説明

サンプルレート変換器及びこれを用いた受信機

【課題】折り返しノイズ除去のためのフィルタを高次かつ小面積に構成可能なサンプルレート変換器を提供する。
【解決手段】第1の帰還信号及び入力信号のいずれか一方を選択して選択入力信号を得る選択部と;デシメーション比に応じて、N次の積分信号に対しデシメーションを行って出力信号を生成するデシメータと;出力信号に対しデシメーション比に応じたインターポレーションを行って第2の帰還信号を生成するインターポレータと;第2の帰還信号に選択係数を乗じて乗算信号を生成する乗算器と;選択入力信号から乗算信号を減算して残差信号を生成する減算器と;第3の帰還信号と残差信号とを加算して積分信号を順次生成する加算器と;積分信号を保持するレジスタ回路と;保持された積分信号から第1の帰還信号を選択する選択部と;保持された積分信号から第3の帰還信号を選択する選択部と;を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力信号のサンプルレートを変換するサンプルレート変換器及びこれを用いた受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
オーバーサンプリング型A/D変換器の出力信号である高速デジタル信号をサンプルレート変換器によってダウンサンプルすると、所望信号帯域に量子化ノイズの折り返し成分(ノイズ)が発生することがある。上記折り返しノイズは、信号対雑音比(SNR)の劣化を招く。従来、例えばsinc型フィルタなどの位相直線性の高いフィルタが使用され、ダウンサンプルの前に上記折り返しノイズが除去される。
【0003】
通常、フィルタは高次であるほど折り返しノイズを効果的に除去できる。特許文献1記載のデシメーションフィルタでは、1次積分回路を複数段縦続接続して構成したsinc型フィルタを用いて折り返しノイズを除去している。
【特許文献1】特開平10−209815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載のデシメーションフィルタは、sinc型フィルタの次数と同数の積分回路を縦続接続している。即ち、sinc型フィルタの次数の増加に伴って、回路面積が増大する。また、実際に積分回路を複数段縦続接続してsinc型フィルタを構成する場合、各段の回路面積は、後段になるほど大きくなる。従って、特許文献1記載のデシメーションフィルタは、高次sinc型フィルタを使用することが困難である。
【0005】
従って、本発明は折り返しノイズ除去のためのフィルタを高次かつ小面積に構成可能なサンプルレート変換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るサンプルレート変換器は、入力信号に対しN(Nは2以上の自然数)次積分を行ったのちサンプルレートの変換を行って出力信号を生成するサンプルレート変換器において、第N次の積分信号を得るために繰り返し利用される第M次(Mは1≦M<Nの自然数)積分信号によって構成される第1の帰還信号及び前記入力信号のいずれか一方を選択して選択入力信号を得る第1の選択部と;前記デシメーション比に応じて、前記N次の積分信号に対しデシメーションを行って前記出力信号を生成するデシメータと;前記出力信号に対し前記デシメーション比に応じたインターポレーションを行って第2の帰還信号を生成するインターポレータと;前記サンプルレートに応じた周期内にN個の係数の1つを順次選択して選択係数を得る第2の選択部と;前記第2の帰還信号に前記選択係数を乗じて乗算信号を生成する乗算器と;前記選択入力信号から前記乗算信号を減算して残差信号を生成する減算器と;前記選択入力信号よりも次数が1大きい第3の帰還信号と前記残差信号とを加算して第1次から前記第N次までの積分信号を順次生成する加算器と;前記第1次から前記第N次までの積分信号を保持するレジスタ回路と;保持された前記第1次から前記第N次までの積分信号から前記第1の帰還信号を選択する第3の選択部と;前記保持された前記第1次から前記第N次までの積分信号から前記第3の帰還信号を選択する第4の選択部と;を具備する。
【0007】
本発明の他の態様に係るサンプルレート変換器は、入力信号に対しN(Nは4以上の偶数)次積分を行ったのちサンプルレートの変換を行って出力信号を生成するサンプルレート変換器において、第N次の積分信号を得るために繰り返し利用される第M次(Mは1≦M<Nの偶数)積分信号によって構成される第1の帰還信号及び前記入力信号のいずれか一方を選択して選択入力信号を得る第1の選択部と;前記デシメーション比に応じて、前記N次の積分信号に対しデシメーションを行って前記出力信号を生成するデシメータと;前記出力信号に対し前記デシメーション比に応じたインターポレーションを行って第2の帰還信号を生成するインターポレータと;前記サンプルレートに応じた周期内にN/2個の第1の係数の1つを順次選択して第1の選択係数を得る第2の選択部と;前記第2の帰還信号に前記第1の選択係数を乗じて第1の乗算信号を生成する第1の乗算器と;前記選択入力信号から前記第1の乗算信号を減算して第1の残差信号を生成する第1の減算器と;前記選択入力信号よりも次数が1大きい第3の帰還信号と前記第1の残差信号とを加算して第1次から前記第N次までの奇数次の積分信号を順次生成する第1の加算器と;前記第1次から前記第N次までの奇数次の積分信号を保持する第1のレジスタ回路と;前記保持された前記第1次から前記第N次までの奇数次の積分信号から前記第3の帰還信号を選択する第3の選択部と;前記周期内にN/2個の第2の係数の1つを順次選択して第2の選択係数を得る第4の選択部と;前記第2の帰還信号に前記第2の選択係数を乗じて第2の乗算信号を生成する第2の乗算器と;前記第1次から前記第N次までの奇数次の積分信号から前記第2の乗算信号を減算して第2の残差信号を生成する第2の減算器と;前記第1次から前記第N次までの奇数次の積分信号よりも次数が1大きい第4の帰還信号と前記第2の残差信号とを加算して第1次から前記第N次までの偶数次の積分信号を順次生成する第2の加算器と;前記第1次から前記第N次までの偶数次の積分信号を保持する第2のレジスタ回路と;前記保持された前記第1次から前記第N次までの偶数次の積分信号から前記第4の帰還信号を選択する第5の選択部と;保持された前記第1次から前記第N次までの偶数次の積分信号から前記第1の帰還信号を選択する第6の選択部と;を具備する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、折り返しノイズ除去のためのフィルタを高次かつ小面積に構成可能なサンプルレート変換器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係るサンプルレート変換器は、マルチプレクサ101、マルチプレクサ102、デシメータ103、インターポレータ104及びループフィルタ110を有する。ループフィルタ110は、折り返しノイズを除去するためのN次sincフィルタ(Nは2以上の自然数)であって、減算器111、乗算器112、マルチプレクサ113、加算器114、マルチプレクサ115及びレジスタ回路120を含む。
【0010】
マルチプレクサ101は、図1のサンプルレート変換器の入力信号input及び後述するマルチプレクサ102からのリサイクル信号RCYのいずれか一方を選択し、選択入力信号として減算器111に渡す。リサイクル信号RCYは、最終的な(第N次の)積分信号INTを得るために繰り返し利用されるNより低い次数の積分信号である。マルチプレクサ101は、後述する制御クロックΦ1によって制御され、制御クロックΦ1が「1」であれば入力信号inputを選択し、制御クロックΦ1が「0」であればリサイクル信号RCYを選択する。
【0011】
乗算器112は、後述するインターポレータ104からの帰還信号FBに、後述するマルチプレクサ113からの選択乗算係数を乗じ、乗算結果(乗算信号)を減算器111に渡す。
【0012】
マルチプレクサ113は、N個の乗算係数K1,K2,…,KNが入力され、「1」である期間が上記入力信号inputと同じサンプルレートであって1周期を超えない範囲で重なり合わないN個の制御クロックΦ1,Φ2,…,ΦNによって制御される。尚、制御クロックΦ1,Φ2,…,ΦNは、例えば「1」である期間が上記1周期の1/N倍以下のクロックの位相を2π/Nずつずらして得られるN個のクロックである。マルチプレクサ113は、上記制御クロックのいずれか1つが「1」であれば、対応する乗算係数を選択し、選択乗算係数として乗算器112に渡す。具体的には、N個の制御クロックΦ1,Φ2,…,ΦNの各々と、N個の乗算係数K1,K2,…,KNの各々とは、一対一に対応しており、マルチプレクサ113は、1つの制御クロックに対し1つの乗算係数を選択する。尚、乗算係数K1,K2,…,KNの各々の値は、図1のサンプルレート変換器のダウンサンプル比D及びループフィルタ110の次数Nによって決まる。乗算係数K1,K2,…,KNの値の一例を図5に示す。
【0013】
減算器111は、乗算器112からの乗算結果をマルチプレクサ101からの選択入力信号より減算する。即ち、減算器111は、乗算器112において選択乗算係数が乗算された帰還信号FBを選択入力信号より減算する。減算器111は、減算結果(残差信号)を積分器入力信号として、加算器114に渡す。
【0014】
加算器114は、減算器111からの積分器入力信号と、後述するマルチプレクサ115からの積分器帰還信号とを加算することにより、積分を行う。加算器114は、加算結果を積分信号INTとしてレジスタ回路120及びデシメータ103に渡す。
【0015】
レジスタ回路120は、第1次(1st)の積分信号INTを一時的に保持するためのフリップフロップ120−1、第2次(2nd)の積分信号INTを一時的に保持するためのフリップフロップ120−2、…、第N次(Nth)の積分信号INTを一時的に保持するためのフリップフロップ120−Nを含む。具体的には、フリップフロップ120−1は、制御クロックΦ1の反転クロック/Φ1(以降の説明において反転クロックを示す記号としてスラッシュ(/)を使用する)によって制御されるいわゆるポジティブエッジトリガDフリップフロップであって、反転クロック/Φ1の立ち上がりエッジによってラッチ状態に遷移して入力信号を保持し、次の立ち上がりエッジまで当該信号を出力する。一方、フリップフロップ120−2、…、フリップフロップ120−Nは、制御クロックΦ2,…,ΦNの反転クロック/Φ2,…/ΦNによって夫々制御される。尚、以降の説明においてフリップフロップは、特に断りのない限りポジティブエッジトリガDフリップフロップであるものとする。
【0016】
フリップフロップ120−1乃至120−Nには、加算器114からの積分信号INTが共通に入力される。反転クロック/Φ1の立ち上がり時には、第1次の積分信号INTがレジスタ回路120に入力され、フリップフロップ120−1が当該積分信号INTを保持する。そして、フリップフロップ120−1は、反転クロック/Φ1の次の立ち上がりエッジまで当該積分信号INTをマルチプレクサ102及びマルチプレクサ115に渡す。また、反転クロック/Φ2の立ち上がり時には、第2次の積分信号INTがレジスタ回路120に入力され、フリップフロップ120−2が当該積分信号INTを保持する。そして、フリップフロップ120−2は、反転クロック/Φ2の次の立ち上がりエッジまで当該積分信号INTをマルチプレクサ102及びマルチプレクサ115に渡す。また、反転クロック/ΦNの立ち上がり時には、第N次の積分信号INTがレジスタ回路120に入力され、フリップフロップ120−Nが当該積分信号INTを保持する。そして、フリップフロップ120−Nは、反転クロック/ΦNの次の立ち上がりエッジまで当該積分信号INTをマルチプレクサ115にのみ渡す。
【0017】
即ち、フリップフロップ120−1,120−2,…,120−(N−1)は、夫々第1次、第2次、…、第(N−1)次の積分信号INTを夫々保持し、マルチプレクサ102及びマルチプレクサ115に渡す。一方、フリップフロップ120−Nは、第N次の積分信号INTを保持し、マルチプレクサ115のみに渡す。後述するように、第N次の積分信号INTはリサイクル信号RCYとして使用されないため、マルチプレクサ102に渡さなくてもよい。
【0018】
マルチプレクサ115は、レジスタ回路中120中のフリップフロップ120−1乃至120−Nから第1乃至第N次の積分信号INTが夫々入力され、1つの積分信号INTを積分器帰還信号として、加算器114に渡す。具体的には、マルチプレクサ115は上記制御クロックΦ1乃至ΦNによって制御され、1周期前の積分信号INTであって選択入力信号よりも次数が1大きい積分信号INTを選択する。
【0019】
デシメータ103は、制御クロックΦDECによって制御されるフリップフロップであって、図1のサンプルレート変換器に応じたダウンサンプル比Dのデシメータとして動作する。即ち、デシメータ103は、加算器114からの積分信号INTのサンプル数が1/D倍になるように間引くデシメーションを行う。デシメータ103は、デシメーション結果を図1のサンプルレート変換器の出力信号outputとして出力すると共に、当該デシメーション結果をインターポレータ104に渡す。
【0020】
インターポレータ104は、制御クロックΦINTによって制御され、デシメータ103からのデシメーション結果のサンプル数がD倍になるように0を挿入するインターポレーションを行う。具体的には、インターポレータ104は、上記デシメーション結果と制御クロックΦINTとのAND演算を行う。インターポレータ104は、上記インターポレーション結果を帰還信号FBとして乗算器112に渡す。
【0021】
マルチプレクサ102は、レジスタ回路120中のフリップフロップ120−1乃至120−(N−1)から第1乃至第(N−1)次の積分信号INTが夫々入力され、いずれか1つをリサイクル信号RCYとして選択し、マルチプレクサ101に渡す。具体的には、マルチプレクサ102は上記制御クロックΦ2乃至ΦNによって制御され、各制御クロックに対し、第1乃至第(N−1)次の積分信号INTを選択する。即ち、マルチプレクサ102は、制御クロックΦ2に対し第1次の積分信号INT、制御クロックΦ3に対し第2次の積分信号INT、…、制御クロックΦNに対し第(N−1)次の積分信号INT1を夫々選択する。尚、制御クロックΦ2乃至ΦNが全て「0」である期間(例えば、制御クロックΦ1が「1」である期間)には、マルチプレクサ102はフローティング状態(Z)であってもよい。
【0022】
以下、図2に示すタイミングチャートを用いて図1のサンプルレート変換器の動作を説明する。尚、以下の説明において、上記サンプルレート変換器のダウンサンプル比Dは「2」とする。図2下段は、図2上段の指定領域におけるタイミングチャートをより詳細に示している。
【0023】
図2下段に示すように、制御クロックΦ1乃至ΦNは、入力信号inputと同じサンプルレートであって、位相が2π/Nずつずれたクロックである。まず、制御クロックΦ1が立ち上がると、マルチプレクサ101は入力信号input(=data(0))を選択し、選択入力信号として減算器111に渡す。
【0024】
乗算器112は、インターポレータ104からの帰還信号FB(=signal(0))に、マルチプレクサ113からの選択乗算係数を乗じる。ここで、制御クロックΦ1が「1」なので、マルチプレクサ113は乗算係数K1を選択乗算係数として選択し、乗算器112に渡す。乗算器112は、乗算結果(=K1×signal(0))を減算器111に渡す。
【0025】
減算器111は、乗算器112からの乗算結果(=K1×signal(0))をマルチプレクサ101からの選択入力信号(=data(0))から減じ、減算結果(=data(0)−K1×signal(0))を積分器入力信号として加算器114に渡す。マルチプレクサ115は、制御クロックΦ1が「1」なので、1周期前の第1次の積分信号INT(0とする)を積分器帰還信号として加算器114に渡す。
【0026】
加算器114は、減算器111からの積分器入力信号(=data(0)−K1×signal(0))に、マルチプレクサ115からの積分器帰還信号(=0)を加算し、加算結果を第1次の積分信号INT(=data(0)−K1×signal(0)=1st(0))としてレジスタ回路120及びデシメータ103に渡す。レジスタ回路120中のフリップフロップ120−1は、制御クロックΦ1の立ち下がり時(反転クロック/Φ1の立ち上がり時)に、加算器114からの上記第1次の積分信号INT(=1st(0))を保持する。
【0027】
次に、制御クロックΦ2が立ち上がる。マルチプレクサ102は、制御クロックΦ2が「1」なので、レジスタ回路120中のフリップフロップ120−1からの第1次の積分信号INT(=1st(0))をリサイクル信号RCYとして選択し、マルチプレクサ101に渡す。
【0028】
マルチプレクサ101は、制御クロックΦ1が「0」なので、マルチプレクサ102からのリサイクル信号RCY(=1st(0))を選択し、選択入力信号として減算器111に渡す。
【0029】
乗算器112は、インターポレータ104からの帰還信号FB(=signal(0))に、マルチプレクサ113からの選択乗算係数を乗じる。ここで、制御クロックΦ2が「1」なので、マルチプレクサ113は乗算係数K2を選択し、選択乗算係数として乗算器112に渡す。乗算器112は、乗算結果(=K2×signal(0))を減算器111に渡す。
【0030】
減算器111は、乗算器112からの乗算結果(=K2×signal(0))をマルチプレクサ101からの選択入力信号(=1st(0))から減じ、減算結果(=1st(0)−K2×signal(0))を積分器入力信号として加算器114に渡す。マルチプレクサ115は、制御クロックΦ2が「1」なので、1周期前の第2次の積分信号INT(0とする)を積分器帰還信号として加算器114に渡す。
【0031】
加算器114は、減算器111からの積分器入力信号(=1st(0)−K2×signal(0))に、マルチプレクサ115からの積分器帰還信号(=0)を加算し、加算結果を第2次の積分信号INT(=1st(0)−K2×signal(0)=2nd(0))としてレジスタ回路120及びデシメータ103に渡す。レジスタ回路120中のフリップフロップ120−2は、制御クロックΦ2の立ち下がり時(反転クロック/Φ2の立ち上がり時)に、加算器114からの上記第2次の積分信号INT(=2nd(0))を保持する。
【0032】
以降、制御クロックΦ3の立ち上がりから制御クロックΦN-1の立ち下がりまで図1のサンプルレート変換器は、同様の動作を繰り返すため説明を省略する。
制御クロックΦNが立ち上がると、マルチプレクサ102はレジスタ回路120中のフリップフロップ120−(N−1)からの第(N−1)次の積分信号INT(=(N−1)th(0))をリサイクル信号RCYとして選択し、マルチプレクサ101に渡す。
【0033】
マルチプレクサ101は、制御クロックΦ1が「0」なので、マルチプレクサ102からのリサイクル信号RCY(=(N−1)th(0))を選択し、選択入力信号として減算器111に渡す。
【0034】
乗算器112は、インターポレータ104からの帰還信号FB(=signal(0))に、マルチプレクサ113からの選択乗算係数を乗じる。ここで、制御クロックΦNが「1」なので、マルチプレクサ113は乗算係数KNを選択し、選択乗算係数として乗算器112に渡す。乗算器112は、乗算結果(=KN×signal(0))を減算器111に渡す。
【0035】
減算器111は、乗算器112からの乗算結果(=KN×signal(0))をマルチプレクサ101からの選択入力信号(=(N−1)th(0))から減じ、減算結果(=(N−1)th(0)−KN×signal(0))を積分器入力信号として加算器114に渡す。マルチプレクサ115は、制御クロックΦNが「1」なので、1周期前の第N次の積分信号INT(0とする)を積分器帰還信号として加算器114に渡す。
【0036】
加算器114は、減算器111からの積分器入力信号(=(N−1)th(0)−KN×signal(0))に、マルチプレクサ115からの積分器帰還信号(=0)を加算し、加算結果を第N次の積分信号INT(=(N−1)th(0)−KN×signal(0)=Nth(0))としてレジスタ回路120及びデシメータ103に渡す。レジスタ回路120中のフリップフロップ120−Nは、制御クロックΦNの立ち下がり時(反転クロック/ΦNの立ち上がり時)に、加算器114からの上記第N次の積分信号INT(=Nth(0))を保持する。
【0037】
次に、再び制御クロックΦ1が立ち上がると、マルチプレクサ101は入力信号input(=data(1))を選択し、選択入力信号として減算器111に渡す。
【0038】
乗算器112は、インターポレータ104からの帰還信号FB(=0)に、マルチプレクサ113からの選択乗算係数を乗じる。ここで、制御クロックΦ1が「1」なので、マルチプレクサ113は乗算係数K1を選択乗算係数として選択し、乗算器112に渡す。乗算器112は、乗算結果(=0)を減算器111に渡す。
【0039】
減算器111は、乗算器112からの乗算結果(=0)をマルチプレクサ101からの選択入力信号(=data(1))から減じ、減算結果(=data(1))を積分器入力信号として加算器114に渡す。マルチプレクサ115は、制御クロックΦ1が「1」なので、1周期前の第1次の積分信号INT(=1st(0))を積分器帰還信号として加算器114に渡す。
【0040】
加算器114は、減算器111からの積分器入力信号(=data(1))に、マルチプレクサ115からの積分器帰還信号(=1st(0))を加算し、加算結果を第1次の積分信号INT(=data(1)+1st(0)=1st(1))としてレジスタ回路120及びデシメータ103に渡す。レジスタ回路120中のフリップフロップ120−1は、反転クロック/Φ1の立ち上がり時に、加算器114からの上記第1次の積分信号INT(=1st(1))を保持する。
【0041】
次に、制御クロックΦ2が立ち上がる。マルチプレクサ102は、制御クロックΦ2が「1」なので、レジスタ回路120中のフリップフロップ120−1からの第1次の積分信号INT(=1st(1))をリサイクル信号RCYとして選択し、マルチプレクサ101に渡す。
【0042】
マルチプレクサ101は、制御クロックΦ1が「0」なので、マルチプレクサ102からのリサイクル信号RCY(=1st(1))を選択し、選択入力信号として減算器111に渡す。
【0043】
乗算器112は、インターポレータ104からの帰還信号FB(=0)に、マルチプレクサ113からの選択乗算係数を乗じる。ここで、制御クロックΦ2が「1」なので、マルチプレクサ113は乗算係数K2を選択し、選択乗算係数として乗算器112に渡す。乗算器112は、乗算結果(=0)を減算器111に渡す。
【0044】
減算器111は、乗算器112からの乗算結果(=0)をマルチプレクサ101からの選択入力信号(=1st(1))から減じ、減算結果(=1st(1))を積分器入力信号として加算器114に渡す。マルチプレクサ115は、制御クロックΦ2が「1」なので、1周期前の第2次の積分信号INT(=2nd(0))を積分器帰還信号として加算器114に渡す。
【0045】
加算器114は、減算器111からの積分器入力信号(=1st(1))に、マルチプレクサ115からの積分器帰還信号(=2nd(0))を加算し、加算結果を第2次の積分信号INT(=1st(1)+2nd(0)=2nd(1))としてレジスタ回路120及びデシメータ103に渡す。レジスタ回路120中のフリップフロップ120−2は、反転クロック/Φ2の立ち上がり時に、加算器114からの上記第2次の積分信号INT(=2nd(1))を保持する。
【0046】
以降、制御クロックΦ3の立ち上がりから制御クロックΦN-1の立ち下がりまで図1のサンプルレート変換器は、同様の動作を繰り返すため説明を省略する。
制御クロックΦNが立ち上がると、マルチプレクサ102はレジスタ回路120中のフリップフロップ120−(N−1)からの第(N−1)次の積分信号INT(=(N−1)th(1))をリサイクル信号RCYとして選択し、マルチプレクサ101に渡す。
【0047】
マルチプレクサ101は、制御クロックΦ1が「0」なので、マルチプレクサ102からのリサイクル信号RCY(=(N−1)th(1))を選択し、選択入力信号として減算器111に渡す。
【0048】
乗算器112は、インターポレータ104からの帰還信号FB(=0)に、マルチプレクサ113からの選択乗算係数を乗じる。ここで、制御クロックΦNが「1」なので、マルチプレクサ113は乗算係数KNを選択し、選択乗算係数として乗算器112に渡す。乗算器112は、乗算結果(=0)を減算器111に渡す。
【0049】
減算器111は、乗算器112からの乗算結果(=0)をマルチプレクサ101からの選択入力信号(=(N−1)th(1))から減じ、減算結果(=(N−1)th(1))を積分器入力信号として加算器114に渡す。マルチプレクサ115は、制御クロックΦNが「1」なので、1周期前の第N次の積分信号INT(=Nth(0))を積分器帰還信号として加算器114に渡す。
【0050】
加算器114は、減算器111からの積分器入力信号(=(N−1)th(1))に、マルチプレクサ115からの積分器帰還信号(=Nth(0))を加算し、加算結果を第N次の積分信号INT(=(N−1)th(1)+Nth(0)=Nth(1))としてレジスタ回路120及びデシメータ103に渡す。レジスタ回路120中のフリップフロップ120−Nは、反転クロック/ΦNの立ち上がり時に、加算器114からの上記第N次の積分信号INT(=Nth(1))を保持する。また、デシメータ103は、制御クロックΦDECの立ち上がり時に、上記第N次の積分信号INT(=Nth(1))を保持し、出力信号output(=out_data(1))として出力する。
【0051】
以上のように、図1のサンプルレート変換器のサンプルレート変換器は、入力信号のN次積分を行って折り返しノイズを除去してからダウンサンプルを行っている。具体的には、図1のサンプルレート変換器は、減算器111、乗算器112及び加算器114で構成される1つの積分回路をN回繰り返し利用することによって、N個の積分回路を縦続接続した回路と同様の信号処理を行っている。具体的には、第J(Jは2以上N以下の自然数)次の積分を行う際に、マルチプレクサ102が第(J−1)次の積分信号をリサイクル信号RCYとして選択し、マルチプレクサ101が当該リサイクル信号RCYを選択入力信号として選択している。また、マルチプレクサ115は1周期前の第J次の積分信号を積分器帰還信号として選択し、加算器114によって第J次の積分が行われる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態に係るサンプルレート変換器では、1段構成のループフィルタをN回繰り返し利用することにより、N次ループフィルタと同等のノイズ除去能力を実現している。従って、本実施形態に係るサンプルレート変換器によれば、ループフィルタの次数の増加に伴う回路面積の増大が抑えられる。
【0053】
(第2の実施形態)
図3に示すように、本発明の第2の実施形態に係るサンプルレート変換器は、マルチプレクサ201、マルチプレクサ202、デシメータ203、インターポレータ204、ループフィルタ210及びループフィルタ230を有する。ループフィルタ210及び230は、折り返しノイズを除去するためのN/2次sincフィルタ(Nは4以上の偶数)である。ループフィルタ210は、減算器211、乗算器212、マルチプレクサ213、加算器214、マルチプレクサ215及びレジスタ回路220を含む。ループフィルタ230は、減算器231、乗算器232、マルチプレクサ233、加算器234、マルチプレクサ235及びレジスタ回路240を含む。
【0054】
マルチプレクサ201は、図3のサンプルレート変換器の入力信号input及び後述するマルチプレクサ202からのリサイクル信号RCYのいずれか一方を選択し、選択入力信号として減算器211に渡す。リサイクル信号RCYは、前述した第1の実施形態と同様、最終的な(第N次の)積分信号INT2を得るために繰り返し利用されるNより低い偶数次の積分信号である。マルチプレクサ201は、後述する制御クロックΦ'1によって制御され、制御クロックΦ'1が「1」であれば入力信号inputを選択し、制御クロックΦ'1が「0」であればリサイクル信号RCYを選択する。
【0055】
乗算器212は、後述するインターポレータ204からの帰還信号FBに、後述するマルチプレクサ213からの選択乗算係数を乗じ、乗算結果を減算器211に渡す。
【0056】
マルチプレクサ213は、N/2個の乗算係数K1,K3,…,KN-1が入力され、「1」である期間が上記入力信号inputと同じサンプルレートであって1周期を超えない範囲で重なり合わないN/2個の制御クロックΦ'1,Φ'2,…,Φ'N/2によって制御される。尚、制御クロックΦ'1,Φ'2,…,Φ'N/2は、例えば「1」である期間が上記1周期の2/N倍以下のクロックの位相を4π/Nずつずらして得られるN/2個のクロックである。マルチプレクサ213は、上記制御クロックのいずれか1つが「1」であれば、対応する乗算係数を選択し、選択乗算係数として乗算器212に渡す。具体的には、N/2個の制御クロックΦ'1,Φ'2,…,Φ'N/2の各々と、N/2個の乗算係数K1,K3,…,KN-1の各々とは、一対一に対応しており、マルチプレクサ213は、1つの制御クロックに対し1つの乗算係数を選択する。尚、乗算係数K1,K3,…,KN-1の各々は、前述した第1の実施形態における乗算係数K1,K2,…KNにおける奇数番目の係数である。即ち、乗算係数K1,K2,…KNは、奇数次の積分に必要な乗算係数である。
【0057】
減算器211は、乗算器212からの乗算結果をマルチプレクサ201からの選択入力信号より減算する。即ち、減算器211は、乗算器212において選択乗算係数が乗算された帰還信号FBを選択入力信号より減算する。減算器211は、減算結果を第1の積分器入力信号として、加算器214に渡す。
【0058】
加算器214は、減算器211からの第1の積分器入力信号と、後述するマルチプレクサ215からの第1の積分器帰還信号とを加算することにより、積分を行う。加算器114は、加算結果を積分信号INT1としてレジスタ回路220及び減算器231に渡す。
【0059】
レジスタ回路220は、第1次(1st)の積分信号INT1を一時的に保持するためのフリップフロップ220−1、第3次(3rd)の積分信号INT1を一時的に保持するためのフリップフロップ220−2、…、第(N−1)次((N−1)th)の積分信号INT1を一時的に保持するためのフリップフロップ220−N/2を含む。即ち、レジスタ回路220には、奇数次の積分信号INT1が次数別に一時的に保持される。
【0060】
フリップフロップ220−1は、制御クロックΦ'1の反転クロック/Φ'1によって制御され、反転クロック/Φ'1の立ち上がりエッジによってラッチ状態に遷移して入力信号を保持し、次の立ち上がりエッジまで当該信号を出力する。一方、フリップフロップ220−2、…、フリップフロップ220−N/2は、制御クロックΦ'2,…,Φ'N/2の反転クロック/Φ'2,…/Φ'N/2によって夫々制御される。
【0061】
フリップフロップ220−1乃至220−N/2には、加算器214からの積分信号INT1が共通に入力される。反転クロック/Φ'1の立ち上がり時には、第1次の積分信号INT1がレジスタ回路220に入力され、フリップフロップ220−1が当該積分信号INT1を保持する。そして、フリップフロップ220−1は、反転クロック/Φ'1の次の立ち上がりエッジまで当該積分信号INT1をマルチプレクサ215に渡す。また、反転クロック/Φ'2の立ち上がり時には、第3次の積分信号INT1がレジスタ回路220に入力され、フリップフロップ220−2が当該積分信号INT1を保持する。そして、フリップフロップ220−2は、反転クロック/Φ'2の次の立ち上がりエッジまで当該積分信号INT1をマルチプレクサ215に渡す。また、反転クロック/Φ'N/2の立ち上がり時には、第(N−1)次の積分信号INT1がレジスタ回路220に入力され、フリップフロップ220−N/2が当該積分信号INT1を保持する。そして、フリップフロップ220−N/2は、反転クロック/Φ'N/2の次の立ち上がりエッジまで当該積分信号INT1をマルチプレクサ215に渡す。
【0062】
即ち、フリップフロップ220−1,220−2,…,220−N/2は、夫々第1次、第3次、…、第(N−1)次の積分信号INT1を夫々保持し、マルチプレクサ215に渡す。
【0063】
マルチプレクサ215は、レジスタ回路220中のフリップフロップ220−1乃至220−N/2から第1乃至第(N−1)次の積分信号INT1が夫々入力され、1つの積分信号INT1を第1の積分器帰還信号として、加算器214に渡す。具体的には、マルチプレクサ215は上記制御クロックΦ'1乃至Φ'N/2によって制御され、1周期前の積分信号INT1であって選択入力信号よりも次数が1大きい積分信号INT1を第1の積分器帰還信号として選択する。
【0064】
乗算器232は、後述するインターポレータ204からの帰還信号FBに、後述するマルチプレクサ233からの選択乗算係数を乗じ、乗算結果を減算器231に渡す。
【0065】
マルチプレクサ233は、N/2個の乗算係数K2,K4,…,KNが入力され、上記N/2個の制御クロックΦ'1,Φ'2,…,Φ'N/2によって制御される。マルチプレクサ233は、上記制御クロックのいずれか1つが「1」であれば、対応する乗算係数を選択し、選択乗算係数として乗算器232に渡す。具体的には、N/2個の制御クロックΦ'1,Φ'2,…,Φ'N/2の各々と、N/2個の乗算係数K2,K4,…,KNの各々とは、一対一に対応しており、マルチプレクサ233は、1つの制御クロックに対し1つの乗算係数を選択する。尚、乗算係数K2,K4,…,KNの各々は、前述した第1の実施形態における乗算係数K1,K2,…KNにおける偶数番目の係数である。即ち、乗算係数K1,K2,…KNは、偶数次の積分に必要な乗算係数である。
【0066】
減算器231は、乗算器232からの乗算結果を加算器214からの積分信号INT1より減算する。即ち、減算器231は、乗算器232において選択乗算係数が乗算された帰還信号FBを積分信号INT1より減算する。減算器231は、減算結果を第2の積分器入力信号として、加算器234に渡す。
【0067】
加算器234は、減算器231からの第2の積分器入力信号と、後述するマルチプレクサ235からの第2の積分器帰還信号とを加算することにより、積分を行う。加算器114は、加算結果を積分信号INT2としてレジスタ回路240及びデシメータ203に渡す。
【0068】
レジスタ回路240は、第2次(2nd)の積分信号INT2を一時的に保持するためのフリップフロップ240−1、第4次(4th)の積分信号INT2を一時的に保持するためのフリップフロップ240−2、…、第N次(Nth)の積分信号INT2を一時的に保持するためのフリップフロップ240−N/2を含む。即ち、レジスタ回路240には、偶数次の積分信号INT2が次数別に一時的に保持される。
【0069】
フリップフロップ240−1は、反転クロック/Φ'1によって制御され、反転クロック/Φ'1の立ち上がりエッジによってラッチ状態に遷移して入力信号を保持し、次の立ち上がりエッジまで当該信号を出力する。一方、フリップフロップ240−2、…、フリップフロップ240−N/2は、反転クロック/Φ'2,…/Φ'N/2によって夫々制御される。
【0070】
フリップフロップ240−1乃至240−N/2には、加算器234からの積分信号INT2が共通に入力される。反転クロック/Φ'1の立ち上がり時には、第2次の積分信号INT2がレジスタ回路240に入力され、フリップフロップ240−1が当該積分信号INT2を保持する。そして、フリップフロップ240−1は、反転クロック/Φ'1の次の立ち上がりエッジまで当該積分信号INT2をマルチプレクサ202及びマルチプレクサ235に渡す。また、反転クロック/Φ'2の立ち上がり時には、第4次の積分信号INT2がレジスタ回路240に入力され、フリップフロップ240−2が当該積分信号INT2を保持する。そして、フリップフロップ240−2は、反転クロック/Φ'2の次の立ち上がりエッジまで当該積分信号INT2をマルチプレクサ202及びマルチプレクサ235に渡す。また、反転クロック/Φ'N/2の立ち上がり時には、第N次の積分信号INT2がレジスタ回路240に入力され、フリップフロップ240−N/2が当該積分信号INT2を保持する。そして、フリップフロップ240−N/2は、反転クロック/Φ'N/2の次の立ち上がりエッジまで当該積分信号INT2をマルチプレクサ235のみに渡す。
【0071】
即ち、フリップフロップ240−1,240−2,…,240−(N/2−1)は、夫々第2次、第4次、…、第(N−2)次の積分信号INT2を夫々保持し、マルチプレクサ202及びマルチプレクサ235に渡す。一方、フリップフロップ240−N/2は、第N次の積分信号INT2を保持し、マルチプレクサ235のみに渡す。前述したように、第N次の積分信号INT2はリサイクル信号RCYとして使用されないため、マルチプレクサ202に渡さなくてもよい。
【0072】
マルチプレクサ235は、レジスタ回路240中のフリップフロップ240−1乃至240−N/2から第2乃至第N次の積分信号INT2が夫々入力され、1つの積分信号INT2を第2の積分器帰還信号として、加算器234に渡す。具体的には、マルチプレクサ235は上記制御クロックΦ'1乃至Φ'N/2によって制御され、1周期前の積分信号INT2であって減算器231に入力される積分信号INT1よりも次数が1大きい積分信号INT2を第2の積分器帰還信号として選択する。
【0073】
デシメータ203は、制御クロックΦDECによって制御されるフリップフロップであって、図3のサンプルレート変換器に応じたダウンサンプル比Dのデシメータとして動作する。即ち、デシメータ203は、加算器234からの積分信号INT2のサンプル数が1/D倍になるように間引くデシメーションを行う。デシメータ203は、デシメーション結果を図3のサンプルレート変換器の出力信号outputとして出力すると共に、当該デシメーション結果をインターポレータ204に渡す。
【0074】
インターポレータ204は、制御クロックΦINTによって制御され、デシメータ203からのデシメーション結果のサンプル数がD倍になるように0を挿入するインターポレーションを行う。具体的には、インターポレータ204は、上記デシメーション結果と制御クロックΦINTとのAND演算を行う。インターポレータ204は、上記インターポレーション結果を帰還信号FBとして乗算器212及び乗算器232に渡す。
【0075】
マルチプレクサ202は、レジスタ回路240中のフリップフロップ240−1乃至240−(N−1)から第2乃至第(N−2)次の積分信号INT2が夫々入力され、いずれか1つをリサイクル信号RCYとして選択し、マルチプレクサ201に渡す。具体的には、マルチプレクサ202は上記制御クロックΦ'2乃至Φ'N/2によって制御され、各制御クロックに対し、第2乃至第(N−2)次の積分信号INT2を選択する。即ち、マルチプレクサ202は、制御クロックΦ'2に対し第2次の積分信号INT2、制御クロックΦ'3に対し第4次の積分信号INT2、…、制御クロックΦ'N/2に対し第(N−2)次の積分信号INT2を夫々選択する。尚、制御クロックΦ'2乃至Φ'N/2が全て「0」である期間(例えば、制御クロックΦ'1が「1」である期間)には、マルチプレクサ202はフローティング状態(Z)であってもよい。
【0076】
以下、図4に示すタイミングチャートを用いて図3のサンプルレート変換器の動作を説明する。尚、以下の説明において、上記サンプルレート変換器のダウンサンプル比Dは「2」とする。図4下段は、図4上段の指定領域におけるタイミングチャートをより詳細に示している。
【0077】
図4下段に示すように、制御クロックΦ'1乃至Φ'N/2は、入力信号inputと同じサンプルレートであって、位相が4π/Nずつずれたクロックである。まず、制御クロックΦ'1が立ち上がると、マルチプレクサ201は入力信号input(=data(0))を選択し、選択入力信号として減算器211に渡す。
【0078】
乗算器212は、インターポレータ204からの帰還信号FB(=signal(0))に、マルチプレクサ213からの選択乗算係数を乗じる。ここで、制御クロックΦ'1が「1」なので、マルチプレクサ213は、乗算係数K1を選択乗算係数として選択し、乗算器212に渡す。乗算器212は、乗算結果(=K1×signal(0))を減算器211に渡す。
【0079】
減算器211は、乗算器212からの乗算結果(=K1×signal(0))をマルチプレクサ201からの選択入力信号(=data(0))から減じ、減算結果(=data(0)−K1×signal(0))を第1の積分器入力信号として加算器214に渡す。マルチプレクサ215は、制御クロックΦ'1が「1」なので、1周期前の第1次の積分信号INT1(0とする)を第1の積分器帰還信号として加算器214に渡す。
【0080】
加算器214は、減算器211からの第1の積分器入力信号(=data(0)−K1×signal(0))に、マルチプレクサ215からの第1の積分器帰還信号(=0)を加算し、加算結果を第1次の積分信号INT1(=data(0)−K1×signal(0)=1st(0))としてレジスタ回路220及び減算器231に渡す。レジスタ回路220中のフリップフロップ220−1は、制御クロックΦ'1の立ち下がり時(反転クロック/Φ'1の立ち上がり時)に、加算器214からの上記第1次の積分信号INT1(=1st(0))を保持する。
【0081】
乗算器232は、インターポレータ204からの帰還信号FB(=signal(0))に、マルチプレクサ233からの選択乗算係数を乗じる。ここで、制御クロックΦ'1が「1」なので、マルチプレクサ233は、乗算係数K2を選択乗算係数として選択し、乗算器232に渡す。乗算器232は、乗算結果(=K2×signal(0))を減算器231に渡す。
【0082】
減算器231は、乗算器232からの乗算結果(=K2×signal(0))を加算器214からの積分信号INT1(=1st(0))から減じ、減算結果(=1st(0)−K2×signal(0))を第2の積分器入力信号として加算器234に渡す。マルチプレクサ235は、制御クロックΦ'1が「1」なので、1周期前の第2次の積分信号INT2(0とする)を第2の積分器帰還信号として加算器234に渡す。
【0083】
加算器234は、減算器231からの第2の積分器入力信号(=1st(0)−K2×signal(0))に、マルチプレクサ235からの第2の積分器帰還信号(=0)を加算し、加算結果を第2次の積分信号INT2(=1st(0)−K2×signal(0)=2nd(0))としてレジスタ回路240及びデシメータ203に渡す。レジスタ回路240中のフリップフロップ240−1は、反転クロック/Φ'1の立ち上がり時に、加算器234からの上記第2次の積分信号INT2(=2nd(0))を保持する。
【0084】
次に、制御クロックΦ'2が立ち上がる。マルチプレクサ202は、制御クロックΦ'2が「1」なので、レジスタ回路240中のフリップフロップ240−1からの第2次の積分信号INT2(=2nd(0))をリサイクル信号RCYとして選択し、マルチプレクサ201に渡す。
【0085】
マルチプレクサ201は、制御クロックΦ'1が「0」なので、マルチプレクサ202からのリサイクル信号RCY(=2nd(0))を選択し、選択入力信号として減算器211に渡す。
【0086】
乗算器212は、インターポレータ204からの帰還信号FB(=signal(0))に、マルチプレクサ213からの選択乗算係数を乗じる。ここで、制御クロックΦ'2が「1」なので、マルチプレクサ213は乗算係数K3を選択し、選択乗算係数として乗算器212に渡す。乗算器212は、乗算結果(=K3×signal(0))を減算器211に渡す。
【0087】
減算器211は、乗算器212からの乗算結果(=K3×signal(0))をマルチプレクサ201からの選択入力信号(=2nd(0))から減じ、減算結果(=2nd(0)−K3×signal(0))を第1の積分器入力信号として加算器214に渡す。マルチプレクサ215は、制御クロックΦ'2が「1」なので、1周期前の第3次の積分信号INT1(0とする)を第1の積分器帰還信号として加算器214に渡す。
【0088】
加算器214は、減算器211からの第1の積分器入力信号(=2nd(0)−K3×signal(0))に、マルチプレクサ215からの第1の積分器帰還信号(=0)を加算し、加算結果を第3次の積分信号INT1(=2nd(0)−K3×signal(0)=3rd(0))としてレジスタ回路220及び減算器231に渡す。レジスタ回路220中のフリップフロップ220−2は、制御クロックΦ'2の立ち下がり時(反転クロック/Φ'2の立ち上がり時)に、加算器214からの上記第3次の積分信号INT1(=3rd(0))を保持する。
【0089】
乗算器232は、インターポレータ204からの帰還信号FB(=signal(0))に、マルチプレクサ233からの選択乗算係数を乗じる。ここで、制御クロックΦ'2が「1」なので、マルチプレクサ233は、乗算係数K4を選択乗算係数として選択し、乗算器232に渡す。乗算器232は、乗算結果(=K4×signal(0))を減算器231に渡す。
【0090】
減算器231は、乗算器232からの乗算結果(=K4×signal(0))を加算器214からの積分信号INT1(=3rd(0))から減じ、減算結果(=3rd(0)−K4×signal(0))を第2の積分器入力信号として加算器234に渡す。マルチプレクサ235は、制御クロックΦ'2が「1」なので、1周期前の第4次の積分信号INT2(0とする)を第2の積分器帰還信号として加算器234に渡す。
【0091】
加算器234は、減算器231からの第2の積分器入力信号(=3rd(0)−K4×signal(0))に、マルチプレクサ235からの第2の積分器帰還信号(=0)を加算し、加算結果を第4次の積分信号INT2(=3rd(0)−K4×signal(0)=4th(0))としてレジスタ回路240及びデシメータ203に渡す。レジスタ回路240中のフリップフロップ240−2は、反転クロック/Φ'2の立ち上がり時に、加算器234からの上記第4次の積分信号INT2(=4th(0))を保持する。
【0092】
以降、制御クロックΦ'3の立ち上がりから制御クロックΦ'N/2-1の立ち下がりまで図3のサンプルレート変換器は、同様の動作を繰り返すため説明を省略する。
制御クロックΦ'N/2が立ち上がると、マルチプレクサ202はレジスタ回路240中のフリップフロップ240−(N/2−1)からの第(N−2)次の積分信号INT2(=(N−2)th(0))をリサイクル信号RCYとして選択し、マルチプレクサ201に渡す。
【0093】
マルチプレクサ201は、制御クロックΦ'1が「0」なので、マルチプレクサ202からのリサイクル信号RCY(=(N−2)th(0))を選択し、選択入力信号として減算器211に渡す。
【0094】
乗算器212は、インターポレータ204からの帰還信号FB(=signal(0))に、マルチプレクサ213からの選択乗算係数を乗じる。ここで、制御クロックΦ'N/2が「1」なので、マルチプレクサ213は乗算係数KN-1を選択し、選択乗算係数として乗算器212に渡す。乗算器212は、乗算結果(=KN-1×signal(0))を減算器211に渡す。
【0095】
減算器211は、乗算器212からの乗算結果(=KN-1×signal(0))をマルチプレクサ201からの選択入力信号(=(N−2)th(0))から減じ、減算結果(=(N−2)th(0)−KN-1×signal(0))を第1の積分器入力信号として加算器214に渡す。マルチプレクサ215は、制御クロックΦ'N/2が「1」なので、1周期前の第(N−1)次の積分信号INT1(0とする)を第1の積分器帰還信号として加算器214に渡す。
【0096】
加算器214は、減算器211からの第1の積分器入力信号(=(N−2)th(0)−KN-1×signal(0))に、マルチプレクサ215からの第1の積分器帰還信号(=0)を加算し、加算結果を第(N−1)次の積分信号INT1(=(N−2)th(0)−KN-1×signal(0)=(N−1)th(0))としてレジスタ回路220及び減算器231に渡す。レジスタ回路220中のフリップフロップ220−N/2は、制御クロックΦ'N/2の立ち下がり時(反転クロック/Φ'N/2の立ち上がり時)に、加算器214からの上記第(N−1)時の積分信号INT1(=(N−1)th(0))を保持する。
【0097】
乗算器232は、インターポレータ204からの帰還信号FB(=signal(0))に、マルチプレクサ233からの選択乗算係数を乗じる。ここで、制御クロックΦ'N/2が「1」なので、マルチプレクサ233は、乗算係数KNを選択乗算係数として選択し、乗算器232に渡す。乗算器232は、乗算結果(=KN×signal(0))を減算器231に渡す。
【0098】
減算器231は、乗算器232からの乗算結果(=KN×signal(0))を加算器214からの積分信号INT1(=(N−1)th(0))から減じ、減算結果(=(N−1)th(0)−KN×signal(0))を第2の積分器入力信号として加算器234に渡す。マルチプレクサ235は、制御クロックΦ'N/2が「1」なので、1周期前の第N次の積分信号INT2(0とする)を第2の積分器帰還信号として加算器234に渡す。
【0099】
加算器234は、減算器231からの第2の積分器入力信号(=(N−1)th(0)−KN×signal(0))に、マルチプレクサ235からの第2の積分器帰還信号(=0)を加算し、加算結果を第N次の積分信号INT2(=(N−1)th(0)−KN×signal(0)=Nth(0))としてレジスタ回路240及びデシメータ203に渡す。レジスタ回路240中のフリップフロップ240−N/2は、反転クロック/Φ'N/2の立ち上がり時に、加算器234からの上記第N次の積分信号INT2(=Nth(0))を保持する。
【0100】
次に、再び制御クロックΦ'1が立ち上がると、マルチプレクサ201は入力信号input(=data(1))を選択し、選択入力信号として減算器211に渡す。
【0101】
乗算器212は、インターポレータ204からの帰還信号FB(=0)に、マルチプレクサ213からの選択乗算係数を乗じる。ここで、制御クロックΦ'1が「1」なので、マルチプレクサ213は、乗算係数K1を選択乗算係数として選択し、乗算器212に渡す。乗算器212は、乗算結果(=0)を減算器211に渡す。
【0102】
減算器211は、乗算器212からの乗算結果(=0)をマルチプレクサ201からの選択入力信号(=data(1))から減じ、減算結果(=data(1))を第1の積分器入力信号として加算器214に渡す。マルチプレクサ215は、制御クロックΦ'1が「1」なので、1周期前の第1次の積分信号INT1(=1st(0))を第1の積分器帰還信号として加算器214に渡す。
【0103】
加算器214は、減算器211からの第1の積分器入力信号(=data(1))に、マルチプレクサ215からの第1の積分器帰還信号(=1st(0))を加算し、加算結果を第1次の積分信号INT1(=data(1)+1st(0)=1st(1))としてレジスタ回路220及び減算器231に渡す。レジスタ回路220中のフリップフロップ220−1は、反転クロック/Φ'1の立ち上がり時に、加算器214からの上記第1次の積分信号INT1(=1st(1))を保持する。
【0104】
乗算器232は、インターポレータ204からの帰還信号FB(=0)に、マルチプレクサ233からの選択乗算係数を乗じる。ここで、制御クロックΦ'1が「1」なので、マルチプレクサ233は、乗算係数K2を選択乗算係数として選択し、乗算器232に渡す。乗算器232は、乗算結果(=0)を減算器231に渡す。
【0105】
減算器231は、乗算器232からの乗算結果(=0)を加算器214からの積分信号INT1(=1st(1))から減じ、減算結果(=1st(1))を第2の積分器入力信号として加算器234に渡す。マルチプレクサ235は、制御クロックΦ'1が「1」なので、1周期前の第2次の積分信号INT2(2nd(0))を第2の積分器帰還信号として加算器234に渡す。
【0106】
加算器234は、減算器231からの第2の積分器入力信号(=1st(1))に、マルチプレクサ235からの第2の積分器帰還信号(=2nd(0))を加算し、加算結果を第2次の積分信号INT2(=1st(1)+2nd(0)=2nd(1))としてレジスタ回路240及びデシメータ203に渡す。レジスタ回路240中のフリップフロップ240−1は、反転クロック/Φ'1の立ち上がり時に、加算器234からの上記第2次の積分信号INT2(=2nd(0))を保持する。
【0107】
次に、制御クロックΦ'2が立ち上がる。マルチプレクサ202は、制御クロックΦ'2が「1」なので、レジスタ回路240中のフリップフロップ240−1からの第2次の積分信号INT2(=2nd(1))をリサイクル信号RCYとして選択し、マルチプレクサ201に渡す。
【0108】
マルチプレクサ201は、制御クロックΦ'1が「0」なので、マルチプレクサ202からのリサイクル信号RCY(=2nd(1))を選択し、選択入力信号として減算器211に渡す。
【0109】
乗算器212は、インターポレータ204からの帰還信号FB(=0)に、マルチプレクサ213からの選択乗算係数を乗じる。ここで、制御クロックΦ'2が「1」なので、マルチプレクサ213は乗算係数K3を選択し、選択乗算係数として乗算器212に渡す。乗算器212は、乗算結果(=0)を減算器211に渡す。
【0110】
減算器211は、乗算器212からの乗算結果(=0)をマルチプレクサ201からの選択入力信号(=2nd(1))から減じ、減算結果(=2nd(1))を第1の積分器入力信号として加算器214に渡す。マルチプレクサ215は、制御クロックΦ'2が「1」なので、1周期前の第3次の積分信号INT1(3rd(0))を第1の積分器帰還信号として加算器214に渡す。
【0111】
加算器214は、減算器211からの第1の積分器入力信号(=2nd(1))に、マルチプレクサ215からの第1の積分器帰還信号(=3rd(0))を加算し、加算結果を第3次の積分信号INT1(=2nd(1)+3rd(0)=3rd(1))としてレジスタ回路220及び減算器231に渡す。レジスタ回路220中のフリップフロップ220−2は、制御クロックΦ'2の立ち下がり時(反転クロック/Φ'2の立ち上がり時)に、加算器214からの上記第3次の積分信号INT1(=3rd(1))を保持する。
【0112】
乗算器232は、インターポレータ204からの帰還信号FB(=0)に、マルチプレクサ233からの選択乗算係数を乗じる。ここで、制御クロックΦ'2が「1」なので、マルチプレクサ233は、乗算係数K4を選択乗算係数として選択し、乗算器232に渡す。乗算器232は、乗算結果(=0)を減算器231に渡す。
【0113】
減算器231は、乗算器232からの乗算結果(=0)を加算器214からの積分信号INT1(=3rd(1))から減じ、減算結果(=3rd(1))を第2の積分器入力信号として加算器234に渡す。マルチプレクサ235は、制御クロックΦ'2が「1」なので、1周期前の第4次の積分信号INT2(4th(0))を第2の積分器帰還信号として加算器234に渡す。
【0114】
加算器234は、減算器231からの積分器入力信号(=3rd(1))に、マルチプレクサ235からの第2の積分器帰還信号(=4th(0))を加算し、加算結果を第4次の積分信号INT2(=3rd(1)+4th(0)=4th(1))としてレジスタ回路240及びデシメータ203に渡す。レジスタ回路240中のフリップフロップ240−2は、反転クロック/Φ'2の立ち上がり時に、加算器234からの上記第4次の積分信号INT2(=4th(1))を保持する。
【0115】
以降、制御クロックΦ'3の立ち上がりから制御クロックΦ'N/2-1の立ち下がりまで図3のサンプルレート変換器は、同様の動作を繰り返すため説明を省略する。
制御クロックΦ'N/2が立ち上がると、マルチプレクサ202はレジスタ回路240中のフリップフロップ240−(N/2−1)からの第(N−2)次の積分信号INT2(=(N−2)th(1))をリサイクル信号RCYとして選択し、マルチプレクサ201に渡す。
【0116】
マルチプレクサ201は、制御クロックΦ'1が「0」なので、マルチプレクサ202からのリサイクル信号RCY(=(N−2)th(1))を選択し、選択入力信号として減算器211に渡す。
【0117】
乗算器212は、インターポレータ204からの帰還信号FB(=0)に、マルチプレクサ213からの選択乗算係数を乗じる。ここで、制御クロックΦ'N/2が「1」なので、マルチプレクサ213は乗算係数KN-1を選択し、選択乗算係数として乗算器212に渡す。乗算器212は、乗算結果(=0))を減算器211に渡す。
【0118】
減算器211は、乗算器212からの乗算結果(=0)をマルチプレクサ201からの選択入力信号(=(N−2)th(1))から減じ、減算結果(=(N−2)th(1))を第1の積分器入力信号として加算器214に渡す。マルチプレクサ215は、制御クロックΦ'N/2が「1」なので、1周期前の第(N−1)次の積分信号INT1(=(N−1)th(0))を第1の積分器帰還信号として加算器214に渡す。
【0119】
加算器214は、減算器211からの第1の積分器入力信号(=(N−2)th(1))に、マルチプレクサ215からの第1の積分器帰還信号(=(N−1)th(0))を加算し、加算結果を第(N−1)次の積分信号INT1(=(N−2)th(1)+(N−1)th(0)=(N−1)th(1))としてレジスタ回路220及び減算器231に渡す。レジスタ回路220中のフリップフロップ220−N/2は、反転クロック/Φ'N/2の立ち上がり時に、加算器214からの上記第(N−1)時の積分信号INT1(=(N−1)th(1))を保持する。
【0120】
乗算器232は、インターポレータ204からの帰還信号FB(=0)に、マルチプレクサ233からの選択乗算係数を乗じる。ここで、制御クロックΦ'N/2が「1」なので、マルチプレクサ233は、乗算係数KNを選択乗算係数として選択し、乗算器232に渡す。乗算器232は、乗算結果(=0)を減算器231に渡す。
【0121】
減算器231は、乗算器232からの乗算結果(=0)を加算器214からの積分信号INT1(=(N−1)th(1))から減じ、減算結果(=(N−1)th(1))を第2の積分器入力信号として加算器234に渡す。マルチプレクサ235は、制御クロックΦ'N/2が「1」なので、1周期前の第N次の積分信号INT2(=Nth(0))を第2の積分器帰還信号として加算器234に渡す。
【0122】
加算器234は、減算器231からの第2の積分器入力信号(=(N−1)th(1))に、マルチプレクサ235からの第2の積分器帰還信号(=Nth(0))を加算し、加算結果を第N次の積分信号INT2(=(N−1)th(1)+Nth(0)=Nth(1))としてレジスタ回路240及びデシメータ203に渡す。レジスタ回路240中のフリップフロップ240−N/2は、反転クロック/Φ'N/2の立ち上がり時に、加算器234からの上記第N次の積分信号INT2(=Nth(1))を保持する。また、デシメータ203は、制御クロックΦDECの立ち上がり時に、上記第N次の積分信号INT2(=Nth(1))を保持し、出力信号output(=out_data(1))として出力する。
【0123】
以上のように、図3のサンプルレート変換器のサンプルレート変換器は、入力信号のN次積分を行って折り返しノイズを除去してからダウンサンプルを行っている。具体的には、図3のサンプルレート変換器は、減算器211、乗算器212及び加算器214と、減算器231、乗算器232及び加算器234とで構成される2つの積分回路をN/2回繰り返し利用することによって、N個の積分回路を縦続接続した回路と同様の信号処理を行っている。具体的には、第(J−1)及び第J(JはN以下の偶数)次の積分を行う際に、マルチプレクサ202が第(J−2)次の積分信号をリサイクル信号RCYとして選択し、マルチプレクサ201が当該リサイクル信号RCYを選択入力信号として選択している。また、マルチプレクサ215は1周期前の第(J−1)次の積分信号を積分器帰還信号として選択し、加算器214によって第(J−1)次の積分が行われる。一方、マルチプレクサ235は、1周期前の第J次の積分信号を積分器帰還信号として選択し、加算器234によって第J次の積分が行われる。
【0124】
以上説明したように、本実施形態に係るサンプルレート変換器では、2段構成のループフィルタをN/2回繰り返し利用することにより、N次ループフィルタと同等のノイズ除去能力を実現している。従って、本実施形態に係るサンプルレート変換器によれば、ループフィルタの次数の増加に伴う回路面積の増大が抑えられる。
【0125】
また、図2及び図4に示すように、本実施形態に係るサンプルレート変換器における各マルチプレクサに要求される速度性能を前述した第1の実施形態に比べ半分にできる。従って、本実施形態に係るサンプルレート変換器は、前述した第1の実施形態に比べ、より高い周波数の入力信号に対するデシメーションを行うことができる。
【0126】
また、本実施形態に係るサンプルレート変換器を拡張した構成も考えられる。即ち、本実施形態に係るサンプルレート変換器の一変形例は、M段構成のループフィルタをN/M回繰り返し利用してもよい(但し、NはMの倍数)。
【0127】
(第3の実施形態)
図6に示すように、本発明の第3の実施形態に係る受信機は、L個(Lは2以上の自然数)のオーバーサンプリング型A/D変換器301−1乃至301−L、ADC制御部302、マルチプレクサ303、サンプルレート変換器304及びサンプルレート変換器制御部305を有する。
【0128】
本実施形態に係る受信機は、L個の通信モードに対応しており、図示しない制御部によって生成されるモード選択信号に応じた通信モードでの受信処理を行う。本実施形態に係る受信機は、図示しないアンテナによって無線信号を受信する。アンテナによって受信された無線信号は、図示しないL個の受信RF処理部に共通に入力される。受信RF処理部は、入力された受信信号に対して所定の受信RF処理を行って、L個の通信モードに応じた受信ベースバンド信号analog input 1乃至analog input Lを得る。L個の受信RF処理部の各々は、オーバーサンプリング型A/D変換器301−1乃至301−Lの各々に受信ベースバンド信号analog input 1乃至analog input Lを夫々入力する。
【0129】
オーバーサンプリング型A/D変換器301−1乃至301−Lの各々は、受信ベースバンド信号analog input 1乃至analog input Lを、当該受信ベースバンド信号帯域よりも十分高いサンプルレートでアナログ−デジタル変換する。
【0130】
ADC制御部302は、オーバーサンプリング型A/D変換器301−乃至301−Lの各々にA/D変換器用の制御信号を与える。尚、ADC制御部302は、図示しない制御部からのクロック信号によって制御され、モード選択信号に応じてA/D変換器用の制御信号を生成する。
【0131】
マルチプレクサ303は、オーバーサンプリング型A/D変換器301−1乃至301−Lからのデジタル受信ベースバンド信号が入力され、いずれか1つのデジタル受信ベースバンド信号をモード選択信号に応じて選択する。
【0132】
サンプルレート変換器304は、前述した第1または第2の実施形態に係るサンプルレート変換器である。サンプルレート変換器304は、マルチプレクサ303によって選択されたデジタル受信ベースバンド信号のサンプルレート変換を行う。
【0133】
サンプルレート変換器制御部305は、サンプルレート変換器304を制御する。具体的には、サンプルレート変換器制御部305は、モード選択信号に応じてサンプルレート変換器304のデシメーション比D、フィルタ次数N及び乗算係数Kなどを制御する。
【0134】
以上説明したように、本実施形態に係る受信機は、前述した第1または第2の実施形態に係るサンプルレート変換器によって通信モードに応じたサンプルレート変換を行っている。従って、本実施形態に係る受信機によれば、個々の通信モードのためにサンプルレート変換器を設ける必要がないので、回路面積を削減できる。
【0135】
(第4の実施形態)
図7に示すように、本発明の第4の実施形態に係る受信機は、アンテナ401、低雑音増幅器(LNA)402、周波数変換器403、アナログ−デジタル変換器404、サンプルレート変換器405、チャネル選択フィルタ406及び復調/復号部407を有する。
【0136】
アンテナ401は、図示しない送信機から送信される無線信号を受信し、受信信号をLNA402に渡す。LNA402は、アンテナ401からの受信信号の振幅を所定の増幅率で増幅し、周波数変換器403に渡す。
【0137】
周波数変換器403は、ミキサ及び低域通過型フィルタ(LPF)を含む。周波数変換器403中のミキサは、LNA402からの増幅された受信信号にダウンコンバートのためのローカル信号LOを乗じ、和の周波数成分及び差の周波数成分を得る。周波数変換器403中のLPFは、上記和の周波数成分及び差の周波数成分のうち、差の周波数成分のみを抽出し、受信ベースバンド信号としてアナログ−デジタル変換器404に渡す。
【0138】
アナログ−デジタル変換器404は、オーバーサンプリングA/D変換器である。アナログ−デジタル変換器404は、周波数変換器403からの受信ベースバンド信号を当該受信ベースバンド信号帯域よりも十分高いサンプルレートでアナログ−デジタル変換し、デジタル受信ベースバンド信号を得る。アナログ−デジタル変換器404は、デジタル受信ベースバンド信号をサンプルレート変換器405に渡す。
【0139】
サンプルレート変換器405は、前述した第1または第2の実施形態に係るサンプルレート変換器である。サンプルレート変換器405は、アナログ−デジタル変換器404からのデジタル受信ベースバンド信号のサンプルレートを、上記受信ベースバンド信号帯域に応じたサンプルレートにダウンサンプルする。サンプルレート変換器405は、ダウンサンプルされたデジタル受信ベースバンド信号をチャネル選択フィルタ406に渡す。
【0140】
チャネル選択フィルタ406は、サンプルレート変換器405からのデジタル受信ベースバンド信号から所望帯域外の妨害波を除去し、妨害波除去後のデジタル受信ベースバンド信号を復調/復号部407に渡す。
【0141】
復調/復号部407は、チャネル選択フィルタ406からのデジタル受信ベースバンド信号を所定の変調方式に応じて復調する。また、復調/復号部407は、復調されたデジタル受信ベースバンド信号を所定の符号化方式に応じて復号し、受信データを再生する。
【0142】
以上説明したように,本実施形態に係る受信機は、前述した第1または第2の実施形態に係るサンプルレート変換器を用いている。従って、本実施形態に係る受信機によれば、ループフィルタの次数の増加に伴うサンプルレート変換器の面積の増大を抑制することができる。
【0143】
なお、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また上記各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、各実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】第1の実施形態に係るサンプルレート変換器を示すブロック図。
【図2】図1のサンプルレート変換器で処理される各種信号のタイミングチャートの一例を示す図。
【図3】第2の実施形態に係るサンプルレート変換器を示すブロック図。
【図4】図3のサンプルレート変換器で処理される各種信号のタイミングチャートの一例を示す図。
【図5】図1及び図3のサンプルレート変換器で使用される乗算係数の一例を示す図。
【図6】第3の実施形態に係る受信機を示すブロック図。
【図7】第4の実施形態に係る受信機を示すブロック図。
【符号の説明】
【0145】
101、102・・・マルチプレクサ
103・・・デシメータ
104・・・インターポレータ
110・・・ループフィルタ
111・・・減算器
112・・・乗算器
113・・・マルチプレクサ
114・・・加算器
115・・・マルチプレクサ
120・・・レジスタ回路
201、202・・・マルチプレクサ
203・・・デシメータ
204・・・インターポレータ
210・・・ループフィルタ
211・・・減算器
212・・・乗算器
213・・・マルチプレクサ
214・・・加算器
215・・・マルチプレクサ
220・・・レジスタ回路
230・・・ループフィルタ
231・・・減算器
232・・・乗算器
233・・・マルチプレクサ
234・・・加算器
235・・・マルチプレクサ
240・・・レジスタ回路
301・・・オーバーサンプリング型A/D変換器
302・・・ADC制御部
303・・・マルチプレクサ
304・・・サンプルレート変換器
305・・・サンプルレート変換器制御部
401・・・アンテナ
402・・・低雑音増幅器
403・・・周波数変換器
404・・・アナログ−デジタル変換器
405・・・サンプルレート変換器
406・・・チャネル選択フィルタ
407・・・復調/復号部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号に対しN(Nは2以上の自然数)次積分を行ったのちサンプルレートの変換を行って出力信号を生成するサンプルレート変換器において、
第N次の積分信号を得るために繰り返し利用される第M次(Mは1≦M<Nの自然数)積分信号によって構成される第1の帰還信号及び前記入力信号のいずれか一方を選択して選択入力信号を得る第1の選択部と、
前記デシメーション比に応じて、前記N次の積分信号に対しデシメーションを行って前記出力信号を生成するデシメータと、
前記出力信号に対し前記デシメーション比に応じたインターポレーションを行って第2の帰還信号を生成するインターポレータと、
前記サンプルレートに応じた周期内にN個の係数の1つを順次選択して選択係数を得る第2の選択部と、
前記第2の帰還信号に前記選択係数を乗じて乗算信号を生成する乗算器と、
前記選択入力信号から前記乗算信号を減算して残差信号を生成する減算器と、
前記選択入力信号よりも次数が1大きい第3の帰還信号と前記残差信号とを加算して第1次から前記第N次までの積分信号を順次生成する加算器と、
前記第1次から前記第N次までの積分信号を保持するレジスタ回路と、
保持された前記第1次から前記第N次までの積分信号から前記第1の帰還信号を選択する第3の選択部と、
前記保持された前記第1次から前記第N次までの積分信号から前記第3の帰還信号を選択する第4の選択部と
を具備することを特徴とするサンプルレート変換器。
【請求項2】
前記レジスタ回路は、前記第1次から前記第N次までの積分信号を夫々保持するN個のフリップフロップを含むことを特徴とする請求項1記載のサンプルレート変換器。
【請求項3】
前記N個の係数は前記デシメーション比に応じて設定されることを特徴とする請求項1記載のサンプルレート変換器。
【請求項4】
入力信号に対しN(Nは4以上の偶数)次積分を行ったのちサンプルレートの変換を行って出力信号を生成するサンプルレート変換器において、
第N次の積分信号を得るために繰り返し利用される第M次(Mは1≦M<Nの偶数)積分信号によって構成される第1の帰還信号及び前記入力信号のいずれか一方を選択して選択入力信号を得る第1の選択部と、
前記デシメーション比に応じて、前記N次の積分信号に対しデシメーションを行って前記出力信号を生成するデシメータと、
前記出力信号に対し前記デシメーション比に応じたインターポレーションを行って第2の帰還信号を生成するインターポレータと、
前記サンプルレートに応じた周期内にN/2個の第1の係数の1つを順次選択して第1の選択係数を得る第2の選択部と、
前記第2の帰還信号に前記第1の選択係数を乗じて第1の乗算信号を生成する第1の乗算器と、
前記選択入力信号から前記第1の乗算信号を減算して第1の残差信号を生成する第1の減算器と、
前記選択入力信号よりも次数が1大きい第3の帰還信号と前記第1の残差信号とを加算して第1次から前記第N次までの奇数次の積分信号を順次生成する第1の加算器と、
前記第1次から前記第N次までの奇数次の積分信号を保持する第1のレジスタ回路と、
前記保持された前記第1次から前記第N次までの奇数次の積分信号から前記第3の帰還信号を選択する第3の選択部と
前記周期内にN/2個の第2の係数の1つを順次選択して第2の選択係数を得る第4の選択部と、
前記第2の帰還信号に前記第2の選択係数を乗じて第2の乗算信号を生成する第2の乗算器と、
前記第1次から前記第N次までの奇数次の積分信号から前記第2の乗算信号を減算して第2の残差信号を生成する第2の減算器と、
前記第1次から前記第N次までの奇数次の積分信号よりも次数が1大きい第4の帰還信号と前記第2の残差信号とを加算して第1次から前記第N次までの偶数次の積分信号を順次生成する第2の加算器と、
前記第1次から前記第N次までの偶数次の積分信号を保持する第2のレジスタ回路と、
前記保持された前記第1次から前記第N次までの偶数次の積分信号から前記第4の帰還信号を選択する第5の選択部と、
保持された前記第1次から前記第N次までの偶数次の積分信号から前記第1の帰還信号を選択する第6の選択部と、
を具備することを特徴とするサンプルレート変換器。
【請求項5】
前記第1のレジスタ回路は、前記第1次から前記第N次までの奇数次の積分信号を夫々保持するN/2個のフリップフロップを含み、
前記第2のレジスタ回路は、前記第1次から前記第N次までの偶数次の積分信号を夫々保持するN/2個のフリップフロップを含むことを特徴とする請求項4記載のサンプルレート変換器。
【請求項6】
前記N/2個の第1の係数及び前記N/2個の第2の係数は前記デシメーション比に応じて設定されることを特徴とする請求項4記載のサンプルレート変換器。
【請求項7】
複数の通信モードに対応可能な受信機において、
前記複数の通信モードに夫々対応する複数のアナログ信号をアナログ−デジタル変換して複数のデジタル信号を得る複数のアナログ−デジタル変換器と、
前記複数の通信モードから選択される1つの選択モードに応じて前記複数のデジタル信号からいずれか1つを選択する選択器と、
選択された1つのデジタル信号を前記入力信号として受ける請求項1記載のサンプルレート変換器と
を具備することを特徴とする受信機。
【請求項8】
無線信号を受信して受信信号を得るアンテナと、
前記受信信号に対し個々の前記通信モードに応じた受信処理を行って、前記複数のアナログ信号を生成する受信部と、
前記サンプルレート変換器の出力信号から妨害波の除去のためのフィルタリングを行い、フィルタ信号を生成するフィルタと、
前記フィルタ信号に対して復調及び復号を行い受信データを再生する復調・復号部と
を更に具備することを特徴とする請求項7記載の受信機。
【請求項9】
複数の通信モードに対応可能な受信機において、
前記複数の通信モードに夫々対応する複数のアナログ信号をアナログ−デジタル変換して複数のデジタル信号を得る複数のアナログ−デジタル変換器と、
前記複数の通信モードから選択される1つの選択モードに応じて前記複数のデジタル信号からいずれか1つを選択する選択器と、
選択された1つのデジタル信号を前記入力信号として受ける請求項4記載のサンプルレート変換器と
を具備することを特徴とする受信機。
【請求項10】
無線信号を受信して受信信号を得るアンテナと、
前記受信信号に対し個々の前記通信モードに応じた受信処理を行って、前記複数のアナログ信号を生成する受信部と、
前記サンプルレート変換器の出力信号から妨害波の除去のためのフィルタリングを行い、フィルタ信号を生成するフィルタと、
前記フィルタ信号に対して復調及び復号を行い受信データを再生する復調・復号部と
を更に具備することを特徴とする請求項9記載の受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−239653(P2009−239653A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−83594(P2008−83594)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)