説明

サンバイザー用照明装置、及び、ルーフモジュールの製造方法

【課題】照明を消灯する操作性が改善されるとともに、電線の噛み込みが改善され、部品点数を削減できるサンバイザー用照明装置、及び、当該サンバイザー用照明装置を含むルーフモジュールの製造方法を提供すること。
【解決手段】サンバイザー用照明装置1は、サンバイザーの照明8を点灯/消灯するスイッチ29及び該スイッチ29をON/OFFする操作用のスイッチノブ7を備え、該スイッチノブ7を第一の位置に移動させると前記スイッチ29がONされ、前記スイッチノブ7を第二の位置に移動させると前記スイッチ29がOFFされる。又は、サンバイザー用照明装置1は、前記スイッチノブ7が前記第一の位置にあるときに前記サンバイザーを閉じると、該サンバイザーが前記スイッチノブ7に干渉することによって該スイッチノブ7が第三の位置に移動して前記スイッチ29がOFFされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ及び操作用のスイッチノブを備えて構成されるサンバイザー用照明装置、及び、当該サンバイザー用照明装置を含むルーフモジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図11において、従来のサンバイザー用照明装置57は、縦筒体58及びランプホルダ59を備えて構成されている(例えば特許文献1)。縦筒体58の内部には、電装品としての照明用発光体60を組み込み可能な組込部61を設けている。また、縦筒体58には、その先端部から組込部61に亘って一対の固定電極板62が挿通されて固定されている。これら一対の固定電極板62の先端部には、車載バッテリーに接続される接続線の端末コネクタが差し込まれて電気的に接続されるコネクタ63を設けている。コネクタ63及び固定電極板62は電線64によって接続されている。ランプホルダ59は、縦筒体58の組込部61の開口部近傍に嵌め込まれ、所定の角度範囲内において縦軸線回りに回動可能に保持されている。また、ランプホルダ59には、照明用発光体60としてのランプ65を下端部に有するランプケース66が一体装着されている。ランプケース66のランプ65と反対側(上側)には、固定電極板62に対し接離可能に接触する可動電極板67が取り付けられている。ランプホルダ59の下端部にはレンズ保持部68が形成されている。レンズ保持部68にはレンズ69が装着されている。また、レンズ保持部68には、ランプホルダ59を縦軸線回りに回動操作して、固定電極板62に対し可動電極板67を接離するための操作部70が設けられている。
【0003】
上記構成において、照明用発光体60としてのランプ65の点灯が必要な場合、縦筒体58の組込部61に嵌め込まれたランプホルダ59を、レンズ保持部68の操作部70において縦軸線回りに所定角度だけ回動操作することで、固定電極板62に対し可動電極板67が接触し、これによってランプ65が点灯する。また、照明用発光体60としてのランプ65の消灯が必要な場合、ランプホルダ59を逆方向へ回動操作することで、固定電極板62に対し可動電極板67が非接触状態となり、これによってランプ65が消灯する。すなわち、固定電極板62及び可動電極板67がスイッチの役割を担っている。
【0004】
また、上記構成においてサンバイザー用照明装置57を車両の端末コネクタに接続する場合、縦筒体58に設けられた固定電極板62のコネクタ63を、車載バッテリーに接続されている接続線の端末コネクタ(図示せず)に差し込み、接続が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−138688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来技術にあっては、サンバイザー用照明装置57における照明用発光体60としてのランプ65を消灯する場合、一般的に、サンバイザー(図示せず)を車室天井に沿う格納位置に動かして閉じた後で、ランプホルダ59を回動操作する必要がある。したがって、サンバイザー(図示せず)を閉じた後、いちいち手動によってランプ65を消灯する必要があり、操作が面倒であるという問題点を有していた。
【0007】
また、上記従来技術にあっては、サンバイザー用照明装置57を車両の端末コネクタに組み付ける場合、コネクタ63を使用した嵌め込みによって行う。したがって、電線64の余長が必要になるため、組み付けの時に余った電線64が噛み込んでしまうという問題点を有していた。さらに、コネクタ63等の部品点数が増加してしまうという問題点も有していた。すなわち、サンバイザー用照明装置57の組み付けが容易でないという問題点を有していた。
【0008】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、照明用発光体の消灯に関する操作性が改善されるとともに、組み付け時の電線の噛み込みを改善し、さらに部品点数も削減できるサンバイザー用照明装置、及び、当該サンバイザー用照明装置を含むルーフモジュールの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明のサンバイザー用照明装置は、サンバイザーの照明を点灯/消灯するスイッチ及び該スイッチをON/OFFする操作用のスイッチノブを備え、該スイッチノブを第一の位置に移動させると前記スイッチがONされ、前記スイッチノブを第二の位置に移動させると前記スイッチがOFFされるサンバイザー用照明装置において、前記スイッチノブが前記第一の位置にあるときに前記サンバイザーを閉じると、該サンバイザーが前記スイッチノブに干渉することによって該スイッチノブが第三の位置に移動して前記スイッチがOFFされることを特徴としている。
【0010】
このような特徴を有する本発明によれば、スイッチノブが第一の位置にありサンバイザーの照明が点灯しているときにサンバイザーを閉じると、サンバイザーがスイッチノブに干渉することによってスイッチノブが第三の位置に移動してスイッチがOFFされる。すなわち、サンバイザーの照明を点灯させてサンバイザーを使用し、その後、サンバイザーを閉じるだけで照明を自動的に消灯させることが可能になる。
【0011】
請求項2記載の本発明のサンバイザー用照明装置は、請求項1に記載のサンバイザー用照明装置において、ルーフハーネス及び前記スイッチを圧接接続するバスバーを備えることを特徴としている。
【0012】
このような特徴を有する本発明によれば、ルーフハーネス及びスイッチは、電線を含む例えばコネクタ等による嵌め込み接続ではなく、バスバーを介して圧接接続される。
【0013】
請求項3記載の本発明のルーフモジュールの製造方法は、請求項1又は2に記載のサンバイザー用照明装置を、ルーフハーネスに圧接接続する工程と、ルーフに固定する工程とを含むことを特徴としている。
【0014】
このような特徴を有する本発明によれば、サンバイザー用照明装置及びルーフハーネスは、電線を含む例えばコネクタ等による嵌め込み接続ではなく、圧接によって接続される。また、サンバイザー用照明装置はルーフモジュールとしてルーフに固定される。
【0015】
請求項4記載の本発明のルーフモジュールの製造方法は、請求項3に記載のルーフモジュールの製造方法において、前記サンバイザー用照明装置を、サンバイザーと共に前記ルーフにネジ締め固定することを特徴としている。
【0016】
このような特徴を有する本発明によれば、サンバイザー用照明装置及びサンバイザーは、ルーフモジュールとしてルーフにネジ締め固定される。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載された本発明によれば、サンバイザーを閉じるだけで点灯しているサンバイザーの照明を自動的に消灯させることが可能なので、サンバイザーを閉じた後でいちいち手動によってランプを消灯する必要がなく、照明を消灯するための操作が非常に容易になるという効果を奏する。また、照明が消灯しているときにサンバイザーを閉じれば、当然、この消灯状態を維持し続けるという効果も奏する。
【0018】
請求項2に記載された本発明によれば、ルーフハーネス及びスイッチの接続を、電線を含む例えばコネクタ等による嵌め込みではなくバスバーを介して圧接によって行うので、電線の余長が発生しない。したがって、サンバイザー用照明装置を組み付ける時に、余った電線が噛み込まないという効果を奏する。また、コネクタ等の部品を削減できるという効果も奏する。
【0019】
請求項3に記載された本発明によれば、サンバイザー用照明装置及びルーフハーネスを、電線を含む例えばコネクタ等による嵌め込みではなく圧接接続するので、電線の余長が発生しない。したがって、サンバイザー用照明装置を組み付ける時に、余った電線が噛み込まないという効果を奏する。また、コネクタ等の部品を削減できるという効果も奏する。さらに、サンバイザー用照明装置がルーフモジュールの一部としてルーフに固定されるので、サンバイザー用照明装置の組み付けが容易になるという効果を奏する。
【0020】
請求項4に記載された本発明によれば、サンバイザー用照明装置及びサンバイザーは、共にルーフにネジ締め固定される。したがって、サンバイザー用照明装置及びサンバイザーの位置決めを正確に行うことができる。すなわち、サンバイザー用照明装置に設けているスイッチノブ及びサンバイザーの位置決めを正確に行うことが出来るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のサンバイザー用照明装置の分解斜視図である。
【図2】本発明のサンバイザー用照明装置の組立過程を表す図であり、(a)はスイッチノブ及びバスバーをそれぞれ組み付ける過程、(b)は(a)の後でルーフハーネスを接続する過程である。
【図3】本発明のサンバイザー用照明装置の組立完成品を表す図であり、(a)は上面斜視図、(b)は下面斜視図である。
【図4】本発明のサンバイザー用照明装置における回路図である。
【図5】本発明のサンバイザー用照明装置を含むルーフモジュールの組立過程を表す図であり、(a)はサンバイザー用照明装置をルーフに仮固定する過程、(b)は(a)の後で車両のブラケットに位置合わせする過程、(c)は(b)の後でサンバイザーを取り付ける過程である。
【図6】本発明のサンバイザー用照明装置を含むルーフモジュールの組立完成品を表す図であり、(a)は上面斜視図、(b)は下面斜視図である。
【図7】本発明のサンバイザー用照明装置を含むルーフモジュールの上面図である。
【図8】図6のA−A断面図であって、(a)は本発明のサンバイザー用照明装置のスイッチノブが第一の位置にあることを示し、(b)はA部拡大図である。
【図9】図6のA−A断面図であって、(a)は本発明のサンバイザー用照明装置のスイッチノブが第二の位置にあることを示し、(b)はB部拡大図である。
【図10】図6のA−A断面図であって、(a)は本発明のサンバイザー用照明装置のスイッチノブが第三の位置にあることを示し、(b)はC部拡大図である。
【図11】従来のサンバイザー用照明装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら説明する。図1は本発明のサンバイザー用照明装置の分解斜視図である。図2は本発明のサンバイザー用照明装置の組立過程を表す図である。図3は本発明のサンバイザー用照明装置の組立完成品を表す図である。図4は本発明のサンバイザー用照明装置における回路図である。図5は本発明のサンバイザー用照明装置を含むルーフモジュールの組立過程を表す図である。図6は本発明のサンバイザー用照明装置を含むルーフモジュールの組立完成品を表す図である。図7は本発明のサンバイザー用照明装置を含むルーフモジュールの上面図である。図8〜図10は図7のA−A断面図である。なお、これらの図は本発明の一実施形態を示したものであり、この説明によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
図1において、サンバイザー用照明装置1は、合成樹脂製の上部ハウジング2と、同じく合成樹脂製の下部ハウジング3と、第一バスバー4と、第二バスバー5と、第三バスバー6と、操作用のスイッチノブ7と、照明用発光体8と、ルーフハーネス9とを備えて構成されている。本発明は、第一バスバー4、第二バスバー5、及びスイッチノブ7に特徴がある。さらに本発明は、サンバイザー51(図6参照)及びスイッチノブ7の干渉にも特徴がある。
【0024】
上部ハウジング2を上方から見ると、長方形の一対の長辺が内側に向かって半円形状に湾曲し、四隅が円弧状に面取りされた形状をしている。また、上部ハウジング2の上端面10の外周端縁部から下方に向かって壁面部11を全周に設け、その内側に空間を形成している。壁面部11は一対の長辺の略中央において上方から見て半円形状に湾曲した湾曲壁面部12を有し、一対の短辺の略中央においてルーフハーネス9を嵌め込むための二つの嵌め込み孔部13を後方から見て略半円形状に有している。また、上部ハウジング2の長辺の壁面部11の下端部には、下部ハウジング3に係合するため下方に突出した係止片14を四つ設けている。
【0025】
下部ハウジング3を上方から見ると、長方形の一方の長辺が内側に向かって半円形状に湾曲し、他方の長辺が外側へ向かって半円形状に湾曲し、四隅が円弧状に面取りされた形状をしている。また、下部ハウジング3の下端面15の外周端縁部から上方に向かって壁面部16を全周に設け、その内側に空間を形成している。壁面部16は、一方の長辺の略中央において上部ハウジング2の湾曲壁面部12と同様に上方から見て半円形状に湾曲した湾曲壁面部17を有し、他方の長辺の略中央には、上部ハウジング2の湾曲壁面部12とともに上方から見て円形形状を形成する半円形状の凸部18を有している。下部ハウジング3の壁面部16の短辺の上端には、上方から見て対角位置に、外側へ突出した一対の第一突出片19を設けている。第一突出片19は長方形の板状形状をしており、後述する第二突出片20側の辺が上方に向かって傾斜している。さらに、下部ハウジング3の壁面部16の短辺の下端には、上方から見て第一突出片19とは逆の対角位置に、外側へ突出した長方形の板状形状の第二突出片20を設けている。下部ハウジング3の下端面15における一方の短辺の側には、照明用発光体8の光を透過するための透明な集光レンズ部21を設けている。集光レンズ部21に隣接して、第三バスバー6を係止する直方体状の係止体22を設けている。係止体22の上面には、一対のスリット(図示せず)を設けている。また、下部ハウジング3の一方の長辺に設けられた半円形状の凸部18の内側面に沿うように、下端面15に円形の貫通孔23を設けている。貫通孔23の外周端縁から鉛直上方に向かって壁面部24を設けている。また、下端面15に設けられた集光レンズ部21の反対側には、スイッチノブ7を挿入するための貫通孔25を長方形形状に設けている。貫通孔25及び下端面15の一部を囲んで、長方形形状の壁面部26を設けている。壁面部26によって囲まれた空間に、スイッチノブ7が収容されることになる。壁面部26の一端の上面には、一対のスリット(図示せず)を設けている。壁面部26の別の一端から集光レンズ21へ向かう方向に、第一バスバー4を係止する棒状体27を設けている。棒状体27の上面には、一つのスリット(図示せず)を設けている。下部ハウジング3の長辺の壁面部16には、上部ハウジング2の四つの係止片14に対応した四つの係止孔28を設けている。係止片14を係止孔28に係止させて上部ハウジング2及び下部ハウジング3を閉じることで内部空間が生じ、この内部空間には、第一バスバー4、第二バスバー5、第三バスバー6、操作用のスイッチノブ7、照明用発光体8、及びルーフハーネス9が収容される(この収容に関しては後述する)。
【0026】
第一バスバー4、第二バスバー5、及び第三バスバー6は全て弾性を有する金属製の板状形状である。第一バスバー4は、スイッチ29を構成する第一導通部30と、照明用発光体8に接続される第一接続部31と、第一導通部30及び第一接続部31を繋ぐ胴体部32と、棒状体27に係止される係止片33とを備えて構成されている。第一導通部30は板状形状を上方に湾曲させた形状をしている。係止片33は胴体部32から下方へ延在しており、棒状体27のスリット(図示せず)に挿入されて第一バスバー4を係止する。第二バスバー5は、第一導通部30とともにスイッチ29を構成する板状の第二導通部34と、第二導通部34の両側から鉛直上方に延在し、ルーフハーネス9を圧接接続する一対の第一圧接部35と、壁面部26に係止される一対の係止片36とを備えて構成されている。第二導通部34の一端は、U字形状となるように上方に折り返されている。一対の第一圧接部35は、ルーフハーネス9に切り込んで圧接接続するために中央に溝を有する板状形状をしている。一対の係止片36は第二導通部34の別の一端において下方に向かって設けられており、壁面部26の上面に設けられたスリット(図示せず)に挿入されて第二バスバー5を係止する。第三バスバー6は、照明用発光体8に接続される第二接続部37と、係止体22に係止される一対の係止片38と、第二接続部37及び係止片38を繋ぐ胴体部39と、胴体部39の両側から鉛直上方に延在し、ルーフハーネス9を圧接接続する一対の第二圧接部40とを備えて構成されている。一対の第二圧接部40は、第一圧接部35と同様の形状をしている。係止片38は第二接続部37の反対側端部に下方に向かって形成されており、係止体22の上面のスリット(図示せず)に挿入されて第三バスバー6を係止する。
【0027】
スイッチノブ7は、下部ハウジング3の貫通孔25を通じて下方に突出する操作部41と、操作部41の上面に設けて壁面部26によって形成された空間に収容される爪部42と、爪部42の上面に設けてスイッチ29を押圧操作する押圧部43とを備えて構成されている。操作部41は下方へ長い略直方体形状をしている。爪部42は貫通孔25よりも大きな板状形状をしていて、壁面部26によって形成された空間内の下端面15の一部に引っ掛かり、スイッチノブ7の落下を防いでいる。押圧部43は略直方体形状をしており、その一端に傾斜部44を有している。傾斜部44は、押圧部43の上面から下面に向かって鋭角に形成されている。また、傾斜部44における中央位置から押圧部43寄りに、陥凹部45を設けている(図8参照)。傾斜部44を第一バスバー4の第一導通部30に接触させることによって、第一導通部30を押し下げることができ、さらに陥凹部45に第一導通部30が位置することによって、第一導通部30を確実に押し下げ続けることが可能になる。
【0028】
照明用発光体8は、既に公知である白熱電球やLED等の発光体であればよい。例えば、サンバイザー51(図6参照)に設けられた鏡55(図6参照)を使用する場合などに照明用発光体8を点灯させることで、鏡55が見易くなる。
【0029】
ルーフハーネス9は、既に公知であるものが使用されており、車載バッテリーなどから照明用発光体8或いは他の装置に電力を供給する役割を担っている。
【0030】
このように構成されたサンバイザー用照明装置1の組み立ては、最初に、下部ハウジング3の貫通孔25にスイッチノブ7を挿入する。次いで、第一バスバー4の係止片33を棒状体17上面のスリット(図示せず)に係止する。このとき、第一バスバー4の第一導通部30はスイッチノブ7の爪部42上に載置される状態になっていて、且つ、第一導通部30及びスイッチノブ7の傾斜部44が水平に対向している状態になっている。次いで、スイッチノブ7の押圧部43及び第一バスバー4の第一導通部30を共に上面から覆うように、第二バスバー5を壁面部26に係止する。次いで、第三バスバー6を係止体22に係止し、照明用発光体8を第一バスバー4の第一接続部31及び第三バスバー6の第二接続部37に接続する。このように、第一バスバー4の第一導通部30、第二バスバー5の第二導通部34、及びスイッチノブ7の位置関係については、第一導通部30及びスイッチノブ7の傾斜部44が水平に対向するように配置され、第二導通部34が第一導通部30及びスイッチノブ7の押圧部43の上方に配置されていることになる。ここまでの組み立て状態については図2(a)に示す。次いで、この図2(a)の組み立て状態において、ルーフハーネス9を、第二バスバー5の一対の第一圧接部35及び第三バスバー6の一対の第二圧接部40に、それぞれ圧接接続する。ここまでの組み立て状態については図2(b)に示す。
【0031】
図2(b)に示した組み立て状態において、上部ハウジング2の係止片14を下部ハウジング3の係止孔28に嵌め込むことで、図3に示すようにサンバイザー用照明装置1の組み立てが完了する。サンバイザー用照明装置1を上面から見ると、下部ハウジング3の下端面15に設けられた貫通孔23及び上部ハウジング2の長辺の略中央に設けられた湾曲壁面部12が略円形形状を形成している。また、下部ハウジング3の短辺から外側に向かって、第一突出片19及び第二突出片20が突出している。さらに、ルーフハーネス9は、上部ハウジング2の嵌め込み孔部13を通じて外側に向かって延在している。次に、サンバイザー用照明装置1を下面から見ると、スイッチノブ7の操作部41は、サンバイザー用照明装置1の下端面15に設けられた貫通孔25から下方に突出している。また、操作部41及び貫通孔25の間には操作部41が水平移動可能な空間が形成されている。照明用発光体8は、サンバイザー用照明装置1の下端面15に設けられた透明な集光レンズ部21から光を発するように配置されている。
【0032】
このようにして組み立てられたサンバイザー用照明装置1内における、回路図を図4に示す。第一バスバー4の第一導通部30及び第二バスバー5の第二導通部34によって、スイッチ29が構成されている。スイッチ29のON/OFFは、スイッチノブ7(図1参照)によって行われる。また、第一バスバー4の第一接続部31及び第三バスバー6の第二接続部37は、照明用発光体8に接続されている。さらに、第二バスバー5の第一圧接部35及び第三バスバー6の第二圧接部40に、それぞれ異なるルーフハーネス9が圧接接続されている。ルーフハーネス9は車両側のバッテリー(図示せず)或いは他の装置に等に接続されている。このように、車両側のバッテリー等からの電力が第一圧接部35及び第二圧接部40を通じて回路内に供給され、スイッチノブ7(図1参照)を用いてスイッチ29のON/OFFを操作することによって、照明用発光体8を点灯/消灯させることが可能になる。
【0033】
組み立てが完了したサンバイザー用照明装置1を、ルーフモジュール46として製造する方法について図5を参照しながら説明する。一般的に、車両のルーフとは車両の天井全体(図示せず)のことであるが、図5に示すルーフ47は、サンバイザー用照明装置1が組み付けられる部分としてルーフ全体における前方部分のみを表している。ルーフ47は板状の形状をしており、その中央部にルーフ孔部48を有している。まず、サンバイザー用照明装置1は、上部ハウジング2を上側にしてルーフ孔部48内に挿入される。このとき、第一突出片19及び第二突出片20(図示せず)がルーフ47の上面及び下面を挟むようにして、サンバイザー用照明装置1をルーフ47に仮固定する。したがって、当然、ルーフハーネス9はルーフ47の上部に配置されることになる。このようにサンバイザー用照明装置1をルーフ47に仮固定した状態を図5(a)に示している。次いで、図5(b)に示すように、図5(a)の状態の組み立て品を、一対の車両側のブラケット49に位置合わせする。この車両側のブラケット49は略T字形状を成しており、T字状の突出部分に貫通孔50を有している。ここでの位置合わせは、一方のブラケット49に設けられた貫通孔50及びサンバイザー用照明装置1に設けられた貫通孔23を合致させるように行う。次いで、図5(c)に示すように、図5(b)の状態の組み立て品に対して、サンバイザー51を下側から組み付ける。ここでのサンバイザー51は既に公知の製品であって、車室天井部(図示せず)に沿う格納位置及びフロントガラス(図示せず)に沿うフロント遮光位置の切り替えが可能であるとともに、フロント遮光位置及びサイド遮光位置の切り替えも可能となるように構成されているものである。サンバイザー51の一側には上向きに板状のフランジ52を設け、フランジ52の上面には上向きのネジ53を二つ設けている。また、このネジ53の間には、サンバイザー51のフロント遮光位置及びサイド遮光位置を切り替えるための縦軸部54を設けている。さらに、フランジ52の上面には、貫通孔56を設けている。この貫通孔56を通じて、サンバイザー用照明装置1の下部から突出しているスイッチノブ7の操作部41が下方に突出することになる。ここでの組み付けは、図5(b)の状態の組み立て品に対してサンバイザー51を下側からネジ締めすることによって行われる。このとき、縦軸部54は車両側の適所に回動自在に挿入される。
【0034】
このようにして組み立てが完了したルーフモジュール46の組み立て品を図6に示す。図6(a)に示すように、サンバイザー51はルーフ47に対して、下側からネジ53によってネジ締め固定されている。また、図6(b)に示されるように、このルーフモジュール46を下側から見ると、フランジ52に設けられている縦軸部54がサンバイザー51側にも突出して、サンバイザー1、フランジ52、及びルーフ47を接続している。この縦軸部54を用いることによって、サンバイザー51をフロント遮光位置及びサイド遮光位置に切り替えることが可能になっている。また、スイッチノブ7の操作部41は、フランジ52の貫通孔56を通じてサンバイザー51側に突出している。さらに、照明用発光体8は、透明な集光レンズ部21を通じてサンバイザー51側を照らすので、例えば、サンバイザー51に設けられた鏡55を使用する場合などに照明用発光体8を点灯させることで鏡55が見易くなる。
【0035】
図7は、ルーフモジュール46におけるサンバイザー用照明装置1が含まれる部分を上面から見た図である。図8〜図10は図7におけるA−A断面図であり、特に、第一バスバー4、第二バスバー5、及びスイッチノブ7によって行われるスイッチ29のON/OFF動作を示している。前述してあるが、サンバイザー用照明装置1は、上部ハウジング2及び下部ハウジング3の内側にスイッチ29を有している(図1参照)。スイッチ29は、第一バスバー4の第一導通部30及び第二バスバー5の第二導通部34から構成されている(図1参照)。
【0036】
図8において、スイッチノブ7の押圧部43は第二バスバー5の第二導通部30に下方から接しているが、第一バスバー4の第一導通部30とは何ら接していない。このようなスイッチノブ7の位置を第一の位置と定義する。このとき、第一導通部30は、自身の弾性を利用して第二導通部34に下方から接触している。つまり、サンバイザー用照明装置1のスイッチノブ7が第一の位置にあるとき、第一導通部30は自身の弾性を利用して下方から第二導通部34に接触しており、スイッチ29はONの状態にある。なお、ここではサンバイザー51をフロント遮光位置に下ろした状態が示されている。
【0037】
図9は、スイッチノブ7を第一の位置から矢印方向(水平方向)へ移動させて、スイッチノブ7が第二の位置にあるときの第一バスバー4及び第二バスバー5の離間状態を示している。このとき、スイッチノブ7の押圧部43は、第二バスバー5の第二導通部34に下方から接しているとともに、押圧部43に設けられた傾斜部44が第一バスバー4の第一導通部30を下方に押し下げている。このようなスイッチノブ7の位置を第二の位置と定義する。サンバイザー用照明装置1のスイッチノブ7が第二の位置にあるとき、第一導通部30に水平に対向配置されたスイッチノブ7の傾斜部44が第一導通部30を押し下げることによって、第一バスバー4の第一導通部30及び第二バスバー5の第二導通部34は離間し、スイッチ29はOFFの状態となる。また、傾斜部44には第一導通部30の湾曲形状に対応した形状の陥凹部45を設けていて、このため傾斜部44によって下方に押し下げられた第一導通部30は陥凹部45に保持され、スイッチ29のOFF状態を確実に維持し続けることができる。スイッチノブ7を第二の位置から第一の位置に戻せば、当然、第一導通部30は自身の弾性を利用して第二導通部34に下方から接する状態に戻るので、スイッチ29はON状態に戻る。なお、このスイッチノブ7の操作は手動で行う。
【0038】
図10は、スイッチノブ7を第一の位置から矢印方向(上方向)へ移動させて、スイッチノブ7が第三の位置にあるときの第一バスバー4及び第二バスバー5の離間状態を示している。このとき、スイッチノブ7の押圧部43は、第二バスバー5の第二導通部34を上方に押し上げている。なお、スイッチノブ7の押圧部43に設けられた傾斜部44及び第一バスバー4の第一導通部30は接触していない。このようなスイッチノブ7の位置を第三の位置と定義する。サンバイザー用照明装置1のスイッチノブ7が第一の位置にあるとき、サンバイザー51をルーフ47に沿う格納位置に動かして閉じると、サンバイザー51はスイッチノブ7に干渉して、スイッチノブ7がサンバイザー51によって矢印方向に押し上げられて第三の位置に移動する。すなわち、図10(a)のC部拡大図である図10(b)に詳細を示すように、スイッチノブ7の押圧部43が第二バスバー5の第二導通部34を上方に押し上げる(図中の矢印参照)ので、第一導通部30及び第二導通部34は離間してスイッチ29が自動的にOFFの状態となる。この状態で、サンバイザー51をフロントガラス(図示せず)に沿うフロント遮光位置に動かすと、第二バスバー5は自身の弾性を利用して元の位置に戻る(下方移動する)。つまり、第一導通部30及び第二導通部34が再び接触して、スイッチ29は自動的にONの状態となる。
【0039】
ここまでスイッチノブ7を第一の位置から第三の位置にサンバイザー51を用いて動かしたときの第一バスバー4及び第二バスバー5の離間状態を説明したが、スイッチノブ7を第二の位置から第三の位置にサンバイザー51を用いて動かしたときの第一バスバー4及び第二バスバー5の離間状態についても説明する。スイッチノブ7が第二の位置にあって(図9参照)、サンバイザー51を閉じたときサンバイザー51がスイッチノブ7に干渉しない場合、当然、スイッチノブ7は第二の位置を維持し続ける。すなわち、第一バスバー4の第一導通部30に水平に対向配置されたスイッチノブ7の傾斜部44が第一導通部30を押し下げて、第一導通部30及び第二バスバー5の第二導通部34が離間している状態が継続されているので、スイッチ29はOFFの状態を維持し続ける。また、スイッチノブ7が第二の位置にあって(図9参照)、サンバイザー51を閉じたときサンバイザー51がスイッチノブ7に干渉する場合、スイッチノブ7の押圧部43は第二バスバー5の第二導通部34を上方に押し上げる。このとき、傾斜部44によって押し下げられている第一導通部30は自身の弾性によって元の位置に戻ろうとするが、スイッチノブ7の傾斜部44に設けられた陥凹部45が確実に第一導通部30を保持し続けているので、第一導通部30及び第二導通部34が離間している状態も継続される。つまり、スイッチ29はOFFの状態を維持し続けることになる。
【0040】
以上、本発明によれば、サンバイザー51をルーフ47に沿う格納位置に動かして閉じるだけでスイッチ29をOFFの状態にすることができ、点灯している状態の照明用発光体8を自動的に消灯させることが可能になる。したがって、例えばサンバイザー51を閉じた後でいちいち手動によってスイッチ29をOFF状態にする必要がなく、スイッチ29をOFFするための操作が非常に容易になる。さらに、このようにサンバイザー51を使用してスイッチ29を自動的にOFFした状態からサンバイザー51をフロントガラス(図示せず)に沿うフロント遮光位置に動かすだけでスイッチ29をONの状態にすることができ、消灯している状態の照明用発光体8を自動的に点灯させることも可能になる。なお、スイッチノブ7が第二の位置にあってスイッチ29がOFFの状態でサンバイザー51を閉じたとき、サンバイザー51及びスイッチノブ7が干渉する場合或いは干渉しない場合が考えられるが、そのどちらの場合であってもスイッチ29はOFFの状態を維持し続けることができる。また、ルーフハーネス9及びスイッチ29の接続を、第二バスバー5の第一圧接部35及び第三バスバー6の第二圧接部40を介して圧接によって行うので、従来例のような電線の余長が発生しない。したがって、組み付けの時に余った電線が噛み込まないとともに、従来のコネクタ等の部品を削減できる。さらに、サンバイザー用照明装置1及びサンバイザー51は、共にルーフ47にネジ締め固定されるので、サンバイザー用照明装置1及びサンバイザー51の位置決めを正確に行うことができる。ひいては、サンバイザー用照明装置1に設けられたスイッチノブ7及びサンバイザー51の位置決めを正確に行うことが出来る。さらに、サンバイザー用照明装置1がルーフモジュール46の一部としてルーフ47に固定されるので、サンバイザー用照明装置1の組み付けが容易になる
【符号の説明】
【0041】
1、57 サンバイザー用照明装置
2 上部ハウジング
3 下部ハウジング
4 第一バスバー
5 第二バスバー
6 第三バスバー
7 スイッチノブ
8、60 照明用発光体(照明)
9 ルーフハーネス
10 上端面
11、16、24、26 壁面部
12、17 湾曲壁面部
13 嵌め込み孔部
14、33、36、38 係止片
15 下端面
18 凸部
19 第一突出片
20 第二突出片
21 集光レンズ部
22 係止体
23、25、50、56 貫通孔
27 棒状体
28 係止孔
29 スイッチ
30 第一導通部
31 第一接続部
32、39 胴体部
34 第二導通部
35 第一圧接部
37 第二接続部
40 第二圧接部
41、70 操作部
42 爪部
43 押圧部
44 傾斜部
45 陥凹部
46 ルーフモジュール
47 ルーフ
48 ルーフ孔部
49 ブラケット
51 サンバイザー
52 フランジ
53 ネジ
54 縦軸部
55 鏡
58 縦筒体
59 ランプホルダ
61 組込部
62 固定電極板
63 コネクタ
64 電線
65 ランプ
66 ランプケース
67 可動電極板
68 レンズ保持部
69 レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンバイザーの照明を点灯/消灯するスイッチ及び該スイッチをON/OFFする操作用のスイッチノブを備え、該スイッチノブを第一の位置に移動させると前記スイッチがONされ、前記スイッチノブを第二の位置に移動させると前記スイッチがOFFされるサンバイザー用照明装置において、
前記スイッチノブが前記第一の位置にあるときに前記サンバイザーを閉じると、該サンバイザーが前記スイッチノブに干渉することによって該スイッチノブが第三の位置に移動して前記スイッチがOFFされる
ことを特徴とするサンバイザー用照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載のサンバイザー用照明装置において、
ルーフハーネス及び前記スイッチを圧接接続するバスバーを備える
ことを特徴とするサンバイザー用照明装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のサンバイザー用照明装置を、ルーフハーネスに圧接接続する工程と、ルーフに固定する工程とを含む
ことを特徴とするルーフモジュールの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載のルーフモジュールの製造方法において、
前記サンバイザー用照明装置を、サンバイザーと共に前記ルーフにネジ締め固定する
ことを特徴とするルーフモジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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