説明

サンプル品の製造方法

【課題】本発明は、食品サンプル、擬似見本及び装飾品等において、本物の製品の立体形状や曲面や凹凸並びに色相や模様及び光沢等を似せてサンプル品を製造する方法に関する。
【解決手段】下記の工程よりなるサンプル品の製造方法。
1.凹部内側に位置する底面に、本物品の表面形状に一致する凹凸形状を有する型を製造する。
2.上記型内にゴム又はシリコーン等の流状物を流し込み、型内側の底面及び周囲面に押し付け固めることによりその表面に凹凸形状を有する加工成型物を製造する。
3.上記加工成型物の脱型後、該加工成型物の表面に本物品の表面に似せた色相、模様及び光沢等を印刷した薄い皮膜よりなる水貼りシールを貼着する。
4.貼着した水貼りシールの表面側より、指、筆、歯ブラシ、ローラー、竹串、エアー吹き付け等の手段で押圧し、摺擦することにより加工成型物表面の凹凸に一致するように該水貼りシールを密着させる。
5.その後、該水貼りシールを加工成型物の表面側縁部に沿って切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品サンプル、擬似見本及び装飾品等において、本物の製品の立体形状や曲面や凹凸並びに色相や模様及び光沢等を似せてサンプル品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、サンプル品として実際の販売用である製品(以下、本物品という)を個別包装し、或いは包装を外して裸の状態でディスプレイすることが多かった。
【0003】
また、本物品ではなく、本物品に似せた外形形状に合わせてサンプル品を製造している。
【0004】
更に、別の手段として本物品の写真を撮り、それをキャラメル箱等の立体物に組み立てる方法やその写真を立体物に貼り付けることによりサンプル品を製造している。
【0005】
また、下記文献のように、見本品の製造時に本物品と同一の着色剤を混入し、実際の製品に類似したサンプル品を製造している。
【特許文献1】特開平8−129338号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記本物品をそのまま採用するものは、時間経過とともに劣化、変色、変形すると同時に、本物品は大量に製造されるため必ずしもサンプル品に適するものが得られるとは限らなかった。
また、一度飾ったサンプル品は、例えば食品のような場合、それらを販売用とすることは不可能であり、多くのロスが生じていた。
【0007】
更に、本物品に似せたサンプル品を製造するために様々な工夫がなされているが、いずれも手間がかかり、重量もかさみ、且つ高価なものとなっていた。
【0008】
また、写真を利用するものにあっては立体感や質感に欠如し、本物品の表面の細やかな凹凸形状や湾曲状態或いは色相、模様及び光沢等の表現ができなかった。
【0009】
更に、本物品に似せるために本物品に使用されている材料そのものを着色剤として使用しているものは、それらに劣化等が生じない場合は良いが、食品等のサンプルにあっては本物品を使用することはできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記欠点を解決したもので、下記の工程よりなるサンプル品の製造方法を特徴とする。
1.凹部内側に位置する底面に、本物品の表面形状に一致する凹凸形状を有する型を製造する。
2.上記型内にゴム又はシリコーン等の流状物を流し込み、型内側の底面及び周囲面に押し付け固めることによりその表面に凹凸形状を有する加工成型物を製造する。
3.上記加工成型物の脱型後、該加工成型物の表面に本物品の表面に似せた色相、模様及び光沢等を印刷した薄い皮膜よりなる水貼りシールを貼着する。
4.貼着した水貼りシールの表面側より、指、筆、歯ブラシ、ローラー、竹串、エアー吹き付け等の手段で押圧し、摺擦することにより加工成型物表面の凹凸に一致するように該水貼りシールを密着させる。
5.その後、該水貼りシールを加工成型物の表面側縁部に沿って切断する。
【0011】
また、下記の工程よりなるサンプル品の製造方法を特徴とする。
1.凹部内側に位置する底面及び側面に、本物品の表面形状に一致する凹凸形状を有する型を製造する。
2.上記型内にゴム又はシリコーン等の流状物を流し込み、型内側の底面及び周囲面に押し付け固めることによりその表面に凹凸形状を有する加工成型物を製造する。
3.上記加工成型物の脱型後、該加工成型物の表面に本物品の表面に似せた色相、模様及び光沢等を印刷した薄い皮膜よりなる水貼りシールを貼着する。
4.貼着した水貼りシールの表面側より、指、筆、歯ブラシ、ローラー、竹串、エアー吹き付け等の手段で押圧し、摺擦することにより加工成型物表面の凹凸に一致するように該水貼りシールを密着させる。
5.その後、該水貼りシールを加工成型物の表面側縁部に沿って切断する。
6.上記2.ないし5.の工程のいずれかの後に、加工成型物の側面に着色手段により本物品の側面に似せた色相、模様及び光沢等を着色或いは3.の工程で使用した水貼りシールを貼着する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のサンプル品の製造方法によって製造されたサンプル品は、本物品の外形の凹凸や色相、模様及び光沢等を同じくすることができ、本物品に極めて似たサンプル品を製造することが可能となった。
【0013】
また、サンプル品の外形形状は、その表面及び側面のみを本物品の外形形状に一致するように立体形状に形成するが、裏面側は凹部として欠除しているので、材料の使用量を大幅に少なくし、且つ軽量化を達成することが可能となった。
【0014】
更に、本物品に似せた状態のサンプル品を多量に製造することができ、且つ早期に劣化、変色、変形することがないサンプル品を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明のサンプル品の原形となる加工成型物を製造するのに使用する型1の斜視図である。
ゴム或いはシリコーン等より製造した矩形形状をした型1で、その中央部にサンプル品製造用の凹部2を形成する。該凹部2は、本物品の外形形状に合う形状とし、湾曲や凹凸等の様々な形状のものが選択される。また、該凹部2の底面に位置する表面或いは側面には本物品の表面の凹凸に一致するように凹凸部3を形成して型1を製造する。型1を製造するに当っては、本物品を配置し、型1が固まった後にそれらを取り除いて外形や表面の凹凸を形成することもできる。
【0017】
上記型1内に、図2に示すように、該凹部2の形状に沿ってゴムやシリコーン等の流状物を流し込み、厚さ1〜5mm程度となるように該凹部2に沿って底面及び周囲面に押し付けて加工成型物を製造する。該加工成型物4が固まった後、該型1より脱型する。
【0018】
他方、図3に示すように、台紙5の上に本物品の表面或いは側面と同様の色相や模様及び光沢等を印刷した薄い皮膜のシール6を用意する。該シール6は、その裏面側に水溶性の貼着剤が形成されているので、水を付与することにより容易に加工成型物4の表面及び場合によっては側面に貼着することができる。上記シール6は、必要に応じて台紙5の裏面側に、該シール6の色相や模様及び光沢等に合わせてそれらを表現した印刷を施しておくことができる。
【0019】
該シール6は、薄い製品なので、台紙5から剥がすことなく台紙5を含めて水につけ、シール6を剥離して直ちに加工成型物4の表面に貼着することによりシール6が崩れることなく加工成型物の表面に密着させることができる。
【0020】
シール6は、薄い皮膜成型品なので、加工成型物4の表面に貼着したシール6は、その表面側より指、筆、歯ブラシ、ローラー、竹串、エアーの吹き付け等の手段により押圧し、摺擦することにより該加工成型物4の表面或いは側面に形成した凹凸面に一致するように凹凸状に変形し密着されることになる。
【0021】
加工成型物4の側面は、上記したシール6を巻き込んで裏面側縁部で該シール6を切断しても良いが、側面の色相や模様及び光沢等が異なる場合は、他の手段により着色したり、別途異なるシールを貼着しても良い。例えば、パンのような場合、その側面側は焼き色に着色したり、焼き色のシールを貼着することになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のサンプル品の原形を製造する型の斜視図。
【図2】型内に流状物を流し込み底面及び周囲面に押し付けた状態を示す斜視図。
【図3】シールの平面図。
【図4】加工成型物にシールを貼着した状態の断面図。
【符号の説明】
【0023】
1 型
2 凹部
3 凹凸部
4 加工成型物
5 台紙
6 シール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程よりなるサンプル品の製造方法。
1.凹部内側に位置する底面に、本物品の表面形状に一致する凹凸形状を有する型を製造する。
2.上記型内にゴム又はシリコーン等の流状物を流し込み、型内側の底面及び周囲面に押し付け固めることによりその表面に凹凸形状を有する加工成型物を製造する。
3.上記加工成型物の脱型後、該加工成型物の表面に本物品の表面に似せた色相、模様及び光沢等を印刷した薄い皮膜よりなる水貼りシールを貼着する。
4.貼着した水貼りシールの表面側より、指、筆、歯ブラシ、ローラー、竹串、エアー吹き付け等の手段で押圧し、摺擦することにより加工成型物表面の凹凸に一致するように該水貼りシールを密着させる。
5.その後、該水貼りシールを加工成型物の表面側縁部に沿って切断する。
【請求項2】
下記の工程よりなるサンプル品の製造方法。
1.凹部内側に位置する底面及び側面に、本物品の表面形状に一致する凹凸形状を有する型を製造する。
2.上記型内にゴム又はシリコーン等の流状物を流し込み、型内側の底面及び周囲面に押し付け固めることによりその表面に凹凸形状を有する加工成型物を製造する。
3.上記加工成型物の脱型後、該加工成型物の表面に本物品の表面に似せた色相、模様及び光沢等を印刷した薄い皮膜よりなる水貼りシールを貼着する。
4.貼着した水貼りシールの表面側より、指、筆、歯ブラシ、ローラー、竹串、エアー吹き付け等の手段で押圧し、摺擦することにより加工成型物表面の凹凸に一致するように該水貼りシールを密着させる。
5.その後、該水貼りシールを加工成型物の表面側縁部に沿って切断する。
6.上記2.ないし5.の工程のいずれかの後に、加工成型物の側面に着色手段により本物品の側面に似せた色相、模様及び光沢等を着色或いは3.の工程で使用した水貼りシールを貼着する。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−52085(P2007−52085A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−235606(P2005−235606)
【出願日】平成17年8月16日(2005.8.16)
【出願人】(503441850)