説明

サージタンク、インテークマニホールド及びその製造方法

【課題】軽量であって製造コストの安価なインテークマニホールド及びその製造方法を提供する。
【解決手段】外気を導入する入口開口部115と、導入した外気を排出する複数の孔部111〜114とを備えるサージタンク11と、サージタンクの各孔部111〜114と、エンジンの各シリンダの吸気ポートとを連通するブランチパイプ121〜124とを有するインテークマニホールドであって、各孔部111〜114は、互いに平行な直線部分を有し、隣接し合うすべての直線部分が1本の直線L上に並ぶように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のサージタンク、インテークマニホールド及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関(エンジン)の各気筒の燃焼室に吸気エアを供給するインテークマニホールドは、吸気系の部品の中でも大形の部品である。そこでインテークマニホールドを軽量化できれば、エンジン周り全体の軽量化を図ることができる。またインテークマニホールドに要求される耐熱性能は、エンジン本体系や排気系と比較しても低い。そこで、近年は、インテークマニホールドを、従来のアルミニウム合金等の軽合金に替えて合成樹脂材料で形成することが主流となりつつある。このような樹脂製インテークマニホールドを製造する種々の方法が提案されている。例えば特許文献1では、第1〜第3の分割部品に接着剤を塗布するとともに、各分割部品の規定箇所に超音波溶着を実施する製造方法が提案されている。
【特許文献1】特開2003−193920号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このような超音波溶着工法は、製造コストが高価である。さらに分割部品の数をできる限り少なくした方が製造コストを安価にすることができる。
【0004】
また近時は吸気音の濁りを低減し音色を向上することで商品性を向上することが望まれている。本件発明者らは鋭意研究を重ねることにより、インテークマニホールドの形状を改良することで、吸気音の濁りを低減し音色を向上できることを見いだした。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、軽量かつ製造コストが安価であって、吸気音の濁りを低減し音色を向上することができるサージタンク、インテークマニホールド及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下のような解決手段によって前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために本発明の実施形態に対応する符号を付するが、これに限定されるものではない。
【0007】
本発明は、外気を導入する入口開口部(115)と、導入した外気をエンジンの各シリンダに供給する複数の孔部(111〜114)とを備えるサージタンクであって、前記各孔部(111〜114)は、互いに平行な直線部分(111c〜114c,111d〜114d)を有し、隣接し合うすべての直線部分が1本の基準直線(L)に直交又は略直交するように配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、サージタンクに形成され、導入した外気をエンジンの各シリンダに供給する複数の孔部が、互いに平行な直線部分を有し、隣接し合うすべての直線部分が1本の基準直線に直交又は略直交するように配置した。そのため、サージタンクの一部及びブランチパイプの一部が結合された第1シェルと、サージタンクの他部及びブランチパイプの他部が結合された第2シェルとを振動溶着工法によって溶着してインテークマニホールドを製造することができるようになった。したがって、軽量かつ製造コストの安価なインテークマニホールドを提供することができるのである。
【0009】
さらに各孔部の略中心を結ぶ直線が、基準直線に対して傾斜するように配置したので、吸気音の濁りを低減し音色を向上することができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下では図面等を参照して本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0011】
図1は、本発明によるインテークマニホールドの一実施形態を示す図であり、図1(A)は側面図、図1(B)は正面図である。図2は、図1(B)のII−II断面図である。
【0012】
本実施形態のインテークマニホールド10は、サージタンク11と、ブランチパイプ121〜124とを有する。このインテークマニホールド10は、直列4気筒エンジン用であり、エンジンのシリンダブロックの上方に配置されるタイプである。インテークマニホールド10は、樹脂製である。
【0013】
サージタンク11は、気筒列方向に長い略直方体形状をなしており、その一端115に接続されたスロットルボディ(不図示)から流入した空気を、エンジンに供給する前に一時的に溜めることで吸気脈動を吸収する容積部である。
【0014】
ブランチパイプ121〜124は、上部ブランチ部129と下部ブランチ部130とからなる。上部ブランチ部129は上半割部126と下半割部127とから構成される。下部ブランチ部130は上半割部127’と下半割部126’とから構成される。両半割部は図1(B)に矢印で示すように、一点鎖線部分において上下に分割されており、後述するように一体形成される。
【0015】
両ブランチ部129,130はフランジ部128により結合される。なお131はインテークマニホールドをシリンダヘッドに取り付けるための取付フランジである。
【0016】
図2に示すように、サージタンク11の長手方向の一端面には、4つの孔部111〜114が気筒列方向に形成されている。サージタンク11の空気は、これらの孔部111〜114から各ブランチパイプ121〜124に流入する。
【0017】
孔部111〜114は、互いに対向する2つの半円111a〜114a,111b〜114bと、互いに平行な直線部分111c〜114c,111d〜114dとからなる長孔状に形成されている。そして、隣接し合うすべての直線部分111c〜114c,111d〜114dが1本の基準直線上に並ぶように配置されている。図2ではクランク軸と平行な基準直線Lを一点鎖線で図示しておく。
【0018】
また孔部111〜114は、上下方向の高さ位置がそれぞれで異なっている。すなわち各孔部111〜114の中心111e〜114eを結ぶ直線L1(二点鎖線で示す)が、基準直線Lに対して傾斜するように配置されている。そして直線L1がすべての直線部分111c〜114c,111d〜114dを跨ぐように孔部111〜114が形成されている。サージタンク11の入口開口部115に近い連通孔(例えば孔部111)ほど上方に位置し、入口開口部115に遠い連通孔(例えば孔部114)ほど下方に位置する。
【0019】
これは、入口開口部115から各シリンダ吸気ポート(ブランチパイプ12の出口125)までの経路長をほぼ均一化(等長化)することで、吸気音の濁りを低減できるからである。そこで入口開口部115に近い孔部111は、シリンダ吸気ポートから離れるように上方に形成し、入口開口部115に遠い孔部114は、シリンダ吸気ポートに近づくように下方に形成することで、入口開口部115から各シリンダ吸気ポート(ブランチパイプ12の出口125)までの経路長をほぼ均一化(等長化)しているのである。このようにする理由は、後述する。
【0020】
ブランチパイプ121〜124は、曲率をもった円筒状物である。ブランチパイプ121〜124の一端はサージタンク11に結合され、他端125はエンジンのシリンダ吸気ポートに連通する。
【0021】
インテークマニホールド10は、上述のように構成され、以下のように振動溶着工法で製造する。なお振動溶着工法は樹脂部品の接合工法として広く知られている工法であるが、本発明の理解を容易にするために簡単に説明する。振動溶着工法は、一方の樹脂部品を固定し他方の樹脂部品を加圧しながら気筒列方向(サージタンクの長手方向)に往復振動させることで発生した摩擦熱によって接合面を溶融させて溶着させる工法である。接着剤(有機溶剤)を使用しないので、製造コストが安価であり、地球環境へ悪影響を与えることが少ないという特徴を有する工法である。
【0022】
インテークマニホールド10は、アッパシェル13と、ロアシェル14とを振動溶着して製造する。
【0023】
アッパシェル13は、サージタンク11の上半割部116及びブランチパイプ12の上半割部126が一体形成された樹脂部品である。
【0024】
ロアシェル14は、サージタンク11の下半割部117及びブランチパイプ12の下半割部127が一体形成された樹脂部品である。
【0025】
このような2つの樹脂部品13,14を加圧しながら矢印A方向(すなわちサージタンク11の長手方向)に往復振動させて、そのとき発生した摩擦熱によって溶融溶着させる。
【0026】
サージタンク11に形成された孔部111〜114は、上述の通り、互いに対向する2つの半円111a〜114a,111b〜114bと、互いに平行な直線部分111c〜114c,111d〜114dとからなる長孔状に形成され、隣接し合うすべての直線部分111c〜114c,111d〜114dが1本の基準直線(本実施形態では直線L)上に並ぶように配置されている。ここではこのような形状にする理由について説明する。
【0027】
吸気音の濁りを低減するために、孔部111〜114の上下方向の高さ位置を変更した上で、振動溶着工法で加工できるように、アッパシェル13及びロアシェル14の接合面を一平面とした場合には、図3に示すように、入口開口部分の長さL1が孔の直径である最大幅LMAXよりも窄まってしまう。すると孔部111〜114のうちハッチングで示した111f〜114fについては、型抜きすることができない。
【0028】
型抜きを考慮して連通孔の最大幅部分で分割するように形成すると、図4に示すように、アッパシェル13及びロアシェル14の接合面が、階段状になってしまう。このような形状では、接合面を往復振動させることができないので、振動溶着工法で溶着することができない。
【0029】
そこで本実施形態では、孔部111〜114を上下2つの円弧とそれらの円弧を平行な直線部分で結んだ長孔形状にし、すべての直線部分を、アッパシェル13及びロアシェル14の接合面で横断するようにしたのである。
【0030】
このように本実施形態によれば、孔部111〜114の上下方向の高さ位置を変更して吸気音の濁りを低減することができるとともに、アッパシェル13及びロアシェル14を振動溶着工法で溶着することで安価な樹脂製インテークマニホールドを製造することが可能になったのである。
【0031】
以上説明した実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明と均等であることは明白である。
【0032】
本実施形態では、直列4気筒エンジン用のインテークマニホールドを例示して説明したが、そのようなエンジン用に限定されないことは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明によるインテークマニホールドの一実施形態を示す図である。
【図2】図1(B)のII−II断面図である。
【図3】孔部111〜114の配置位置について説明する図である。
【図4】孔部111〜114の配置位置について説明する図である。
【符号の説明】
【0034】
10 インテークマニホールド
11 サージタンク
111〜114 孔部
115 入口開口部
116 サージタンクの上半割部(サージタンクの一部)
117 サージタンクの下半割部(サージタンクの他部)
121〜124 ブランチパイプ
126 ブランチパイプの上半割部(ブランチパイプの一部)
127 ブランチパイプの下半割部(ブランチパイプの他部)
13 アッパシェル(第1シェル)
14 ロアシェル(第2シェル)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気を導入する入口開口部と、導入した外気をエンジンの各シリンダに供給する複数の孔部とを備えるサージタンクであって、
前記各孔部は、互いに平行な直線部分を有し、隣接し合うすべての直線部分が1本の基準直線に直交又は略直交するように配置されている、
ことを特徴とするサージタンク。
【請求項2】
請求項1に記載のサージタンクにおいて、
前記各孔部は、さらに各孔部の略中心を結ぶ直線が、前記基準直線に対して傾斜するように配置されている、
ことを特徴とするサージタンク。
【請求項3】
請求項1に記載のサージタンクにおいて、
前記各孔部は、ブランチパイプを介してエンジンの各シリンダの吸気ポートに連通し、前記入口開口部に近いほど、各シリンダ吸気ポートから離れるように配置されている、
ことを特徴とするサージタンク。
【請求項4】
請求項3に記載のサージタンクにおいて、
前記入口開口部からエンジンの各シリンダ吸気ポートまでの経路長が略等長である、
ことを特徴とするサージタンク。
【請求項5】
請求項2に記載のサージタンクにおいて、
前記各孔部は、ブランチパイプを介してエンジンの各シリンダの吸気ポートに連通し、
前記入口開口部からエンジンの各シリンダ吸気ポートまでの経路長が略等長である、
ことを特徴とするサージタンク。
【請求項6】
外気を導入する入口開口部を備えるサージタンクと、
前記サージタンクに形成され、そのサージタンクに導入された外気を排出する複数の孔部と、
前記各孔部に連設され、エンジンの各シリンダに前記外気を供給する複数のブランチパイプと、
を備えるインテークマニホールドであって、
前記インテークマニホールドは、前記サージタンクの一部と前記ブランチパイプの一部とが一体的に形成された第1シェルと、前記サージタンクの他部と前記ブランチパイプの他部とが一体的に形成された第2シェルとを有し、
前記孔部は、互いに対向する2つの半円と、互いに平行な直線部分とからなる長孔状に形成されるとともに、前記入口開口部に近いほどエンジンの各シリンダの吸気ポートから離れるように配置され、
前記第1シェルと第2シェルとの接合面が、前記複数の孔部の各直線部分を一直線上に交わるように形成されている、
ことを特徴とするインテークマニホールド。
【請求項7】
請求項6に記載のインテークマニホールドにおいて、
前記サージタンク及び前記ブランチパイプは樹脂製である、
ことを特徴とするインテークマニホールド。
【請求項8】
請求項7に記載のインテークマニホールドを製造するインテークマニホールド製造方法であって、
前記第1シェルと前記第2シェルとを互いの接合面同士を合わせて加圧しながら往復振動させることで、第1シェル及び第2シェルの接合面を溶融させて溶着させる、
ことを特徴とするインテークマニホールド製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−161641(P2006−161641A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−352811(P2004−352811)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(000151209)株式会社マーレ フィルターシステムズ (159)