サンプル採集用の膜による二重層の管
流体サンプル採集デバイスは、流体サンプルを採集し、血液サンプルから血漿または血清を分離するなど構成部分にこれを分離するように構成される。デバイスは、真空の外部容器と内部容器とを含む。外部容器は、第1開放端部と第2閉鎖端部とを有する。穿孔可能なクロージャが、第1開放端部を閉鎖し、これにより第1内部チャンバを画定する。内部容器は、外部容器内に含まれ、第1内部チャンバを、流体連通する上方チャンバ部分と下方チャンバ部分とに隔てる。内部容器は、多孔性膜によって下方チャンバ部分から隔てられた第2内部チャンバを画定する。第2内部チャンバを第1内部チャンバと流体連通させるために、ポートが設けられる。デバイスの別の態様は、血液サンプルから血漿または血清を分離するためのデバイスの使用方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体サンプル採集デバイスに関し、より詳細には、血液サンプルから、血漿または血清を分離するように構成された流体サンプル採集デバイスに関する。より具体的には、本発明は、本明細書において膜とも称される多孔性フィルタによって、血液サンプル中の細胞物質から血漿または血清を分離することができる真空の流体サンプル採集デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
血漿は、血液の液体部分であり、主に、水、タンパク質、グルコース、アミノ酸、ビタミン、無機塩、代謝産物、および代謝の老廃物で構成される。一般に血液の固体の部分は、赤血球、白血球、および血小板を含めた多様な細胞で構成される。血漿は、体細胞を伴って自由に移動することができる。概して血漿は、ヒトまたは動物の体中を輸送するために、白血球、赤血球、および他の細胞成分を懸濁させる媒体となるものである。血漿サンプルが望まれる場合、血液細胞からのその分離は、血液凝固が始まる前に適切に行う必要がある。凝固を防ぐために、血液採集デバイスに抗凝固試薬を添加することができる。血液が凝固する場合、採集された血液サンプルの残りの液体部分は、血清と呼ばれ、これは、血漿のいくつかのタンパク質成分を欠いたものである。血液細胞からの血漿/血清の分離は、典型的には遠心分離によって行われる。
【0003】
血漿が、診断解析に使用できる成分の豊富な供給源を含むことから、全血サンプルから血漿を分離するための医療デバイスが考案されてきた。公知のいくつかの血液採集デバイスは、採集された血液サンプルから血漿を除去または分離するのに使用されるフィルタないし膜を組み込んだ真空の多室型デバイスとして提供されるものである。デバイスによっては、デバイスが、分離された血漿標本に使用者がアクセスすることを可能にする脱着可能なチャンバを含む。典型的には、公知のこれらの血液サンプル採集および分離デバイスでは、分離フィルタまたは膜が、細胞成分がフィルタまたは膜を通過するのを阻止し、液体の通過を可能にするのに十分に小さな孔サイズを有している。しかしながら、このようなフィルタないし膜は、血液採集および血漿分離処置の際に詰まることが多く、これにより、真空デバイスによって生成された典型的な真空の力が、採集された血液サンプルから血漿を取り出すのに不十分なものになる。公知の血液採集および分離デバイスのいくつかの例を、以下で考察する。
【0004】
特許文献1(Ishimito等)は、フィルタによって下流管から分離された上流管を有した血液分離管を開示している。管は、互いに対して装着および脱着が可能であり、最初に真空状態で提供される。血液採集の際、血液は、静脈内穿刺によって患者から採取され、血圧および管内部の負の圧力によって上流管内へ移送される。作業中、血液が、2つの管の間のフィルタに接触することから、上流管と下流管の間に圧力差が生じる。同文献には、膜、ガラス繊維、より大きな孔を有し、抗血球(anti−hemocyte)抗体により飽和されたフィルタペーパー、細胞を凝集させるために陽イオン性高分子物質で飽和されたフィルタ、および積層された多層フィルタを含むいくつかのフィルタタイプが開示されている。この文献の特許に記載されるデバイスに関する1つの問題は、血漿分離の際、血液細胞がフィルタをしばしば詰まらせ、その結果、血液採集の際、上流管と下流管の間に不適切な真空の力が生じることである。この特許に記載されるデバイスによる別の問題は、上流管から下流管が外された場合には、下流管の中に採集された血漿が、汚染物質に曝される恐れがある点である。
【0005】
特許文献2(Lin等)は、血液細胞から血漿/血清を分離するように構成され、実質的に剛性の外部容器の中に配置された可撓性で折りたたみ式の内部容器を有したデバイスを開示している。外部容器の開放頂端部はクロージャによって密封される。フィルタアセンブリが、内部容器の開放頂端部に装着される。フィルタアセンブリは、採集された液体サンプルのより軽い部分を通過させ、より重い部分を阻止するフィルタを有する。フィルタアセンブリはさらに、より軽い部分がそこを通って流れることができるように、より軽い部分によって生じる流体圧力に応じて開放するスリット弁を含むフィルタ支持体を有する。使用中、流体サンプルは内部容器に送られ、デバイスは遠心分離を受け、これにより、フィルタアセンブリが外部容器の底端部に向かって移動し、流体サンプルのより軽量の部分が、スリット弁を通って内部容器と外部容器の間の空間内に流れる。特許文献2は、その全体の参照により本明細書に組み込まれる。
【0006】
特許文献3(Amano等)は、ろ過ユニットを含む、血漿/血清採集デバイスを開示している。デバイスは、血液細胞を保持するためにろ過ユニットの上方の空間を有して構成され、負の圧力でその中に血漿/血清が抜き出される空間をフィルタの下に設けている。特許文献4(Eldegheidy)は、流体サンプル中の細胞部分から細胞のない部分を分離させるために、真空の力と共にクロスフローろ過領域を利用する自動液体成分分離器を開示している。容器内でのフィルタによる血漿分離が、圧力差によって実現される他の従来技術は、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9および特許文献10に開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,506,167号明細書
【特許文献2】米国特許第6,471,069号明細書
【特許文献3】米国特許第6,659,288号明細書
【特許文献4】米国特許第4,639,316号明細書
【特許文献5】米国特許第3,682,596号明細書
【特許文献6】米国特許第3,687,296号明細書
【特許文献7】米国特許第3,701,434号明細書
【特許文献8】米国特許第3,814,079号明細書
【特許文献9】米国特許第4,131,549号明細書
【特許文献10】米国特許第4,639,316号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の血液採集および分離デバイスはそれぞれ、全血液サンプルから血漿分離を生じさせる原動力として、圧力差を利用する。しかしながら、これらのデバイスにはある問題点がある。すなわち、完全に血漿/血清を分離するには圧力差が不十分な場合が多く、分離フィルタは、細胞物質によって詰まりやすく、また、分離された血漿/血清は、デバイスから除去する際に汚染されやすい。したがって、理想的にはサンプル採集の部位と同一位置で、またはサンプル採集の部位に密接に近接して、血液サンプルから迅速に血漿/血清を分離することが可能なデバイスおよび方法に対する一般的な必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、従来技術にある多くの問題点を克服し、身体の流体サンプル、典型的には血液を採集すること、および血液サンプル採集の部位でまたはこれに近接して、サンプルから、例えば血漿/血清の分離を行うこと、この両方を医師ができるようにする。一実施形態では、流体サンプルを採集および分離するためのデバイスが提供され、このデバイスは、概略、真空の外部容器と内部容器とを備えたものである。外部容器は、第1開放端部と第2閉鎖端部とを有する。第1開放端部は穿孔可能なクロージャによって閉鎖され、これにより第1内部チャンバが規定される。内部容器は、外部容器内に含まれ、第1内部チャンバを、流体連通する上方チャンバ部分と下方チャンバ部分に分ける。内部容器は、多孔性膜によって、第1内部チャンバの下方チャンバ部分から隔てられた第2内部チャンバを画定する。第2内部チャンバを第1内部チャンバと流体連通にするためにポートが設けられる。
【0010】
採集されるべき流体サンプルには、血液を含むことができる。下方チャンバ部分に近接する多孔性膜に接触する血液によって確立された第1内部チャンバと第2内部チャンバの間の圧力差に基づいて、第1内部チャンバ内から取り出された血液の血漿または血清は、多孔性膜を通って、内部容器の第2内部チャンバ内へと進む。多孔性膜は、望ましくは、そこを通る血液細胞の移動を阻止するものである。
【0011】
一実施形態において、多孔性膜は、フィルタペーパー、例えば、1つまたは複数個のフィルタペーパーを含むことができる。多孔性膜の孔のサイズは、所望の分子の膜の通過を制御するサイズとすることができる。例えば、多孔性膜は、60,000ダルトン、またはこれを超える分子が、内部容器内に進むのを阻止し得るものである。さらに、多孔性膜は、血液サンプルの血漿または血清部分から、アルブミン、免疫グロブリン、または他の大きな分子を除去することが可能なものとすることができる。別の例では、多孔性膜は、10,000ダルトンまたはこれを超える分子が、内部容器内に進むのを阻止することができるものである。さらに、多孔性膜は、血液サンプルからのペプチド抽出が可能である孔サイズを有することができる。さらに、多孔性膜は、2,000ダルトンまたはこれを超える分子が、内部容器内に進むのを阻止することができるものである。さらに、多孔性膜は、代謝産物および他の小分子を血液サンプルから分離することが可能な孔サイズを有することができる。
【0012】
また多孔性膜の孔サイズは、0.1μmから2μmとすることができる。例えば、多孔性膜は0.22μmの膜とすることができ、これは、例として生物学的に安全な血漿または血清サンプルの採集のために、ウイルス粒子を除去するのに使用することができるものである。別の例では、多孔性膜は0.45〜1.0μmの膜とすることができ、これは、例として、血小板のない血漿または血清サンプルの採集のために使用することができるものである。さらに多孔性膜は、血小板のない血漿または血清サンプルの採集を可能とすることができる。
【0013】
一変形形態において、内部容器は、外部容器内にぶら下げるようにすることができる。別の変形形態において、内部容器は、穿孔可能なクロージャに解放可能に接続することができる。その結果、内部容器の穿孔可能なクロージャからの解放が、内部容器のポートを開放し、内部容器の第2内部チャンバを、第1内部チャンバと流体連通させることができる。さらに別の変形形態において、内部容器は、外部容器の第1内部チャンバ内に可動式に支持されることができる。その結果、第1内部チャンバ内の内部容器の移動が、内部容器のポートを開放し、内部容器の第2内部チャンバを、第1内部チャンバと流体連通させることができる。外部容器は、第1内部チャンバ内で内部容器を支持することができる。このような支持は、第1内部チャンバ内の内部容器の移動の後、起こり得るものである。
【0014】
外部容器は、凝集剤または抗凝固剤などの添加剤を有することができる。多孔性膜は、高密度ポリエチレン、高密度ポリプロピレン、セラミック、多孔性金属、多孔性ガラス、ガラス繊維、ポリビニルポリマー、紙、天然繊維および上記の組合せで作製することができる。
【0015】
別の実施形態において、血液サンプルから血漿または血清を分離するためのデバイスが提供され、このデバイスは、概して外部容器と内部容器とを備えた真空の採集アセンブリを備えたものである。外部容器は、一端に穿孔可能なクロージャを備える。内部容器は、外部容器内に含まれ、内部容器の内部は、内部容器の底部上の多孔性膜によって外部容器から隔てられている。内部容器は、外部容器と流体連通するポートを備える。ポートは、望ましくは、穿孔可能なクロージャに解放可能に接続される。
【0016】
内部容器は、全体が外部容器内に収容することができる。ポートは、例えば、穿孔可能なクロージャから分離される際、外部容器と流体連通することができる。ポートを穿孔可能なクロージャから解放することで、外部容器との制限されない流体連通にポートを開放することができる。外部容器の内面は、外部容器に対する内部容器の位置を維持するようにすることができる。作業中、血液サンプルが外部容器内に進入する際、外部容器と内部容器の間に確立される圧力差は、多孔性膜を通って、血漿または血清を内部容器内に移送するのを促進し、一方そこを通って血液細胞が移動するのを阻止するのに使用することができる。
【0017】
別の態様では、血液サンプルから血漿または血清を分離するための方法が提供される。方法は、一端に穿孔可能なクロージャを有する外部容器と、外部容器内に含まれその中に内部チャンバを画定する内部容器と、内部容器の内部チャンバを外部容器から隔てる多孔性膜とを備えた真空の採集アセンブリを準備するステップを含むことができる。方法はさらに、アセンブリの外部容器内に血液サンプルを採集し、これにより外部容器と内部容器の間に圧力差を生成するステップを含むことができる。通常圧力差により、血液サンプルからの血漿または血清が、多孔性膜を通って内部容器の内部チャンバ内に流れる。血漿または血清は、血液サンプル採集の際、外部容器内に血液粒子が流れる方向とほぼ反対の方向に、内部容器内を流れる。採集されると、サンプルの採集が完了した後、血漿または血清は、内部容器から除去することができる。内部容器は、ポートを有してよく、方法はさらに、ポートを外部容器の内部チャンバと流体連通させるステップを含むことができる。
【0018】
本発明のさらなる詳細および利点は、全体を通して同様の部分が同様の参照番号を付されている添付の図面と併せて、以下の詳細な説明を読めば、明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】一実施形態に準じる流体サンプル採集デバイスの分解組立斜視図である。
【図2】図1に示されるデバイスの分解組立断面図である。
【図3】図1に示されるデバイスのクロージャおよび内部容器の斜視図である。
【図4】図1に示されるデバイスの組み立てられた状態の断面図である。
【図5】流体サンプル採集処置の際で、使用中のデバイスを示す、図1に示されるデバイスの組み立てられた状態の断面図である。
【図6】デバイス内で最初の流体サンプルの分離が生じるのを示す、図1に示されるデバイスの組み立てられた状態の断面図である。
【図7】デバイス内での、クロージャからの内部容器の分離、およびその結果として流体サンプルの分離の完了を示す、図1に示されるデバイスの組み立てられた状態の断面図である。
【図8】別の実施形態に準じる流体サンプル採集デバイスの分解組立斜視図である。
【図9】図8に示されるデバイスのクロージャおよび内部容器の斜視図である。
【図10】分離するために流体サンプルを受け入れるように利用されるデバイスを示す、図8に示されるデバイスの組み立てられた状態の断面図である。
【図11】図8に示されるデバイスの頂部端面図である。
【図12】分離するために流体サンプルを受け入れるように利用されるデバイスを示す、別の実施形態に準じる流体サンプル採集デバイスの組立図である。
【図13】デバイス用の代替のクロージャを備えた、図1に示されるデバイスの組み立てられた状態の断面図である。
【図14】デバイス用の別の代替のクロージャを備えた、図1に示されるデバイスの組み立てられた状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の説明の目的で、空間的方位用語が使用される場合、これは、添付の図面中で向き付けられるように、またはそうでなければ以下の詳細な説明の中で説明されるように、参照される実施形態に関連したものである。しかしながら、以下に説明する実施形態は、多くの代替の変形形態および実施形態を想定することができることを理解されたい。添付の図面に図示される、および本明細書に記載される特定のデバイスは、単なる例示であり、限定として考慮すべきではないことも理解されたい。
【0021】
一実施形態では、血液サンプルの採集、および血液サンプルの細胞物質(すなわち、血液細胞)からの血漿、血清、または他の流体標本を分離するのに適した流体サンプル採集デバイスが開示される。しかしながら、本明細書に記載されるデバイスは一般に、ろ過デバイスなど、固体から溶液(すなわち液体)を分離するのに適用可能なものである。詳細には、一形態においてデバイスは、従来の標本抽出技法により血液サンプルを採集し、続いて、概して、内部容器と、外部容器と、クロージャ部材を含む構成要素のアセンブリを使用することによって、それを分離するように構成される。内部容器は一般に、サンプルから血漿、血清および/または他の液体標本を分離する目的で、多孔性膜、フィルタ、または外部の真空容器から隔てる部材などを介して、血漿、血清または他の液体標本を取り出す。
【0022】
最初に図1〜4を参照すると、流体サンプルを採集し分離するためのデバイス10が、全体的に示される。デバイス10は、構成要素のアセンブリである。すなわち、第1すなわち外部の容器ないし管12と、第2すなわち内部の容器ないし管14と、外部容器12と内部容器14とを密封するためのクロージャ16とのアセンブリである。一実施形態に従って、外部および内部容器12、14は共に、真空の採集アセンブリを形成する。一般に、外部容器12は、内部容器14を包含し、典型的にはその中に内部容器14全体を収容する。外部容器12は、典型的には血液サンプルである流体サンプルを中に含むことができるいずれの容器または液体容器であってよく、従来の手段によって真空にすることができる従来の血液採集管または液体容器の形態が望ましい。外部容器12は、ガラス、または成型されたプラスチック材料など、任意の公知の材料で構成することができ、特定の一実施形態においては、ポリエチレンテレフタレート(PET)で構成される。クロージャ16は、外部容器12を気密にシールし、外部容器12内に内部容器14を封入するために設けられる。クロージャ16はまた、例えば外部容器12内にぶら下がる態様で、外部容器12内に内部容器14を支持するために使用される。
【0023】
外部容器12は、第1の開放したすなわち頂端部20を画定し、さらに外部容器12の第2の閉鎖したすなわち底端部22を形成する管状側壁18を備えた略円筒形の構造体である。閉鎖端部22は、従来の血液採集管のような、丸められたまたは弓形の形態を有することができる。外部容器12は、開放端部20でクロージャ16によって密封され、このクロージャは、ゴムまたは成型されたプラスチック材料で形成された穿孔可能な構成要素であるが、任意の穿孔可能な弾性材料で作製されてもよい。クロージャ16は、医療分野で知られたゴムまたはプラスチック管の止め具とほぼ同種であり、クロージャ16は、本明細書で論じられるそれ自体で、いくつかの新規の特徴を有するものである。クロージャ16は、それが外部容器12の開放端部20の中に着座する際、クロージャ16を保護する目的のキャップ構造体すなわち部材24によって、少なくとも一部が囲繞される。キャップ部材24は、環状端部壁26と、クロージャ16が、外部容器12の開放端部20の中に着座する際、外部容器12の側壁18に沿って下方に延在するように構成された、垂れ下がる側壁またはスカート28を有して形成される。本明細書で論じられるように、クロージャ16は、外部容器12の開放端部20の中に着座し、側壁18の内面または側部との摩擦係合および/または接着によってその中に保持される挿入可能部分を含むものである。キャップ部材24の側壁28は、外部容器12の開放端部20から外側に延在するクロージャ16の露出した部分を保護する目的で、外部容器12の側壁18の外面または側部に沿って下方に延在する。外部容器12の内部に進入することができるように、クロージャ16の一部を露出させるために、環状端部壁26が、典型的には、本明細書でさらに詳細に説明するように、穿孔可能なクロージャ16を通って挿入されるニードルカニューレなどの穿孔要素が進入する中央アパーチャ30を画定する。
【0024】
クロージャ16は典型的には、先に記載したようにゴム、プラスチック、または他の同様のポリマー材料で形成された一体式の構造体または本体であり、一般には、外部容器12の開放端部20と実質的な気密および液密のシールを形成することができる好適な材料で形成された弾性の閉鎖要素である。付加的に、クロージャ16の本体は望ましくは、先に記載したニードルカニューレなどの穿孔デバイスによって、穿孔することが可能である。このようなニードルカニューレは、血液を外部容器12内へ移動させるのに使用される血液採集デバイスの一部であってよい。クロージャ16は、フランジ付ヘッドまたはキャップ部分32と、そこから垂れ下がり一体式に成形されたプラグ部分34とを備えて形成される。キャップ部分32は、外部容器12の開放端部20で、外部容器12の側壁18によって画定される縁部36の上に着座する、または置かれるように構成される。プラグ部分34は一般に、外部容器12の開放端部20の中に挿入され、外部容器12内へと内側に延在し、側壁18の内面または側部と実質的な気密および液密のシールを形成するように構成される。したがって、外部容器12の開放端部20内に着座したクロージャ16のプラグ部分34によって、外部容器12内に第1内部チャンバ38が画定または形成される。第1内部チャンバ38は、外部容器12の開放端部20内にクロージャ16を密封する前に、外部大気圧に対して負(すなわち、真空)の圧力下に置くことができ、その結果、外部容器12の内部は、負(すなわち、真空)の圧力下となる。例えば、内部容器14が、外部容器12内に挿入され、デバイス10を組み立てた後、外部容器12は真空にされ、続いてクロージャ16によって密封され、これにより、第1内部チャンバ38を、負(すなわち、真空)の圧力下に置き、同時に内部容器14の内部を負(すなわち、真空)の圧力下に置くことができる。
【0025】
デバイス10の別の態様は、採集された流体サンプルの完全な分離を実現するために、外部容器12内で可動である内部容器14に関するものである。図2に示されるように、本明細書でさらに論じられるように、外部容器12内の内部容器14の内部の移動を制限するのに使用される内部制限構造体40が、第1内部チャンバ38内に設けられる。図示の実施形態において、制限構造体40は、外部容器12の側壁18から内側に延在する外周フランジまたはタブの形態であり、したがって、典型的には、外部容器12の本体と一体に形成される。しかしながら、制限構造体40として図2に図示される特定の移動制限構造体は、制限構造体40の可能な変形形態の範囲を限定するものとみなすべきではない。このような変形形態は、外部容器12の側壁18内に形成された円周制限物(すなわち、狭窄)、外部容器12内に配置され、その閉鎖端部22から上方に延在するスリーブ構造体、外部容器12の閉鎖端部22から上方に延在するプラットフォーム、外部容器12の側壁18から半径方向内側に延在する1つまたは複数のポストまたはタブ、および同様の構造体など多くの形態を採ることができる。
【0026】
クロージャ16のキャップ部分32は、典型的にはキャップ部材24の環状端部壁26によって部分的に囲まれる頂面42を画定する。頂面42は、キャップ部材24内の中央アパーチャ30によって画定された開放領域内で露出され、頂面42のこの露出領域は、外部容器12の内部、詳細には第1内部チャンバ38に進入するために、デバイス10の使用者が、ニードルカニューレまたは同様の穿孔要素を挿入する場所である。したがって、第1内部チャンバ38に血液サンプルを供給するために、血液採集デバイスのニードルカニューレまたは同様の穿孔要素を使用して、血液採集の目的で患者の静脈の中に挿入されたニードルと第1内部チャンバ38を流体連通させる、クロージャ16のキャップ部分32の頂面42の露出部分を貫通する。第1内部チャンバ38は、密封され負(すなわち、真空)の圧力下にあるため、血液は、静脈から血液採集デバイスによって、クロージャ16を通って挿入されたニードルカニューレを通って、第1内部チャンバ38内に流れる。所望であれば、クロージャのキャップ部分32の頂面42は、クロージャ16を適切に貫通し、内部容器14にぶつかることなく、外部容器12の内部に進入するようにニードルカニューレを挿入する場所に関する視覚的目安、または手掛かりを提供するために、くぼませ、またはそうでなければ成形することができる。このくぼんだ、または成形された領域は、図1〜7の参照番号44で示され、望ましくは、キャップ部材24の環状端部壁26内に画定された中央アパーチャ30によって露出された状態の頂面42の領域の一部である。さらに、プラグ部分34は、外部容器12内に内部容器14を支持するために提供される、内腔または管状に成形された凹部46を画定し、内部容器14は、プラグ部分34から垂れ下がりもしくはぶら下がり、外部容器12とクロージャ16とによって画定された第1内部チャンバ38内に延在する。
【0027】
第2のすなわち内部容器14は、外部容器12と同様の様式のほぼ管状または円筒形の構造体であるが、他の形態を採る場合もある。内部容器14は外部容器12内に完全に含まれることが望ましく、外部容器12内に延在するために、最初は、クロージャ16に連結され、これに支持される。一実施形態において、内部容器14は、第1のすなわち遠位端50と、第2のすなわち近位端52とを含む、ほぼベル形状の構造体または一体式の本体である。内部容器14は全体として、遠位端50を画定または形成するベル型の封じ込め部分54と、封じ込め部分54から上方に延在し、内部容器14の近位端52を画定または形成する管状構造体すなわち導管56とで構成される。内部容器14の近位端52を形成する管状導管56は、クロージャ16のプラグ部分34内に画定された内腔46に係合するように構成され、これにより、内部容器14は、外部容器12内にぶら下がることができる。封じ込め部分54は、中空であり、上方に延在する管状導管56と流体連通する第2内部チャンバ58を画定する。
【0028】
図1〜4に示される実施形態において、管状導管56は、内腔46に係合するように同軸に整列され、封じ込め部分54から上方に延在し、さらに望ましくは、キャップ部材24内の中央アパーチャ30と同軸に整列される。しかしながら、使用者が、内部容器14の近位端52から半径方向外側、したがって、管状導管56から半径方向外側の領域内で、クロージャ16を通ってニードルカニューレを挿入することができるように、管状導管56と、したがって内腔46の直径は、中央アパーチャ30より小さいことが望ましい。その結果、挿入されたニードルカニューレは、管状導管56にほぼ平行に挿入され、管状導管56内には直接挿入されない。クロージャ16を通るニードルカニューレの適切な挿入は、本明細書で論じられる図5に示される。管状導管56が、クロージャ16のプラグ部分34内の内腔46に同軸に係合することによって、内部容器14および外部容器12が同軸に整列されることも上記から理解されることである。本明細書で論じられる他の実施形態において、内部容器14およびクロージャ16は、本明細書で論じられる図8〜12に示されるように、内部容器14が、外部容器12の中心軸Lから半径方向にずれるように構成することができる。
【0029】
先に説明したように、一実施形態において、内部容器14は、クロージャ16から垂れ下がり(すなわち、ぶら下がり)、クロージャ16のプラグ部分34内に画定された内腔46に管状導管56が摩擦および/または接着係合することによって、クロージャ16に対して支持される。したがって、上記の係合によって、クロージャ16が外部容器12の開放端部20の中に挿入され、その中に固定される際、内部容器14の近位端52は、第1内部チャンバ38内に突出する遠位端50によって、クロージャ16に固定される。図4に示されるように、例えば、内部容器14の遠位端50は、外部容器12の側壁18から半径方向内側に延在する制限構造体40から一定の距離「a」だけ離間する。内部容器14を外部容器12の中に配置することによって、さらに第1内部チャンバ38を、上方チャンバ部分60と下方チャンバ部分62とに分離または隔離する。上方チャンバ部分60は全体的に、ベル型封じ込め部分54の上方の領域によって画定され、下方チャンバ部分62は全体的に、封じ込め部分54の下方の領域(すなわち遠位端50より下の領域)によって画定される。流体が、例えば、ニードルカニューレによって上方チャンバ部分60の中に挿入される際、外部容器12の側壁18の内面に沿って、上方チャンバ部分60から下方チャンバ部分62へと下方に流れることができるように、封じ込め部分54は、外部容器12の内径より小さい外径を有する。したがって、封じ込め部分54の外径と、外部容器12の内径の間の環状の空間「S」は、血液などの液体が、上方チャンバ部分60から下方チャンバ部分62へ自由に流れることができるのに十分である。
【0030】
内部容器14の管状導管56はさらに、デバイス10の使用中、内部容器14の封じ込め部分54によって画定された第2内部チャンバ58を、外部容器12とクロージャ16によって画定された範囲によって画定された第1内部チャンバ38と選択的に流体連通させるように構成されるポートとして作用する。このようなポートは概して、管状導管56の端部、したがって、内部容器14の近位端52での開口またはポート64によって画定される。「出口」ポートないし開口64が外部容器12の内部と流体連通することができるように、管状導管56は、クロージャ16のプラグ部分34内の内腔46の中に解放可能に配置され、これにより、クロージャ16に解放可能に接続されるのが望ましい。したがって、出口ポートすなわち開口64が第1内部チャンバ38と流体連通するために、管状導管56は、まずクロージャ16との係合から解放されなければならない。係合から解放されると、内部容器14は、重力および/または本明細書で説明される、デバイス10の使用者が及ぼす力を受けて、外部容器12内の下方に移動する。しかしながら、下方移動の長さは、外部容器12内に配置された制限構造体40によって制限される。詳細には、内部容器14の遠位端50と、制限構造体40の間の干渉係合が、外部容器12内の内部容器14の下方移動を距離aまでに制限する。封じ込め部分54内に流体が入ることができるように、封じ込め部分54が端部開口66を画定するために、望ましくは内部容器14の遠位端50は、完全に開放される。端部開口66は、封じ込め部分54の直径とすることができ、または封じ込め部分54より小さい直径を有するものとすることができる。
【0031】
内部容器14によって、詳細には、封じ込め部分54によって画定された第2内部チャンバ58は、多孔性膜すなわちフィルタ要素70によって、外部容器12とクロージャ16とによって画定された第1内部チャンバ38から隔てられる。典型的には、多孔性膜70は、本明細書でより詳細に論じされるように、血漿または血清を全血液サンプルから分離するように構成される。多孔性膜70は、封じ込め部分54内の端部開口66内、またはその上に配置され、封じ込め部分54の頂端部または側部72の反対側で端部開口66を完全に覆う。さらに、多孔性膜70は、内部容器14の遠位端50に固定され、封じ込め部分54内で端部開口66を完全に覆い、これにより、封じ込め部分54の遠位端も形成する、ろ過中心領域を備えたディスク型の構造体として形成することができる。多孔性膜70は、従来の真空血液採集管の通常の負(すなわち、真空)の圧力下で、そこを通って血漿または血清を取り出すのに十分な大きさであるが、赤血球、白血球、血小板などを含めた血液細胞、および血液の塊などの凝集体がそこを通って進むのを阻止するのに十分小さい孔を含んだ、任意の好適な材料で構成することができる。例えば、多孔性膜70は、高密度ポリエチレン、高密度ポリプロピレン、セラミック、多孔性金属、多孔性ガラス、ガラス繊維、ポリビニルポリマー、紙、天然繊維およびそれらの組合せで構成することができる。本明細書で使用する際、用語「多孔性膜」および「フィルタ」または「フィルタ要素」は、互換的に使用され、さらに柱状フィルタ、フィルタペーパー(すなわち、ワットマンペーパー)、2つ以上重ねられたフィルタペーパー、単一の膜、または複数の膜に関連したものとすることができる。したがって、多孔性膜70の構造上の形状または支持構造体の変形形態が予想され、これは当業者の技術の内にある。一般に、多孔性膜70に使用されるフィルタペーパーは、血漿/血清から細胞を分離するのに好適であり、タンパク質の分子量に従って選択された孔サイズを有する膜70は、採集された血液サンプルから選択された孔サイズより小さいタンパク質を分離するのに使用することができる。
【0032】
多孔性膜70の孔のサイズは、流体サンプルを分離するのに使用者が要求する必要な選択性に従って変えることができる。例えば、多孔性膜70の孔のサイズは、膜を通過することが望まれる分子の分子量に従った選択性を実現するように選択することができる。タンパク質または60,000以上の分子量を有する他の巨大分子が、第2内部チャンバ58に進むのを阻止するために、60,000ダルトンの孔のサイズが使用される。あるいは、多孔性膜70は、採集された血漿または血清から、アルブミン、免疫グロブリンおよび/または他の大きな分子を除去するように構成することができる。さらに、多孔性膜70は、血液サンプルからのペプチド抽出のために、10,000ダルトン以下の分子量を遮断する膜、または生化学分析の目的で代謝産物および他の小分子を分離するために、2,000ダルトン以下の分子量を遮断する膜とすることができる。
【0033】
50,000ダルトンより小さい孔サイズを有する多孔性膜70により、50,000ダルトンより小さい分子のみが、多孔性膜70を通過し、その結果、細胞および塊の他に、アルブミン、代謝産物および他の大分子が外部容器12内に残り、内部容器14に進むことがない。これは、バイオマーカー発見との関連において重要であり、血液中の大量のアルブミンおよび多くの他の大分子は、意味のあるものではなく、したがって、容易に除去されてよい。3,000〜10,000の孔サイズの多孔性膜70により、約3,000〜10,000ダルトンより小さいペプチドのみの通過が可能になる。これらのペプチドは、プロテオーム解析および診断解析のために用意される。一般的な血漿または血清の採集の場合、0.45〜1.0μmの孔サイズを有する通常のフィルタペーパーないし多孔性膜を、多孔性膜70に使用することができる。この多孔性膜70は、血小板を含めた全ての血液細胞を除去することができ、したがって、内部容器14内に採集された血漿または血清は、血小板のないサンプルとなる。別の例として、約0.22μmの孔サイズの多孔性膜70が使用される場合、全ての血液細胞の他に、細菌細胞、およびHIVなどのウイルス粒子が、内部容器14に進むことなく、下方チャンバ部分62の中に留まる。その結果、内部容器14内に採集された血漿または血清が感染することなく、さらにその後の実験室分析のために生物学的に安全な血漿または血清サンプルを提供することができる。細菌細胞およびウイルス粒子を除去するために望ましい孔サイズの範囲は、約0.1μmから2μmである。3,000、10,000、30,000、50,000、100,000および200,000ダルトンの孔サイズを有する膜が、商業的に入手可能である。
【0034】
外部容器12が、細胞代謝調節剤、凝集剤および/または坑凝固剤を中に含むことができるよう企図されたものである。凝集剤は、ろ過工程を促進する、細胞の大きな凝集体を形成するのに使用される。好適な凝集剤は、これに限定するものではないが、イモまたは小麦のレクチンなどのレクチンを含む。代替の凝集剤には、マイクロビーズに付着した血液細胞に対して親和性を有する抗体を含むことができる。凝集剤はまた、別個の構造体上に塗布された、あるいは外部容器12内部面上および/または内部容器14の外面と内面の両方の上に塗布された、溶液、ペレット、丸剤、または顆粒などの凍結乾燥された標本の形態とすることもできる。ヘパリン、EDTA、クエン酸ナトリウム、または血液の凝固を防ぐための他の既知の化合物などの坑凝固剤を使用することもできる。用語「凝集剤」は、細胞の凝集体を形成するために単独での凝集剤の使用、または細胞凝集体に対して望ましい特性を与えることができる構造体と組み合わせた凝集剤の使用を指すのに使用される。例えば構造体は、凝集剤が塗布された特定の密度のマイクロビーズとすることができる。別の例において、構造体は、構造体なしでの細胞凝集体ほど高密度に詰め込まれない形状など、凝集体に所望される形状を与えるために、ひも状または円筒形など特定の形状を有することが可能であり、これは、血漿が凝集体を通過することを可能にする。上記の例は、限定を目的とするものではなく、細胞凝集体を形成するための出発粒子として、所望の特性を有するいずれの構造体も使用することができる。本明細書に記載される総て実施形態において、用語「凝集剤」は、凝集剤単独で、または上記に記載されるような、凝集剤が塗布されている構造体と組み合わせての使用を指している。
【0035】
内部容器14はまた、任意の選択で、外部容器12内のものと同様であるが、典型的には血漿または血清である分離された液体とのみ相互作用することができる、1種の添加剤または複数種の添加剤を含むことができる。多くの添加剤は、血液細胞に溶血および他の障害を引き起こすことがわかっている。したがって、上記の記載の中で記載された外部および内部容器12、14の2重の構造体によって実現される利点は、内部容器14の中に異なる添加剤を配置することが可能であり、それらは、全サンプル(すなわち第1内部チャンバ38内)に存在する血液細胞と接触することがなく、これにより血液細胞に対するいかなる悪影響も減少させる点である。添加剤の例は、坑凝固剤、洗浄剤、防腐薬、および4−(2−アミノエチル)−ベンゼンスルフォニルフルオリド塩酸塩(AEBSF)等のプロテアーゼ阻害剤などの酵素阻害剤を含む。
【0036】
外部および内部容器12、14の全体のサイズは、外部容器12と内部容器14の間の容積における所定の相対的な差、およびこれによる上方チャンバ部分60と下方チャンバ部分62との間の所定の相対的な差を実現するために変えられる。これらの所定の相対的な差は、採集された流体サンプル、典型的には血液の既知の特徴に従って選択すすることができる。例えば、下方チャンバ部分62の容積は、流体サンプル(すなわち血液)の約5Xmlであるように設計することができ、内部容器14の容積(封じ込め部分54と管状導管56とを含めた)は、約3Xmlであり、結果として約5:3の容積の比率となり、これは全血液中の細胞ペレット対血漿の容積比に対応する。上記の「X」は、任意の自然数または小数部(すなわち0.05〜10)であり、外部容器12内の第1内部チャンバ38の全容積によって変化することができる。上方チャンバ部分60の全容積は、約6Xmlであり、デバイス10内で利用可能な全サンプル容積は、上記の例において、約8Xmlである。
【0037】
デバイス10を組み立てるために、クロージャ16のプラグ部分34の内腔46の中に管状導管56を挿入することによって、内部容器14がクロージャ16に固定され、これによって、クロージャ16から垂れ下がっているあるいはぶら下がっている、内部容器14とクロージャ16とで構成された組立構造体を形成することができる。外部容器12と、内部容器14およびクロージャ16のアセンブリとは吸引器内に配置され、所望の真空レベルに達したとき、内部容器14およびクロージャ16が、外部容器12の開放端部20へと挿入される。このアセンブリが外部容器12内に配置されると、クロージャ16のプラグ部分34は、外部容器12の開放端部20内に挿入され、この部分が、外部容器12の側壁18の内面に係合し、側壁18の内面と共に気密および液密シールを形成する。クロージャ16のキャップ部分32は、外部容器12の縁部36の上に置かれる。典型的には、キャップ部材24は、クロージャ16に事前に組み付けられ、環状端部壁26は、クロージャ16のキャップ部分32の頂面42と係合され、キャップ部分32の側壁28は、クロージャ16の外周の周囲に延在する。外部容器12の開放端部20内に密封されたクロージャ16によって、外部容器12によって画定された第1内部チャンバ38と、内部容器14によって画定された第2内部チャンバ58の両方が、負(すなわち、真空)の圧力になる。ここでデバイス10は、流体採集および分離処置の準備が整う。
【0038】
図1〜図4に加えて、さらに図5〜図7を参照して、全血液サンプルの採集および分離におけるデバイスの実用可能な使用が論じられる。直前に示したように、デバイス10は真空状態で最初に設けられ、内部容器14がクロージャ16から垂れ下がり、外部容器12内に延在し、容器12、14は共に真空状態である。第1内部チャンバ38は、全血液サンプルの細胞成分から血漿または血清を分離するように構成された多孔性膜70を介して、第2内部チャンバ58と流体連通する。クロージャ16を通って外部容器12の第1内部チャンバ38内に挿入されたニードルカニューレNによって、血液サンプルBは、外部容器12内に導入される。ニードルカニューレNは、従来の血液採集デバイスまたは先に記載されたセットに関連するものとすることができる。ニードルカニューレNは、キャップ部材24内の中央アパーチャ30によって露出した状態の領域内でクロージャ16の頂面42内に挿入され、頂面42内のくぼんだ領域44は、クロージャ16を適切に貫通し、内部容器14にぶつかるまたは入ることなく外部容器12の内部に進入するようにニードルカニューレNを挿入する場所に対する視覚的目安、または手掛かりを提供する。血液サンプルBは、その中の負(すなわち、真空)の圧力に基づいて、外部容器12の第1内部チャンバ38内に引き込まれ、内部容器14と外部容器12の間の周囲の空間または空隙S内を通って、第1内部チャンバ38の上方チャンバ部分60から下方チャンバ部分62に向かって下方に流れる。血液サンプルBは、それが多孔性膜70に達する一定のレベルまで下方チャンバ部分62を満たす。血液サンプルBが多孔性膜70に達する際、内部容器14内の圧力は、外部容器12のものとほぼ等しい。追加の血液サンプルBが外部容器12を満たす際、外部容器12内で利用可能な真空の圧力に基づいて、外部容器12(すなわち、上方チャンバ部分60まで)が採取されたサンプルの全容積で満たされるまで、それは、多孔性膜70の外面または露出した面を覆う。この時点で、第1内部チャンバ38内の負(すなわち、真空)の圧力がなくなる、またはサンプル採集を続けるには不十分であるため、さらなるサンプルを取り出すことができず、血液サンプルBの採集が停止する。付加的に、外部容器12内の血液サンプルBのレベルは、内部容器14の入り口より上方(すなわち多孔性膜70より上方)であり、外部容器12と内部容器14の間に圧力差が存在する。血液サンプルBの採集の後、内部容器14内には残された負(すなわち、真空)の圧力が存在し、これが、外部容器12と内部容器14の間の液体の高さの差によって外部容器12と内部容器14の間に存在する圧力差に加わる。
【0039】
外部容器12内の血液サンプルBのレベルが多孔性膜70より上にあり、残された真空が内部容器14内に在る状態では、外部容器12と内部容器14の間に圧力差が存在し、外部容器12内の第1内部チャンバ38は、内部容器14内の第2内部チャンバ58より高い圧力となる。この圧力差により、採集された血液サンプルBの液体部分、血漿または血清(以後「P/S」と呼ぶ)が、ろ過多孔性膜70を通る。詳細には、血漿または血清P/Sは、多孔性フィルタ70を通ってA1の矢印の方向に進み、内部容器14、詳細には内部容器14の封じ込め部分54によって画定された第2内部チャンバ58に進入し、その一方で血液サンプルBは、外部容器12内で矢印A1と反対方向(すなわち下方)に移動する。多孔性膜70は、細胞物質および血小板(以後、C/Pと呼ぶ)が、内部容器14、詳細には封じ込め部分54によって画定された第2内部チャンバ58に進入するのを阻止する。この時点で、図6に示されるように、血液サンプルBの一部のみがろ過され、このとき内部容器14内に残っている真空は、ほぼなくなっているため、血漿または血清P/Sの一部の回収されたまたは分離された部分が、内部容器14およびその封じ込め部分54によって画定された第2内部チャンバ58内に存在する。付加的な血漿または血清P/Sが、血液サンプルB中に存在するが、外部容器12内の第1内部チャンバ38中(すなわち上方チャンバ部分60中)の血液サンプルBの高さレベルと、内部容器14内(すなわち封じ込め部分54中)の第2内部チャンバ58中の血漿または血清P/Sの高さレベルの間に存在する残りの圧力差は、さらなる分離を生じさせるには不十分である。
【0040】
次に図7を参照すると、外部容器12内の第1内部チャンバ38中の血液サンプルBのレベルと、内部容器14内の第2内部チャンバ58中の血漿または血清P/Sのレベルとの圧力差を増大させることによって、血液サンプルBの付加的な分離を行うことができる。これは、デバイス10の使用者が、クロージャ16から内部容器14を解放する作用を有する、環状端部壁26によって画定された開放領域内のクロージャ16の頂面42を下方に押し下げることによって実現される。詳細には、使用者は、矢印A2の方向にクロージャ16を押し下げ、これにより、クロージャ16のプラグ部分34内に画定された内腔46から管状導管56を解放させる。クロージャ16のプラグ部分34との係合から解放されると、管状導管56内のポート64は、内部容器14の第2内部チャンバ58を、外部容器12の第1内部チャンバ38の上方チャンバ部分60と流体連通させる。付加的に、ほぼ同時に、内部容器14は、矢印A2の方向に加えられた力および/または重力を受けて、外部容器12内の下方に移動する。この下方の移動は、内部容器14の遠位端50が、外部容器12の制限構造体40と干渉接触する際に中断される。このように、内部容器14は、外部容器12内に可動式に支持される。
【0041】
直前に記載したように、内部容器14をクロージャ16から外すことによって外部容器12内の第1内部チャンバ38の上方チャンバ部分60と、内部容器14内の第2内部チャンバ58との間で空気圧の均等化が起こる。しかしながら、内部容器14が外部容器12内を下方に移動することによって、第1内部チャンバ38の上方チャンバ部分60内の血液サンプルBのレベルと、第2内部チャンバ58内の分離された血漿または血清P/Sのレベルの間に付加的な高さの差が存在する。この高さの差が、多孔性膜70を通るように追加の血漿または血清を「押す」付加的な圧力差を提供する。血漿または血清P/Sの分離は、図7に実質的に示されるように、内部容器14内の第2内部チャンバ58中の血漿または血清P/Sのレベルが、外部容器12内の第1内部チャンバ38中の細胞物質/血小板C/Pのレベルとほぼ等しくなるまで続く。この時点で、第1内部チャンバ38および主に、その下方チャンバ部分62は、細胞物質/血小板C/Pを含み、その一方で第2内部チャンバ58は、血漿または血清P/Sを含む。分離はまた、直前に記載した態様で、外部容器12から内部容器14を分離し、次いでデバイス10を10〜30分間適切なG力で、遠心機にかけ、回転させることによって実現することができる。クロージャ16は望ましくは、デバイス10の使用者が、管状導管56を内腔46から外すために、クロージャ16を押し下げ、指の圧力のみでクロージャ16のプラグ部分34内の内腔46を十分に拡張させることができるように、十分な弾力性を有する弾性材料で作製されることが理解できる。さらにこの指のみの圧力は、クロージャ16内のプラグ部分34中の内腔46から管状導管56を簡単に取り出すのに十分であり得るものである。
【0042】
上記の血液採集および分離の例から理解されるように、クロージャ16は取り外すことができ、内部容器14は外部容器12から取り外すことができる。内部容器14内の第2内部チャンバ58中に存在する血漿または血清P/Sは、その後のテストのために利用することができる。付加的に、外部容器12内の第1内部チャンバ38は、主要な細胞物質および血小板C/Pを含み、これはさらに、その後のテストのために取り除くことができる。
【0043】
図8〜11を参照すると、デバイス10aの別の実施形態が示される。デバイス10aは、先に論じられたデバイス10とほとんどの点で同様であるが、内部容器14aおよびクロージャ16aに対する特定の改変を含んだものである。デバイス10aでは、内部容器14aの封じ込め部分54aから延在する管状導管56aは、封じ込め部分54aの中心軸から半径方向にずれている。その結果、封じ込め部分54aの頂端部または側部72aは、管状導管56aへの移行部を形成するために先細にされる、または角度をつけられる。管状導管56aは、もはや封じ込め部分54aと同軸には整列されないため、内部容器14a自体を前述のようにクロージャ16aに装着することはできない。クロージャ16aはここでは、内部容器14aのずれた軸構成の管状導管56aを受けるように形成される。詳細には、クロージャ16aが、外部容器12aの開放端部20a内に着座する際、クロージャ16aのプラグ部分34a内の内腔46aは、クロージャ16aの中心軸から、したがって外部容器12aの中心軸Lから半径方向にずれている。したがって、管状導管56aがクロージャ16aに結合され、クロージャ16aが、外部容器12aの開放端部20a内に着座する際、管状導管56aは、外部容器12aの中心軸Lから半径方向にずれた、この軸に対してほぼ平行な軸に沿って配置される。図10から理解されるように、内部容器14aの封じ込め部分54aは、外部容器12aの中心軸Lとほぼ同軸に整列して配置され、管状導管56aのみが中心軸Lから半径方向にずれている。
【0044】
管状導管56aが半径方向のずれた構成により、図10に示されるように、ニードルカニューレNを外部容器12aに挿入するために、管状導管56aの片側に付加的な隙間が設けられる。この付加的隙間が、デバイス10aの使用者に、ニードルカニューレNを外部容器12aに挿入するための付加的な空間を与え、ニードルカニューレNを誤って直接管状導管56aに挿入する可能性を最小限にする助けをする。使用者がニードルカニューレNを正しく外部容器12aに挿入するのをさらに助けるために、クロージャ16aは、図10および11に示されるようにわずかに改変され、詳細には、先に論じたクロージャ16に対してわずかに改変される。改変されたクロージャ16aは、2つのマーキングを特徴とするほぼ平坦な頂面42aを含む。一方のすなわち第1マーキング74は、デバイス10aの使用者にニードルカニューレNでクロージャ16aに挿入または穿孔する適切な位置を示し、その一方で第2マーキング76は、内部容器14aの近位端52aでもある管状導管56aの端部の位置を示す。その結果、使用者は、管状導管56aの位置、さらに、ニードルカニューレNによってクロージャ16aを穿孔するための適切な位置を認識することができる。所望であれば、ニードルカニューレNを挿入する位置を示す第1マーキング74と、管状導管56aの位置を示す第2マーキング76の間により大きな範囲の分離を形成するために、キャップ部材24aの環状端部壁26a内の中央アパーチャ30aを、より大きく作製することができる。第2マーキング76はまた、流体サンプルの採集および分離処置の間、内腔46aから管状導管56aを取り除くのに必要な力を加えるのに、使用者が彼または彼女の指を配置する助けをする。上記の違い以外は、デバイス10aはデバイス10と総ての点で同様であり、先に詳述したように、デバイス10と同様に機能する。
【0045】
図12は、直前に論じたデバイス10aとほとんどの点で同様であり、内部容器14bおよびクロージャ16bに対して、内部容器14aおよびクロージャ16aで見られるのと同様の改変を含むデバイス10bの別の実施形態を示す。デバイス10bは、デバイス10aの外部容器12aの側壁18a上に見られる制限構造体40aが、外部容器12b内に存在しない点でデバイス10aと異なる。デバイス10bにおいて、外部容器12bの閉鎖端部22bは、デバイス10bを伴う流体サンプル採集および分離処置の際、外部容器12b内の内部容器14bの下方の移動を制限するための制限構造体を形成する。閉鎖端部22bが、内部容器14bに対する移動制限構造体を形成するため、管状導管56bは、先に詳述した管状導管56aよりも細長くなることが図12から明らかである。上記の2つの違い以外は、デバイス10bは、デバイス10aと総ての点で同様であり、デバイス10aと同様に機能するが、本明細書で詳述されるような少数の軽微な違いを有する。
【0046】
使用中、デバイス10bは、前述のように流体サンプルを採集する。このような採集処置は、ニードルカニューレNをクロージャ16bを通って挿入し、外部容器12b内の第1内部チャンバ38b中に流体サンプルを配置することから始まる。デバイス10に関連して先に記載するように、流体サンプルの分離が開始する。図12に示されるように、内部容器14bの遠位端50bは、外部容器12bの閉鎖端部22bからの距離「b」だけ隔てられる。距離bは、デバイス10に関連して先に記載した距離ないし長さaとほぼ同様の距離である。流体サンプル分離を「完了」することが望まれるとき、デバイス10bの使用者は、前述のようにクロージャ16bから管状導管56bを分離することすなわち外すことを始めるが、内部容器14bは、内部容器14bの遠位端50bと、外部容器12bの閉鎖端部22bとの間の干渉接触によって、その下方移動が制限される。この実施形態において、外部容器12b内での内部容器14bの移動を制限する制限構造体を形成する、外部容器12bの閉鎖端部22bに、内部容器14bの遠位端50bがぶつかるとき、最終的な流体サンプル分離が生じる。この最終的な分離処置は、内部容器14が、クロージャ16との係合から解放され、デバイス10内の外部容器12内で下方に移動して移動制限構造体40と接触する際に起こる最終的な流体サンプル分離と同様である。
【0047】
図13〜14は、上記に記載するデバイス10、10a、10bのいずれの実施形態も使用され得るクロージャ16の2つの改変形態を示す。図13において、クロージャ16は、プラグ部分34から垂れ下がり、内部容器14の管状導管56のための担持構造体として内腔46に代わることを目的とした垂下部分78を含む。したがって、内部容器14をクロージャ16からぶら下げるために、垂下部分78は、管状導管56内の端部開口66内に延在し、管状導管56の側壁の内面または側部に摩擦係合する。さらに図13に示されるように、クロージャ16内に、ニードル誘導スロット80を画定することができ、このスロットは、外部容器12内の第1内部チャンバ38に流体サンプルを受け入れる目的で、クロージャ16を貫通ないし穿孔するために適切な場所にニードルカニューレ(図示せず)を配置する際、使用者を誘導する助けをするために、キャップ部分32を貫通し、プラグ部分34の一部を貫通して延在するものである。このようなニードル誘導スロット80は、先に記載のクロージャ16、16a、16bの総てに適用可能である。ニードル誘導スロット80と、内部容器14の近位端52の間に、付加的な半径方向の隙間を設けることができるように、キャップ部材24の環状端部壁26によって画定された中央アパーチャ30は、キャップ部材24aの環状端部壁26aによって画定された中央アパーチャ30aと同様の様式で大きさを決めること(すなわち、拡大すること)ができる。
【0048】
図14において、クロージャ16は、キャップ部分32の一部として形成され、外部容器12の側壁18に重なり、これに沿って下方に延在するように構成された外周縁部82を含んでいる。縁部82は、キャップ部材24の側壁28と同様の態様で、外部容器12の側壁18に沿って下方に延在する。キャップ部材24の側壁28はここで、クロージャ16のキャップ部分32および縁部82とほぼ同一の広がりを有する。縁部82は、外部容器12の外側に付加的なシーリングを提供し、これにより、クロージャ16と外部容器12の開放端部20の間により強靭なシーリングが実現する。
【0049】
流体サンプル採集デバイスおよび方法のいくつかの実施形態を、上記の詳細な説明の中で記載したが、当業者は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、これらの実施形態に対して修正および代替を行うことができる。したがって、上記の説明は、限定するものではなく、例示の目的である。上記に記載する本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義され、その趣旨および特許請求の範囲の均等物の範囲内にある、本発明に対する全ての変更は、その範囲内に包含される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体サンプル採集デバイスに関し、より詳細には、血液サンプルから、血漿または血清を分離するように構成された流体サンプル採集デバイスに関する。より具体的には、本発明は、本明細書において膜とも称される多孔性フィルタによって、血液サンプル中の細胞物質から血漿または血清を分離することができる真空の流体サンプル採集デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
血漿は、血液の液体部分であり、主に、水、タンパク質、グルコース、アミノ酸、ビタミン、無機塩、代謝産物、および代謝の老廃物で構成される。一般に血液の固体の部分は、赤血球、白血球、および血小板を含めた多様な細胞で構成される。血漿は、体細胞を伴って自由に移動することができる。概して血漿は、ヒトまたは動物の体中を輸送するために、白血球、赤血球、および他の細胞成分を懸濁させる媒体となるものである。血漿サンプルが望まれる場合、血液細胞からのその分離は、血液凝固が始まる前に適切に行う必要がある。凝固を防ぐために、血液採集デバイスに抗凝固試薬を添加することができる。血液が凝固する場合、採集された血液サンプルの残りの液体部分は、血清と呼ばれ、これは、血漿のいくつかのタンパク質成分を欠いたものである。血液細胞からの血漿/血清の分離は、典型的には遠心分離によって行われる。
【0003】
血漿が、診断解析に使用できる成分の豊富な供給源を含むことから、全血サンプルから血漿を分離するための医療デバイスが考案されてきた。公知のいくつかの血液採集デバイスは、採集された血液サンプルから血漿を除去または分離するのに使用されるフィルタないし膜を組み込んだ真空の多室型デバイスとして提供されるものである。デバイスによっては、デバイスが、分離された血漿標本に使用者がアクセスすることを可能にする脱着可能なチャンバを含む。典型的には、公知のこれらの血液サンプル採集および分離デバイスでは、分離フィルタまたは膜が、細胞成分がフィルタまたは膜を通過するのを阻止し、液体の通過を可能にするのに十分に小さな孔サイズを有している。しかしながら、このようなフィルタないし膜は、血液採集および血漿分離処置の際に詰まることが多く、これにより、真空デバイスによって生成された典型的な真空の力が、採集された血液サンプルから血漿を取り出すのに不十分なものになる。公知の血液採集および分離デバイスのいくつかの例を、以下で考察する。
【0004】
特許文献1(Ishimito等)は、フィルタによって下流管から分離された上流管を有した血液分離管を開示している。管は、互いに対して装着および脱着が可能であり、最初に真空状態で提供される。血液採集の際、血液は、静脈内穿刺によって患者から採取され、血圧および管内部の負の圧力によって上流管内へ移送される。作業中、血液が、2つの管の間のフィルタに接触することから、上流管と下流管の間に圧力差が生じる。同文献には、膜、ガラス繊維、より大きな孔を有し、抗血球(anti−hemocyte)抗体により飽和されたフィルタペーパー、細胞を凝集させるために陽イオン性高分子物質で飽和されたフィルタ、および積層された多層フィルタを含むいくつかのフィルタタイプが開示されている。この文献の特許に記載されるデバイスに関する1つの問題は、血漿分離の際、血液細胞がフィルタをしばしば詰まらせ、その結果、血液採集の際、上流管と下流管の間に不適切な真空の力が生じることである。この特許に記載されるデバイスによる別の問題は、上流管から下流管が外された場合には、下流管の中に採集された血漿が、汚染物質に曝される恐れがある点である。
【0005】
特許文献2(Lin等)は、血液細胞から血漿/血清を分離するように構成され、実質的に剛性の外部容器の中に配置された可撓性で折りたたみ式の内部容器を有したデバイスを開示している。外部容器の開放頂端部はクロージャによって密封される。フィルタアセンブリが、内部容器の開放頂端部に装着される。フィルタアセンブリは、採集された液体サンプルのより軽い部分を通過させ、より重い部分を阻止するフィルタを有する。フィルタアセンブリはさらに、より軽い部分がそこを通って流れることができるように、より軽い部分によって生じる流体圧力に応じて開放するスリット弁を含むフィルタ支持体を有する。使用中、流体サンプルは内部容器に送られ、デバイスは遠心分離を受け、これにより、フィルタアセンブリが外部容器の底端部に向かって移動し、流体サンプルのより軽量の部分が、スリット弁を通って内部容器と外部容器の間の空間内に流れる。特許文献2は、その全体の参照により本明細書に組み込まれる。
【0006】
特許文献3(Amano等)は、ろ過ユニットを含む、血漿/血清採集デバイスを開示している。デバイスは、血液細胞を保持するためにろ過ユニットの上方の空間を有して構成され、負の圧力でその中に血漿/血清が抜き出される空間をフィルタの下に設けている。特許文献4(Eldegheidy)は、流体サンプル中の細胞部分から細胞のない部分を分離させるために、真空の力と共にクロスフローろ過領域を利用する自動液体成分分離器を開示している。容器内でのフィルタによる血漿分離が、圧力差によって実現される他の従来技術は、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9および特許文献10に開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,506,167号明細書
【特許文献2】米国特許第6,471,069号明細書
【特許文献3】米国特許第6,659,288号明細書
【特許文献4】米国特許第4,639,316号明細書
【特許文献5】米国特許第3,682,596号明細書
【特許文献6】米国特許第3,687,296号明細書
【特許文献7】米国特許第3,701,434号明細書
【特許文献8】米国特許第3,814,079号明細書
【特許文献9】米国特許第4,131,549号明細書
【特許文献10】米国特許第4,639,316号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の血液採集および分離デバイスはそれぞれ、全血液サンプルから血漿分離を生じさせる原動力として、圧力差を利用する。しかしながら、これらのデバイスにはある問題点がある。すなわち、完全に血漿/血清を分離するには圧力差が不十分な場合が多く、分離フィルタは、細胞物質によって詰まりやすく、また、分離された血漿/血清は、デバイスから除去する際に汚染されやすい。したがって、理想的にはサンプル採集の部位と同一位置で、またはサンプル採集の部位に密接に近接して、血液サンプルから迅速に血漿/血清を分離することが可能なデバイスおよび方法に対する一般的な必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、従来技術にある多くの問題点を克服し、身体の流体サンプル、典型的には血液を採集すること、および血液サンプル採集の部位でまたはこれに近接して、サンプルから、例えば血漿/血清の分離を行うこと、この両方を医師ができるようにする。一実施形態では、流体サンプルを採集および分離するためのデバイスが提供され、このデバイスは、概略、真空の外部容器と内部容器とを備えたものである。外部容器は、第1開放端部と第2閉鎖端部とを有する。第1開放端部は穿孔可能なクロージャによって閉鎖され、これにより第1内部チャンバが規定される。内部容器は、外部容器内に含まれ、第1内部チャンバを、流体連通する上方チャンバ部分と下方チャンバ部分に分ける。内部容器は、多孔性膜によって、第1内部チャンバの下方チャンバ部分から隔てられた第2内部チャンバを画定する。第2内部チャンバを第1内部チャンバと流体連通にするためにポートが設けられる。
【0010】
採集されるべき流体サンプルには、血液を含むことができる。下方チャンバ部分に近接する多孔性膜に接触する血液によって確立された第1内部チャンバと第2内部チャンバの間の圧力差に基づいて、第1内部チャンバ内から取り出された血液の血漿または血清は、多孔性膜を通って、内部容器の第2内部チャンバ内へと進む。多孔性膜は、望ましくは、そこを通る血液細胞の移動を阻止するものである。
【0011】
一実施形態において、多孔性膜は、フィルタペーパー、例えば、1つまたは複数個のフィルタペーパーを含むことができる。多孔性膜の孔のサイズは、所望の分子の膜の通過を制御するサイズとすることができる。例えば、多孔性膜は、60,000ダルトン、またはこれを超える分子が、内部容器内に進むのを阻止し得るものである。さらに、多孔性膜は、血液サンプルの血漿または血清部分から、アルブミン、免疫グロブリン、または他の大きな分子を除去することが可能なものとすることができる。別の例では、多孔性膜は、10,000ダルトンまたはこれを超える分子が、内部容器内に進むのを阻止することができるものである。さらに、多孔性膜は、血液サンプルからのペプチド抽出が可能である孔サイズを有することができる。さらに、多孔性膜は、2,000ダルトンまたはこれを超える分子が、内部容器内に進むのを阻止することができるものである。さらに、多孔性膜は、代謝産物および他の小分子を血液サンプルから分離することが可能な孔サイズを有することができる。
【0012】
また多孔性膜の孔サイズは、0.1μmから2μmとすることができる。例えば、多孔性膜は0.22μmの膜とすることができ、これは、例として生物学的に安全な血漿または血清サンプルの採集のために、ウイルス粒子を除去するのに使用することができるものである。別の例では、多孔性膜は0.45〜1.0μmの膜とすることができ、これは、例として、血小板のない血漿または血清サンプルの採集のために使用することができるものである。さらに多孔性膜は、血小板のない血漿または血清サンプルの採集を可能とすることができる。
【0013】
一変形形態において、内部容器は、外部容器内にぶら下げるようにすることができる。別の変形形態において、内部容器は、穿孔可能なクロージャに解放可能に接続することができる。その結果、内部容器の穿孔可能なクロージャからの解放が、内部容器のポートを開放し、内部容器の第2内部チャンバを、第1内部チャンバと流体連通させることができる。さらに別の変形形態において、内部容器は、外部容器の第1内部チャンバ内に可動式に支持されることができる。その結果、第1内部チャンバ内の内部容器の移動が、内部容器のポートを開放し、内部容器の第2内部チャンバを、第1内部チャンバと流体連通させることができる。外部容器は、第1内部チャンバ内で内部容器を支持することができる。このような支持は、第1内部チャンバ内の内部容器の移動の後、起こり得るものである。
【0014】
外部容器は、凝集剤または抗凝固剤などの添加剤を有することができる。多孔性膜は、高密度ポリエチレン、高密度ポリプロピレン、セラミック、多孔性金属、多孔性ガラス、ガラス繊維、ポリビニルポリマー、紙、天然繊維および上記の組合せで作製することができる。
【0015】
別の実施形態において、血液サンプルから血漿または血清を分離するためのデバイスが提供され、このデバイスは、概して外部容器と内部容器とを備えた真空の採集アセンブリを備えたものである。外部容器は、一端に穿孔可能なクロージャを備える。内部容器は、外部容器内に含まれ、内部容器の内部は、内部容器の底部上の多孔性膜によって外部容器から隔てられている。内部容器は、外部容器と流体連通するポートを備える。ポートは、望ましくは、穿孔可能なクロージャに解放可能に接続される。
【0016】
内部容器は、全体が外部容器内に収容することができる。ポートは、例えば、穿孔可能なクロージャから分離される際、外部容器と流体連通することができる。ポートを穿孔可能なクロージャから解放することで、外部容器との制限されない流体連通にポートを開放することができる。外部容器の内面は、外部容器に対する内部容器の位置を維持するようにすることができる。作業中、血液サンプルが外部容器内に進入する際、外部容器と内部容器の間に確立される圧力差は、多孔性膜を通って、血漿または血清を内部容器内に移送するのを促進し、一方そこを通って血液細胞が移動するのを阻止するのに使用することができる。
【0017】
別の態様では、血液サンプルから血漿または血清を分離するための方法が提供される。方法は、一端に穿孔可能なクロージャを有する外部容器と、外部容器内に含まれその中に内部チャンバを画定する内部容器と、内部容器の内部チャンバを外部容器から隔てる多孔性膜とを備えた真空の採集アセンブリを準備するステップを含むことができる。方法はさらに、アセンブリの外部容器内に血液サンプルを採集し、これにより外部容器と内部容器の間に圧力差を生成するステップを含むことができる。通常圧力差により、血液サンプルからの血漿または血清が、多孔性膜を通って内部容器の内部チャンバ内に流れる。血漿または血清は、血液サンプル採集の際、外部容器内に血液粒子が流れる方向とほぼ反対の方向に、内部容器内を流れる。採集されると、サンプルの採集が完了した後、血漿または血清は、内部容器から除去することができる。内部容器は、ポートを有してよく、方法はさらに、ポートを外部容器の内部チャンバと流体連通させるステップを含むことができる。
【0018】
本発明のさらなる詳細および利点は、全体を通して同様の部分が同様の参照番号を付されている添付の図面と併せて、以下の詳細な説明を読めば、明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】一実施形態に準じる流体サンプル採集デバイスの分解組立斜視図である。
【図2】図1に示されるデバイスの分解組立断面図である。
【図3】図1に示されるデバイスのクロージャおよび内部容器の斜視図である。
【図4】図1に示されるデバイスの組み立てられた状態の断面図である。
【図5】流体サンプル採集処置の際で、使用中のデバイスを示す、図1に示されるデバイスの組み立てられた状態の断面図である。
【図6】デバイス内で最初の流体サンプルの分離が生じるのを示す、図1に示されるデバイスの組み立てられた状態の断面図である。
【図7】デバイス内での、クロージャからの内部容器の分離、およびその結果として流体サンプルの分離の完了を示す、図1に示されるデバイスの組み立てられた状態の断面図である。
【図8】別の実施形態に準じる流体サンプル採集デバイスの分解組立斜視図である。
【図9】図8に示されるデバイスのクロージャおよび内部容器の斜視図である。
【図10】分離するために流体サンプルを受け入れるように利用されるデバイスを示す、図8に示されるデバイスの組み立てられた状態の断面図である。
【図11】図8に示されるデバイスの頂部端面図である。
【図12】分離するために流体サンプルを受け入れるように利用されるデバイスを示す、別の実施形態に準じる流体サンプル採集デバイスの組立図である。
【図13】デバイス用の代替のクロージャを備えた、図1に示されるデバイスの組み立てられた状態の断面図である。
【図14】デバイス用の別の代替のクロージャを備えた、図1に示されるデバイスの組み立てられた状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の説明の目的で、空間的方位用語が使用される場合、これは、添付の図面中で向き付けられるように、またはそうでなければ以下の詳細な説明の中で説明されるように、参照される実施形態に関連したものである。しかしながら、以下に説明する実施形態は、多くの代替の変形形態および実施形態を想定することができることを理解されたい。添付の図面に図示される、および本明細書に記載される特定のデバイスは、単なる例示であり、限定として考慮すべきではないことも理解されたい。
【0021】
一実施形態では、血液サンプルの採集、および血液サンプルの細胞物質(すなわち、血液細胞)からの血漿、血清、または他の流体標本を分離するのに適した流体サンプル採集デバイスが開示される。しかしながら、本明細書に記載されるデバイスは一般に、ろ過デバイスなど、固体から溶液(すなわち液体)を分離するのに適用可能なものである。詳細には、一形態においてデバイスは、従来の標本抽出技法により血液サンプルを採集し、続いて、概して、内部容器と、外部容器と、クロージャ部材を含む構成要素のアセンブリを使用することによって、それを分離するように構成される。内部容器は一般に、サンプルから血漿、血清および/または他の液体標本を分離する目的で、多孔性膜、フィルタ、または外部の真空容器から隔てる部材などを介して、血漿、血清または他の液体標本を取り出す。
【0022】
最初に図1〜4を参照すると、流体サンプルを採集し分離するためのデバイス10が、全体的に示される。デバイス10は、構成要素のアセンブリである。すなわち、第1すなわち外部の容器ないし管12と、第2すなわち内部の容器ないし管14と、外部容器12と内部容器14とを密封するためのクロージャ16とのアセンブリである。一実施形態に従って、外部および内部容器12、14は共に、真空の採集アセンブリを形成する。一般に、外部容器12は、内部容器14を包含し、典型的にはその中に内部容器14全体を収容する。外部容器12は、典型的には血液サンプルである流体サンプルを中に含むことができるいずれの容器または液体容器であってよく、従来の手段によって真空にすることができる従来の血液採集管または液体容器の形態が望ましい。外部容器12は、ガラス、または成型されたプラスチック材料など、任意の公知の材料で構成することができ、特定の一実施形態においては、ポリエチレンテレフタレート(PET)で構成される。クロージャ16は、外部容器12を気密にシールし、外部容器12内に内部容器14を封入するために設けられる。クロージャ16はまた、例えば外部容器12内にぶら下がる態様で、外部容器12内に内部容器14を支持するために使用される。
【0023】
外部容器12は、第1の開放したすなわち頂端部20を画定し、さらに外部容器12の第2の閉鎖したすなわち底端部22を形成する管状側壁18を備えた略円筒形の構造体である。閉鎖端部22は、従来の血液採集管のような、丸められたまたは弓形の形態を有することができる。外部容器12は、開放端部20でクロージャ16によって密封され、このクロージャは、ゴムまたは成型されたプラスチック材料で形成された穿孔可能な構成要素であるが、任意の穿孔可能な弾性材料で作製されてもよい。クロージャ16は、医療分野で知られたゴムまたはプラスチック管の止め具とほぼ同種であり、クロージャ16は、本明細書で論じられるそれ自体で、いくつかの新規の特徴を有するものである。クロージャ16は、それが外部容器12の開放端部20の中に着座する際、クロージャ16を保護する目的のキャップ構造体すなわち部材24によって、少なくとも一部が囲繞される。キャップ部材24は、環状端部壁26と、クロージャ16が、外部容器12の開放端部20の中に着座する際、外部容器12の側壁18に沿って下方に延在するように構成された、垂れ下がる側壁またはスカート28を有して形成される。本明細書で論じられるように、クロージャ16は、外部容器12の開放端部20の中に着座し、側壁18の内面または側部との摩擦係合および/または接着によってその中に保持される挿入可能部分を含むものである。キャップ部材24の側壁28は、外部容器12の開放端部20から外側に延在するクロージャ16の露出した部分を保護する目的で、外部容器12の側壁18の外面または側部に沿って下方に延在する。外部容器12の内部に進入することができるように、クロージャ16の一部を露出させるために、環状端部壁26が、典型的には、本明細書でさらに詳細に説明するように、穿孔可能なクロージャ16を通って挿入されるニードルカニューレなどの穿孔要素が進入する中央アパーチャ30を画定する。
【0024】
クロージャ16は典型的には、先に記載したようにゴム、プラスチック、または他の同様のポリマー材料で形成された一体式の構造体または本体であり、一般には、外部容器12の開放端部20と実質的な気密および液密のシールを形成することができる好適な材料で形成された弾性の閉鎖要素である。付加的に、クロージャ16の本体は望ましくは、先に記載したニードルカニューレなどの穿孔デバイスによって、穿孔することが可能である。このようなニードルカニューレは、血液を外部容器12内へ移動させるのに使用される血液採集デバイスの一部であってよい。クロージャ16は、フランジ付ヘッドまたはキャップ部分32と、そこから垂れ下がり一体式に成形されたプラグ部分34とを備えて形成される。キャップ部分32は、外部容器12の開放端部20で、外部容器12の側壁18によって画定される縁部36の上に着座する、または置かれるように構成される。プラグ部分34は一般に、外部容器12の開放端部20の中に挿入され、外部容器12内へと内側に延在し、側壁18の内面または側部と実質的な気密および液密のシールを形成するように構成される。したがって、外部容器12の開放端部20内に着座したクロージャ16のプラグ部分34によって、外部容器12内に第1内部チャンバ38が画定または形成される。第1内部チャンバ38は、外部容器12の開放端部20内にクロージャ16を密封する前に、外部大気圧に対して負(すなわち、真空)の圧力下に置くことができ、その結果、外部容器12の内部は、負(すなわち、真空)の圧力下となる。例えば、内部容器14が、外部容器12内に挿入され、デバイス10を組み立てた後、外部容器12は真空にされ、続いてクロージャ16によって密封され、これにより、第1内部チャンバ38を、負(すなわち、真空)の圧力下に置き、同時に内部容器14の内部を負(すなわち、真空)の圧力下に置くことができる。
【0025】
デバイス10の別の態様は、採集された流体サンプルの完全な分離を実現するために、外部容器12内で可動である内部容器14に関するものである。図2に示されるように、本明細書でさらに論じられるように、外部容器12内の内部容器14の内部の移動を制限するのに使用される内部制限構造体40が、第1内部チャンバ38内に設けられる。図示の実施形態において、制限構造体40は、外部容器12の側壁18から内側に延在する外周フランジまたはタブの形態であり、したがって、典型的には、外部容器12の本体と一体に形成される。しかしながら、制限構造体40として図2に図示される特定の移動制限構造体は、制限構造体40の可能な変形形態の範囲を限定するものとみなすべきではない。このような変形形態は、外部容器12の側壁18内に形成された円周制限物(すなわち、狭窄)、外部容器12内に配置され、その閉鎖端部22から上方に延在するスリーブ構造体、外部容器12の閉鎖端部22から上方に延在するプラットフォーム、外部容器12の側壁18から半径方向内側に延在する1つまたは複数のポストまたはタブ、および同様の構造体など多くの形態を採ることができる。
【0026】
クロージャ16のキャップ部分32は、典型的にはキャップ部材24の環状端部壁26によって部分的に囲まれる頂面42を画定する。頂面42は、キャップ部材24内の中央アパーチャ30によって画定された開放領域内で露出され、頂面42のこの露出領域は、外部容器12の内部、詳細には第1内部チャンバ38に進入するために、デバイス10の使用者が、ニードルカニューレまたは同様の穿孔要素を挿入する場所である。したがって、第1内部チャンバ38に血液サンプルを供給するために、血液採集デバイスのニードルカニューレまたは同様の穿孔要素を使用して、血液採集の目的で患者の静脈の中に挿入されたニードルと第1内部チャンバ38を流体連通させる、クロージャ16のキャップ部分32の頂面42の露出部分を貫通する。第1内部チャンバ38は、密封され負(すなわち、真空)の圧力下にあるため、血液は、静脈から血液採集デバイスによって、クロージャ16を通って挿入されたニードルカニューレを通って、第1内部チャンバ38内に流れる。所望であれば、クロージャのキャップ部分32の頂面42は、クロージャ16を適切に貫通し、内部容器14にぶつかることなく、外部容器12の内部に進入するようにニードルカニューレを挿入する場所に関する視覚的目安、または手掛かりを提供するために、くぼませ、またはそうでなければ成形することができる。このくぼんだ、または成形された領域は、図1〜7の参照番号44で示され、望ましくは、キャップ部材24の環状端部壁26内に画定された中央アパーチャ30によって露出された状態の頂面42の領域の一部である。さらに、プラグ部分34は、外部容器12内に内部容器14を支持するために提供される、内腔または管状に成形された凹部46を画定し、内部容器14は、プラグ部分34から垂れ下がりもしくはぶら下がり、外部容器12とクロージャ16とによって画定された第1内部チャンバ38内に延在する。
【0027】
第2のすなわち内部容器14は、外部容器12と同様の様式のほぼ管状または円筒形の構造体であるが、他の形態を採る場合もある。内部容器14は外部容器12内に完全に含まれることが望ましく、外部容器12内に延在するために、最初は、クロージャ16に連結され、これに支持される。一実施形態において、内部容器14は、第1のすなわち遠位端50と、第2のすなわち近位端52とを含む、ほぼベル形状の構造体または一体式の本体である。内部容器14は全体として、遠位端50を画定または形成するベル型の封じ込め部分54と、封じ込め部分54から上方に延在し、内部容器14の近位端52を画定または形成する管状構造体すなわち導管56とで構成される。内部容器14の近位端52を形成する管状導管56は、クロージャ16のプラグ部分34内に画定された内腔46に係合するように構成され、これにより、内部容器14は、外部容器12内にぶら下がることができる。封じ込め部分54は、中空であり、上方に延在する管状導管56と流体連通する第2内部チャンバ58を画定する。
【0028】
図1〜4に示される実施形態において、管状導管56は、内腔46に係合するように同軸に整列され、封じ込め部分54から上方に延在し、さらに望ましくは、キャップ部材24内の中央アパーチャ30と同軸に整列される。しかしながら、使用者が、内部容器14の近位端52から半径方向外側、したがって、管状導管56から半径方向外側の領域内で、クロージャ16を通ってニードルカニューレを挿入することができるように、管状導管56と、したがって内腔46の直径は、中央アパーチャ30より小さいことが望ましい。その結果、挿入されたニードルカニューレは、管状導管56にほぼ平行に挿入され、管状導管56内には直接挿入されない。クロージャ16を通るニードルカニューレの適切な挿入は、本明細書で論じられる図5に示される。管状導管56が、クロージャ16のプラグ部分34内の内腔46に同軸に係合することによって、内部容器14および外部容器12が同軸に整列されることも上記から理解されることである。本明細書で論じられる他の実施形態において、内部容器14およびクロージャ16は、本明細書で論じられる図8〜12に示されるように、内部容器14が、外部容器12の中心軸Lから半径方向にずれるように構成することができる。
【0029】
先に説明したように、一実施形態において、内部容器14は、クロージャ16から垂れ下がり(すなわち、ぶら下がり)、クロージャ16のプラグ部分34内に画定された内腔46に管状導管56が摩擦および/または接着係合することによって、クロージャ16に対して支持される。したがって、上記の係合によって、クロージャ16が外部容器12の開放端部20の中に挿入され、その中に固定される際、内部容器14の近位端52は、第1内部チャンバ38内に突出する遠位端50によって、クロージャ16に固定される。図4に示されるように、例えば、内部容器14の遠位端50は、外部容器12の側壁18から半径方向内側に延在する制限構造体40から一定の距離「a」だけ離間する。内部容器14を外部容器12の中に配置することによって、さらに第1内部チャンバ38を、上方チャンバ部分60と下方チャンバ部分62とに分離または隔離する。上方チャンバ部分60は全体的に、ベル型封じ込め部分54の上方の領域によって画定され、下方チャンバ部分62は全体的に、封じ込め部分54の下方の領域(すなわち遠位端50より下の領域)によって画定される。流体が、例えば、ニードルカニューレによって上方チャンバ部分60の中に挿入される際、外部容器12の側壁18の内面に沿って、上方チャンバ部分60から下方チャンバ部分62へと下方に流れることができるように、封じ込め部分54は、外部容器12の内径より小さい外径を有する。したがって、封じ込め部分54の外径と、外部容器12の内径の間の環状の空間「S」は、血液などの液体が、上方チャンバ部分60から下方チャンバ部分62へ自由に流れることができるのに十分である。
【0030】
内部容器14の管状導管56はさらに、デバイス10の使用中、内部容器14の封じ込め部分54によって画定された第2内部チャンバ58を、外部容器12とクロージャ16によって画定された範囲によって画定された第1内部チャンバ38と選択的に流体連通させるように構成されるポートとして作用する。このようなポートは概して、管状導管56の端部、したがって、内部容器14の近位端52での開口またはポート64によって画定される。「出口」ポートないし開口64が外部容器12の内部と流体連通することができるように、管状導管56は、クロージャ16のプラグ部分34内の内腔46の中に解放可能に配置され、これにより、クロージャ16に解放可能に接続されるのが望ましい。したがって、出口ポートすなわち開口64が第1内部チャンバ38と流体連通するために、管状導管56は、まずクロージャ16との係合から解放されなければならない。係合から解放されると、内部容器14は、重力および/または本明細書で説明される、デバイス10の使用者が及ぼす力を受けて、外部容器12内の下方に移動する。しかしながら、下方移動の長さは、外部容器12内に配置された制限構造体40によって制限される。詳細には、内部容器14の遠位端50と、制限構造体40の間の干渉係合が、外部容器12内の内部容器14の下方移動を距離aまでに制限する。封じ込め部分54内に流体が入ることができるように、封じ込め部分54が端部開口66を画定するために、望ましくは内部容器14の遠位端50は、完全に開放される。端部開口66は、封じ込め部分54の直径とすることができ、または封じ込め部分54より小さい直径を有するものとすることができる。
【0031】
内部容器14によって、詳細には、封じ込め部分54によって画定された第2内部チャンバ58は、多孔性膜すなわちフィルタ要素70によって、外部容器12とクロージャ16とによって画定された第1内部チャンバ38から隔てられる。典型的には、多孔性膜70は、本明細書でより詳細に論じされるように、血漿または血清を全血液サンプルから分離するように構成される。多孔性膜70は、封じ込め部分54内の端部開口66内、またはその上に配置され、封じ込め部分54の頂端部または側部72の反対側で端部開口66を完全に覆う。さらに、多孔性膜70は、内部容器14の遠位端50に固定され、封じ込め部分54内で端部開口66を完全に覆い、これにより、封じ込め部分54の遠位端も形成する、ろ過中心領域を備えたディスク型の構造体として形成することができる。多孔性膜70は、従来の真空血液採集管の通常の負(すなわち、真空)の圧力下で、そこを通って血漿または血清を取り出すのに十分な大きさであるが、赤血球、白血球、血小板などを含めた血液細胞、および血液の塊などの凝集体がそこを通って進むのを阻止するのに十分小さい孔を含んだ、任意の好適な材料で構成することができる。例えば、多孔性膜70は、高密度ポリエチレン、高密度ポリプロピレン、セラミック、多孔性金属、多孔性ガラス、ガラス繊維、ポリビニルポリマー、紙、天然繊維およびそれらの組合せで構成することができる。本明細書で使用する際、用語「多孔性膜」および「フィルタ」または「フィルタ要素」は、互換的に使用され、さらに柱状フィルタ、フィルタペーパー(すなわち、ワットマンペーパー)、2つ以上重ねられたフィルタペーパー、単一の膜、または複数の膜に関連したものとすることができる。したがって、多孔性膜70の構造上の形状または支持構造体の変形形態が予想され、これは当業者の技術の内にある。一般に、多孔性膜70に使用されるフィルタペーパーは、血漿/血清から細胞を分離するのに好適であり、タンパク質の分子量に従って選択された孔サイズを有する膜70は、採集された血液サンプルから選択された孔サイズより小さいタンパク質を分離するのに使用することができる。
【0032】
多孔性膜70の孔のサイズは、流体サンプルを分離するのに使用者が要求する必要な選択性に従って変えることができる。例えば、多孔性膜70の孔のサイズは、膜を通過することが望まれる分子の分子量に従った選択性を実現するように選択することができる。タンパク質または60,000以上の分子量を有する他の巨大分子が、第2内部チャンバ58に進むのを阻止するために、60,000ダルトンの孔のサイズが使用される。あるいは、多孔性膜70は、採集された血漿または血清から、アルブミン、免疫グロブリンおよび/または他の大きな分子を除去するように構成することができる。さらに、多孔性膜70は、血液サンプルからのペプチド抽出のために、10,000ダルトン以下の分子量を遮断する膜、または生化学分析の目的で代謝産物および他の小分子を分離するために、2,000ダルトン以下の分子量を遮断する膜とすることができる。
【0033】
50,000ダルトンより小さい孔サイズを有する多孔性膜70により、50,000ダルトンより小さい分子のみが、多孔性膜70を通過し、その結果、細胞および塊の他に、アルブミン、代謝産物および他の大分子が外部容器12内に残り、内部容器14に進むことがない。これは、バイオマーカー発見との関連において重要であり、血液中の大量のアルブミンおよび多くの他の大分子は、意味のあるものではなく、したがって、容易に除去されてよい。3,000〜10,000の孔サイズの多孔性膜70により、約3,000〜10,000ダルトンより小さいペプチドのみの通過が可能になる。これらのペプチドは、プロテオーム解析および診断解析のために用意される。一般的な血漿または血清の採集の場合、0.45〜1.0μmの孔サイズを有する通常のフィルタペーパーないし多孔性膜を、多孔性膜70に使用することができる。この多孔性膜70は、血小板を含めた全ての血液細胞を除去することができ、したがって、内部容器14内に採集された血漿または血清は、血小板のないサンプルとなる。別の例として、約0.22μmの孔サイズの多孔性膜70が使用される場合、全ての血液細胞の他に、細菌細胞、およびHIVなどのウイルス粒子が、内部容器14に進むことなく、下方チャンバ部分62の中に留まる。その結果、内部容器14内に採集された血漿または血清が感染することなく、さらにその後の実験室分析のために生物学的に安全な血漿または血清サンプルを提供することができる。細菌細胞およびウイルス粒子を除去するために望ましい孔サイズの範囲は、約0.1μmから2μmである。3,000、10,000、30,000、50,000、100,000および200,000ダルトンの孔サイズを有する膜が、商業的に入手可能である。
【0034】
外部容器12が、細胞代謝調節剤、凝集剤および/または坑凝固剤を中に含むことができるよう企図されたものである。凝集剤は、ろ過工程を促進する、細胞の大きな凝集体を形成するのに使用される。好適な凝集剤は、これに限定するものではないが、イモまたは小麦のレクチンなどのレクチンを含む。代替の凝集剤には、マイクロビーズに付着した血液細胞に対して親和性を有する抗体を含むことができる。凝集剤はまた、別個の構造体上に塗布された、あるいは外部容器12内部面上および/または内部容器14の外面と内面の両方の上に塗布された、溶液、ペレット、丸剤、または顆粒などの凍結乾燥された標本の形態とすることもできる。ヘパリン、EDTA、クエン酸ナトリウム、または血液の凝固を防ぐための他の既知の化合物などの坑凝固剤を使用することもできる。用語「凝集剤」は、細胞の凝集体を形成するために単独での凝集剤の使用、または細胞凝集体に対して望ましい特性を与えることができる構造体と組み合わせた凝集剤の使用を指すのに使用される。例えば構造体は、凝集剤が塗布された特定の密度のマイクロビーズとすることができる。別の例において、構造体は、構造体なしでの細胞凝集体ほど高密度に詰め込まれない形状など、凝集体に所望される形状を与えるために、ひも状または円筒形など特定の形状を有することが可能であり、これは、血漿が凝集体を通過することを可能にする。上記の例は、限定を目的とするものではなく、細胞凝集体を形成するための出発粒子として、所望の特性を有するいずれの構造体も使用することができる。本明細書に記載される総て実施形態において、用語「凝集剤」は、凝集剤単独で、または上記に記載されるような、凝集剤が塗布されている構造体と組み合わせての使用を指している。
【0035】
内部容器14はまた、任意の選択で、外部容器12内のものと同様であるが、典型的には血漿または血清である分離された液体とのみ相互作用することができる、1種の添加剤または複数種の添加剤を含むことができる。多くの添加剤は、血液細胞に溶血および他の障害を引き起こすことがわかっている。したがって、上記の記載の中で記載された外部および内部容器12、14の2重の構造体によって実現される利点は、内部容器14の中に異なる添加剤を配置することが可能であり、それらは、全サンプル(すなわち第1内部チャンバ38内)に存在する血液細胞と接触することがなく、これにより血液細胞に対するいかなる悪影響も減少させる点である。添加剤の例は、坑凝固剤、洗浄剤、防腐薬、および4−(2−アミノエチル)−ベンゼンスルフォニルフルオリド塩酸塩(AEBSF)等のプロテアーゼ阻害剤などの酵素阻害剤を含む。
【0036】
外部および内部容器12、14の全体のサイズは、外部容器12と内部容器14の間の容積における所定の相対的な差、およびこれによる上方チャンバ部分60と下方チャンバ部分62との間の所定の相対的な差を実現するために変えられる。これらの所定の相対的な差は、採集された流体サンプル、典型的には血液の既知の特徴に従って選択すすることができる。例えば、下方チャンバ部分62の容積は、流体サンプル(すなわち血液)の約5Xmlであるように設計することができ、内部容器14の容積(封じ込め部分54と管状導管56とを含めた)は、約3Xmlであり、結果として約5:3の容積の比率となり、これは全血液中の細胞ペレット対血漿の容積比に対応する。上記の「X」は、任意の自然数または小数部(すなわち0.05〜10)であり、外部容器12内の第1内部チャンバ38の全容積によって変化することができる。上方チャンバ部分60の全容積は、約6Xmlであり、デバイス10内で利用可能な全サンプル容積は、上記の例において、約8Xmlである。
【0037】
デバイス10を組み立てるために、クロージャ16のプラグ部分34の内腔46の中に管状導管56を挿入することによって、内部容器14がクロージャ16に固定され、これによって、クロージャ16から垂れ下がっているあるいはぶら下がっている、内部容器14とクロージャ16とで構成された組立構造体を形成することができる。外部容器12と、内部容器14およびクロージャ16のアセンブリとは吸引器内に配置され、所望の真空レベルに達したとき、内部容器14およびクロージャ16が、外部容器12の開放端部20へと挿入される。このアセンブリが外部容器12内に配置されると、クロージャ16のプラグ部分34は、外部容器12の開放端部20内に挿入され、この部分が、外部容器12の側壁18の内面に係合し、側壁18の内面と共に気密および液密シールを形成する。クロージャ16のキャップ部分32は、外部容器12の縁部36の上に置かれる。典型的には、キャップ部材24は、クロージャ16に事前に組み付けられ、環状端部壁26は、クロージャ16のキャップ部分32の頂面42と係合され、キャップ部分32の側壁28は、クロージャ16の外周の周囲に延在する。外部容器12の開放端部20内に密封されたクロージャ16によって、外部容器12によって画定された第1内部チャンバ38と、内部容器14によって画定された第2内部チャンバ58の両方が、負(すなわち、真空)の圧力になる。ここでデバイス10は、流体採集および分離処置の準備が整う。
【0038】
図1〜図4に加えて、さらに図5〜図7を参照して、全血液サンプルの採集および分離におけるデバイスの実用可能な使用が論じられる。直前に示したように、デバイス10は真空状態で最初に設けられ、内部容器14がクロージャ16から垂れ下がり、外部容器12内に延在し、容器12、14は共に真空状態である。第1内部チャンバ38は、全血液サンプルの細胞成分から血漿または血清を分離するように構成された多孔性膜70を介して、第2内部チャンバ58と流体連通する。クロージャ16を通って外部容器12の第1内部チャンバ38内に挿入されたニードルカニューレNによって、血液サンプルBは、外部容器12内に導入される。ニードルカニューレNは、従来の血液採集デバイスまたは先に記載されたセットに関連するものとすることができる。ニードルカニューレNは、キャップ部材24内の中央アパーチャ30によって露出した状態の領域内でクロージャ16の頂面42内に挿入され、頂面42内のくぼんだ領域44は、クロージャ16を適切に貫通し、内部容器14にぶつかるまたは入ることなく外部容器12の内部に進入するようにニードルカニューレNを挿入する場所に対する視覚的目安、または手掛かりを提供する。血液サンプルBは、その中の負(すなわち、真空)の圧力に基づいて、外部容器12の第1内部チャンバ38内に引き込まれ、内部容器14と外部容器12の間の周囲の空間または空隙S内を通って、第1内部チャンバ38の上方チャンバ部分60から下方チャンバ部分62に向かって下方に流れる。血液サンプルBは、それが多孔性膜70に達する一定のレベルまで下方チャンバ部分62を満たす。血液サンプルBが多孔性膜70に達する際、内部容器14内の圧力は、外部容器12のものとほぼ等しい。追加の血液サンプルBが外部容器12を満たす際、外部容器12内で利用可能な真空の圧力に基づいて、外部容器12(すなわち、上方チャンバ部分60まで)が採取されたサンプルの全容積で満たされるまで、それは、多孔性膜70の外面または露出した面を覆う。この時点で、第1内部チャンバ38内の負(すなわち、真空)の圧力がなくなる、またはサンプル採集を続けるには不十分であるため、さらなるサンプルを取り出すことができず、血液サンプルBの採集が停止する。付加的に、外部容器12内の血液サンプルBのレベルは、内部容器14の入り口より上方(すなわち多孔性膜70より上方)であり、外部容器12と内部容器14の間に圧力差が存在する。血液サンプルBの採集の後、内部容器14内には残された負(すなわち、真空)の圧力が存在し、これが、外部容器12と内部容器14の間の液体の高さの差によって外部容器12と内部容器14の間に存在する圧力差に加わる。
【0039】
外部容器12内の血液サンプルBのレベルが多孔性膜70より上にあり、残された真空が内部容器14内に在る状態では、外部容器12と内部容器14の間に圧力差が存在し、外部容器12内の第1内部チャンバ38は、内部容器14内の第2内部チャンバ58より高い圧力となる。この圧力差により、採集された血液サンプルBの液体部分、血漿または血清(以後「P/S」と呼ぶ)が、ろ過多孔性膜70を通る。詳細には、血漿または血清P/Sは、多孔性フィルタ70を通ってA1の矢印の方向に進み、内部容器14、詳細には内部容器14の封じ込め部分54によって画定された第2内部チャンバ58に進入し、その一方で血液サンプルBは、外部容器12内で矢印A1と反対方向(すなわち下方)に移動する。多孔性膜70は、細胞物質および血小板(以後、C/Pと呼ぶ)が、内部容器14、詳細には封じ込め部分54によって画定された第2内部チャンバ58に進入するのを阻止する。この時点で、図6に示されるように、血液サンプルBの一部のみがろ過され、このとき内部容器14内に残っている真空は、ほぼなくなっているため、血漿または血清P/Sの一部の回収されたまたは分離された部分が、内部容器14およびその封じ込め部分54によって画定された第2内部チャンバ58内に存在する。付加的な血漿または血清P/Sが、血液サンプルB中に存在するが、外部容器12内の第1内部チャンバ38中(すなわち上方チャンバ部分60中)の血液サンプルBの高さレベルと、内部容器14内(すなわち封じ込め部分54中)の第2内部チャンバ58中の血漿または血清P/Sの高さレベルの間に存在する残りの圧力差は、さらなる分離を生じさせるには不十分である。
【0040】
次に図7を参照すると、外部容器12内の第1内部チャンバ38中の血液サンプルBのレベルと、内部容器14内の第2内部チャンバ58中の血漿または血清P/Sのレベルとの圧力差を増大させることによって、血液サンプルBの付加的な分離を行うことができる。これは、デバイス10の使用者が、クロージャ16から内部容器14を解放する作用を有する、環状端部壁26によって画定された開放領域内のクロージャ16の頂面42を下方に押し下げることによって実現される。詳細には、使用者は、矢印A2の方向にクロージャ16を押し下げ、これにより、クロージャ16のプラグ部分34内に画定された内腔46から管状導管56を解放させる。クロージャ16のプラグ部分34との係合から解放されると、管状導管56内のポート64は、内部容器14の第2内部チャンバ58を、外部容器12の第1内部チャンバ38の上方チャンバ部分60と流体連通させる。付加的に、ほぼ同時に、内部容器14は、矢印A2の方向に加えられた力および/または重力を受けて、外部容器12内の下方に移動する。この下方の移動は、内部容器14の遠位端50が、外部容器12の制限構造体40と干渉接触する際に中断される。このように、内部容器14は、外部容器12内に可動式に支持される。
【0041】
直前に記載したように、内部容器14をクロージャ16から外すことによって外部容器12内の第1内部チャンバ38の上方チャンバ部分60と、内部容器14内の第2内部チャンバ58との間で空気圧の均等化が起こる。しかしながら、内部容器14が外部容器12内を下方に移動することによって、第1内部チャンバ38の上方チャンバ部分60内の血液サンプルBのレベルと、第2内部チャンバ58内の分離された血漿または血清P/Sのレベルの間に付加的な高さの差が存在する。この高さの差が、多孔性膜70を通るように追加の血漿または血清を「押す」付加的な圧力差を提供する。血漿または血清P/Sの分離は、図7に実質的に示されるように、内部容器14内の第2内部チャンバ58中の血漿または血清P/Sのレベルが、外部容器12内の第1内部チャンバ38中の細胞物質/血小板C/Pのレベルとほぼ等しくなるまで続く。この時点で、第1内部チャンバ38および主に、その下方チャンバ部分62は、細胞物質/血小板C/Pを含み、その一方で第2内部チャンバ58は、血漿または血清P/Sを含む。分離はまた、直前に記載した態様で、外部容器12から内部容器14を分離し、次いでデバイス10を10〜30分間適切なG力で、遠心機にかけ、回転させることによって実現することができる。クロージャ16は望ましくは、デバイス10の使用者が、管状導管56を内腔46から外すために、クロージャ16を押し下げ、指の圧力のみでクロージャ16のプラグ部分34内の内腔46を十分に拡張させることができるように、十分な弾力性を有する弾性材料で作製されることが理解できる。さらにこの指のみの圧力は、クロージャ16内のプラグ部分34中の内腔46から管状導管56を簡単に取り出すのに十分であり得るものである。
【0042】
上記の血液採集および分離の例から理解されるように、クロージャ16は取り外すことができ、内部容器14は外部容器12から取り外すことができる。内部容器14内の第2内部チャンバ58中に存在する血漿または血清P/Sは、その後のテストのために利用することができる。付加的に、外部容器12内の第1内部チャンバ38は、主要な細胞物質および血小板C/Pを含み、これはさらに、その後のテストのために取り除くことができる。
【0043】
図8〜11を参照すると、デバイス10aの別の実施形態が示される。デバイス10aは、先に論じられたデバイス10とほとんどの点で同様であるが、内部容器14aおよびクロージャ16aに対する特定の改変を含んだものである。デバイス10aでは、内部容器14aの封じ込め部分54aから延在する管状導管56aは、封じ込め部分54aの中心軸から半径方向にずれている。その結果、封じ込め部分54aの頂端部または側部72aは、管状導管56aへの移行部を形成するために先細にされる、または角度をつけられる。管状導管56aは、もはや封じ込め部分54aと同軸には整列されないため、内部容器14a自体を前述のようにクロージャ16aに装着することはできない。クロージャ16aはここでは、内部容器14aのずれた軸構成の管状導管56aを受けるように形成される。詳細には、クロージャ16aが、外部容器12aの開放端部20a内に着座する際、クロージャ16aのプラグ部分34a内の内腔46aは、クロージャ16aの中心軸から、したがって外部容器12aの中心軸Lから半径方向にずれている。したがって、管状導管56aがクロージャ16aに結合され、クロージャ16aが、外部容器12aの開放端部20a内に着座する際、管状導管56aは、外部容器12aの中心軸Lから半径方向にずれた、この軸に対してほぼ平行な軸に沿って配置される。図10から理解されるように、内部容器14aの封じ込め部分54aは、外部容器12aの中心軸Lとほぼ同軸に整列して配置され、管状導管56aのみが中心軸Lから半径方向にずれている。
【0044】
管状導管56aが半径方向のずれた構成により、図10に示されるように、ニードルカニューレNを外部容器12aに挿入するために、管状導管56aの片側に付加的な隙間が設けられる。この付加的隙間が、デバイス10aの使用者に、ニードルカニューレNを外部容器12aに挿入するための付加的な空間を与え、ニードルカニューレNを誤って直接管状導管56aに挿入する可能性を最小限にする助けをする。使用者がニードルカニューレNを正しく外部容器12aに挿入するのをさらに助けるために、クロージャ16aは、図10および11に示されるようにわずかに改変され、詳細には、先に論じたクロージャ16に対してわずかに改変される。改変されたクロージャ16aは、2つのマーキングを特徴とするほぼ平坦な頂面42aを含む。一方のすなわち第1マーキング74は、デバイス10aの使用者にニードルカニューレNでクロージャ16aに挿入または穿孔する適切な位置を示し、その一方で第2マーキング76は、内部容器14aの近位端52aでもある管状導管56aの端部の位置を示す。その結果、使用者は、管状導管56aの位置、さらに、ニードルカニューレNによってクロージャ16aを穿孔するための適切な位置を認識することができる。所望であれば、ニードルカニューレNを挿入する位置を示す第1マーキング74と、管状導管56aの位置を示す第2マーキング76の間により大きな範囲の分離を形成するために、キャップ部材24aの環状端部壁26a内の中央アパーチャ30aを、より大きく作製することができる。第2マーキング76はまた、流体サンプルの採集および分離処置の間、内腔46aから管状導管56aを取り除くのに必要な力を加えるのに、使用者が彼または彼女の指を配置する助けをする。上記の違い以外は、デバイス10aはデバイス10と総ての点で同様であり、先に詳述したように、デバイス10と同様に機能する。
【0045】
図12は、直前に論じたデバイス10aとほとんどの点で同様であり、内部容器14bおよびクロージャ16bに対して、内部容器14aおよびクロージャ16aで見られるのと同様の改変を含むデバイス10bの別の実施形態を示す。デバイス10bは、デバイス10aの外部容器12aの側壁18a上に見られる制限構造体40aが、外部容器12b内に存在しない点でデバイス10aと異なる。デバイス10bにおいて、外部容器12bの閉鎖端部22bは、デバイス10bを伴う流体サンプル採集および分離処置の際、外部容器12b内の内部容器14bの下方の移動を制限するための制限構造体を形成する。閉鎖端部22bが、内部容器14bに対する移動制限構造体を形成するため、管状導管56bは、先に詳述した管状導管56aよりも細長くなることが図12から明らかである。上記の2つの違い以外は、デバイス10bは、デバイス10aと総ての点で同様であり、デバイス10aと同様に機能するが、本明細書で詳述されるような少数の軽微な違いを有する。
【0046】
使用中、デバイス10bは、前述のように流体サンプルを採集する。このような採集処置は、ニードルカニューレNをクロージャ16bを通って挿入し、外部容器12b内の第1内部チャンバ38b中に流体サンプルを配置することから始まる。デバイス10に関連して先に記載するように、流体サンプルの分離が開始する。図12に示されるように、内部容器14bの遠位端50bは、外部容器12bの閉鎖端部22bからの距離「b」だけ隔てられる。距離bは、デバイス10に関連して先に記載した距離ないし長さaとほぼ同様の距離である。流体サンプル分離を「完了」することが望まれるとき、デバイス10bの使用者は、前述のようにクロージャ16bから管状導管56bを分離することすなわち外すことを始めるが、内部容器14bは、内部容器14bの遠位端50bと、外部容器12bの閉鎖端部22bとの間の干渉接触によって、その下方移動が制限される。この実施形態において、外部容器12b内での内部容器14bの移動を制限する制限構造体を形成する、外部容器12bの閉鎖端部22bに、内部容器14bの遠位端50bがぶつかるとき、最終的な流体サンプル分離が生じる。この最終的な分離処置は、内部容器14が、クロージャ16との係合から解放され、デバイス10内の外部容器12内で下方に移動して移動制限構造体40と接触する際に起こる最終的な流体サンプル分離と同様である。
【0047】
図13〜14は、上記に記載するデバイス10、10a、10bのいずれの実施形態も使用され得るクロージャ16の2つの改変形態を示す。図13において、クロージャ16は、プラグ部分34から垂れ下がり、内部容器14の管状導管56のための担持構造体として内腔46に代わることを目的とした垂下部分78を含む。したがって、内部容器14をクロージャ16からぶら下げるために、垂下部分78は、管状導管56内の端部開口66内に延在し、管状導管56の側壁の内面または側部に摩擦係合する。さらに図13に示されるように、クロージャ16内に、ニードル誘導スロット80を画定することができ、このスロットは、外部容器12内の第1内部チャンバ38に流体サンプルを受け入れる目的で、クロージャ16を貫通ないし穿孔するために適切な場所にニードルカニューレ(図示せず)を配置する際、使用者を誘導する助けをするために、キャップ部分32を貫通し、プラグ部分34の一部を貫通して延在するものである。このようなニードル誘導スロット80は、先に記載のクロージャ16、16a、16bの総てに適用可能である。ニードル誘導スロット80と、内部容器14の近位端52の間に、付加的な半径方向の隙間を設けることができるように、キャップ部材24の環状端部壁26によって画定された中央アパーチャ30は、キャップ部材24aの環状端部壁26aによって画定された中央アパーチャ30aと同様の様式で大きさを決めること(すなわち、拡大すること)ができる。
【0048】
図14において、クロージャ16は、キャップ部分32の一部として形成され、外部容器12の側壁18に重なり、これに沿って下方に延在するように構成された外周縁部82を含んでいる。縁部82は、キャップ部材24の側壁28と同様の態様で、外部容器12の側壁18に沿って下方に延在する。キャップ部材24の側壁28はここで、クロージャ16のキャップ部分32および縁部82とほぼ同一の広がりを有する。縁部82は、外部容器12の外側に付加的なシーリングを提供し、これにより、クロージャ16と外部容器12の開放端部20の間により強靭なシーリングが実現する。
【0049】
流体サンプル採集デバイスおよび方法のいくつかの実施形態を、上記の詳細な説明の中で記載したが、当業者は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、これらの実施形態に対して修正および代替を行うことができる。したがって、上記の説明は、限定するものではなく、例示の目的である。上記に記載する本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義され、その趣旨および特許請求の範囲の均等物の範囲内にある、本発明に対する全ての変更は、その範囲内に包含される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体サンプルを採集および分離するためのデバイスであって、
第1開放端部および第2閉鎖端部を有し、穿孔可能なクロージャが前記第1開放端部を閉鎖し、中に第1内部チャンバを画定する真空の外部容器と、
前記外部容器内に含まれ、前記第1内部チャンバを、流体連通する上方チャンバ部分と下方チャンバ部分とに分け、前記第1内部チャンバの前記下方チャンバ部分から多孔性膜によって隔てられた第2内部チャンバを画定し、前記第2内部チャンバを前記第1内部チャンバと流体連通させるように構成されたポートを含む内部容器と、
を備えたことを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記多孔性膜は、フィルタペーパーを含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記多孔性膜は、所望の分子の通過を制御する孔サイズを有することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記多孔性膜は、60,000ダルトンまたはこれを超える分子が、前記内部容器内に進むのを阻止することを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記多孔性膜は、血液サンプルからアルブミン、免疫グロブリンおよび他の大きな分子を除去することが可能であることを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項6】
前記多孔性膜は、10,000ダルトンまたはこれを超える分子が、前記内部容器内に進むのを阻止することを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項7】
前記多孔性膜は、2,000ダルトンまたはこれを超える分子が、前記内部容器内に進むのを阻止することを特徴とする請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記多孔性膜は、血液サンプルからペプチド抽出を行うことが可能な孔サイズを有することを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項9】
前記多孔性膜は、血液サンプルから代謝産物および他の小分子の分離を行うことが可能な孔サイズを有することを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項10】
前記多孔性膜の前記孔サイズは、0.1μmから2μmの間であることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記多孔性膜は、0.22μmの膜であることを特徴とする請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記多孔性膜は、生体的に安定した血漿または血清サンプルの採集のために、ウイルス粒子を除去することが可能であることを特徴とする請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
前記多孔性膜は、0.45〜1.0μmの膜であることを特徴とする請求項10に記載のデバイス。
【請求項14】
前記多孔性膜は、血小板のない血漿または血清採集が可能であることを特徴とする請求項10に記載のデバイス。
【請求項15】
前記内部容器は、前記外部容器内にぶら下がることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
前記内部容器は、前記穿孔可能なクロージャに解放可能に接続されることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
前記内部容器の前記穿孔可能なクロージャからの解放が、前記内部容器の前記ポートを開放し、前記内部容器の前記第2内部チャンバを前記第1内部チャンバと流体連通させることを特徴とする請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記内部容器は、前記外部容器の前記第1内部チャンバ内に可動式に支持されることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項19】
前記内部容器の前記第1内部チャンバ内での移動が、前記内部容器の前記ポートを開放し、前記内部容器の前記第2内部チャンバを前記第1内部チャンバと流体連通させることを特徴とする請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記外部容器は、前記内部容器が前記第1内部チャンバ内で移動した後、前記内部容器を前記第1内部チャンバ内で支持するための構造体を中に備えることを特徴とする請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記外部容器は、前記内部容器を前記第1内部チャンバ内で支持することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項22】
前記外部容器は、凝集剤および抗凝固剤からなる群から選択された添加剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項23】
前記多孔性膜は、高密度ポリエチレン、高密度ポリプロピレン、セラミック、多孔性金属、多孔性ガラス、ガラス繊維、ポリビニルポリマー、紙、天然繊維およびそれらの組合せからなる群から選択された材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項24】
血液サンプルから血漿または血清を分離するためのデバイスであって、
外部容器と内部容器とを備える真空の採集アセンブリを備え、
前記外部容器が、一端に穿孔可能なクロージャを含み、
前記内部容器が、前記外部容器内に含まれ、前記内部容器の内部が、前記内部容器の底部上の多孔性膜によって前記外部容器から隔てられ、前記内部容器が、前記内部容器と流体連通するポートを備え、前記穿孔可能なクロージャに解放可能に接続されることを特徴とするデバイス。
【請求項25】
前記内部容器は、前記外部容器内に全体が収容されることを特徴とする請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記ポートは、前記内部容器が前記穿孔可能なクロージャから分離される際、前記外部容器と流体連通することを特徴とする請求項24に記載のデバイス。
【請求項27】
前記内部容器の前記穿孔可能なクロージャからの解放が、前記ポートを前記外部容器との制限されない流体連通に開放することを特徴とする請求項24に記載のデバイス。
【請求項28】
前記外部容器に対する前記内部容器の位置を維持するために、前記外部容器の内面上に構造体をさらに備えることを特徴とする請求項24に記載のデバイス。
【請求項29】
前記血液サンプルが前記外部容器内に進入する際、前記外部容器と前記内部容器の間に確立される圧力差が、前記多孔性膜を通る前記内部容器への血漿または血清の輸送を促進し、そこを通る血液細胞の移動を阻止することを特徴とする請求項24に記載のデバイス。
【請求項30】
血液サンプルから血漿または血清を分離するための方法であって、
一端に穿孔可能なクロージャを有する外部容器と、前記外部容器内に含まれ、中に内部チャンバを画定する内部容器と、前記内部容器の前記内部チャンバを前記外部容器から隔てる多孔性膜とを備える真空の採集アセンブリを用意するステップと、
前記アセンブリの前記外部容器内に血液サンプルを採集し、これにより、前記外部容器と前記内部容器の間に圧力差を生成し、前記圧力差により、前記血液サンプルからの血漿または血清が、前記多孔性膜を通って前記内部容器の前記内部チャンバ内に流れるステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項31】
前記血漿または血清は、前記採集の際、前記外部容器内に流れる血液粒子の方向とほぼ反対の方向で、前記内部容器内に流れることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記血漿または血清は、前記血液サンプル採集が終了した後、前記内部容器から取り出すことができることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記内部容器はポートを備える方法であって、前記ポートを前記外部容器の前記内部チャンバと流体連通させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項1】
流体サンプルを採集および分離するためのデバイスであって、
第1開放端部および第2閉鎖端部を有し、穿孔可能なクロージャが前記第1開放端部を閉鎖し、中に第1内部チャンバを画定する真空の外部容器と、
前記外部容器内に含まれ、前記第1内部チャンバを、流体連通する上方チャンバ部分と下方チャンバ部分とに分け、前記第1内部チャンバの前記下方チャンバ部分から多孔性膜によって隔てられた第2内部チャンバを画定し、前記第2内部チャンバを前記第1内部チャンバと流体連通させるように構成されたポートを含む内部容器と、
を備えたことを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記多孔性膜は、フィルタペーパーを含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記多孔性膜は、所望の分子の通過を制御する孔サイズを有することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記多孔性膜は、60,000ダルトンまたはこれを超える分子が、前記内部容器内に進むのを阻止することを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記多孔性膜は、血液サンプルからアルブミン、免疫グロブリンおよび他の大きな分子を除去することが可能であることを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項6】
前記多孔性膜は、10,000ダルトンまたはこれを超える分子が、前記内部容器内に進むのを阻止することを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項7】
前記多孔性膜は、2,000ダルトンまたはこれを超える分子が、前記内部容器内に進むのを阻止することを特徴とする請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記多孔性膜は、血液サンプルからペプチド抽出を行うことが可能な孔サイズを有することを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項9】
前記多孔性膜は、血液サンプルから代謝産物および他の小分子の分離を行うことが可能な孔サイズを有することを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項10】
前記多孔性膜の前記孔サイズは、0.1μmから2μmの間であることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記多孔性膜は、0.22μmの膜であることを特徴とする請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記多孔性膜は、生体的に安定した血漿または血清サンプルの採集のために、ウイルス粒子を除去することが可能であることを特徴とする請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
前記多孔性膜は、0.45〜1.0μmの膜であることを特徴とする請求項10に記載のデバイス。
【請求項14】
前記多孔性膜は、血小板のない血漿または血清採集が可能であることを特徴とする請求項10に記載のデバイス。
【請求項15】
前記内部容器は、前記外部容器内にぶら下がることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
前記内部容器は、前記穿孔可能なクロージャに解放可能に接続されることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
前記内部容器の前記穿孔可能なクロージャからの解放が、前記内部容器の前記ポートを開放し、前記内部容器の前記第2内部チャンバを前記第1内部チャンバと流体連通させることを特徴とする請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記内部容器は、前記外部容器の前記第1内部チャンバ内に可動式に支持されることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項19】
前記内部容器の前記第1内部チャンバ内での移動が、前記内部容器の前記ポートを開放し、前記内部容器の前記第2内部チャンバを前記第1内部チャンバと流体連通させることを特徴とする請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記外部容器は、前記内部容器が前記第1内部チャンバ内で移動した後、前記内部容器を前記第1内部チャンバ内で支持するための構造体を中に備えることを特徴とする請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記外部容器は、前記内部容器を前記第1内部チャンバ内で支持することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項22】
前記外部容器は、凝集剤および抗凝固剤からなる群から選択された添加剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項23】
前記多孔性膜は、高密度ポリエチレン、高密度ポリプロピレン、セラミック、多孔性金属、多孔性ガラス、ガラス繊維、ポリビニルポリマー、紙、天然繊維およびそれらの組合せからなる群から選択された材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項24】
血液サンプルから血漿または血清を分離するためのデバイスであって、
外部容器と内部容器とを備える真空の採集アセンブリを備え、
前記外部容器が、一端に穿孔可能なクロージャを含み、
前記内部容器が、前記外部容器内に含まれ、前記内部容器の内部が、前記内部容器の底部上の多孔性膜によって前記外部容器から隔てられ、前記内部容器が、前記内部容器と流体連通するポートを備え、前記穿孔可能なクロージャに解放可能に接続されることを特徴とするデバイス。
【請求項25】
前記内部容器は、前記外部容器内に全体が収容されることを特徴とする請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記ポートは、前記内部容器が前記穿孔可能なクロージャから分離される際、前記外部容器と流体連通することを特徴とする請求項24に記載のデバイス。
【請求項27】
前記内部容器の前記穿孔可能なクロージャからの解放が、前記ポートを前記外部容器との制限されない流体連通に開放することを特徴とする請求項24に記載のデバイス。
【請求項28】
前記外部容器に対する前記内部容器の位置を維持するために、前記外部容器の内面上に構造体をさらに備えることを特徴とする請求項24に記載のデバイス。
【請求項29】
前記血液サンプルが前記外部容器内に進入する際、前記外部容器と前記内部容器の間に確立される圧力差が、前記多孔性膜を通る前記内部容器への血漿または血清の輸送を促進し、そこを通る血液細胞の移動を阻止することを特徴とする請求項24に記載のデバイス。
【請求項30】
血液サンプルから血漿または血清を分離するための方法であって、
一端に穿孔可能なクロージャを有する外部容器と、前記外部容器内に含まれ、中に内部チャンバを画定する内部容器と、前記内部容器の前記内部チャンバを前記外部容器から隔てる多孔性膜とを備える真空の採集アセンブリを用意するステップと、
前記アセンブリの前記外部容器内に血液サンプルを採集し、これにより、前記外部容器と前記内部容器の間に圧力差を生成し、前記圧力差により、前記血液サンプルからの血漿または血清が、前記多孔性膜を通って前記内部容器の前記内部チャンバ内に流れるステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項31】
前記血漿または血清は、前記採集の際、前記外部容器内に流れる血液粒子の方向とほぼ反対の方向で、前記内部容器内に流れることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記血漿または血清は、前記血液サンプル採集が終了した後、前記内部容器から取り出すことができることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記内部容器はポートを備える方法であって、前記ポートを前記外部容器の前記内部チャンバと流体連通させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2009−544968(P2009−544968A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521757(P2009−521757)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/016005
【国際公開番号】WO2008/013684
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/016005
【国際公開番号】WO2008/013684
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】
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