説明

サンプリング装置

加圧されたおよび/または揮発成分を含む流体から試料を採取するサンプリング装置、方法、ならびにサンプリング装置を備える分析器具が開示される。サンプリング装置は、サンプリング筐体(121、521)、入口(10、110、510)、出口(11、111、511)、測定セル(17、317、517)および弁付きの弁ユニット(118、534)を備え、この弁は、第1の位置では、入口(10、110、510)を測定セル(17、317、517)を介して出口(11、111、511)に連結する働きをし、第2の位置では、入口(10、110、510)を出口(11、111、511)に直接連結し、同時に測定セル(17、317、517)を入口(10、110、510)および出口(11、111、511)から切り離す働きをする。サンプリング装置は、弁ユニット(118、534)が、サンプリング装置を介する流体の流れがそれを介して調節される少なくとも1つの調整可能な流れ制限器を備えることによって特徴づけられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧されたおよび/または揮発成分を含む流体から試料を採取するためのサンプリング装置および方法に関し、本発明はまた、流体の中に既に存在する条件の下で、試料の少なくとも1つの化学的および/または物理的パラメータを決定するように作動可能である、このようなサンプリング装置を備える分析器具に関する。
【背景技術】
【0002】
加圧されたおよび/または揮発成分を含む流体(すなわち液体または気体)から試料を採取することは、たとえば化学産業、生化学産業、医薬産業、および特に食品産業を含む様々な分野において行われる。食品産業では、たとえば、ビールまたは清涼飲料などの気体を含む飲料の化学的および物理的パラメータが決定される。ビールは、ほんのわずかなおよび/または瞬間的な圧力損失によっても発泡する強い傾向を有するので、このようなパラメータは、ビールでは測定が特に困難である。重要なパラメータは、たとえば酸素、オゾン、窒素、二酸化炭素および一酸化炭素などのたとえば溶解した気体の含有量であり、すなわち、ビールの場合では、COを含む飲料のCO含有量および/または酸素含有量であり得る。
【0003】
これまで、このような決定は、大部分は生産ラインから取り出され、次に、溶液中に依然として存在する気体と流体から逃げた気体との間の平衡状態が確立するように、制御された条件の下で少なくとも部分的に減圧された試料について行われてきており、また、行われている。次に、平衡圧および温度の測定値から、既知の物理法則を使用して流体中の気体含有量を導き出すことができる。気体含有量の他に、試料の他のパラメータも、適切な追加のセンサを用いて決定され得る。このようなパラメータは、たとえば濁度、色、およびさらなる成分の含有量を含む。このような拡張的な方法ならびにこのような方法を行うのに適した分析器具による溶解した気体の測定が、他の公開の中でも特にDE10213076A1およびDE4400385A1に開示されている。
【0004】
EP0118964A1では関連した手法がとられ、試料が、生産ラインに連結されたチャンバに注入された後で、ピストンによって測定穴の中へ押圧され、その中で、上述のように溶解した気体と自由気体との間で平衡圧が確立する。
【0005】
別の可能な解決法は、気体を選択的に透過する膜によって流体から切り離された測定チャンバの形態を呈する。溶解した気体は、膜を通ってチャンバ内へ拡散することができ、そこで、従来のセンサによって測定され得る。
【0006】
これらの方法および器具は、気体含有量の間接測定を提供する。揮発成分を測定するために、実質的に気体で飽和され加圧された流体から代表試料を採取することは、気体を除くことによって試料の純度を落とすかまたは試料を変化させることなく行うことはできない。さらに、器具のいくつかは複数のチャンバおよび測定チャンバから構成されており、したがって、大きな労力なくして清掃され得ない。しかしながら、清掃の容易さは、特に食品業界での用途にとっては決定的な要因である。
【0007】
溶解した気体のいわゆる「生産ラインの近く」または「生産ライン」での測定のための器具は、商品名「InTap4000」および「InTap4004」の下でMettler−Toledo社によって販売されている。この器具は、弁を介して生産ラインに連結され得る送信器、センサおよび測定セルから構成され、それによって、測定が流入モードで行われ得る。測定セルの出口の下流には、測定セルを介する流体の流れを調節する固定開口式の流れ制限器が配置され、それによって、流体は測定セル内で既に減圧されることはない。流体は、流れ制限器を通過した後、すなわち測定の後に減圧される。
【0008】
この器具は、生産ラインに存在する条件の下での一定のパラメータの測定を可能にする。しかしながら、この器具は、その設計が同様に複雑であり、清掃のために苦労して分解されなければならない。さらに、流体由来の沈降物が流れ制限器に蓄積して制限器を遮断し、それによって測定値を不正なものにすることが分かっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、小型の設計で、操作が単純で、清掃が容易である改善されたサンプリング装置、および、本発明のサンプリング装置を備える分析器具、ならびに試料を採取する方法を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
加圧されたおよび/または揮発成分を含む流体から試料を採取する、本発明によるサンプリング装置は、サンプリング筐体、入口、出口、測定セル、および弁付きの弁ユニットを備える。弁の第1の位置では、入口は測定セルを介して出口に連結され、弁の第2の位置では、入口は出口に直接に連結され、測定セルは第2の位置ではバイパスされる。弁ユニットは、少なくとも1つの調整可能な流れ制限器を備え、それによって、サンプリング装置を介する流体の流れが調節される。
【0011】
流れ制限器は弁ユニット内に配置され、それによって、測定の前に気体を除くことで試料を信頼できないものにすることなく、気体で飽和され加圧された流体からさえも代表試料を採取することが可能となる、特に小型のサンプリング装置が実現され得る。調整可能な流れ制限器によって、規定された流速で測定セルを介して試料を動かすことができるようになる。流れ制限器は、測定セルと出口との間に好ましくは配置される。当然ながら、この同じ流れ制限器または追加の流れ制限器は、また、測定セルと入口との間にも配置され得る。
【0012】
弁がその第2の位置に設定された状態で、測定セルは入口および出口から切り離され得る。これが、実験室において測定セルを予め調整する可能性をもたらし、これは、たとえば一定の目標範囲の値に対して測定セルが設定され得ることを意味する。また、第2の弁位置において、弁、ならびにしたがって測定セルの入口および出口が、それによって測定セルの条件を変えることなく、調査中の流体または清掃液を用いて洗浄され得る。弁が第1の位置に設定された後にのみ、調査中の流体が測定セルを介して導かれる。弁ユニットは、空所が実質的にないように構成され、そのため、測定セルを汚染する危険、ならびに測定セルの中へ気泡を誤って入れてしまうことが非常に少なくなる。
【0013】
サンプリング装置は、本明細書に集合的に流体と称される液体ならびに気体から試料を採取するために使用され得る。
入口および/または出口は、たとえばホースアダプタとして構成され、流体で満たされたコンテナまたは適切な廃棄物コンテナに、ホースまたは管導管を介して連結され得る。
【0014】
弁は、弁座内に保持される実質的に円筒形の弁本体を有する。弁本体は、第1の作動器要素によって、弁座内でその長さ方向の軸を中心に回され得る。第1の作動器要素は、使用者によって手動で、または適切な制御装置によって自動で操作され得る。
【0015】
弁本体は、入口または出口を測定セルに連結する第1および第2の穴溝、ならびに、入口を出口へ直接連結するための短絡溝を有する。短絡溝および穴溝は、弁本体内に、互いに連通できないように配置される。短絡溝または穴溝は、好ましくは、弁本体の回転軸から外れている。短絡溝は、回転軸に対して平行であり、第1および/または第2の穴溝は、弁本体の回転軸と交差するように配置され得る。好ましい実施形態では、第1および/または第2の穴溝は、弁本体の回転軸に直角に走る。2つの穴溝の長さ方向の軸は、また、互いに対して平行に、または互いに対して角度をなして向けられ得る。当然ながら、穴溝は、また、弁本体の回転軸に対して別の角度に向けられてもよい。この設計上の概念に基づいて、操作が特に容易である非常に小型の弁ユニットが構築され得る。
【0016】
さらなる実施形態では、弁本体、流れ制限器、入口および出口は、サンプリング筐体に配置される。サンプリング筐体にまた配置されるのは、測定セル、弁座、ならびに、測定セルに連結される第1および第2のコネクタ溝である。第1および第2のコネクタ溝は、好ましくは、取り外し可能な閉鎖手段を用いて少なくとも一端で閉鎖され、それによって、これらの溝は、機械的な洗浄または清掃が容易になる。好ましくは、サンプリング装置は、清掃のためにできる限り分解が可能である。
【0017】
好ましい実施形態では、弁本体の第1および/または第2の穴溝は、穴溝に連結する第1もしくは第2のコネクタ溝または入口より小さい直径を有し、それによって、穴溝自体が、追加の固定された流れ制限器として機能することができる。
【0018】
調整可能な流れ制限器は、連続的にまたは規定の増加分で調整可能であり、それによって、測定セルを介する流れが、流体内に存在する条件に対して調整され得る。
用語「流れ制限器」は、開口制限手段という意味で本明細書に使用され、異なる構成を備えて設計され得る。調整可能な流れ制限器の使用は、サンプリング装置が、異なる条件の存在する生産ラインの異なる位置に使用される場合、または、異なる生産ラインに使用される場合、特に有利である。本発明の意味における調整可能なまたは可変の流れ制限器は、異なる開口断面の設定、または、より具体的には、開口の断面積の異なるサイズを可能にする手段である。
【0019】
調整可能な流れ制限器の一実施形態は、通路開口部を備えた滑動部によって表される。滑動部は、少なくとも部分的に弁ユニット内に、特に弁本体内に配置され、そうすることで、滑動部は弁ユニットの回転軸に沿って動かされ、それによって通路開口を変えることができる。通路開口部と通路開口部に対応する第1および/または第2の穴溝との間の重なりの範囲が変化可能となり、それによって、通路開口が調整可能になる。滑動部を動かすことによって、通路開口部が弁穴に対して動かされる。通路開口部の形状およびサイズは、弁本体の対応する穴に本質的に一致される。弁本体の滑動部の位置によって、流れ制限器は開閉され得る。滑動部の軸方向の動きは、定位置に設定され得る第2の作動器によって制御され、それによって、流れ制限器通路は、固定された開口に設定され得る。
【0020】
調整可能な流れ制限器は、特に滑動部の構成において、弁本体の中に、弁本体内に位置する滑動部のその端部に隣接して配置された弾性要素と協働することができる。滑動部が弁本体の中へ軸方向に押されると、弾性要素は圧縮され、遮断部の通路開口部は、その最大の開口に開かれるまで自由に設定される。弾性要素にかかる力が緩められるとすぐに、弾性要素は伸びて滑動部を圧迫し、滑動部は、弾性要素の回復力によってその予め設定された位置へ戻る。滑動部と弾性要素との間の協働によって、予め設定された位置を失うことなく、流れ制限器開口は短い時間間隔だけ開くことができるようになる。流れ制限器が好ましくはその最大開口まで開かれると、流れ制限器の上および測定セル内に蓄積した沈降物および粒子などの汚染物質、ならびに測定セル内の泡が、流体の流れによってサンプリング装置から洗い流され、したがって容易に除去され得る。流れ制限器および測定セルの正しい機能が保証され、流れ制限器の詰まりが防止され得る。
【0021】
さらなる実施形態では、弁本体および調整可能な流れ制限器は、一体型の弁ユニットを形成し、流れ制限器開口は、弁本体の回転角度の関数として設定され得る。この概念は、弁本体が、その長さ方向の軸を中心に、サンプリング筐体に対してその第1の位置と第2の位置との間で回されると、穴溝の少なくとも1つの開口断面が、サンプリング筐体に形成された弁座の壁によって部分的に閉じられるという事実に基づく。
【0022】
こうして、弁本体内の穴溝の少なくとも1つの中央の長さ方向の軸を、制御された角度の下で、穴溝に隣接する弁座内に形成された開口部の中央の長手方向の軸に対して外し、入口および出口へ、または測定セルへのコネクタ溝へと導くことによって、調整可能な流れ制限器が実現され、これによって開口断面の制限が生じる。
【0023】
一体型の弁ユニットによって、別個の流れ制限器を必要としないために、特に小型で使用が容易なサンプリング装置が実現できるようになる。
好ましい実施形態では、弁本体内の第1および第2の穴溝の中央の長さ方向の軸は、互いに角度をなす向きにされ、これによって、弁ユニットが第1の位置に設定されたときには、第2のコネクタ溝と出口との間の第2の穴溝のみが開口断面の制限を引き起こし、一方で、第1の穴溝によって、最大流量の流れが入口と第1のコネクタ溝との間で動くことができるようになる。
【0024】
弁本体内の第1および/または第2の穴溝が、対応する隣接の開口部より小さい直径を備えて構成される場合、弁ユニットは、また、さらなる固定された流れ制限器として機能することができる。
【0025】
操作を特別に容易にするために、サンプリング装置は、第1の作動器要素のための第1および第2の制限停止部を有し、弁ユニット、したがって弁本体の回転の範囲を制限する。
【0026】
一体型の弁ユニットの流れ制限器は、異なるサイズの第1および/もしくは第2の穴溝を備えた弁本体を使用することによって、または、回転の角度を変化させることによって調整可能である。
【0027】
さらなる実施形態では、弁ユニットは、調整可能な流れ制限器を調整および/または固定する働きをする第2の作動器要素を有する。第2の作動器要素を使用して、弁本体は第1の作動器要素に対して一定の位置に固定され得る。一体型の弁ユニットは、たとえば、第1の作動器が弁ユニットの別個の軸の一方に作用し、第2の作動器が他方に作用する、2つの別個の軸を有することができる。さらに、流れ制限器の調整の範囲は、2つの端部停止部の間の距離を変化させることによって選択的に設定可能である。また、別の可能性として、互いから一定の距離を有する端部停止部が、弁本体の中央の長さ方向の軸を中心に共に回り、一定の位置に固定可能である第2の作動器要素として機能するように構成され得る。
【0028】
測定セルの底面積のサイズは、他の要因の中でも特に、測定セルと協働するセンサによって決定される。弁が第1の位置にあるとき、試料の流体流量および流速が、測定セルならびに第1および第2のコネクタ溝内において実質的に等しくなるように、測定セル内の流れの断面積は、第1および第2のコネクタ溝と本質的に同じであるべきである。これは測定セルがコネクタ溝と比較して拡大した直径を有する場合に達成される。言い換えると、測定セルは拡大した底面積を有する。拡大した底面積に関係なく維持される同じ体積の流量を維持するために、測定セルは、さらに、隣接するコネクタ溝より小さい断面を有する。
【0029】
測定セルは、閉鎖要素、センサ、および/または、清掃のために測定セルに容易に接近できるようにする適切な測定窓を用いて閉じられ得る。
測定セルの少なくとも1つの壁は、壁、壁要素または閉鎖要素に形成される内向きに突出する輪郭形状を有し得る。この輪郭形状構成によって、流れ断面に関する条件が満たされ、測定セルが、測定セルに連結されたコネクタ溝に本質的に等しい、またはそれより小さい流れ断面を有するように、測定セルの幾何学的形状を構成できるようになる。この輪郭形状構成は、また、測定セルの幾何学的形状、および、したがって、その流れ断面を測定セルの中へ突出するセンサの表面輪郭に適応させる目的の働きをすることができる。測定セルの壁の輪郭形状構成は、異なるやり方で形づくられ得る。
【0030】
特に好ましいのは、サンプリング装置の本質的に透明な構成であり、それによって、たとえば装置の汚染が光学的におよび/または視覚的に検出され得る。この検出は、使用者自身の眼によって、および/または適切な光学検出ユニットを用いて起こり得る。
【0031】
本発明によるサンプリング装置は、特に、加圧されたおよび/または揮発成分を含む流体の試料の化学的および/または物理的パラメータの決定のための分析器具とともに使用され得る。分析器具は、分析筐体を有し得る。分析筐体内に配置されるのは、サンプリング装置の測定セルと協働するセンサ、およびまた、送信器である。送信器は、プロセッサユニットの一部分として構成され得る。
【0032】
好ましくは、サンプリング装置は分析筐体に脱着可能に連結される。これによって、分析器具内のサンプリング装置の交換が可能になり、それによって、たとえば、異なる流体が同じ分析器具を用いて連続的に測定できるようになる。さらに、1つまたは複数のサンプリング装置および/または分析器具が、加工システムの中に組み込まれ得る。たとえば、サンプリング装置は、測定が行われる必要がある場合には分析筐体が連結可能である、固定された構成要素としてシステム内に組み込まれ得る。
【0033】
サンプリング装置は目標範囲の値のために前調整可能であるので、分析器具は、特に速い応答時間が顕著となり、これは、特に、流体の揮発成分の低い濃度の測定に有利である。前調整される能力を備えたサンプリング装置は、好ましくは、堅固に封じ込められた測定セルを備える。測定セルは、たとえば、閉鎖要素、測定窓、またはセンサの一部分によって外部に対して閉じられ得る。
【0034】
異なる流体または異なる範囲の目標値のために前調整された複数のサンプリング装置が、こうして、次の使用のために準備され、準備が整えられた状態に保持され得る。異なる目標値の範囲の他に、乾いたサンプリング装置または流体を既に装填されたサンプリング装置が準備完了状態に保たれ、それによってサンプリング装置の交換によって、分析器具を用いて異なる流体が連続的に測定され得ることも可能となる。このようにして、たとえば、以前に測定された流体の残留物によって測定結果が誤りとなる危険を回避することができる。
【0035】
本発明による分析器具は、静止式の用途だけでなく可動式の用途にも使用され得る。可動式の状況での使用では、分析器具が、主電源から独立した電源を有し、持ち運びできるように構成されると有利である。
【0036】
本発明による分析器具用のセンサにとって、適切な選択肢は、好ましくは分析筐体および/またはサンプリング装置内の交換可能なユニットとして配置される、たとえば光センサ、電流測定センサ、電位差センサ、電気化学センサ、または光電気センサである。
【0037】
流入測定の他に、測定セルは、また、流入モードで、すなわち弁が第1の位置にある状態で測定セルの中へ入れられ、次に、弁を第2の位置に切り替えることによって測定セルの中へ閉じ込められた、静止した試料について測定を行うように使用され得る。
【0038】
試料を採取する工程を行うためには、弁は初め第2の位置にされ、サンプリング装置の入口が、調査される流体を保持するコンテナに連結される。こうして、流体は、入口および短絡溝を通って出口へと直接流れることができるようになり、それによってコンテナから入口への導管、ならびに入口、短絡溝および出口が、流体によってすすがれる。とりわけ、すすぎは、たとえば測定セルの前調整に影響を及ぼすことなく、測定セルとは無関係にコンテナから導管の気体を除く効果を有する。流れ制限器は、第2の作動器要素によって設定され得る。次に、弁ユニットは、第1の作動器要素によって第1の位置へと回される。構成次第で、少なくとも1つの流れ制限器が、回転の動きの際に既に、その最大の開口まで短い時間間隔だけ開けられる。弁が第1の位置にあるとき、流体は入口から測定セルを介して出口へと流れ、途中で弁本体の2つの穴溝を通過する。予め設定された流れ制限器のために、こうして、流体は、流体コンテナ内にゆきわたっている条件、たとえば飽和圧が保持された規定された流入の流れで測定セル内の分析器具のセンサによって測定され得る。
【0039】
この構成は、強い市販の清掃剤および方法を用いてのサンプリング装置の清掃も容易にすること、ならびに、本質的に空所のない弁ユニットを有することという特定の利点を有する。そのすすぎ機能を備えることで、この弁ユニットは、さらに、作動時にサンプリング装置から沈降物、泡および同様の不必要な粒子を除去する単純なやり方を提供する。これは、たとえば、各測定の前に行われ得る。本発明によるサンプリング装置は、また、殺菌条件の下で試料を採取するためにも使用可能である。
【0040】
明らかに、調整可能な流れ制限器を備えた本発明による弁は、また、他の装置および器具にも使用され得る。
本発明によるサンプリング装置、および本発明による分析器具の異なる実施形態は、添付の図面を参照することによってより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】交換可能なサンプリング装置を備えた分析器具の簡略化された概略図である。
【図2】弁が第1の位置に設定された調整可能な流れ制限器を断面図で示すサンプリング装置の簡略化された概略図である。
【図3】弁が第2の位置に設定された図2のサンプリング装置の断面図を示す簡略化された概略図である。
【図4】第1の位置にある滑動部の概略断面図である。
【図5】第2の位置にある図4の滑動部の概略断面図である。
【図6】測定セルの非常に簡略化された上面図である。
【図7】図6の測定セルの断面図である。
【図8】弁が第2の位置にある弁ユニットを組み込んだサンプリング装置の断面図である。
【図9】装置の一部分がD−D面の断面図で示された、図8のサンプリング装置の立面図である。
【図10】装置の一部分がC−C面の断面図で示された、図8のサンプリング装置の立面図である。
【図11】軸D−Dの方向に見た図8のサンプリング装置の図である。
【図12】弁が第1の位置にある、軸D−Dに対して平行である、出口を介する面の図8の一体化された弁ユニットの断面図である。
【図13】弁が第1の位置と第2の位置との間にある、軸D−Dに対して平行である、出口を介する面の図8の一体化された弁ユニットの断面図である。
【図14】弁が第2の位置にある、軸D−Dに対して平行である、出口を介する面の図8の一体化された弁ユニットの断面図である。
【図15】弁が第1の位置にある図12の状況を示す外観図である。
【図16】弁が第2の位置にある図14の状況を示す外観図である。
【図17】弁ユニットの回転角に対する流れ制限器の開口を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、サンプリング装置1を備えた本発明による分析器具を簡略化された概略図で示す。分析器具は、サンプリング装置1が脱着可能に連結され得る分析筐体2を備える。サンプリング装置1および分析筐体2は、したがって、互いに完全に切り離し可能である。サンプリング装置1は、分析器具から分離され、たとえば、別の前調整されたまたは清掃された装置と交換され得る。別のサンプリング装置1がたとえば加工システムに永久に取り付けられる場合には、分析筐体2は、同様に、別のサンプリング装置1に連結され得る。サンプリング装置1および/または分析筐体2は、その同定のための固有の標識をつけることができる。
【0043】
ここに簡略化した概略的なやり方で示されるように、分析筐体2は、同様に分析筐体内に配置されるプロセッサユニットの一部分であり得る送信器3と、交換可能なセンサ4とを含む。センサが測定セル内の試料についての測定値をとることができるように、サンプリング装置1内に配置され、ここではサンプリング装置1のコネクタポート5として示される測定セルとセンサが協働することができるようなやり方で、センサ4は分析筐体2内に配置される。
【0044】
センサ4は、たとえば光センサ、電流測定センサ、電位差センサ、電気光学センサ、または電気化学センサであり得る。分析器具は、測定セル内に格納された静止した試料、ならびに、測定セルを介する流れの状態の試料を測定する能力を有する。
【0045】
図1に示される分析器具は、運搬のための持ち運び用取っ手6を備えた携帯式器具として構成される。設計によっては、表示盤7が、測定値の出力を表示する、ならびに/または、測定パラメータ、制御コマンド、および試料情報を入力する働きをする。当然ながら、分析器具は、また、たとえば、図面に示されないたとえばコンピュータなどのユニットと分析器具との間で、有線接続を介して信号を交換することによっておよび/または無線方式で、遠隔制御も可能である。分析器具は、この目的のために、適切な送信器/受信器ユニット8および/または適切なコネクタ端子9を備える。このような要素8および9は、一般に既知であり、説明される必要はない。送信器/受信器ユニット8およびコネクタ端子9は、データおよび測定結果の転送のためにも使用され得る。ここに図示されないさらなる実施形態では、センサは、サンプリング装置および/または分析筐体の内部に本質的に配置される。
【0046】
測定セルへのコネクタポート5の他に、サンプリング装置1は入口10および出口11を有する。入口10は、導管12(たとえばホースまたは管連結部)によって、たとえばパイプライン、加工システム、または分析される流体を保持するコンテナなどの容器(図示せず)に連結され得る。例によってここに示されるように、出口11は、さらなる導管13を介して適切な廃棄物コンテナ14に連結され得る。
【0047】
図1にやはり示されるのは第1の作動器要素15であり、それによって、サンプリング装置1内に配置された弁ユニットが、少なくとも2つの異なる位置の間で動かされ得る。
本発明によるサンプリング装置1の異なる構成および詳細は、図2から図17に、より詳細に説明される。
【0048】
図2の断面図は、サンプリング装置の第1の実施形態の概略的な図を示す。サンプリング装置は、入口110、出口111、測定セル117、および滑動部119内に形成された流れ制限器を備えた弁ユニット118を有する。
【0049】
本明細書に使用される用語「入口」および「出口」は、サンプリング装置の外部開口部のみを指すのではなく、これらの開口部に直接連結された導管溝も指すように意図される。
【0050】
弁ユニット118は、少なくとも一方の端部またはここに示されるように両端部が第1の作動器要素115に連結された円筒形の弁本体120に本質がある。弁本体120は、サンプリング装置の筐体121内に形成される弁座135内に、長さ方向の軸を中心に回転する自由を有して着座される。作動器要素115を操作することによって、弁ユニット118は、図2に示される第1の位置から図3に示される第2の位置に移動可能である。
【0051】
弁ユニット118が第1の位置にあるのが示される図2では、第1および第2の穴溝122、123が、弁本体120内に形成されているのを見ることができる。弁ユニット118のこの位置では、流体の流れが測定セル117を介して動くことができるように、第1の穴溝122が、入口110を第1のコネクタ溝124を介して測定セル117に連結し、第2の穴溝123が、測定セルを第2のコネクタ溝125を介して出口111に連結する。
【0052】
滑動部119が弁本体120の長手方向の軸に沿って第2の作動器要素128によって動かされるにつれてより大きい程度またはより小さい程度だけ穴溝123の開口断面を制限する通路開口部126を滑動部119は有する。通路開口部126によって制限されている断面は、流れ制限器を表す。サンプリング装置を介する流体の流れは、滑動部119が弁本体120の中へ挿入される深さを変えることによって変化可能である(図4および5を参照)。流れ制限器の設定は、第2の作動器要素128を用いて調整および固定が可能である。図2および3は、1つのみの滑動部119を示す。当然ながら、滑動部119は弁本体120の他方の端部にも配置され得るか、または、サンプリング装置が2つの滑動部を有し得る。
【0053】
弁本体120内にやはり配置されるのは、弁本体120の内部の方へ面する滑動部119の端部を圧迫する弾性要素127である。たとえば第2の作動器要素128を押すことによって、滑動部119の他方の端部において第2の作動器要素128に力Fをかけることによって、弾性要素127が圧縮され、流れ制限器が開かれる。弾性要素127に対して押す力Fが緩められるとすぐに、弾性要素127の回復力が滑動部119をその以前の位置に戻し、それによって、予め設定された遮断部開口が再び確立される。このようにして、サンプリング装置を介する流れが、短い時間間隔の間最大となり、それによって、たとえば、流れ制限器上に蓄積した沈降物および/または測定セル内の泡が、迅速かつ容易に除去され得る。弁本体120の長さ方向の軸に沿った滑動部119の動きの範囲は、一方の端部においては弁本体120内の凹部の底によって、他方の端部においては端部停止部116によって制限される。
【0054】
図3は、第2の位置にある弁ユニット118を示す。弁のこの位置では、入口110および出口111は、弁本体120の内部を通る、弁本体の長さ方向の軸に平行である短絡溝129を介して互いに直接連結される。測定セル117は、入口110および出口111から切り離される。
【0055】
短絡溝129および穴溝122、123は、互いに連通しないように弁本体120内に形成される。これは、穴通路122、123または短絡溝129が弁本体120の中央の長さ方向の軸から外れている構成によって達成される。穴溝122、123は、互いに平行にまたは角度をなして向けられ得る。また、穴溝122、123の少なくとも1つがそれ自体内において角度の方向の変更を有することも考えられる。
【0056】
流れ制限器として構成される滑動部219およびその機能が、図4および5に概略的に示される。滑動部219は、挿入部230に連結された第2の作動器要素228から構成される。実質的に円形の開口部226が挿入部230に形成される。開口部226の断面は、コネクタ溝125の断面と本質的に一致する。
【0057】
図4は、滑動部219が弁本体220から部分的に引き出されたところを示す。弁本体220は象徴的にのみ示されている。図示の位置において、開口部226は穴溝231の断面から外れており、したがって、通路断面を制限または縮小し、それによって、流体は、穴溝231の断面よりも小さい、図4に黒で示される縮小した断面232を介してのみ移動できる。
【0058】
図5は、滑動部219が弁本体220の中へほぼ完全に押されているところを示し、これによって、開口部226と穴溝223の断面がほぼ完全に重なり、流体が中を動くことのできる断面232が図4と比べて増加する。流れ制限器は、ほぼ完全に開いている。
【0059】
図6および7は、本発明によるサンプリング装置のための測定セル317を表す。試料の採取は、流体内に存在するのと同じ条件の下で起こるべきである。流速が、これらの条件の中に含まれる。サンプリング装置を介する、および特に測定セル317を介する流速は、本質的に未変化の状態に留まるべきである。上述のように、流速は、適切な調整可能な流れ制限器を用いて調節可能である。特に、測定セル317を介する流速が、サンプリング装置の他の一部分の流速に本質的に等しくなるかまたはそれより低くなることを確実にするように、測定セル317は、最適に構成された幾何学的形状を有する。
【0060】
図6の測定セル317の上面図は、この平面の測定セル317の直径が、コネクタ溝324、325と比べて拡大されていることを示し、これは、測定セル317が拡大された底面積を有することを意味する。底面積のサイズは、他の要因の中で特に、測定セル317と協働するセンサ304(図7を参照)によって決定され、同時に、測定セル317の閉鎖要素として機能することができる。測定セル317は、また、好ましくは透明であり、それを介してセンサが測定セル317内の試料を測定することのできる適切な測定窓によって閉じられることも可能である。
【0061】
拡大された底面積にもかかわらず流速を保持するために、測定セル317は、コネクタ溝324、325に比べて縮小された外形高さを有する(図7も参照)。測定セルの壁は、壁の中、壁要素の中または閉鎖要素の中に形成された内向きに突出する輪郭形状333を備える(図9も参照)。この設計上の形状構成のために、測定セル317の流れ断面は、測定セル317に連結されたコネクタ溝324、325の断面と本質的に同じかまたはそれより小さい。
【0062】
図8は、一体的に組み込まれた弁ユニット534を備えた、さらなるサンプリング装置501の断面図を示す。一体的に組み込まれた弁ユニット534およびその機能は、図9から図17に詳細に説明される。明らかに、一体的に組み込まれた弁ユニット534は、また、サンプリング装置501以外の器具にも使用され得る。
【0063】
図8は、第1および第2のコネクタ溝524、525に連結された測定セル517、入口510および出口511が形成されたサンプリング筐体521を備えたサンプリング装置501を示す。サンプリング装置501内にやはり形成されているのは、その長さ方向の軸C−Cを中心に回転できるように、一体的に組み込まれた弁ユニット534を保持する弁座535である。
【0064】
図示の実施形態のサンプリング筐体521は、透明な材料、たとえば重合体から構成され、それによって、サンプリング装置501は、閉じ込められた気泡または不純物がないか視覚的におよび/または光学的に検査が可能となる。明らかに、サンプリング筐体521は不透明材料から構成されてもよい。コネクタ溝524、525は、ここに示されるように、たとえばコネクタ溝524、525および測定セル517の清掃のために取り外しが可能である適切な閉鎖要素536を用いて外部に対して閉じられ得る。
【0065】
一体化された弁ユニット534は、第1および第2の穴溝522、523および短絡溝529を有する本質的に円筒形の弁本体520を備える。図示の実施形態の2つの穴溝522、523は、長さ方向の軸C−Cに対して直交し、図8に示すように弁が第2の位置にあるとき、図の平面に対して直角をなすように向けられる。穴通路522、523の長さ方向の軸は、互いに平行であるか、または、好ましくは互いに角度をなして配置され得る。
【0066】
弁の第2の位置では、ここに示されるように、短絡溝529は、入口510を出口511に直接連結し、それによって、入口が流体で洗浄され、閉じ込められた空気ポケットが押し出され得る。短絡溝529は、長さ方向の軸C−Cに対して平行であり、長さ方向の軸C−Cから外れており、そのため、短絡溝529は穴通路522、523から独立している。ここに示されるように、短絡溝529は弁本体520の少なくとも一方の端部まで延在し得る。この場合、短絡溝529は、さらなる閉鎖要素537を用いて栓をされ得る。この構成は、製造工程を単純化し、また、一体化された弁ユニット534の清掃を容易にする。
【0067】
一体化された弁ユニット534は、第1の位置と図8に示される第2の位置との間で弁ユニット534を動かす働きをする第1の作動器要素515を備える。この位置の変化は、一体化された弁ユニット534の弁本体520を弁座の中でその回転軸C−Cを中心に回すことによって行われる。流れ制限器としての一体化された弁ユニット534の機能は、以下にさらに詳細に説明される。
【0068】
図9は、図8のサンプリング装置を示し、測定セル517を含む部分が平面D−Dに沿って断面図で表される。測定セル517は、一体化された弁ユニット534の長さ方向の軸に本質的に平行に配置され、図6および7の文脈において上述したように、測定セル517を介する流体の流れを等しくする働きをする輪郭形状533を有する。測定セル517の側部に接触し、輪郭形状533に対向して、サンプリング筐体521が凹部539を有する。この凹部539によって、センサまたはセンサの一部分が、測定セル517と接触させられ得る、および/または測定セル517を閉鎖し得る。凹部539は、また、適切な測定窓を用いて閉じられ得る。
【0069】
図10は、平面C−Cに沿った断面図として部分的に示される図8のサンプリング装置を示す。サンプリング筐体521は、出口511の開口部が見ている人に向いた状態で示される。第1の穴溝522は、一体化された弁ユニット534の回転軸C−Cに対して直角に弁本体520を介して延在する。弁は、弁本体520と弁座535との間に流体が浸入するのを防ぐシール545を有する。
【0070】
図11は、軸D−Dに対して平行に向けられた図の外側から見た図8のサンプリング装置を示し、第1の作動器のための第1および第2の端部停止部541、542を見ることができる。
【0071】
図12から図14のそれぞれは、出口を介する、軸D−Dに平行である面の、図8の一体化された弁ユニットの断面図を示す。流れ制限器が、測定セルと出口との間に好ましくは配置される。明らかに、流れ制限器は、また、測定セルと入口との間に配置され得るか、または、サンプリング装置は、複数の流れ制限器を有することができる。
【0072】
図12は、出口511が第2の穴溝523を介して第2のコネクタ溝525に連結された、第1の位置にある一体化された弁ユニット534を示す。図示の例では、穴溝523は、一方で、コネクタ溝525より小さい直径を有し、それによって、穴溝523の開口断面が縮小され、一定の開口流れ制限器が生じる。さらに、穴溝523が第1の位置にあるとき、その軸は、コネクタ溝525と出口511との共通軸に対して角度をなすように設定され、それによって、穴溝523は、コネクタ溝525および出口511と完全に一列には並ばない。これが、流れ制限器開口、すなわち流体の通路開口断面をさらに縮小する。弁のこの位置では、短絡溝529の開口端部は、弁座535に向き合うか、弁座535によって閉鎖される。
【0073】
一体化された弁ユニット534が、図12に示される矢印の方向に回されると、穴溝523は、次に、図13に示すように、コネクタ穴525および出口511の共通軸と整列する。この位置では、流れ制限器は、その最大の通路開口に設定され、測定セルが自動的に洗浄され、それによって、存在し得る泡および沈降物が除去される。
【0074】
一体化された弁ユニット534が矢印の方向にさらに回されると、穴溝523の開口端部は、弁座535に向き合い、弁座535によって閉鎖される。同時に、短絡溝529は、コネクタ溝525と出口511との間の共通の軸と交差する位置に持ってこられ、それによって、短絡溝529は入口を出口に直接連結する(図8も参照)。一体化された弁ユニット534は、このとき第2の位置にあり、ここでは、測定セルが入口および出口511から切り離され、入口がすすがれ得る。
【0075】
この例では、第1の位置から第2の位置への回転の角度は約90度である。使用者が第1および第2の弁の位置を明確に設定できるようにするために、第1および第2の端部停止部541、542が、図11、15、16に示すように、サンプリング装置のサンプリング筐体521の外部に配置される。第1の作動器要素515は、弁本体が第1の位置と第2の位置との間で回されると2つの端部停止部541、542の間を移動する突起543を有する。
【0076】
目盛のついたスケール544が、2つの端部停止部541、542の間に配置され、それによって、2つの端部停止部の間の中間位置が再設定可能となり、こうして異なる開口幅が設定され得る。
【0077】
さらなる実施形態では、流れ制限器開口が、2つの端部停止部541、542の間の距離を変化させることによって設定され得るか、または、端部停止部541、542が、弁本体の長さ方向の軸を中心に回転可能である調整手段の上に配置され、弁本体内の穴溝に対するその位置が、調整および固定され得る。端部停止部541、542または回転可能な調整手段は、この場合には、第2の作動器要素の機能を行う。
【0078】
第1および第2の穴溝が互いに対して角度をなして向けられる構成では、第1の穴溝の長さ方向の軸は、入口および第1のコネクタ溝の隣接する開口部と好ましくは整列された第1の位置にある。この場合には第2の穴溝のみが流れ制限器として働く。
【0079】
第1の作動器要素の回転角度αと遮断部開口Aとの間の関連を示すために、これらの2つの変数の間の関係が、A対αのグラフの形で図17で概略的に示される。α=0の回転角度、すなわち弁が第2の位置にあるときには、流れ制限器は閉じられる(間隔I)。弁は、入口が出口に直接に連結される位置に設定される。この開始位置から、作動器要素は、第1の弁位置まで90°のその範囲全体を回される。回す間に、弁は次第に開かれて(間隔II)、穴溝がコネクタ溝と出口との間の共通軸に対して平行に向けられる(間隔III)。この位置では、流体は入口から測定セルを介して出口へと向けられ、それによって測定セルが洗浄される。流れ制限器は、その最大の開口まで開かれる。第1の作動器要素が他方の端部停止部まで、したがって第1の位置になるように、さらに動かされるにつれて、穴溝は回されて、コネクタ溝と出口との間のその整列された位置から部分的に外れ、遮断部開口が、所望の幅までまたは端部停止部によって指示される幅まで縮小される。
【符号の説明】
【0080】
1、501 サンプリング装置
2 分析筐体
3 送信器/プロセッサユニット
4、304 センサ
5 コネクタポート
6 持ち運び用取っ手
7 表示盤
8 送信器/受信器ユニット
9 コネクタ端子
10、110、510 入口
11、111、511 出口
12 導管
13 導管
14 廃棄物コンテナ
15、115、515 第1の作動器要素
116 端部停止部
17、317、517 測定セル
118 弁ユニット
119、219 滑動部
120、220、520 弁本体
121、521 サンプリング筐体
122、522 第1の穴溝
123、523 第2の穴溝
124、324、524 第1のコネクタ溝
125、325、525 第2のコネクタ溝
126、226 開口部、通路開口部
127、227 弾性要素
128、228、528 第2の作動器要素
129、529 短絡溝
230 挿入部
232 断面
333、533 輪郭形状、輪郭形状構成
534 一体化された弁ユニット
135、535 弁座
536 閉鎖要素
537 閉鎖要素
539 凹部
541 第1の端部停止部
542 第2の端部停止部
543 突起
544 目盛のついたスケール
545 シール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧されたおよび/または揮発成分を含む流体から試料を採取するサンプリング装置であって、サンプリング筐体(121、521)、入口(10、110、510)、出口(11、111、511)、測定セル(17、317、517)および弁付きの弁ユニット(118、534)を備え、前記弁が、第1の位置では、前記入口(10、110、510)を前記測定セル(17、317、517)を介して前記出口(11、111、511)に連結する働きをし、第2の位置では、前記入口(10、110、510)を前記出口(11、111、511)に直接連結し、同時に前記測定セル(17、317、517)を前記入口(10、110、510)および前記出口(11、111、511)から切り離す働きをするサンプリング装置において、前記弁ユニット(118、534)が、前記サンプリング装置を介する前記流体の流れを調節するように操作可能である少なくとも1つの調整可能な流れ制限器を備えることを特徴とするサンプリング装置。
【請求項2】
前記弁が実質的に円筒形の弁本体(120、220、520)を備え、前記弁本体は弁座(135、535)内に保持され、第1の作動器要素(15、115、515)によって長さ方向の軸を中心に回転可能であることを特徴とする、請求項1に記載のサンプリング装置。
【請求項3】
前記弁本体(120、220、520)が、前記入口(10、110、510)または前記出口(11、111、511)を前記測定セル(17、317、517)に連結する第1および第2の穴溝(122、522;123、523)を備え、前記入口(10、110、510)を前記出口(11、111、511)に連結する短絡溝(129、529)をさらに備え、前記短絡溝(129、529)または前記穴溝(122、522;123、523)が、前記弁本体(120、220、520)の回転軸から外れていることを特徴とする、請求項2に記載のサンプリング装置。
【請求項4】
前記短絡溝(129、529)が、前記弁本体(120、220、520)の回転軸と同一中心でなく、前記弁本体(120、220、520)の回転軸に対して平行に走るように構成されることを特徴とする、請求項3に記載のサンプリング装置。
【請求項5】
前記第1および/または第2の穴溝(122、522;123、523)が、前記弁本体(120、220、520)の回転軸と交差することを特徴とする、請求項3に記載のサンプリング装置。
【請求項6】
前記弁本体(120、220、520)、前記流れ制限器、前記入口(10、110、510)および前記出口(11、111、511)が、前記サンプリング筐体(121、521)内に配置されることと、前記測定セル(17、517)、前記弁座、ならびに前記測定セルに連結される第1および第2のコネクタ溝(124、524;125、525)が、前記サンプリング筐体(121、521)内に形成されることとを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のサンプリング装置。
【請求項7】
前記弁本体(520)内の前記第1および/または前記第2の穴溝(522、523)が、前記第1および/または第2の穴溝(522、523)にそれぞれ連結され得る前記第1または第2のコネクタ溝(524、525)より小さい直径を有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のサンプリング装置。
【請求項8】
前記調整可能な流れ制限器が、連続的な範囲内または規定の段階での一定の設定で調整および/または固定が可能であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のサンプリング装置。
【請求項9】
前記調整可能な流れ制限器が、通路開口部(126、226)を備えた滑動部(119、219)として構成され、前記滑動部(119、219)が少なくとも部分的に前記弁本体(120)内に配置され、前記弁本体の回転軸に沿って動かされることが可能であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のサンプリング装置。
【請求項10】
前記弁ユニット(118)が弾性要素(127、227)を備え、前記弾性要素は、前記弁本体(120、220)内に、前記弁本体内に位置する前記滑動部の端部に当接して配置されることを特徴とする、請求項9に記載のサンプリング装置。
【請求項11】
前記弁本体および前記調整可能な流れ制限器が、一体化された弁ユニット(534)を形成し、前記流れ制限器開口が、前記弁本体(520)の回転角の関数として調整可能であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のサンプリング装置。
【請求項12】
前記サンプリング装置が、前記弁本体の回転の範囲を制限する働きをする第1および第2の端部停止部(541、542)を備えることを特徴とする、請求項2から11のいずれか一項に記載のサンプリング装置。
【請求項13】
前記測定セル(317)が、流れに対して実質的に等しい断面積を与える一方で、前記第1および前記第2のコネクタ溝(324、325)より大きい底面を有することを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載のサンプリング装置。
【請求項14】
前記サンプリング装置が、実質的に透明であるように設計されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載のサンプリング装置。
【請求項15】
加圧されたおよび/または揮発成分を含む流体の試料の化学的および/または物理的パラメータを決定する、請求項1から14のいずれか一項に記載のサンプリング装置を備える分析器具であって、前記サンプリング装置(1)の測定セルと協働するセンサ(4)と送信器(3)とが中に配置された分析筐体(2)を備える分析器具において、前記サンプリング装置(1)および前記分析筐体(2)が、互いに切り離し可能に連結されることを特徴とする分析器具。
【請求項16】
加圧されたおよび/または揮発成分を含む流体から試料を採取する方法であって、サンプリング筐体(121、521)、入口(10、110、510)、出口(11、111、511)、測定セル(17、317、517)および弁付きの弁ユニット(118、534)を備え、前記弁が、第1の位置では、前記入口(10、110、510)を前記測定セル(17、317、517)を介して前記出口(11、111、511)に連結し、第2の位置では、前記入口(10、110、510)を前記出口(11、111、511)に直接連結し、同時に前記測定セル(17、317、517)を前記入口(10、110、510)および前記出口(11、111、511)から切り離す、請求項1から14のいずれか一項に記載のサンプリング装置を用いて行われる方法において、
a.前記弁ユニットを前記第2の位置に設定するステップと、
b.前記流体を含む容器を前記入口に連結し、前記入口および出口を前記流体を用いて洗浄するステップと、
c.前記流体が入口と出口との間の流路内を前記測定セルを介して洗浄するように、前記弁ユニットを前記第1の位置に設定するステップと、
d.前記流体が前記測定セルを介して流れる前記第1の位置において流入する試料を採取するステップ、または、静止した試料が前記測定セル内に閉じ込められるように、前記弁ユニットを前記第2の位置に設定するステップとを含み、
前記弁ユニットが、少なくとも1つの調整可能な流れ制限器を備え、それによって、前記サンプリング装置を介する前記流体の流れが調節されることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2012−510624(P2012−510624A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538943(P2011−538943)
【出願日】平成21年11月23日(2009.11.23)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065645
【国際公開番号】WO2010/063602
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland
【Fターム(参考)】