サーバ装置
【課題】所望のクラウドサービスに容易にログインできる画像形成装置、サーバ装置、及び情報処理装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置176は、クラウドサーバ170と通信可能で、クラウドサーバ170から受信した印刷ジョブを印刷するための印刷エンジンと、携帯端末172との近接通信が可能なリーダ/ライタ174と、リーダ/ライタ174を介して携帯端末172からクラウドサーバ170へのログイン情報を受信し、当該ログイン情報を用いてクラウドサーバ170へのログイン処理を実行するためのログイン実行部とを含む。
【解決手段】画像形成装置176は、クラウドサーバ170と通信可能で、クラウドサーバ170から受信した印刷ジョブを印刷するための印刷エンジンと、携帯端末172との近接通信が可能なリーダ/ライタ174と、リーダ/ライタ174を介して携帯端末172からクラウドサーバ170へのログイン情報を受信し、当該ログイン情報を用いてクラウドサーバ170へのログイン処理を実行するためのログイン実行部とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は通信機能及び印刷機能を持つ複合機等を含む画像印刷システムに関し、特に、いわゆるクラウドサーバから複合機等に文書の画像を出力するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理装置(パーソナル・コンピュータ)及び携帯端末(スマートフォン、タブレット等)の普及に伴って、情報処理装置又は携帯端末から送信された画像データを出力処理する画像出力装置が普及してきている。画像出力装置には、印刷機能のみを持つプリンタもあるし、印刷機能に加えて、スキャナ機能、Fax送信機能、及びE−メール送信機能等のデータ送信機能を備えた多機能な複合機に代表されるMFP(Multiple Function Peripheral:多機能周辺装置)等がある。
【0003】
これらの画像出力装置はLAN(Local Area Network)等のネットワークに接続されていることが多い。オフィス等では、多くの場合、複数の場所に複数の画像出力装置が設置されている。ユーザは、設置されている場所、又は画像出力装置がサポートしている機能を考慮して、利用する画像出力装置を選択する。
【0004】
特にオフィス等では、画像出力装置を利用するユーザに制限を設けていることが多い。ユーザは、画像出力装置を利用するに先立って、情報処理装置から画像出力装置にログインして印刷ジョブを生成したり、画像出力装置を利用するときに、画像出力装置にログインしたりする。画像出力装置へのログインの場合、情報処理装置と異なりキーボードのような機構が設けられていないことが多く、ログイン情報の入力が煩雑である。そのため、画像出力装置にカードリーダを設け、ユーザが所持している識別カード(IDカード)をこのカードリーダに通すことで簡易な動作でログインできる。
【0005】
ログインの動作として、いわゆるICカードのように、非接触又は近接通信によりカードから情報を読取る技術が普及しており、そうした技術を用いることでログインはより簡単になりつつある。さらに、特開2009−86976には、携帯端末をかざして画像形成装置に対するユーザ認証を行なうことで、画像形成装置に保存されている印刷ジョブを携帯端末上で表示し印刷操作できる技術が開示されている。
【0006】
一方、企業内に設けられたハードウェアにデータを保存するのではなく、インターネット上でデータを格納したり、アプリケーションを提供したりする、いわゆるクラウドサービスが急速に普及しつつある。画像出力システムも、クラウドサービスの一環として提供できる。そのようなサービスを、以下、「クラウド画像出力サービス」と呼ぶ。クラウドサービスでは、サーバがネットワーク上のどこに存在しているかはユーザは意識せず、単にサービスの名称のみでデータにアクセスすることが多い。
【0007】
図1に、現在の技術で考えられる1例としてクラウド画像出力サービス50の概略構成を示す。クラウド画像出力サービス50は、情報処理装置からプリントデータ(印刷ジョブ)をクラウド上にアップロードし、ユーザの利用しやすい位置にあるプリンタに印刷させるというシステムである。ここでは、ユーザ80は、情報処理装置62(クライアントPC)からプリンタドライバを介してクラウドサーバ60に印刷ジョブ82を送信する。この処理を行なうとき、プリンタドライバがクラウドサーバ60へのログイン名とパスワードとを入力する画面を開く。ユーザが必要な情報を入力しなければ、印刷ジョブ82はクラウドサーバ60に送信されない。
【0008】
クラウドサーバ60は、印刷ジョブ82を受信すると、印刷ジョブ82に付与されているログイン名とパスワードとを抽出し、クラウドサーバ60への認証処理を行なう。クラウドサーバ60は認証OKであれば、印刷ジョブ82を印刷ジョブ84としてクラウドサーバ60が管理する記憶装置に保存する。
【0009】
この後、ユーザ80が、印刷物を得る作業を行なう場合を考える。ユーザ80は、出力先としてクラウド画像出力サービス50に属するMFP68を利用するものとする。ユーザ80はまず、情報処理装置62からMFP68まで移動する(86)。ユーザ80がMFP68を利用するためには、MFP68のウェブブラウザ(又は専用のアクセスプログラム)を介してクラウド画像出力サービス50のログイン受付画面にアクセスする必要がある。この例では、MFP68に、MFP68を利用するためのICカードのリーダ/ライタ66が接続されているものとする。ユーザ80は、自分の所持しているICカード64をリーダ/ライタ66にかざしてMFP68にログインする。ユーザはさらに、MFP68の操作パネルを操作してウェブブラウザを起動し、クラウドサーバ60のログインページを呼出す。ログインすると、ウェブブラウザには、クラウドサーバ60が提供するクラウド画像出力サービスのホーム画面が表示される(図4のホーム画面140)。
【0010】
図4を参照して、ホーム画面140には、ユーザ80がクラウドファイルキャビネットサービス100に保存した印刷ジョブの一覧142が表示される。ユーザ80は、この一覧142から所望の印刷ジョブを選択して印刷指示ボタン144を操作することにより、印刷ジョブの印刷指示を送信する。クラウドサーバ60は、印刷指示が送信されてきたMFP68に対して、指定された印刷ジョブ88を送信する。MFP68はこの印刷ジョブ88を受信して印刷物90を出力する。
【0011】
同様のサービスが、ファイルをクラウドサーバに保存するサービスでも利用できる。ここでは、そうしたサービスをクラウドファイルキャビネットサービスと呼ぶ。図2を参照して、クラウドファイルキャビネットサービス100は、クラウドサーバ110を含み、情報処理装置62、MFP68等でこのクラウドファイルキャビネットサービスを利用可能である。
【0012】
クラウドファイルキャビネットサービスを利用するユーザ80は、情報処理装置62を操作して文書ファイルを作成し、作成した文書ファイル112をクラウドサーバ110に送信する。具体的には、ユーザ80は、ファイルの保存場所としてネットワーク上のクラウドサーバ110を指定する。クラウドサーバ110は、受信した文書ファイル112を文書ファイル114としてユーザごとに保存する。
【0013】
ユーザ80は、この文書ファイル114の印刷物を得ようとする場合、クラウドファイルキャビネットサービス100に接続可能なMFP68まで移動し、リーダ/ライタ66にICカード64をかざしてMFP68にログインする。ユーザは、MFP68上でブラウザを起動し、クラウドサーバ110の提供するクラウドファイルキャビネットサービス100にログインする。ユーザ80は、クラウドサーバ110に保存されている文書ファイル114のうち、所望のファイルを指定し印刷指示116を送信する。クラウドサーバ110は、この印刷指示116を受信すると、指定された文書ファイル114を選択して、印刷ジョブに変換する処理118を行なう。クラウドサーバ110はさらに、得られた印刷ジョブ120を、印刷指示116が送信されてきたMFP68に送信する。MFP68は印刷ジョブ120を受信して、印刷物122を出力する。
【0014】
クラウドサービスを利用すると、情報処理装置62及びMFP68がどこにあっても、ネットワークに接続可能であればいつでも必要な文書を保存したり印刷したりできる。例えば出先で仕事に関する文書を情報処理装置62で作成してクラウドサーバ60に印刷ジョブとして保存し、近くのコンビニエンスストアのMFP68を用いてその文書を印刷することが可能になる。その結果、場所を選ばず、必要な文書を作成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2009−86976
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
以上のように、MFP68が接続可能なクラウドサービスは非常に便利であり、今後、このようなサービスがますます増加することが考えられる。しかし、その結果、次のような問題が生じる可能性が考えられる。例えば、MFP68がコンビニエンスストア等に設置されている場合を考える。MFP68を利用するユーザは不特定多数であるため、ユーザが利用する可能性のあるクラウドサービスも多数になる。MFP68を利用するユーザは、MFP68で利用可能なクラウドサービスの中から、自分が利用しようとするサービスを選択しなければならない。ところが、MFPから利用できるサービスの種類が増えると、どのサービスにアクセスすべきかについてユーザが混乱する可能性がある。
【0017】
図3を参照して、MFP68にアクセスしてクラウドサービスを利用しようとすると、クラウドサービスの選択メニュー130のようなものが表示されることになる。選択メニュー130はMFP68で利用可能な複数のクラウドサービスの選択肢132を含む。MFP68を運営する業者の立場からは、多くのユーザにMFP68を利用してもらうために、MFP68で利用可能なクラウドサービスはできるだけ多くしておくことが望ましい。さらに、MFPからアクセスできるサービスは今後ますます増えていくものと予想される。その結果、選択メニュー130は非常に長くなることが予測される。
【0018】
一方、ユーザが常用するサービスはいくつかに集約されてくると思われる。したがって、ユーザは、常用しているサービスに早くアクセスしたいと考えるであろう。ところが、MFP68を利用しようとするユーザは、非常に長い選択メニュー130の中から自分の利用するサービスを選択しなければならない。そのためにはユーザは、たとえば選択メニュー130を下方にかなりスクロールしなければならない場合が生じる。所望のサービスを見つけること自体、難しくなることが予想される。したがい、多数のサービスを準備しているMFPほどむしろユーザにとって使いづらくなってしまうという課題がある。
【0019】
このような課題は、クラウドサービスに保存された印刷ジョブ又は文書をMFP68等で印刷するときだけでなく、文書又は印刷ジョブを情報処理装置62からクラウドサーバ60に送信するときにも同様の問題が生じ得る。
【0020】
特許文献1に記載された発明では、すでに述べたようにユーザ80がMFP68にログインする操作は簡略化できるが、クラウドサービスを利用するための操作まで簡略化できるわけではない。
【0021】
したがって、本発明の目的は、所望のクラウドサービスに容易にログインできる画像形成装置、サーバ装置、及び情報処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の第1の局面に係る画像形成装置は、クラウドサービスと通信可能な第1の通信手段と、第1の通信手段を介してクラウドサービスから受信した印刷ジョブを印刷する印刷手段とを含む画像形成装置である。画像形成装置はさらに、近接通信するための近接通信手段を介して他の装置と通信する第2の通信手段と、近接通信手段及び第2の通信手段を介して携帯情報端末からクラウドサービスへのログイン情報を受信し、当該ログイン情報を用いて第1の通信手段を介してクラウドサービスへのログイン処理を実行するログイン実行手段とを含む。
【0023】
画像形成装置をクラウドサービスにログインさせる際に、画像形成装置ではなく、携帯情報端末でクラウドサービスにログインする。その後、その携帯情報端末を近接通信手段に近づけると、第2の通信手段とログイン実行手段とによりクラウドサービスにログインするためのログイン情報が画像形成装置に送信され、画像形成装置がクラウドサービスにログインする。画像形成装置を用いなくても、携帯端末を用いて画像形成装置をクラウドサービスにログインさせることができる。画像形成装置の操作に不慣れなユーザでも、例えば自分の所持する携帯情報端末を用いて画像形成装置をクラウドサービスに容易にログインさせることができる。
【0024】
好ましくは、第1の通信手段は、複数のクラウドサービスと通信可能である。ログイン実行手段は、近接通信手段及び第2の通信手段を介して携帯情報端末からクラウドサービスを特定するクラウドサービス特定情報、及び当該クラウドサービス特定情報により特定されるクラウドサービスへのログイン情報を受信し、当該ログイン情報を用いて第1の通信手段を介してクラウドサービス特定情報により特定されるクラウドサービスにログインする手段を含む。
【0025】
複数のクラウドサービスの内で、所望のクラウドサービスを選択して画像形成装置をログインさせる際に、画像形成装置ではなくユーザの携帯情報端末を用いることで任意のクラウドサービスに画像形成装置をログインさせることができる。所望のクラウドサービスを選択するために、操作に不慣れな画像形成装置を操作する必要がなくなり、画像形成装置を用いて画像形成装置を利用することが容易になる。
【0026】
画像形成装置はさらに、ログイン実行手段によりクラウドサービスにログインしたユーザが、クラウドサービスにログインしている間は、他のユーザによるログイン実行手段を用いたログインを禁止するログイン禁止手段を含んでもよい。
【0027】
本発明の第2の局面に係るサーバ装置は、ネットワークを介して複数の情報処理装置及び複数の画像形成装置と通信することが可能な通信手段と、通信手段を介して、他の装置から、当該他の装置を特定する装置情報とともにユーザのログイン要求を受信してユーザを認証し、ログイン中のユーザをその装置情報とともに管理するログイン管理手段と、他の情報処理装置から、ユーザによりアップロードされたデータを、当該ユーザと関連付けて管理するデータ管理手段と、データ管理手段により管理されたデータのうち、ログイン中のユーザにより指定されたデータを、指定された画像形成装置に印刷のために送信する送信手段とを含むサーバ装置である。ログイン管理手段は、通信手段を介して、他の装置から、当該他の装置を特定する装置情報とともにユーザのログイン要求を受信してユーザを認証する認証手段と、認証手段により認証されたユーザを、その装置情報とともに記憶するログインユーザ記憶手段と、認証手段によりユーザのログインが認証されたことに応答して、ログインユーザ記憶手段に、別の装置で同一ユーザがログインしていることが記憶されているか否かを判定する判定手段とを含む。サーバ装置はさらに、判定手段により同一ユーザが複数の装置でログインしていると判定されたことに応答して、送信手段が当該ユーザの指定によりデータを画像形成装置に送信するときのデフォルト送信先として、印刷機能を持つ装置を設定するデフォルト送信先設定手段を含む。
【0028】
このサーバ装置においては、データ管理手段により、あるユーザが複数の装置からサーバ装置にログインしているか否かが判定できる。当該ユーザにより指定されたデータを、指定された画像形成装置に送信手段により送信するときに、デフォルト送信先設定手段により、印刷機能を持つ装置が送信先のデフォルトに設定される。データを印刷するときに、画像形成装置からの要求でなく、画像形成装置以外のからの要求であっても、同時にログインしている画像形成装置にデータを送信して印刷させることができる。その結果、サーバ装置にデータを保管しているユーザが当該データを印刷しようとするときに、画像形成装置を操作する必要がなくなる。そのため、画像形成装置の操作に不慣れなユーザであっても、容易に所望のデータの印刷物を得ることができる。
【0029】
好ましくは、サーバ装置はさらに、通信手段を介して、サーバ装置にログイン中のユーザから、データ管理手段により管理されたデータに対する操作指示を受けたことに応答して、当該データに対し、当該ユーザにより指定された操作を実行するデータ操作手段を含む。
【0030】
サーバ装置はさらに、判定手段により、画像形成装置及び情報処理装置の双方で画像形成装置に同時にログインしていることがログインユーザ記憶手段に記憶されているユーザについて、当該情報処理装置からログアウト要求を受信したことに応答して、ログインユーザ記憶手段に記憶されている当該ユーザを全てログアウトさせる手段を含んでもよい。
【0031】
サーバ装置はさらに、通信手段を介して、サーバ装置にログイン中のユーザにより、データ管理手段により管理されているデータのいずれかを選択する操作を受付ける受付手段と、認証手段によりユーザのログインが認証されたことに応答して、当該ユーザにより受付手段を介して選択されたデータがあるか否かを判定する第1の判定手段と、認証手段によりユーザのログインが認証されたことに応答して、当該ユーザに対してデフォルト送信先がデフォルト送信先設定手段により設定されたか否かを判定する第2の判定手段とを含んでもよい。送信手段は、第1の判定手段及び第2の判定手段の双方の判定がいずれも肯定的であることに応答して、データ管理手段により管理されたデータのうち、ログイン中のユーザにより受付手段を介して選択されていたデータから印刷データを生成し、デフォルト送信先に印刷のために送信する手段を含む。
【0032】
ユーザが予め画像形成装置以外の装置、例えば携帯端末でこのサーバ装置にログインしてデータを選択すると、その選択が受付手段により受付けられる。ユーザがさらに携帯端末から画像形成装置に近接通信によりログイン情報を送信すると、同じユーザが画像形成装置からサーバ装置にログインできる。すると、このユーザに対するデフォルトの送信先がこの画像形成装置に設定される。このとき、第1の判定手段による判定と第2の判定手段とがともに肯定的となり、送信する手段により、選択されていたデータから印刷データが生成され、デフォルト送信先(ログインした画像形成装置)に送信される。
【0033】
ユーザが予め携帯端末でサーバ装置のデータを選択しておいておけば、携帯端末と画像形成装置とを近接通信で通信させることにより、予め選択されていたデータから印刷データが自動的にサーバ装置で生成され、画像形成装置に送信され、印刷される。ユーザが画像形成装置を操作する時間が短くなり、ユーザにとっては、画像形成装置を操作を操作する量が少なくて済み、時間を節約できる。画像形成装置は、短時間により多くのユーザにサービスを提供することが可能になる。
【0034】
本発明の第3の局面に係る情報処理装置は、ユーザとの対話によりユーザからの指示を受け、当該指示に対応する情報を表示するユーザ対話手段と、ネットワークを介して他の装置と通信する第1の通信手段と、他の装置と近接通信により通信する第2の通信手段と、ユーザ対話手段を介して入力された情報を用い、第1の通信手段を介して、指定されたサービスに対するユーザのログイン処理を実行するログイン実行手段と、ログイン実行手段により指定されたサービスに対するログインが許可された後、第2の通信手段を介して他の装置と通信可能となったことに応答して、ログイン実行手段によりログインが実行されたサービスへのアクセス情報と、当該サービスにログインするために必要なログイン情報とを、第2の通信手段を介して通信可能となった他の装置に送信するログイン情報送信手段とを含む。
【0035】
複数の装置で同じサービスにログインしようとするときに、情報処理装置で第1の通信手段を用いて最初にログインしておく。情報処理装置を第2の通信手段と通信可能な別の装置の近くに置くことで、ログイン済のサービスに当該他の装置をログインさせるための情報を送信できる。その結果、他の装置では、ユーザがログイン情報を入力しなくても、同じサービスに容易にログインできる。
【0036】
好ましくは、情報処理装置は、携帯情報端末である。
【発明の効果】
【0037】
以上のように本発明によれば、画像形成装置をクラウドサービスにログインさせる際に、画像形成装置ではなく、携帯情報端末でクラウドサービスにログインする。その後、その携帯情報端末を近接通信手段に近づけると、クラウドサービスにログインするためのログイン情報が画像形成装置に送信され、画像形成装置がクラウドサービスにログインできる。画像形成装置を用いなくても、当該画像形成装置をクラウドサービスにログインさせることができる。画像形成装置の操作に不慣れなユーザでも、例えば自分の所持する携帯情報端末を用いて画像形成装置をクラウドサービスに容易にログインさせることができる。このような仕組を用いれば、複数のクラウドサービスの中から任意の1つを選択して画像形成装置をログインさせることも容易にできる。
【0038】
その結果、所望のクラウドサービスに容易にログインできる画像形成装置、サーバ装置、及び情報処理装置を提供すること
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】従来のクラウドサービスによる画像出力システム(以下「クラウド画像出力サービス」と呼ぶ。)の概略構成を示す模式図である。
【図2】従来のクラウド画像出力サービスの他の例の概略構成を示す模式図である。
【図3】従来のクラウド画像出力サービスへのログイン時に画像形成装置の操作パネルに表示される、利用可能なサービスのリストを模式的に示す図である。
【図4】従来のクラウド画像出力サービスで、目的のサービスにログインしたときに表示される画面の1例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るクラウド画像出力サービスの概略構成を示す模式図である。
【図6】図5に示すクラウド画像出力サービスにおいて、画像を出力する際のユーザの操作について説明するための模式図である。
【図7】図5に示すクラウド画像出力サービスを構成する各要素の間で行なわれる通信及び各要素で行なわれる処理に関するタイムチャート図である。
【図8】図5に示すクラウド画像出力サービスの構成例を示すブロック図である。
【図9】クラウド画像出力サービスを提供するクラウドサーバのハードウェアブロック図である。
【図10】クラウド画像出力サービスを利用するユーザの情報処理装置のハードウェアブロック図である。
【図11】クラウド画像出力サービスを利用するユーザの携帯端末のハードウェアブロック図である。
【図12】クラウド画像出力サービスを構成する画像形成装置である複合機(MFP)のハードウェアブロック図である。
【図13】携帯端末を用いてMFPからクラウド画像出力サービスにログインするときの携帯端末とMFPとで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図14】携帯端末からクラウド画像出力サービスにログインするときに携帯端末に表示されるログインページの1例を示す図である。
【図15】図14に示すログインページからクラウド画像出力サービスにログインしたときに表示される初期画面(ホーム画面)を示す図である。
【図16】MFPの起動時にMFPの操作パネルに表示されるホーム画面を示す図である。
【図17】携帯端末を用いてMFPからクラウド画像出力サービスにログインしたときにMFPの操作パネルに表示される画面を示す図である。
【図18】携帯端末でクラウド画像出力サービスにログインした後、出力対象となる印刷ジョブを選択するときの画面を示す図である。
【図19】クラウド画像出力サービスへのログインが失敗したときに携帯端末の画面、又は画像形成装置の操作パネルに表示される再ログイン画面を模式的に示す図である。
【図20】クラウド画像出力サービスのクラウドサーバが維持するログインテーブルの構成を模式的に示す図である。
【図21】クラウドサーバが他の機器からログインリクエストを受けたときに実行されるプログラムの第1部分の論理的な制御構造を示すフローチャートである。
【図22】クラウドサーバが他の機器からログインリクエストを受けたときに実行されるプログラムのうち、第1部分に続く第2部分の論理的な制御構造を示すフローチャートである。
【図23】クラウドサーバが他の機器からログインリクエストを受けたときに実行されるプログラムのうち、第2部分に続く第3部分の論理的な制御構造を示すフローチャートである。
【図24】クラウドサーバがログアウトの指示を受けたときに実行するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図25】第1の実施の形態の変形例のシステムのクラウドサーバにおいて、画像形成装置からのユーザのログインが成功したときに、図21のプログラム部分に先立って実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図26】本発明の第2の実施の形態に係るクラウド画像出力システムの概略構成を示すブロック図である。
【図27】第2の実施の形態においてクラウドサーバにログインしたときにユーザの携帯端末に表示される文書選択画面を模式的に示す図である。
【図28】図27に示される文書選択画面で、文書を指定して印刷ボタンを押したときに携帯端末に表示される印刷設定画面を模式的に示す図である。
【図29】本発明の第2の実施の形態の変形例のシステムのクラウドサーバにおいて、画像形成装置からのユーザのログインが成功したときに、図21に相当するプログラム部分に先立って実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下の説明及び図面では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0041】
<第1の実施の形態>
[概略]
図6を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るクラウド画像出力システム160は、ユーザ80により生成された印刷ジョブ84を保存し、出力要求があると、指定された印刷ジョブをMFPに送信するクラウドサーバ170を含む。このシステムには、情報処理装置62、典型的には、いわゆるスマートフォン等である携帯端末172と、MFP176等とが接続可能である。本実施の形態では、MFP176には、携帯端末172との近接通信が可能なリーダ/ライタ174が接続されているものとする。
【0042】
最初に、このクラウド画像出力システム160の概略について説明する。図5を参照して、ユーザ80は情報処理装置62に対する印刷操作200を実行して文書ファイルの印刷ジョブ82をクラウドサーバ170に送信する。クラウドサーバ170は、送信された印刷ジョブ82を印刷ジョブ84として保存する。ユーザ80はさらに、MFP176を操作してクラウドサーバ170に保存された印刷ジョブを印刷するが、この場合、次のような手順にしたがう。
【0043】
ユーザ80はまず、携帯端末172に対するログイン操作202を実行し、クラウドサーバ170にログイン要求180を送信する。このとき、クラウドサーバ170から携帯端末172に対し、ログイン許可214が送信される。ユーザ80はさらに、携帯端末172をMFP176の位置まで移動182させ、携帯端末172をリーダ/ライタ174にかざす。この操作204により、ユーザ80はMFP176にログインできる。このとき携帯端末172は、MFP176に対して、クラウドサーバ170のURL(Universal Resource Locator)と、ログインのためのユーザ情報及びパスワードとを含むログイン情報184を送信する。MFP176はこのログイン情報184を用い、ログイン情報184内のURLにより指定されるクラウドサーバ170と通信してログインする処理186を実行し、与えられたユーザ情報及びパスワードを用いてクラウドサーバ170にログインする。したがってユーザ80は、MFP176のブラウザ画面ではなく、携帯端末172を用いてMFP176をクラウドサーバ170にログインさせることができる。
【0044】
一旦ユーザ80がMFP176にログインできれば、あとは図1のシステムと同様、ユーザ80はMFP176を操作して所望の印刷ジョブ84をMFP176にダウンロードし、印刷物90を得ることができる。
【0045】
さらに本実施の形態では、図6に示すように、ユーザ80は、携帯端末172及びMFP176でクラウドサーバ170にログインした後は、MFP176ではなく携帯端末172の操作220により、印刷指示188をクラウドサーバ170に送信できる。クラウドサーバ170は、印刷指示188を携帯端末172から受信すると、その印刷指示188により指定された印刷ジョブ84を、携帯端末172と同じユーザで同時にログインしているMFP(図6の例ではMFP176)に印刷ジョブ190として送信する。MFP176は印刷ジョブ190を受信すると、印刷物90として出力する。したがってユーザ80は、携帯端末172を操作するだけでMFP176から出力される印刷物90を手にできる。
【0046】
以上の操作のシーケンスを図7に示す。図7を参照して、最初にユーザ80が情報処理装置62を用い、文書の印刷操作200を行なう。情報処理装置62は、印刷ジョブ82を生成し、クラウドサーバ170に送信する。クラウドサーバ170はこの印刷ジョブを保存する処理210を行なう。
【0047】
続いてユーザが携帯端末172を用いたログイン操作202を行なうことにより、携帯端末172がクラウドサーバ170にログイン要求180を送信する。クラウドサーバ170は、ログイン要求180に応答して認証処理212を行ない、認証が成功するとユーザ80に関するログイン許可214を携帯端末172に送信する。
【0048】
さらにユーザ80が携帯端末172をMFP176のリーダ/ライタ174にかざす操作204をすると、ユーザ80はMFP176にログインできる。このとき同時に、携帯端末172からMFP176に対し、MFP176をクラウドサーバ170にログインさせるために必要なログイン情報184が送信される。
【0049】
MFP176は、このログイン情報184を受信すると、ログイン情報184を用いてクラウドサーバ170に通信してログインする処理186を実行する。
【0050】
MFP176がクラウドサーバ170にログインした後は、前述したとおりMFP176からクラウドサーバ170を利用することが可能になる。加えて、ユーザ80が携帯端末172を用いて印刷処理220を行なうと、指定された印刷ジョブ84に対する印刷指示188がクラウドサーバ170に送信される。クラウドサーバ170は、指定された印刷ジョブ84を印刷ジョブ190としてMFP176に送信し、MFP176はこの印刷ジョブを印刷して印刷物90を出力する。
【0051】
なお、本実施の形態ではMFP176を用いる場合について説明するが、MFP176にかえて、プリンタ、スキャナ機能付きのプリンタ、及び複合機等、印刷機能を有する画像出力装置を用いることが可能である。
【0052】
[構成]
(ネットワーク)
図8を参照して、本実施の形態では、クラウド画像出力システム160を構成する各要素は、いずれもインターネット240に接続される。すなわち、クラウド画像出力システム160は、いずれもインターネット240に接続されたクラウドサーバ170及び他のクラウドサーバ244と、インターネット240に接続されたネットワーク230と、ネットワーク230に接続された情報処理装置62、MFP176、及びMFP232と、MFP176に接続されたリーダ/ライタ174と、MFP232に接続されたリーダ/ライタ234と、ネットワーク230に接続された無線ルータ236と、携帯端末172とを含む。携帯端末172は、リーダ/ライタ174、リーダ/ライタ234、及び無線ルータ236と通信可能である。特に携帯端末172は、無線ルータ236を介してネットワーク230に接続され、ネットワーク230上及びインターネット240上の各施設との通信を行なうことができる。なお、MFPはいずれも基本的に同様の構成を持ち、クラウドサーバもいずれも基本的には同様の構成を持つ。したがって以下の説明では、MFPを代表してMFP176について説明し、クラウドサーバを代表してクラウドサーバ170について説明する。なお、ネットワーク230は、LAN(Local Area Network)、無線LAN、WiMAX、PLC、c.link等のイントラネット/インターネット等のIPネットワーク等である。
【0053】
(クラウドサーバ170)
図9を参照して、クラウドサーバ170は、バス260と、いずれもバス260に接続されたCPU(Central Processing UNIT)260、ROM(Read−Only Memory)264、RAM(Random Access Memory)266、及びHDD(Hard disk drive)268と、ネットワーク230及びネットワークに接続される通信部270とを含む。
【0054】
図10を参照して、情報処理装置62は、バス280と、いずれもバス280に接続されたCPU282、ROM284、RAM286、HDD288、入出力インターフェイス290、及びディスプレイインターフェイス296と、バス280及びネットワークに接続される通信部300とを含む。入出力インターフェイス290にはマウス292及びキーボード294が接続され、ディスプレイインターフェイス296にはディスプレイ298が接続される。
【0055】
図11を参照して、携帯端末172は、バス310と、いずれもバス310に接続されたCPU312、ROM314、RAM316、HDD318、入力用のボタン等を含む入力部320、及びタッチパネル322と、バス280に接続される無線通信部324と、バス310に接続され、無線による近接通信でリーダ/ライタ174等との通信を行なう近接通信部326とを含む。入力部320及びタッチパネル322は、ユーザとの対話によるユーザからの指示又はデータ入力を受け、またユーザにより要求されたデータ又はユーザに対して提示すべき情報を表示するためのものである。
【0056】
図12を参照して、MFP176は、MFP176の全体を制御するための制御部330と、制御部330に接続され、ネットワークを介して通信を行なうための通信部312と、制御部330に接続され、公衆電話回線網を介して他のMFP等とファクス通信を行なうためのFAX通信部334と、制御部330に接続されたバス346と、制御部330に接続され、印刷ジョブ84等を格納するためのHDD342と、制御部330に接続された、タッチパネル及び少数のハードウェアボタンを含む操作部344とを含む。前述したリーダ/ライタ174は図示しないインターフェイスを介して制御部330に接続される。
【0057】
MFP176はさらに、バス346を介して制御部330に接続され、制御部330の制御のもとに所定の記録媒体(典型的には印刷用紙)に画像を形成する印刷エンジン336と、制御部330の制御のもとに、バス346に対して印刷用紙を供給する給紙部338と、制御部330の制御にしたがい、白黒又はカラーの原稿画像を読取ってHDD342に格納する処理を行なう原稿読取部340とを含む。
【0058】
制御部330は、いずれもバス346に接続されたCPU350、ROM352、及びRAM354を含む。HDD342及び操作部344はいずれも、バス346を介して制御部330、ROM352及びRAM354と通信可能である。
【0059】
[ソフトウェア構成]
以下、上記したシステムの各構成要素のCPUで実行されるコンピュータプログラムのうち、本発明に特に関連した部分を中心にその構成を述べる。
【0060】
(MFPによるクラウドサーバ170へのログイン)
従来技術との相違の中に、クラウドサーバ170にログイン済の携帯端末172をMFP176のリーダ/ライタ174にかざすことにより、MFP176がクラウドサーバ170にログインするという処理がある。以下、そうした処理を実現するために携帯端末172及びMFP176で実行されるプログラムの構成について、相互に関連させながら説明する。以下の説明では、携帯端末172はすでにクラウドサーバ170にログインしており、携帯端末172にはログインに伴ってクラウドサーバ170から送信されてきたログイン情報が保存されているものとする。携帯端末172がクラウドサーバ170にログインする仕組については、従来と同様の枠組みを使用すればよい。
【0061】
図13の右側のステップ380により示すように、リーダ/ライタ174は、近傍の近接通信可能なカード又は装置に自己の存在を通知するために、常に微弱な電磁波で識別信号を出力している。図13を参照して、携帯端末で実行されるプログラムは、携帯端末172がクラウドサービスにログインすると実行が開始され、MFP176からの識別信号を検知するまで待機するステップ360と、識別信号が検知されたときに、携帯端末172がICカード64にログインするための識別情報と、携帯端末172がすでにログイン済のクラウドサービスを利用するためのURLとをリーダ/ライタ174を介してMFP176に送信するステップ362とを含む。MFP176は、URLを識別情報とURLとを常に待機しており(ステップ382)、有効な識別情報とURLとを受信すると、携帯端末172のMFP176へのログインを認証するとともに、送信されたURLにアクセスする(ステップ384)。アクセスが成功すると(ステップ386でYES)、MFP176は、そのURLのクラウドサーバへのログイン情報の送信依頼を携帯端末172に送信してくる(ステップ388)。
【0062】
一方、携帯端末172では、このログイン情報送信依頼を受信するまで待機しており(ステップ364)、受信するとクラウドサーバへのログイン情報(ユーザ名及びパスワード)をMFP176に送信する(ステップ366)。
【0063】
MFP176はこのログイン情報を受信すると、当該ユーザ情報を用い、指定されたクラウドサーバへのログインを試み、認証が完了するまで待機する(ステプ390)。ログインが認証されると(ステップ390でYES)、クラウドサービスへの接続が完了したことを示す通知を携帯端末172に送信し、クラウドサービスに接続した状態を記録して処理を終了する。
【0064】
携帯端末172は、ログイン情報の送信後、MFP176から接続完了通知を受信するまで待機しており(ステップ368)、接続完了通知を受信すると処理を終了する。
【0065】
図14に、携帯端末172がクラウドサーバ170にログインするときのログイン画面の1例を示す。図14を参照して、この画面410はURLフィールド420と、企業IDフィールド422と、ログイン名フィールド424と、パスワードフィールド426と、ログインボタン430とを含む。画面410は例えば携帯端末172がクラウドサーバ170にアクセスしたときに、クラウドサーバ170から携帯端末172に送信されてきた情報により出力される画面である。
【0066】
URL入力フィールド420にはクラウドサーバ170のURLが表示される。企業IDフィールド422には、このクラウドサービスを利用するユーザが属する企業の識別情報を入力する。ログイン名フィールド424には、ユーザ名を入力する。企業の識別情報とユーザ名とが1組になってユーザを特定するユーザ識別情報を構成する。企業IDフィールド422、ログイン名フィールド424、及びパスワードフィールド426に必要な情報を入力してログインボタン430をクリック又はタップすることにより、携帯端末172がクラウドサーバ170にログインできる。
【0067】
図15を参照して、ユーザがクラウドサービスにログインした直後のホーム画面440は、図14に示すものと同様のURL入力フィールド420と、ユーザが利用可能なサービスの一覧442とを含む。これらサービスの一覧442はいずれもボタンになっており、所望のボタンを押すとそのサービスのメイン画面が表示される。
【0068】
図16を参照して、MFP176の操作パネル(図示せず)には、通常はMFP176のホーム画面460が表示される。ホーム画面460を用いて、コピー、ファクス、原稿のスカン等の処理を行なうことができる。
【0069】
MFP176に携帯端末172がログインし、その操作によってMFP176がクラウドサーバ170にログインした直後のMFP176の操作パネルに表示される画面例を図17に示す。図17を参照して、この画面470は、図15に示される、携帯端末172に表示される画面と同じである。すなわち、ユーザは、携帯端末172からもMFP176からもクラウドサービスの所望のサービスを利用できる。
【0070】
図18に、図15又は図17に示す画面で「印刷」メニューを選択したときに携帯端末172又はMFP176において表示される印刷ジョブ選択画面500の1例を示す。図18に示すように、このユーザがクラウドサーバ170にアップロードしていた印刷ジョブが一覧表示される。ユーザがこの一覧から所望の印刷ジョブを選択することにより、MFP176にその印刷ジョブが送信され、MFP176で印刷される。
【0071】
なお、本実施の形態では、携帯端末172からクラウドサーバ170へのログインが成功したときには、そのときのログイン情報がMFP176に送信される。MFP176はそのログイン情報を用いてクラウドサーバ170にログインする。したがって、通常はMFP176がクラウドサーバ170にログインするときにはログインの失敗は生じない。しかし、何らかの原因でMFP176が受信したログイン情報に誤りが生じたり、クラウドサーバ170に送信される情報に誤りが生じたりする可能性もある。その場合には、MFP176の操作パネルに図19に示すユーザ認証の再試行画面510を表示し、再度、ユーザ情報の入力を促すようにする。画面510が表示されることはまれであり、ユーザがMFP176からクラウドサービスにログインするときに行なわなければならない操作は、従来と比較して非常に簡単になることが期待できる。
【0072】
(MFPによるユーザ及び機器のログイン管理プログラム)
クラウドサーバ170が実行する、ユーザ及びユーザが使用する機器のログイン管理のためのプログラムは、以下のような制御構造を持つ。図20を参照して、クラウドサーバ170は、ログインリクエストを受信するまで待機する(ステップ520)。ログインリクエストを受信すると、クラウドサーバ170はそのリクエストを送信してきた端末に対してログイン画面(図14に示す画面410)を送信し(ステップ522)、ログイン情報を受信するまで待機する(ステップ524)。ログイン情報を受信すると、クラウドサーバ170は受信したログイン情報を用い、自己が管理しているユーザ情報とログイン情報とを照合することでユーザの認証を行なう(ステップ526)。認証に失敗すると、認証失敗の回答を相手端末に対して送信し(ステップ528)、制御をステップ520に戻す。ステップ528では、認証失敗の画面として、図19に示すような画面を相手端末に送信する。
【0073】
一方、ステップ526で認証に成功した場合には、クラウドサーバ170は認証成功の回答を相手端末に対して送信する(ステップ530)。さらに、ログインユーザと、ログイン機器とを対応付けてログインテーブルに記録する(ステップ532)。
【0074】
ここで、ログインテーブルとは、クラウドサーバ170がログインユーザとログイン機器とを管理するために維持するテーブルである。図21を参照して、ログインテーブル560は、ログインしてきたユーザの企業名及びユーザ名と、ログインに用いられた機器の種類と、ログイン機器の種別情報とを含む。図21から分かるように、本実施の形態では、同一ユーザが複数の機器からログインすることが可能となっている。ログイン機器種類はブラウザから送られてくる情報により判別できる。ログイン機器識別情報は、本実施の形態ではログイン機器に割り当てられたIPアドレスである。
【0075】
再び図20を参照して、ステップ532の後、クラウドサーバ170は、ログイン機器のMFPか否かを判別する。ここでは、実質的には、ログイン機器がMFPか、パーソナル・コンピュータ(以下「PC」)又は携帯端末かを判別することになる。以下、PC及び携帯端末をまとめて「PC等」と呼ぶ。ログイン機器がMFPであれば、ステップ536で、同一ユーザでログイン中のPC等があるか否かを判定する。もしそのようなPC等があれば、ステップ540に処理を進め、このMFPをPC等でログイン中の同一ユーザのデフォルトプリンタとしてクラウドサーバ170中のユーザ管理情報に登録する。この後、クラウドサービスをこのユーザに対して提供する(ステップ542)。ログアウト指示を受ければ(ステップ544)、このユーザに対してログアウト処理(ステップ546)を実行し、制御をステップ520に戻す。ステップ536で同一ユーザでログイン中のPC等がないと判定されたときには、ステップ540の処理をすることなくステップ542の処理を開始する。
【0076】
一方、ステップ534でログイン機器がMFPではないと判定されたときには、ステップ538において、同一ユーザでログイン中のMFPがあるか否かを、ログインテーブル560を参照することにより判定する。同一ユーザでログイン中のMFPがあれば、ステップ540で、そのMFPを今回ログインしてきたユーザのデフォルトプリンタとしてユーザ管理情報に登録し、クラウドサービスを開始する(ステップ542)。以下は前述のとおりである。ステップ538で、同一ユーザでログイン中のMFPがないと判定されたときには、ステップ540の処理をすることなくすぐにクラウドサービスを開始する(ステップ542)。
【0077】
─サービス実行プログラム─
任意の印刷ジョブを指定して印刷ジョブを相手端末に送信して印刷させたり、任意の印刷ジョブを指定された送信先(電子メール、ファクス等)に送信したり、印刷ジョブを削除したりするときにクラウドサーバ170が実行するプログラム(サービス実行プログラム)は以下のような制御構造を持つ。
【0078】
図22を参照して、このプログラムは、印刷サービスの要求を受けて開始し、印刷ジョブを選択するためのジョブ選択メニュー画面を送信するステップ580と、端末から印刷ジョブの選択又は印刷ジョブの操作指示を受けるまで待機するステップ582と、ステップ582で何らかの操作を受けたときに、その操作が印刷ジョブの印刷指示か否かを判定するステップ584と、操作が印刷指示であるときに、この印刷指示を送ってきたユーザについて、デフォルトプリンタ設定がされているか否かをユーザ管理情報で確認するステップ586とを含む。デフォルトプリンタが設定されていれば、印刷設定画面を送信し(ステップ594)、何らかの指示を待つ(ステップ596及び600)。指示を受け、その内容が印刷設定の入力であれば(ステップ596でYES)、ステップ598でその入力を受付けて当該ユーザについての印刷設定を更新し(ステップ598)、再度入力待ちとなる。印刷設定の入力でなければ、印刷開始指示か否かを判定し(ステップ600))、印刷開始の指示でもなければ制御をステップ596に戻す。入力が印刷開始の指示であれば(ステップ600でYES)、デフォルトプリンタに対して指定された印刷ジョブを送信し(ステップ602)、制御をステップ580に戻す。
【0079】
一方、ステップ586で、デフォルトプリンタの設定がされていないと判定された場合、ステップ588で、出力先プリンタの設定画面を相手端末に送信する。出力先プリンタの指示を受けるまで待機し(ステップ590)、指示を受けるとその指示にしたがって出力先プリンタを当該ユーザに対して設定する(ステップ592)。この後、制御はステップ594に進む。以後の処理は、デフォルトプリンタが設定されていた場合と同様である。
【0080】
図22のステップ584で、受けた指示が印刷指示ではないと判定されたときには、制御は図23のステップ610に進む。ステップ610では、指示が印刷ジョブを何らかの送信先に送信する指示(送信指示)か否かを判定する。指示が送信指示であれば、ステップ612で、送信先を設定するための画面を相手端末に送信する。続いて送信先を設定する指示を受信するまで待機し(ステップ614)、指示を受信すると、指示された送信先に、指定された印刷ジョブを送信し(ステップ616)、制御を図22のステップ580に戻す。
【0081】
ステップ610の判定が否定の場合には、制御はステップ618に進む。ステップ618では、受信した指示が印刷ジョブを削除するための指示か否かを判定する。判定が肯定なら、指定されたジョブをステップ620で削除し、制御を図22のステップ580に戻す。ステップ618の判定が否定であれば、制御を図22のステップ582に戻す。
【0082】
なお、図23では、説明を分かりやすくするため、印刷ジョブの送信及び削除のみについて説明した。印刷ジョブを別のフォルダに移動したりする処理については、この図には示していないが、当業者であれば容易に実現可能である。
【0083】
(MFPによるログアウト処理)
図20のステップ546で実行されるログアウト処理のためのプログラムは以下のような制御構造を持つ。図24を参照して、ログアウト処理は、ログアウト処理が送信されてきた機器をログアウトするステップ640を含む。ステップ640では、具体的には、当該機器をログインテーブル560から削除する。さらに、ステップ642では、ログアウトの指示を送信してきた機器がMFPか否かを判定する。MFPであればこれ以上何もせずこのルーチンを終了する。MFPでない場合には、ステップ644で、同一ユーザでログイン中のMFPがあるか否かを判定する。なければ何もせず処理を終了する。あれば、ステップ646で、当該MFPについても同時にログアウトし(ログインテーブル560から削除し)、処理を終了する。
【0084】
[動作]
以上、構成を説明したクラウド画像出力システム160の各部は以下のように動作する。なお、以下の説明では、すでに、ユーザ80が情報処理装置62を操作して、印刷ジョブ84をクラウドサーバ170にアップロード済であるものとする。
【0085】
(MFPのログイン処理)
ユーザ80がMFP176にログインしていない状態であるものとする。ユーザ80は、自己の持つ携帯端末172で、ウェブブラウザ(又は当該サービスアクセスのための専用アプリケーション)によってサービス(クラウドサーバ170)にまずログインする。この場合、クラウドサーバ170では、図20のステップ520,522,524,526,530,532,534の経路の処理が実行される。ステップ534の判定結果はNOとなり、ステップ538,542に進む。ここでのユーザ80の操作は、自分が所持する携帯端末172を用い、自分が利用するサービスに接続するので、ユーザ80にとっては容易で操作に迷うおそれはない。
【0086】
次にユーザ80は、携帯端末172がクラウドサーバ170にログインした状態のままで、印刷を行なわせたいMFP176のリーダ/ライタ174に携帯端末172を接近させる。このとき、図13を参照して、携帯端末172及びMFP176では、ステップ380,360,362,382,384,386,388,364,366の経路で処理が実行される。この処理により、携帯端末172からMFP176に対し、リーダ/ライタ174を介してMFP176をログインさせるための情報であるサービスURL及びログイン情報がMFP176に転送される。MFPは、受信したサービスURL及びログイン情報によってクラウドサービスを選択し、ログインする(図13のステップ390,392)。この後、図13のステップ368の処理が実行され、携帯端末172に加え、MFP176が同じユーザでクラウドサーバ170にログインする。
【0087】
一方、この場合、クラウドサーバ170では図20に示すフローチャートの中の次のような経路での処理が実行される。MFP176からのログインリクエストを受けると(ステップ520)、クラウドサーバ170は、ステップ522,524,526,530,532の経路を経て、ステップ534の処理を実行する。ここでの判定結果はYESとなり、制御はステップ536に進む。この例ではステップ536の判定はYESとなり、制御はステップ540に進む。ステップ540では、既にログイン中の同じユーザのデフォルトプリンタとして、ログインリクエストを送信してきたMFP176を登録し、サービスの実行(ステップ542)に移る。以後、ユーザ80は、携帯端末172及びMFP176を用いて任意の印刷ジョブに対して印刷、送信、削除等の処理を実行できる。
【0088】
一般にMFP176から利用可能なクラウドサービスは、前述のように多数になるものと考えられる。したがって従来技術では、ユーザ80は多数のクラウドサービスの中から自分が利用しているクラウドサービスを選択する必要があった。しかもこの選択は、普段自分が使用することが少ないMFP176の操作パネルを用いて行なうので、操作は困難であった。それに対して本実施の形態によれば、ログイン作業は携帯端末172に対する1回だけで済む。ユーザは、常用しているサービスに、使い慣れた携帯端末172からアクセスすることで、MFP176をそのサービスにログインさせることができる。ユーザ80は、不慣れなMFPの前で操作にとまどうことがなく、直ぐに利用できる。
【0089】
(サービスの利用)
MFP176がサービスにログインした後、ユーザ80がクラウドサーバ170に保存された印刷ジョブの印刷を行なう場合を考える。ユーザ80は、携帯端末172に図15に示される画面440が表示された状態で、「印刷」を選択する。これに応答して、クラウドサーバ170は、図22のステップ580を実行し、携帯端末172において図18のような画面が表示される。ユーザがこの中の任意の印刷ジョブを選択して「印刷」ボタンを押すと、携帯端末172からクラウドサーバ170にそのジョブの印刷指示が送信される。この印刷指示を受けたクラウドサーバ170は、図22のステップ584,586の処理を実行する。ここではユーザ80が既にMFP176によりログインしているので、ステップ586の判定は肯定となり、ステップ594で印刷時の設定を行なう画面が表示される。ここでユーザ80が印刷設定を行なえば、クラウドサーバ170はステップ596からステップ598の処理を行なって再度指示待ちとなる。ユーザが印刷を選択すると、クラウドサーバ170は図22のステップ596(NO)及びステップ600(YES)の処理を行ない、ステップ602で印刷データをクラウドサーバ170に送信する。
【0090】
以上のようにしてユーザ80は、MFPの操作に煩わされること無く、携帯端末172を用いて容易に印刷物を得ることができる。
【0091】
なお、ユーザ80がMFP176の操作パネルを操作して印刷ジョブの印刷指示をクラウドサーバ170に送っても同様の処理が行なわれることは言うまでもない。
【0092】
以上のようにこの実施の形態によれば、ユーザ80は自分が常に使用している携帯端末172を用い、普段使用することがあまりないMFP176を自分の利用するクラウドサービスにログインさせることができる。自分が使用している携帯端末では、自分が常に使用しているクラウドサービスのみが選択対象となるので、多数のサービスの中から1つを選択するような処理をする必要がない。したがってMFP176を操作してクラウドサービスにログインするときのように困難な操作を経験することはほとんどない。また、所望の印刷ジョブの印刷も、自分の使いなれている携帯端末172を用いて指示してMFP176に印刷させることができる。そのため、不慣れなMFP176の操作に困難を経験することもない。もちろん、携帯端末172ではなくMFP176を操作しても所望の印刷ジョブに対する操作ができるので、従来技術と比較して明らかにユーザ80にとってMFP176を用いてクラウドサービスを利用することが容易になるという効果が得られる。
【0093】
[変形例]
上記実施の形態では、ユーザ80が携帯端末172及びMFP176の双方でクラウドサーバ170にログインしたときに、双方でホーム画面が表示され、特に印刷は行なわれない。しかし、本発明はそのような実施の形態には限定されない。例えば、出先で文書を印刷するときには、携帯端末172等でクラウドサーバ170に印刷ジョブを送信した直後に、MFP176で印刷をする場合も考えられる。そのような場合には、MFP176でクラウドサーバ170にログインした直後に、既にアップロード済の印刷ジョブであってまだ印刷が済んでいないものがあれば、直ちにMFP176に送信して印刷を開始するような実施の形態も考えられる。
【0094】
この変形例は、そのような実施の形態である。
【0095】
具体的には、MFP176からのログインがあったときに、図22に示すステップ580の前に、ログインしたユーザの印刷ジョブであって、まだ印刷が済んでいないものがあれば、すぐにMFP176に対して送信する処理を挿入すればよい。そのために、クラウドサーバ170で実行されるべき処理のフローチャートを図25に示す。
【0096】
図25を参照して、この処理は、携帯端末172又はMFP176によるクラウドサーバ170へのログインが完了したときに、図22のステップ580に先立って実行される。この処理は、ログインしたユーザの印刷ジョブであってまだ印刷が済んでいないジョブ(印刷待ちジョブ)がクラウドサーバ170に存在しているか否かを判定するステップ660と、ステップ660の判定が肯定のときに、当該ユーザに対してデフォルトのプリンタが設定されているか否かを判定するステップ662と、ステップ662の判定が肯定のときに、印刷待ちジョブをデフォルトプリンタに送信してこの処理を終了するステップ664とを含む。ステップ660又は662の判定が否定のときには何もせず、この処理を終了する。
【0097】
この変形例によれば、例えばユーザ80が予めクラウドサーバ170に印刷ジョブをアップロードした後、上述した手順を用いてMFP176からクラウドサーバ170にログインすると、ステップ660(YES),662(YES)及び664の処理が実行され、印刷待ちジョブがMFP176に送信され印刷される。ユーザ80が携帯端末172又はMFP176を操作して印刷対象のジョブを選択する必要がない。その結果、ユーザにとっては印刷のための手間が省け、より簡単に所望の文書の印刷データを得ることができる。
【0098】
この変形例では、図25に制御構造を示すプログラムにおいて、ステップ660及びステップ662の順で判定をしている。しかしこれら判定は互いに他に依存しているわけではないので、この順序で行なう必要はない。ステップ660と662とを逆にしてもよい。ハードウェア的に判定を行なうのであれば、ステップ660の判定をする回路とステップ682の判定を行なう回路とを並列で設け、それらの出力のANDをとってステップ664の処理を行なう回路にその出力を与えるようにすればよい。
【0099】
なお、本実施の形態では、携帯端末172から印刷ジョブをクラウドサーバ170に送信するときに、クラウドサーバ170における印刷設定を同時に送信しておくと、ユーザの所望の形で直ちに印刷物が得られるのでより望ましい。
【0100】
本実施の形態では、MFP176が携帯端末172からのログイン情報を用いてクラウドサービスにログインしている間は、MFP176が他の携帯端末からの無線によるアクセスに応答することは禁止する。すなわち、あるユーザがログイン中には、図13の右側のフローチャートの実行を中止するか、ステップ380の処理を中止する。そのような携帯端末があった場合には、「ただいまこの装置は他のユーザにより使用中です。申し訳ありませんが、しばらくお待ち下さい」のようなメッセージを表示することが考えられる。
【0101】
ログイン中の携帯端末がクラウドサービスからログアウトすると、MFP176はサーバからその旨の通知を受けて、他の携帯端末からの無線によるアクセスに応答するように制御を移行する。なおこの場合、アクセスを拒絶した携帯端末の識別情報を記憶しておき、MFP176がアクセス可能になったことを通知するようにしてもよい。
【0102】
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態のシステムは、情報処理装置62から印刷ジョブをクラウドサーバ170にアップロードし、MFP176に印刷ジョブを送信して印刷するものであった。しかし、本発明はそのような実施の形態には限定されない。情報処理装置からデータをクラウドサーバにアップロードし、MFP等でそのデータを印刷するものであればどのようなものにも適用できる。
【0103】
以下に説明する第2の実施の形態のシステムは、文書データをクラウドサーバに保管するサービスをクラウドサービスで提供するシステムに関する。以下の説明では、このようなサービスをドキュメントクラウドサービスと呼ぶことにする。
【0104】
図26を参照して、この第2の実施の形態に係るドキュメントクラウドサービスシステム680は、第2の実施の形態と同様のハードウェア構成を持つ情報処理装置62及びMFP176と、情報処理装置62よりアップロードされる文書データ700を文書データ702として保管し、ユーザにより指定された文書データ702を印刷ジョブ708に変換する変換処理706を実行し、指定されたMFP176に送信して印刷させるクラウドサーバ690とを含む。図26において、図5と同一の構成要素には同一の参照符号を割り当ててある。
【0105】
文書の指定は、例えば携帯端末172からユーザ80が行なうこともできる(印刷指定704)し、ユーザがMFP176を操作して行なうこともできる。いずれの場合も、ユーザ80は、携帯端末172を用いてクラウドサーバ690にログインした後、第1の実施の形態と同様、MFP176のリーダ/ライタ174に携帯端末172をかざす(又はリーダ/ライタ174の上に携帯端末172を置く)ことで、MFP176をクラウドサーバ690にログインさせることができる。さらに携帯端末172又はMFP176を操作して、文書データ702のうちの任意のものを指定して印刷を指示すると、文書データ702がクラウドサーバ690での変換処理706により印刷ジョブ708に変換され、MFP176に送られて印刷物710として紙等の記録媒体上に出力される。ユーザがMFP176を操作して所望のクラウドサーバにログインするときのように、多数のクラウドサービスの中から所望のサービスを選択するような煩雑な処理は必要ない。ユーザは簡単に所望の文書データの印刷物を手にできる。
【0106】
図27は、この第2の実施の形態に係るクラウドサーバ690にログインし、文書の印刷処理を選択したときに例えば携帯端末172に表示される文書選択メニュー画面730を示す。本実施の形態では、文書選択メニュー画面730には、クラウドサーバ690に保管されているこのユーザの文書の一覧740が表示される。各文書には、その文書名及びプロパティ等とともに、印刷ボタン742が付されている。所望の文書に付されている印刷ボタン742をクリック又はタップすることにより、その文書がクラウドサーバ690において印刷ジョブに変換され、ユーザ80のデフォルトプリンタに送信される。MFP176によるクラウドサーバ690のログイン時に、MFP176がユーザ80に対するデフォルトプリンタとしてクラウドサーバ690に登録されているので、印刷ジョブ708はMFP176に送信され、印刷される。
【0107】
なお、印刷ボタン742が押されたときに、図28に示すような印刷設定画面750を表示するようにしてもよい。この画面は、文書を指定してクラウドサーバ690に対して印刷指示を出したときに、クラウドサーバ690からその印刷指示を出した端末(携帯端末172又はMFP176)に送信されるものである。
【0108】
図28を参照して、印刷設定画面750では、選択されたファイル名が表示される。その他、印刷部数、用紙サイズ、カラーモード(白黒又はカラー)、両面印刷、いわゆるNup印刷(記録紙1ページ上に文書のNページを印刷する処理)等の設定を行なうことができる。印刷設定画面750の下部には「戻る」ボタン760及び「送信」ボタン762が表示されており、「送信」ボタン762をクリック又はタップすることにより、「ファイル名」で指定された文書データの印刷指示がクラウドサーバ690に対して送信され、MFP176において当該文書データの印刷が行なわれる。
【0109】
以上のようにこの第2の実施の形態によれば、ドキュメントクラウドサービスに保存された文書をMFPで印刷するために、携帯電話等の携帯端末でサービスにログイン後、所望のMFPと携帯端末との通信を行なうことにより、画像形成装置も同じドキュメントクラウドサービスにログインできる。さらに、携帯端末で所望の文書を選択して印刷操作をすれば、自動的にその文書から印刷データが生成され、所望のMFPに出力される。自分が使いなれた携帯端末を使用して所望の文書を所望のMFPに出力できるため、MFP及びドキュメントクラウドサービスを効率よく使用する事が可能になる。
【0110】
[変形例]
上記第2の実施の形態では、携帯端末でドキュメントクラウドサービスにログイン後、携帯端末とMFPとを近接通信させることにより、MFPを同時に同じサービスにログインさせる。その後、ユーザが携帯端末で所望の文書を指定することでその文書の印刷データが所望のMFPに出力された。しかし、本発明はそのような実施の形態には限定されない。例えば、携帯端末でドキュメントクラウドサービスにログインした後、すぐにMFPと携帯端末とを通信させるのではなく、携帯端末で予め印刷対象の文書を選択しておいてMFPと携帯端末とを通信させMFPをサービスにログインさせる実施の形態も考えられる。この場合、ドキュメントクラウドサーバでは、既に携帯端末からログインしているユーザが、別のMFPからもログインしたことが分かるだけでなく、MFPからのログインの前にユーザがどの文書を選択していたかに関する情報も受け取っている。したがって、MFPからのユーザのログインがあったときには、改めてユーザに文書を選択させることなく、選択されていた文書の印刷を直ちに開始することができる。以下、そのためのプログラムの構成について図29を参照して説明する。
【0111】
図29に示すプログラムは、第2の実施の形態の変形例を実現するためのプログラムであって、第1の実施の形態の図22に制御構造を示すプログラム(印刷ジョブをMFPに送信するプログラム)に相当する第2の実施の形態のプログラム(文書データから印刷データを生成してMFPに送信するプログラム)において、図21のステップ520に相当する処理の前に実行されるプログラムである。
【0112】
このプログラムは、携帯端末又はMFPによるドキュメントクラウドサーバへのログインが完了したときに、そのユーザに関して既に選択された文書があるか否かを判定するステップ780を含む。ステップ780で、選択された文書がないと判定されたときにはこのプログラムはこれ以上何もせず、次の処理に制御を移す。ステップ780の判定が肯定的である場合には、ステップ782において、デフォルトのプリンタ設定がされているか否かが判定される。
【0113】
この判定が肯定的である場合、ステップ784において、選択されていた文書から印刷データを生成してデフォルトプリンタに送信して処理を終了する。ステップ782の判定が否定的である場合には何もされず、次の処理の制御が移る。
【0114】
以下、いくつかの場合を例にしてこの変形例の装置の動作を説明する。
【0115】
《A.携帯端末でログイン後、文書を選択なしでMFPからもログインしたとき》
最初に携帯端末でユーザがログインしたときには、図29のステップ660の判定が否定的となり、図29に示すプログラムでは処理は何もされない。
【0116】
次にMFPからログインしたときには、図20に相当するプログラムでステップ534、536、及び540の経路を経てこのユーザに対するデフォルトプリンタがこのMFPに設定される。しかし、図29の処理ではステップ660の判定が否定的となるため、結局何もされずに図29の処理は終了する。
【0117】
《B.携帯端末でログイン後、文書を選択してMFPでもログインしたとき》
最初に携帯端末でログインしたときのサーバでの処理は、上記Aの場合と同様であり、何もされない。
【0118】
文書が選択された後にMFPから同じユーザがログインすると、図20のステップ534、536、及び540の経路を経てこのユーザに対するデフォルトプリンタがこのMFPに設定される。さらにこの場合には、図29のステップ660及びステップ662の双方の判定が肯定的となるため、ステップ664の処理が実行され、選択されていた文書から印刷データが生成されてMFPに出力される。
【0119】
《C.MFPで先にログインし、後に携帯端末でもログインしたとき》
MFPでログインしたときには、図20のステップ534、536及び540の経路を経てこのMFPがログインユーザのデフォルトプリンタに設定される。次にユーザが携帯端末でログインしたときには、文書の選択は原理的に行なわれていない筈なので、図29のステップ660の判定は否定的となり、結局、図29の処理では何も印刷されない。
【0120】
《D.携帯端末でログイン後、別の携帯端末でログインしたとき》
本実施の形態では、このような操作も一応可能である。この場合、MFPでのログインがされない限り、図29のステップ272の判定は必ず否定的となるため、結局ログイン時に文書が印刷されることはない。
【0121】
以上のとおり、本変形例によれば、ユーザが携帯端末でドキュメントサービスにログインした後、この携帯端末とMFPとを近接通信させることにより、同じユーザがそのMFPから同じドキュメントサーバにログインできる。MFPとの近接通信を行なう前に携帯端末において、ドキュメントサービスに保管されている文書を選択しておくと、MFPからログインしたときにその文書の印刷データが自動的に生成され、そのMFPで印刷される。ユーザがMFPの前にいなければならない時間を短くすることができ、ユーザにとっては時間の節約になるという効果がある。さらに、MFP側でも、各ユーザがMFPの前に滞留する時間が短くなるので、運転効率が高くなり、多くのユーザに対してサービスを提供することができるという効果がある。
【0122】
この変形例では、図29に制御構造を示すプログラムにおいて、ステップ780及びステップ782の順で判定をしている。しかしこの変形例でも、第1の実施の形態の変形例と同様、これら判定は互いに他に依存しているわけではないので、この順序で行なう必要はない。ステップ780と782とを逆にしてもよい。ハードウェア的に判定を行なうのであれば、ステップ780の判定をする回路とステップ782の判定を行なう回路とを並列で設け、それらの出力のANDをとるようにすればよい。
【0123】
以上説明したように、本発明の各実施の形態に係るシステムによれば、多数のクラウドサービスへのログインが可能であるためにかえって使い勝手が悪くなるようなMFP等の装置において、所望の文書の印刷物を所望のクラウドサービスから簡単に得ることができる。
【0124】
以上の実施の形態で用いた携帯端末172としては、いわゆる携帯電話、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、ノートブック型コンピュータ、デスクトップコンピュータ等のいずれを用いることもできる。実際には、容易に携帯できる装置を用いることがユーザにとってはシステムを使いやすいことになるが、システムとしては携帯可能な装置しか用いられないわけではない。
【0125】
さらに、上記実施の形態では、クラウドサービスにログインするために必要な情報として、企業ID、ユーザ名及びパスワードを用いている。しかし本発明はそのような実施の形態に限定されるわけではない。例えば、企業によるクラウドサービスの利用でないときには、企業IDは用いられない。
【0126】
さらに、上記実施の形態では、携帯端末172を用いてMFP176をクラウドサーバ170にログインさせたときにも、MFP176を用いて所望の操作を行なうことができた。しかし本発明はそのような実施の形態には限定されない。例えば、携帯端末172とMFP176とが同じユーザ情報を用いて同時にクラウドサーバ170にログインしたときには、携帯端末172からの操作のみを受付けるようにし、MFP176からの操作を受付けないようにしてもよい。逆に、携帯端末172を用いてMFP176がクラウドサーバ170にログインしたときでも、以後はMFP176のみを用いた操作しか受付けないようにしても良い。
【0127】
なお、上記説明では、クラウドサーバ170が固定されているように記載したが、クラウドサービスでは実際にはサーバが特定されるわけではない。クラウドサービスにログインすることにより、クラウドサービス内で適切なサーバにリクエストが回送されてログインが実行されるためである。したがって、ユーザ80から見たときにクラウドサーバ170を特定する必要はなく、クラウドサーバを特定する必要があるだけである。
【0128】
また、上記説明では、リーダ/ライタ174がMFP176に外付けされている。しかし本発明はそのような実施の形態には限定されず、MFP176がリーダ/ライタ174の機能を持っていても良いことはいうまでもない。近接通信の仕組みとしては、いわゆる微弱な電波を使うことが一般的であるが、それに限定されるわけではない。
【0129】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0130】
50 クラウド画像出力サービス
60,110,690 クラウドサーバ
62 情報処理装置
64 ICカード
66、174 リーダ/ライタ
68、176 MFP
80 ユーザ
82,84,708 印刷ジョブ
90,122,710 印刷物
100 クラウドファイルキャビネットサービス
130 選択メニュー
172 携帯端末
680 ドキュメントクラウドサービスシステム
702 文書データ
【技術分野】
【0001】
この発明は通信機能及び印刷機能を持つ複合機等を含む画像印刷システムに関し、特に、いわゆるクラウドサーバから複合機等に文書の画像を出力するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理装置(パーソナル・コンピュータ)及び携帯端末(スマートフォン、タブレット等)の普及に伴って、情報処理装置又は携帯端末から送信された画像データを出力処理する画像出力装置が普及してきている。画像出力装置には、印刷機能のみを持つプリンタもあるし、印刷機能に加えて、スキャナ機能、Fax送信機能、及びE−メール送信機能等のデータ送信機能を備えた多機能な複合機に代表されるMFP(Multiple Function Peripheral:多機能周辺装置)等がある。
【0003】
これらの画像出力装置はLAN(Local Area Network)等のネットワークに接続されていることが多い。オフィス等では、多くの場合、複数の場所に複数の画像出力装置が設置されている。ユーザは、設置されている場所、又は画像出力装置がサポートしている機能を考慮して、利用する画像出力装置を選択する。
【0004】
特にオフィス等では、画像出力装置を利用するユーザに制限を設けていることが多い。ユーザは、画像出力装置を利用するに先立って、情報処理装置から画像出力装置にログインして印刷ジョブを生成したり、画像出力装置を利用するときに、画像出力装置にログインしたりする。画像出力装置へのログインの場合、情報処理装置と異なりキーボードのような機構が設けられていないことが多く、ログイン情報の入力が煩雑である。そのため、画像出力装置にカードリーダを設け、ユーザが所持している識別カード(IDカード)をこのカードリーダに通すことで簡易な動作でログインできる。
【0005】
ログインの動作として、いわゆるICカードのように、非接触又は近接通信によりカードから情報を読取る技術が普及しており、そうした技術を用いることでログインはより簡単になりつつある。さらに、特開2009−86976には、携帯端末をかざして画像形成装置に対するユーザ認証を行なうことで、画像形成装置に保存されている印刷ジョブを携帯端末上で表示し印刷操作できる技術が開示されている。
【0006】
一方、企業内に設けられたハードウェアにデータを保存するのではなく、インターネット上でデータを格納したり、アプリケーションを提供したりする、いわゆるクラウドサービスが急速に普及しつつある。画像出力システムも、クラウドサービスの一環として提供できる。そのようなサービスを、以下、「クラウド画像出力サービス」と呼ぶ。クラウドサービスでは、サーバがネットワーク上のどこに存在しているかはユーザは意識せず、単にサービスの名称のみでデータにアクセスすることが多い。
【0007】
図1に、現在の技術で考えられる1例としてクラウド画像出力サービス50の概略構成を示す。クラウド画像出力サービス50は、情報処理装置からプリントデータ(印刷ジョブ)をクラウド上にアップロードし、ユーザの利用しやすい位置にあるプリンタに印刷させるというシステムである。ここでは、ユーザ80は、情報処理装置62(クライアントPC)からプリンタドライバを介してクラウドサーバ60に印刷ジョブ82を送信する。この処理を行なうとき、プリンタドライバがクラウドサーバ60へのログイン名とパスワードとを入力する画面を開く。ユーザが必要な情報を入力しなければ、印刷ジョブ82はクラウドサーバ60に送信されない。
【0008】
クラウドサーバ60は、印刷ジョブ82を受信すると、印刷ジョブ82に付与されているログイン名とパスワードとを抽出し、クラウドサーバ60への認証処理を行なう。クラウドサーバ60は認証OKであれば、印刷ジョブ82を印刷ジョブ84としてクラウドサーバ60が管理する記憶装置に保存する。
【0009】
この後、ユーザ80が、印刷物を得る作業を行なう場合を考える。ユーザ80は、出力先としてクラウド画像出力サービス50に属するMFP68を利用するものとする。ユーザ80はまず、情報処理装置62からMFP68まで移動する(86)。ユーザ80がMFP68を利用するためには、MFP68のウェブブラウザ(又は専用のアクセスプログラム)を介してクラウド画像出力サービス50のログイン受付画面にアクセスする必要がある。この例では、MFP68に、MFP68を利用するためのICカードのリーダ/ライタ66が接続されているものとする。ユーザ80は、自分の所持しているICカード64をリーダ/ライタ66にかざしてMFP68にログインする。ユーザはさらに、MFP68の操作パネルを操作してウェブブラウザを起動し、クラウドサーバ60のログインページを呼出す。ログインすると、ウェブブラウザには、クラウドサーバ60が提供するクラウド画像出力サービスのホーム画面が表示される(図4のホーム画面140)。
【0010】
図4を参照して、ホーム画面140には、ユーザ80がクラウドファイルキャビネットサービス100に保存した印刷ジョブの一覧142が表示される。ユーザ80は、この一覧142から所望の印刷ジョブを選択して印刷指示ボタン144を操作することにより、印刷ジョブの印刷指示を送信する。クラウドサーバ60は、印刷指示が送信されてきたMFP68に対して、指定された印刷ジョブ88を送信する。MFP68はこの印刷ジョブ88を受信して印刷物90を出力する。
【0011】
同様のサービスが、ファイルをクラウドサーバに保存するサービスでも利用できる。ここでは、そうしたサービスをクラウドファイルキャビネットサービスと呼ぶ。図2を参照して、クラウドファイルキャビネットサービス100は、クラウドサーバ110を含み、情報処理装置62、MFP68等でこのクラウドファイルキャビネットサービスを利用可能である。
【0012】
クラウドファイルキャビネットサービスを利用するユーザ80は、情報処理装置62を操作して文書ファイルを作成し、作成した文書ファイル112をクラウドサーバ110に送信する。具体的には、ユーザ80は、ファイルの保存場所としてネットワーク上のクラウドサーバ110を指定する。クラウドサーバ110は、受信した文書ファイル112を文書ファイル114としてユーザごとに保存する。
【0013】
ユーザ80は、この文書ファイル114の印刷物を得ようとする場合、クラウドファイルキャビネットサービス100に接続可能なMFP68まで移動し、リーダ/ライタ66にICカード64をかざしてMFP68にログインする。ユーザは、MFP68上でブラウザを起動し、クラウドサーバ110の提供するクラウドファイルキャビネットサービス100にログインする。ユーザ80は、クラウドサーバ110に保存されている文書ファイル114のうち、所望のファイルを指定し印刷指示116を送信する。クラウドサーバ110は、この印刷指示116を受信すると、指定された文書ファイル114を選択して、印刷ジョブに変換する処理118を行なう。クラウドサーバ110はさらに、得られた印刷ジョブ120を、印刷指示116が送信されてきたMFP68に送信する。MFP68は印刷ジョブ120を受信して、印刷物122を出力する。
【0014】
クラウドサービスを利用すると、情報処理装置62及びMFP68がどこにあっても、ネットワークに接続可能であればいつでも必要な文書を保存したり印刷したりできる。例えば出先で仕事に関する文書を情報処理装置62で作成してクラウドサーバ60に印刷ジョブとして保存し、近くのコンビニエンスストアのMFP68を用いてその文書を印刷することが可能になる。その結果、場所を選ばず、必要な文書を作成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2009−86976
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
以上のように、MFP68が接続可能なクラウドサービスは非常に便利であり、今後、このようなサービスがますます増加することが考えられる。しかし、その結果、次のような問題が生じる可能性が考えられる。例えば、MFP68がコンビニエンスストア等に設置されている場合を考える。MFP68を利用するユーザは不特定多数であるため、ユーザが利用する可能性のあるクラウドサービスも多数になる。MFP68を利用するユーザは、MFP68で利用可能なクラウドサービスの中から、自分が利用しようとするサービスを選択しなければならない。ところが、MFPから利用できるサービスの種類が増えると、どのサービスにアクセスすべきかについてユーザが混乱する可能性がある。
【0017】
図3を参照して、MFP68にアクセスしてクラウドサービスを利用しようとすると、クラウドサービスの選択メニュー130のようなものが表示されることになる。選択メニュー130はMFP68で利用可能な複数のクラウドサービスの選択肢132を含む。MFP68を運営する業者の立場からは、多くのユーザにMFP68を利用してもらうために、MFP68で利用可能なクラウドサービスはできるだけ多くしておくことが望ましい。さらに、MFPからアクセスできるサービスは今後ますます増えていくものと予想される。その結果、選択メニュー130は非常に長くなることが予測される。
【0018】
一方、ユーザが常用するサービスはいくつかに集約されてくると思われる。したがって、ユーザは、常用しているサービスに早くアクセスしたいと考えるであろう。ところが、MFP68を利用しようとするユーザは、非常に長い選択メニュー130の中から自分の利用するサービスを選択しなければならない。そのためにはユーザは、たとえば選択メニュー130を下方にかなりスクロールしなければならない場合が生じる。所望のサービスを見つけること自体、難しくなることが予想される。したがい、多数のサービスを準備しているMFPほどむしろユーザにとって使いづらくなってしまうという課題がある。
【0019】
このような課題は、クラウドサービスに保存された印刷ジョブ又は文書をMFP68等で印刷するときだけでなく、文書又は印刷ジョブを情報処理装置62からクラウドサーバ60に送信するときにも同様の問題が生じ得る。
【0020】
特許文献1に記載された発明では、すでに述べたようにユーザ80がMFP68にログインする操作は簡略化できるが、クラウドサービスを利用するための操作まで簡略化できるわけではない。
【0021】
したがって、本発明の目的は、所望のクラウドサービスに容易にログインできる画像形成装置、サーバ装置、及び情報処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の第1の局面に係る画像形成装置は、クラウドサービスと通信可能な第1の通信手段と、第1の通信手段を介してクラウドサービスから受信した印刷ジョブを印刷する印刷手段とを含む画像形成装置である。画像形成装置はさらに、近接通信するための近接通信手段を介して他の装置と通信する第2の通信手段と、近接通信手段及び第2の通信手段を介して携帯情報端末からクラウドサービスへのログイン情報を受信し、当該ログイン情報を用いて第1の通信手段を介してクラウドサービスへのログイン処理を実行するログイン実行手段とを含む。
【0023】
画像形成装置をクラウドサービスにログインさせる際に、画像形成装置ではなく、携帯情報端末でクラウドサービスにログインする。その後、その携帯情報端末を近接通信手段に近づけると、第2の通信手段とログイン実行手段とによりクラウドサービスにログインするためのログイン情報が画像形成装置に送信され、画像形成装置がクラウドサービスにログインする。画像形成装置を用いなくても、携帯端末を用いて画像形成装置をクラウドサービスにログインさせることができる。画像形成装置の操作に不慣れなユーザでも、例えば自分の所持する携帯情報端末を用いて画像形成装置をクラウドサービスに容易にログインさせることができる。
【0024】
好ましくは、第1の通信手段は、複数のクラウドサービスと通信可能である。ログイン実行手段は、近接通信手段及び第2の通信手段を介して携帯情報端末からクラウドサービスを特定するクラウドサービス特定情報、及び当該クラウドサービス特定情報により特定されるクラウドサービスへのログイン情報を受信し、当該ログイン情報を用いて第1の通信手段を介してクラウドサービス特定情報により特定されるクラウドサービスにログインする手段を含む。
【0025】
複数のクラウドサービスの内で、所望のクラウドサービスを選択して画像形成装置をログインさせる際に、画像形成装置ではなくユーザの携帯情報端末を用いることで任意のクラウドサービスに画像形成装置をログインさせることができる。所望のクラウドサービスを選択するために、操作に不慣れな画像形成装置を操作する必要がなくなり、画像形成装置を用いて画像形成装置を利用することが容易になる。
【0026】
画像形成装置はさらに、ログイン実行手段によりクラウドサービスにログインしたユーザが、クラウドサービスにログインしている間は、他のユーザによるログイン実行手段を用いたログインを禁止するログイン禁止手段を含んでもよい。
【0027】
本発明の第2の局面に係るサーバ装置は、ネットワークを介して複数の情報処理装置及び複数の画像形成装置と通信することが可能な通信手段と、通信手段を介して、他の装置から、当該他の装置を特定する装置情報とともにユーザのログイン要求を受信してユーザを認証し、ログイン中のユーザをその装置情報とともに管理するログイン管理手段と、他の情報処理装置から、ユーザによりアップロードされたデータを、当該ユーザと関連付けて管理するデータ管理手段と、データ管理手段により管理されたデータのうち、ログイン中のユーザにより指定されたデータを、指定された画像形成装置に印刷のために送信する送信手段とを含むサーバ装置である。ログイン管理手段は、通信手段を介して、他の装置から、当該他の装置を特定する装置情報とともにユーザのログイン要求を受信してユーザを認証する認証手段と、認証手段により認証されたユーザを、その装置情報とともに記憶するログインユーザ記憶手段と、認証手段によりユーザのログインが認証されたことに応答して、ログインユーザ記憶手段に、別の装置で同一ユーザがログインしていることが記憶されているか否かを判定する判定手段とを含む。サーバ装置はさらに、判定手段により同一ユーザが複数の装置でログインしていると判定されたことに応答して、送信手段が当該ユーザの指定によりデータを画像形成装置に送信するときのデフォルト送信先として、印刷機能を持つ装置を設定するデフォルト送信先設定手段を含む。
【0028】
このサーバ装置においては、データ管理手段により、あるユーザが複数の装置からサーバ装置にログインしているか否かが判定できる。当該ユーザにより指定されたデータを、指定された画像形成装置に送信手段により送信するときに、デフォルト送信先設定手段により、印刷機能を持つ装置が送信先のデフォルトに設定される。データを印刷するときに、画像形成装置からの要求でなく、画像形成装置以外のからの要求であっても、同時にログインしている画像形成装置にデータを送信して印刷させることができる。その結果、サーバ装置にデータを保管しているユーザが当該データを印刷しようとするときに、画像形成装置を操作する必要がなくなる。そのため、画像形成装置の操作に不慣れなユーザであっても、容易に所望のデータの印刷物を得ることができる。
【0029】
好ましくは、サーバ装置はさらに、通信手段を介して、サーバ装置にログイン中のユーザから、データ管理手段により管理されたデータに対する操作指示を受けたことに応答して、当該データに対し、当該ユーザにより指定された操作を実行するデータ操作手段を含む。
【0030】
サーバ装置はさらに、判定手段により、画像形成装置及び情報処理装置の双方で画像形成装置に同時にログインしていることがログインユーザ記憶手段に記憶されているユーザについて、当該情報処理装置からログアウト要求を受信したことに応答して、ログインユーザ記憶手段に記憶されている当該ユーザを全てログアウトさせる手段を含んでもよい。
【0031】
サーバ装置はさらに、通信手段を介して、サーバ装置にログイン中のユーザにより、データ管理手段により管理されているデータのいずれかを選択する操作を受付ける受付手段と、認証手段によりユーザのログインが認証されたことに応答して、当該ユーザにより受付手段を介して選択されたデータがあるか否かを判定する第1の判定手段と、認証手段によりユーザのログインが認証されたことに応答して、当該ユーザに対してデフォルト送信先がデフォルト送信先設定手段により設定されたか否かを判定する第2の判定手段とを含んでもよい。送信手段は、第1の判定手段及び第2の判定手段の双方の判定がいずれも肯定的であることに応答して、データ管理手段により管理されたデータのうち、ログイン中のユーザにより受付手段を介して選択されていたデータから印刷データを生成し、デフォルト送信先に印刷のために送信する手段を含む。
【0032】
ユーザが予め画像形成装置以外の装置、例えば携帯端末でこのサーバ装置にログインしてデータを選択すると、その選択が受付手段により受付けられる。ユーザがさらに携帯端末から画像形成装置に近接通信によりログイン情報を送信すると、同じユーザが画像形成装置からサーバ装置にログインできる。すると、このユーザに対するデフォルトの送信先がこの画像形成装置に設定される。このとき、第1の判定手段による判定と第2の判定手段とがともに肯定的となり、送信する手段により、選択されていたデータから印刷データが生成され、デフォルト送信先(ログインした画像形成装置)に送信される。
【0033】
ユーザが予め携帯端末でサーバ装置のデータを選択しておいておけば、携帯端末と画像形成装置とを近接通信で通信させることにより、予め選択されていたデータから印刷データが自動的にサーバ装置で生成され、画像形成装置に送信され、印刷される。ユーザが画像形成装置を操作する時間が短くなり、ユーザにとっては、画像形成装置を操作を操作する量が少なくて済み、時間を節約できる。画像形成装置は、短時間により多くのユーザにサービスを提供することが可能になる。
【0034】
本発明の第3の局面に係る情報処理装置は、ユーザとの対話によりユーザからの指示を受け、当該指示に対応する情報を表示するユーザ対話手段と、ネットワークを介して他の装置と通信する第1の通信手段と、他の装置と近接通信により通信する第2の通信手段と、ユーザ対話手段を介して入力された情報を用い、第1の通信手段を介して、指定されたサービスに対するユーザのログイン処理を実行するログイン実行手段と、ログイン実行手段により指定されたサービスに対するログインが許可された後、第2の通信手段を介して他の装置と通信可能となったことに応答して、ログイン実行手段によりログインが実行されたサービスへのアクセス情報と、当該サービスにログインするために必要なログイン情報とを、第2の通信手段を介して通信可能となった他の装置に送信するログイン情報送信手段とを含む。
【0035】
複数の装置で同じサービスにログインしようとするときに、情報処理装置で第1の通信手段を用いて最初にログインしておく。情報処理装置を第2の通信手段と通信可能な別の装置の近くに置くことで、ログイン済のサービスに当該他の装置をログインさせるための情報を送信できる。その結果、他の装置では、ユーザがログイン情報を入力しなくても、同じサービスに容易にログインできる。
【0036】
好ましくは、情報処理装置は、携帯情報端末である。
【発明の効果】
【0037】
以上のように本発明によれば、画像形成装置をクラウドサービスにログインさせる際に、画像形成装置ではなく、携帯情報端末でクラウドサービスにログインする。その後、その携帯情報端末を近接通信手段に近づけると、クラウドサービスにログインするためのログイン情報が画像形成装置に送信され、画像形成装置がクラウドサービスにログインできる。画像形成装置を用いなくても、当該画像形成装置をクラウドサービスにログインさせることができる。画像形成装置の操作に不慣れなユーザでも、例えば自分の所持する携帯情報端末を用いて画像形成装置をクラウドサービスに容易にログインさせることができる。このような仕組を用いれば、複数のクラウドサービスの中から任意の1つを選択して画像形成装置をログインさせることも容易にできる。
【0038】
その結果、所望のクラウドサービスに容易にログインできる画像形成装置、サーバ装置、及び情報処理装置を提供すること
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】従来のクラウドサービスによる画像出力システム(以下「クラウド画像出力サービス」と呼ぶ。)の概略構成を示す模式図である。
【図2】従来のクラウド画像出力サービスの他の例の概略構成を示す模式図である。
【図3】従来のクラウド画像出力サービスへのログイン時に画像形成装置の操作パネルに表示される、利用可能なサービスのリストを模式的に示す図である。
【図4】従来のクラウド画像出力サービスで、目的のサービスにログインしたときに表示される画面の1例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るクラウド画像出力サービスの概略構成を示す模式図である。
【図6】図5に示すクラウド画像出力サービスにおいて、画像を出力する際のユーザの操作について説明するための模式図である。
【図7】図5に示すクラウド画像出力サービスを構成する各要素の間で行なわれる通信及び各要素で行なわれる処理に関するタイムチャート図である。
【図8】図5に示すクラウド画像出力サービスの構成例を示すブロック図である。
【図9】クラウド画像出力サービスを提供するクラウドサーバのハードウェアブロック図である。
【図10】クラウド画像出力サービスを利用するユーザの情報処理装置のハードウェアブロック図である。
【図11】クラウド画像出力サービスを利用するユーザの携帯端末のハードウェアブロック図である。
【図12】クラウド画像出力サービスを構成する画像形成装置である複合機(MFP)のハードウェアブロック図である。
【図13】携帯端末を用いてMFPからクラウド画像出力サービスにログインするときの携帯端末とMFPとで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図14】携帯端末からクラウド画像出力サービスにログインするときに携帯端末に表示されるログインページの1例を示す図である。
【図15】図14に示すログインページからクラウド画像出力サービスにログインしたときに表示される初期画面(ホーム画面)を示す図である。
【図16】MFPの起動時にMFPの操作パネルに表示されるホーム画面を示す図である。
【図17】携帯端末を用いてMFPからクラウド画像出力サービスにログインしたときにMFPの操作パネルに表示される画面を示す図である。
【図18】携帯端末でクラウド画像出力サービスにログインした後、出力対象となる印刷ジョブを選択するときの画面を示す図である。
【図19】クラウド画像出力サービスへのログインが失敗したときに携帯端末の画面、又は画像形成装置の操作パネルに表示される再ログイン画面を模式的に示す図である。
【図20】クラウド画像出力サービスのクラウドサーバが維持するログインテーブルの構成を模式的に示す図である。
【図21】クラウドサーバが他の機器からログインリクエストを受けたときに実行されるプログラムの第1部分の論理的な制御構造を示すフローチャートである。
【図22】クラウドサーバが他の機器からログインリクエストを受けたときに実行されるプログラムのうち、第1部分に続く第2部分の論理的な制御構造を示すフローチャートである。
【図23】クラウドサーバが他の機器からログインリクエストを受けたときに実行されるプログラムのうち、第2部分に続く第3部分の論理的な制御構造を示すフローチャートである。
【図24】クラウドサーバがログアウトの指示を受けたときに実行するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図25】第1の実施の形態の変形例のシステムのクラウドサーバにおいて、画像形成装置からのユーザのログインが成功したときに、図21のプログラム部分に先立って実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図26】本発明の第2の実施の形態に係るクラウド画像出力システムの概略構成を示すブロック図である。
【図27】第2の実施の形態においてクラウドサーバにログインしたときにユーザの携帯端末に表示される文書選択画面を模式的に示す図である。
【図28】図27に示される文書選択画面で、文書を指定して印刷ボタンを押したときに携帯端末に表示される印刷設定画面を模式的に示す図である。
【図29】本発明の第2の実施の形態の変形例のシステムのクラウドサーバにおいて、画像形成装置からのユーザのログインが成功したときに、図21に相当するプログラム部分に先立って実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下の説明及び図面では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0041】
<第1の実施の形態>
[概略]
図6を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るクラウド画像出力システム160は、ユーザ80により生成された印刷ジョブ84を保存し、出力要求があると、指定された印刷ジョブをMFPに送信するクラウドサーバ170を含む。このシステムには、情報処理装置62、典型的には、いわゆるスマートフォン等である携帯端末172と、MFP176等とが接続可能である。本実施の形態では、MFP176には、携帯端末172との近接通信が可能なリーダ/ライタ174が接続されているものとする。
【0042】
最初に、このクラウド画像出力システム160の概略について説明する。図5を参照して、ユーザ80は情報処理装置62に対する印刷操作200を実行して文書ファイルの印刷ジョブ82をクラウドサーバ170に送信する。クラウドサーバ170は、送信された印刷ジョブ82を印刷ジョブ84として保存する。ユーザ80はさらに、MFP176を操作してクラウドサーバ170に保存された印刷ジョブを印刷するが、この場合、次のような手順にしたがう。
【0043】
ユーザ80はまず、携帯端末172に対するログイン操作202を実行し、クラウドサーバ170にログイン要求180を送信する。このとき、クラウドサーバ170から携帯端末172に対し、ログイン許可214が送信される。ユーザ80はさらに、携帯端末172をMFP176の位置まで移動182させ、携帯端末172をリーダ/ライタ174にかざす。この操作204により、ユーザ80はMFP176にログインできる。このとき携帯端末172は、MFP176に対して、クラウドサーバ170のURL(Universal Resource Locator)と、ログインのためのユーザ情報及びパスワードとを含むログイン情報184を送信する。MFP176はこのログイン情報184を用い、ログイン情報184内のURLにより指定されるクラウドサーバ170と通信してログインする処理186を実行し、与えられたユーザ情報及びパスワードを用いてクラウドサーバ170にログインする。したがってユーザ80は、MFP176のブラウザ画面ではなく、携帯端末172を用いてMFP176をクラウドサーバ170にログインさせることができる。
【0044】
一旦ユーザ80がMFP176にログインできれば、あとは図1のシステムと同様、ユーザ80はMFP176を操作して所望の印刷ジョブ84をMFP176にダウンロードし、印刷物90を得ることができる。
【0045】
さらに本実施の形態では、図6に示すように、ユーザ80は、携帯端末172及びMFP176でクラウドサーバ170にログインした後は、MFP176ではなく携帯端末172の操作220により、印刷指示188をクラウドサーバ170に送信できる。クラウドサーバ170は、印刷指示188を携帯端末172から受信すると、その印刷指示188により指定された印刷ジョブ84を、携帯端末172と同じユーザで同時にログインしているMFP(図6の例ではMFP176)に印刷ジョブ190として送信する。MFP176は印刷ジョブ190を受信すると、印刷物90として出力する。したがってユーザ80は、携帯端末172を操作するだけでMFP176から出力される印刷物90を手にできる。
【0046】
以上の操作のシーケンスを図7に示す。図7を参照して、最初にユーザ80が情報処理装置62を用い、文書の印刷操作200を行なう。情報処理装置62は、印刷ジョブ82を生成し、クラウドサーバ170に送信する。クラウドサーバ170はこの印刷ジョブを保存する処理210を行なう。
【0047】
続いてユーザが携帯端末172を用いたログイン操作202を行なうことにより、携帯端末172がクラウドサーバ170にログイン要求180を送信する。クラウドサーバ170は、ログイン要求180に応答して認証処理212を行ない、認証が成功するとユーザ80に関するログイン許可214を携帯端末172に送信する。
【0048】
さらにユーザ80が携帯端末172をMFP176のリーダ/ライタ174にかざす操作204をすると、ユーザ80はMFP176にログインできる。このとき同時に、携帯端末172からMFP176に対し、MFP176をクラウドサーバ170にログインさせるために必要なログイン情報184が送信される。
【0049】
MFP176は、このログイン情報184を受信すると、ログイン情報184を用いてクラウドサーバ170に通信してログインする処理186を実行する。
【0050】
MFP176がクラウドサーバ170にログインした後は、前述したとおりMFP176からクラウドサーバ170を利用することが可能になる。加えて、ユーザ80が携帯端末172を用いて印刷処理220を行なうと、指定された印刷ジョブ84に対する印刷指示188がクラウドサーバ170に送信される。クラウドサーバ170は、指定された印刷ジョブ84を印刷ジョブ190としてMFP176に送信し、MFP176はこの印刷ジョブを印刷して印刷物90を出力する。
【0051】
なお、本実施の形態ではMFP176を用いる場合について説明するが、MFP176にかえて、プリンタ、スキャナ機能付きのプリンタ、及び複合機等、印刷機能を有する画像出力装置を用いることが可能である。
【0052】
[構成]
(ネットワーク)
図8を参照して、本実施の形態では、クラウド画像出力システム160を構成する各要素は、いずれもインターネット240に接続される。すなわち、クラウド画像出力システム160は、いずれもインターネット240に接続されたクラウドサーバ170及び他のクラウドサーバ244と、インターネット240に接続されたネットワーク230と、ネットワーク230に接続された情報処理装置62、MFP176、及びMFP232と、MFP176に接続されたリーダ/ライタ174と、MFP232に接続されたリーダ/ライタ234と、ネットワーク230に接続された無線ルータ236と、携帯端末172とを含む。携帯端末172は、リーダ/ライタ174、リーダ/ライタ234、及び無線ルータ236と通信可能である。特に携帯端末172は、無線ルータ236を介してネットワーク230に接続され、ネットワーク230上及びインターネット240上の各施設との通信を行なうことができる。なお、MFPはいずれも基本的に同様の構成を持ち、クラウドサーバもいずれも基本的には同様の構成を持つ。したがって以下の説明では、MFPを代表してMFP176について説明し、クラウドサーバを代表してクラウドサーバ170について説明する。なお、ネットワーク230は、LAN(Local Area Network)、無線LAN、WiMAX、PLC、c.link等のイントラネット/インターネット等のIPネットワーク等である。
【0053】
(クラウドサーバ170)
図9を参照して、クラウドサーバ170は、バス260と、いずれもバス260に接続されたCPU(Central Processing UNIT)260、ROM(Read−Only Memory)264、RAM(Random Access Memory)266、及びHDD(Hard disk drive)268と、ネットワーク230及びネットワークに接続される通信部270とを含む。
【0054】
図10を参照して、情報処理装置62は、バス280と、いずれもバス280に接続されたCPU282、ROM284、RAM286、HDD288、入出力インターフェイス290、及びディスプレイインターフェイス296と、バス280及びネットワークに接続される通信部300とを含む。入出力インターフェイス290にはマウス292及びキーボード294が接続され、ディスプレイインターフェイス296にはディスプレイ298が接続される。
【0055】
図11を参照して、携帯端末172は、バス310と、いずれもバス310に接続されたCPU312、ROM314、RAM316、HDD318、入力用のボタン等を含む入力部320、及びタッチパネル322と、バス280に接続される無線通信部324と、バス310に接続され、無線による近接通信でリーダ/ライタ174等との通信を行なう近接通信部326とを含む。入力部320及びタッチパネル322は、ユーザとの対話によるユーザからの指示又はデータ入力を受け、またユーザにより要求されたデータ又はユーザに対して提示すべき情報を表示するためのものである。
【0056】
図12を参照して、MFP176は、MFP176の全体を制御するための制御部330と、制御部330に接続され、ネットワークを介して通信を行なうための通信部312と、制御部330に接続され、公衆電話回線網を介して他のMFP等とファクス通信を行なうためのFAX通信部334と、制御部330に接続されたバス346と、制御部330に接続され、印刷ジョブ84等を格納するためのHDD342と、制御部330に接続された、タッチパネル及び少数のハードウェアボタンを含む操作部344とを含む。前述したリーダ/ライタ174は図示しないインターフェイスを介して制御部330に接続される。
【0057】
MFP176はさらに、バス346を介して制御部330に接続され、制御部330の制御のもとに所定の記録媒体(典型的には印刷用紙)に画像を形成する印刷エンジン336と、制御部330の制御のもとに、バス346に対して印刷用紙を供給する給紙部338と、制御部330の制御にしたがい、白黒又はカラーの原稿画像を読取ってHDD342に格納する処理を行なう原稿読取部340とを含む。
【0058】
制御部330は、いずれもバス346に接続されたCPU350、ROM352、及びRAM354を含む。HDD342及び操作部344はいずれも、バス346を介して制御部330、ROM352及びRAM354と通信可能である。
【0059】
[ソフトウェア構成]
以下、上記したシステムの各構成要素のCPUで実行されるコンピュータプログラムのうち、本発明に特に関連した部分を中心にその構成を述べる。
【0060】
(MFPによるクラウドサーバ170へのログイン)
従来技術との相違の中に、クラウドサーバ170にログイン済の携帯端末172をMFP176のリーダ/ライタ174にかざすことにより、MFP176がクラウドサーバ170にログインするという処理がある。以下、そうした処理を実現するために携帯端末172及びMFP176で実行されるプログラムの構成について、相互に関連させながら説明する。以下の説明では、携帯端末172はすでにクラウドサーバ170にログインしており、携帯端末172にはログインに伴ってクラウドサーバ170から送信されてきたログイン情報が保存されているものとする。携帯端末172がクラウドサーバ170にログインする仕組については、従来と同様の枠組みを使用すればよい。
【0061】
図13の右側のステップ380により示すように、リーダ/ライタ174は、近傍の近接通信可能なカード又は装置に自己の存在を通知するために、常に微弱な電磁波で識別信号を出力している。図13を参照して、携帯端末で実行されるプログラムは、携帯端末172がクラウドサービスにログインすると実行が開始され、MFP176からの識別信号を検知するまで待機するステップ360と、識別信号が検知されたときに、携帯端末172がICカード64にログインするための識別情報と、携帯端末172がすでにログイン済のクラウドサービスを利用するためのURLとをリーダ/ライタ174を介してMFP176に送信するステップ362とを含む。MFP176は、URLを識別情報とURLとを常に待機しており(ステップ382)、有効な識別情報とURLとを受信すると、携帯端末172のMFP176へのログインを認証するとともに、送信されたURLにアクセスする(ステップ384)。アクセスが成功すると(ステップ386でYES)、MFP176は、そのURLのクラウドサーバへのログイン情報の送信依頼を携帯端末172に送信してくる(ステップ388)。
【0062】
一方、携帯端末172では、このログイン情報送信依頼を受信するまで待機しており(ステップ364)、受信するとクラウドサーバへのログイン情報(ユーザ名及びパスワード)をMFP176に送信する(ステップ366)。
【0063】
MFP176はこのログイン情報を受信すると、当該ユーザ情報を用い、指定されたクラウドサーバへのログインを試み、認証が完了するまで待機する(ステプ390)。ログインが認証されると(ステップ390でYES)、クラウドサービスへの接続が完了したことを示す通知を携帯端末172に送信し、クラウドサービスに接続した状態を記録して処理を終了する。
【0064】
携帯端末172は、ログイン情報の送信後、MFP176から接続完了通知を受信するまで待機しており(ステップ368)、接続完了通知を受信すると処理を終了する。
【0065】
図14に、携帯端末172がクラウドサーバ170にログインするときのログイン画面の1例を示す。図14を参照して、この画面410はURLフィールド420と、企業IDフィールド422と、ログイン名フィールド424と、パスワードフィールド426と、ログインボタン430とを含む。画面410は例えば携帯端末172がクラウドサーバ170にアクセスしたときに、クラウドサーバ170から携帯端末172に送信されてきた情報により出力される画面である。
【0066】
URL入力フィールド420にはクラウドサーバ170のURLが表示される。企業IDフィールド422には、このクラウドサービスを利用するユーザが属する企業の識別情報を入力する。ログイン名フィールド424には、ユーザ名を入力する。企業の識別情報とユーザ名とが1組になってユーザを特定するユーザ識別情報を構成する。企業IDフィールド422、ログイン名フィールド424、及びパスワードフィールド426に必要な情報を入力してログインボタン430をクリック又はタップすることにより、携帯端末172がクラウドサーバ170にログインできる。
【0067】
図15を参照して、ユーザがクラウドサービスにログインした直後のホーム画面440は、図14に示すものと同様のURL入力フィールド420と、ユーザが利用可能なサービスの一覧442とを含む。これらサービスの一覧442はいずれもボタンになっており、所望のボタンを押すとそのサービスのメイン画面が表示される。
【0068】
図16を参照して、MFP176の操作パネル(図示せず)には、通常はMFP176のホーム画面460が表示される。ホーム画面460を用いて、コピー、ファクス、原稿のスカン等の処理を行なうことができる。
【0069】
MFP176に携帯端末172がログインし、その操作によってMFP176がクラウドサーバ170にログインした直後のMFP176の操作パネルに表示される画面例を図17に示す。図17を参照して、この画面470は、図15に示される、携帯端末172に表示される画面と同じである。すなわち、ユーザは、携帯端末172からもMFP176からもクラウドサービスの所望のサービスを利用できる。
【0070】
図18に、図15又は図17に示す画面で「印刷」メニューを選択したときに携帯端末172又はMFP176において表示される印刷ジョブ選択画面500の1例を示す。図18に示すように、このユーザがクラウドサーバ170にアップロードしていた印刷ジョブが一覧表示される。ユーザがこの一覧から所望の印刷ジョブを選択することにより、MFP176にその印刷ジョブが送信され、MFP176で印刷される。
【0071】
なお、本実施の形態では、携帯端末172からクラウドサーバ170へのログインが成功したときには、そのときのログイン情報がMFP176に送信される。MFP176はそのログイン情報を用いてクラウドサーバ170にログインする。したがって、通常はMFP176がクラウドサーバ170にログインするときにはログインの失敗は生じない。しかし、何らかの原因でMFP176が受信したログイン情報に誤りが生じたり、クラウドサーバ170に送信される情報に誤りが生じたりする可能性もある。その場合には、MFP176の操作パネルに図19に示すユーザ認証の再試行画面510を表示し、再度、ユーザ情報の入力を促すようにする。画面510が表示されることはまれであり、ユーザがMFP176からクラウドサービスにログインするときに行なわなければならない操作は、従来と比較して非常に簡単になることが期待できる。
【0072】
(MFPによるユーザ及び機器のログイン管理プログラム)
クラウドサーバ170が実行する、ユーザ及びユーザが使用する機器のログイン管理のためのプログラムは、以下のような制御構造を持つ。図20を参照して、クラウドサーバ170は、ログインリクエストを受信するまで待機する(ステップ520)。ログインリクエストを受信すると、クラウドサーバ170はそのリクエストを送信してきた端末に対してログイン画面(図14に示す画面410)を送信し(ステップ522)、ログイン情報を受信するまで待機する(ステップ524)。ログイン情報を受信すると、クラウドサーバ170は受信したログイン情報を用い、自己が管理しているユーザ情報とログイン情報とを照合することでユーザの認証を行なう(ステップ526)。認証に失敗すると、認証失敗の回答を相手端末に対して送信し(ステップ528)、制御をステップ520に戻す。ステップ528では、認証失敗の画面として、図19に示すような画面を相手端末に送信する。
【0073】
一方、ステップ526で認証に成功した場合には、クラウドサーバ170は認証成功の回答を相手端末に対して送信する(ステップ530)。さらに、ログインユーザと、ログイン機器とを対応付けてログインテーブルに記録する(ステップ532)。
【0074】
ここで、ログインテーブルとは、クラウドサーバ170がログインユーザとログイン機器とを管理するために維持するテーブルである。図21を参照して、ログインテーブル560は、ログインしてきたユーザの企業名及びユーザ名と、ログインに用いられた機器の種類と、ログイン機器の種別情報とを含む。図21から分かるように、本実施の形態では、同一ユーザが複数の機器からログインすることが可能となっている。ログイン機器種類はブラウザから送られてくる情報により判別できる。ログイン機器識別情報は、本実施の形態ではログイン機器に割り当てられたIPアドレスである。
【0075】
再び図20を参照して、ステップ532の後、クラウドサーバ170は、ログイン機器のMFPか否かを判別する。ここでは、実質的には、ログイン機器がMFPか、パーソナル・コンピュータ(以下「PC」)又は携帯端末かを判別することになる。以下、PC及び携帯端末をまとめて「PC等」と呼ぶ。ログイン機器がMFPであれば、ステップ536で、同一ユーザでログイン中のPC等があるか否かを判定する。もしそのようなPC等があれば、ステップ540に処理を進め、このMFPをPC等でログイン中の同一ユーザのデフォルトプリンタとしてクラウドサーバ170中のユーザ管理情報に登録する。この後、クラウドサービスをこのユーザに対して提供する(ステップ542)。ログアウト指示を受ければ(ステップ544)、このユーザに対してログアウト処理(ステップ546)を実行し、制御をステップ520に戻す。ステップ536で同一ユーザでログイン中のPC等がないと判定されたときには、ステップ540の処理をすることなくステップ542の処理を開始する。
【0076】
一方、ステップ534でログイン機器がMFPではないと判定されたときには、ステップ538において、同一ユーザでログイン中のMFPがあるか否かを、ログインテーブル560を参照することにより判定する。同一ユーザでログイン中のMFPがあれば、ステップ540で、そのMFPを今回ログインしてきたユーザのデフォルトプリンタとしてユーザ管理情報に登録し、クラウドサービスを開始する(ステップ542)。以下は前述のとおりである。ステップ538で、同一ユーザでログイン中のMFPがないと判定されたときには、ステップ540の処理をすることなくすぐにクラウドサービスを開始する(ステップ542)。
【0077】
─サービス実行プログラム─
任意の印刷ジョブを指定して印刷ジョブを相手端末に送信して印刷させたり、任意の印刷ジョブを指定された送信先(電子メール、ファクス等)に送信したり、印刷ジョブを削除したりするときにクラウドサーバ170が実行するプログラム(サービス実行プログラム)は以下のような制御構造を持つ。
【0078】
図22を参照して、このプログラムは、印刷サービスの要求を受けて開始し、印刷ジョブを選択するためのジョブ選択メニュー画面を送信するステップ580と、端末から印刷ジョブの選択又は印刷ジョブの操作指示を受けるまで待機するステップ582と、ステップ582で何らかの操作を受けたときに、その操作が印刷ジョブの印刷指示か否かを判定するステップ584と、操作が印刷指示であるときに、この印刷指示を送ってきたユーザについて、デフォルトプリンタ設定がされているか否かをユーザ管理情報で確認するステップ586とを含む。デフォルトプリンタが設定されていれば、印刷設定画面を送信し(ステップ594)、何らかの指示を待つ(ステップ596及び600)。指示を受け、その内容が印刷設定の入力であれば(ステップ596でYES)、ステップ598でその入力を受付けて当該ユーザについての印刷設定を更新し(ステップ598)、再度入力待ちとなる。印刷設定の入力でなければ、印刷開始指示か否かを判定し(ステップ600))、印刷開始の指示でもなければ制御をステップ596に戻す。入力が印刷開始の指示であれば(ステップ600でYES)、デフォルトプリンタに対して指定された印刷ジョブを送信し(ステップ602)、制御をステップ580に戻す。
【0079】
一方、ステップ586で、デフォルトプリンタの設定がされていないと判定された場合、ステップ588で、出力先プリンタの設定画面を相手端末に送信する。出力先プリンタの指示を受けるまで待機し(ステップ590)、指示を受けるとその指示にしたがって出力先プリンタを当該ユーザに対して設定する(ステップ592)。この後、制御はステップ594に進む。以後の処理は、デフォルトプリンタが設定されていた場合と同様である。
【0080】
図22のステップ584で、受けた指示が印刷指示ではないと判定されたときには、制御は図23のステップ610に進む。ステップ610では、指示が印刷ジョブを何らかの送信先に送信する指示(送信指示)か否かを判定する。指示が送信指示であれば、ステップ612で、送信先を設定するための画面を相手端末に送信する。続いて送信先を設定する指示を受信するまで待機し(ステップ614)、指示を受信すると、指示された送信先に、指定された印刷ジョブを送信し(ステップ616)、制御を図22のステップ580に戻す。
【0081】
ステップ610の判定が否定の場合には、制御はステップ618に進む。ステップ618では、受信した指示が印刷ジョブを削除するための指示か否かを判定する。判定が肯定なら、指定されたジョブをステップ620で削除し、制御を図22のステップ580に戻す。ステップ618の判定が否定であれば、制御を図22のステップ582に戻す。
【0082】
なお、図23では、説明を分かりやすくするため、印刷ジョブの送信及び削除のみについて説明した。印刷ジョブを別のフォルダに移動したりする処理については、この図には示していないが、当業者であれば容易に実現可能である。
【0083】
(MFPによるログアウト処理)
図20のステップ546で実行されるログアウト処理のためのプログラムは以下のような制御構造を持つ。図24を参照して、ログアウト処理は、ログアウト処理が送信されてきた機器をログアウトするステップ640を含む。ステップ640では、具体的には、当該機器をログインテーブル560から削除する。さらに、ステップ642では、ログアウトの指示を送信してきた機器がMFPか否かを判定する。MFPであればこれ以上何もせずこのルーチンを終了する。MFPでない場合には、ステップ644で、同一ユーザでログイン中のMFPがあるか否かを判定する。なければ何もせず処理を終了する。あれば、ステップ646で、当該MFPについても同時にログアウトし(ログインテーブル560から削除し)、処理を終了する。
【0084】
[動作]
以上、構成を説明したクラウド画像出力システム160の各部は以下のように動作する。なお、以下の説明では、すでに、ユーザ80が情報処理装置62を操作して、印刷ジョブ84をクラウドサーバ170にアップロード済であるものとする。
【0085】
(MFPのログイン処理)
ユーザ80がMFP176にログインしていない状態であるものとする。ユーザ80は、自己の持つ携帯端末172で、ウェブブラウザ(又は当該サービスアクセスのための専用アプリケーション)によってサービス(クラウドサーバ170)にまずログインする。この場合、クラウドサーバ170では、図20のステップ520,522,524,526,530,532,534の経路の処理が実行される。ステップ534の判定結果はNOとなり、ステップ538,542に進む。ここでのユーザ80の操作は、自分が所持する携帯端末172を用い、自分が利用するサービスに接続するので、ユーザ80にとっては容易で操作に迷うおそれはない。
【0086】
次にユーザ80は、携帯端末172がクラウドサーバ170にログインした状態のままで、印刷を行なわせたいMFP176のリーダ/ライタ174に携帯端末172を接近させる。このとき、図13を参照して、携帯端末172及びMFP176では、ステップ380,360,362,382,384,386,388,364,366の経路で処理が実行される。この処理により、携帯端末172からMFP176に対し、リーダ/ライタ174を介してMFP176をログインさせるための情報であるサービスURL及びログイン情報がMFP176に転送される。MFPは、受信したサービスURL及びログイン情報によってクラウドサービスを選択し、ログインする(図13のステップ390,392)。この後、図13のステップ368の処理が実行され、携帯端末172に加え、MFP176が同じユーザでクラウドサーバ170にログインする。
【0087】
一方、この場合、クラウドサーバ170では図20に示すフローチャートの中の次のような経路での処理が実行される。MFP176からのログインリクエストを受けると(ステップ520)、クラウドサーバ170は、ステップ522,524,526,530,532の経路を経て、ステップ534の処理を実行する。ここでの判定結果はYESとなり、制御はステップ536に進む。この例ではステップ536の判定はYESとなり、制御はステップ540に進む。ステップ540では、既にログイン中の同じユーザのデフォルトプリンタとして、ログインリクエストを送信してきたMFP176を登録し、サービスの実行(ステップ542)に移る。以後、ユーザ80は、携帯端末172及びMFP176を用いて任意の印刷ジョブに対して印刷、送信、削除等の処理を実行できる。
【0088】
一般にMFP176から利用可能なクラウドサービスは、前述のように多数になるものと考えられる。したがって従来技術では、ユーザ80は多数のクラウドサービスの中から自分が利用しているクラウドサービスを選択する必要があった。しかもこの選択は、普段自分が使用することが少ないMFP176の操作パネルを用いて行なうので、操作は困難であった。それに対して本実施の形態によれば、ログイン作業は携帯端末172に対する1回だけで済む。ユーザは、常用しているサービスに、使い慣れた携帯端末172からアクセスすることで、MFP176をそのサービスにログインさせることができる。ユーザ80は、不慣れなMFPの前で操作にとまどうことがなく、直ぐに利用できる。
【0089】
(サービスの利用)
MFP176がサービスにログインした後、ユーザ80がクラウドサーバ170に保存された印刷ジョブの印刷を行なう場合を考える。ユーザ80は、携帯端末172に図15に示される画面440が表示された状態で、「印刷」を選択する。これに応答して、クラウドサーバ170は、図22のステップ580を実行し、携帯端末172において図18のような画面が表示される。ユーザがこの中の任意の印刷ジョブを選択して「印刷」ボタンを押すと、携帯端末172からクラウドサーバ170にそのジョブの印刷指示が送信される。この印刷指示を受けたクラウドサーバ170は、図22のステップ584,586の処理を実行する。ここではユーザ80が既にMFP176によりログインしているので、ステップ586の判定は肯定となり、ステップ594で印刷時の設定を行なう画面が表示される。ここでユーザ80が印刷設定を行なえば、クラウドサーバ170はステップ596からステップ598の処理を行なって再度指示待ちとなる。ユーザが印刷を選択すると、クラウドサーバ170は図22のステップ596(NO)及びステップ600(YES)の処理を行ない、ステップ602で印刷データをクラウドサーバ170に送信する。
【0090】
以上のようにしてユーザ80は、MFPの操作に煩わされること無く、携帯端末172を用いて容易に印刷物を得ることができる。
【0091】
なお、ユーザ80がMFP176の操作パネルを操作して印刷ジョブの印刷指示をクラウドサーバ170に送っても同様の処理が行なわれることは言うまでもない。
【0092】
以上のようにこの実施の形態によれば、ユーザ80は自分が常に使用している携帯端末172を用い、普段使用することがあまりないMFP176を自分の利用するクラウドサービスにログインさせることができる。自分が使用している携帯端末では、自分が常に使用しているクラウドサービスのみが選択対象となるので、多数のサービスの中から1つを選択するような処理をする必要がない。したがってMFP176を操作してクラウドサービスにログインするときのように困難な操作を経験することはほとんどない。また、所望の印刷ジョブの印刷も、自分の使いなれている携帯端末172を用いて指示してMFP176に印刷させることができる。そのため、不慣れなMFP176の操作に困難を経験することもない。もちろん、携帯端末172ではなくMFP176を操作しても所望の印刷ジョブに対する操作ができるので、従来技術と比較して明らかにユーザ80にとってMFP176を用いてクラウドサービスを利用することが容易になるという効果が得られる。
【0093】
[変形例]
上記実施の形態では、ユーザ80が携帯端末172及びMFP176の双方でクラウドサーバ170にログインしたときに、双方でホーム画面が表示され、特に印刷は行なわれない。しかし、本発明はそのような実施の形態には限定されない。例えば、出先で文書を印刷するときには、携帯端末172等でクラウドサーバ170に印刷ジョブを送信した直後に、MFP176で印刷をする場合も考えられる。そのような場合には、MFP176でクラウドサーバ170にログインした直後に、既にアップロード済の印刷ジョブであってまだ印刷が済んでいないものがあれば、直ちにMFP176に送信して印刷を開始するような実施の形態も考えられる。
【0094】
この変形例は、そのような実施の形態である。
【0095】
具体的には、MFP176からのログインがあったときに、図22に示すステップ580の前に、ログインしたユーザの印刷ジョブであって、まだ印刷が済んでいないものがあれば、すぐにMFP176に対して送信する処理を挿入すればよい。そのために、クラウドサーバ170で実行されるべき処理のフローチャートを図25に示す。
【0096】
図25を参照して、この処理は、携帯端末172又はMFP176によるクラウドサーバ170へのログインが完了したときに、図22のステップ580に先立って実行される。この処理は、ログインしたユーザの印刷ジョブであってまだ印刷が済んでいないジョブ(印刷待ちジョブ)がクラウドサーバ170に存在しているか否かを判定するステップ660と、ステップ660の判定が肯定のときに、当該ユーザに対してデフォルトのプリンタが設定されているか否かを判定するステップ662と、ステップ662の判定が肯定のときに、印刷待ちジョブをデフォルトプリンタに送信してこの処理を終了するステップ664とを含む。ステップ660又は662の判定が否定のときには何もせず、この処理を終了する。
【0097】
この変形例によれば、例えばユーザ80が予めクラウドサーバ170に印刷ジョブをアップロードした後、上述した手順を用いてMFP176からクラウドサーバ170にログインすると、ステップ660(YES),662(YES)及び664の処理が実行され、印刷待ちジョブがMFP176に送信され印刷される。ユーザ80が携帯端末172又はMFP176を操作して印刷対象のジョブを選択する必要がない。その結果、ユーザにとっては印刷のための手間が省け、より簡単に所望の文書の印刷データを得ることができる。
【0098】
この変形例では、図25に制御構造を示すプログラムにおいて、ステップ660及びステップ662の順で判定をしている。しかしこれら判定は互いに他に依存しているわけではないので、この順序で行なう必要はない。ステップ660と662とを逆にしてもよい。ハードウェア的に判定を行なうのであれば、ステップ660の判定をする回路とステップ682の判定を行なう回路とを並列で設け、それらの出力のANDをとってステップ664の処理を行なう回路にその出力を与えるようにすればよい。
【0099】
なお、本実施の形態では、携帯端末172から印刷ジョブをクラウドサーバ170に送信するときに、クラウドサーバ170における印刷設定を同時に送信しておくと、ユーザの所望の形で直ちに印刷物が得られるのでより望ましい。
【0100】
本実施の形態では、MFP176が携帯端末172からのログイン情報を用いてクラウドサービスにログインしている間は、MFP176が他の携帯端末からの無線によるアクセスに応答することは禁止する。すなわち、あるユーザがログイン中には、図13の右側のフローチャートの実行を中止するか、ステップ380の処理を中止する。そのような携帯端末があった場合には、「ただいまこの装置は他のユーザにより使用中です。申し訳ありませんが、しばらくお待ち下さい」のようなメッセージを表示することが考えられる。
【0101】
ログイン中の携帯端末がクラウドサービスからログアウトすると、MFP176はサーバからその旨の通知を受けて、他の携帯端末からの無線によるアクセスに応答するように制御を移行する。なおこの場合、アクセスを拒絶した携帯端末の識別情報を記憶しておき、MFP176がアクセス可能になったことを通知するようにしてもよい。
【0102】
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態のシステムは、情報処理装置62から印刷ジョブをクラウドサーバ170にアップロードし、MFP176に印刷ジョブを送信して印刷するものであった。しかし、本発明はそのような実施の形態には限定されない。情報処理装置からデータをクラウドサーバにアップロードし、MFP等でそのデータを印刷するものであればどのようなものにも適用できる。
【0103】
以下に説明する第2の実施の形態のシステムは、文書データをクラウドサーバに保管するサービスをクラウドサービスで提供するシステムに関する。以下の説明では、このようなサービスをドキュメントクラウドサービスと呼ぶことにする。
【0104】
図26を参照して、この第2の実施の形態に係るドキュメントクラウドサービスシステム680は、第2の実施の形態と同様のハードウェア構成を持つ情報処理装置62及びMFP176と、情報処理装置62よりアップロードされる文書データ700を文書データ702として保管し、ユーザにより指定された文書データ702を印刷ジョブ708に変換する変換処理706を実行し、指定されたMFP176に送信して印刷させるクラウドサーバ690とを含む。図26において、図5と同一の構成要素には同一の参照符号を割り当ててある。
【0105】
文書の指定は、例えば携帯端末172からユーザ80が行なうこともできる(印刷指定704)し、ユーザがMFP176を操作して行なうこともできる。いずれの場合も、ユーザ80は、携帯端末172を用いてクラウドサーバ690にログインした後、第1の実施の形態と同様、MFP176のリーダ/ライタ174に携帯端末172をかざす(又はリーダ/ライタ174の上に携帯端末172を置く)ことで、MFP176をクラウドサーバ690にログインさせることができる。さらに携帯端末172又はMFP176を操作して、文書データ702のうちの任意のものを指定して印刷を指示すると、文書データ702がクラウドサーバ690での変換処理706により印刷ジョブ708に変換され、MFP176に送られて印刷物710として紙等の記録媒体上に出力される。ユーザがMFP176を操作して所望のクラウドサーバにログインするときのように、多数のクラウドサービスの中から所望のサービスを選択するような煩雑な処理は必要ない。ユーザは簡単に所望の文書データの印刷物を手にできる。
【0106】
図27は、この第2の実施の形態に係るクラウドサーバ690にログインし、文書の印刷処理を選択したときに例えば携帯端末172に表示される文書選択メニュー画面730を示す。本実施の形態では、文書選択メニュー画面730には、クラウドサーバ690に保管されているこのユーザの文書の一覧740が表示される。各文書には、その文書名及びプロパティ等とともに、印刷ボタン742が付されている。所望の文書に付されている印刷ボタン742をクリック又はタップすることにより、その文書がクラウドサーバ690において印刷ジョブに変換され、ユーザ80のデフォルトプリンタに送信される。MFP176によるクラウドサーバ690のログイン時に、MFP176がユーザ80に対するデフォルトプリンタとしてクラウドサーバ690に登録されているので、印刷ジョブ708はMFP176に送信され、印刷される。
【0107】
なお、印刷ボタン742が押されたときに、図28に示すような印刷設定画面750を表示するようにしてもよい。この画面は、文書を指定してクラウドサーバ690に対して印刷指示を出したときに、クラウドサーバ690からその印刷指示を出した端末(携帯端末172又はMFP176)に送信されるものである。
【0108】
図28を参照して、印刷設定画面750では、選択されたファイル名が表示される。その他、印刷部数、用紙サイズ、カラーモード(白黒又はカラー)、両面印刷、いわゆるNup印刷(記録紙1ページ上に文書のNページを印刷する処理)等の設定を行なうことができる。印刷設定画面750の下部には「戻る」ボタン760及び「送信」ボタン762が表示されており、「送信」ボタン762をクリック又はタップすることにより、「ファイル名」で指定された文書データの印刷指示がクラウドサーバ690に対して送信され、MFP176において当該文書データの印刷が行なわれる。
【0109】
以上のようにこの第2の実施の形態によれば、ドキュメントクラウドサービスに保存された文書をMFPで印刷するために、携帯電話等の携帯端末でサービスにログイン後、所望のMFPと携帯端末との通信を行なうことにより、画像形成装置も同じドキュメントクラウドサービスにログインできる。さらに、携帯端末で所望の文書を選択して印刷操作をすれば、自動的にその文書から印刷データが生成され、所望のMFPに出力される。自分が使いなれた携帯端末を使用して所望の文書を所望のMFPに出力できるため、MFP及びドキュメントクラウドサービスを効率よく使用する事が可能になる。
【0110】
[変形例]
上記第2の実施の形態では、携帯端末でドキュメントクラウドサービスにログイン後、携帯端末とMFPとを近接通信させることにより、MFPを同時に同じサービスにログインさせる。その後、ユーザが携帯端末で所望の文書を指定することでその文書の印刷データが所望のMFPに出力された。しかし、本発明はそのような実施の形態には限定されない。例えば、携帯端末でドキュメントクラウドサービスにログインした後、すぐにMFPと携帯端末とを通信させるのではなく、携帯端末で予め印刷対象の文書を選択しておいてMFPと携帯端末とを通信させMFPをサービスにログインさせる実施の形態も考えられる。この場合、ドキュメントクラウドサーバでは、既に携帯端末からログインしているユーザが、別のMFPからもログインしたことが分かるだけでなく、MFPからのログインの前にユーザがどの文書を選択していたかに関する情報も受け取っている。したがって、MFPからのユーザのログインがあったときには、改めてユーザに文書を選択させることなく、選択されていた文書の印刷を直ちに開始することができる。以下、そのためのプログラムの構成について図29を参照して説明する。
【0111】
図29に示すプログラムは、第2の実施の形態の変形例を実現するためのプログラムであって、第1の実施の形態の図22に制御構造を示すプログラム(印刷ジョブをMFPに送信するプログラム)に相当する第2の実施の形態のプログラム(文書データから印刷データを生成してMFPに送信するプログラム)において、図21のステップ520に相当する処理の前に実行されるプログラムである。
【0112】
このプログラムは、携帯端末又はMFPによるドキュメントクラウドサーバへのログインが完了したときに、そのユーザに関して既に選択された文書があるか否かを判定するステップ780を含む。ステップ780で、選択された文書がないと判定されたときにはこのプログラムはこれ以上何もせず、次の処理に制御を移す。ステップ780の判定が肯定的である場合には、ステップ782において、デフォルトのプリンタ設定がされているか否かが判定される。
【0113】
この判定が肯定的である場合、ステップ784において、選択されていた文書から印刷データを生成してデフォルトプリンタに送信して処理を終了する。ステップ782の判定が否定的である場合には何もされず、次の処理の制御が移る。
【0114】
以下、いくつかの場合を例にしてこの変形例の装置の動作を説明する。
【0115】
《A.携帯端末でログイン後、文書を選択なしでMFPからもログインしたとき》
最初に携帯端末でユーザがログインしたときには、図29のステップ660の判定が否定的となり、図29に示すプログラムでは処理は何もされない。
【0116】
次にMFPからログインしたときには、図20に相当するプログラムでステップ534、536、及び540の経路を経てこのユーザに対するデフォルトプリンタがこのMFPに設定される。しかし、図29の処理ではステップ660の判定が否定的となるため、結局何もされずに図29の処理は終了する。
【0117】
《B.携帯端末でログイン後、文書を選択してMFPでもログインしたとき》
最初に携帯端末でログインしたときのサーバでの処理は、上記Aの場合と同様であり、何もされない。
【0118】
文書が選択された後にMFPから同じユーザがログインすると、図20のステップ534、536、及び540の経路を経てこのユーザに対するデフォルトプリンタがこのMFPに設定される。さらにこの場合には、図29のステップ660及びステップ662の双方の判定が肯定的となるため、ステップ664の処理が実行され、選択されていた文書から印刷データが生成されてMFPに出力される。
【0119】
《C.MFPで先にログインし、後に携帯端末でもログインしたとき》
MFPでログインしたときには、図20のステップ534、536及び540の経路を経てこのMFPがログインユーザのデフォルトプリンタに設定される。次にユーザが携帯端末でログインしたときには、文書の選択は原理的に行なわれていない筈なので、図29のステップ660の判定は否定的となり、結局、図29の処理では何も印刷されない。
【0120】
《D.携帯端末でログイン後、別の携帯端末でログインしたとき》
本実施の形態では、このような操作も一応可能である。この場合、MFPでのログインがされない限り、図29のステップ272の判定は必ず否定的となるため、結局ログイン時に文書が印刷されることはない。
【0121】
以上のとおり、本変形例によれば、ユーザが携帯端末でドキュメントサービスにログインした後、この携帯端末とMFPとを近接通信させることにより、同じユーザがそのMFPから同じドキュメントサーバにログインできる。MFPとの近接通信を行なう前に携帯端末において、ドキュメントサービスに保管されている文書を選択しておくと、MFPからログインしたときにその文書の印刷データが自動的に生成され、そのMFPで印刷される。ユーザがMFPの前にいなければならない時間を短くすることができ、ユーザにとっては時間の節約になるという効果がある。さらに、MFP側でも、各ユーザがMFPの前に滞留する時間が短くなるので、運転効率が高くなり、多くのユーザに対してサービスを提供することができるという効果がある。
【0122】
この変形例では、図29に制御構造を示すプログラムにおいて、ステップ780及びステップ782の順で判定をしている。しかしこの変形例でも、第1の実施の形態の変形例と同様、これら判定は互いに他に依存しているわけではないので、この順序で行なう必要はない。ステップ780と782とを逆にしてもよい。ハードウェア的に判定を行なうのであれば、ステップ780の判定をする回路とステップ782の判定を行なう回路とを並列で設け、それらの出力のANDをとるようにすればよい。
【0123】
以上説明したように、本発明の各実施の形態に係るシステムによれば、多数のクラウドサービスへのログインが可能であるためにかえって使い勝手が悪くなるようなMFP等の装置において、所望の文書の印刷物を所望のクラウドサービスから簡単に得ることができる。
【0124】
以上の実施の形態で用いた携帯端末172としては、いわゆる携帯電話、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、ノートブック型コンピュータ、デスクトップコンピュータ等のいずれを用いることもできる。実際には、容易に携帯できる装置を用いることがユーザにとってはシステムを使いやすいことになるが、システムとしては携帯可能な装置しか用いられないわけではない。
【0125】
さらに、上記実施の形態では、クラウドサービスにログインするために必要な情報として、企業ID、ユーザ名及びパスワードを用いている。しかし本発明はそのような実施の形態に限定されるわけではない。例えば、企業によるクラウドサービスの利用でないときには、企業IDは用いられない。
【0126】
さらに、上記実施の形態では、携帯端末172を用いてMFP176をクラウドサーバ170にログインさせたときにも、MFP176を用いて所望の操作を行なうことができた。しかし本発明はそのような実施の形態には限定されない。例えば、携帯端末172とMFP176とが同じユーザ情報を用いて同時にクラウドサーバ170にログインしたときには、携帯端末172からの操作のみを受付けるようにし、MFP176からの操作を受付けないようにしてもよい。逆に、携帯端末172を用いてMFP176がクラウドサーバ170にログインしたときでも、以後はMFP176のみを用いた操作しか受付けないようにしても良い。
【0127】
なお、上記説明では、クラウドサーバ170が固定されているように記載したが、クラウドサービスでは実際にはサーバが特定されるわけではない。クラウドサービスにログインすることにより、クラウドサービス内で適切なサーバにリクエストが回送されてログインが実行されるためである。したがって、ユーザ80から見たときにクラウドサーバ170を特定する必要はなく、クラウドサーバを特定する必要があるだけである。
【0128】
また、上記説明では、リーダ/ライタ174がMFP176に外付けされている。しかし本発明はそのような実施の形態には限定されず、MFP176がリーダ/ライタ174の機能を持っていても良いことはいうまでもない。近接通信の仕組みとしては、いわゆる微弱な電波を使うことが一般的であるが、それに限定されるわけではない。
【0129】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0130】
50 クラウド画像出力サービス
60,110,690 クラウドサーバ
62 情報処理装置
64 ICカード
66、174 リーダ/ライタ
68、176 MFP
80 ユーザ
82,84,708 印刷ジョブ
90,122,710 印刷物
100 クラウドファイルキャビネットサービス
130 選択メニュー
172 携帯端末
680 ドキュメントクラウドサービスシステム
702 文書データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラウドサービスと通信可能な第1の通信手段と、
前記第1の通信手段を介して前記クラウドサービスから受信した印刷ジョブを印刷する印刷手段とを含む画像形成装置であって、さらに、
近接通信を行なう近接通信手段を介して他の装置と通信する第2の通信手段と、
前記近接通信手段及び前記第2の通信手段を介して携帯情報端末から前記クラウドサービスへのログイン情報を受信し、当該ログイン情報を用いて前記第1の通信手段を介して前記クラウドサービスへのログイン処理を実行するログイン実行手段とを含む、画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の通信手段は、複数のクラウドサービスと通信可能であり、
前記ログイン実行手段は、前記近接通信手段及び前記第2の通信手段を介して携帯情報端末からクラウドサービスを特定するクラウドサービス特定情報、及び当該クラウドサービス特定情報により特定されるクラウドサービスへのログイン情報を受信し、当該ログイン情報を用いて前記第1の通信手段を介して前記クラウドサービス特定情報により特定されるクラウドサービスにログインする手段を含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ログイン実行手段により前記クラウドサービスにログインしたユーザが、前記クラウドサービスにログインしている間は、他のユーザによる前記ログイン実行手段を用いたログインを禁止するログイン禁止手段をさらに含む、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
ネットワークを介して複数の情報処理装置及び複数の画像形成装置と通信することが可能な通信手段と、
前記通信手段を介して、他の装置から、当該他の装置を特定する装置情報とともにユーザのログイン要求を受信してユーザを認証し、ログイン中のユーザをその装置情報とともに管理するログイン管理手段と、
他の情報処理装置から、ユーザによりアップロードされたデータを、当該ユーザと関連付けて管理するデータ管理手段と、
前記データ管理手段により管理されたデータのうち、ログイン中のユーザにより指定されたデータを、指定された画像形成装置に印刷のために送信する送信手段とを含むサーバ装置であって、
前記ログイン管理手段は、
前記通信手段を介して、他の装置から、当該他の装置を特定する装置情報とともにユーザのログイン要求を受信してユーザを認証する認証手段と、
前記認証手段により認証されたユーザを、その装置情報とともに記憶するログインユーザ記憶手段と、
前記認証手段によりユーザのログインが認証されたことに応答して、前記ログインユーザ記憶手段に、別の装置で同一ユーザがログインしていることが記憶されているか否かを判定する判定手段とを含み、
前記サーバ装置はさらに、前記判定手段により同一ユーザが複数の装置でログインしていると判定されたことに応答して、前記送信手段が当該ユーザの指定によりデータを画像形成装置に送信するときのデフォルト送信先として、前記複数の装置の内で印刷機能を持つ装置を設定するデフォルト送信先設定手段を含む、サーバ装置。
【請求項5】
さらに、前記通信手段を介して、前記サーバ装置にログイン中のユーザから、前記データ管理手段により管理されたデータに対する操作指示を受けたことに応答して、当該データに対し、当該ユーザにより指定された操作を実行するデータ操作手段を含む、請求項4に記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記判定手段により、画像形成装置及び情報処理装置の双方で前記画像形成装置に同時にログインしていることが前記ログインユーザ記憶手段に記憶されているユーザについて、当該情報処理装置からログアウト要求を受信したことに応答して、前記ログインユーザ記憶手段に記憶されている当該ユーザをすべてログアウトさせる手段をさらに含む、請求項4又は請求項5に記載のサーバ装置。
【請求項7】
さらに、前記通信手段を介して、前記サーバ装置にログイン中のユーザにより、前記データ管理手段により管理されているデータのいずれかを選択する操作を受付ける受付手段と、
前記認証手段によりユーザのログインが認証されたことに応答して、当該ユーザにより前記受付手段を介して選択されたデータがあるか否かを判定する第1の判定手段と、
前記認証手段によりユーザのログインが認証されたことに応答して、当該ユーザに対して前記デフォルト送信先が前記デフォルト送信先設定手段により設定されたか否かを判定する第2の判定手段とを含み、
前記送信手段は、前記第1の判定手段及び前記第2の判定手段の双方の判定がいずれも肯定的であることに応答して、前記データ管理手段により管理されたデータのうち、ログイン中のユーザにより前記受付手段を介して選択されていた前記データから印刷データを生成し、前記デフォルト送信先に印刷のために送信する手段を含む、請求項4〜請求項6のサーバ装置。
【請求項8】
ユーザとの対話によりユーザからの指示を受け、当該指示に対応する情報を表示するユーザ対話手段と、
ネットワークを介して他の装置と通信する第1の通信手段と、
他の装置と近接通信により通信する第2の通信手段と、
前記ユーザ対話手段を介して入力された情報を用い、前記第1の通信手段を介して、指定されたサービスに対するユーザのログイン処理を実行するログイン実行手段と、
前記ログイン実行手段により前記指定されたサービスに対するログインが許可された後、前記第2の通信手段を介して他の装置と通信可能となったことに応答して、前記ログイン実行手段によりログインが実行されたサービスへのアクセス情報と、当該サービスにログインするために必要なログイン情報とを、前記第2の通信手段を介して通信可能となった前記他の装置に送信するログイン情報送信手段とを含む、情報処理装置。
【請求項1】
クラウドサービスと通信可能な第1の通信手段と、
前記第1の通信手段を介して前記クラウドサービスから受信した印刷ジョブを印刷する印刷手段とを含む画像形成装置であって、さらに、
近接通信を行なう近接通信手段を介して他の装置と通信する第2の通信手段と、
前記近接通信手段及び前記第2の通信手段を介して携帯情報端末から前記クラウドサービスへのログイン情報を受信し、当該ログイン情報を用いて前記第1の通信手段を介して前記クラウドサービスへのログイン処理を実行するログイン実行手段とを含む、画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の通信手段は、複数のクラウドサービスと通信可能であり、
前記ログイン実行手段は、前記近接通信手段及び前記第2の通信手段を介して携帯情報端末からクラウドサービスを特定するクラウドサービス特定情報、及び当該クラウドサービス特定情報により特定されるクラウドサービスへのログイン情報を受信し、当該ログイン情報を用いて前記第1の通信手段を介して前記クラウドサービス特定情報により特定されるクラウドサービスにログインする手段を含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ログイン実行手段により前記クラウドサービスにログインしたユーザが、前記クラウドサービスにログインしている間は、他のユーザによる前記ログイン実行手段を用いたログインを禁止するログイン禁止手段をさらに含む、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
ネットワークを介して複数の情報処理装置及び複数の画像形成装置と通信することが可能な通信手段と、
前記通信手段を介して、他の装置から、当該他の装置を特定する装置情報とともにユーザのログイン要求を受信してユーザを認証し、ログイン中のユーザをその装置情報とともに管理するログイン管理手段と、
他の情報処理装置から、ユーザによりアップロードされたデータを、当該ユーザと関連付けて管理するデータ管理手段と、
前記データ管理手段により管理されたデータのうち、ログイン中のユーザにより指定されたデータを、指定された画像形成装置に印刷のために送信する送信手段とを含むサーバ装置であって、
前記ログイン管理手段は、
前記通信手段を介して、他の装置から、当該他の装置を特定する装置情報とともにユーザのログイン要求を受信してユーザを認証する認証手段と、
前記認証手段により認証されたユーザを、その装置情報とともに記憶するログインユーザ記憶手段と、
前記認証手段によりユーザのログインが認証されたことに応答して、前記ログインユーザ記憶手段に、別の装置で同一ユーザがログインしていることが記憶されているか否かを判定する判定手段とを含み、
前記サーバ装置はさらに、前記判定手段により同一ユーザが複数の装置でログインしていると判定されたことに応答して、前記送信手段が当該ユーザの指定によりデータを画像形成装置に送信するときのデフォルト送信先として、前記複数の装置の内で印刷機能を持つ装置を設定するデフォルト送信先設定手段を含む、サーバ装置。
【請求項5】
さらに、前記通信手段を介して、前記サーバ装置にログイン中のユーザから、前記データ管理手段により管理されたデータに対する操作指示を受けたことに応答して、当該データに対し、当該ユーザにより指定された操作を実行するデータ操作手段を含む、請求項4に記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記判定手段により、画像形成装置及び情報処理装置の双方で前記画像形成装置に同時にログインしていることが前記ログインユーザ記憶手段に記憶されているユーザについて、当該情報処理装置からログアウト要求を受信したことに応答して、前記ログインユーザ記憶手段に記憶されている当該ユーザをすべてログアウトさせる手段をさらに含む、請求項4又は請求項5に記載のサーバ装置。
【請求項7】
さらに、前記通信手段を介して、前記サーバ装置にログイン中のユーザにより、前記データ管理手段により管理されているデータのいずれかを選択する操作を受付ける受付手段と、
前記認証手段によりユーザのログインが認証されたことに応答して、当該ユーザにより前記受付手段を介して選択されたデータがあるか否かを判定する第1の判定手段と、
前記認証手段によりユーザのログインが認証されたことに応答して、当該ユーザに対して前記デフォルト送信先が前記デフォルト送信先設定手段により設定されたか否かを判定する第2の判定手段とを含み、
前記送信手段は、前記第1の判定手段及び前記第2の判定手段の双方の判定がいずれも肯定的であることに応答して、前記データ管理手段により管理されたデータのうち、ログイン中のユーザにより前記受付手段を介して選択されていた前記データから印刷データを生成し、前記デフォルト送信先に印刷のために送信する手段を含む、請求項4〜請求項6のサーバ装置。
【請求項8】
ユーザとの対話によりユーザからの指示を受け、当該指示に対応する情報を表示するユーザ対話手段と、
ネットワークを介して他の装置と通信する第1の通信手段と、
他の装置と近接通信により通信する第2の通信手段と、
前記ユーザ対話手段を介して入力された情報を用い、前記第1の通信手段を介して、指定されたサービスに対するユーザのログイン処理を実行するログイン実行手段と、
前記ログイン実行手段により前記指定されたサービスに対するログインが許可された後、前記第2の通信手段を介して他の装置と通信可能となったことに応答して、前記ログイン実行手段によりログインが実行されたサービスへのアクセス情報と、当該サービスにログインするために必要なログイン情報とを、前記第2の通信手段を介して通信可能となった前記他の装置に送信するログイン情報送信手段とを含む、情報処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2013−109616(P2013−109616A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254795(P2011−254795)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]