説明

サーバ

【課題】ユーザの利用対象の画像処理装置に対し,ユーザによる設定作業の手間が少ないサーバを提供すること。
【解決手段】クラウドサーバ300等のサーバは,プリンタ100等の画像処理装置との接続を確立するユーザを特定するアカウントを取得し,そのアカウントを当該画像処理装置の情報と関連付け,さらに,アカウントが一致する画像処理装置同士でグループを形成した情報を,グループDB541に記憶する。そして,サーバは,グループごとに,グループに含まれる各画像処理装置の設定を変更し,その変更内容を各画像処理装置に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,画像処理装置に接続するサーバに関する。さらに詳細には,画像処理装置との接続を確立した状態で,その画像処理装置との間でジョブの受け渡しを行うサーバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,画像処理装置とサーバとを有する画像処理システムであって,画像処理装置がサーバとの間で接続を確立し,接続状態を保持していることを条件に,画像処理装置がサーバからのジョブを受け付ける技術が知られている。
【0003】
上述の技術を開示した特許文献としては,例えば特許文献1がある。この特許文献1には,ユーザが複合機にてコピー処理を行う際,カード読み取り装置でIDカードの認証データを読み取り,その認証データを印刷制限サーバに送信して認証を行うこと,またユーザが認証完了以降の任意のタイミングでコピー開始を指示することが開示されている。また,特許文献1には,コピー動作完了から一定時間経過すると,複合機から印刷制限サーバにログアウトを通知することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−330686号公報(特に,段落[0057]〜[0060])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,前記した従来の技術には,次のような問題があった。すなわち,ユーザが複数の画像処理装置を利用する場合,各々の画像処理装置の設定に手間がかかる。例えば,画像処理装置がサーバとの接続を切断した場合,再度接続を確立しなければその画像処理装置を利用できない。サーバと画像処理装置との接続は,IDカードの読み取りやアカウント情報の入力等,ユーザに手間を強いる。特に,多くの画像処理装置を利用する場合,各々の装置に対して設定を行わなければならず,手間が多くなる。
【0006】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,ユーザの利用対象の画像処理装置に対し,ユーザによる設定作業の手間が少ないサーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決を目的としてなされたサーバは,画像処理装置との接続を確立する確立部と,前記画像処理装置との接続を確立するユーザを特定するユーザ情報を取得する取得部と,前記取得部が取得したユーザ情報を,前記画像処理装置の情報と関連付けて記憶する記憶部と,前記記憶部に記憶された前記ユーザ情報が一致する画像処理装置同士をグループとし,前記グループごとに,前記グループに含まれる各画像処理装置の設定を変更する変更部と,前記変更部による前記設定の変更を,前記グループに含まれる各画像処理装置に送信する送信部とを備えることを特徴としている。
【0008】
本発明のサーバは,画像処理装置との接続を確立するユーザを特定するユーザ情報を取得し,そのユーザ情報を当該画像処理装置の情報と関連付けて記憶する。ユーザを特定するユーザ情報としては,例えばアカウント名が該当する。ユーザ情報は,画像処理装置との接続を確立する際に画像処理装置から受信してもよいし,ユーザによる手動入力で取得してもよい。さらに,本発明のサーバは,ユーザ情報が一致する画像処理装置同士を1つのグループとして扱い,グループごとにグループに含まれる各画像処理装置の設定を変更し,その変更内容を各画像処理装置に送信する。
【0009】
すなわち,本発明のサーバは,ユーザ情報が一致する画像処理装置をグループ化し,グループごとにそのグループに含まれる画像処理装置の設定を纏めて変更する。これにより,ユーザが個々の画像処理装置に対して設定変更を行う手間を,軽減することが期待できる。
【0010】
また,本発明のサーバは,前記確立部にて確立した前記画像処理装置との接続を切断する切断部を備え,前記変更部は,前記設定の変更として,前記画像処理装置との接続の確立とその接続の切断との少なくとも一方を行うとよい。画像処理装置との接続を纏めて確立することで,ユーザは少ない手間で多くの画像処理装置が利用可能になる。また,接続を纏めて切断することで,ユーザは少ない手間で多くの画像処理装置の利用を終了することができる。
【0011】
また,上記のサーバは,情報処理装置との接続を確立する第2確立部と,前記第2確立部にて接続を確立する際に,前記情報処理装置との接続を確立するユーザを特定する第2ユーザ情報を前記情報処理装置から取得する第2取得部とを備え,前記変更部は,前記第2確立部が前記情報処理装置との接続を確立した場合に,前記記憶部に記憶されている画像処理装置のうち,前記第2ユーザ情報と前記ユーザ情報が一致する前記画像処理装置との接続を確立するとよい。すなわち,情報処理装置との接続状態によって,画像処理装置を使用する意思があるか否かを推測できる。そこで,あるユーザが情報処理装置との接続を確立した場合には,そのユーザに関連する画像処理装置との接続を確立した方が好ましい。
【0012】
また,本発明のサーバは,情報処理装置との接続を確立する第2確立部と,前記第2確立部にて接続を確立する際に,前記情報処理装置との接続を確立するユーザを特定する第2ユーザ情報を前記情報処理装置から取得する第2取得部と,前記第2確立部にて確立した前記情報処理装置との接続を切断する第2切断部とを備え,前記変更部は,前記第2切断部が前記情報処理装置との接続を切断した場合に,前記記憶部に記憶されている画像処理装置のうち,前記第2ユーザ情報と前記ユーザ情報が一致する前記画像処理装置との接続を切断するとよい。あるユーザが情報処理装置との接続を切断した場合にも,そのユーザに関連する画像処理装置との接続を切断した方が好ましい。
【0013】
また,本発明のサーバは,前記画像処理装置との接続を切断する際,その切断がユーザ指示によるものか否かを判断する判断部を備え,前記変更部は,前記判断部が前記ユーザ指示によるものと判断した場合には,前記画像処理装置を前記グループから削除し,前記判断部が前記ユーザ指示によるものではないと判断した場合には,前記画像処理装置を前記グループから削除しないとよい。すなわち,画像処理装置との接続の切断がユーザ指示によるものであれば,切断対象となった画像処理装置を利用する意思がないと推測できる。そこで,切断がユーザ指示によるものであった場合には,その画像処理装置をグループから削除し,その画像処理装置について,その後のサーバによる自動接続を制限する方が好ましい。一方,ユーザ指示によるものでない,すなわちサーバの判断によるものであった場合には,グループにその画像処理装置を残し,その後のサーバによる自動接続を行う方が好ましい。
【0014】
また,前記変更部は,前記画像処理装置との接続を切断する際,前記画像処理装置を省電力モードに変更するとよい。接続を切断した画像処理装置は,サーバからジョブを取得しない。そのため,切断対象の画像処理装置を省電力モードに変更して消費電力を抑制する方が好ましい。
【0015】
また,本発明のサーバは,前記グループに属する画像処理装置の中から,前記変更部による設定変更の対象から除外する画像処理装置を選定する選定部を備えるとよい。画像処理装置個々には,設定を変更しない方が好ましいものもある。そのため,設定変更の対象から除外する手段を設ける方が使い勝手がよい。
【0016】
また,前記選定部は,例えば,複数のグループに属する画像処理装置を選定するとよい。複数のグループに属する画像処理装置は,他のユーザが利用している可能性がある。そのため,設定変更の対象から除外する方が好ましい。
【0017】
また,前記選定部は,例えば,複数のグループによって接続が確立している画像処理装置を選定するとよい。複数のグループによってサーバとの接続が確立している画像処理装置は,他のグループでも利用していることから,設定を変更すると他のグループのユーザに不測の不利益を与える可能性がある。そのため,設定変更の対象から除外する方が好ましい。
【0018】
また,前記選定部は,前記画像処理装置との接続が確立した時刻からの経過時間が所定時間以内の画像処理装置を選定するとよい。直近に接続を確立した画像処理装置は,近時にその画像処理装置を利用する可能性が高く,設定を変更するとユーザに不利益を与える可能性がある。そのため,設定変更の対象から除外する方が好ましい。
【0019】
また,前記記憶部は,前記確立部が前記接続を確立する際に,前記ユーザ情報を前記画像処理装置から取得するとよい。接続が確立する際に,接続元からユーザ情報を取得して記憶する方がユーザの手間が少ない。
【0020】
また,前記変更部は,前記取得部が取得した前記ユーザ情報が前記記憶部に記憶された前記ユーザ情報と一致するか否かを判断するユーザ情報判断部と,前記ユーザ情報が一致しないと前記ユーザ情報判断部が判断する場合,当該ユーザ情報を有する画像処理装置を含む,新たなグループを生成する生成部とを備えるとよい。属するグループがなくても,新たにグループが生成されるため,グループに属さない画像処理装置が存在しなくなり,グループの管理が容易になる。
【0021】
また,前記変更部は,前記取得部が取得した前記ユーザ情報が前記記憶部に記憶された前記ユーザ情報と一致するか否かを判断するユーザ情報判断部と,前記ユーザ情報が一致すると前記ユーザ情報判断部が判断する場合,前記ユーザ情報が一致する画像処理装置を,前記ユーザ情報が一致する画像処理装置のグループに登録する登録部とを備えるとよい。既存のグループに登録できる画像処理装置は,既存のグループに登録されるので,グループの乱立がなくなり,グループの管理が容易になる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば,ユーザの利用対象の画像処理装置に対し,ユーザによる設定作業の手間が少ないサーバが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施の形態にかかる画像処理システムの構成およびクラウドサーバの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態の画像処理システムの動作概略を示すブロック図である。
【図3】クラウドサーバが有するグループ情報を記憶するデータベースの構成を示す図である。
【図4】クラウドサーバが有するアカウント情報を記憶するデータベースの構成を示す図である。
【図5】第1の形態にかかるクラウドサーバの,プリンタとの接続状態を切り換えるプリンタ接続処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図6】第1の形態にかかるクラウドサーバの,PCとの接続状態を切り換えるPC接続処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図7】第1の形態にかかるクラウドサーバの,PC接続処理中のグループサインイン処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図8】第1の形態のグループ情報DBの変更例(グループサインイン)を示す図である。
【図9】第1の形態のグループ情報DBの変更例(グループサインアウト中間時)を示す図である。
【図10】第1の形態にかかるクラウドサーバの,PC接続処理中のグループサインアウト処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図11】第1の形態にかかるクラウドサーバの,プリンタ設定を反映するプリンタ設定処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図12】第2の形態にかかるクラウドサーバの,PC接続処理中のグループサインアウト処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図13】第2の形態のグループ情報DBの変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下,本発明にかかるサーバを具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,印刷データを記憶するクラウドサーバ,印刷機能を有するプリンタ,印刷ジョブを作成するパーソナルコンピュータ(PC)を有する画像処理システムに本発明を適用したものである。なお,クラウドサーバとは,クラウドコンピューティングの概念において,クラウドの先にある仮想化サーバであり,クラウドの中にパケットを通過させ,WEBブラウザで操作ができるサーバである。
【0025】
[画像処理システムの構成]
本形態の画像処理システム900は,図1に示すように,プリンタ100(画像処理装置の一例),101,102,103,104と,PC200(情報処理装置の一例)と,クラウドサーバ300(サーバの一例)とを有している。クラウドサーバ300は,PC200から出力される印刷ジョブを記憶し,その記憶した印刷ジョブをプリンタ100,101,102,103,104に送信する装置である。
【0026】
本形態の画像処理システム900では,PC200からクラウドサーバ300に印刷ジョブを投入するためには,PC200がクラウドサーバ300との通信接続を確立する必要がある。また,プリンタ100,101,102,103,104がクラウドサーバ300から印刷データを取得するためには,各プリンタがクラウドサーバ300との通信接続を確立する必要がある。ここでいう通信接続とは,物理的な接続だけではなく,クラウドサーバ300がPC200ないし各プリンタ100,101,102,103,104との通信を許可している状態を含む。
【0027】
本形態では,PC200がクラウドサーバ300との通信接続を確立するための作業を「ログイン」,その通信接続を切断するための作業を「ログオフ」とする。また,各プリンタ100,101,102,103,104がクラウドサーバ300との通信接続を確立するための作業を「サインイン」,その通信接続を切断するための作業を「サインアウト」とする。
【0028】
なお,クラウドサーバ300に接続する画像処理装置は,プリンタ100,101,102,103,104に限るものではない。他のプリンタや他の画像処理装置(例えば,スキャナやFAX装置)とも接続可能である。図1では,説明の簡略化のため,プリンタ100,101,102,103,104のみを図示する。また,クラウドサーバ900に接続する情報処理装置も,PC200に限るものではない。他のPCや他の情報処理装置(例えば,スマートフォン)とも接続可能である。図1では,説明の簡略化のため,PC200のみを図示する。
【0029】
[クラウドサーバの構成]
本形態のクラウドサーバ300は,図1に示したように,CPU51と,ROM52と,RAM53と,NVRAM(Non Volatile RAM)54と,ネットワークインターフェース57とを備えた制御部50を備えている。
【0030】
ROM52には,ジョブの管理を行うプログラムや各種設定,初期値等が記憶されている。RAM53およびNVRAM54は,各種プログラムが読み出される作業領域として,あるいはデータを一時的に記憶する記憶領域として利用される。
【0031】
CPU51(確立部,変更部,送信部,切断部,第2確立部,第2取得部,第2切断部,判断部,選定部,ユーザ情報判断部,生成部,登録部の一例)は,ROM52から読み出したプログラムに従って,その処理結果をRAM53またはNVRAM54(記憶部の一例)に記憶させながら,ジョブの管理処理を実行する。
【0032】
ネットワークインターフェース57は,他の装置との通信を可能にするインターフェースである。クラウドサーバ300は,ネットワークインターフェース57を介して各プリンタ100,101,102,103,104から送信される各種要求や,PC200から送信される印刷ジョブを受信する。
【0033】
また,クラウドサーバ300は,図2に示すように,クラウドサーバ300を利用するプリンタをアカウントごとにグループ化して管理するためのデータベース(記憶部の一例。以下,「グループDB541」とする)を有している。グループDB541は,クラウドサーバ300の記憶装置(RAM53やNVRAM54)に存在する。
【0034】
具体的に,グループDB541には,図3に示すように,グループ名と,アカウント名と,プリンタ名と,プリンタアドレスと,確立状態と,確立時刻と,自己切断と,の各情報が1つのレコードとなって記憶される。グループDB541へのレコードの登録は,サインイン時において自動的に行われる。なお,管理者権限を有するユーザによって任意に追加可能であってもよい。
【0035】
グループDB541に記憶されるレコードを構成する各種の情報のうち,アカウント名は,サインインを行ったアカウントを識別する情報である。プリンタ名は,プリンタの名称を識別する情報である。プリンタアドレスは,プリンタの宛先を記憶する情報である。本形態では,プリンタアドレスにIPアドレスを記憶するが,宛先を特定できる情報であればよく,例えばMACアドレスであってもよい。確立状態は,現状,プリンタ名で特定されるプリンタとクラウドサーバ300との接続が確立している状態か否かを記憶する情報である。この確立状態は,「In」がサインインの行われた状態,「Out」がサインアウトの行われた状態を意味する。確立時刻は,最後にサインインが行われた時刻の情報である。自己切断は,サインアウトがクラウドサーバ300からの要求であるか,プリンタからの要求(すなわちユーザからの要求)であるかを識別する情報である。プリンタからの要求は,例えば,プリンタの操作パネルにサインアウト指示がユーザ入力されたときにそのプリンタから出力される。自己切断が「On」であれば,サインアウトがクラウドサーバ300からの要求であることを意味し,自己切断が「Off」であれば,サインアウトがプリンタからの要求であることを意味する。初期設定としては,「Off」が記憶される。この自己切断が「On」となるケースについては後述する。
【0036】
また,クラウドサーバ300は,グループDB541に登録されているレコードのうち,アカウント名が同じレコードを1つのグループとして管理する。グループDB541のうちのグループ名は,グループの識別情報である。このグループ名には,レコードの新規追加の際,同じアカウント名のレコードが登録されていれば,そのレコードと同じグループ名が付与される。一方,同じアカウント名のレコードが登録されていなければ,他のグループ名と重複しない新たなグループ名が付与される。
【0037】
また,クラウドサーバ300は,アカウント情報として,アカウントとそのアカウントに対応するパスワードを記憶するデータベース(以下,「アカウントDB542」とする)を有している。アカウントDB542は,サインインないしログインの際の認証処理で参照される。具体的に,アカウントDB542には,図4に示すように,アカウント名と,そのアカウント名に対応するパスワードとが1つのレコードとなって記憶される。アカウントDB542へのレコードの登録は,サインインおよびログインに先立って,管理者権限を有するユーザによって行われる。
【0038】
[画像処理システムの動作概要]
続いて,画像処理システム900の動作概要について,図2を参照しつつ説明する。画像処理システム900にて印刷を行うには,あらかじめ,プリンタ(以下の説明ではプリンタ100とする)とクラウドサーバ300との通信接続と,PC200とクラウドサーバ300との通信接続と,の両方を確立しておく必要がある。
【0039】
先ず,プリンタ100とクラウドサーバ300との通信接続を確立するサインインでは,ユーザがプリンタ100にアカウントおよびそのアカウントのパスワードを入力する。そして,そのアカウントをクラウドサーバ300が認証することで,プリンタ100とクラウドサーバ300との通信接続が確立する。
【0040】
また,プリンタ100は,クラウドサーバ300との通信接続を確立する,すなわちサインインが成功すると,クラウドサーバ300への定期的な送信要求を開始する。この定期的な送信要求では,クラウドサーバ300に対し,サインインを行ったアカウントに属するユーザの印刷ジョブが投入された場合に,その印刷ジョブをプリンタ100に送信する要求を行う。プリンタ100は,その送信要求に応じてクラウドサーバ300から送信される印刷ジョブを取得し,その印刷ジョブの印刷を実行する。
【0041】
一方,PC200とクラウドサーバ300との通信接続を確立するログインでは,ユーザがPC200にアカウントおよびそのアカウントのパスワードを入力する。ここでのアカウントは,サインインで利用するアカウントと同じアカウントを利用する。そして,そのアカウントをクラウドサーバ300が認証することで,PC200とクラウドサーバ300との通信接続が確立する。
【0042】
PC200とクラウドサーバ300との通信接続を確立する,すなわちログインが成功すると,PC200からクラウドサーバ300に対して印刷ジョブの投入が可能になる。投入された印刷ジョブは,一旦,クラウドサーバ300のプリントバッファに記憶される。そして,プリンタ100がクラウドサーバ300に送信要求を行うことで,その印刷ジョブがプリンタ100に送信され,プリンタ100にてその印刷ジョブの印刷が実行される。
【0043】
[クラウドサーバの制御]
[第1の形態]
続いて,前述した画像処理システム900の動作を実現するクラウドサーバ300の動作手順について説明する。
【0044】
[サインイン・サインアウト]
始めに,プリンタ100との接続状態(サインインおよびサインアウト)を制御するプリンタ接続処理の動作手順について,図5のフローチャートを参照しつつ説明する。プリンタ接続処理は,定期的(例えば,1秒ごと)に,制御部50によって実行される。なお,プリンタ100以外の画像処理装置についても同様の手順で接続状態を制御する。
【0045】
プリンタ接続処理では,先ず,プリンタ100からサインイン要求があったか否かを判断する(S101)。サインイン要求があった場合には(S101:YES),サインイン要求に付加されている認証情報を取得し,その認証情報に基づいてアカウント認証を行う(S102,取得部の一例)。具体的に,認証情報には,ユーザが入力したアカウントとパスワードとが含まれており,S102では,そのアカウントとパスワードとの組み合わせが,アカウントDB542にて管理するアカウント情報と一致するか否かを判断する。一致する場合には認証成功となり,一致しない場合には認証失敗となる。クラウドサーバ300は,サインイン要求を行ったプリンタであるプリンタ100に認証結果を送信する(S103)。
【0046】
次に,S102のアカウント認証が成功したか否かを判断する(S104)。認証失敗の場合には(S104:NO),プリンタ100との接続を確立することなくプリンタ接続処理を終了する。
【0047】
認証成功の場合には(S104:YES),プリンタ100との接続を確立する(S105,確立部の一例)。プリンタ100との接続を確立すると,クラウドサーバ300はプリンタ100から送信される送信要求の受け付けを開始する。
【0048】
また,S105の後,クラウドサーバ300はグループDB541を更新する。グループDB541の更新手順としては,先ず,サインインを成功させたプリンタであるプリンタ100と,そのサインインの際にユーザ入力されたアカウントとの組み合わせが,グループDB541に登録済みであるか否かを判断する(S106)。すなわち,以前に同プリンタから同アカウントで接続を確立したことがある場合には,グループDB541にその組み合わせのレコードが残っていることがある。サインイン要求時は以前の接続が切断されているため,そのレコード中の確立状態が「Out」になっている。そこで,同一の組み合わせがグループDB541に登録済みの場合(S106:YES),その組み合わせのレコードの確立状態を「In」に変更する(S107)。この他,確立時刻を更新する。S107の後は,プリンタ接続処理を終了する。
【0049】
一方,グループDB541に未登録の場合(S106:NO),サインインの際にユーザ入力されたアカウントと同じアカウントが記憶されているレコードがグループDB541に登録済みか否かを判断する(S108,ユーザ情報判断部の一例)。同一のアカウントがグループDB541に登録済みの場合(S108:YES),その同一のアカウントのグループと同じグループとなるレコードを作成し,そのレコードに,サインイン要求を行ったプリンタ100とアカウントとの組み合わせとを記憶する(S109,登録部の一例)。つまり,プリンタ100を既存のグループの一員として登録する。
【0050】
同一のアカウントがグループDB541に未登録の場合(S108:NO),既存のグループと重複しないグループとなるレコードを作成し,そのレコードに,インイン要求を行ったプリンタ100とアカウントとの組み合わせとを記憶する(S110,生成部の一例)。つまり,プリンタ100を新規のグループの一員として登録する。S109あるいはS110の後は,プリンタ接続処理を終了する。
【0051】
一方,S101の説明に戻り,サインイン要求がなかった場合には(S101:NO),プリンタ100からサインアウト要求があったか否かを判断する(S111)。サインアウト要求がなかった場合には(S111:NO),プリンタ接続処理を終了する。
【0052】
サインアウト要求があった場合には(S111:YES),プリンタ100との接続を切断する(S112,切断部の一例)。S112では,プリンタ100との物理的な接続状態を切断するのではなく,プリンタ100からの送信要求の受信を中止する。
【0053】
また,S112の後は,そのサインアウト要求がクラウドサーバ300自身からプリンタ100に対して出力したサインアウト要求出力指示によるものであるか否かを判断する(S113,判断部の一例)。S113の判断は,プリンタ100とサインイン中のアカウントとの組み合わせを記憶したレコード中の自己切断が「On」であれば,クラウドサーバ300自身からの要求であると判断する。自己切断が「On」になる状況については,後述する。
【0054】
サインアウト要求がクラウドサーバ300自身からの要求である場合には(S113:YES),プリンタ100とサインイン中のアカウントとの組み合わせを記憶したレコード中の確立状態を「Out」に変更する(S114)。すなわち,対応するレコードを残したままにする。
【0055】
サインアウト要求がクラウドサーバ300自身からの要求でない場合には(S113:NO),プリンタ100とサインイン中のアカウントとの組み合わせを記憶したレコードを削除する(S115)。S114あるいはS115の後は,プリンタ接続処理を終了する。
【0056】
[ログイン・ログアウト]
続いて,PC200との接続状態(ログインおよびログアウト)を制御するPC接続処理の動作手順について,図6のフローチャートを参照しつつ説明する。PC接続処理は,定期的(例えば,1秒ごと)に,制御部50によって実行される。なお,PC200以外の情報処理装置についても同様の手順で接続状態を制御する。
【0057】
PC接続処理では,先ず,PC200からログイン要求があったか否かを判断する(S121)。ログイン要求があった場合には(S121:YES),ログイン要求に付加されている認証情報を取得し,その認証情報に基づいてアカウント認証を行う(S122,第2取得部の一例)。S122では,S102のアカウント処理と同等の処理を行う。その後,クラウドサーバ300は,ログイン要求を出力したPC200に認証結果を送信する(S123)。
【0058】
次に,S122のアカウント認証が成功したか否かを判断する(S124)。認証失敗の場合には(S124:NO),PC200との接続を確立することなくPC接続処理を終了する。
【0059】
認証成功の場合には(S124:YES),PC200との接続を確立する(S125,第2確立部の一例)。PC200との接続を確立すると,クラウドサーバ300はPC200から送信されるジョブの受け付けを許可する。
【0060】
また,S125の後,ログインを行ったときのアカウントがグループDB541に登録されているか否かを判断する(S126)。S126では,ログインを行ったときのアカウントと同じアカウントが記憶されているレコードがある場合には,アカウントがグループDB541に登録されていると判断する。アカウントがグループDB541に登録されていない場合には(S126:NO),PC接続処理を終了する。
【0061】
一方,アカウントがグループDB541に登録されている場合には(S126:YES),そのアカウントに対応するグループに属するプリンタ全ての接続を確立するグループサインイン処理を実行する(S127)。
【0062】
図7は,S127のグループサインイン処理の詳細手順を示すフローチャートである。グループサインイン処理では,先ず,グループサインイン設定が有効であるか否かを判断する(S141)。クラウドサーバ300は,グループ単位でのサインインを許可するか否かのユーザ設定が可能であり,設定内容をNVRAM54に記憶している。
【0063】
グループサインイン設定が有効の場合には(S141:YES),ログインを行ったアカウントに対応するグループに属する全てのプリンタに対して,サインイン要求を出力するように指示するサインイン要求出力指示を送信する(S151,変更部および送信部の一例)。S151の際には,アカウントDB542を参照し,サインイン要求出力指示に,アカウントとそのアカウントに対応するパスワードも付加する。サインイン要求出力指示を受信したプリンタは,クラウドサーバ300にサインイン要求を送信する。なお,既にサインイン済みのプリンタに対しては,サインイン要求出力指示を送信しなくてもよい。また,サインイン要求出力指示を送信したとしても,プリンタ側でそのサインイン要求出力指示を無視してもよい。
【0064】
プリンタからサインイン要求を受信したクラウドサーバ300は,前述したプリンタ接続処理(図5参照)に従って,プリンタとの接続を確立する。これにより,ログインを行ったアカウントに対応するグループに属するプリンタのうち,ログイン時にクラウドサーバ300との接続が切断されていたプリンタについても,自動的にサインインが行われることになる。
【0065】
例えば,図8に示すように,アカウントAでログインした場合,アカウントAをグループ化したグループAに属するプリンタ100,101,102について,ログイン時に接続が切断されているプリンタ(図8ではプリンタ101,102)との接続を自動的に確立する。その結果,アカウントAを利用するユーザは,プリンタ101,102に対してサインイン指示を入力する手間を掛けずに,全てのプリンタ100,101,102が利用可能になる。
【0066】
一方,グループサインイン設定が無効の場合には(S141:NO),サインインを行うプリンタをユーザに選択させる(S142)。具体的には,ログインを行ったアカウントに対応するグループに属するプリンタのうち,接続が確立していないプリンタを抽出し,どのプリンタとの接続を確立し,どのプリンタとの接続を確立しないのかを選択させるダイアログを,PC200に表示する指示を出力する。選択結果は,PC200からクラウドサーバ300に送信される。
【0067】
選択結果を受信したクラウドサーバ300は,選択されたプリンタに対して,サインイン要求出力指示を送信する(S143)。これにより,ユーザにとっては,接続を確立するプリンタを選択する手間は増えるものの,接続を確立するプリンタを個別に決定することができる。そのため,利用しないプリンタの接続確立を回避でき,接続確立に関する処理負荷を抑えることができる。
【0068】
S143あるいはS151の後,グループサインイン処理を終了する。さらに,図6のPC接続処理に戻り,S127のグループサインイン処理の後は,PC接続処理を終了する。
【0069】
一方,S121の説明に戻り,ログイン要求がなかった場合には(S121:NO),PC200からログアウト要求があったか否かを判断する(S131)。ログアウト要求がなかった場合には(S131:NO),PC接続処理を終了する。
【0070】
ログアウト要求があった場合には(S131:YES),PC200との接続を切断する(S132,第2切断部の一例)。S132では,PC200との物理的な接続状態を切断するのではなく,PC200からのジョブの受け付けを禁止する。
【0071】
また,S132の後,ログアウトを行ったときのアカウントがグループDB541に登録済みか否かを判断する(S133)。すなわち,ログアウトを行ったときのアカウントに対応するグループに属するプリンタがあるか否かを判断する。アカウントがグループDB541に登録されていない場合(S133:NO),PC接続処理を終了する。
【0072】
一方,アカウントがグループDB541に登録されている場合には(S133:YES),そのアカウントに対応するグループに属するプリンタのレコードについて,自己切断を「On」に変更する(S134)。例えば,図9に示すように,ログアウトを行ったときのアカウントがアカウントAであった場合,アカウントAをグループ化したグループAに属するプリンタ100,101,102について,自己切断を「On」に変更する。その後,そのアカウントに対応するグループに属するプリンタ全ての接続を切断するグループサインアウト処理を実行する(S135)。
【0073】
図10は,S135のグループサインアウト処理の詳細手順を示すフローチャートである。グループサインアウト処理では,先ず,グループサインアウト設定が有効であるか否かを判断する(S161)。クラウドサーバ300は,グループ単位でのサインアウトを許可するか否かのユーザ設定が可能であり,設定内容をNVRAM54に記憶している。
【0074】
グループサインアウト設定が有効の場合には(S161:YES),除外条件を満たすプリンタをサインアウト対象から除外する除外設定が有効であるか否かを判断する(S171)。クラウドサーバ300は,除外設定についてもユーザ設定が可能であり,設定内容をNVRAM54に記憶している。
【0075】
除外条件としては,例えば,サインインを行ってからの経過時間が所定時間(例えば,10分)以内であることが該当する。所定時間は,ユーザによってあるいは出荷時に設定される。すなわち,直近に接続を確立したプリンタは,近時に利用される可能性が高く,接続が切断されてしまうとユーザに不利益を与える可能性がある。そのため,サインアウト対象から除外する方が好ましい。サインインを行ってからの経過時間は,各レコードに記憶されている確立時刻から計算できる。
【0076】
この他の除外条件としては,例えば,複数のグループに所属し,複数のグループよって接続が確立していることが該当する。複数のアカウントによってサーバとの接続が確立しているプリンタは,他のアカウントでも利用されていることから,接続を切断すると他のアカウントのユーザに不測の不利益を与える可能性がある。そのため,サインアウトの対象から除外する方が好ましい。
【0077】
また,この他の除外条件としては,ユーザ任意に選定したプリンタが該当する。例えば,ユーザ任意に除外対象を選定可能にすることで,複数のプリンタとの接続を纏めて切断したとしても,即時に対応可能なプリンタを確保しておくことができる。
【0078】
除外設定が有効の場合には(S171:YES),ログアウトを行ったアカウントに対応するグループ内で,除外条件を満たすプリンタ(以下,「除外プリンタ」とする)を選定する(S181,選定部の一例)。そして,除外プリンタがあるか否かを判断する(S182)。
【0079】
除外プリンタがある場合には(S182:YES),ログアウトを行ったアカウントに対応するグループに属するプリンタであって,除外プリンタ以外のプリンタに対して,サインアウト要求を出力するように指示するサインアウト要求出力指示を送信する(S183,変更部および送信部の一例)。サインアウト要求出力指示を受信したプリンタは,クラウドサーバ300にサインアウト要求を送信する。なお,既にサインアウト済みのプリンタに対しては,サインアウト要求出力指示を送信しなくてもよい。また,サインアウト要求出力指示を送信したとしても,プリンタ側でそのサインアウト要求出力指示を無視してもよい。
【0080】
プリンタからサインアウト要求を受信したクラウドサーバ300は,前述したプリンタ接続処理(図5参照)に従って,プリンタとの接続を切断する。これにより,ログアウトを行ったアカウントに対応するグループに属するプリンタのうち,ログアウト時にクラウドサーバ300との接続が確立されていたプリンタについても,自動的にサインアウトが行われる。その結果,そのアカウントを利用するユーザは,各プリンタに対してサインアウト指示を入力する手間を掛けずに,全てのプリンタの利用を終えることができる。
【0081】
なお,S183のようにサインアウト要求出力指示を出力した後のサインアウトでは,S134にて自己切断が「On」になっていることから,プリンタ接続処理にてサインアウト対象のプリンタのレコードは削除されない。そのため,サインアウト後,再度ログインが行われれば,S127のグループサインインによる自動接続の対象となる。一方で,サインアウトがユーザ指示によるものであれば,切断対象のプリンタを利用する意思がないと推測できる。そこで,切断がユーザ指示であった場合には,そのプリンタをグループから削除し,S127のグループサインインによる自動接続の対象から除外する。後述するS172およびS163も同様である。
【0082】
除外プリンタがない場合には(S182:NO),あるいは除外設定が無効の場合には(S171:NO),ログアウトを行ったアカウントに対応するグループに属する全てのプリンタがサインアウトの対象となる。そこで,ログアウトを行ったアカウントに対応するグループに属する全てのプリンタに対して,サインアウト要求出力指示を送信する(S172,変更部および送信部の一例)。
【0083】
また,グループサインアウト設定が無効の場合には(S161:NO),サインアウトを行うプリンタをユーザに選択させる(S162)。具体的には,ログアウトを行ったアカウントに対応するグループに属するプリンタのうち,接続が確立しているプリンタを抽出し,どのプリンタとの接続を切断し,どのプリンタとの接続を切断しないのかを選択させるダイアログを,PC200に表示する指示を出力する。選択結果は,PC200からクラウドサーバ300に送信される。
【0084】
選択結果を受信したクラウドサーバ300は,選択されたプリンタに対して,サインアウト要求出力指示を送信する(S163)。これにより,ユーザにとっては,接続を切断するプリンタを選択する手間は増えるものの,接続を切断するプリンタを個々に決定することができる。そのため,利用可能なプリンタを確保でき,緊急を要する印刷ジョブにも対応できる。
【0085】
S163あるいはS172あるいはS183の後,サインアウト要求出力指示を出力したプリンタに対して,省電力モードへ移行する指示を出力する(S164)。すなわち,利用を中止したプリンタについては,省電力モードで動作させる方が,エネルギーの浪費が少ない。S164の後,グループサインアウト処理を終了する。さらに,図6のPC接続処理に戻り,S135のグループサインアウト処理の後は,各プリンタに対するサインアウトの完了を待つために所定時間待機し,その後S134にて変更対象となったレコードについて,自己切断を初期値である「Off」に戻し(S136),PC接続処理を終了する。
【0086】
なお,S127のグループサインイン処理(図7参照)では,S141にてグループサインインの設定が有効か否かを判断し,無効であればサインインを行うプリンタを手動で選択しているが,S141の判断を行わずにS151に移行し,ログインを行ったアカウントに対応するグループに属するプリンタ全てにサインイン要求出力指示を送信してもよい。S135のグループサインアウト処理(図10参照)中のS161も同様である。
【0087】
また,S135のグループサインアウト処理(図10参照)では,S171にてグループサインアウトの除外設定が有効か否かを判断し,有効であればグループサインアウトから除外するプリンタを選定可能であるが,S181以降の除外選定を行わずにS172に移行し,ログインを行ったアカウントに対応するグループに属するプリンタ全てにサインアウト要求出力指示を送信してもよい。
【0088】
[プリンタ設定]
続いて,PC200からプリンタの設定変更指示を受け,クラウドサーバ300が各プリンタの設定変更を行うプリンタ設定処理の動作手順について,図11のフローチャートを参照しつつ説明する。プリンタ設定処理は,PC200からプリンタ設定の変更指示を受け付けたことを契機に,制御部50によって実行される。
【0089】
プリンタ設定処理では,先ず,PC200からプリンタ設定の変更内容を取得する(S341)。プリンタ設定としては,例えば,省エネモードへの移行,サインイン後の送信要求の出力間隔,タイムアウト時間が該当する。また,操作パネル関連の設定(例えば,言語設定,液晶パネルの濃淡,メッセージのスクロールスピード)や,インターフェース関連の設定(例えば,インターフェースの選択,受信バッファサイズ)が該当する。
【0090】
次に,グループ設定が有効であるか否かを判断する(S342)。クラウドサーバ300は,グループ単位でのプリンタ設定を許可するか否かのユーザ設定が可能であり,設定内容をNVRAM54に記憶している。
【0091】
グループ設定が有効の場合には(S342:YES),PC200からクラウドサーバ300に現在ログインしているアカウントに対応するグループに属するプリンタ全てに,S341で取得した設定変更の内容を反映する(S351,変更部および送信部の一例)。すなわち,グループ単位でプリンタ設定を行う。これにより,ユーザはプリンタ設定を一括して行うことができる。
【0092】
一方,グループ設定が無効の場合には(S342:NO),プリンタ設定を反映するプリンタをユーザに選択させる(S343)。具体的には,ログインを行ったアカウントに対応するグループに属するプリンタのうち,接続が確立しているプリンタを抽出し,プリンタごとにプリンタ設定を反映するか否かを選択させるダイアログを,PC200に表示する指示を出力する。選択結果は,PC200からクラウドサーバ300に送信される。
【0093】
選択結果を受信したクラウドサーバ300は,選択されたプリンタに対して,プリンタ設定を反映する(S344)。これにより,ユーザにとってはプリンタ設定を反映するプリンタを選択する手間は増えるものの,プリンタ設定を反映するプリンタを個々に決定することができる。
【0094】
[第2の形態]
続いて,前述したクラウドサーバ300の動作手順における応用例について説明する。第2の形態では,図10に示したグループサインアウト処理の別形態について,図12のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0095】
なお,図12のフローチャート中,第1の形態と同様の処理については,同一の符号を付して説明を省略する。具体的には,S161でのグループサインアウト設定が無効の場合(S161:NO)以降の処理,およびS171での除外設定が無効の場合(S171:NO)以降の処理は,第1の形態と同様であり,説明を省略する。
【0096】
第2の形態では,S171での除外設定が有効の場合(S171:YES),グループDB541を参照し,複数のアカウントによって重複して登録されているプリンタ(以下,「重複プリンタ」とする)を選定する(S281,選定部の一例)。例えば,図13のログアウト前の図に示すように,プリンタ102は,アカウントAとアカウントBとによって登録されており,S281ではこのようなプリンタが重複プリンタとして選定される。なお,S281の選定では,プリンタがクラウドサーバと接続が確立しているか否かは問わない。
【0097】
次に,S281で重複プリンタが選定されたか否かを判断する(S282)。重複プリンタがなければ(S282:NO),S172に移行して,ログアウトを行ったアカウントに対応するグループに属する全てのプリンタに対して,サインアウト要求出力指示を送信する。
【0098】
重複プリンタがあれば(S282:YES),ログアウトを行ったアカウント以外のアカウントで接続が確立していないか,すなわち接続を確立しているのが自グループのみか否かを判断する(S283)。接続を確立しているのが自グループのみの場合(S283:YES),その重複プリンタについて接続を切断しても他のアカウントのユーザに不利益を与える可能性は低い。そこで,S172に移行して,その重複プリンタを含めてログアウトを行ったアカウントに対応するグループに属する全てのプリンタに対して,サインアウト要求出力指示を送信する。
【0099】
一方,他グループも接続を確立している場合(S283:NO),その重複プリンタについて接続を切断すると他のアカウントのユーザに不利益を与える可能性が高い。そこで,ログアウトを行ったアカウントに対応するグループに属するプリンタであって,重複プリンタ以外のプリンタに対して,サインアウト要求を出力するように指示するサインアウト要求出力指示を送信する(S284,変更部および送信部の一例)。すなわち,図13のログアウト後の図に示すように,重複プリンタ(図13ではプリンタ102)については,接続を切断しない。これにより,他のアカウントのユーザの不利益を回避する。
【0100】
なお,第2の形態では,S281にて重複プリンタを選択する際,接続が確立した状態か否かを区別していないが,S281の選定の際,接続が確立していることを選定条件に加えてもよい。この場合,重複プリンタとして選定された場合には,複数のアカウントによって接続が確立していることを意味する。換言すると,接続が確立しているアカウントが1つであれば,重複プリンタとして選択されない。そのため,S283の処理は不要となる。
【0101】
以上詳細に説明したように第1の形態および第2の形態のクラウドサーバ300は,アカウント(ユーザ情報の一例)が一致するプリンタ(画像処理装置の一例)をグループ化し,グループごとにそのグループに含まれる画像処理装置の設定を纏めて変更する。これにより,ユーザが個々の画像処理装置に対して設定変更を行う手間を,軽減することが期待できる。
【0102】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,画像処理装置は,プリンタに限るものではなく,スキャナ,FAX装置,複合機,複写機等,画像処理機能を備えるものであれば適用可能である。また,画像処理装置に印刷ジョブを投入する情報処理装置は,PCに限るものではなく,スマートフォン等のモバイル装置であってもよい。
【0103】
また,実施の形態では,クラウドサーバ300とプリンタ100との通信接続を確立させる際,パスワードによる認証処理を行っているが,認証を行わないシステムであっても本発明を適用可能である。すなわち,クラウドサーバ300としては,プリンタを特定できる情報を取得すれば,そのプリンタに対して接続要求を出力できる。クラウドサーバ300とPC200との通信接続を確立させる際も同様である。
【0104】
また,実施の形態では,クラウドサーバ300とプリンタ100との通信接続を確立させるためのアカウントと,クラウドサーバ300とPC200との通信接続を確立させるためのアカウントとが同じであるが,別のアカウントを利用してもよい。例えば,クラウドサーバ300とPC200との間をユーザアカウントで確立し,クラウドサーバ300とプリンタ100との間は,複数のユーザアカウントをグループ化したグループアカウントで確立してもよい。これにより,複数のユーザでプリンタを共用できる。
【0105】
また,実施の形態では,サインインないしサインアウトの際に,グループDB541にレコードを追加したり削除したりしている,すなわちユーザごとのプリンタのグループを形成しているが,ユーザごとのプリンタのグループの形成は,サインインないしサインアウト時に限るものではない。例えば,任意のタイミングでユーザ入力によって行ってもよい。
【0106】
また,実施の形態では,サインアウト要求出力指示を出力したプリンタに対して,クラウドサーバ300から省電力モードへ移行する指示を出力しているが,これに限るものではない。例えば,サインアウト要求出力指示を受信したプリンタが自ら省電力モードに移行してもよい。
【0107】
また,実施の形態では,プリンタ100がクラウドサーバ300にサインインすると,定期的にプリンタ100から印刷ジョブの送信要求を行っているが,これに限るものではない。例えば,クラウドサーバ300等からの取得要求を受け付けた後に,印刷ジョブの送信要求を行ってもよい。
【符号の説明】
【0108】
50 制御部
100,101,102,103,104 プリンタ
200 PC
300 クラウドサーバ
541 グループDB
542 アカウントDB
900 画像処理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置との接続を確立する確立部と,
前記画像処理装置との接続を確立するユーザを特定するユーザ情報を取得する取得部と,
前記取得部が取得したユーザ情報を,前記画像処理装置の情報と関連付けて記憶する記憶部と,
前記記憶部に記憶された前記ユーザ情報が一致する画像処理装置同士をグループとし,前記グループごとに,前記グループに含まれる各画像処理装置の設定を変更する変更部と,
前記変更部による前記設定の変更を,前記グループに含まれる各画像処理装置に送信する送信部と,
を備えることを特徴とするサーバ。
【請求項2】
請求項1に記載するサーバにおいて,
前記確立部にて確立した前記画像処理装置との接続を切断する切断部を備え,
前記変更部は,前記設定の変更として,前記画像処理装置との接続の確立とその接続の切断との少なくとも一方を行うことを特徴とするサーバ。
【請求項3】
請求項2に記載するサーバにおいて,
情報処理装置との接続を確立する第2確立部と,
前記第2確立部にて接続を確立する際に,前記情報処理装置との接続を確立するユーザを特定する第2ユーザ情報を前記情報処理装置から取得する第2取得部と,
を備え,
前記変更部は,前記第2確立部が前記情報処理装置との接続を確立した場合に,前記記憶部に記憶されている画像処理装置のうち,前記第2ユーザ情報と前記ユーザ情報が一致する前記画像処理装置との接続を確立することを特徴とするサーバ。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載するサーバにおいて,
情報処理装置との接続を確立する第2確立部と,
前記第2確立部にて接続を確立する際に,前記情報処理装置との接続を確立するユーザを特定する第2ユーザ情報を前記情報処理装置から取得する第2取得部と,
前記第2確立部にて確立した前記情報処理装置との接続を切断する第2切断部と,
を備え,
前記変更部は,前記第2切断部が前記情報処理装置との接続を切断した場合に,前記記憶部に記憶されている画像処理装置のうち,前記第2ユーザ情報と前記ユーザ情報が一致する前記画像処理装置との接続を切断することを特徴とするサーバ。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか1つに記載するサーバにおいて,
前記画像処理装置との接続を切断する際,その切断がユーザ指示によるものか否かを判断する判断部を備え,
前記変更部は,前記判断部が前記ユーザ指示によるものと判断した場合には,前記画像処理装置を前記グループから削除し,前記判断部が前記ユーザ指示によるものではないと判断した場合には,前記画像処理装置を前記グループから削除しないことを特徴とするサーバ。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれか1つに記載するサーバにおいて,
前記変更部は,前記画像処理装置との接続を切断する際,前記画像処理装置を省電力モードに変更することを特徴とするサーバ。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載するサーバにおいて,
前記グループに属する画像処理装置の中から,前記変更部による設定変更の対象から除外する画像処理装置を選定する選定部を備えることを特徴とするサーバ。
【請求項8】
請求項7に記載するサーバにおいて,
前記選定部は,複数のグループに属する画像処理装置を選定することを特徴とするサーバ。
【請求項9】
請求項7に記載するサーバにおいて,
前記選定部は,複数のグループによって接続が確立している画像処理装置を選定することを特徴とするサーバ。
【請求項10】
請求項7から請求項9のいずれか1つに記載するサーバにおいて,
前記選定部は,前記画像処理装置との接続が確立した時刻からの経過時間が所定時間以内の画像処理装置を選定することを特徴とするサーバ。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1つに記載するサーバにおいて,
前記記憶部は,前記確立部が前記接続を確立する際に,前記ユーザ情報を前記画像処理装置から取得することを特徴とするサーバ。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1つに記載するサーバにおいて,
前記変更部は,
前記取得部が取得した前記ユーザ情報が前記記憶部に記憶された前記ユーザ情報と一致するか否かを判断するユーザ情報判断部と,
前記ユーザ情報が一致しないと前記ユーザ情報判断部が判断する場合,当該ユーザ情報を有する画像処理装置を含む,新たなグループを生成する生成部と,
を備えることを特徴とするサーバ。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1つに記載するサーバにおいて,
前記変更部は,
前記取得部が取得した前記ユーザ情報が前記記憶部に記憶された前記ユーザ情報と一致するか否かを判断するユーザ情報判断部と,
前記ユーザ情報が一致すると前記ユーザ情報判断部が判断する場合,前記ユーザ情報が一致する画像処理装置を,前記ユーザ情報が一致する画像処理装置のグループに登録する登録部と,
を備えることを特徴とするサーバ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−114590(P2013−114590A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262487(P2011−262487)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】