説明

サーチュインの活性化剤を含む各種眼疾患治療用組成物

【課題】緑内障、高眼圧の緑内障、正常眼圧緑内障、血管新生老人性黄斑変性症、老人性黄斑病変、中心性網脈絡膜炎、黄斑変性症、老人性黄斑変性症、黄斑円孔、白内障、老人性白内障、眼底出血、網膜中心動脈閉塞症、眼底動脈硬化症、光視症、糖尿病性網膜症、網脈絡膜萎縮、近視による眼底病変、網膜および脈絡膜の血管新生病変、網膜芽細胞腫、悪性黒色腫又はその他の悪性腫瘍、卵巣除去による白内障、TGFβによる白内障、黄斑線維増殖症(黄斑上膜)、網膜中心静脈(分枝)閉塞症、網膜裂孔,網膜剥離、増殖性網膜症、網膜色素変性症、角膜炎、角膜混濁、角膜ビラン、角膜上皮剥離、角膜潰瘍、モーレンズ角膜潰瘍、角膜内皮細胞変性や脱落、角膜変性症、流行性角結膜炎、霰粒腫、虹彩炎、ぶどう膜炎、自己免疫疾患、網脈絡膜炎、虹彩毛様体炎、眼精疲労、各種疾患による視野狭窄、視神経萎縮、視神経炎、虚血性視神経症、動体視力低下、色覚異常、老眼、近視、遠視、乱視などの屈折異常等の各種眼疾患を効果的に治療する新規な医薬組成物を提供すること。
【解決手段】サーチュインを活性化する物質を含有する眼疾患治療用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種眼疾患の治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会を向かえ、緑内障、黄斑変性症、白内障、糖尿病性網膜症等の各種眼疾患が増加しており、これらの眼疾患の予防及び治療法の確立が急務である。しかしながら、従来の技術では、これらの眼疾患を効果的に治療することができなかった。
【0003】
サーチュイン(Sirtuin)(サープロテイン(Sirprotein)ともいう)を活性化すると細胞死の予防、老化の予防、細胞死の治療、延命、寿命延長、癌発生の予防ができると報告されている。例えば、レスベラトロールの効果(コレステロールの減少、心臓病のリスク予防、早期ガンの予防及び進行抑制、血小板凝集予防)が知られている。
【0004】
フィトアレキシンやその他の物質がサーチュインを活性化することにより眼疾患の治療に効果があるとの報告はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、サーチュインを活性化することにより、緑内障、高眼圧の緑内障、正常眼圧緑内障、血管新生老人性黄斑変性症、老人性黄斑病変、中心性網脈絡膜炎、黄斑変性症、老人性黄斑変性症、黄斑円孔、白内障、老人性白内障、眼底出血、網膜中心動脈閉塞症、眼底動脈硬化症、光視症、糖尿病性網膜症、網脈絡膜萎縮、近視による眼底病変、網膜および脈絡膜の血管新生病変、網膜芽細胞腫、悪性黒色腫又はその他の悪性腫瘍、卵巣除去による白内障、TGFβによる白内障、黄斑線維増殖症(黄斑上膜)、網膜中心静脈(分枝)閉塞症、網膜裂孔,網膜剥離、増殖性網膜症、網膜色素変性症、角膜炎、角膜混濁、角膜ビラン、角膜上皮剥離、角膜潰瘍、モーレンズ角膜潰瘍、角膜内皮細胞変性や脱落、角膜変性症、流行性角結膜炎、霰粒腫、虹彩炎、ぶどう膜炎、自己免疫疾患、網脈絡膜炎、虹彩毛様体炎、眼精疲労、各種疾患による視野狭窄、視神経萎縮、視神経炎、虚血性視神経症、動体視力低下、色覚異常、老眼、近視、遠視、乱視などの屈折異常等の各種眼疾患を効果的に治療する新規な医薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、サーチュインを活性化する物質を含有する眼疾患治療用組成物である。
【0007】
植物において、外傷、熱傷、細菌ウィルス侵入等の外的刺激、エリシターが起こると防御反応として細胞内にフィトアレキシン(Phytoalexin)が出現する。フィトアレキシンを人間(及び動物)に投与すると細胞内のサーチュインが活性化され細胞死の予防、治療、延命、癌抑制を図ることができ、各種の眼疾患の治療をすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の治療用組成物によれば、緑内障、高眼圧の緑内障、正常眼圧緑内障、血管新生老人性黄斑変性症、老人性黄斑病変、中心性網脈絡膜炎、黄斑変性症、老人性黄斑変性症、黄斑円孔、白内障、老人性白内障、眼底出血、網膜中心動脈閉塞症、眼底動脈硬化症、光視症、糖尿病性網膜症、網脈絡膜萎縮、近視による眼底病変、網膜および脈絡膜の血管新生病変、網膜芽細胞腫、悪性黒色腫又はその他の悪性腫瘍、卵巣除去による白内障、TGFβによる白内障、黄斑線維増殖症(黄斑上膜)、網膜中心静脈(分枝)閉塞症、網膜裂孔,網膜剥離、増殖性網膜症、網膜色素変性症、角膜炎、角膜混濁、角膜ビラン、角膜上皮剥離、角膜潰瘍、モーレンズ角膜潰瘍、角膜内皮細胞変性や脱落、角膜変性症、流行性角結膜炎、霰粒腫、虹彩炎、ぶどう膜炎、自己免疫疾患、網脈絡膜炎、虹彩毛様体炎、眼精疲労、各種疾患による視野狭窄、視神経萎縮、視神経炎、虚血性視神経症、動体視力低下、色覚異常、老眼、近視、遠視、乱視などの屈折異常等の各種眼疾患を効果的に治療することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1における患者の治療前の右眼のOCTOPUS1−2−3静的視野計による視野を示す。
【図2】実施例1における患者の治療後の右眼のOCTOPUS1−2−3静的視野計による視野を示す。
【図3】実施例2における患者の治療前の右眼のOCTOPUS1−2−3静的視野計による視野を示す。
【図4】実施例2における患者の治療前の左眼のOCTOPUS1−2−3静的視野計による視野を示す。
【図5】実施例2における患者の治療後の右眼のOCTOPUS1−2−3静的視野計による視野を示す。
【図6】実施例2における患者の治療後の左眼のOCTOPUS1−2−3静的視野計による視野を示す。
【図7】実施例3における患者の治療前の左眼のOCTOPUS1−2−3静的視野計による視野を示す。
【図8】実施例3における患者の治療後の左眼のOCTOPUS1−2−3静的視野計による視野を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において、サーチュイン(サープロテイン)は、Sir1〜4、Hst1〜4、SIRT1〜SIRT7等を含み、代表的には、Sir2であり、SIRT1に該当する。
【0011】
本発明において、サーチュインを活性化する物質としては、レスベラトロール及びピセアタンノールなどのトランス−スチルベン誘導体、ジャスモン又はジャスモン酸若しくはその誘導体、サリチル酸又はその誘導体、フィトエストロゲン、プロピルガレート、ポリフェノール類、カテキン類、アロイン、プロアントシアニン(グレープシード抽出物)、ブルーベリー抽出物、NAD、17β−エストラジオール、ブテイン及びイソリキリチゲニンなどのカルコン誘導体、フィステイン、3,6,3′,4′−テトラヒドロキシフラボン、ルテオリン、5,7,3′,4′,5′−ペンタヒドロキシフラボン及びケルセチンなどのフラボン誘導体、トリコスタチンA、プロピルパラベン、グリセオン−I、ピサチン、ファゼオリン、レクチン、トリカブト毒、キノコ毒、スルフレチン、テクトリゲニン、スルホサリチル酸、サラセタミド、サルメテロール、サルサレート及びプルンバキンが例示できる。
【0012】
サーチュインを活性化する物質は、シクロデキストリンなどの包接化剤との包接化物として使用してもよい。また、サーチュインを活性化する物質は、植物性油脂(脂肪)でコーティングして使用してもよい。
【0013】
本発明の治療用組成物の剤形や投与経路は、特に限定されず、通常のものとし得る。錠剤、カプセル剤、液剤、シロップ剤、注射剤、ハップ剤、軟膏、点眼剤、座薬などの剤形で投与できる。経口、非経口(注射等)、局所、例えば点眼、結膜下注射、眼内注射などの投与経路により投与できる。有効成分を蒸気化して、鼻、口又は気管を経由して肺やその他器官に投与してもよい。
本発明の処置用組成物は、他の製剤、例えば17β−エストラジオールやスタチン薬剤(HMGCoA還元酵素阻害剤)の内服や、他の点眼剤との併用も可能である。17β−エストラジオール等の懸濁液又は各種シクロデキストリンと包接した17β−エストラジオールの点眼又は内服やスタチン薬剤(HMGCoA還元酵素阻害剤)の懸濁液又は各種シクロデキストリンと包接したスタチン薬剤の点眼又は内服などと併用するとより良い効果が得られる。
【実施例】
【0014】
実施例1 緑内障治療
86歳の正常眼圧緑内障の女性患者に、プロピルガレート、カテキンを含む緑茶の粉末を植物性脂肪でコーティングしたものを1回当たり2g、一日3回、約2ヶ月間経口投与した。
患者のOCTOPUS1−2−3静的視野計による視野は、図1〜2(図1:治療前右眼、図2:治療後右眼)に見られるように、改善された。
また、患者の右眼の視力は以下のように改善された。
治療前 Vd=0.07×IoL(0.6x-4.25D cyl-1.25DA×90°)
治療2ヶ月後 Vd=0.08×IoL(0.9x-3.75D cyl-1.50DA×90°)
【0015】
実施例2 緑内障治療
81歳の正常眼圧緑内障の女性患者に、フィトアレキシン(レスベラトロール)を含む赤ぶどうジュースを1ヶ月間毎日、昼に約60ml、夜に30ml(赤ぶどう酒30mlとともに)投与した。
患者のOCTOPUS1−2−3静的視野計による視野は、図3〜6(図3:治療前右眼、図4:治療前左眼、図5:1ヶ月治療後右眼、図6:1ヶ月治療後左眼)に見られるように、改善された。
【0016】
実施例3 黄斑変性症治療
75歳の黄斑変性症の女性患者に、フィトアレキシン(レスベラトロール)を含む赤ぶどうジュースを1日2回、1回当たり200mlを約1ヶ月間投与した。
患者は、図7〜8(図7:治療前左眼、図8:1ヶ月治療後左眼)に見られるように、OCTOPUS1−2−3静的視野計で測定した中心部の網膜感度が上昇(5dB→24dB)しており、又色覚も改善され黄斑変性症の改善が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明の処置用組成物によれば、緑内障、高眼圧の緑内障、正常眼圧緑内障、血管新生老人性黄斑変性症、老人性黄斑病変、中心性網脈絡膜炎、黄斑変性症、老人性黄斑変性症、黄斑円孔、白内障、老人性白内障、眼底出血、網膜中心動脈閉塞症、眼底動脈硬化症、光視症、糖尿病性網膜症、網脈絡膜萎縮、近視による眼底病変、網膜および脈絡膜の血管新生病変、網膜芽細胞腫、悪性黒色腫又はその他の悪性腫瘍、卵巣除去による白内障、TGFβによる白内障、黄斑線維増殖症(黄斑上膜)、網膜中心静脈(分枝)閉塞症、網膜裂孔,網膜剥離、増殖性網膜症、網膜色素変性症、角膜炎、角膜混濁、角膜ビラン、角膜上皮剥離、角膜潰瘍、モーレンズ角膜潰瘍、角膜内皮細胞変性や脱落、角膜変性症、流行性角結膜炎、霰粒腫、虹彩炎、ぶどう膜炎、自己免疫疾患、網脈絡膜炎、虹彩毛様体炎、眼精疲労、各種疾患による視野狭窄、視神経萎縮、視神経炎、虚血性視神経症、動体視力低下、色覚異常、老眼、近視、遠視、乱視などの屈折異常等の各種眼疾患を効果的に治療することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーチュインを活性化する物質を含有する眼疾患治療用組成物。
【請求項2】
サーチュインを活性化する物質がレスベラトロール及びピセアタンノールなどのトランス−スチルベン誘導体、ジャスモン又はジャスモン酸若しくはその誘導体、サリチル酸又はその誘導体、フィトエストロゲン、プロピルガレート、ポリフェノール類、カテキン類、アロイン、プロアントシアニン、ブルーベリー抽出物、NAD、17β−エストラジオール、ブテイン及びイソリキリチゲニンなどのカルコン誘導体、フィステイン、3,6,3′,4′−テトラヒドロキシフラボン、ルテオリン、5,7,3′,4′,5′−ペンタヒドロキシフラボン及びケルセチンなどのフラボン誘導体、トリコスタチンA、プロピルパラベン、グリセオン−I、ピサチン、ファゼオリン、レクチン、トリカブト毒、キノコ毒、スルフレチン、テクトリゲニン、スルホサリチル酸、サラセタミド、サルメテロール、サルサレート及びプルンバキンから選択される請求項1記載の眼疾患治療用組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−153156(P2011−153156A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107213(P2011−107213)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【分割の表示】特願2005−126408(P2005−126408)の分割
【原出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(599081820)株式会社最先端医学研究所 (6)
【Fターム(参考)】