説明

サーバ及び端末位置予測プログラム

【課題】端末の位置の予測精度の向上を図る。
【解決手段】サーバ1は、端末4の位置を示す位置情報及びこの位置に端末4が存在した時刻を示す時刻情報を基地局2を経由して端末4から逐次受信する。そして、サーバ1は、基地局2からの要求に応じて、受信した複数回分の位置情報及び時刻情報に加え、線路の経路情報に基づいて基地局2が端末4と通信を行う予定の時刻における端末4の位置を予測して基地局2へ通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末の移動状況に応じて基地局が出射するビームの方向を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信において従来から知られているアダプティブアレイ技術は、基地局から端末へビームを向けることによって端末の受信感度を改善させる効果がある。端末が移動する場合にも端末へビームが正確に向くように、基地局は、端末から端末の位置情報及び速度ベクトル情報を取得し、それらに基づいて端末と通信する予定の時刻における当該端末の位置を予測し、予測した位置にビームを向ける技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−152114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、端末が略直線に移動している場合、端末の位置情報及び速度ベクトル情報から端末の位置をある程度の精度で予測することができる。しかしながら、端末が移動方向を変えながら移動している場合には端末の位置情報及び速度ベクトル情報からだけでは端末の位置を精度よく予測することができない。このため、基地局は、端末と通信する予定の時刻における端末の位置として端末が存在しない位置を予測してしまい、誤った方向にビームを向けてしまって通信品質が向上しないという課題がある。
【0004】
そこで、本発明は、基地局が端末と通信を行う予定の時刻における端末の位置の予測精度の向上が図られるサーバ及び端末位置予測プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明のサーバは、指向特性の適応制御を行う機能を備えた基地局と通信網を介して通信を行うサーバであって、端末の位置を示す位置情報及び当該位置に当該端末が存在した時刻を示す時刻情報を当該端末から基地局を経由して逐次受信する受信手段と、所定の移動体が移動する経路の位置に係る経路情報と前記受信手段で受信された複数回分の位置情報及び時刻情報とに基づいて基地局が前記端末と通信を行う予定の時刻における当該端末の位置を予測して基地局へ通知する予測手段と、を備える。
【0006】
また、本発明の端末位置予測プログラムは、指向特性の適応制御を行う機能を備えた基地局と通信網を介して通信を行うサーバを、端末の位置を示す位置情報及び当該位置に当該端末が存在した時刻を示す時刻情報を当該端末から基地局を経由して逐次受信する受信手段、及び所定の移動体が移動する経路の位置に係る経路情報と前記受信手段で受信された複数回分の位置情報及び時刻情報とに基づいて基地局が前記端末と通信を行う予定の時刻における当該端末の位置を予測して基地局へ通知する予測手段として機能させる。
【発明の効果】
【0007】
上記のサーバ及び端末位置予測プログラムの夫々によれば、端末の位置情報及び時刻情報に加えて移動体が移動する経路の位置に係る経路情報も利用して端末の位置を予測するので、端末が移動方向を変えながら移動体とともに移動しているような場合であっても、基地局が端末と通信を行う予定の時刻における当該端末の位置を精度よく予測できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
≪第1の実施の形態≫
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
<システム構成>
本実施の形態の通信システムのシステム構成について図1を参照しつつ説明する。図1は本実施の形態の通信システムのシステム構成図である。
【0009】
図1に示す通信システムには通信網3に接続されたサーバ1及び複数の基地局2(2−1,2−2,2−3)が設置されている。サーバ1と基地局2とは通信網3を介して通信を行い、基地局2同士も通信網3を介して通信を行う。なお、基地局2の数は3に限られるものではない。
端末4は、例えば携帯電話機であり、適宜ハンドオーバを実行しつつ基地局2と無線通信を行うものである。端末4は、例えば4基のGPS(Global Positioning System)衛星5から発せられる電波に基づいて自機の位置(経度、緯度)を取得し、自機の位置を示す位置情報及び位置を取得した時刻を示す時刻情報を含むパケット信号(以下、「登録パケット信号」と言う。)を基地局2へ送信する。なお、図1では1基のGPS衛星5のみ図示している。
【0010】
基地局2は、複数のアンテナを備え、アンテナ毎に信号の位相及び振幅レベルを変化させて指向特性の適応制御を行う機能を有し(アダプティブアレイに対応し)、ビームの向きを変えることが可能である。基地局2は、端末4から位置情報及び時刻情報を含む登録パケット信号を受信し、サーバ1へ端末4を識別するための識別情報並びに受信した位置情報及び時刻情報を含む登録要求信号を送信する。なお、識別情報として、本実施の形態では、登録パケット信号のMAC(Media Access Control)ヘッダに含まれるMACアドレスを用いるものとするが、IP(Internet Protocol)アドレスやユーザが端末に付与したユニークな名称など端末を一意に識別することができるものであればよい。また、基地局2は、端末4のMACアドレス及び端末4と次に或いはそれ以降に通信を行う予定の時刻(以下、「通信予定時刻」と言う。)を示す予定時刻情報を含む予測要求信号をサーバ1へ送信し、サーバ1から通信予定時刻における端末4の予測位置を示す予測位置情報を含む予測応答信号を受信し、予測位置にビームを向けて端末4と通信を行う。
【0011】
サーバ1は、基地局2から登録要求信号を受信し、受信した登録要求信号の内容と後述する地図情報とに基づいて後述する履歴情報の作成及び更新を行う。また、サーバ1は、基地局2から予測要求信号を受信し、地図情報と履歴情報とに基づいて通信予定時刻における端末4の位置を予測し、予測位置を示す予測位置情報を含む予測応答信号を基地局2へ送信する。
【0012】
[サーバの構成]
図1のサーバ1の装置構成について図2を参照しつつ説明する。図2は図1のサーバ1の装置構成図である。サーバ1は、制御部11、記憶部12及び通信部13を備え、通信部13を介して通信網3に接続されている。
制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)によって実現され、サーバ1の各種制御及び各種演算を行うものである。例えば、制御部11は、基地局2から登録要求信号を受け、記憶部12の地図DB121の記憶内容を参照して履歴DB122の記憶内容の更新を行う。また、制御部11は、基地局2から予測要求信号を受け、記憶部12の履歴DB122の記憶内容及び地図DB121の記憶内容を参照して通信予定時刻における端末4の位置を予測し、予測位置情報を含む予測応答信号を基地局2へ送信する。但し、これらの処理を行うために、制御部11は、信号判定部101、端末位置分析部102、登録部103、移動状況分析部104及び位置予測部105として機能する。なお、各部の詳細は図6から図8に示す動作フローを用いて後述する。
【0013】
記憶部12は、例えば半導体メモリによって実現され、記憶部12には、サーバ1の制御を行うための各種制御プログラムや各種アプリケーションプログラムの他、制御部11が図6から図8に示す動作フローを実行するためのプログラムが記憶されている。また、記憶部12の地図DB121には、列車の線路に係る位置を示す線路経路情報及び高速道路などの道路に係る位置を示す道路経路情報を含む地図情報が記憶されている。さらに、記憶部12の履歴DB122には端末4の移動に関する履歴情報が記憶されている。
【0014】
以下、履歴DB122の記憶内容について図3を参照しつつ説明する。図3は図2の履歴DB122の記憶内容の一例を示す図である。
履歴DB122には、端末毎に端末の移動に関する履歴情報が記憶される。履歴情報の項目には「位置」、「時刻」及び「線路判定フラグ」がある。項目「位置」及び項目「時刻」には、夫々、登録要求信号に含まれる位置情報が示す端末4の位置及び時刻情報が示すその位置に端末4が存在した時刻が記憶される。また、項目「線路判定フラグ」には、端末の位置が線路上であるかを示す値が記憶される。但し、端末の位置が線路上である場合、項目「線路判定フラグ」には“1”が、端末の位置が線路上でない場合、項目「線路判定フラグ」には“0”が記憶される。
【0015】
[基地局の構成]
図1の基地局2の装置構成について図4を参照しつつ説明する。図4は図1の基地局2の装置構成図である。基地局2は、制御部21、記憶部22、通信部23,24,25、及びアンテナ23a,24aを備える。基地局2は、通信部23及びアンテナ23a並びに通信部24及びアンテナ24aを用いて端末4と無線通信を行い、通信部25を介して通信網3に接続されている。なお、図4では、夫々2つの通信部23,24及びアンテナ23a,24aを示しているが、実際の基地局2ではこれらの数は指向特性の適応制御を行うことが可能な数になっているものとする。
【0016】
制御部21は、例えばCPUによって実現され、基地局2の各種制御及び各種演算を行うものである。例えば、制御部21は、端末4から位置情報及び時刻情報を含む登録パケット信号を受信し、登録パケット信号のMACヘッダ内に格納されている端末4のMACアドレスとそのデータ部に格納されている位置情報及び時刻情報とを含む登録要求信号をサーバ1へ送信する。また、制御部21は、端末4と通信を行う場合、端末4のMACアドレス及び通信予定時刻を含む予測要求信号をサーバ1へ送信し、この応答としてサーバ1から通信予定時刻における端末4の予測位置を示す予測位置情報を含む予測応答信号を受信し、予測位置にビームを向けて端末4と通信を行う。但し、これらの処理を行うために、制御部21は、信号判定部201、登録要求部202、予測要求部203、予測応答受信部204及びビーム制御部205として機能する。なお、各部の詳細は図9に示す動作フローを用いて後述する。
【0017】
記憶部22は、例えば半導体メモリによって実現され、記憶部22には、基地局2の制御を行うための各種制御プログラムや各種アプリケーションプログラムの他、制御部21が図9に示す動作フローを実行するためのプログラムが記憶されている。
[端末の構成]
図1の端末4の装置構成について図5を参照しつつ説明する。図5は図1の端末4の装置構成図である。端末4は、制御部41、操作部42、表示部43、記憶部44、時計45、位置取得部46、アンテナ46a、通信部47、アンテナ47a、音声処理部48、スピーカ48a及びマイク48bを備え、通信部47及びアンテナ47aを介して基地局2と通信を行う。
【0018】
制御部41は、例えばCPUによって実現され、端末4の各種制御及び各種演算を行うものである。例えば、制御部41の位置時刻送信部401は、位置取得部46及び時計45からの入力内容に基づいて、端末4の位置を示す位置情報及びその位置を取得した時刻(その位置に端末4が存在した時刻)を示す時刻情報を含む登録パケット信号を基地局2へ送信する。
【0019】
操作部42は、各種キーから構成されており、押下されたキーの押下信号を制御部41へ出力する。表示部43は、液晶ディスプレイなどにより構成されており、制御部41から入力される表示データに基づく表示を行う。記憶部44は、例えば半導体メモリによって実現され、記憶部44には、端末4の制御を行うための各種制御プログラムや各種アプリケーションプログラムの他、制御部41が基地局2へ位置情報及び時刻情報を送信するためのプログラムが記憶されている。
【0020】
時計45は時刻を制御部41へ出力し、時刻が位置時刻送信部401に入力される。アンテナ46aはGPS衛星5によって発せられた電波を受信する。位置取得部46はアンテナ46aによって受信された電波に基づいて端末4の位置(緯度、経度)を算出し、算出した位置を制御部41へ出力し、端末4の位置が位置時刻送信部401に入力される。
音声処理部48は、制御部41から入力されるデジタル信号をアナログ信号に変換してスピーカ48aへ出力し、スピーカ48aは音声処理部48から入力されるアナログ信号を音に変換して出力する。マイク48bはマイク周辺の音を集めて音声処理部48へ出力し、音声処理部48はマイク48bから入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して制御部41へ出力する。
【0021】
[サーバの動作]
図2のサーバ1が行う登録及び予測処理について図6を参照しつつ説明する。図6は図2のサーバ1が行う登録及び予測処理の手順を示すフローチャートである。
制御部11において、信号判定部101は基地局2から信号を受信したかを判定し(ステップS1)、受信するまで(S1:NO)ステップS1の処理が繰り返される。信号判定部101は、信号を受信したと判定した場合(S1:YES)、受信した信号が登録要求信号であるか予測要求信号であるかを判定する(ステップS2)。受信した信号が登録要求信号であると判定された場合(S2:登録)、端末位置分析部102及び登録部103は図7に示す登録処理を実行する(ステップS3)。一方、受信した信号が予測要求信号であると判定された場合(S2:予測)、移動状況分析部104及び位置予測部105は図8に示す予測処理を実行する(ステップS4)。
【0022】
(登録処理)
図6の登録処理(ステップS3)について図7を参照しつつ説明する。図7は図6の登録処理(ステップS3)の手順を示すフローチャートである。
ステップS2において受信した信号が登録要求信号であると判定された場合(S2:登録)、信号判定部101は登録要求信号に含まれる端末4のMACアドレス、位置情報及び時刻情報を端末位置分析部102へ出力する。端末位置分析部102は、地図DB121の記憶内容を参照し、入力された位置情報が示す端末の位置を地図にあてはめ、端末の位置を分析する(ステップS11)。
【0023】
端末位置分析部102は、ステッS11の分析結果に基づいて、端末4が線路上にあるかを判定する(ステップS12)。但し、端末の位置の取得精度や地図の線路に関する作成精度などを考慮して、端末位置分析部102は、端末4の位置が線路に対して所定の距離(例えば、3m)内にあれば、端末4が線路上にあると判定する。なお、端末位置分析部102は、端末4の位置が線路上にある場合にだけ、端末4が線路上にあると判定してもよい。
【0024】
ステップS12において端末4が線路上にあると判定された場合(S12:YES)、端末位置分析部102は、登録部103に対して、MACアドレス、位置情報及び時刻情報を出力すると共に、端末4が線路上にあることを示す判定結果を出力する。そして、登録部103は、入力されたMACアドレスに対応した履歴情報が履歴DB122にあれば、その履歴情報において位置情報が示す位置を項目「位置」に、時刻情報が示す時刻を項目「時刻」に、端末4が線路上にあることを示す値“1”を項目「線路判定フラグ」に格納する。又は、登録部103は、入力されたMACアドレスに対応した履歴情報が履歴DB122になければ、当該MACアドレス用の履歴情報を新たに作成し、その履歴情報において位置情報が示す位置を項目「位置」に、時刻情報が示す時刻を項目「時刻」に、端末4が線路上にあることを示す値“1”を項目「線路判定フラグ」に格納する(ステップS13)。
【0025】
ステップS12において端末4が線路上にないと判定された場合(S12:NO)、端末位置分析部102は、登録部103に対して、MACアドレス、位置情報及び時刻情報を出力するとともに、端末が線路上にないことを示す判定結果を出力する。そして、登録部103は、入力されたMACアドレスに対応した履歴情報が履歴DB122にあれば、その履歴情報において位置情報が示す位置を項目「位置」に、時刻情報が示す時刻を項目「時刻」に、端末4が線路上にないことを示す値“0”を項目「線路判定フラグ」に格納する。又は、登録部103は、入力されたMACアドレスに対応した履歴情報が履歴DB122になければ、当該MACアドレス用の履歴情報を新たに作成し、その履歴情報において位置情報が示す位置を項目「位置」に、時刻情報が示す時刻を項目「時刻」に、端末4が線路上にないことを示す値“0”を項目「線路判定フラグ」に格納する(ステップS13)。
【0026】
なお、サーバ1が基地局2から登録要求信号を受信する毎に図7の登録処理を実行することによって、端末毎に端末に係る位置と時刻と線路判定フラグとの組み合わせが順次追加されていくことになる。
(予測処理)
図6の予測処理(ステップS4)について図8を参照しつつ説明する。図8は図6の予測処理(ステップS4)の手順を示すフローチャートである。
【0027】
ステップS2において受信した信号が予測要求信号であると判定された場合(S2:予測)、信号判定部101は予測要求信号に含まれる端末4のMACアドレス及び予定時刻情報を移動状況分析部104へ出力する。移動状況分析部104は入力されたMACアドレスに対応した履歴情報を履歴DB122から取得する(ステップS31)。そして、移動状況分析部104は、履歴情報に含まれる時刻が新しい所定数(例えば、5回)分の線路判定フラグに基づいて端末4の移動状況を分析する(ステップS32)。
【0028】
移動状況分析部104は、ステップS32の分析結果に基づいて、入力されたMACアドレスの端末4が線路上を列車と共に移動しているかを判定する(ステップS33)。但し、本実施の形態では、移動状況分析部104は、所定数分の線路判定フラグの全てが1である場合に、端末4が線路上を列車と共に移動していると判定する。なお、所定数分の線路判定フラグが所定の割合以上1であれば端末が線路上を列車と共に移動していると判定するなど、判断基準は特に限定されるものではない。
【0029】
ステップS33において端末4が列車と共に線路上を移動していると判定された場合には(S33:YES)、移動状況分析部104は、入力された予定時刻情報、ステップS31で取得した履歴情報、及び端末4が列車と共に線路上を移動していることを示す判定結果を位置予測部105へ出力する。そして、位置予測部105は、これらの入力を受けて予定時刻情報が示す通信予定時刻における端末4の位置を予測する(ステップS34)。
【0030】
以下に、ステップS34において位置予測部105が行う端末4の位置予測処理の内容を説明する。
位置予測部105は、入力される履歴情報に基づいて、直近に取得された端末4の位置(以下、「第1時刻」と言う。)と直近の1つ前に取得された端末4の位置(以下、「第2位置」と言う。)とを地図DB121の地図内の線路にあてはめ、線路に沿ったその間の距離(以下、「直近移動距離」と言う。)を求める。これとともに、位置予測部105は、入力される履歴情報に基づいて、第1位置に端末4が存在した時刻(以下、「第1時刻」と言う。)と第2位置に端末4が存在した時刻(以下、「第2時刻」と言う。)とから直近移動距離を移動するのに要した時間(以下、「直近移動時間」と言う。)を求める。続いて、位置予測部105は、直近移動距離と直近移動速度とから端末4の移動速度(以下、「直近移動速度」と言う。)を算出する。
【0031】
続いて、位置予測部105は、第1時刻から通信予定時刻までの時間(以下、「予測移動時間」と言う。)を求め、直近移動速度と予測移動時間とから予測移動時間に端末4が移動する距離(以下、「予測移動距離」と言う。)を求める。そして、位置予測部105は、第1位置から予測移動距離分地図内の線路に沿って端末4を移動させた位置を通信予定時刻における端末4の予測位置にする。
【0032】
なお、位置予測部105は直近の第1位置及び第1時刻並びに直近の1つ前の第2位置及び第2時刻を用いて予測移動距離を求めているが、これに限られるものではなく、新しい側の所定数分の位置及び時刻を用いるなど、用いるデータは特に限定されるものではない。
位置予測部105は、ステップS34で予測した端末の位置を示す予測位置情報を含む予測応答信号を予測要求信号の送信元の基地局2へ送信する(ステップS36)。
【0033】
ステップS33において端末4が列車と共に線路上を移動していないと判定された場合には(S33:NO)、移動状況分析部104は、入力された予定時刻情報、ステップS31で取得した履歴情報、及び端末4が列車と共に線路上を移動していないことを示す判定結果を位置予測部105へ出力する。そして、位置予測部105は、これらの入力を受けて予定時刻情報が示す通信予定時刻における端末4の位置を予測する(ステップS35)。
【0034】
以下に、ステップS35において位置予測部105が行う端末4の位置予測処理の内容を説明する。なお、直近の1つ前に取得された端末4の位置(第2位置)を(Xa,Ya)、直近に取得された端末4の位置(第1位置)を(Xb,Yb)、第2位置に端末4が存在した時刻(第2時刻)をTa、第1位置に端末4が存在した時刻(第1時刻)をTb、通信予定時刻をTcとする。
【0035】
位置予測部105は、履歴情報に基づいて、下記の式(1)及び式(2)を用いて端末4の直近移動速度に係る速度ベクトル(Vx,Vy)を算出する。
Vx=(Xb−Xa)/(Tb−Ta) ・・・(1)
Vy=(Yb−Ya)/(Tb−Ta) ・・・(2)
続いて、位置予測部105は、下記の式(3)及び式(4)を用いて通信予定時刻における端末4の予測位置(Xc,Yc)を算出する。
【0036】
Xc=Xb+Vx×(Tc−Tb) ・・・(3)
Yc=Yb+Vy×(Tc−Tb) ・・・(4)
位置予測部105は、ステップS34で予測した端末の位置を示す予測位置情報を含む予測応答信号を予測要求信号の送信元の基地局2へ送信する(ステップS36)。
[基地局の動作]
図4の基地局2が行う登録要求及び予測要求処理について図9を参照しつつ説明する。図9は図4の基地局2が行う登録要求及び予測要求処理の手順を示すフローチャートである。
【0037】
制御部21において、信号判定部201は端末4から信号を受信したかを判定する(ステップS51)。信号判定部201は、信号を受信したと判定した場合(S51:YES)、受信した信号が位置情報及び時刻情報を含む登録パケット信号であるかを判定する(ステップS52)。受信した信号が登録パケット信号でなければ(S52:NO)、その信号に応じた処理を行い、ステップS51の処理が再度実行される。一方、受信した信号が登録パケット信号であれば(S52:YES)、信号判定部201は、登録パケット信号のMACヘッダ内に格納されているMACアドレスとそのデータ部に格納されている位置情報及び時刻情報とを登録要求部202へ出力する。そして、登録要求部202は、入力されたMACアドレス、位置情報及び時刻情報を含む登録要求信号をサーバ1へ送信する(ステップS53)。
【0038】
ステップS51で信号を受信していないと判定された場合には(S51:NO)、予測要求部203は基地局2が端末4と通信を行うかを判定する(ステップS54)。基地局2が端末4と通信を行わない場合には(S54:NO)、ステップS51の処理が再度実行される。
基地局2が端末4と通信を行う場合には(S54:YES)、予測要求部203は端末4のMACアドレス及び通信予定時刻を示す予定時刻情報を含む予測要求信号をサーバ1へ送信する(ステップS55)。予測応答受信部204は、予測要求信号の応答として、サーバ1から通信予定時刻における端末4の予測位置を示す予測位置情報を含む予測応答信号を受信する(ステップS56)。予測応答受信部204は、予測応答信号に含まれる予測位置情報をビーム制御部205へ出力する。ビーム制御部205によって予測位置情報が示す端末4の予測位置にビームが向くように通信部23,24が制御されながら、基地局2は端末4と通信を行う(ステップS57)。
【0039】
[通信システムの登録シーケンス]
次に、図1の通信システムで行われる端末4の移動に係る情報のサーバ1への登録動作について図10を参照しつつ説明する。図10は図1の通信システムで行われるサーバ1への端末4の移動に係る情報の登録動作の流れを示すシーケンスである。
端末4では、位置時刻送信部401は、位置取得部46から入力される位置を示す位置情報及び時計45から入力される時刻を示す時刻情報を含む登録パケット信号を基地局2へ送信する(ステップS71)。
【0040】
基地局2では、信号判定部201は、信号の受信判定処理(図9のステップS51、S52に相当する判定処理)を行い、本シーケンス例では位置情報及び時刻情報を含む登録パケット信号を受信したと判定する(ステップS72)。続いて、登録要求部202は、端末4のMACアドレス並びに位置情報及び時刻情報を含む登録要求信号をサーバ1へ送信する(図9のステップS53に相当するステップS73)。
【0041】
サーバ1では、信号判定部101は、信号の受信判定処理(図6のステップS1、S2に相当する判定処理)を行い、本シーケンス例では登録要求信号を受信したと判定する(ステップS74)。続いて、端末位置分析部102及び登録部103は、図7の処理を行って、履歴DB122に端末4の位置、時刻及び線路判定フラグの登録を行う(ステップS75)。
【0042】
[通信システムの位置予測シーケンス]
次に、図1の通信システムで行われる基地局2の要求に応じてサーバ1が端末4の位置を予測して予測位置を基地局へ通知する予測動作について図11を参照しつつ説明する。図11は図1の通信システムで行われる基地局2の要求に応じてサーバ1が端末4の位置を予測して予測位置を基地局へ通知する予測動作の流れを示すシーケンスである。
【0043】
基地局2では、予測要求部203は基地局2が端末4と通信を行うことを決定し(図9のステップS54に相当するステップS91)、端末4のMACアドレス及び通信予定時刻を示す予定時刻情報を含む予測要求信号をサーバ1へ送信する(図9のステップS55に相当するステップS92)。
サーバ1では、信号判定部101は、信号の受信判定処理(図6のステップS1、S2に相当する判定処理)を行い、本シーケンス例では予測要求信号を受信したと判定する(ステップS93)。続いて、移動状況分析部104及び位置予測部105は、端末の位置予測処理(図8のステップS31からステップS34の各処理、又は、ステップS31からステップS33及びステップS35の各処理)を行い、通信予定時刻における端末4の位置を予測する(ステップS94)。続いて、位置予測部105は、端末4の予測位置を示す予測位置情報を含む予測応答信号を基地局2へ送信する(図8のステップS36に相当するステップS95)。
【0044】
基地局2では、予測応答受信部204はサーバ1から予測応答信号を受信し(図9のステップS56に相当するステップS96)、ビーム制御部205は予測応答信号に含まれる予測位置情報が示す端末4の予測位置にビームの向きを制御して、基地局2は端末4と通信を行う(図9のステップS57に相当するステップS97)。
上述した実施の形態によれば、端末4が列車内にあって線路に沿って移動方向を変えながら移動しているような場合であっても、端末4の位置を精度よく予測することができる。
【0045】
ここで、本実施の形態の端末の位置予測手法と従来の端末位置予測手法とを図12を参照して比較する。図12(a)は時刻Taにおける端末4を載せた列車の位置を示し、図12(b)は時刻Tbにおける端末4を載せた列車の位置を示し、図12(c)は通信予定時刻における時刻Tcにおける端末4を載せた列車の位置を示す。従来の端末の位置予測手法では、時刻Taにおける列車の位置から時刻Tbにおける列車の位置までの直線距離A分、その2点を結んだ直線上を時刻Tbにおける列車の位置から進めた位置を時刻Tc(通信予定時刻)における端末4を載せた列車の位置として予測する(図12(b)参照。)。これに対して、本実施の形態の端末の位置予測手法では、時刻Taにおける列車の位置から時刻Tbにおける列車の位置までの線路に沿った距離A分、時刻Tbにおける列車の位置から線路に沿って進めた位置を時刻Tc(通信予定時刻)における端末4を載せた列車の位置として予測する(図12(b)参照。)。これにより、本実施の形態の端末の位置予測手法を用いることによって端末の位置予測精度が向上することが分かる。
【0046】
また、端末4が列車とともに線路上を移動しているかを判定して、ステップS34の位置予測及びステップS35の位置予測を切り替えて行うため、端末の移動状況に適合した端末の位置予測を行うことができる。
さらに、端末4が列車とともに線路上を移動しているか否かの判定を複数の端末4の位置を基に行うことによって、端末4が列車とともに線路上を移動しているか否かの判定精度の向上が図られる。
【0047】
≪第2の実施の形態≫
以下、本発明の第2の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施の形態のサーバは、第1の実施の形態のサーバ1に列車の駅での停車を含めて端末の位置予測を行う機能を付加したものである。但し、端末及び基地局は第1の実施の形態の端末4及び基地局2を適用できることから、本実施の形態ではサーバについてのみ説明する。なお、本実施の形態において、第1の実施の形態の構成要素と実質的に同じ構成要素には同じ符号を付し、その説明が適用できるため本実施の形態ではその説明を省略する。
【0048】
[サーバの構成]
以下、本実施の形態のサーバ1aの装置構成について図13を参照しつつ説明する。図13は本実施の形態のサーバ1aの装置構成図である。サーバ1aは、制御部11a、記憶部12a及び通信部13を備える。
制御部11aは、通信予定時刻における端末4の位置を予測する際に、地図DB121の記憶内容と履歴DB122の記憶内容とに加えて時刻表DB123の記憶内容を用いる点において、制御部11と異なっている。但し、制御部11aは、図6、図7及び後述の図14の動作フローを実行するために、信号判定部101、端末位置分析部102、登録部103、移動状況分析部104及び位置予測部105aとして機能する。
【0049】
記憶部12aは、図8に示す動作フローに係るプログラムの変わりに、制御部11aが後述の図14に示す動作フローを実行するためのプログラムを記憶している点、列車の時刻表に関する時刻表情報を記憶している時刻表DB123を有している点において、記憶部12と異なっている。
[サーバの動作]
図13のサーバ1aは、図6の動作フローを実行し、図6の登録処理(ステップS3)では図7に示す動作フローを実行し、図6の予測処理(ステップS4)では図14に示す動作フローを実行する。
【0050】
(予測処理)
以下、本実施の形態における図6の予測処理(ステップS4)について図14を参照しつつ説明する。図14は本実施の形態のサーバ1aが行う予測処理の手順を示すフローチャートである。
サーバ1aの移動状況分析部104及び位置予測部105aは、図8のステップS31〜S34と実質的に同じ処理を実行し、通信予定時刻における端末の位置を予測する(ステップS101〜S104)。
【0051】
位置予測部105aは、地図DB121に記憶されている地図情報を参照して、直近に取得した端末4の位置(第1位置)と端末4の予測位置との間の線路区間に駅があるかを判定する(ステップS105)。駅があれば(S105:YES)、位置予測部105aは、時刻表DB123に記憶されている時刻表情報を参照し、直近に取得した端末4の位置(第1位置)及びその位置に端末4が存在した時刻(第1時刻)から端末4が載っている列車の特定を行い、列車の特定ができたかを判定する(ステップS106)。なお、例えば、位置予測部105aは、第1時刻に対して所定の時間(例えば、3分)内に第1位置を通る列車が1本のみであった場合に、その列車を端末4が載っている列車に特定する。列車の特定ができれば(S106:YES)、位置予測部105aは、時刻表情報を参照し、特定した列車が上記の線路区間内の駅に停車するかを判定する(ステップS107)。位置予測部105aは、駅に停車すると判定した場合(S107:YES)、通信予定時刻における端末4の位置を再予測する(ステップS108)。
【0052】
以下に、ステップS108において位置予測部105aが行う端末4の位置の再予測処理の内容を説明する。
位置予測部105aは、ステップS34と実質的に同じ処理内容のステップS104を実行して求めた予測移動時間と駅に停車する停車時間とから列車が移動している時間(以下、「予測移動変更時間」と言う。)を求める。そして、位置予測部105aは、直近移動速度と予測移動変更時間とから予測移動変更時間に端末4が移動する距離(以下、「予測移動変更距離」と言う。)を求める。そして、位置予測部105aは、地図内の線路に沿って直近に取得した端末4の位置(第1位置)から予測移動変更距離分端末4を移動させた位置を通信予定時刻における端末4の位置として再予測する。
【0053】
位置予測部105aは、ステップS108で予測した端末の位置を示す予測位置情報を含む予測応答信号を予測要求信号の送信元の基地局2へ送信する(ステップS110)。
ステップS105の判定ステップにおいて線路区間に駅がないと判定された場合(S105:NO)、ステップS106の判定ステップにおいて列車を特定できないと判定された場合(S106:NO)、ステップS107の判定ステップにおいて列車が駅に停車しないと判定された場合(S107:NO)の何れかの場合に、位置予測部105aは、ステップS102で予測した端末の位置を示す予測位置情報を含む予測応答信号を予測要求信号の送信元の基地局2へ送信する(ステップS110)。
【0054】
サーバ1aの移動状況分析部104及び位置予測部105aは、図8のステップS31〜S33、S35、S36と実質的に同じ処理を実行し、通信予定時刻における端末4の位置を予測し、端末の予測位置を示す予測位置情報を含む予測応答信号を予測要求信号の送信元の基地局2へ送信する(ステップS101〜S103、S109、S110)。
上述した本実施の形態によれば、端末4を載せた列車が駅に停車する場合にも列車が駅に停車するか否かを判断し駅の停車時間等も含めて通信予定時刻における端末4の位置を予測するため、端末4の位置の予測精度の更なる向上が期待できる。
【0055】
≪第3の実施の形態≫
以下、本発明の第3の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施の形態の通信システムは、第1の実施の形態の通信システムに端末の予測位置を担当エリアとする基地局に端末の予測位置を通知する機能を付加したものである。但し、端末は第1の実施の形態の端末4を適用できることから、本実施の形態ではサーバ及び基地局についてのみ説明する。なお、本実施の形態において、第1の実施の形態の構成要素と実質的に同じ構成要素には同じ符号を付し、その説明が適用できるため本実施の形態ではその説明を省略する。
【0056】
[サーバの構成]
以下、本実施の形態のサーバ1bの装置構成について図15を参照しつつ説明する。図15は本実施の形態のサーバ1bの装置構成図である。サーバ1bは、制御部11b、記憶部12及び通信部13を備える。
制御部11bは、通信予定時刻における端末4の予測位置を担当エリアとする基地局を分析し、予測位置を担当エリアとする基地局に端末4の予測位置を通知する機能などを制御部11に付加したものである。但し、制御部11bは、図6、図7及び後述の図17に示す動作フローを実行するために、信号判定部101、端末位置分析部102、登録部103、移動状況分析部104及び位置予測部105bとして機能する。
【0057】
なお、本実施の形態の記憶部12は、図8に示す動作フローに係るプログラムの代わりに、制御部11bが後述の図17に示す動作フローを実行するためのプログラムを記憶している点において、第1の実施の形態の記憶部12と異なっている。
[基地局の構成]
以下、本実施の形態の基地局2bの装置構成について図16を参照しつつ説明する。図16は本実施の形態の基地局2bの装置構成図である。基地局2bは、制御部21b、記憶部22、通信部23,24,25、及びアンテナ23a,24aを備える。
【0058】
制御部21bは、サーバ1から受信した予測応答信号の内容を分析し、当該予測応答信号の内容に応じて端末4へビームを向けて通信を行い、又は、通信を中止する等の制御機能を制御部21に付加したものである。但し、制御部21bは、後述の図18に示す動作フローを実行するために、信号判定部201、登録要求部202、予測要求部203、予測応答分析部204b及びビーム制御部205として機能する。
【0059】
[サーバの動作]
図15のサーバ1bは、図6の動作フローを実行し、図6の登録処理(ステップS3)では図7に示す動作フローを実行し、図6の予測処理(ステップS4)では図17に示す動作フローを実行する。
(予測処理)
以下、本実施の形態における図6の予測処理(ステップS4)について図17を参照しつつ説明する。図17は本実施の形態のサーバ1bが行う予測処理の手順を示すフローチャートである。
【0060】
サーバ1bの移動状況分析部104及び位置予測部105bは、図8のステップS31〜S35と実質的に同じ処理を実行し、通信予定時刻における端末の位置を予測する(ステップS131〜S135)。
位置予測部105bは、通信予定時刻における端末4の予測位置が予測要求信号の送信元の基地局2bの担当エリアであるかを判定する(ステップS136)。通信予定時刻における端末4の予測位置が予測要求信号の送信元の基地局2bの担当エリアであれば(S136:YES)、位置予測部105bは、ステップS134又はステップS135で予測した端末4の位置を示す予測位置情報を含む予測応答信号を予測要求信号の送信元の基地局2bへ送信する(ステップS137)。
【0061】
通信予定時刻における端末の予測位置が予測要求信号の送信元の基地局2bの担当エリアでなければ(S136:NO)、位置予測部105bは、通信予定時刻における端末4の予測位置が予測要求信号を送信した基地局2bの担当エリア外であることを通知するための予測応答信号を予測要求信号の送信元の基地局2bへ送信する(ステップS138)。続いて、位置予測部105bは、端末4の予測位置を担当エリアとする基地局2bを特定し(ステップS139)、通信予定時刻を示す予定時刻情報及び当該通信予定時刻における端末4の位置を示す予測位置情報を含む予測応答信号を特定した基地局2bへ送信する(ステップS140)。
【0062】
[基地局の動作]
図16の基地局2bが行う登録要求及び予測要求処理について図18を参照しつつ説明する。図16は図18の基地局2bが行う登録要求及び予測要求処理の手順を示すフローチャートである。
基地局2bの信号判定部201及び登録要求部202は、図9のステップS51〜S53と実質的に同じ処理を実行し、登録要求信号をサーバ1bへ送信する(ステップS151〜S153)。
【0063】
予測要求部203は、図9のステップS54〜S55と実質的に同じ処理を実行し、予測要求信号をサーバ1bへ送信する(ステップS154〜S155)。予測応答分析部204bはサーバ1bから予測応答信号を受信し、予測応答信号が端末の予測位置に関するものであるかを判定する(ステップS156)。予測応答信号が端末の予測位置に関するもの(図17のステップS137で送信された予測応答信号)であれば(S156:YES)、予測応答分析部204b及びビーム制御部205は図9のステップS57と実質的に同じ処理を行って、基地局2bは予測応答信号に含まれる予測位置情報が示す端末4の予測位置にビームを向けて端末4と通信を行う(ステップS157)。一方、予測応答信号が端末4の予測位置が担当エリア外であることに関するもの(図17のステップS138で送信された予測応答信号)であれば(S156:NO)、予測応答分析部204bの制御により基地局2bは端末4との通信を中止する。
【0064】
基地局2bが端末4と通信を行わない場合には(S154:NO)、予測応答分析部204bは予測応答信号を受信したかを判定する(ステップS158)。予測応答信号を受信していないと判定された場合には(S158:NO)ステップS151の処理が再度実行される。一方、予測応答信号(他の基地局2bの予測要求信号の応答として図17のステップS140で送信された予測応答信号)を受信したと判定された場合には(S158:YES)、予測応答分析部204bは、予測応答信号に含まれる予定時刻情報及び予測位置情報をビーム制御部205へ出力する。基地局2bは、ビーム制御部205によって通信部23,24が制御されることによって、予定時刻情報が示す通信予定時刻において予測位置情報が示す端末4の予測位置にビームを向けて端末4と通信を行う(ステップS159)。
【0065】
上記の実施の形態によれば、端末4が一の基地局2bの担当エリアから他の基地局2bの担当エリアへ移動するような場合にも、他の基地局2bは即座に端末4にビームを向けて端末4と通信を行うことができる。
≪補足≫
本発明は上記の実施の形態で説明した内容に限定されず、本発明の目的とそれに関連又は付随する目的を達成するためのいかなる形態においても実施可能であり、例えば、以下であってもよい。
【0066】
(1)上記の第1及び第3の各実施の形態では、端末4が列車に載せられて線路上を移動する場合を例に挙げて説明したが、これに限られるものではなく、例えば端末4が自動車などに載せられて道路、例えば高速道路上を移動する場合にも第1及び第3の各実施の形態の端末位置の予測手法を適用することができる。この場合、列車の線路に係る位置を示す線路経路情報を用いる代わりに高速道路などの道路に係る位置を示す道路経路情報を用い、図3に一例を示す履歴DB122の項目「線路判定フラグ」の代わりに項目「道路判定フラグ」を設けた履歴DBを用いるようにすればよい。なお、道路判定フラグは、携帯電話機から基地局を経由して取得した当該携帯電話機の現在位置が道路上にあれば“1”が、道路上になければ“0”が格納される。そして、サーバは道路判定フラグを用いて携帯電話機が高速道路などの道路上を自動車と共に移動しているか否かを判定する。
【0067】
(2)第1から第3の各実施の形態では、端末の軌跡と線路の軌道とから端末4が列車に載せられて線路上を移動しているかを判定しているが、これに限られるものではない。例えば、端末4が定期券として利用されている場合には、改札を通って入場し、或いは退場した情報を含めて端末4が列車に載せられて線路上を移動しているかを判定するようにしてもよい。この場合、端末4が列車に載せられて線路上を移動しているか否かの判定精度の向上が期待できる。
【0068】
(3)第1から第3の各実施の形態では、端末の位置の予測に必要な機能をサーバ1に搭載するようにしているが、これに限られるものではなく、基地局に端末の位置の予測に必要な機能を搭載するようにしてもよい。第1及び第2の各実施の形態に関しては、例えば、サーバ1,1aの機能のうち基地局2と通信を行う処理機能を除いた部分を基地局2に搭載するようにすればよい。また、第3の実施の形態に関しては、例えば、サーバ1aの機能のうち基地局2bと通信を行う処理機能を除いた部分と、基地局2bと通信を行う処理機能のうち端末4の予測位置を担当エリアとする基地局2bに端末4の予測位置等を通知する部分とを基地局2bに搭載するようにすればよい。
【0069】
(4)第1から第3の各実施の形態では、列車の位置を監視する運行状況システムを利用して端末4が載せられた列車の位置を把握して端末4の位置の予測を行うようにしてもよい。
(5)第1から第3の各実施の形態では、位置が緯度及び経度の2つの対であるとしているが、これに限られるものではなく、位置が緯度、経度及び高度の3つの対であるとしてもよい。
【0070】
(6)第1から第3の各実施の形態で説明した動作フローを記述したプログラムをCD−ROMなどに格納し、或いは、電気通信回線を用いて提供するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、端末の移動状況に応じて基地局が出射するビームの方向を制御する技術に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】第1の実施の形態の通信システムのシステム構成図。
【図2】図1のサーバの装置構成図。
【図3】図2の記憶部の履歴DBの記憶内容の一例を示す図。
【図4】図1の基地局の装置構成図。
【図5】図1の端末の装置構成図。
【図6】図2のサーバが行う登録及び予測処理の手順を示すフローチャート。
【図7】図6の登録処理(ステップS3)の手順を示すフローチャート。
【図8】図6の予測処理(ステップS4)の手順を示すフローチャート。
【図9】図4の基地局が行う登録要求及び予測要求処理の手順を示すフローチャート。
【図10】図1の通信システムで行われるサーバへの端末の移動に係る情報の登録動作の流れを示すシーケンス。
【図11】図1の通信システムで行われる基地局の要求に応じてサーバが端末の位置を予測して予測位置を基地局へ通知する予測動作の流れを示すシーケンス。
【図12】(a),(b),(c)は、第1の実施の形態の端末の位置予測手法と従来の端末の位置予測手法とを比較するための図。
【図13】第2の実施の形態のサーバの装置構成図。
【図14】図13のサーバが行う予測処理の手順を示すフローチャート。
【図15】第3の実施の形態のサーバの装置構成図。
【図16】第3の実施の形態の基地局の装置構成図。
【図17】図15のサーバが行う予測処理の手順を示すフローチャート。
【図18】図16の基地局が行う登録要求及び予測要求処理の手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0073】
1 サーバ
2 基地局
3 通信網
4 端末
5 GPS衛星
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
101 信号判定部
102 端末位置分析部
103 登録部
104 移動状況分析部
105 位置予測部
121 地図DB
122 履歴DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指向特性の適応制御を行う機能を備えた基地局と通信網を介して通信を行うサーバであって、
端末の位置を示す位置情報及び当該位置に当該端末が存在した時刻を示す時刻情報を当該端末から基地局を経由して逐次受信する受信手段と、
所定の移動体が移動する経路の位置に係る経路情報と前記受信手段で受信された複数回分の位置情報及び時刻情報とに基づいて基地局が前記端末と通信を行う予定の時刻における当該端末の位置を予測して基地局へ通知する予測手段と、
を備えるサーバ。
【請求項2】
前記経路情報と前記受信手段で受信された複数回分の位置情報とに基づいて前記端末が前記移動体とともに移動しているかを判定する判定手段を更に備え、
前記予測手段は、前記判定手段により肯定的な判定がなされた場合に、前記経路情報と前記受信手段で受信された複数回分の位置情報及び時刻情報とに基づいて前記端末の位置を予測する
請求項1記載のサーバ。
【請求項3】
前記予測手段は、前記判定手段により否定的な判定がなされた場合には、前記経路情報を用いずに前記受信手段で受信された複数回分の位置情報及び時刻情報に基づいて前記端末の位置を予測する
請求項2記載のサーバ。
【請求項4】
前記移動体は列車であり、前記経路情報は線路に係る位置を示す情報であって、
前記予測手段は、前記経路情報と前記受信手段で受信された複数回分の位置情報及び時刻情報とに加え、更に列車の時刻表情報に基づいて前記端末の位置を予測する
請求項1記載のサーバ。
【請求項5】
前記移動体は自動車であり、前記経路情報は道路に係る位置を示す情報である
請求項1記載のサーバ。
【請求項6】
前記位置予測部は、予測した端末の予測位置を担当エリアとする基地局を分析し、当該予測位置を担当とする基地局に対して端末の予測位置を通知する
請求項1記載のサーバ。
【請求項7】
指向特性の適応制御を行う機能を備えた基地局と通信網を介して通信を行うサーバを、
端末の位置を示す位置情報及び当該位置に当該端末が存在した時刻を示す時刻情報を当該端末から基地局を経由して逐次受信する受信手段、及び
所定の移動体が移動する経路の位置に係る経路情報と前記受信手段で受信された複数回分の位置情報及び時刻情報とに基づいて基地局が前記端末と通信を行う予定の時刻における当該端末の位置を予測して基地局へ通知する予測手段
として機能させる端末位置予測プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−81551(P2010−81551A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−250684(P2008−250684)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】