サンプル用ダスト捕集装置
【課題】1チャージまたはその途中の真空精錬炉などにから排出される排気ガス中のダストに対して、酸化し易い成分の酸化を防ぎ、容易且つ迅速に分析すべきダストを確実に採取できるサンプル用ダスト捕集装置を提供する。
【解決手段】真空精錬炉などから排出され且つダストを含む排気ガスからサンプル用ダストを捕集する装置であって、排気ガスGが流される排気管7の上流側の入口11と下流側の出口12との間において、上記排気管7と並列に配管されたバイパス管路13と、該バイパス管路13の入口11側に着脱可能に接続され、内部にサイクロンSを内蔵したダスト捕集部20と、上記バイパス管路13の出口12側に配置され、係る出口12側に向かって窒素(ガス)sgを吐出する気流管19と、を含み、上記ダスト捕集部20の内部における上記サイクロンSよりも入口11側の位置には、窒素(不活性ガス)pgを該ダスト捕集部20の内部に供給する給気管16が接続されている、サンプル用ダスト捕集装置10a。
【解決手段】真空精錬炉などから排出され且つダストを含む排気ガスからサンプル用ダストを捕集する装置であって、排気ガスGが流される排気管7の上流側の入口11と下流側の出口12との間において、上記排気管7と並列に配管されたバイパス管路13と、該バイパス管路13の入口11側に着脱可能に接続され、内部にサイクロンSを内蔵したダスト捕集部20と、上記バイパス管路13の出口12側に配置され、係る出口12側に向かって窒素(ガス)sgを吐出する気流管19と、を含み、上記ダスト捕集部20の内部における上記サイクロンSよりも入口11側の位置には、窒素(不活性ガス)pgを該ダスト捕集部20の内部に供給する給気管16が接続されている、サンプル用ダスト捕集装置10a。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、真空精錬炉から排出される排気ガス中からサンプル用ダストを捕集するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、塵を含む空気から火災の原因となるヒューム粉塵やその他の各種ダスト類を除去するため、含塵空気の流入路に連設したほぼ円錐形の吸引管部の風路内に、含塵空気を円周方向に旋回させた状態で進入させ、その際に生じる旋回遠心力によって質量のあるミスト・ダストを上記風路の外壁に沿って進行させることで、係る風路の下方に連設された機体内の下方に配置したダストボックスに上記ミスト・ダストを落下・回収するプレダスト分離器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−235123号公報(第1〜7頁、図1〜4)
【0004】
ところで、ステンレス鋼の真空精錬では、AOD法などの真空精錬中に精錬炉から排出される排気ガス中のダスト中に、易酸化性の金属粉(例えば、Mg粉やMn粉)が含まれていると、下流側の集塵機の内部で堆積し、精錬が終了した際などに、上記易酸化性の金属粉と空気中の酸素とが急激に酸化反応し、燃焼に至るなどの危険がある。
そのため、数チャージにわたる精錬終了後に、サイクロンなどの集塵機や排気ダクト内に堆積したダストを採取・分析して、Mg粉などの易酸化性の金属粉が含まれているか否か分析する必要がある。
【0005】
しかしながら、数チャージ分にわたりダクト内などに堆積したダストを採取せざるを得ないため、1チャージ分あるいはその途中においてダストを採取できなかった。更に、ダスト中のMg粉などの易酸化性の金属粉は、採取と同時に大気に触れて酸化してしまうため、所要の分析値を得ることができなかった。しかも、集塵機やダクト内に堆積したダストを採取する作業は、多大な労力と時間とを要すると共に、作業者にとって大変危険でもあり、安全上および衛生上の観点からも問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、背景技術において説明した問題点を解決し、1チャージまたはその途中での真空精錬などにより排出される排気ガス中のダストに対して、酸化し易い成分の酸化を防ぎ、容易且つ迅速に分析用のダストを確実に採取できるサンプル用ダスト捕集装置を提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するため、発明者らの創意による結果、排気ガスが流される排気管に対し、これの一部と並列となるバイパス管路を配管し、係るバイパス管路の一部に着脱可能で且つ内部に比較的小型のサイクロンを内蔵したダスト捕集部を設ける、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明によるサンプル用ダスト捕集装置(請求項1)は、真空精錬炉または減圧精錬炉から排出され且つダストを含む排気ガスからサンプル用ダストを捕集する装置であって、上記排気ガスが流される排気管の上流側と下流側との間において、係る排気管と並列に配管されたバイパス管路と、係るバイパス管路の入口側に着脱可能に接続され、内部にサイクロンを内蔵したダスト捕集部と、上記バイパス管路の出口側に配置され、係る出口側に向かってガスを吐出する気流管と、を含む、ことを特徴とする。
【0008】
更に、本発明には、前記ダスト捕集部の内部における前記サイクロンよりも入口側の位置には、不活性ガスを当該ダスト捕集部の内部に供給する給気管が接続されている、サンプル用ダスト捕集装置(請求項2)も含まれる。
【発明の効果】
【0009】
前記請求項1のサンプル用ダスト捕集装置によれば、前記バイパス管路の出口側に配置された気流管から排気管と合流する出口側に向かってガスを吐出してバイパス管路の入口側を低圧化することで、前記精錬炉などから排出されて排気管中に流された排気ガスの一部を、入口からバイパス管内に取り込み、且つ前記サイクロンによる気流とダストとの分離作用によって、排気ガス中に含まれるダストをダスト捕集部に採取できる。このため、1チャージあるいはその途中での真空精錬などにより排出される排気ガス中のダストであっても、容易且つ迅速に分析用のダストを確実に採取できる。従って、従来のように多くの労力や時間を要さず、作業も安全に行えると共に、衛生上の観点から良好となる。
【0010】
更に、前記請求項2のサンプル用ダスト捕集装置によれば、給気管から窒素などの不活性ガスをダスト捕集部の内部に供給することで、排気ガスから採取されたダスト中にMg粉などの易酸化性の金属粉が含まれていても、係る金属粉を酸化させることなく、分析に提供することができる。
【0011】
尚、前記真空精錬炉または減圧精錬炉には、例えば、VOD法、DH脱ガス法、またはRH脱ガス法に用いる真空炉やAOD法用の転炉などのほか、減圧造塊や減圧鋳造などに用いられ、取鍋精錬炉や真空炉と併設された鋳型なども含まれる。
また、前記排気管は、上記精錬炉の炉蓋から外側に延びており、比較的重く大きな塵埃を捕集する上流側のサイクロン(慣性式集塵機)と、比較的軽量で微細な塵埃を捕集する下流側のバグフィルタ(濾過式集塵機)と、を途中に有している。
更に、前記サンプル用ダストの捕集装置は、上記排気管における上流側のサイクロンと下流側のバグフィルタとの間に配置され、ダスト中に含まれる易酸化性のMg粉やMn粉などが酸化されているか、あるいは非酸化状態であるかを判別するために用いられる。その際、Mg粉やMn粉などの金属粉が非酸化状態の場合、下流側で急激に酸化されて燃焼を生じ、危険になり得ることが予測される。
【0012】
また、前記バイパス管路は、前記排気管に対してほぼ平行な管部を含む全体がほぼU字形、あるいは逆U字形を呈するが、係る形態に限定されない。
更に、前記バイパス管路の入口は、前記排気管の内部に位置し且つ上流側に向かって斜めに開口し、且つ当該バイパス管路の出口は、排気管の内部に位置し且つ下流側に向かって斜めに開口することで、排気ガスの吸い込みと排出とをスムーズに果たすことができる。
また、前記ダスト捕集部の両端部には、前記サイクロンを含む内部を開閉する一対のバルブが取り付けられる。
更に、前記気流管は、前記バイパス管路における出口側のパイプの中心部に吐出口が位置するように配置され、その吐出口は、バイパス管路の出口側に配置した側面視でアール形または略V字形の縮径部の中心部に配置することが望ましい。
加えて、前記気流管から吐出されるガスは、コストなどの観点からエアが推奨されるが、ダスト捕集部に酸素が進入する可能性を低減するため、窒素やArなどの不活性ガスを用いたり、あるいは、窒素とArとの混合ガスを用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のサンプル用ダスト捕集装置を含む排気ガスの流れ図。
【図2】図1の流れ図で且つ1チャージの精錬後における状態を示す概略図。
【図3】本発明による一形態のサンプル用ダスト捕集装置を示す概略図。
【図4】上記ダスト捕集装置からダスト捕集部を取り外した状態の概略図。
【図5】異なる形態のサンプル用ダスト捕集装置を示す概略図。
【図6】上記ダスト捕集装置からダスト捕集部を取り外した状態の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明による一形態のサンプル用ダスト捕集装置(以下、単にダスト捕集装置と称する)10aを含む排気ガスGの流れ図である。
図1に示すように、真空精錬炉1は、例えば、ステンレス鋼の溶鋼Mを2次精錬するため、ほぼ円筒形の炉体2の底部から精錬用ガスg1(Arのみ、あるいはArおよび酸素の双方)を吹き込んでAOD法(アルゴン・酸素吹込法)を施す。上記溶鋼Mは、炉蓋3によって真空にされた炉体2内において、脱炭期にはArと酸素とが吹き込まれ、含有していた炭素をCOやCO2として排出する。更に、還元期にはArのみが吹き込まれ、当該溶鋼M中の炭素とCr酸化物とを反応させて、COやCO2が排出される。係るCO2など、FeOnなどの酸化物、およびMnなどの合金用成分の一部、あるいはMgOなどの耐火物から一部が還元された成分が、溶鋼Mの湯面から炉体2内を上昇して排気ガスGとなる。
係る排気ガスGは、図1に示すように、炉体2の開口部を閉鎖する炉蓋3に接続された排気管4、サイクロン(慣性式集塵機)6,排気管7,バグフイルタ(濾過式集塵機)8、および排気管9を経て、含有するダストなどを除去されることで、無害化および清浄化される。
【0015】
尚、図1中のサイクロン6は、比較的重く大きな塵埃(例えば、FeOなどの酸化物)を捕集・除去し、バグフイルタ8は、比較的軽く微細な塵埃(例えば、Mg粉など)を捕集・除去するために用いられる。
また、前記溶鋼Mは、脱炭期および還元期を経て所要の2次精錬を施された後、前記炉蓋3を取り外し、炉体2を斜め横向きに傾けて取鍋(図示せず)などに出湯され、これによって1チャージ分の真空精錬が終了する。
更に、前記サイクロン6とバグフイルタ8との間の排気管7の中間には、本発明によるダスト捕集装置10aが配管されている。
【0016】
本発明による一形態のダスト捕集装置10aは、図2に示すように、全体が排気管7の下方に配置されており、係る排気管7の上流側に接続した入口11と下流側に接続した出口12との間に並列に配管され、且つ側面視がほぼU字形を呈するバイパス管路13と、係るバイパス管路13の入口11側に着脱可能に接続され、且つ内部に比較的小型のサイクロンSを内蔵したダスト捕集部20と、出口12側の太径部18内に配置された気流管19と、を備えている。
入口11は、排気管7の上流側に向かって斜めに開口し、出口12は、排気管7の下流側に向かって斜めに開口することで、バイパス管路13への排気ガスGの取り込みおよびバイパス管路13からの排気ガスGの戻りを容易にしている。
バイパス管路13は、図2に示すように、継ぎ手J1,J2を介して排気管7に接続され、入口11側には、継ぎ手J1、弁V1、および太径部16aを介して、弁V3およびダスト捕集部20と接続する継ぎ手j1が接続されている。 尚、上記太径部16aには、給気管16が接続されている。係る給気管16は、サイクロンS内に捕集されるダストを保護するため、サイクロンS内に向かって窒素(パージ用不活性ガス)pgを、ダスト捕集中において常時供給する。
【0017】
また、バイパス管路13の出口12側には、継ぎ手J2を介して、弁V2を途中に有する戻り管17と、中心部の軸方向に沿って気流管19を出口12側に向かって配置した太径部18とが接続されている。係るバイパス管路13の水平部の上流側には、弁部V4およびダスト捕集部20と接続する継ぎ手j2が接続されている。
一方、ダスト捕集部20は、図2に示すように、継ぎ手j1、弁V3、比較的小型のサイクロンS、弁V4、および継ぎ手j2を垂直方向に沿って有する。サイクロンSは、円筒形の外筒15aの内側に、入口11側に向かって頂点が位置するコーン(円錐)部14と、係るコーン部14の下流側に接続され且つ外筒15aと同軸に配置された内筒15とを有し、内筒15の周面に開口した複数の透孔hがバイパス管13の下流側に連通している。
【0018】
図1に示すように、前記精錬炉1から排出された排気ガスGは、排気管4を経て送られたサイクロン6内において比較的重く大きな塵埃(FeOなど)を除去された後、排気管7を流れてバグフィルタ8側に流される。
予め、図2に示すように、ダスト捕集装置10aにおいて、気流管19から窒素(ガス)sgを出口12側に向かって吐出し、入口11側を負圧化すると共に、弁V1〜V4を開放しておく。また、太径部16aの給気管16からサイクロンS内に向かって窒素pgを供給しておく。
係る状態で、排気ガスG中の一部の排気ガスgは、入口11から開放状態の弁V1、太径部16a、およびダスト捕集部20側おける開放状態の弁のV3を経て、サイクロンS内に送られる。
【0019】
すると、バイパス管路13の入口11側から軸方向に沿って流された前記排気ガスgは、図2に示すように、サイクロンS内のコーン部14によって遠心力を付与され、円周方向で且つ螺旋形状に回転しつつ内筒15側に降下し、係る内筒15に開設された複数の透孔hから当該内筒15の内側に入り、弁V4、継ぎ手j2、および弁V2を経て、バイパス管13の下流側に送られる。この際、上記排気ガスg中に含まれていたMg粉などを含むダストdは、当該排気ガスgから分離され、サイクロンS内における内筒15の底辺を囲む外筒15aの底面および側面に付着し、徐々に堆積される。
一方、ダストdを分離された排気ガスgは、バイパス管13の太径部18内で気流管19から吐出される窒素sgによって出口12側に向かって送られ、戻り管17、弁V2、および出口12を経て、排気管7内に復流し、下流の第バグフィルタ8側に向かって送られる。尚、以上の間においても、前記排気ガスGの大半は、排気管7中を連続して流れている。
【0020】
例えば、前記精錬炉1で1チャージの精錬が終了した時点で、気流管19からの窒素sgの吐出を停止し、太径部16aの給気管16からサイクロンS内への窒素pgの供給を停止し、更に弁V1〜V4を閉鎖した後、継ぎ手j1,j2を分離し、図3に示すように、ダスト捕集部20をバイパス管路13の入口11側から取り外す。この際、継ぎ手j1,j2間は開放されるが、弁V1,V2が閉鎖しているため、排気管7中の排気ガスGは、バイパス管路13内に進入しない。
弁V3,V4によって上下の両端が閉鎖され、且つ窒素pgによって内側がハージされたダスト捕集部20は、図4中の破線の矢印で示すように、バイパス管路13から取り外され、そのサイクロンS内からダストdが採取され、係るダストdの成分および当該成分の性状が所定の分析手段よって分析ANされる。
【0021】
例えば、前記分析ANにより採取されたダストd中に未酸化のMg粉あるいはMn粉が発見された場合には、前記精錬炉1内において、係るMg粉などの酸化が不十分であったことが判明する。
尚、前記ダストdが採取されたダスト捕集部20は、図1,図2で示したように、再びバイパス管路13内に戻される。また、バイパス管路13からのダスト捕集部20の取り外しは、真空精錬の1チャージの途中でも行えるので、複数の捕集部20を用意し、真空精錬の段階(脱炭期や還元期、あるいはこれらの前段・後段など)ごとにおいて、分析AN用のダストdを採取することも可能である。
【0022】
以上のようなダスト捕集装置10aによれば、前記気流管19から出口12側に向かって窒素sgを吐出し、バイパス管路13の入口11側を低圧化することで、前記精錬炉1から排出されて排気管7中に流された排気ガスGの一部gを、バイパス管13内に取り込み、サイクロンSによる気流とダストdとの分離作用により、排気ガスg中のダストdをダスト捕集部20に採取できる。このため、1チャージあるいはその途中での真空精錬にて排出される排気ガスG(g)中のダストdを、分析用として容易、迅速、且つ確実に採取できる。
しかも、給気管16から窒素pgをダスト捕集部20内にダスト捕集中に常時供給することで、採取されたダストd中にMg粉などの易酸化成分が含まれていても、係る成分を酸化させずに分析できる。そのため、前記精錬炉1内に対し、次の精錬に支障とならない範囲でエアなどを吹き込み、予めMg粉などを酸化させるに際し、その吹き込みタイミングを適切に選定するのに活用できる。
従って、従来のように多くの労力や時間を要さず、作業も安全且つ衛生的に行え、易酸化成分の不用意な燃焼も予防可能となる。
【0023】
図5は、異なる形態のダスト捕集装置10bを示す概略図、図6は、係る捕集装置10bからダスト捕集部20を取り外した状態の概略図である。
このダスト捕集装置10bは、図5に示すように、全体が排気管7の上方に配置されており、係る排気管7の上流側に接続した入口11と下流側に接続した出口12との間に並列に配管され、且つ側面視がほぼ逆U字形を呈するバイパス管路13と、係るバイパス管路13の入口11側に着脱可能に接続され、且つサイクロンSを内蔵した前記同様のダスト捕集部20と、出口12側の内部に配置された前記同様の気流管19と、を備えている。
係るダスト捕集装置10bが前記ダスト捕集装置10aと相違するのは、ダスト捕集部20のサイクロンSにおいて、図5に示すように、コーン部14を下方に配置し、その上方に内筒部15を配置していると共に、コーン部14に隣接する外筒15aの側面および底面にダストdが付着するようにした構造である。
【0024】
前記同様に、前記精錬炉1から排出されて排気管7を流れる排気ガスGの一部の排気ガスgは、予め弁V1〜V4が開放され、且つ気流管19から窒素が出口12側に向かって吐出されているダスト捕集装置1bの入口11からバイパス管路13内に送られる。尚、前記同様に、給気管16からサイクロンS内に向かって窒素pgが供給されている。
上記排気ガスgは、サイクロンS内において遠心力を付与され、Mg粉などを含むダストdを分離され、該ダストdは、コーン部14に隣接する外筒15aのリング形の側面および底面に付着して堆積される。係るダストdを分離された排気ガスgは、前記同様にバイパス管路13の下流側に送られ、気流管19から吐出された窒素と共に、出口12を経て排気管7の下流側へ戻される。
前記同様に精錬が終了した時点で、図6に示すように、気流管19からの窒素sgの吐出を停止し、給気管16からの窒素pgの供給を停止し、弁V1〜V4を閉鎖した後、継ぎ手j1,j2を分離して、ダスト捕集部20をバイパス管13の入口11側から取り外す。
【0025】
これ以降は、前記図4に示したと同様に、サイクロンS内のダストdを採取して分析ANし、未酸化のMg粉などがあるか否か判定され、その結果に応じて、エアなどを、前記精錬炉1の蓋3内に吹き込むタイミングを設定し、あるいは適宜変更する。
以上のようなダスト捕集装置10bによっても、前記ダスト捕集装置10aと同様な作用を生じさせることができ、且つ同様な効果を奏することができる。
【0026】
本発明のダスト捕集装置は、以上において説明した各形態に限定されない。
例えば、本発明のダスト捕集装置によりダストを採取すべき排気ガスは、前記AOD法以外の真空精錬炉などからの排気ガスのほか、減圧造塊や減圧鋳造などに用いられ、鋳型を併設した取鍋精錬炉などから排出される排気ガスも含まれる。
また、前記バイパス管路は、前記形態に限らず、例えば、全体がほぼV字形、ほぼ逆V字形、ほぼC字形、ほぼJ字形、あるいは、ほぼL字形であっても良い。
更に、前記ダスト捕集部に設けるサイクロンは、2個以上を連設しても良い。
加えて、前記バイパス管路に対し、複数のダスト捕集部を併設しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明のダスト捕集装置は、真空精錬炉などから排出される排気ガス中からサンプル用ダストを捕集するために利用される。
【符号の説明】
【0028】
1…………………真空精錬炉
7…………………排気管
10a,10b…ダスト捕集装置
13………………バイパス管路
16………………給気管
19………………気流管
20………………ダスト捕集部
G,g……………排気ガス
S…………………サイクロン
pg………………窒素(不活性ガス)
sg………………窒素(ガス)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、真空精錬炉から排出される排気ガス中からサンプル用ダストを捕集するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、塵を含む空気から火災の原因となるヒューム粉塵やその他の各種ダスト類を除去するため、含塵空気の流入路に連設したほぼ円錐形の吸引管部の風路内に、含塵空気を円周方向に旋回させた状態で進入させ、その際に生じる旋回遠心力によって質量のあるミスト・ダストを上記風路の外壁に沿って進行させることで、係る風路の下方に連設された機体内の下方に配置したダストボックスに上記ミスト・ダストを落下・回収するプレダスト分離器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−235123号公報(第1〜7頁、図1〜4)
【0004】
ところで、ステンレス鋼の真空精錬では、AOD法などの真空精錬中に精錬炉から排出される排気ガス中のダスト中に、易酸化性の金属粉(例えば、Mg粉やMn粉)が含まれていると、下流側の集塵機の内部で堆積し、精錬が終了した際などに、上記易酸化性の金属粉と空気中の酸素とが急激に酸化反応し、燃焼に至るなどの危険がある。
そのため、数チャージにわたる精錬終了後に、サイクロンなどの集塵機や排気ダクト内に堆積したダストを採取・分析して、Mg粉などの易酸化性の金属粉が含まれているか否か分析する必要がある。
【0005】
しかしながら、数チャージ分にわたりダクト内などに堆積したダストを採取せざるを得ないため、1チャージ分あるいはその途中においてダストを採取できなかった。更に、ダスト中のMg粉などの易酸化性の金属粉は、採取と同時に大気に触れて酸化してしまうため、所要の分析値を得ることができなかった。しかも、集塵機やダクト内に堆積したダストを採取する作業は、多大な労力と時間とを要すると共に、作業者にとって大変危険でもあり、安全上および衛生上の観点からも問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、背景技術において説明した問題点を解決し、1チャージまたはその途中での真空精錬などにより排出される排気ガス中のダストに対して、酸化し易い成分の酸化を防ぎ、容易且つ迅速に分析用のダストを確実に採取できるサンプル用ダスト捕集装置を提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するため、発明者らの創意による結果、排気ガスが流される排気管に対し、これの一部と並列となるバイパス管路を配管し、係るバイパス管路の一部に着脱可能で且つ内部に比較的小型のサイクロンを内蔵したダスト捕集部を設ける、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明によるサンプル用ダスト捕集装置(請求項1)は、真空精錬炉または減圧精錬炉から排出され且つダストを含む排気ガスからサンプル用ダストを捕集する装置であって、上記排気ガスが流される排気管の上流側と下流側との間において、係る排気管と並列に配管されたバイパス管路と、係るバイパス管路の入口側に着脱可能に接続され、内部にサイクロンを内蔵したダスト捕集部と、上記バイパス管路の出口側に配置され、係る出口側に向かってガスを吐出する気流管と、を含む、ことを特徴とする。
【0008】
更に、本発明には、前記ダスト捕集部の内部における前記サイクロンよりも入口側の位置には、不活性ガスを当該ダスト捕集部の内部に供給する給気管が接続されている、サンプル用ダスト捕集装置(請求項2)も含まれる。
【発明の効果】
【0009】
前記請求項1のサンプル用ダスト捕集装置によれば、前記バイパス管路の出口側に配置された気流管から排気管と合流する出口側に向かってガスを吐出してバイパス管路の入口側を低圧化することで、前記精錬炉などから排出されて排気管中に流された排気ガスの一部を、入口からバイパス管内に取り込み、且つ前記サイクロンによる気流とダストとの分離作用によって、排気ガス中に含まれるダストをダスト捕集部に採取できる。このため、1チャージあるいはその途中での真空精錬などにより排出される排気ガス中のダストであっても、容易且つ迅速に分析用のダストを確実に採取できる。従って、従来のように多くの労力や時間を要さず、作業も安全に行えると共に、衛生上の観点から良好となる。
【0010】
更に、前記請求項2のサンプル用ダスト捕集装置によれば、給気管から窒素などの不活性ガスをダスト捕集部の内部に供給することで、排気ガスから採取されたダスト中にMg粉などの易酸化性の金属粉が含まれていても、係る金属粉を酸化させることなく、分析に提供することができる。
【0011】
尚、前記真空精錬炉または減圧精錬炉には、例えば、VOD法、DH脱ガス法、またはRH脱ガス法に用いる真空炉やAOD法用の転炉などのほか、減圧造塊や減圧鋳造などに用いられ、取鍋精錬炉や真空炉と併設された鋳型なども含まれる。
また、前記排気管は、上記精錬炉の炉蓋から外側に延びており、比較的重く大きな塵埃を捕集する上流側のサイクロン(慣性式集塵機)と、比較的軽量で微細な塵埃を捕集する下流側のバグフィルタ(濾過式集塵機)と、を途中に有している。
更に、前記サンプル用ダストの捕集装置は、上記排気管における上流側のサイクロンと下流側のバグフィルタとの間に配置され、ダスト中に含まれる易酸化性のMg粉やMn粉などが酸化されているか、あるいは非酸化状態であるかを判別するために用いられる。その際、Mg粉やMn粉などの金属粉が非酸化状態の場合、下流側で急激に酸化されて燃焼を生じ、危険になり得ることが予測される。
【0012】
また、前記バイパス管路は、前記排気管に対してほぼ平行な管部を含む全体がほぼU字形、あるいは逆U字形を呈するが、係る形態に限定されない。
更に、前記バイパス管路の入口は、前記排気管の内部に位置し且つ上流側に向かって斜めに開口し、且つ当該バイパス管路の出口は、排気管の内部に位置し且つ下流側に向かって斜めに開口することで、排気ガスの吸い込みと排出とをスムーズに果たすことができる。
また、前記ダスト捕集部の両端部には、前記サイクロンを含む内部を開閉する一対のバルブが取り付けられる。
更に、前記気流管は、前記バイパス管路における出口側のパイプの中心部に吐出口が位置するように配置され、その吐出口は、バイパス管路の出口側に配置した側面視でアール形または略V字形の縮径部の中心部に配置することが望ましい。
加えて、前記気流管から吐出されるガスは、コストなどの観点からエアが推奨されるが、ダスト捕集部に酸素が進入する可能性を低減するため、窒素やArなどの不活性ガスを用いたり、あるいは、窒素とArとの混合ガスを用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のサンプル用ダスト捕集装置を含む排気ガスの流れ図。
【図2】図1の流れ図で且つ1チャージの精錬後における状態を示す概略図。
【図3】本発明による一形態のサンプル用ダスト捕集装置を示す概略図。
【図4】上記ダスト捕集装置からダスト捕集部を取り外した状態の概略図。
【図5】異なる形態のサンプル用ダスト捕集装置を示す概略図。
【図6】上記ダスト捕集装置からダスト捕集部を取り外した状態の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明による一形態のサンプル用ダスト捕集装置(以下、単にダスト捕集装置と称する)10aを含む排気ガスGの流れ図である。
図1に示すように、真空精錬炉1は、例えば、ステンレス鋼の溶鋼Mを2次精錬するため、ほぼ円筒形の炉体2の底部から精錬用ガスg1(Arのみ、あるいはArおよび酸素の双方)を吹き込んでAOD法(アルゴン・酸素吹込法)を施す。上記溶鋼Mは、炉蓋3によって真空にされた炉体2内において、脱炭期にはArと酸素とが吹き込まれ、含有していた炭素をCOやCO2として排出する。更に、還元期にはArのみが吹き込まれ、当該溶鋼M中の炭素とCr酸化物とを反応させて、COやCO2が排出される。係るCO2など、FeOnなどの酸化物、およびMnなどの合金用成分の一部、あるいはMgOなどの耐火物から一部が還元された成分が、溶鋼Mの湯面から炉体2内を上昇して排気ガスGとなる。
係る排気ガスGは、図1に示すように、炉体2の開口部を閉鎖する炉蓋3に接続された排気管4、サイクロン(慣性式集塵機)6,排気管7,バグフイルタ(濾過式集塵機)8、および排気管9を経て、含有するダストなどを除去されることで、無害化および清浄化される。
【0015】
尚、図1中のサイクロン6は、比較的重く大きな塵埃(例えば、FeOなどの酸化物)を捕集・除去し、バグフイルタ8は、比較的軽く微細な塵埃(例えば、Mg粉など)を捕集・除去するために用いられる。
また、前記溶鋼Mは、脱炭期および還元期を経て所要の2次精錬を施された後、前記炉蓋3を取り外し、炉体2を斜め横向きに傾けて取鍋(図示せず)などに出湯され、これによって1チャージ分の真空精錬が終了する。
更に、前記サイクロン6とバグフイルタ8との間の排気管7の中間には、本発明によるダスト捕集装置10aが配管されている。
【0016】
本発明による一形態のダスト捕集装置10aは、図2に示すように、全体が排気管7の下方に配置されており、係る排気管7の上流側に接続した入口11と下流側に接続した出口12との間に並列に配管され、且つ側面視がほぼU字形を呈するバイパス管路13と、係るバイパス管路13の入口11側に着脱可能に接続され、且つ内部に比較的小型のサイクロンSを内蔵したダスト捕集部20と、出口12側の太径部18内に配置された気流管19と、を備えている。
入口11は、排気管7の上流側に向かって斜めに開口し、出口12は、排気管7の下流側に向かって斜めに開口することで、バイパス管路13への排気ガスGの取り込みおよびバイパス管路13からの排気ガスGの戻りを容易にしている。
バイパス管路13は、図2に示すように、継ぎ手J1,J2を介して排気管7に接続され、入口11側には、継ぎ手J1、弁V1、および太径部16aを介して、弁V3およびダスト捕集部20と接続する継ぎ手j1が接続されている。 尚、上記太径部16aには、給気管16が接続されている。係る給気管16は、サイクロンS内に捕集されるダストを保護するため、サイクロンS内に向かって窒素(パージ用不活性ガス)pgを、ダスト捕集中において常時供給する。
【0017】
また、バイパス管路13の出口12側には、継ぎ手J2を介して、弁V2を途中に有する戻り管17と、中心部の軸方向に沿って気流管19を出口12側に向かって配置した太径部18とが接続されている。係るバイパス管路13の水平部の上流側には、弁部V4およびダスト捕集部20と接続する継ぎ手j2が接続されている。
一方、ダスト捕集部20は、図2に示すように、継ぎ手j1、弁V3、比較的小型のサイクロンS、弁V4、および継ぎ手j2を垂直方向に沿って有する。サイクロンSは、円筒形の外筒15aの内側に、入口11側に向かって頂点が位置するコーン(円錐)部14と、係るコーン部14の下流側に接続され且つ外筒15aと同軸に配置された内筒15とを有し、内筒15の周面に開口した複数の透孔hがバイパス管13の下流側に連通している。
【0018】
図1に示すように、前記精錬炉1から排出された排気ガスGは、排気管4を経て送られたサイクロン6内において比較的重く大きな塵埃(FeOなど)を除去された後、排気管7を流れてバグフィルタ8側に流される。
予め、図2に示すように、ダスト捕集装置10aにおいて、気流管19から窒素(ガス)sgを出口12側に向かって吐出し、入口11側を負圧化すると共に、弁V1〜V4を開放しておく。また、太径部16aの給気管16からサイクロンS内に向かって窒素pgを供給しておく。
係る状態で、排気ガスG中の一部の排気ガスgは、入口11から開放状態の弁V1、太径部16a、およびダスト捕集部20側おける開放状態の弁のV3を経て、サイクロンS内に送られる。
【0019】
すると、バイパス管路13の入口11側から軸方向に沿って流された前記排気ガスgは、図2に示すように、サイクロンS内のコーン部14によって遠心力を付与され、円周方向で且つ螺旋形状に回転しつつ内筒15側に降下し、係る内筒15に開設された複数の透孔hから当該内筒15の内側に入り、弁V4、継ぎ手j2、および弁V2を経て、バイパス管13の下流側に送られる。この際、上記排気ガスg中に含まれていたMg粉などを含むダストdは、当該排気ガスgから分離され、サイクロンS内における内筒15の底辺を囲む外筒15aの底面および側面に付着し、徐々に堆積される。
一方、ダストdを分離された排気ガスgは、バイパス管13の太径部18内で気流管19から吐出される窒素sgによって出口12側に向かって送られ、戻り管17、弁V2、および出口12を経て、排気管7内に復流し、下流の第バグフィルタ8側に向かって送られる。尚、以上の間においても、前記排気ガスGの大半は、排気管7中を連続して流れている。
【0020】
例えば、前記精錬炉1で1チャージの精錬が終了した時点で、気流管19からの窒素sgの吐出を停止し、太径部16aの給気管16からサイクロンS内への窒素pgの供給を停止し、更に弁V1〜V4を閉鎖した後、継ぎ手j1,j2を分離し、図3に示すように、ダスト捕集部20をバイパス管路13の入口11側から取り外す。この際、継ぎ手j1,j2間は開放されるが、弁V1,V2が閉鎖しているため、排気管7中の排気ガスGは、バイパス管路13内に進入しない。
弁V3,V4によって上下の両端が閉鎖され、且つ窒素pgによって内側がハージされたダスト捕集部20は、図4中の破線の矢印で示すように、バイパス管路13から取り外され、そのサイクロンS内からダストdが採取され、係るダストdの成分および当該成分の性状が所定の分析手段よって分析ANされる。
【0021】
例えば、前記分析ANにより採取されたダストd中に未酸化のMg粉あるいはMn粉が発見された場合には、前記精錬炉1内において、係るMg粉などの酸化が不十分であったことが判明する。
尚、前記ダストdが採取されたダスト捕集部20は、図1,図2で示したように、再びバイパス管路13内に戻される。また、バイパス管路13からのダスト捕集部20の取り外しは、真空精錬の1チャージの途中でも行えるので、複数の捕集部20を用意し、真空精錬の段階(脱炭期や還元期、あるいはこれらの前段・後段など)ごとにおいて、分析AN用のダストdを採取することも可能である。
【0022】
以上のようなダスト捕集装置10aによれば、前記気流管19から出口12側に向かって窒素sgを吐出し、バイパス管路13の入口11側を低圧化することで、前記精錬炉1から排出されて排気管7中に流された排気ガスGの一部gを、バイパス管13内に取り込み、サイクロンSによる気流とダストdとの分離作用により、排気ガスg中のダストdをダスト捕集部20に採取できる。このため、1チャージあるいはその途中での真空精錬にて排出される排気ガスG(g)中のダストdを、分析用として容易、迅速、且つ確実に採取できる。
しかも、給気管16から窒素pgをダスト捕集部20内にダスト捕集中に常時供給することで、採取されたダストd中にMg粉などの易酸化成分が含まれていても、係る成分を酸化させずに分析できる。そのため、前記精錬炉1内に対し、次の精錬に支障とならない範囲でエアなどを吹き込み、予めMg粉などを酸化させるに際し、その吹き込みタイミングを適切に選定するのに活用できる。
従って、従来のように多くの労力や時間を要さず、作業も安全且つ衛生的に行え、易酸化成分の不用意な燃焼も予防可能となる。
【0023】
図5は、異なる形態のダスト捕集装置10bを示す概略図、図6は、係る捕集装置10bからダスト捕集部20を取り外した状態の概略図である。
このダスト捕集装置10bは、図5に示すように、全体が排気管7の上方に配置されており、係る排気管7の上流側に接続した入口11と下流側に接続した出口12との間に並列に配管され、且つ側面視がほぼ逆U字形を呈するバイパス管路13と、係るバイパス管路13の入口11側に着脱可能に接続され、且つサイクロンSを内蔵した前記同様のダスト捕集部20と、出口12側の内部に配置された前記同様の気流管19と、を備えている。
係るダスト捕集装置10bが前記ダスト捕集装置10aと相違するのは、ダスト捕集部20のサイクロンSにおいて、図5に示すように、コーン部14を下方に配置し、その上方に内筒部15を配置していると共に、コーン部14に隣接する外筒15aの側面および底面にダストdが付着するようにした構造である。
【0024】
前記同様に、前記精錬炉1から排出されて排気管7を流れる排気ガスGの一部の排気ガスgは、予め弁V1〜V4が開放され、且つ気流管19から窒素が出口12側に向かって吐出されているダスト捕集装置1bの入口11からバイパス管路13内に送られる。尚、前記同様に、給気管16からサイクロンS内に向かって窒素pgが供給されている。
上記排気ガスgは、サイクロンS内において遠心力を付与され、Mg粉などを含むダストdを分離され、該ダストdは、コーン部14に隣接する外筒15aのリング形の側面および底面に付着して堆積される。係るダストdを分離された排気ガスgは、前記同様にバイパス管路13の下流側に送られ、気流管19から吐出された窒素と共に、出口12を経て排気管7の下流側へ戻される。
前記同様に精錬が終了した時点で、図6に示すように、気流管19からの窒素sgの吐出を停止し、給気管16からの窒素pgの供給を停止し、弁V1〜V4を閉鎖した後、継ぎ手j1,j2を分離して、ダスト捕集部20をバイパス管13の入口11側から取り外す。
【0025】
これ以降は、前記図4に示したと同様に、サイクロンS内のダストdを採取して分析ANし、未酸化のMg粉などがあるか否か判定され、その結果に応じて、エアなどを、前記精錬炉1の蓋3内に吹き込むタイミングを設定し、あるいは適宜変更する。
以上のようなダスト捕集装置10bによっても、前記ダスト捕集装置10aと同様な作用を生じさせることができ、且つ同様な効果を奏することができる。
【0026】
本発明のダスト捕集装置は、以上において説明した各形態に限定されない。
例えば、本発明のダスト捕集装置によりダストを採取すべき排気ガスは、前記AOD法以外の真空精錬炉などからの排気ガスのほか、減圧造塊や減圧鋳造などに用いられ、鋳型を併設した取鍋精錬炉などから排出される排気ガスも含まれる。
また、前記バイパス管路は、前記形態に限らず、例えば、全体がほぼV字形、ほぼ逆V字形、ほぼC字形、ほぼJ字形、あるいは、ほぼL字形であっても良い。
更に、前記ダスト捕集部に設けるサイクロンは、2個以上を連設しても良い。
加えて、前記バイパス管路に対し、複数のダスト捕集部を併設しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明のダスト捕集装置は、真空精錬炉などから排出される排気ガス中からサンプル用ダストを捕集するために利用される。
【符号の説明】
【0028】
1…………………真空精錬炉
7…………………排気管
10a,10b…ダスト捕集装置
13………………バイパス管路
16………………給気管
19………………気流管
20………………ダスト捕集部
G,g……………排気ガス
S…………………サイクロン
pg………………窒素(不活性ガス)
sg………………窒素(ガス)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空精錬炉または減圧精錬炉から排出され且つダストを含む排気ガスからサンプル用ダストを捕集する装置であって、
上記排気ガスが流される排気管の上流側と下流側との間において、係る排気管と並列に配管されたバイパス管路と、
上記バイパス管路の入口側に着脱可能に接続され、内部にサイクロンを内蔵したダスト捕集部と、
上記バイパス管路の出口側に配置され、係る出口側に向かってガスを吐出する気流管と、を含む、
ことを特徴とするサンプル用ダスト捕集装置。
【請求項2】
前記ダスト捕集部の内部における前記サイクロンよりも入口側の位置には、不活性ガスを当該ダスト捕集部の内部に供給する給気管が接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のサンプル用ダスト捕集装置。
【請求項1】
真空精錬炉または減圧精錬炉から排出され且つダストを含む排気ガスからサンプル用ダストを捕集する装置であって、
上記排気ガスが流される排気管の上流側と下流側との間において、係る排気管と並列に配管されたバイパス管路と、
上記バイパス管路の入口側に着脱可能に接続され、内部にサイクロンを内蔵したダスト捕集部と、
上記バイパス管路の出口側に配置され、係る出口側に向かってガスを吐出する気流管と、を含む、
ことを特徴とするサンプル用ダスト捕集装置。
【請求項2】
前記ダスト捕集部の内部における前記サイクロンよりも入口側の位置には、不活性ガスを当該ダスト捕集部の内部に供給する給気管が接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のサンプル用ダスト捕集装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2010−261795(P2010−261795A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112394(P2009−112394)
【出願日】平成21年5月6日(2009.5.6)
【出願人】(000003713)大同特殊鋼株式会社 (916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月6日(2009.5.6)
【出願人】(000003713)大同特殊鋼株式会社 (916)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]