説明

サーバ装置、メールサーバ装置、及びFAXサーバ装置

【課題】データの送信元が送信先の個人情報の入手可能な程度を予め定めておくことで、送信元に応じたメッセージを送信元へ通知する画像形成装置を提供する。
【解決手段】制御部12Aは、通信部13がメールを受信すると(S11:YES)、メールのヘッダ情報から送信先アドレス及び送信元アドレスを取得する(S12)。制御部12Aは、セキュリティ情報テーブル111Aを参照して、送信先アドレスに対応付けられたセキュリティレベルを取得する(S13)。制御部12Aは、送信先アドレスに変更があるため(S14:NO)、信頼情報テーブル112Aを参照して、送信元アドレスに対応付けられた信頼レベルを取得する(S18)。制御部12Aは、メッセージ情報テーブル113を参照して、信頼レベル及びセキュリティレベルに応じたメッセージを取得して(S22)。取得したメッセージに基づく返信メールを送信元アドレスへ送信する(S23)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、変更可能な送信先の識別情報に基づいて、送信元から受信したデータを送信先へ送信するサーバ装置、メールサーバ装置、及びFAXサーバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メールサーバ装置は、少なくとも1以上のドメインを管理しており、管理しているドメインを有するメールアドレス毎にメールボックスを備えている。メールサーバ装置は、メールを受信すると、メールのヘッダ情報を参照してメールの送信先のメールアドレスを取得する。メールサーバ装置は、送信先のメールアドレスのドメインと自装置が管理するドメインとが一致すると、送信先のメールアドレス用のメールボックスに、受信したメールを一時記憶する。一時記憶されたメールは、ユーザによりクライアント装置にダウンロードされて参照される。
【0003】
また、メールサーバ装置は、ユーザによりメールアドレスの変更が行われると、変更前のメールアドレスを使用不可に設定し、変更後のメールアドレスを使用可能に設定する。ドメインの変更を伴う時には、変更後のドメインを管理するメールサーバ装置がユーザの指示に基づいて変更後のメールアドレスを使用可能に設定する。
【0004】
メールサーバ装置は、メールアドレスの変更後に、変更前のメールアドレス宛てのメールを受信すると、メールの送信元へエラーメールを返信する。メールサーバ装置は、変更前のメールアドレスが使用できないことをエラーメールによりメールの送信元へ通知することができるが、変更後のメールアドレスやメールアドレスを変更した理由を通知することができない。このため、メールアドレスを変更したユーザは、特定多数のユーザにメールアドレスを変更した旨を通知する必要がある。この通知はユーザにとって煩雑な手続きである。
【0005】
この煩雑な手続きを省略するために、従来のメールサーバ装置には、変更前のメールアドレス宛てのメールを受信すると、変更後のメールアドレスをメールの送信元へ知らせるものがある(特許文献1参照)。特許文献1のメールサーバ装置は、転送情報データベースを備えており、メールアドレスの変更時に変更前のメールアドレスと変更後のメールアドレスとを対応付けて転送情報データベースへ登録している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−111601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のメールサーバ装置は、変更前のメールアドレス宛てのメールを受信すると、一律にメールの送信元へ変更後のメールアドレスを通知する。このため、メールサーバ装置は、各ユーザに応じたメッセージを通知することができない。
【0008】
そこで、この発明は、ユーザとの関係を予め決定することで、送信元のユーザに応じたメッセージを通知することができるメールサーバ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のサーバ装置は、制御手段と、記憶手段と、を備える。制御手段は、受信したデータから送信元の識別情報と送信先の識別情報とを取得し、送信先の識別情報に基づいてデータを送信先へ送信する。記憶手段は、自装置が管理する複数の送信先の識別情報、複数の送信先のセキュリティレベルと、送信元の識別情報に基づく信頼レベルと、信頼レベルに対応付けられた送信先の個人情報を含むメッセージと、を記憶する。セキュリティレベルは、送信先の個人情報の公開可能な程度を示し、信頼レベルは、送信元が送信先の個人情報の入手可能な程度を示す。
【0010】
制御手段は、送信先の識別情報の変更に伴って送信先のセキュリティレベルを変更する変更手段を有する。制御手段は、データを受信すると、記憶手段を参照して、データの送信先の識別情報に変更がある場合に、データの送信元の識別情報に基づく信頼レベルに対応付けられたメッセージをデータの送信元へ送信する。
【0011】
この構成では、制御手段は、データを受信すると、データの送信先の識別情報及びデータの送信元の識別情報を取得する。制御手段は、データの送信先の識別情報に基づいて、受信したデータを送信先へ送信する。更に、制御手段は、受信したデータの送信先が変更になっている場合には、データの送信元が送信先の個人情報をどの程度入手可能かを示す信頼レベルを取得して、取得した信頼レベルに応じたメッセージをデータの送信元へ送信する。
【0012】
メッセージは、信頼レベルとセキュリティレベルとに対応付けられた送信先の個人情報を含む構成であることが好ましい。この場合、制御手段は、データを受信すると、記憶手段を参照して、データの送信先の識別情報に変更がある場合に、データの送信元の識別情報に基づく信頼レベルとデータの送信先の識別情報に基づくセキュリティレベルとに対応付けられたメッセージを送信する。
【0013】
この構成では、制御手段は、受信したデータの送信先が変更になっている場合に、データの送信元が送信先の個人情報をどの程度入手可能かを示す信頼レベルと、データの送信先の個人情報をどの程度公開可能かを示すセキュリティレベルとを取得する。そして、制御手段は、取得した信頼レベルとセキュリティレベルとに応じたメッセージをデータの送信元へ送信する。
【0014】
これにより、サーバ装置は、データの送信先の個人情報の公開可能な程度と、データの送信元が送信先の個人情報の入手可能な程度と、を予め定めておくことで、送信先と送信元の関係に応じたメッセージを通知することができる。
【0015】
サーバ装置は、少なくとも1以上のドメインを有するメールアドレス宛てのメールを管理するメールサーバ装置に適応することができる。この場合、識別情報は、メールアドレスである。
【0016】
この構成では、制御手段は、メールを受信すると、メールの送信先のメールアドレス及びメールの送信元のメールアドレスを取得する。制御手段は、送信先のメールアドレスに基づいて、受信したメールを送信先へ送信する。更に、制御手段は、受信したメールの送信先のメールアドレスが変更になっている場合には、送信元の信頼レベルに応じたメッセージ、又は、送信元の信頼レベル及び送信先のセキュリティレベルに応じたメッセージを送信元へ送信する。
【0017】
信頼レベルは、ドメイン又はメールアドレスの少なくとも一方に対応付けられている構成であることが好ましい。
【0018】
この構成では、制御手段は、送信先のドメイン又はメールアドレスの少なくとも一方を用いて信頼レベルを取得することができる。すなわち、制御手段は、ドメインが同じ複数の送信元に対して一律に信頼レベルを対応付け、個別に信頼レベルを定めたい送信元についてのみ、メールアドレスに信頼レベルを対応付けている。
【0019】
これにより、メールサーバ装置は、送信元のメールアドレス毎に信頼レベルを対応付ける必要がないため、メールアドレス毎の信頼レベルの対応付けや、メールアドレスの変更に伴う信頼レベルのメンテナンスの手間を省くかせることができる。
【0020】
サーバ装置は、少なくとも1以上の複合機宛てのFAXデータを管理するFAXサーバ装置に適応することができる。この場合、FAXデータの文字認識を行う文字認識手段を備える。識別情報は、FAX番号である。制御手段は、FAXデータを受信すると、受信したFAXデータの文字認識を文字認識手段に行わせ、文字認識結果に基づいて送信先のFAX番号の変更の有無を判断する。
【0021】
この構成では、制御手段は、FAXデータを受信すると、FAXデータの送信先のFAX番号及び送信元のFAX番号を取得する。制御手段は、送信先のFAX番号に基づいて、受信したFAXデータを送信先へ送信する。更に、制御手段は、受信したFAXデータの文字認識を文字認識手段に行わせ、送信先のユーザ名を取得する。制御手段は、送信先のユーザのFAX番号が変更になっている場合には、送信元の信頼レベルに応じたメッセージ、又は、送信元の信頼レベル及び送信先のセキュリティレベルに応じたメッセージを送信元へ送信する。
【発明の効果】
【0022】
この発明では、データの送信元が送信先の個人情報の入手可能な程度を予め定めておくことで、送信元に応じたメッセージを送信元へ通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1のサーバ装置の機能、構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1のセキュリティ情報テーブルの一例を示す図である。
【図3】実施例1の信頼情報テーブルの一例を示す図である。
【図4】メッセージ情報テーブルの一例を示す図である。
【図5】制御部のメール受信処理を示すフローチャートである。
【図6】実施例2のサーバ装置の機能、構成を示すブロック図である。
【図7】実施例2のセキュリティ情報テーブルの一例を示す図である。
【図8】実施例2の信頼情報テーブルの一例を示す図である。
【図9】制御部のFAX受信処理を示すフローチャートである。
【図10】セキュリティ情報テーブルの他の例を示す図である。
【図11】信頼情報テーブルの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明に係るサーバ装置について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0025】
図1に示すように、サーバ装置1A,1Bはメールサーバ装置であり、クライアント装置2A,2Bはメール送受信可能な情報端末及びパーソナルコンピュータである。サーバ装置1Aは、サーバ装置1Bやクライアント装置2A,2Bにネットワークを介して接続されている。なお、サーバ装置1Aに接続されるサーバ装置及びクライアント装置の台数は、それぞれ1台及び2台に限らない。サーバ装置1Aは、直接又はDNSサーバ(不図示)を介してサーバ装置1Bとメールの送受信を行う。
【0026】
サーバ装置1Aは、操作部10、記憶部11、制御部12A、通信部13を備え、ドメイン(ABC.COM)を管理する。サーバ装置1Aは、ドメイン(ABC.COM)を有するメールアドレス(以下、アドレスと称する。)宛てのメールを受信して、メールボックス114に保存する。
【0027】
操作部10は、セキュリティ情報テーブル111A及び信頼情報テーブル112Aの更新等の操作入力を受け付ける。
【0028】
記憶部11は、セキュリティ情報テーブル111A、信頼情報テーブル112A、メッセージ情報テーブル113、及びメールボックス114を備えている。
【0029】
セキュリティ情報テーブル111Aには、一例として図2に示すように、ユーザの個人情報と、この個人情報の公開可能な程度を示すセキュリティレベルと、が対応付けられて記憶されている。
【0030】
個人情報は、名前、アドレス、及び変更後アドレスから構成される。名前は、ユーザの名称である。アドレスは、ユーザのアドレスであり、サーバ装置1Aが管理するドメイン(ABC.COM)を有する。変更後アドレスは、所属の異動等によりアドレスが変更になった場合に登録される、変更後のアドレスである。
【0031】
セキュリティレベルは、ユーザの個人情報の重要度を示すものであり、ユーザが所属する社会や組織におけるユーザの地位の変化に伴って定まる。この例では、ユーザの企業における所属の異動に応じて、個人情報を保護する程度、すなわち個人情報の公開可能な程度が定まる。セキュリティレベルの値が大きくなるほど、個人情報の保護性が高くなる。
【0032】
信頼情報テーブル112Aには、一例として図3に示すように、登録アドレス及び登録ドメインの少なくとも1つに、このメールの送信元が送信先の個人情報を入手可能な程度を示す信頼レベルが対応付けられて記憶されている。
【0033】
登録アドレス及び登録ドメインは、それぞれ送信先の識別に用いるアドレス及びドメインである。
【0034】
信頼レベルは、ユーザが所属する社会や組織におけるユーザの地位に応じて定まる。この例では、信頼レベルは、ユーザの企業における地位に応じて、個人情報の入手可能な程度が定まる。信頼レベルの値が大きくなるほど、重要な個人情報を取得することができる。また、登録アドレス、登録ドメインに該当しない送信先の信頼レベルは0となる。
【0035】
メッセージ情報テーブル113は、一例として図4に示すように、セキュリティレベル及び信頼レベルの程度に応じたメッセージが記憶されている。
【0036】
メールボックス114は、使用可能なアドレス毎に設けられ、制御部12Aにより各アドレス宛てのメールが保存される。メールボックス114に保存されたメールは、ユーザによってクライアント装置2A,2Bにダウンロードされて参照される。このメールは、クライアント装置2A,2Bへのダウンロード時、又はメールボックス114に保存してから所定期間(1週間、1カ月等)経過後に、メールボックス114から消去される。
【0037】
制御部12Aは、操作部10からの操作入力に応じて、セキュリティ情報テーブル111A、信頼情報テーブル112Aを更新する。
【0038】
例えば、F藤が入社した場合は、F藤のアドレスを新たにサーバ装置1Aが管理することになる。制御部12Aは、セキュリティレベルを0(変更なし)として、F藤のアドレスに対応付けてセキュリティ情報テーブル111Aに追加する。また、A本が定年退職した場合は、A本のアドレスが変更になる。制御部12Aは、変更後アドレスにA本の変更後のアドレスを追加し、セキュリティ情報を3(定年退職)に変更して、セキュリティ情報テーブル111Aを更新する。また、例えば、新たな取引会社と取引を開始した場合は、制御部12Aは、信頼レベルを1(取引先)として、この取引会社の登録ドメインを信頼情報テーブル112Aに追加する。
【0039】
制御部12Aは、通信部13を介して、サーバ装置1B及びクライアント装置2A,2Bとメールの送受信を行う。
【0040】
メール受信時における制御部12Aの処理の流れについて、図5を参照して説明する。サーバ装置1Aは、送信先アドレス(AAA@ABC.COM)宛てのメールを送信元アドレス(CCC@ABCD.COM)から受信した場合について、以下に例をあげて説明する。
【0041】
図5に示すように、制御部12Aは、通信部13がメールを受信するまで待つ(S11:NO)。制御部12Aは、メールを受信すると(S11:YES)、メールのヘッダ情報から送信先アドレス(AAA@ABC.COM)及び送信元アドレス(CCC@ABCD.COM)を取得する(S12)。
【0042】
制御部12Aは、セキュリティ情報テーブル111Aを参照して、送信先アドレス(AAA@ABC.COM)に対応付けられたセキュリティレベル(3:定年退職)を取得する(S13)。
【0043】
制御部12Aは、セキュリティレベルに基づいて、送信先アドレス(AAA@ABC.COM)に変更があるかを調べる(S14)。制御部12Aは、セキュリティレベルが0(変更なし)又は1(部門間異動)の場合には(S14:YES)、送信先アドレスのアドレス変更がないため、送信先アドレスのメールボックス114へメールを保存して(S15)、終了する。
【0044】
制御部12Aは、送信先アドレスに変更があるため(S14:NO)、信頼情報テーブル112Aを参照して、送信元アドレス(CCC@ABCD.COM)が登録アドレスに一致するかを調べる(S16)。制御部12Aは、送信元アドレスが登録アドレスに一致するため(S16:YES)、送信元アドレス(CCC@ABCD.COM)に対応付けられた信頼レベル(4:社員)を取得する(S18)。
【0045】
制御部12Aは、送信先アドレス(AAA@ABC.COM)に変更後アドレス(AAA@XYZ.COM)が対応付けられているので(S20:YES)、変更後アドレス(AAA@XYZ.COM)へメールを転送する(S21)。具体的には、制御部12Aは、送信元アドレス(CCC@ABCD.COM)、送信先アドレス(AAA@XYZ.COM)として、変更後アドレス(AAA@XYZ.COM)のドメイン(XYZ.COM)を管理するサーバ装置へメールを送信する。
【0046】
制御部12Aは、メッセージ情報テーブル113を参照して、信頼レベル及びセキュリティレベルに応じたメッセージを取得する(S22)。制御部12Aは、取得したメッセージに基づく返信メールを作成し、送信元アドレス(CCC@ABCD.COM)へ送信して(S23)、終了する。この返信メールは、送信元アドレス(AAA@ABC.COM)、送信先アドレス(CCC@ABCD.COM)とする。
【0047】
制御部12Aは、送信先アドレスに対応付けられた変更後アドレスがない場合(S20:NO)に、メールを転送せずに、S22へ進む。
【0048】
また、送信先アドレス(AAA@ABC.COM)宛てのメールを送信元アドレス(DDD@ABC.COM)から受信した場合には、制御部12Aは、送信元アドレス(DDD@ABC.COM)が登録アドレスに一致しないので(S16:NO)、送信元アドレス(DDD@ABC.COM)のドメイン(ABC.COM)が登録ドメインに一致するか否か判断する(S17)。制御部12Aは、送信元アドレスのドメインが登録ドメインに一致するので(S17:YES)、送信元アドレス(DDD@ABC.COM)のドメインに対応付けられた信頼レベル(4:社員)を取得して(S18)、S20へ進む。
【0049】
また、送信先アドレス(AAA@ABC.COM)宛てのメールを送信元アドレス(YYY@CCC.COM)から受信した場合には、制御部12Aは、送信元アドレス(YYY@CCC.COM)が登録アドレスに一致せず(S16:NO)、送信元アドレス(YYY@CCC.COM)のドメイン(CCC.COM)も登録ドメインに一致しないので(S17:NO)、信頼レベルを0として(S19)、S20へ進む。
【0050】
以上より、サーバ装置1Aは、送信先の個人情報の公開可能な程度と、送信元が送信先の個人情報の入手可能な程度と、を予め定めておくことで、送信先のアドレスが変更になった場合に、送信先と送信元の関係に応じたメッセージを送信元へ通知することができる。
【0051】
また、サーバ装置1Aは、送信元の信頼レベルの判断に、登録アドレス及び登録ドメインを用いることで、送信元のアドレス毎の信頼レベルの対応付けや、アドレスの変更に伴う信頼レベルのメンテナンスの手間を削減することができる。また、サーバ装置1Aは、送信元のアドレス毎にも信頼レベルを対応付けることができるため、個別対応が必要な送信元に対して、適切な信頼レベルを対応付けることができる。
【0052】
なお、上述の実施例では、セキュリティレベルと信頼レベルとに応じたメッセージを通知したが、信頼レベルに応じたメッセージを通知してもよい。この場合、サーバ装置1Aは、メールの送信元が送信先の個人情報の入手可能な程度を予め定めておくことで、送信先のアドレスが変更になった場合に、送信元のユーザに応じたメッセージを送信元へ通知することができる。
【実施例2】
【0053】
実施例2は、サーバ装置1A,1BがFAXサーバ装置で、クライアント装置2A,2BがFAX送受信可能なFAX端末、複合機及びパーソナルコンピュータである点で第1実施例と相違する。以下、相違点のみ説明する。
【0054】
図6に示すように、サーバ装置1Aは、電話回線を介してサーバ装置1B及びクライアント装置2A,2Bに接続されている。なお、サーバ装置1Aに接続されるサーバ装置及びクライアント装置の台数は、それぞれ1台及び2台に限らない。また、サーバ装置1Aは、クライアント装置2A,2Bとネットワークを介して接続されていてもよい。
【0055】
サーバ装置1Aは、操作部10、記憶部11、制御部12B、通信部13を備え、クライアント装置2A,2B宛てのFAXデータを管理する。
【0056】
記憶部11は、セキュリティ情報テーブル111B、信頼情報テーブル112B、及びメッセージ情報テーブル113を備えている。
【0057】
セキュリティ情報テーブル111Bには、一例として図7に示すように、ユーザの個人情報とセキュリティレベルとが対応付けられて記憶されている。個人情報は、名前、FAX番号、及び変更後FAX番号から構成される。名前は、ユーザの名称である。FAX番号は、ユーザの所属する部門のFAX番号である。変更後FAX番号は、所属の異動等によりFAX番号が変更になった場合に登録される、変更後のFAX番号である。
【0058】
信頼情報テーブル112Bには、一例として図8に示すように、登録FAX番号に信頼レベルが対応付けられて記憶されている。登録FAX番号は、送信先の識別に用いるFAX番号である。また、登録FAX番号に該当しない送信先の信頼レベルは0となる。
【0059】
制御部12Bは、操作部10からの操作入力に応じて、セキュリティ情報テーブル111B、信頼情報テーブル112Bを更新する。
【0060】
例えば、F藤が入社した場合は、F藤のFAX番号を新たにサーバ装置1Aが管理することになる。制御部12Bは、セキュリティレベルを0(変更なし)として、F藤のFAX番号に対応付けてセキュリティ情報テーブル111Bに追加する。また、A本が定年退職した場合は、A本のFAX番号が変更になる。制御部12Bは、変更後FAX番号にA本の変更後のFAX番号を追加し、セキュリティ情報を3(定年退職)に変更して、セキュリティ情報テーブル111Bを更新する。また、例えば、新たな取引会社と取引を開始した場合は、制御部12Bは、信頼レベルを1(取引先)として、この取引会社の登録FAX番号を信頼情報テーブル112Bに追加する。
【0061】
制御部12Bは、文字認識部121を備える。文字認識部121は、受信したFAXデータの文字認識を行う。文字認識部121は、例えば、接尾後(宛、様宛、へ)の直前の文字列がFAXの送信先の名前であるとみなして、送信先の名前を取得する。
【0062】
また、制御部12Bは、通信部13を介して、サーバ装置1B及びクライアント装置2A,2BとFAXデータの送受信を行う。
【0063】
FAXデータ受信時における制御部12Bの処理の流れについて、図9を参照して説明する。サーバ装置1Aは、送信先FAX番号(1234−56−7890)の名前(A本)宛てのFAXデータを、送信元FAX番号(2345−67−8901)の名前(C川)から受信した場合について、以下に例をあげて説明する。
【0064】
図9に示すように、制御部12Bは、通信部13がFAXデータを受信するまで待つ(S31:NO)。制御部12Bは、FAXデータを受信すると(S31:YES)、FAXデータから送信先FAX番号(1234−56−7890)及び送信元FAX番号(2345−67−8901)を取得する(S32)。
【0065】
制御部12Bは、FAXデータの文字認識を文字認識部121に行わせて、FAXの送信先の名前を取得する(S33)。例えば、文字認識部121は、制御部12Bの指示により、FAXデータの文字認識を行い、接尾後(宛、様宛、へ)の直前の文字列を取得する。制御部12Bは、セキュリティ情報テーブル111Bを参照して、送信先FAX番号(1234−56−7890)に対応付けられた名前が、文字認識部121が取得した文字列に一致すれば、一致する名前を送信先の名前として取得する。
【0066】
制御部12Bは、セキュリティ情報テーブル111Bを参照して、送信先の名前(A本)に対応付けられたセキュリティレベル(3:定年退職)を取得して(S34)、送信先の名前(A本)の送信先FAX番号(1234−56−7890)に変更があるかを調べる(S35)。制御部12Bは、送信先の名前(A本)のセキュリティレベルが0(変更なし)の場合には(S35:YES)、送信先FAX番号に変更がないため、送信先FAX番号にFAXを送信して(S36)、終了する。
【0067】
制御部12Bは、送信先の名前(A本)の送信先FAX番号に変更があるため(S35:NO)、信頼情報テーブル112Bを参照して、送信元FAX番号(2345−67−8901)が登録FAX番号に一致するかを調べる(S37)。制御部12Bは、送信元FAX番号が登録FAX番号に一致するため(S37:YES)、送信元FAX番号(2345−67−8901)に対応付けられた信頼レベル(3:関係会社社員、4:社員)を取得する(S38)。
【0068】
制御部12Bは、取得した信頼レベル(3:関係会社社員、4:社員)が複数あるため(S39:YES)、取得した信頼レベル(3:関係会社社員、4:社員)の中から最も低い信頼レベルを送信元の信頼レベル(3:関係会社社員)とする(S40)。取得した信頼レベルが1つの場合は(S39:NO)、取得した信頼レベルが送信元の信頼レベルとなる。
【0069】
制御部12Bは、セキュリティ情報テーブル111Bを参照して、送信先の名前(A本)に変更後FAX番号が対応付けられているか調べる(S42)。制御部12Bは、送信先の名前(A本)に変更後FAX番号(3456−78−9012)が対応付けられているので(S42:YES)、変更後FAX番号(3456−78−9012)へFAXデータを転送する(S43)。具体的には、制御部12Bは、送信元FAX番号(2345−67−8901)、送信先FAX番号(3456−78−9012)として変更後FAX番号(3456−78−9012)を管理するサーバ装置へFAXデータを転送する。
【0070】
制御部12Bは、メッセージ情報テーブル113を参照して、信頼レベル及びセキュリティレベルに応じたメッセージを取得する(S44)。制御部12Bは、取得したメッセージに基づく返信FAXを作成し、送信元FAX番号(2345−67−8901)へ送信して(S45)、終了する。この返信FAXは、送信元FAX番号(1234−56−7890)、送信先FAX番号(2345−67−8901)とする。
【0071】
制御部12Aは、送信先FAX番号に対応付けられた変更後FAX番号がない場合(S42:NO)に、FAXデータを転送せずに、S44へ進む。
【0072】
また、S37で、制御部12Aは、送信元FAX番号が登録FAX番号に一致しない場合は(S37:NO)、送信元FAX番号に対応付けられた信頼レベルを0として(S41)、S42へ進む。
【0073】
以上より、サーバ装置1Aは、送信先の個人情報の公開可能な程度と、送信元が送信先の個人情報の入手可能な程度と、を予め定めておくことで、送信先のFAX番号が変更になった場合に、送信先と送信元の関係に応じたメッセージを通知することができる。
【0074】
なお、上述の実施例では、セキュリティレベルと信頼レベルとに応じたメッセージを通知したが、信頼レベルに応じたメッセージを通知してもよい。この場合、サーバ装置1Aは、FAXの送信元が送信先の個人情報の入手可能な程度を予め定めておくことで、送信先のFAX番号が変更になった場合に、送信元のユーザに応じたメッセージを通知することができる。
【0075】
なお、上述の実施例では、図9において、制御部12Bは、取得した信頼レベルが複数ある場合に(S39:YES)、取得した信頼レベルの中から最も低い信頼レベルを送信元の信頼レベルとした(S40)。しかし、制御部12Bは、FAXデータの文字認識を文字認識部121に行わせ、送信先の名前を取得してもよい。
【0076】
なお、上述の実施例では、サーバ装置1Aは、メールサーバ又はFAXサーバとしたが、メールサーバとFAXサーバの機能を有してもよい。この場合、記憶部11は、一例として図10に示すセキュリティ情報テーブル111C、一例として図11に示す信頼情報テーブル112C、メッセージ情報テーブル113、及びメールボックス114を記憶する。セキュリティ情報テーブル111Cの個人情報は、名前、アドレス、FAX番号、変更後アドレス、及び変更後FAX番号から構成される。信頼情報テーブル112Cは、登録アドレス、登録ドメイン、及び登録FAX番号の少なくとも1つに、信頼レベルが対応付けられて記憶されている。
【0077】
また、上述の実施例のようにメールサーバのみ、FAXサーバのみの機能を有するサーバ装置1Aであっても、セキュリティ情報テーブル111C、信頼情報テーブル112C、メッセージ情報テーブル113を記憶部11に記憶してもよい。
【0078】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0079】
11…記憶部
111A〜111C…セキュリティ情報テーブル
112A〜112C…信頼情報テーブル
113A〜113C…メッセージ情報テーブル
12A,12B…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信したデータから送信元の識別情報と送信先の識別情報とを取得し、前記送信先の識別情報に基づいて前記データを前記送信先へ送信する制御手段と、
自装置が管理する複数の送信先の識別情報と、送信先の個人情報の公開可能な程度を示すセキュリティレベルであって、前記複数の送信先のセキュリティレベルと、送信元が前記送信先の個人情報の入手可能な程度を示す信頼レベルであって、前記送信元の識別情報に基づく信頼レベルと、前記信頼レベルに対応付けられた前記送信先の個人情報を含むメッセージと、を記憶する記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、前記送信先の識別情報の変更に伴って前記送信先のセキュリティレベルを変更する変更手段を有し、データを受信すると、前記記憶手段を参照して、前記データの送信先の識別情報に変更がある場合に、前記データの送信元の識別情報に基づく信頼レベルに対応付けられた前記メッセージを前記データの送信元へ送信する、サーバ装置。
【請求項2】
前記メッセージは、前記信頼レベルと前記セキュリティレベルとに対応付けられた前記送信先の個人情報を含み、
前記制御手段は、前記データを受信すると、前記記憶手段を参照して、前記データの送信先の識別情報に変更がある場合に、前記データの送信元の識別情報に基づく信頼レベルと前記データの送信先の識別情報に基づくセキュリティレベルとに対応付けられた前記メッセージを送信する、請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のサーバ装置は、少なくとも1以上のドメインを有するメールアドレス宛てのメールを管理するメールサーバ装置であって、
前記識別情報は、メールアドレスであるメールサーバ装置。
【請求項4】
前記信頼レベルは、ドメイン又はメールアドレスの少なくとも一方に対応付けられている請求項3に記載のメールサーバ装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2のサーバ装置は、少なくとも1以上のFAX機能を持つ端末宛てのFAXデータを管理するFAXサーバ装置であって、
前記FAXデータの文字認識を行う文字認識手段を備え、
前記識別情報は、FAX番号であり、
前記制御手段は、前記FAXデータを受信すると、受信したFAXデータの文字認識を前記文字認識手段に行わせ、文字認識結果に基づいて送信先のFAX番号の変更の有無を判断するFAXサーバ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−59111(P2012−59111A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202937(P2010−202937)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】