説明

サーバ装置及びそのプログラム

【課題】ユーザ間での位置情報を流通可能にすると共に、位置情報を様々なアプリケーションで汎用的に利用させることが可能なサーバ装置を提供する。
【解決手段】サーバ装置は、端末装置と位置情報利用サーバと通信が可能である。端末装置は、位置情報を生成する。サーバ装置は、端末装置と通信し、位置情報を用いて、所定の処理を行う。サーバ装置は、位置情報受信手段と、位置情報記憶手段と、位置情報送信手段と、位置情報移転手段と、を備える。位置情報受信手段は、位置情報を端末装置から受信する。位置情報記憶手段は、位置情報を所有者情報と関連付けて記憶部に記憶させる。位置情報送信手段は、端末装置の要求に応じて、位置情報を、所有者情報と共に位置情報利用サーバに送信する。位置情報移転手段は、端末装置の要求に応じて、所有者情報を書き換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報を管理するサーバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、GPSが付属した携帯電話や携帯ゲーム機器などを持って外出して、位置情報を取得し、それをゲームなどに活用することが行われている。例えば、特許文献1には、自己の現在位置情報を取得しながら競う電子ゲーム装置が開示されている。その他、本発明に関連する技術が特許文献2乃至4に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−177650号公報
【特許文献2】特開2006−141702号公報
【特許文献3】特開2001−148738号公報
【特許文献4】特開2003−053024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、仮想空間やゲームの中で、自分が取得した位置情報を自らが利用する場合、自身の行動範囲外の位置情報を取得する事は出来ないため、ゲーム内での行動が制限されることになる。従って、この場合、現実世界で行動範囲の狭いユーザには楽しめなくなり、これに対応するためには、ゲーム製作者等は、ゲームの設計を制限する必要が生じる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題としては、上記のものが一例として挙げられる。本発明は、ユーザ間での位置情報を流通可能にすると共に、位置情報を様々なアプリケーションで汎用的に利用させることが可能なサーバ装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、位置情報を生成する端末装置と、前記端末装置と通信し、前記位置情報を用いて、所定の処理を行う位置情報利用サーバと通信を行うサーバ装置であって、前記位置情報を前記端末装置から受信する位置情報受信手段と、前記位置情報を所有者情報と関連付けて記憶部に記憶させる位置情報記憶手段と、前記端末装置の要求に応じて、前記位置情報を、前記所有者情報と共に前記位置情報利用サーバに送信する位置情報送信手段と、前記端末装置の要求に応じて、前記所有者情報を書き換える位置情報移転手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項5に記載の発明は、位置情報を生成する端末装置と、前記端末装置と通信し、前記位置情報を用いて、所定の処理を行う位置情報利用サーバと通信を行うサーバ装置に搭載され、実行されるプログラムであって、前記位置情報を前記端末装置から受信する位置情報受信手段、前記位置情報を所有者情報と関連付けて記憶部に記憶させる位置情報記憶手段、前記端末装置の要求に応じて、前記位置情報を、前記所有者情報と共に前記位置情報利用サーバに送信する位置情報送信手段、前記端末装置の要求に応じて、前記所有者情報を書き換える位置情報移転手段として前記サーバ装置を機能させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施例に係る位置情報流通システムの概略構成例を示す。
【図2】(a)は、位置情報管理サーバの概略構成図の一例である。(b)は、端末装置の概略構成図の一例である。
【図3】位置情報DBの一例を示す図である。
【図4】アップロード処理に係る処理手順を示すフローチャートの一例である。
【図5】位置情報使用処理に係る処理手順を示すフローチャートの一例である。
【図6】位置情報移転処理に係る処理手順を示すフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好適な実施形態によれば、位置情報を生成する端末装置と、前記端末装置と通信し、前記位置情報を用いて、所定の処理を行う位置情報利用サーバと通信を行うサーバ装置であって、前記位置情報を前記端末装置から受信する位置情報受信手段と、前記位置情報を所有者情報と関連付けて記憶部に記憶させる位置情報記憶手段と、前記端末装置の要求に応じて、前記位置情報を、前記所有者情報と共に前記位置情報利用サーバに送信する位置情報送信手段と、前記端末装置の要求に応じて、前記所有者情報を書き換える位置情報移転手段と、を備える。
【0010】
上記のサーバ装置は、端末装置と位置情報利用サーバと通信が可能である。端末装置は、位置情報を生成する。位置情報利用サーバは、例えばゲームサーバであり、端末装置と通信し、位置情報を用いて、所定の処理を行う。サーバ装置は、位置情報受信手段と、位置情報記憶手段と、位置情報送信手段と、位置情報移転手段と、を備える。位置情報受信手段は、位置情報を端末装置から受信する。位置情報記憶手段は、位置情報を所有者情報と関連付けて記憶部に記憶させる。「所有者情報」とは、位置情報の所有者の情報を指し、例えば、端末IDやユーザIDなどが該当する。位置情報送信手段は、端末装置の要求に応じて、位置情報を、所有者情報と共に位置情報利用サーバに送信する。位置情報移転手段は、端末装置の要求に応じて、所有者情報を書き換える。
【0011】
上記の構成によれば、サーバ装置は、端末装置が生成した位置情報を記憶し、端末装置の要求に応じて位置情報利用サーバに位置情報を送信し、位置情報をユーザに使用させることが可能となる。また、サーバ装置は、端末装置の要求に応じて所有者情報の書き換えを行うことで、ユーザ同士での位置情報の交換を可能にする。このように、サーバ装置は、位置情報を汎用的に流通させることが可能となる。
【0012】
上記のサーバ装置の一態様では、前記位置情報送信手段は、前記位置情報利用サーバに送信した位置情報を前記記憶部から削除する。このように、サーバ装置は、一度使用した位置情報を削除することで、位置情報の価値を安定化させることができる。
【0013】
上記のサーバ装置の他の一態様では、前記端末装置又は/及び当該端末装置の使用者を認証する認証手段をさらに備え、前記位置情報記憶手段は、前記認証手段により認証された端末装置又は/及び使用者の識別情報を前記所有者情報に設定する。このようにすることで、サーバ装置は、適切に位置情報を管理し、位置情報の価値を安定化させることができる。
【0014】
上記のサーバ装置の他の一態様では、前記端末装置から受信した前記位置情報を、前記位置情報の受信履歴に基づき、前記記憶部に記憶させるべきか否か判定する判定手段をさらに備え、前記位置情報記憶手段は、前記判定手段が前記記憶部に記憶させるべきと判断した場合にのみ、前記位置情報を前記記憶部に記憶させる。このようにすることで、サーバ装置は、不正な位置情報の登録を抑制し、位置情報の価値を安定化させることができる。
【0015】
本発明の好適な他の実施形態によれば、位置情報を生成する端末装置と、前記端末装置と通信し、前記位置情報を用いて、所定の処理を行う位置情報利用サーバと通信を行うサーバ装置に搭載され、実行されるプログラムであって、前記位置情報を前記端末装置から受信する位置情報受信手段、前記位置情報を所有者情報と関連付けて記憶部に記憶させる位置情報記憶手段、前記端末装置の要求に応じて、前記位置情報を、前記所有者情報と共に前記位置情報利用サーバに送信する位置情報送信手段、前記端末装置の要求に応じて、前記所有者情報を書き換える位置情報移転手段として前記サーバ装置を機能させる。サーバ装置は、このプログラムを搭載し実行することで、位置情報を汎用的に流通させることが可能となる。
【実施例】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0017】
[システム構成]
図1は、本実施例に係る位置情報流通システムの概略構成例を示す。図1に示すように、位置情報流通システムは、位置情報管理サーバ1と、複数のゲームサーバ2A、2Bと、複数の端末装置3A、3Bと、インターネットなどの通信網4と、を備える。以後では、ゲームサーバ2A、2Bを特に区別しない場合、これらを「ゲームサーバ2」と表記し、同様に、端末装置3A、3Bを特に区別しない場合、これらを「端末装置3」と呼ぶ。
【0018】
位置情報管理サーバ1は、端末装置3からアップロードされた位置情報(「位置情報Ip」とも呼ぶ。)を管理するサーバである。位置情報Ipは、例えば、緯度経度の2次元座標で表現される。位置情報管理サーバ1は、位置情報Ipを、その所有者の情報(「所有者情報Iu」とも呼ぶ。)と関連付けて記憶する。所有者情報Iuは、位置情報Ipをアップロードした端末装置3のユーザIDに初期設定される。後述するように、所有者情報Iuは、端末装置3の要求に応じて書き換えがなされる。また、位置情報管理サーバ1は、所有者情報Iuに相当する端末装置3の要求に応じて、位置情報Ipをゲームサーバ2へ送信する。位置情報管理サーバ1は、本発明における「サーバ装置」の一例である。
【0019】
ゲームサーバ2は、位置情報Ipを利用したゲームに用いられるサーバである。ゲームサーバ2は、端末装置3と通信網4を介して所定の通信を行うことにより、ゲームを実行するのに必要な情報の授受を行う。また、ゲームサーバ2は、位置情報管理サーバ1から送信された位置情報Ip及び所有者情報Iuを受信し、上述のゲームに用いる。ゲームサーバ2は、本発明における「位置情報利用サーバ」の一例である。
【0020】
端末装置3は、位置情報管理サーバ1及びゲームサーバ2とそれぞれ通信が可能であり、ユーザがゲームを行う際のユーザインタフェースとして機能する。端末装置3は、例えば携帯電話などの端末である。また、端末装置3は、使用者(ユーザ)の操作に応じて、位置情報Ipを生成する。そして、端末装置3は、生成した位置情報Ipを即時又は所定のタイミングで位置情報管理サーバ1へ送信する。以後では、端末装置3Aは、ユーザ名が「ユーザA」である使用者により操作され、端末装置3Bは、ユーザ名が「ユーザB」である使用者により操作されるものとする。
【0021】
[装置構成]
図2(a)は、位置情報管理サーバ1の概略構成図の一例である。図2(a)に示すように、位置情報管理サーバ1は、制御部11と、通信部12と、記憶部13と、を備える。
【0022】
通信部12は、制御部11の制御に基づき、位置情報管理サーバ1や端末装置3と通信網4を介して無線通信を行う。
【0023】
記憶部13は、制御部11の実行プログラムなどを記憶する。また、記憶部13は、位置情報データベース(DB)130を備える。位置情報DB130は、位置情報Ipを所有者情報Iuに関連付けて記憶するデータベースである。これについて、図3を参照して具体例を説明する。
【0024】
図3は、位置情報DB130の一例である。ここで、図3中の「ID3A」は、ユーザAのユーザID、「ID3B」は、ユーザBのユーザIDを示すものとする。図3に示すように、位置情報Ipは、緯度経度により2次元座標「(Xa、Ya)」乃至「(Xf、Yf)」で表されていると共に、所有者情報Iuとそれぞれ関連付けられている。また、好適には、位置情報DB130は、所有者情報Iuと、位置情報Ipとの他、位置情報Ipの受信日時などを記憶する。上述の受信日時は、後述する登録可否決定処理で使用される。
【0025】
そして、位置情報DB130は、端末装置3から位置情報管理サーバ1へ位置情報Ipがアップロードされた場合、位置情報管理サーバ1が位置情報Ipをゲームサーバ2へ送信した場合、及び、位置情報Ipの所有者情報Iuが変更される場合に、更新される。
【0026】
制御部11は、CPUなどを備えて構成され、位置情報管理サーバ1の全体を制御する。具体的には、制御部11は、予め用意されたプログラムを実行することにより、位置情報管理サーバ1の他の構成要素を制御する。制御部11は、本発明における「位置情報受信手段」、「位置情報記憶手段」、「位置情報送信手段」、及び「位置情報移転手段」の一例である。
【0027】
図2(b)は、端末装置3の概略構成図の一例である。端末装置3は、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、GPSユニット34と、表示部35と、スピーカ36と、マイク37と、操作部38とを備える。
【0028】
通信部33は、位置情報管理サーバ1及びゲームサーバ2と無線通信を行うことが可能に構成されている。GPSユニット34は、複数のGPS衛星から測位用データを含む電波を受信し、測位用データに基づいて端末装置3の現在位置を算出する。表示部35は、例えば液晶ディスプレイなどにより構成され、ユーザに対して文字、画像などを表示する。スピーカ36は、ユーザに対して音声出力を行い、マイク37は、ユーザによって発せられた音声などを集音する。
【0029】
操作部38は、例えば、端末装置3の筐体に設けられた操作ボタンやタッチパネル式入力装置であり、ユーザによる各種の選択、指示が入力される。なお、表示部35がタッチパネル方式である場合には、表示部35の表示画面上に設けられたタッチパネルも操作部38として機能する。
【0030】
記憶部32は、ROMやRAMなどを備えて構成され、端末装置3を制御するための制御プログラム等が格納されると共に、操作部38を介してユーザにより入力されたデータを読み出し可能に格納したり、制御部31に対してワーキングエリアを提供したりする。制御部31は、CPUなどを備えて構成され、端末装置3全体についての制御を行う。
【0031】
[制御方法]
次に、本実施例において実行する処理について具体的に説明する。以下では、端末装置3が生成した位置情報Ipを位置情報管理サーバ1へアップロードする処理(単に「アップロード処理」とも呼ぶ。)と、位置情報Ipを使用する際の処理(「位置情報使用処理」とも呼ぶ。)と、位置情報Ipの所有者を移転させる処理(「位置情報移転処理」とも呼ぶ。)と、について順に説明する。
【0032】
なお、好適には、端末装置3を使用するユーザは、事前に位置情報管理サーバ1へ端末装置3によりユーザ登録を行い、ログイン処理を行うためのユーザID、パスワードなどが付与される。そして、端末装置3を使用するユーザは、端末装置3によりログイン処理を行い、位置情報管理サーバ1から認証を受け、その後、端末装置3は、後述するアップロード処理等を行う。
【0033】
(アップロード処理)
まず、アップロード処理について具体的に説明する。ここでは、説明の便宜上、端末装置3Aが生成した位置情報Ipをアップロードする場合を代表例として説明する。図4は、アップロード処理に係る処理手順を示すフローチャートの一例である。図4に示す処理は、例えば所定の周期に従い繰り返し実行される。
【0034】
まず、端末装置3Aは、位置情報Ipを取得すべき旨の操作が行われたか否か判定する(ステップS11)。そして、端末装置3Aは、位置情報Ipを取得すべき旨の操作が行われたと判断した場合(ステップS11;Yes)、位置情報Ipを生成する(ステップS12)。具体的には、端末装置3は、GPSユニット34からの検出値に基づき、現在位置に相当する位置情報Ipを生成する。一方、端末装置3Aは、位置情報Ipを生成すべき旨の操作が行われていないと判断した場合(ステップS11;No)、引き続き、位置情報Ipを生成すべき旨の操作が行われるか否か判定する。
【0035】
次に、端末装置3Aは、ステップS13で、当該位置情報Ipをアップロードする(ステップS13)。具体的には、端末装置3Aは、生成した位置情報Ipを位置情報管理サーバ1へ送信する。なお、端末装置3Aは、通信圏外にあること等に起因して位置情報管理サーバ1と通信ができないと判断した場合には、所定時間幅経過後にアップロードを行う。なお、端末装置3Aは、アップロードした位置情報Ipを削除するなどにより、生成した位置情報Ipを1回のみアップロードする。
【0036】
次に、位置情報管理サーバ1は、位置情報Ipを端末装置3Aから受信する(ステップS21)。そして、位置情報管理サーバ1は、位置情報Ipの位置情報DB130への登録の可否を決定する処理(「登録可否決定処理」とも呼ぶ。)を行う(ステップS22)。これにより、位置情報管理サーバ1は、位置情報Ipが不正に登録されるのを防止すると共に、位置情報Ipの価値を安定化させる。登録可否決定処理については、後述する。
【0037】
そして、位置情報管理サーバ1は、位置情報Ipを登録すべきと判断した場合(ステップS23;Yes)、位置情報Ipを位置情報DB130に登録する(ステップS24)。このとき、位置情報管理サーバ1は、例えば、端末装置3Aのログイン処理(認証)の際に使用したユーザIDを所有者情報Iuに設定し、位置情報Ipを当該所有者情報Iuに関連付けて位置情報DB130に記憶させる。
【0038】
一方、位置情報管理サーバ1は、位置情報Ipを登録すべでないと判断した場合(ステップS23;No)、フローチャートの処理を終了する。
【0039】
また、図3に示すフローチャートの処理以外に、位置情報管理サーバ1は、必要なユーザ認証、端末装置3Aの認証、又は/及び通信の暗号化を適宜実行し、なりすましその他の不正行為を抑制する。
【0040】
次に、ステップS22の登録可否決定処理について具体的に説明する。
【0041】
位置情報管理サーバ1は、登録可否決定処理で、位置情報Ipの受信履歴に基づき、以下で説明する具体例(第1具体例乃至第5具体例)のいずれか、又はこれらを任意に組み合わせて実行する。なお、第1具体例乃至第3具体例は、主に位置情報Ipの不正登録を防止する観点から実行され、第4及び第5具体例は、主に位置情報Ipの価値の低下(希釈化)を防止する観点から実行される。
【0042】
第1具体例では、位置情報管理サーバ1は、所有者情報Iuが同一の位置情報Ipに対し、位置情報Ipのアップロードがなされる間隔、及び、当該位置情報Ipの移動距離に基づき、当該所有者の移動速度を算出する。そして、位置情報管理サーバ1は、現実的に考えられない移動速度により位置情報Ipが送信されていると判断した場合には、位置情報Ipを位置情報DB130に登録しない。
【0043】
このとき、好適には、位置情報管理サーバ1は、受信した位置情報Ipから、所有者情報Iuに相当するユーザが、一般道路、高速道路、又は歩道等のいずれの位置にあるか判断し、それぞれの場合に応じて、現実的に考えられない移動速度と見なす閾値を設定する。これにより、位置情報管理サーバ1は、GPS信号生成機などにより不正に位置情報Ipが生成された場合であっても、好適に、位置情報DB130に位置情報Ipが不正に登録されるのを抑制することができる。
【0044】
第2具体例では、位置情報管理サーバ1は、所有者情報Iuが同一の位置情報Ipに対し、既に受信した位置情報Ipと完全に同一の地点を示す位置情報Ipを受信した場合、不正に位置情報Ipが生成されたと判断し、当該位置情報Ipを位置情報DB130に登録しない。
【0045】
一般に、GPS信号生成機などにより不正に位置情報Ipが生成された場合を除き、既に受信した位置情報Ipと完全に同一となることは考えにくい。以上を勘案し、位置情報管理サーバ1は、所有者情報Iuが同一の位置情報Ipに対し、位置情報DB130に既に記録された位置情報Ipと同一の位置情報Ipを受信した場合、当該位置情報Ipを位置情報DB130へ登録しない。これにより、位置情報管理サーバ1は、好適に、GPS信号生成機などにより不正に位置情報Ipが生成された場合であっても、位置情報DB130に登録するのを抑制することができる。
【0046】
第3具体例では、位置情報管理サーバ1は、所有者情報Iuが同一の位置情報Ipの履歴に基づき、所有者が機械的に移動していると判断した場合、当該位置情報Ipを位置情報DB130に登録しない。例えば、位置情報管理サーバ1は、受信した位置情報Ipが所定の規則性を有して循環的に繰り返し同じ値をとる場合、機械的に位置情報Ipが生成されていると判断し、新たに受信した位置情報Ipを位置情報DB130に登録しない。これによっても、位置情報管理サーバ1は、好適に、GPS信号生成機などにより不正に位置情報Ipが生成された場合であっても、位置情報DB130に登録するのを抑制することができる。
【0047】
第4具体例では、位置情報管理サーバ1は、所有者情報Iuが同一の位置情報Ipについて、前回アップロードされた位置情報Ipと新たに受信した位置情報Ipとのアップロードされる間隔が所定時間幅以内であった場合、新たに受信した位置情報Ipを位置情報DB130に登録しない。上述の所定時間幅は、位置情報Ipの価値の安定化を勘案し、例えば実験等に基づき予め定められる。これにより、位置情報管理サーバ1は、位置情報Ipの価値が低下するのを抑制し、位置情報Ipの価値を安定化させることができる。
【0048】
第5具体例では、位置情報管理サーバ1は、所有者情報Iuが同一の位置情報Ipについて、前回アップロードされた位置情報Ipが示す地点と、新たに受信した位置情報Ipが示す地点との距離が所定距離以内である場合、当該位置情報Ipを登録しない。上述の所定距離は、位置情報Ipの価値の安定化を勘案し、例えば実験等に基づき予め定められる。これによっても、位置情報管理サーバ1は、位置情報Ipの価値が低下するのを抑制し、位置情報Ipの価値を安定化させることができる。
【0049】
(位置情報使用処理)
次に、位置情報使用処理について図5を参照して説明する。図5は、位置情報使用処理に係る処理手順を示すフローチャートの一例である。図5に示す処理は、例えば所定の周期に従い繰り返し実行される。ここでは、一例として、端末装置3Aが、ゲームサーバ2Aと通信を行い、所定のゲームを実行する際に、位置情報管理サーバ1に登録した位置情報Ipを使用する場合について説明する。
【0050】
まず、端末装置3Aは、所定の位置情報Ipの使用要求を位置情報管理サーバ1に対して行う(ステップS31)。例えば、端末装置3Aは、使用したい位置情報Ip及びゲームサーバ2Aを指定して、使用する旨の所定の情報を位置情報管理サーバ1へ送信する。そして、位置情報管理サーバ1は、位置情報Ipの使用要求を端末装置3Aから受信する(ステップS41)。
【0051】
次に、位置情報管理サーバ1は、当該使用要求が正当であるか否か判定する(ステップS42)。例えば、位置情報管理サーバ1は、位置情報DB130を参照し、使用要求のある位置情報Ipの所有者情報Iuと、当該使用要求の送信元となる端末装置3AのユーザIDとが一致するか否か判定する。そして、位置情報管理サーバ1は、当該使用要求が正当でないと判断した場合(ステップS42;No)、フローチャートの処理を終了する。
【0052】
一方、位置情報管理サーバ1は、当該使用要求が正当であると判断した場合(ステップS42;Yes)、指定された位置情報Ipを所有者情報Iuと共にゲームサーバ2Aへ送信する(ステップS43)。そして、位置情報管理サーバ1は、送信した位置情報Ipを位置情報DB130から削除する(ステップS44)。これにより、位置情報管理サーバ1は、位置情報Ipの価値の希釈化を防ぎ、位置情報Ipの価値を安定化させることができる。
【0053】
そして、ゲームサーバ2Aは、位置情報Ipを位置情報管理サーバ1から受信する(ステップS51)。そして、ゲームサーバ2Aは、端末装置3Aに提供するゲームに、当該位置情報Ipを適用する。
【0054】
このようにすることで、端末装置3は、任意のタイミングで、位置情報管理サーバ1に登録した位置情報Ipを使用することができる。また、位置情報管理サーバ1は、位置情報Ipを通貨や仮想通貨のように汎用的に流通させることができる。
【0055】
(位置情報移転処理)
次に、位置情報移転処理について図6を参照して説明する。図6は、位置情報移転処理に係る処理手順を示すフローチャートの一例である。図6に示す処理は、例えば所定の周期に従い繰り返し実行される。以後では、説明の便宜上、端末装置3Aのユーザから端末装置3Bのユーザへ所定の位置情報Ipを移転することを前提に説明する。
【0056】
まず、位置情報管理サーバ1は、位置情報Ipの移転要求があるか否か判定する(ステップS61)。具体的には、位置情報管理サーバ1は、端末装置3から、移転する対象となる位置情報Ipと、移転先のユーザIDとが指定された移転要求が送信されたか否か判定する。そして、位置情報管理サーバ1は、位置情報Ipの移転要求がない場合(ステップS61;No)、引き続き、位置情報Ipの移転要求があるか否か監視する。
【0057】
一方、位置情報管理サーバ1は、位置情報Ipの移転要求があると判断した場合(ステップS61;Yes)、当該移転要求が正当か否か判定する(ステップS62)。例えば、位置情報管理サーバ1は、移転要求の送信元である端末装置3のユーザIDと、移転要求がある位置情報Ipに対応する所有者情報Iuとが一致するか否か判定する。そして、位置情報管理サーバ1は、位置情報Ipの移転要求が正当でないと判断した場合(ステップS62;No)、フローチャートの処理を終了する。
【0058】
一方、位置情報管理サーバ1は、当該移転要求が正当であると判断した場合(ステップS62;Yes)、当該位置情報Ipに対応する所有者情報Iuを書き換える(ステップS63)。これにより、当該位置情報Ipの所有者の移転が完了する。例えば、位置情報管理サーバ1は、図3に示す位置情報Ipのうち、「(Xb、Yb)」の位置情報Ipを端末装置3Aの使用者であるユーザAから端末装置3Bの使用者であるユーザBへ移転させる場合、当該位置情報Ipの破線枠Wb内に「ID3A」と記された所有者情報Iuを、「ID3B」に書き換える。これにより、「(Xb、Yb)」の位置情報Ipの所有者は、ユーザAからユーザBへ移転される。
【0059】
このように、位置情報管理サーバ1は、端末装置3のユーザ間で、位置情報Ipの移転を可能にすることで、位置情報Ipを通貨や仮想通貨のように汎用的に流通させることができる。
【0060】
ここで、移転させる位置情報Ipを決定する方法の具体例について説明する。例えば、端末装置3Aは、移転してもよい位置情報Ipを定め、位置情報管理サーバ1が管理するウェブページ上に公開する。当該ウェブページ上で公開された位置情報Ipは、予め又はオークション形式により定められた価格、又はこれに相当する仮想通貨、ポイント等と交換することを条件として移転が行われる。そして、端末装置3Bは、上述のウェブページ上で、上述の位置情報Ipのうち、移転を受けたい位置情報Ipを指定し、端末装置3Aに対し、移転を受けたい旨の申出を行う。そして、端末装置3Aは、位置情報管理サーバ1に位置情報Ipの移転要求を行う。
【0061】
[変形例]
以下、本実施例の各変形例について説明する。なお、これらの各変形例は、任意に組み合わせて上述の実施例に適用することが可能である。
【0062】
(変形例1)
位置情報管理サーバ1は、端末装置3の要求に応じて、ゲームサーバ2に位置情報Ipを送信した。しかし、本発明が適用可能な構成は、これに限定されない。位置情報管理サーバ1は、ゲームサーバ2に代えて、端末装置3と通信を行い、位置情報Ipを利用する所定のアプリケーションを提供するサーバへ、端末装置3の要求に応じて位置情報Ipを送信してもよい。以後では、ゲームサーバ2を含め、上述した位置情報Ipを利用するサーバを「位置情報利用サーバ」と総称する。これにより、位置情報管理サーバ1は、位置情報Ipの用途をゲームに限定することなく、位置情報Ipをより汎用的に流通させることができる。
【0063】
(変形例2)
図3に示す位置情報DB130では、所有者情報Iuは、ログイン処理の際に使用されるユーザIDにより特定されていた。しかし、本発明が適用可能な構成は、これに限定されない。これに代えて、位置情報管理サーバ1は、端末IDなどの端末装置3に固有の識別情報を、所有者情報Iuに設定してもよい。この場合、位置情報Ipは、端末装置3ごとに所有者が定められ、管理される。また、他の例では、位置情報管理サーバ1は、ユーザIDと端末装置3に固有の識別情報との両方を所有者情報Iuに設定してもよい。これらの場合であっても、好適に、位置情報管理サーバ1は、位置情報Ipを管理することができる。
【0064】
(変形例3)
図4のアップロード処理のフローチャートでは、端末装置3Aは、生成した位置情報Ipを全て位置情報管理サーバ1へ送信していた。しかし、これに代えて、端末装置3Aは、即時に当該位置情報Ipを使用する場合には、ゲームサーバ2へ送信してもよい。この場合には、端末装置3Aは、当該位置情報Ipの削除等を行い、ゲームサーバ2へ送信した位置情報Ipを位置情報管理サーバ1へアップロードしない。
【符号の説明】
【0065】
1 位置情報管理サーバ
2 ゲームサーバ
3 端末装置
11、31 制御部
12、33 通信部
13 位置情報データベース(DB)
32 記憶部
33 通信部
34 GPSユニット
35 表示部
36 スピーカ
37 マイク
38 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報を生成する端末装置と、前記端末装置と通信し、前記位置情報を用いて、所定の処理を行う位置情報利用サーバと通信を行うサーバ装置であって、
前記位置情報を前記端末装置から受信する位置情報受信手段と、
前記位置情報を所有者情報と関連付けて記憶部に記憶させる位置情報記憶手段と、
前記端末装置の要求に応じて、前記位置情報を、前記所有者情報と共に前記位置情報利用サーバに送信する位置情報送信手段と、
前記端末装置の要求に応じて、前記所有者情報を書き換える位置情報移転手段と、
を備えることを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
前記位置情報送信手段は、前記位置情報利用サーバに送信した位置情報を前記記憶部から削除することを特徴とする請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記端末装置又は/及び当該端末装置の使用者を認証する認証手段をさらに備え、
前記位置情報記憶手段は、前記認証手段により認証された端末装置又は/及び使用者の識別情報を前記所有者情報に設定することを特徴とする請求項1または2に記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記端末装置から受信した前記位置情報を、前記位置情報の受信履歴に基づき、前記記憶部に記憶させるべきか否か判定する判定手段をさらに備え、
前記位置情報記憶手段は、前記判定手段が前記記憶部に記憶させるべきと判断した場合にのみ、前記位置情報を前記記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のサーバ装置。
【請求項5】
位置情報を生成する端末装置と、前記端末装置と通信し、前記位置情報を用いて、所定の処理を行う位置情報利用サーバと通信を行うサーバ装置に搭載され、実行されるプログラムであって、
前記位置情報を前記端末装置から受信する位置情報受信手段、
前記位置情報を所有者情報と関連付けて記憶部に記憶させる位置情報記憶手段、
前記端末装置の要求に応じて、前記位置情報を、前記所有者情報と共に前記位置情報利用サーバに送信する位置情報送信手段、
前記端末装置の要求に応じて、前記所有者情報を書き換える位置情報移転手段
として前記サーバ装置を機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−150545(P2012−150545A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6886(P2011−6886)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(595105515)インクリメント・ピー株式会社 (197)
【Fターム(参考)】