説明

サーバシャーシ

【課題】公知のサーバ本体のシャーシにおける、マザーボードが複数のケーブルでもって、1対1で複数個のデータ記憶装置に電気的に挿設しなければならないことによって、サーバシャーシの組立てや取外し工程が煩雑過ぎて困難となる問題、及び、複数のケーブルが放熱ファンの通風口の妨げとなり易く、放熱ファンがサーバシャーシ内に安定した空気の流れ場を提供できず、熱の排出に重大な影響を及ぼす問題を解決する。
【解決手段】複数個のデータ記憶装置を配置するためのフレームと、回路基板を配置するための少なくとも1つのトレイを含む。フレームは電気的にコネクタを設置し、トレイは信号ブリッジ回路を電気的に設置し、信号ブリッジ回路は回路基板とコネクタの間に電気的に接続され、回路基板が信号ブリッジ回路により複数個のデータ記憶装置に電気的に接続されるため、ケーブルの使用が省ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置のシャーシに関し、より詳しくは、信号ブリッジ回路を備えたサーバシャーシ(server chassis)に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、業界で使用されるスタック型や直列型のラックマウントPC(Rack mount computer)といったサーバ本体は、一般的にシャーシ内の一端にマザーボードや電力供給装置等の電子素子を設けており、マザーボード上に中央処理装置(central processing unit、CPU)、チップセット、及びメモリ等の電子部品を設置している。また、シャーシ内の他端に複数個のデータ記憶装置を設置し、マザーボードと複数個のデータ記憶装置との間に複数個の放熱ファンを取り付け、サーバ本体の動作時に生ずる熱をシャーシ内から排出するために内部で空気の流れ場を発生させてサーバ本体を適度な作業温度で作動させることができるため、サーバ本体の動作時の安定性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】台湾特許第468809号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来の技術では、複数個のデータ記憶装置にはそれぞれケーブル(cable)でマザーボードに電気的に接続しなければならないため、シャーシ内に設けられたデータ記憶装置の数が増加するほど、必要となるケーブル数も増加の一途を辿り、ひいては複数のケーブルがシャーシ内部で相互に絡み合って整理し難くなる。また、複数個のデータ記憶装置をマザーボードに電気的に接続する操作面において、組立スタッフは1対1でケーブルをマザーボードと各データ記憶装置との間を接続しなければならないため、ケーブルの組立工程にかなり長時間かけねばならず、サーバ本体の組立に時間が費やされることとなる上に、ある程度の困難もある。
【0005】
同時に、一般のケーブルは相当な長さがあるため、ケーブルをマザーボードと複数個データ記憶装置との間に接続する際、余分な部分はマザーボードと複数個データ記憶装置との間に置き放しにしなくてはならない。つまり、シャーシ内に複数個の放熱ファンの位置を設定しなくてはならず、結果としてシャーシ内部のスペースが過度に密集する状態となる上に、複数のケーブルが複数個の放熱ファンの通風口を塞ぎ易くなる。ひいてはシャーシ内部の空気の流れ場の形成に影響して、複数個の放熱ファンが効率的にシャーシ内の熱を排出できなくなり、サーバ本体の作業温度が高くなりすぎて、安定して作動しなかったり、フリーズや焼損といった状況が起きたりする。
【0006】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものである。上記課題解決のため、本発明は、公知のサーバ本体のシャーシで、マザーボードを複数のケーブルによって、複数個のデータ記憶装置に1対1で電気的に挿設しなければならないことにより、サーバシャーシの組立てや取外しの工程が困難になる問題を解決する。並びに、複数のケーブルが放熱ファンの通風口を塞ぎ易くなり、放熱ファンがサーバシャーシ内に安定した空気流れ場を提供できず、熱の排出に重大な影響を及ぼす問題を解決するサーバシャーシを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るサーバシャーシには、回路基板と複数個のデータ記憶装置とを配置する。前記サーバシャーシは、背板を含み前記データ記憶装置がフレーム内に設けられ、前記背板に電気的に接続され、前記背板が少なくとも1つのコネクタを電気的に設置するフレームと、前記回路基板を電気的に接続する信号ブリッジ回路とを含み、前記回路基板はトレイ内に設けられ、前記信号ブリッジ回路の一端が前記トレイに電気的に設置され、前記信号ブリッジ回路の他端が前記フレームの前記コネクタに電気的に挿設される少なくとも1つのトレイとを含み、前記データ記憶装置が前記トレイ内に収容され、前記回路基板が前記信号ブリッジ回路と前記コネクタによって前記データ記憶装置を電気的に接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のサーバシャーシによると、フレームの背板にコネクタを電気的に設置し、トレイに信号ブリッジ回路を電気的に設置することで、ユーザーが信号ブリッジ回路をコネクタに電気的に挿設すれば、複数個のデータ記憶装置に回路基板を電気的に接続する組立操作を完了できるため、サーバシャーシの組立作業時間が大幅に短縮される。同時に、フレームとトレイとの間のケーブルの使用が省略されたことによって、ケーブルの使用コストが節減できるだけでなく、ケーブルが放熱ファンの通風口を塞ぎ易い問題を解決することができることから、サーバシャーシ内部の熱の排出に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る第1実施形態におけるサーバシャーシを分解した概略図である。
【図2】本発明に係る第1実施形態におけるトレイの局部を分解した概略図である。
【図3】本発明に係る第1実施形態におけるサーバシャーシの構成の概略図である。
【図4】図3における局部を拡大した概略図である。
【図5】本発明に係る第1実施形態におけるサーバシャーシに複数個のトレイを組立てた構成概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
<第1実施形態>
本発明のサーバシャーシの第1実施形態について説明する。本発明の第1実施形態の構成を図1から図4に示す。図1は本発明に係る実施形態で開示されたサーバシャーシ100である。図1は、ハウジング110と、フレーム120と、トレイ130とを含み、ハウジング110内には仕切り板111と複数個の放熱ファン112とを設ける。仕切り板111はハウジング110の底板に直立して設置され、ハウジング110内部のスペースが第1組立領域113と第2組立領域114とに区分される。複数個の放熱ファン112は第1組立領域113に設けられ、取外し可能な配置によりハウジング110内に仕切り板111に沿って配列される。放熱ファン112の通風口(図示せず)は仕切り板111に設けられた通風口1111に一直線となり、放熱ファン112から発生する空気が通風口1111から、第1組立領域113と第2組立領域114との間を流れる。
【0011】
フレーム120及びトレイ130は、それぞれ第1組立領域113及び第2組立領域114に配置される。フレーム120は、少なくとも1つのコネクタ(cable connector)122を電気的に設置した回路基板である背板121を備え、フレーム120内に複数個のデータ記憶装置200を設ける。複数個のデータ記憶装置200はハードディスク(hard discs)でもよいが、形態はこれに限らない。複数個のデータ記憶装置200は配列(array)形式でフレーム120内に配列され、背板121のコネクタ122に対向する側に電気的に接続され、背板121によってコネクタ122に電気的に接続される。
【0012】
図1、図2に示すように、トレイ130には本体131と、信号ブリッジ回路132と、電源ブリッジボード133とが含まれる。本体131内には回路基板300と電力供給装置400等の電子素子とが設けられる。本体131の側辺には少なくとも1つの電気スロット134を電気的に設置し、回路基板300上にも少なくとも1つの電気スロット310を電気的に設置し、本体131は信号ケーブル140によってそれぞれ本体131の電気スロット134と回路基板300の電気スロット310内に挿設されて、本体131が回路基板300に信号ケーブル140を介して電気的に接続される。
【0013】
信号ブリッジ回路132と電源ブリッジボード133とは本体131の電力供給装置400に対向する他端に設けられる。信号ブリッジ回路132及び電源ブリッジボード133はリベット、ねじ、ボルト、又は熔接による方法で本体131に固定してもよいが、固定方法はこれに限らない。また、信号ブリッジ回路132と電源ブリッジボード133とはそれぞれ本体131の対向する2つの側面に電気的に設置される。信号ブリッジ回路132と電源ブリッジボード133との間には適度な間隔を空けて、信号ブリッジ回路132が信号伝送を実行し、電源ブリッジボード133が送電する際、電磁妨害(Electromagnetic Disturbance、EMI)等の干渉が相互に生じないようにする。
【0014】
電源ブリッジボード133の対向する両端は、回路基板300と電力供給装置400とに電源ケーブル150によって電気的に接続される。回路基板300は電源ブリッジボード133により電力供給が可能である。信号ブリッジ回路132の対向するそれぞれの両端に入出力ポート1321を設けており、信号ブリッジ回路132はそのうち一端の入出力ポート1321を本体131に固定し、信号ブリッジ回路132の一端を本体131に固定し、他端はトレイ130の本体131からハウジング110方向に延在する。つまり、フレーム120がハウジング110内に固定され、信号ブリッジ回路132の他端がフレーム120方向に延在して、フレーム120の背板121に設けられたコネクタ122に正対、又はコネクタ122を指向する。
【0015】
また、本体131の電気スロット134は信号ブリッジ回路132の入出力ポート1321に電気的に設置されるため、信号ケーブル140の対向する両端がそれぞれ本体131の電気スロット134と回路基板300の電気スロット310に挿設されると、信号ブリッジ回路132は信号ケーブル140によって回路基板300に電気的に接続することができる。
【0016】
図1ないし図4によると、フレーム120はハウジング110の第1組立領域113に固定され、トレイ130は取り出し可能な方法でハウジング110の第2組立領域114からフレーム120方向にハウジング110内を滑動、または第1組立領域113に沿って第2組立領域114の方向にハウジング110外に滑動する。トレイ130がハウジング110内を滑動すると、トレイ130は信号ブリッジ回路132でフレーム120に設けられたコネクタ122に位置合わせをし、トレイ130の本体131をハウジング110に結合し、信号ブリッジ回路132の入出力ポート1321を介してフレーム120のコネクタ122内に電気的に接続する。信号ブリッジ回路132をフレーム120の背板121に電気的に接続して、信号ブリッジ回路132、コネクタ122、及び背板121の相互の電気的な導通関係により、トレイ130内に設けられた回路基板300がフレーム120内に設けられた複数個のデータ記憶装置200に電気的に接続する。
【0017】
ハウジング110内でフレーム120とトレイ130との組立が完成すると、トレイ130はフレーム120のコネクタ122に直接信号ブリッジ回路132を介して電気的に接続される。フレーム120とトレイ130との間は仕切り板111と複数個の放熱ファン112のみを収容すると共に、信号ブリッジ回路132は放熱ファン112とハウジング110の間の間隙、又は隣り合う2つの放熱ファン112の間の間隙を通り、第2組立領域114から第1組立領域113を貫通して、コネクタ122内に挿設される。
【0018】
従って、信号ブリッジ回路132は主に放熱ファン112の中心軸方向に沿って平行に延在すると共に、放熱ファン112の側辺に分布するため、放熱ファン112の通風口は信号ブリッジ回路132に塞がれない。放熱ファン112が作動し始めると、放熱ファン112から発生した空気の流れは妨害されずにハウジング110内に安定した空気の流れ場を形成し、さらに中央処理装置(central processing unit、CPU)やグラフィックス・プロセッシング・ユニット(graphic processing unit、GPU)等といったハウジング110内に設けられた電子素子が、動作時に発生する熱を持続的且つ安定的にハウジング110外に排出することができるため、良好な放熱機能を備える。
【0019】
また、上記の実施形態では単一のトレイをハウジング内に設けることを例として説明したが、当業者は本発明におけるトレイの設置数は実際の使用状況に応じて適宜変更できることが明らかである。図5に示すように、ハウジング110内に複数個のトレイ130が設けられ、各トレイ130は何れも信号ブリッジ回路132がフレーム120上の対応するコネクタ122内に挿設されるため、トレイ130の設置数を増加するのに都合よく、信号ブリッジ回路132も同様に放熱ファン112の通風口を塞ぐことがないことから、サーバシャーシ100に安定した放熱効果を提供することができる。
【0020】
本発明の効果は、フレームの背板に少なくとも1つのコネクタを電気的に設置し、またトレイに信号ブリッジ回路を電気的に設置し、信号ブリッジ回路がトレイ内に設けられた回路基板をコネクタ内に電気的に挿設されることで、フレーム内に設けられた複数個のデータ記憶装置に電気的に接続される。このように、トレイのサーバシャーシ内における組立てや取外し工程を簡素化できると共に、ユーザーが回路基板を複数個のデータ記憶装置に電気的に接続する作業時間を大幅に短縮することができる。また、フレームとトレイとの間にはケーブルの設置が省略されて、ケーブルの使用コストが大幅に節減できると共に、公知のシャーシでケーブルが放熱ファンの通風口が塞がれ易い問題を解決する。
【0021】
また、信号ブリッジ回路と電源ブリッジボードとをトレイ上に適度な距離を空けて設置する方法により、信号ブリッジ回路が信号伝送の過程で電力に妨害されることがなく、回路基板と複数個のデータ記憶装置の間の信号伝送の安定性と精度が向上する。
【0022】
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0023】
100 … サーバシャーシ
110 … ハウジング
111 … 仕切り板
1111 … 通風口
112 … 放熱ファン
113 … 第1組立領域
114 … 第2組立領域
120 … フレーム
121 … 背板
122 … コネクタ
130 … トレイ
131 … 本体
132 … 信号ブリッジ回路
1321 … 入出力ポート
133 … 電源ブリッジボード
134 … 電気スロット
140 … 信号ケーブル
150 … 電源ケーブル
200 … データ記憶装置
300 … 回路基板
310 … 電気スロット
400 … 電力供給装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と複数個のデータ記憶装置とを配置するためのサーバシャーシであって、
少なくとも1つのコネクタを電気的に設置する背板を含む前記データ記憶装置が設けられており、前記背板に電気的に接続されるフレームと、
前記回路基板を電気的に接続する信号ブリッジ回路を含み、前記回路基板はトレイ内に設けられ、前記信号ブリッジ回路の一端が前記トレイに電気的に設置され、前記信号ブリッジ回路の他端が前記フレームの前記コネクタに電気的に挿設される少なくとも1つのトレイとを含み、
前記データ記憶装置は前記トレイ内に収容され、前記回路基板は前記信号ブリッジ回路と前記コネクタとによって前記データ記憶装置に電気的に接続されることを特徴とするサーバシャーシ。
【請求項2】
更に信号ケーブルを含み、前記回路基板が前記信号ケーブルによって前記信号ブリッジ回路に電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載のサーバシャーシ。
【請求項3】
前記信号ブリッジ回路は前記トレイから前記フレームの方向に延在することを特徴とする請求項1に記載のサーバシャーシ。
【請求項4】
前記信号ブリッジ回路はリベット、ねじ、ボルト、又は熔接で前記トレイに固定されることを特徴とする請求項1に記載のサーバシャーシ。
【請求項5】
更に電源ケーブルによって前記回路基板に電気的に接続される電源ブリッジボードを含むことを特徴とする請求項1に記載のサーバシャーシ。
【請求項6】
前記電源ブリッジボードはリベット、ねじ、ボルト、又は熔接で前記トレイに固定されることを特徴とする請求項5に記載のサーバシャーシ。
【請求項7】
前記電源ブリッジボードは、前記信号ブリッジ回路とそれぞれ前記トレイの2つの対向する側に配置されており、電磁妨害を低減することを特徴とする請求項5に記載のサーバシャーシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−243304(P2012−243304A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−48658(P2012−48658)
【出願日】平成24年3月6日(2012.3.6)
【出願人】(502361706)技嘉科技股▲ふん▼有限公司 (111)
【氏名又は名称原語表記】GIGA−BYTE TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.6,Bao Chiang Road,Hsin−Tien District,New Taipei City 231,Taiwan
【Fターム(参考)】