説明

サーバ装置、端末支援システムおよびプログラム

【課題】特殊貨幣の両替業務において、処理時間を短縮し、かつ識別の精度を向上させる。
【解決手段】ネットワークを介して端末装置100と接続されるサーバ装置200は、端末装置100と通信する通信部210、特殊貨幣の見本画像情報が格納された記憶部220、端末装置100から通信部210を介して取得した、端末装置100により入力された識別対象貨幣のキー情報に基づいて、記憶部220から識別対象貨幣に対応する特殊貨幣の見本画像情報を抽出する抽出部230、および抽出された見本画像情報を含む特殊貨幣の識別用情報を生成し、識別用情報を、通信部210を介して端末装置100に提供する情報生成部240を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ装置、端末支援システムおよびプログラムに関する。より詳しくは、金融機関などの営業店での両替業務を支援するための、サーバ装置、端末支援システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関などの営業店においては、両替業務が行われる。両替業務とは、窓口に顧客が持ち込んだ貨幣を、他の種類の貨幣に交換する業務である。このような両替業務においては、記念硬貨や旧貨幣など、現行の流通貨幣以外の特殊貨幣が取り扱われる場合がある。両替業務においては、持ち込まれた貨幣の識別(真偽判定を含む)が不可欠であるが、持ち込まれた貨幣が特殊貨幣である場合(このような場合の持ち込まれた貨幣を、以後「識別対象貨幣」という)、流通貨幣のように現金処理機を用いて識別することができず、識別は窓口のオペレータの目視によって行わざるをえない。この場合、一般的に、オペレータは、貨幣の見本画像、およびその他の特徴情報が記載された台帳を参照して識別対象貨幣の真偽を判定する。
【0003】
しかし、多種にわたる特殊貨幣の多くは、普段オペレータが接することがないものであるため、台帳の検索などに時間を要する場合が多い。さらに、台帳に記載されていない希少な特殊貨幣の場合、識別対象貨幣を顧客から一旦預かって専門家に送付し、真偽が判定された後日にようやく両替業務が続行される場合もある。このように、持ち込んだ貨幣の識別に時間がかかれば、顧客に不信感や不安感を与えかねない。また、目視のみによる比較では、識別対象貨幣の識別の精度が十分とはいえず、またオペレータの経験や熟練度による精度のばらつきを避けられない。
【0004】
そこで、特殊貨幣の確認を自動化する技術が開発されている。例えば、特許文献1には、記念硬貨を払い出すことができる両替機が記載されている。また、特許文献2には、蓄積された特殊硬貨の画像データと、受け入れられた硬貨の画像とを比較することによって、自動的に特殊硬貨を金種別に識別する硬貨識別装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−273990号公報
【特許文献2】特開2000−242822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載のように、予めストックされた記念硬貨を払い出す場合、両替の対象として持ち込まれる特殊貨幣の識別は従来どおり行わなければならないという問題がある。また、特許文献2に記載のように、蓄積された画像データと、装置に受け入れられた硬貨の画像データとの比較によって特殊貨幣を識別する場合、貨幣という対象の性質上、識別精度や信頼性に限界があり、最終的にはオペレータの目視によって特殊貨幣の識別を行わなければならないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、特殊貨幣の両替業務において、処理時間を短縮し、識別の精度を向上させることが可能な、新規かつ改良されたサーバ装置、端末支援システムおよびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ネットワークを介して端末装置と接続されるサーバ装置であって、上記端末装置と通信する通信部、特殊貨幣の見本画像情報が格納された記憶部、上記端末装置から上記通信部を介して取得した、上記端末装置により入力された識別対象貨幣のキー情報に基づいて、上記記憶部から上記識別対象貨幣に対応する上記特殊貨幣の見本画像情報を抽出する抽出部、および抽出された上記見本画像情報を含む上記特殊貨幣の識別用情報を生成し、上記識別用情報を、上記通信部を介して上記端末装置に提供する情報生成部を備えることを特徴とするサーバ装置が提供される。
【0009】
このような構成によって、端末装置のオペレータは、識別対象貨幣に適合する特殊貨幣の見本画像情報を容易かつ迅速に取得することができる。その結果、処理時間を短縮し、識別対象貨幣の識別の精度を向上させることができる。
【0010】
上記のサーバ装置において、上記記憶部には、上記特殊貨幣の特徴情報がさらに格納されており、上記抽出部は、上記キー情報に基づいて上記記憶部から上記特徴情報を抽出し、上記情報生成部は、抽出された上記特徴情報をさらに含む識別用情報を生成してもよい。このような構成によって、オペレータが、見本画像情報以外の、例えば文字情報を併用して識別対象貨幣の識別を行うことができ、識別の精度を向上させることができる。
【0011】
上記のサーバ装置において、上記特徴情報は、上記特殊貨幣に記載または刻印された、文字または図柄の情報を含んでもよい。また、上記特徴情報は、上記特殊貨幣の形状または寸法の情報を含んでもよい。また、上記特徴情報は、上記特殊貨幣の発行状況の情報を含んでもよい。また、上記特徴情報は、上記特殊貨幣の識別のために注意すべき事柄の情報を含んでもよい。このような構成によって、オペレータが多様な観点から識別対象貨幣の識別をするために有用な情報を得ることができ、識別の精度を向上させることができる。
【0012】
上記のサーバ装置において、上記キー情報は、上記識別対象貨幣の画像情報を含んでもよい。また、上記抽出部は、上記識別対象貨幣の画像情報から取得した、上記識別対象貨幣の形状または寸法の情報を上記キー情報として用いてもよい。また、上記識別対象貨幣の画像情報は、上記端末装置において非接触型スキャナを用いて取得された画像情報であってもよい。また、上記キー情報は、上記識別対象貨幣に記載または刻印された、文字または図柄の情報を含んでもよい。このような構成によって、端末装置の機能構成に合わせて、様々な種類のキー情報を取得してサーバ装置に提供することができる。その結果、例えば既存の端末装置の機能構成を活用してキー情報を提供することができる。
【0013】
上記のサーバ装置において、上記抽出部は、上記識別用情報が複数であった場合に上記端末装置から上記通信部を介して追加の上記キー情報を取得し、該追加の上記キー情報に基づいて、上記情報生成部が生成した複数の上記識別用情報を絞り込み、絞り込まれた上記識別用情報を、上記通信部を介して上記端末装置に提供してもよい。また、上記情報生成部は、上記情報生成部が生成した複数の上記識別用情報から、上記識別用情報の一覧情報を生成し、上記一覧情報を、上記通信部を介して上記端末装置に提供してもよい。このような構成によって、識別用情報を段階的に絞り込んでオペレータに提示し、識別対象貨幣に適合する特殊貨幣の識別用情報を確実に提供することができる。
【0014】
上記のサーバ装置において、営業店に設置される上記端末装置を通じて、上記端末装置のオペレータに上記識別用情報を提供することによって、上記営業店での両替業務における上記特殊貨幣の識別を支援してもよい。このような構成によって、特殊貨幣の両替業務において、処理時間を短縮し、かつ識別の精度を向上させることができる。また、特殊貨幣の情報をサーバ装置において一括して保持することによって、新規の記念貨幣の発行など、情報の更新に迅速に対応することができる。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、端末装置と、ネットワークを介して上記端末装置と接続されるサーバ装置とを含む端末支援システムであって、上記サーバ装置と通信する通信部、識別対象貨幣のキー情報を取得し、該取得したキー情報を、上記通信部を介して上記サーバ装置に提供する入力部、および上記通信部を介して上記サーバ装置から取得した識別用情報をオペレータに提供する表示部を備える端末装置と、上記端末装置と通信する通信部、特殊貨幣の見本画像情報が格納された記憶部、上記端末装置から上記通信部を介して取得した上記キー情報に基づいて、上記記憶部から、上記識別対象貨幣に対応する上記特殊貨幣の見本画像情報を抽出する抽出部、および抽出された上記見本画像情報を含む上記特殊貨幣の識別用情報を生成し、上記識別用情報を、上記通信部を介して上記端末装置に提供する情報生成部を備えるサーバ装置と、を含むことを特徴とする端末支援システムが提供される。
【0016】
上記の端末支援システムにおいて、上記端末装置の上記入力部は、スキャナを含み、上記キー情報は、上記スキャナを用いて取得された上記識別対象貨幣の画像情報を含んでもよい。また、上記スキャナは、スタンドスキャナであってもよい。また、上記キー情報は、上記画像情報から読み取った文字情報を含んでもよい。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明のさらに別の観点によれば、ネットワークを介して接続される端末装置と通信する手段、上記端末装置から上記通信する手段を介して取得した、上記端末装置における識別対象貨幣のキー情報に基づいて、特殊貨幣の見本画像情報が格納された記憶部から、上記識別対象貨幣に対応する上記特殊貨幣の上記見本画像情報を抽出する手段、および抽出された上記見本画像情報を含む上記特殊貨幣の識別用情報を生成し、上記識別用情報を、上記通信する手段を介して上記端末装置に提供する手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラムが提供される。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明のさらに別の観点によれば、表示部を備えた端末装置であって、上記端末装置は識別対象貨幣のキー情報を取得する入力部、特殊貨幣の見本画像情報が格納された記憶部、上記識別対象貨幣のキー情報に基づいて、上記記憶部から上記識別対象貨幣に対応する上記特殊貨幣の見本画像情報を抽出する抽出部、および抽出された上記見本画像情報を含む上記特殊貨幣の識別用情報を生成し、上記識別用情報を、表示部に表示する情報生成部を備えることを特徴とする端末装置が提供される。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、特殊貨幣の両替業務において、両替対象の特殊硬貨の見本画像を容易に確認することができるため、オペレータの目視による識別に要する処理時間を短縮することができる。
【0020】
また、見本画像と共にオペレータが特殊硬貨の識別を行なう際に注意すべき事柄を示す特徴情報を表示するようにしたため、オペレータの目視による特殊硬貨の識別の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る端末支援システムの構成の一例を示す図である。
【図2】同実施形態に係る端末装置およびサーバ装置の機能構成の一例を示す図である。
【図3】同実施形態に係るサーバ装置の記憶部に格納される、特殊貨幣の見本画像情報および特徴情報の一例を示す図である。
【図4】同実施形態に係るサーバ装置の情報生成部が生成して端末装置に提供する、ナビゲーション情報の一例を示す図である。
【図5】同実施形態に係るサーバ装置の情報生成部が生成して端末装置に提供する、識別用情報の一例を示す図である。
【図6】同実施形態に係る端末支援システムの、両替業務における処理を示すフローチャートである。
【図7】同実施形態に係るサーバ装置が識別用情報を端末装置に提供するための処理を示すフローチャートである。
【図8】同実施形態に係るサーバ装置の抽出部による識別用情報の抽出および絞り込みに用いられる情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
<システムの構成例>
まず、図1〜図5を参照して、本発明の一実施形態に係る端末支援システムの構成について説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る端末支援システム10の構成の一例を示す図である。図1を参照すると、端末支援システム10は、端末装置100、サーバ装置200、およびホストコンピュータ300を含み、これらはネットワーク400を介して相互に接続される。
【0025】
端末装置100は、金融機関などの営業店に設置され、営業店で行われる両替業務のオペレータによって操作される。オペレータは、両替業務に必要な情報を端末装置100に入力し、両替業務の結果、および両替業務を支援する情報を端末装置100から提供される。端末装置100は、例えばスキャナ、キーボード、マウスなどからなる入力部を有し、両替業務に関するオペレータの指示、および識別対象貨幣に関する情報を取得する。さらに、端末装置100は、取得した情報をサーバ装置200、またはホストコンピュータ300に送信する。ここで、端末装置100によって取得され、サーバ装置200に送信される、識別対象貨幣に関する情報を、識別対象貨幣のキー情報という。キー情報の具体的な内容については後述する。端末装置100は、さらに、サーバ装置200から、識別対象貨幣の識別のための識別用情報を受信し、例えばディスプレイなどの表示装置に表示することによってオペレータに提示する。また、端末装置100は、ホストコンピュータ300から取引結果情報を受信し、表示装置に表示することによってオペレータに提示するほか、プリンタを介して出力する。
【0026】
サーバ装置200は、ネットワーク400を介して営業店の端末装置100に接続されるサーバ装置である。図では、サーバ装置200は、1つの端末装置100に接続されているが、1つの営業店に設置される複数の端末装置100、または複数の営業店に設置される複数の端末装置100に接続されていてもよい。サーバ装置200は、特殊貨幣の見本画像情報およびその他の特徴情報を保持する。サーバ装置200は、端末装置から取得したキー情報に基づいて、保持している情報から特殊貨幣の識別のための識別用情報を生成し、端末装置100に提供する。サーバ装置200は、識別用情報の他に、例えば取引の順番表示、注意事項の説明、取引時の作業チェック項目などの情報を、端末装置100に提供してもよい。サーバ装置200は、端末装置100を通じて、端末装置100のオペレータに識別用情報を提供することによって、営業店での両替業務における特殊貨幣の識別を支援する。
【0027】
ホストコンピュータ300は、ネットワーク400を介して端末装置100に接続されるホストコンピュータである。ホストコンピュータ300は、勘定元帳、顧客情報など、金融機関における取引に必要な情報を保持する。ホストコンピュータ300は、両替業務に関するオペレータの指示のうち、取引の実行に関するものを端末装置100から受信する。ホストコンピュータ300は、受信した情報に基づいて取引を実行し、その結果を取引結果情報として端末装置100に送信する。
【0028】
ネットワーク400は、端末装置100、サーバ装置200、およびホストコンピュータ300を相互に接続し、通信を可能にする。ネットワーク400には、例えば専用線、またはVPN(Virtual Private Network)などを用いることができる。
【0029】
図2は、本発明の一実施形態に係る端末装置100およびサーバ装置200の機能構成の一例を示す図である。
【0030】
図2を参照して、まず、端末装置100の機能構成について説明する。端末装置100は、通信部110、入力部120、表示装置130、および制御部140を含む。入力部120はさらに、スキャナ122およびキーボード/マウス124を含む。
【0031】
通信部110は、LAN(Local Area Network)などのネットワークインタフェース(図示せず)を介して、サーバ装置200と通信する。通信部110は、入力部120が取得した、識別対象貨幣のキー情報を含む情報を、サーバ装置200、またはホストコンピュータ300に送信する。また、通信部110は、サーバ装置200、またはホストコンピュータ300から受信した、識別対象貨幣の識別のための識別用情報を、表示装置130、またはプリンタ(図示せず)に提供する。
【0032】
スキャナ122は、識別対象貨幣の画像情報を取得する。取得された画像情報は、識別対象貨幣のキー情報として、通信部110を介してサーバ装置200に提供される。スキャナ122は、例えば、スタンドスキャナと呼ばれる、机上に置いた原稿を非接触で読み取る種類のスキャナであってもよい。スタンドスキャナは、端末装置100を用いる他の業務において、例えば伝票や本人確認書類の読み取りのために既に用いられるものを利用してもよい。その場合、スキャナ122を新たに設置する必要がなく、端末支援システム10の導入時のコストを抑えることができる。
【0033】
キーボード/マウス124は、例えばマウスによる画面上のユーザインタフェースの操作、キーボードによる文字入力などによって、オペレータによる処理選択、取引指示、金額などの入力を取得する。これらの入力は、通信部110を介してサーバ装置200またはホストコンピュータ300に送信される。また、キーボード/マウス124は、識別対象貨幣のキー情報を取得する。キーボード/マウス124によって取得されるキー情報は、例えば識別対象貨幣に記載または刻印された文字または図柄の情報などの、文字による情報である。取得されたキー情報は、通信部110を介してサーバ装置200に提供される。
【0034】
表示装置130は、端末装置100の表示部として機能する、例えばディスプレイである。表示装置130は、サーバ装置200、またはホストコンピュータ300から通信部110を介して取得した情報を表示し、オペレータに提示する。オペレータは、表示装置130によって見本画像情報を含む識別用情報を参照し、識別対象貨幣の識別に活用することができる。
【0035】
制御部140は、通信部110、入力部120、表示装置130、およびプリンタ(図示せず)などの、端末装置100の各部を制御する。また、制御部140は、通信部110を介してホストコンピュータ300との間で送受信される情報を、ホストコンピュータ300において用いられる電文の形式に編集または解読する。さらに、制御部140は、入力部120のスキャナ122によって取得された識別対象貨幣の画像情報を、例えばOCR(Optical Character Reader)などによって処理して文字情報を読み取り、読み取った文字情報をキー情報として、通信部110を介してサーバ装置200に提供してもよい。
【0036】
なお、識別対象貨幣の画像情報から文字情報を読み取る処理は、必ずしも端末装置100の制御部140において行われなくてもよく、サーバ装置200の制御部250において行われてもよい。端末装置100の制御部140が、例えば伝票や本人確認書類などの他の書類の画像情報から文字情報を読み取るOCRなどの機能を有する場合は、この機能を活用してもよい。
【0037】
上記の端末装置100の構成要素のうち、通信部110、および制御部140は、例えばIC(Integrated Circuit)などを含む回路構成によってハードウェアとして実装されてもよく、またHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部(図示せず)に格納されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)が実行することによってソフトウェアとして実装されてもよい。
【0038】
引き続き図2を参照して、次に、サーバ装置200の機能構成について説明する。サーバ装置200は、通信部210、記憶部220、抽出部230、情報生成部240、および制御部250を含む。
【0039】
通信部210は、LANなどのネットワークインタフェース(図示せず)を介して、端末装置100と通信する。通信部210は、端末装置100から受信した、識別対象貨幣のキー情報を含む情報を、抽出部230、または制御部250に提供する。また、通信部210は、情報生成部240から提供された、識別用情報を含む情報を、端末装置100に送信する。
【0040】
記憶部220には、特殊貨幣の見本画像情報が予め格納されている。ここで、特殊貨幣とは、現行の流通貨幣以外の貨幣である。記憶部220にはさらに、例えば特殊貨幣に記載または刻印された文字または図柄の情報、特殊貨幣の形状または寸法の情報、特殊貨幣の発行状況の情報、特殊貨幣の識別のために注意すべき事柄の情報などの、特殊貨幣の特徴情報が格納されてもよい。見本画像情報および特徴情報は、例えばテーブル構造を有するデータベースとして、記憶部220に格納される。また、記憶部220には、サーバ装置200における処理に用いられる情報が一時的に格納されてもよい。例えば、記憶部220には、情報生成部240が生成した複数の識別用情報が一時的に格納されてもよい。ここで、図3を参照して、記憶部220に格納される、特殊貨幣の見本画像情報および特徴情報についてさらに説明する。
【0041】
図3は、記憶部220に格納される、特殊貨幣の見本画像情報および特徴情報の一例を示す図である。図3を参照すると、3種類の記念硬貨についての、見本画像情報および特徴情報が図示されている。ここで、見本画像情報および特徴情報は、例えば以下の2つの目的のために、記憶部220に格納される。1つは、識別用情報として端末装置100に提供され、識別対象貨幣の識別に活用されることである。もう1つは、端末装置100から取得したキー情報と照合され、識別対象貨幣がどの種類の特殊貨幣であるかを判断することである。以下で、見本画像情報および特徴情報のそれぞれについて、上記の2つの観点から説明する。
【0042】
見本画像情報は、各特殊貨幣の表面および裏面の画像情報である。営業店で両替業務を行うオペレータは、端末装置100を通じて見本画像情報を提示され、実際の識別対象貨幣と目視で比較することによって、識別対象貨幣の識別を行う。そのため、見本画像情報は、特殊貨幣に記載または刻印された文字または図柄が鮮明に確認できる画像であることが望ましい。
【0043】
記念行事情報は、特殊貨幣の種類を特定するためのキーワードとして用いることができる。例えば、識別対象貨幣を持ち込んだ顧客から「これは日本万国博覧会の記念硬貨」等の情報が得られた場合、記念行事情報によって特殊貨幣の種類を特定することが考えられる。
【0044】
年銘、図柄(表)、図柄(裏)、および額面は、各特殊貨幣に記載または刻印された文字または図柄の情報である。例えば、見本画像情報のみによっては、何が記載または刻印されているかを十分に把握できない場合に、記載または刻印の内容が文字情報として提示されることによって、識別対象貨幣の識別をより確実に行うことができる。また、同じような額面や寸法の特殊貨幣が多数存在する場合に、識別対象貨幣に記載または刻印されている文字または図柄をキー情報とすることによって、識別対象貨幣にあてはまる特殊貨幣を的確に検索することができる。
【0045】
直径、穴の大きさ、素材及び品位、量目、および縁は、各特殊貨幣の寸法、形状、または成分の情報である。貨幣の識別においては、寸法、形状、および成分の重要な情報である。例えば、寸法は、後述するように識別対象貨幣のキー情報である画像情報から認識できる場合があり、その場合、実際の識別対象貨幣の寸法と、特殊貨幣の特徴情報に含まれる寸法とをあわせてオペレータに提示し、オペレータによる実際の寸法と見本の寸法との比較を容易にすることができる。
【0046】
発行枚数、および一般引換開始日は、各特殊貨幣の発行状況の情報である。これらの情報は、識別対象貨幣の真偽を判定するための付加的な情報として用いることができる。例えば、発行枚数の少ない特殊貨幣、一般引換開始日が古すぎたり新しすぎたりする貨幣などが大量に持ち込まれた場合、オペレータはより注意して識別対象貨幣の識別を行うことが考えられる。
【0047】
類似硬貨の有無、および過去の犯罪履歴は、各特殊貨幣の識別のために注意すべき事柄の情報である。これらの情報も、識別対象貨幣の真偽を判定するための付加的な情報として用いることができる。例えば、類似硬貨が存在する特殊貨幣の場合、オペレータは、より注意して識別対象貨幣の種類の特定を行うことが考えられる。また、過去の偽造犯罪履歴がある特殊貨幣の場合、オペレータはより注意して識別対象貨幣の識別を行うことが考えられる。
【0048】
特徴情報には、図3において例示された情報の他にも、各特殊貨幣の特徴となるさまざまな情報が含まれうる。例えば、肉眼では見えない微細な部分に存在する、識別対象貨幣の識別のポイントの情報が含まれてもよい。また、特殊貨幣に接する機会の少ないオペレータのために、識別対象貨幣の識別にあたって注目すべき部位を示す情報(例えば、「花の数に注目」や、「YENのNの字に注目」といったような)が含まれてもよい。
【0049】
再び図2を参照して、抽出部230は、端末装置100から通信部210を介して取得したキー情報に基づいて、記憶部220から、識別対象貨幣に対応する特殊貨幣の見本画像情報および特徴情報を抽出する。ここで、キー情報は、例えば“図柄(表)=聖火台”、“年銘=昭和39年 かつ 額面情報=100円”のように、識別用情報を抽出する際の条件として用いられる。キー情報としては、記憶部220において特殊貨幣に関連付けられている情報、つまり図3を参照して説明した情報のうち、どの情報が用いられてもよい。抽出部230で抽出した見本画像情報及び特徴情報は、制御部250により情報生成部240に提供される。また、抽出部230は、端末装置100から通信部210を介して追加のキー情報を取得し、追加のキー情報に基づいて、情報生成部240が生成した複数の識別用情報を絞り込み、絞り込まれた識別用情報を、制御部250が通信部210を介して端末装置100に提供してもよい。これはつまり、情報生成部240によって生成される識別用情報が複数存在する場合に、これを一時的に記憶部220に格納し、端末装置100から取得した追加のキー情報に基づいてさらに絞り込んだ上で、端末装置100に提供するということである。識別用情報の絞込みの処理については、両替業務における処理例においてより詳しく説明する。
【0050】
情報生成部240は、抽出部230によって抽出された、特殊貨幣の見本画像情報および特徴情報から、特殊貨幣の識別用情報を生成する。情報生成部240で生成した識別用情報は、制御部250により通信部210を介して端末装置100に提供する。ここで、生成された識別用情報が複数の場合、情報生成部240は、これらの識別用情報を一時的に記憶部220に格納してもよい。記憶部220に一時的に格納された複数の識別用情報は、上記のように抽出部230によって絞り込まれた上で、通信部210を介して端末装置100に提供される。この場合、情報生成部240は、記憶部220に一時的に格納された複数の識別用情報から、識別用情報の一覧情報を生成し、制御部250により一覧情報を、通信部210を介して端末装置100に提供してもよい。また、情報生成部240は、例えば取引の順番表示、注意事項の説明、取引時の作業チェック項目など、営業店での両替業務を支援するその他の情報を生成し、通信部210を介して端末装置100に提供してもよい。ここで、図4および図5を参照して、情報生成部240が生成して制御部250により端末装置100に提供する情報についてさらに説明する。
【0051】
なお、本実施例における生成とは、見本画像や特徴情報を組み合わせて端末表示用の画面を構成するものとしているが、予め用意した上記端末表示用の画面を取得することも含むものとする。
【0052】
図4は、情報生成部240が生成して制御部250により端末装置100に提供する、ナビゲーション情報501の一例を示す図である。図4を参照すると、ナビゲーション情報501は、両替業務の開始時に、両替の勘定取引画面511とともに、端末装置100の表示装置130に表示される。ナビゲーション情報501には「確認してください」というオペレータの確認を促すメッセージとともに、「手数料が必要な場合はお客様に手数料金額を伝えて徴求の了承を得ましたか。」など、取引時の作業チェック項目が表示される。オペレータは、ナビゲーション情報501に表示された作業チェック項目を確認することによって、両替業務を確実に遂行することができる。
【0053】
図5は、情報生成部240が生成して制御部250により端末装置100に提供する、識別用情報503の一例を示す図である。図5を参照すると、識別用情報503は、特殊貨幣の見本画像情報と、特徴情報のうちの記念行事、額面、直径、量目、および年銘の情報とを含む。識別用情報503は、例えば、図4を参照して説明したナビゲーション情報501が表示された画面にポップアップするような形で、端末装置100の表示装置130に表示されてもよい。識別用情報503に含まれる特徴情報は、図示された例以外にも、実際の両替業務における必要に応じて適宜設定されうる。例えば、識別用情報503は、類似硬貨の有無の情報を含み、類似硬貨との見間違いに注意すべき硬貨であることをオペレータに知らせてもよい。また、識別用情報503は、過去の犯罪履歴の情報を含み、偽造品に注意すべき硬貨であることをオペレータに知らせてもよい。さらに、識別用情報503のうち、「(識別35.0mm)」とあるのは、端末装置100において取得した識別対象貨幣の画像情報から読み取った識別対象貨幣の実際の直径である。このように、識別用情報503は、実際の識別対象貨幣に関する情報を、識別用情報との比較のために含んでもよい。
【0054】
再び図2を参照して、制御部250は、サーバ装置200の各部を制御する。また、制御部250は、通信部210を介して端末装置100から取得した識別対象貨幣の画像情報から、識別対象貨幣の形状および寸法の情報を取得して抽出部230に提供してもよい。このようにして抽出部230に提供された、識別対象貨幣の形状及び寸法の情報は、抽出部230において、記憶部220から特殊貨幣の見本画像情報および特徴情報を抽出するためのキー情報として用いられる。例えば、制御部250は、端末装置100のスキャナ122として用いられるスタンドスキャナの読み取り距離を用いて、画像データ上の寸法から識別対象貨幣の寸法を計算してもよい。また、端末装置100においてスキャナ122を用いて画像データを取得する際に、識別対象貨幣とともに所定のスケールを含む画像データが取得されるようにスキャナ122を設定し、制御部250は、そのスケールとの対比により識別対象貨幣の寸法を求めてもよい。なお、ここで求められる寸法は、硬貨の直径、紙幣の縦および横の寸法だけでなく、硬貨の穴の大きさを含んでもよい。
【0055】
なお、上記のサーバ装置200の構成要素のうち、記憶部220は、HDD、RAM(Random Access Memory)などの記憶装置、またはリムーバブル記憶媒体を必要に応じて組み合わせて実装される。それ以外の構成要素は、例えばICなどを含む回路構成によってハードウェアとして実装されてもよく、また記憶部220に格納されたプログラムをCPUが実行することによってソフトウェアとして実装されてもよい。
【0056】
また、本実施例では制御部250が情報生成部240で生成された識別用情報を、通信部210を介して端末装置100に提供するための仲立ちをしている構成として説明したが、情報生成部240が識別用情報を生成後に、端末装置100に提供するようにしても良い。
【0057】
<両替業務における処理例>
次に、図6〜図8を参照して、本発明の一実施形態に係る端末支援システムを用いた両替業務における処理例について説明する。
【0058】
図6は、本発明の一実施形態に係る端末支援システム10の、両替業務における処理を示すフローチャートである。図6を参照すると、まず、端末装置100の制御部140が、キーボード/マウス124を介して、オペレータによる両替業務開始指示を取得する(ステップS101)。両替業務開始指示は、端末装置100のキーボード/マウス124において、例えば所定の画面番号の入力として取得されてもよい。
【0059】
次に、端末装置100の制御部140は、ステップS101において取得した両替業務開始指示を、通信部110を介してサーバ装置200に送信する。通信部210を介して両替業務開始指示を受信したサーバ装置200の制御部250は、情報生成部240にナビゲーション情報を生成させ、生成されたナビゲーション情報を、通信部210を介して端末装置100に送信させる。通信部110を介してナビゲーション情報を受信した端末装置100の制御部140は、ナビゲーション情報を、表示装置130を介してオペレータに提供する(ステップS103)。
【0060】
次に、端末装置100の制御部140は、入力部120を介して、識別対象貨幣に関するキー情報を取得し、取得したキー情報を、通信部110を介してサーバ装置200に送信する。通信部210を介してキー情報を取得したサーバ装置200の制御部250は、抽出部230、および情報生成部240を用いて生成した、識別対象貨幣のための識別用情報を、通信部210を介して端末装置100に送信する。通信部110を介して識別用情報を受信した端末装置100の制御部140は、識別用情報を、表示装置130を介してオペレータに提供する(ステップS105)。ステップS105における処理については、後でさらに詳しく説明する。
【0061】
次に、端末装置100の制御部140は、入力部120を介して、オペレータによる識別対象貨幣の識別結果を取得し、オペレータによって識別対象貨幣が本物と判定されたか否かを判定する(ステップS107)。ここで、識別対象貨幣が本物と判定された場合には、両替業務が続行される。この場合、端末装置100の制御部140は、続いて、入力部120を介して両替金額入力を取得し(ステップS109)、さらに手数料金額入力を取得する(ステップS111)。次に、端末装置100の制御部140は、通信部110を介してホストコンピュータ300と通信し、入力された両替金額および手数料金額に基づいて、両替取引を実行する(ステップS113)。
【0062】
一方、ステップS107において、識別対象貨幣が本物と判定されなかった場合(例えば、オペレータが識別対象貨幣を偽物であると判定した場合、オペレータが識別対象貨幣に該当する特殊貨幣が存在しないと判定した場合など)には、両替業務が中止される(ステップS115)。
【0063】
図7は、図6のステップS105において行われる、サーバ装置200が識別用情報を端末装置100に提供するための処理を示すフローチャートである。図7を参照すると、まず、端末装置100が、入力部120を介して、識別対象貨幣の画像情報および額面情報を取得する(ステップS201)。例えば、識別対象貨幣の画像情報は、端末装置のスキャナ122によって取得されうる。また、識別対象貨幣の額面情報は、キーボード/マウス124を介したオペレータの入力によって、または、制御部140における、識別対象貨幣の画像情報に対するOCR処理によって取得されうる。ここで取得された、識別対象貨幣の画像情報および額面情報は、端末装置100およびサーバ装置200において、識別対象貨幣のキー情報として扱われる。
【0064】
次に、端末装置100の制御部140は、取得した上記のキー情報を、通信部110を介してサーバ装置200に送信する。通信部210を介して、上記のキー情報を取得したサーバ装置の制御部250は、上記のキー情報のうちの画像情報から、識別対象貨幣の形状および寸法を認識する(ステップS203)。識別対象貨幣の形状は、例えば、円であるか、長方形であるかというように認識される。形状が円であると認識されれば、識別対象貨幣は硬貨であると推定され、形状が長方形であると認識されれば、識別対象貨幣は紙幣であると推定される。また、識別対象貨幣の寸法は、例えば、形状が円であれば円の直径、穴があれば穴の大きさ、形状が長方形であれば縦および横の寸法をそれぞれ含む。
【0065】
次に、サーバ装置200の制御部250は、キー情報のうちの額面の情報に基づいて、抽出部230に見本画像情報および特徴情報を抽出させ、さらに、抽出された情報に基づいて、情報生成部240に識別用情報を生成させ、記憶部220に一時的に格納する(ステップS205)。さらに、制御部250は、キー情報のうちの画像情報から認識した形状および寸法の情報に基づいて、抽出部230に識別用情報を絞り込ませる(ステップS207)。ステップS207における抽出および絞込みの処理について、図8を参照してさらに説明する。
【0066】
図8は、抽出部230による識別用情報の抽出および絞り込みに用いられる情報の一例を示す図である。図8を参照すると、各種の硬貨は、額面情報、形状(硬貨であるか紙幣であるか)、および寸法(直径および穴の大きさ)によって絞り込まれる。例えば、図8の例において、識別対象貨幣の額面情報が50円である場合、3種類の五十円貨が抽出される。さらに、識別対象貨幣の直径が25.0mmである場合、2種類の五十円ニッケル貨が絞り込まれる。その上さらに、識別対象貨幣の寸法の情報として、穴の大きさ6.0mmが認識されていれば、これを用いて、穴がある五十円ニッケル貨を特定することができる。
【0067】
再び図7を参照して、次に、サーバ装置200の制御部250は、ステップS207において絞り込まれた識別用情報が複数存在するか否かを判定する(ステップS209)。ここで、識別用情報が複数存在する場合には、制御部250は、識別用情報をさらに絞り込む。この場合、サーバ装置200の制御部250は、続いて、記憶部220に一時的に格納されている複数の識別用情報を取得して、情報生成部240に提供する。情報生成部240は、複数の識別用情報を一覧形式に編集して、識別用情報の一覧情報を生成し、制御部250は生成された一覧情報を、通信部210を介して端末装置100へ送信する。通信部110を介して一覧情報を受信した端末装置100の制御部140は、一覧情報を、表示装置130を介してオペレータに提供する(ステップS211)。
【0068】
次に、端末装置100の制御部140は、入力部120を介して、識別対象貨幣のキーワード情報の入力を取得する(ステップS213)。ここで、キーワード情報は、例えば、識別対象貨幣に記載または刻印された、文字または図柄の情報である。オペレータは、例えば、キーワード情報として、端末装置100のキーボード/マウス124を用いて、「昭和45年」という、識別対象貨幣に刻印された年銘を入力してもよい。また、「富士山」という、識別対象貨幣の図柄の名称を入力してもよい。ここで取得された、識別対象貨幣のキーワード情報は、端末装置100およびサーバ装置200において、識別対象貨幣の追加のキー情報として扱われる。
【0069】
次に、端末装置100の制御部140は、上記の追加のキー情報を、通信部110を介してサーバ装置200に送信する。通信部210を介して、上記の追加のキー情報を取得したサーバ装置200の制御部250は、追加のキー情報を抽出部230に提供する。抽出部230は、追加のキー情報であるキーワード情報に基づいて、情報生成部240が生成し、記憶部220に一時的に格納された複数の識別用情報を絞り込む(ステップS215)。例えば、上記の例のように「昭和45年」、「富士山」などのキーワードが取得された場合、抽出部230は、“年銘=昭和45年”、“図柄(表)が「富士山」を含む または 図柄(裏)が「富士山」を含む”などのような条件によって、記憶部220に一時的に格納された識別用情報を絞り込む。
【0070】
ステップS215において、キーワード情報を用いて識別用情報を絞り込んだ後、サーバ装置の制御部250は、ステップS209に戻り、識別用情報が複数存在するか否かを再び判定する。ここで、識別用情報が複数存在する場合、制御部250は、識別用情報をさらに絞り込むために、ステップS211〜ステップS215の処理を再び実行する。一方、ステップS209において、識別用情報が複数存在しない場合、つまり、絞り込まれた識別用情報が1件になった場合、制御部250は、絞り込まれた識別用情報を、通信部210を介して端末装置100に提供する。通信部110を介して識別用情報を受信した端末装置100の制御部140は、識別用情報を、表示装置130を介してオペレータに提供する(ステップS217)。
【0071】
<変形例>
例えば、図7において説明された、識別用情報をオペレータに提供するための処理において、ステップS201で端末装置100が取得する識別対象貨幣のキー情報は、額面情報および画像情報以外の情報であってもよい。例えば、端末装置100がスキャナ122を備えない構成であるような場合には、例えば画像情報の代わりにキーワード情報が取得されてもよいし、額面情報のみが取得されてもよい。このような構成によって、端末装置100の機能構成に合わせて、効果的に両替業務の支援を行うことができる。
【0072】
また、図7のステップS211において、一覧情報をオペレータに提供した後、端末装置100は、オペレータが一覧情報に含まれる識別用情報から任意の識別用情報を選択するための入力を取得し、その入力に従って、サーバ装置200から識別用情報が提供されてもよい。このような構成によって、識別対象貨幣からキーワード情報を導きづらい場合(例えば、刻印が薄い、図柄に描かれているのが何かわからない、など)でも、オペレータが候補となりうるいくつかの特殊貨幣の見本画像情報を見ることができ、識別対象貨幣と見比べることによって、識別対象貨幣の種類を特定することができる。
【0073】
また、上記実施例によるサーバ装置の記憶部、抽出部、および情報生成部を端末装置が備えているものとしてもよい。このような構成によって、端末装置の入力部により取得した識別対象貨幣のキー情報をサーバ装置に提供することなく、端末装置に備えた抽出部により見本画像及び特徴情報を抽出し、抽出した各情報に基づいて情報生成部が識別用情報を生成して端末装置の表示部に表示するように構成することで、サーバ装置との通信手段がなくとも本発明による特殊硬貨の両替業務の支援を行なうことができる。
【0074】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0075】
10 端末支援システム
100 端末装置
110 通信部
120 入力部
122 スキャナ
130 表示装置
140 制御部
200 サーバ装置
210 通信部
220 記憶部
230 抽出部
240 情報生成部
250 制御部
400 ネットワーク
503 識別用情報


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して端末装置と接続されるサーバ装置であって、
前記端末装置と通信する通信部、
特殊貨幣の見本画像情報が格納された記憶部、
前記端末装置から前記通信部を介して取得した、前記端末装置により入力された識別対象貨幣のキー情報に基づいて、前記記憶部から前記識別対象貨幣に対応する前記特殊貨幣の見本画像情報を抽出する抽出部、および
抽出された前記見本画像情報を含む前記特殊貨幣の識別用情報を生成し、前記識別用情報を、前記通信部を介して前記端末装置に提供する情報生成部
を備えることを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
前記記憶部には、前記特殊貨幣の特徴情報がさらに格納されており、
前記抽出部は、前記キー情報に基づいて前記記憶部から前記特徴情報を抽出し、
前記情報生成部は、抽出された前記特徴情報をさらに含む識別用情報を生成する
ことを特徴とする、請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記特徴情報は、前記特殊貨幣に記載または刻印された、文字または図柄の情報を含む
ことを特徴とする、請求項2に記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記特徴情報は、前記特殊貨幣の形状または寸法の情報を含む
ことを特徴とする、請求項2または3に記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記特徴情報は、前記特殊貨幣の発行状況の情報を含む
ことを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記特徴情報は、前記特殊貨幣の識別のために注意すべき事柄の情報を含む
ことを特徴とする、請求項2〜5のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項7】
前記キー情報は、前記識別対象貨幣の画像情報を含む
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項8】
前記抽出部は、前記識別対象貨幣の画像情報から取得した、前記識別対象貨幣の形状または寸法の情報を前記キー情報として用いる
ことを特徴とする、請求項7に記載のサーバ装置。
【請求項9】
前記識別対象貨幣の画像情報は、前記端末装置において非接触型スキャナを用いて取得された画像情報である
ことを特徴とする、請求項7または8に記載のサーバ装置。
【請求項10】
前記キー情報は、前記識別対象貨幣に記載または刻印された、文字または図柄の情報を含む
ことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項11】
前記抽出部は、前記識別用情報が複数であった場合に前記端末装置から前記通信部を介して追加の前記キー情報を取得し、該追加の前記キー情報に基づいて、前記情報生成部が生成した複数の前記識別用情報を絞り込み、絞り込まれた前記識別用情報を、前記通信部を介して前記端末装置に提供する
ことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項12】
前記情報生成部は、前記情報生成部が生成した複数の前記識別用情報から、前記識別用情報の一覧情報を生成し、前記一覧情報を、前記通信部を介して前記端末装置に提供する
ことを特徴とする、請求項11に記載のサーバ装置。
【請求項13】
営業店に設置される前記端末装置を通じて、前記端末装置のオペレータに前記識別用情報を提供することによって、前記営業店での両替業務における前記特殊貨幣の識別を支援する
ことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項14】
端末装置と、ネットワークを介して前記端末装置と接続されるサーバ装置とを含む端末支援システムであって、
前記サーバ装置と通信する通信部、
識別対象貨幣のキー情報を取得し、該取得したキー情報を、前記通信部を介して前記サーバ装置に提供する入力部、および
前記通信部を介して前記サーバ装置から取得した識別用情報をオペレータに提供する表示部
を備える端末装置と、
前記端末装置と通信する通信部、
特殊貨幣の見本画像情報が格納された記憶部、
前記端末装置から前記通信部を介して取得した前記キー情報に基づいて、前記記憶部から、前記識別対象貨幣に対応する前記特殊貨幣の見本画像情報を抽出する抽出部、および
抽出された前記見本画像情報を含む前記特殊貨幣の識別用情報を生成し、前記識別用情報を、前記通信部を介して前記端末装置に提供する情報生成部
を備えるサーバ装置と、
を含むことを特徴とする端末支援システム。
【請求項15】
前記端末装置の前記入力部は、スキャナを含み、
前記キー情報は、前記スキャナを用いて取得された前記識別対象貨幣の画像情報を含む
ことを特徴とする、請求項14に記載の端末支援システム。
【請求項16】
前記スキャナは、スタンドスキャナである
ことを特徴とする、請求項15に記載の端末支援システム。
【請求項17】
前記キー情報は、前記画像情報から読み取った文字情報を含む
ことを特徴とする、請求項15または16に記載の端末支援システム。
【請求項18】
ネットワークを介して接続される端末装置と通信する手段、
前記端末装置から前記通信する手段を介して取得した、前記端末装置における識別対象貨幣のキー情報に基づいて、特殊貨幣の見本画像情報が格納された記憶部から、前記識別対象貨幣に対応する前記特殊貨幣の前記見本画像情報を抽出する手段、および
抽出された前記見本画像情報を含む前記特殊貨幣の識別用情報を生成し、前記識別用情報を、前記通信する手段を介して前記端末装置に提供する手段
としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項19】
表示部を備えた端末装置であって、
前記端末装置は識別対象貨幣のキー情報を取得する入力部、
特殊貨幣の見本画像情報が格納された記憶部、
前記識別対象貨幣のキー情報に基づいて、前記記憶部から前記識別対象貨幣に対応する前記特殊貨幣の見本画像情報を抽出する抽出部、および
抽出された前記見本画像情報を含む前記特殊貨幣の識別用情報を生成し、前記識別用情報を、表示部に表示する情報生成部、
を備えることを特徴とする端末装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−253364(P2011−253364A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126978(P2010−126978)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】