サンプル管のキャップ除去および再キャップを行う装置
【課題】サンプル管処理のスループットを向上し、処理コストを減少させる。
【解決手段】キャップ除去/再キャップ装置100は、それぞれが閉止部材11を保持する受動型閉止部材グリッパー21を備えた複数の個別の閉止部材保持部20と、受動型閉止部材グリッパー21を作動させる少なくとも1つのアクチュエータ40と、少なくとも1つのアクチュエータ40と協働する少なくとも1つの管グリッパー50とを含んでいる。1つのアクチュエータ40は、閉止部材11が管12から取り除かれなければならない場合に閉止部材保持部20の受動型閉止部材グリッパー21の1つに連結され、閉止部材保持部20が閉止部材11を保持している場合に受動型閉止部材グリッパー21から連結を解かれる。
【解決手段】キャップ除去/再キャップ装置100は、それぞれが閉止部材11を保持する受動型閉止部材グリッパー21を備えた複数の個別の閉止部材保持部20と、受動型閉止部材グリッパー21を作動させる少なくとも1つのアクチュエータ40と、少なくとも1つのアクチュエータ40と協働する少なくとも1つの管グリッパー50とを含んでいる。1つのアクチュエータ40は、閉止部材11が管12から取り除かれなければならない場合に閉止部材保持部20の受動型閉止部材グリッパー21の1つに連結され、閉止部材保持部20が閉止部材11を保持している場合に受動型閉止部材グリッパー21から連結を解かれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は体外診断の分野に属し、特にサンプル管から閉止部材を自動的に取り除く装置に関する。さらに詳しくは、サンプル管から閉止部材を取り除き、同じそれぞれの閉止部材で同じ管を再閉止する、キャップ除去/再キャップ装置に言及する。本発明はまた、前記キャップ除去/再キャップ装置を備えたピペットシステムおよび分析システムにも言及する。
【背景技術】
【0002】
多様な医療機関から来る血液試料などの生体試料は、通常、様々な閉止部材を有する異なる種類の管に入って検査室に到着する。これらは、例えば静脈穿刺によって試料を採取するために用いられることから、一次サンプル管と呼ばれる。
【0003】
閉止部材を取り除くことなく一次サンプル管を処理できる機器、すなわち、例えばピペット針を用いて閉止部材を穿刺し、一次管に含まれている試料にアクセスすることによって一次サンプル管を処理できる機器が存在する。しかしながら、全ての閉止部材がこの手段に適しているわけではなく、また全ての種類の機器および/または分析でこの手段の使用が可能なわけではない。いくつかの種類の機器および/または分析では、試料が前処理および/または分析される前にサンプル管が開放される必要がある。それゆえ、このような機器は、一次管から閉止部材を自動的に取り除くための自動的なキャップ除去手段(decapper)を有するべきである。
【0004】
試験管の自動的なキャップ除去(decapping)は、直径、高さが異なる市販の多様な試験管、および特に市販の多様な閉止部材により複雑になる。いくつかの閉止部材は例えば、一次管上にねじで取り付けられるようにねじ山を有する。また別の種類の閉止部材は、引き抜き動作により取り除かれ得るゴム製のストッパまたはキャップである。閉止部材はまた、その組成が異なる場合もある。閉止部材はゴム、プラスティック製などの場合もある。
【0005】
管のキャップ除去においては、通常ガラスまたはプラスティックで作製される管を壊さないよう、また、試料を全く漏出させないよう注意しなければならない。さらに、クロスコンタミネーションを引き起こし、試料の検査および分析を妨害することから、漏出した試料および蒸気は機器内の他の管に移送されるべきではないという制約がある。また、試料は汚染されている可能性があるので、バイオハザードも問題である。ゆえに管および閉止部材は、確実に処理および/または廃棄されなければならない。
【0006】
キャップ除去(decap)を行える装置、すなわちこれらの種類の一次管の全てまたはほとんどから閉止部材を取り除くことができるキャップ除去装置が開発されており、これらは市場で入手可能である。
【0007】
一次管が開放され、一定量の試料が抜き取られると、上に示した安全上の理由から一次管を再閉鎖することが多くの場合望ましく、どんな場合でも、さらなる分析が後で必要となる場合に試料が長期間保存されなければならない際には、一次管を再閉鎖することが多くの場合望ましい。
【0008】
1つのアプローチは、一次管を開放した後に当初の閉止部材を廃棄し、別の標準的な、または万能型の閉止部材で一次管を再閉鎖することである。これは、開放、ピペット処理および再閉鎖といった様々な工程を、互いに対してより独立したものにすることに主な利点がある。このようにして、一次管はキャップ除去装置により開放され、試料がピペット処理および処理されるワークセルへと動かされ、その後新しい閉止部材を用いて再閉鎖されることを可能にし、この工程は前の管の処理が完了する前に別の管に対して再び開始できる。別の利点は、一種類の標準的な閉止部材が用いられているので再キャップ(recapping)がより容易に行われ、また管が再び開放される必要がある場合にはキャップ除去も容易に行われるということである。しかしながら、不利な点は、新しい閉止部材が各一次管に導入されるので、処理コストおよび廃棄量が増加し、また各管のための再キャップ装置に新しい閉止部材を運ぶ必要があるために、再キャップ装置の複雑さが増すということである。
【0009】
理想的には、一次管から取り除かれた閉止部材が、同一の管を再閉鎖するために用いられる。あらゆる種類の閉止部材を取り除くことができ、一定量の試料が抜き取られた後に管を同一の閉止部材で再閉鎖することができるキャップ除去/再キャップ装置も公知である。特許文献1は、このような装置の一例を開示している。この種の装置は、しかしながら、管の開放、ピペット処理、閉鎖および移動の工程の全てが、別の一次管に対して工程が繰り返される前に完了する必要があるので、試料のスループットが低下するというデメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6,599,476号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の1つの目的は、サンプル管処理のスループットを向上し、処理コストを減少させることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、この目的は、それぞれが受動型閉止部材グリッパーを複数の個別の受動型閉止部材保持部と、閉止部材を取り除く場合または管を再び閉鎖する場合に、受動型閉止部材グリッパーを作動させる少なくとも1つのアクチュエータとを含んでいるキャップ除去装置またはキャップ除去および再キャップ装置によって達成される。ここで1つのアクチュエータは、閉止部材が管から取り除かれなければならない場合または閉止部材が閉止部材グリッパーから解放されなければならない場合に、1つの受動型閉止部材グリッパーに連結され、また閉止部材保持部が閉止部材を保持している場合に、受動型閉止部材グリッパーから連結を解かれる。
【0013】
これは、追加の閉止部材を用いることなく、また処理工程に対する厳しい制限なしに処理のスループットを向上させる。このようにして、追加の閉止部材の使用を回避し、装置の複雑さを軽減することにより、コストの節約も達成される。
【0014】
別の利点は、装置が、可変な形状のサンプル管を処理することを可能にし、また可変な形状の閉止部材を有するサンプル管を処理することを可能にするということである。これは、一次管ならびに二次管を処理することも可能にする。
【0015】
さらに別の利点は、クロスコンタミネーションのリスクが最小限にされるということである。
【0016】
さらに別の利点は、装置がキャップ除去装置としてのみ用いられても、スループットが向上するということである。
【0017】
本発明の別の利点は、複数のワークセルを含んでいるシステムにおける試料処理のスループットを最大限に高めることができるということである。
【0018】
これは、各ワークセルが、試料が抜き取られる必要がある時および場所で一次管から閉止部材を取り除き、他のワークセルへ移送される前に一次管を再び閉鎖するキャップ除去/再キャップ装置を有することにより達成される。
【0019】
本発明の1つの利点は、管が、閉止部材によって閉鎖された状態で、システム内、すなわち1つのワークセルから別のワークセルまで移送され、必要な時および場所でのみ開放され得るということである。このようにして、試料が管から漏出するリスク、クロスコンタミネーションのリスク、蒸発およびバイオハザードのリスクを最小限にできる。
【0020】
本発明によるキャップ除去/再キャップ装置を用いることにより、中央または共通のキャップ除去/再キャップ装置のスループットに依存することなく、サンプル管のキャップ除去および再キャップのスループットを、各ワークセルの試料処理のスループットおよび特定のワークフローに適合できる。また、キャップ除去/再キャップ装置を、各ワークセルに要求されるサンプル管のキャリアの種類に適合させることも可能であって、これは、例えば単一のサンプル管キャリアや複数のサンプル管を運ぶためのラックなど、互いに異なっている場合もある。
【0021】
本発明は、サンプル管から閉止部材を取り除くキャップ除去装置に関し、この装置は、それぞれが閉止部材を保持する受動型閉止部材グリッパーを含んでいる複数の個別の閉止部材保持部を含んでいる。この装置はさらに、管から閉止部材を取り除く場合、または閉止部材を解放する場合に受動型閉止部材グリッパーを作動させる少なくとも1つのアクチュエータと、閉止部材を取り除く場合に、管およびその閉止部材を互いから離れるようにバイアスをかける少なくとも1つのアクチュエータと協働する少なくとも1つの管グリッパーとを含んでいる。アクチュエータは、閉止部材が管から取り除かれなければならない場合または閉止部材が解放されなければならない場合に、閉止部材保持部の1つの受動型閉止部材グリッパーに連結され、また閉止部材保持部が閉止部材を保持している場合に、受動型閉止部材グリッパーから連結を解かれる。
【0022】
より詳細には、本発明は、サンプル管から閉止部材を取り除き、同一のそれぞれの閉止部材を用いて同一の管を再閉鎖するキャップ除去/再キャップ装置に関し、この装置は、それぞれが閉止部材を保持する受動型閉止部材グリッパーを含んでいる複数の個別の閉止部材保持部を含んでいる。この装置はさらに、管から閉止部材を取り除く場合またはそのそれぞれの閉止部材を用いて閉止部材を再閉鎖する場合に受動型閉止部材グリッパーを作動させる少なくとも1つのアクチュエータと、閉止部材を取り除く場合に、管およびその閉止部材を互いから離れるようにバイアスをかけ、管を再閉鎖する場合に、管およびその閉止部材を互いに対して向かうようにバイアスをかける少なくとも1つのアクチュエータと協働する少なくとも1つの管グリッパーとを含んでいる。アクチュエータは、閉止部材が管から取り除かれなければならない場合または管がそのそれぞれの閉止部材を用いて再閉鎖されなければならない場合に、閉止部材保持部の1つの受動型閉止部材グリッパーに連結され、また閉止部材保持部が閉止部材を保持している場合に、受動型閉止部材グリッパーから連結を解かれる。
【0023】
本発明によれば、本明細書中で「管」とも称される「サンプル管」とは、血液試料などの試料を患者から受け取り、そこに含まれる試料を診断目的のために分析検査室へと移送するために用いられる、「一次管」とも呼ばれる試料採取テスト管か、または、一次管から試料の分注分を受け取るために用いられ得る「二次管」である。一次管は通常ガラスまたはプラスティックで作製され、閉鎖端部および閉止部材により閉鎖される開放端部を有している。一次管は、異なる形状および色を呈する異なる材料で作製されてもよく、通常管の種類、すなわちそこに含まれる試料の種類やそこに含まれる試料がさらされる条件の種類に関連付けられる。例えば、抗凝固剤または凝固促進剤を含んでいる管や、血漿などの分離を容易にするゲルを含んでいる管が存在する。異なる種類の一次管はたいてい、異なる一次管製造者による単なるカスタマイズの結果である。ほとんどの場合それらは、試料の種類および/またはそれらが受ける分析を反映する。とりわけ、異なる量の試料を受け入れるために、異なる大きさ、すなわち異なる直径および/または異なる高さの一次管が存在する。ゆえに、種類が異なる可能性のある閉止部材を用いた異なる種類の一次管の操作を可能にするためには、単一の試験室と通常単一の機器が必要である。二次管は通常プラスティックで作製され、一次管に対して大きさおよび種類の変化の程度が小さくてもよい。特に、二次管は一次管より小さくてもよく、また例えばねじ式の、1種または同様の種類の閉止部材を用いて閉鎖されるように設計されてもよい。
【0024】
本明細書において「閉止部材」という語は、ねじ式キャップおよびゴム製のストッパを含むあらゆる種類のキャップを指すために用いられ、これらは押し引き動作および/またはねじ付け動作によってそれぞれ開放および/または閉鎖され得る。
【0025】
本発明による「キャップ除去装置」とは、同一または異なる種類の閉止部材をそのそれぞれの管から取り除くことによって、同一または異なる種類のサンプル管を自動的に開放できる装置である。
【0026】
本発明による「キャップ除去/再キャップ装置」とは、同一または異なる種類の閉止部材をそのそれぞれの管から取り除くことによって、同一または異なる種類のサンプル管を自動的に開放でき、またこれら管から取り除かれた閉止部材と同一のそれぞれの閉止部材を用いてサンプル管を自動的に再閉鎖できる装置である。ゆえに、キャップ除去/再キャップ装置は、さらに、同一のそれぞれの閉止部材を用いてサンプル管を再閉鎖するように構成されたキャップ除去装置である。また、キャップ除去/再キャップ装置はキャップ除去装置としてのみ用いられてもよい。それゆえ、特定されない限りは、この「装置」という一般的な語は以後、キャップ除去装置およびキャップ除去/再キャップ装置のいずれかまたは両方を示すために用いられる。
【0027】
本発明による装置は、それぞれが閉止部材を保持する受動型閉止部材グリッパーを含んでいる複数の個別の閉止部材保持部を含んでいる。「閉止部材保持部」とは、キャップ除去、すなわちサンプル管からの閉止部材の除去から、閉止部材の廃棄または再キャップ、すなわち同一の各閉止部材を用いた同一のサンプル管の再閉鎖までの間、閉止部材を保持できる装置である。各閉止部材保持部は、受動型閉止部材グリッパーを含んでおり、これの機能は、閉止部材の外面に加えられる受動的な摩擦圧力によって閉止部材をしっかりと保持し、閉止部材が移動および/または落下することを防ぐことである。「受動(受動型)」とは、サンプル管から閉止部材を取り除く場合または閉止部材を廃棄する場合またはそのそれぞれの閉止部材でサンプル管を再閉鎖する場合にのみ、受動型閉止部材グリッパーと装置の他の部品、特にアクチュエータとの間に力またはエネルギーの伝達が存在し、また、キャップ除去から廃棄または再キャップの間には、受動型閉止部材グリッパーとアクチュエータとの間に力またはエネルギーの伝達が存在しないことを意味する。この期間中閉止部材を保持するために必要な力は、弾性があり、受動型閉止部材グリッパーそのものの内面に向かう力である。ゆえに閉止部材グリッパーは、キャップ除去または再キャップが行われなければならない場合にアクチュエータと連結される必要があるが、アクチュエータに連結されずにこのような動作を行うことはできないという意味で受動的である。
【0028】
「アクチュエータ」とは、作動、すなわち管から閉止部材を取り除く場合またはそのそれぞれの閉止部材を用いて管を再閉鎖する場合に、受動型閉止部材グリッパーへの力またはエネルギーの伝達を行う装置である。このアクチュエータは、閉止部材が管から取り除かれなければならない場合または管が廃棄、またはそのそれぞれの閉止部材を用いて再閉鎖されなければならない場合に、閉止部材保持部の受動型閉止部材グリッパーに連結され、また閉止部材保持部が閉止部材を保持している場合に、受動型閉止部材グリッパーから連結を解かれる。一実施形態によればこの力は、例えば受動型閉止部材グリッパーの受動エレメントを押したり引いたりして、正または負の圧力を加えることにより受動型閉止部材グリッパーに伝達される軸方向の力である。また、力は代替的または付加的に回転に関するものでもよく、これは回転式の駆動手段に連結することによって、受動型閉止部材グリッパーに伝達される。しかしながら、この力は誘導されてもよく、すなわち、物理的接触を伴わずに、たとえば磁石により誘導されてもよい。
【0029】
アクチュエータと受動型閉止部材グリッパーとの間の関係に言及する際の「連結される」または「連結接続で」とは、アクチュエータが受動型閉止部材グリッパーに係合され、アクチュエータから受動型閉止部材グリッパーへの力の伝達が可能なことを意味する。係合は物理的な接触および/または位置合わせによって生じてもよい。「連結を解かれる」とは、アクチュエータおよび受動型閉止部材グリッパーの係合が解かれる、すなわち物理的に互いに分離されるか、ずらされることを意味する。代替的には、アクチュエータおよび受動型閉止部材グリッパーは物理的接触または位置合わせされたままでもよいが、アクチュエータから受動型閉止部材グリッパーへの力の伝達は停止され、これはアクチュエータから受動型閉止部材グリッパーへの力またはエネルギーの伝達がないことを意味する。
【0030】
本発明によればこのようにして、複数の閉止部材保持部を1つまたは2つ以上のアクチュエータに連結できる。一実施形態によれば、1つまたは2つ以上のアクチュエータが装置内に固定される一方で、複数の閉止部材保持部は、順番に1つまたは2つ以上のアクチュエータに連結されるように、固定されたアクチュエータに対して移動可能である。もちろんその逆も可能であって、その場合は複数の閉止部材保持部が固定され、1つまたは2つ以上のアクチュエータが固定された閉止部材保持部に対して移動可能である。
【0031】
本発明によれば装置はさらに、閉止部材を取り除く場合に管およびその閉止部材を互いから離れるようにバイアスをかけ、管を再閉鎖する場合に管およびその閉止部材を互いに向けてバイアスをかける少なくとも1つのアクチュエータと協働する、少なくとも1つの管グリッパーを含んでいる。一実施形態によれば、この少なくとも1つの管グリッパーは少なくとも1つのアクチュエータと位置合わせされる。複数のアクチュエータおよび複数の管グリッパーが存在する場合には、2つまたは3つ以上の管グリッパーがそれぞれの数のアクチュエータと位置合わせされてもよい。一実施形態によれば、管グリッパーは管を持ち上げ、またアクチュエータに連結された閉止部材保持部に対して管を保持するように構成され、アクチュエータは、サンプル管から閉止部材を取り除くためまたは閉止部材保持部によって保持されるそれぞれの当初の閉止部材を用いて管を再閉鎖するために、管グリッパーと協働する。しかしながら、管グリッパーがサンプル管を持ち上げることなくサンプル管を保持できる一方で、閉止部材保持部および/またはアクチュエータが管グリッパーに対して動かされるように装置を構成することも可能である。代替的には、管グリッパーと閉止部材保持部および/またはアクチュエータが互いに対して動くことができる。
【0032】
一実施形態によれば閉止部材グリッパーは、把持手段およびこの把持手段に接続されるバネなどのプレテンション部材を含んでおり、これはその間に対称に配置される閉止部材の側面に圧力を及ぼすために、1つの枢動方向(閉鎖方向)において閉止部材保持部に対して把持手段にプレテンションをかける。この圧力は、アクチュエータを受動型閉止部材グリッパーに連結する場合に、アクチュエータによってプレテンション部材に加えられる力によって解放できる。閉止部材は、廃棄されるか、またはそのそれぞれのサンプル管に戻されるまで、好ましくは装置の部品のほかの表面に触れることなく把持手段によって掛けられて保持される。
【0033】
一実施形態によれば把持手段は、閉止部材保持部の垂直な中心軸に対して対称に配置される複数のジョーを含んでおり、各ジョーは、好適には二次元のアレイで配置される突出部、例えば円錐形の突出部などの、好適には複数の突出部である摩擦面を含んでおり、またジョーは閉止部材を把持および保持するために互いに対して協働している。
【0034】
本実施形態は、最小限の接触面を用いて最大限の把持力が達成され得ることから、変わりうる形状および材料の閉止部材を除去および保持することに特に優れており、またこの閉止部材を用いてサンプル管を再閉鎖することにも特に優れている。このようにして閉止部材は、保持の間または取り外しもしくは再取り付け時の、ジョーを通るスライドの間に、落下することなく強力に保持され得る。さらに、滑らかかつ効率的なキャップ除去および再キャップのために、閉止部材の非対称な変形は防がれる。また、グリッパーおよび閉止部材の外面の接触は最小限で起こるので、閉止部材の内面および/または底面に存在するおそれのある微量な試料による、1つの閉止部材から次の閉止部材まででのクロスコンタミネーションの危険性を最小限にする。一実施形態によれば各ジョーは、閉止部材保持部の垂直な中央軸に対してその角度を変更することにより、水平なジョーの軸の周りで枢動可能である。これはジョーが、把持面および把持力を失うことなく、異なる傾斜の閉止部材の側面に適合することを可能にする。
【0035】
一実施形態によれば閉止部材保持部は、把持手段から独立して、受動型閉止部材押し出しエレメントを含んでおり、これは把持手段の圧力が解放された時に垂直方向において閉止部材に押圧力を及ぼすために、例えばバネなどの弾性部材を含んでいる。押し出しエレメントは、有利には、把持手段、例えばジョーの上方に取り付けられてもよい。このようにして、例えば閉鎖したサンプル管を閉止部材保持部に向けて持ち上げることによって把持手段の間の空間に閉止部材を挿入する時に、押し出しエレメントは閉止部材によって上方に押され、弾性部材は張力をかけられる。弾性部材の弾性力は、プレテンション部材の弾性力よりも弱くなるように選択される。それゆえ閉止部材が把持手段によってしっかりと保持されている限り、保持の間、押し出しエレメントは、付加的な影響を与えることなく、閉止部材の上面にのみ圧力を及ぼすように制限される。閉止部材がサンプル管に戻される場合には、再閉鎖の間、押し出しエレメントの効果は、たとえそれが閉鎖に寄与し得るものであってもわずかなものである。閉止部材が、例えばアクチュエータとの連結時にジョーを開放することによって把持手段の圧力を解放し、重力により閉止部材を落下させることによって廃棄される必要がある場合には、閉止部材が動かないままになったり、閉止部材グリッパーが詰まったままになったりすることが時として生じるおそれがある。押し出しエレメントはゆえに有利には、閉止部材保持部から押し出すことによって閉止部材を排出することに寄与するように設計される。押し出しエレメントはしかしながら、とりわけ凹形状、すなわちキャビティーを有するゴム製ストッパなどの特定の種類の閉止部材の上部に付加的な効果を奏するように設計されてもよい。この場合、押し出しエレメントの少なくとも一部が閉止部材のキャビティーに適合するように成形されると、把持手段により閉止部材を把持する際の、閉止部材の非対称的な変形および/または傾斜が防がれ得る。これはサンプル管の適切なキャップ除去および再キャップを可能にする。
【0036】
一実施形態によれば閉止部材グリッパーは、アクチュエータを受動型閉止部材グリッパーに連結する場合に、閉止部材保持部の垂直な中心軸の周りを回転でき、アクチュエータは閉止部材グリッパーを回転させるための閉止部材グリッパー駆動手段を備えている。ねじ式の螺合可能な閉止部材には、回転が必要である場合がある。回転は、しかしながら、必ずしも螺合を要求しないほかの種類の閉止部材にも有利である場合がある。一実施形態によれば、閉止部材グリッパーが回転され、ゆえに閉止部材を管に対して回転させる一方で、管グリッパーは管を静止したまま維持する。また、閉止部材を把持手段の間で静止させたまま、管を回転させることも可能である。
【0037】
一実施形態によれば装置は、連続しておよび/または繰り返し複数の閉止部材保持部を1つまたは2つ以上のアクチュエータとの連結接続に持ち込むための閉止部材保持部駆動手段、および/または管グリッパーを用いる把持配列に管を一度に持ち込むための管コンベヤを備えている。
【0038】
一実施形態によれば装置は、キャップ除去アクチュエータがキャップ除去側管グリッパーと位置合わせされるキャップ除去ステーションと、再キャップアクチュエータが再キャップ側管グリッパーと位置合わせされる再キャップステーションとを備えている。ここで閉止部材グリッパーおよび管は、キャップ除去アクチュエータおよびキャップ除去側管グリッパーが、管から閉止部材を取り除くために閉止部材グリッパーと協働するキャップ除去ステーションから、再キャップアクチュエータおよび再キャップ側管グリッパーが、同一の管を同一の閉止部材で再キャップするために閉止部材を保持している同一の閉止部材グリッパーと協働する再キャップステーションまで移動できる。キャップ除去および再キャップアクチュエータは構造的に同一であってもよいが、異なる専用の機能、すなわちそれぞれキャップ除去および再キャップのための機能を有する。とりわけこれらは、同一の受動型閉止部材グリッパーに連結され、それを作動するように構成されるが、より詳細には、例えば閉止部材グリッパー駆動手段を、受動型閉止部材グリッパーを時計方向または反時計方向に回転させるように設定することによって、キャップ除去または再キャップのいずれかに適合され得る。
【0039】
一実施形態によれば、複数の個別の閉止部材保持部は、移動可能な線形アレイまたは回転可能なロータ状のアレイまたはロボットアーム状の移送ユニットに配置され、これはあらゆるアクチュエータにランダムアクセスできる。一実施形態によれば、複数の閉止部材保持部は、中央の回転軸の周りで回転可能なプレートまたはブランチを備えた回転ラック型のロータの上に対称に配置される。閉止部材グリッパー駆動手段はこの場合、例えばベルト車やギヤのような機構や誘導するような機構を介して回転ラックをその軸の周りで制御された方法で駆動するモータを備えている。ロータは、回転毎のアクチュエータと閉止部材保持部との間の適切な配置を容易にするために、回転角を制御および/または監視する位置センサーを備えていてもよい。
【0040】
サンプル管は装置に対して、とりわけキャップ除去ステーションおよび/または再キャップステーションに対して管コンベヤを用いて動かされ得る。サンプル管は好適には、管キャリアで運ばれ、これは単一の管のキャリアであるいわゆる「パック(Puck)」か、または複数の管のキャリアであるいわゆる「管ラック」のどちらかである。複数の管キャリアは、例えば5つまでまたは5つ以上の管を受け入れるための複数の管受容部を備えており、また通常異なる種類の管、すなわち直径および高さが異なる管を受け入れるように構成される。管コンベヤはそれゆえ、モータにより駆動され、また管キャリアが管を一度に1つずつキャップ除去および/または再キャップステーションと位置合わせするために一段ずつ動かされるように配置される、移送バンドやガイドレールなどの移送ユニットを備えていてもよい。移送ユニットはしかしながら、キャップ除去/再キャップ装置の要求にしたがってカスタマイズされ、またキャップ除去/再キャップ装置の作業領域に閉じ込められる特別な管キャリア上で動くように構成されてもよい。この場合、サンプル管をパックおよび/または管ラックからこれらの特別なキャリアへ、またはその逆に移送する再フォーマット装置が、キャップ除去/再キャップ装置に操作可能に連結されてもよい。閉止部材保持部駆動手段および管コンベヤは、閉止部材がキャップ除去ステーションで取り除かれた後に管およびその閉止部材を同一の再キャップステーションに運ぶために、好適には同期される。
【0041】
一実施形態によれば装置は、管から閉止部材を取り除く時または管をその閉止部材で再閉鎖する時に管が持ち上げられるべき高さを決定するために、管グリッパーと協働する高さ測定検知器を備えている。高さ測定検知器は例えば、管または管キャリア上に配置されたコードを読み取り管またはラックの種類を特定するコードリーダでもよく、例えばバーコードリーダやRFIDリーダでもよい。高さ測定検知器は光学的なものでもよく、これは例えば、サンプル管および/または閉止部材の幾何学的パラメータ、とりわけ管の高さおよび/または直径、および/または閉止部材の大きさおよび形状または色を測定するよう構成されたカメラ型の検知器や他の光センサーを備えている。このようなカメラ型検知器の一例は、例えば米国特許出願第2010/018330号明細書に開示されている。高さ測定検知器は、直接または制御ユニットを介して管グリッパーに信号を送るように設定されてもよい。このようにしてサンプル管の種類のばらつきが考慮に入れられ、各サンプル管がそのそれぞれの幾何学的パラメータにしたがって持ち上げられるので、閉止部材が把持され取り除かれること、または管が閉止部材保持部によって保持される閉止部材で再閉鎖されることを可能にする。
【0042】
一実施形態によれば、管グリッパーは第1管把持手段および第2管把持手段を含んでおり、第1管把持手段は、第2管把持手段が第1管把持手段の力および接触面よりもそれぞれ大きい力および接触面で管をしっかりと把持および保持する前に、第1管把持手段が管キャリアからの管を把持し、持ち上げるように、第2把持手段に対してバイアスをかけることができ、また第2管把持手段と協働する。この二重の把持機構は、管キャリアと閉止部材との間のしばしば狭い空間でより小さな把持手段を用いて管の側壁を把持すること、またよりしっかりとした把持のために、より大きく強力な把持手段が側壁のより長い部分を把持できる高さへと管を持ち上げることを可能にする。
【0043】
一実施形態によれば、装置はエラー検出器を含んでおり、これは閉止部材が取り除かれているか、および/または管がそのそれぞれの閉止部材で再閉鎖されているかを決定するため、および/または管がそのそれぞれの閉止部材ではない閉止部材で再閉鎖されることを防ぐために、センサーおよび制御装置を含んでいる。エラー検出器は、高さ測定検知器と同一、同様または共有の構成部品であってもよい。とりわけエラー検出器は、閉止部材の幾何学的パラメータおよび/または各サンプル管上および/または閉止部材保持部内での閉止部材の存在の有無を測定するように構成された光学検出器、例えばカメラ型の検出器や他の光センサーを含んでいてもよい。とりわけエラー検出器は、キャップ除去前および再キャップ後の閉鎖したサンプル管を比較するように設定され得る。より詳細には、キャップ除去/再キャップ工程において何かエラーがある場合、エラー検出器は、警告または警報信号を発し、および/またはキャップ除去/再キャップ工程を中断し、および/または他の閉止部材または他のサンプル管と誤って接触する前に、サンプル管を再閉鎖し損なった閉止部材を廃棄するよう装置に指示するように設定されてもよい。さらにエラー検出器は、開放したままのサンプル管または開放され損なった管を、残りの管とは別に処理するように指示を送ってもよい。
【0044】
一実施形態によれば装置は、廃棄アクチュエータが廃棄区画と位置合わせされる廃棄ステーションを含んでおり、ここで閉止部材保持部は、キャップ除去アクチュエータおよびキャップ除去側管グリッパーが管から閉止部材を取り除くために閉止部材グリッパーと協働するキャップ除去ステーションから、廃棄アクチュエータが、閉止部材を廃棄区画内に廃棄するために、閉止部材を保持している同一の閉止部材グリッパーと協働する廃棄ステーションへと移動できる。代替的または付加的に、閉止部材保持部は、再キャップアクチュエータおよび再キャップ側管グリッパーがそのそれぞれの閉止部材で管を再閉鎖するために閉止部材グリッパーと協働している再キャップステーションから、廃棄ステーションへと移動できる。これは、管を再閉鎖しようとした時にエラーが生じ、閉止部材が閉止部材保持部内に残った場合に起こり得る。閉止部材保持部をフリーにして別の管からの別の閉止部材に利用可能にするため、および/または異なる管がその管に属するものではない閉止部材で閉鎖されることを防ぐために、閉止部材は、閉止部材保持部がキャップ除去または再キャップステーションに戻される前に廃棄ステーションで廃棄される。
【0045】
一実施形態によれば装置は、少なくとも1つのキャップ除去ステーションおよび少なくとも1つの廃棄ステーションを含んでいる。一実施形態によれば装置は、少なくとも1つのキャップ除去ステーションおよび少なくとも1つの再キャップステーションを含んでいる。一実施形態によれば装置は、少なくとも1つのキャップ除去ステーション、少なくとも1つの再キャップステーションおよび少なくとも1つの廃棄ステーションを含んでいる。これら全ての実施形態において、複数の閉止部材保持部が、順番にそれぞれのアクチュエータに連結されるために1つのステーションから別のステーションへ移動できる。しかしながら、閉止部材保持部は、アクチュエータに連結されることなく単にステーションを通り過ぎることも可能である。これは例えば、閉止部材保持部が廃棄ステーションを介してキャップ除去ステーションから再キャップステーションに動かされる場合にあり得る。ここで閉止部材を廃棄する意図はなく、閉止部材は再キャップステーションでそのそれぞれの管を再閉鎖することが意図されているので、意図される工程においてエラーが検出されない限り、廃棄ステーションにおけるアクチュエータと受動型閉止部材グリッパーとの間の連結はない。
【0046】
本発明はまた、サンプル管から一定量の試料を抜き取り、および/または例えば試薬や希釈緩衝液などの他の液体の一定量を、サンプル管または反応槽へ分注するピペットシステムにも関する。このピペットシステムは、本発明によるキャップ除去/再キャップ装置と、管の開放と同一の閉止部材を用いた管の再閉鎖との間の時間フレームで、一定量の試料を抜き取るため、または一定量の液体を分注するように構成され、例えばキャップ除去/再キャップ装置と同期されるピペットユニットとを含んでいる。このピペットユニットは、例えばスチール針などの1つまたは2つ以上の再利用できる洗浄可能な針を含んでいてもよいし、使い捨てのピペットチップを用いてもよい。ピペットユニットは、例えばガイドレールを用いて1つの平面上の1つまたは2つの移動方向に動かされ、また例えばスピンドル駆動部を用いてその平面に直交する第3の移動方向に動かされることが可能な移送ヘッドに取り付けられてもよい。
【0047】
特に、ピペットシステムは好適には、ピペットユニット、より詳細にはピペットチップまたは針が、キャップ除去と再キャップの間で開放した管と位置合わせされるピペットステーションを含んでいる。ピペットステーションは、ピペットユニットの、管に含まれている試料へのアクセスが容易になるように持ち上げるための、キャップ除去または再キャップ側管グリッパーと同様または同一のピペット管グリッパーを含んでいてもよい。一実施形態によれば、ピペットステーションはキャップ除去ステーションと再キャップステーションの間の管キャリアの移動経路において、キャップ除去ステーションと再キャップステーションとの間に配置される。
【0048】
単一の管キャリアで作動するように最適化されたシステムにおいて、キャップ除去ステーションおよび再キャップステーションは好適には互いから離れて配置されており、これはそのキャリアが互いに隣接している、一連の管における1つの管の中央と、第2の離れた管の中央との間の距離に対応しており、ピペットステーションは真ん中、すなわちその間の管と対応している。この場合における好適な閉止部材保持部の数は3つである。このようにしてサイクルを決定でき、この場合同一の固定された時間フレーム内で3つの管が処理され、3つの異なる工程が行われ得る。とりわけ、第1管は、そこから一定量の試料が抜き取られる間、または一定量の液体があらかじめ開放している第2管に分注される間開放しており、一方で一定量の液体がそこからあらかじめ抜かれている、または一定量の液体がそこにあらかじめ分注されている第3管は、キャップ除去ステーションから再キャップステーションまで閉止部材保持部の1つによって同一の時間フレームにおいて移送されている同一の閉止部材を用いて再閉鎖されている。このサイクルはその後再び新たに始まることができる。
【0049】
管ラックと作動するように最適化されたシステムにおいて、キャップ除去ステーションおよび再キャップステーションは好適には互いから所定の距離離れて配置されており、これは第1管ラックの第1受容部内の管の中央と、第1管ラックに隣接する第2管ラックの第1受容部内の第1の管の中央との間の距離に対応する。同一ラック上の2つの管の中央間の距離が、隣接するラック上で、最後の管の中心と第1管の中心との距離とそれぞれ等しくならないことが有利である。またピペットステーションも、この場合およそ真ん中、すなわち中間の管位置の1つに対応して、キャップ除去ステーションと再キャップステーションとの間に配置される。管ラックがそれぞれの数の管を受け入れる5つの受容部を含んでいる場合、好適な閉止部材保持部の数は6つである。このようにしてサイクルを決定でき、この場合同一の固定された時間フレーム内で3つの管が処理され、3つの異なる工程が行われ得る。詳細には、ラック上の管、例えば第1管は、そこから一定量の液体がピペットされる間、または一定量の液体があらかじめ開放している先行するラックの管の1つにピペットされる間開放しており、一方で一定量の試料がそこからあらかじめピペットされている、または一定量の試料がそこにあらかじめピペットされている別の管、例えば先行するラック上の第1管は、同一の時間フレームにおいて6つの閉止部材保持部の1つによってキャップ除去ステーションから再キャップステーションに一段ずつ移送されている同一の閉止部材を用いて再閉鎖されている。
【0050】
本発明はゆえに、ピペットシステムを用いてサンプル管からサンプルをピペットする方法にも関する。この方法は、キャップ除去ステーションで管から閉止部材を取り除くことによって管を開放する工程と、ピペットステーションでピペットユニットにより、開放した管から一定量の試料を抜き取る、および/または開放した管に一定量の液体を分注する工程と、再キャップステーションで同一の閉止部材を用いて管を再閉鎖する工程とを含んでいる。
【0051】
いくつかの実施形態によれば、この方法は次の工程、すなわち、キャップ除去ステーションで第1の管から第1の閉止部材を取り除くことによって第1の管を開放する工程、再キャップステーションで同一の第2の管から取り除かれた第2の閉止部材を用いて第2の管を閉鎖する工程、ピペットステーションで開放した管から一定量の試料を抜き取る、または開放した管に一定量の液体を分注する工程、および廃棄ステーションで閉止部材を廃棄する工程のうちの少なくとも2つを同一の時間フレームで行う工程を含んでいる。
【0052】
「時間フレーム」という語はここでは、例えば数秒、例えば1〜10秒といった所定の時間ウィンドウを指すために用いられ、これは、上述の工程の少なくとも2つが連続して、または並行して、または重なり合って行われるサイクルを定めている。
【0053】
一実施形態によればこの方法は、閉止部材が取り除かれるキャップ除去ステーションから管が同一の閉止部材で再閉鎖される再キャップステーションまで、互いに独立しているが同期された方法で管およびその閉止部材を移動させる工程と、キャップ除去と再キャップとの間の時間フレームで、開放した管から一定量の試料をピペットする、および/または一定量の液体を開放した管に分注する工程とを含んでいる。いくつかの実施形態によれば、閉止部材は、キャップ除去ステーションおよび再キャップステーション以外ではサンプル管の移動経路と重ならない移動経路をたどって、キャップ除去ステーションから再キャップステーションへと動かされる。同じように、いくつかの実施形態によれば、ピペットユニットは、ピペットステーション以外では開放したサンプル管の移動経路と重ならない移動経路をたどって動かされる。このようにして、閉止部材保持部により保持されている間の閉止部材から、またはピペットユニットから最終的に滴下することによって、開放された管内の試料が汚染されることを防ぐ。
【0054】
代替的または付加的に、閉止部材保持部により保持される閉止部材から結果的に滴下することから装置の他の部品を保護するために、装置は、閉止部材保持部の移動経路の下に配置されるプレートまたは遮蔽板を含んでいてもよい。また、例えば試料が核酸増幅に用いられる場合など、クロスコンタミネーションが特に懸念される場合には、他のまたは付加的な手段が導入されてもよく、これは例えば、装置の部品を異なる区画に分離させるものや、装置またはその部品をフード(hood)などのエアロゾルが存在しない区画に閉じ込めるものである。
【0055】
本発明は、サンプル管に含まれる試料の少なくとも1つの試料パラメータを測定するための分析システムにも関する。この分析システムは、キャップ除去/再キャップ装置、および、管の開放から同一の閉止部材を用いる管の再閉鎖までの時間フレームにおいて、通常試薬を付加することなく、サンプル管に含まれている試料の物理パラメータ、化学パラメータまたは生体パラメータなどの、少なくとも1つの試料パラメータを測定する分析ユニットを含んでいる。分析ユニットは例えば、管内の試料のpH、温度、色、濁度、粘度など、試料の物理パラメータ、または容量などの量、または液面を測定するセンサーを含んでいてもよい。またこれは例えば、光学検出器または少なくとも部分的に試料中に浸される探針を含んでいてもよい。これは例えば、光度測定や、例えばイオン選択電極または変色をもたらす試薬が塗布されたストリップを用いるその他の物理的技術によって、試料中に含まれている分析物などの化学パラメータまたは生体パラメータを測定するように構成され得る。分析システムはさらに、上述のようなピペットユニットを含んでいる。
【0056】
本発明はゆえに、この分析システムを用いてサンプル管に含まれる試料の少なくとも1つの試料パラメータを測定する方法にも関する。この方法は、キャップ除去ステーションで閉止部材から管を取り除くことによって管を開放する工程、分析ユニットによって少なくとも1つの試料パラメータを測定する工程、および再キャップステーションで同一の閉止部材を用いて管を再閉鎖する工程を含んでいる。
【0057】
同一の分析ユニットはもちろん、特に光学検出器が用いられる場合には、例えばキャップ除去前および/または再キャップ後に、管を開放する必要なしに少なくとも1つの試料パラメータを測定するように構成されてもよい。
【0058】
また本発明は、生体試料を含んでいるサンプル管を処理するためのシステムにも関する。このシステムは、試料を処理するための複数のワークセルおよび任意には、1つのワークセルから少なくとも別のワークセルへとサンプル管を移送するための少なくとも1つの移送ユニットを含んでいる。このシステムはさらに、ワークセルによって処理されるようにサンプル管から一定量の試料を抜き取るため、または一定量の液体をサンプル管に分注するために、少なくとも1つのワークセルと対応するピペットシステムを含んでいる。ピペットシステムは、試料が抜き取られる必要がある場合または液体が分注される必要がある場合に、サンプル管から閉止部材を取り除き、別のワークセルに移送される前にサンプル管を再閉鎖するキャップ除去/再キャップ装置を含んでいる。
【0059】
例えば診断目的での試料の定性的評価および/または定量的評価などの検出、または検出前の試料の分類および/または調製、または検出後の試料の保管および/または廃棄においてユーザを補助する、独立型の装置か、またはより大きな機器の中のモジュールである。とりわけ、ワークセルは、分析および/または分析前および/または分析後の試料の処理工程に関連付けられ得る。ワークセルは互いに接続され、少なくとも部分的に互いに依存していてもよく、例えばそれぞれが、次のワークセルに進む前の必要条件となるような、試料処理ワークフローの指定のタスクを実行してもよい。また、ワークセルは互いに独立して機能してもよく、例えばそれぞれが分離したタスクを実行し、例えば同一の試料に異なる種類の分析を実行してもよい。
【0060】
分析ワークセルとは、例えば診断目的での試料の定性的評価および/または定量的評価などの、ユーザの検出を補助する、独立型の装置か、またはより大きな機器の中のモジュールである。これは、そのワークフローが特定の種類の分析に最適化されている工程および検出システムを含んでいてもよい。このようなワークセルの例は、化学反応または生体反応の結果を検出するためまたは化学反応または生体反応の進行を監視するために用いられる、臨床化学分析器、凝集化学分析器、免疫化学分析器、尿分析器である。分析ワークセルは試料および/または試薬のピペット処理、投与、混合を補助するユニットを含んでいてもよい。またワークセルは、アッセイを行う試薬を保持するための試薬保持ユニットを含んでいてもよい。試薬は、保管区画またはコンベヤ内の適切な受容部または位置に配置される、個別または一群の試薬を含んでいる容器またはカセットの形状で配置されてもよい。それは、反応槽またはキュベット供給ユニットを含んでいてもよい。とりわけそれは、試料および/または試薬を反応槽に運ぶために、ピペットユニットなどの1つまたは2つ以上の液体処理ユニットを含んでいてもよい。ピペットユニットは、スチール針などの再利用できる洗浄可能な針または使い捨てピペットチップを含んでいてもよい。ワークセルはさらに、液体を含んでいるキュベットを振るためのシェーカーや、キュベットまたは試薬容器中の液体を混合するための混合パドルを含んでいる1つまたは2つ以上の混合ユニットを含んでいてもよい。
【0061】
分析前のワークセルとは、ユーザの、分析ワークセルによって処理される前の試料の保管および/または調製を補助する、独立型の装置か、またはより大きな機器の中のモジュールである。これは例えば、分析の種類および/または分析の優先順位によって試料を分類する再分類ユニット、サンプル管に遠心力を作用させるための遠心分離機、ピペットユニットがサンプル管から試料を分取する分取ユニット、試料を特定の温度にさらす熱処理ユニット、試料成分を分離する分離ユニットのうちの1つまたは2つ以上を含んでいてもよい。
【0062】
分析後のワークセルとは、ユーザの、分析ワークセルによって処理された後の試料の保管および/または調製を補助する、独立型の装置か、またはより大きな機器の中のモジュールである。これは例えば、サンプル管を例えば異なる保存ラックおよび/または冷蔵区画へと再分類する再分類ユニットを含んでいてもよい。
【0063】
一般にワークセルは、サンプル管またはサンプル管を含んでいるラックを取り付けおよび/または取り外し、および/または、移送および/または保管するためのユニットと、試薬容器または試薬カセットを取り付けおよび/または取り外し、および/または、移送および/または保管するためのユニットと、例えばキュベットなどの反応容器を取り付けおよび/または取り外し、および/または、移送および/または保管、および/または、洗浄するためのユニットとを含んでいてもよい。反応容器は使い捨て、すなわち1回使用のもの、または、再利用可能なもの、すなわち洗浄および再使用されるように構成されたものであってもよい。またこれは、例えばバーコードやRFIDリーダなどのセンサーを含んでいる識別ユニットを含んでいてもよい。ワークセルはさらに、反応中に試料/試薬混合物を特定の温度に維持するための1つまたは2つ以上の保温ユニット、ピペットチップまたは針や混合パドルなどを洗浄するための洗浄ステーションを含んでいてもよい。
【0064】
各ワークセルは、タイムユニットにつき一定数の試料またはサンプル管を処理するように設計されてもよく、この数は変わってもよいので、システムは有利には、閉止部材保持部の数、および/またはアクチュエータの数、および/または管グリッパーの数、および/またはピペットユニットの数を、各ワークセルのスループットに適合するように設定され得る。
【0065】
また、各ワークセルは好適には単一のキャリア上のサンプル管か、複数の管を運ぶラック上のサンプル管のいずれかのみを処理するように設計され得るので、各キャップ除去/再キャップ装置は有利には、単一の管キャリアおよび/または複数のサンプル管を運ぶラックのいずれかに移送されるサンプル管を処理するように構成され得る。
【0066】
一実施形態によれば、このシステムは、1つのワークセルから別のワークセルへサンプル管を自動的に移送する移送ユニットを含んでいる。この移送ユニットは、単一のキャリアあるいは管ラック、またはその両方を移送するように構成されてもよい。移送ユニットは、例えば移送バンドまたは案内レールとして配置される、例えば1つまたは2つ以上の移送ラインを含んでいてもよい。とりわけ移送ユニットは、様々なキャップ除去/再キャップ装置の管コンベヤに接続されてもよく、例えばその延長であってもよい。ニーズまたは優先度にしたがって、および/または管または管キャリアの種類にしたがって、必ずしも連続ではなく、適切な時期に適切な試料を適切なワークセルに運ぶことによって、特定のワークセルがランダムアクセス方法によりアクセスされ得るように、バイパスラインおよび/またはジャンクションが存在してもよい。移送ユニットは代替的には、あらゆるワークセルへのランダムアクセスを有する一連の自律型ロボットキャリアを含んでいてもよい。
【0067】
代替的には、サンプル管および/または管キャリアは、ユーザにより手動で1つのワークセルから別のワークセルへと移送されてもよい。
【0068】
本発明のその他およびさらなる目的、特徴および利点を、例示的な実施形態を記載し、本発明の原理をより詳細に説明することに寄与する以下の記載および付随する図面により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1a】一実施形態によるキャップ除去/再キャップ装置を含んでいるピペットシステムの斜視図である。
【図1b】いくつかの部品が明瞭にするために取り除かれている図1aに示されるキャップ除去/再キャップ装置の拡大図である。
【図2a】図1aおよび1bに記載の複数の閉止部材保持部の1つを示す。
【図2b】内部の構成部品が見えるようにハウジングの一部が取り除かれている図2aの閉止部材保持部を示す。
【図2c】図2aおよび2bの閉止部材保持部の作動原理へのさらなる理解を与える。
【図2d】図2aの閉止部材保持部の底面図を示す。
【図3】いくつかの内部の構成部品を見せるためにいくつかの部品が取り除かれているアクチュエータを示す。
【図4a】図1aおよび1bに記載されるような複数の閉止部材保持部を運ぶ回転ラック状のロータを示す。
【図4b】図4aの回転ラックの部分切断図を示す。
【図5】いくつかの部品が明瞭にするために取り除かれている図1aのシステムの上面図である。
【図6a】どのようにしてアクチュエータおよび受動型閉止部材グリッパーが係合されているかを示す上面斜視図である(いくつかの部品が明瞭にするために取り除かれている)。
【図6b】どのようにしてアクチュエータおよび受動型閉止部材グリッパーが係合されているかを示す底面斜視図である(いくつかの部品が明瞭にするために取り除かれている)。
【図6c】係合した図6aおよび図6bのアクチュエータ受動型閉止部材グリッパーを示す(いくつかの部材が明瞭にするために取り除かれている)。
【図7】管グリッパーをより詳細に示す。
【図8a】別の実施形態によるキャップ除去/再キャップ装置の斜視図である。
【図8b】図8aのキャップ除去/再キャップ装置を含んでいるピペットシステムを示す。
【図8c】図8bと同一のピペットシステムを別の視点から示す。
【図8d】図8bおよび8cと同一のピペットシステムの上面図を示す。
【図9】他の実施形態によるキャップ除去/再キャップ装置の上面図を示す。
【図10】複数のワークセルおよび複数のピペットシステムを含んでいるサンプル管を処理するシステムを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0070】
図1aは、一実施形態にしたがって、サンプル管12から一定量の試料を抜き取りおよび/または一定量の液体をサンプル管12内に分注するピペットシステム200を示す。このピペットユニット200は、可変な種類12’、12”のサンプル管12から異なりうる種類11’、11”の閉止部材11を取り除くため、および同一の各閉止部材11’、11”を用いて同一の管12’、12”を再閉鎖するために、キャップ除去/再キャップ装置100(図1bにより明確に示す)を含んでいる。キャップ除去/再キャップ装置100は、回転可能な回転ラック61に対称に配置される6つの個別の閉止部材保持部20を含んでおり、それぞれが1つの閉止部材保持部20を受け入れるように構成される対応する数のアーム62を有する。各閉止部材保持部は閉止部材11を保持する受動型閉止部材グリッパー21を含んでいる。装置100はさらに、3つのアクチュエータ40を含んでおり、詳細には、管12から閉止部材11を取り除く時に受動型閉止部材グリッパー21を作動させるキャップ除去アクチュエータ40’と、そのそれぞれの閉止部材11を用いて管12を再閉鎖する再キャップアクチュエータ40”と、最終的に閉止部材11を廃棄区画(図示せず)に放出する廃棄アクチュエータ40'”とを含んでいる。装置100はさらに2つの管グリッパー50を含んでいる。特にこれは、固定されたキャップ除去ステーションを含んでおり、ここでキャップ除去側管グリッパー50’はキャップ除去アクチュエータ40’と並んでおり、閉止部材11を取り除く時に、管12およびその閉止部材11を互いから離れるようにバイアスをかけるためにキャップ除去アクチュエータ40’と協働する。また装置100はさらに、固定された再キャップステーションを含んでおり、ここで再キャップ側管グリッパー50”は再キャップアクチュエータ40”と並んでおり、管12を再閉鎖する時に、管12およびその閉止部材11を互いに向かってバイアスをかけるために再キャップアクチュエータ40”と協働する。キャップ除去アクチュエータ40’は、閉止部材11が管12から取り除かれなければならない場合に、閉止部材保持部20の受動型閉止部材グリッパー21に連結される。再キャップアクチュエータ40”は、管12がそのそれぞれの閉止部材11を用いて再閉鎖されなければならない場合に、閉止部材保持部20の受動型閉止部材グリッパー21に連結される。廃棄アクチュエータ40'”は、閉止部材が廃棄されなければならない場合に、閉止部材保持部20の受動型閉止部材グリッパー21に連結される。アクチュエータ40は、閉止部材保持部20が閉止部材11を保持している場合に、受動型閉止部材グリッパー21から連結を解かれる。
【0071】
ピペットシステム200はさらに、管12の開放と同一の閉止部材11を用いた管12の再閉鎖との間の時間フレームで、一定量の試料を開放したサンプル管から抜き取るため、または一定量の液体をサンプル管12に分注するために、キャップ除去/再キャップ装置100と同期されるピペットユニット150を含んでいる。
【0072】
図2a〜2dは、一実施形態による閉止部材保持部20の構造および受動型閉止部材グリッパー21の作動機構をより詳細に示す。特に、図2aは閉止部材保持部20を外側から示している。図2bは、受動状態の受動型閉止部材グリッパー21の内側を示している。図2cは、作動された場合の受動型閉止部材グリッパー21の内側を示している。図2dは、受動状態にある閉止部材保持部20の底面図を示している。閉止部材保持部20は、アクチュエータ40に連結される上側連結部22と、閉止部材11(閉止部材は図示せず)を受け入れるためのキャビティー36を含む下側円筒部23とを含む対称構造を有している。受動型閉止部材グリッパー21は、水平な支点エレメント38の周りで枢動可能な3本のカンチレバーアーム28を含み、これらは閉止部材保持部20の垂直な中心軸37に対して対称に配置されている。各カンチレバーアーム28は、下端に取り付けられるジョー27および上端に取り付けられるホイール30を含んでいる。カンチレバーバネ29も、カンチレバーアーム28の下端などに力を及ぼすために各カンチレバーアーム28の片側に取り付けられ、それゆえジョー27は、他の力がない場合には閉止部材保持部20の下側部分23の外側に向かって押される。受動型閉止部材グリッパー21はさらに、受動エレメント31およびコイルバネ32を含み、軸37に対して対称に配置されるプレテンション部材を含んでいる。受動エレメント31は、軸37に沿って閉止部材保持部20の連結部22の外側に突出するピンと、その底面にコイルバネ32との接触面を備え、その側面にホイール30との接触面を備える下側の円錐部とを含んでいる。コイルバネ32によって受動エレメント31に加えられる力、すなわちそれに伴って受動エレメント31によって3つのカンチレバーアーム28に加えられる力は、3つのカンチレバーバネ29によって3つのカンチレバーアーム28に加えられる力の合計よりも大きい。ゆえにコイルバネ32の力は、受動エレメント31の上方への押し出しおよびカンチレバーアームのホイールが付いた端部の外側への押し出しに使われ、すなわちカンチレバーアーム28のジョーが形成された端部は、これらを外側へ押す傾向のあるカンチレバーバネ29の力に抗して内側に押される(図2b)。各ジョー27は閉止部材保持部20の内面を向く2つの面を含み、120°の角を形成している。3つのジョー27はゆえに、均一な(regular)幾何学的な把持表面(図2d)を形成し、より効率的な把持を可能にし、閉止部材11の非対称な変形を防ぐことができる。さらに各ジョー27は、一続きの円錐突出部35を含んでおり、これはさらに良好な把持のため、すなわち、接触点が減少しても閉止部材11のキャップ除去、再キャップまたは保持の間のスライドや誤配置を防ぐために、摩擦面として作用する。閉止部材11(図2a〜2dでは図示せず)がジョー27の間に位置付けられると、閉止部材11の外側側面に対称に加えられる圧力は、閉止部材11が所定の位置で受動的に保持されるような程度にされる。加えて、各ジョー27は水平なジョーの軸38’の周りで枢動可能なので、閉止部材保持部の垂直な中心軸37に対して角度を変えることができる。これは、把持面および把持力を失うことなく、閉止部材11の側面の異なる傾斜にジョーを適合させることを可能にする。
【0073】
アクチュエータ40(図2a〜2dには図示せず)に連結されると、受動エレメント31に外部から力が加えられ、この力はコイルバネ32の力よりも大きい。受動エレメント31はゆえに下方に押され、カンチレバーアーム28のホイール部分を外させる。カンチレバーアーム28上に作用する唯一の力は、この時点ではカンチレバーバネ29の力であって、これはカンチレバーアーム28のジョーが形成された端部を外側に押す(図2c)ので、ジョー27を開放しその間の閉止部材11から圧力を解放するか、またはジョー27が再び閉鎖される前に、開放しているジョー27の間に新しい閉止部材11を挿入させる。閉止部材保持部20の下側部分23は、各カンチレバーアーム28に対応する開口部39を含んでおり、これを通してカンチレバーアーム28のジョーが形成された端部は、開放の際またはより大きな直径の閉止部材11を収容する際に拡張することができる。
【0074】
閉止部材保持部20はさらに、弾性部材、すなわち第2コイルバネ34を備えた受動型閉止部材押し出しエレメント33を備え、これはジョー27の受動的な圧力が解放された場合に、垂直方向に閉止部材11への押し出し力を及ぼすためである。この押し出しエレメント33は、図2bではその緩和位置で示され、また説明の目的で図2cでは張力をかけられた位置で示されている。弾性部材の弾性力は、プレテンション部材の弾性力よりも弱くなるように選択される。このようにして、閉止部材11を把持手段の間に挿入する場合、すなわち閉鎖したサンプル管12を閉止部材保持部20に向けて持ち上げることによって閉止部材11を把持手段の間に挿入する場合、押し出しエレメント33は閉止部材11によって上方へ押され、第2コイルバネ34は張力をかけられる。それゆえ閉止部材11がジョー27の間でしっかりと収まったままである限り、保持期間中、押し出しエレメント33は閉止部材11の上面のみに圧力を及ぼすように制限される。閉止部材11が廃棄されなければならない場合には、押し出しエレメント33は閉止部材11に押し出す衝撃を加え、これはジョー27の開放時に閉止部材保持部20から閉止部材11を下方へ解放することに寄与する。押し出しエレメント33はさらに、ジョー27がその側面に圧力を加える場合に閉止部材11’の非対称な変形および/または傾斜を防ぎ、ゆえに閉止部材11’の安定装置として作用するために、その底部が、特定の種類の閉止部材11’の凹形の上面に適合するように設計される。
【0075】
図3は、キャップ除去アクチュエータ40’および再キャップアクチュエータ40”などのアクチュエータ40を示し、説明のためにいくつかの部品がカットされている。アクチュエータ40、40’、40”および受動型閉止部材グリッパー21が連結接続されている場合に、受動型閉止部材グリッパー21の受動エレメント31に圧力を及ぼすために、アクチュエータ40、40’、40”は、スピンドルモータ46に接続される作動ボルト41を含み、作動ボルト41によって加えられる力は、第1コイルバネ32の力よりも大きい。ゆえに、受動エレメント31に作用する作動ボルト41は、閉止部材11が把持または開放される必要のある度に、間接的にジョー27を開放する機能を有する。アクチュエータ40、40’、40”はさらに、駆動ベルト44を介してDCステッピングモータ47に接続される連結ディスク43を含む閉止部材グリッパー駆動手段を含み、これは閉止部材保持部20を軸37の周りで回転させるためである。連結ディスク43と閉止部材装置20の連結部22との係合は、図6a〜6cを参照して以下でより明らかにされる。
【0076】
廃棄アクチュエータ40'”(図1bに図示)の場合、通常、受動型閉止部材グリッパー21を回転させる必要はなく、ジョー27を開放させることによって閉止部材11に加えられている圧力を解放することのみが必要となる。それゆえ廃棄アクチュエータ40'”は作動ボルト41を含んでいるが、受動型閉止部材グリッパー21を回転させる閉止部材グリッパー駆動手段は含んでいない。
【0077】
図4aおよび4bは閉止部材保持部駆動手段60に関する。閉止部材保持部駆動手段60は、それぞれが図1aおよび1bに記載したような6つの閉止部材保持部20の1つを運ぶように構成されている6つのアーム62を含む回転ラック61を含んでいる。回転ラック61は、軸67の周りで回転されるように、ベルト66を介してDCステッピングモータ65に接続されるロータ63上に取り付けられ、これは連続して閉止部材保持部20にアクチュエータ40のいずれかとの連結接続をもたらすためである。閉止部材保持部駆動手段60はさらに、例えばアクチュエータ40と閉止部材保持部20との間の回転毎の適切な位置合わせを容易にするために、初期の正しい位置の決定、また回転角の制御/監視を補助する位置センサーを含んでいる。
【0078】
図4bは、図4aの回転ラック61の部分切断図であって、これは閉止部材保持部20がどのようにして回転ラック61のアーム62に取り付けられるかを示している。とりわけ、ディスク69は閉止部材保持部20の連結部22の周りに同心円状に固定されている。ディスク69は、閉止部材保持部20の下側の部分23がアーム62の下で延び、閉止部材保持部20の連結部22が部分的にアーム62の上で延び、またディスク69を含んでいる閉止部材保持部20全体がチャンバ64に対して軸37の周りで回転可能なように、アーム62のチャンバ64内に狭持される。
【0079】
図5は図1aのシステム200の上面図であって、いくつかの部品は明瞭にするために取り除かれている。アクチュエータ40は固定されているが、回転ラック61は反時計方向に回転可能である。それぞれ1〜6と番号をつけられた6つの閉止部材保持部20は、60°の間隔で対称に、ロータ63の中央から所定の距離に配置され、この距離はロータ63の中心から測定されるアクチュエータ40の作動ボルト41の距離に対応している。またアクチュエータ40は、通常の工程、この場合60°または60°の倍数のロータ63の回転時に、受動型閉止部材グリッパー21といずれかのアクチュエータ40との連結が可能であるように、互いに対して配置されている。装置100はさらに管コンベヤ、この場合それぞれが5つまでのサンプル管12を運ぶ管ラック91を移送するように構成されている直線コンベヤ90を含んでいる。キャップ除去アクチュエータ40’と再キャップアクチュエータ40”の間の距離は、6つの管12の中心間の距離、すなわち2つの隣接するラック91上の同一の各位置を占める2つの管12の間の距離に対応する。このようにして、2つの管12は、2つの閉止部材保持部20および2つのアクチュエータ40と、同時に位置合わせされるようにしてもよい。コンベヤ90は、新しい管12および新しい閉止部材保持部20が、同時に同一のアクチュエータ40、この場合キャップ除去アクチュエータ40’か再キャップアクチュエータ40”のいずれかと位置合わせされるように、ラック91を一段ずつ前進させるためにロータ63と同期されている。キャップ除去側管グリッパー50’および再キャップ側管グリッパー50”もまた、キャップ除去アクチュエータ40’および再キャップアクチュエータ40”とそれぞれ位置合わせされる。特に、キャップ除去側管グリッパー50’は、管12を持ち上げ、ロータ63と共にフリーな閉止部材保持部20をキャップ除去アクチュエータ40’とを連結接続させるためにコンベヤ90と同期され、これは例えば、その位置で、またその時期に管12から閉止部材11を取り除くためである。再キャップ側管グリッパー50”は、管12を持ち上げ、ロータ63と共に、すでに同一の管12から取り除かれた閉止部材11を保持している閉止部材保持部20を再キャップアクチュエータ40”と連結接続させるためにコンベヤ90と同期され、これは例えば、その位置で、またその時期に管12を再閉鎖するためである。
【0080】
この実施形態によるキャップ除去/再キャップ装置100の1つの可能なワークフローは、以下の実施例で要約される。
【0081】
開始時には、6つの閉止部材保持部20は全てフリーである。装置100は位置センサー68(図5には図示せず)を介して初期設定され、閉止部材保持部20、例えば閉止部材保持部20,1がキャップ除去アクチュエータ40’と位置合わせされる。コンベヤ90はその後、第1ラック91上の第1管12がキャップ除去アクチュエータ40’と位置合わせされ、それゆえ閉止部材保持部20,1およびキャップ除去側管グリッパー50’と位置合わせされるように、ラック91を前進させるよう指示される。キャップ除去アクチュエータ40’は閉止部材保持部20,1の受動型閉止部材グリッパー21に連結され、作動ボルト41が受動エレメント31に力を加えるのでジョー27が開放される。キャップ除去側管グリッパー50’は、閉止部材11が開放したジョー27の間の高さになるまで管12を持ち上げるよう指示される。この高さを決定するために、ラック91の前進の間、管12および/または閉止部材11の種類を判定する、センサー(図示せず)によって実行される測定が考慮に入れられる。ジョー27はその後、作動ボルト41によって圧力を解放することによって閉鎖される。キャップ除去アクチュエータ40’はその後受動型閉止部材グリッパー21を回転させるために連結ディスク53を回転させるように指示されるが、キャップ除去側管グリッパー50’は、管12をラック上へと下方に引き戻すように指示されるので、キャップ除去アクチュエータ40’と協働して、閉止部材保持部20,1の受動型閉止部材グリッパー21を介して管12から閉止部材11を取り除く。
【0082】
ラック91はその後、次の管12がキャップ除去アクチュエータ40’およびキャップ除去側管グリッパー50’と位置合わせされるように、他の位置へと前進される。また同時に、次の閉止部材保持部20,6が、ロータ63を反時計方向に60°回転させることによってキャップ除去アクチュエータ40’と位置合わせされ、工程が繰り返される。ゆえに閉止部材保持部20,1も反時計方向に60°動かされているが、第1管12から取り除かれた閉止部材11を受動的に保持しており、閉止部材保持部20,1はもはやどのアクチュエータ40にも連結されていない。
【0083】
この工程を5回行うと、5つの管12が開放されており、それぞれの閉止部材はそれぞれの閉止部材保持部20,1、20,2、20,3、20,4、20,5によって一度に60°ずつ反時計方向へと一段ずつ移送されている。閉止部材保持部20,6がキャップ除去アクチュエータ40’と位置合わせされると、第1閉止部材11を保持している閉止部材保持部20,1が再キャップアクチュエータ40”と位置合わせされる。また同時に、6番目の管12、すなわち第2ラック上の最初の管は、キャップ除去側管グリッパー50’およびキャップ除去アクチュエータ40’と位置合わせされる一方で、最初に開放された第1ラック91上の最初の管12は、再キャップ側管グリッパー50”および再キャップアクチュエータ40”と位置合わせされるので、対応する閉止部材11、すなわち同一の管12から取り除かれた同一の閉止部材11を保持している閉止部材保持部20と位置合わせされる。
【0084】
この時点から、キャップ除去ステーション70および再キャップステーション80は同一の時間フレームで作動し、それぞれがキャップ除去および再キャップそれぞれのタスクを行う。特に、キャップ除去ステーション70で行われるものとほぼ同一の工程が再キャップステーション80で生じるが、順番は逆である。詳細には、再キャップステーション80では、受動型閉止部材グリッパー21を反対方向に回転させるために、再キャップアクチュエータ40”は連結ディスク43を回転させるように指示される。一方で再キャップ側管グリッパー50’は、すでに得られている管の種類についての同一の情報を用いて、管12を閉止部材11に向けて上方に持ち上げるように指示され、それによりキャップ除去アクチュエータ40’と協働して、閉止部材保持部20,1の受動型閉止部材グリッパー21を介して、同一の閉止部材11を用いて管12を再閉鎖する。注目すべきは、管12に対する閉止部材11の角度位置は、キャップ除去ステーション70および再キャップステーションのそれぞれで異なるということである。これは管12が、回転することなくキャップ除去ステーション70から再キャップステーション80まで線形に移送されているという事実によるものである。一方で、閉止部材保持部20,1は、ロータ63の300°の回転動作を用いて、キャップ除去ステーション70から再キャップステーション80に移送されている。それゆえ管12に対する閉止部材11の角度位置において、再キャップステーション80ではキャップ除去ステーション70と比べて−60°の違いがある。この違いは、とりわけ閉止部材11がねじ式である場合に、管12の適切な閉鎖に影響を及ぼし得る。この違いを考慮に入れるために、再キャップアクチュエータ40”は、受動型閉止部材グリッパー21をさらに60°回転させるために、連結ディスク43を回転させるように指示される。作動ボルト41はその時、受動エレメント31に力を加えるので、ジョー27は開放され、再キャップ側管グリッパー50”は管12をラック91上に下降させるように指示される。再キャップアクチュエータ40”はゆえに、閉止部材保持部20,1から分離され、閉止部材保持部20,1は再びフリーとなり、新しい閉止部材を受け入れ新しいサイクルを開始するためにキャップ除去ステーション70へ戻される。
【0085】
ピペットユニット150は、管12の開放と同一の閉止部材11を用いた管12の再閉鎖との間の時間フレームにおいて、一定量の試料を抜き取るため、および/または一定量の液体を分注するために、キャップ除去/再キャップ装置100と同期される。とりわけ、管12がキャップ除去ステーション70と再キャップステーション80との間の中間位置にある場合であって、キャップ除去ステーション70および/または再キャップステーション80が他の管それぞれとともに作動しており、かつ、ロータ63が回転していない時間フレーム中に、針(図5には図示せず)が管12の開放端を介して試料中に入れられるように、ピペットユニット150は一時的に降下される。任意には、ピペット管グリッパー(図示せず)が開放している管12を持ち上げるために用いられてもよく、これはピペットユニット150の移動距離を短くすることによってピペット操作を容易にする。
【0086】
図6aおよび6bは、どのようにしてアクチュエータ40、とりわけキャップ除去アクチュエータ40’および再キャップアクチュエータ40”が受動型閉止部材グリッパー21と係合されているかを、上面および下面それぞれから斜視図で示す(いくつかの部品は明瞭にするために取り除かれている)。
【0087】
詳細には、閉止部材保持部20の連結部23は、中心に配置される受動エレメント31の対辺に配置される2本のピン26をその上面に含んでおり、受動エレメント31は2本のピン26を結ぶ線から外れて配置されている。その結果、閉止部材保持部20が回転ラック61のアーム62に取り付けられると、受動エレメント31および2本のピン26は、受動エレメント31の中心とロータ63の中心との間の距離を半径とする仮想円上にある。連結ディスク43はその底面に、ピン26および受動エレメント31を入れるのに充分な幅および深さを有する溝45を含んでいる。また溝45は、回転ラック61が回転された時にピン26および受動エレメント31が滑らかに通り抜けられるように、作動ボルト41の中心とロータ63の中心との間の距離を半径とする仮想円の曲率と対応する曲率を有している。係合は、受動エレメント31および作動ボルト41が位置合わせされると完了し、作動ボルト41は溝45の中心にある穴を通して伸び縮みが可能である。
【0088】
各アーム62は位置合わせ手段を含んでおり、この場合各閉止部材保持部20の結合部23の側面の1つに配置される強磁性エレメント28を引き付けるための磁石27を含んでいる。とりわけ各磁石27および各強磁性エレメント28は、閉止部材保持部20がアクチュエータ40から取り外された時に、磁石27によって強磁性エレメント28に及ぼされる磁力により、閉止部材エレメント20の軸37の周りの回転が防がれ、ロータ63の回転の間、閉止部材保持部20の各アーム62に対する同一の角度位置が維持されるように配置される。とりわけ各磁石27および各強磁性エレメント28は、閉止部材保持部20がアクチュエータ40に連結されなければならない場合に、閉止部材保持部20のピン26が溝45と位置合わせされるように配置される。閉止部材保持部20がキャップ除去アクチュエータ40’または再キャップアクチュエータ40”と連結される場合、連結ディスク43は溝45を介してピン26に作用する回転力を閉止部材保持部20に加え、この力は前述の磁力よりも大きいので閉止部材保持部20の軸37の周りでの回転をもたらす。
【0089】
図6cは、すでに係合されているアクチュエータ40および受動型閉止部材グリッパー21を示す(いくつかの部品は明瞭にするために取り除かれている)。詳細には、図6cは溝45内のピン26および受動エレメント31を示し、ここで作動ボルト41は受動エレメント31と位置合わせされている。また、作動ボルト41は受動エレメント31に力を加えている状態で示されているので、アクチュエータ40と受動型閉止部材グリッパー21との間で第1の連結接続を確立する。連結ディスク43を回転させると、回転力は閉止部材保持部20にも加えられるので、第2の連結接続を確立する。それゆえ連結接続は、アクチュエータ40から閉止部材保持部20または受動型閉止部材グリッパー21に力が伝達される時にのみ存在する。閉止部材保持部20は、必要なければ連結が生じていない状態で、アクチュエータ40と係合、すなわち位置合わせされてもよい。これは例えば、廃棄アクチュエータ40'”を用いる場合である。さらに、廃棄アクチュエータ40'”との係合は、作動ボルト41と受動エレメント31との位置合わせのみを含んでいる。また、連結は作動ボルト41から受動エレメント31までの力の伝達のみを含んでいる。
【0090】
図7は管グリッパー50をより詳細に示す。管グリッパー50は、互いに対してバイアスをかけることができる、2本のそれぞれの第1管把持アーム55’および55”に取り付けられる2つの上側の管把持ジョー51’、51”を含む第1管把持手段51を含んでいる。管グリッパー50はさらに、互いに対して、また上側の管把持ジョー51’、51”と同一方向にバイアスをかけることができる、2本のそれぞれの第2管把持アーム54’および54”に取り付けられる2つの下側の管把持ジョー52’、52”を含む第2管把持手段52を含んでいる。また、第1管把持アーム55’、55”は第2管把持アーム54’、54”にそれぞれ取り付けられ、弾性装置53を介して第2管把持アーム54’、54”に対してバイアスをかけることができる。上側の管把持ジョー51’、51”および下側の管把持ジョー52’および52”はそれぞれ、それぞれ対向面から管を把持するための把持面を含んでいる。上側の管把持ジョー51’、51”は下側の管把持ジョー52’および52”よりも長く、上側の管把持ジョー51’、51”の把持面は下側の管把持ジョー52’および52”の把持面よりも小さい。管グリッパー50はさらに、第2把持アーム54’および54”にバイアスをかけるために、スプンドルバネ57を介して第2管把持アーム54’および54”に接続される第1DCステッピングモータ56を含んでおり、それゆえ管12を把持する場合に下側の管把持ジョー52’および52”を互いに向かってバイアスをかけ、また管12を解放する場合にそれらを互いから離してバイアスをかける。第1管把持アーム55’および55”は第2管把持アーム54’および54”に取り付けられるので、これらもそれに応じてバイアスをかけられる。管グリッパー50はさらに、第2管把持アーム54’および54”を、第1管把持アーム55’および55”と共に上昇および下降させる第2DCステッピングモータ58を含んでいる。上側の管把持ジョー51’および51”は下側の管把持ジョー52’および52”よりも長く、弾性装置53を介して互いに対してバイアスをかけることができるので、管グリッパー50はモータ56および58を介して、下側の管把持ジョー52’および52”が上側の管把持ジョー51’および51”の力および接触面よりもそれぞれ大きい力および接触面で管をしっかりと把持および保持し得る前に、上側の管把持ジョー51’および51”が管キャリアから管を把持し、持ち上げるように設定されてもよい。同様に管グリッパー50は、管を下降させて管キャリアに戻す時に、下側の管把持ジョー52’および52”が上側の管把持ジョー51’および51”よりも前に管を解放できるように設定されてもよい。
【0091】
図8aは、別の実施形態によるキャップ除去/再キャップ装置300の斜視図を示す。図1bおよび図5のキャップ除去/再キャップ装置100との違いは、好適にはコンベヤ390によって移送される単一の管キャリア391を用いて作動するように設計されていることである。詳細には、キャップ除去/再キャップ装置300は、キャップ除去ステーション370に配置される固定されたキャップ除去アクチュエータ340’およびキャップ除去側管グリッパー350、350’と、再キャップステーション380に配置される再キャップアクチュエータ340”および再キャップ側管グリッパー350、350”と、廃棄ステーション385に配置される廃棄アクチュエータ340'”および廃棄区画(図示せず)と位置合わせされる廃棄ウェル384とを含んでいる。3つの閉止部材保持部20は、回転ラック361の3つのアーム362それぞれに、120°の間隔で対称に配置されており、回転ラック361はロータ363を介して反時計方向に回転可能である。キャップ除去ステーション370、再キャップステーション380および廃棄ステーション385は、120°または120°の倍数の、通常の工程のロータ363の回転時に、受動型閉止部材グリッパー21といずれかのアクチュエータ340との連結が可能であるように、互いに対して配置されている。装置300はさらに管コンベヤ、この場合それぞれが単一の管12を運ぶパック391を移送するように構成される線形コンベヤ390を含んでいる。キャップ除去ステーション370と再キャップステーション380との間の距離は、互いに隣接するそれぞれのパック391によって運ばれる連続する3つの管12における、1番目の管の中央と3番目の管の中央との間の距離に対応している。このようにして、2つの管12は2つの閉止部材保持部20および2つのアクチュエータ340’、340”と同時に位置合わせされ得る。本実施形態のワークフローは、1つのサイクルが6つではなく3つの管ごとに完了され、回転の工程が60°ではなく120°であること以外は、図5を参照して記載した実施形態と類似している。
【0092】
図8bは、図8aのキャップ除去/再キャップ装置300を含んでいるピペットシステム400を示す。ピペットシステム400はさらに、管12の開放から同一の閉止部材11を用いた管12の再閉鎖までの時間フレームで、一定量の試料を抜き取るため、および/または一定量の液体を分注するために、キャップ除去/再キャップ装置300と同期されるピペットユニット250を含んでいる。
【0093】
とりわけ、管12がキャップ除去ステーション370と再キャップステーション380との間の中間位置にあり、キャップ除去ステーション370および/または再キャップステーション380が他の各管と作動している時間フレーム内であって、またロータ63が回転していない場合に、針251が管12の開放端を介して試料中に入れられるように、ピペットユニット250は一時的に下降させられる。任意には、ピペット管グリッパー(図示せず)が開放している管12を持ち上げるために用いられてもよく、これはピペットユニット250および/またはピペット針251の移動距離を短くすることによってピペット操作を容易にする。
【0094】
図8cは、図8bと同一のピペットシステム400を別の側面から示す。とりわけ廃棄ステーション385がより詳細に示され、これは閉止部材が廃棄区画(図示せず)内へと廃棄されるように案内する廃棄ウェル384を含んでいる。
【0095】
図8dは、図5の装置との違いをより理解するために、図8bおよび8cと同一のピペットシステム400の上面図を示す。
【0096】
図9は、管ラック91と作動している、別の実施形態によるキャップ除去/再キャップ装置500の上面図をより概略的に示す。上述の実施形態との違いは、回転ラック561がリング形状を有し、より多くの数、この場合20個の閉止部材保持部20を収容するということである。さらに、キャップ除去ステーション570および再キャップステーション580のみが示されており、これらは回転ラック561に対して正反対に配置されている。この場合1つのサイクルは11個の管12ごとに完了する。また、管12がその位置を通る時に開放している管12の1つを持ち上げ、ピペットユニット(図示せず)の移動距離を短くすることによってピペット操作を容易にするために、ピペット管グリッパー550'”が装置500の中央に配置されることも示され得る。
【0097】
図10は、サンプル管を処理するためのシステム900のほんの一例を概略的に示したものである。このシステム900は複数のワークセル901〜909を含んでいる。とりわけシステム900は、分析前ワークセル901、分析後ワークセル909、好適には単一のキャリアでサンプル管を処理するように構成される複数の分析ワークセル902〜906、および、好適には管ラックでサンプル管を処理するように構成される2つの分析ワークセル907、908を含んでいる。システム900はさらに、必要に応じて1つのワークセルから別のあらゆるワークセルへ、単一のキャリア上および管ラック上のサンプル管の両方を移送するように構成される移送ユニット920を含んでいる。システム900はさらに、ワークセル901〜908によって処理されるようにサンプル管から一定量の試料を抜き取るために、各ワークセル901〜908に対応するピペットシステム911〜918を含んでいる。ピペットシステム911〜918は、試料が抜き取られる必要がある場合にサンプル管から閉止部材を取り除くため、および移送ユニット920によって他のワークセル901〜909に移送される前にサンプル管を再閉鎖するために、キャップ除去/再キャップ装置を含んでいる。
【0098】
上記のものは好ましい実施形態の単なる例であって、その変形は特定のニーズに従って本発明の範囲を逸脱することなく可能である。詳細には、キャップ除去/再キャップ装置は単一の管キャリアおよび管ラックの両方と作動するように設計されてもよく、管ラックは異なる数の管を運ぶように構成されてもよい。また、異なる数の閉止部材保持部およびアクチュエータの組み合わせ、ならびに異なる配置が考えられ得る。特に、異なる結合機構が考えられ得る。
【技術分野】
【0001】
本発明は体外診断の分野に属し、特にサンプル管から閉止部材を自動的に取り除く装置に関する。さらに詳しくは、サンプル管から閉止部材を取り除き、同じそれぞれの閉止部材で同じ管を再閉止する、キャップ除去/再キャップ装置に言及する。本発明はまた、前記キャップ除去/再キャップ装置を備えたピペットシステムおよび分析システムにも言及する。
【背景技術】
【0002】
多様な医療機関から来る血液試料などの生体試料は、通常、様々な閉止部材を有する異なる種類の管に入って検査室に到着する。これらは、例えば静脈穿刺によって試料を採取するために用いられることから、一次サンプル管と呼ばれる。
【0003】
閉止部材を取り除くことなく一次サンプル管を処理できる機器、すなわち、例えばピペット針を用いて閉止部材を穿刺し、一次管に含まれている試料にアクセスすることによって一次サンプル管を処理できる機器が存在する。しかしながら、全ての閉止部材がこの手段に適しているわけではなく、また全ての種類の機器および/または分析でこの手段の使用が可能なわけではない。いくつかの種類の機器および/または分析では、試料が前処理および/または分析される前にサンプル管が開放される必要がある。それゆえ、このような機器は、一次管から閉止部材を自動的に取り除くための自動的なキャップ除去手段(decapper)を有するべきである。
【0004】
試験管の自動的なキャップ除去(decapping)は、直径、高さが異なる市販の多様な試験管、および特に市販の多様な閉止部材により複雑になる。いくつかの閉止部材は例えば、一次管上にねじで取り付けられるようにねじ山を有する。また別の種類の閉止部材は、引き抜き動作により取り除かれ得るゴム製のストッパまたはキャップである。閉止部材はまた、その組成が異なる場合もある。閉止部材はゴム、プラスティック製などの場合もある。
【0005】
管のキャップ除去においては、通常ガラスまたはプラスティックで作製される管を壊さないよう、また、試料を全く漏出させないよう注意しなければならない。さらに、クロスコンタミネーションを引き起こし、試料の検査および分析を妨害することから、漏出した試料および蒸気は機器内の他の管に移送されるべきではないという制約がある。また、試料は汚染されている可能性があるので、バイオハザードも問題である。ゆえに管および閉止部材は、確実に処理および/または廃棄されなければならない。
【0006】
キャップ除去(decap)を行える装置、すなわちこれらの種類の一次管の全てまたはほとんどから閉止部材を取り除くことができるキャップ除去装置が開発されており、これらは市場で入手可能である。
【0007】
一次管が開放され、一定量の試料が抜き取られると、上に示した安全上の理由から一次管を再閉鎖することが多くの場合望ましく、どんな場合でも、さらなる分析が後で必要となる場合に試料が長期間保存されなければならない際には、一次管を再閉鎖することが多くの場合望ましい。
【0008】
1つのアプローチは、一次管を開放した後に当初の閉止部材を廃棄し、別の標準的な、または万能型の閉止部材で一次管を再閉鎖することである。これは、開放、ピペット処理および再閉鎖といった様々な工程を、互いに対してより独立したものにすることに主な利点がある。このようにして、一次管はキャップ除去装置により開放され、試料がピペット処理および処理されるワークセルへと動かされ、その後新しい閉止部材を用いて再閉鎖されることを可能にし、この工程は前の管の処理が完了する前に別の管に対して再び開始できる。別の利点は、一種類の標準的な閉止部材が用いられているので再キャップ(recapping)がより容易に行われ、また管が再び開放される必要がある場合にはキャップ除去も容易に行われるということである。しかしながら、不利な点は、新しい閉止部材が各一次管に導入されるので、処理コストおよび廃棄量が増加し、また各管のための再キャップ装置に新しい閉止部材を運ぶ必要があるために、再キャップ装置の複雑さが増すということである。
【0009】
理想的には、一次管から取り除かれた閉止部材が、同一の管を再閉鎖するために用いられる。あらゆる種類の閉止部材を取り除くことができ、一定量の試料が抜き取られた後に管を同一の閉止部材で再閉鎖することができるキャップ除去/再キャップ装置も公知である。特許文献1は、このような装置の一例を開示している。この種の装置は、しかしながら、管の開放、ピペット処理、閉鎖および移動の工程の全てが、別の一次管に対して工程が繰り返される前に完了する必要があるので、試料のスループットが低下するというデメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6,599,476号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の1つの目的は、サンプル管処理のスループットを向上し、処理コストを減少させることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、この目的は、それぞれが受動型閉止部材グリッパーを複数の個別の受動型閉止部材保持部と、閉止部材を取り除く場合または管を再び閉鎖する場合に、受動型閉止部材グリッパーを作動させる少なくとも1つのアクチュエータとを含んでいるキャップ除去装置またはキャップ除去および再キャップ装置によって達成される。ここで1つのアクチュエータは、閉止部材が管から取り除かれなければならない場合または閉止部材が閉止部材グリッパーから解放されなければならない場合に、1つの受動型閉止部材グリッパーに連結され、また閉止部材保持部が閉止部材を保持している場合に、受動型閉止部材グリッパーから連結を解かれる。
【0013】
これは、追加の閉止部材を用いることなく、また処理工程に対する厳しい制限なしに処理のスループットを向上させる。このようにして、追加の閉止部材の使用を回避し、装置の複雑さを軽減することにより、コストの節約も達成される。
【0014】
別の利点は、装置が、可変な形状のサンプル管を処理することを可能にし、また可変な形状の閉止部材を有するサンプル管を処理することを可能にするということである。これは、一次管ならびに二次管を処理することも可能にする。
【0015】
さらに別の利点は、クロスコンタミネーションのリスクが最小限にされるということである。
【0016】
さらに別の利点は、装置がキャップ除去装置としてのみ用いられても、スループットが向上するということである。
【0017】
本発明の別の利点は、複数のワークセルを含んでいるシステムにおける試料処理のスループットを最大限に高めることができるということである。
【0018】
これは、各ワークセルが、試料が抜き取られる必要がある時および場所で一次管から閉止部材を取り除き、他のワークセルへ移送される前に一次管を再び閉鎖するキャップ除去/再キャップ装置を有することにより達成される。
【0019】
本発明の1つの利点は、管が、閉止部材によって閉鎖された状態で、システム内、すなわち1つのワークセルから別のワークセルまで移送され、必要な時および場所でのみ開放され得るということである。このようにして、試料が管から漏出するリスク、クロスコンタミネーションのリスク、蒸発およびバイオハザードのリスクを最小限にできる。
【0020】
本発明によるキャップ除去/再キャップ装置を用いることにより、中央または共通のキャップ除去/再キャップ装置のスループットに依存することなく、サンプル管のキャップ除去および再キャップのスループットを、各ワークセルの試料処理のスループットおよび特定のワークフローに適合できる。また、キャップ除去/再キャップ装置を、各ワークセルに要求されるサンプル管のキャリアの種類に適合させることも可能であって、これは、例えば単一のサンプル管キャリアや複数のサンプル管を運ぶためのラックなど、互いに異なっている場合もある。
【0021】
本発明は、サンプル管から閉止部材を取り除くキャップ除去装置に関し、この装置は、それぞれが閉止部材を保持する受動型閉止部材グリッパーを含んでいる複数の個別の閉止部材保持部を含んでいる。この装置はさらに、管から閉止部材を取り除く場合、または閉止部材を解放する場合に受動型閉止部材グリッパーを作動させる少なくとも1つのアクチュエータと、閉止部材を取り除く場合に、管およびその閉止部材を互いから離れるようにバイアスをかける少なくとも1つのアクチュエータと協働する少なくとも1つの管グリッパーとを含んでいる。アクチュエータは、閉止部材が管から取り除かれなければならない場合または閉止部材が解放されなければならない場合に、閉止部材保持部の1つの受動型閉止部材グリッパーに連結され、また閉止部材保持部が閉止部材を保持している場合に、受動型閉止部材グリッパーから連結を解かれる。
【0022】
より詳細には、本発明は、サンプル管から閉止部材を取り除き、同一のそれぞれの閉止部材を用いて同一の管を再閉鎖するキャップ除去/再キャップ装置に関し、この装置は、それぞれが閉止部材を保持する受動型閉止部材グリッパーを含んでいる複数の個別の閉止部材保持部を含んでいる。この装置はさらに、管から閉止部材を取り除く場合またはそのそれぞれの閉止部材を用いて閉止部材を再閉鎖する場合に受動型閉止部材グリッパーを作動させる少なくとも1つのアクチュエータと、閉止部材を取り除く場合に、管およびその閉止部材を互いから離れるようにバイアスをかけ、管を再閉鎖する場合に、管およびその閉止部材を互いに対して向かうようにバイアスをかける少なくとも1つのアクチュエータと協働する少なくとも1つの管グリッパーとを含んでいる。アクチュエータは、閉止部材が管から取り除かれなければならない場合または管がそのそれぞれの閉止部材を用いて再閉鎖されなければならない場合に、閉止部材保持部の1つの受動型閉止部材グリッパーに連結され、また閉止部材保持部が閉止部材を保持している場合に、受動型閉止部材グリッパーから連結を解かれる。
【0023】
本発明によれば、本明細書中で「管」とも称される「サンプル管」とは、血液試料などの試料を患者から受け取り、そこに含まれる試料を診断目的のために分析検査室へと移送するために用いられる、「一次管」とも呼ばれる試料採取テスト管か、または、一次管から試料の分注分を受け取るために用いられ得る「二次管」である。一次管は通常ガラスまたはプラスティックで作製され、閉鎖端部および閉止部材により閉鎖される開放端部を有している。一次管は、異なる形状および色を呈する異なる材料で作製されてもよく、通常管の種類、すなわちそこに含まれる試料の種類やそこに含まれる試料がさらされる条件の種類に関連付けられる。例えば、抗凝固剤または凝固促進剤を含んでいる管や、血漿などの分離を容易にするゲルを含んでいる管が存在する。異なる種類の一次管はたいてい、異なる一次管製造者による単なるカスタマイズの結果である。ほとんどの場合それらは、試料の種類および/またはそれらが受ける分析を反映する。とりわけ、異なる量の試料を受け入れるために、異なる大きさ、すなわち異なる直径および/または異なる高さの一次管が存在する。ゆえに、種類が異なる可能性のある閉止部材を用いた異なる種類の一次管の操作を可能にするためには、単一の試験室と通常単一の機器が必要である。二次管は通常プラスティックで作製され、一次管に対して大きさおよび種類の変化の程度が小さくてもよい。特に、二次管は一次管より小さくてもよく、また例えばねじ式の、1種または同様の種類の閉止部材を用いて閉鎖されるように設計されてもよい。
【0024】
本明細書において「閉止部材」という語は、ねじ式キャップおよびゴム製のストッパを含むあらゆる種類のキャップを指すために用いられ、これらは押し引き動作および/またはねじ付け動作によってそれぞれ開放および/または閉鎖され得る。
【0025】
本発明による「キャップ除去装置」とは、同一または異なる種類の閉止部材をそのそれぞれの管から取り除くことによって、同一または異なる種類のサンプル管を自動的に開放できる装置である。
【0026】
本発明による「キャップ除去/再キャップ装置」とは、同一または異なる種類の閉止部材をそのそれぞれの管から取り除くことによって、同一または異なる種類のサンプル管を自動的に開放でき、またこれら管から取り除かれた閉止部材と同一のそれぞれの閉止部材を用いてサンプル管を自動的に再閉鎖できる装置である。ゆえに、キャップ除去/再キャップ装置は、さらに、同一のそれぞれの閉止部材を用いてサンプル管を再閉鎖するように構成されたキャップ除去装置である。また、キャップ除去/再キャップ装置はキャップ除去装置としてのみ用いられてもよい。それゆえ、特定されない限りは、この「装置」という一般的な語は以後、キャップ除去装置およびキャップ除去/再キャップ装置のいずれかまたは両方を示すために用いられる。
【0027】
本発明による装置は、それぞれが閉止部材を保持する受動型閉止部材グリッパーを含んでいる複数の個別の閉止部材保持部を含んでいる。「閉止部材保持部」とは、キャップ除去、すなわちサンプル管からの閉止部材の除去から、閉止部材の廃棄または再キャップ、すなわち同一の各閉止部材を用いた同一のサンプル管の再閉鎖までの間、閉止部材を保持できる装置である。各閉止部材保持部は、受動型閉止部材グリッパーを含んでおり、これの機能は、閉止部材の外面に加えられる受動的な摩擦圧力によって閉止部材をしっかりと保持し、閉止部材が移動および/または落下することを防ぐことである。「受動(受動型)」とは、サンプル管から閉止部材を取り除く場合または閉止部材を廃棄する場合またはそのそれぞれの閉止部材でサンプル管を再閉鎖する場合にのみ、受動型閉止部材グリッパーと装置の他の部品、特にアクチュエータとの間に力またはエネルギーの伝達が存在し、また、キャップ除去から廃棄または再キャップの間には、受動型閉止部材グリッパーとアクチュエータとの間に力またはエネルギーの伝達が存在しないことを意味する。この期間中閉止部材を保持するために必要な力は、弾性があり、受動型閉止部材グリッパーそのものの内面に向かう力である。ゆえに閉止部材グリッパーは、キャップ除去または再キャップが行われなければならない場合にアクチュエータと連結される必要があるが、アクチュエータに連結されずにこのような動作を行うことはできないという意味で受動的である。
【0028】
「アクチュエータ」とは、作動、すなわち管から閉止部材を取り除く場合またはそのそれぞれの閉止部材を用いて管を再閉鎖する場合に、受動型閉止部材グリッパーへの力またはエネルギーの伝達を行う装置である。このアクチュエータは、閉止部材が管から取り除かれなければならない場合または管が廃棄、またはそのそれぞれの閉止部材を用いて再閉鎖されなければならない場合に、閉止部材保持部の受動型閉止部材グリッパーに連結され、また閉止部材保持部が閉止部材を保持している場合に、受動型閉止部材グリッパーから連結を解かれる。一実施形態によればこの力は、例えば受動型閉止部材グリッパーの受動エレメントを押したり引いたりして、正または負の圧力を加えることにより受動型閉止部材グリッパーに伝達される軸方向の力である。また、力は代替的または付加的に回転に関するものでもよく、これは回転式の駆動手段に連結することによって、受動型閉止部材グリッパーに伝達される。しかしながら、この力は誘導されてもよく、すなわち、物理的接触を伴わずに、たとえば磁石により誘導されてもよい。
【0029】
アクチュエータと受動型閉止部材グリッパーとの間の関係に言及する際の「連結される」または「連結接続で」とは、アクチュエータが受動型閉止部材グリッパーに係合され、アクチュエータから受動型閉止部材グリッパーへの力の伝達が可能なことを意味する。係合は物理的な接触および/または位置合わせによって生じてもよい。「連結を解かれる」とは、アクチュエータおよび受動型閉止部材グリッパーの係合が解かれる、すなわち物理的に互いに分離されるか、ずらされることを意味する。代替的には、アクチュエータおよび受動型閉止部材グリッパーは物理的接触または位置合わせされたままでもよいが、アクチュエータから受動型閉止部材グリッパーへの力の伝達は停止され、これはアクチュエータから受動型閉止部材グリッパーへの力またはエネルギーの伝達がないことを意味する。
【0030】
本発明によればこのようにして、複数の閉止部材保持部を1つまたは2つ以上のアクチュエータに連結できる。一実施形態によれば、1つまたは2つ以上のアクチュエータが装置内に固定される一方で、複数の閉止部材保持部は、順番に1つまたは2つ以上のアクチュエータに連結されるように、固定されたアクチュエータに対して移動可能である。もちろんその逆も可能であって、その場合は複数の閉止部材保持部が固定され、1つまたは2つ以上のアクチュエータが固定された閉止部材保持部に対して移動可能である。
【0031】
本発明によれば装置はさらに、閉止部材を取り除く場合に管およびその閉止部材を互いから離れるようにバイアスをかけ、管を再閉鎖する場合に管およびその閉止部材を互いに向けてバイアスをかける少なくとも1つのアクチュエータと協働する、少なくとも1つの管グリッパーを含んでいる。一実施形態によれば、この少なくとも1つの管グリッパーは少なくとも1つのアクチュエータと位置合わせされる。複数のアクチュエータおよび複数の管グリッパーが存在する場合には、2つまたは3つ以上の管グリッパーがそれぞれの数のアクチュエータと位置合わせされてもよい。一実施形態によれば、管グリッパーは管を持ち上げ、またアクチュエータに連結された閉止部材保持部に対して管を保持するように構成され、アクチュエータは、サンプル管から閉止部材を取り除くためまたは閉止部材保持部によって保持されるそれぞれの当初の閉止部材を用いて管を再閉鎖するために、管グリッパーと協働する。しかしながら、管グリッパーがサンプル管を持ち上げることなくサンプル管を保持できる一方で、閉止部材保持部および/またはアクチュエータが管グリッパーに対して動かされるように装置を構成することも可能である。代替的には、管グリッパーと閉止部材保持部および/またはアクチュエータが互いに対して動くことができる。
【0032】
一実施形態によれば閉止部材グリッパーは、把持手段およびこの把持手段に接続されるバネなどのプレテンション部材を含んでおり、これはその間に対称に配置される閉止部材の側面に圧力を及ぼすために、1つの枢動方向(閉鎖方向)において閉止部材保持部に対して把持手段にプレテンションをかける。この圧力は、アクチュエータを受動型閉止部材グリッパーに連結する場合に、アクチュエータによってプレテンション部材に加えられる力によって解放できる。閉止部材は、廃棄されるか、またはそのそれぞれのサンプル管に戻されるまで、好ましくは装置の部品のほかの表面に触れることなく把持手段によって掛けられて保持される。
【0033】
一実施形態によれば把持手段は、閉止部材保持部の垂直な中心軸に対して対称に配置される複数のジョーを含んでおり、各ジョーは、好適には二次元のアレイで配置される突出部、例えば円錐形の突出部などの、好適には複数の突出部である摩擦面を含んでおり、またジョーは閉止部材を把持および保持するために互いに対して協働している。
【0034】
本実施形態は、最小限の接触面を用いて最大限の把持力が達成され得ることから、変わりうる形状および材料の閉止部材を除去および保持することに特に優れており、またこの閉止部材を用いてサンプル管を再閉鎖することにも特に優れている。このようにして閉止部材は、保持の間または取り外しもしくは再取り付け時の、ジョーを通るスライドの間に、落下することなく強力に保持され得る。さらに、滑らかかつ効率的なキャップ除去および再キャップのために、閉止部材の非対称な変形は防がれる。また、グリッパーおよび閉止部材の外面の接触は最小限で起こるので、閉止部材の内面および/または底面に存在するおそれのある微量な試料による、1つの閉止部材から次の閉止部材まででのクロスコンタミネーションの危険性を最小限にする。一実施形態によれば各ジョーは、閉止部材保持部の垂直な中央軸に対してその角度を変更することにより、水平なジョーの軸の周りで枢動可能である。これはジョーが、把持面および把持力を失うことなく、異なる傾斜の閉止部材の側面に適合することを可能にする。
【0035】
一実施形態によれば閉止部材保持部は、把持手段から独立して、受動型閉止部材押し出しエレメントを含んでおり、これは把持手段の圧力が解放された時に垂直方向において閉止部材に押圧力を及ぼすために、例えばバネなどの弾性部材を含んでいる。押し出しエレメントは、有利には、把持手段、例えばジョーの上方に取り付けられてもよい。このようにして、例えば閉鎖したサンプル管を閉止部材保持部に向けて持ち上げることによって把持手段の間の空間に閉止部材を挿入する時に、押し出しエレメントは閉止部材によって上方に押され、弾性部材は張力をかけられる。弾性部材の弾性力は、プレテンション部材の弾性力よりも弱くなるように選択される。それゆえ閉止部材が把持手段によってしっかりと保持されている限り、保持の間、押し出しエレメントは、付加的な影響を与えることなく、閉止部材の上面にのみ圧力を及ぼすように制限される。閉止部材がサンプル管に戻される場合には、再閉鎖の間、押し出しエレメントの効果は、たとえそれが閉鎖に寄与し得るものであってもわずかなものである。閉止部材が、例えばアクチュエータとの連結時にジョーを開放することによって把持手段の圧力を解放し、重力により閉止部材を落下させることによって廃棄される必要がある場合には、閉止部材が動かないままになったり、閉止部材グリッパーが詰まったままになったりすることが時として生じるおそれがある。押し出しエレメントはゆえに有利には、閉止部材保持部から押し出すことによって閉止部材を排出することに寄与するように設計される。押し出しエレメントはしかしながら、とりわけ凹形状、すなわちキャビティーを有するゴム製ストッパなどの特定の種類の閉止部材の上部に付加的な効果を奏するように設計されてもよい。この場合、押し出しエレメントの少なくとも一部が閉止部材のキャビティーに適合するように成形されると、把持手段により閉止部材を把持する際の、閉止部材の非対称的な変形および/または傾斜が防がれ得る。これはサンプル管の適切なキャップ除去および再キャップを可能にする。
【0036】
一実施形態によれば閉止部材グリッパーは、アクチュエータを受動型閉止部材グリッパーに連結する場合に、閉止部材保持部の垂直な中心軸の周りを回転でき、アクチュエータは閉止部材グリッパーを回転させるための閉止部材グリッパー駆動手段を備えている。ねじ式の螺合可能な閉止部材には、回転が必要である場合がある。回転は、しかしながら、必ずしも螺合を要求しないほかの種類の閉止部材にも有利である場合がある。一実施形態によれば、閉止部材グリッパーが回転され、ゆえに閉止部材を管に対して回転させる一方で、管グリッパーは管を静止したまま維持する。また、閉止部材を把持手段の間で静止させたまま、管を回転させることも可能である。
【0037】
一実施形態によれば装置は、連続しておよび/または繰り返し複数の閉止部材保持部を1つまたは2つ以上のアクチュエータとの連結接続に持ち込むための閉止部材保持部駆動手段、および/または管グリッパーを用いる把持配列に管を一度に持ち込むための管コンベヤを備えている。
【0038】
一実施形態によれば装置は、キャップ除去アクチュエータがキャップ除去側管グリッパーと位置合わせされるキャップ除去ステーションと、再キャップアクチュエータが再キャップ側管グリッパーと位置合わせされる再キャップステーションとを備えている。ここで閉止部材グリッパーおよび管は、キャップ除去アクチュエータおよびキャップ除去側管グリッパーが、管から閉止部材を取り除くために閉止部材グリッパーと協働するキャップ除去ステーションから、再キャップアクチュエータおよび再キャップ側管グリッパーが、同一の管を同一の閉止部材で再キャップするために閉止部材を保持している同一の閉止部材グリッパーと協働する再キャップステーションまで移動できる。キャップ除去および再キャップアクチュエータは構造的に同一であってもよいが、異なる専用の機能、すなわちそれぞれキャップ除去および再キャップのための機能を有する。とりわけこれらは、同一の受動型閉止部材グリッパーに連結され、それを作動するように構成されるが、より詳細には、例えば閉止部材グリッパー駆動手段を、受動型閉止部材グリッパーを時計方向または反時計方向に回転させるように設定することによって、キャップ除去または再キャップのいずれかに適合され得る。
【0039】
一実施形態によれば、複数の個別の閉止部材保持部は、移動可能な線形アレイまたは回転可能なロータ状のアレイまたはロボットアーム状の移送ユニットに配置され、これはあらゆるアクチュエータにランダムアクセスできる。一実施形態によれば、複数の閉止部材保持部は、中央の回転軸の周りで回転可能なプレートまたはブランチを備えた回転ラック型のロータの上に対称に配置される。閉止部材グリッパー駆動手段はこの場合、例えばベルト車やギヤのような機構や誘導するような機構を介して回転ラックをその軸の周りで制御された方法で駆動するモータを備えている。ロータは、回転毎のアクチュエータと閉止部材保持部との間の適切な配置を容易にするために、回転角を制御および/または監視する位置センサーを備えていてもよい。
【0040】
サンプル管は装置に対して、とりわけキャップ除去ステーションおよび/または再キャップステーションに対して管コンベヤを用いて動かされ得る。サンプル管は好適には、管キャリアで運ばれ、これは単一の管のキャリアであるいわゆる「パック(Puck)」か、または複数の管のキャリアであるいわゆる「管ラック」のどちらかである。複数の管キャリアは、例えば5つまでまたは5つ以上の管を受け入れるための複数の管受容部を備えており、また通常異なる種類の管、すなわち直径および高さが異なる管を受け入れるように構成される。管コンベヤはそれゆえ、モータにより駆動され、また管キャリアが管を一度に1つずつキャップ除去および/または再キャップステーションと位置合わせするために一段ずつ動かされるように配置される、移送バンドやガイドレールなどの移送ユニットを備えていてもよい。移送ユニットはしかしながら、キャップ除去/再キャップ装置の要求にしたがってカスタマイズされ、またキャップ除去/再キャップ装置の作業領域に閉じ込められる特別な管キャリア上で動くように構成されてもよい。この場合、サンプル管をパックおよび/または管ラックからこれらの特別なキャリアへ、またはその逆に移送する再フォーマット装置が、キャップ除去/再キャップ装置に操作可能に連結されてもよい。閉止部材保持部駆動手段および管コンベヤは、閉止部材がキャップ除去ステーションで取り除かれた後に管およびその閉止部材を同一の再キャップステーションに運ぶために、好適には同期される。
【0041】
一実施形態によれば装置は、管から閉止部材を取り除く時または管をその閉止部材で再閉鎖する時に管が持ち上げられるべき高さを決定するために、管グリッパーと協働する高さ測定検知器を備えている。高さ測定検知器は例えば、管または管キャリア上に配置されたコードを読み取り管またはラックの種類を特定するコードリーダでもよく、例えばバーコードリーダやRFIDリーダでもよい。高さ測定検知器は光学的なものでもよく、これは例えば、サンプル管および/または閉止部材の幾何学的パラメータ、とりわけ管の高さおよび/または直径、および/または閉止部材の大きさおよび形状または色を測定するよう構成されたカメラ型の検知器や他の光センサーを備えている。このようなカメラ型検知器の一例は、例えば米国特許出願第2010/018330号明細書に開示されている。高さ測定検知器は、直接または制御ユニットを介して管グリッパーに信号を送るように設定されてもよい。このようにしてサンプル管の種類のばらつきが考慮に入れられ、各サンプル管がそのそれぞれの幾何学的パラメータにしたがって持ち上げられるので、閉止部材が把持され取り除かれること、または管が閉止部材保持部によって保持される閉止部材で再閉鎖されることを可能にする。
【0042】
一実施形態によれば、管グリッパーは第1管把持手段および第2管把持手段を含んでおり、第1管把持手段は、第2管把持手段が第1管把持手段の力および接触面よりもそれぞれ大きい力および接触面で管をしっかりと把持および保持する前に、第1管把持手段が管キャリアからの管を把持し、持ち上げるように、第2把持手段に対してバイアスをかけることができ、また第2管把持手段と協働する。この二重の把持機構は、管キャリアと閉止部材との間のしばしば狭い空間でより小さな把持手段を用いて管の側壁を把持すること、またよりしっかりとした把持のために、より大きく強力な把持手段が側壁のより長い部分を把持できる高さへと管を持ち上げることを可能にする。
【0043】
一実施形態によれば、装置はエラー検出器を含んでおり、これは閉止部材が取り除かれているか、および/または管がそのそれぞれの閉止部材で再閉鎖されているかを決定するため、および/または管がそのそれぞれの閉止部材ではない閉止部材で再閉鎖されることを防ぐために、センサーおよび制御装置を含んでいる。エラー検出器は、高さ測定検知器と同一、同様または共有の構成部品であってもよい。とりわけエラー検出器は、閉止部材の幾何学的パラメータおよび/または各サンプル管上および/または閉止部材保持部内での閉止部材の存在の有無を測定するように構成された光学検出器、例えばカメラ型の検出器や他の光センサーを含んでいてもよい。とりわけエラー検出器は、キャップ除去前および再キャップ後の閉鎖したサンプル管を比較するように設定され得る。より詳細には、キャップ除去/再キャップ工程において何かエラーがある場合、エラー検出器は、警告または警報信号を発し、および/またはキャップ除去/再キャップ工程を中断し、および/または他の閉止部材または他のサンプル管と誤って接触する前に、サンプル管を再閉鎖し損なった閉止部材を廃棄するよう装置に指示するように設定されてもよい。さらにエラー検出器は、開放したままのサンプル管または開放され損なった管を、残りの管とは別に処理するように指示を送ってもよい。
【0044】
一実施形態によれば装置は、廃棄アクチュエータが廃棄区画と位置合わせされる廃棄ステーションを含んでおり、ここで閉止部材保持部は、キャップ除去アクチュエータおよびキャップ除去側管グリッパーが管から閉止部材を取り除くために閉止部材グリッパーと協働するキャップ除去ステーションから、廃棄アクチュエータが、閉止部材を廃棄区画内に廃棄するために、閉止部材を保持している同一の閉止部材グリッパーと協働する廃棄ステーションへと移動できる。代替的または付加的に、閉止部材保持部は、再キャップアクチュエータおよび再キャップ側管グリッパーがそのそれぞれの閉止部材で管を再閉鎖するために閉止部材グリッパーと協働している再キャップステーションから、廃棄ステーションへと移動できる。これは、管を再閉鎖しようとした時にエラーが生じ、閉止部材が閉止部材保持部内に残った場合に起こり得る。閉止部材保持部をフリーにして別の管からの別の閉止部材に利用可能にするため、および/または異なる管がその管に属するものではない閉止部材で閉鎖されることを防ぐために、閉止部材は、閉止部材保持部がキャップ除去または再キャップステーションに戻される前に廃棄ステーションで廃棄される。
【0045】
一実施形態によれば装置は、少なくとも1つのキャップ除去ステーションおよび少なくとも1つの廃棄ステーションを含んでいる。一実施形態によれば装置は、少なくとも1つのキャップ除去ステーションおよび少なくとも1つの再キャップステーションを含んでいる。一実施形態によれば装置は、少なくとも1つのキャップ除去ステーション、少なくとも1つの再キャップステーションおよび少なくとも1つの廃棄ステーションを含んでいる。これら全ての実施形態において、複数の閉止部材保持部が、順番にそれぞれのアクチュエータに連結されるために1つのステーションから別のステーションへ移動できる。しかしながら、閉止部材保持部は、アクチュエータに連結されることなく単にステーションを通り過ぎることも可能である。これは例えば、閉止部材保持部が廃棄ステーションを介してキャップ除去ステーションから再キャップステーションに動かされる場合にあり得る。ここで閉止部材を廃棄する意図はなく、閉止部材は再キャップステーションでそのそれぞれの管を再閉鎖することが意図されているので、意図される工程においてエラーが検出されない限り、廃棄ステーションにおけるアクチュエータと受動型閉止部材グリッパーとの間の連結はない。
【0046】
本発明はまた、サンプル管から一定量の試料を抜き取り、および/または例えば試薬や希釈緩衝液などの他の液体の一定量を、サンプル管または反応槽へ分注するピペットシステムにも関する。このピペットシステムは、本発明によるキャップ除去/再キャップ装置と、管の開放と同一の閉止部材を用いた管の再閉鎖との間の時間フレームで、一定量の試料を抜き取るため、または一定量の液体を分注するように構成され、例えばキャップ除去/再キャップ装置と同期されるピペットユニットとを含んでいる。このピペットユニットは、例えばスチール針などの1つまたは2つ以上の再利用できる洗浄可能な針を含んでいてもよいし、使い捨てのピペットチップを用いてもよい。ピペットユニットは、例えばガイドレールを用いて1つの平面上の1つまたは2つの移動方向に動かされ、また例えばスピンドル駆動部を用いてその平面に直交する第3の移動方向に動かされることが可能な移送ヘッドに取り付けられてもよい。
【0047】
特に、ピペットシステムは好適には、ピペットユニット、より詳細にはピペットチップまたは針が、キャップ除去と再キャップの間で開放した管と位置合わせされるピペットステーションを含んでいる。ピペットステーションは、ピペットユニットの、管に含まれている試料へのアクセスが容易になるように持ち上げるための、キャップ除去または再キャップ側管グリッパーと同様または同一のピペット管グリッパーを含んでいてもよい。一実施形態によれば、ピペットステーションはキャップ除去ステーションと再キャップステーションの間の管キャリアの移動経路において、キャップ除去ステーションと再キャップステーションとの間に配置される。
【0048】
単一の管キャリアで作動するように最適化されたシステムにおいて、キャップ除去ステーションおよび再キャップステーションは好適には互いから離れて配置されており、これはそのキャリアが互いに隣接している、一連の管における1つの管の中央と、第2の離れた管の中央との間の距離に対応しており、ピペットステーションは真ん中、すなわちその間の管と対応している。この場合における好適な閉止部材保持部の数は3つである。このようにしてサイクルを決定でき、この場合同一の固定された時間フレーム内で3つの管が処理され、3つの異なる工程が行われ得る。とりわけ、第1管は、そこから一定量の試料が抜き取られる間、または一定量の液体があらかじめ開放している第2管に分注される間開放しており、一方で一定量の液体がそこからあらかじめ抜かれている、または一定量の液体がそこにあらかじめ分注されている第3管は、キャップ除去ステーションから再キャップステーションまで閉止部材保持部の1つによって同一の時間フレームにおいて移送されている同一の閉止部材を用いて再閉鎖されている。このサイクルはその後再び新たに始まることができる。
【0049】
管ラックと作動するように最適化されたシステムにおいて、キャップ除去ステーションおよび再キャップステーションは好適には互いから所定の距離離れて配置されており、これは第1管ラックの第1受容部内の管の中央と、第1管ラックに隣接する第2管ラックの第1受容部内の第1の管の中央との間の距離に対応する。同一ラック上の2つの管の中央間の距離が、隣接するラック上で、最後の管の中心と第1管の中心との距離とそれぞれ等しくならないことが有利である。またピペットステーションも、この場合およそ真ん中、すなわち中間の管位置の1つに対応して、キャップ除去ステーションと再キャップステーションとの間に配置される。管ラックがそれぞれの数の管を受け入れる5つの受容部を含んでいる場合、好適な閉止部材保持部の数は6つである。このようにしてサイクルを決定でき、この場合同一の固定された時間フレーム内で3つの管が処理され、3つの異なる工程が行われ得る。詳細には、ラック上の管、例えば第1管は、そこから一定量の液体がピペットされる間、または一定量の液体があらかじめ開放している先行するラックの管の1つにピペットされる間開放しており、一方で一定量の試料がそこからあらかじめピペットされている、または一定量の試料がそこにあらかじめピペットされている別の管、例えば先行するラック上の第1管は、同一の時間フレームにおいて6つの閉止部材保持部の1つによってキャップ除去ステーションから再キャップステーションに一段ずつ移送されている同一の閉止部材を用いて再閉鎖されている。
【0050】
本発明はゆえに、ピペットシステムを用いてサンプル管からサンプルをピペットする方法にも関する。この方法は、キャップ除去ステーションで管から閉止部材を取り除くことによって管を開放する工程と、ピペットステーションでピペットユニットにより、開放した管から一定量の試料を抜き取る、および/または開放した管に一定量の液体を分注する工程と、再キャップステーションで同一の閉止部材を用いて管を再閉鎖する工程とを含んでいる。
【0051】
いくつかの実施形態によれば、この方法は次の工程、すなわち、キャップ除去ステーションで第1の管から第1の閉止部材を取り除くことによって第1の管を開放する工程、再キャップステーションで同一の第2の管から取り除かれた第2の閉止部材を用いて第2の管を閉鎖する工程、ピペットステーションで開放した管から一定量の試料を抜き取る、または開放した管に一定量の液体を分注する工程、および廃棄ステーションで閉止部材を廃棄する工程のうちの少なくとも2つを同一の時間フレームで行う工程を含んでいる。
【0052】
「時間フレーム」という語はここでは、例えば数秒、例えば1〜10秒といった所定の時間ウィンドウを指すために用いられ、これは、上述の工程の少なくとも2つが連続して、または並行して、または重なり合って行われるサイクルを定めている。
【0053】
一実施形態によればこの方法は、閉止部材が取り除かれるキャップ除去ステーションから管が同一の閉止部材で再閉鎖される再キャップステーションまで、互いに独立しているが同期された方法で管およびその閉止部材を移動させる工程と、キャップ除去と再キャップとの間の時間フレームで、開放した管から一定量の試料をピペットする、および/または一定量の液体を開放した管に分注する工程とを含んでいる。いくつかの実施形態によれば、閉止部材は、キャップ除去ステーションおよび再キャップステーション以外ではサンプル管の移動経路と重ならない移動経路をたどって、キャップ除去ステーションから再キャップステーションへと動かされる。同じように、いくつかの実施形態によれば、ピペットユニットは、ピペットステーション以外では開放したサンプル管の移動経路と重ならない移動経路をたどって動かされる。このようにして、閉止部材保持部により保持されている間の閉止部材から、またはピペットユニットから最終的に滴下することによって、開放された管内の試料が汚染されることを防ぐ。
【0054】
代替的または付加的に、閉止部材保持部により保持される閉止部材から結果的に滴下することから装置の他の部品を保護するために、装置は、閉止部材保持部の移動経路の下に配置されるプレートまたは遮蔽板を含んでいてもよい。また、例えば試料が核酸増幅に用いられる場合など、クロスコンタミネーションが特に懸念される場合には、他のまたは付加的な手段が導入されてもよく、これは例えば、装置の部品を異なる区画に分離させるものや、装置またはその部品をフード(hood)などのエアロゾルが存在しない区画に閉じ込めるものである。
【0055】
本発明は、サンプル管に含まれる試料の少なくとも1つの試料パラメータを測定するための分析システムにも関する。この分析システムは、キャップ除去/再キャップ装置、および、管の開放から同一の閉止部材を用いる管の再閉鎖までの時間フレームにおいて、通常試薬を付加することなく、サンプル管に含まれている試料の物理パラメータ、化学パラメータまたは生体パラメータなどの、少なくとも1つの試料パラメータを測定する分析ユニットを含んでいる。分析ユニットは例えば、管内の試料のpH、温度、色、濁度、粘度など、試料の物理パラメータ、または容量などの量、または液面を測定するセンサーを含んでいてもよい。またこれは例えば、光学検出器または少なくとも部分的に試料中に浸される探針を含んでいてもよい。これは例えば、光度測定や、例えばイオン選択電極または変色をもたらす試薬が塗布されたストリップを用いるその他の物理的技術によって、試料中に含まれている分析物などの化学パラメータまたは生体パラメータを測定するように構成され得る。分析システムはさらに、上述のようなピペットユニットを含んでいる。
【0056】
本発明はゆえに、この分析システムを用いてサンプル管に含まれる試料の少なくとも1つの試料パラメータを測定する方法にも関する。この方法は、キャップ除去ステーションで閉止部材から管を取り除くことによって管を開放する工程、分析ユニットによって少なくとも1つの試料パラメータを測定する工程、および再キャップステーションで同一の閉止部材を用いて管を再閉鎖する工程を含んでいる。
【0057】
同一の分析ユニットはもちろん、特に光学検出器が用いられる場合には、例えばキャップ除去前および/または再キャップ後に、管を開放する必要なしに少なくとも1つの試料パラメータを測定するように構成されてもよい。
【0058】
また本発明は、生体試料を含んでいるサンプル管を処理するためのシステムにも関する。このシステムは、試料を処理するための複数のワークセルおよび任意には、1つのワークセルから少なくとも別のワークセルへとサンプル管を移送するための少なくとも1つの移送ユニットを含んでいる。このシステムはさらに、ワークセルによって処理されるようにサンプル管から一定量の試料を抜き取るため、または一定量の液体をサンプル管に分注するために、少なくとも1つのワークセルと対応するピペットシステムを含んでいる。ピペットシステムは、試料が抜き取られる必要がある場合または液体が分注される必要がある場合に、サンプル管から閉止部材を取り除き、別のワークセルに移送される前にサンプル管を再閉鎖するキャップ除去/再キャップ装置を含んでいる。
【0059】
例えば診断目的での試料の定性的評価および/または定量的評価などの検出、または検出前の試料の分類および/または調製、または検出後の試料の保管および/または廃棄においてユーザを補助する、独立型の装置か、またはより大きな機器の中のモジュールである。とりわけ、ワークセルは、分析および/または分析前および/または分析後の試料の処理工程に関連付けられ得る。ワークセルは互いに接続され、少なくとも部分的に互いに依存していてもよく、例えばそれぞれが、次のワークセルに進む前の必要条件となるような、試料処理ワークフローの指定のタスクを実行してもよい。また、ワークセルは互いに独立して機能してもよく、例えばそれぞれが分離したタスクを実行し、例えば同一の試料に異なる種類の分析を実行してもよい。
【0060】
分析ワークセルとは、例えば診断目的での試料の定性的評価および/または定量的評価などの、ユーザの検出を補助する、独立型の装置か、またはより大きな機器の中のモジュールである。これは、そのワークフローが特定の種類の分析に最適化されている工程および検出システムを含んでいてもよい。このようなワークセルの例は、化学反応または生体反応の結果を検出するためまたは化学反応または生体反応の進行を監視するために用いられる、臨床化学分析器、凝集化学分析器、免疫化学分析器、尿分析器である。分析ワークセルは試料および/または試薬のピペット処理、投与、混合を補助するユニットを含んでいてもよい。またワークセルは、アッセイを行う試薬を保持するための試薬保持ユニットを含んでいてもよい。試薬は、保管区画またはコンベヤ内の適切な受容部または位置に配置される、個別または一群の試薬を含んでいる容器またはカセットの形状で配置されてもよい。それは、反応槽またはキュベット供給ユニットを含んでいてもよい。とりわけそれは、試料および/または試薬を反応槽に運ぶために、ピペットユニットなどの1つまたは2つ以上の液体処理ユニットを含んでいてもよい。ピペットユニットは、スチール針などの再利用できる洗浄可能な針または使い捨てピペットチップを含んでいてもよい。ワークセルはさらに、液体を含んでいるキュベットを振るためのシェーカーや、キュベットまたは試薬容器中の液体を混合するための混合パドルを含んでいる1つまたは2つ以上の混合ユニットを含んでいてもよい。
【0061】
分析前のワークセルとは、ユーザの、分析ワークセルによって処理される前の試料の保管および/または調製を補助する、独立型の装置か、またはより大きな機器の中のモジュールである。これは例えば、分析の種類および/または分析の優先順位によって試料を分類する再分類ユニット、サンプル管に遠心力を作用させるための遠心分離機、ピペットユニットがサンプル管から試料を分取する分取ユニット、試料を特定の温度にさらす熱処理ユニット、試料成分を分離する分離ユニットのうちの1つまたは2つ以上を含んでいてもよい。
【0062】
分析後のワークセルとは、ユーザの、分析ワークセルによって処理された後の試料の保管および/または調製を補助する、独立型の装置か、またはより大きな機器の中のモジュールである。これは例えば、サンプル管を例えば異なる保存ラックおよび/または冷蔵区画へと再分類する再分類ユニットを含んでいてもよい。
【0063】
一般にワークセルは、サンプル管またはサンプル管を含んでいるラックを取り付けおよび/または取り外し、および/または、移送および/または保管するためのユニットと、試薬容器または試薬カセットを取り付けおよび/または取り外し、および/または、移送および/または保管するためのユニットと、例えばキュベットなどの反応容器を取り付けおよび/または取り外し、および/または、移送および/または保管、および/または、洗浄するためのユニットとを含んでいてもよい。反応容器は使い捨て、すなわち1回使用のもの、または、再利用可能なもの、すなわち洗浄および再使用されるように構成されたものであってもよい。またこれは、例えばバーコードやRFIDリーダなどのセンサーを含んでいる識別ユニットを含んでいてもよい。ワークセルはさらに、反応中に試料/試薬混合物を特定の温度に維持するための1つまたは2つ以上の保温ユニット、ピペットチップまたは針や混合パドルなどを洗浄するための洗浄ステーションを含んでいてもよい。
【0064】
各ワークセルは、タイムユニットにつき一定数の試料またはサンプル管を処理するように設計されてもよく、この数は変わってもよいので、システムは有利には、閉止部材保持部の数、および/またはアクチュエータの数、および/または管グリッパーの数、および/またはピペットユニットの数を、各ワークセルのスループットに適合するように設定され得る。
【0065】
また、各ワークセルは好適には単一のキャリア上のサンプル管か、複数の管を運ぶラック上のサンプル管のいずれかのみを処理するように設計され得るので、各キャップ除去/再キャップ装置は有利には、単一の管キャリアおよび/または複数のサンプル管を運ぶラックのいずれかに移送されるサンプル管を処理するように構成され得る。
【0066】
一実施形態によれば、このシステムは、1つのワークセルから別のワークセルへサンプル管を自動的に移送する移送ユニットを含んでいる。この移送ユニットは、単一のキャリアあるいは管ラック、またはその両方を移送するように構成されてもよい。移送ユニットは、例えば移送バンドまたは案内レールとして配置される、例えば1つまたは2つ以上の移送ラインを含んでいてもよい。とりわけ移送ユニットは、様々なキャップ除去/再キャップ装置の管コンベヤに接続されてもよく、例えばその延長であってもよい。ニーズまたは優先度にしたがって、および/または管または管キャリアの種類にしたがって、必ずしも連続ではなく、適切な時期に適切な試料を適切なワークセルに運ぶことによって、特定のワークセルがランダムアクセス方法によりアクセスされ得るように、バイパスラインおよび/またはジャンクションが存在してもよい。移送ユニットは代替的には、あらゆるワークセルへのランダムアクセスを有する一連の自律型ロボットキャリアを含んでいてもよい。
【0067】
代替的には、サンプル管および/または管キャリアは、ユーザにより手動で1つのワークセルから別のワークセルへと移送されてもよい。
【0068】
本発明のその他およびさらなる目的、特徴および利点を、例示的な実施形態を記載し、本発明の原理をより詳細に説明することに寄与する以下の記載および付随する図面により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1a】一実施形態によるキャップ除去/再キャップ装置を含んでいるピペットシステムの斜視図である。
【図1b】いくつかの部品が明瞭にするために取り除かれている図1aに示されるキャップ除去/再キャップ装置の拡大図である。
【図2a】図1aおよび1bに記載の複数の閉止部材保持部の1つを示す。
【図2b】内部の構成部品が見えるようにハウジングの一部が取り除かれている図2aの閉止部材保持部を示す。
【図2c】図2aおよび2bの閉止部材保持部の作動原理へのさらなる理解を与える。
【図2d】図2aの閉止部材保持部の底面図を示す。
【図3】いくつかの内部の構成部品を見せるためにいくつかの部品が取り除かれているアクチュエータを示す。
【図4a】図1aおよび1bに記載されるような複数の閉止部材保持部を運ぶ回転ラック状のロータを示す。
【図4b】図4aの回転ラックの部分切断図を示す。
【図5】いくつかの部品が明瞭にするために取り除かれている図1aのシステムの上面図である。
【図6a】どのようにしてアクチュエータおよび受動型閉止部材グリッパーが係合されているかを示す上面斜視図である(いくつかの部品が明瞭にするために取り除かれている)。
【図6b】どのようにしてアクチュエータおよび受動型閉止部材グリッパーが係合されているかを示す底面斜視図である(いくつかの部品が明瞭にするために取り除かれている)。
【図6c】係合した図6aおよび図6bのアクチュエータ受動型閉止部材グリッパーを示す(いくつかの部材が明瞭にするために取り除かれている)。
【図7】管グリッパーをより詳細に示す。
【図8a】別の実施形態によるキャップ除去/再キャップ装置の斜視図である。
【図8b】図8aのキャップ除去/再キャップ装置を含んでいるピペットシステムを示す。
【図8c】図8bと同一のピペットシステムを別の視点から示す。
【図8d】図8bおよび8cと同一のピペットシステムの上面図を示す。
【図9】他の実施形態によるキャップ除去/再キャップ装置の上面図を示す。
【図10】複数のワークセルおよび複数のピペットシステムを含んでいるサンプル管を処理するシステムを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0070】
図1aは、一実施形態にしたがって、サンプル管12から一定量の試料を抜き取りおよび/または一定量の液体をサンプル管12内に分注するピペットシステム200を示す。このピペットユニット200は、可変な種類12’、12”のサンプル管12から異なりうる種類11’、11”の閉止部材11を取り除くため、および同一の各閉止部材11’、11”を用いて同一の管12’、12”を再閉鎖するために、キャップ除去/再キャップ装置100(図1bにより明確に示す)を含んでいる。キャップ除去/再キャップ装置100は、回転可能な回転ラック61に対称に配置される6つの個別の閉止部材保持部20を含んでおり、それぞれが1つの閉止部材保持部20を受け入れるように構成される対応する数のアーム62を有する。各閉止部材保持部は閉止部材11を保持する受動型閉止部材グリッパー21を含んでいる。装置100はさらに、3つのアクチュエータ40を含んでおり、詳細には、管12から閉止部材11を取り除く時に受動型閉止部材グリッパー21を作動させるキャップ除去アクチュエータ40’と、そのそれぞれの閉止部材11を用いて管12を再閉鎖する再キャップアクチュエータ40”と、最終的に閉止部材11を廃棄区画(図示せず)に放出する廃棄アクチュエータ40'”とを含んでいる。装置100はさらに2つの管グリッパー50を含んでいる。特にこれは、固定されたキャップ除去ステーションを含んでおり、ここでキャップ除去側管グリッパー50’はキャップ除去アクチュエータ40’と並んでおり、閉止部材11を取り除く時に、管12およびその閉止部材11を互いから離れるようにバイアスをかけるためにキャップ除去アクチュエータ40’と協働する。また装置100はさらに、固定された再キャップステーションを含んでおり、ここで再キャップ側管グリッパー50”は再キャップアクチュエータ40”と並んでおり、管12を再閉鎖する時に、管12およびその閉止部材11を互いに向かってバイアスをかけるために再キャップアクチュエータ40”と協働する。キャップ除去アクチュエータ40’は、閉止部材11が管12から取り除かれなければならない場合に、閉止部材保持部20の受動型閉止部材グリッパー21に連結される。再キャップアクチュエータ40”は、管12がそのそれぞれの閉止部材11を用いて再閉鎖されなければならない場合に、閉止部材保持部20の受動型閉止部材グリッパー21に連結される。廃棄アクチュエータ40'”は、閉止部材が廃棄されなければならない場合に、閉止部材保持部20の受動型閉止部材グリッパー21に連結される。アクチュエータ40は、閉止部材保持部20が閉止部材11を保持している場合に、受動型閉止部材グリッパー21から連結を解かれる。
【0071】
ピペットシステム200はさらに、管12の開放と同一の閉止部材11を用いた管12の再閉鎖との間の時間フレームで、一定量の試料を開放したサンプル管から抜き取るため、または一定量の液体をサンプル管12に分注するために、キャップ除去/再キャップ装置100と同期されるピペットユニット150を含んでいる。
【0072】
図2a〜2dは、一実施形態による閉止部材保持部20の構造および受動型閉止部材グリッパー21の作動機構をより詳細に示す。特に、図2aは閉止部材保持部20を外側から示している。図2bは、受動状態の受動型閉止部材グリッパー21の内側を示している。図2cは、作動された場合の受動型閉止部材グリッパー21の内側を示している。図2dは、受動状態にある閉止部材保持部20の底面図を示している。閉止部材保持部20は、アクチュエータ40に連結される上側連結部22と、閉止部材11(閉止部材は図示せず)を受け入れるためのキャビティー36を含む下側円筒部23とを含む対称構造を有している。受動型閉止部材グリッパー21は、水平な支点エレメント38の周りで枢動可能な3本のカンチレバーアーム28を含み、これらは閉止部材保持部20の垂直な中心軸37に対して対称に配置されている。各カンチレバーアーム28は、下端に取り付けられるジョー27および上端に取り付けられるホイール30を含んでいる。カンチレバーバネ29も、カンチレバーアーム28の下端などに力を及ぼすために各カンチレバーアーム28の片側に取り付けられ、それゆえジョー27は、他の力がない場合には閉止部材保持部20の下側部分23の外側に向かって押される。受動型閉止部材グリッパー21はさらに、受動エレメント31およびコイルバネ32を含み、軸37に対して対称に配置されるプレテンション部材を含んでいる。受動エレメント31は、軸37に沿って閉止部材保持部20の連結部22の外側に突出するピンと、その底面にコイルバネ32との接触面を備え、その側面にホイール30との接触面を備える下側の円錐部とを含んでいる。コイルバネ32によって受動エレメント31に加えられる力、すなわちそれに伴って受動エレメント31によって3つのカンチレバーアーム28に加えられる力は、3つのカンチレバーバネ29によって3つのカンチレバーアーム28に加えられる力の合計よりも大きい。ゆえにコイルバネ32の力は、受動エレメント31の上方への押し出しおよびカンチレバーアームのホイールが付いた端部の外側への押し出しに使われ、すなわちカンチレバーアーム28のジョーが形成された端部は、これらを外側へ押す傾向のあるカンチレバーバネ29の力に抗して内側に押される(図2b)。各ジョー27は閉止部材保持部20の内面を向く2つの面を含み、120°の角を形成している。3つのジョー27はゆえに、均一な(regular)幾何学的な把持表面(図2d)を形成し、より効率的な把持を可能にし、閉止部材11の非対称な変形を防ぐことができる。さらに各ジョー27は、一続きの円錐突出部35を含んでおり、これはさらに良好な把持のため、すなわち、接触点が減少しても閉止部材11のキャップ除去、再キャップまたは保持の間のスライドや誤配置を防ぐために、摩擦面として作用する。閉止部材11(図2a〜2dでは図示せず)がジョー27の間に位置付けられると、閉止部材11の外側側面に対称に加えられる圧力は、閉止部材11が所定の位置で受動的に保持されるような程度にされる。加えて、各ジョー27は水平なジョーの軸38’の周りで枢動可能なので、閉止部材保持部の垂直な中心軸37に対して角度を変えることができる。これは、把持面および把持力を失うことなく、閉止部材11の側面の異なる傾斜にジョーを適合させることを可能にする。
【0073】
アクチュエータ40(図2a〜2dには図示せず)に連結されると、受動エレメント31に外部から力が加えられ、この力はコイルバネ32の力よりも大きい。受動エレメント31はゆえに下方に押され、カンチレバーアーム28のホイール部分を外させる。カンチレバーアーム28上に作用する唯一の力は、この時点ではカンチレバーバネ29の力であって、これはカンチレバーアーム28のジョーが形成された端部を外側に押す(図2c)ので、ジョー27を開放しその間の閉止部材11から圧力を解放するか、またはジョー27が再び閉鎖される前に、開放しているジョー27の間に新しい閉止部材11を挿入させる。閉止部材保持部20の下側部分23は、各カンチレバーアーム28に対応する開口部39を含んでおり、これを通してカンチレバーアーム28のジョーが形成された端部は、開放の際またはより大きな直径の閉止部材11を収容する際に拡張することができる。
【0074】
閉止部材保持部20はさらに、弾性部材、すなわち第2コイルバネ34を備えた受動型閉止部材押し出しエレメント33を備え、これはジョー27の受動的な圧力が解放された場合に、垂直方向に閉止部材11への押し出し力を及ぼすためである。この押し出しエレメント33は、図2bではその緩和位置で示され、また説明の目的で図2cでは張力をかけられた位置で示されている。弾性部材の弾性力は、プレテンション部材の弾性力よりも弱くなるように選択される。このようにして、閉止部材11を把持手段の間に挿入する場合、すなわち閉鎖したサンプル管12を閉止部材保持部20に向けて持ち上げることによって閉止部材11を把持手段の間に挿入する場合、押し出しエレメント33は閉止部材11によって上方へ押され、第2コイルバネ34は張力をかけられる。それゆえ閉止部材11がジョー27の間でしっかりと収まったままである限り、保持期間中、押し出しエレメント33は閉止部材11の上面のみに圧力を及ぼすように制限される。閉止部材11が廃棄されなければならない場合には、押し出しエレメント33は閉止部材11に押し出す衝撃を加え、これはジョー27の開放時に閉止部材保持部20から閉止部材11を下方へ解放することに寄与する。押し出しエレメント33はさらに、ジョー27がその側面に圧力を加える場合に閉止部材11’の非対称な変形および/または傾斜を防ぎ、ゆえに閉止部材11’の安定装置として作用するために、その底部が、特定の種類の閉止部材11’の凹形の上面に適合するように設計される。
【0075】
図3は、キャップ除去アクチュエータ40’および再キャップアクチュエータ40”などのアクチュエータ40を示し、説明のためにいくつかの部品がカットされている。アクチュエータ40、40’、40”および受動型閉止部材グリッパー21が連結接続されている場合に、受動型閉止部材グリッパー21の受動エレメント31に圧力を及ぼすために、アクチュエータ40、40’、40”は、スピンドルモータ46に接続される作動ボルト41を含み、作動ボルト41によって加えられる力は、第1コイルバネ32の力よりも大きい。ゆえに、受動エレメント31に作用する作動ボルト41は、閉止部材11が把持または開放される必要のある度に、間接的にジョー27を開放する機能を有する。アクチュエータ40、40’、40”はさらに、駆動ベルト44を介してDCステッピングモータ47に接続される連結ディスク43を含む閉止部材グリッパー駆動手段を含み、これは閉止部材保持部20を軸37の周りで回転させるためである。連結ディスク43と閉止部材装置20の連結部22との係合は、図6a〜6cを参照して以下でより明らかにされる。
【0076】
廃棄アクチュエータ40'”(図1bに図示)の場合、通常、受動型閉止部材グリッパー21を回転させる必要はなく、ジョー27を開放させることによって閉止部材11に加えられている圧力を解放することのみが必要となる。それゆえ廃棄アクチュエータ40'”は作動ボルト41を含んでいるが、受動型閉止部材グリッパー21を回転させる閉止部材グリッパー駆動手段は含んでいない。
【0077】
図4aおよび4bは閉止部材保持部駆動手段60に関する。閉止部材保持部駆動手段60は、それぞれが図1aおよび1bに記載したような6つの閉止部材保持部20の1つを運ぶように構成されている6つのアーム62を含む回転ラック61を含んでいる。回転ラック61は、軸67の周りで回転されるように、ベルト66を介してDCステッピングモータ65に接続されるロータ63上に取り付けられ、これは連続して閉止部材保持部20にアクチュエータ40のいずれかとの連結接続をもたらすためである。閉止部材保持部駆動手段60はさらに、例えばアクチュエータ40と閉止部材保持部20との間の回転毎の適切な位置合わせを容易にするために、初期の正しい位置の決定、また回転角の制御/監視を補助する位置センサーを含んでいる。
【0078】
図4bは、図4aの回転ラック61の部分切断図であって、これは閉止部材保持部20がどのようにして回転ラック61のアーム62に取り付けられるかを示している。とりわけ、ディスク69は閉止部材保持部20の連結部22の周りに同心円状に固定されている。ディスク69は、閉止部材保持部20の下側の部分23がアーム62の下で延び、閉止部材保持部20の連結部22が部分的にアーム62の上で延び、またディスク69を含んでいる閉止部材保持部20全体がチャンバ64に対して軸37の周りで回転可能なように、アーム62のチャンバ64内に狭持される。
【0079】
図5は図1aのシステム200の上面図であって、いくつかの部品は明瞭にするために取り除かれている。アクチュエータ40は固定されているが、回転ラック61は反時計方向に回転可能である。それぞれ1〜6と番号をつけられた6つの閉止部材保持部20は、60°の間隔で対称に、ロータ63の中央から所定の距離に配置され、この距離はロータ63の中心から測定されるアクチュエータ40の作動ボルト41の距離に対応している。またアクチュエータ40は、通常の工程、この場合60°または60°の倍数のロータ63の回転時に、受動型閉止部材グリッパー21といずれかのアクチュエータ40との連結が可能であるように、互いに対して配置されている。装置100はさらに管コンベヤ、この場合それぞれが5つまでのサンプル管12を運ぶ管ラック91を移送するように構成されている直線コンベヤ90を含んでいる。キャップ除去アクチュエータ40’と再キャップアクチュエータ40”の間の距離は、6つの管12の中心間の距離、すなわち2つの隣接するラック91上の同一の各位置を占める2つの管12の間の距離に対応する。このようにして、2つの管12は、2つの閉止部材保持部20および2つのアクチュエータ40と、同時に位置合わせされるようにしてもよい。コンベヤ90は、新しい管12および新しい閉止部材保持部20が、同時に同一のアクチュエータ40、この場合キャップ除去アクチュエータ40’か再キャップアクチュエータ40”のいずれかと位置合わせされるように、ラック91を一段ずつ前進させるためにロータ63と同期されている。キャップ除去側管グリッパー50’および再キャップ側管グリッパー50”もまた、キャップ除去アクチュエータ40’および再キャップアクチュエータ40”とそれぞれ位置合わせされる。特に、キャップ除去側管グリッパー50’は、管12を持ち上げ、ロータ63と共にフリーな閉止部材保持部20をキャップ除去アクチュエータ40’とを連結接続させるためにコンベヤ90と同期され、これは例えば、その位置で、またその時期に管12から閉止部材11を取り除くためである。再キャップ側管グリッパー50”は、管12を持ち上げ、ロータ63と共に、すでに同一の管12から取り除かれた閉止部材11を保持している閉止部材保持部20を再キャップアクチュエータ40”と連結接続させるためにコンベヤ90と同期され、これは例えば、その位置で、またその時期に管12を再閉鎖するためである。
【0080】
この実施形態によるキャップ除去/再キャップ装置100の1つの可能なワークフローは、以下の実施例で要約される。
【0081】
開始時には、6つの閉止部材保持部20は全てフリーである。装置100は位置センサー68(図5には図示せず)を介して初期設定され、閉止部材保持部20、例えば閉止部材保持部20,1がキャップ除去アクチュエータ40’と位置合わせされる。コンベヤ90はその後、第1ラック91上の第1管12がキャップ除去アクチュエータ40’と位置合わせされ、それゆえ閉止部材保持部20,1およびキャップ除去側管グリッパー50’と位置合わせされるように、ラック91を前進させるよう指示される。キャップ除去アクチュエータ40’は閉止部材保持部20,1の受動型閉止部材グリッパー21に連結され、作動ボルト41が受動エレメント31に力を加えるのでジョー27が開放される。キャップ除去側管グリッパー50’は、閉止部材11が開放したジョー27の間の高さになるまで管12を持ち上げるよう指示される。この高さを決定するために、ラック91の前進の間、管12および/または閉止部材11の種類を判定する、センサー(図示せず)によって実行される測定が考慮に入れられる。ジョー27はその後、作動ボルト41によって圧力を解放することによって閉鎖される。キャップ除去アクチュエータ40’はその後受動型閉止部材グリッパー21を回転させるために連結ディスク53を回転させるように指示されるが、キャップ除去側管グリッパー50’は、管12をラック上へと下方に引き戻すように指示されるので、キャップ除去アクチュエータ40’と協働して、閉止部材保持部20,1の受動型閉止部材グリッパー21を介して管12から閉止部材11を取り除く。
【0082】
ラック91はその後、次の管12がキャップ除去アクチュエータ40’およびキャップ除去側管グリッパー50’と位置合わせされるように、他の位置へと前進される。また同時に、次の閉止部材保持部20,6が、ロータ63を反時計方向に60°回転させることによってキャップ除去アクチュエータ40’と位置合わせされ、工程が繰り返される。ゆえに閉止部材保持部20,1も反時計方向に60°動かされているが、第1管12から取り除かれた閉止部材11を受動的に保持しており、閉止部材保持部20,1はもはやどのアクチュエータ40にも連結されていない。
【0083】
この工程を5回行うと、5つの管12が開放されており、それぞれの閉止部材はそれぞれの閉止部材保持部20,1、20,2、20,3、20,4、20,5によって一度に60°ずつ反時計方向へと一段ずつ移送されている。閉止部材保持部20,6がキャップ除去アクチュエータ40’と位置合わせされると、第1閉止部材11を保持している閉止部材保持部20,1が再キャップアクチュエータ40”と位置合わせされる。また同時に、6番目の管12、すなわち第2ラック上の最初の管は、キャップ除去側管グリッパー50’およびキャップ除去アクチュエータ40’と位置合わせされる一方で、最初に開放された第1ラック91上の最初の管12は、再キャップ側管グリッパー50”および再キャップアクチュエータ40”と位置合わせされるので、対応する閉止部材11、すなわち同一の管12から取り除かれた同一の閉止部材11を保持している閉止部材保持部20と位置合わせされる。
【0084】
この時点から、キャップ除去ステーション70および再キャップステーション80は同一の時間フレームで作動し、それぞれがキャップ除去および再キャップそれぞれのタスクを行う。特に、キャップ除去ステーション70で行われるものとほぼ同一の工程が再キャップステーション80で生じるが、順番は逆である。詳細には、再キャップステーション80では、受動型閉止部材グリッパー21を反対方向に回転させるために、再キャップアクチュエータ40”は連結ディスク43を回転させるように指示される。一方で再キャップ側管グリッパー50’は、すでに得られている管の種類についての同一の情報を用いて、管12を閉止部材11に向けて上方に持ち上げるように指示され、それによりキャップ除去アクチュエータ40’と協働して、閉止部材保持部20,1の受動型閉止部材グリッパー21を介して、同一の閉止部材11を用いて管12を再閉鎖する。注目すべきは、管12に対する閉止部材11の角度位置は、キャップ除去ステーション70および再キャップステーションのそれぞれで異なるということである。これは管12が、回転することなくキャップ除去ステーション70から再キャップステーション80まで線形に移送されているという事実によるものである。一方で、閉止部材保持部20,1は、ロータ63の300°の回転動作を用いて、キャップ除去ステーション70から再キャップステーション80に移送されている。それゆえ管12に対する閉止部材11の角度位置において、再キャップステーション80ではキャップ除去ステーション70と比べて−60°の違いがある。この違いは、とりわけ閉止部材11がねじ式である場合に、管12の適切な閉鎖に影響を及ぼし得る。この違いを考慮に入れるために、再キャップアクチュエータ40”は、受動型閉止部材グリッパー21をさらに60°回転させるために、連結ディスク43を回転させるように指示される。作動ボルト41はその時、受動エレメント31に力を加えるので、ジョー27は開放され、再キャップ側管グリッパー50”は管12をラック91上に下降させるように指示される。再キャップアクチュエータ40”はゆえに、閉止部材保持部20,1から分離され、閉止部材保持部20,1は再びフリーとなり、新しい閉止部材を受け入れ新しいサイクルを開始するためにキャップ除去ステーション70へ戻される。
【0085】
ピペットユニット150は、管12の開放と同一の閉止部材11を用いた管12の再閉鎖との間の時間フレームにおいて、一定量の試料を抜き取るため、および/または一定量の液体を分注するために、キャップ除去/再キャップ装置100と同期される。とりわけ、管12がキャップ除去ステーション70と再キャップステーション80との間の中間位置にある場合であって、キャップ除去ステーション70および/または再キャップステーション80が他の管それぞれとともに作動しており、かつ、ロータ63が回転していない時間フレーム中に、針(図5には図示せず)が管12の開放端を介して試料中に入れられるように、ピペットユニット150は一時的に降下される。任意には、ピペット管グリッパー(図示せず)が開放している管12を持ち上げるために用いられてもよく、これはピペットユニット150の移動距離を短くすることによってピペット操作を容易にする。
【0086】
図6aおよび6bは、どのようにしてアクチュエータ40、とりわけキャップ除去アクチュエータ40’および再キャップアクチュエータ40”が受動型閉止部材グリッパー21と係合されているかを、上面および下面それぞれから斜視図で示す(いくつかの部品は明瞭にするために取り除かれている)。
【0087】
詳細には、閉止部材保持部20の連結部23は、中心に配置される受動エレメント31の対辺に配置される2本のピン26をその上面に含んでおり、受動エレメント31は2本のピン26を結ぶ線から外れて配置されている。その結果、閉止部材保持部20が回転ラック61のアーム62に取り付けられると、受動エレメント31および2本のピン26は、受動エレメント31の中心とロータ63の中心との間の距離を半径とする仮想円上にある。連結ディスク43はその底面に、ピン26および受動エレメント31を入れるのに充分な幅および深さを有する溝45を含んでいる。また溝45は、回転ラック61が回転された時にピン26および受動エレメント31が滑らかに通り抜けられるように、作動ボルト41の中心とロータ63の中心との間の距離を半径とする仮想円の曲率と対応する曲率を有している。係合は、受動エレメント31および作動ボルト41が位置合わせされると完了し、作動ボルト41は溝45の中心にある穴を通して伸び縮みが可能である。
【0088】
各アーム62は位置合わせ手段を含んでおり、この場合各閉止部材保持部20の結合部23の側面の1つに配置される強磁性エレメント28を引き付けるための磁石27を含んでいる。とりわけ各磁石27および各強磁性エレメント28は、閉止部材保持部20がアクチュエータ40から取り外された時に、磁石27によって強磁性エレメント28に及ぼされる磁力により、閉止部材エレメント20の軸37の周りの回転が防がれ、ロータ63の回転の間、閉止部材保持部20の各アーム62に対する同一の角度位置が維持されるように配置される。とりわけ各磁石27および各強磁性エレメント28は、閉止部材保持部20がアクチュエータ40に連結されなければならない場合に、閉止部材保持部20のピン26が溝45と位置合わせされるように配置される。閉止部材保持部20がキャップ除去アクチュエータ40’または再キャップアクチュエータ40”と連結される場合、連結ディスク43は溝45を介してピン26に作用する回転力を閉止部材保持部20に加え、この力は前述の磁力よりも大きいので閉止部材保持部20の軸37の周りでの回転をもたらす。
【0089】
図6cは、すでに係合されているアクチュエータ40および受動型閉止部材グリッパー21を示す(いくつかの部品は明瞭にするために取り除かれている)。詳細には、図6cは溝45内のピン26および受動エレメント31を示し、ここで作動ボルト41は受動エレメント31と位置合わせされている。また、作動ボルト41は受動エレメント31に力を加えている状態で示されているので、アクチュエータ40と受動型閉止部材グリッパー21との間で第1の連結接続を確立する。連結ディスク43を回転させると、回転力は閉止部材保持部20にも加えられるので、第2の連結接続を確立する。それゆえ連結接続は、アクチュエータ40から閉止部材保持部20または受動型閉止部材グリッパー21に力が伝達される時にのみ存在する。閉止部材保持部20は、必要なければ連結が生じていない状態で、アクチュエータ40と係合、すなわち位置合わせされてもよい。これは例えば、廃棄アクチュエータ40'”を用いる場合である。さらに、廃棄アクチュエータ40'”との係合は、作動ボルト41と受動エレメント31との位置合わせのみを含んでいる。また、連結は作動ボルト41から受動エレメント31までの力の伝達のみを含んでいる。
【0090】
図7は管グリッパー50をより詳細に示す。管グリッパー50は、互いに対してバイアスをかけることができる、2本のそれぞれの第1管把持アーム55’および55”に取り付けられる2つの上側の管把持ジョー51’、51”を含む第1管把持手段51を含んでいる。管グリッパー50はさらに、互いに対して、また上側の管把持ジョー51’、51”と同一方向にバイアスをかけることができる、2本のそれぞれの第2管把持アーム54’および54”に取り付けられる2つの下側の管把持ジョー52’、52”を含む第2管把持手段52を含んでいる。また、第1管把持アーム55’、55”は第2管把持アーム54’、54”にそれぞれ取り付けられ、弾性装置53を介して第2管把持アーム54’、54”に対してバイアスをかけることができる。上側の管把持ジョー51’、51”および下側の管把持ジョー52’および52”はそれぞれ、それぞれ対向面から管を把持するための把持面を含んでいる。上側の管把持ジョー51’、51”は下側の管把持ジョー52’および52”よりも長く、上側の管把持ジョー51’、51”の把持面は下側の管把持ジョー52’および52”の把持面よりも小さい。管グリッパー50はさらに、第2把持アーム54’および54”にバイアスをかけるために、スプンドルバネ57を介して第2管把持アーム54’および54”に接続される第1DCステッピングモータ56を含んでおり、それゆえ管12を把持する場合に下側の管把持ジョー52’および52”を互いに向かってバイアスをかけ、また管12を解放する場合にそれらを互いから離してバイアスをかける。第1管把持アーム55’および55”は第2管把持アーム54’および54”に取り付けられるので、これらもそれに応じてバイアスをかけられる。管グリッパー50はさらに、第2管把持アーム54’および54”を、第1管把持アーム55’および55”と共に上昇および下降させる第2DCステッピングモータ58を含んでいる。上側の管把持ジョー51’および51”は下側の管把持ジョー52’および52”よりも長く、弾性装置53を介して互いに対してバイアスをかけることができるので、管グリッパー50はモータ56および58を介して、下側の管把持ジョー52’および52”が上側の管把持ジョー51’および51”の力および接触面よりもそれぞれ大きい力および接触面で管をしっかりと把持および保持し得る前に、上側の管把持ジョー51’および51”が管キャリアから管を把持し、持ち上げるように設定されてもよい。同様に管グリッパー50は、管を下降させて管キャリアに戻す時に、下側の管把持ジョー52’および52”が上側の管把持ジョー51’および51”よりも前に管を解放できるように設定されてもよい。
【0091】
図8aは、別の実施形態によるキャップ除去/再キャップ装置300の斜視図を示す。図1bおよび図5のキャップ除去/再キャップ装置100との違いは、好適にはコンベヤ390によって移送される単一の管キャリア391を用いて作動するように設計されていることである。詳細には、キャップ除去/再キャップ装置300は、キャップ除去ステーション370に配置される固定されたキャップ除去アクチュエータ340’およびキャップ除去側管グリッパー350、350’と、再キャップステーション380に配置される再キャップアクチュエータ340”および再キャップ側管グリッパー350、350”と、廃棄ステーション385に配置される廃棄アクチュエータ340'”および廃棄区画(図示せず)と位置合わせされる廃棄ウェル384とを含んでいる。3つの閉止部材保持部20は、回転ラック361の3つのアーム362それぞれに、120°の間隔で対称に配置されており、回転ラック361はロータ363を介して反時計方向に回転可能である。キャップ除去ステーション370、再キャップステーション380および廃棄ステーション385は、120°または120°の倍数の、通常の工程のロータ363の回転時に、受動型閉止部材グリッパー21といずれかのアクチュエータ340との連結が可能であるように、互いに対して配置されている。装置300はさらに管コンベヤ、この場合それぞれが単一の管12を運ぶパック391を移送するように構成される線形コンベヤ390を含んでいる。キャップ除去ステーション370と再キャップステーション380との間の距離は、互いに隣接するそれぞれのパック391によって運ばれる連続する3つの管12における、1番目の管の中央と3番目の管の中央との間の距離に対応している。このようにして、2つの管12は2つの閉止部材保持部20および2つのアクチュエータ340’、340”と同時に位置合わせされ得る。本実施形態のワークフローは、1つのサイクルが6つではなく3つの管ごとに完了され、回転の工程が60°ではなく120°であること以外は、図5を参照して記載した実施形態と類似している。
【0092】
図8bは、図8aのキャップ除去/再キャップ装置300を含んでいるピペットシステム400を示す。ピペットシステム400はさらに、管12の開放から同一の閉止部材11を用いた管12の再閉鎖までの時間フレームで、一定量の試料を抜き取るため、および/または一定量の液体を分注するために、キャップ除去/再キャップ装置300と同期されるピペットユニット250を含んでいる。
【0093】
とりわけ、管12がキャップ除去ステーション370と再キャップステーション380との間の中間位置にあり、キャップ除去ステーション370および/または再キャップステーション380が他の各管と作動している時間フレーム内であって、またロータ63が回転していない場合に、針251が管12の開放端を介して試料中に入れられるように、ピペットユニット250は一時的に下降させられる。任意には、ピペット管グリッパー(図示せず)が開放している管12を持ち上げるために用いられてもよく、これはピペットユニット250および/またはピペット針251の移動距離を短くすることによってピペット操作を容易にする。
【0094】
図8cは、図8bと同一のピペットシステム400を別の側面から示す。とりわけ廃棄ステーション385がより詳細に示され、これは閉止部材が廃棄区画(図示せず)内へと廃棄されるように案内する廃棄ウェル384を含んでいる。
【0095】
図8dは、図5の装置との違いをより理解するために、図8bおよび8cと同一のピペットシステム400の上面図を示す。
【0096】
図9は、管ラック91と作動している、別の実施形態によるキャップ除去/再キャップ装置500の上面図をより概略的に示す。上述の実施形態との違いは、回転ラック561がリング形状を有し、より多くの数、この場合20個の閉止部材保持部20を収容するということである。さらに、キャップ除去ステーション570および再キャップステーション580のみが示されており、これらは回転ラック561に対して正反対に配置されている。この場合1つのサイクルは11個の管12ごとに完了する。また、管12がその位置を通る時に開放している管12の1つを持ち上げ、ピペットユニット(図示せず)の移動距離を短くすることによってピペット操作を容易にするために、ピペット管グリッパー550'”が装置500の中央に配置されることも示され得る。
【0097】
図10は、サンプル管を処理するためのシステム900のほんの一例を概略的に示したものである。このシステム900は複数のワークセル901〜909を含んでいる。とりわけシステム900は、分析前ワークセル901、分析後ワークセル909、好適には単一のキャリアでサンプル管を処理するように構成される複数の分析ワークセル902〜906、および、好適には管ラックでサンプル管を処理するように構成される2つの分析ワークセル907、908を含んでいる。システム900はさらに、必要に応じて1つのワークセルから別のあらゆるワークセルへ、単一のキャリア上および管ラック上のサンプル管の両方を移送するように構成される移送ユニット920を含んでいる。システム900はさらに、ワークセル901〜908によって処理されるようにサンプル管から一定量の試料を抜き取るために、各ワークセル901〜908に対応するピペットシステム911〜918を含んでいる。ピペットシステム911〜918は、試料が抜き取られる必要がある場合にサンプル管から閉止部材を取り除くため、および移送ユニット920によって他のワークセル901〜909に移送される前にサンプル管を再閉鎖するために、キャップ除去/再キャップ装置を含んでいる。
【0098】
上記のものは好ましい実施形態の単なる例であって、その変形は特定のニーズに従って本発明の範囲を逸脱することなく可能である。詳細には、キャップ除去/再キャップ装置は単一の管キャリアおよび管ラックの両方と作動するように設計されてもよく、管ラックは異なる数の管を運ぶように構成されてもよい。また、異なる数の閉止部材保持部およびアクチュエータの組み合わせ、ならびに異なる配置が考えられ得る。特に、異なる結合機構が考えられ得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル管(12)から閉止部材(11)を取り除くためのキャップ除去装置(100、300、500)であって、
前記装置が、
それぞれが閉止部材(11)を保持するための受動型閉止部材グリッパー(21)を備えた複数の個別の閉止部材保持部(20)と、
管(12)から前記閉止部材(11)を取り除く場合または前記閉止部材を解放する場合に前記受動型閉止部材グリッパー(21)を作動させる少なくとも1つのアクチュエータ(40、340)と、
前記閉止部材(11)を取り除く場合に、前記管(12)およびその閉止部材(11)を互いから離すようにバイアスをかけるために、前記少なくとも1つのアクチュエータ(40、340)と協働する少なくとも1つの管グリッパー(50、350)と
を備え、
前記少なくとも1つのアクチュエータ(40、340)が、
前記閉止部材(11)が前記管(12)から取り外されなければならない場合、または前記閉止部材(11)が解放されなければならない場合に、前記閉止部材保持部(20)の前記受動型閉止部材グリッパー(21)に連結され、
前記閉止部材保持部(20)が前記閉止部材(20)を保持している場合に、前記受動型閉止部材グリッパー(21)から連結を解かれることを特徴とするキャップ除去装置(100、300、500)。
【請求項2】
サンプル管(12)から閉止部材(11)を取り除き、同一のそれぞれの閉止部材(11)を用いて同一の管(12)を再閉鎖するためのキャップ除去/再キャップ装置(100、300、500)であって、
前記装置が、
それぞれが閉止部材(11)を保持するための受動型閉止部材グリッパー(21)を備えた複数の個別の閉止部材保持部(20)と、
管から前記閉止部材(11)を取り除く場合または前記管(12)をそのそれぞれの前記閉止部材(11)を用いて再閉鎖する場合に前記受動型閉止部材グリッパー(21)を作動させる少なくとも1つのアクチュエータ(40、340)と、
前記閉止部材(11)を取り除く場合に前記管(12)およびその閉止部材(11)を互いから離すようにバイアスをかけ、前記管(12)を再閉鎖する場合に前記管(12)およびその前記閉止部材(11)を互いに向かってバイアスをかけるために、前記少なくとも1つのアクチュエータ(40、340)と協働する少なくとも1つの管グリッパー(50、350)と
を備え、
前記少なくとも1つのアクチュエータ(40、340)が、
前記閉止部材(11)が前記管(12)から取り除かれなければならない場合、または前記管(12)がそのそれぞれの前記閉止部材(11)を用いて再閉鎖されなければならない場合に、前記閉止部材保持部(20)の前記受動型閉止部材グリッパー(21)に連結され、
前記閉止部材保持部(20)が前記閉止部材(11)を保持している場合に、前記受動型閉止部材グリッパー(21)から連結を解かれることを特徴とするキャップ除去/再キャップ装置(100、300、500)。
【請求項3】
前記受動型閉止部材グリッパー(21)が複数のジョー(27)を含んでおり、前記ジョー(27)が突出部を含んでおり、前記閉止部材(11)を把持および保持するために互いに協働している請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記各ジョー(27)が、異なる傾斜の前記閉止部材の側面に適合させるために、前記閉止部材保持部(20)の垂直な中心軸(37)に対する角度を変えることによって水平なジョーの軸(38’)の周りを枢動可能である請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記閉止部材保持部(20)が受動型閉止部材押し出しエレメント(33)を含んでいる請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記閉止部材グリッパー(21)が、前記アクチュエータ(40、340)を前記受動型閉止部材グリッパー(21)に連結する場合に、前記閉止部材保持部(20)の垂直な中心軸(37)の周りを枢動可能であって、前記アクチュエータ(40、340)が、前記閉止部材グリッパー(21)を回転させるために閉止部材グリッパー駆動手段を含んでいる請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記複数の閉止部材保持部(20)を、連続しておよび/または繰り返し前記少なくとも1つのアクチュエータ(40、340)との連結接続に持ち込む閉止部材保持部駆動手段を含んでいる請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
キャップ除去アクチュエータ(40’、340’)がキャップ除去側管グリッパー(50’、350’)と位置合わせされるキャップ除去ステーション(70、370)と、再キャップアクチュエータ(40”、340”)が再キャップ側管グリッパー(50”、350”)と位置合わせされる再キャップステーション(80、380)とを含んでおり、前記閉止部材保持部(20)および前記管(12)は、前記キャップ除去アクチュエータ(40’、340’)および前記キャップ除去側管グリッパー(50’、350’)が、前記管(12)から前記閉止部材(11)を取り除くために前記閉止部材グリッパー(21)と協働する前記キャップ除去ステーションから、前記再キャップアクチュエータ(40”、340”)および前記再キャップ側管グリッパー(50”、350”)が、同一の前記管(12)を同一の前記閉止部材(11)を用いて再閉鎖するために前記閉止部材(11)を保持している同一の前記閉止部材グリッパー(21)と協働する前記再キャップステーション(80、380)まで移動できる請求項2〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記管から前記閉止部材を取り除く場合または前記管をその前記閉止部材を用いて再閉鎖する場合に、前記管が持ち上げられるべき高さを決定するために、前記管グリッパーと協働する高さ測定検知器を含んでいる請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記管グリッパー(50、350)が、第1管把持手段(51)および第2管把持手段(52)を含んでおり、前記第1管把持手段(51)は、前記第2管把持手段(52)が前記第1管把持手段(51)の力および接触面よりもそれぞれ大きい力および接触面で前記管(12)を確実に把持および保持する前に、前記第1管把持手段(51)が管キャリア(91、391)からの前記管(12)を把持し、持ち上げるように、前記第2管把持手段(52)に対してバイアスをかけることができ、また前記第2管把持手段(52)と協働する請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記閉止部材が取り除かれているか、および/または前記管がそのそれぞれの前記閉止部材で再閉鎖されているかを決定するため、および/または前記管がそのそれぞれの前記閉止部材ではない閉止部材で再閉鎖されることを防ぐために、エラー検出器を含んでいる請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
廃棄アクチュエータ(40'”、340'”)が廃棄区画と位置合わせされる廃棄ステーションを含んでおり、前記廃棄アクチュエータ(40'”、340'”)が、前記閉止部材を前記廃棄区画に廃棄するために、前記閉止部材を保持している同一の前記閉止部材グリッパー(21)と協働する請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
一定量の試料をサンプル管から抜き取るため、および/または一定量の液体をサンプル管に分注するためのピペットシステム(200、400、911〜918)であって、
請求項2〜12のいずれか1項に記載のキャップ除去/再キャップ装置(100、300、500)と、
管(12)からの閉止部材(11)の除去から同一の前記閉止部材(11)を用いた前記管(12)の再閉鎖までの時間フレームにおいて、一定量の試料を抜き取り、および/または一定量の液体を分注するように構成されるピペットユニット(150、250)と
を含んでいるピペットシステム。
【請求項14】
サンプル管(12)に含まれる試料の少なくとも1つの試料パラメータを測定するための分析システムであって、
請求項2〜12のいずれか1項に記載のキャップ除去/再キャップ装置(100、300、500)と、
管(12)からの閉止部材(11)の除去から同一の前記閉止部材(11)を用いた前記管(12)の再閉鎖までの時間フレームにおいて、少なくとも1つの試料パラメータを測定する分析ユニットと
を含んでいる分析システム。
【請求項15】
生体試料を含んでいるサンプル管を処理するシステム(900)であって、前記システム(900)が前記試料を処理するために複数のワークセル(901〜909)を含んでおり、前記システム(900)がさらに、
前記ワークセル(901〜909)によって処理されるように前記サンプル管から一定量の前記試料を抜き取るためおよび/または前記サンプル管に一定量の液体を分注するため、
前記試料が抜き取られる必要がある場合および/または前記液体が分注される必要がある場合に前記サンプル管(12)から閉止部材(11)を取り除くため、および、
別の前記ワークセル(901〜909)に移送される前に前記サンプル管(12)を再閉鎖するために、少なくとも1つの前記ワークセル(901〜909)に対応した請求項13記載のピペットシステム(911〜918)を含んでいるシステム。
【請求項1】
サンプル管(12)から閉止部材(11)を取り除くためのキャップ除去装置(100、300、500)であって、
前記装置が、
それぞれが閉止部材(11)を保持するための受動型閉止部材グリッパー(21)を備えた複数の個別の閉止部材保持部(20)と、
管(12)から前記閉止部材(11)を取り除く場合または前記閉止部材を解放する場合に前記受動型閉止部材グリッパー(21)を作動させる少なくとも1つのアクチュエータ(40、340)と、
前記閉止部材(11)を取り除く場合に、前記管(12)およびその閉止部材(11)を互いから離すようにバイアスをかけるために、前記少なくとも1つのアクチュエータ(40、340)と協働する少なくとも1つの管グリッパー(50、350)と
を備え、
前記少なくとも1つのアクチュエータ(40、340)が、
前記閉止部材(11)が前記管(12)から取り外されなければならない場合、または前記閉止部材(11)が解放されなければならない場合に、前記閉止部材保持部(20)の前記受動型閉止部材グリッパー(21)に連結され、
前記閉止部材保持部(20)が前記閉止部材(20)を保持している場合に、前記受動型閉止部材グリッパー(21)から連結を解かれることを特徴とするキャップ除去装置(100、300、500)。
【請求項2】
サンプル管(12)から閉止部材(11)を取り除き、同一のそれぞれの閉止部材(11)を用いて同一の管(12)を再閉鎖するためのキャップ除去/再キャップ装置(100、300、500)であって、
前記装置が、
それぞれが閉止部材(11)を保持するための受動型閉止部材グリッパー(21)を備えた複数の個別の閉止部材保持部(20)と、
管から前記閉止部材(11)を取り除く場合または前記管(12)をそのそれぞれの前記閉止部材(11)を用いて再閉鎖する場合に前記受動型閉止部材グリッパー(21)を作動させる少なくとも1つのアクチュエータ(40、340)と、
前記閉止部材(11)を取り除く場合に前記管(12)およびその閉止部材(11)を互いから離すようにバイアスをかけ、前記管(12)を再閉鎖する場合に前記管(12)およびその前記閉止部材(11)を互いに向かってバイアスをかけるために、前記少なくとも1つのアクチュエータ(40、340)と協働する少なくとも1つの管グリッパー(50、350)と
を備え、
前記少なくとも1つのアクチュエータ(40、340)が、
前記閉止部材(11)が前記管(12)から取り除かれなければならない場合、または前記管(12)がそのそれぞれの前記閉止部材(11)を用いて再閉鎖されなければならない場合に、前記閉止部材保持部(20)の前記受動型閉止部材グリッパー(21)に連結され、
前記閉止部材保持部(20)が前記閉止部材(11)を保持している場合に、前記受動型閉止部材グリッパー(21)から連結を解かれることを特徴とするキャップ除去/再キャップ装置(100、300、500)。
【請求項3】
前記受動型閉止部材グリッパー(21)が複数のジョー(27)を含んでおり、前記ジョー(27)が突出部を含んでおり、前記閉止部材(11)を把持および保持するために互いに協働している請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記各ジョー(27)が、異なる傾斜の前記閉止部材の側面に適合させるために、前記閉止部材保持部(20)の垂直な中心軸(37)に対する角度を変えることによって水平なジョーの軸(38’)の周りを枢動可能である請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記閉止部材保持部(20)が受動型閉止部材押し出しエレメント(33)を含んでいる請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記閉止部材グリッパー(21)が、前記アクチュエータ(40、340)を前記受動型閉止部材グリッパー(21)に連結する場合に、前記閉止部材保持部(20)の垂直な中心軸(37)の周りを枢動可能であって、前記アクチュエータ(40、340)が、前記閉止部材グリッパー(21)を回転させるために閉止部材グリッパー駆動手段を含んでいる請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記複数の閉止部材保持部(20)を、連続しておよび/または繰り返し前記少なくとも1つのアクチュエータ(40、340)との連結接続に持ち込む閉止部材保持部駆動手段を含んでいる請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
キャップ除去アクチュエータ(40’、340’)がキャップ除去側管グリッパー(50’、350’)と位置合わせされるキャップ除去ステーション(70、370)と、再キャップアクチュエータ(40”、340”)が再キャップ側管グリッパー(50”、350”)と位置合わせされる再キャップステーション(80、380)とを含んでおり、前記閉止部材保持部(20)および前記管(12)は、前記キャップ除去アクチュエータ(40’、340’)および前記キャップ除去側管グリッパー(50’、350’)が、前記管(12)から前記閉止部材(11)を取り除くために前記閉止部材グリッパー(21)と協働する前記キャップ除去ステーションから、前記再キャップアクチュエータ(40”、340”)および前記再キャップ側管グリッパー(50”、350”)が、同一の前記管(12)を同一の前記閉止部材(11)を用いて再閉鎖するために前記閉止部材(11)を保持している同一の前記閉止部材グリッパー(21)と協働する前記再キャップステーション(80、380)まで移動できる請求項2〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記管から前記閉止部材を取り除く場合または前記管をその前記閉止部材を用いて再閉鎖する場合に、前記管が持ち上げられるべき高さを決定するために、前記管グリッパーと協働する高さ測定検知器を含んでいる請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記管グリッパー(50、350)が、第1管把持手段(51)および第2管把持手段(52)を含んでおり、前記第1管把持手段(51)は、前記第2管把持手段(52)が前記第1管把持手段(51)の力および接触面よりもそれぞれ大きい力および接触面で前記管(12)を確実に把持および保持する前に、前記第1管把持手段(51)が管キャリア(91、391)からの前記管(12)を把持し、持ち上げるように、前記第2管把持手段(52)に対してバイアスをかけることができ、また前記第2管把持手段(52)と協働する請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記閉止部材が取り除かれているか、および/または前記管がそのそれぞれの前記閉止部材で再閉鎖されているかを決定するため、および/または前記管がそのそれぞれの前記閉止部材ではない閉止部材で再閉鎖されることを防ぐために、エラー検出器を含んでいる請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
廃棄アクチュエータ(40'”、340'”)が廃棄区画と位置合わせされる廃棄ステーションを含んでおり、前記廃棄アクチュエータ(40'”、340'”)が、前記閉止部材を前記廃棄区画に廃棄するために、前記閉止部材を保持している同一の前記閉止部材グリッパー(21)と協働する請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
一定量の試料をサンプル管から抜き取るため、および/または一定量の液体をサンプル管に分注するためのピペットシステム(200、400、911〜918)であって、
請求項2〜12のいずれか1項に記載のキャップ除去/再キャップ装置(100、300、500)と、
管(12)からの閉止部材(11)の除去から同一の前記閉止部材(11)を用いた前記管(12)の再閉鎖までの時間フレームにおいて、一定量の試料を抜き取り、および/または一定量の液体を分注するように構成されるピペットユニット(150、250)と
を含んでいるピペットシステム。
【請求項14】
サンプル管(12)に含まれる試料の少なくとも1つの試料パラメータを測定するための分析システムであって、
請求項2〜12のいずれか1項に記載のキャップ除去/再キャップ装置(100、300、500)と、
管(12)からの閉止部材(11)の除去から同一の前記閉止部材(11)を用いた前記管(12)の再閉鎖までの時間フレームにおいて、少なくとも1つの試料パラメータを測定する分析ユニットと
を含んでいる分析システム。
【請求項15】
生体試料を含んでいるサンプル管を処理するシステム(900)であって、前記システム(900)が前記試料を処理するために複数のワークセル(901〜909)を含んでおり、前記システム(900)がさらに、
前記ワークセル(901〜909)によって処理されるように前記サンプル管から一定量の前記試料を抜き取るためおよび/または前記サンプル管に一定量の液体を分注するため、
前記試料が抜き取られる必要がある場合および/または前記液体が分注される必要がある場合に前記サンプル管(12)から閉止部材(11)を取り除くため、および、
別の前記ワークセル(901〜909)に移送される前に前記サンプル管(12)を再閉鎖するために、少なくとも1つの前記ワークセル(901〜909)に対応した請求項13記載のピペットシステム(911〜918)を含んでいるシステム。
【図1a】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7】
【図9】
【図1b】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図10】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7】
【図9】
【図1b】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図10】
【公開番号】特開2013−3152(P2013−3152A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−138796(P2012−138796)
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−138796(P2012−138796)
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】
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