説明

サンプリング装置およびそれを有した掃除機、空気清浄機、換気扇およびアレルゲン検査装置

【課題】環境中からアレルゲンを含む粉塵などを採取するために使用されるサンプリング装置において、吸引力を低下させないでアレルゲンを含む粉塵などをサンプリングすることを目的とする。
【解決手段】集塵装置1を備えたサンプリング装置2は吸引管3に装着して用いられる。また、集塵装置1は電気集塵装置4で構成されている。空気の吸引にあわせて電気集塵装置4の高電圧電源5を通電開始すると、開口部8から吸引された粉塵9は放電極6の近傍を通過する際に負に帯電されるので、集塵板7に引き寄せられて吸着する。低圧力損失の集塵装置として電気集塵装置を利用しているので、吸引管により与えられる空気の吸引力を低下させないでアレルゲンを含む粉塵などをサンプリングすることができるサンプリング装置を得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境中からアレルゲンを含む粉塵などを採取するために、アレルゲンを含む粉塵などを空気と共に吸引するサンプリング装置およびサンプリング装置を有した掃除機、空気清浄機、換気扇およびアレルゲン検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のサンプリング装置は、掃除機のホースにメッシュの袋体を装着してアレルゲンを含む粉塵などを採取するダニ抗原採取装置などが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、そのダニ抗原採取装置について図11を参照しながら説明する。
【0004】
図に示すように、ダニ抗原採取装置101は電気掃除機本体102から延びるホース103の先端に装着された細かなメッシュの外側袋体104と外側袋体内に装着された粗いメッシュの内側袋体105とを備えている。生活環境中のダニ抗原106は電気掃除機の吸引力によりダニ抗原採取装置に吸引されて内側袋体を通過して外側袋体に捕集される。
【特許文献1】特開平10−62316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来のダニ抗原採取装置では、メッシュの袋体の圧力損失が高いので掃除機の吸引力が低下してしまうという課題があり、吸引力を低下させないでアレルゲンを含む粉塵などをサンプリングすることが要求されている。
【0006】
また、粉塵などの吸引に伴い、メッシュの袋体に粉塵などが蓄積すると、さらに圧力損失が高くなり、掃除機の吸引力が変動してしまうという課題があり、一定の吸引力でアレルゲンを含む粉塵などをサンプリングすることが要求されている。
【0007】
また、メッシュの袋体の網目よりも大きな粉塵は全て捕集してしまうので、目的としているアレルゲン以外の大きな粉塵も捕集してしまうという課題があり、目的としているアレルゲン以外の大きな粉塵を捕集しないことが要求されている。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、吸引力を低下させないでサンプリングすることができ、また、一定の吸引力でサンプリングすることができ、また、目的としているアレルゲン以外の大きな粉塵を捕集しないようにすることのできるサンプリング装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のサンプリング装置は上記目的を達成するために、低圧力損失の集塵装置を備えることにより、掃除機の吸引力を低下させないようにしたものである。
【0010】
この手段により掃除機の吸引力を低下させることなくアレルゲンを含む粉塵などをサンプリングすることができ、また、一定の吸引力でサンプリングすることのできるサンプリング装置が得られる。
【0011】
また、本発明のサンプリング装置は上記目的を達成するために、電気集塵装置を備えることにより、掃除機の吸引力を低下させないようにしたものである。
【0012】
この手段により掃除機の吸引力を低下させることなくアレルゲンを含む粉塵などをサンプリングすることができ、また、一定の吸引力でサンプリングすることのできるサンプリング装置が得られる。
【0013】
また、本発明のサンプリング装置は上記目的を達成するために、粉塵通過部分の流路を吸引管よりも拡大した電気集塵装置を備えることにより、掃除機の吸引力を低下させないようにしたものである。
【0014】
この手段により掃除機の吸引力を低下させることなくアレルゲンを含む粉塵などをサンプリングすることができ、また、一定の吸引力でサンプリングすることのできるサンプリング装置が得られる。
【0015】
また、本発明のサンプリング装置は上記目的を達成するために、粉塵の質量差でサンプリング対象を選択できる集塵装置を備えることにより、掃除機の吸引力を低下させないようにしたものである。
【0016】
この手段により掃除機の吸引力を低下させることなくアレルゲンを含む粉塵などをサンプリングすることができ、また、一定の吸引力でサンプリングすることができ、また、目的としているアレルゲン以外の大きな粉塵を捕集しないことのできるサンプリング装置が得られる。
【0017】
また、本発明のサンプリング装置は上記目的を達成するために、粉塵通過部分の流路を重力方向に沿って配置した電気集塵装置を備えることにより、掃除機の吸引力を低下させないようにしたものである。
【0018】
この手段により掃除機の吸引力を低下させることなくアレルゲンを含む粉塵などをサンプリングすることができ、また、一定の吸引力でサンプリングすることができ、また、目的としているアレルゲン以外の大きな粉塵を捕集しないことのできるサンプリング装置が得られる。
【0019】
また、本発明のサンプリング装置は上記目的を達成するために、付着した粉塵の採取手段を備えた電気集塵装置を備えることにより、掃除機の吸引力を低下させないようにしたものである。
【0020】
この手段により掃除機の吸引力を低下させることなくアレルゲンを含む粉塵などをサンプリングすることができ、また、一定の吸引力でサンプリングすることができ、また、目的としているアレルゲン以外の大きな粉塵を捕集しないことのできるサンプリング装置が得られる。
【0021】
また、本発明のサンプリング装置は上記目的を達成するために、付着した粉塵を採取する拭き取り治具を備えた電気集塵装置を備えることにより、掃除機の吸引力を低下させないようにしたものである。
【0022】
この手段により掃除機の吸引力を低下させることなくアレルゲンを含む粉塵などをサンプリングすることができ、また、一定の吸引力でサンプリングすることができ、また、目的としているアレルゲン以外の大きな粉塵を捕集しないことのできるサンプリング装置が得られる。
【0023】
また、本発明のサンプリング装置は上記目的を達成するために、付着した粉塵を採取する洗浄手段を備えた電気集塵装置を備えることにより、掃除機の吸引力を低下させないようにしたものである。
【0024】
この手段により掃除機の吸引力を低下させることなくアレルゲンを含む粉塵などをサンプリングすることができ、また、一定の吸引力でサンプリングすることができ、また、目的としているアレルゲン以外の大きな粉塵を捕集しないことのできるサンプリング装置が得られる。
【0025】
また、本発明のサンプリング装置は上記目的を達成するために、付着した粉塵を採取する振動手段を備えた電気集塵装置を備えることにより、掃除機の吸引力を低下させないようにしたものである。
【0026】
この手段により掃除機の吸引力を低下させることなくアレルゲンを含む粉塵などをサンプリングすることができ、また、一定の吸引力でサンプリングすることができ、また、目的としているアレルゲン以外の大きな粉塵を捕集しないことのできるサンプリング装置が得られる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば掃除機の吸引力を低下させることなくアレルゲンを含む粉塵などをサンプリングできるという効果のあるサンプリング装置を提供できる。
【0028】
また、一定の吸引力でサンプリングすることができる効果のあるサンプリング装置を提供できる。
【0029】
また、目的としているアレルゲン以外の大きな粉塵を捕集しないことができる効果のあるサンプリング装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の請求項1記載の発明は、低圧力損失の集塵装置を備えたものであり、低い圧力損失でアレルゲンを含む粉塵などをサンプリングするという作用を有する。
【0031】
また、電気集塵装置を備えたものであり、低い圧力損失でアレルゲンを含む粉塵などをサンプリングするという作用を有する。
【0032】
また、粉塵通過部分の流路を吸引管よりも拡大した電気集塵装置を備えたものであり、低い圧力損失でアレルゲンを含む粉塵などをサンプリングするという作用を有する。
【0033】
また、粉塵の質量差でサンプリング対象を選択できる集塵装置を備えたものであり、低い圧力損失でアレルゲンを含む粉塵などをサンプリングするという作用を有する。
【0034】
また、粉塵通過部分の流路を重力方向に沿って配置した電気集塵装置を備えたものであり、低い圧力損失でアレルゲンを含む粉塵などをサンプリングするという作用を有する。
【0035】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0036】
(実施の形態1)
図1に示すように、集塵装置1を備えたサンプリング装置2は吸引管3に装着して用いられる。また、集塵装置1は電気集塵装置4で構成されている。また、電気集塵装置4は高電圧電源5と放電極6と集塵板7から構成されている。集塵装置1の内部には2枚の集塵板が装着されており電気的に接合されている。ここでは図示しないが、吸引管3は電気掃除機などの吸引手段により空気を吸引する構造になっている。サンプリング装置2を吸引管3に接続し、空気の吸引にあわせて電気集塵装置4の高電圧電源5を通電開始すると、開口部8から吸引された粉塵9は放電極6の近傍を通過する際に負に帯電される。負に帯電された粉塵9は正に帯電された集塵板7に引き寄せられて吸着される。
【0037】
本実施の形態では低圧力損失の集塵装置として電気集塵装置を利用しているので、吸引管により与えられる空気の吸引力に大きな影響を与えることなく、アレルゲンを含む粉塵などをサンプリングすることができる。したがって、電気掃除機による掃除作業と同時に、電気掃除機の本来の吸引力を保持したままアレルゲンを含む粉塵をサンプリングすることができる。また、サンプリングを繰り返す場合や長時間に渡ってサンプリングを継続する場合においても吸引力の変化が少ないので、一定の吸引力で再現性よくアレルゲンを含む粉塵をサンプリングすることができる。
【0038】
本実施の形態で示すように、電気集塵装置はアレルゲンを含む粉塵のサンプリングが目的であるので、全ての粉塵を採取する必要は無く、サンプリング装置を通過した粉塵は電気掃除機などで捕集すれば良い。
【0039】
本実施の形態では吸引力を発生する装置は電気掃除機であるとしたが、それに限ったものではなく、環境中のアレルゲンを含む粉塵を吸引できる能力のある装置であれば同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態で示したサンプリング装置は吸引した粉塵を全て捕集することはできないので、サンプリング装置を通過した粉塵を捕集できる構造の装置または粉塵を環境に影響を与えない状態に処理できる能力のある装置で吸引することが望ましい。
【0040】
本実施の形態では電気集塵装置の運転条件に関しては詳細を示さなかったが、目的とするアレルゲンを含む粉塵を効率良く捕集できる条件であれば良く、例えば数100V〜数1000Vの高電圧が放電極と集塵板の間に印加される。同様に放電極や集塵板の大きさ、位置、または構造についても詳細を示さなかったが、運転条件と同様に、目的とするアレルゲンを含む粉塵を効率良く捕集できる構造であれば同様の効果を得ることができる。
【0041】
本実施の形態では粉塵9を開口部8から吸引するとしたが、この方法に限ったものではなく、サンプリング装置2の先端にノズルなどの別の部材を装着しても良く、環境中のアレルゲンを含む粉塵などがサンプリング装置を通過する構造であれば同様の効果を得ることができるものである。
【0042】
本実施の形態ではアレルゲンを含む粉塵の計測方法については説明しなかったが、特に計測方法の違いによりサンプリング方法が影響を受けるものではなく、どのような計測方法を利用してもよい。例えば、抗原抗体反応を利用したアレルゲン計測キットを使用する場合であれば、サンプリングしたアレルゲンを含む粉塵を水溶液として調整することで計測可能になる。
【0043】
(実施の形態2)
図2に示すように電気集塵装置4を備えたサンプリング装置2は吸引管3に装着して用いられる。サンプリング装置2の内部にある粉塵通過部分の流路10は吸引管3の内径よりも拡大されている。実施の形態1と同様にサンプリング装置2を吸引管3に接続し、空気の吸引にあわせて電気集塵装置4の高電圧電源を通電開始すると、開口部8から吸引された粉塵9は放電極の近傍を通過する際に負に帯電される。負に帯電された粉塵9は正に帯電された集塵板に引き寄せられて吸着する。本実施の形態においては粉塵通過部分の流路10は吸引管3の内径よりも大きいので、粉塵9の通過速度は吸引管3の内部での通過速度よりも遅くなるので、吸引力は維持したままでアレルゲンを含む粉塵を効率よくサンプリングすることができる。つまり、環境中からアレルゲンを含む粉塵を効率よくサンプリングするためには吸引管の風量を増加するなどの方法が考えられるが、電気集塵装置4を粉塵9が通過する速度が速くなり、集塵板で十分に捕集することができなくなる。したがって、サンプリング装置の粉塵通過部分の流路のみを拡大することで、吸引管による吸引力を増加させても集塵板での捕集効率を低減することがなくなる。
【0044】
本実施の形態では電気集塵装置の運転条件や構造などは明記しなかったが、実施の形態1と同様にアレルゲンを含む粉塵などを効果的に捕集できる条件であれば良い。
【0045】
また、本実施の形態ではサンプリング装置の開口部の口径については明記しなかったが、吸引管と同等の口径であれば、サンプリング装置の開口部においてサンプリング装置を装着していない場合と同等の吸引力を得ることができる。また、それに限ったものではなく、アレルゲンを含む粉塵などを効果的に捕集できる条件であれば、開口部の口径を吸引管と同等の口径にする必要はなく、開口部の口径を吸引管の口径と異なる大きさとしても良い。
【0046】
(実施の形態3)
図3に示すように粉塵の質量差でサンプリング対象を選択できる集塵装置としての電気集塵装置4を備えたサンプリング装置2は吸引管3に装着して用いられる。サンプリング装置2の内部にある粉塵通過部分の流路10は吸引管3の内径よりも拡大されており、さらに重力の方向に沿って配置されている。実施の形態1と同様にサンプリング装置2を吸引管3に接続し、空気の吸引にあわせて電気集塵装置4の高電圧電源を通電開始すると、吸引された粉塵9は放電極の近傍を通過する際に負に帯電される。負に帯電された粉塵9は正に帯電された集塵板に引き寄せられて吸着する。一般的に人間が吸引してアレルギー症状を示すアレルゲンは比較的質量が軽く、サンプリング装置2を通過する際に集塵板に吸着される。一方で、比較的質量が重くて飛散する可能性が少なく、かつ人間が吸引する可能性も少ない粉塵は集塵板に引き寄せられながらも集塵板に吸着されることなくサンプリング装置2を通過してしまう。したがって粉塵の質量差でサンプリング対象を選択することができるものである。また、質量差でサンプリング対象を選択するためには、電気集塵装置4の集塵性能と吸引管3による吸引力のバランスで定めることができる。
【0047】
本実施の形態では粉塵通過部分の流路を重力方向に沿って配置するものとしたが、この方法に限ったものではなく、気流により発生する遠心力を利用して質量差による選択を実現しても同様の効果を得ることができる。
【0048】
比較的質量が重くて飛散する可能性が少なく、かつ人間が吸引する可能性も少ない粉塵はアレルゲンとしては監視すべき対象ではないので、サンプリングする必要はない。また目的とするアレルゲンを含む粉塵に、他の種類の粉塵が混入することで、アレルゲンを計測する装置の感度に影響を与える可能性もあるので、必要でない粉塵の混入は避けることが望ましい。
【0049】
(実施の形態4)
図4に示すように電気集塵装置を備えたサンプリング装置2は吸引管3に装着して用いられる。実施の形態1と同様にサンプリング装置2を吸引管3に接続し、空気の吸引にあわせて電気集塵装置の高電圧電源を通電開始すると、吸引された粉塵9は放電極の近傍を通過する際に負に帯電される。負に帯電された粉塵9は正に帯電された集塵板7に引き寄せられて吸着する。所定の条件でサンプリングした後で電気集塵装置の運転と吸引管による吸引を停止すると、集塵板7の表面にはアレルゲンを含む粉塵が堆積しているので、採取手段11を上下に動作させることで粉塵を所定の場所に回収することができる。具体的には採取手段11の先端に拭き取り治具12が備えられており、つまみ13を下方向に押すことで、集塵板7の表面に拭き取り治具12が接触しながら移動する。集塵板7の表面に付着していた粉塵は集塵板7の下部に設けられた回収容器14に蓄積される。回収容器14を取り外すことで、簡単にアレルゲンを含む粉塵などを回収することができるものである。
【0050】
本実施の形態では拭き取り治具が集塵板の表面を下方向に接触しながら移動するとしたが、この方法に限ったものではなく、集塵板の表面に付着していた粉塵を回収できる方法であれば同様の効果を得ることができる。たとえば、回収容器と拭き取り治具を一体化したもので集塵板の表面に接触しながら回収する方法とすればその移動方向については影響を受けるものではない。また回収容器に蓄積することなく拭き取り治具に付着させることでサンプリング装置から粉塵を回収しても同様の効果を得ることができる。
【0051】
(実施の形態5)
図5に示すように電気集塵装置を備えたサンプリング装置2は吸引管3に装着して用いられる。実施の形態1と同様にサンプリング装置2を吸引管3に接続し、空気の吸引にあわせて電気集塵装置の高電圧電源を通電開始すると、吸引された粉塵9は放電極の近傍を通過する際に負に帯電される。負に帯電された粉塵9は正に帯電された集塵板7に引き寄せられて吸着する。所定の条件でサンプリングした後で電気集塵装置の運転と吸引管による吸引を停止すると、集塵板7の表面にはアレルゲンを含む粉塵が堆積しているので、洗浄手段15を動作させることで粉塵を所定の場所に回収することができる。具体的には洗浄手段15の先端に洗浄液噴射ノズル16が備えられており、洗浄液容器17に蓄えられた洗浄液が集塵板7の表面に噴射される。集塵板7の表面に付着していた粉塵は洗浄液とともに集塵板7の下部に設けられた回収容器14に蓄積される。回収容器14を取り外すことで、簡単にアレルゲンを含む粉塵などを回収することができるものである。
【0052】
本実施の形態では洗浄液の組成については説明しなかったが、集塵板の表面から粉塵を剥離することができれば同様の効果を得ることができる。また、後の工程で実施するアレルゲンの計測の際に悪影響を与えない組成であることが望ましく、アレルゲン計測の際に必要な化学物質を含んだ組成であっても同様の効果を得ることができる。
【0053】
(実施の形態6)
図6に示すように電気集塵装置を備えたサンプリング装置2は吸引管3に装着して用いられる。実施の形態1と同様にサンプリング装置2を吸引管3に接続し、空気の吸引にあわせて電気集塵装置の高電圧電源を通電開始すると、吸引された粉塵9は放電極の近傍を通過する際に負に帯電される。負に帯電された粉塵9は正に帯電された集塵板7に引き寄せられて吸着する。所定の条件でサンプリングした後で電気集塵装置の運転と吸引管による吸引を停止すると、集塵板7の表面にはアレルゲンを含む粉塵が堆積しているので、振動手段18を動作させることで粉塵を所定の場所に回収することができる。具体的には振動手段18を動作させることで集塵板7が振動するので集塵板7の表面に付着していた粉塵は集塵板7の下部に設けられた回収容器14に蓄積される。回収容器14を取り外すことで、簡単にアレルゲンを含む粉塵などを回収することができるものである。
【0054】
本実施の形態では振動手段18の動作条件については明記しなかったが、集塵板7の表面から粉塵を剥離させることのできる加速度および周波数の振動であれば同様の効果を得ることができる。例えば超音波振動子により数十kHzの振動を与えて剥離させるなどの方法であっても同様の効果を得ることができる。
【0055】
また、本実施の形態では振動手段と集塵極の固定方法については明記しなかったが、振動手段で発生する振動を集塵極に効率よく伝達できる構造であればどのような構造であっても同様の効果を得ることができる。たとえば、振動手段が振動を発生する場合のみ集塵極に接触する構造であっても同様の効果を得ることができる。
【0056】
(実施の形態7)
図7に示すように掃除機19は電気集塵装置を備えたサンプリング装置2を有している。掃除機19は吸い込みノズル20を備えており、吸い込みノズル20から吸引された粉塵はサンプリング装置2を通過する。空気の吸引にあわせて電気集塵装置の高電圧電源を通電開始すると、吸引された粉塵は放電極の近傍を通過する際に負に帯電される。負に帯電された粉塵は正に帯電された集塵板に引き寄せられて吸着する。サンプリング対象以外の粉塵はサンプリング装置を通過し、掃除機19に捕集される。
【0057】
本実施の形態では掃除機19の構造については明記しなかったが、粉塵を吸引する機能を有しているのであれば、特に構造を限定するものではなく同様の効果を得ることができる。
【0058】
(実施の形態8)
図8に示すように空気清浄機21は電気集塵装置を備えたサンプリング装置2を有している。空気清浄機21を運転すると吸引された粉塵はサンプリング装置2を通過する。空気の吸引にあわせて電気集塵装置の高電圧電源を通電開始すると、サンプリング装置の開口部8から吸引された粉塵は放電極の近傍を通過する際に負に帯電される。負に帯電された粉塵は正に帯電された集塵板に引き寄せられて吸着する。サンプリング対象以外の粉塵はサンプリング装置2を通過し、空気清浄機21に捕集される。
【0059】
本実施の形態では空気清浄機21の構造については明記しなかったが、粉塵を吸引する機能を有しているのであれば、特に構造を限定するものではなく同様の効果を得ることができる。
【0060】
(実施の形態9)
図9に示すように換気扇22は電気集塵装置を備えたサンプリング装置2を有している。換気扇22はモータ23とファン24とグリル25を備えており、家屋などの建築物の壁26を貫通して取り付けられている。家屋などの建築物の室内側の空気を室外に排出する機能を有している。換気扇22を運転すると室内空気中に浮遊していた粉塵が空気と共に吸引され、サンプリング装置2を通過して室外に排出される。空気の吸引にあわせて電気集塵装置の高電圧電源を通電開始すると、サンプリング装置の開口部8から吸引された粉塵は放電極の近傍を通過する際に負に帯電される。負に帯電された粉塵は正に帯電された集塵板に引き寄せられて吸着する。サンプリング対象以外の粉塵はサンプリング装置2を通過し、換気扇22を通過しグリル25より室外に排出される。
【0061】
本実施の形態では換気扇22の構造については明記しなかったが、粉塵を吸引する機能を有しているのであれば、特に構造を限定するものではなく同様の効果を得ることができる。
【0062】
また、本実施の形態では換気扇22は室内の空気を室外に排出する機能を有しているものとしたが、この方法に限ったものではなく、室外の空気を室内に供給する機能を有している換気扇を用いても同様の効果を得ることができる。そのような換気扇の場合には室外の空気中のアレルゲンを含む粉塵などをサンプリングすることになる。
【0063】
また、室内の空気を循環する機能を有している換気扇を用いても同様の効果を得ることができる。
【0064】
(実施の形態10)
図10に示すようにアレルゲン検査装置27は電気集塵装置を備えたサンプリング装置2を有している。アレルゲン検査装置27を運転すると室内空気中に浮遊していた粉塵が空気と共に吸引される。空気の吸引にあわせて電気集塵装置の高電圧電源を通電開始すると、サンプリング装置の開口部8から吸引された粉塵は放電極の近傍を通過する際に負に帯電される。負に帯電された粉塵は正に帯電された集塵板に引き寄せられて吸着する。
【0065】
本実施の形態ではアレルゲン検査装置27の構造については明記しなかったが、吸引力を与える機能とサンプリング装置2でサンプリングしたアレルゲンを含む粉塵などを計測できる機能を有していれば同様の効果を得ることができる。アレルゲンを含む粉塵を計測する装置については抗原抗体反応を利用した計測装置などであっても同様の効果を得ることができる。
【0066】
また、本実施の形態ではサンプリング装置はアレルゲン検査装置の側面に設置されている構造としたが、この構造に限ったものではなく、アレルゲン検査装置の内部にサンプリング装置を設けた構造であっても同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
このようなサンプリング装置を用いることで、掃除機の吸引力を低下させないで、一定の吸引力で、目的としているアレルゲン以外の大きな粉塵を捕集することなく、サンプリングすることができ、環境中からアレルゲンを含む粉塵などを採取することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の形態1のサンプリング装置の構造を示す図
【図2】本発明の実施の形態2のサンプリング装置の構造を示す図
【図3】本発明の実施の形態3のサンプリング装置の構造を示す図
【図4】本発明の実施の形態4のサンプリング装置の構造を示す図
【図5】本発明の実施の形態5のサンプリング装置の構造を示す図
【図6】本発明の実施の形態6のサンプリング装置の構造を示す図
【図7】本発明の実施の形態7の掃除機の構造を示す図
【図8】本発明の実施の形態8の空気清浄機の構造を示す図
【図9】本発明の実施の形態9の換気扇の構造を示す図
【図10】本発明の実施の形態10のアレルゲン検査装置の構造を示す図
【図11】従来のサンプリング装置の構造を示す図
【符号の説明】
【0069】
1 集塵装置
2 サンプリング装置
3 吸引管
4 電気集塵装置
9 粉塵
10 流路
11 採取手段
12 拭き取り治具
15 洗浄手段
18 振動手段
19 掃除機
21 空気清浄機
22 換気扇
27 アレルゲン検査装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引管に装着するサンプリング装置において、低圧力損失の集塵装置を備えたことを特徴とするサンプリング装置。
【請求項2】
吸引管に装着するサンプリング装置において、電気集塵装置を備えたことを特徴とするサンプリング装置。
【請求項3】
粉塵が通過する流路を吸引管よりも拡大した電気集塵装置を備えたことを特徴とする請求項2記載のサンプリング装置。
【請求項4】
粉塵の質量差でサンプリング対象を選択できる集塵装置を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のサンプリング装置。
【請求項5】
粉塵が通過する流路を重力方向に沿って配置した電気集塵装置を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のサンプリング装置。
【請求項6】
付着した粉塵の採取手段を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のサンプリング装置。
【請求項7】
付着した粉塵を採取する拭き取り治具を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のサンプリング装置。
【請求項8】
付着した粉塵を採取する洗浄手段を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のサンプリング装置。
【請求項9】
付着した粉塵を採取する振動手段を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のサンプリング装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のサンプリング装置を有する掃除機。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれかに記載のサンプリング装置を有する空気清浄機。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれかに記載のサンプリング装置を有する換気扇。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれかに記載のサンプリング装置を有するアレルゲン検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−250680(P2006−250680A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−66985(P2005−66985)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】