説明

サンプル生成装置および分析器

本出願は、サンプル生成装置および分析器を提供する。装置および分析器は、未熟なユーザであってもPCRを含む様々な技術を使用してサンプルの迅速な生成および分析を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願はサンプル生成装置および分析器に関する。本出願は、特に、生体サンプルをその後の分析に適した形態へと生成するための装置に関する。
【0002】
関連特許出願の相互参照
出願人は、明細書、図面、特許請求の範囲、および、要約を含む2007年10月17日に出願されたGBRI優先権主張出願0720264.1の優先権を主張し、該優先権主張出願は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅および蛍光識別によって特定の生体物質を確実に識別できる分析または検出機器は入手可能である。ポリメラーゼ連鎖反応は、少量の特定のDNA配列を増幅してその特定のDNA配列を多量に形成するための良く知られる技術であり、多量に形成した時点で特定の生成物を多数の方法で識別または視覚化することができる。ポリメラーゼ連鎖反応の変形は、その入力としてRNAを使用し、その後、任意に同じ反応混合物において、また、任意に同じ酵素により、相補DNAのポリメラーゼ連鎖反応増幅により、RNAのその相補DNA配列への逆転写が続けられる。
【0004】
この技術は、極めて強力であるが、殆どのサンプルタイプで幅広く見出される多種多様な抑制剤による抑制を起こし易い。従来技術においては、熟練の分子生物学者によるキットの使用または試薬およびプラスチック消耗品を使用する大型研究室ロボットシステムの使用に依存する、この問題を扱うための確立されたサンプル生成方法が存在する。僅かな訓練により容易に使用され得る携帯型PCR分析機器(Smiths Detection − Watford Limitedによって販売されるBio−Seeqなど)は入手可能である。生成装置の例は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる国際公開第05/121963号、国際公開第06/090127号、国際公開第06/079814号、欧州特許第1383602号、国際公開第05/106040号、国際公開第05/019836号、および、英国特許第0704035.5号に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第05/121963号
【特許文献2】国際公開第06/090127号
【特許文献3】国際公開第06/079814号
【特許文献4】欧州特許第1383602号
【特許文献5】国際公開第05/106040号
【特許文献6】国際公開第05/019836号
【特許文献7】英国特許第0704035.5号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書では、代替的なサンプル生成装置および分析器が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様によれば、磁性粒子を流体から分離するための装置であって、流体の容器と、テーパ状の閉じられた下端部を有する磁性粒子と、容器の下端に隣接して容器に対して選択的に位置決めできる磁石手段とを含み、磁石手段が2つの磁極片を備え、該磁極片が、容器の軸と略平行に位置合わせされるとともに、下端部に沿って磁性粒子を集めるための領域を形成するように配置され、端部の下端から移動される、装置が提供される。
【0008】
第2の態様によれば、磁性粒子を流体から分離するための装置であって、流体の容器と、磁性粒子と、その磁場が磁性粒子を容器の表面に対して引き付ける第1の位置とその磁場が磁性粒子に対して実質的に影響を及ぼさない第2の位置との間で移動できる磁石手段とを含み、磁石手段が容器の軸に対して略直角な面内の湾曲経路に沿って移動できる、装置が提供される。
【0009】
第3の態様によれば、キュベット内に流体を分配するための装置であって、両端が開放してキュベット内で延びる毛管チューブを備え、毛管チューブの下端がキュベットの閉端の内面と接触し、毛管チューブの上端がキュベットの上端で露出され、毛管およびキュベットの寸法は、流体が毛管の上端に加えられるときに流体が毛管の下端へ流れてキュベット内の空気を毛管の外面とキュベットの内面との間に排出するような寸法になっている、装置が提供される。
【0010】
第4の態様によれば、上記第1、第2、または、第3の態様に係る装置を含むサンプル生成装置が提供される。
【0011】
第5の態様によれば、サンプル生成装置であって、該装置の異なる容器間で材料を移送するようになっている流体移送機構であり、容積が変化可能なチャンバを画定するために互いに対して移動可能な2つの構成要素を備える流体移送機構と、チャンバと接続され、容器に対して昇降できるように移動可能な分配装置とを備え、分配装置の移動および2つの構成要素の互いに対する移動の両方が回転手段によってもたらされるサンプル生成装置が提供される。
【0012】
2つの構成要素はバレルおよびピストンを含むことが好ましい。回転ドライブは、サンプル生成装置を着脱できる外部ユニットによって設けられることが好ましい。
【0013】
第6の態様によれば、手動マセレータ(macerator)手段を含むサンプル入口を有するサンプル生成装置であって、該マセレータ手段により、更なる生成の準備として、流体材料が液体、固体、または、半固体のサンプル材料から得られる、サンプル生成装置が提供される。
【0014】
マセレータ手段は、破壊可能なシールによって保護される処理流体の少なくとも1つのリザーバを含むことができ、該処理流体は、マセレータ手段の手動操作によってサンプル材料と接触する。マセレータ手段は、入口をシールする回転可能なマセレータノブを含むことができ、マセレータノブは、該ノブの回転がノブを下方へ移動させてマセレータ手段を通じてサンプルを押し下げるようにサンプル入口に対して螺合される。
【0015】
第7の態様によれば、サンプルの生成で使用される物質の複数の容器と、容器に対して昇降されて側方に移動されることにより物質を容器間で移送するようになっている移送装置とを有し、移送装置の下端の余分な物質を収集するようになっている吸収材料を含むサンプル生成装置が提供される。
【0016】
吸収材料は、容器の上面に配置させることができるとともに、例えば織編物(fabric)または不織材料であってもよい。サンプル生成装置は、余分な流体を移送装置の端部から除去することが必要なときに移送装置の下端が吸収材料と接触するように移送装置を下降させるようにすることができる。
【0017】
第8の態様によれば、PCR分析器と、第4ないし第7の態様のうちのいずれか1つに係るサンプル生成装置とを含む分析装置が提供される。
【0018】
第9の態様によれば、ベースユニットと、ベースユニットに着脱可能なサンプル生成装置とを含み、サンプル生成装置が流体と磁性粒子との混合物を収容する少なくとも1つの容器を含み、サンプル生成装置が容器から流体を抽出するための手段を含み、ベースユニットが、流体を抽出でき且つ磁性粒子を容器内に保持できるように磁石手段からの磁場が磁性粒子を容器の表面に対して引き付ける第1の位置と、磁場が磁性粒子に対して実質的に影響を及ぼさない第2の位置との間で磁石手段を選択的に移動させるようになっている手段を含む分析装置が提供される。
【0019】
磁石手段は、容器の軸に対して直角な面内で円弧に沿って移動できるとともに、サンプル生成装置上に装着できる。
【0020】
第10の態様によれば、分析器と、分析器に対して着脱できるサンプル生成装置とを含み、サンプル生成装置がサンプルを生成するための物質の複数の容器を含み、容器の少なくとも幾つかが単一の構成要素として一括して設けられ、容器のうちの少なくとも1つが構成要素とは別個に設けられて構成要素に装着でき、別個に設けられた容器には、分析器を制御してサンプル生成装置を特定のシーケンスで駆動させるために分析器によって読み取ることができる機械読み取り可能な識別子が設けられる、分析アセンブリが提供される。
【0021】
容器の少なくとも幾つかを形成する構成要素は、サンプル生成装置に対して回転できてもよい円形カルーセルであってもよい。
【0022】
第11の態様によれば、サンプル物質を識別する方法であって、様々な物質の生成で用いるのに適する複数の据付の物質容器を有するサンプル生成装置を設け、少なくとも2つのそれぞれの異なる物質の生成で用いるのに適する異なる物質を収容する少なくとも2つの別個の容器を設け、検出されるべき物質にしたがって別個の容器のうちの1つを選択し、選択された別個の容器をサンプル生成装置に取り付け、サンプル物質をサンプル生成装置に加え、サンプル生成装置を作動させて物質を生成することを含む方法が提供される。
【0023】
第12の態様によれば、上記第11の態様に係る方法を実行するための装置が提供される。
【0024】
ここで、添付図面を参照して、分析器とサンプル生成装置とを含む携帯型サンプル分析装置アセンブリおよびその作動方法を一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】典型的な分析アセンブリの斜視図である。
【図2】典型的なサンプル生成装置(2)を側方から見た斜視図である。
【図3】図2の典型的なサンプル生成装置を図2に示される側と反対の側から見た斜視図である。
【図4】図2、3の典型的なサンプル生成装置を一方側から見た側面図である。
【図5】図2、3の典型的なサンプル生成装置の端面図である。
【図6】駆動機構の一部を示す図2、3の典型的なサンプル生成装置の下部の拡大側断面図である。
【図7】図2、3の典型的なサンプル生成装置の下面の図である。
【図8】図7の拡大された抜粋である。
【図9】キュベット充填構造の一部を示す図2、3のサンプル生成装置の下部の拡大側断面図である。
【図10】図2、3のサンプル入口ポートの分解図である。
【図11】ハウジングが除去され且つピペットが引き上げ位置にある状態の図2、3のサンプル生成装置の内部の斜視図である。
【図12】ピペットがキュベットを充填するための引き下げ位置にある状態の図2、3のサンプル生成装置の内部の側断面図である。
【図13】挿入前の試薬カートリッジおよびマセレータノブを示す図2、3のサンプル生成装置の外側の斜視図である。
【図14】マセレータノブが挿入されている状態を示す図2、3のサンプル生成装置の側断面図である。
【図15】マセレータノブが挿入されている状態を示す図2、3のサンプル生成装置の側断面図である。
【図16】マセレータノブが挿入されている状態を示す図2、3のサンプル生成装置の側断面図である。
【図17】キュベットの充填時の段階を示す図2、3のサンプル生成装置の側断面図である。
【図18】キュベットの充填時の段階を示す図2、3のサンプル生成装置の側断面図である。
【図19】典型的な分析機器の装着ベイの平面図である。
【図20】マグネットアセンブリとカルーセルの容器との相互作用を示す断面立図である。
【図21】図2、3に示される典型的な試薬カートリッジ(27)の分解斜視図である。
【図22】サンプル生成装置の典型的なカルーセルの平面図である。
【図23】図22のカルーセルの斜視図である。
【図24】典型的なキュベット充填機構の側断面図である。
【図25】ピペットが装着される方法を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1を参照すると、アセンブリは、分析が行なわれる分析器またはベースユニット1と、現場から取得されたサンプルを分析器による分析に適した形態へと生成できるサンプル生成装置2との組み合わせを備えることができる。分析器1は、任意に、ヒンジ結合された蓋11とキャリングハンドル12とを有する頑丈な外側ケース10を含むことができる。ケース10のベース13は、PCR分析機器または1つ又はそれ以上の適切な分析方法が可能な他の機器を含む。機器は、例えば従来のPCRまたは例えば米国特許第7,198,897号に記載されるLinear After the Exponential PCRなどの任意の適した核酸増幅法を使用してもよい。例えば従来の加熱・冷却素子または熱電素子などの任意の許容できる方法を使用してサーモサイクリングが行なわれてもよい。検出は、蛍光分析法などの任意の適した方法を使用して達成されてもよい。1つの実施形態では、光ファイバ蛍光光度法を使用できる。従来のPCR分析器は、例えばSmiths Detectionから入手できるBio−Seeq分析器などが知られている。機器は、例えば質量分析法、ガス分光法、イオン移動度分光分析法、および、抗体結合法を含む任意の適した分析技術または分析技術の組み合わせを使用してもよい。1つの実施形態において、ケースの蓋11は、その内面で、LCDスクリーンまたはタッチスクリーンなどのディスプレイスクリーン14を支持することができる。LCDタッチスクリーンは、装置を制御するための命令を入力するため、または、分析結果やシステムパラメータなどの情報を表示するために使用できる。サンプル分析装置は、それぞれがサンプル生成装置を受けるようになっている任意の数の装着ベイを含むことができる。1つの実施形態では、分析器ベース13の上面15が任意の数の装着ベイ16を有することができる。他の実施形態において、分析器の上面15は、例えば5つの異なるサンプル生成装置2(図1では、2つだけが取り付けられて示されている)を取り外し可能に取り付けることができる列などの任意の形態で配置される5つの装着ベイ16を有することができる。他の実施形態において、分析器は、補助装着ベイ、例えばマスター分析器と通信できるスレーブ装着ベイを有することができる。言うまでもなく、分析器は、サンプル生成装置2が取り付けられる任意の数の1つ又はそれ以上のベイ16を有することができる。
【0027】
1つの実施形態では、分析器1を流体が浸入しないようにシールすることができ、また、全ての外面は通常の洗浄流体に対して耐性を有することができる。更なる実施形態において、分析器は、流体が浸入しないようにほぼ完全にシールされる。これにより、ケース10を開放した状態または閉じた状態で分析器を洗浄流体中に浸漬させることができ、それにより、分析器上の任意の有害な物質が無害にされる。分析器1は、サンプル生成装置2によって同時に或いは異なる時間に生成されたサンプルのそれぞれに関してPCR分析などのサンプル分析を行なうことができる。これにより、サンプル生成装置2が利用可能になる限り、サンプル生成装置2を分析器1に取り付けて、各サンプルのためのサンプル生成段階を直ちに開始することができる。装置は、サンプルが適切に生成されると直ぐに分析を行なうことができるように適合させることができる。1つの実施形態において、分析器1は、後述するように全ての動力を例えば適切な機械的カップリングを介してサンプル生成装置2に与えることができるため、サンプル生成装置は、それ自体、モータまたはバッテリを何ら含む必要がない。これは、サンプル生成装置2のコスト、サイズ、および、重量を最小に維持するのに役立つとともに、廃棄問題、体積、および、コストを低減する。
【0028】
ここで、図2〜9も参照して、典型的なサンプル生成装置2について更に詳しく説明する。装置2は、任意の適した材料および形状から成る外側ハウジング20を含むことができる。1つの典型的な実施形態において、外側ハウジングは、略楕円断面の成形プラスチック外側ハウジング20であってもよい。この典型的な実施形態において、ハウジング20は、傾斜した上面22を有するベース部分21と、該ベース部分の高さの約2倍まで延び且つベースの上面よりも僅かに浅い角度で傾けられた上面24を有する略三角形の楔形状流体移動筐体23とを有する。筐体23の高さは、任意の適した高さにすることができる。1つの実施形態では、筐体高さが約100mmであってもよい。ハウジング20は、上面24の上端と同じ高さまで略垂直に延びる入口シリンダ25を有することもできる。ベース部分21の上面22は、筐体23の一側面に沿って延びる細長いスロット26によって中断される。このスロット26は、以下で更に詳しく説明されるように、試薬カートリッジ27を取り付けるために使用できる。
【0029】
図2〜9に示される典型的な実施形態において、ハウジング20の下面28には、略垂直下方に突出する2つの硬質位置合わせ舌部29が装着される。1つの実施形態では、位置合わせ舌部を約10mm〜約50mmにすることができ、また、更なる実施形態では、位置合わせ舌部を約39mmにすることができる。舌部29は、任意の適した配列で配置することができ、それらの下端30を丸み付けることができるとともに、互いに距離を隔てて近接させることができる。舌部29は、ベイに対する生成装置2の正確な位置合わせを確保するため、分析器1のベイ16内に位置づけられる位置合わせ開口129(図19)と位置合わせするように形成して位置させることができる。また、舌部29の長さは、生成装置2を分析器の上面15に対して略垂直に方向付けるときにだけ分析器1に装填できるようにする。また、装置2の下面28からはキュベット30も略垂直下方に突出しており、生成されたサンプルが分析のためにキュベット30内へと分配される。キュベット30は非常に繊細であってもよく、また、位置合わせ舌部29は、装置2を分析器に装填する最中にキュベットがベイ16の受け口130(図19)と正確に位置合わせされるようにする。キュベット30が受け口130に装填されると、キュベット内の材料がPCR分析に晒されるようにキュベットが、例えばそのベイのためのPCR分析モジュール内へと延びる。キュベット30については以下で更に詳しく説明する。保管中およびサンプル生成装置2の使用前、キュベット30を保護するために、取り外し可能なキャップ31(図13)をサンプル生成装置2の下端に取り付けることができる。このキャップ31は、装置を装着ベイ16に装填する直前に取り外すことができる。
【0030】
典型的な実施形態において、ハウジング20の下面28は、3つの機械的な回転駆動入力カップリング40、41、42を含むこともできる。1つのカップリング40を中心に位置させることができ、また、他の2つ41、42を筐体23のそれぞれの角で縁部近傍に位置させることができる。入力カップリング40〜42はそれぞれ、垂直に向けられた駆動シャフト44の端部で正方形断面のテーパ状ソケット43の図6に示される形状を成すことができる。各ソケット43は、分析器1の各ベイ16に位置づけられ且つ分析器のそれぞれのモータ(図示せず)に機械的に接続されるそれぞれの駆動要素140〜142(図19)の対応する形状を成す雄ヘッドを受けるようになっている。例えば2つの平行なスロット46、47に沿って略水平な面内で移動できるマグネットアセンブリ45(図20において更に詳しく示される)をハウジング20の下面28に設けることもできる。スロット46、47は、例えば、中央駆動カップリング40に中心付けられる共通の半径を有する部分円形状を成して円弧状に湾曲させることができる。
【0031】
ここで、図10〜18を参照して、典型的な生成装置2の内部の特徴について説明する。
【0032】
典型的なサンプル入口25は、図10、14、15、16に更に詳しく示されるとともに、円筒形状のサンプル均質化モジュール50をその内部に含んでおり、上記サンプル均質化モジュールは、その上面および下面に破壊可能なシール53、54(例えば箔から成る)を伴って溶解/結合緩衝剤を収容するリザーバ52の上側に開放構造の移動可能なマセレータプレート51を収容する。モジュール50は、Oリングシール56、57間の所定位置に保持されるフィルタ55の上側に位置させることができる。フィルタ55は、ポリプロピレンを含む任意の適した材料から形成することができ、粗くてもよい。入口25は、マセレータノブ58によって仕上げることができる。1つの実施形態において、マセレータノブは、摩擦増強面または刻み付き外面59などの手回しを容易にするように形成される表面を有することができる。また、マセレータノブは、入口25の外面上のネジ61と螺合するネジ付きの内面60を含むことができる。ノブ58は、その内側に、入口25の孔内に摺接嵌合する同軸プランジャ62を有することができる。ノブ58は、サンプルを挿入するために取り外すことができ、その後、浸漬を行なうために捩じ込まれる。
【0033】
サンプルは、任意の体液、血液、唾液(呼吸器分泌物/剥離物)、ミルク、糞;粉末(炭疽菌の胞子など)、軟組織(皮膚、筋肉、毛嚢、小嚢)、野菜材料、および、土壌などの固体不明物を含むがこれらに限定されない任意の適したサンプルであってもよい。他のサンプル物質または物質の混合物も想定し得る。
【0034】
サンプルが入口25に配置された後、ノブ58を交換して手で捩じ込むことができ、それにより、図14に示されるように、ノブのプランジャ62も下方へ移動されてマセレータプレート51と係合し該プレートを下方へ移動させる。プレート51は、例えば溶解/結合緩衝剤を保持できる緩衝剤リザーバ50の上面のシール52を押し通って破壊し、それにより、図15に示されるようにサンプルがこの液体に晒される。溶解/結合緩衝剤は、サンプルから核酸を解放してヌクレアーゼを不活性化し、それにより、核酸が溶液中へ流れ出す。溶解ステップおよびヌクレアーゼ不活性化ステップは同時に或いは別個に行なうことができる。1つの実施形態では、溶解ステップとヌクレアーゼ不活性化ステップとがほぼ同時に行なわれる。この典型的な実施形態では、マサレータノブ58の更なる回転により、図16に示されるように、該ノブのプランジャ62がリザーバ50の下側シールを貫通して破壊し、サンプル、溶解・結合緩衝剤の混合物が下方へ押し下げられてフィルタ55を通過する。
【0035】
混合物は、重力により、フィルタ55から、図22において「A」の符号が付された回転可能なカルーセル70の第1の容器またはポット75内へと落下することができる。一実施形態において、カルーセル70は、中央円形開口71を有する円形状を成すプラスチック材料から成形することができる。カルーセル70の下端の外面の周囲には歯付きラック72が延びており、該歯付きラックは、カルーセルをその軸を中心に回転させるために使用できる。ラック72は、例えば、ハウジング20のベースの縁部に装着されるピニオンホイール73(図11)と係合され、該ピニオンホイールは、分析器1上の駆動カップリング141と係合されるときにその入力駆動カップリング41によって回転される。カルーセル70の内側は、様々なサイズの楔形状凹部(ここでは、ポットまたは容器とも称される)75へと分割されており、これらの凹部の大部分は、サンプルが晒される様々な処理段階で用いる容器またはポットを形成する。1つの実施形態では、カルーセルが5〜20個のポットに分けられ、また、更なる実施形態では、カルーセルが6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、19または19個のポットに分けられる。ポット75は様々な物質を収容することができ、該物質とサンプルとを混合させることにより、分析に適した形態で生成される生成物を形成することができる。混合目的のため或いは廃棄材料を収容するために、ポット75の一部を空のままにすることができる。一般に、ポット75は、以下の様々なもの、すなわち、様々なpHおよび組成の緩衝剤;酵素(水性または凍結乾燥形態の様々な種類の核酸改質酵素を含む);デオキシヌクレオチド;金属イオン;オリゴヌクレオチド(蛍光プローブなどのレポータ分子で標識化されたオリゴヌクレオチドを含む);および、タンパク質を収容してもよい。試薬または処理物質を収容する全てのポット75を、内容物の漏れを防止するため、使用前に例えば箔カバーなどの穿孔可能な被覆体76によって覆うことができる。被覆体76上に、紙の束、織編物、織布または不織布、あるいは、吸収性化学物質のコーティングなどの流体吸収材料から成る露出された上面層77を有する上側カバーがあってもよい。上側カバーは、図示しないプラスチック材料から成る不浸透性ベースを有することができる。この目的は以下で明らかになる。上側カバーの層77には、下側のカバー76をピペット110と位置合わせされた状態で露出させるための小さい開口78がカットされている。第1のポット「A」は、比較的大きく、それがサンプル混合物を受ける前には空である。一例として、PCR分析反応のため、「B」、「C」、「D」、「E」、「I」、「J」、「K」、「L」および「M」のラベルが付されたポットは以下の物質を収容できる。
B−開始時には空
C−溶解結合緩衝剤
D−洗浄緩衝剤No.1
E−洗浄緩衝剤No.2
I−洗浄緩衝剤No.3
J−空−溶解による廃棄物のために使用される
K−溶出緩衝剤
L−DNAse緩衝剤
M−プロテイナーゼKおよび磁気ビーズ
【0036】
生成される特定の物質にしたがって、異なる処理物質を使用でき、また、異なる数のポット75を設けることができることは言うまでもない。サンプル生成装置2は、異なる物質の検出のためにサンプルを生成するのに用いるなど、少なくとも2つの異なる生成シーケンスの範囲で使用できる。処理物質および生成ステップのうちの一部はその範囲に共通であり、また、これらの処理物質をポット「B」、「C」、「D」、「E」、「I」、「J」、「K」、「L」および「M」内に供給できる。他の処理物質は異なる生成のために変わり、これらの物質は、サンプル生成装置2とは別個に設けられ且つ使用前にサンプル生成装置2に挿入されるカートリッジ27(図21)内に供給することができる。
【0037】
カートリッジ27は、カルーセル70の半径に対して直角を成して延びる細長いスロット81内に延在するように形成することができる。カートリッジ27は、装置2の上面22のスロット26を通じて挿入できる。カートリッジ27が装填されると、カートリッジ27は、カルーセル70とロックすることができるとともに、カルーセル70と共に回転できる。カートリッジ27は、カートリッジによって行なわれるべき特定の検査に固有の全ての試薬を収容する別個のポット82を有する。試薬は、固体、乾燥、または、液体の形態など、任意の形態を成すことができる。試薬は、固体または乾燥している場合には、カルーセルの他のポット内に蓄えられる水性物質によって作業中に水和され得る。例えばPCR分析では、試薬として、以下のうちの1つ又はそれ以上、すなわち、核酸改質酵素(DNAses、RNAses、および、制限エンドヌクレアーゼを含む);PCRプライマ;PCRプローブ;ポリメラーゼ;逆転写酵素;ポリメラーゼ/逆転写酵素などのデュアルモード酵素;および、抗体のうちの1つ又はそれ以上が挙げられる。他の試薬も想定し得る。カートリッジ27の下端のスリーブ85は、カートリッジ27をカルーセル70に装填できるようにするためにスロット26を介した挿入中にスリーブ85が押し上げられるように形成することができる。ポット82〜84は、箔シールなどの破壊可能なカバーシール85によって、また、任意に成形キャップなどの保護キャップ86によって覆われることができる。キャップ86は、例えば2−Dバーコード87などの機械読み取り可能な識別子、あるいは、電子メモリチップまたはRFIDなどの何らかの他の形態の機械読み取り可能な識別子をその上面に有することができる。カートリッジ27上の機械読み取り可能な識別子87は、生成装置2が挿入される装着ベイ16に隣接する読取器88にかざすことができる。読取器は、例えば手持ち式読取器など、分析装置から分離できる。分析機器1は、機械読み取り可能な識別コードを認識できるとともに、機械読み取り可能な識別コードに含まれる情報に基づき、生成装置2を駆動させてサンプルおよび試薬と関連付けられる必要なステップを実行するように装着ベイ16と関連するモジュールに指示することができる。また、検出される特定の物質に適したPCRサーモサイクリング作業およびデータ分析作業を行なうように分析機器1に命じることもできる。
【0038】
他のサンプル生成装置とは別個に特定の試薬をカートリッジ内に供給することにより、異なる物質のためのサンプル生成装置を備えるコストを最小限に維持することができる。ユーザは、異なる物質のための異なるサンプル生成装置をストックしておく必要がなく、異なる試薬カートリッジと、より少ない数の共通のサンプル生成装置とをストックしておくだけで済む。
【0039】
入口25を介して加えられるサンプル物質の混合物は、図11、12、17、18、25に最も明確に示されるように、例えばシリンジピペット機構90を用いて試薬および他の処理物質に晒すことができる。機構90は、2つの主要な部品、すなわち、シリンジアセンブリ91とピペットアセンブリ92とから成ることができる。シリンジアセンブリ91は、カルーセル70の中央開口71を通じて軸方向に延びることができ、流体の圧送を行なうようになっている。ピペットアセンブリ92は、カルーセルの縁部の垂直エレベータシャフト93に装着することができ、垂直方向に上下に移動できる。ピペットアセンブリ92およびシリンジアセンブリ91は、所定の長さのフレキシブルチューブ94を介して接続できる。シリンジアセンブリ91は、雄ネジが形成され且つ下端に中央駆動カップリング40を備える中央軸方向フォームシャフト95を有することができる。シャフト95は、軸方向に移動しないように固定されるが、その軸を中心に自由に回転できる。シャフト95の周囲を円筒状のプランジャ96が取り囲んでおり、該プランジャは、その上端97を閉じることができるとともに、シャフト95の雄ネジと螺合する雌ネジを内面に形成できる。シリンジアセンブリ91は、軸方向移動または回転移動しないように固定され得る外側中空バレル98によって仕上げることができる。バレル98の上端には小径鼻部99を形成することができ、小径鼻部99にはチューブ94の一端が固定される。プランジャ96の上端は、バレル98の内面と共に摺動シールを形成するOリング100を支持することができる。プランジャ96には、それがバレル98に対して回転しないようにするために表面形成体が成形され或いは設けられており、そのため、シャフト95が回転されると、この回転がバレルの内面に沿うプランジャの軸方向移動へと変換され、それにより、バレルの上端のチャンバまたは潜在空間101の容積が変化する。したがって、駆動シャフト95の回転がチューブ94に沿う空気の圧送を引き起こすのに有効となり得ることが分かる。
【0040】
ピペットアセンブリ92は、任意の適した材料から形成され且つ任意の適した態様で製造されるピペット110を含むことができる。1つの実施形態では、ピペットアセンブリ92をプラスチック材料から成形することができる。ピペット110は、閉じられた円錐容器112内へとその上端が開放する細長い先細りの垂直に向けられた中空ステム111を有することができる。容器112は、シリンジアセンブリ91へとほぼ向けて側方に突出する小孔スピゴット113を有することができるとともに、チューブ94の他端を受けることができる。ステム111および容器112の内容積は、ピペット90によって移送されるべき任意の量の液体を収容するのに十分となるべく選択できる。このように、シリンジアセンブリ91の作動が容器112内の液体の上側の空気またはガスを圧送するのに有効となることができ、また、液体がチューブ94を通じてシリンジチャンバ101内へと流れる必要がないことが分かる。
【0041】
ピペット110は、ピペットの側方に延びてネジ付きナット116によって終端することができるアーム115によって支持され得る。ナット116は、雄ネジを有することができ且つその下端に入力駆動カップリング42を備えることができるエレベータシャフト93を受け入れることができる。エレベータシャフト93を異なる方向に適切に回転させることによりピペット110を上昇または下降させることができるのが分かる。このように、シリンジ91の作動およびピペット110の移動の両方を回転駆動入力により達成できる。
【0042】
適切なポットがピペット110の真下に位置づけられるようにカルーセルを回転させて、ピペットをポットへと下降させる(シール76がまだ破壊されていない場合には該シールを破壊する)とともに、シリンジ91を移動させてピペット110内に小さい圧力を引き起こすことにより流体をピペット内へと吸い上げ、カルーセルを回転させて所望のポットをピペットの真下に位置決めできるようにピペットを上昇させ、ピペットをポットへと下降させ、その後、シリンジを駆動させて、ピペット内の流体の上側のガス圧を増大させるとともに、それをポットへ押し込むことにより、流体をカルーセル70のポット75間で移動させることができる。ポット内での混合は、ポット内で流体の流れを引き起こすように流体を繰り返しピペット110内へ吸引して吐き出すことにより促進させることができる。各ポット75には、2つの平らな傾斜面によって与えられるテーパ状のV形状床部を形成することができる。最下点は、ピペット110のステム111と一直線を成して中心に位置させることができ、それにより、最大量の流体をポットから抽出できるようにピペットの先端を最下点へと下降させることができる。
【0043】
生成装置2の様々な流体移送段階中には、ピペットによって既に移送された他の流体による特定の流体の汚染を防止することが望ましい場合がある。ピペットの内容物全体の均等な分配は、その内容物の完全な除去を保証しない。これは、一部の流体がピペットの先端に付着したままとなり得るからである。幾つかの以前の構造は、ピペットの先端を変えることによってこの問題を克服してきたが、これは装置の操作を複雑にする。汚染の危険は、流体の移送を妨げる必要があるときにはいつでも装置が名目上は空のピペット110の先端をカルーセル70上の流体吸収材料の層77へと下降させるようにすることより減らすことができる。ピペット110の先端の外面上または内面上に付着する全ての流体は、吸収材料77によってピペットから吐き出させることができるとともに、該材料中に捕捉されたままとなる。これは、望ましくない流体移送を防止するための簡単で低コストの構造を提供する。しかしながら、幾つかのケースでは、サンプルが危険である可能性を秘めているときなど、汚染の危険を回避するために、ピペットを交換することができる。
【0044】
一実施形態では、サンプル中の核酸を捕捉するために常磁性ビーズを使用でき、該ビーズは、その後、当分野で周知の方法にしたがって、核酸をその後の処理または解放のために保持しつつ望ましくない物質を除去するために洗浄することができる。ビーズは、例えばカルーセル70のポット「M」内の水溶液中に格納することができる。ビーズは、核酸が結合されたビーズを懸濁液から所定の場所へと引き出すために磁石を使用し且つ望ましくない材料が除去される間にビーズをそこに保持することにより、通常の方法で洗浄することができる。マグネットアセンブリ45(図20)は2つの永久棒磁石121、122を備えることができる。磁石121、122は、互いに略平行に且つ横方向水平磁極片123に対して略垂直に装着することができる。磁極片123は、例えば軟鉄などの任意の適した材料から成ることができる。2つの磁石は、一方121のN極と他方122のS極とが最も上側となるように反対の向きに方向付けることができる。必要とされないときには、マグネットアセンブリ45をピペットステーションから離してスロット46、47の遠位端に位置させることができる。磁気分離が行われるべき場合、分析器1は、装着ベイ16の上面のスロット125に沿ってカートリッジ124を移動させて、マグネットアセンブリ45をスロット46、47に沿って係合移動させることができ、それにより、マグネットアセンブリ45がピペット110の真下の位置へと移動する。この位置で、2つの永久磁石121、122がピペット110の真下のカルーセルポット75の両側に位置づけられ(図20に示される)、それにより、マグネットアセンブリ45によって設定された磁場がポットの壁を通過して流体・磁気ビーズ懸濁中に至る。マグネットアセンブリ45は、ポット75のテーパ状の床部の両側にあって最下点または液貯め領域129の上側に離間された2つの局部領域127、128に磁場を集中させることができるように配置できる。したがって、磁気ビーズは、該ビーズがない液貯め領域129を残して2つの領域127、128に取り付けられ、それにより、ピペット110の先端をこの領域へと下降させて最大量の流体を抽出することができる。その後、磁気ビーズがポット75に加えられる次の流体中へ自由に移動できるように、マグネットアセンブリ45がその当初の位置へと戻される。
【0045】
一例として、以下のステップを実行するようにサンプル生成装置2を配置することができる。
1.装置内へのサンプルの受け入れ
2.ヌクレアーゼを不活性化して核酸をサンプルから解放するためのサンプルと所定量の溶解/結合緩衝剤との浸漬及び/又は混合
3.核酸をサンプルから解放するための、浸漬されたサンプルと更なる量の溶解結合緩衝剤との混合
4.サンプルを更に分解して核酸を解放するための、プロテイナーゼKなどの物質とサンプルとの混合
5.例えば常磁性ビーズ上に解放される核酸の捕捉
6.所定の緩衝剤を用いた核酸(幾つかの実施形態では、ビーズを含む)の洗浄
7.対象の核酸がRNAである場合には、DNAseIを含む溶液を用いた洗浄した核酸の任意の培養
8.対象の核酸がDNAである場合には、RNAseを含む溶液を用いた、そのように洗浄された核酸の任意の培養
9.1つ又はそれ以上の所定の緩衝剤を用いた核酸の更なる洗浄
10.ビーズが使用された場合には、対象の核酸を保持するビーズと対象核酸を溶出する溶液との混合
11.任意に凍結乾燥された核酸プライマとプローブとの混合物を用いたこの溶出物の培養
12.1つ又はそれ以上の凍結乾燥されたDNA改質酵素またはポリメラーゼを用いた、11で形成された混合物の培養
13.12で形成された混合物のキュベット充填機構を介したPCRキュベット30への移送
14.キュベット30からのキュベット充填機構の引き出し
15.混合物のその後の蒸発を防止するための軽油などの所定量の材料または他の材料のキュベット上端への付加
【0046】
これらのステップが実行された後、キュベット30内の混合物は、分析器1内で例えばPCR、LATE−PCR、逆転写(RT)-PCRなどの任意の適した反応をもたらすようにサーモサイクリングを実行するべく配置させることができる。
【0047】
典型的なキュベット充填機構が図9、17、18、24に更に詳細に示されている。この例では、キュベット30は、分析器1での光学的検出ステップおよびPCR反応ステップで用いるのに適する光学的に透明なプラスチック材料から成形される従来の形態を成すことができる。キュベット30は、ハウジング20の床28の開口138の所定位置に垂直に固定させることができ、カルーセル70と共に移動しない。キュベット30はピペット110の真下に位置合わせされる。キュベット30が充填されるべき場合には、ピペット110に流体を装填することができ、また、第1のポット「A」の直ぐ左の円形開口131がキュベットの上側に位置づけられるまでカルーセル70が回転され、それにより、キュベットの上端がピペットによるアクセスのために露出される。キュベット充填機構はプラスチック毛管チューブ140を備えることができ、プラスチック毛管チューブ140は、両端が開放するとともに、キュベット30内でその下端141の内面と接触するように延びるべく位置づけられる。毛管140の上端には、ピペット110の先端の外面と係合するように形成されるテーパ状カップリング142が取り付けられている。毛管140は、その周囲にガス通気クリアランスを許容するようにキュベット30内に摺動自在に嵌合される。キュベット30を充填するため、図17に示されるように、ピペット110を毛管140のカップリング142と係合するように下降させることができ、また、シリンジ91をゆっくりと作動させて流体をピペット内に送出することができる。流体が毛管140を流れ落ち、その場合、毛管の外面とキュベット30の内面との間のクリアランスは、キュベットに流体が充填されるときに空気がキュベットから抜け出ることができるようにするのに十分である。流体は、毛管140の下端から流出できるとともに、毛管の外面とキュベットの内面との間の環状クリアランスに逃げ込むことができる。その後、図18に示されるように、ピペット110を上昇させて、カップリング142により取り付け可能な毛管チューブ140をピペットと共に取り出すことができる。先のステップ15に言及される次の作業は、小さいオイルリザーバ150がピペット110の下側に位置づけられるように、カルーセル70を1ステーション時計回りに割り出しすることであってもよい。ピペット110の端部に取り付けられた毛管チューブ140をオイルリザーバ150内へ下降させて、その内容物をピペット内に吸引することができる。その後、カルーセル70を1ステーションだけ反時計回りに割り出しして戻すことができ、また、キュベット30内の流体上に少量のオイルを分配して蒸発を防ぐために、毛管140をキュベット30の上端へと下降させることができる。
【0048】
サンプル生成装置と共に使用される分析器1は、分析器の場所を記録してこの情報を分析結果と共に記憶できるようにするための設備を含むことができる。場所情報は、手動で或いは内部GPSまたは外部GPSによって或いは同様のポジショニングシステムを介して入力できる。また、分析器は、分析器の場所を離れた場所へ伝えることもできる。例えば、分析器は、ユーザによって促されるとき或いは分析が行われるときは常に、その場所を離れた場所へと周期的な間隔で伝えることができる。
【0049】
サンプル生成装置は、PCR分析および関連技術のための生体サンプルの生成に特に適しているが、異なる分析器による分析のための他のサンプルを生成するために使用することもできる。
【0050】
キュベット内の生成サンプルが生体起源から成る場合、分析中に行なわれる反応または変態としては、一般に、以下のいずれか、すなわち、ポリメラーゼ連鎖反応(直線後指数的(LATE)PCRなどのその変形を含む)、逆転写、エキソヌクレアーゼ活性、エンドヌクレアーゼ活性、および、オリゴヌクレオチドまたは抗体などの他の試薬との交配または結合のうちのいずれかを挙げることができる。他の反応および変態も考えられる。
【0051】
本明細書中に記載される装置は、野外または定常環境、例えば医院、診療所、または、研究室などの任意の場所で用いるように適合させることができる。本明細書中に記載される装置は、可搬型機器によって完全に制御される小型の内蔵型使い捨て消耗品において未熟なユーザがPCRのためのサンプル生成およびPCR自体を行なうことができるようにし、分子生物学の知識を必要としない。装置は、例えば足および口、鳥インフルエンザ、および、ブルータング病または他の病気の検出のためのサンプルを生成するために獣医学的用途で使用できる。装置は、病気が検出される場合に迅速な措置をとることができるように、サンプルが得られる領域で迅速な検出を行なうことができるようにする。否定的応答がもたらされる場合には、サンプルが研究室分析のために離れた場所へ送られなければならない場合に必要となる類の不必要で高価な予防措置をとる必要性を回避する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体から磁性粒子を分離するための装置であって、
(a)流体を保持するための容器と、
(b)磁性粒子と、
(c)その磁場が磁性粒子を容器の表面に対して引き付ける第1の位置とその磁場が磁性粒子に対して実質的に影響を及ぼさない第2の位置との間で移動できる磁石と、を備える装置。
【請求項2】
前記磁石が、容器の軸に対して略直角な面内の湾曲経路に沿って移動できる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記磁性粒子が、テーパ状の閉じられた下端部を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記磁石が、容器の下端に隣接して容器に対して選択的に位置決めでき、
前記磁石が2つの磁極片を備え、該磁極片が、容器の軸と略平行に配列されるとともに、容器の下端部に沿って磁性粒子を集めるための領域を形成するように配置され、容器の端部の下端から移動される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
キュベット内に流体を分配するための装置であって、両端が開放してキュベット内で延びる毛管チューブを備え、毛管チューブの下端がキュベットの閉端の内面と接触し、毛管チューブの上端がキュベットの上端で露出され、毛管チューブの寸法が、流体が毛管チューブの上端に加えられるときに流体が毛管チューブの下端へ流れてキュベット内の空気を毛管チューブの外面とキュベットの内面との間に排出するような寸法になっている、装置。
【請求項6】
請求項1および請求項5の装置を備えるサンプル生成装置。
【請求項7】
サンプル生成装置であって、
(a)該装置の異なる容器間で材料を移送するように構成された流体移送機構であって、容積が変化可能なチャンバを画定するために相対的に移動可能な2つの構成要素を備える流体移送機構と、
(b)チャンバと接続された分配装置であって、容器に対して昇降できるように移動可能であり、前記分配装置の移動と2つの構成要素の互いに対する移動との両方が回転ドライブによってもたらされる分配装置と、
を備える、サンプル生成装置。
【請求項8】
前記2つの構成要素がバレルおよびピストンである、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
回転ドライブは、サンプル生成装置を着脱できる外部ユニットを備える、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
マセレータを有するサンプル入口を備えたサンプル生成装置であって、
前記マセレータが、液体、固体、または、半固体のサンプル材料から流体材料を得る、サンプル生成装置。
【請求項11】
マセレータが、破壊可能なシールによって保護される処理流体の少なくとも1つのリザーバを備え、前記処理流体が、マセレータ手段の手動操作によってサンプル材料と接触する請求項10に記載の装置。
【請求項12】
マセレータは、入口をシールする回転可能なマセレータノブを備え、マセレータノブは、該ノブの回転がノブを下方へ移動させてサンプルをマセレータを通じて押し下げるようにサンプル入口に対して螺合される、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
(a)複数の容器と、(b)容器に対して昇降されて側方に移動されることにより物質を容器間で移送するようになっている移送装置と、(c)移送装置の下端の余分な物質を収集するようになっている吸収材料とを備えるサンプル生成装置。
【請求項14】
吸収材料は、容器の上面に好ましくは配置され、織編物または不織材料であってもよい、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
移送装置は、余分な流体を移送装置の端部から除去することが必要なときに該装置の下端が吸収材料と接触するように下降されるようになっている、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
(a)少なくとも1つの収容容器と、容器から流体を抽出するための装置とを備え、ベースユニットに着脱できるサンプル生成装置と、
(b)第1の位置と第2の位置との間で磁石を移動させるための機構を備えるベースユニットであって、第1の位置で磁石が容器の内容物を引き付けることができ、第2の位置で磁石が容器の内容物に対して実質的に影響を及ぼさない、ベースユニットと、
を備える分析器。
【請求項17】
磁石手段が容器の軸に対して直角な面内で円弧に沿って移動でき、
磁石がサンプル生成装置に装着される、請求項16に記載の分析器。
【請求項18】
(a)分析器と、
(b)複数の容器を備えるサンプル生成装置とを備える装置であって、
前記容器の少なくともいくつかが単一の構成要素として設けられ、
容器のうちの少なくとも1つが構成要素とは別個に設けられて構成要素に装着でき、
別個に設けられた容器には、分析器を制御してサンプル生成装置を特定シーケンスで駆動させるために分析器によって読み取ることができる機械読み取り可能な識別子が設けられ、
前記サンプル生成装置が前記分析器に対して着脱可能となっている、装置。
【請求項19】
物質を識別する方法であって、
(a)様々な物質の生成で用いるのに適する複数の据付の物質容器を有するサンプル生成装置を設ける工程、
(b)少なくとも2つのそれぞれの異なる物質の生成で用いるのに適する異なる物質を収容する少なくとも2つの別個の容器を設け工程、
(c)検出される物質にしたがって別個の容器のうちの1つを選択する工程、
(d)選択された別個の容器をサンプル生成装置に取り付ける工程、
(e)サンプル物質をサンプル生成装置に加える工程、
(f)サンプル生成装置を作動させて物質を生成する工程、及び
(g)生成された物質を識別する工程、を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2011−500056(P2011−500056A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529959(P2010−529959)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/011910
【国際公開番号】WO2009/051821
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(507235789)スミスズ ディテクション−ワトフォード リミテッド (25)
【Fターム(参考)】