説明

サンプリング装置及びビール製造装置

【課題】 本発明の課題は、簡易な構成でサンプリング容器への異物の混入を防止できるサンプリング装置及びビール製造装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 回転テーブル3と、回転テーブル3上に配置されたサンプリング容器5と、回転テーブル3の上方を覆うテーブルカバー7とを備え、テーブルカバー7はサンプリングする位置に開口9を形成しており、サンプリング液の注入時のみサンプリング容器5を開口下の位置に移動させるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプリング液を自動的に採取するサンプリング装置及びビール製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の従来技術は、回転テーブル上にサンプリング容器を同心円状に配置して、各サンプリング容器にサンプリング液を自動的に注入し、注入後のサンプリング容器を保管する技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平8−43274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1に記載の従来技術は、サンプリング容器を回転テーブル上にそのまま保管しておくと、容器内にごみや結露水等の異物が混入するおそれがある。
【0005】
一方、サンプリング終了時にサンプリング容器に蓋をする方法が考えられるが、蓋をする装置を別途設ける必要があり、構成が複雑になるという問題がある。
【0006】
本発明は、簡易な構成でサンプリング容器への異物の混入を防止できるサンプリング装置及びビール製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、回転テーブルと、回転テーブル上に配置されたサンプリング容器と、回転テーブルの上方を覆うテーブルカバーとを備え、テーブルカバーはサンプリングする位置に開口を形成しており、サンプリング液の注入時のみサンプリング容器を開口下の位置に移動させることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、サンプリング装置はサンプリング容器にサンプリング液を注入する注入ノズルと、注入ノズルを水平方向に往復移動させるシリンダと、注入ノズルに残ったサンプリング液を排出させるサンプリング液排出部とを備え、サンプリング液排出部は回転テーブルのサンプリング位置の隣り位置に備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載の発明において、サンプリング装置は注入ノズルに流れ込むサンプリング液の流量を調整する開閉バルブと、開閉バルブの開閉速度を調整するバルブ調整部とを備え、バルブ調整部はサンプリング時にノズル洗浄時よりも開閉バルブを低速で開けていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載された発明は、請求項3に記載の発明において、注入ノズルはサンプリング容器内の液面レベルを検出する液検知センサを備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載された発明は、ビール製造工程における麦汁製造工程内の配管からサンプリング液を請求項1〜4の何れか一項に記載のサンプリング装置内に引き込んでサンプリングを行なっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、サンプリング時には回転テーブルを回転させて、カバーの開口下のサンプリング位置にサンプリング容器を移動させる。一方、サンプリング終了後には回転テーブルを回転させて、サンプリング容器をカバー下に移動させて、サンプリング容器を保管する。
【0013】
このように、回転テーブルにはサンプリングする位置にのみ開口を形成したカバーを設けており、サンプリング時のみサンプリング容器を開口下に移動させるので、サンプリング時以外はサンプリング容器をテーブルカバーで覆うことができ、容器内にごみや結露水等の異物の混入を防止できる。
【0014】
回転テーブルに開口を形成したテーブルカバーを設けるだけなので、構成が簡単である。
【0015】
請求項2に記載された発明によれば、請求項1に記載された発明と同様の効果が得られるとともに、サンプリング液排出部を回転テーブルのサンプリング位置の隣り位置に備えてあるので、サンプリングの終了した注入ノズルをサンプリング液排出部にそのまま移動させることができ、サンプリングの作業時間を短縮できる。
【0016】
また、サンプリング時と洗浄時とで同一のシリンダを用いることができ、別途駆動装置が要らず構成が簡単である。
【0017】
請求項3に記載された発明によれば、請求項2に記載された発明と同様の効果が得られるとともに、サンプリング時にはノズル洗浄時よりも開閉バルブを開ける速度を低速にしてあるので、サンプリング液が注入ノズルから一気に噴出することがなく、サンプリング液の注入時の泡立ちを防止できる。
【0018】
請求項4に記載された発明によれば、請求項3に記載された発明と同様の効果が得られるとともに、注入ノズルに液検知センサを設けたので、注入ノズルからサンプリング液が正常にサンプリング容器に注入されているか否かを容易に検知できる。
【0019】
注入ノズルに液検知センサを設けたので、液検知センサを取り付ける部材を別途設ける必要がなく、部品点数を少なくでき、構成が簡単である。
【0020】
請求項5に記載された発明によれば、請求項1〜4の何れか一項に記載のサンプリング装置は、サンプリング時に厳格な保管が要求されないビール製造工程の麦汁の場合に適しており、しかも安価且つ簡単な構成でサンプリング容器内へのごみや結露水等の異物の混入を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本実施の形態に係るサンプリング装置の概略図、図2は図1に示すサンプリング装置の縦断図であり、図2中一点鎖線で抜き出して示す図は注入ノズル周辺を示す断面図、図3は図1に示すサンプリング装置の平面図である。
【0022】
本発明の実施の形態に係るサンプリング装置1は、ビール製造工程における麦汁の製造工程において、サンプリング配管2内の麦汁を定期的にサンプリングして麦汁の状態を分析するものである。
【0023】
サンプリング装置1は回転テーブル3と、回転テーブル3上に配置されたサンプリング容器5と、回転テーブル3の上方を覆うテーブルカバー7とを備え、テーブルカバー7にはサンプリングする位置に開口9が形成されている。
【0024】
回転テーブル3は平面視円形状であり、円の中心には回転軸11が設けられており、この回転軸11は駆動モータ13の駆動により、回転するようになっている。回転テーブル3にはサンプリング容器5が配置される収納部15が設けられており、収納部15は同心円状に3重になっており、1つの同心円上に複数本のサンプリング容器5が収容可能となっている。尚、駆動モータ13は箱型のモータ収納部14内に設けられている。モータ収納部14の外枠はSUS製で、水洗い洗浄が容易にできるようになっている。
【0025】
サンプリング容器5は、化学分析用の容器と、官能検査用の容器と、その他分析用の容器との3つの用途からなり、このうち化学分析用の容器とその他分析用の容器とは同じ形状の容器を使用している。
【0026】
テーブルカバー7は樹脂製の透明材であり、回転テーブル3とともに回転軸11から取外し可能となっており、回転テーブル3とテーブルカバー7とを容易に洗浄できるようになっている。
【0027】
テーブルカバー7の開口9の上方位置にはサンプリング容器5にサンプリング液を注入する注入ノズル17と、注入ノズル17を水平方向に往復移動させるシリンダ19とを備え、シリンダ19は注入ノズル17をそれぞれのサンプリング容器5に移動させて、各サンプリング容器5にサンプリング液を注入するようになっている。尚、シリンダ19は複数設けられており、それぞれのサンプリング容器5の位置で注入ノズル17がちょうど止まるようになっている。
【0028】
回転テーブル3のサンプリング位置の隣りにはサンプリング液排出部21を備えており、注入ノズル17をサンプリング液排出部21の上部に移動させて、注入ノズル17に残ったサンプリング液をサンプリング液排出部21内に排出させるようになっている。
【0029】
注入ノズル17は、サンプリング液の注入時にサンプリング容器5の口部を囲むノズルカバー23を備えており、ノズルカバー23の下端にはサンプリング容器5内の液面レベルを検知する液検知センサ25を設けている。液検知センサ25は注入ノズル17の上下動に連動して移動するようになっている。また、液検知センサ25は注入ノズル17の出口17aよりも下方位置に設けられており、注入ノズル17が最下端位置にきたときには、液検知センサ25がサンプリング容器5の胴部の上部に位置するようになっている。そして、サンプリング液がサンプリング容器5の胴部の上部までくると、液検知センサ25がサンプリング液を検知して、注入ノズル17からのサンプリング液の吐出を停止するようになっている。
【0030】
このように、注入ノズル17に液検知センサ25を設けたので、注入ノズル17からサンプリング液が正常に注入されているか否かを容易に検知できる。
【0031】
また、注入ノズル17に液検知センサ25を設けたので、液検知センサ25を取り付ける部材を別途設ける必要がなく、部品点数を少なくでき、構成が簡単である。
【0032】
注入ノズル17はフッ素樹脂製のフレシキブルチューブ27に接続されており、さらにフレキシブルチューブ27はサンプリング配管2に設けられた開閉バルブ29に接続されている。そして、開閉バルブ29の開閉によってサンプリングチューブ27内にサンプリング液が流れるようになっている。
【0033】
開閉バルブ29はバルブの開閉を調整するバルブ調整部31を備えている。バルブ調整部31は開閉バルブ29に対してエアーを送るエアー供給部が設けられている。バルブ調整部31はサンプリング時にノズル洗浄時よりも低圧のエアーを供給して、開閉バルブ29を低速で開けるようになっている。よって、サンプリング液が注入ノズル17から一気に噴出することがなく、サンプリング液の注入時の泡立ちを防止できる。
【0034】
駆動モータ13、シリンダ19及びバルブ調整部31はそれぞれ制御部33に接続されており、制御部33からの制御信号を受けてそれぞれ駆動するようになっている。
【0035】
次に、本実施の形態にかかる作用を説明する。サンプリング装置1において、サンプリング時には回転テーブル3上の所定位置にある(例えば図3中Cの位置)サンプリング容器5は、回転テーブル3が時計回り(A方向)に所定角度回転して、テーブルカバー7の開口下のサンプリング位置に移動する。尚、回転テーブル3のサンプリング容器5の配置位置によって、サンプリング時における開口下までの回転テーブル3の回転方向が異なり、開口9までの回転角度が小さくなる方向に回転テーブル3が回転するようになっている。例えば回転テーブル3の図3中Eの位置にあるサンプリング容器5は回転テーブル3をB方向に回転させて、開口下のサンプリング位置まで移動させている。
【0036】
サンプリング容器5がサンプリング位置までくると、バルブ調整部31の駆動制御により開閉バルブ29が開き、サンプリング配管2からサンプリング液がフレキシブルチューブ27内に流れ込んで、注入ノズル17に送られる。
【0037】
注入ノズル17はシリンダ19の駆動により回転テーブル3の外周側に向かって移動し、回転テーブル3上に配置されたそれぞれのサンプリング容器5内にサンプリング液が注入される。各サンプリング容器5にサンプリング液の注入が終了すると、注入ノズル17はサンプリング位置の隣りに位置するサンプリング液排出部21の上方に移動し、注入ノズル17に残ったサンプリング液を排出する。
【0038】
サンプリング容器5にサンプリング液の注入が終了すると、回転テーブル3が反時計回り(B方向)に回転して、サンプリング容器5は元の位置(図3中Cの位置)まで戻り保管される。所定時間経過後に、隣り位置(図3中Dの位置)にあるサンプリング容器5がサンプリング位置まで移動し、サンプリング容器5内にサンプリング液が注入された後、元の位置(Dの位置)まで戻り保管される。
【0039】
このように、回転テーブル3にはサンプリングする位置にのみ開口9を形成したテーブルカバー7を設けており、サンプリングする時以外はサンプリング容器5をテーブルカバー7で覆うことができ、サンプリング容器5内にごみや結露水等の異物の混入を防止できる。
【0040】
回転テーブル3に開口9を形成したテーブルカバー7を設けるだけなので、構成が簡単である。
【0041】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0042】
上述の実施の形態では、サンプリング容器5は回転テーブル3に同心円状に3重に配置するようにしたが、これに限定されず、1又は2重、或いは4重以上であっても良い。
【0043】
また、上述のサンプリング装置1は、ビール製造工程のおける麦汁のサンプリングを行なうようにしたが、これに限定されず、ジュースの製造工程内に用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施の形態に係るサンプリング装置の概略図である。
【図2】図1に示すサンプリング装置の縦断図であり、図2中一点鎖線で抜き出して示す図は注入ノズル周辺を示す断面図である。
【図3】図1に示すサンプリング装置の平面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 サンプリング装置
3 回転テーブル
5 サンプリング容器
7 テーブルカバー
9 開口
17 注入ノズル
19 シリンダ
21 サンプリング液排出部
25 液検知センサ
29 開閉バルブ
31 バルブ調整部





【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転テーブルと、回転テーブル上に配置されたサンプリング容器と、回転テーブルの上方を覆うテーブルカバーとを備え、テーブルカバーはサンプリングする位置に開口を形成しており、サンプリング液の注入時のみサンプリング容器を開口下の位置に移動させることを特徴とするサンプリング装置。
【請求項2】
サンプリング装置はサンプリング容器にサンプリング液を注入する注入ノズルと、注入ノズルを水平方向に往復移動させるシリンダと、注入ノズルに残ったサンプリング液を排出させるサンプリング液排出部とを備え、サンプリング液排出部は回転テーブルのサンプリング位置の隣り位置に備えることを特徴とする請求項1に記載のサンプリング装置。
【請求項3】
サンプリング装置は注入ノズルに流れ込むサンプリング液の流量を調整する開閉バルブと、開閉バルブの開閉速度を調整するバルブ調整部とを備え、バルブ調整部はサンプリング時にノズル洗浄時よりも開閉バルブを低速で開けていることを特徴とする請求項2に記載のサンプリング装置。
【請求項4】
注入ノズルはサンプリング容器内の液面レベルを検出する液検知センサを備えていることを特徴とする請求項3に記載のサンプリング装置。
【請求項5】
ビール製造工程における麦汁製造工程内の配管からサンプリング液を請求項1〜4の何れか一項に記載のサンプリング装置内に引き込んでサンプリングを行なっていることを特徴とするビール製造装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−64603(P2006−64603A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−249447(P2004−249447)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】