サンプル定量器具を充填するための装置
比較的多量の不特定量の液体サンプルから少なくとも1つの少量の特定量のサンプルを分離するためのサンプル定量器具を充填するための装置であり、この器具は互いに相対移動可能な第1の本体と、第2の本体とを含み、この第1本体はその表面に少なくとも1つのキャビティを有し、この少なくとも1つのキャビティはこの特定量の容積を有する。この第1本体および第2本体のいずれか一方が、少量の液体サンプルに浸すようになっている少なくとも1つの注入開口部(C)を有する。所定容量のチャネルがこの第1本体と、第2本体との間に設けられ、このチャネルは少なくとも1つの注入開口部(C)と、少なくとも1つのキャビティを越えて流体接続し、それによりこのチャネルの寸法が、このチャネルおよびこの少なくとも1つのキャビティにこの液体サンプルが充填されるような寸法となっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプル定量器具を充填するための装置に関し、特に比較的多量の不特定量の液体サンプルから少なくとも1つの少量の特定量のサンプルを分離するための、使い捨てのサンプル定量器具を充填するための装置に関し、この器具は互いに相対移動可能な第1の本体と、第2の本体とを含み、この第1本体はその表面に少なくとも1つのキャビティを有し、この少なくとも1つのキャビティはこの特定容積を有し、この第2本体はこれらの本体の相対移動によってこの表面に沿って、且つ、この少なくとも1つのキャビティに亘る摺動可能な手段を含み、これによって、この特定量をこの少なくとも1つのキャビティ内で得ることができる。ここで言う液体サンプルとは、血液サンプルなどである。
【背景技術】
【0002】
血液検査では血液サンプルの量を正確に定量することが極めて重要だが、それはこれらの正確に定量されたサンプルがその後いくつかの検査に使用されるためである。通常、正確に定量された血液サンプルは、正確に定量された希釈液またはリシン剤で一般に1:100から1:80000に希釈される。白血球の数を数える場合は一般に1:400、赤血球の数を数える場合は1:40000に希釈し、後者の場合はふつう2工程で行う。当然ながら、サンプル量および希釈液量の測定は、常に正確な希釈度を得られるように正確に且つ繰り返し行えるようでなければならない。サンプルの量は希釈液の量に比べて極めて少量であるため、サンプル量を正確に測定することが希釈の手順において重要な工程であることは明らかである。
【0003】
血液サンプルの正確な量を得るためには、血液サンプルを含有する手段が高精度に、正確に、且つ繰り返し充填されることが重要である。
【0004】
上述した種類のサンプル定量器具は同時係属出願である特許文献1から知られている。これは通常使い捨てカセットの形状を有する。
【特許文献1】スウェーデン特許第0303157−2号明細書
【0005】
液体サンプル、望ましくは血液サンプルの正確な量を繰り返し得るための小さいキャビティ、空隙または同様のものを充填する際に1つ問題となるのは、血液サンプル用のキャビティに気泡が生じてしまうため、キャビティが適切に充填されないことである。そのため血液サンプル量には差異が生じ、のちに血球数を調べるときに重大な問題となる。
【0006】
また、少量の液体または血液サンプル検査用の既知の装置における別の問題は、サンプルが正しく充填されている状態を視覚で確認できないことである。
【0007】
さらに、少量の液体または血液サンプル検査用の既知の装置への充填が、充填時の装置の向きに左右されてしまうことも問題である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、互いに相対移動可能な少なくとも2つの本体を含み、この本体のうちの1つに液体サンプルが充填される少なくとも1つのキャビティが設けられた、比較的多量の不特定量液体サンプルから少なくとも1つの正確に定量された量のサンプルを分離するための器具を充填するための装置を提供することである。
【0009】
さらなる目的は、キャビティに液体サンプルが正確に繰り返し充填されている状態を容易に視覚で確認できる上述のタイプの装置を提供することである。
【0010】
また、さらなる目的は、充填の向きに左右されない上述のタイプの装置を提供することである。
【0011】
本目的は、第1および第2本体のうちの一方が、少量の液体サンプルと接触する少なくとも1つの注入開口部を有すること、所定の容積のチャネル3が、第1本体と第2本体との間に設けられ、このチャネルが前記少なくとも1つの注入開口部と、少なくとも前記少なくとも1つのキャビティを越えて流体連通していること、前記チャネルが、前記チャネルおよびこれによって前記少なくとも1つのキャビティに毛管力で前記液体サンプルを充填できるような寸法であること、を特徴とする本発明の装置によって達成される。
【0012】
上述したように、サンプル定量器具は同時係属出願である下記特許文献1から知られており、これにより本特許の内容を参照によって本明細書に引用したものとする。原則的に定量方法はa)ある表面上およびその表面に形成されたキャビティ内に、比較的多量の、多くの場合は不特定量のサンプルを塗付すること、b)より少量の特定量のサンプルをキャビティに残すために、この表面に亘って掻取縁部を移動させることを含む。その後c)溶剤または試薬といった液体をキャビティに流し込んで希釈サンプルを得ること、d)サンプルと希釈液を混合して、均一な希釈サンプルを得ること、およびe)希釈され且つ混合されたサンプルの測定を行うこと、といった工程を続けて行ってもよい。
【0013】
説明のために、上記のサンプルを充填する表面は、物理的表面(physcial surface)と、この物理的表面と面一で想像上の表面(imaginary surface)とを含む基準面(reference surface)と見なすことができ、または、想像上の表面によって制限されるキャビティ内に目標量のサンプルが含まれるようにするために、表面と接触した全体的に剛性な掻取手段のキャビティを横断する動きによって、機構的な意味で定義することもできる。基準面は少なくとも掻き取りが行える程度にキャビティを囲み、好ましくはキャビティの全側部を取り囲む。
【0014】
基準面は、連続性を有し、且つ、掻き取りの目的を果たす限り、異なる形状を有しても良い。例えばキャビティを有する基準面は、ボールバルブ内のキャビティに例示されるような、平面を曲げて形成することが不可能な二重湾曲した形状でもよく、好ましくは例えば平面から形成が可能なシリンダーバルブ内のキャビティに例示されるような1つの湾曲形状であり、最も好ましくは例えばスライドバルブ内のキャビティに例示されるような実質的に平坦な形状である。
【0015】
想像上の表面または、後述する実際の表面の下方にあるキャビティの大きさすなわち目標量は、いくつかの要因によって決まる。そのうちのいくつかは、例えばサンプルの特性、所望の希釈度または意図する測定要件に必要な容量といった用途によって変わる。使い捨て器具は一般に経済的な理由から寸法を最小限にして、希釈量や混合の構成といったその他の機構もまた最小限とすることが望ましい。しかしながら手動による操作や、プラスチック成形といった製造上の制約によって、実際のまたは可能なキャビティの大きさには下限がある。キャビティが例えばいくつかの異なる希釈度のサンプルを得るために複数存在する場合は、通常最小のキャビティの大きさが制約を受ける。一般的な量を挙げるのは困難であるが、経験上、キャビティの容量は好ましくは0.01μl超で、さらに好ましくは0.05μl超、最適には0.1μl超である。キャビティの最大容量は50μl未満を維持し、好ましくは25μl未満、最適には15μlである。
【0016】
キャビティの形状もまた同様にいくつかの要因によって決定される。キャビティを小さくすることに対する製造上の制約のほか、所望の形状は、主に充填が効率的であること、および使い捨ての器具を変えた際に重要となる本明細書で再現可能とも表現している、予測可能な容量を定めるための上記掻き取り操によって決定される。
【0017】
キャビティの充填は種々の方法で行われる。すでに述べたように、もし必要量以上のサンプルが単にキャビティに置かれると、ガスが含まれたり、充填されない空隙が生じたりする恐れがある。これらを防ぐために、例えばキャビティを通過する強制流で確実にサンプルを送り込むなど、サンプルを強制的にキャビティに流入させてもよいが、この方法でこの流れが確実にキャビティを通過するとは限らない。そのため好ましくはプローブ(探針)などをキャビティの真上からまたはキャビティに挿入して、好ましくはプローブ吐出口の接触および遮断(ブロッキング)に注意しながら強制的に流入させるが、これは水圧面積の関係によって注入圧力を上昇させても容易に補うことができるものではなく、また、特に小さいキャビティには細心の注意が求められる。
【0018】
好ましい充填方法としては、毛管力を利用した充填が挙げられる。このような充填は、液体サンプルに加わるその他の力とは完全に無関係に、液体を吸引する表面の湿潤によって行われると考えられている。そのため、もし他に力を加えなくても充填されれば、または充填することができれば、毛管力による充填の基準が満たされたものとみなされ、よってテスト可能(testable)であるとみなされる。他に力を加えない充填の基準は、毛管充填用のチャネルに例えば注射器または重力による充填など、他の力を利用してサンプルを充填する(apply)構成の器具においても、またテスト可能である。別の力を加えないと、例えば毛管充填を自動的に継続させるためにチャネル外周部の一部を強制的に湿潤させるといった、毛管充填用のチャネルへの強制的な液体の導入を必要とする毛管充填の開始に必要な力が得られなくなる。毛管充填が進行するためにはある程度の表面対容積比が必要であり、この比率は主に寸法によって決定され、その他にもとりわけ液体−表面の湿潤吸引(liquid to surface wetting attraction)によって決定され、表面は好ましくはプラズマ処理、化学変性、表面処理などによって変性された材料であってもよく、通常、断面に対してある程度の外周長さを必要とし、この外周は連続している必要はないが、ほぼ閉じた状態のチャネルを形成することが好ましい。毛管充填の条件を以下本明細書において例を用いて挙げるが、この条件は実際の材料とそこに含まれる液体によって決定されるべきである。
【0019】
充填は種々の方法で開始される。供給はほぼ基準面に沿って行うことができるため、供給と同方向に毛管湿潤が進行するという点で有利である。供給は下方から、すなわち1つまたは複数のキャビティを支持する構造と同じ構造を通過し、且つ、キャビティ充填に必要な流れとほぼ逆行する流れによって行うことも可能であり、これは例えば毛管充填がチャネル内で横方向に広がるのを防ぐために配設された構造体による干渉を回避することを目的としている。最も好ましくは、供給は基準面の上方から行うが、これは例えば上述の重力の補助、簡易な設計および掻き取り構成が作動中、供給開口部を閉鎖する可能性などのためである。
【0020】
サンプル導入部は、上述の目的を達成するような設計とすることが好ましい。この導入部は、血液滴を導入部に塗布するといったサンプルの直接導入または注射器やプローブなどの手段を用いた器具による導入の両方に適合するように設計することが好ましい。好適な設計は毛管チャネルに漏斗の端部を、好ましくはいくつかの理由からプローブなどの器具の過剰な挿入を避けるために配設するのが好ましく、最も好ましくはその端部を最も狭い流路が毛管供給に必要な流路よりも広くなるようにし、これによって重力による充填を補助し、非円形、好ましくはスリット形状とし、非毛管流と毛管流の移行が適切に行えるようにする。同様の理由から、漏斗は好ましくは最も狭い部分の後に末広がりになるような部分を有し、毛管流が進行するようになっている、末広がりの吐出口角度を有する全体的に砂時計のような形状とする。
【0021】
サンプルを吸引するのに当業者にとって一般的なのは、毛細管である。本キャビティがこれらの毛細管と異なるのはキャビティが基準面から延びている点で、通常この基準面はこれ自体にサンプルの充填チャネルの一部を形成し、好ましくはこのチャネルは、毛管充填用に設計され、キャビティを充填する流れ方向に対して横に位置するのが好ましい。キャビティ内のサンプルが明確に定量される限り、充填チャネルの要領と形状はあまり関係がない。充填チャネルは、基準面を有する器具を特に変更せずに、いくつかのキャビティを含んでもよい。チャネル充填構造から離れた、または少なくともその真下には位置しないキャビティを充填することによって、あらゆる利用可能なチャネル充填器具またはプローブ、およびその後のフラッシングによる干渉も回避することができる。簡易な構成により、既知のバルブタイプを上回る利点が得られる。
【0022】
理論に束縛されるものではないが、一般に毛管充填は表面に対する液体親和性によって推進されると考えられているため、このメカニズムで充填する場合、一般的な条件において、表面対容積比が大きいほど充填が促進されるはずである。好適な毛管充填の設計ではキャビティの寸法と形状が特に重要である。半球形状は表面対容積比が最も小さい。また一方で、小さいキャビティが有する表面対容積比は一般に大きいキャビティよりも大きく、これが本発明の認識すべきさらなる利点である最小化をさらに求める主な理由である。したがって小さいキャビティの場合は形状はそれほど重要ではなく、半球に近いまたは部分的に半球の形状でもよいが、大きいキャビティには好ましくは部分的または全体的に例えば管やチャネルの形状といった半球よりも表面対容積比の大きい形状とする。「より小さい」「より大きい」それぞれの識別は、本明細書では大まかに、キャビティの深さがそれぞれ、この寸法の連続するチャネル内を毛管流が進行するために最小限必要な深さの2倍よりも「より浅い」「より深い」かによって識別すると理解されたい。毛管流進行のための必要最小限の深さよりもキャビティを深くすることが可能なのは、毛管用の寸法のチャネルが局所的に、すなわちキャビティのところでより大きな寸法を局所的に凌ぐ液体の推進流を供するためである。
【0023】
さらに、表面湿潤理論(surface wetting theory)によって、もし縁部が凹型であれば、すなわち濡れた側から見て交点の表面角度が180度未満であれば、鋭角な縁部は毛管現象によって推進される液体前部によって横断(traversed)されやすいが、縁部が凸型であると、すなわち交点の表面角度が180度超であると横断されにくくなると考えられている。したがって、角度を小さくして毛管流移動を促進するために、少なくとも凸型縁部を滑らかにすることが好ましい。これは好ましくは毛管流前部の到達方向、すなわち上流の端部(up−flow end)に適用されるが、もう一方の端部すなわち下流の端部(down−flow end)はそれほど重要ではない。
【0024】
つまり、少なくともより大きいキャビティは毛管充填の促進のために設計すべきである。より小さいキャビティはそれほど重要ではなく、さらに一般的なプラスチック成形などの製造方法を用いれば通常、毛管充填に有益な、滑らかな移行表面が得られる。少なくともより大きいキャビティは好ましくは長尺な形状すなわち想像上の表面が長軸とそれに直交する短軸とを有する形状で、これによって円に対して外周対面積比が増えるが、この長尺な形状が楕円や長方形といった種々の形状でもよい。より複雑な形状の場合は、長軸および短軸を測定するするために、同じ面積の楕円形状と比較すればよい。好ましくはこのようなキャビティは少なくともベクトル成分(vector component)よって配設し、好ましくはその全長軸が毛管充填流の方向、すなわち到達する毛管液前部に対して、本明細書で言うところの上流方向(up−flow direction)と平行になるようにする。長尺な形状によって、キャビティが有する表面対容積比は確実に増える。さらに好ましくは、液体の流れの方向に見て、キャビティの上流端部が緩やかに下降してキャビティに入るスロープを有し、より好ましくは流れ方向とほぼ平行のキャビティの側部は基準面に対して急勾配になる。
【0025】
キャビティはいくつかの開口部または入口を有してもよく、例えば既知の管のような2つの開口部間を延びる管形状でもよいが、本発明では毛管駆動(capillarly driven)充填チャネルとも接続している。しかしながら、チャネルが2つ以上の開口部を有する場合、これらが1つの同じ基準面に開口していることが好ましい。もっとも好ましくは充填および掻き取りの最適な特性のために、キャビティは開口部を1つだけ有する。
【0026】
スロープ構成は基準面から離れるほど狭くなっているキャビティの設計と一致し、開口部がただ1つのキャビティの場合、その底部に向かって、または換言すれば基準面と平行な断面が少なくともキャビティの深さの一部に亘って好ましくはキャビティの深さのほぼ全体に亘って基準面から離れるほど、減少する。キャビティの壁部は少なくともほぼ垂直で、好ましくはキャビティの底部に向かって先細りになり、底部は基準面から最も離れている。最も好ましくはアンダーカット部分をキャビティに設けない、または設けても小さいものにする。
【0027】
1つまたは複数のキャビティの充填は、もしキャビティが毛管充填を補助するような設計であれば促進される、つまり、これは少なくともサンプル流方向におけるキャビティの表面対容積比が毛管充填の条件を満たすことを意味する。チャネルの表面の親和性が充分に強い場合は、キャビティの表面が毛管充填に必要な表面対容積の関係を越えてもよいが、好ましくはキャビティの寸法は毛管充填の条件の範囲内であり、ここではチャネルによって供される追加の寸法は考えない。
【0028】
次に掻き取りについて述べる。これまで想像上の表面を、基準面と完全に連続する理想の表面として述べてきた。しかし実際は基準面との良好な接触の維持が可能な掻取手段はいずれも、ある程度の弾性、好ましくは基準面への動的に適応するために必要な最低限の弾性を有する必要があり、過度に変形しない、より硬質な材料で作製されることが好ましい。掻取手段の材料は、容易に永久変形しないものという意味において、確実に軟質ではない材料とする。好適な材料として熱可塑性プラスチック、好ましくはエラストマー(ゴム弾性材料)などが挙げられる。掻取弾性とは、これがゆがみによってキャビティ内に入り込む程度に膨張することを意味し、これによりキャビティに実際の開口表面を生じさせ、一般にキャビティのサンプル容量をいくらか減少させる。この減少は予測可能であれば問題ではない。このような予測をさらに可能にするために、想像上の表面と、実際の表面との間の量の差を最小化することに関心が持たれている。
【0029】
掻取手段は、掻き取り方向およびこれと垂直の方向の両方に膨張してキャビティに侵入し得るが、掻取手段が好ましい方法でキャビティ全体を覆うために掻き取り方向に充分な長さを有すれば、上述したようにこのキャビティが長尺の場合すなわちより短い軸およびより長い軸を有する場合、上記量の差は減少すると考えられている。
【0030】
少なくともある意味で掻き取りは(左右)対照ではない、すなわち掻取縁部が撓みが生じ始めるキャビティ開口部に侵入する際および完全に撓んでいた掻取部が元に戻らなければならない、縁部がキャビティ開口部を出る際は対照ではなく、後者は前者よりも重要であると考えられている。少なくとも後者の影響を最小限に抑えるため、掻き取り方向に対して横方向のキャビティ開口部の寸法を、掻き取り方向と平行な開口部の寸法に対して小さくし、上述した長尺な形状と一致させることが好ましい。掻取縁部と、少なくともキャビティ縁部との間の接触が、侵入または少なくともキャビティ開口部を離れるとき、直線による接触であることを避ける、つまり開口部を離れる間は点による接触であることが好ましい。これは掻取縁部と、キャビティ開口部を出る縁部(cavity opening leaving edge)とが一致しないようにすることによって、例えば直線状の掻取縁部と、湾曲させたキャビティ開口部を出る縁部とを有することまたはその逆によって達成されるが、後者の場合は凹型の掻取縁部によってキャビティ開口部を出る縁部を通過するとき、掻取周縁部の中央部を持ち上げる前に周縁部を持ち上げるようにすることが好ましい。またはこれら縁部が、長尺なキャビティ開口部の長軸とある角度をなして、この開口部と接触してもよい。
【0031】
まとめると、充填による設計と、掻き取りによる設計とのバランスを取るために、好ましくはキャビティは長尺な開口表面を有し、且つ充填方向および掻き取り方向は少なくとも共通のベクトル成分を有し、ほぼ平行であることが最も好ましい。さらに少なくとも上流の(up−flow)、且つ掻き取り入口のキャビティ端部の壁は緩やかなスロープを有するが、その他のキャビティ壁はより急勾配であることが好ましい。
【0032】
上述したように、これら全ての所見はより小さいキャビティよりもより大きいキャビティに適用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明について添付図を参照しながら本明細書中で説明するが、本発明はこの例に限定されるものではない。
【0034】
図1において、第1の実施態様の装置は、互いに相対移動可能で且つ密接に接触する2つの本体部、すなわちスレッジAを含む第1の本体と、フレーム構造体Bを含む第2の本体とを含む。この装置は、好ましくはカセット形状の使い捨ての支持部(図示しない)の一部を形成し、フレーム構造体Bはこの支持部と一体に形成される。支持部は少なくとも2つのチャンバーを含み、そのうちの一方は液体サンプル、好ましくは血液サンプルを希釈するために、正確に定量された希釈液またはリシン剤が充填され、もう一方は希釈を行い且つ液体サンプルを混合するために用いられる。
【0035】
スレッジAまたはフレーム構造体B、またはその両方に好適な相互係合手段(図示しない)を設けて、これらが密接に接触しながら相対移動できるようにする。
【0036】
図3から判るように、スレッジAと、フレーム構造体Bとの間にはチャネル3が配置され、これに、液体サンプル2を流入するための少なくとも1つの注入開口部Cが設けられている(図2)。好ましい実施態様では、チャネルの充填を容易にするために注入開口部Cが凸部1を有する。
【0037】
チャネル3はこの少なくとも1つの注入開口部と流体接続し、その延長線として少なくとも1つの正確に形成されたキャビティ5を越えて延びている。このキャビティ5はスレッジAに設けられ、このチャネル3と位置が合わせられている。
【0038】
本発明の1つの態様は、この少なくとも1つのキャビティ5に血液サンプルを正確に且つ繰り返し充填することである。発明者らはこれを毛管力で行うことが最良であることを発見した。特定の理論に束縛されるのは本意ではないが、発明者らは毛管力を利用することによって、液体サンプルがチャネル内で波面(wave front)を形成し、これによってチャネル3および少なくとも1つのキャビティ5に気泡が同伴されずに充填できると考えている。
【0039】
毛管力を用いることによって、使い捨て支持部の装置の充填向きとは無関係に、この少なくとも1つのキャビティ5を正確に充填できるため、看護婦などがこの使い捨て支持部を遥かに容易に扱えるようになる。
【0040】
毛管力を発生させるために、スレッジAまたはフレーム構造体Bのいずれか、またはこれらの間に形成された特定のチャネルは、特別な選択された形状を有しており、スレッジおよびフレーム構造体間の距離すなわちチャネルの高さは0.05から1.0mm、望ましくは0.1から0.3mm、最も好ましくは0.2mmである。
【0041】
特定のチャネルの設計方法について以下に例を挙げるが、本発明はこの例に限定されるものではない。むしろ本発明の概念は、特定のチャネルに、毛管力で液体サンプルを充填することにある。
【0042】
図1および2に示す実施態様において、2つの正確に限定されたキャビティ5、11がスレッジに形成されている。ある例では大きいキャビティ11の量が5μl、小さいキャビティ5の量が0.1μl、チャネル3の容量が約20から約40μlである。しかしながら本明細書を簡潔にするため、これらのキャビティは少なくとも1つのキャビティ5、11と記載する。
【0043】
このように本発明の1つの態様では、チャネル3は、その断面が長方形の形状を有し、スレッジAとフレーム構造体Bとの間に形成され、チャネル3の長いほうの側面は、一方がスレッジA上に形成されたリム4によって境界を定められ、もう一方がフレーム構造体B上に形成された凹部6によって境界を定められている。短いほうの側部は、一方が注入開口部Cを形成し、もう一方は外気に開放されている。
【0044】
リム4はフレーム構造体Bと密接に接触しており、チャネル3の反対側(図3では左側)のリムの長いほうの側部には凹部7が配設され、毛管力が発生するにはスレッジとフレーム構造体との距離が大きすぎるので液体サンプルがさらに広がってしまうのを、この凹部によって防いでいる。同様に凹部6も液体サンプルが広がるのを防ぐ。このようにして、図2に斜線で示されているように、チャネルだけに液体サンプルが充填されるようになる。ただし図3では、チャネル3および右側の凹部6を区切っている物理的手段は、密閉・掻取手段8である。
【0045】
基本的には、チャネル3は種々の方法で設計が可能であるが、本発明では毛管力をある種のバリア手段で遮断し、このチャネルだけに液体サンプルが充填されるようにすることが重要となっている。
【0046】
チャネルおよびチャネルによってこの少なくとも1つのキャビティ5、11が液体サンプルで正確に充填された様子を視覚で容易に確認できるように、スレッジAは透明な材料で作製することが望ましい。例えば血液サンプルを充填した場合にはチャネルは赤く見える。
【0047】
液体サンプルをこの少なくとも1つのキャビティ5、11に正確に充填する際の制御性を向上させるために図3が示すように例えばこの1つのキャビティ5、11の前部に設けられた拡大鏡などの拡大手段14を、スレッジAに設けてもよい。
【0048】
図3に示すように、例えばフレーム構造体Bにはニトリルゴム製の密閉・掻取手段8も設けられている。密閉・掻取手段は、フレーム構造体Bに配設されたチャネル15と位置を合わせ、且つ、支持部の少なくとも2つのチャンバーと流体連通する(図示しない)、少なくとも1つの開口部9を有する。
【0049】
血液検査を行う場合、毛管力によってチャネル3に血液が充填され、血液を正確に定量し、且つ、正確に定量されたリシン剤で希釈するとき、図4のようにスレッジAをフレーム構造体Bに対して移動させ、密閉・掻取手段8でチャネル3内の余分な血液を掻き取ることで、この少なくとも1つのキャビティ5、11に正確に定量された血液が得られるようにする。スレッジAおよびフレーム構造体Bが相対移動すると、リム4がチャネル3の血液を押し出す手段(プッシャー)として機能するので、いかなる場合でも、キャビティ5、11内の血液サンプル量は変化しない。この少なくとも1つのキャビティ5、11は、密閉・掻取手段8の開口部9を介してチャネル15と流体連通し、且つ、これによって希釈液またはリシン剤を含むチャンバーと、流体連通するようになっている。正確に定量した血液をその後、正確に定量した希釈液またはリシン剤と混合して、血球数が調べられる。
【0050】
本発明の第1の実施態様では、この少なくとも1つのキャビティ11は図2のようにて上から見ると、楕円形状を有し、楕円の長軸はチャネル3の長手方向に約20度から約60度の角度Vをなす。キャビティ11をこの角度に配する目的は、スレッジAおよびこれによってキャビティ11がフレーム構造体Bに対して移動するとき、キャビティに亘って移動する密閉・掻取手段8の先行縁部が弾力性素材で作製されているため膨張してキャビティ内に侵入するというリスクを最小限に抑えることにある。このような事態が好ましくないのは、キャビティ内に正確に定量された液体サンプルの量が変化してしまうためである。比較的大きいキャビティ11(約5μl)および小さいキャビティ5(0.1μl)は、チャネル3を気泡が形成されることなく満たしている液体サンプルの波面によって、充填される。小さいキャビティ5は半球形状を有してもよい。
【0051】
チャネル3への液体サンプルの充填は、このチャネルを囲む表面をデキストラン、プロテインまたはそれらの誘導体からなる群から選択された材料、または、血液と、表面を形成する材料との間が75度から0度、好ましくは50度から0度の接触角をなす当業者に公知のその他の手段または材料で作製またはコーティングすることによって改善される。この少なくとも1つのキャビティ5、11の表面が上述の材料でコーティングされる程度で充分である。
【0052】
図5および6は、本発明の装置の第2の実施態様を示す。本発明の装置の第1および第2実施態様では作製方法および機能方法は全く同じであるが、唯一異なるのは、第2実施態様ではスレッジAまたはフレーム構造体Bのうちの1つ、望ましくはフレーム構造体Bに、チャネル3内部に開口している孔16を介して注射器型の注入開口部を好ましくはリム4に近接して(図6参照)設け、且つ、その内部には注射器17、好ましくはDrummond Scientific Co.(米国)から市販されている毛管力ディスペンサが挿入可能な点である。液体サンプルが注入されると、毛管力と注入の組み合わせによってこのようにチャネル3がこのサンプルで充填され、これによって、キャビティ5、11が満たされる。
【0053】
したがって、第1の実施態様と同様に、少なくとも1つのキャビティ5、11を正確に繰り返し充填することができる。
【0054】
注射器の容量はチャネル3の量と等しくなるようにするのが好ましく、液体サンプルを注入する際チャネル3に過剰な量が充填されないようにすると、液体サンプルが無駄にならない。
【0055】
注射器でチャネル3を充填する際の利点は、特に獣医関係の用途において、検体(検査用サンプル)を検査タブまたはその他の手段から抽出することが可能な点である。
【0056】
図5Aおよび6Aは、孔16’の形状および位置を僅かに変更した図5および図6の実施態様を示す。ここでは、孔はキャビティ5と11との間に位置し、液体がキャビティに流れ込む距離は最小限になっている。さらに本発明では孔は長尺のスリット形状で、スリットの長側部がキャビティ方向、すなわち所望の液体流路方向に向いている。
【0057】
図7は、挿入部材として示した孔16’の斜視図であり、図7Aおよび7Bでは、長尺なスリットの長軸を横断および長軸に沿った断面図を示す。サンプルは上方から注入するようになっており、すなわち、液体の流れは図では上方から下方である。サンプルは、スリット上に直接配された点滴または例えば注射器17などの突出器具のいずれかを孔の上部に挿入して注入することができるが、好ましくは充分幅広の器具の先端を用いて砂時計状の最も細い部分でその後遮断できるようにする。断面図から明らかであるように、孔16’は砂時計状の楕円形状を有し、上方部分は、末広がりの下方部分よりも大きい角度で先細りになっている。もし末広がりの角度が大き過ぎる場合、または全く末広がりではない場合、液流は下方のチャネルに流入したとき適切に移動しない可能性がある。
【0058】
さらに図7、図7Aおよび図7Bそれぞれが示す態様では、孔16’は毛管チャネル内まで延びている長尺のスリット型漏斗で、好ましくは突出器具の過度な侵入を防ぐための遮断装置を有する。毛管力による供給を行わない場合は、孔16’は、好ましくは最も狭い部分が毛管供給に求められるよりも広い流路を有し、これによって重力充填を補助するが、非円形、好ましくはスリット形状とし、非毛管流と毛管流とが適切に移動できるようにする。同様の理由から、漏斗は好ましくは最も狭い部分の後に末広がりになる部分を有し、これによって、毛管流に適合する末広がりの吐出口角度を有する、全体的に砂時計のような形状となっている。
【0059】
図8、8Aおよび8Bは、上記少なくとも1つのキャビティ11’、ここでは上記少なくとも1つのより大きいキャビティ11’が毛管力による充填を促進するために設計されている。この少なくとも1つの大きいキャビティ11’は、好ましくは長尺形状、すなわち長軸とこれと直交する短軸を有する想像上の表面を有し、これによって円に対して外周対面積比率が増え、この長尺の形状は楕円や長方形といった種々の形状を有しても良い。好ましくは、キャビティ11’は一般的な楔形状を有する。
【0060】
図8のA−A線に沿った断面図である図8Aを参照すると、液体はこの図の右側から供給され、左側に流れるようになっている。この図から明らかなように、液体は右側の上流端部で、より小さな角度αのより平らなスロープに沿ってキャビティ11’に流入し、左側の下流端部で、より大きな角度βの急勾配なスロープに沿って、キャビティ11’から流出する。
【0061】
図8のB−B線に沿った断面図である図8Bから明らかであるように、所望の液体流路と平行なキャビティ11’の側部は急勾配で、基準面またはチャネル3に対してほぼ90度である。
【0062】
長尺な形状によって、キャビティ11’は表面対容積比を確実に増やす。さらに、ほぼ流れる方向と平行なキャビティ11’の側部は、基準面に対して急勾配である。
【0063】
第2の実施態様および上述した実施態様の変形例の装置は、第1の実施態様の装置と同じ方向から、同じ方法で充填される、すなわち、突出部1が液体サンプル2に浸され、これによってチャネル3およびキャビティ5、11および11’が毛管力で充填される。したがって孔16、16’を介する注射器による注入は、チャネルの毛管力に影響を与えない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】隠れている部分および2つのキャビティが想像線で示されている、本発明の第1の態様の装置の部分断面略図である。
【図2】検査用液体サンプルとともに、隠れている部分および2つのキャビティが想像線で示されている、図1の第1態様の装置を上方から見た部分図である。
【図3】A−A線に沿った図2の第1態様の装置の部分断面側面図である。
【図4】2つの本体A、Bが相互移動している、A−A線に沿った図2の第1態様の装置の部分断面側面図である。
【図5】孔を介在した注射器挿入口を具備し、且つ、検査用液体サンプルとともに、その内部の隠れている部分および2つのキャビティが想像線で示されている第2態様の装置を上方から見た部分図である。
【図5A】孔16’の形状および位置について僅かに変更した図5の変形実施態様を示す。
【図6】注射器を備えた、A−A線に沿った図2の第2態様の装置の部分断面側面図である。
【図6A】内腔16’の形状および位置について僅かに変更した図6の変形実施態様を示す。
【図7】挿入部としての孔の斜視図である。
【図7A】挿入部としての孔の横断面である。
【図7B】挿入部としての孔の長尺なスリットに沿った図を示す
【図8】挿入部としてのより大きいキャビティ11’の変形例を示す。
【図8A】長軸に沿った、挿入部としてのより大きいキャビティ11’の変形例を示す。
【図8B】短軸に沿った、挿入部としてのより大きいキャビティ11’の変形例を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプル定量器具を充填するための装置に関し、特に比較的多量の不特定量の液体サンプルから少なくとも1つの少量の特定量のサンプルを分離するための、使い捨てのサンプル定量器具を充填するための装置に関し、この器具は互いに相対移動可能な第1の本体と、第2の本体とを含み、この第1本体はその表面に少なくとも1つのキャビティを有し、この少なくとも1つのキャビティはこの特定容積を有し、この第2本体はこれらの本体の相対移動によってこの表面に沿って、且つ、この少なくとも1つのキャビティに亘る摺動可能な手段を含み、これによって、この特定量をこの少なくとも1つのキャビティ内で得ることができる。ここで言う液体サンプルとは、血液サンプルなどである。
【背景技術】
【0002】
血液検査では血液サンプルの量を正確に定量することが極めて重要だが、それはこれらの正確に定量されたサンプルがその後いくつかの検査に使用されるためである。通常、正確に定量された血液サンプルは、正確に定量された希釈液またはリシン剤で一般に1:100から1:80000に希釈される。白血球の数を数える場合は一般に1:400、赤血球の数を数える場合は1:40000に希釈し、後者の場合はふつう2工程で行う。当然ながら、サンプル量および希釈液量の測定は、常に正確な希釈度を得られるように正確に且つ繰り返し行えるようでなければならない。サンプルの量は希釈液の量に比べて極めて少量であるため、サンプル量を正確に測定することが希釈の手順において重要な工程であることは明らかである。
【0003】
血液サンプルの正確な量を得るためには、血液サンプルを含有する手段が高精度に、正確に、且つ繰り返し充填されることが重要である。
【0004】
上述した種類のサンプル定量器具は同時係属出願である特許文献1から知られている。これは通常使い捨てカセットの形状を有する。
【特許文献1】スウェーデン特許第0303157−2号明細書
【0005】
液体サンプル、望ましくは血液サンプルの正確な量を繰り返し得るための小さいキャビティ、空隙または同様のものを充填する際に1つ問題となるのは、血液サンプル用のキャビティに気泡が生じてしまうため、キャビティが適切に充填されないことである。そのため血液サンプル量には差異が生じ、のちに血球数を調べるときに重大な問題となる。
【0006】
また、少量の液体または血液サンプル検査用の既知の装置における別の問題は、サンプルが正しく充填されている状態を視覚で確認できないことである。
【0007】
さらに、少量の液体または血液サンプル検査用の既知の装置への充填が、充填時の装置の向きに左右されてしまうことも問題である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、互いに相対移動可能な少なくとも2つの本体を含み、この本体のうちの1つに液体サンプルが充填される少なくとも1つのキャビティが設けられた、比較的多量の不特定量液体サンプルから少なくとも1つの正確に定量された量のサンプルを分離するための器具を充填するための装置を提供することである。
【0009】
さらなる目的は、キャビティに液体サンプルが正確に繰り返し充填されている状態を容易に視覚で確認できる上述のタイプの装置を提供することである。
【0010】
また、さらなる目的は、充填の向きに左右されない上述のタイプの装置を提供することである。
【0011】
本目的は、第1および第2本体のうちの一方が、少量の液体サンプルと接触する少なくとも1つの注入開口部を有すること、所定の容積のチャネル3が、第1本体と第2本体との間に設けられ、このチャネルが前記少なくとも1つの注入開口部と、少なくとも前記少なくとも1つのキャビティを越えて流体連通していること、前記チャネルが、前記チャネルおよびこれによって前記少なくとも1つのキャビティに毛管力で前記液体サンプルを充填できるような寸法であること、を特徴とする本発明の装置によって達成される。
【0012】
上述したように、サンプル定量器具は同時係属出願である下記特許文献1から知られており、これにより本特許の内容を参照によって本明細書に引用したものとする。原則的に定量方法はa)ある表面上およびその表面に形成されたキャビティ内に、比較的多量の、多くの場合は不特定量のサンプルを塗付すること、b)より少量の特定量のサンプルをキャビティに残すために、この表面に亘って掻取縁部を移動させることを含む。その後c)溶剤または試薬といった液体をキャビティに流し込んで希釈サンプルを得ること、d)サンプルと希釈液を混合して、均一な希釈サンプルを得ること、およびe)希釈され且つ混合されたサンプルの測定を行うこと、といった工程を続けて行ってもよい。
【0013】
説明のために、上記のサンプルを充填する表面は、物理的表面(physcial surface)と、この物理的表面と面一で想像上の表面(imaginary surface)とを含む基準面(reference surface)と見なすことができ、または、想像上の表面によって制限されるキャビティ内に目標量のサンプルが含まれるようにするために、表面と接触した全体的に剛性な掻取手段のキャビティを横断する動きによって、機構的な意味で定義することもできる。基準面は少なくとも掻き取りが行える程度にキャビティを囲み、好ましくはキャビティの全側部を取り囲む。
【0014】
基準面は、連続性を有し、且つ、掻き取りの目的を果たす限り、異なる形状を有しても良い。例えばキャビティを有する基準面は、ボールバルブ内のキャビティに例示されるような、平面を曲げて形成することが不可能な二重湾曲した形状でもよく、好ましくは例えば平面から形成が可能なシリンダーバルブ内のキャビティに例示されるような1つの湾曲形状であり、最も好ましくは例えばスライドバルブ内のキャビティに例示されるような実質的に平坦な形状である。
【0015】
想像上の表面または、後述する実際の表面の下方にあるキャビティの大きさすなわち目標量は、いくつかの要因によって決まる。そのうちのいくつかは、例えばサンプルの特性、所望の希釈度または意図する測定要件に必要な容量といった用途によって変わる。使い捨て器具は一般に経済的な理由から寸法を最小限にして、希釈量や混合の構成といったその他の機構もまた最小限とすることが望ましい。しかしながら手動による操作や、プラスチック成形といった製造上の制約によって、実際のまたは可能なキャビティの大きさには下限がある。キャビティが例えばいくつかの異なる希釈度のサンプルを得るために複数存在する場合は、通常最小のキャビティの大きさが制約を受ける。一般的な量を挙げるのは困難であるが、経験上、キャビティの容量は好ましくは0.01μl超で、さらに好ましくは0.05μl超、最適には0.1μl超である。キャビティの最大容量は50μl未満を維持し、好ましくは25μl未満、最適には15μlである。
【0016】
キャビティの形状もまた同様にいくつかの要因によって決定される。キャビティを小さくすることに対する製造上の制約のほか、所望の形状は、主に充填が効率的であること、および使い捨ての器具を変えた際に重要となる本明細書で再現可能とも表現している、予測可能な容量を定めるための上記掻き取り操によって決定される。
【0017】
キャビティの充填は種々の方法で行われる。すでに述べたように、もし必要量以上のサンプルが単にキャビティに置かれると、ガスが含まれたり、充填されない空隙が生じたりする恐れがある。これらを防ぐために、例えばキャビティを通過する強制流で確実にサンプルを送り込むなど、サンプルを強制的にキャビティに流入させてもよいが、この方法でこの流れが確実にキャビティを通過するとは限らない。そのため好ましくはプローブ(探針)などをキャビティの真上からまたはキャビティに挿入して、好ましくはプローブ吐出口の接触および遮断(ブロッキング)に注意しながら強制的に流入させるが、これは水圧面積の関係によって注入圧力を上昇させても容易に補うことができるものではなく、また、特に小さいキャビティには細心の注意が求められる。
【0018】
好ましい充填方法としては、毛管力を利用した充填が挙げられる。このような充填は、液体サンプルに加わるその他の力とは完全に無関係に、液体を吸引する表面の湿潤によって行われると考えられている。そのため、もし他に力を加えなくても充填されれば、または充填することができれば、毛管力による充填の基準が満たされたものとみなされ、よってテスト可能(testable)であるとみなされる。他に力を加えない充填の基準は、毛管充填用のチャネルに例えば注射器または重力による充填など、他の力を利用してサンプルを充填する(apply)構成の器具においても、またテスト可能である。別の力を加えないと、例えば毛管充填を自動的に継続させるためにチャネル外周部の一部を強制的に湿潤させるといった、毛管充填用のチャネルへの強制的な液体の導入を必要とする毛管充填の開始に必要な力が得られなくなる。毛管充填が進行するためにはある程度の表面対容積比が必要であり、この比率は主に寸法によって決定され、その他にもとりわけ液体−表面の湿潤吸引(liquid to surface wetting attraction)によって決定され、表面は好ましくはプラズマ処理、化学変性、表面処理などによって変性された材料であってもよく、通常、断面に対してある程度の外周長さを必要とし、この外周は連続している必要はないが、ほぼ閉じた状態のチャネルを形成することが好ましい。毛管充填の条件を以下本明細書において例を用いて挙げるが、この条件は実際の材料とそこに含まれる液体によって決定されるべきである。
【0019】
充填は種々の方法で開始される。供給はほぼ基準面に沿って行うことができるため、供給と同方向に毛管湿潤が進行するという点で有利である。供給は下方から、すなわち1つまたは複数のキャビティを支持する構造と同じ構造を通過し、且つ、キャビティ充填に必要な流れとほぼ逆行する流れによって行うことも可能であり、これは例えば毛管充填がチャネル内で横方向に広がるのを防ぐために配設された構造体による干渉を回避することを目的としている。最も好ましくは、供給は基準面の上方から行うが、これは例えば上述の重力の補助、簡易な設計および掻き取り構成が作動中、供給開口部を閉鎖する可能性などのためである。
【0020】
サンプル導入部は、上述の目的を達成するような設計とすることが好ましい。この導入部は、血液滴を導入部に塗布するといったサンプルの直接導入または注射器やプローブなどの手段を用いた器具による導入の両方に適合するように設計することが好ましい。好適な設計は毛管チャネルに漏斗の端部を、好ましくはいくつかの理由からプローブなどの器具の過剰な挿入を避けるために配設するのが好ましく、最も好ましくはその端部を最も狭い流路が毛管供給に必要な流路よりも広くなるようにし、これによって重力による充填を補助し、非円形、好ましくはスリット形状とし、非毛管流と毛管流の移行が適切に行えるようにする。同様の理由から、漏斗は好ましくは最も狭い部分の後に末広がりになるような部分を有し、毛管流が進行するようになっている、末広がりの吐出口角度を有する全体的に砂時計のような形状とする。
【0021】
サンプルを吸引するのに当業者にとって一般的なのは、毛細管である。本キャビティがこれらの毛細管と異なるのはキャビティが基準面から延びている点で、通常この基準面はこれ自体にサンプルの充填チャネルの一部を形成し、好ましくはこのチャネルは、毛管充填用に設計され、キャビティを充填する流れ方向に対して横に位置するのが好ましい。キャビティ内のサンプルが明確に定量される限り、充填チャネルの要領と形状はあまり関係がない。充填チャネルは、基準面を有する器具を特に変更せずに、いくつかのキャビティを含んでもよい。チャネル充填構造から離れた、または少なくともその真下には位置しないキャビティを充填することによって、あらゆる利用可能なチャネル充填器具またはプローブ、およびその後のフラッシングによる干渉も回避することができる。簡易な構成により、既知のバルブタイプを上回る利点が得られる。
【0022】
理論に束縛されるものではないが、一般に毛管充填は表面に対する液体親和性によって推進されると考えられているため、このメカニズムで充填する場合、一般的な条件において、表面対容積比が大きいほど充填が促進されるはずである。好適な毛管充填の設計ではキャビティの寸法と形状が特に重要である。半球形状は表面対容積比が最も小さい。また一方で、小さいキャビティが有する表面対容積比は一般に大きいキャビティよりも大きく、これが本発明の認識すべきさらなる利点である最小化をさらに求める主な理由である。したがって小さいキャビティの場合は形状はそれほど重要ではなく、半球に近いまたは部分的に半球の形状でもよいが、大きいキャビティには好ましくは部分的または全体的に例えば管やチャネルの形状といった半球よりも表面対容積比の大きい形状とする。「より小さい」「より大きい」それぞれの識別は、本明細書では大まかに、キャビティの深さがそれぞれ、この寸法の連続するチャネル内を毛管流が進行するために最小限必要な深さの2倍よりも「より浅い」「より深い」かによって識別すると理解されたい。毛管流進行のための必要最小限の深さよりもキャビティを深くすることが可能なのは、毛管用の寸法のチャネルが局所的に、すなわちキャビティのところでより大きな寸法を局所的に凌ぐ液体の推進流を供するためである。
【0023】
さらに、表面湿潤理論(surface wetting theory)によって、もし縁部が凹型であれば、すなわち濡れた側から見て交点の表面角度が180度未満であれば、鋭角な縁部は毛管現象によって推進される液体前部によって横断(traversed)されやすいが、縁部が凸型であると、すなわち交点の表面角度が180度超であると横断されにくくなると考えられている。したがって、角度を小さくして毛管流移動を促進するために、少なくとも凸型縁部を滑らかにすることが好ましい。これは好ましくは毛管流前部の到達方向、すなわち上流の端部(up−flow end)に適用されるが、もう一方の端部すなわち下流の端部(down−flow end)はそれほど重要ではない。
【0024】
つまり、少なくともより大きいキャビティは毛管充填の促進のために設計すべきである。より小さいキャビティはそれほど重要ではなく、さらに一般的なプラスチック成形などの製造方法を用いれば通常、毛管充填に有益な、滑らかな移行表面が得られる。少なくともより大きいキャビティは好ましくは長尺な形状すなわち想像上の表面が長軸とそれに直交する短軸とを有する形状で、これによって円に対して外周対面積比が増えるが、この長尺な形状が楕円や長方形といった種々の形状でもよい。より複雑な形状の場合は、長軸および短軸を測定するするために、同じ面積の楕円形状と比較すればよい。好ましくはこのようなキャビティは少なくともベクトル成分(vector component)よって配設し、好ましくはその全長軸が毛管充填流の方向、すなわち到達する毛管液前部に対して、本明細書で言うところの上流方向(up−flow direction)と平行になるようにする。長尺な形状によって、キャビティが有する表面対容積比は確実に増える。さらに好ましくは、液体の流れの方向に見て、キャビティの上流端部が緩やかに下降してキャビティに入るスロープを有し、より好ましくは流れ方向とほぼ平行のキャビティの側部は基準面に対して急勾配になる。
【0025】
キャビティはいくつかの開口部または入口を有してもよく、例えば既知の管のような2つの開口部間を延びる管形状でもよいが、本発明では毛管駆動(capillarly driven)充填チャネルとも接続している。しかしながら、チャネルが2つ以上の開口部を有する場合、これらが1つの同じ基準面に開口していることが好ましい。もっとも好ましくは充填および掻き取りの最適な特性のために、キャビティは開口部を1つだけ有する。
【0026】
スロープ構成は基準面から離れるほど狭くなっているキャビティの設計と一致し、開口部がただ1つのキャビティの場合、その底部に向かって、または換言すれば基準面と平行な断面が少なくともキャビティの深さの一部に亘って好ましくはキャビティの深さのほぼ全体に亘って基準面から離れるほど、減少する。キャビティの壁部は少なくともほぼ垂直で、好ましくはキャビティの底部に向かって先細りになり、底部は基準面から最も離れている。最も好ましくはアンダーカット部分をキャビティに設けない、または設けても小さいものにする。
【0027】
1つまたは複数のキャビティの充填は、もしキャビティが毛管充填を補助するような設計であれば促進される、つまり、これは少なくともサンプル流方向におけるキャビティの表面対容積比が毛管充填の条件を満たすことを意味する。チャネルの表面の親和性が充分に強い場合は、キャビティの表面が毛管充填に必要な表面対容積の関係を越えてもよいが、好ましくはキャビティの寸法は毛管充填の条件の範囲内であり、ここではチャネルによって供される追加の寸法は考えない。
【0028】
次に掻き取りについて述べる。これまで想像上の表面を、基準面と完全に連続する理想の表面として述べてきた。しかし実際は基準面との良好な接触の維持が可能な掻取手段はいずれも、ある程度の弾性、好ましくは基準面への動的に適応するために必要な最低限の弾性を有する必要があり、過度に変形しない、より硬質な材料で作製されることが好ましい。掻取手段の材料は、容易に永久変形しないものという意味において、確実に軟質ではない材料とする。好適な材料として熱可塑性プラスチック、好ましくはエラストマー(ゴム弾性材料)などが挙げられる。掻取弾性とは、これがゆがみによってキャビティ内に入り込む程度に膨張することを意味し、これによりキャビティに実際の開口表面を生じさせ、一般にキャビティのサンプル容量をいくらか減少させる。この減少は予測可能であれば問題ではない。このような予測をさらに可能にするために、想像上の表面と、実際の表面との間の量の差を最小化することに関心が持たれている。
【0029】
掻取手段は、掻き取り方向およびこれと垂直の方向の両方に膨張してキャビティに侵入し得るが、掻取手段が好ましい方法でキャビティ全体を覆うために掻き取り方向に充分な長さを有すれば、上述したようにこのキャビティが長尺の場合すなわちより短い軸およびより長い軸を有する場合、上記量の差は減少すると考えられている。
【0030】
少なくともある意味で掻き取りは(左右)対照ではない、すなわち掻取縁部が撓みが生じ始めるキャビティ開口部に侵入する際および完全に撓んでいた掻取部が元に戻らなければならない、縁部がキャビティ開口部を出る際は対照ではなく、後者は前者よりも重要であると考えられている。少なくとも後者の影響を最小限に抑えるため、掻き取り方向に対して横方向のキャビティ開口部の寸法を、掻き取り方向と平行な開口部の寸法に対して小さくし、上述した長尺な形状と一致させることが好ましい。掻取縁部と、少なくともキャビティ縁部との間の接触が、侵入または少なくともキャビティ開口部を離れるとき、直線による接触であることを避ける、つまり開口部を離れる間は点による接触であることが好ましい。これは掻取縁部と、キャビティ開口部を出る縁部(cavity opening leaving edge)とが一致しないようにすることによって、例えば直線状の掻取縁部と、湾曲させたキャビティ開口部を出る縁部とを有することまたはその逆によって達成されるが、後者の場合は凹型の掻取縁部によってキャビティ開口部を出る縁部を通過するとき、掻取周縁部の中央部を持ち上げる前に周縁部を持ち上げるようにすることが好ましい。またはこれら縁部が、長尺なキャビティ開口部の長軸とある角度をなして、この開口部と接触してもよい。
【0031】
まとめると、充填による設計と、掻き取りによる設計とのバランスを取るために、好ましくはキャビティは長尺な開口表面を有し、且つ充填方向および掻き取り方向は少なくとも共通のベクトル成分を有し、ほぼ平行であることが最も好ましい。さらに少なくとも上流の(up−flow)、且つ掻き取り入口のキャビティ端部の壁は緩やかなスロープを有するが、その他のキャビティ壁はより急勾配であることが好ましい。
【0032】
上述したように、これら全ての所見はより小さいキャビティよりもより大きいキャビティに適用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明について添付図を参照しながら本明細書中で説明するが、本発明はこの例に限定されるものではない。
【0034】
図1において、第1の実施態様の装置は、互いに相対移動可能で且つ密接に接触する2つの本体部、すなわちスレッジAを含む第1の本体と、フレーム構造体Bを含む第2の本体とを含む。この装置は、好ましくはカセット形状の使い捨ての支持部(図示しない)の一部を形成し、フレーム構造体Bはこの支持部と一体に形成される。支持部は少なくとも2つのチャンバーを含み、そのうちの一方は液体サンプル、好ましくは血液サンプルを希釈するために、正確に定量された希釈液またはリシン剤が充填され、もう一方は希釈を行い且つ液体サンプルを混合するために用いられる。
【0035】
スレッジAまたはフレーム構造体B、またはその両方に好適な相互係合手段(図示しない)を設けて、これらが密接に接触しながら相対移動できるようにする。
【0036】
図3から判るように、スレッジAと、フレーム構造体Bとの間にはチャネル3が配置され、これに、液体サンプル2を流入するための少なくとも1つの注入開口部Cが設けられている(図2)。好ましい実施態様では、チャネルの充填を容易にするために注入開口部Cが凸部1を有する。
【0037】
チャネル3はこの少なくとも1つの注入開口部と流体接続し、その延長線として少なくとも1つの正確に形成されたキャビティ5を越えて延びている。このキャビティ5はスレッジAに設けられ、このチャネル3と位置が合わせられている。
【0038】
本発明の1つの態様は、この少なくとも1つのキャビティ5に血液サンプルを正確に且つ繰り返し充填することである。発明者らはこれを毛管力で行うことが最良であることを発見した。特定の理論に束縛されるのは本意ではないが、発明者らは毛管力を利用することによって、液体サンプルがチャネル内で波面(wave front)を形成し、これによってチャネル3および少なくとも1つのキャビティ5に気泡が同伴されずに充填できると考えている。
【0039】
毛管力を用いることによって、使い捨て支持部の装置の充填向きとは無関係に、この少なくとも1つのキャビティ5を正確に充填できるため、看護婦などがこの使い捨て支持部を遥かに容易に扱えるようになる。
【0040】
毛管力を発生させるために、スレッジAまたはフレーム構造体Bのいずれか、またはこれらの間に形成された特定のチャネルは、特別な選択された形状を有しており、スレッジおよびフレーム構造体間の距離すなわちチャネルの高さは0.05から1.0mm、望ましくは0.1から0.3mm、最も好ましくは0.2mmである。
【0041】
特定のチャネルの設計方法について以下に例を挙げるが、本発明はこの例に限定されるものではない。むしろ本発明の概念は、特定のチャネルに、毛管力で液体サンプルを充填することにある。
【0042】
図1および2に示す実施態様において、2つの正確に限定されたキャビティ5、11がスレッジに形成されている。ある例では大きいキャビティ11の量が5μl、小さいキャビティ5の量が0.1μl、チャネル3の容量が約20から約40μlである。しかしながら本明細書を簡潔にするため、これらのキャビティは少なくとも1つのキャビティ5、11と記載する。
【0043】
このように本発明の1つの態様では、チャネル3は、その断面が長方形の形状を有し、スレッジAとフレーム構造体Bとの間に形成され、チャネル3の長いほうの側面は、一方がスレッジA上に形成されたリム4によって境界を定められ、もう一方がフレーム構造体B上に形成された凹部6によって境界を定められている。短いほうの側部は、一方が注入開口部Cを形成し、もう一方は外気に開放されている。
【0044】
リム4はフレーム構造体Bと密接に接触しており、チャネル3の反対側(図3では左側)のリムの長いほうの側部には凹部7が配設され、毛管力が発生するにはスレッジとフレーム構造体との距離が大きすぎるので液体サンプルがさらに広がってしまうのを、この凹部によって防いでいる。同様に凹部6も液体サンプルが広がるのを防ぐ。このようにして、図2に斜線で示されているように、チャネルだけに液体サンプルが充填されるようになる。ただし図3では、チャネル3および右側の凹部6を区切っている物理的手段は、密閉・掻取手段8である。
【0045】
基本的には、チャネル3は種々の方法で設計が可能であるが、本発明では毛管力をある種のバリア手段で遮断し、このチャネルだけに液体サンプルが充填されるようにすることが重要となっている。
【0046】
チャネルおよびチャネルによってこの少なくとも1つのキャビティ5、11が液体サンプルで正確に充填された様子を視覚で容易に確認できるように、スレッジAは透明な材料で作製することが望ましい。例えば血液サンプルを充填した場合にはチャネルは赤く見える。
【0047】
液体サンプルをこの少なくとも1つのキャビティ5、11に正確に充填する際の制御性を向上させるために図3が示すように例えばこの1つのキャビティ5、11の前部に設けられた拡大鏡などの拡大手段14を、スレッジAに設けてもよい。
【0048】
図3に示すように、例えばフレーム構造体Bにはニトリルゴム製の密閉・掻取手段8も設けられている。密閉・掻取手段は、フレーム構造体Bに配設されたチャネル15と位置を合わせ、且つ、支持部の少なくとも2つのチャンバーと流体連通する(図示しない)、少なくとも1つの開口部9を有する。
【0049】
血液検査を行う場合、毛管力によってチャネル3に血液が充填され、血液を正確に定量し、且つ、正確に定量されたリシン剤で希釈するとき、図4のようにスレッジAをフレーム構造体Bに対して移動させ、密閉・掻取手段8でチャネル3内の余分な血液を掻き取ることで、この少なくとも1つのキャビティ5、11に正確に定量された血液が得られるようにする。スレッジAおよびフレーム構造体Bが相対移動すると、リム4がチャネル3の血液を押し出す手段(プッシャー)として機能するので、いかなる場合でも、キャビティ5、11内の血液サンプル量は変化しない。この少なくとも1つのキャビティ5、11は、密閉・掻取手段8の開口部9を介してチャネル15と流体連通し、且つ、これによって希釈液またはリシン剤を含むチャンバーと、流体連通するようになっている。正確に定量した血液をその後、正確に定量した希釈液またはリシン剤と混合して、血球数が調べられる。
【0050】
本発明の第1の実施態様では、この少なくとも1つのキャビティ11は図2のようにて上から見ると、楕円形状を有し、楕円の長軸はチャネル3の長手方向に約20度から約60度の角度Vをなす。キャビティ11をこの角度に配する目的は、スレッジAおよびこれによってキャビティ11がフレーム構造体Bに対して移動するとき、キャビティに亘って移動する密閉・掻取手段8の先行縁部が弾力性素材で作製されているため膨張してキャビティ内に侵入するというリスクを最小限に抑えることにある。このような事態が好ましくないのは、キャビティ内に正確に定量された液体サンプルの量が変化してしまうためである。比較的大きいキャビティ11(約5μl)および小さいキャビティ5(0.1μl)は、チャネル3を気泡が形成されることなく満たしている液体サンプルの波面によって、充填される。小さいキャビティ5は半球形状を有してもよい。
【0051】
チャネル3への液体サンプルの充填は、このチャネルを囲む表面をデキストラン、プロテインまたはそれらの誘導体からなる群から選択された材料、または、血液と、表面を形成する材料との間が75度から0度、好ましくは50度から0度の接触角をなす当業者に公知のその他の手段または材料で作製またはコーティングすることによって改善される。この少なくとも1つのキャビティ5、11の表面が上述の材料でコーティングされる程度で充分である。
【0052】
図5および6は、本発明の装置の第2の実施態様を示す。本発明の装置の第1および第2実施態様では作製方法および機能方法は全く同じであるが、唯一異なるのは、第2実施態様ではスレッジAまたはフレーム構造体Bのうちの1つ、望ましくはフレーム構造体Bに、チャネル3内部に開口している孔16を介して注射器型の注入開口部を好ましくはリム4に近接して(図6参照)設け、且つ、その内部には注射器17、好ましくはDrummond Scientific Co.(米国)から市販されている毛管力ディスペンサが挿入可能な点である。液体サンプルが注入されると、毛管力と注入の組み合わせによってこのようにチャネル3がこのサンプルで充填され、これによって、キャビティ5、11が満たされる。
【0053】
したがって、第1の実施態様と同様に、少なくとも1つのキャビティ5、11を正確に繰り返し充填することができる。
【0054】
注射器の容量はチャネル3の量と等しくなるようにするのが好ましく、液体サンプルを注入する際チャネル3に過剰な量が充填されないようにすると、液体サンプルが無駄にならない。
【0055】
注射器でチャネル3を充填する際の利点は、特に獣医関係の用途において、検体(検査用サンプル)を検査タブまたはその他の手段から抽出することが可能な点である。
【0056】
図5Aおよび6Aは、孔16’の形状および位置を僅かに変更した図5および図6の実施態様を示す。ここでは、孔はキャビティ5と11との間に位置し、液体がキャビティに流れ込む距離は最小限になっている。さらに本発明では孔は長尺のスリット形状で、スリットの長側部がキャビティ方向、すなわち所望の液体流路方向に向いている。
【0057】
図7は、挿入部材として示した孔16’の斜視図であり、図7Aおよび7Bでは、長尺なスリットの長軸を横断および長軸に沿った断面図を示す。サンプルは上方から注入するようになっており、すなわち、液体の流れは図では上方から下方である。サンプルは、スリット上に直接配された点滴または例えば注射器17などの突出器具のいずれかを孔の上部に挿入して注入することができるが、好ましくは充分幅広の器具の先端を用いて砂時計状の最も細い部分でその後遮断できるようにする。断面図から明らかであるように、孔16’は砂時計状の楕円形状を有し、上方部分は、末広がりの下方部分よりも大きい角度で先細りになっている。もし末広がりの角度が大き過ぎる場合、または全く末広がりではない場合、液流は下方のチャネルに流入したとき適切に移動しない可能性がある。
【0058】
さらに図7、図7Aおよび図7Bそれぞれが示す態様では、孔16’は毛管チャネル内まで延びている長尺のスリット型漏斗で、好ましくは突出器具の過度な侵入を防ぐための遮断装置を有する。毛管力による供給を行わない場合は、孔16’は、好ましくは最も狭い部分が毛管供給に求められるよりも広い流路を有し、これによって重力充填を補助するが、非円形、好ましくはスリット形状とし、非毛管流と毛管流とが適切に移動できるようにする。同様の理由から、漏斗は好ましくは最も狭い部分の後に末広がりになる部分を有し、これによって、毛管流に適合する末広がりの吐出口角度を有する、全体的に砂時計のような形状となっている。
【0059】
図8、8Aおよび8Bは、上記少なくとも1つのキャビティ11’、ここでは上記少なくとも1つのより大きいキャビティ11’が毛管力による充填を促進するために設計されている。この少なくとも1つの大きいキャビティ11’は、好ましくは長尺形状、すなわち長軸とこれと直交する短軸を有する想像上の表面を有し、これによって円に対して外周対面積比率が増え、この長尺の形状は楕円や長方形といった種々の形状を有しても良い。好ましくは、キャビティ11’は一般的な楔形状を有する。
【0060】
図8のA−A線に沿った断面図である図8Aを参照すると、液体はこの図の右側から供給され、左側に流れるようになっている。この図から明らかなように、液体は右側の上流端部で、より小さな角度αのより平らなスロープに沿ってキャビティ11’に流入し、左側の下流端部で、より大きな角度βの急勾配なスロープに沿って、キャビティ11’から流出する。
【0061】
図8のB−B線に沿った断面図である図8Bから明らかであるように、所望の液体流路と平行なキャビティ11’の側部は急勾配で、基準面またはチャネル3に対してほぼ90度である。
【0062】
長尺な形状によって、キャビティ11’は表面対容積比を確実に増やす。さらに、ほぼ流れる方向と平行なキャビティ11’の側部は、基準面に対して急勾配である。
【0063】
第2の実施態様および上述した実施態様の変形例の装置は、第1の実施態様の装置と同じ方向から、同じ方法で充填される、すなわち、突出部1が液体サンプル2に浸され、これによってチャネル3およびキャビティ5、11および11’が毛管力で充填される。したがって孔16、16’を介する注射器による注入は、チャネルの毛管力に影響を与えない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】隠れている部分および2つのキャビティが想像線で示されている、本発明の第1の態様の装置の部分断面略図である。
【図2】検査用液体サンプルとともに、隠れている部分および2つのキャビティが想像線で示されている、図1の第1態様の装置を上方から見た部分図である。
【図3】A−A線に沿った図2の第1態様の装置の部分断面側面図である。
【図4】2つの本体A、Bが相互移動している、A−A線に沿った図2の第1態様の装置の部分断面側面図である。
【図5】孔を介在した注射器挿入口を具備し、且つ、検査用液体サンプルとともに、その内部の隠れている部分および2つのキャビティが想像線で示されている第2態様の装置を上方から見た部分図である。
【図5A】孔16’の形状および位置について僅かに変更した図5の変形実施態様を示す。
【図6】注射器を備えた、A−A線に沿った図2の第2態様の装置の部分断面側面図である。
【図6A】内腔16’の形状および位置について僅かに変更した図6の変形実施態様を示す。
【図7】挿入部としての孔の斜視図である。
【図7A】挿入部としての孔の横断面である。
【図7B】挿入部としての孔の長尺なスリットに沿った図を示す
【図8】挿入部としてのより大きいキャビティ11’の変形例を示す。
【図8A】長軸に沿った、挿入部としてのより大きいキャビティ11’の変形例を示す。
【図8B】短軸に沿った、挿入部としてのより大きいキャビティ11’の変形例を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
比較的多量の不特定量の液体サンプルから少なくとも1つの少量の特定量を分離するためのサンプル定量器具を充填し、前記器具が互いに相対移動可能な第1の本体(A)と、第2の本体(B)とを含み、前記第1本体がその表面に前記特定量を有する少なくとも1つのキャビティ(5、11;11’)を有し、且つ、前記第2本体が前記これらの本体(A、B)の相対移動によって前記表面に沿って且つ前記少なくとも1つのキャビティ(5、11;11’)に亘って摺動可能な密閉掻き取り手段(8)を含み、これによって前記特定量が正確に前記少なくとも1つのキャビティ(5、11;11’)に得られる装置において、
第1および第2本体(A、B)のうちの一方が、少量の液体サンプルと接触する少なくとも1つの注入開口部(C)を有すること、
所定の容積のチャネル3が、第1本体と第2本体との間に設けられ、このチャネルが前記少なくとも1つの注入開口部(C)と、少なくとも前記少なくとも1つのキャビティを越えて流体連通していること、
前記チャネルが、前記チャネルおよびこれによって前記少なくとも1つのキャビティ(5、11;11’)に毛管力で前記液体サンプルを充填できるような寸法であること、を特徴とする装置。
【請求項2】
第1および第2本体(A、B)のうちの一方に孔(16;16’)を介してチャネル(3)内に開口する注射器挿入口が設けられ、その内部に液体サンプルをチャネル(3)内に注入するための注射器(17)が挿入できるようになっており、これによって前記チャネル(3)が毛管力と、注入との組み合わせによって充填され、且つ、少なくとも1つのキャビティ(5、11;11’)が毛管力によって充填されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
突出部(1)が前記少なくとも1つの注入開口部(C)と位置合わせされて配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
チャネル(3)の長いほうの側部の一方が第1本体に形成されたリム(4)によって境界を定められ、もう一方が第2本体に形成された凹部(6)によって境界を定められていること、
短いほうの側部の一方が注入開口部Cを形成し、もう一方は外気に開放していること、
リム(4)が第2本体(B)と密接に接触していること、
リムの長いほうの側面上のチャネル3の反対側には凹部(7)が配設されて液体サンプルがさらに広がるのを防ぎ、凹部(6)もまた液体サンプルが広がるのを防いでいること、および凹部(6)が密閉・掻き取り手段(8)によって境界を定められていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
チャネル(3)の高さが約0.05mmから約1.0mmであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
チャネル(3)の高さが約0.1mmから約0.3mmであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
チャネル(3)の高さが0.2mmであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
チャネル(3)が長方形の断面を有することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
第1本体(A)に拡大手段(14)が前記少なくとも1つのキャビティ(5、11;11’)の前方に設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記チャネル(3)の表面が、デキストラン、プロテインまたはそれらの誘導体からなる群から選択された材料でコーティングされることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つのキャビティ(5、11;11’)の表面が、デキストラン、プロテインまたはそれらの誘導体からなる群から選択された材料でコーティングされることを特徴とする請求項1から10いずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記チャネル(3)の表面が、血液と、このチャネル(3)および前記少なくとも1つのキャビティ(5、11;11’)の表面を形成する材料との間が75度から0度、好ましくは50度から0度の接触角をなす材料で、コーティングされることを特徴とする請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つのキャビティ(5、11’)が楔形状のキャビティであることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つのキャビティ(5、11)が楕円形状のキャビティであることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの長尺のキャビティ(5、11;11’)の主軸が、前記チャネル(3)の長手方向と約20度から60度の角度Vをなすことを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
液体サンプルが血液サンプルであることを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の装置。
【請求項1】
比較的多量の不特定量の液体サンプルから少なくとも1つの少量の特定量を分離するためのサンプル定量器具を充填し、前記器具が互いに相対移動可能な第1の本体(A)と、第2の本体(B)とを含み、前記第1本体がその表面に前記特定量を有する少なくとも1つのキャビティ(5、11;11’)を有し、且つ、前記第2本体が前記これらの本体(A、B)の相対移動によって前記表面に沿って且つ前記少なくとも1つのキャビティ(5、11;11’)に亘って摺動可能な密閉掻き取り手段(8)を含み、これによって前記特定量が正確に前記少なくとも1つのキャビティ(5、11;11’)に得られる装置において、
第1および第2本体(A、B)のうちの一方が、少量の液体サンプルと接触する少なくとも1つの注入開口部(C)を有すること、
所定の容積のチャネル3が、第1本体と第2本体との間に設けられ、このチャネルが前記少なくとも1つの注入開口部(C)と、少なくとも前記少なくとも1つのキャビティを越えて流体連通していること、
前記チャネルが、前記チャネルおよびこれによって前記少なくとも1つのキャビティ(5、11;11’)に毛管力で前記液体サンプルを充填できるような寸法であること、を特徴とする装置。
【請求項2】
第1および第2本体(A、B)のうちの一方に孔(16;16’)を介してチャネル(3)内に開口する注射器挿入口が設けられ、その内部に液体サンプルをチャネル(3)内に注入するための注射器(17)が挿入できるようになっており、これによって前記チャネル(3)が毛管力と、注入との組み合わせによって充填され、且つ、少なくとも1つのキャビティ(5、11;11’)が毛管力によって充填されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
突出部(1)が前記少なくとも1つの注入開口部(C)と位置合わせされて配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
チャネル(3)の長いほうの側部の一方が第1本体に形成されたリム(4)によって境界を定められ、もう一方が第2本体に形成された凹部(6)によって境界を定められていること、
短いほうの側部の一方が注入開口部Cを形成し、もう一方は外気に開放していること、
リム(4)が第2本体(B)と密接に接触していること、
リムの長いほうの側面上のチャネル3の反対側には凹部(7)が配設されて液体サンプルがさらに広がるのを防ぎ、凹部(6)もまた液体サンプルが広がるのを防いでいること、および凹部(6)が密閉・掻き取り手段(8)によって境界を定められていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
チャネル(3)の高さが約0.05mmから約1.0mmであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
チャネル(3)の高さが約0.1mmから約0.3mmであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
チャネル(3)の高さが0.2mmであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
チャネル(3)が長方形の断面を有することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
第1本体(A)に拡大手段(14)が前記少なくとも1つのキャビティ(5、11;11’)の前方に設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記チャネル(3)の表面が、デキストラン、プロテインまたはそれらの誘導体からなる群から選択された材料でコーティングされることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つのキャビティ(5、11;11’)の表面が、デキストラン、プロテインまたはそれらの誘導体からなる群から選択された材料でコーティングされることを特徴とする請求項1から10いずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記チャネル(3)の表面が、血液と、このチャネル(3)および前記少なくとも1つのキャビティ(5、11;11’)の表面を形成する材料との間が75度から0度、好ましくは50度から0度の接触角をなす材料で、コーティングされることを特徴とする請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つのキャビティ(5、11’)が楔形状のキャビティであることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つのキャビティ(5、11)が楕円形状のキャビティであることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの長尺のキャビティ(5、11;11’)の主軸が、前記チャネル(3)の長手方向と約20度から60度の角度Vをなすことを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
液体サンプルが血液サンプルであることを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5A】
【図6】
【図6A】
【図7】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図8A】
【図8B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5A】
【図6】
【図6A】
【図7】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図8A】
【図8B】
【公表番号】特表2008−536113(P2008−536113A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505264(P2008−505264)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【国際出願番号】PCT/SE2006/000410
【国際公開番号】WO2006/107262
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(599017461)ブール メディカル アーベー (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【国際出願番号】PCT/SE2006/000410
【国際公開番号】WO2006/107262
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(599017461)ブール メディカル アーベー (6)
【Fターム(参考)】
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