチレン発泡体を含み、PTFEを含む))、シロキサンおよびスルフィドポリマー、ポリアミド(例えばナイロン)、ポリエステル、アクリレートおよびメタクリレートポリマー(例えばポリ(メチルメタクリレート))並びにPET、ポリウレタン(発泡体を含む)、ビニルポリマー(例えばスチレンポリマー(例えばABS)(ポリスチレン発泡体を含む))、塩化ビニルポリマーおよびポリビニルアルコールを含む。フッ化ポリマー(例えばPTFEおよびポリフッ化ビニリデン)が使用されてもよい。エンジニアリングポリマー(例えばポリケトン(例えばPEEK))もまた使用されてもよい。このポリマーは、エポキシ樹脂並びにフェノール、ユリア、メラミンおよびポリエステル樹脂と共に熱硬化性でもよい。
【0025】
使用されてもよい天然ポリマーは澱粉、多糖、リグニン、およびポリイソプレン(例えば天然ゴム)を含む紙にあるようなセルロースポリマーを含む。
【0026】
いくつかのポリマーは紫外線にさらしたときに物理的性質に変化がないかもしくは大きな変化がないという意味において光安定性であると見なされてもよいと認められる。これらのポリマーは、それゆえに、感光性ではなく、それらの単独での使用は本発明の範囲に含まれない。
【0027】
異なる適用のための典型的なポリマーは以下のものを含む: (a) 繊維および織物用ポリエステル、ポリアミド(例えばナイロン)、アクリル樹脂; (b)ボトル等用ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン; (c)フィルム(不活性、例えば包装)用ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル。
【0028】
本発明の液体組成物は水性または油性どちらか単一相、または多相、典型的に水中油または油中水配合である二相であってよい。単一相組成物に関して酸化物粒子はもちろんその相中で分散可能でなければならない。従って、この粒子は望ましくはこの組成物が水性である場合親水性であり、その組成物が油ベースである場合疎水性である。二または多相組成物に関してこの粒子は、保護される成分(またはそれらの成分のうちの一つ)を含有する相中に存在するべきである。しかしながら、保護される成分がそれらの相のうちの一つになかったとしても水性および油性相両方の中にその粒子が存在することが望ましい。このことはユーザーによる組成物の適用が保護される成分のいくつかの相移動に帰する状況をカバーし得る。またエマルジョンが皮膚上に広げられるときに油性と非油性部分に分かれる傾向がある。水が蒸発すると、油分散性粒子が油性部分に広がり、従って保護されていない部分を残す傾向がある。このことはエマルジョン中に親水性および疎水性粒子両方をもつことによって避けられてもよく、その結果いくつかは親水性部分におよび他は疎水性部分に保持される。望ましくは、水分散性粒子対油分散性粒子の重量比は1:4〜4:1、好ましくは1:2〜2:1、理想的にはほとんど等しい重量分である。多くの有機サンスクリーンは疎水性であり、この粒子は疎水性であるべきであるがいくつかの有機サンスクリーンは、特に酸基によって水に溶けるものであり、その場合この粒子はそれらを保護するために親水性である必要がある。
【0029】
本発明の組成物は化粧品用であってよく、例えば口紅、例えばしわ防止配合(anti-wrinkle formulation)を含有するクリームの形態の肌の老化防止剤(skin anti-ageing compositions)、スクラブ、クリームおよびローションを含む剥離調製剤(exfoliating preparations)、例えばフェイスクリームの形態の美白化粧品(skin lightening compositions)、クリームおよびローションを含むハンド用配合物(preparations for the hands)、保湿剤(moisturising preparations)、毛髪保護用化粧品(例えばコンディショナー、シャンプーおよびヘアスプレー並びにヘアパックおよびゲル)、ふき取り用(wipe)、ローション、およびゲルを含むクレンジング剤(skin cleaning composition)、アイシャドウおよび頬紅、スキントナー(skin toners)およびセラム(serums)並びに洗浄製品(例えばシャワーゲル)、泡風呂、バスオイルを含む入浴製品であってもよいが、好ましくはサンスクリーンである。この場合、「化粧品用紫外線サンスクリーニング組成物」という用語が明細書中、残留物を皮膚上に残す皮膚に適用される全ての組成物(例えばいくつかの洗浄製品)を含むことを指摘しなければならない。本発明の組成物は紫外線からの保護を提供する全ての常套の配合として用いられてもよい。この組成物はまた局所塗布に好適な薬剤組成物であってもよい。そのような組成物は特に多形日光疹のもとになっているような紫外線によって悪影響を受ける皮膚疾患を患っている患者に有用である。
【0030】
本発明の組成物中で使用されてもよい有機サンスクリーン剤は紫外線に対する保護を与える全ての常套のサンスクリーン剤を含むが、他の感光性成分がない場合、このサンスクリーン剤は感光性でありおよび/または組成物の他の成分によって分解される。好適なサンスクリーン剤がLARC Handbook of Cancer Prevention, Vol. 5, Sunscreens, published by the International Agency for Research on Cancer, Lyon, 2001に列挙されており、
(a)パラアミノ安息香酸(PABA)、(UVB吸収剤)エステルおよびその誘導体(例えばアミルジメチル-;エチルジヒドロキシプロピル-;エチルヘキシルジメチル-;エチル-;グリセリル-;および4-ビス-(ポリエトキシ)-PABA)。
(b)シンナメート(UVB)特別にメチルシンナメートエステルおよびメトキシシンナメートエステル(例えばオクチルメトキシシンナメート、エチルメトキシシンナメート、特別に2-エチルヘキシルパラ-メトキシシンナメート、イソアミルp-メトキシシンナメート、またはこれらのジイソプロピルシンナメート、2-エトキシエチル-4-メトキシシンナメート、DEA-メトキシシンナメート(パラ-メトキシヒドロキシシンナメートのジエタノールアミン塩)またはα,β-ジ-(パラ-メトキシシンナモイル)-α'-(2-エチルヘキサノイル)-グリセリン)、並びにジイソプロピルメチルシンナメートとの混合物を含むエステル;
(c)ベンゾフェノン(UVA)(例えば2,4-ジヒドロキシ-;2-ヒドロキシ-4-メトキシ;2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシ-;2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシ-;'2,2',4,4'-テトラヒドロキシ-;および2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4'-メチル-ベンゾフェノン、ベンゼンスルホン酸およびそのナトリウム塩; 2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシ-5-スルホベンゾフェノンナトリウムおよびオキシベンゾン)
(d)ジベンゾイルメタン(UVA)(例えばブチルメトキシジベンゾイルメタン、特別に4-tert-ブチル-4'メトキシジベンゾイルメタン);
(e)2-フェニルベンズイミダゾール-5スルホン酸UVBおよびフェニルジベンズイミダゾールスルホン酸およびそれらの塩;
(f)アルキル-β,β-ジフェニルアクリレート(UVB)(例えばアルキルα-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート(例えばオクトクリレン));
(g)トリアジン(UVB)(例えば2,4,6-トリアニリノ-(p-カルボ-2-エチル-ヘキシル-1-オキシ)-1,3,5トリアジン)並びにオクチルトリアゾン(例えばエチルヘキシルトリアゾンおよびジエチルヘキシルブタミドトリアゾン)。
(h)ショウノウ誘導体(通常UVB)(例えば4-メチルベンジリデンおよび3-ベンジリデン-ショウノウおよびテレフタリリデンジショウノウスルホン酸(terephthalylidene dicamphor sulphonic acid) (UVA)、ベンジリデンショウノウスルホン酸、ショウノウベンザルコニウムメトスルフェート(camphor benzalkonium methosulphate)およびポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ);
(i)有機顔料サンスクリーニング剤(例えばメチレンビスベンゾトリアゾールテトラメチルブチルフェノール);
(j)シリコーンを基にしたサンスクリーニング剤(例えばジメチコジエチルベンザルマロネート(dimethicodiethyl benzal malonate))。
(k)サリチレート(UVB)(例えばジプロピレングリコール-;エチレングリコール-、エチルヘキシル-、イソプロピルベンジル-、メチル-、フェニル-、3,3,5-トリメチル-およびTEA-サリチレート(2-ヒドロキシ安息香酸と2,2',2''-ニトリロトリス(エタノール)の化合物));
(l)アントラニラート(UVA)(例えばメチルアントラニラート)並びにビスイミダジレート(bisymidazylate) (UVA)、ジアルキルトリオレエート(UVB)、5-メチル-2フェニルベンゾオキサゾール(UVB)およびウロカン酸(UVB)、
を含有する。
【0031】
いくつかの化合物はUVAとUVB両方に効果的である。これらはメチレンビスベンゾトリアゾールイルテトラメチルブチル-フェノール(methylene bisbenzotriazolyl tetramethylbutyl-phenol)およびドロメトリゾールトリシロキサン(drometrizole trisiloxane) (Mexoryl XL)を含む。
【0032】
この有機サンスクリーン剤は典型的に組成物中に組成物の重量に基づいて0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%、および特別に2〜5重量%の濃度で存在する。
【0033】
そのような組成物は例えばローション(典型的には4000〜10,000 mPasの粘度をもつ)(例えばとろみのついたローション(thickened lotions))、ゲル、小胞分散体(vesicular dispersions)、クリーム(典型的には10,000〜20,000 mPasの粘度をもつ流動性クリームまたは20,000〜100,000 mPasの粘度のクリーム)、ミルク、パウダー、固体状スティック(solid sticks)の形態であってもよく、任意にエアロゾルとして梱包され、および発泡体またはスプレーの形態で製造されてもよい。
【0034】
この組成物は脂肪物質(fatty substances)、有機溶媒、シリコーン、増粘剤、液体および固体皮膚軟化剤(emollients)、粘滑剤(demulcents)、他のUVA、UVBまたは広帯域(broad-band)サンスクリーン剤、消泡剤、酸化防止剤(例えばブチルヒドロキシトルエン)、緩衝剤(例えば乳酸と塩基(例えばトリエタノールアミンまたは水酸化ナトリウム))、植物抽出物(例えばアロエベラ、ヤグルマソウ、マンサク(witch hazel)、ニワトコの花およびキュウリ)、活性向上剤、保湿剤、および湿潤剤(humectants)(例えばグリセロール、ソルビトール、2-ピロリドン-5-カルボキシレート、ジブチルフタレート、ゼラチンおよびポリエチレングリコール)、香料、防腐剤(例えばパラ-ヒドロキシベンゾエートエステル)、界面活性剤、増量剤および増粘剤、金属イオン封鎖剤、アニオン性、カチオン性、非イオン性または両性ポリマーまたはそれらの混合物、噴射剤、アルカリ化物質または酸性化剤、着色剤および粒度100 nm〜20000 nmの金属酸化物顔料(例えば常套の(ドープされてない)TiO2およびZnOに加えて鉄酸化物)を含有するパウダーを含むそのような配合に使用されるいずれの成分を含有してもよい。
【0035】
化粧品組成物の他の成分(例えばいくつかの界面活性剤)はある紫外線の下である種のサンスクリーン剤を分解する効果を有することが知られている。また、TiO2およびZnOはある種の有機サンスクリーン(例えばアボベンゾン)並びに酸化防止剤(例えばビタミン(例えばビタミンA、B、CおよびE))を分解することが知られている。ドープされたTiO2および/またはZnOおよび/または還元されたZnOとそのようなサンスクリーンを使用することが特に有効であることが認識される。このことはTiO2およびZnOが通常実際の紫外線吸収効果を有するからである。従って、ドープされたTiO2および/またはZnOおよび/または還元されたZnOを使用することによって、より少ない酸化防止剤を使用し、またはより長持ちする配合を作ることが可能になる。
【0036】
有機溶媒は、典型的に低級アルコールおよびポリオール(例えばエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセリンおよびソルビトール)並びに塩化メチレン、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチル、エーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびテトラヒドロフランからである。
【0037】
脂肪物質は油またはワックスまたはそれらの混合物、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、ワセリン、パラフィン、ラノリン、水素化ラノリンまたはアセチル化ラノリン、蜜蝋、オゾケライトワックスおよびパラフィンワックスからなる。
【0038】
油は典型的に動物、植物、鉱物または合成油および特別には水素化パーム油、水素化ひまし油、ワセリン油、パラフィン油、ピュアセリンオイル(Purcellin oil)、シリコーン油(例えばポリジメチルシロキサン)およびイソパラフィンからである。
【0039】
ワックスは典型的に動物、化石、植物、鉱物または合成ワックスである。そのようなワックスは蜜蝋、カルナバ、カンデリラ、サトウキビまたは木蝋、オゾケライト、モンタンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンまたはシリコーンワックスおよび樹脂を含む。
【0040】
脂肪酸エステルは、例えば、イソプロピルミリステート、イソプロピルアジペート、イソプロピルパルミテート、オクチルパルミテート、C12〜C15脂肪アルコールベンゾエート(FINETEXからの「FINSOLV TN」)、酸化プロピレン3モルを含有するオキシプロピル化ミリスチンアルコール(WITCOからの「WITCONOL APM」)、カプリンおよびカプリル酸トリグリセリド(HULSからの「MIGLYOL 812」)である。
【0041】
この組成物は更に増粘剤(例えば架橋または非架橋アクリル酸ポリマー、および特に多官能化剤(polyfunctional agent)を使用して架橋されたポリマー状酸(polymeric acid)(例えばGOODRICH社によって「CARBOPOL」の名称で売られている製品)、セルロース、誘導体(例えばメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩)、またはセチルステアリルアルコールとエチレンオキシド33モルを含有するオキシエチレン化セチルステアリルアルコールとの混合物)を含有してもよい。
【0042】
好適な皮膚軟化剤はステアリルアルコール、グリセリルモノリシノレエート、ミンク油、セチルアルコール、イソプロピルイソステアレート、ステアリン酸、イソブチルパルミテート、イソセチルステアレート、オレイルアルコール、イソプロピルラウレート、ヘキシルラウレート、デシルオレエート、オクタデカン-2-オール、イソセチルアルコール、エイコサニルアルコールベヘニルアルコール、セチルパルミテート、シリコーン油(例えばジメチルポリシロキサン)、ジ-n-ブチルセバセート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルステアレート、ブチルステアレート、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ラノリン、カカオ脂、コーン油、綿実油、オリーブ油、パーム核油、菜種油、サフラワー油(safflower seed oil)、月見草油、大豆油、ヒマワリ油、アボカド油、ゴマ油、ココヤシ油、落花生油、ヒマシ油(caster oil)、アセチル化ラノリンアルコール、石油ゼリー、鉱物油、ブチルミリステート、イソステアリン酸、パルミチン酸、イソプロピルリノレエート、ラウリルラクテート、ミリスチルラクテート、デシルオレエート、ミリスチルミリステートを含む。
【0043】
好適な噴射剤はプロパン、ブタン、イソブタン、ジメチルエーテル、二酸化炭素、亜酸化窒素を含む。
【0044】
好適なパウダーは白亜(chalk)、タルク、フラー土、カオリン、澱粉、ガム、コロイドシリカナトリウムポリアクリレート(colloidal silica sodium polyacrylate)、テトラアルキルおよび/またはトリアルキルアリールアンモニウムスメクタイト、化学的に変性したケイ酸マグネシウムアルミニウム、有機的に変性したモンモリロナイトクレイ、水和ケイ酸アルミニウム、ヒュームドシリカ、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチレングリコールモノステアレートを含む。
【0045】
本発明の組成物がサンスクリーンである場合、それらは、例えば、懸濁液または分散液または脂肪物質またはエマルジョン(例えばクリームまたはミルク)としての形態で、軟膏、ゲル、固体状スティックまたはエアロゾル発泡体の形態であってもよい。このエマルジョン(水中油であっても油中水エマルジョンであってもよい)は更にアニオン性、非イオン性、カチオン性または両性界面活性剤を含む乳化剤を含有してもよい。油中水エマルジョンに関してはHLBは典型的に1〜6である一方、水中油エマルジョンに関してはより大きな値(例えば6より大きい)が望ましい。通常水は80容量%まで、典型的には5〜80容量%になる。使用されてもよい特定の乳化剤はソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート、グリセロールモノオレエート、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノラウレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトール蜜蝋誘導体、PEG 200ジラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(3.5)ノニルフェノール、PEG 200モノステアレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、PEG 400ジオレエート、ポリオキシエチレン(5)モノステアレート、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレエート、PEG 300モノオレエート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレン(8)モノステアレート、PEG 400モノオレエート、PEG 400モノステアレート、ポリオキシエチレン(10)モノオレエート、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(9.3)オクチルフェノール、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノラウレート、PEG 600モノオレエート、PEG 1000ジラウレート、ポリオキシエチレンソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル、PEG 1500ジオレエート、ポリオキシエチレン(14)ラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(25)オキシプロピレンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビトールモノラウレート、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(50)モノステアレート、およびPEG 4000モノステアレートを含む。代わりにこの乳化剤はシリコーン界面活性剤、特別に(一般的に分子量10,000〜50,000の)ポリオキシエチレンおよび/またはポリオキシプロピレン側鎖をもつジメチルポリシロキサン、特別にシクロ-メチコンおよびジメチコンコポリオールであってもよい。それらはまた既知の方法で調整されるイオン性または非イオン性両親媒性脂質の小胞分散体の形態で提供されてもよい。
【0046】
本発明はまた有機活性成分を含有する農業または園芸用途向けの全ての組成物並びに有機活性成分を含有する獣医学組成物(一般的に局所塗布用)に適用できる。一般的にこの活性成分は殺生物剤であるが例えば植物成長促進物質または成長調節物質であってもよい。従って、本発明の組成物は除草剤、殺カビ剤、殺虫剤、殺菌剤、ダニ駆除剤(acaricides)、軟体動物駆除剤、ダニ殺し剤(miticides)または殺鼠剤であってもよく、それは広域抗生物質であっても選択的であってもよい。本発明は紫外線および遊離ラジカルによって悪影響を受けるファースノックダウン殺虫剤(fast knockdown insecticides)に特に有効である。獣医学組成物は例えば消毒薬または創傷治癒薬の形態をとってもよい。
【0047】
本発明の組成物はまた例えば殺虫剤および殺鼠剤同様に家庭用品に配合されてもよい。従って、本発明はまた、少なくとも一つの有機殺生物剤および金属酸化物を含有する家庭用品に好適な組成物も提供する。
【0048】
本発明の組成物はそのような組成物に一般に用いられているどの有機活性成分を含有してもよい。
【0049】
本発明で使用されてもよい好適な除草剤はトリアジン、アミド、特にハロアセトアニリド、カルバメート、トルイジン(ジニトロアニリン)、尿素、植物成長ホルモン、特にフェノキシ酸およびジフェニルエーテルを含む。このように使用されてもよい除草剤はフェノキシカルボン酸、ビピリジニウム、ベンゾニトリルとフタル酸化合物、ジニトロアニリン、酸アミド、カルバメート、チオカルバメート、複素環式窒素化合物(トリアジン、ピリジン、ピリダジノン、スルホニル尿素、イミダゾールを含む)および置換尿素、並びにハロゲン化脂肪族カルボン酸、いくつかの無機および有機材料および生物学的に重要なアミノ酸の誘導体を含む。本発明で使用されてもよい特定の除草剤は2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)および2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸(2,4,5-T)を含む。好適なトリアジンは2-クロロ-、2-メチルチオ-、2-メトキシ-4,6-ビス-(アルキルアミノ)-s-トリアジン並びにいくつかの2-アジド-置換トリアジンを含む。典型的な除草性尿素はモニュロン(3-p-クロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素)並びにジウロン、ネブロン、フェヌロンおよびクロロクスロンを含む。好適なカルバメートはN-フェニルカルバメートおよびイソプロピルカルバニレート(プロファム)およびそれらの置換誘導体(イソプロピルm-クロロカルバニレート(クロロプロファム)を含む)並びにバーバン、スウェップ、ジクローメート(dichlormate)およびテルブトール(terbutol)を含む。好適なチオカルバメートはEPTC、メタム(metham)、バーナレート、CDEC、ペブレート、ダイアレート、トリアレート、ブチレート、モリネート、シクロエート、チオベンカルブおよびエチオレートを含む。好適なアミド除草剤はソラン(solan)、ジクリル(dicryl)、プロパニル(propanil)、ジペハミド(dipehamid)、プロパクロール、アラクロール、CDAA、ナプタラム、ブタクロール、プリナクロールおよびナプロパミドを含む。好適な塩素化脂肪酸はトリクロロ酢酸(TCA)、ダラポンおよび2,2,3-トリクロロプロピオン酸を含む。好適な塩素化安息香酸はクロラムベン、DCPA、ジカンバ、ジクロベニルおよび2,3,6-TBAを含む。使用されてもよいフェノール系除草剤はブロモキシニル、アイオキシニル、DNOCおよびジノセブを含む。使用されてもよい好適なジニトロアニリンはバナフィン、トリフルラリン、ニトラリン、オリザリン、イソプロパリン、ジニトラミン、フルクロラリン、プロフルラリンおよびブトラリンを含む。好適なビピリジニウム除草剤はジクワットおよびパラコート塩およびそれらの誘導体を含む。
【0050】
本発明で使用されてもよい好適な殺虫剤はニコチノイド、ロテノイド、サバジラの種子および植物リアニアスペシオサ(plant ryania speciosa)の誘導体並びに有機塩素殺虫剤、有機リン殺虫剤、カルバメート殺虫剤および種々の昆虫成長調節物質を含む。
【0051】
好適なニコチノイドは硫酸ニコチンおよびイミドクロプリド(imidocloprid)である。ピレスロイドは殺虫剤の大きな群を構成し、その大部分は現在レスメスリン、フェノトリン、シフェノトリン、エンペントリン、プラレトリン、ペルメトリン、シペルメトリン、アルファシペルメトリン、テトラメトリンおよびデルタテトラメトリン(これらの誘導体とともにそれらの異性体、特別に光学異性体を含む)を含む合成物である。好適な有機塩素殺虫剤はメトキシクロルおよびペルセンとともにDDT (ジクロロジフェニルトリクロロエタン)、並びにリンデン、トキサフェン、クロルデン、ヘプタクロル、アルドリン、ディエルドリンおよびエンドリンを含む。好適な有機リン殺虫剤はリン酸およびホスホロチオ酸無水物、フェニルホスホロチオエートエステルとともに脂肪族ホスホロチオエートエステル、フェニルホスホロジチオエートエステル、フェノールのホスホノチオエートエステル、ビニルホスフェート、複素環式エノールのおよびs-メチル複素環のホスホロチオエートエステルを含む。特に言及すべきものはフェンクロルホス、シアノホス、プロパホスおよびテメホスとともにパラチオン、メチルパラチオン、ジカプソン(dicapthon)、クロルチオン、フェニトロチオン、フェンチオンおよびフェンスルホチオンからつくられる。使用されてもよい好適なカルバメート殺虫剤はカーバリル、カルボフラン、プロポキスル、ジオキサカルブ、ベンジオカルブ、メキサカルベート(mexacarbate)、イソプロカルブおよびエチオフェンカルブを含む。好適なダニ駆除剤はクロルフェネトール、クロルベンジレート、ジコホル、テトラジホン、スルフェノン(sulphenone)、オベックス(ovex)、プロパルギット、シヘキサチンおよびジエノクロルを含む。
【0052】
上で述べた殺虫剤のいくつかは齧歯類を殺すのに好適であるが、使用されてもよい他の殺鼠剤は急性殺鼠剤を含み、慢性毒は抗凝血剤を含む。これらは消化中毒剤、接触毒(contact poison)または燻蒸剤であってもよい。そのような抗凝血剤はジクマロール、ワーファリン、クマテトラリル(couomatetraly)、クマクロル、ジフェナコン(difenacoum)、ブロデファコーム(brodifacoum)、ブロマジオロン、ピンドン、ダイファシノンおよびクロロファシノンを含む。
【0053】
本発明の組成物で使用してもよい殺虫剤は、また微生物作用薬(microbial agent)の形態であってもよい。というのも、昆虫は多くの病原体に襲われるからである。これらは細菌性作用薬、特にバチラス微生物(bacillus microorganism)、特別にバチラスチューリンゲンシス(b.t.)系(例えばb.t. aizawa、israelensis、kurstakiおよびtenbrionis)、真菌性作用薬、原虫およびウィルスを含む。
【0054】
本発明の組成物で使用されてもよい好適な殺カビ剤はチオカルバメートおよびチウラム(thiurame)誘導体、フタルイミドおよびトリクロロメチルチオカルボキシミド、芳香族炭化水素およびジカルボキシミドとともに硫黄、銅、水銀および錫のような元素を含有する。特定の実施例はファーバム、ジラム、チラム、ジネブ、マンネブおよびマンコゼブ並びにジメチルチオカルバメートおよびエチレンビス-ジチオカルバメートを含む。他の有用な殺カビ剤はキャプタン、ホルペット、カプタホルおよびジクロフルアニドを含む。好適な芳香族炭化水素はオキサゾリジンジオン(例えばビンクロゾリン、クロゾリネート)、ヒダントイン(例えばイプロジオン)およびスクシンイミド(例えばプロシミドン)とともにキントゼン、ジノカップ、クロロネブ、ジクロラン、ジクロンおよびクロロタロニルを含む。使用されてもよい他の殺カビ剤はグアニジン塩(例えばドジン)、キノン(例えばジチアノン)、キノキサリン(例えばキノメチオネート)、ピリダジン(例えばジクロメジン)、チアジアゾール(例えばエトリジアゾール)、ピロール(例えばフェンピクロニル)、キノリン(例えばエトキシキン)およびトリアジン(例えばアニラジン)を含む。使用されてもよい他の殺カビ剤は一般的にカルボクス(carbox)、オキシカルボキシン、フルトラニル、フェンフラム、メプロニル、メトフロキサムおよびメトスルホバックスを含むカルボキサミドであるミトコンドリア呼吸阻害剤を含む。使用されてもよい更なる殺カビ剤はチアベンダゾール、フベリダゾール、カルベンダジム、ベノミルおよびチオファネートメチルを含むミクロチューブリン(microtubuline)重合阻害剤を含む。他の好適な殺カビ剤はC-14脱メチル化阻害剤を含むステロール生合成の阻害剤(例えば1-窒素を介して大きな脂肪親和性基についている1,2,4-トリアゾール基を有するトリアゾール、特にケイ素元素を導入するフルシラゾール、フルトリアホールおよびイミベンコナゾールとともにトリアジメホン、プロピコナゾール、テブコナゾール、シプロコナゾールおよびテトラコナゾール)を含む。使用されてもよい他の殺カビ剤はRNA生合成阻害剤、リン脂質生合成阻害剤、メラニン生合成阻害剤、真菌タンパク生合成阻害剤(fungal protein biosynthesis inhibitor)および細胞壁生合成阻害剤を含む。
【0055】
そのような組成物は液体であっても固体形態であってもよい。液体組成物は水性または非水性であってもよい一方、固体形態はパウダーまたはダスト、グラニュールおよびタブレットを含む。殺鼠剤に関して、特に、この組成物は殺鼠剤および特別な酸化物で処理された餌、特に食糧(例えば穀物)の形態をとってもよい。
【0056】
組成物中の活性成分の濃度は広い範囲で変化してもよいが典型的に0.5〜95、例えば1〜50重量%である。
【0057】
本発明による組成物は好ましくは0.5重量(w/w)%〜95重量(w/w)%の有効成分を含有する。
【0058】
本発明による農業または園芸用組成物は一般的にキャリヤーを含有し、処理される場所(例えば植物、種子または土壌)への適用を容易にし、または貯蔵、輸送または取り扱いを容易にする。このキャリヤーは固体、または液体、並びに普通は気体であるが液体にするために圧縮された材料でもよい。
【0059】
この組成物は例えばエマルジョン濃縮物(emulsion concentrate)、溶液、水中油エマルジョン、湿潤性パウダー、可溶性パウダー、懸濁濃縮物、ダスト、グラニュール、水分散性グラニュール、マイクロカプセルおよびゲルの形態であってもよい。他の物質、例えば増量剤、溶媒、固体キャリヤー、界面活性化合物(界面活性剤)、および任意に固体および/または液体助剤および/またはアジュバントが存在してもよい。この組成物は例えば噴霧(spraying, atomizing)、分散または流し込みによる分散のために配合されてもよい。
【0060】
使用されてもよい溶媒は芳香族炭化水素(例えば、置換ナフチレン、フタル酸エステル(例えばジブチルまたはジオクチルフタレート))、脂肪族炭化水素(例えばシクロヘキサンまたはパラフィン、アルコールおよびグリコール並びにそれらのエーテルおよびエステル(例えば、エタノール、エチレングリコールモノ-およびジメチルエーテル)、ケトン(例えばシクロヘキサノン))、強極性溶媒(例えばN-メチル-2-ピロリドンまたはγ-ブチロラクトン、より長いアルキルピロリドン(例えば、n-オクチルピロリドンまたはシクロヘキシルピロリドン))、エポキシ化植物油エステル(例えばメチル化ココナッツまたは大豆油エステルおよび水を含む。混合物もまた使用されてもよい。
【0061】
ダスト、湿潤性パウダー、水分散性グラニュール、またはグラニュールに使用されてもよい固体キャリヤーは鉱物増量剤(例えばシリカ、方解石、タルク、カオリン、モンモリロナイトまたはアタパルジャイト)を含む。物理的特性が高分散シリカゲルまたはポリマーの添加によって改善されてもよい。グラニュールのキャリヤーは多孔質材料(例えば軽石、カオリン、海包石、ベントナイト)であってもよい。非吸着性キャリヤーは方解石または砂であってもよい。
【0062】
この組成物は次にユーザーによって適用前に希釈され得る濃縮物として配合されてもよい。界面活性剤である少量のキャリヤーの存在はこの希釈過程を容易にする。従って、好ましくは本発明による組成物は好ましくは界面活性剤を含有する。例えば、この組成物は二以上のキャリヤー(その少なくとも一つは界面活性剤である)を含有してもよい。そのような界面活性剤は非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性イオン性であってもよい。
【0063】
本発明の組成物は例えば湿潤性パウダー、水分散性グラニュール、ダスト、グラニュール、溶液、乳化性濃縮物(emulsifiable concentrate)、エマルジョン、懸濁濃縮物およびエアロゾルとして配合されてもよい。湿潤性パウダーは通常5〜90% w/wの活性成分および3〜10% w/wの分散剤および/または湿潤剤および望ましくは0〜10% w/wの安定剤および/または他の添加剤(例えば浸透剤または増粘剤)を含有する。ダストは通常湿潤性パウダーの組成物と類似した組成物を有するが分散剤を有しないダスト濃縮物として配合される。水分散性グラニュールは通常0.15 mm〜2.0 mmのサイズを有し、活性成分0.5〜90% w/w、0〜20% w/wの添加剤(例えば安定剤、界面活性剤、スローリレース変性剤(slow release modifier)および結合剤)を含有するように調製される。乳化性濃縮物は通常、溶媒または溶媒の混合物に加えて、活性成分1〜80% w/v、乳化剤2〜20% w/vおよび0〜20% w/vの他の添加剤(例えば安定剤、浸透剤および腐食防止剤)を含有する。懸濁濃縮物は通常、活性成分5〜75% w/v、0.5〜15% w/vの分散剤、0.1〜10% w/vの懸濁剤(例えば保護コロイドおよびチキソトロープ剤)、0〜10% w/vの他の添加剤(例えば消泡剤、腐食防止剤、安定剤、浸透剤および増粘剤)、および水または活性成分が実質上不溶である種の有機液体を含有する。ある有機固体または無機塩が配合中に溶けて存在し、沈降および結晶化を防ぐことを助け、または水の凍結防止剤として存在してもよい。
【0064】
一般的に、この組成物は無機および有機顔料(TiO2および/またはZnO、増量剤およびエキステンダー並びに光安定剤(典型的に嵩高いアミン安定剤)を含む)を含む問題の組成物に特徴的な通常のさらなる成分を含有してもよい。
【0065】
この組成物中、金属酸化物は好ましくは約0.5〜20重量%、好ましくは約1〜10重量%およびより好ましくは約3〜8重量%、特に約4〜7%、例えば4〜6%、例えば5重量%の濃度で存在する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離ラジカルスカベンジャーとして100 nmを超えない近接酸化状態を有する希土類または遷移金属の酸化物の少なくとも一つの粒子を含有する遊離ラジカル攻撃を受けやすい成分を含有する組成物。
【請求項2】
上述の近接酸化状態のエネルギー準位が2 eV以下しか異ならない請求項1記載の組成物。
【請求項3】
該酸化物がセリウム、マンガン、バナジウム、クロムまたは鉄の酸化物である請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
該酸化物が酸化マンガンである請求項3記載の組成物。
【請求項5】
該酸化物が20 nmを超えない粒度を有する上述の請求項のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項6】
該酸化物が5〜15 nmの粒度を有する請求項5記載の組成物。
【請求項7】
該酸化物が0.5〜20重量%の量で存在する上述の請求項のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項8】
該組成物が紫外線サンスクリーン組成物である上述の請求項のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項9】
該組成物が化粧品の用途に好適である上述の請求項のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項10】
該組成物が遊離ラジカルによって悪影響を受ける紫外線サンスクリーン剤を含有する請求項8または9記載の組成物。
【請求項11】
該有機サンスクリーン剤がパラアミノ安息香酸、そのエステルまたは誘導体、メトキシシンナメートエステル、ベンゾフェノン、ジベンジロメタン、アルキル-β,β-フェニルアクリレート、トリアジン、ショウノウ誘導体、有機顔料、シリコーンベースのサンスクリーン剤または2-フェニルベンズイミダゾール-5スルホン酸またはフェニルジベンズイミダゾールスルホン酸である請求項8または10記載の組成物。
【請求項12】
該組成物がサンスクリーンである請求項8〜11のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項13】
該組成物がローション、ゲル、分散体、クリーム、ミルク、パウダーまたは固体状スティックである請求項8〜12のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項14】
該組成物が水分散性または油分散性金属酸化物を含有する請求項12または13記載の組成物。
【請求項15】
該組成物がポリマー組成物である請求項1〜14のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項16】
該ポリマー材料が熱可塑性である請求項15記載の組成物。
【請求項17】
該ポリマー材料が熱硬化性である請求項15記載の組成物。
【請求項18】
該組成物が三次元物品である請求項15〜17のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項19】
該組成物がフィルムまたは繊維または織物の形態である請求項15〜17のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項20】
該組成物が写真フィルムの形態である請求項19記載の組成物。
【請求項21】
該組成物が被覆組成物の形態である請求項15〜17のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項22】
該組成物がペイントまたはワニスの形態である請求項15記載の組成物。
【請求項23】
該組成物が獣医学的に、農業的におよび/または園芸的に活性な少なくとも一つの有機化合物を含有する請求項1〜7のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項24】
少なくとも一つの有機殺生物剤を含有する家庭用品に好適な請求項1〜7のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項25】
該活性化合物が除草剤、殺カビ剤、殺虫剤、ダニ駆除剤、ダニ殺し剤または殺鼠剤である請求項23または24記載の組成物。
【請求項26】
実質的に請求項25に記載された請求項1記載の組成物。
【請求項27】
上述の化合物を含有する組成物中で遊離ラジカル攻撃を受けやすい一以上の組成物の濃度を薄めるための請求項1〜6のいずれか一つに記載の金属酸化物の粒子の使用。
【請求項28】
遊離ラジカル攻撃によって悪影響を受ける有機紫外線サンスクリーン剤を含有するサンスクリーン組成物の紫外線吸収損失の割合を減少させるための請求項1〜6のいずれか一つに記載の金属酸化物の粒子の使用。
【請求項29】
獣医学的に、農業的に、園芸的にまたは家庭用品に好適な組成物中で獣医学的に、農業的におよび/または園芸的に活性な一以上の化合物の保存寿命を延ばすための請求項1〜6のいずれか一つに記載の金属酸化物の粒子の使用。
【請求項30】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の金属酸化物の粒子を組成物へ導入することを包含する、遊離ラジカル攻撃を受けやすい一以上の化合物を含有する組成物の効力を増大する方法。

【公表番号】特表2007−524669(P2007−524669A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550292(P2006−550292)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【国際出願番号】PCT/GB2005/000262
【国際公開番号】WO2005/072695
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(301062455)オクソニカ リミテッド (6)
【Fターム(参考)】