説明

サンプル保管用袋

【課題】印刷外観・印刷耐久性に優れ、サンプルに含まれる液体成分の含浸による印刷面の汚染がなく、サンプリング時のサンプルの滑り落ちがなく、構成・製法が簡素で、かつ、サンプル挿入時の袋の開口が容易でサンプリング作業の容易性が向上した、トレーサビリティシステムに好適なサンプル保管用袋の提供。
【解決手段】ポリオレフィンを主成分とするシート1が重なり合って構成された、シート状を呈するサンプル保管用袋であって、重なり合ったシート1の外周縁のうちの一定区間が当該袋の開口部2とされ、それ以外の外周縁では、重なり合ったシート1同士が互いにつながった状態となっており、これによってシート状を呈する袋が構成されており、開口部2を挟む側縁部3a、3bのうちの少なくとも一方におけるシート1同士の互いのつながりが、シート1の折り返しによって達成されていることを特徴とする、サンプル保管用袋。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーサビリティシステムに用いることができるサンプル保管用袋に関する。
【背景技術】
【0002】
食品の安全性や品質を管理するため、食品の生産、流通等の履歴を追跡できるシステム、いわゆるトレーサビリティシステムが用いられる。狂牛病対策に用いられるトレーサビリティシステムとしては、牛肉の流通前に肉片サンプルを由来動物の識別番号等を付して保管し、事後に該サンプルをDNA鑑定の照合用に用いて同一性を確認することで、牛肉の生産、流通等の履歴を追跡できるシステムが例示される。
【0003】
肉片サンプルの保管のためのサンプルホルダーとしては、特許文献1に、紙である基礎シートの上に透明なポリプロピレン膜であるカバーシートがヒンジ動作で固定され、該カバーシートの基礎シートに対向する面に粘着剤を介して裏貼シートが取り外し可能に固定された構成のものが開示されている。該サンプルホルダーは、使用に際して、カバーシートの裏貼シートを剥がして粘着剤を露出し、サンプルを置いた基礎シート上にカバーシートを接着してサンプルを閉じ込めるものである。また、該サンプルホルダーは、基礎シートのサンプルを置く面と反対の面に、サンプルを識別するためのバーコード等が印刷される。
【0004】
しかし、上記特許文献1記載のサンプルホルダーは、バーコード等を印刷する基礎シートが紙であるため印刷外観が悪いという問題があり、紙にワックス系インクで印刷した場合は印刷面を擦ると印刷情報が消えてしまい、印刷耐久性が悪いという問題があり、肉片サンプル等のような肉汁、血液等の液体成分を含むサンプルの場合、紙である基礎シートにサンプルを置くと基礎シートの反対の面である印刷面に液体成分が含浸し、外観が悪く、かつ印刷情報が読み難くなるという問題がある。また、上記特許文献1記載のサンプルホルダーは、非粘着の基礎シートにサンプルを置くので、サンプルが滑り易く、カバーシートを接着してサンプルを閉じ込めるまで基礎シート上にサンプルを保持することが難しく、サンプリング作業が困難であるという問題がある。さらに、上記特許文献1記載のサンプルホルダーは、構成及び製法が複雑で、コスト高となるという問題がある。
本発明者らは、上記従来の問題点を解決するために、ポリオレフィンを主成分とするシートを用いた特定の構造を有する袋状のサンプル保管用シートを提案している(特願2003−431584号、特願2003−431587号)。
本発明者らは、サンプリング作業の容易性をより向上させるためサンプルを挿入する際の袋の開口を容易にすることに着目した。
【特許文献1】特表2003−508770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、トレーサビリティシステムに用いることができるサンプル保管用袋であって、上記従来の問題点が改善し、特にサンプルを挿入する際の袋の開口が容易であり、その結果サンプリング作業の容易性が向上したサンプル保管用袋の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、以下の構成を採用した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]ポリオレフィンを主成分とするシートが重なり合って構成された、シート状を呈するサンプル保管用袋であって、
重なり合ったシートの外周縁のうちの一定区間が当該袋の開口部とされ、それ以外の外周縁では、重なり合ったシート同士が互いにつながった状態となっており、これによってシート状を呈する袋が構成されており、
開口部を挟む側縁部のうちの少なくとも一方におけるシート同士の互いのつながりが、シートの折り返しによって達成されていることを特徴とする、サンプル保管用袋。
[2]当該サンプル保管用袋の外周形状が方形であって、その一辺が開口部となっている、上記[1]記載のサンプル保管用袋。
[3]開口部を挟む側縁部のうちの一方では、シート同士の互いのつながりが、シートの折り返しによって達成されており、
それ以外の外周縁では、シート同士の互いのつながりが、接着剤またはヒートシールによる接合によって達成されている、上記[1]または[2]記載のサンプル保管用袋。
[4]ポリオレフィンを主成分とするシートを折り返すことによってシートが重なり合った状態とし、折り返した辺および開口部となる辺以外の外周縁を接着剤またはヒートシールによって接合することによって袋とし、
これによって、開口部を挟む側縁部のうちの一方におけるシート同士の互いのつながりが、シートの折り返しによって達成されている、上記[3]記載のサンプル保管用袋。
[5]開口部を挟む側縁部のうちの両方におけるシート同士の互いのつながりが、シートの折り返しによって達成されており、
開口部に対向し袋の底となる縁部では、シート同士の互いのつながりが、接着剤またはヒートシールによる接合によって達成されている、上記[1]または[2]記載のサンプル保管用袋。
[6]ポリオレフィンを主成分とするシートからなる筒状部材を用い、該筒状部材をその胴体側面方向から押し潰してシートが重なり合った状態とし、押し潰された筒状部材の一方の端部を接着剤またはヒートシールによって接合することによって袋とし、
これによって、開口部を挟む側縁部のうちの両方におけるシート同士の互いのつながりが、シートの折り返しによって達成されている、上記[5]記載のサンプル保管用袋。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、サンプルを挿入する際の袋の開口が容易であり、その結果サンプリング作業の容易性が向上した、トレーサビリティシステムに用いることができるサンプル保管用袋を提供することができる。加えて、本発明のサンプル保管用袋は、印刷面の印刷外観及び印刷耐久性に優れ、サンプルに含まれる液体成分の含浸による印刷面の汚染がなく、サンプリングの際にサンプルがシートから滑り落ちるような欠点がなく、構成及び製法が簡素である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を図を参照してより詳細に説明する。
図1は本発明のサンプル保管用袋の一例を示す斜視図である。
本発明のサンプル保管用袋は、図1に示されるように、ポリオレフィンを主成分とするシート1が重なり合って構成された、シート状を呈するサンプル保管用袋であって、重なり合ったシート1の外周縁のうちの一定区間が当該袋の開口部2とされ、それ以外の外周縁(図1における、側縁部3a、3bおよび袋の底となる縁部5)では、重なり合ったシート1同士が互いにつながった状態となっており、これによってシート状を呈する袋が構成されており、開口部2を挟む側縁部3a、3bのうちの少なくとも一方におけるシート1同士の互いのつながりが、シート1の折り返しによって達成されていることを特徴とする。
開口部を挟む側縁部とは、重なりあったシートの外周縁の一区間であって、例えば図1の3a、3bなど、開口部の両側に位置する部位である。
【0009】
本発明のサンプル保管用袋は、開口部を挟む側縁部のうちの少なくとも一方におけるシート同士の互いのつながりが、シートの折り返しによって達成されているので、シートの折り返しが復元しようとすることによりサンプリング時にサンプルを袋に挿入する際の袋の開口が容易となり、その結果容易にサンプリング作業を行うことができる。
さらに、本発明のサンプル保管用袋では、印刷面となる袋の外面がポリオレフィンを主成分とするシートであることから、従来の紙を用いることによる印刷外観及び印刷耐久性が悪いという問題、及びサンプルに含まれる液体成分の含浸による印刷面が汚染するという問題を解消でき、しかも、袋状であるので従来のようにサンプルが閉じ込めるまでに滑り落ちることがなく容易にサンプリング作業を行うことができる。
【0010】
「ポリオレフィンを主成分とするシートが重なり合って構成された」とは、サンプル保管用袋がシート状を呈するように、ポリオレフィンを主成分とするシートが重なり合って袋が構成されていることをいう。本発明において、ポリオレフィンを主成分とするシートが重なり合った状態とするには、図1のように1枚のシート1を折り返すことや、2枚のシートを重ね合わせること(図示せず)などで達成される。2枚のシートを重ね合わせる場合には、少なくとも一方の側縁部が折り返して構成されるように、シート同士をつなぎ合わせればよい。また、ポリオレフィンを主成分とするシートからなる筒状部材を用い、該筒状部材をその胴体側面方向から押し潰すことによってシートが重なり合った状態としてもよい。
【0011】
本発明において、重なり合ったポリオレフィンを主成分とするシートの外周縁のうちの一定区間をサンプルを挿入するための袋の開口部とする。例えば、サンプル保管用袋の外周形状が方形である場合に、その一辺を開口部とする態様が挙げられる。
【0012】
「重なりあったシート同士が互いにつながった状態」とは、2枚のものを一体化する接合加工によるものだけでなく、例えば図1の3bなど、本来1枚のシートであること自体による連続した状態をも含む。
【0013】
本発明のサンプル保管用袋としては、具体的には、以下の第1および第2の態様のサンプル保管用袋が例示される。
本発明の第1の態様のサンプル保管用袋は、図1に構成の一例を示すように、開口部2を挟む側縁部3a、3bのうちの一方(図1における、側縁部3b)では、シート1同士の互いのつながりが、シート1の折り返しによって達成されており、それ以外の外周縁(図1における、側縁部3aおよび袋の底となる縁部5)では、シート1同士の互いのつながりが、接着剤またはヒートシールによる接合(図1における、接合部4)によって達成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の第2の態様のサンプル保管用袋は、図2に構成の一例を示すように、開口部2を挟む側縁部3a、3bのうちの両方におけるシート1同士の互いのつながりが、シート1の折り返しによって達成されており、開口部2に対向し袋の底となる縁部5では、シート1同士の互いのつながりが、接着剤またはヒートシールによる接合(図2における、接合部4)によって達成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の第1の態様のサンプル保管用袋は、例えば、図1に示すように、ポリオレフィンを主成分とするシート1を折り返すことによってシート1が重なり合った状態とし、折り返した辺(図1における、側縁部3b)および開口部2となる辺以外の外周縁(図1における、側縁部3aおよび袋の底となる縁部5)を接着剤またはヒートシールによって接合(図1における、接合部4)することによって袋として製造することができ、これによって開口部2を挟む側縁部3a、3bのうちの一方(図1における、側縁部3b)における、シート1同士の互いのつながりが、シート1の折り返しによって達成することができる。
本発明の第2の態様のサンプル保管用袋は、例えば、図2に示すように、ポリオレフィンを主成分とするシートからなる筒状部材を用い、該筒状部材をその胴体側面方向から押し潰してシートが重なり合った状態とし、押し潰された筒状部材の一方の端部(図2における、袋の底となる縁部5)を接着剤またはヒートシールによって接合(図2における、接合部4)することによって袋として製造することができ、これによって、開口部2を挟む側縁部3a、3bのうちの両方におけるシート1同士の互いのつながりが、シート1の折り返しによって達成することができる。
このように、本発明のサンプル保管用袋は、従来より製法が簡素である点で有利である。
【0016】
本発明の第2の態様のサンプル保管用袋における、ポリオレフィンを主成分とするシートからなる筒状部材は、継ぎ目のない筒状に形成加工したものを用いてもよく、1枚のシートの両端部を接着剤またはヒートシールにより接合して、図2に示すような継ぎ目6を有する筒状としたものでもよい。また、2枚以上のシートを継ぎ合わせて筒状としたものであってもよい。
該筒状部材をその胴体側面方向から押し潰してシートが重なり合った状態とするとき、継ぎ目の位置は特に限定されない。
【0017】
本発明において、接合加工の方法は特に限定されないが、例えば、接着剤による接合、ヒートシールによる接合等が挙げられる。
接合に用いる接着剤は、特に限定されず、種々の接着剤が使用可能であり、例えば、アクリル系、エポキシ系、合成ゴム系、ウレタン系、天然ゴム系、EVA系、メラミン系、ポリアミド系等の接着剤が挙げられる。中でも、EVA系接着剤のごときホットメルト系接着剤、アクリル系接着剤やゴム系接着剤のごとき感圧性接着剤が好ましい。
【0018】
本発明において、ポリオレフィンを主成分とするシートAとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、これらの積層フィルム(例えば、ポリエチレンフィルム/接着剤層/ポリプロピレンフィルム/接着剤層/ポリエチレンフィルムの積層構造からなる積層フィルム等)、ポリエチレンフィルムと紙をラミネートしたもの、ポリエチレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)をラミネートしたもの、ポリエチレンフィルムとPETフィルムと紙をラミネートしたもの等のポリオレフィンフィルムを少なくとも含む積層シート等が挙げられる。このうち、ポリエチレンフィルムとPETフィルムと紙をラミネートした積層フィルムは、強度、加工性の点で特に好ましいものである。また、後述のポリオレフィンを主成分とするインクの転写性の観点からは、ポリエチレンフィルム、表層がポリエチレンの積層フィルム(例えば、ポリエチレンフィルム/接着剤層/ポリプロピレンフィルム/接着剤層/ポリエチレンフィルムの積層構造からなる積層フィルム等)等が好ましい。本発明において、シートAの厚みは、好ましくは50〜200μm、より好ましくは80〜150μmであり、シートの厚みが200μmを超えると、袋が必要以上にかさばったり、密封(シール)後に、開封しずらくなる傾向となる。また、シートの厚みが50μm未満の場合、袋の開口部がスムーズに開きにくくなったり、袋が破損しやすい傾向となる。原料であるポリオレフィンの粘度平均分子量は、好ましくは5000〜600万、より好ましくは10,000〜150万である。粘度平均分子量が600万を超えると、フィルム化自体が困難であり、また、後述のポリオレフィンを主成分とするインクの定着性が低下する傾向となる。粘度平均分子量が5000未満であると、フィルム自体の耐熱性や強度が不足する。シートAは、本発明の効果を阻害しない限り他の添加物、例えば、顔料、補強基材、酸化防止剤、老化防止剤等を含有してもよい。シートAに含有してもよい添加物の含有量は、ポリオレフィン100重量部に対して、通常50重量部以下、好ましくは30重量部以下である。
本発明におけるポリオレフィンを主成分とするシートは、本発明の効果を阻害しない限り他の添加物、例えば、顔料、補強基材、酸化防止剤、老化防止剤等を含有してもよい。本発明のポリオレフィンを主成分とするシートに含有してもよい添加物の含有量は、ポリオレフィン100重量部に対して、通常50重量部以下、好ましくは30重量部以下である。
【0019】
本発明において、ポリオレフィンを主成分とするシートは、中実のシートでも多孔質のシートでもよいが、多孔質シートであると、袋に入れたサンプルに含まれる液体成分中の水分を外に逃がすことができる点で有利である。すなわち、サンプルを閉じ込めたサンプル保管用シートごと、加熱処理(例えば50〜100℃、5分〜24時間)に付すことにより、シート面を通してサンプルに含まれる液体成分中の水分を外に逃がすことができる。本明細書において「多孔質シート」とは、シートの表面から裏面まで貫通する連通孔を有するシートであり、例えば、その透気度(試験方法:JIS−P−8117)は、10〜100,000sec/100ccが好ましく、50〜10,000sec/100ccがより好ましい。ポリオレフィンを主成分とする多孔質シートの原料であるポリオレフィンの粘度平均分子量は、好ましくは5000〜600万であり、より好ましくは10,000〜200万である。本発明におけるポリオレフィンを主成分とする多孔質シートとしては、例えば、特開昭63−17941号公報、特開昭63−295649号公報等に記載のポリオレフィンを主成分とする多孔質フィルム、市販品(ブレスロン、日東電工(株)社製)等が挙げられる。
【0020】
本発明において、ポリオレフィンを主成分とするシートは、印刷情報の視認性やバーコードの読み取り性の観点から、白色であることが好ましい。白色であるシートは、例えば、白色顔料(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、天然クレー、炭酸マグネシウム等)を含有させて製造できる。白色顔料の含有量は、ポリオレフィン100重量部に対して、通常1〜50重量部、好ましくは5〜30重量部である。
【0021】
本発明のサンプル保管用袋は、ポリオレフィンを主成分とするシートの袋の外面となる面に好適に印字、バーコード、図柄等の印刷をすることができる。本発明のサンプル保管用袋は、印刷面にポリオレフィンを主成分とするシートを用いるので、印刷面の印刷外観及び印刷耐久性に優れ、サンプルに含まれる液体成分の含浸による印刷面の汚染がない。印刷に用いるインクは、ポリオレフィンを主成分とするシートとの密着性の観点から、ポリオレフィンを主成分とするインクが好ましい。ポリオレフィンを主成分とするインクとしては、ポリエチレンインク、ポリプロピレンインク等が挙げられ、転写性の観点から、ポリエチレンインクが好ましい。本発明において、ポリオレフィンを主成分とするシートがポリエチレンフィルムまたは表層がポリエチレンの積層フィルムであって、印刷に用いるインクがポリエチレンインクであるのが、転写性、密着性、印刷の耐久性等の観点から、特に好ましい。
【0022】
ポリオレフィンを主成分とするインクは、ポリオレフィンと1種又は2種以上の着色剤とを含有する。原料であるポリオレフィンの粘度平均分子量は、通常5000〜30万であり、好ましくは20万以下である。着色剤としては、例えば有機系又は無機系の顔料、カーボン、金属粉末等の適宜なものを用いることができる。着色剤の含有量は、ポリオレフィン100重量部に対して、通常50〜500重量部、好ましくは100〜300重量部である。インクは、本発明の効果を阻害しない限り他の添加物、例えば溶媒、紫外線吸収剤、分散剤、界面活性剤等を含有していてもよい。
【0023】
ポリオレフィンを主成分とするインクは、自体公知の方法で製造することができるが、例えば、1種又は2種以上の着色剤とポリオレフィンをロールミル等の適宜な混練機にて加熱混合するか、必要に応じてポリオレフィン溶解性の溶媒を用いて例えばロールミルやポットミル等の適宜な混練機で混合してペースト状等の流動物として製造することができる。
【0024】
本発明のサンプル保管用袋の、ポリオレフィンを主成分とするシートの袋の外面となる面の印刷は、例えば、熱転写印刷、グラビア印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、ドットインパクト等が挙げられ、現場発行とポリオレフィン同士の強固な熱融着により印刷の耐久性が得られることから、熱転写印刷が好ましい。
【0025】
本発明は、また、本発明のサンプル保管用袋が連続的に繋がっており、各隣り合うサンプル保管用袋の間にミシン目線が設けられた、サンプル保管用袋であってもよい。ミシン目線が設けられているため、使用時に、各隣り合うサンプル保管用袋をミシン目線の部分で指先等で容易に分離することができる。分離を容易にするため、ミシン目線は、サンプル保管用袋を貫通して設けられることが好ましい。また、分離を容易にするため、ミシン目線の端部に、切り込みを設けてもよい。
【0026】
本発明において、「サンプル保管用袋」とは、単一のサンプル保管用袋を意味するだけでなく、複数のサンプル保管用袋が連続的に繋がって、各隣り合うサンプル保管用袋の間にミシン目線が設けられた、サンプル保管用袋の連続体も包含する。該連続体では、実際にサンプルを収容する作業の前までは、複数の保管用袋が繋がっているので取り扱いが煩雑にならない。また、該連続体であれば、実際にサンプルを収容する際、サンプル数に応じて、各隣り合うサンプル保管用袋の間のミシン目線を指先等で切断することで必要数の保管用袋を切り出し、サンプルの保管作業を行うことができる。従って、完成したサンプル保管品及び未使用のサンプル保管用袋の管理を容易に行える。なお、当該連続体に設けるミシン目線は、サンプル保管用袋を貫通して設けられることが好ましく、また、分離を容易にするため、ミシン目線の端部に、切り込みを設けてもよい。
【0027】
本発明のサンプル保管用袋の外形は特に限定されず、例えば、方形(正方形又は長方形)等が挙げられる。本発明のサンプル保管用袋のサイズは、サンプルを閉じ込めることができ、また、表面に印刷するのに適したサイズであれば特に限定されないが、例えば一辺が20〜500mm、好ましくは一辺が50〜200mmのサイズが挙げられる。
【0028】
本発明のサンプル保管用袋に適用するサンプルは、特に限定されず、例えば食品サンプル(例えば牛肉、ブタ肉、鳥肉、加工品、野菜等)、動植物の研究用サンプル等が挙げられる。本発明のサンプル保管用袋は、サンプルを挿入する際の袋の開口が容易であるため容易にサンプリング作業を行うことができ、印刷面の印刷外観及び印刷耐久性に優れ、サンプルに含まれる液体成分の含浸による印刷面の汚染がなく、サンプリングの際にサンプルがシートから滑り落ちるような欠点がなく、かつ、構成及び製法が簡素であるので、トレーサビリティシステムにおける上記のようなサンプルの保管に好適に用いることができる。
【0029】
本発明のサンプル保管用袋を用いたサンプル保管方法としては、例えば、本発明のサンプル保管用袋の開口部からサンプルを挿入後、当該サンプル保管用袋の開口部を接着剤、ヒートシール等により封鎖して、サンプルを保管する方法が挙げられる。サンプル保管用袋に閉じ込めたサンプルは、サンプルの分析等の際に、袋を破る等して取り出すことができる。
【0030】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
実施例1
図1に示すように、100μmの粘度平均分子量が約50万の高密度ポリエチレン製シート(シート1)を、折り返すことによってシート1が重なり合った状態とし、折り返した辺(図1における、側縁部3b)および開口部2となる辺以外の外周縁(図1における、側縁部3aおよび袋の底となる縁部5)をヒートシールによって接合することによって袋とし、本発明のサンプル保管用袋を製造した。
【0031】
実施例2
図2に示すように、厚さ10μmの粘度平均分子量が約10万の低密度ポリエチレンフィルム/厚さ10μmのポリオレフィン系接着剤層/厚さ70μmのポリプロピレンフィルム/厚さ10μmのポリオレフィン系接着剤層/厚さ10μmの粘度平均分子量が約10万の低密度ポリエチレンフィルムの積層構造のシート(シート1)の対向する両端部を折り返し、該両端部を、シート1の互いに反対面となる面を重ねてヒートシールによって接合し、継ぎ目6を有する筒状に形成し、得られた筒状部材をその胴体側面方向から押し潰してシートが重なりあった状態とし、押し潰された筒状部材の一方の端部(図2における、袋の底となる縁部5)をヒートシールによって接合することによって袋とし、本発明のサンプル保管用袋を製造した。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明のサンプル保管用袋の一例を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明のサンプル保管用袋の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1 シート
2 開口部
3a 側縁部
3b 側縁部
4 接合部
5 袋の底となる縁部
6 継ぎ目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィンを主成分とするシートが重なり合って構成された、シート状を呈するサンプル保管用袋であって、
重なり合ったシートの外周縁のうちの一定区間が当該袋の開口部とされ、それ以外の外周縁では、重なり合ったシート同士が互いにつながった状態となっており、これによってシート状を呈する袋が構成されており、
開口部を挟む側縁部のうちの少なくとも一方におけるシート同士の互いのつながりが、シートの折り返しによって達成されていることを特徴とする、サンプル保管用袋。
【請求項2】
当該サンプル保管用袋の外周形状が方形であって、その一辺が開口部となっている、請求項1記載のサンプル保管用袋。
【請求項3】
開口部を挟む側縁部のうちの一方では、シート同士の互いのつながりが、シートの折り返しによって達成されており、
それ以外の外周縁では、シート同士の互いのつながりが、接着剤またはヒートシールによる接合によって達成されている、請求項1または2記載のサンプル保管用袋。
【請求項4】
ポリオレフィンを主成分とするシートを折り返すことによってシートが重なり合った状態とし、折り返した辺および開口部となる辺以外の外周縁を接着剤またはヒートシールによって接合することによって袋とし、
これによって、開口部を挟む側縁部のうちの一方におけるシート同士の互いのつながりが、シートの折り返しによって達成されている、請求項3記載のサンプル保管用袋。
【請求項5】
開口部を挟む側縁部のうちの両方におけるシート同士の互いのつながりが、シートの折り返しによって達成されており、
開口部に対向し袋の底となる縁部では、シート同士の互いのつながりが、接着剤またはヒートシールによる接合によって達成されている、請求項1または2記載のサンプル保管用袋。
【請求項6】
ポリオレフィンを主成分とするシートからなる筒状部材を用い、該筒状部材をその胴体側面方向から押し潰してシートが重なり合った状態とし、押し潰された筒状部材の一方の端部を接着剤またはヒートシールによって接合することによって袋とし、
これによって、開口部を挟む側縁部のうちの両方におけるシート同士の互いのつながりが、シートの折り返しによって達成されている、請求項5記載のサンプル保管用袋。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−317416(P2006−317416A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−143265(P2005−143265)
【出願日】平成17年5月16日(2005.5.16)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】