説明

サーバ装置、通信システムおよびネットワーク装置

【課題】着信側の端末にとって未知の端末から通話の要求を受けた場合であっても、着信側の端末にその要求に応ずるか否かを判断するための情報を提供するとともに、その情報を提供し得ない場合に、発信側の端末と着信側の端末との間に通話路を接続する前に、着信を拒否する。
【解決手段】記憶部12の証明DB121は、電話番号とその電話番号を割り当てられた端末のユーザを証明する証明情報とを対応付けて記憶する。検出部111は、発信側端末から着信側端末への通話を要求する発信を検出する。特定部112は、検出された発信の内容から発信側端末の電話番号を抽出し、その電話番号に対応する証明情報を証明DB121から特定することを試みる。接続部114は、証明情報が特定された場合にその証明情報とともに発信側端末の電話番号を着信側端末へ送信して両端末間を通話路によって接続し、証明情報が特定されない場合に通話路を接続しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発信側の端末のユーザを証明する証明情報を着信側の端末に提供するサーバ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電話を利用した悪質な勧誘に対抗するため、発信側の電話番号を着信側に確認させるサービスが普及している。着信側の端末のユーザは、その電話番号が知人のものでない場合に、着信を拒否するように設定することができる。しかしながら、初めて着信を受ける相手の中には悪質な勧誘を目的としていない者もあり、着信側の端末のユーザがその着信を望む場合もある。したがって、未知の電話番号の全てに対して着信拒否をすることは望ましくないことがある。そこで、悪質な勧誘電話などへの応答を回避しつつ、初めて着信を受けた相手であっても安心して通話するための技術が検討されている。特許文献1には、着信側の端末(電話機)が発信側の端末の電話番号を取得して、これに応じた情報をサーバへ要求し、サーバからその情報を取得してその内容を表示するIP電話システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−33586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、着信側の端末がサーバに情報を要求しなければならないため、発信側の端末の電話番号に応じた情報を取得するためには、発信側の端末と着信側の端末との間に通話路を形成する必要があり、通信資源が浪費されることがあった。
【0005】
本発明は、着信側の端末にとって未知の端末から通話の要求を受けた場合であっても、着信側の端末にその要求に応ずるか否かを判断するための情報を提供するとともに、その情報を提供し得ない場合に、発信側の端末と着信側の端末との間を通話路によって接続する前に、着信を拒否することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明に係るサーバ装置は、電話番号と当該電話番号を割り当てられた端末のユーザを証明する証明情報とを対応付けて記憶する情報記憶手段と、端末から他の端末へ通話を要求する発信を検出する検出手段と、検出された前記発信の内容から当該発信をした端末の電話番号を抽出し、当該電話番号に対応する前記証明情報を前記情報記憶手段から特定する特定手段と、前記特定手段により前記証明情報が特定された場合に、当該証明情報とともに前記端末の電話番号を前記他の端末へ送信して当該端末と当該他の端末とを通話路によって接続し、前記特定手段により前記証明情報が特定されなかった場合に、当該端末と当該他の端末とを接続しない接続手段とを具備することを特徴とする。
【0007】
好ましくは、電話番号と当該電話番号を割り当てられた端末における着信の拒否の設定とを対応付けて記憶する設定記憶手段と、前記特定手段により前記証明情報が特定されなかった場合に、前記発信の内容が示す前記他の端末の電話番号と、前記設定記憶手段の記憶内容に基づいて、当該他の端末が着信を拒否するか否かを判定する判定手段とを具備し、前記接続手段は、前記判定手段により前記他の端末が着信を拒否しないと判定された場合に、前記発信をした端末の電話番号を前記他の端末へ送信して当該端末と当該他の端末とを通話路によって接続するとよい。
【0008】
また、本発明に係る通信システムは、上述のサーバ装置と、前記サーバ装置により接続される複数の端末とを具備し、前記端末は、前記サーバ装置から前記証明情報が送信された場合には、当該証明情報をユーザに報知することを特徴とする。
【0009】
好ましくは、複数の前記サーバ装置を具備し、複数の前記サーバ装置は、前記端末の電話番号に対応する前記証明情報を、自身を識別する識別情報とともに前記着信側端末へそれぞれ送信し、前記端末は、前記サーバ装置から前記識別情報とともに前記証明情報が送信された場合には、当該識別情報および当該証明情報をユーザに報知するとよい。
【0010】
また、本発明に係るネットワーク装置は、端末から他の端末へ通話を要求する発信を検出する検出手段と、検出された前記発信の内容から当該発信をした端末の電話番号を抽出し、当該電話番号に対応する前記証明情報をサーバ装置に要求する要求手段と、前記要求手段による要求に応じて前記サーバ装置から前記照明情報を取得する取得手段と、前記取得手段が前記証明情報を取得した場合に、当該証明情報とともに前記端末の電話番号を前記他の端末へ送信して当該端末と当該他の端末とを通話路によって接続し、前記取得手段が前記証明情報を取得しなかった場合に、当該端末と当該他の端末とを接続しない接続手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、着信側の端末にとって未知の端末から通話の要求を受けた場合であっても、着信側の端末にその要求に応ずるか否かを判断するための情報を提供するとともに、その情報を提供し得ない場合に、発信側の端末と着信側の端末との間を通話路によって接続する前に、着信を拒否することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係る通信システムの概要を示す図である。
【図2】サーバ装置の構成を示す図である。
【図3】証明DBの一例を示す図である。
【図4】着信拒否DBの一例を示す図である。
【図5】サーバ装置の機能的構成を示す図である。
【図6】端末の構成を示す図である。
【図7】番号表の一例を示す図である。
【図8】通信システムの通話段階におけるサーバ装置の動作を説明するためのフロー図である。
【図9】通信システムの通話段階における端末の動作を説明するためのフロー図である。
【図10】通信システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【図11】証明情報を受け付けたときに端末に表示される画像の一例を示した図である。
【図12】変形例における通信システムの構成を示す図である。
【図13】変形例におけるネットワーク装置の構成を示す図である。
【図14】ネットワーク装置およびサーバ装置の機能的構成を示す図である。
【図15】変形例における通信システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.実施形態
1−1.システムの構成
図1は、実施形態に係る通信システム9の概要を示す図である。通信システム9は、通信網3にサーバ装置1と複数の端末2a、2b(以下、特に区別の必要がない場合は、これらを総称して「端末2」と記す)とが接続されている。端末2の個数は2つに限らず3つ以上であってもよい。サーバ装置1は登録端末4と接続されている。
【0014】
端末2は、通信網3を介して通話を行う電話端末であり、携帯電話端末や固定電話端末などである。通信網3は、端末2同士を接続する電話網であり、公衆交換電話網や移動体通信網などを含む。サーバ装置1は、交換機の機能を有するコンピュータであり、発信の検出から通話路の形成、終話の検出、通話路の開放など通話を実現するための一連の処理を行う。また、サーバ装置1は、或る条件の下で着信側の端末2に、発信側の端末2の身元を証明する証明情報を提供する。なお、端末間の通話路の形成とは、端末間を通話路によって接続することである。通話路が形成されることにより、これら端末間の通話が確立される。
【0015】
1−2.サーバ装置の構成
図2は、サーバ装置1の構成を示す図である。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備え、CPUが、ROMに記憶されているブートローダや記憶部12に記憶されているコンピュータプログラム(以下、単にプログラムという)をRAMに読み出して実行することによりサーバ装置1の各部を制御する。
【0016】
記憶部12はハードディスクドライブなどの大容量の記憶手段であり、制御部11に読み込まれるプログラムを記憶する。また、記憶部12は、証明データベース(以下、「データベース」を単に「DB」という)121と着信拒否DB122とを有する。
【0017】
図3は、証明DB121の一例を示す図である。図3に示すように、証明DB121には、端末2に割り当てられた電話番号と、その端末2のユーザの身元を証明する証明情報とが対応付けて記憶されている。証明情報は、上述したユーザの氏名や所属団体、住所、生年月日、顔写真、電子メールアドレスなど、そのユーザであることを証明する種々の情報である。また、証明情報は、そのユーザが企業など団体であれば、商号やロゴマーク、沿革の説明文や年表、ウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)などであってもよい。図3に示すように、証明DB121には、1つの電話番号から1つの証明情報が特定されるように対応付けられているが、電話番号と証明情報とは1対1でなくてもよく、複数の電話番号に対して、1つの証明情報が対応付けられていてもよい。
【0018】
図4は、着信拒否DB122の一例を示す図である。図4に示すように、着信拒否DB122には、着信側の端末2に割り当てられた電話番号と、その端末2について定められたサーバ装置1による着信拒否の設定とが対応付けて記憶されている。サーバ装置1による着信拒否の設定は「する」「しない」のいずれかであり、これが「する」である場合には、その端末2は、サーバ装置1に自身へ通話を要求するための要求信号を送信させないことにより、サーバ装置1の証明DB121に電話番号が登録されていない端末からの通話の着信を拒否する。
【0019】
図2に戻る。通信部13は、通信網3と接続して通信を行う回路である。インターフェース14は、登録端末4と通信を行うためのインターフェースであり、例えば外部機器との間でイーサネット(登録商標)形式のデータ授受を行うインターフェースである。登録端末4は、コンピュータであり、オペレータによる操作を受け付けてその操作に応じた内容をサーバ装置1に登録させるための端末である。
【0020】
1−3.サーバの機能的構成
図5は、サーバ装置1の機能的構成を示す図である。サーバ装置1の制御部11は、図5に示す検出部111、特定部112、判定部113、および接続部114として機能する。検出部111は、端末2を監視し、いずれかの端末2により発信がされたときに、その発信を検出する。発信には、その発信をした端末2、すなわち発信側の端末2の電話番号(以下、発信電話番号という)と、発信側の端末2が着信を求める着信側の端末2の電話番号(以下、着信電話番号という)とが含まれている。
【0021】
特定部112は、検出部111により検出された発信の内容から発信電話番号を抽出し、記憶部12の証明DB121を検索して、その発信電話番号に対応する証明情報が有る場合には、それを取得する。すなわち特定部112は、発信電話番号に対応する証明情報が証明DB121に記述されている場合に、これを証明DB121から特定することを試みる。
【0022】
判定部113は、特定部112が上述した証明情報を特定しなかった場合に、発信の内容から着信電話番号を抽出し、記憶部12の着信拒否DB122を参照して、その着信電話番号に対応する着信拒否の設定が「する」であるか「しない」であるかを判定する。
【0023】
接続部114は、特定部112が証明情報を特定した場合、および判定部113が上述した着信拒否の設定が「しない」であると判定した場合に、着信側の端末2へ通話を要求するための要求信号を送出し、その端末2による応答を検出すると発信側の端末2と着信側の端末2との電話回線を接続して通話を確立する。
【0024】
1−4.端末の構成
図6は、端末2の構成を示す図である。制御部21は、CPU、ROM、RAMを備え、CPUが、ROMに記憶されているブートローダや記憶部22に記憶されているプログラムをRAMに読み出して実行することにより端末2の各部を制御する。
【0025】
記憶部22はソリッドステートドライブやEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの大容量の記憶手段であり、制御部21に読み込まれるプログラムを記憶する。また、記憶部22は、番号表221を有する。
【0026】
図7は、番号表221の一例を示す図である。番号表221には、他の端末2の電話番号と、その端末2を所有しているユーザの氏名とを対応付けて記憶する。図7に示すように、番号表221には、1つの電話番号から1つの氏名が特定されるように対応付けられているが、電話番号と氏名とは1対1でなくてもよく、複数の電話番号に対して、1つの氏名が対応付けられていてもよい。
【0027】
図6に戻る。通信部23は、通信網3と接続して通信を行う回路である。操作部24は各種の指示を入力するためのボタン241やセンサ242などの操作子を備えており、ユーザによる操作を受け付けてその操作内容に応じた信号を制御部11に供給する。ボタン241は、押された状態に応じて発生させる信号を切り替える操作子である。センサ242は、接触の状態に応じて信号発生させる信号を切り替えるタッチセンサや、加速度に応じて信号発生させる信号を切り替える加速度センサなど各種のセンサである。
【0028】
表示部25は、液晶や有機EL(electroluminescence)を使用したディスプレイ装置であり、制御部21から供給される信号に応じて画像を表示する。収音部26は、周囲の音に応じた音信号を発生させるマイク261を有し、発生させた音信号をデジタル信号に変換して制御部21に供給する。放音部27は、音を発生させるスピーカ271を有し、制御部21の制御の下、指示された音信号をアナログ信号に変換してその信号に応じた音をスピーカ271により発生させる。
【0029】
1−5.動作
次に、通信システム9の動作について説明する。通信システム9の動作は登録段階の動作と通話段階の動作との2つに分けられる。以下において、端末2aを発信側の端末2とし、端末2bを着信側の端末2とする。
(1)登録段階
サーバ装置1の管理機関は、端末2aのユーザから証明情報の登録の申し込みを受け付ける。申し込みは郵送書面によってもよいし、インターネットなどを介した電子申込みであってもよい。管理機関のオペレータは、受け付けたその申し込みの内容を精査し、その申し込み内容に偽証がないことを確認すると、登録端末4を操作してサーバ装置1にその申し込み内容を送信する。サーバ装置1は、送信された申し込みの内容に応じて証明情報を作成し、端末2aに割り当てられた電話番号と対応付けて証明DB121に記憶する。これにより、証明DB121には、管理機関によって認証された証明情報のみが記憶されていることが保証される。
【0030】
また、サーバ装置1の管理機関は、端末2bのユーザから着信拒否の登録の申し込みを受け付ける。管理機関のオペレータは、登録端末4を操作してサーバ装置1にその申し込み内容を送信する。これにより、着信拒否DB122には、端末2bについての着信拒否の設定が記憶される。なお、着信拒否の設定の登録は、登録端末4を介して行われなくてもよく、例えば通信網3を介して端末2bから送られる要求に応じてサーバ装置1の制御部11が登録をしてもよい。
【0031】
(2)通話段階
図8は、通信システム9の通話段階におけるサーバ装置1の動作を説明するためのフロー図である。図8に示すように、サーバ装置1の制御部11は、端末2aから端末2bへ通話を要求するための発信を検出したか否か判定する(ステップS101)。発信が検出されない間(ステップS101;NO)、制御部11は、ステップS101の判定を続ける。発信が検出されると(ステップS101;YES)、制御部11は、その発信の内容から発信電話番号を抽出し、抽出した発信電話番号に対応する証明情報を証明DB121から検索し(ステップS102)、証明DB121に上述の証明情報が有るか否かを判定する(ステップS103)。
【0032】
証明情報が有ると判定した場合、すなわち証明情報が特定された場合(ステップS103;YES)、制御部11は、その証明情報を着信側の端末2bに送信し(ステップS104)、抽出した発信電話番号を着信側の端末2bに送信する(ステップS106)。証明情報がないと判定した場合、すなわち証明情報が特定されなかった場合(ステップS103;NO)、制御部11は、上述した発信の内容から端末2bの電話番号である着信電話番号を抽出し、着信拒否DB122を参照してこの着信電話番号に対応付けられている着信拒否の設定が有るか否かを判定する(ステップS105)。
【0033】
着信拒否の設定が有ると判定した場合(ステップS105;YES)、制御部11は、処理を終了する。一方、着信拒否の設定がないと判定した場合(ステップS105;NO)、制御部11は、処理を上述したステップS106に進める。ステップS106により、発信電話番号が端末2bに送信されると、制御部11は、端末2bによる応答が検出されたか否かを判定する(ステップS107)。応答が検出されたと判定した場合(ステップS107;YES)、制御部11は、端末2aと端末2bとを通話路によって接続する(ステップS108)。応答が検出されないと判定した場合(ステップS107;NO)、制御部11は処理を終了する。
【0034】
図9は、通信システム9の通話段階における端末2bの動作を説明するためのフロー図である。図9に示すように、端末2bの制御部21は、ユーザにより操作部24を用いた発信の入力があるか否かを判定し(ステップS201)、入力があると判定した場合には(ステップS201;YES)、その入力内容に応じて発信を行う(ステップS208)。
【0035】
一方、入力がないと判定した場合に(ステップS201;NO)、制御部21は、サーバ装置1から発信電話番号を受信したか否かを判定する(ステップS202)。そして発信電話番号を受信していないと判定した場合に(ステップS202;NO)、制御部21は、ステップS201の判定に処理を戻す。発信電話番号を受信したと判定した場合(ステップS202;YES)、制御部21は、受信した発信電話番号を表示部25に表示する(ステップS203)。
【0036】
制御部21は、サーバ装置1から証明情報を受信したか否かを判定する(ステップS204)。サーバ装置1から証明情報を受信したと判定した場合(ステップS204;YES)、制御部21は、受信した証明情報の内容を表示部25に表示して(ステップS205)、ステップS206に処理を進める。
一方、サーバ装置1から証明情報を受信しなかったと判定した場合(ステップS204;NO)、制御部21は、直接、ステップS206に処理を進める。
【0037】
ステップS206において、制御部21は、受信した発信電話番号が割り当てられた端末2aからの通話の要求に応答する操作が、端末2bの操作部24により入力されたか否かを判定する(ステップS206)。応答の入力があると判定した場合(ステップS206;YES)、制御部21は、サーバ装置1に向けてこの応答を示す信号を送信する(ステップS207)。一方、応答の入力がないと判定した場合、制御部21は処理を終了する。なお、制御部21は、ステップS203において発信電話番号を表示部25に表示し、ステップS205において証明情報の内容を表示部25に表示しているが、これらは同時に行ってもよいし、順序が逆であってもよい。例えば、ステップS202において発信電話番号を受信したと判定した場合に、制御部21は、ステップS203を実施せず、ステップS204のサーバ装置1から証明情報を受信したか否かを判定する。そして、サーバ装置1から証明情報を受信したと判定した場合(ステップS204;YES)、制御部21は、受信した発信電話番号および証明情報の内容を表示部25に表示して(ステップS203、S205)、ステップS206に処理を進める。一方、サーバ装置1から証明情報を受信しなかったと判定した場合(ステップS204;NO)、制御部21は、受信した発信電話番号のみを表示部25に表示して(ステップS203)、その後、ステップS206に処理を進めればよい。
【0038】
図10は、サーバ装置1の証明DB121に証明情報が登録されている発信側の端末2aが、着信側の端末2bへ通話をしようとする際の通信システム9の動作を示すシーケンス図である。端末2aは、端末2bの電話番号を指定して発信をすると(ステップS301)、サーバ装置1の制御部11は、この発信を検出する(ステップS302)。そしてサーバ装置1は、検出した発信の内容から端末2aの電話番号である発信電話番号を抽出し、この発信電話番号に対応する証明情報を、記憶部12の証明DB121から検索し(ステップS303)、証明情報の有無を判定する(ステップS304)。そして、サーバ装置1は、検出した発信の内容から端末2bの電話番号である着信電話番号を抽出し、この着信電話番号に基づいて端末2bに向けて、発信電話番号と、上記の検索の結果、証明DB121から特定した上述の証明情報とを送信する(ステップS305)。
【0039】
端末2bは、サーバ装置1から送信される発信電話番号を受信すると、これに対応した表示を表示部25に行わせる(ステップS306)。端末2bのユーザは、証明情報の内容の表示を見て端末2aのユーザの身元を確認し、応答してよいと考えた場合に端末2bの操作部24を操作して応答を指示する。この応答を受けた端末2bは、サーバ装置1へこの応答を示す信号を送る(ステップS307)。サーバ装置1は、応答を示す信号を端末2bから受け取ると、端末2aと端末2bとを通話路によって接続する(ステップS308)。
【0040】
なお、端末2bの制御部21は、証明情報がなく発信電話番号のみを受信したときに、送信された発信電話番号に対応する氏名を番号表221から検索し、その氏名が特定された場合には、特定したその氏名を表示部25に表示させてもよい。また、端末2bの制御部21は、上記の氏名を特定しない場合には、着信を拒否してもよい。
【0041】
図11は、証明情報を受信したときに、端末2bの表示部25に表示される画像の一例を示した図である。端末2bは、発信電話番号と証明情報とを受信すると、図11に示すように、発信電話番号とともに、その発信電話番号に対応する証明情報の内容を表示部25により表示する。端末2bのユーザは、サーバ装置1の管理機関によって認証されたものであることを前提にして、この証明情報を吟味し、その通話の要求に応じるか否かを判断する。証明情報に記載された内容がユーザにとって信頼できるものであり、ユーザがその通話の要求に応答すると、サーバ装置1は、この応答を検出して端末2aと端末2bとを通話路によって接続する。
【0042】
以上に説明したとおり、通信システム9においてサーバ装置1は、端末2に割り当てられた電話番号と、その端末2のユーザの身元を証明する証明情報とを対応付けて記憶する証明DB121を有している。そしてサーバ装置1は、その端末2による発信を検出した場合に、その端末2の電話番号に対応付けられた証明情報を着信側の端末2へ送信するので、着信側の端末2のユーザは、発信側の端末2の電話番号を番号表221に登録していなくても、証明情報を確認して電話に応じるか否かを決めることができる。
【0043】
2.変形例
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
2−1.着信拒否
上述した実施形態において、サーバ装置1の記憶部12は、着信拒否DB122を有していたが、着信拒否DB122を有していなくてもよい。この場合、サーバ装置1は、端末2から発信を検出し、端末2の発信電話番号に対応する証明情報が証明DB121に記憶されていない場合には、処理を終了することで着信拒否を行ってもよい。
【0044】
2−2.サーバ装置の識別情報
上述した実施形態において、通信システム9が備えるサーバ装置1は1つであったが、複数備えていてもよい。この場合、複数のサーバ装置1はそれぞれ自身を他のサーバ装置1と識別する識別情報を記憶部12に記憶しており、証明情報を端末2に送信する際に、自身を示す識別情報をそれぞれ端末2に送信するようにしてもよい。これにより、その証明情報を受け取った端末2のユーザは、その証明情報がどのサーバ装置1によって認証されているものであるかを確認して、通話の要求に応答するか否かを決定することができる。
【0045】
2−3.ネットワーク装置
上述した実施形態において、サーバ装置1は、着信側の端末2に、発信側の端末2の身元を証明する証明情報を提供するほか、発信の検出から通話路の形成、終話の検出、通話路の開放など通話を実現するための一連の処理を行っていたが、これら交換機の機能を有していなくてもよい。この場合、通信システム9は、これら交換機の機能を実現するネットワーク装置5を備えていてもよい。
【0046】
図12は、この変形例における通信システム9の構成を示す図である。この変形例において通信システム9が上述した実施形態と異なる点は、通信システム9がネットワーク装置5を備えている点であり、実施形態におけるサーバ装置1の機能の一部が、ネットワーク装置5によって実現している点である。
【0047】
図13は、ネットワーク装置5の構成を示す図である。ネットワーク装置5は、制御部51、記憶部52、および通信部53を備える。制御部51は、CPU、ROM、RAMを備え、CPUが、ROMに記憶されているブートローダや記憶部52に記憶されているプログラムをRAMに読み出して実行することによりネットワーク装置5の各部を制御する。記憶部52はハードディスクドライブなどの大容量の記憶手段であり、制御部51に読み込まれるプログラムを記憶する。通信部53は、通信網3と接続して通信を行う回路である。
【0048】
図14は、ネットワーク装置5およびサーバ装置1の機能的構成を示す図である。ネットワーク装置5の制御部51は、検出部511、要求部512、取得部513および接続部514として機能する。サーバ装置1の制御部11は、特定部112および判定部113として機能する。なお、ネットワーク装置5とサーバ装置1との通信を行う通信部53および通信部13について図示を省略する。
【0049】
ネットワーク装置5の検出部511は、通信網3と接続する端末2を監視し、いずれかの端末2により発信がされたときに、その発信を検出する。要求部512は、検出部511が端末2による発信を検出した場合に、その発信の内容から発信電話番号と着信電話番号とを抽出し、発信電話番号に対応する証明情報と、着信電話番号に対応する着信拒否の設定とをサーバ装置1に要求する。
【0050】
サーバ装置1の特定部112は、要求部512により要求された証明情報を、記憶部12の証明DB121から特定することを試みる。
判定部113は、特定部112が上述した証明情報を特定した場合に、着信側の端末2へ通話を要求するための要求信号をネットワーク装置5へ送信する。また、判定部113は、特定部112が上述した証明情報を特定しなかった場合に、記憶部12の着信拒否DB122を検索して、着信電話番号に対応する着信拒否の設定が「する」であるか「しない」であるかを判定する。そして、判定部113は、着信拒否の設定が「しない」であると判定した場合に、着信側の端末2へ通話を要求するための要求信号をネットワーク装置5へ送信する。
【0051】
なお、判定部113は、特定部112が証明情報を特定しなかった場合であって、着信電話番号に対応する着信拒否の設定が「する」であると判定した場合には、ネットワーク装置5への送信を行わない。その結果、上記の通話に関して、着信電話番号が割り当てられた端末2における着信拒否は、通話路が形成される前にネットワーク装置5によって行われる。
【0052】
ネットワーク装置5の取得部513は、サーバ装置1から上述した要求信号を受け取る。接続部514は、取得部513が要求信号を受け取った後、着信側の端末2による応答を検出すると発信側の端末2と着信側の端末2との電話回線を接続して通話を確立する。
【0053】
図15は、この変形例における通信システム9の動作の一例を示すシーケンス図である。図10において説明した処理と共通する処理については同じ符号を付す。ここでは、サーバ装置1の証明DB121に証明情報が登録されている発信側の端末2aが、着信側の端末2bへ通話をしようとする際の通信システム9の動作を説明する。
【0054】
端末2aは、端末2bの電話番号を指定して発信をすると(ステップS301)、ネットワーク装置5の制御部51は、この発信を検出する(ステップS302)。そしてネットワーク装置5は、検出した発信の内容から端末2aの電話番号である発信電話番号を抽出し、この発信電話番号に対応する証明情報をサーバ装置1に要求する(ステップS401)。サーバ装置1の制御部11は、記憶部12の証明DB121を検索し(ステップS303)、ネットワーク装置5により要求された証明情報の有無を判定する(ステップS304)。そしてサーバ装置1の制御部11は、検索により特定された証明情報をネットワーク装置5に送信し、ネットワーク装置5は、これを取得する(ステップS402)。
【0055】
ネットワーク装置5は、検出した発信の内容から端末2bの電話番号である着信電話番号を抽出し、この着信電話番号に基づいて端末2bに向けて、発信電話番号と、取得した証明情報とを送信する(ステップS305)。
【0056】
端末2bは、ネットワーク装置5から送信される発信電話番号を受信すると、これに対応した表示を表示部25に行わせる(ステップS306)。端末2bのユーザは、証明情報の内容の表示を見て端末2aのユーザの身元を確認し、応答してよいと考えた場合に端末2bの操作部24を操作して応答を指示する。この応答を受けた端末2bは、ネットワーク装置5へこの応答を示す信号を送る(ステップS307)。ネットワーク装置5は、応答を示す信号を端末2bから受け取ると、端末2aと端末2bとを通話路によって接続する(ステップS308)。
【0057】
この構成により、証明情報を提供する機能と、端末2同士を通話路によって接続する交換機としての機能とが分離されるため、サーバ装置1およびネットワーク装置5のそれぞれの負荷が軽減される。
【0058】
2−4.インターフェース
上述したサーバ装置1のインターフェース14は、上述した規格以外のデータ授受を行うインターフェースであってもよく、このインターフェース14を介してサーバ装置1と登録端末4とが接続するのは、LAN(Local Area Network)であってもよいし、インターネットであってもよいし、広域的な専用回線であってもよい。
【0059】
また、上述したサーバ装置1は、登録端末4と接続する構成であったが、端末2のユーザから証明情報の登録の申し込みを受け付けるキーボードなどの入力機器と接続し、これを介してその申し込みの内容に応じた証明情報を、その端末2に割り当てられた電話番号と対応付けて証明DB121に記憶するのであれば、登録端末4と接続しなくてもよい。この場合、インターフェース14は、例えば上述した入力機器がUSB(Universal Serial Bus)規格に準拠したものであれば、USB規格に準拠したシリアルインターフェースなどであってもよい。
【0060】
2−5.プログラム
サーバ装置1の制御部11、および端末2の制御部21によって実行される各プログラムは、磁気テープや磁気ディスクなどの磁気記録媒体、光ディスクなどの光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどの、コンピュータ装置が読み取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムを、インターネットのようなネットワーク経由でダウンロードさせることも可能である。なお、上記の制御部11または制御部21によって例示した制御手段としてはCPU以外にも種々の装置が適用される場合があり、例えば、専用のプロセッサなどが用いられる。
【0061】
2−6.報知
上述した端末2(端末2b)は、受信した発信電話番号および証明情報を表示部25に表示することでユーザにこれらを報知していたが、発信電話番号や証明情報は他の方法でユーザに報知してもよい。すなわち、表示部25による情報の表示は、情報の報知の一態様である。例えば、発信電話番号や証明情報が文字の情報である場合には、これらを音声に変換して読み上げることによりユーザに報知してもよい。また、発信電話番号や証明情報が音声を表す音声信号であってもよく、これらの音声信号を受け取った端末2は、その音声信号に応じて放音を行うことで、発信電話番号や証明情報をユーザに報知してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…サーバ装置、11…制御部、111…検出部、112…特定部、113…判定部、114…接続部、12…記憶部、121…証明DB、122…着信拒否DB、13…通信部、14…インターフェース、2(2a,2b)…端末、21…制御部、22…記憶部、221…番号表、23…通信部、24…操作部、241…ボタン、242…センサ、25…表示部、26…収音部、261…マイク、27…放音部、271…スピーカ、3…通信網、4…登録端末、5…ネットワーク装置、51…制御部、511…検出部、512…要求部、513…取得部、514…接続部、52…記憶部、53…通信部、9…通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話番号と当該電話番号を割り当てられた端末のユーザを証明する証明情報とを対応付けて記憶する情報記憶手段と、
端末から他の端末へ通話を要求する発信を検出する検出手段と、
検出された前記発信の内容から当該発信をした端末の電話番号を抽出し、当該電話番号に対応する前記証明情報を前記情報記憶手段から特定する特定手段と、
前記特定手段により前記証明情報が特定された場合に、当該証明情報とともに前記端末の電話番号を前記他の端末へ送信して当該端末と当該他の端末とを通話路によって接続し、前記特定手段により前記証明情報が特定されなかった場合に、当該端末と当該他の端末とを接続しない接続手段と
を具備することを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
電話番号と当該電話番号を割り当てられた端末における着信の拒否の設定とを対応付けて記憶する設定記憶手段と、
前記特定手段により前記証明情報が特定されなかった場合に、前記発信の内容が示す前記他の端末の電話番号と、前記設定記憶手段の記憶内容に基づいて、当該他の端末が着信を拒否するか否かを判定する判定手段と
を具備し、
前記接続手段は、前記判定手段により前記他の端末が着信を拒否しないと判定された場合に、前記発信をした端末の電話番号を前記他の端末へ送信して当該端末と当該他の端末とを通話路によって接続する
ことを特徴とする請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のサーバ装置と、
前記サーバ装置により接続される複数の端末と
を具備し、
前記端末は、前記サーバ装置から前記証明情報が送信された場合には、当該証明情報をユーザに報知する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項4】
複数の前記サーバ装置を具備し、
複数の前記サーバ装置は、前記端末の電話番号に対応する前記証明情報を、自身を識別する識別情報とともに前記着信側端末へそれぞれ送信し、
前記端末は、前記サーバ装置から前記識別情報とともに前記証明情報が送信された場合には、当該識別情報および当該証明情報をユーザに報知する
ことを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
端末から他の端末へ通話を要求する発信を検出する検出手段と、
検出された前記発信の内容から当該発信をした端末の電話番号を抽出し、当該電話番号に対応する前記証明情報をサーバ装置に要求する要求手段と、
前記要求手段による要求に応じて前記サーバ装置から前記照明情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が前記証明情報を取得した場合に、当該証明情報とともに前記端末の電話番号を前記他の端末へ送信して当該端末と当該他の端末とを通話路によって接続し、前記取得手段が前記証明情報を取得しなかった場合に、前記通話路を接続しない接続手段と
を具備することを特徴とするネットワーク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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