説明

サージアブソーバ用ヒューズの切断検出装置

【課題】 部品点数の大幅な削減を実現し、装置全体の、コストダウン,小型コンパクト化及び消費電力の低減を図るとともに、後付けを容易とし、また、設計自由度及び汎用性を高める。
【解決手段】 電気機器類Mに給電を行う電源ラインLa…のサージ電圧を吸収するサージアブソーバ2に直列接続するヒューズ3a…の切断を検出するサージアブソーバ用ヒューズの切断検出装置1であって、ヒューズ3a…に流れる電流Ia…が電磁リレー4のリレーコイル部4cに流れるように接続したヒューズ電流検出回路Cdと、電磁リレー4のリレースイッチ部4sを、電気機器類Mにおける異常検出系5の異常検出用ライン5Lに接続し、ヒューズ3a…の切断によりリレースイッチ部4sが切換わることにより異常検出系5を異常検出状態Deに切換える異常割込回路Ciとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源ラインのサージ電圧を吸収するサージアブソーバに接続するヒューズの切断を検出するサージアブソーバ用ヒューズの切断検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、産業機器(電気機器類)の電源ラインには、サージアブソーバを接続して落雷等によるサージ電圧から機器を保護している。また、サージアブソーバに対して直撃雷等により定格を上回るサージ電圧が印加された場合或いは使用が誤った場合等では、サージアブソーバの発火や焼損を招く虞れがあるため、通常、サージアブソーバを保護するヒューズを直列に接続している。しかし、サージアブソーバとヒューズの直列回路は、電源ラインに対して並列に接続するため、直撃雷等によりヒューズが切断されても機器の接続されている電源ラインは切断されない。したがって、機器の運転は継続し、この結果、ヒューズの交換を行わない場合には、次の直撃雷等が発生した際にはサージアブソーバ及び機器を保護できなくなる問題を生じる。
【0003】
従来、このような問題を解決する装置も知られており、特許文献1には、保護ヒューズの遮断を表示し、警告するとともに、保護機能の働いていない被保護機器回路を停止状態にして被保護機器回路の全体の故障を未然に防止することを目的とし、単相電源に直列に接続された保護ヒューズとサージアブソーバからなる保護回路を持つ機器回路に、サージアブソーバの両端の電圧を検出する電圧検出手段と、この電圧検出手段での電圧が検出できない場合には機器回路の動作を停止させ、表示手段により警報する制御手段とを備えた保護回路異常検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−316745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来の保護回路異常検出装置(サージアブソーバ用ヒューズの切断検出装置)は、次のような問題点があった。
【0006】
第一に、ヒューズが切断された際に発生する現象、即ち、サージアブソーバに電流が流れなくなることに伴うサージアブソーバの両端電圧が発生しなくなることを電圧検出回路により検出し、この検出結果を表示手段により警報する独立した専用装置を追加する構成を採用するため、部品点数の大幅な増加を来たし、コストアップ,機器全体の大型化及び消費電力の増加等の不具合を招く。
【0007】
第二に、単相電源に用いることを前提にし、また、電圧検出回路により電圧の大きさを検出する方式を採用するため、この方式にマッチングしない他の構成や他の原理によるサージアブソーバの回路を備える場合或いは三相電源を使用する場合等には、適用できないか、適用できるとしてもマッチングさせるための更なる追加回路が必要になるなど、汎用性に難があるとともに、設計自由度にも劣る。
【0008】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したサージアブソーバ用ヒューズの切断検出装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するため、電気機器類Mに給電を行う電源ラインLa,Lb,Lc,Lx,Lyのサージ電圧を吸収するサージアブソーバ2に直列接続するヒューズ3a,3b,3c,3x,3yの切断を検出するサージアブソーバ用ヒューズの切断検出装置1であって、ヒューズ3a,3b,3c,3x,3yに流れる電流Ia,Ib,Ic,Ix,Iyが電磁リレー4のリレーコイル部4cに流れるように接続したヒューズ電流検出回路Cdと、電磁リレー4のリレースイッチ部4sを、電気機器類Mにおける異常検出系5の異常検出用ライン5Lに接続し、ヒューズ3a,3b,3c,3x,3yの切断によりリレースイッチ部4sが切換わることにより異常検出系5を異常検出状態Deに切換える異常割込回路Ciとを備えることを特徴とする。
【0010】
この場合、発明の好適な態様により、電源ラインには、単相電源ラインLx,Lyを適用してもよいし、三相電源ラインLa,Lb,Lcを適用してもよい。三相電源ラインLa,Lb,Lcに適用する場合、電磁リレー4として、電気機器類Mに接続されている又は接続する反相リレー4eを利用するとともに、この反相リレー4eの三相電源接続端子11a,11b,11cに、ヒューズ3a,3b,3cの電流流出側の三相電源ラインLa,Lb,Lcを接続して構成することができる。他方、異常検出系5には、異常検出状態Deに切換わった際に、少なくともアラーム表示又はアラーム音を出力するアラーム出力部12を備えることが望ましい。なお、電気機器類Mには、少なくとも圧縮機モータ15m(15m1,15m2)により回転する圧縮機15を有する冷凍サイクル14を備える冷却装置13を含ませることができる。
【発明の効果】
【0011】
このような構成を有する本発明に係るサージアブソーバ用ヒューズの切断検出装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0012】
(1) 基本的には、構成部品として電磁リレー4を用いれば足り、これ以外の構成(構成部品)は電気機器類Mに既に設けられている接続異常や高圧異常等を検出する他の異常検出系5を直接利用(兼用)し、この異常検出系5に割り込むことにより、ヒューズ3a…の切断の有無を検出可能にしたため、部品点数の大幅な削減を実現でき、装置全体の、コストダウン,小型コンパクト化及び消費電力の低減を図ることができる。
【0013】
(2) ヒューズ3a…の切断の有無は、基本的に電磁リレー4の開閉(ON/OFF)により検出できるため、各種構成及び原理を有するサージアブソーバ2の回路であっても容易に適用できるとともに、後付けも容易に行うことができ、設計自由度及び汎用性を高めることができる。
【0014】
(3) 好適な態様により、電源ラインLa…として、単相電源ラインLx,Ly及び三相電源ラインLa,Lb,Lcのいずれであっても容易に接続(実施)することができる。
【0015】
(4) 好適な態様により、三相電源ラインLa…に適用し、電磁リレー4として、電気機器類Mに接続されている又は接続する反相リレー4eを利用するとともに、この反相リレー4eの三相電源接続端子11a…に、ヒューズ3a…の電流流出側の三相電源ラインLa…を接続して構成すれば、既設の反相リレー4eをそのまま利用(兼用)できるため、別途の電磁リレー4が不要となる。したがって、更なる構成の簡略化により、コストダウン,小型コンパクト化及び消費電力の低減に寄与できる。
【0016】
(5) 好適な態様により、異常検出状態Deに切換わった際に、少なくともアラーム表示又はアラーム音を出力するアラーム出力部12を備える異常検出系5を利用すれば、オペレータ或いは管理者は、アラーム出力部12によりヒューズ3a…の切断の有無を確認できるため、電気機器類Mに設けられている異常検出系5を直接利用する観点から、最も望ましい形態により実施できる。
【0017】
(6) 好適な態様により、電気機器類Mに、少なくとも圧縮機モータ15m(15m1,15m2)により回転する圧縮機15を有する冷凍サイクル14を備える冷却装置13を含ませれば、冷却装置13におけるコストダウン,小型コンパクト化及び消費電力の低減に寄与できるとともに、冷却装置13を設計する際における設計自由度の向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の好適実施形態に係る切断検出装置を接続した三相電源ラインを含む電気機器類における異常検出系の回路図、
【図2】同切断検出装置に備える反相リレーの動作原理説明図、
【図3】同三相電源ラインに接続したサージアブソーバ用ヒューズが切断した状態の電気機器類における異常検出系の回路図、
【図4】同切断検出装置の機能を説明するためのフローチャート、
【図5】本発明の変更実施形態に係る切断検出装置を接続した単相電源ラインを含む電気機器類における異常検出系の回路図、
【図6】同切断検出装置を接続する前の単相電源ラインを含む電気機器類における異常検出系の回路図、
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0020】
まず、本実施形態に係るサージアブソーバ用ヒューズの切断検出装置1の構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0021】
例示の切断検出装置1は、三相電源ラインLa,Lb,Lcに接続した冷却装置13に設けた場合を示す。この冷却装置13は、冷凍サイクル14により冷却する方式を採用する。冷凍サイクル14は、圧縮機モータ15m及び圧縮機本体15pを備える圧縮機15と、この圧縮機15を除いた、凝縮器,熱交換器及び膨張弁等を含む冷凍サイクル残部16を備える。したがって、冷却装置13が電気機器類Mとなる。
【0022】
一方、21は商用の三相交流電源(電圧200〔V〕)であり、冷却装置13に備える少なくとも圧縮機モータ15mとコントローラ22は、三相電源ラインLa,Lb,Lcを介して、三相交流電源21に接続され、三相電源ラインLa,Lb,Lcから並列接続となる圧縮機モータ15mとコントローラ22に対して給電が行われる。圧縮機モータ15mは、三相交流モータであり、スター結線された三つの巻線(界磁コイル)を備える。さらに、コントローラ22は、三相交流を直流に変換する直流電源部を内蔵するとともに、冷却装置13の全体の制御を司るコントローラ本体を内蔵する。コントローラ本体は、CPU,メモリ等を内蔵するマイコン(マイクロコンピュータ)等により構成し、コンピュータ機能によりシーケンス制御を含む各種の制御処理,演算処理,通信処理等の処理機能を備える。
【0023】
また、コントローラ22には異常検出系5を備える。異常検出系5は、接続異常,圧力異常,温度異常及び各種故障等を検出(検知)する機能を備え、特に、本発明に関連して、三相電源ラインLa,Lb,Lcの接続を誤り、圧縮機モータ15mが逆転してしまう接続異常を検出するための反相リレー(逆回転防止リレー)4eを備える。反相リレー4eは検出信号出力端子23a,23bと三相電源接続端子11a,11b,11cを備え、検出信号出力端子23a,23bは接続ライン24a,24bによりコントローラ22に接続する。反相リレー4eは、三相電源接続端子11aに一端を接続した抵抗25、三相電源接続端子11bに一端を接続したコンデンサ26、三相電源接続端子11cに一端を接続したコイル(リレーコイル部)4cを備え、抵抗25,コンデンサ26及びリレーコイル部4cの他端は短絡させる。リレーコイル部4cはリレースイッチ部4sと共に電磁リレー部を構成し、リレースイッチ部4sの両端は検出信号出力端子23a,23bにそれぞれ接続する。さらに、異常検出系5は、アラーム出力部12を備える。例示のアラーム出力部12は、異常検出状態Deに切換わった際に少なくとも対応するエラーメッセージを表示する表示パネルを想定している。
【0024】
他方、2はサージアブソーバである。このサージアブソーバ2はバリスタタイプであり、三相電源接続端子27a,27b,27cとグランド端子27gを有する。また、各三相電源接続端子27a,27b,27cの相互間に接続した三つのバリスタ2v…及び各三相電源接続端子27a,27b,27cとグランド端子27g間に接続した三つのバリスタ2v…を内蔵する。そして、各三相電源接続端子27a,27b,27cは、ヒューズ3a,3b,3cを介して各三相電源ラインLa,Lb,Lcに接続する。これにより、ヒューズ3a,3b,3cは、サージアブソーバ2の電流流入側に直列接続され、サージアブソーバ2はヒューズ3a,3b,3cを介して三相電源ラインLa,Lb,Lcのサージ電圧を吸収する。
【0025】
ところで、反相リレー4eの三相電源接続端子11a,11b,11cは、通常、三相電源ラインLa,Lb,Lcに直接接続する。しかし、本実施形態では、本発明に従ってサージアブソーバ2側(ヒューズ3a,3b,3cの電流流出側)に接続する。即ち、反相リレー4eの三相電源接続端子11aを接続ライン28aによりサージアブソーバ2の三相電源接続端子27aに接続し、三相電源接続端子11bを接続ライン28bにより三相電源接続端子27bに接続し、三相電源接続端子11cを接続ライン28cにより三相電源接続端子27cに接続する。したがって、実際の実施に際しては接続の変更により実施可能であり、容易に実施することができる。これにより、ヒューズ3a,3b,3cに流れる電流Ia,Ib,Icが反相リレー4eのリレーコイル部4cに流れるように接続したヒューズ電流検出回路Cdが構成される。
【0026】
一方、前述した反相リレー4eの検出信号出力端子23a,23bは、接続ライン24a,24bによりコントローラ22に接続されるため、この接続ライン24a,24bは異常検出系5の異常検出用ライン5Lを構成する。また、反相リレー4eの三相電源接続端子11a,11b,11cを本発明に従ってサージアブソーバ2側に接続することにより、接続ライン24a,24b及びリレースイッチ部4sは、異常割込回路Ciとして機能することになり、接続ライン24a,24b及びリレースイッチ部4sは、異常割込回路Ciを兼用する。したがって、異常割込回路Ciは、ヒューズ3a,3b,3cの切断によりリレースイッチ部4sが切換わり、異常検出系5を異常検出状態Deに切換える機能を発揮する。
【0027】
次に、本実施形態に係るサージアブソーバ用ヒューズの切断検出装置1の動作(機能)について、図1〜図3を参照しつつ図4に示すフローチャートに従って説明する。
【0028】
今、冷却装置13は正常に運転されているものとする(ステップS1)。正常時における切断検出装置1は、正常電圧及び正常電流がサージアブソーバ2の三相電源接続端子27a,27b,27cに付与されるとともに、正相の三相電圧が反相リレー4eの三相電源接続端子11a,11b,11cに付与される。図2は、反相リレー4eに付加される電圧ベクトルを示す。正相の三相電圧が反相リレー4eに付加された場合、電圧ベクトルは図2(a)に示すように正相順となるため、T相は定格電圧の1.17倍の電圧Vp(概ね230〔V〕)となる。なお、図2において、T相はリレーコイル4cに供給される単相分、R相は抵抗25に供給される単相分、S相はコンデンサ26に供給される単相分をそれぞれ示す。これにより、リレースイッチ部4sはON(閉)となるため、検出信号出力端子23a,23bからは「0」信号がコントローラ22に入力し、異常検出系5は正常状態を維持する。これに対して、三相電源ラインLa,Lb,Lcの接続を誤った場合、電圧ベクトルは図2(b)に示すように逆相順となるため、T相は、定格電圧の0.28倍の電圧Veとなり、リレースイッチ部4sはOFF(開)となる。したがって、検出信号出力端子23a,23bからは「1」信号がコントローラ22に入力し、異常検出用ライン5Lは異常検出状態Deとなる。これにより、コントローラ22は圧縮機モータ15mを停止させるとともに、アラーム出力部12には、例えば、接続エラーが発生した旨のエラーメッセージが表示される。以上の機能が、反相リレー4eにおける本来の機能となる。
【0029】
一方、正常運転中に落雷が発生し、三相電源ラインLa,Lb,Lcにサージ電圧が重畳した場合を想定する(ステップS2)。この場合、サージ電圧が小さい場合には、サージアブソーバ2により吸収されるため、正常運転をそのまま継続する。これに対して、サージ電圧が大きく、図3に示すように、例えば、一つのヒューズ3aが切断された場合には、三相電源ラインLaには電流が流れなくなり、この結果、リレーコイル4cの両端電圧が低下する(ステップS3,S4)。例示のように、ヒューズ3aが切断された場合、リレーコイル4cの両端電圧は、70〔V〕以下に低下し、リレースイッチ部4sはOFF(開)となる(ステップS5)。これにより、検出信号出力端子23a,23bからは「1」信号がコントローラ22に入力し、異常検出用ライン5Lは異常検出状態Deとなる(ステップS6)。この結果、コントローラ22は圧縮機モータ15mを停止させるなどの異常対応処理を行う(ステップS7)。また、アラーム出力部12には、上述した接続エラーが発生した旨のエラーメッセージが表示される(ステップS8)。このエラーメッセージが発生した場合、オペレータ又は管理者は、最初に、ヒューズ3a…の状態を確認すればよい(ステップS9)。この際、ヒューズ3a…が切断されていれば、ヒューズ3a…の交換を行う(ステップS10)。他方、ヒューズ3a…が切断されていなければ、本来の接続エラーが発生している可能性が高いため、三相電源ラインLa,Lb,Lcの接続等の確認を行えばよい(ステップ10)。そして、ヒューズ3a…の交換又は三相電源ラインLa,Lb,Lcの接続変更等の処置を行ったなら運転を再開させる(ステップS11)。
【0030】
よって、このような本実施形態に係る切断検出装置1によれば、基本的には、構成部品として電磁リレー4を用いれば足り、これ以外の構成(構成部品)は電気機器類Mに既に設けられている接続異常等を検出する他の異常検出系5を直接利用(兼用)し、この異常検出系5に割り込むことにより、ヒューズ3a…の切断の有無を検出可能にしたため、部品点数の大幅な削減を実現でき、装置全体の、コストダウン,小型コンパクト化及び消費電力の低減を図ることができる。また、ヒューズ3a…の切断の有無は、基本的に電磁リレー4の開閉(ON/OFF)により検出できるため、各種構成及び原理を有するサージアブソーバ2の回路であっても容易に適用できるとともに、後付けも容易に行うことができ、設計自由度及び汎用性を高めることができる。特に、三相電源ラインLa…に適用することにより、電磁リレー4として、電気機器類Mに接続されている反相リレー4eを利用するとともに、この反相リレー4eの三相電源接続端子11a…に、ヒューズ3a…の電流流出側の三相電源ラインLa…を接続して構成すれば、既設の反相リレー4eをそのまま利用(兼用)できるため、別途の電磁リレー4が不要となる。したがって、更なる構成の簡略化により、コストダウン,小型コンパクト化及び消費電力の低減に寄与できる利点がある。
【0031】
なお、異常検出状態Deに切換わった際に、必要により追加的なアラーム出力部を設けることも可能であるが、既設の異常検出系5に備えるアラーム出力部12を利用すれば、オペレータ或いは管理者は、アラーム出力部12によりヒューズ3a…の切断の有無を確認できるため、電気機器類Mに設けられている異常検出系5を直接利用する観点から、最も望ましい形態により実施できる。また、電気機器類Mに、例示のような、少なくとも圧縮機モータ15mにより回転する圧縮機15を有する冷凍サイクル14を備える冷却装置13を含ませれば、冷却装置13におけるコストダウン,小型コンパクト化及び消費電力の低減に寄与できるとともに、冷却装置13を設計する際における設計自由度の向上に寄与できる利点がある。
【0032】
次に、本発明の変更実施形態に係るサージアブソーバ用ヒューズの切断検出装置1について、図5を参照して説明する。
【0033】
図5に示す変更実施形態に係る切断検出装置1は、単相電源ラインLx,Lyに接続するとともに、サージアブソーバ2及び電磁リレー4は、新たに追加する例を示す。なお、図5に示す変更実施形態は、単相電源を使用するも、電気機器類Mが、圧縮機15を有する冷凍サイクル14を備える冷却装置13である点は、図1の実施形態と同じであり、第一圧縮機モータ15m1と第二圧縮機モータ15m2を内蔵する。したがって、図1と同一機能を発揮する部分には同一符号を付してその構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
【0034】
最初に、変更実施形態の理解を容易にするため、サージアブソーバ2及び電磁リレー4を追加する前の回路構成、特に、異常検出系5の回路構成について、図6を参照して説明する。
【0035】
31は商用の単相交流電源(電圧100〔V〕)であり、少なくとも第一圧縮機モータ15m1,第二圧縮機モータ15m2及びコントローラ22は、単相電源ラインLx,Lyを介して単相交流電源31に接続する。この場合、第一圧縮機モータ15m1において、一方の電源入力端子は、電磁接触器32を介して一方の単相電源ラインLyに接続するとともに、他方の電源入力端子は、電磁接触器32及びモータプロテクタ33を介して他方の単相電源ラインLxに接続する。この電磁接触器32は、電磁コイル部32cにより開閉され、この電磁コイル部32cは、直列接続したコントローラ22内のリレー部22cを介して単相電源ラインLyと異常検出用ライン5L間に接続する。また、第二圧縮機モータ15m2において、一方の電源入力端子は、コントローラ22内のリレー部22dを介して単相電源ラインLyに接続するとともに、他方の電源入力端子は、異常検出用ライン5Lに接続する。この異常検出用ライン5Lは、高圧圧力スイッチ35を介してモータプロテクタ33に接続する。
【0036】
一方、コントローラ本体22mに接続された第一異常検出部22aの一方の入力部は、一方の単相電源ラインLyに接続し、かつ他方の入力部は、高圧圧力スイッチ35とモータプロテクタ33間の接続ラインに接続するとともに、コントローラ本体22mに接続された第二異常検出部22bの一方の入力部は、一方の単相電源ラインLyに接続し、かつ他方の入力部は、異常検出用ライン5Lに接続する。これにより、単相電源ラインLx,Lyから並列接続となる第一圧縮機モータ15m1,第二圧縮機モータ15m2及びコントローラ22に対して給電が行われる。したがって、このように構成される異常検出系5では、例えば、高圧圧力スイッチ35が高圧異常によりOFFすれば、第一圧縮機モータ15m1及び第二圧縮機モータ15m2が停止するとともに、第一異常検出部22aが当該高圧異常を検出し、コントローラ本体22mはアラーム出力部12に高圧異常に係わるエラーメッセージを表示する。
【0037】
次に、図6の回路に対して、ヒューズ3x,3y、サージアブソーバ2及び電磁リレー4をそれぞれ追加接続した図5に示す変更実施形態に係る切断検出装置1の構成及び動作について説明する。
【0038】
まず、電磁リレー4は、異常検出用ライン5Lに接続する。この場合、図5に示すように、例えば、高圧圧力スイッチ35の近傍における異常検出用ライン5Lを切断し、この切断した異常検出用ライン5Lの両端に電磁リレー4のリレースイッチ部4sを直列に接続する。
【0039】
また、サージアブソーバ2は、三つのバリスタ2v…を内蔵し、各電源接続端子36x,36yは、ヒューズ3x,3yを介して単相電源ラインLx,Lyにそれぞれ接続する。さらに、電磁リレー4のリレーコイル部4cは、サージアブソーバ2側(ヒューズ3x,3yの電流流出側)に接続する。即ち、リレーコイル部4cの一端は、接続ライン37xによりサージアブソーバ2の電源接続端子36xに接続し、リレーコイル部4cの他端は、接続ライン37yによりサージアブソーバ2の電源接続端子36yに接続する。
【0040】
以上により、ヒューズ3x,3yに流れる電流Ix,Iyが電磁リレー4のリレーコイル部4cに流れるように接続したヒューズ電流検出回路Cdが構成されるとともに、異常検出用ライン5Lに接続したリレースイッチ部4sにより異常割込回路Ciが構成される。したがって、ヒューズ3x,3yの少なくとも一方が切断されれば、リレースイッチ部4sがONからOFFに切換わり、異常検出系5は異常検出状態Deに切換えられる。このリレースイッチ部4sは高圧圧力スイッチ35に対して直列に接続されているため、高圧圧力スイッチ35がOFFになったと同じ作用を呈する。この結果、第一異常検出部22aが当該異常検出状態Deを検出し、コントローラ本体22mはアラーム出力部12に高圧異常に係わるエラーメッセージを表示する。
【0041】
したがって、このエラーメッセージが表示された場合、オペレータ又は管理者は、最初に、ヒューズ3x…の状態を確認する。この際、ヒューズ3x…が切断されていれば、ヒューズ3x…の交換を行う。これに対して、ヒューズ3x…が切断されていなければ、本来の高圧異常が発生している可能性が高いため、関係する個所を確認すればよい。よって、このような変更実施形態であっても前述した図1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。このように、本実施形態に係る切断検出装置1は、電源ラインLa…として、単相電源ラインLx,Ly及び三相電源ラインLa,Lb,Lcのいずれであっても容易に接続(実施)することができる。なお、図5において図6と同一部分には同一符号を付し、その構成を明確にするとともに、その詳細な説明を省略する。
【0042】
以上、好適実施形態(変更実施形態)について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0043】
例えば、サージアブソーバ2としてバリスタタイプを例示したが、サージ電圧を吸収できる各種タイプのサージアブソーバ2を適用できる。また、電磁リレー4は、一般的な電磁リレーをはじめ、例示した反相リレー4eのように一部に電磁リレーを含む部品も含まれる。一方、異常検出系5は、例示した接続異常や圧力異常を検出する検出系をはじめ、温度異常を検出する温度センサが接続された異常検出用ライン5Lを含む異常検出系5等、同様の機能を発揮させることができる各種異常検出系5を適用できる。また、アラーム出力部12として、エラーメッセージを表示する表示パネルを例示したが、警報ランプの点灯であってもよいし、或いはチャイムやブザー等によりアラーム音を出力させてもよい。他方、図1におけるサージアブソーバ2と反相リレー4eは一体化した一つの部品として構成してもよいし、図5におけるヒューズ3x,3y、サージアブソーバ2及び電磁リレー4も、一体化した一つの部品として構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係る切断検出装置1は、例示した冷却装置13をはじめ、サージアブソーバ2に接続したヒューズ3a…を備える電気機器類であれば、各種電気機器類Mに対して同様に利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1:切断検出装置,2:サージアブソーバ,3a:ヒューズ,3b:ヒューズ,3c:ヒューズ,3x:ヒューズ,3y:ヒューズ,4:電磁リレー,4c:リレーコイル部,4s:リレースイッチ部,4e:反相リレー,5:異常検出系,5L:異常検出用ライン,11a:三相電源接続端子,11b:三相電源接続端子,11c:三相電源接続端子,12:アラーム出力部,13:冷却装置,14:冷凍サイクル,15:圧縮機,Cd:ヒューズ電流検出回路,Ci:異常割込回路,De:異常検出状態,M:電気機器類,15m:圧縮機モータ,15m1:第一圧縮機モータ,15m2:第二圧縮機モータ,La:電源ライン(三相電源ライン),Lb:電源ライン(三相電源ライン),Lc:電源ライン(三相電源ライン),Lx:電源ライン(単相電源ライン),Ly:電源ライン(単相電源ライン),Ia:電流,Ib:電流,Ic:電流,Ix:電流,Iy:電流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器類に給電を行う電源ラインのサージ電圧を吸収するサージアブソーバに直列接続するヒューズの切断を検出するサージアブソーバ用ヒューズの切断検出装置であって、前記ヒューズに流れる電流が電磁リレーのリレーコイル部に流れるように接続したヒューズ電流検出回路と、前記電磁リレーのリレースイッチ部を、前記電気機器類における異常検出系の異常検出用ラインに接続し、前記ヒューズの切断により前記リレースイッチ部が切換わることにより前記異常検出系を異常検出状態に切換える異常割込回路とを備えることを特徴とするサージアブソーバ用ヒューズの切断検出装置。
【請求項2】
前記電源ラインは、三相電源ラインであることを特徴とする請求項1記載のサージアブソーバ用ヒューズの切断検出装置。
【請求項3】
前記三相電源ラインに適用し、前記電磁リレーとして、前記電気機器類に接続されている又は接続する反相リレーを利用するとともに、この反相リレーの三相電源接続端子に、前記ヒューズの電流流出側の三相電源ラインを接続してなることを特徴とする請求項2記載のサージアブソーバ用ヒューズの切断検出装置。
【請求項4】
前記電源ラインは、単相電源ラインであることを特徴とする請求項1記載のサージアブソーバ用ヒューズの切断検出装置。
【請求項5】
前記異常検出系には、異常検出状態に切換わった際に少なくともアラーム表示又はアラーム音を出力するアラーム出力部を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のサージアブソーバ用ヒューズの切断検出装置。
【請求項6】
前記電気機器類には、少なくとも圧縮機モータにより回転する圧縮機を有する冷凍サイクルを備える冷却装置を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のサージアブソーバ用ヒューズの切断検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−234450(P2011−234450A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100675(P2010−100675)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)