説明

サンプル採取装置

【課題】 採取対象の試料が柔らかい場合においても採取口を十分に開閉可能にし、削孔の孔底や周辺地盤の硬軟に関わらず採取口からのサンプルの採取を円滑化するとともに、大掛かりで高価な設備を用いずに任意の深度からサンプルを確実に採取可能にする。
【解決手段】 掘削装置の掘削ロッド端に中空パイプ7を連結し、中空パイプ7の下端に複数のサンプル取込口8を有する上蓋1を取り付け、上蓋1の下部に臨むように中空パイプ7の下端にガイドパイプ11を連設して、上端の開口部周辺にサンプル取込口8を開閉するフランジ部3bが設けられた有底シリンダ3を、ガイドパイプ11の外周に軸方向摺動可能に装着し、中空パイプ7内の少なくとも大気圧状態においては、スプリング2の反発力を利用して、フランジ部6に前記サンプル取込口8を閉塞させ、上蓋5を上端の開放部にサンプル採取容器に被せた構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラリー系機械式深層処理工法による施工直後の未硬化状態のソイルセメントコラム(ソイルセメントとも称す)や埋め込み杭の施工に用いるセメントミルク等の根固め液など(以下、これらを充填物と略称する。)の一部をサンプルとして採取するために用いるサンプル採取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
充填物、例えばソイルセメントコラムは、水とセメントを混練したセメントミルクを地盤に注入しながら撹拌混合することにより築造される柱状固化体であり、建物の基礎下の軟弱地盤を堅固にし建物の沈下を防止するために適用される。このソイルセメントコラムの品質(一軸圧縮強度や密度、含水量)を調べることは、設計上あるいは品質管理上、必要不可欠なことである。このため、セメントミルクを注入し撹拌混合した施工直後の未固結状態のソイルセメント(充填物)の一部をサンプル(試料土)として採取し、鋼製の2つ割型枠やプラスチック製のモールド管に充填されることによりモールドコア試供体が製作される。所定材令(例えば、7〜28日間)を経過した後、試供体は品質(一軸圧縮強度や密度、含水量)が調べられ、設計で想定した要求性能を満足しているか否かが判定される。
【0003】
この施工直後のサンプルを採取する装置として、従来から下記(1)〜(4)等に示す試料土(サンプル)の採取装置が提案されている。
(1)側方に開口部を設けた試料採取用の内管に対し、開口部および一対の抵抗板を設けた扉用の外管を回転可能に外嵌めし、外管に対する内管の一方向の回転で内管と外管の前記各開口部を一致させ、他方向の回転で内管の開口部を外管により閉止させるようにしたものである(例えば、特許文献1参照)。これによれば、内管と外管の各開口部から、削孔に充填された施工直後のソイルセメントを内管内に取り込むことができ、これを地上に引き上げることでソイルセメントのサンプルを採取することができる。
(2)採取物を収容するホッパーに開口内窓を形成し、該ホッパーに、前記開口内窓を塞ぐと共に上下に摺動して開口内窓を露出させることができる外枠を嵌装し、前記外枠の下端に長さ調節自在の孔底押圧部を形成し、前記ホッパーの上端部に、ロッドの連結部を形成し、前記ホッパーと前記外枠との間に、前記開口内窓を塞ぐように付勢されたスプリングを介装したものである(例えば、特許文献2参照)。これによれば、予め孔底から充填物(ソイルセメント)の採取位置までの長さに応じて採取装置を調整し、地中孔内の充填物の採取位置まで、密封容器を有する前記採取装置を降下させ、地中孔底に前記採取装置を押圧して、または押圧しながら回転して、前記密封容器の開口を開き、充填物を密封容器内に取り入れ、次に前記開口を閉じて充填物を密封して、前記採取装置を引き上げることができる。これにより充填物をサンプルとして採取することができる。
【0004】
(3)土等の中に貫入した後、引き抜いて土等を採取するサンプル採取装置であって、貫入ロッドの先端に設けられ、側面に開口部を有する筒状の採取容器と、この採取容器内の上部に摺動自在に設けられ、前記開口部を閉塞可能な上部移動蓋部材と、前記採取容器内の下部に摺動自在に設けられた下部移動蓋部材と、前記上部移動蓋部材に固定され、該上部移動蓋部材を採取容器に対して移動させる作動部材と、前記上部移動蓋部材と下部移動蓋部材とを連結する連結部材を備えるものである(例えば、特許文献3参照)。これによれば、サンプル採取装置の採取容器を開口部が上部移動蓋部材で閉塞された状態で所定の位置まで貫入した後、作動部材により上部移動蓋部材を上方に移動させることで、開口部を開口すると共に採取容器内の上部に試料を吸引し、上部移動蓋部材をさらに上方に移動させることで、下部移動蓋部材の上面を開口部の上方に移動させ、上部移動蓋部材と下部移動蓋部材の間に試料を充填して引き上げることができる。
(4)ベースマシ等に装着して昇降自在とされた操作軸の下端に、中空状取付け軸を介して採取管が取付けられており、該採取管の側部には所要数の採取口が形成されていると共に、該採取口には、前記中空状取付け軸に内設された流体圧シリンダによって開閉作動される蓋体を取付けたものである(例えば、特許文献4参照)。これによれば、操作軸を下降作動させながら、採取管を掘削土と硬化剤とが混練りされた掘削孔内に挿入させる。そして、所要の深度に達した時点で、流体圧シリンダを作動せしめ、蓋体を開作動して採取口より混練り試料を採取管内に採取する。この試料採取が完了すると、流体圧シリンダの作動により蓋体を閉作動せしめて採取口を閉塞したのち、操作軸を上昇作動させることで掘削孔1より採取管を引上げ、所要の試料採取を行うことができる。
【0005】
そして、このようにして採取されたサンプルは、試験により必要とする項目のデータを得ることにより良否の判定をし、ソイルセメント構造体の施工を最適なものとする。採取されたサンプルの試験装置や試験方法は、例えば、非特許文献1に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平3−54891号公報
【特許文献2】特開2001−73360号公報
【特許文献3】特開2002−54129号公報
【特許文献4】特許第3343678号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】建築物のための改良地盤の設計及び品質管理指針(セメント系固化材を用いた深層・浅層混合処理工法) 発行 日本建築センター 編集協力 建設省建築研究所 第390頁〜第392頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来のサンプル採取装置は、解決すべき以下の課題を有している。
(1)特許文献1に記載の発明にあっては、試料土が柔らかな(液体状を呈する)場合には、抵抗板が採取装置全体に対して小さく、充分な抵抗力を得ることができず、内筒と外筒の各開口部の開閉が確実に行えなくなる。その結果、採取に失敗し、二度、三度と同様の採取作業を繰り返す必要がある。
(2)特許文献2に記載の発明にあっては、杭孔の孔底が堅固な支持層であればよいが、摩擦杭の先端地盤のように堅固でない場合には、地盤抵抗が不足し、内窓と外窓が連通せず、試料を採取できない場合がある。また、杭孔の任意の深度から試料を採取する場合には、その深度に見合う補助脚が必要となり、構成の複雑化とコストアップを招く。
(3)特許文献3に記載の発明にあっては、上部移動蓋部材を上方へ摺動させるための作動部材(ロッド)が貫入ロッド内に仕込まれた二重構造であるため構成が複雑であり、このためロッドの接続に手間がかかり過ぎ、重量増を招いてしまう。また、貫入ロッドに対して前記作動部材を上方に摺動させるための引抜構造が複雑になり、コストアップを招くという不都合があった。
(4)特許文献4に記載の発明にあっては、混練物内で蓋を開閉させる流体圧シリンダには、蓋開放および蓋閉止のための2本の耐圧ホースを別々に設置する必要があり、構成の複雑化とコストアップが避けられないという不都合があった。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、採取対象の充填物(試料)が柔らかい場合においても採取口を十分に開閉可能にし、孔底や周辺地盤の硬軟に関わらず採取口からの試料の採取を円滑化するとともに、任意の深度から大掛かりな設備を用いずにサンプル(試料)を採取できるサンプル採取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した目的を達成するために、本発明に係るサンプル採取装置は、削孔内の充填物中に進入し、この充填物の一部をサンプルとして採取するサンプル採取装置であって、掘削装置の掘削ロッド端に連結される中空パイプと該中空パイプに連接して摺動可能に設けられたシリンダーまたはピストンと連動し、ばねと圧縮流体の駆動力により摺動可能な仕切部材または進退可能あるいは開閉可能な押圧部材を設け、サンプル取込口が開閉するように構成されている採取装置であり、該サンプル取込口が、サンプル採取容器の上蓋上、あるいはサンプル採取容器の側面に設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るサンプル採取装置は、削孔内の充填物中に進入し、この充填物の一部をサンプルとして採取するサンプル採取装置であって、掘削装置の掘削ロッド端に連結される中空パイプと、該中空パイプの下端に取り付けられて、複数のサンプル取込口を有する上蓋と、該上蓋の下面に臨むように前記中空パイプの下端に連設されたガイドパイプと、該ガイドパイプの外周に軸方向摺動可能に装着され、上端の開口部周辺に前記サンプル取込口を開閉するフランジ部を備えた有底シリンダと、前記中空パイプ内の上端部と前記有底シリンダの底部との間に介在されて、該有底シリンダを上蓋側に付勢し、有底シリンダのフランジ部によって前記サンプル取込口を閉塞するばねと、前記上蓋によって上端の開放部が開閉されるサンプル採取容器と、を備え、前記削孔内の充填物中に進入された状態で前記中空パイプおよびガイドパイプ内に圧縮流体を供給することにより、ガイドパイプに沿って有底シリンダを下降させ、フランジ部を上蓋から離間させることで開かれた前記サンプル取込口から前記削孔内の充填物の一部をサンプルとしてサンプル採取容器内に採取するように構成されてなることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るサンプル採取装置は、削孔内の充填物中に進入し、この充填物の一部をサンプルとして採取するサンプル採取装置であって、
掘削装置の掘削ロッド端に連結される中空パイプと、
該中空パイプの下端に取り付けられた複数の開口を有する上蓋と、
天部が閉塞され下端が開口された中空筒で側面にサンプル取込口が設けられ、下端開口が前記上蓋の開口に臨み立設されたサンプル導入筒と、
該サンプル導入筒の内径に対し密に摺接する外径の中空筒で、前記上蓋の下方より開口を貫通し該サンプル導入筒内に摺動可能に挿入されてサンプル取込口を開閉する摺動筒と、
該上蓋の下面に臨むように前記中空パイプの下端に連設されたガイドパイプと、
該ガイドパイプの外周に軸方向摺動可能に装着された有底シリンダと、
該有底シリンダと前記摺動筒とを連結して有底シリンダの作動を摺動筒に伝達する連結部材と、
前記中空パイプ内の上端部と前記有底シリンダの底部との間に介在されて、前記有底シリンダを上蓋側に付勢し、この有底シリンダにより作動する摺動筒でサンプル導入筒のサンプル取込口を閉塞するばねと、
前記上蓋によって上端の開放部が開閉されるサンプル採取容器と、を備え、
前記削孔内の充填物中に進入した状態で前記中空パイプおよびガイドパイプ内に圧縮流体を供給することにより、ガイドパイプに沿って有底シリンダを下降させることにより摺動筒を下降させ、サンプル導入筒のサンプル取込口を開放し、該開放したサンプル取込口から摺動筒内を通し前記削孔内の充填物の一部をサンプルとしてサンプル採取容器内に採取するように構成されてなることを特徴とする。
【0013】
削孔内の充填物中に進入し、この充填物の一部をサンプルとして採取するサンプル採取装置であって、
掘削装置の掘削ロッド端に連結される中空パイプと、
該中空パイプの下端に取り付けられる上蓋と、
該上蓋の下面に臨むように前記中空パイプの下端に連設されたガイドパイプと、
該ガイドパイプの外周に軸方向摺動可能に装着された有底円筒部、この有底円筒部上端の開口部周辺に連接されて上下に貫通する空気抜き孔を持ったフランジ部、およびこのフランジ部の周縁に垂下連接されたサンプル取込口を有する外筒部のそれぞれを有する有底シリンダと、
前記中空パイプ内の上端部と前記有底円筒部の底部との間に介在されて、前記有底シリンダを前記上蓋側に付勢するばねと、
前記上蓋によってサンプル採取容器の上端の開放部が開閉されるとともに、前記外筒部との摺接部にサンプル導入窓を持ったサンプル採取容器と、を備え、
前記削孔内の充填物中に進入した状態で前記中空パイプおよびガイドパイプ内に圧縮流体を供給することにより、ガイドパイプに沿って有底シリンダを下降させ、前記サンプル導入窓に前記サンプル取込口を連通させ、前記充填物の一部をサンプルとして前記サンプル採取容器内に採取するように構成されてなることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るサンプル採取装置は、削孔内の充填物中に進入し、この充填物の一部をサンプルとして採取するサンプル採取装置であって、掘削装置の掘削ロッド端に連結される中空パイプと、該中空パイプの下端に連接されて、上下に貫通する複数のサンプル取込口を有する上蓋と、前記上蓋によって上端の開放部が開閉されるサンプル採取容器と、前記中空パイプ内に摺動可能に設けられたピストンと、前記中空パイプ内に収納されて、前記ピストンをサンプル採取容器がある側とは反対の方向に付勢するばねと、前記ピストンにピストンロッドを介して連設され、常時は前記ばねの反発力を受けてサンプル採取容器内において前記上蓋の下面から前記サンプル取込口を塞ぐ閉塞板と、を備え、前記削孔内の充填物中に進入した状態で前記中空パイプ内に圧縮流体を供給することにより前記ピストンを移動させ、この移動に伴って前記閉塞板が開いた前記サンプル取込口から前記充填物の一部をサンプルとしてサンプル採取容器内に採取するように構成されてなることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るサンプル採取装置は、削孔内の充填物中に進入し、この充填物の一部をサンプルとして採取するサンプル採取装置であって、掘削装置の掘削ロッド端に連結される中空パイプと、該中空パイプの下端に連設されて、上下に貫通する複数のサンプル取込口を有する上蓋と、前記上蓋によって上端の開放部が開閉されるサンプル採取容器と、前記中空パイプ内に摺動可能なピストンと、前記中空パイプ内に収納されて、前記ピストンをサンプル採取容器がある側とは反対の方向に付勢するばねと、前記ピストンに連設されたピストンロッドの下端に基部が軸支されて、その基部を力点として前記サンプル取込口を開閉する開閉板と、を備え、前記削孔内の充填物中に進入した状態で前記中空パイプ内に圧縮流体を供給することにより前記ピストンを移動させて、前記中空パイプに設けられた支点を中心とする回動によって前記開閉板が開いた前記サンプル取込口から前記充填物の一部をサンプルとしてサンプル採取容器内に採取するように構成されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、掘削装置の掘削ロッドにサンプル採取装置を装着して、削孔内の充填物、例えばソイルセメント中の任意に選んだ深度まで進入させることができ、その深度位置において中空パイプへの圧縮流体の供給によって、採取容器内の有底シリンダやピストン部材をスプリングに抗して押し下げることで、サンプル取込口を開放し、採取容器内のそれぞれに充填物、例えばソイルセメントの一部をサンプルとして効率的に回収することができる。
【0017】
また、サンプル採取装置は、掘削装置の掘削ロッドに対し簡単な作業で連結されて充填物中、例えばソイルセメント中に押し込まれるが、ソイルセメント中の任意に選んだ深度位置にそのサンプル採取装置を進入させ、任意の深度位置の充填物(試料土)を採取することができる。また、この深度位置で圧縮流体(圧力)によりサンプル取込口の開閉を確実に行うことができ、サンプルの採取容器内への採取を失敗なく実施することができる。また、サンプル採取装置全体として構造が簡単で外部に不必要な凹凸部を作らないため、このサンプル採取装置を充填物例えばソイルセメント中から引き上げた際に、そのソイルセメント内に通過痕(跡)が残ることを回避できる。さらに、開閉蓋などの押し/戻しのために、流体圧シリンダや高圧ホースを複数設置するなどの無駄を省くことができ、サンプル採取装置をコンパクトにできる等の効果が得られる。
【0018】
以上、本発明について簡潔に説明した。さらに、以下に説明される発明を実施するための最良の形態を添付の図面を参照して、本発明の詳細をさらに明確化する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態によるサンプル採取装置を示す縦断面図である。
【図2】図1に示されたサンプル採取装置の平面図である。
【図3】図1に示されたサンプル採取装置を分解して示す縦断面図である。
【図4】図1に示されたサンプル採取装置の作動状態を示す縦断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態によるサンプル採取装置を示す縦断面図である。
【図6】図5に示されたサンプル採取装置を分解して示す縦断面図である。
【図7】図5に示されたサンプル採取装置の作動状態を示す縦断面図である。
【図8】図5乃至7に示すサンプル採取装置の変形例を示す縦断面図である。
【図9】本発明の更に他の実施形態を示すサンプル採取装置を示す縦断面図である。
【図10】図9に示されたサンプル採取装置の作動時を示す縦断面図である。
【図11】本発明のまた更に他の実施形態によるサンプル採取装置を示す縦断面図である。
【図12】本発明のまた更に他の実施形態によるサンプル採取装置を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では充填物としてソイルセメントを例に、また、圧縮流体として圧縮空気を例に説明する。図1〜図4は本発明の一実施形態によるサンプル採取装置の、それぞれ縦断面図、平面図、分解図よび作動時の縦断面図である。このサンプル採取装置は、上蓋1と、コイルスプリング(ばね)2と、有底シリンダ3と、サンプル採取容器4とから構成されている。上蓋1は略円板状の蓋板5の中心部に取付孔6を有し、この取付孔6には中空パイプ7の下端が嵌合および固定され、かつ蓋板5の上方に立ち上げられている。この蓋板5における取付孔6の周辺部には、上下面に貫通するサンプル取込口8が円周方向の4箇所に、等間隔おきに穿設されている。サンプル取込口8は図上長円形とされているが、これ以外の円形、方形、その他色々の形状を任意に採用できる。
【0021】
蓋板5下面のサンプル取込口8周辺には、このサンプル取込口8に連通する通孔9aを持ったゴムパッキン9が装着されている。蓋板5の外周面にはシールリング10が装着されている。一方、中空パイプ7の上端部は掘削装置の掘削ロッドD端に連結される継手部7aとなっており、例えば掘削ロッドDを通じて中空パイプ7内にコンプレッサなどから所定圧の給気が行われるようになっている。さらに、蓋板5の下方に臨む中空パイプ7の下端には、ガイドパイプ11の上端が連設されている。中空パイプ7の上端には、前記コイルスプリング2の上端を係止する棒状のスプリング係止部材12が取り付けられている。尚、、サンプルの種類あるいは圧縮流体の種類により、コイルスプリング2の強さを調整する必要が生ずることもあるので、前記コイルスプリング2のバネの強さを調整するためスプリング係止部材12に雌ネジを設け、コイルスプリング2の上端に雄ネジを接続し該雄ネジを嵌合させて雌ネジの回転によりバネの強弱を調整できる構造にすればより好ましい。
【0022】
前記有底シリンダ3は、ガイドパイプ11の外周面に軸方向摺動可能な有底円筒部3aと、この有底円筒部3aの上端外周に水平方向に延設されたフランジ部3bとから構成される。このフランジ部3bは、請求項1の押圧部材に相当する。この有底円筒部3aは、上端部の内周面にシールリング14を有するとともに、底部上面の中心部付近に係止片13が取り付けられている。そして、その係止片13およびスプリング係止部材12のそれぞれに前記コイルスプリング2の上端および下端が止着されている。
【0023】
このため、このサンプル採取装置が作動を開始していない状態にあっては、有底シリンダ3はコイルスプリング2の収縮力を受けてサンプル採取容器4内の最上部に位置している。この状態では、フランジ部3bの上面がゴムパッキン9を介して蓋板5の下方からサンプル取込口8を塞いでいる。なお、蓋板5はサンプル採取容器4の上端開口内にシールリング10を介して気密的に嵌合されている。
【0024】
蓋板5の上面には、外周付近の等間隔の4箇所にロック片15が溶接などにより固着されている。各ロック片15のうち蓋板5の外周から外径方向に水平に突出する部位には、図2に示すようなボルト係止溝16が形成されている。
【0025】
一方、サンプル採取容器4の外周には、等間隔の4箇所にボルト取付部材17が取り付けられ、これらのボルト取付部材17にはボルト18の下端部が回動自在に支持されている。このため、ボルト18の下端部は、ボルト取付部材17に支持された水平軸19を中心に回動可能になっている。また、ボルト18の上端にはナット20が螺合されている。
【0026】
従って、ボルト18を、水平軸19を中心に垂直方向(図では上方)に回動操作することで、そのボルト18の一部(先端部)をロック片15のボルト係止溝16内に挿入または圧入することができる。この挿入または圧入の後で、ボルト18の先端部に螺合されたナット20を締め込み、ロック片15の上面を押圧することにより、サンプル採取容器4の開口部内に蓋板5を密嵌することができる。
【0027】
この実施形態のサンプル採取装置は以上のように構成されており、地盤の削孔内にセメントミルクを注入し、土とともに攪拌してできたソイルセメントのソイルセメントコラム中に進入することで、そのソイルセメントの一部をサンプルとして採取することができる。このために、削孔の掘削に利用した掘削装置の掘削軸から掘削・攪拌装置を取り外し、その掘削軸(掘削ロッド)Dに、本実施形態のサンプル採取装置を付け替える。つまり、図1に鎖線で示した掘削ロッドDの下端に、中空パイプ7上端の継手部7aを図示しない締結具を用いて連結する。これにより、サンプル採取装置に対し、削孔内のソイルセメント中への強力な押し込み力および必要に応じ回転力が付与可能になる。
【0028】
そこで、施工機である掘削装置を作動開始し、サンプル採取装置を削孔内のソイルセメント中の所定深度まで進入させる。この進入時には、エアコンプレッサは作動が停止されており、掘削ロッドDおよび中空パイプ7内には圧縮空気の供給はない。従って、有底シリンダ3のフランジ部3bの上面がゴムパッキン9を介して蓋板5下面に密接しており、サンプル取込口8が塞がれ、ソイルセメントの採取は行われない。
【0029】
そして、サンプル採取装置がソイルセメント中の予め定めた深度(この深度は、任意に選択することができる。)に達した場合には、前記コンプレッサを作動開始して、掘削ロッドDおよび中空パイプ7内に圧縮空気(高圧エアー)を送り込む。このコンプレッサは掘削プラントに常設されているものを兼用できるので、新たな設備の負担がなく、経済的である。
【0030】
こうして、掘削ロッドDおよび中空パイプ7内が圧縮空気で満たされ、中空パイプ7内のエアー圧が高められると、有底シリンダ3の底部上面には、コイルスプリング2の収縮力に抗して、これを下方へ押し下げる力が作用する。このため、有底シリンダ3はガイドパイプ11の外周面に案内されながら下方(図4の矢印P方向)へ移動し、フランジ部3bがゴムパッキン9の下面から離れ、このゴムパッキン9の前記通孔9aおよび蓋板5のサンプル取込口8が開放される。なお、有底シリンダ3の下降量は採取容器4の底部に設けられたストッパ4aによって規制される。本発明の実施の形態に記載されている該ストッパー4aはサンプル採取容器4の底に設けられているが、このストッパー4aを有底シリンダー3の底に設けても良い。
【0031】
前記通孔9aおよびサンプル取込口8が開放されることによって、サンプル採取容器4内の空気がサンプル採取容器4外へと放出されるとともに、液状の重いソイルセメントがサンプル採取容器4内に、矢印Qに示すように取り込まれる。そして、所定量のサンプルが取込まれたら、コンプレッサの動作を停止して、掘削ロッドDを通じての中空パイプ7内への高圧空気の給気を停止し、または排気を行う。これにより、有底シリンダ3はコイルスプリング2の収縮力を受けてガイドパイプ11の外周面に沿って上昇し、遂にはフランジ部3bがゴムパッキン9の通孔9aおよび蓋板5のサンプル取込口8を閉塞する。
【0032】
そこで、ソイルセメントを採取したサンプル採取装置の全体を、掘削装置を用いて削孔のソイルセメント中から地上に引き上げる。そして、サンプル採取容器4側の前記ボルト18端にねじ込んだナット20を緩め、このボルト18を、水平軸19を中心に回動操作する。これにより、ボルト18の上部はロック片15のボルト係止溝16から脱抜され、サンプル採取容器4に対する上蓋1の保持が解除される。そこで、上蓋1をサンプル採取容器4から取り外すことで、サンプル採取容器4内のソイルセメントをサンプルとして取り出すことができる。
【0033】
こうして取り出したソイルセメントのサンプルは、鋼製の2つ割型枠やプラスチック製のモールド管に充填されモールドコア試供体が製作される。所定材令(例えば、7〜28日間)を経過した後、モールドコア試供体は品質(一軸圧縮強度や密度、含水量、pH)が調べられ、設計で想定した要求性能を満足しているか否かが判定される。なお、任意の複数の深度からサンプル採取する場合には、再度同様にしてサンプル採取の深度を変えての採取を繰り返す。
【0034】
図5〜図7は、本発明の他の実施形態によるサンプル採取装置の、それぞれ縦断面図、分解図および作動時の縦断面図である。このサンプル採取装置は、上蓋1と、コイルスプリング(ばね)2と、有底シリンダ3Aと、サンプル採取容器4とから構成されている。上蓋1は略円板状の蓋板5の中心部に取付孔6を有し、この取付孔6には中空パイプ7の下端が嵌合および固定され、かつ蓋板5の上方に立ち上げられている。この蓋板5における取付孔6の周辺部には、上下面に貫通する開口5a(図6参照)が円周方向の4箇所に、等間隔おきに穿設されている。この開口5aの数は、4個に限定されるものではなく、任意に選択できる。
【0035】
前記蓋板5には開口5aに臨みサンプル導入筒21が固定して立設されている。このサンプル導入筒21は、天部が天板21aで閉塞され、下端が開口部となり、この開口部が蓋体5の開口5aに連通している。このサンプル導入筒21の側面には、サンプル取込口22が開口されている。このサンプル導入筒21には、蓋板5の下方より開口5aを貫通し摺動筒23が摺動可能に挿入されている。この摺動筒23は、上下に貫通する中空であり、外径は前記サンプル導入筒21の内径に対し密に摺接するサイズとなっている。この摺動筒23は請求項1の仕切部材に相当する。なお、サンプル導入筒21内には上方と下方にシールリング24が設けられている。
【0036】
一方、中空パイプ7の上端部は、掘削装置の掘削ロッドDに連結される継手部7aとなっており、本例ではシールパッキン25を介在させ、ピン26で回り止めして連結されている場合を示している。これにより例えば、掘削ロッドDおよびその連結部7aを通じて中空パイプ7内にコンプレッサなどから所定圧の給気が行われるようになっている。さらに、蓋板5の下方に臨む中空パイプ7の下端には、ガイドパイプ11の上端が連設されている。中空パイプ7の上端部付近には、前記コイルスプリング2の上端を係止する棒状のスプリング係止部材12が取り付けられている。
【0037】
前記有底シリンダ3Aは、ガイドパイプ11の外周面に軸方向摺動可能な有底円筒部3aと、この有底円筒部3aの上端外周に水平方向に延設されたフランジ部3bと、から構成され、このフランジ部3bに前記摺動筒23の下端が連結されている。このフランジ部3bは、有底シリンダ3Aと摺動筒23とを連結し、有底シリンダ3Aの動きを摺動筒23に伝達する部材であるので、他の連結部材に代えても実施可能である。この有底シリンダ3Aの有底円筒部3aは、上端部の内周面にシールリング14を有するとともに、底部上面の中心部付近に係止片13が取り付けられている。そして、その係止片13およびスプリング係止部材12のそれぞれに前記コイルスプリング2の上端および下端が止着されている。
このため、このサンプル採取装置が作動を開始していない状態にあっては、有底シリンダ3Aはコイルスプリング2の収縮力を受けてサンプル採取容器4内の最上部に位置している。この状態では、摺動筒23も有底シリンダ3Aに連動し、サンプル導入筒21内に嵌入した状態であり、サンプル導入筒21のサンプル取込口22は、摺動筒23の側壁面で閉塞されている。
【0038】
前記蓋板5の外周には、等間隔の4個所(これは4個所に限定されず任意に選択できる。)にボルト係止溝16aが形成されており、サンプル採取容器4の上端外周のフランジ部4bにも、蓋板5のボルト係止溝16aと対応する位置にボルト係止溝16bが形成されている。
一方、サンプル採取容器4の外周には、ボルト係止溝16bに対応する等間隔の4箇所にボルト取付部材17が取り付けられ、これらのボルト取付部材17にはボルト18の下端部が回動自在に支持されている。このため、ボルト18の下端部は、ボルト取付部材17に支持された水平軸19を中心に回動可能になっている。また、ボルト18の先端には予めナット20が螺合されている。
【0039】
従って、ボルト18を、水平軸19を中心に垂直方向(図では上方)に回動操作することで、そのボルト18の一部(先端部)を互いに合致したボルト係止溝16a、16b内に挿入または圧入することができる。この挿入または圧入の後で、ボルト18の先端部に螺合されたナット20を締め込み、蓋板5の上面を押圧することにより、サンプル採取容器4のフランジ部4bに蓋板5を密着することができる。なお、蓋体5とフランジ部4bとの間には、パッキンを介在させるのが好ましい。
【0040】
この実施形態のサンプル採取装置は以上のように構成されており、サンプルの採取作業時に前記実施形態と同様に、掘削ロッドDの下端に、中空パイプ7上端の継手部7aを図示しない締結具を用いて連結する。これにより、サンプル採取装置には削孔内のソイルセメント内への押し込み力および必要に応じ回転力が付与可能になる。
【0041】
そこで、掘削装置を作動開始し、サンプル採取装置を削孔内のソイルセメントの所定深度まで進入させる。この進入時には、エアコンプレッサの作動を停止させておく。このため、掘削ロッドDおよび中空パイプ7内には圧縮空気の供給はない。従って、有底シリンダ3Aは、コイルスプリング2の収縮力を受けてサンプル採取容器4内の最上部内に位置しており、摺動筒23も該有底シリンダ3Aによりサンプル導入筒21内に嵌入した状態であり、サンプル導入筒21のサンプル取込口22は、摺動筒23の側壁面で閉塞されており、サンプル採取容器4内へのソイルセメントの採取は行えない。
【0042】
そして、サンプル採取装置がソイルセメント内の予め定めた深度(この深度は施工機に装着されている深度計により管理が可能であるため、任意に選択することができる)に達した場合には、前記コンプレッサを作動開始して、掘削ロッドDおよび中空パイプ7内に圧縮空気を送り込む。
こうして、掘削ロッドDおよび中空パイプ7内が圧縮空気で満たされ、中空パイプ7内のエアー圧が高められると、有底シリンダ3Aの底部上面には、コイルスプリング2の収縮力に抗して、これを下方へ押し下げる力が作用する。このため、有底シリンダ3Aの有庭円筒部3aはガイドパイプ11の外周面に案内されながら下方へ移動する。なお、有底シリンダ3Aの下降量はサンプル採取容器4の底部に設けたストッパ4aによって規制される。
従って、この有底シリンダ3Aのフランジ部3bで連結されている摺動筒23も有底シリンダ3Aと一緒にサンプル導入筒21内を下動する。図7は下方に作動した状態を示している。これにより摺動筒23の上端がサンプル導入筒21のサンプル取込口22の位置より下方になると、摺動筒23の側壁面でのサンプル取込口22が開放される。
【0043】
このサンプル取込口22が開放されることによって、サンプル採取容器4内の空気が摺動筒23を介しサンプル取込口22からサンプル採取容器4外へと放出されると共に、ソイルセメントがサンプル導入筒21のサンプル取込口22から摺動筒23内を通り、図7の矢印で示す通りサンプル採取容器4内に取り込まれる。そして、所定量のサンプルが取込まれたら、コンプレッサの動作を停止して、掘削ロッドDを通じての中空パイプ7内への高圧空気の給気を停止し、または排気を行う。これにより、有底シリンダ3Aはコイルスプリング2の収縮力を受けてガイドパイプ11の外周面に沿って上昇するので、これにより摺動筒23もサンプル導入筒21内を上動し、遂には摺動筒23の側壁面がサンプル取込口22を閉塞する。
【0044】
そこで、ソイルセメントを採取したサンプル採取装置の全体を、掘削装置を用いて削孔のソイルセメント中から地上に引き上げる。そして、サンプル採取容器4側の前記ボルト18端にねじ込んだナット20を緩め、このボルト18を、水平軸19を中心に回動操作する。これにより、ボルト18の上部はボルト係止溝16a、16bから脱抜され、サンプル採取容器4に対する上蓋1(蓋板5)の保持が解除される。そこで、上蓋1(蓋板5)をサンプル採取容器4から取り外すことで、サンプル採取容器4内のソイルセメントをサンプルとして取り出すことができる。
【0045】
こうして取り出したソイルセメントのサンプルは、鋼製の2つ割型枠やプラスチック製のモールド管に充填されモールドコア試供体が製作される。所定材令(例えば、7〜28日間)を経過した後、モールドコア試供体は品質(一軸圧縮強度や密度、含水量、pH)が調べられ、設計で想定した要求性能を満足しているか否かが判定される。なお、任意の複数の深度からサンプル採取する場合には、再度同様にしてサンプル採取の深度を変えて採取を繰り返す。
【0046】
図8は、前記図5乃至図7に示す実施の形態の変形例を示す縦断面図であり、図5乃至図7と同じ構成要素には同じ符号が付してある。
図5乃至図7においては、サンプル導入筒21および該サンプル導入筒21内に摺動可能に挿入されてサンプル取込口22を開閉する摺動筒23の構成は、いずれの位置のものもほぼ同じ長さのものを示しているが、本例は長さを異にしている場合を示している。サンプル採取容器4内の空気をサンプル採取容器4外へ放出しやすくし、サンプルの採取を容易にするために図8に示すようにサンプル導入筒21および摺動筒23の構成は、存在する位置により長さが異なる方が好ましい。例えば、サンプル導入筒21の長さが長いものと短いものを比較すると、長いものの方がサンプル取込口22が上方にあり、短いものの方がサンプル取込口22が下方にある。従って、サンプル取込口22に作用する充填物の圧力は、短いものより長いものの方が小さくなるため、サンプル採取容器4内の空気は長いものの方から放出されやすく、ソイルセメントは短いものが取り込まれやすい。
【0047】
図9および図10は、本発明の更に他の実施形態によるサンプル採取装置の、縦断面図および作動時の縦断面図である。この実施形態によるサンプル採取装置は、上蓋1と、コイルスプリング(ばね)2と、有底シリンダ3Aと、サンプル採取容器4とから構成されている。上蓋1は略円板状の蓋板5の中心部に取付孔6を有し、この取付孔6には中空パイプ7の下端が巌合状態にて固定され、蓋板5の上方に立ち上げられている。この蓋板5における取付孔6の周辺部には、上下面に貫通する小孔21が、一つの円軌道の2箇所に等間隔で穿設され、これらの小孔21には、リリーフ弁22が装着されている。これらの小孔21周辺に位置する蓋板5の下面には、小孔を持つゴムパッキン9が装着されている。また、蓋板5の外周面にはシーリング10が装着されている。
【0048】
一方、中空パイプ7の上端部は掘削装置の掘削ロッドD端に連結される継手部7aとなっており、例えば掘削ロッドDおよびその継手部7aを通じて中空パイプ7内にコンプレッサなどから所定圧の給気が行われるようになっている。さらに、蓋板5の下方に臨む中空パイプ7の下端には、ガイドパイプ11の上端が連設されている。中空パイプ7の上端部付近には、前記コイルスプリング2の上端を係止する棒状のスプリング係止部材12が取り付けられている。
【0049】
前記有底シリンダ3Aは、ガイドパイプ11の外周面に軸方向摺動可能な有底円筒部3aと、この有底円筒部3aの上端外周に水平方向に延設されたフランジ部3bと、このフランジ部3bの外周から垂直下方に延設された外筒部3cと、から構成される。この有底円筒部3aは、上端部の内周面にシールリング14を有するとともに、底部上面の中心部付近に係止片13が取り付けられている。また、外筒部3cの上端部および下端部にはシールリング23が装着されている。さらに、フランジ部3bの2箇所には空気抜き孔24が貫通するように設けられ、外筒部3cの上部にはサンプル取込口25が貫通するように設けられている。空気抜き孔24に対してサンプル取込口25の径は充分大きいものとなっている。つまり、この実施形態では、有底シリンダ3Aに空気逃がし用の孔(通路)とサンプル取込用の孔(通路)とが別々に設けられている。なお、外筒部3cの外周面は、サンプル採取容器4の内周面に対し密に摺接するサイズとなっている。この外筒部3cは請求項1の仕切部材に相当する
【0050】
また、サンプル採取容器4の周壁には前記サンプル取込口25の垂直下方に対向する所定位置に、サンプル導入窓26が形成されている。このサンプル導入窓26とサンプル取込口25の各サイズおよび形状は任意に決められており、それぞれ略同一とする。また、係止片13およびスプリング係止部材12のそれぞれに前記コイルスプリング2の上端および下端が止着されている。このサンプル採取装置が作動を開始していない状態にあっては、有底シリンダ3Aはコイルスプリング2の収縮力を受けてサンプル採取容器4内の最上部に位置している。この状態は、フランジ部3bの上面がゴムパッキン9を介して、蓋板5の下面側へ付勢されている。なお、蓋板5はサンプル採取容器4の上端開口内にシールリング10を介して気密的に嵌合されている。
【0051】
また、蓋板5の上面には、外周付近の等間隔の4箇所に肉厚のロック片15が溶接などにより固着され、各ロック片15が溶接などにより固着されている。各ロック片15のうち蓋板の外周より外径方向に水平に突出する部位には、図6に示すようなボルト係止溝16aが形成されている。
【0052】
一方、サンプル採取容器4の外周には、等間隔の4箇所にボルト取付部材17が取り付けられ、これらのボルト取付部材17にはボルト18の下端部が回動自在に支持されている。このため、ボルト18の下端部は、ボルト取付部材17に支持された水平軸19を中心に回動可能になっている。ボルト18の上端には予めナット20が螺合されている。
【0053】
従って、ボルト18は水平軸19を中心に垂直方向(図では上方)に回動操作することで、そのボルト18の一部をロック片15のボルト係止溝16a内に挿入または圧入することができる。この挿入または圧入の後で、ボルト18の先端部に螺合されたナット20を締め込むことによって、ロック片15の上面を押圧することにより、サンプル採取容器4の開口部に対し蓋板5を密嵌することができる。
【0054】
この実施形態のサンプル採取装置は以上のように構成されており、サンプルの採取作業時に前記実施形態と同様に、掘削ロッドDの下端に、中空パイプ7上端の継手部7aを図示しない締結具を用いて連結する。これにより、サンプル採取装置には削孔内のソイルセメント内への押し込み力および必要に応じ回転力が付与可能になる。
【0055】
そこで、掘削装置を作動開始し、サンプル採取装置を削孔内のソイルセメントの所定深度まで進入させる。この進入時には、エアコンプレッサの作動を停止させておく。このため、掘削ロッドDおよび中空パイプ7内には圧縮空気の供給はない。従って、有底シリンダ3Aのフランジ部3bの上面がゴムパッキン9を介して蓋板5下面に密接しており、一方、サンプル取込口25はサンプル導入窓26の上方に位置している。このため、サンプル導入窓26は外筒部3cの壁面によって塞がれ、採取容器4内へのソイルセメントの採取は行えない。
【0056】
そして、サンプル採取装置がソイルセメント内の予め定めた深度(この深度は任意に選択することができる)に達した場合には、前記コンプレッサを作動開始して、掘削ロッドDおよび中空パイプ7内に圧縮空気を送り込む。
【0057】
こうして、裾削ロッドDおよび中空パイプ7内が圧縮空気で満たされ、中空パイプ7内のエアー圧が高められると、有底シリンダ3Aの底部上面には、コイルスプリング2の収縮力に抗して、これを下方へ押し下げる力が作用する。このため、有底シリンダ3Aの筒部3Aはガイドパイプ11の外周面に案内されながら下方へ移動する。従って、フランジ部3bがゴムパッキン9の下面から離れてサンプル採取容器4内の空気が空気抜き孔24を通過してフランジ部3bと蓋板5との間の空隙に押し出されるように流出する。なお、フランジ部3bと蓋板5との間の空隙の空気圧はリリーフバルブ22の動作によって所定値以下に保持される。また、同時に、外筒部3cに設けられたサンプル取込口25がサンプル採取容器4のサンプル導入窓26に連通し、これらのサンプル導入窓26およびサンプル取込口25を通してサンプル採取容器4内にソイルセメントが矢印Sに示す方向に取り込まれる。
【0058】
そして、このサンプル取込動作を行った後は、コンプレッサの動作が停止され、掘削ロッドDを通じて中空パイプ7内への圧縮空気の給気を停止し、または排気を行う。これに
より、サンプル採故容器4はコイルスプリング2の収縮力を受けてガイドパイプ11の外周面に沿って上昇し、遂にはフランジ部3bがゴムパッキン9に当接される。また、サンプル導入窓26はサンプル取込口25下部の外筒部3c壁面によって塞がれる。
【0059】
そこで、掘削装置を用いてソイルセメントを採取したサンプル採取装置の全体を、削孔のソイルセメント中から地上に引き上げる。そして、サンプル採取容器4側の前記ボルト18上端にねじ込んだ蝶合ナット20を緩め、このボルト18を、水平軸19を中心に回動操作する。これにより、ボルト18の上部はロック片15のボルト係止溝16から脱抜され、サンプル採取容器4に対する上蓋1の保持が解除される。そこで、上蓋1をサンプル採取容器から取り外すことで、サンプル採取容器4内のソイルセメントをサンプルとして取り出すことができる。
【0060】
こうして取り出したソイルセメントのサンプルを用いて、前記同様にモールドコア試供体を製作する。このモールドコア試供体は一軸圧縮強度、密度、pH、水セメント比などが調べられ、設計で想定した要求性能を満足しているか否かの品質検査に用いられる。
【0061】
図11は、本発明の更に他の実施形態によるサンプル採取装置の縦断面図である。このサンプル採取装置は、図1〜図7に示したものに比べて、構成を簡素化したものであり、上蓋1Aと、中空パイプ32と、ピストン部材31と、コイルスプリング(ばね)2Aと、サンプル採取容器4Aとから構成されている。上蓋1Aは円板状の蓋板5からなり、蓋板5上面の中心部には、シリンダチューブの役目をする中空パイプ32が一体に立設されている。この中空パイプ32の上端は、中空状の掘削ロッドDの下端に連結可能になっており、これらの掘削ロッドDおよび中空パイプ32には、コンプレッサから圧縮空気が供給される構成となっている。
【0062】
上蓋1Aには蓋板5の中心から略同一半径の複数箇所に、サンプル取込口33が穿設されている。ピストン部材31は中空パイプ32内を上下方向に摺動するピストン31aと、このピストン31a下部の中心に連設されたピストンロッド31bと、このピストンロッド31bの下端に取り付けられた閉塞板31cとから構成されている。閉塞板31cはピストン31aに比べて大径であり、その上面が蓋板5の下面に接したとき、前記サンプル取込口33を下方から塞ぐようなサイズ、形状をなす。この閉塞板31cは請求項1の押圧部材に相当する。蓋板5の中心部には、前記ピストンロッド31bが摺動自在に出入するためのガイド孔34が設けられている。
なお、ピストンロッド31bは、サンプル採取容器4内に進出し、ソイルセメントに接触することにより進退動が影響される可能性もあるので、図11に示すようにピストンロッド31bのサンプル採取容器4内で進退する部分に、蛇腹式カバー27を設け、サンプル採取容器4内に取り込んだソイルセメントと接触しないようにしてもよい。また、コイルスプリング2Aは、中空パイプ32内においてピストン31aおよび蓋板5間に介在され、ピストン31aを常時上方へ付勢するように機能する。また、蓋板5周辺部の下面は、採取容器4Aの上端に載置され、ボルト取付部材35に回動可能に取り付けられたボルト等の締結具36により固定されている。なお、採取容器4Aの上端周縁にはフランジを設け、蓋板5はこのフランジの上に載置されるようにしてもよい。
【0063】
かかる構成のサンプル採取装置では、これを削孔内のソイルセメント中に進入させるまでは、中空パイプ32内に圧縮空気が供給されていない。この状態では、サンプル取込口33がピストン部材31の閉塞板31cの上面によって塞がれている。従って、サンプル取込口33から採取容器4Aへのソイルセメントの進入が阻止される。
【0064】
一方、中空パイプ32内に圧縮空気が供給されると、ピストン部材31のピストン31aは下降しながらコイルスプリング2Aを下方へ圧縮していく。このため、ピストン31aにピストンロッド31bを介して繋がる閉塞板31cが矢印T方向に移動し、サンプル取込口33を開く。このため、このサンプル取込口33にはソイルセメントの一部が取り込まれて、サンプルとして所定量が採取される。一方、このサンプルの採取後は、コンプレッサから中空パイプ32内への給気が停止され、または排気される。このため、ピストン部材31はコイルスプリング2Aの反発力を受けて上昇して、元の位置に復帰する。これにより、閉塞板31cが下方からサンプル取込口33を塞ぐことになり、以後、前記同様にサンプル採取装置を地上に引き上げて、サンプルを採取容器4Aから取り出し、モールド管に充填してモールド試供体を製作することができる。
【0065】
図12は、本発明のまた更に他の実施形態によるサンプル採取装置の縦断面図である。この実施形態によるサンプル採取装置は、上蓋1Bと、有底中空パイプ32Bと、ピストン部材31Bと、開閉板37、38と、コイルスプリング2Bと、採取容器4Bとを備えている。上蓋1Bは中心部を挟んで上面の例えば2箇所に筒状のサンプル取込口39が突設されている。有底中空パイプ32Bにはピストン部材31Bのピストンロッド31bが一体に設けられ、このピストンロッド31bの下端には、一対(2枚)の開閉板37、38の各一端が支軸43、44を中心に回動可能に軸支されている。
【0066】
また、このピストンロッド31bの下端部40部分は有底中空パイプ32Bの底部に設置されたコイルスプリング2Bの上端に支持されている。そして、ピストン31aが有底中空パイプ32Bの略上死点位置となるとき、各開閉板37、38が相互に水平保持されて、その周辺部が前記サンプル取込口39の上部開口を閉じることとなる。この場合において、有底中空パイプ32Bは、開閉板37、38の開閉作動を可能にする切欠部41、42を側部に有する。また、これらの開閉板37、38はピストンロッド31bの下端に取り付けられた支軸43、44を中心に回動自在に支持される。この開閉板37、38は請求項1の押圧部材に相当する。
【0067】
かかる構成のサンプル採取装置では、これを前述と同様にしてソイルセメント中に進入させた後、有底中空パイプ32B内の上部に圧縮空気を送り込むことで、ピストン部材31Bのピストン31aを下方へ押し下げる。これにより、ピストンロッド31b下端に軸支された開閉板37、38の基部がコイルスプリング2Bの反発力に抗して矢印U方向に押し下げられる。同時に、開閉板37、38は支軸43、44を中心に、鎖線で示す方向に回動する。この回動動作によって開閉板37、38はそれぞれのサンプル取込口39を開放することとなり、これらのサンプル取込口39を通して削孔内のソイルセメントの一部がサンプルとして採取容器4B内に取り込まれる。そこで、有底中空パイプ32B内への圧縮空気の供給を停止し、あるいは排気を行うことにより、ピストン31aを上方へ戻させる。これにより開閉板37、38は各サンプル取込口39を閉じる。そこで、サンプル採取装置をソイルセメント中から地上に引き上げることで、採取容器48内からソイルセメントのサンプルを前記同様にして取り出し、サンプル試供体を製作することができる。
【0068】
このように、前記各実施形態によれば、掘削装置の掘削ロッドにサンプル採取装置を装着して、削孔内のソイルセメント中の任意に選んだ深度まで進入させることができ、その深度位置において中空パイプ7、32、32Bへの圧縮空気の供給によって、採取容器4、4A、4B内の有底シリンダ3やピストン部材31、31Bをコイルスプリング2、2A、2Bに抗して押し下げることで、有底シリンダ3のフランジ部3bやピストン部材31の閉塞板31cあるいは開閉板37、38により、蓋板5のサンプル取込口8、サンプル導入筒21のサンプル取込口22、上蓋1Aのサンプル取込口33、上蓋1Bのサンプル取込口39を通じ、採取容器4,4A、4B内のそれぞれにソイルセメントの一部をサンプルとして効率的に回収することができる。
【0069】
この場合において、サンプル採取装置は、掘削装置の掘削ロッドに対し簡単な作業で接続されてソイルセメント中に押し込まれるため、従来のような深度に見合う補助脚を用意することなく、ソイルセメント中の任意に選んだ深度位置にそのサンプル採取装置を進入させ、任意の位置の試料を採取することができる。また、この深度位置で圧縮空気によりサンプル取込口の開閉を確実に行うことができ、サンプルの採取容器内への採取を失敗なく実施することができる。また、前記の実施の形態では、圧縮流体(加圧流体)として圧縮空気で説明したが、これは他の水等の加圧流体を使用することも可能である。サンプル採取容器は任意の深度におけるソイルセメントの液圧に対して変形しないものであれば、その材質は鋼製、その他PVC製、FRP製としてもよい。また、サンプル採取装置全体として構造が簡単で外部に不必要な凹凸部を作らないため、このサンプル採取装置をソイルセメント中から引き上げた際に、そのソイルセメント内に通過痕(跡)が残ることを回避できる。さらに、流体圧シリンダや高圧ホースを開閉蓋などの押し/戻しのために複数設置するなどの無駄を省くことができ、サンプル採取装置をコンパクトに提供できる等の効果が得られる。
【符号の説明】
【0070】
1、1A、1B 上蓋
2、2A、2B コイルスプリング(ばね)
3、3A 有底シリンダ
3b フランジ部(連結部材)
4、4A、4B 採取容器
5 蓋板
7、32、32B 中空パイプ
7a 継手部
8、22、33、39 サンプル取込口
9 ゴムパッキン
11 ガイドパイプ
12 スプリング係止部材
13 係止片
15 ロック片
17 ボルト取付部材
18 ボルト
19 水平軸
20 ナット
21 サンプル導入筒
23 摺動筒
25 シールパッキン
26 ピン
31、31B ピストン部材
31a ピストン
31b ピストンロッド
31c 閉塞板
35 ボルト取付部材
34 ガイド孔
37、38 開閉板
41、42 切欠部
43、44 支軸
D 掘削ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
削孔内の充填物中に進入し、この充填物の一部をサンプルとして採取するサンプル採取装置であって、掘削装置の掘削ロッド端に連結される中空パイプと該中空パイプに連接して摺動可能に設けられたシリンダーまたはピストンと連動し、ばねと圧縮流体の駆動力により摺動可能な仕切部材または進退可能あるいは開閉可能な押圧部材を設け、サンプル取込口が開閉するように構成されている採取装置であり、該サンプル取込口が、サンプル採取容器の上蓋上、あるいはサンプル採取容器の側面に設けられていることを特徴とするサンプル採取装置。
【請求項2】
削孔内の充填物中に進入し、この充填物の一部をサンプルとして採取するサンプル採取装置であって、
掘削装置の掘削ロッド端に連結される中空パイプと、
該中空パイプの下端に取り付けられて、複数のサンプル取込口を有する上蓋と、
該上蓋の下面に臨むように前記中空パイプの下端に連設されたガイドパイプと、
該ガイドパイプの外周に軸方向摺動可能に装着され、上端の開口部周辺に前記サンプル取込口を開閉するフランジ部を備えた有底シリンダと、
前記中空パイプ内の上端部と前記有底シリンダの底部との間に介在されて、該有底シリンダを上蓋側に付勢し、有底シリンダのフランジ部によって前記サンプル取込口を閉塞するばねと、
前記上蓋によって上端の開放部が開閉されるサンプル採取容器と、を備え、
前記削孔内の充填物中に進入された状態で前記中空パイプおよびガイドパイプ内に圧縮流体を供給することにより、ガイドパイプに沿って有底シリンダを下降させフランジ部を上蓋から離間させることで開かれた前記サンプル取込口から前記削孔内の充填物の一部をサンプルとしてサンプル採取容器内に採取するように構成されてなることを特徴とする請求項1記載のサンプル採取装置。
【請求項3】
削孔内の充填物中に進入し、この充填物の一部をサンプルとして採取するサンプル採取装置であって、
掘削装置の掘削ロッド端に連結される中空パイプと、
該中空パイプの下端に取り付けられた複数の開口を有する上蓋と、
天部が閉塞され下端が開口された中空筒で側面にサンプル取込口が設けられ、下端開口が前記上蓋の開口に臨み立設されたサンプル導入筒と、
該サンプル導入筒の内径に対し密に摺接する外径の中空筒で、前記上蓋の下方より開口を貫通し該サンプル導入筒内に摺動可能に挿入されてサンプル取込口を開閉する摺動筒と、
該上蓋の下面に臨むように前記中空パイプの下端に連設されたガイドパイプと、
該ガイドパイプの外周に軸方向摺動可能に装着された有底シリンダと、
該有底シリンダと前記摺動筒とを連結して有底シリンダの作動を摺動筒に伝達する連結部材と、
前記中空パイプ内の上端部と前記有底シリンダの底部との間に介在されて、前記有底シリンダを上蓋側に付勢し、この有底シリンダにより作動する摺動筒でサンプル導入筒のサンプル取込口を閉塞するばねと、
前記上蓋によって上端の開放部が開閉されるサンプル採取容器と、を備え、
前記削孔内の充填物中に進入した状態で前記中空パイプおよびガイドパイプ内に圧縮流体を供給することにより、ガイドパイプに沿って有底シリンダを下降させることにより摺動筒を下降させ、サンプル導入筒のサンプル取込口を開放し、該開放したサンプル取込口から摺動筒内を通し前記削孔内の充填物の一部をサンプルとしてサンプル採取容器内に採取するように構成されてなることを特徴とする請求項1記載のサンプル採取装置。
【請求項4】
削孔内の充填物中に進入し、この充填物の一部をサンプルとして採取するサンプル採取装置であって、
掘削装置の掘削ロッド端に連結される中空パイプと、
該中空パイプの下端に取り付けられる上蓋と、
該上蓋の下面に臨むように前記中空パイプの下端に連設されたガイドパイプと、
該ガイドパイプの外周に軸方向摺動可能に装着された有底円筒部、この有底円筒部上端の開口部周辺に連接されて上下に貫通する空気抜き孔を持ったフランジ部、およびこのフランジ部の周縁に垂下連接されたサンプル取込口を有する外筒部のそれぞれを有する有底シリンダと、
前記中空パイプ内の上端部と前記有底円筒部の底部との間に介在されて、前記有底シリンダを前記上蓋側に付勢するばねと、
前記上蓋によってサンプル採取容器の上端の開放部が開閉されるとともに、前記外筒部との摺接部にサンプル導入窓を持ったサンプル採取容器と、を備え、
前記削孔内の充填物中に進入した状態で前記中空パイプおよびガイドパイプ内に圧縮流体を供給することにより、ガイドパイプに沿って有底シリンダを下降させ、前記サンプル導入窓に前記サンプル取込口を連通させ、前記充填物の一部をサンプルとして前記サンプル採取容器内に採取するように構成されてなることを特徴とする請求項1記載のサンプル採取装置。
【請求項5】
削孔内の充填物中に進入し、この充填物の一部をサンプルとして採取するサンプル採取装置であって、
掘削装置の掘削ロッド端に連結される中空パイプと、
該中空パイプの下端に連接されて、上下に貫通する複数のサンプル取込口を有する上蓋と、
前記上蓋によって上端の開放部が開閉されるサンプル採取容器と、
前記中空パイプ内に摺動可能に設けられたピストンと、
前記中空パイプ内に収納されて、前記ピストンをサンプル採取容器がある側とは反対の方向に付勢するばねと、
前記ピストンにピストンロッドを介して連設され、常時は前記ばねの反発力を受けてサンプル採取容器内において前記上蓋の下面から前記サンプル取込口を塞ぐ閉塞板と、を備え、
前記削孔内の充填物中に進入した状態で前記中空パイプ内に圧縮流体を供給することにより前記ピストンを移動させ、この移動に伴って前記閉塞板が開いた前記サンプル取込口から前記充填物の一部をサンプルとしてサンプル採取容器内に採取するように構成されてなることを特徴とする請求項1記載のサンプル採取装置。
【請求項6】
削孔内の充填物中に進入し、この充填物の一部をサンプルとして採取するサンプル採取装置であって、
掘削装置の掘削ロッド端に連結される中空パイプと、
該中空パイプの下端に連設されて、上下に貫通する複数のサンプル取込口を有する上蓋と、
前記上蓋によって上端の開放部が開閉されるサンプル採取容器と、
前記中空パイプ内に摺動可能なピストンと、
前記中空パイプ内に収納されて、前記ピストンをサンプル採取容器がある側とは反対の方向に付勢するばねと、
前記ピストンに連設されたピストンロッドの下端に基部が軸支されて、その基部を力点として前記サンプル取込口を開閉する開閉板と、を備え、
前記削孔内の充填物中に進入した状態で前記中空パイプ内に圧縮流体を供給することにより前記ピストンを移動させて、前記中空パイプに設けられた支点を中心とする回動によって前記開閉板が開いた前記サンプル取込口から前記充填物の一部をサンプルとしてサンプル採取容器内に採取するように構成されてなることを特徴とする請求項1記載のサンプル採取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−219969(P2011−219969A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89404(P2010−89404)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(000133881)株式会社テノックス (62)
【Fターム(参考)】