説明

サーキュレータ及び微小粒子拡散装置

【課題】省電力化を図るとともに室内の空気を十分循環させることのできるサーキュレータを提供する。
【解決手段】吸込口5と吹出口4a、4b、4cとを開口する筐体2と、吸込口5と吹出口4a、4b、4cとを連結して筐体2内に設けられる送風経路10と、送風経路10に配されて周方向に気流を送出する送風ファン8とを備え、送風経路10が、送風ファン8の下流側で流路を送風ファン8の回転軸の垂直方向に徐々に拡大する垂直方向拡大部11と、垂直方向拡大部11の下流側で流路を送風ファン8の回転軸の軸方向に徐々に拡大するとともに垂直方向に一定に維持または徐々に縮小する軸方向拡大部12とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の空気を循環させるサーキュレータに関する。また本発明は、イオン等の微小粒子を送出して室内に拡散させる微小粒子拡散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のサーキュレータは特許文献1に開示されている。このサーキュレータは室内の床面に設置され、下部に吸込口を開口して上面に吹出口を開口する。サーキュレータの内部に配される送風ファンの駆動によって吸込口から室内の空気を床面に沿って吸い込み、吹出口から前方上方に向けて空気を送出する。これにより、室内の空気を循環させることができる。
【0003】
また、特許文献2には従来の微小粒子拡散装置が開示されている。この微小粒子拡散装置は冷蔵庫の天面等に配され、前面に吹出口が開口する筐体内に送風ファンが設けられる。送風ファンは軸方向に吸気して周方向に排気するシロッコファンから成り、回転軸を鉛直に配される。送風ファンと吹出口との間は送風経路により連結される。送風経路は送風ファンの下流側で左右方向に徐々に広げられるとともに、上下方向に徐々に狭められる。送風経路内には微小粒子であるイオンを発生する微小粒子発生装置が配される。
【0004】
送風ファンにより発生する気流は送風経路を流通して左右方向に広がり、微小粒子発生装置で発生した微小粒子が含まれる。微小粒子を含む気流は吹出口から左右方向に広がって送出され、室内に微小粒子が拡散される。これにより、プラスイオンとマイナスイオンとを室内に供給して室内の浮遊菌の殺菌を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−270992号公報(第2頁−第5頁、第4図)
【特許文献2】特許第3797993号公報(第4頁−第18頁、第1図、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来のサーキュレータによると、吹出口から送出される空気が室内の左右方向に十分拡散しない。このため、室内の隅々まで空気を循環させることが困難になる問題があった。送風ファンを左右方向に揺動させる首振り機構を設けると室内の隅々まで空気を循環させることできるが、構造が複雑になるためサーキュレータのコストが大きくなる問題がある。
【0007】
また、上記特許文献2に開示された従来の微小粒子拡散装置によると、送風経路を流通する気流は左右方向に広げられて吹出口から前方に送出される。このため、簡単な構成で空気や微小粒子を室内の左右方向に広い範囲に送出することができる。
【0008】
しかしながら、送風ファンは回転軸を鉛直に配して周接線方向に排気するため、送風経路を流通する気流の流量が送風ファンの遠心力によって左右方向で不均一になる問題があった。また、送風ファンの直後から上下方向に流路が絞られるため気流の運動エネルギーを十分回収することができず、送風経路内の静圧が低くなる。これにより、微小粒子拡散装置に対して遠い室内の壁面まで気流が到達せず、空気の循環や微小粒子の拡散を十分行うことができない問題もあった。一方、気流の到達距離を大きくするために送風ファンの回転数を大きくすると、騒音や消費電力が大きくなる問題がある。
【0009】
また、微小粒子発生装置によってイオン以外の芳香剤、消臭剤、殺虫剤、殺菌剤等の微小粒子を発生する場合も同様の問題がある。
【0010】
本発明は、省電力化を図るとともに室内の空気を十分循環させることのできるサーキュレータを提供することを目的とする。また本発明は、省電力化を図るとともに微小粒子を室内に十分拡散させることのできる微小粒子拡散装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、吸込口と吹出口とを開口する筐体と、前記吸込口と前記吹出口とを連結して前記筐体内に設けられる送風経路と、前記送風経路に配されて周方向に気流を送出する送風ファンとを備え、前記吸込口から前記送風経路に流入する室内の空気を前記吹出口から送出して室内の空気を循環させるサーキュレータにおいて、前記送風経路が、前記送風ファンの下流側で流路を前記送風ファンの回転軸の垂直方向に徐々に拡大する垂直方向拡大部と、前記垂直方向拡大部の下流側で流路を前記回転軸の軸方向に徐々に拡大するとともに前記回転軸の垂直方向に一定に維持または徐々に縮小される軸方向拡大部とを有することを特徴としている。
【0012】
この構成によると、送風ファンは遠心ファンや貫流ファンから成り、例えば回転軸が水平に配される。送風ファンの駆動によって吸込口から室内の空気が送風経路に流入して送風ファンの周方向に排気される。送風ファンの下流側の垂直方向拡大部は上下方向に徐々に拡大され、気流の運動エネルギーを回収して静圧に変換する。垂直方向拡大部の下流側の軸方向拡大部は左右方向に徐々に広がるとともに上下方向に一定または縮小される。これにより、軸方向拡大部を流通する気流は左右方向に広げられるとともに流速の低下が抑制される。そして、吹出口から気流が左右方向の広い範囲に送出され、室内の空気が循環する。送風ファンの回転軸を水平に対して傾斜して配してもよく、鉛直に配してもよい。
【0013】
また本発明は、上記構成のサーキュレータにおいて、前記軸方向拡大部の流路面積が下流になる程拡大されることが好ましい。この構成によると、軸方向拡大部を流通する気流の運動エネルギーを回収して静圧に変換される。
【0014】
また本発明は、上記構成のサーキュレータにおいて、前記垂直方向拡大部及び前記軸方向拡大部に連続して前記回転軸の軸方向に分割される複数の分割通路を有することが好ましい。この構成によると、分割通路の壁面に沿って気流が流通して回転軸の軸方向に円滑に広げられる。
【0015】
また本発明は、上記構成のサーキュレータにおいて、前記筐体が前記回転軸を水平に配して室内の天井壁の近傍に配され、前記吹出口を前記筐体の上端に形成するとともに前記吹出口から天井壁に沿って気流を送出するとより好ましい。この構成によると、吹出口から室内の天井壁に沿って送出される気流がコアンダ効果によって天井壁に沿って流通し、気流の到達距離をより長くすることができる。
【0016】
また本発明は、上記構成のサーキュレータにおいて、前記筐体が前記回転軸を水平に配して室内の天井壁の近傍に配され、前記吹出口を前記筐体の下部に形成するとともに前記吹出口から上方に気流を送出するとより好ましい。この構成によると、吹出口から上方に送出される気流が室内の天井壁に到達してコアンダ効果により天井壁に沿って流通し、気流の到達距離をより長くすることができる。
【0017】
また本発明は、吸込口と吹出口とを開口する筐体と、前記吸込口と前記吹出口とを連結して前記筐体内に設けられる送風経路と、前記送風経路に配されて周方向に気流を送出する送風ファンと、前記送風ファンの下流側に配されて微小粒子を発生する微小粒子発生装置を備え、前記吸込口から前記送風経路に流入する室内の空気に微小粒子を含有して前記吹出口から送出する微粒子拡散装置において、前記送風経路が、前記送風ファンの下流側で流路を前記送風ファンの回転軸の垂直方向に徐々に拡大する垂直方向拡大部と、前記垂直方向拡大部の下流側で流路を前記回転軸の軸方向に徐々に拡大するとともに前記回転軸の垂直方向に一定に維持または徐々に縮小する軸方向拡大部とを有することを特徴としている。
【0018】
この構成によると、送風ファンは遠心ファンや貫流ファンから成り、例えば回転軸が水平に配される。送風ファンの駆動によって吸込口から室内の空気が送風経路に流入して送風ファンの周方向に排気される。送風ファンの下流側の垂直方向拡大部は上下方向に徐々に拡大され、気流の運動エネルギーを回収して静圧に変換する。垂直方向拡大部の下流側の軸方向拡大部は左右方向に徐々に広がるとともに上下方向に一定または縮小される。これにより、軸方向拡大部を流通する気流は左右方向に広げられるとともに流速の低下を抑制される。そして、微小粒子発生装置により発生した微小粒子を含む気流が吹出口から左右方向の広い範囲に送出され、室内に微小粒子が拡散する。送風ファンの回転軸を水平に対して傾斜して配してもよく、鉛直に配してもよい。
【0019】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、前記微小粒子発生装置で発生する微小粒子が、イオン、芳香剤、消臭剤、殺虫剤、殺菌剤のいずれかを含むようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、垂直方向拡大部が流路を送風ファンの回転軸の垂直方向に徐々に拡大し、軸方向拡大部が垂直方向拡大部の下流側で流路を送風ファンの回転軸の軸方向に徐々に拡大するとともに垂直方向に一定に維持または徐々に縮小するので、送風ファンの遠心力による流量の不均一を防止できる。加えて、垂直方向拡大部で気流の運動エネルギーを十分静圧に変換して静圧が高められた後に軸方向拡大部で気流の速度低下を抑制して軸方向に気流が広げられる。これにより、省電力化を図ることができるとともに、気流の到達距離を大きくすることができる。従って、室内の空気を十分循環させることができる。また、室内に微小粒子を十分拡散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置を上方から見た斜視図
【図2】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置を下方から見た斜視図
【図3】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置の正面図
【図4】図3のA−A断面の側面断面図
【図5】図3のB−B断面の上面断面図
【図6】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置の室内の気流状態を示す図
【図7】本発明の第2実施形態の微小粒子拡散装置の側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1、図2及び図3は第1実施形態の微小粒子拡散装置を上方から見た斜視図、下方から見た斜視図及び正面図である。微小粒子拡散装置1は筐体2で覆われ、室内の一の側壁Sと天井壁T(図4参照)とのコーナー近傍に配される。筐体2を側壁Sに取り付けてもよく、側壁Sの近傍の天井壁Tに取り付けてもよい。
【0023】
筐体2の下面には吸込口5が開口する。吸込口5にはフィルター6が配される。筐体2の前面上部には室内に向かって右から順に第1吹出口4a、第2吹出口4b及び第3吹出口4cが水平方向に並設される。第1吹出口4a、第2吹出口4b及び第3吹出口4cは筐体2の上端に設けられ、天井壁T(図4参照)に沿って空気を送出する。詳細を後述するように、第1吹出口4aは筐体2から右方に空気を送出し、第2吹出口4bは筐体2から正面に空気を送出し、第3吹出口4cは筐体2から左方に空気を送出する。
【0024】
図4、図5は図3のA−A断面の側面断面図及びB−B断面の上面断面図を示している。筐体2内には第1吹出口4a、第2吹出口4b及び第3吹出口4cと吸込口5とを連結する送風経路10が設けられる。送風経路10内には送風ファン8が配される。送風ファン8はファンモータ8aにより回転翼(不図示)が回転駆動されるクロスフローファン(貫流ファン)から成り、回転軸が水平方向に配される。ファンモータ8aの駆動によって送風ファン8は回転翼(不図示)の周方向から吸気して周方向に排気する。回転軸を水平方向に配した遠心ファンにより送風ファン8を形成してもよい。
【0025】
送風経路10内には送風ファン8の下流側で水平方向に分割された第1分割通路10a、第2分割通路10b及び第3分割通路10cが順に設けられる。第1分割通路10a、第2分割通路10b及び第3分割通路10cはそれぞれ前端に第1吹出口4a、第2吹出口4b及び第3吹出口4cが開口する。また、第1分割通路10a及び第3分割通路10cの内側の側壁10e及び外側の側壁10fは鉛直面に対して傾斜した曲面により形成される。
【0026】
第1分割通路10a、第2分割通路10b及び第3分割通路10cにはそれぞれ送風ファン8の下流側に垂直方向拡大部11及び軸方向拡大部12が形成される。垂直方向拡大部11は流路を送風ファン8の回転軸の垂直方向に徐々に拡大する。軸方向拡大部12は垂直方向拡大部11の下流側で流路を送風ファン8の回転軸の軸方向に徐々に拡大するとともに垂直方向に徐々に縮小する。
【0027】
尚、軸方向拡大部12の流路面積は下流になる程拡大されている。また、第1分割通路10a、第2分割通路10b及び第3分割通路10cは垂直方向拡大部11及び軸方向拡大部12に連続して形成される。
【0028】
第1分割通路10a、第2分割通路10b及び第3分割通路10cには微小粒子発生装置7の電極7a、7bが露出して配される。電極7aと電極7bとは第1分割通路10a、第2分割通路10b及び第3分割通路10c内でそれぞれ仕切壁10dにより仕切られて配置される。
【0029】
電極7a、7bには交流波形またはインパルス波形から成る電圧が印加される。電極7aには正電圧が印加され、電離により発生するイオンが空気中の水分と結合して主としてH+(H2O)mから成る電荷が正のクラスタイオンが形成される。電極7bには負電圧が印加され、電離により発生するイオンが空気中の水分と結合して主としてO2-(H2O)nから成る電荷が負のクラスタイオンが形成される。ここで、m、nは任意の自然数である。
【0030】
+(H2O)m及びO2-(H2O)nは空気中の浮遊菌や臭い成分の表面で凝集してこれらを取り囲む。そして、式(1)〜(3)に示すように、衝突により活性種である[・OH](水酸基ラジカル)やH22(過酸化水素)を浮遊菌や臭い成分等の表面上で凝集生成してこれらを破壊する。ここで、m’、n’は任意の自然数である。従って、プラスイオン及びマイナスイオンを発生して第1吹出口4a、第2吹出口4b、第3吹出口4cから吐出することにより、室内の殺菌及び臭い除去を行うことができる。
【0031】
+(H2O)m+O2-(H2O)n→・OH+1/2O2+(m+n)H2O ・・・(1)
+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2-(H2O)n+O2-(H2O)n’
→ 2・OH+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(2)
+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2-(H2O)n+O2-(H2O)n’
→ H22+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(3)
【0032】
上記構成の微小粒子拡散装置1において、送風ファン8及び微小粒子発生装置7が駆動されると、室内の空気が吸込口5から筐体2内に取り込まれる。筐体2内に取り込まれる空気はフィルタ6により塵埃が捕集され、送風経路10を流通して送風ファン8に導かれる。
【0033】
送風ファン8の排気は第1分割通路10a、第2分割通路10b及び第3分割通路10cに分岐してそれぞれ第1吹出口4a、第2吹出口4b及び第3吹出口4cに導かれる。この時、送風ファン8の回転軸を鉛直に配置すると、遠心力によって左右方向で気流が不均一になる。このため、送風ファン8の回転軸を水平に配して左右方向の気流を均一にすることができる。加えて、第1分割通路10a及び第3分割通路10cの内側の側壁10eが鉛直面に対して傾斜するため、送風ファン8から周接線方向に直進する気流を容易に湾曲させることができる。
【0034】
また、垂直方向拡大部11で上下方向に流路が広げられるとともに軸方向拡大部12で左右方向に流路が広げられる。軸方向拡大部12よりも上流の垂直方向拡大部11では周方向に排気される送風ファン8の遠心力の影響が大きい。このため、気流は送風ファン8の回転軸に垂直な方向に進行するため左右に広げるのは望ましくない。そして、垂直方向拡大部11で上下方向に流路を拡大することによって気流の運動エネルギーを回収して静圧に変換し、静圧が高められる。これにより、微小粒子拡散装置1の送風能力を向上させることができる。尚、垂直方向拡大部11で流路の左右方向の幅を一定にしてもよく、やや縮小してもよい。この時、流路面積は下流になる程徐々に拡大させる。
【0035】
軸方向拡大部12では送風ファン8による遠心力が弱まった状態で流路を左右方向に拡大するので、圧力損失を大きくすることなく気流を円滑に湾曲させて左右方向に広げることができる。また、上下方向に流路が絞られるため、気流をより円滑に左右方向に広げることができるとともに気流の速度低下を抑制することができる。この時、軸方向拡大部12の流路面積が下流になる程拡大するので、軸方向拡大部12においても運動エネルギーを回収して静圧に変換し、静圧を高めることができる。
【0036】
第1分割通路10a、第2分割通路10b及び第3分割通路10cを流通する気流には微小粒子発生装置7によってプラスイオンとマイナスイオンとが含まれる。これにより、第1吹出口4a、第2吹出口4b及び第3吹出口4cからプラスイオンとマイナスイオンとを含む気流が送出される。
【0037】
図6は微小粒子拡散装置1から送出される室内Dの気流の状態を示している。第1吹出口4aから右方に向かって送出された第1気流A1は天井壁Tに沿って流通し、右方の側壁(第1壁面P1)に沿って降下する。第2吹出口4bから前方に向かって送出された第2気流A2は天井壁Tに沿って流通し、微小粒子拡散装置1が配される側壁Sに対向する側壁(第2壁面P2)に沿って降下する。第3吹出口4cから左方に向かって送出された第3気流A3は天井壁Tに沿って流通し、左方の側壁(第3壁面P3)に沿って降下する。
【0038】
第1壁面P1、第2壁面P2及び第3壁面P3を降下する気流は室内の床面Fを流通し、側壁Sに沿って上昇して微小粒子拡散装置1の吸込口5に戻る。これにより、室内の各壁面に沿って気流が循環して室内の隅々にイオンを行き渡らせることができる。また、室内の中央部の居住空間には壁面に沿って流通する気流によってイオンが緩やかに拡散する。第1、第2、第3気流A1、A2、A3は壁面に沿ってコアンダ効果によって進行するため、室内の空気に奪われる運動エネルギーが抑制される。これにより、消費電力を抑制して気流の到達距離を大きくすることができる。
【0039】
尚、電極7a、7bにより発生するイオンの極性を所定期間毎に切り替えてもよい。即ち、電極7aからプラスイオンを発生して電極7bからマイナスイオンを発生する。所定期間が経過すると電極7aからマイナスイオンを発生して電極7bからプラスイオンを発生する。更に所定期間が経過すると、電極7aからプラスイオンを発生して電極7bからマイナスイオンを発生し、この動作を繰り返す。
【0040】
これにより、第1分割通路10a、第2分割通路10b及び第3分割通路10cを左右に広がって送出される気流の左端及び右端にプラスイオンとマイナスイオンとが交互に送出される。従って、居室内の左右方向の広い範囲までプラスイオン及びマイナスイオンを高い濃度で分布させることができる。
【0041】
本実施形態によると、垂直方向拡大部11が流路を送風ファン8の回転軸の垂直方向に徐々に拡大し、軸方向拡大部12が垂直方向拡大部11の下流側で流路を送風ファン8の回転軸の軸方向に徐々に拡大するとともに垂直方向に徐々に縮小する。これにより、送風ファン8の遠心力による流量の不均一を防止して送風ファン8の回転軸の軸方向に気流を広げることができる。
【0042】
加えて、送風ファン8の直後の垂直方向拡大部11で流路面積が絞られないため、気流の運動エネルギーを十分回収して静圧が高められる。その後、軸方向拡大部12で気流の速度低下を抑制して軸方向に気流が広げられる。これにより、送風ファン8の回転数を大きくすることなく気流の到達距離を大きくすることができる。従って、微小粒子拡散装置1の省電力化及び低騒音化を図ることができるとともに、室内にイオンを十分拡散させることができる。
【0043】
尚、垂直方向拡大部11では送風ファン8の遠心力の影響が大きく、流路の左右方向の幅を徐々に広げても気流を左右に広げる効果が低くなるだけでなくむしろ送風ファン8の性能を低下させる可能性がある。このため、垂直方向拡大部11で流路の左右方向の幅を一定に維持してもよく、やや縮小してもよい。また、軸方向拡大部12で流路の上下方向の幅を一定に維持してもよい。
【0044】
また、軸方向拡大部12の流路面積が下流になる程拡大するので、軸方向拡大部12においても運動エネルギーを回収して静圧に変換し、静圧をより高めることができる。尚、軸方向拡大部12で流路面積を一定に維持してもよい。この時、軸方向拡大部12における運動エネルギーの回収が低減されるが、垂直方向拡大部11における運動エネルギーのの回収によって従来よりも静圧を高めることができる。
【0045】
また、垂直方向拡大部11及び軸方向拡大部12に連続して送風ファン8の軸方向に分割される複数の第1分割通路10a、第2分割通路10b及び第3分割通路10cを有するので、第1分割通路10a、第2分割通路10b及び第3分割通路10cの壁面に沿って気流が流通して送風ファン8の軸方向に円滑に気流を広げることができる。
【0046】
また、送風ファン8の回転軸を水平に配して筐体2が室内の天井壁Tの近傍に配され、第1吹出口4a、第2吹出口4b及び第3吹出口4cを筐体2の上端に形成するとともに天井壁Tに沿って気流を送出する。これにより、天井壁Tに沿って送出される気流がコアンダ効果によって天井壁Tに沿って流通する。従って、気流の到達距離をより長くすることができる。
【0047】
次に、図7は第2実施形態の微小粒子拡散装置の側面断面図を示している。説明の便宜上、前述の図1〜図6に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は、第1実施形態と同様に水平に並設される第1吹出口4a、第2吹出口4b及び第3吹出口4cが筐体2の下部前面に開口する。また、吸込口5が筐体2の上面に開口する。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0048】
微小粒子拡散装置1の筐体2は天井壁Tとの間に所定の隙間Hを有して室内の一側壁Sに取り付けられる。第1分割通路10a、第2分割通路10b及び第3分割通路10c(図4参照)は水平に対して所定角度だけ上方に向かって傾斜する。これにより、第1気流A1、第2気流A2及び第3気流A3が天井壁Tに到達した後に、天井壁Tに沿って流通する。
【0049】
第1吹出口4aから右方に向かって送出された第1気流A1は天井壁Tに沿って流通し、右方の側壁(第1壁面P1(図6参照))に沿って降下する。第2吹出口4bから前方に向かって送出された第2気流A2は天井壁Tに沿って流通し、微小粒子拡散装置1が配される側壁Sに対向する側壁(第2壁面P2(図6参照))に沿って降下する。第3吹出口4cから左方に向かって送出された第3気流A3は天井壁Tに沿って流通し、左方の側壁(第3壁面P3(図6参照))に沿って降下する。そして、第1壁面P1、第2壁面P2及び第3壁面P3を降下する気流は室内の床面Fを流通し、側壁Sに沿って上昇して微小粒子拡散装置1の側方から吸込口5に戻る。
【0050】
本実施形態によると、第1実施形態と同様に、垂直方向拡大部11が流路を送風ファン8の回転軸の垂直方向に徐々に拡大し、軸方向拡大部12が垂直方向拡大部11の下流側で流路を送風ファン8の回転軸の軸方向に徐々に拡大するとともに垂直方向に徐々に縮小するので、送風ファン8の遠心力による流量の不均一を防止して送風ファン8の回転軸の軸方向に気流を広げることができる。
【0051】
加えて、送風ファン8の直後の垂直方向拡大部11で流路面積が絞られないため、気流の運動エネルギーを十分回収して静圧が高められる。その後、軸方向拡大部12で気流の速度低下を抑制して軸方向に気流が広げられる。これにより、送風ファン8の回転数を大きくすることなく気流の到達距離を大きくすることができる。従って、微小粒子拡散装置1の省電力化及び低騒音化を図ることができるとともに、室内にイオンを十分拡散させることができる。
【0052】
また、送風ファン8の回転軸を水平に配して筐体2が室内の天井壁Tの近傍に配され、第1吹出口4a、第2吹出口4b及び第3吹出口4cを筐体2の下部に形成して上方に気流を送出する。これにより、第1吹出口4a、第2吹出口4b及び第3吹出口4cから上方に送出される気流が室内の天井壁Tに到達してコアンダ効果によって天井壁Tに沿って流通する。従って、気流の到達距離をより長くすることができる。
【0053】
尚、第1実施形態の微小粒子拡散装置1を天井壁Tから所定の隙間Hを有して側壁Sに取り付けてもよい。そして、本実施形態と同様に、第1分割通路10a、第2分割通路10b及び第3分割通路10cを水平に対して所定角度だけ上方に向かって傾斜させる。これにより、第1気流A1、第2気流A2及び第3気流A3を天井壁Tに到達した後に天井壁Tに沿って流通させることができる。しかしながら、第1気流A1、第2気流A2及び第3気流A3が天井壁Tに到達するまでに運動エネルギーが奪われるため、第1実施形態のように天井壁Tに沿って第1吹出口4a、第2吹出口4b及び第3吹出口4cを形成する方がより望ましい。
【0054】
第1、第2実施形態において、微小粒子拡散装置1は微小粒子発生装置7により発生したプラスイオンとマイナスイオンとを送出して室内の殺菌を行っている。微小粒子発生装置7によりマイナスイオンのみを発生して室内のリラクゼーション効果を得る微小粒子拡散装置1であってもよい。また、微小粒子発生装置7により芳香剤、消臭剤、殺虫剤、殺菌剤等を発生して室内の消臭、殺虫、殺菌等を行う微小粒子拡散装置1であってもよい。
【0055】
また、微小粒子発生装置7を省いて第1、第2、第3気流A1、A2、A3によって室内の気流を循環させるサーキュレータにしてもよい。この時、垂直方向拡大部11で気流の運動エネルギーを回収して静圧に変換した後に軸方向拡大部12で気流を左右方向に広げ、気流の到達距離を大きくすることができる。従って、省電力化及び低騒音化を図ることができるとともに、室内の空気を十分循環させることができる。
【0056】
また、送風ファン8の回転軸を水平に配しているが、水平に対して傾斜して配してもよく、鉛直に配してもよい。そして、第1吹出口4a、第2吹出口4b及び第3吹出口4cを送風ファン8の軸方向に並設することにより、上記と同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明によると、室内の空気を循環させるサーキュレータに利用することができる。また本発明によると、イオン、芳香剤、消臭剤、殺虫剤、殺菌剤等の微小粒子を送出して室内に拡散させる微小粒子拡散装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 微小粒子拡散装置
2 筐体
4a 第1吹出口
4b 第2吹出口
4c 第3吹出口
4d 第4吹出口
5 吸込口
6 フィルター
7 微小粒子発生装置
8 送風ファン
10 送風経路
10a 第1分割通路
10b 第2分割通路
10c 第3分割通路
11 垂直方向拡大部
12 軸方向拡大部
A1 第1気流
A2 第2気流
A3 第3気流
A4 第4気流
F 床面
P1 第1壁面
P2 第2壁面
P3 第3壁面
S 側壁
T 天井壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口と吹出口とを開口する筐体と、前記吸込口と前記吹出口とを連結して前記筐体内に設けられる送風経路と、前記送風経路に配されて周方向に気流を送出する送風ファンとを備え、前記吸込口から前記送風経路に流入する室内の空気を前記吹出口から送出して室内の空気を循環させるサーキュレータにおいて、前記送風経路が、前記送風ファンの下流側で流路を前記送風ファンの回転軸の垂直方向に徐々に拡大する垂直方向拡大部と、前記垂直方向拡大部の下流側で流路を前記回転軸の軸方向に徐々に拡大するとともに前記回転軸の垂直方向に一定に維持または徐々に縮小される軸方向拡大部とを有することを特徴とするサーキュレータ。
【請求項2】
前記軸方向拡大部の流路面積が下流になる程拡大されることを特徴とする請求項1に記載のサーキュレータ。
【請求項3】
前記垂直方向拡大部及び前記軸方向拡大部に連続して前記回転軸の軸方向に分割される複数の分割通路を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサーキュレータ。
【請求項4】
前記筐体が前記回転軸を水平に配して室内の天井壁の近傍に配され、前記吹出口を前記筐体の上端に形成するとともに前記吹出口から天井壁に沿って気流を送出したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のサーキュレータ。
【請求項5】
前記筐体が前記回転軸を水平に配して室内の天井壁の近傍に配され、前記吹出口を前記筐体の下部に形成するとともに前記吹出口から上方に気流を送出したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のサーキュレータ。
【請求項6】
吸込口と吹出口とを開口する筐体と、前記吸込口と前記吹出口とを連結して前記筐体内に設けられる送風経路と、前記送風経路に配されて周方向に気流を送出する送風ファンと、前記送風ファンの下流側に配されて微小粒子を発生する微小粒子発生装置を備え、前記吸込口から前記送風経路に流入する室内の空気に微小粒子を含有して前記吹出口から送出する微粒子拡散装置において、前記送風経路が、前記送風ファンの下流側で流路を前記送風ファンの回転軸の垂直方向に徐々に拡大する垂直方向拡大部と、前記垂直方向拡大部の下流側で流路を前記回転軸の軸方向に徐々に拡大するとともに前記回転軸の垂直方向に一定に維持または徐々に縮小する軸方向拡大部とを有することを特徴とする微粒子拡散装置。
【請求項7】
前記微小粒子発生装置で発生する微小粒子が、イオン、芳香剤、消臭剤、殺虫剤、殺菌剤のいずれかを含むことを特徴とする請求項7に記載の微粒子拡散装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−141059(P2011−141059A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−877(P2010−877)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】