説明

サンプルをワークスペースからセンサへ移動させるファンを用いた、ワークスペース検体検出システムおよび方法

【課題】廉価で信頼性があり、耐用年数の長い大気検体検知システムを提供する。
【解決手段】ワークスペース50における大気検体レベルを検知し報告するシステムであり、(i)遠隔配置されたガス検体センサ20と、(ii)センサ20に取り付けられ管腔49を規定するチューブ40であり、管腔49を経てセンサ20がワークスペース50と流体連通するチューブ40と、(iii)ワークスペース50から管腔49を経てガス状内容物が連続的に移動して、センサ20と操作可能に関わるようにチューブの管腔49と密閉流体連通するファン30、とを有し、(a)ワークスペース50内にチューブ40の末端部を配置し、(b)ワークスペース50からチューブ40を経てガス状内容物が連続的に移動して、センサ20と操作可能に関わるようにファン30を駆動し、(c)センサ20によって、ワークスペース50における検体レベルを検知し報告する、ステップを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廉価で信頼性のある、耐用年数の長い大気検体検知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
産業用プロセスにおいては、しばしば、ワークスペース内の大気検体を、所定の濃度範囲を上回るか或いは下回るように維持することを要求されることがある。興味のある或いは関心のある検体は、主として、酸素、一酸化炭素或いは揮発性有機化合物などのようなよく反応する検体である。そのような一つの例が、食料品の鮮度保持包装であり、そこでは、食料品が包装される場所であるワークスペースを、窒素のような不活性ガスでフラッシングし、その結果、これに伴う包装内の酸素濃度が減少し、これによって包装食品の保存寿命が延びる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ワークスペース内の検体濃度は、一般的には、ワークスペースから遠隔設置されたオンライン検体読み分析器へ大気サンプルを送ることによって測定される。そのようなシステムは一般に有効であるが、比較的高価であり、しばしば故障しがちで、そして寿命が短い。これらのシステムの修理と交換が問題になっている一方、もっと大きな事業上の懸念は、検体検知システムが機能していない間に生産された潜在的に欠陥のある生産物が、消費者の手に届くことを防止するためにかかる時間とコストである。
【0004】
したがって、廉価であるが信頼性があり、耐用年数の長い大気検体検知システムの必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の側面は、ワークスペースにおける大気検体レベルを検知し報告するシステムである。そのシステムは、(i)遠隔設置されたガス検体センサと、(ii)センサに取り付けられ、管腔を規定するチューブであって、その管腔を経てセンサがワークスペースと流体連通するチューブと、(iii) ワークスペースから管腔を経てガス状内容物が連続的に移動して、センサと操作可能に関わらせるため、チューブの管腔と流体連通するファンとを含む。
【0006】
本発明の第一の側面の具体的な実施例は、製袋充てん機のワークスペースにおける酸素レベルを検知し報告するシステムである。そのシステムは、(i)袋に生産物が充填されて密封される場所である、大気にさらされたワークスペースを規定する製袋充てん機と、(ii) ワークスペースにおける酸素レベルを減少させるため、ワークスペースを不活性ガスでフラッシングするためのフラッシュシステムと、(iii)ワークスペースに対して遠隔配置された酸素センサと、(iv)酸素センサに取り付けられ、管腔を規制するチューブであって、その管腔を経て酸素センサがワークスペースと流体連通するチューブと、(v) ガス状内容物がワークスペースから連続的に移動して、酸素センサと操作可能に関わるように、チューブの管腔と密封流体連通するファンとを含む。
【0007】
本発明の第二の側面は、ワークスペースにおける検体レベルを検知し報告する方法である。その方法は、以下の(i)から(iii)のステップを含む。すなわち、(i)検体センサに取り付けられたチューブの末端部をワークスペース内に設置し、(ii) ガス状内容物がワークスペースからチューブを経て連続的に移動して、センサと操作可能に関わるように、チューブの管腔と密封流体連通するファンを駆動し、 (iii)センサによって、ワークスペースにおける検体レベルを検知し報告すること、のステップを含む。
【0008】
本発明の第二の側面の具体的な実施例は、製袋充てん機のワークスペースへの不活性ガスのフラッシングを制御する方法である。その方法は、以下の(i)から(iv)のステップを含む。すなわち、(i)酸素センサに取り付けられたチューブの末端部を製袋充てん機のワークスペース内に設置し、(ii) ガス状内容物がワークスペースからチューブを経て連続的に移動して、酸素センサと操作可能に関わるように、チューブの管腔と密封流体連通するファンを駆動し、 (iii)酸素センサによって、ワークスペースにおける酸素レベルを検知し報告し、(iv)報告されたワークスペースにおける酸素レベルに基づいて、不活性ガスのワークスペースへの流量を調整すること、のステップを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
特許請求の範囲を含み、本明細書で利用される“ファン”という用語は、相対的に低い圧力差でガスを移動させるために、少なくともロータ、ブレード及びハウジングを含んだ機械を意味し、そこでは、ブレードはハウジングと密閉的に係合しない。
【0010】
本発明のガス検体システム10は、ワークスペース50におけるガス状検体の濃度を測定するのに有効である。関心のある一般的な検体は、具体的には、二酸化炭素、一酸化炭素、酸素、オゾン、水蒸気、そしてプロパン、ベンゼン、トルエン、メタノールなどの揮発性有機化合物であるが、しかしこれらに限定されない。
【0011】
図1を参照すると、本発明のガス検体システム10が一般的なワークスペース50と流体連通するように描かれている。ワークスペース50は、横型及び縦型の充てん包装機を含む、多くの様々な装置部分のいずれかによって規定される。そのような装置部分の一つが、標準的な製袋充てん機(図示せず)であり、そこでは、包装フィルム(図示せず)がマスターロール(図示せず)からワークスペース50に供給され、そこでフィルムが個別の袋(図示せず)の形になる。製袋充てん機の充てん部(図示せず)とシール部(図示せず)はワークスペース50内に設置される。包装されるべき生産物(図示せず)(例えば、ポテトチップス)は、ホッパー(図示せず)内に蓄えられ、袋が形成された後フィーダーチューブ(図示せず)によって袋に導かれる。詰められた袋は、第一のコンベヤ(図示せず)によってワークスペース50を進み、ワークスペース50を抜け出ると、さらなる処理のために第二のコンベヤ(図示せず)によってワークスペース50から離れる。
【0012】
不活性ガス61は、一般的には窒素、二酸化炭素或いはそれらの組み合わせであり、ワークスペース50における酸素レベルを減少させるために、ガス導入システム60を経てワークスペース50へと供給される。一例として、ポテトチップスのようなスナック菓子は、通常袋の上部空間(図示せず)における酸素濃度が3%より少ない濃度で包装される。ワークスペース50における酸素レベルを減少させることで、製袋充てん機によって形成される密封された袋の上部空間の酸素レベルは、その上部空間がワークスペース50からの空気で満たされるため、ワークスペース50内の酸素濃度に対応した減少された酸素濃度を含むことになる。
【0013】
図1を参照し、関心のある検体の濃度を検知するのに有効な検体センサ20は、適切なチューブ40を経てワークスペース50と流体連通するよう配置される。センサ20は、検知された検体レベルをオペレーターに報告するためのディスプレイ(図示せず)を備えることができ、および/または、検知された検体レベルをマイクロコントローラ100に報告するために、マイクロコントローラ100と電気通信させることができる。
【0014】
ガス導入システム60は流量制御弁70を備え、これによって、検知されて報告されたワークスペース50内の検体濃度に基づいて、ガス導入システム60を介しガスの流れを手動或いは自動制御することができる。ガス導入システム60は、ワークスペース50内の減少した検体濃度を維持するために、ワークスペース50内に不活性ガスを導入するために使用され(例えば、フラッシングシステム)、或いはこの他に、ワークスペース50内を望ましい反応環境に維持するために、ワークスペース50内に反応ガスを導入するために使用される(例えば、反応物質供給システム)。ガス導入システム60をフラッシングシステムとして使用する例は、流量制御弁70と検体センサ20とを、マイクロコントローラ100と電気通信させることであり、マイクロコントローラ100は、検体センサ20が、ワークスペース50内で処理された生産物の汚染を防ぐために規定された上限閾値(例えば、4%)を上回る検体レベルを検知したときは、ワークスペース50への不活性ガスの流れを増加させるため、バルブ70を開くようにプログラムされ、そして、検体センサ20が、不活性ガスの過度の使用を防ぐために規定された下限閾値(例えば、2%)を下回る検体レベルを検知したときは、ワークスペース50への不活性ガスの流れを減少させるため、バルブ70を閉じるようにプログラムされる。
【0015】
ガス導入システム60を反応物質供給システムとして使用する例は、流量制御弁70と検体センサ20とを、マイクロコントローラ100と電気通信させることであり、マイクロコントローラ100は、検体センサ20が、ワークスペース50内に充分な検体が存在することを保証するために規定された下限閾値(例えば、40%)を下回る検体レベルを検知したときは、ワークスペース50への検体の流れを増加させるため、バルブ70を開くようにプログラムされ、そして、検体センサ20が、検体の過度の使用を防ぐために規定された上限閾値(例えば、50%)を上回る検体レベルを検知したときは、ワークスペース50へのガス状検体の流れを減少させるためにバルブ70を閉じるようにプログラムされる。
【0016】
検体センサ20によって検査されるガスサンプルは、チューブ40の管腔49と密封流体連通するファン30によって、チューブ40を経て継続的にワークスペース50から排出される。ファン30は、チューブ40を経て比較的低い圧力差でガスを連続的に引き込むために、ハウジング31、ロータ32、そしてブレード33を含む。私が驚きをもって発見したことは、ワークスペース50から引き込まれ、検体センサ20を通過する適切なサンプルは、ポンプ(すなわち、比較的高い圧力差で流体を移動させる機械であって、そこではブレードはハウジングと密閉的に係合している)によってではなく、ファン30(すなわち、比較的低い圧力差でガスを移動させる機械であって、そこではブレードはハウジングと密閉的に係合していない)を利用することによって、著しいコスト削減とガス検体システム10の耐用年数の大幅な増加が図られる、ということである。
【0017】
広範囲のファン30が、ガス検体検知システム10に適切に使用される。推奨のファン30は、小型のファン(すなわち、一般的には、幅が約2.5cm(約1インチ)から25cm(10インチ)、高さが約2.5cm(約1インチ)から25cm(10インチ)、厚さが約1.3cm(約1/2インチ)から5cm(2インチ))で、毎分回転数が約1,500から約15,000の間であり、CPUで、そして同様な用途で広く使用されている。
【0018】
検知システム10は、ワークスペース50からセンサ20を通過する少なくとも毎分0.1リットルのガス流量を供給するように組み立てられ、構成され、配置されるべきであるが、これは、毎分0.1リットルを下回る流量では、ワークスペース50内の検体濃度の変化の検知が著しく遅れ得るからである。ほとんどの用途において、流量は毎分約5リットルを下回る流量を維持すべきであり、毎分5リットルを十分に下回るのが好ましいが、これは、毎分約5リットルを上回る流量は、ワークスペース50からの望ましいガスの濃度を激減させ、対応した利益がなくなるからである。流量に影響する主な変数は、採用されたファン30の性能等級とチューブ40における管腔49の寸法である。
【0019】
ガス検体システム10は、以下の(i)(ii)(iii)を単に実行することによって、ワークスペース50における検体レベルを検知し報告するために、効率的に配置され使用される。すなわち、(i)チューブ40の末端部40bをワークスペース50と流体連通させ、(ii)ワークスペース50からチューブ40を経て連続的にガス状内容物が移動して、センサ20と操作可能に関わらせるために、ファン30を駆動し、そして(iii)センサ20によって、ワークスペース50から引き込まれたガス状サンプルの検体レベルを検知し、報告することである。
【0020】
本明細書において、括弧書きの数値とともに示した数値は、括弧書きの数値の換算値であり、換算に誤りがある場合は、括弧書きの数値が正しいものとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例の側面図である。
【図2】図1で示された本発明のファンの部分の断面の側面図である。
【図3】図2に示された本発明のファンの部分の斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
10 ガス検体検知システム
20 検体センサ
30 ファン
31 ハウジング
32 ロータ
33 ブレード
40 チューブ
49 チューブの管腔
50 ワークスペース
60 ガス導入システム
61 導入されたガス
70 流量制御弁
100 マイクロコントローラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス検体センサと、チューブと、ファンとを有するシステムであって、
(a)前記ガス検体センサは、ワークスペースに対して遠く離れて位置し、
(b)前記チューブは、前記センサに取り付けられ、かつ管腔を規定するチューブであって、前記センサを前記管腔を経て前記ワークスペースと流体連通させ、
(c)前記ファンは、前記ワークスペースから前記管腔を経てガス状内容物が連続的に移動して、前記センサと操作可能に関わるように、前記チューブの前記管腔と流体連通し、
(d)それによって、前記センサが前記ワークスペースにおける検体レベルを検知し、報告することが出来る、
システム。
【請求項2】
前記ファンが前記チューブの前記管腔と密閉流体連通している、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ガス検体センサが酸素センサである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
製袋充てん機と、フラッシュシステムと、酸素センサと、チューブと、ファンとを有するシステムであって、
(a)前記製袋充てん機は、袋に生産物が充填されて密封される場所である、大気にさらされたワークスペースを規定し、
(b)前記フラッシュシステムは、前記ワークスペースにおける酸素レベルを減少させるために、前記ワークスペースを不活性ガスでフラッシングし、
(c)前記酸素センサは、前記ワークスペースに対して遠く離れて位置し、
(d)前記チューブは、前記酸素センサに取り付けられ、かつ管腔を規定し、前記管腔を経て、前記酸素センサは前記ワークスペースと流体連通され、
(e)前記ファンは、前記ワークスペースからガス状内容物が連続的に移動して、前記酸素センサと操作可能に関わるように、前記チューブの前記管腔と密閉流体連通し、
(f) それによって、前記酸素センサが前記ワークスペースにおける酸素レベルを検知し、報告することが出来る、
システム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムであって、
(i)前記フラッシュシステムは、該フラッシュシステムを経て前記ワークスペースに至る不活性ガスの流量を制御する流量制御弁を含み、
(ii)前記システムは、さらに前記流量制御弁及び前記センサと電気通信するマイクロコントローラを含み、該マイクロコントローラは、(A)前記酸素センサが規定された第一の閾値を上回る前記ワークスペース内の酸素濃度を検知したときに、前記フラッシュシステムを経て前記ワークスペースに至る不活性ガスの流量を増加させるために、流量制御弁を開き、(B) 前記酸素センサが規定された第二の閾値を下回る酸素濃度を検知したときに、前記フラッシュシステムを経て前記ワークスペースに至る不活性ガスの流量を減少させるために、流量制御弁を閉じる、
システム。
【請求項6】
前記不活性ガスが窒素、二酸化炭素、或いはそれらの組み合わせである、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記不活性ガスが窒素、二酸化炭素、或いはそれらの組み合わせである、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
ワークスペースにおける検体レベルを検知し、報告する方法であって、
(a)検体センサに取り付けられたチューブの末端部をワークスペース内に配置し、
(b)前記ワークスペースから前記チューブを経てガス状内容物が連続的に移動して、前記センサと操作可能に関わるように、前記チューブの前記管腔と密閉流体連通するファンを駆動し、
(c)前記センサによって、前記ワークスペースにおける検体レベルを検知し報告する、
方法。
【請求項9】
前記ワークスペースにおける検体の報告されたレベルに基づいて、前記ワークスペースへの不活性ガスの流量を調整するステップをさらに有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ワークスペースは、袋に生産物が充填され密封される場所である製袋充てん機によって規定されるワークスペースである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
さらに前記検体センサが酸素センサである、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
製袋充てん機のワーススペースの不活性ガスのフラッシングを制御する方法であって、
(a)製袋充てん機の前記ワークスペース内に、酸素センサに取り付けられたチューブの末端部を配置し、
(b) 前記ワークスペースから前記チューブを経てガス状内容物が連続的に移動して、前記酸素センサと操作可能に関わるように、前記チューブの前記管腔と密閉流体連通するファンを駆動し、
(c) 前記センサによって前記ワークスペースにおける酸素レベルを検知し報告し、
(d)前記ワークスペースにおける酸素の報告されたレベルに基づいて、前記ワークスペースへの不活性ガスの流量を調整する、
方法。
【請求項13】
前記酸素センサが規定された第一の閾値を上回る前記ワークスペース内の酸素濃度を検知したときに、前記ワークスペースへの不活性ガスの流量が自動的に増加し、そして、 前記酸素センサが規定された第二の閾値を下回る酸素濃度を検知したときに、前記ワークスペースへの不活性ガスの流量が自動的に減少する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記不活性ガスが窒素、二酸化炭素、或いはその組み合わせである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記不活性ガスが窒素、二酸化炭素、或いはその組み合わせである、請求項13に記載の方法。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−134246(P2008−134246A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−294042(P2007−294042)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(592014182)モコン・インコーポレーテッド (16)
【氏名又は名称原語表記】MODERN CONTROLS, INCORPORATED
【Fターム(参考)】