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サンプル液供給治具、サンプル液供給治具セット及びマイクロチップセット
説明

サンプル液供給治具、サンプル液供給治具セット及びマイクロチップセット

【課題】高い分析精度及び操作時の安全性を確保したサンプル液供給治具を提供するための技術の提供。
【解決手段】
液体が注入される収容胴部2と、当該収容胴部2に穿刺された中空針3と、前記収容胴部2における前記液体が注入される部位を覆い、弾性変形による自己封止性を有する封止部4と、が設けられたサンプル液供給治具を提供する。このサンプル液供給治具により、高い分析精度及び操作時の安全性を確保することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプル液供給治具、サンプル液供給治具セット及びマイクロチップセットに関する。より詳しくは、マイクロチップに形成された領域内への液体の注入を簡便に行うためのサンプル液供給治具に関する。
【0002】
近年、半導体産業における微細加工技術を応用し、シリコンやガラス製の基板上に化学的及び生物学的分析を行うためのウェルや流路を設けたマイクロチップが開発されてきている(例えば、特許文献1参照)。これらのマイクロチップは、例えば、液体クロマトグラフィーの電気化学検出器や医療現場における小型の電気化学センサなどに利用され始めている。
【0003】
このようなマイクロチップを用いた分析システムは、μ−TAS(micro-Total-Analysis System)やラボ・オン・チップ、バイオチップ等と称され、化学的及び生物学的分析の高速化や高効率化、集積化あるいは分析装置の小型化を可能にする技術として注目されている。
【0004】
μ−TASは、少量の試料で分析が可能なことや、マイクロチップのディスポーザブルユーズ(使い捨て)が可能なことから、特に貴重な微量試料や多数の検体を扱う生物学的分析への応用が期待されている。
【0005】
μ−TASの応用例として、マイクロチップ上に配設された複数の領域内に物質を導入し、該物質を光学的に検出する光学検出装置がある。このような光学検出装置としては、マイクロチップ上の流路内で複数の物質を電気泳動により分離し、分離された各物質を光学的に検出する電気泳動装置や、マイクロチップ上のウェル内で複数の物質間の反応を進行させ、生成する物質を光学的に検出する反応装置(例えば、リアルタイムPCR装置)などがある。
【0006】
μ−TASでは、試料が微量であるがゆえに、ウェルや流路内への試料溶液の導入が難しく、ウェル等の内部に存在する空気によって試料溶液の導入が阻害されたり、導入に時間がかかったりする場合があった。また、試料溶液の導入の際に、ウェル等の内部に気泡が生じる場合があった。その結果、各ウェル等に導入される試料溶液の量にばらつきが生じて分析精度が低下したり、分析効率が低下したりするという問題があった。また、PCRのように試料の加熱を行った際に、ウェル等の内部に残存した気泡が膨脹し、反応を阻害したり、分析精度を低下させたりするという問題があった。
【0007】
μ−TASにおける試料溶液の導入を容易にするため、例えば、特許文献2には、「試料を導入する試料導入部と、前記試料を収容する複数の収容部と、夫々の前記収容部に接続された複数の排気部と、を少なくとも備え、少なくとも二以上の前記排気部は、一端が開放された一の開放路に連通された基板」が開示されている。この基板では、各収容部に排気部を接続することにより、試料導入部から収容部に試料溶液が導入される際に、収容部中に存在する空気が排気部から排出されるため、収容部にスムーズに試料溶液を充填することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−219199号公報
【特許文献2】特開2009−284769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、上述したμ−TASでは、例えば、ウェルや流路内への試料溶液の導入が難しく、ウェル等の内部に存在する空気によって試料溶液の導入が阻害されたり、導入に時間がかかったりする場合がある。また、試料溶液の導入の際に、ウェル等の内部に気泡が生じる場合もある。このような懸念点に鑑み、試料溶液を短時間で容易に導入でき、高い分析精度が得られるマイクロチップの提供を目的にマイクロチップの改良等がなされてきている。
【0010】
μ−TASでは、このような高い分析精度を確保するための改良の一つとして、供給容器へのゴミ等の異物の混入を防止することが希求されていた。また、μ−TASでは、試料を圧送してウェルや流路内に導入する際、流路の断面積やチップ形状等によっては試料に大きな抵抗が生じるために、大きな送液圧力を必要とされる場合がある。この場合、μ−TASでは、安全性の確保のために供給容器からの試料の飛散や漏れを防止することが希求されていた。
【0011】
そこで、本発明は、上記点を鑑み、高い分析精度及び操作時の安全性を確保したサンプル液供給治具を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題解決のため、本発明は、液体が注入される収容胴部と、当該収容胴部の一端に設けられ、中空部分が前記収容胴部の内部に連通した中空針と、前記収容胴部における前記液体が注入される部位を覆い、弾性変形による自己封止性を有する封止部と、が設けられたサンプル液供給治具を提供する。このサンプル液供給治具では、前記中空針を被包しており、弾性変形による自己封止性を有し、前記中空針により穿刺される被包部が設けられていてもよい。このサンプル液供給治具では、前記封止部が、例えば、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、及びポリプロピレンからなる群より選択される一の材料を含んでなる薄膜で形成されていてもよい。このサンプル液供給治具では、前記被包部が、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、及びポリプロピレンからなる群より選択される一の材料を含んでなる薄膜で形成されていてもよい。このサンプル液供給治具の収容胴部には、液体が収容された収容器と嵌合可能な嵌合部が形成されていてもよい。
また、本発明は、液体が収容された収容器と、当該収容器に嵌合可能であり、当該嵌合時に前記収容器に収容された液体が注入される収容胴部と、当該収容胴部の一端に設けられ、中空部分が前記収容胴部の内部に連通した中空針と、前記収容胴部における前記液体が注入される部位を覆い、弾性変形による自己封止性を有する封止部と、が設けられたサンプル液供給治具セットを提供する。
また、本発明は、液体の注入対象となる気密に封止された注入領域が形成されたマイクロチップと、液体が注入される収容胴部と、当該収容胴部の一端に設けられ、中空部分が前記収容胴部の内部に連通した中空針と、前記収容胴部における前記液体が注入される部位を覆い、弾性変形による自己封止性を有する封止部と、が設けられたサンプル液供給治具と、を含むマイクロチップセットを提供する。このマイクロチップセットでは、前記サンプル液供給治具に、前記中空針を被包しており、弾性変形による自己封止性を有し、前記中空針により穿刺される被包部が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、高い分析精度及び操作時の安全性を確保したサンプル液供給治具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第一実施形態に係るサンプル液供給治具を説明する断面模式図である。
【図2】本発明の第二実施形態に係るサンプル液供給治具を説明する断面模式図である。
【図3】本発明の第二実施形態に係るサンプル液供給治具を説明する断面模式図である。
【図4】本発明の第二実施形態に係るサンプル液供給治具の変形例を説明する断面模式図である。
【図5】本発明の実施形態に係るサンプル液供給治具セットを説明する断面模式図である。
【図6】本発明の実施形態に係るマイクロチップセットに用いられるマイクロチップの一例の構成を説明するための模式図である。(A)は上面図を示す。(B)は(A)中P−P断面に対応する断面図を示し、(C)は(A)中Q−Q断面に対応する断面図を示す。
【図7】本発明の実施形態に係るマイクロチップセットに用いられるマイクロチップの本体12の構成を説明するための模式図である。(A)は上面図を示し、(B)は(A)中P−P断面に対応する断面図を示す。
【図8】本発明の実施形態に係るマイクロチップセットによるマイクロチップへのサンプル液の導入方法を説明するための断面模式図である。
【図9】本発明の実施形態に係るマイクロチップセットに用いられるマイクロチップの他の例の構成とサンプル液の導入方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。なお、説明は以下の順序により行う。

1.サンプル液供給治具及びサンプル液供給治具セット
(1−1)サンプル液供給治具の第一実施形態
(1−2)サンプル液供給治具の第二実施形態
(1−3)サンプル液供給治具セット
2.マイクロチップセット
(2−1)マイクロチップセットの第一実施形態
(2−2)マイクロチップセットの第二実施形態

【0016】
1.サンプル液供給治具及びサンプル液供給治具セット
(1−1)サンプル液供給治具の第一実施形態
図1は、本発明の第一実施形態に係るサンプル液供給治具を説明する断面模式図である。
【0017】
本実施形態に係るサンプル液供給治具1は、マイクロピペット用のピペットチップを用いて構成されていることを特徴とする。すなわち、このサンプル液供給治具1は、図1(A)に示すように、サンプル液が注入されるピペットチップ(収容胴部)2と、ピペットチップ2の一端に設けられ、中空部分が前記収容胴部の内部に連通した中空針3とによって構成されている。更に、サンプル液供給治具1では、ピペットチップ2におけるサンプル液が注入される部位を覆う封止部4と、サンプル液供給治具1を保持するための保持部5とが形成されている。中空針3については、例えば、インスリン用注射針として用いられる、先端外径が0.2mm程度の無痛針を用いることが可能である。
【0018】
封止部4は、気密性に加えて、後述するピペットチップ51が穿通可能な弾性も有するものである。また、封止部4は、後述するようにピペットチップ51の引き抜き後に、弾性変形による復元力で穿刺箇所が自然に封止されるようにできる。本発明においては、この封止部4の弾性変形による穿刺箇所の自然封止を、封止部4の「自己封止性」と定義するものとする。封止部4の材質は、シリコンゴムのような各種ゴムや熱可塑性エラストマーといった樹脂等のように、特に限定されるものではないが、自己封止性を鑑み、好適には、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、切れ込みなどを入れて柔軟性を持たせたポリプロピレンからなる群より選択される一の材料を含んでなる。また、封止部4の形状も、特に限定されるものではないが、ピペットチップ51による穿通を容易に実行可能なものとするために薄膜で形成されていることが好ましい。
【0019】
本実施形態に係るサンプル液供給治具1は、例えば、保持部5が取り付けられたピペットチップ2の先端側に中空針3を穿刺し、サンプル液供給治具1のサンプル液が注入される部位に、封止部4を覆うことにより得られる。また、収容胴部2、中空針3、保持部5については、予め成形されているものを用いてもよい。
【0020】
サンプル液供給治具1にサンプル液を注入する場合、まず、ピペット50のピペットチップ51にサンプル液を充填させた状態で、ピペットチップ51を封止部4のxの位置に穿通させる。(図1(B)参照)。なお、xは封止部4における任意の位置である。次に、ピペットチップ51に充填されたサンプル液をピペットチップ2の内部に注入する(図1(B)矢印参照)。
【0021】
そして、サンプル液がピペットチップ2の内部に全て充填された後に、ピペットチップ51は、封止部4のxの位置から引き抜かれる(図1(C)参照)。この際、封止部4は、xの位置でピペットチップ51により穿刺されることで、孔を開けられたものの、封止部4が上述した自己封止性を有するために、ピペットチップ51の引き抜き後には、穿刺箇所が自然に封止される(図1(D)参照)。
【0022】
このように、サンプル液供給治具1では、サンプル液の内部への注入の際、外部に存在する異物がサンプル液の混入してしまうことを防止できる。従って、本実施形態に係るサンプル液供給治具1を用いることで、上記サンプル液に関する分析において高い精度を確保することができる。
【0023】
また、サンプル液供給治具1では、自己封止性を有する封止部4がピペットチップ2のサンプル液の注入部位を覆われているために、サンプル液の内部への注入の際及び当該注入後において、サンプル液の外部への飛散や漏れ等を防止できる。従って、本実施形態に係るサンプル液供給治具1を用いた分析において、安全性を確保することができる。また、上記の飛散を防止することで、定量したサンプル液の量と分析時のサンプル液の量との間に誤差が生じることを抑制可能なため、上記サンプル液に関する分析において高い精度を確保することもできる。
【0024】
(1−2)サンプル液供給治具の第二実施形態
図2、図3は、本発明の第二実施形態に係るサンプル液供給治具を説明する断面模式図である。また、図4は、本発明の第二実施形態の変形例に係るサンプル液供給治具を説明する断面模式図である。
【0025】
本実施形態に係るサンプル液供給治具1は、マイクロピペット用のピペットチップを用いて構成されていることを特徴とする。すなわち、このサンプル液供給治具1は、図2(A)に示すように、サンプル液が注入されるピペットチップ(収容胴部)2と、ピペットチップ2の一端に設けられ、中空部分が前記収容胴部の内部に連通した中空針3とによって構成されている。更に、サンプル液供給治具1では、ピペットチップ2におけるサンプル液が注入される部位を覆う封止部4と、サンプル液供給治具1を保持するための保持部5とが形成されている。また、サンプル液供給治具1では、中空針3を被包した被包部6が設けられている。本実施形態に係るサンプル液供給治具1では、被包部6が設けられている点以外は、上述した第一の実施形態に係るサンプル液供給治具と実質的に同一である(図2(A)参照)。そのため、本実施形態では、被包部6に関する機能構成について主に説明する。
【0026】
被包部6は、気密性に加えて、サンプル液を所定の注入領域に注入する際に、中空針3が穿通可能な弾性も有するものである。また、被包部6は、後述するように中空針3の上記注入領域からの引き抜き後に、弾性変形による復元力で穿刺箇所が自然に封止されるようにできる。本発明においては、この被包部6の弾性変形による穿刺箇所の自然封止についても、封止部4と同様に、被包部6の「自己封止性」と定義するものとする。被包部6の材質も、シリコンゴムのような各種ゴムや熱可塑性エラストマーといった樹脂等のように、特に限定されるものではないが、自己封止性を鑑み、好適には、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、切れ込みなどを入れて柔軟性を持たせたポリプロピレンからなる群より選択される一の材料を含んでなる。また、被包部6の形状も、特に限定されるものではないが、中空針3による穿通を容易に実行可能なものとするために薄膜で形成されていることが好ましい。また、被包部6の中空針3を覆う方法については、特に限定されるものではなく、例えば、被包部6は、略柱状で中空針3を覆っていてもよい(図2(A)参照)。また、図4に示すように、被包部6は、中空針3の先端側に向かうに従い、中空針3に近接していく形状であってもよい。
【0027】
本実施形態に係るサンプル液供給治具1は、第一実施形態に係るサンプル液供給治具に、中空針3を被包するように被包部6を設けることにより得られる。
【0028】
本実施形態において、サンプル液供給治具1にサンプル液を注入する方法については、第一実施形態に係るサンプル液供給治具と実質的に同一である。すなわち、図2(A)〜(D)に示したサンプル液の注入方法については、図1(A)〜(D)を参照しながら説明したサンプル液の注入方法と実質的に同一である。そのため、ここでは、サンプル液が注入されたサンプル液供給治具1から中空針3を介してサンプル液を注入領域31に注入する方法について、図3(E)〜(H)を参照しながら説明する。
【0029】
まず、サンプル液供給治具1が収容したサンプル液を注入領域31に注入する場合、まず、中空針3の一端を注入領域31に穿刺する(図3(E)、(F)参照)。この際、被包部6は、yの位置で中空針3により穿通される(図3(F)参照)。なお、yは被包部6における任意の位置である。そして、サンプル液供給治具1に収容されたサンプル液が注入領域31に注入される。この際、注入領域31の内部が減圧されている場合には、上記サンプル液を短時間かつスムーズに注入領域31内に注入できる。
【0030】
次に、サンプル液が注入領域31内に全て注入された後に、中空針3は、被包部6のyの位置から引き抜かれる(図3(G)参照)。この際、封止部4はyの位置で、中空針3により穿刺され、孔を開けられたものの、被包部6が上述した自己封止性を有するために、中空針3の引き抜き後には、穿刺箇所が自然に封止される(図3(H)参照)。
【0031】
このように、サンプル液供給治具1では、サンプル液に関する高い分析精度の確保のみならず、サンプル液の注入領域31への注入前後において、被包部6が中空針3を被包することになるので、誤動作により中空針3を人に刺してしまうことを防止できる。また、中空針3が折れたりした際にも、中空針3の破片がサンプル液供給治具1の周囲に散らばってしまうことを防止できる。更に、また、中空針3の先端部分等に付着したサンプル液が人等に接触してしまうことも防止できる。
【0032】
(1−3)サンプル液供給治具セット
図5は、本発明に係るサンプル液供給治具セットの好適な実施形態を説明する模式図である。
【0033】
本実施形態に係るサンプル液供給治具セット10は、サンプル液が収容され、嵌合部8が設けられた収容器7を有する(図5(A)参照)。また、サンプル液供給治具10は、収容器に嵌合可能な嵌合部9が設けられており、当該嵌合時に収容器7に収容されたサンプル液が導入されるピペットチップ(収容胴部)2が設けられたサンプル液供給治具を有する(図5(C)参照)。当該サンプル液供給治具は、更に、ピペットチップ2の一端に設けられ、中空部分が前記収容胴部の内部に連通した中空針3と、収容胴部2における液体を注入する部位を覆い、弾性変形による自己封止性を有する封止部4とが設けられている。すなわち、本実施形態におけるサンプル液供給治具は、嵌合部9が設けられている点以外は、上述した第二実施形態に係るサンプル液供給治具1と実質的に同一である。そのため、本実施形態では、サンプル液供給治具10について、嵌合部8が設けられた収容器7と、サンプル液供給治具の嵌合部9とに関する機能構成について主に説明する。なお、サンプル液供給治具セット10のサンプル液供給治具としては、上述した本発明の第二実施形態に係るサンプル液供給治具1と同様に、被包部6が設けられたものを例に説明するが、かかる例に限定はされない。すなわち、サンプル液供給治具セット10のサンプル液供給治具は、例えば、本発明の第一実施形態に係るサンプル液供給治具1と同様に、被包部6が設けられていないものであってもよい。
【0034】
収容器7は、サンプル53を収容するためのものであり、例えば、サンプル管である。そして、収容器7には、後述するように、サンプル液供給治具1の嵌合部9と嵌合可能な嵌合部8が設けられている。収容器7内では、スパチュラー等のサンプルの採取用治具52で採取したサンプル53を液体に溶解させたり、精製したりすることで、サンプル液供給治具に注入された後に分析等を行う前段階の処理を行い、サンプル液を調整することが可能である(図5(A)、(B)参照)。また、図示しないが、収容器7には、気密性を確保するために、嵌合部8と嵌合可能なキャップが設けられていてもよい。
【0035】
嵌合部8及び嵌合部9は、夫々が嵌合可能であれば、どのような形状のものであってもよい。例えば、嵌合部8がスクリューキャップとして、嵌合部9に嵌合することが可能である(図5(A)〜(E)参照)。
【0036】
本実施形態に係るサンプル液供給治具セット10のサンプル液供給治具における嵌合部8と、収容器7における嵌合部9とは、一般的に知られているスクリューキャップの製造方法により成形することができる。
【0037】
本実施形態に係るサンプル液供給治具セット10において、サンプル液供給治具1にサンプル液を注入する場合、まず、収容器7においてサンプル液を調製する(図5(A)、(B)参照)。すなわち、収容器7内で、スパチュラー等のサンプルの採取用治具52で採取したサンプル53を液体に溶解させることが可能である。また、収容器7内でサンプル液を精製することも可能である。そして、サンプル液供給治具1の嵌合部8に、収容器7の嵌合部8を嵌合させる(図5(C)、(D)参照)。この際、封止部4は、収容器7により破断され、収容器7の内部とピペットチップ2の内部とが連通することで、収容器7内部のサンプル液が収容胴部2の内部に導入される(図5(D)参照)。そして、本発明の第二実施形態におけるサンプル液供給治具1と同様に、注入領域31にサンプル液が注入される(図5(E)参照)。
【0038】
このように、サンプル液供給治具セット10では、本発明の第一実施形態及び第二実施形態に係るサンプル液供給治具1と同様に、ピペットチップ2内の気密性が確保される。そのため、サンプル液供給治具セット10では、収容器7内でサンプル液を調整しつつ、当該サンプル液の分析において高い精度を確保できる。更に、本発明の第二実施形態に係るサンプル液供給治具1と同様に被包部6が設けられているので、サンプル液の注入領域31への注入前後において、被包部6が中空針3を被包することになるので、誤動作により中空針3を人に刺してしまうことを防止できる。また、中空針3が破損したりした際にも、中空針3の破片がサンプル液供給治具1の周囲に散らばってしまうことを防止できる。更に、中空針3の先端部分等に付着したサンプル液が人等に接触してしまうことも防止できる。
【0039】
2.マイクロチップセット
(2−1)第一実施形態
本発明の第一実施形態に係るマイクロチップセットに用いられるマイクロチップの模式図を図6に示す。(A)は上面図を示す。また、(B)は(A)中P−P断面に対応する断面図であり、(C)は(A)中Q−Q断面に対応する断面図である。
【0040】
図中、符号Aで示すマイクロチップは、物質が導入され、該物質の化学的分析あるいは生物学的分析が行われる領域が配設された本体12と、この本体12を保持する枠体11とを含んで構成されている。枠体11は、中央に向かって延設されたアーム111,112,113,114,115,116により本体12を保持している。このうち、アーム111,112,115,116は本体12の下面に接触し、下方から本体12を保持している。また、アーム113,114は本体12の上面に接触し、上方から本体12を保持している。これにより、本体12は、下方のアーム111,112,115,116と、上方のアーム113,114とによって挟持されて保持されている。本体12と枠体11は、これらのアームによって着脱可能に保持されていてもよい。また、本体12と枠体11は、これらの接する面において接着されて結合されていてもよく、あるいは一体に成形されて結合されていてもよい。
【0041】
図中、符号13は、外部から本体12に配設された領域内に溶液(以下、「サンプル液」ともいう)を注入する際に、サンプル液を注入するチャネルを本体12の適切な部位(具体的には後述する「穿刺部14」)に位置決めするために機能する位置決め孔を示す。位置決め孔13は、本体12の上方に延設されたアーム113に開孔されている。
【0042】
図7に、本発明の第一実施形態に係るマイクロチップセット100に用いられるマイクロチップAの本体12の模式図を示す。(A)は上面図を示し、(B)は(A)中P−P断面に対応する断面図を示す。
【0043】
本体12には、外部からサンプル液が導入される気密な領域として以下の領域が形成されている。まず、穿刺部14は、外部からサンプル溶液が穿刺注入される領域である。図6で説明した位置決め孔13は、アーム113において、この穿刺部14の上方に位置して開孔されている。
【0044】
次に、ウェル161,162,163,164,165は、サンプル溶液に含まれる物質あるいは該物質の反応生成物の分析場となる領域である。さらに、流路151,152,153,154,155は、穿刺部14に注入されたサンプル液をそれぞれウェル161,162,163,164,165に送液するための領域である。
【0045】
ウェル161は5つ配設されており、互いに隣接するウェルは流路151によって連通されている。また、ウェル161の一つは、流路151によって穿刺部14に接続されている。これにより、穿刺部14に注入され、流路151を送液されるサンプル液が、5つのウェル161内に順に導入されるように構成されている。この構成は、ウェル162〜165および流路152〜155についても同様である。
【0046】
穿刺部14に注入されたサンプル液のウェル161内およびウェル162内への導入が同時に開始されるように、穿刺部14から最初にサンプル液が導入されるウェル161までの流路151の流路長と、穿刺部14から最初にサンプル液が導入されるウェル162までの流路152の流路長とは等しく形成されることが好ましい。流路151の全長と流路152の全長とを等しくするためには、例えば、図7に示すように、穿刺部14から最初にサンプル液が導入されるウェル162までの流路152において湾曲等している部分が存在していることが好ましい。この点、穿刺部14から最初にサンプル液が導入されるウェル163,164あるいは165までの流路153,154あるいは155の流路長についても同様である。
【0047】
また、図7に示すように、穿刺部14に注入されたサンプル液のウェル161内およびウェル162内への導入が同時に完了するように、各ウェル161および各ウェル162は等間隔で配設されていることが好ましく、流路151の全長と流路152の全長とが等しく形成されていることが好ましい。この点、ウェル163〜165の配設間隔および流路153〜155の全長についても同様である。
【0048】
マイクロチップAは、穿刺部14、流路151〜155およびウェル161〜165を形成した基板層aに基板層aを貼り合わせて構成されている。マイクロチップAでは、基板層aと基板層aの貼り合わせを大気圧に対して負圧下で行うことにより、穿刺部14、流路151〜155およびウェル161〜165の各領域の内部が、大気圧に対して負圧(例えば1/100気圧)となるように気密に封止されている。さらに、基板層aと基板層aの貼り合わせは真空下で行い、各領域の内部が真空となるように気密に封止することがより好ましい。
【0049】
基板層a,aの材質は、ガラスや各種プラスチック(ポリプロピレン、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリジメチルシロキサン)とすることができる。また、枠体11についても同様の材質を採用できる。基板層a,aの少なくとも一方は、弾性を有する材質とすることが好ましい。弾性を有する材料としては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)等のシリコーン系エラストマーの他、アクリル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、フッ素系エラストマー、スチレン系エラストマー、エポキシ系エラストマー、天然ゴムなどが挙げられる。基板層a,aの少なくとも一方をこれらの弾性を有する材料により形成することで、マイクロチップAに、次に説明する自己封止性を付与することができる。
【0050】
ウェル161〜165内に導入された物質の分析を光学的に行う場合には、基板層a,aの材質は、光透過性を有し、自家蛍光が少なく、波長分散が小さいために光学誤差の少ない材料を選択することが好ましい。
【0051】
基板層aへの穿刺部14、流路151〜155およびウェル161〜165の成形は、例えば、ガラス製基板層のウェットエッチングやドライエッチングによって、あるいはプラスチック製基板層のナノインプリントや射出成型、切削加工によって行うことができる。各領域は、基板層aに成形されてもよく、あるいは基板層aに一部を基板層aに残りの部分を成形されてもよい。基板層aと基板層aの貼り合わせは、例えば、熱融着、接着剤、陽極接合、粘着シートを用いた接合、プラズマ活性化結合、超音波接合等の公知の手法により行うことができる。
【0052】
次に、図8を参照して、本発明の第一実施形態に係るマイクロチップにおける、マイクロチップAへのサンプル液の導入方法を説明する。図8は、マイクロチップAの断面模式図であり、図6中Q−Q断面に対応する。
【0053】
図8に示すマイクロチップセットでは、サンプル液供給治具1として、本発明の第二実施形態に係るサンプル液供給治具を例に説明するが、サンプル液供給治具1はかかる例に限定されるものではない。すなわち、サンプル液供給治具1として、本発明の第一実施形態に係るサンプル液供給治具を用いてもよい。また、サンプル液供給治具1の代わりに、図5を参照しながら説明した本発明に係るサンプル液供給治具セット10を用いてもよい。
【0054】
マイクロチップAへのサンプル液の導入は、図8(A)、図8(B)に示すように、サンプル液供給治具1の中空針3を被包部6及び基板層aに穿通させ、穿刺部14にサンプル液を注入することによって行う。なお、穿刺部14に注入されるサンプル溶液は、図2、図3を参照しながら説明したように、ピペットチップ51を封止部4に穿通させ、収容胴部2に注入されたものである。図中、矢印Fは、チャネル4の穿刺方向を示す。チャネル4は、基板層aの表面から、先端部が基板層aを貫通して穿刺部14内空に到達するように穿刺される。
【0055】
この際、中空針3は、穿刺部14の上方に位置して枠体11のアーム113に開孔された位置決め孔13に挿通されて基板層aに穿刺される。このように、中空針3を予め穿刺部14の上方に位置して設けられている位置決め孔13を目標とし、これを挿通させて基板層aに穿刺することで、穿刺部14に対して中空針3を位置決めして中空針3の先端部が確実に穿刺部14内空に到達するようにできる。
【0056】
外部から穿刺部14に注入されたサンプル液は、流路151〜155を送液され(図中、矢印f参照)、ウェル161〜155内に導入される。マイクロチップAでは、穿刺部14、流路151〜155およびウェル161〜165の各領域の内部が、大気圧に対して負圧とされている。このため、中空針3の先端部が穿刺部14内空に到達した状態で一定時間保持すると、サンプル溶液が陰圧によって吸引されて各領域内にスムーズに短時間で導入される。さらに、各領域の内部を真空とした場合には、各領域の内部に空気が存在しないため、空気によってサンプル溶液の導入が阻害されたり、気泡が発生したりすることがない。
【0057】
サンプル液の導入後は、図8(C)に示すように、中空針3を引き抜き、基板層aの穿刺箇所を封止する。図中、矢印Fは、チャネル4の抜去方向を示す。このとき、基板層aをPDMS等の弾性を有する材料により形成しておくことにより、チャネル4の引き抜き後に、基板層aの弾性変形による復元力で穿刺箇所が自然に封止されるようにできる。本発明においては、この基板層の弾性変形による穿刺箇所の自然封止を、基板層の「自己封止性」と定義するものとする。
【0058】
また、サンプル液の導入後、被包部6は中空針3により穿刺され、孔を開けられたものの、被包部6が自己封止性を有するために、中空針3の引き抜き後には、穿刺箇所が自然に封止される。
【0059】
基板層aの自己封止性を確保するため、穿刺箇所における基板層表面から穿刺部14内空までの基板層の厚さ(図中、符号d参照)は、基板層aの材質やチャネル4の径に応じて適切な範囲に設定される必要がある。また、分析時にマイクロチップAを加熱する場合には、加温に伴う内圧の上昇によって自己封止性が失われないように、厚さdを設定する。
【0060】
基板層aの弾性変形による自己封止を確実とするため、中空針3には、可能な限り径の細いものを使用することが望ましい。具体的には、インスリン用注射針として用いられる、先端外径が0.2mm程度の無痛針が好適に使用される。サンプル溶液の注入を容易にするため、無痛針の基部には、汎用のマイクロピペット用チップの先端部を切断したものを接続してもよい。これにより、チップ先端部にサンプル溶液を充填した状態で無痛針を穿刺部14に穿刺すると、マイクロチップA内の陰圧によって、無痛針に接続されたチップ先端部内のサンプル溶液が穿刺部14内に吸引されて注入されるようにできる。
【0061】
中空針3として、先端外径0.2mmの無痛針を用いる場合、PDMSにより形成された基板層aの厚みdは0.5mm以上、加熱が行われる場合には0.7mm以上が好適となる。
【0062】
以上のように、本実施形態に係るマイクロチップセットでは、封止部4を有するサンプル液供給治具1を用いるために、サンプル液の内部への注入の際及び当該注入後において、サンプル液の外部への飛散や漏れ等を防止できる。従って、本実施形態に係るマイクロチップセットを用いた分析において、安全性を確保することができる。また、上記の飛散を防止することで、定量したサンプル液の量と分析時のサンプル液の量との間に誤差が生じることを抑制可能なため、上記サンプル液に関する分析において高い精度を確保することもできる。更に、上記サンプル液供給治具1は、被包部6も有するために、サンプル液の導入前後において、被包部6が中空針3を被包することになるので、誤動作により中空針3を人に刺してしまうことを防止できる。また、中空針3が折れたりした際にも、中空針3の破片がサンプル液供給治具1の周囲に散らばってしまうことを防止できる。更に、また、中空針3の先端部分等に付着したサンプル液が人等に接触してしまうことも防止できる。
【0063】
更に、本実施形態に係るマイクロチップAでは、サンプル液を導入する際に、中空針3を枠体11のアーム113に設けられた位置決め孔13に挿通させて本体12に穿刺することで、中空針3を本体12の穿刺部14に正確に穿刺できる。従って、本実施形態に係るマイクロチップでは、微小な領域内にも正確かつ簡便にサンプル液を導入できる。また、中空針3を本体12の不適切な部位に穿刺してしまうことにより、領域内に外気が漏れ込んで、負圧によるサンプル液の吸引が不能あるいは不良となるのを防止できる。さらに、中空針3は人体等に誤って刺してしまうことを防止して、操作の安全性を高めることもできる。
【0064】
本実施形態では、マイクロチップAに、1本の流路で連通された5つのウェルを計5組、合計25個のウェルを配設する例を説明した。しかし、本発明に係るマイクロチップにおいて、配設されるウェルの数や位置は任意とでき、ウェルの形状も図に示した円柱形状に限定されない。また、穿刺部14に注入されたサンプル溶液を各ウェルに送液するための流路の構成も図に示した態様に限定されないものとする。さらに、ここでは、基板層aを弾性材料により形成し、中空針3を基板層aの表面から穿刺する場合を説明した。しかし、中空針3は基板層aの表面から穿刺してもよく、この場合には、基板層aを弾性材料により形成し、自己封止性を付与すればよい。
【0065】
(2−2)第二実施形態
本発明の第二実施形態に係るマイクロチップセットの構成とサンプル液の導入方法を図9に示す。
【0066】
図中、符号Bで示すマイクロチップは、物質が導入され、該物質の化学的分析あるいは生物学的分析が行われる領域が配設された本体12を含んでなる。マイクロチップBの本体12は、上述したマイクロチップAの本体12と同一であるので、以下では説明を省略する。マイクロチップBは、本体12に加えて、図中符号31で示される第一部材と、符号32で示される第二部材と、を含んでいる。
【0067】
また、図中、サンプル液供給治具1として、本発明の第二実施形態に係るサンプル液供給治具を例に説明するが、サンプル液供給治具1はかかる例に限定されるものではない。すなわち、サンプル液供給治具1として、本発明の第一実施形態に係るサンプル液供給治具を用いてもよい。また、サンプル液供給治具1の代わりに、図5を参照しながら説明した本発明に係るサンプル液供給治具セット10を用いてもよい。
【0068】
第一部材31には、その上面に本体12が載置され保持される。この際、マイクロチップBを第一部材31の上面の所定位置に正確に載置するため、第一部材31側に位置決めピンを設け、本体12側に該ピンの嵌合孔を設けてもよい。あるいは、本体12の外形状に利用して第一部材31の上面の所定位置に本体12を突き当てる方式も採用できる。
【0069】
また、第二部材32は、本体12に配設された領域内に外部からサンプル液を注入するサンプル液供給治具1を、第一部材31に保持された本体12に対向させて保持する。第一部材31の一端と第二部材32の一端はヒンジ33によって結合され、第一部材31と第二部材32はヒンジ33を支点とした開閉動作が可能とされている((A)中点線矢印参照)。第一部材31における本体12の保持位置および第二部材32におけるチャネル4の保持位置は、ヒンジ33が閉じられた状態((B)参照)において、中空針3が本体12の穿刺部14(図8参照)に位置決めされるように構成されている。
【0070】
第一部材31および第二部材32の材質は、ガラス、各種金属あるいは各種プラスチックとすることができる。本体12と第一部材31あるいは第二部材32は、別体の部材であっても、一体に成形された部材であってもよい。
【0071】
第一部材31および第二部材32を開閉可能に結合する手段としては、ヒンジ33に替えて、ロータリーダンパーを用いてもよい。ロータリーダンパーを用いることで、第一部材31および第二部材32の開閉動作が安定する。また、ヒンジ33によって一端を結合された第一部材31および第二部材32との間に、開閉方向に弾性を発揮するスプリングばねを接続したり、開閉動作を所定範囲内に制限するストッパー機構を設けたりしてもよい。これらによっても、第一部材31および第二部材32の開閉動作を安定させ、操作性を向上させられる。なお、図中符号321は、第一部材31に対して第二部材32を開閉動作させる際に把持されるハンドルを示す。
【0072】
本実施形態に係るマイクロチップでは、サンプル液を導入する際に、本体12を第一部材31に、チャネル4を第二部材32にそれぞれ保持した状態でヒンジ33を閉じることによって、チャネル4を本体12の穿刺部14に正確に穿刺できる。従って、本実施形態に係るマイクロチップでは、微小な領域内にも正確かつ簡便にサンプル液を導入できる。また、チャネル4を本体12の不適切な部位に穿刺してしまうことにより、領域内に外気が漏れ込んで、負圧によるサンプル液の吸引が不能あるいは不良となるのを防止できる。さらに、チャネル4を人体等に誤って刺してしまうことを防止して、操作の安全性を高めることもできる。
【0073】
本実施形態に係るマイクロチップセットでは、封止部4を有するサンプル液供給治具1を用いるために、サンプル液の内部への注入の際及び当該注入後において、サンプル液の外部への飛散や漏れ等を防止できる。従って、本実施形態に係るマイクロチップセットを用いた分析において、安全性を確保することができる。また、上記の飛散を防止することで、定量したサンプル液の量と分析時のサンプル液の量との間に誤差が生じることを抑制可能なため、上記サンプル液に関する分析において高い精度を確保することもできる。更に、上記サンプル液供給治具1は、被包部6も有するために、サンプル液の導入前後において、被包部6が中空針3を被包することになるので、誤動作により中空針3を人に刺してしまうことを防止できる。また、中空針3が折れたりした際にも、中空針3の破片がサンプル液供給治具1の周囲に散らばってしまうことを防止できる。更に、また、中空針3の先端部分等に付着したサンプル液が人等に接触してしまうことも防止できる。
【0074】
上述してきた各実施形態におけるサンプル液は、特に限定されるものではないが、例えば、インフルエンザ感染の疑いのある患者由来の鼻腔拭い液等、核酸を含有する多様な試料が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明に係るマイクロチップセットによれば、高い分析精度及び操作時の安全性を確保することができる。そのため、本発明に係るマイクロチップは、マイクロチップ上の流路内で複数の物質を電気泳動により分離し、分離された各物質を光学的に検出する電気泳動装置や、マイクロチップ上のウェル内で複数の物質間の反応を進行させ、生成する物質を光学的に検出する反応装置(例えば、リアルタイムPCR装置)などに好適に用いられ得る。
【符号の説明】
【0076】
1:サンプル液供給治具、2:収容胴部、3:中空針、4:封止部、5:保持部、6:被包部、7:収容器、8:嵌合部、9:嵌合部、11:枠体、111,112,113,114,115,116:アーム、12:本体、121:基板層a、122:基板層a、13:位置決め孔、14:穿刺部、151,152,153,154,155:流路、161,162,163,164,165:ウェル、31:第一部材、32:第二部材、33:ヒンジ、a,a,b,b,b:基板層、A、B:マイクロチップ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が注入される収容胴部と、
当該収容胴部の一端に設けられ、中空部分が前記収容胴部の内部に連通した中空針と、
前記収容胴部における前記液体が注入される部位を覆い、弾性変形による自己封止性を有する封止部と、
が設けられたサンプル液供給治具。
【請求項2】
前記中空針を被包しており、弾性変形による自己封止性を有し、前記中空針により穿刺される被包部が設けられた、請求項1記載のサンプル液供給治具。
【請求項3】
前記封止部は、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、及びポリプロピレンからなる群より選択される一の材料を含んでなる薄膜で形成された、請求項1記載のサンプル液供給治具。
【請求項4】
前記被包部は、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、及びポリプロピレンからなる群より選択される一の材料を含んでなる薄膜で形成された、請求項2記載のサンプル液供給治具。
【請求項5】
前記収容胴部には、液体が収容された収容器と嵌合可能な嵌合部が形成された、請求項1〜4のいずれか1項に記載のサンプル液供給治具。
【請求項6】
液体が収容された収容器と、
当該収容器に嵌合可能であり、当該嵌合時に前記収容器に収容された液体が導入される収容胴部と、
当該収容胴部の一端に設けられ、中空部分が前記収容胴部の内部に連通した中空針と、
前記収容胴部における前記液体が注入される部位を覆い、弾性変形による自己封止性を有する封止部と、
が設けられたサンプル液供給治具セット。
【請求項7】
液体の注入対象となる気密に封止された注入領域が形成されたマイクロチップと、
液体が注入される収容胴部と、当該収容胴部の一端に設けられ、中空部分が前記収容胴部の内部に連通した中空針と、前記収容胴部における前記液体が注入される部位を覆い、弾性変形による自己封止性を有する封止部と、が設けられたサンプル液供給治具と、
を備えるマイクロチップセット。
【請求項8】
前記サンプル液供給治具には、前記中空針を被包しており、弾性変形による自己封止性を有し、前記中空針により穿刺される被包部が設けられた請求項7記載のマイクロチップセット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−159337(P2012−159337A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17765(P2011−17765)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】