説明

サンプルの高速分析および保存装置、ならびに使用方法

ケーシング120、サンプル採取ウエル130、およびサンプルアプリケータ110を備える装置100。サンプルアプリケータ110は、剛体ハンドル114、リム116、および吸収部材112をさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象とする検体について流体を採取して高速に分析するための装置に向けられている。
【背景技術】
【0002】
以下に示す背景技術は、本発明の理解を読者にとって容易にしようとするものであり、これらを従来技術であると自認するものではない。
【0003】
禁止薬物の使用は、我々の社会においてすでに認識されている問題であり、かつますます大きな問題となってきている。2003年に米国保健福祉省(Department of Health and Human Services)は、1950万人のアメリカ人すなわち12歳以上の人口の8.2パーセントが、現用の禁止薬物使用者であると推定した。禁止薬物の現用とは、米国保健福祉省の調査インタビューに先立つ1ヵ月の間に、禁止薬物を使用していることを意味する。マリファナが、もっとも広く使用されている禁止薬物であることが明らかにされ、その割合は6.2パーセント(1460万人)であった。230万人(1.0パーセント)が、現用のコカイン使用者であると推定され、そのうちの604,000人が、クラックを使用しているとされた。100万人が、幻覚剤を使用しているとされ、ヘロインの現用使用者が119,000人存在すると推定されている。
【0004】
この問題と闘い、かつこの問題を監視するために、雇用、学校、スポーツ、および法的処置などのさまざまな状況において、薬物検査が標準的な手続きとなってきている。この取り組みを容易にするため、薬物検査産業が勃興してきている。この産業は、さまざまな薬物検査用製品を提供している。典型的な製品は、分析検査を取り入れてなる尿採取カップである。これらの装置は、複雑であって使用が困難または面倒である可能性があり、あるいは乱用薬物の最近の使用を隠そうと試みる被験者が、サンプルに混ぜ物をするという特有の問題を引き起こす可能性がある。さらに、尿サンプルは、道端や公衆の面前などといった特定の状況では、採取することが不可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、サンプルの採取および検査を実行するための、より優れた方法および装置への必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、液体サンプルにおいて存在が疑われる検体を検出するための検査装置を提供する。この装置は、リザーバ区画、検査区画、およびサンプル採取ウエルのためのポートを有している。さらにこの装置は、ポートに位置する回転可能なサンプル採取ウエル、サンプルアプリケータを挿入するための室、サンプルアプリケータを絞りサンプルをこの装置へと加えるための圧搾プレート、およびサンプル採取ウエルを回転させることによって、この装置を通過するサンプルの移動を方向付けるため、サンプル採取ウエルにおける取り分け出口およびリザーバ出口を有している。さらにこの装置は、対象とする検体を検出するための検査素子を収容している。サンプル採取ウエルを回転させることによって、作業者は、装置の出口を開放および/または閉鎖することで、採取したサンプルの分配を装置に方向付けることができる。このような装置を使用する方法、およびこのような装置を含んでなるキットも提供される。
【0007】
本発明の一態様は、液体サンプルにおいて存在が疑われる検体を検出するための検査装置である。この装置は、リザーバ区画と、検査区画と、サンプル採取ウエルのためのポートとを有するケーシングを有している。この装置はさらに、ポートに位置する回転可能なサンプル採取ウエルを有している。種々の実施形態において、サンプル採取ウエルは、1つ以上の上部室、圧搾プレート、下部室、取り分け出口、およびリザーバ用口を含むことができる。少なくとも1つの検査素子が、検査区画内に収容されている。種々の実施形態において、これら構成要素のうちの1つ以上が、ケーシング内に収容されている。サンプル採取ウエルは、サンプル採取ウエルとリザーバ区画との間にリザーバ出口を通って流体連絡がもたらされる第1の位置と、さらにサンプル採取ウエルと検査素子との間に取り分け出口を通って流体連絡がもたらされ、かつリザーバ出口が閉じられる第2の位置とを有している。一実施形態において、サンプル採取ウエルが第1の位置にあるとき、取り分け出口が閉じられており、サンプル採取ウエルが第2の位置にあるとき、リザーバ出口が閉じられている。サンプル採取ウエルは、2つの位置の間で旋回または回転させられる。
【0008】
用語「リザーバ区画」とは、流体サンプルが乾燥せず、あるいは汚染されないように保存および保護される、装置の封止可能領域を指す。流体サンプルを、後の確認検査のためにリザーバ区画に保存することができる。用語「流体連絡」とは、液体が流れることができ、したがって流体連絡状態にある2つの領域間で液体を受け渡すことができる能力を指す。すなわち、流体が、サンプル採取ウエルからリザーバ出口を直接通過してリザーバ区画へと流れることができるとき、サンプル採取ウエルとリザーバ区画とが、流体連絡状態にある。「ポート」とは、サンプル採取ウエルがケーシングと連動する装置またはケーシングの部位を指し、サンプル採取ウエルを回転させることによって、検査区画とリザーバ区画とを流体連絡状態におくことができる。サンプル採取ウエルを、別個の部品としてポートに挿入することができ、あるいはサンプル採取ウエルとケーシングとを、単一の部品として製造してもよい。サンプル採取ウエルそのものを、一部品から製作することができ、あるいは子部品から組み立ててもよい。
【0009】
「取り分け出口」は、取り分け出口が開かれたときに、サンプル採取ウエルと検査区画との間に流体連絡がもたらされる、サンプル採取ウエルの開口である。「リザーバ出口」は、リザーバ出口が開かれたときに、サンプル採取ウエルとリザーバ区画との間に流体連絡がもたらされる、サンプル採取ウエルの開口である。取り分け出口およびリザーバ出口は、両者とも、サンプル採取ウエルに位置している。一実施形態において、取り分け出口およびリザーバ出口の両者が、下部区画に位置している。用語「回転可能」とは、サンプル採取ウエルをポート内でねじって旋回させることができることを指す。サンプル採取ウエルの回転によって、取り分け出口またはリザーバ出口の開放または閉鎖が生じる。
【0010】
一実施形態において、サンプル採取ウエルが第1の位置にあるとき、リザーバが、リザーバ出口を通じて採取ウエルの下部室と流体連絡し、サンプル採取ウエルが第2の位置にあるとき、検査素子が、取り分け出口を通って採取ウエルの下部室と流体連絡している。下部区画は、回転可能なサンプル採取ウエルの底部と圧搾プレートとの間の領域であってよく、取り分け出口およびリザーバ出口は、採取ウエルの底部に位置することができる。さらにサンプル採取ウエルが、回転可能なサンプル採取ウエルが第2の位置に位置しているときに、取り分けリザーバを封止するための取り分けシールを含んでもよい。しかしながら、取り分け出口およびリザーバ出口の封止を、リザーバ出口を閉じることができかつ取り分け出口を開くことができる、サンプル採取ウエルの回転によって達成することも可能である。
【0011】
あるいくつかの実施形態において、下部区画が、圧搾プレートと回転可能なサンプル採取ウエルの底部との間の領域である。さらなる実施形態において、取り分け出口およびリザーバ出口が、採取ウエルの底部に位置している。さらに、いくつかの実施形態において、回転可能なサンプル採取ウエルが第2の位置に位置しているとき、採取ウエルが、取り分けリザーバを封止するための取り分けシールを有している。さらなる実施形態において、第1の位置から第2の位置へのサンプル採取ウエルの回転を方向付けるため、ポートが案内スロットを有するとともに、回転可能なサンプル採取ウエルが、自身の外表面から延びて案内スロット内に可動に位置する案内ピンを有している。案内スロットは、検査素子の長手方向軸と実質的に平行であってよい。「案内スロット」は、装置、ケーシング、またはケーシングに取り付けられた部品のスロットまたは開口であって、サンプル採取ウエルからの案内ピンまたは他の突起を挿入することができる、スロットまたは開口である。案内ピンが案内スロットへと挿入されたとき、リザーバ出口および/または取り分け出口の開放または閉鎖を達成するため、サンプル採取ウエルを、ポート内で回転させることができる。
【0012】
「圧搾プレート」とは、流体サンプルで満たされたサンプルアプリケータを圧迫または圧搾して、アプリケータからサンプルを絞ることができる表面を指す。圧搾プレートは、アプリケータからサンプル採取ウエルへと流体サンプルを通過させることができるよう、開口または穴を有することができる。圧搾プレートは、サンプル採取ウエル内に配置することができるが、絞られたサンプルが採取ウエルへと流れ得る他の場所に配置することも可能である。一実施形態において、圧搾プレートが、サンプル採取ウエル内に位置しており、上部室と下部室とを分割しており、流体サンプルが上部室から下部室へと流れることができる1つ以上の穴または開口を有している。サンプル採取器が圧搾プレートへと押し付けられたとき、サンプルが、圧搾プレートの開口を通って下部室へと流れる。
【0013】
さらなる実施形態において、装置またはケーシングに、検査素子を観察し、かつ検査の結果を判断するための窓を備えることができる。さらに、装置またはケーシングに、リザーバから液体サンプルを抜き取るための封止可能なリザーバオリフィスを備えることができる。このようにして、装置を分解する必要なく、リザーバオリフィスを通じてサンプルをリザーバから好都合に取り出すことができる。リザーバオリフィスは、ケーシングに好都合に位置することができ、その結果、リザーバ内に保存されたサンプルにアクセスするために、採取カップを回転させる必要なく、あるいは採取カップを通して何らかの器具を挿入する必要もなく、別個にアクセス可能である。
【0014】
「検査素子」は、検査を実行する任意の素子であってよい。一実施形態において、検査素子が試験ストリップである。試験ストリップは、免疫学的検定を実行するために、試験ストリップ上に特定の結合対のメンバーを含むことができる。試験ストリップは、検査が完了したときに、検出可能な色の変化または検出可能な他の信号をもたらす化学的試験ストリップであってよい。これらに限られるわけではないが、体液あるいは生物学的組織または体液から由来したサンプルなど、さまざまなサンプルを、本発明において使用することができる。例えば、サンプルは、唾液、血液、血清、血漿、尿、糞便、髄液、膣塗抹標本、粘液、および組織であってよい。
【0015】
さまざまな検体を、本発明によって検査することができる。検体は、病原菌または感染した状態の指標であってよい。検体は、薬物(例えば、乱用薬物)、ホルモン、たんぱく質、核酸分子、病因学的因子、および特定の結合メンバーであってよい。用語「乱用薬物」(drug of abuse:DOA)は、非医学的な理由(通常は、精神状態を変化させる効果)で摂取される薬物を指す。そのような薬物の乱用は、肉体的および精神的障害につながる可能性があり、(いくつかの物質については)依存性、中毒、および/または死につながる可能性がある。DOAの例としては、コカイン、アンフェタミン(例えば、ブラックビューティー(black beauties)、ホワイトベニー(white bennies)、デキストロアンフェタミン(dextroamphetamines)、デキセドリン(dexies)、ビーンズ(beans))、メタンフェタミン(クランク(crank)、メタドン(meth)、クリスタル(crystal)、スピード(speed))、バルビツレート(New Jersey州NutleyのRoche Pharmaceuticals社のバリウム(Valium:登録商標))、鎮静剤(sedatives)(すなわち、睡眠補助薬)、リセルグ酸ジエチルアミド(LSD)、抑制剤(depressants)(鎮静剤(downers)、精神安定剤(goofballs)、バルビツール剤(barbs)、ブルーデビル(blue devils)、イエロージャケット(yellow jackets)、ルード(ludes))、三環系抗鬱薬(TCA、例えば、イミプラミン(imipramine)、アミトリプチリン(amitriptyline)、およびドクサピン(doxepin))、フェンシクリジン(PCP)、テトラヒドロカナビノール(THC、ポット(pot)、ドープ(dope)、大麻(hash)、マリファナ(weed)、など)、および麻酔剤(例えば、モルヒネ(morphine)、アヘン(opium)、コデイン(codeine)、ヘロイン(heroin)、オキシコドン(oxycodone))が挙げられる。例えば、三環系抗鬱薬(イミプラミンなど)および処方箋なしで売られるアセトアミノフェン含有製品などの、医学的な理由で摂取されるが容易に過剰摂取が生じ得る合法薬物も、これらの試験ストリップを使用して検査することができる。
【0016】
他の態様において、本発明は、液体サンプルにおいて存在が疑われる検体を検出する方法を提供する。この方法は、検体を含むと疑われる液体サンプルをサンプルアプリケータに加えるステップ、サンプルアプリケータをサンプル採取ウエルへと圧搾または圧迫することによって、本明細書に開示の検査装置へと液体サンプルを加えるステップ、および液体サンプル中に検体が存在するか否かを検出するステップを含んでいる。
【0017】
一実施形態において、サンプルが、サンプルアプリケータを被験体の口内に配置することによって、サンプルアプリケータに加えられ、サンプルアプリケータが唾液で満たされた状態になる。液体サンプルは、液体サンプルがサンプル採取ウエルへと流入するよう、サンプルアプリケータを装置の圧搾プレートへと押し付け、あるいは圧迫し、サンプルアプリケータを絞ることによって検査装置へと加えられる。一実施形態において、サンプルが、サンプル採取ウエルの底部室に流入する。リザーバが唾液で満たされた後、検査を開始すべく、サンプル採取ウエルが、第1の位置から第2の位置へと回転させられる。
【0018】
他の態様において、本発明は、液体サンプルにおいて存在が疑われる検体を検出するための検査キットを提供する。この検査キットは、本明細書に開示の装置、およびサンプルアプリケータを含んでいる。サンプルアプリケータは、スポンジまたは発泡体で製作できる吸収部を含むことができる。サンプルアプリケータは、被験体の唾液の分泌を促すように構成された溶液に浸すことによって処理することができ、これにより、被験体の口内に配置されたときに、唾液の採取を容易にする。さらにこのキットは、唾液または口内液(oral fluid)の採取、および唾液または口内液中の検体の存在の検出において、装置およびサンプルアプリケータを使用するための指示を含むことができる。
【0019】
上述した本発明の概要は、本発明を限定するものではなく、本発明の他の特徴および利点が、以下の詳細な説明ならびに特許請求の範囲から、明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下の詳細な説明において、本明細書の一部を構成する添付の図面を参照するが、添付の図面には、本発明を実施することができる具体的な実施形態が、あくまで例として示されており、本発明がこれらの実施形態に限定されるわけではない。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態も使用可能であり、構造的な変更を行なうことも可能である。
【0021】
本発明の装置は、従来技術に対していくつかの利点を有している。本発明の装置および方法は、流体サンプル中の検体の容易な検出を可能にする。さらにこの装置によれば、所望であれば、別の検査原理を使用する後の確認検査のために、多量のサンプルを容易に保存しておくことができる。すなわち、確認サンプルが、汚染から保護されて保存される。さらに、本発明によれば、ユーザがサンプル採取ウエルへとサンプルを加え、リザーバ区画を満たすことができるが、ユーザがサンプル採取ウエルを回転させて取り分け出口を開くまでは、検定が開始されないため、本発明の装置によって、ユーザが検定の開始時期を制御することができる。図1から図8は、あくまで本発明を説明する目的で本発明のあるいくつかの実施形態を示しており、本発明をこれらの実施形態に限定するものではない。本明細書の開示を参照することによって、当業者であれば、他の実施形態をも理解することができるであろう。
【0022】
図1を参照すると、本発明の一実施形態が、ケーシング120およびサンプル採取ウエル130を有して示されている。さらに、剛体ハンドル114と、リム116と、吸収部材112とを有する、サンプルアプリケータ110を供給することができる。図5には、ケーシングが、検査区画510およびリザーバ区画310という2つの領域を有してよい旨が、示されている。図3を参照すると、ケーシングのこれら2つの領域が、射出成形によるケーシング上部260およびケーシング下部265、ならびにリザーバ底274の形態で画定されている。本発明の種々の部品は、スナップ式でぴったりと一体化するよう好都合に製作することができる。図3を参照すると、検査素子290が、検査区画内に配置されている。リザーバ310が、サンプルの一部を保持し、これを確認検査のために使用することができる。
【0023】
図2および図3を参照すると、この実施形態において、サンプル採取ウエル130が、スリーブ220と、スリーブ220内にぴったりと嵌まり込むように構成された環状の圧搾具210と、カフ240とで構成されている。サンプル採取ウエル130は、ケーシング上部260のポート276に位置している。カフ240は、ケーシング上部260と一体であり、カフの上縁と平行に切開された案内スロット250を有している。スリーブ220は、自身の外表面222からカフの案内スロット250を貫いて延びる1つの案内ピン320を有している。2つ以上の案内スロット250および案内ピン320を、カフおよびスリーブに配置してもよい。スリーブおよびカフは、スリーブがカフ内にぴったりと嵌まり込み、かつカフ内で回転することができるように、構成されている。カフ内でのスリーブの回転は、ピンがスロット250の限界を超えて移動することができないため、案内スロット250および案内ピンによって案内されている。
【0024】
図5を参照すると、検査区画入り口540およびリザーバ入り口530が、ケーシング上部260に位置している。検査区画入り口540は、流体がサンプル採取ウエルから検査区画へと流入するための通路を提供している。検査区画は気密ではなく、流入する流体によって押しのけられた空気は、上部と下部との間の切れ目を通って流出することができる。リザーバ入り口530は、流体がリザーバへと流入するための通路を提供している。リザーバは気密であってよく、したがって押しのけられた空気が、リザーバ入り口530から出るための空気孔(図示されていない)を有することができる。一実施形態において、空気孔が、リザーバ入り口530に近接する1つ以上の小さな孔である(例えば、リザーバ入り口の両側の小さな孔)。このようにして、流体がリザーバへと流入する一方で、空気がこの小さな孔を通って逃げ出す。
【0025】
サンプル採取ウエルの底部336は、それぞれサンプル採取ウエルから検査区画およびリザーバへの通路を提供するため、取り分け出口330およびリザーバ出口332を有している。あるいくつかの実施形態において、スリーブが、第1および第2の位置を有している。リザーバ出口332および取り分け出口330は、スリーブが第1の位置にあるときに、リザーバ出口が開いて、リザーバが、サンプル採取ウエル130の下部室と流体連絡するように、サンプル採取ウエルの底部に位置していると有利である。サンプル採取ウエルが第1の位置にあるとき、サンプル採取器110の吸収部材112から絞り出された流体が、圧搾プレート340を通過し、リザーバ出口332を通って、リザーバ310へと流れる。サンプル採取ウエルが第1の位置にあるとき、取り分け出口は圧搾プレートと流体連絡してはいないため、流体が、検査区画へと流れることはできない。
【0026】
サンプル採取ウエル130を、第2の位置へと回転させることができる(図5から図7を参照)。サンプル採取ウエルが第2の位置にあるとき、取り分け出口330が、検査区画入り口540と整列し、検査区画が、サンプル採取ウエルとの流体連絡状態に置かれる。サンプル採取ウエルが第2の位置にあるとき、吸収部材112から絞り出された流体が、圧搾プレートを通過し、取り分け出口330および検査区画入り口540を通って、検査区画および試験ストリップへと流れる。
【0027】
さらに、サンプル採取ウエルの底部336は、有利には、サンプル採取ウエルが第2の位置にあるときに、リザーバ入り口530ならびにリザーバ入り口近傍のあらゆる空気孔(流体サンプルがリザーバへと進入するときに、空気を逃がすことができるように設けることができる)を封止するような寸法および配置とされた、リザーバシール334を有することができる。あるいくつかの実施形態において、取り分け出口、リザーバ出口322、およびリザーバシール334に、Oリング230が取り付けられている(図3を参照)。
【0028】
サンプルアプリケータ
サンプルアプリケータを、本発明の装置に供給することができる。一実施形態において、サンプルアプリケータが、吸収部材およびハンドルを有している。吸収部材は、一般的には、当技術分野において一般に使用されている、医療用品質のスポンジまたは発泡材料で製作される。しかしながら、綿または紙、あるいは適切な吸収能力を有する任意の材料など、他の多くの材料が、吸収部材として使用するために利用可能である。ハンドルは、吸収部材の操作を容易にするため、おおむね剛体である。ハンドルは、プラスチック、木材、金属、またはボール紙など、当技術分野において一般的に使用されている任意の材料で製作することができる。一実施形態において、ハンドルが、吸収部材が取り付けられるリム116(図1)を有している。
【0029】
試験ストリップ
さまざまな試験ストリップを、本発明に取り入れることができる。検体試験ストリップを、乱用薬物または健康状態を示唆する代謝産物など、サンプル内の対象の検体を検出するため、免疫学的検定または化学的検査の形式など、さまざまな形式で設けることができる。いくつかの形式において、試験ストリップが、サンプル適用領域、試薬領域、および検査結果領域を有する吸収性材料を有する。サンプルが、サンプル適用領域へと適用され、毛管作用によって試薬領域へと流れる。試薬領域において、サンプルが、検体(サンプル中に存在するならば)の検出に必要な試薬に溶解して、混ざりあう。今や試薬を担持しているサンプルが、さらに検査結果領域へと流れる。さらなる試薬が、検査結果領域に固定されている。これらの試薬は、検体(存在するならば)あるいは試薬領域からの第1の試薬の1つと反応および結合する。非競合的な形式では、サンプルが検体を含む場合に信号が生成され、検体が存在しない場合には、信号は生成されない。競合的な形式では、検体が存在しない場合に信号が生成されることができ、検体が存在する場合には、信号が生成されない。本発明は、すべての形式において有用である。
【0030】
検査素子が試験ストリップである場合、吸収性または非吸収性の材料で製作することができる。試験ストリップは、2つ以上の材料を含んでもよく、その場合、それらは流体連絡状態におかれる。例えば、ニトロセルロース上に重ねられたフィルター紙など、試験ストリップの一方の材料を、試験ストリップの他の材料に重ねてもよい。これに代え、あるいはこれに加えて、試験ストリップが、1つ以上の材料を含む領域を、1つ以上の異なる材料を含む領域を後続させて備えてもよい。この場合、領域が流体連絡状態にあり、部分的に互いに重なり合っていてもよく、互いに重なり合っていなくてもよい。取り扱い強度を高めるため、試験ストリップの1つまたは複数の材料を、支持体またはプラスチック製の支持シートなどの固体表面に結合させてもよい。
【0031】
検体が、検体と特定的に反応する1つ以上の酵素によるなど、信号生成システムによって検出される実施形態において、信号生成システムの1つ以上の構成要素を、上述のように、特定の結合メンバーを試験ストリップ材料に結合させる場合と同様のやり方で、試験ストリップ材料の検体検出領域に結合させることができる。これに代え、あるいはこれに加えて、試験ストリップのサンプル適用領域、試薬領域、または検体検出領域に含まれ、あるいは試験ストリップの全体にわたって含まれる信号生成システムの構成要素を、試験ストリップの1つ以上の材料に含浸させてもよい。これは、そのような構成要素の溶液を表面に塗布することによって、あるいは1つ上の試験ストリップ材料をそのような構成要素の溶液に浸漬させることによって、達成することができる。1つ以上の塗布または1つ以上の浸漬に続いて、試験ストリップ材料を乾燥させる。これに代え、あるいはこれに加えて、試験ストリップのサンプル適用領域、試薬領域、または検体検出領域に含まれ、あるいは試験ストリップの全体にわたって含まれる信号生成システムの構成要素を、ラベル付き試薬について説明したように、試験ストリップの1つ以上の試験ストリップ材料の表面へと塗布してもよい。
【0032】
領域は、次のとおり構成することができる。すなわち、サンプル適用領域、1つ以上の試薬領域、1つ以上の検査結果判定領域、1つ以上の管理領域、1つ以上の改竄領域、および流体吸収領域である。検査結果判定領域が、管理領域を含む場合、好ましくは、管理領域は、検査結果判定領域の検体検出領域に後続する。これらの領域のすべて、またはそれらの組み合わせを、単一の材料からなるただ1つの試験ストリップに設けることができる。あるいは、複数の領域が異なる材料で作成され、流体連絡状態に一体に連結される。例えば、種々の領域は、直接流体連絡してもよく、間接的に流体連絡してもよい。この場合、種々の領域を、流体連絡状態であるように端部対端部で接合することができ、流体連絡状態であるように重ね合わせることができ、あるいは、フィルター紙、ガラス繊維、またはニトロセルロースなどの好ましくは吸収性である接続材料など、他の部材によって連絡させることができる。接続材料を使用する場合には、接続材料が、端部対端部で接続された領域またはそのような領域を含む材料から、流体連絡状態にない端部対端部で接続された領域またはそのような領域を含む材料へと、流体を連絡させることができ、あるいは重なり合っている(これに限られるわけではないが、上部から底部へなど)が流体連絡状態にはない領域、またはそのような領域を含む材料を、接続することができる。
【0033】
試験ストリップが、改竄管理領域を備える場合には、改竄管理領域を、結果判定領域の前または後に配置することができる。そのような試験ストリップの結果判定領域に管理領域が存在する場合には、改竄管理領域は、好ましくは管理領域の前に位置するが、必ずしもそのようでなくてもよい。試験ストリップが、改竄された検体および/または管理の割り出しのための管理試験ストリップである、本発明の実施形態において、改竄管理領域を、管理領域の前または後に配置することができるが、好ましくは改竄管理領域が管理領域の前である。
【0034】
本発明の装置にて検査することができるサンプルとしては、生物学的起源の液体(例えば、ケーシング流体または臨床サンプル)が挙げられる。液体サンプルは、糞便、生物組織、または食品サンプルを含む、固体または半固体のサンプルから由来することができる。そのような固体または半固体のサンプルを、例えば混合、切断、浸漬、培養、溶解、または適切な液体(たとえば、水、リン酸緩衝生理食塩水、または他の緩衝液)中での固体サンプルの酵素による消化など、任意の適切な方法によって液体サンプルへと変換することができる。「生物学的サンプル」としては、例えば人間または動物からの尿、唾液、血液および血液の成分、脳脊髄液、膣塗抹標本、精液、糞便、汗、滲出液、組織、器官、腫瘍、組織および器官の培養、細胞培養、またはこれらからの調整済みの媒体などを含む、生きている動物、植物、および食品から由来するサンプルが挙げられる。好ましい生物学的サンプルは、尿である。食品サンプルとしては、加工済み食品成分または最終製品、肉、チーズ、ワイン、ミルク、および飲料水からのサンプルが挙げられる。植物サンプルとしては、任意の植物、植物組織、植物細胞培養、およびこれらからの調整済みの媒体から由来するものが挙げられる。「環境サンプル」としては、環境から由来するサンプルが挙げられる(例えば、湖沼または他の水域からの水サンプル、廃液サンプル、土壌サンプル、地下水、海水、および湧き水)。下水および関連の排泄物も、環境サンプルに含めることができる。
【0035】
任意の検体を、本発明および適切な検査素子を利用して検査することができる。特に、本発明を、唾液中の乱用薬物の検出に使用することができる。
【0036】
例えば、本発明を使用して検査することができる検体としては、これらに限られるわけではないが、クレアチニン、ビリルビン、亜硝酸塩、たんぱく質(非特定)、ホルモン(例えば、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモンなど)、血液、白血球、糖、重金属または毒素、バクテリア成分(例えば、大腸菌O157:H7、黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、ウエルシュ菌、カンピロバクター、リステリア菌、腸炎ビブリオ、またはセレウス菌などの、特定の種類のバクテリアに特有のたんぱく質または糖)、ならびにpHおよび比重などの尿サンプルの物理学的特性が挙げられる。側方フローの検査形式に適合させることができる他の任意の臨床尿化学検体も、本発明の装置に取り入れることができる。
【0037】
使用方法
さらに、本発明は、本明細書に記載の装置を使用する、流体サンプル中の検体の存在の検出方法を提供する。図5から図8は、そのような方法の各段階のいくつかを示している。図5は、一実施形態を示しており、サンプルアプリケータの吸収部材が、被験体の口内へと配置されることによってサンプルで満たされている。サンプルアプリケータが、まさにサンプル採取ウエル130へと挿入されようとして示されている。外観図において、サンプル採取ウエルが、案内スロットの片側にある案内ピンの位置によって示されている第1の位置(1stと記されている)にあることに、留意されたい。断面図において、サンプル採取ウエルが第1の位置にあるときに、リザーバ出口およびリザーバ入り口が整列して、サンプル採取ウエルの下部室520とリザーバとの間に流体連絡のための通路を形成していることを、見て取ることができる。さらに、検査区画入り口および検査区画は、閉じられている。
【0038】
図6は、他の実施形態を示しており、サンプルアプリケータが、サンプル採取ウエルへと圧搾プレートに向かって挿入されている。サンプルアプリケータが、圧搾プレート340に向かって下方に押し付けられ、これによってサンプルアプリケータの吸収部材が圧搾または圧迫されて、吸収部材に含まれている流体610が、サンプル採取ウエルへと絞られる。圧搾プレートを通過する流体が、下向きの矢印で指し示されている。絞られた流体は、灰色の陰影によって示されている。随意により、圧搾プレートは、2つ以上の垂直リブ570を有してよく、吸収部材の十分な圧縮を保証するため、垂直リブ570の下方にサンプルアプリケータのリムをねじ込むようにしてもよい。絞られた流体は、圧搾プレートの穴またはオリフィスを、サンプル採取ウエルの底部へと通過する。すでに述べたように、サンプル採取ウエルが第1の位置にあるとき、リザーバ出口が、リザーバ入り口に整列している。この実施形態において、採取ウエルが第1の位置にあるとき、取り分け出口は閉じられている。したがって、サンプル採取ウエルの底部の流体は、整列しているリザーバ出口およびリザーバ入り口を通過して流れる。流入する流体によって押しのけられるリザーバ内の空気は、サンプル採取ウエルの底面のリザーバ入り口近傍の孔を通って、サンプル採取ウエルの底部へと逃げる。
【0039】
図7において、サンプル採取ウエルが、第2の位置へと回転させられている。外観図において、案内ピンが、2ndで示された案内スロットの端部へと移動していることを、見て取ることができる。案内ピンが案内スロット内の第2の位置にあるとき、リザーバ出口は閉じられ、リザーバ入り口は、リザーバシール334(図3)によって封止されている。さらに、取り分け出口330および検査区画入り口540が、検査素子290が、サンプル採取ウエルの下部室と流体連絡するように、整列して一致している。したがって、サンプル採取室の下部室に残っている流体が、検査区画へと流入して試験ストリップに接する。サンプル流体が試験ストリップに接すると、この流体が、試験ストリップに吸収されて検定が開始される。検定時間は、おそらくはサンプルの粘度および使用される検査素子に応じてさまざまである。
【0040】
図8は、本発明の装置を使用するさらなる(随意による)段階を示しており、装置に蓋が取り付けられている。図8に示されているように、サンプル採取ウエルは、第2の位置のままである。蓋280が、サンプル採取ウエルの上に配置されている。リザーバは、依然として封止されたままである。したがって、装置を、確認検査のために他の場所へと輸送することが可能である。確認検査のためには、オリフィスシール272を除去または破壊し、サンプルの一部を、オリフィス270を介してリザーバから取り出すことができる。
【0041】
本発明の検査キットは、サンプルアプリケータを供給されることができる。さらに、あるいくつかの実施形態において、唾液または口内の流体、あるいは他の種類の流体について検体の存在を検出するために装置を使用に関する指示を、キットに備えることができる。顧客のニーズに応じて、パッケージの形式はさまざまである。例えば、多数の雇用前薬物検査を実施する機関は、1組の指示と、真空パックされた20組の装置およびアプリケータの箱詰めを好むかもしれず、一方で他の機関は、1つの装置、1つのサンプル採取器、および1組の指示のみを含む箱詰めキットを好むかもしれない。
【0042】

例1 分析感度
この例は、本発明の装置および方法の分析感度を説明するものである。それぞれのサンプル溶液について10個の装置を試験し、合計300回の試験を行なった。装置を、通常の唾液について、検査対象の乱用薬物についての抗原が加えられてなる試験ストリップを使用して試験した。試験ストリップは、金ゾルでラベル付けした複数の抗体をラベル領域に存在させ、抗原を検査線上に存在させて、競合的な形式で機能した。
【0043】
さらに装置を、コカイン(COC)、メタンフェタミン(MAMP)、フェンシクリジン(PCP)、テトラヒドロカナビノール(THC)、モルヒネ(MOP)、またはアンフェタミン(AMP)の標準液を、検出限界の0倍、0.5倍、1.5倍、および3倍の濃度でスパイクしたPBSについて試験した。例えば、唾液THC検査の検出限界は、4ng/mlである。したがって、0ng/ml、2ng/ml、6ng/ml、および8ng/mlのTHCを含むPBSを検査した。便宜上、試験した薬物の量を、以下の表に示す。
【表1】

【0044】
各試験を実行するため、唾液、PBS、またはスパイクしたPBSを、上述のとおりサンプルアプリケータの吸収スポンジに吸収させ、次いで検査装置のサンプル採取ウエルへと絞り出した。次に、サンプルウエルを、第1の位置から第2の位置へと回転させた。サンプルウエルを第2の位置へと回転させた後、試験ストリップが濡れた状態になり、流体が試験ストリップを通って運ばれたことを観測した。10分後に記録した試験結果を、以下の表に示す。
【0045】
【表2】

試験結果は、本発明の装置がきわめて敏感であり、期待されたカットオフ範囲をもたらすことを示している。
【0046】
例2 サンプルサイズのばらつき
この例は、サンプルサイズが本発明の装置の性能にもたらす影響を説明するものである。同型の5つの装置を、例1にて試験したものと同じ薬物について、0倍、0.5倍、および3倍の濃度(上述のとおりPBSで作成)で試験した。サンプルアプリケータにてサンプルを適用する代わりに、体積100μl、150μl、200μl、および250μlのサンプルを、装置へとピペットで注入した。サンプル適用の10分後に、すべての結果を、陽性(pos)または陰性(neg)として読み取った。250μlの0.5倍THCの試験(5つのうち4つの結果が同一であった)を除き、各試験群の5つの同型装置のすべてが、同一の結果をもたらした。したがって、本発明の装置は、サンプルの体積がかなりばらついても、正しい結果をもたらすことができる。
【0047】
例3 雇用前薬物検査
本発明の装置は、例えば雇用前薬物検査においてなど、さまざまな状況において使用可能である。検査対象となる者は、サンプルアプリケータを自身の口内に配置し、約5分間にわたって口内に保つことによって、唾液のサンプルを提供する。雇用前薬物検査のための実施形態において、装置は、この実施形態においてコカイン、メタンフェタミン、フェンシクリジン、THC、モルヒネ、およびアンフェタミンであるが、いくつかの一般的な乱用薬物のための試験ストリップを収容している。これらの試験ストリップは、競合的な免疫学的検定の形式を使用し、検査対象の各薬物について、ラベル付けされた特定の結合分子(この実施形態において、抗体)が、試験ストリップのラベル領域に存在している。検査線が、検査対象の抗原を含んでいる。サンプル中に検体が存在する場合、ラベル領域においてラベル付けされた特定の結合分子が検体と結合するため、ラベル付けされた抗体が検査線と結合することがない。したがって、検体が存在する場合には、検査線に信号が生じることがない。対照的に、唾液中に抗原が存在しない場合には、ラベル付けされた抗体が検査線に結合し、検査線上に信号をもたらす。
【0048】
満たされ、あるいは十分に湿らされたサンプルアプリケータを受け取った後、検査技師が、これを装置のサンプル採取ウエルへと挿入する。技師が、アプリケータをウエル内へと下方に押し、次いで回転させて、アプリケータのリムを一対のフランジ(この実施形態において設けられている)の下方に係止させる。その結果、サンプルアプリケータの吸収用発泡体から唾液が絞られ、圧搾プレートの穴を通過して、サンプル採取ウエルの下部室へと流入する。採取ウエルが第1の位置にあるため、サンプルは、さらにリザーバ出口を通ってリザーバへと流入する。サンプルのすべてが取り込まれ、リザーバが、確認検定を実行するための十分なサンプルを含んだとき、サンプル採取ウエルが、第1の位置から第2の位置へと回転させられ、これによってリザーバが封止されるとともに、取り分け出口が開かれる。この結果、サンプルが試験ストリップへと流入する。数分後に、検定が完了したことを示す管理の印がもたらされる。検査線のそれぞれにおいて、唾液サンプル中に乱用薬物が存在しないことを示す信号がもたらされている。陽性の結果が得られた場合には、結果を確認するために、リザーバ内に収容されているサンプルを検査できるよう、装置を確認研究室へと送ることができる。
【0049】
本明細書において例として説明した発明は、本明細書において具体的には開示しなかった、任意の1つまたは複数の要素、あるいは1つまたは複数の限定事項がなくても、実行可能である。使用した用語および表現は、説明のための用語として使用され、限定のための用語として使用されてはおらず、そのような用語および表現の使用には、図示および説明した特徴の任意の均等物またはその一部を排除しようとする意図はなく、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲において、さまざまな変更が可能であると理解される。したがって、本発明を、種々の実施形態および随意による特徴によって具体的に開示したが、当業者であれば、本明細書に開示した概念について変更および変形を行なうことができ、そのような変更および変形は、添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の技術的範囲に包含されると考えられることを、理解されたい。
【0050】
本明細書にて言及または引用した論文、特許および特許出願、ならびに他のあらゆる文献および電子的に入手可能な情報の内容は、あたかもそのような刊行物のそれぞれが、参照によって組み入れられることが具体的かつ個々に示されているような範囲で、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本出願人は、そのような任意の論文、特許、特許出願、または他の文献からの任意のかつすべての題材および情報を、本件出願へと物理的に取り入れる権利を留保する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態100の斜視図である。
【図2】図1の装置の分解図である。
【図3】図1の装置の他の分解図である。
【図4】図1の装置の6面全てを示している。
【図5】図1の装置の外観図および断面図を示しており、使用前の装置の状態を示している。
【図6】図1の装置の外観図および断面図を示しており、吸収部材112からのサンプル610の絞り出しの際の装置の状態を示している。
【図7】図1の装置の外観図および断面図を示しており、サンプル610の検査区画への解放およびリザーバ520の封止後の装置の状態を示している。
【図8】図1の装置の外観図および断面図を示しており、キャップが取り付けられた後の装置の状態を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体サンプルにおいて存在が疑われる検体を検出するための検査装置であって、
リザーバ区画、検査区画、およびサンプル採取ウエルのためのポートと、
ポート内に位置するとともに、上部室、圧搾プレート、下部室、取り分け出口、およびリザーバ出口を備える、回転可能なサンプル採取ウエルと、
検査区画内に含まれている少なくとも1つの検査素子とを有し、
サンプル採取ウエルが、サンプル採取ウエルとリザーバ区画との間でリザーバ出口を通って流体連絡がもたらされる第1の位置を有しており、
サンプル採取ウエルが、サンプル採取ウエルと検査素子との間で取り分け出口を通って流体連絡がもたらされる第2の位置を有している、検査装置。
【請求項2】
リザーバ区画は、サンプル採取ウエルが第1の位置にあるとき、リザーバ出口を通ってサンプル採取ウエルの下部室と流体連絡し、取り分け出口が閉じられている、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
検査素子は、サンプル採取ウエルが第2の位置にあるとき、取り分け出口を通ってサンプル採取ウエルの下部室と流体連絡し、リザーバ出口が閉じられている、請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
下部区画が、回転可能なサンプル採取ウエルの底部と圧搾プレートとの間の領域を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
取り分け出口およびリザーバ出口が、サンプル採取ウエルの底部に位置している、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
サンプル採取ウエルが、回転可能なサンプル採取ウエルが第1の位置に位置しているときに、取り分けリザーバを封止するための取り分けシールをさらに有している、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
第1の位置から第2の位置へのサンプル採取ウエルの回転を方向付けるために、ポートが、案内スロットを備えるとともに、回転可能なサンプル採取ウエルが、サンプル採取ウエルの外表面から延びて案内スロット内に可動に位置する案内ピンを備える、請求項6に記載の検査装置。
【請求項8】
案内スロットが、検査素子の長手方向軸と実質的に平行である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
圧搾プレートが、流体サンプルが上部室から下部室へと流れることができる開口を備える、請求項1に記載の検査装置。
【請求項10】
ケーシングが、検査素子を観察するための窓をさらに備える、請求項3に記載の検査装置。
【請求項11】
ケーシングが、リザーバ区画から液体サンプルを抜き取るため、封止可能なリザーバオリフィスをさらに備える、請求項1に記載の検査装置。
【請求項12】
検査素子が、試験ストリップである、請求項3に記載の検査装置。
【請求項13】
試験ストリップが、試験ストリップ上に固定された特定の結合分子を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
試験ストリップが、化学的試験をさらに含む、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
サンプルが体液であり、あるいは組織または体液から由来している、請求項1に記載の検査装置。
【請求項16】
サンプルが、唾液、血液、血清、血漿、尿、糞便、髄液、膣塗抹標本、粘液、および組織で構成されるグループから選択される、請求項1に記載の検査装置。
【請求項17】
サンプルが、さらに唾液を含む、請求項16に記載の検査装置。
【請求項18】
検体が、病原菌または感染した状態の指標である、請求項1に記載の検査装置。
【請求項19】
対象とする検体が、薬物、乱用薬物、ホルモン、たんぱく質、核酸分子、病因学的因子、および特定の結合メンバーからなるグループから選択される、請求項1に記載の検査装置。
【請求項20】
検体が、乱用薬物である、請求項1に記載の検査装置。
【請求項21】
サンプル採取ウエルが、2つ以上の部品を含んでおり、第1の部品が上部室および圧搾プレートを含み、第2の部品が下部室を含む、請求項1に記載の検査装置。
【請求項22】
液体サンプルにおいて存在が疑われる検体を検出する方法であり、
検体を含むと疑われる液体サンプルを、サンプルアプリケータに加えることと、
サンプルアプリケータを検査装置に絞ることによって、液体サンプルを検査装置に加えることとを含む方法であって、検査装置は、
リザーバ区画、検査区画、およびサンプル採取ウエルのためのポートと、
ポートに位置するとともに、上部室、圧搾プレート、下部室、取り分け出口、およびリザーバ出口を備える、回転可能なサンプル採取ウエルと、
検査区画内に含まれている少なくとも1つの検査素子とを有し、
サンプル採取ウエルが第1の位置にあるとき、リザーバ出口が、サンプル採取ウエルとリザーバ区画との間に流体連絡をもたらし、
サンプル採取ウエルが第2の位置にあるとき、取り分け出口が、サンプル採取ウエルと検査素子との間に流体連絡をもたらし、
前記方法がさらに、
液体サンプル中に検体が存在するか否かを検出することを含む、方法。
【請求項23】
サンプルが、サンプルアプリケータを被験体の口内に配置することによってサンプルアプリケータに加えられる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
サンプルアプリケータが唾液で満たされる、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
液体サンプルが、液体サンプルがサンプル採取ウエルの底部室へと流入するよう、サンプルアプリケータを検査装置の圧搾プレートへと押し付けて、サンプルアプリケータを絞ることによって検査装置へと加えられる、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
回転可能なサンプル採取ウエルを第2の位置へと回転させることをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
サンプル採取ウエルが第1の位置にあるとき、取り分け出口が閉じられ、サンプル採取ウエルが第2の位置にあるとき、リザーバ出口が閉じられる、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
装置を備えるキットであって、前記装置が、
リザーバ区画、検査区画、およびサンプル採取ウエルのためのポートと、
ポートに位置するとともに、上部室、圧搾プレート、下部室、取り分け出口、およびリザーバ出口を備える、回転可能なサンプル採取ウエルと、
検査区画内に含まれている少なくとも1つの検査素子とを含み、
サンプル採取ウエルが第1の位置にあるとき、リザーバ出口が、サンプル採取ウエルとリザーバとの間に流体連絡をもたらし、
サンプル採取ウエルが第2の位置にあるとき、取り分け出口が、サンプル採取ウエルと検査素子との間に流体連絡をもたらし、
前記キットがさらに、
吸収サンプルアプリケータと、
サンプルアプリケータとを備える、キット。
【請求項29】
吸収サンプルアプリケータが、発泡体を含む、請求項28に記載のキット。
【請求項30】
吸収部材が、被験体の唾液の分泌を促す溶液で処理されている、請求項28に記載のキット。
【請求項31】
唾液の採取および唾液中の検体の存在の検出において、装置およびサンプルアプリケータを使用する指示をさらに含む、請求項28に記載のキット。
【請求項32】
サンプル採取ウエルが第1の位置にあるとき、取り分け出口が閉じられ、サンプル採取ウエルが第2の位置にあるとき、リザーバ出口が閉じられる、請求項28に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−511767(P2007−511767A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540009(P2006−540009)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/038425
【国際公開番号】WO2005/050165
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(302044591)インバーネス・メデイカル・スウイツツアーランド・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (38)
【Fターム(参考)】