説明

サービスホールカバー取付構造、及びこれを備えた車両用電池搭載構造

【課題】本発明は、車両衝突時におけるサービスホールカバーとバッテリユニットの操作部との接触を抑制することができるサービスホールカバー取付構造、及びこれを備えた車両用電池搭載構造を得ることを目的とする。
【解決手段】サービスホールカバー50は、車室18からフロアパネル14に形成されたサービスホール16を通してバッテリユニット20側に配置され、電源回路遮断装置40の上部をフロアパネル14側から覆う収容凹部56を有している。この収容凹部56における内周壁部60の下端部60Lには、当該収容凹部56の外側へ延出する延出部62が設けられている。また、延出部62の外周側端部62Tには、フロアパネル14側へ折り返された折り返し部52が設けられている。この折り返し部52は、延出部62の外周側端部62Tを支点として、収容凹部56の内周壁部60側へ変形し易くなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービスホールカバー取付構造、及びこれを備えた車両用電池搭載構造に関する。
【背景技術】
【0002】
フロアパネルの下に、サービスプラグを有するバッテリユニットが搭載された電気自動車が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に開示された電気自動車は、フロアパネルに形成されたブーツ取付孔とバッテリユニットの上面に形成されたサービスプラグ用開口部との間に配置されたブーツ部材と、ブーツ取付孔を塞ぐキャップ部材とを備えている。ブーツ部材は合成ゴムにより蛇腹状に形成されており、このブーツ部材内にサービスプラグを操作する操作レバーが収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−083601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、車両衝突時にバッテリユニットに対してフロアパネルが水平方向に変位すると、操作レバーに対してブーツ部材が傾倒し、操作レバーにブーツ部材が接触する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の事実を考慮し、車両衝突時におけるサービスホールカバーとバッテリユニットの操作部との接触を抑制することができるサービスホールカバー取付構造、及びこれを備えた車両用電池搭載構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のサービスホールカバー取付構造は、サービスホールが形成されると共に、車両上下方向の下側に前記サービスホールに向けて突出する操作部を有するバッテリユニットが配置される車両フロアと、前記車両フロア上から前記サービスホールを通して前記バッテリユニット側へ配置され、前記操作部を該車両フロア側から覆う収容凹部と、前記収容凹部の下端部から該収容凹部の外側かつ前記車両フロア側へ折り返され、該車両フロアに取り付けられる折り返し部と、を有するサービスホールカバーと、を備えている。
【0007】
請求項1に係るサービスホールカバー取付構造によれば、サービスホールカバーの折り返し部は、バッテリユニットの操作部を車両フロア側から覆う収容凹部の下端部から当該収容凹部の外側かつ車両フロア側へ折り返されている。従って、例えば、車両衝突によって車両フロアがバッテリユニットに対して水平方向に変位し、車両フロアによって折り返し部がバッテリユニットの操作部側へ押圧されると、当該折り返し部が収容凹部側へ変形する。これにより、バッテリユニットに対する車両フロアの水平方向の変位が吸収されるため、操作部に対する収容凹部の水平方向の位置ずれが抑制される。従って、バッテリユニットの操作部に対する収容凹部の接触が抑制される。
【0008】
請求項2に記載のサービスホールカバー取付構造は、請求項1に記載のサービスホールカバー取付構造において、前記折り返し部が、前記収容凹部の下端部から該収容凹部の外側へ延出された延出部を介して前記車両フロア側へ折り返され、前記延出部と前記バッテリユニットとの隙間には、該隙間を塞ぐ第1シール部材が前記延出部に沿って設けられている。
【0009】
請求項2に係るサービスホールカバー取付構造によれば、折り返し部が、収容凹部の下端部から当該収容凹部の外側へ延出された延出部を介して車両フロア側へ折り返されており、この延出部とバッテリユニットとの隙間に第1シール部材が設けられている。この第1シール部材は延出部に沿って設けられており、延出部とバッテリユニットとの隙間を塞いでいる。これにより、収容凹部内への雨水や埃等の浸入が抑制される。従って、バッテリユニットの耐久性が向上する。
【0010】
また、車両フロアにサービスホールカバーを取り付けたときに、第1シール部材を介して延出部がバッテリユニットに支持される。これにより、バッテリユニットに対する延出部の水平方向の変位が抑制される。そのため、車両フロアによって折り返し部がバッテリユニットの操作部側へ押圧されたときに、折り返し部が延出部を支点として収容凹部側へ更に変形し易くなる。従って、バッテリユニットの操作部に対する収容凹部の接触が抑制される。
【0011】
請求項3に記載のサービスホールカバー取付構造は、請求項1又は請求項2に記載のサービスホールカバー取付構造において、前記サービスホールカバーが、前記折り返し部の上端部に設けられると共に前記車両フロアの上面に固定される固定部を有し、前記固定部に沿って設けられ、該固定部と前記車両フロアの上面との隙間を塞ぐ第2シール部材を備えている。
【0012】
請求項3に係るサービスホールカバー取付構造によれば、サービスホールカバーの固定部と車両フロアの上面との間を塞ぐ第2シール部材を設けたことにより、車室内への雨水や埃等の浸入が抑制される。従って、車室内の汚れ等が抑制される。
【0013】
請求項4に記載のサービスホールカバー取付構造は、請求項3に記載のサービスホールカバー取付構造において、前記収容凹部の頂部が、前記固定部と同一の高さ、若しくは該固定部より低い位置に配置されている。
【0014】
請求項4に係るサービスホールカバー取付構造によれば、バッテリユニットの操作部を車両フロア側から覆う収容凹部の頂部が、車両フロアの上面に固定される固定部と同じ高さ、若しくは当該固定部よりも低い位置に配置されている。従って、例えば、乗員によってサービスホールカバーが踏まれても、収容凹部の頂部がバッテリユニット側へ押圧されることが抑制される。従って、サービスホールカバーの破損等が抑制される。
【0015】
請求項5に記載の車両用電池搭載構造は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のサービスホールカバー取付構造が適用された車両フロア及びサービスホールカバーと、前記サービスホールへ向けて突出する操作部を有し、前記車両フロアの車両上下方向の下側に配置されたバッテリユニットと、を備えている。
【0016】
請求項5に係る車両用電池搭載構造によれば、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のサービスホールカバー取付構造が適用された車両フロア及びサービスホールカバーを備えたことにより、車両衝突時におけるサービスホールカバーの収容凹部とバッテリユニットの操作部との接触が抑制される。従って、バッテリユニットの耐久性を向上することができる。
【0017】
請求項6に記載の車両用電池搭載構造は、請求項5に記載の車両用電池搭載構造において、前記バッテリユニットが、バッテリモジュールと、前記バッテリモジュールの電気回路を電気的に遮断するサービスプラグと、を有し、前記操作部が、前記サービスプラグと連結されると共に操作されることにより前記サービスプラグに前記電気回路を電気的に遮断させる操作部材を有している。
【0018】
請求項6に係る車両用電池搭載構造によれば、バッテリユニットのメンテナンス時に、車両用フロアからサービスホールカバーを取り外し、サービスホールからバッテリユニットの操作部の操作部材を操作することにより、バッテリモジュールの電気回路を電気的に遮断することができる。従って、バッテリユニットのメンテナンス性が向上する。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明に係るサービスホールカバー取付構造、及びこれを備えた車両用電池搭載構造によれば、車両衝突時におけるサービスホールカバーとバッテリユニットの操作部との接触を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用バッテリ搭載構造が適用された車両の下部を車体幅方向外側(左側)から見た縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるサービスホールカバーを示す拡大斜視図である。
【図3】サービスホールカバーを示す図1の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。なお、各図において適宜示される矢印FRは車両前後方向の前側を示し、矢印UPは車両上下方向の上側を示している。
【0022】
図1には、本実施形態に係る車両用電池搭載構造10が適用された車両12の下部を車両幅方向外側(車体左側)から見た縦断面図が示されている。この車両12は、例えば、図示しない電動機(モータ)を駆動源として走行する電気自動車、ガソリンハイブリッド車、燃料電池ハイブリッド車等であり、その車両フロアとしてのフロアパネル14の車両上下方向の下側に電動機へ供給する電極を蓄電するバッテリユニット20が搭載されている。
【0023】
図1に示されるように、バッテリユニット20は、バッテリモジュール22と、バッテリモジュール22を収納するバッテリケース24と、バッテリモジュール22の電気回路(図示省略)を電気的に遮断する電源回路遮断装置40とを備えている。バッテリモジュール22は、前述した図示しない電動機へ供給される電力を蓄電する蓄電池であり、バッテリケース24内に収納されている。
【0024】
バッテリケース24は、その骨格を構成するバッテリフレーム26と、バッテリケース24の底壁を構成するバッテリロアカバー28と、バッテリケース24の天壁を構成するバッテリアッパカバー30とを備えている。バッテリフレーム26は、バッテリモジュール22の車両前後方向の両側にそれぞれ設けられると共に車両幅方向に延びる一対のフロントフレーム26A及びリヤフレーム(図示省略)と、バッテリモジュール22の車両幅方向の両側にそれぞれ設けられると共に車両前後方向に延びる一対のサイドフレーム(図示省略)とを備え、全体として枠状に構成されている。このバッテリフレーム26を介してバッテリユニット20が車体下部を構成する骨格部材(例えば、ロッカ等)に取り付けられている。
【0025】
また、バッテリフレーム26には、車両上下方向の下側からバッテリロアカバー28が溶接等により取り付けられると共に、車両上下方向の上側からバッテリアッパカバー30が溶接等により取り付けられている。これらのバッテリロアカバー28及びバッテリアッパカバー30によって、バッテリモジュール22が車両上下方向の両側から覆われている。これにより、バッテリケース24内への雨水や埃が浸入しないようになっている。
【0026】
バッテリケース24の上部には、操作部としての電源回路遮断装置40が設けられている。電源回路遮断装置40は、ケース40Aと、ケース40Aに収納され、前述したバッテリモジュール22に接続された電気回路を電気的に遮断するサービスプラグ(図示省略)と、サービスプラブに連結された操作レバー等の操作部材(図示省略)とを有している。ケース40Aは、その上部がバッテリアッパカバー30に形成された開口32からフロアパネル14側(車両上下方向の上側)へ突出されており、バッテリケース24の外部からケース40A内に収納された図示しない操作部材を操作可能になっている。この操作部材を作業者が操作することにより、バッテリモジュール22の電気回路が電気的に遮断されるようになっている。
【0027】
一方、フロアパネル14における電源回路遮断装置40と対向する部位には、サービスホール16が形成されている。換言すると、電源回路遮断装置40は、バッテリユニット20のバッテリアッパカバー30からサービスホール16へ向けて突出している。サービスホール16は、フロアパネル14を板厚方向に貫通する略矩形の貫通孔とされている。このサービスホール16を通して、作業者が車室18側から電源回路遮断装置40の操作部材を操作可能になっている。なお、フロアパネル14の上面14Aには、車両幅方向に延びる補強部材19が適宜設けられている。
【0028】
フロアパネル14には、サービスホール16を塞ぐサービスホールカバー50が着脱可能に取り付けられている。これらのフロアパネル14及びサービスホールカバー50に本実施形態に係るサービスホールカバー取付構造48が適用されている。サービスホールカバー50は、図2に示されるように、樹脂製又は金属製の金型成形品により全体として箱形状に形成されており、車両上下方向の下側(図1において、バッテリユニット20側)が開口されている。このサービスホールカバー50は、収容凹部56と、延出部62と、折り返し部52と、固定部としてのフランジ部54とを有している。なお、これらの収容凹部56、延出部62、折り返し部52、及びフランジ部54は、金型成形等により一体に形成されている。
【0029】
図3に示されるように、収容凹部56は、バッテリユニット20側(車両上下方向の下側)が開口された箱形状に形成されており、車室18(フロアパネル14上)からフロアパネル14のサービスホール16を通してバッテリユニット20側に配置され、電源回路遮断装置40の上部をフロアパネル14側から覆うようになっている。この収容凹部56は、頂部としての頂壁部58と内周壁部60とを有している。
【0030】
収容凹部56の頂壁部58は平板状に形成されており、後述するフランジ部54をサービスホール16の縁部16Aに固定したときに、バッテリユニット20のバッテリアッパカバー30と対向するようになっている。また、頂壁部58は、フランジ部54と同じ高さに配置されている。つまり、頂壁部58の上面58Aは、フランジ部54の上面54Aと面一になっており、頂壁部58がフランジ部54から車室18側(車両上下方向の上側)へ突出しないようになっている。なお、ここでいう頂壁部58がフランジ部54と同じ高さに配置されるとは、頂壁部58の上面58Aとフランジ部54の上面54Aとが完全に同一平面上に位置する構成だけでなく、製造誤差等によって頂壁部58の上面58Aとフランジ部54の上面54Aとの間に僅かな段差が形成された構成も含む概念である。
【0031】
頂壁部58の外周部には、当該外周部からバッテリユニット20側へ延出された内周壁部60が設けられている。内周壁部60は横断面が矩形の筒状に形成されており、その下端部60Lに延出部62が設けられている。延出部62は、収容凹部56の下端部60Lから収容凹部56の外側(折り返し部52側)へ延出すると共に、当該下端部60Lに沿って環状に延びている。また、延出部62の下面62Aは、後述するフランジ部54をサービスホール16の縁部16Aに固定したときに、バッテリユニット20のバッテリアッパカバー30の上面30Aと対向するようになっており、この延出部62に対して収容凹部56がフロアパネル14側へ凹んでいる。
【0032】
延出部62の下面62Aには、第1シール部材74が設けられている。第1シール部材74は、合成ゴム等のチューブ状の弾性体によってリング状に形成されており、延出部62の下面62Aに沿って当該下面62Aに接着剤等により接合されている。この第1シール部材74は、後述するフランジ部54をサービスホール16の縁部16Aに固定したときに、延出部62の下面62Aによってバッテリユニット20のバッテリアッパカバー30の上面30Aに押し付けられ、当該上面30Aに密着されるようになっている。これにより、延出部62の下面62Aとバッテリユニット20のバッテリアッパカバー30の上面30Aとの間の隙間が塞がれると共に、第1シール部材74を介して延出部62がバッテリアッパカバー30に支持されるようになっている。
【0033】
延出部62における収容凹部56と反対側の外周側端部62Tには、折り返し部52が設けられている。折り返し部52は、延出部62の外周側端部62Tにおいてフロアパネル14側(車両上下方向の上側)へ屈曲され、当該外周側端部62Tからサービスホール16の縁部16Aへ向けて延出されている。つまり、折り返し部52は、収容凹部56の内周壁部60の下端部60Lから延出部62を介してフロアパネル14側へ折り返されている。これにより、折り返し部52は、延出部62の外周側端部62Tを支点として内周壁部60側へ変形(弾性変形)し易くなっている。また、折り返し部52は横断面が矩形の筒状に形成されると共に収容凹部56の内周壁部60と間隔を空けて配置されており、その下端部52Lが延出部62の外周側端部62Tに接続されている。これにより、折り返し部52と収容凹部56の内周壁部60との間に当該収容凹部56を囲む環状の溝部76が形成されている。この溝部76によって折り返し部52の収容凹部56側への変形スペースが確保されている。
【0034】
折り返し部52の上端部には、固定部としてのフランジ部54が形成されている。フランジ部54は折り返し部52の上端部から外側(収容凹部56と反対側)へ張り出すと共に当該上端部に沿って環状に形成されている。このフランジ部54は、車室18側から折り返し部52及び収容凹部56をサービスホール16へ挿入したときに、フロアパネル14の上面14Aにおけるサービスホール16の縁部16Aに係合されるようになっている。また、フランジ部54及びサービスホール16の縁部16Aには複数の取付孔64,66がそれぞれ形成されており、これらの取付孔64,66を貫通するボルト68及びナット70によってフランジ部54がサービスホール16の縁部16Aに固定されるようになっている。即ち、サービスホールカバー50は、その折り返し部52及び収容凹部56をサービスホール16からバッテリユニット20側へ突出させた状態で、フロアパネル14の上面14Aに取り付けられている。
【0035】
サービスホールカバー50のフランジ部54とサービスホール16の縁部16Aとの間には、第2シール部材72が設けられている。第2シール部材72は合成ゴム等の弾性体によってリング状に形成されており、フランジ部54の下面に沿って当該下面に接着剤等により接合されている。この第2シール部材72によってフランジ部54とサービスホールの縁部16Aとの隙間が塞がれている。
【0036】
次に、フロアパネルに対するサービスホールカバーの取付方法について説明すると共に、本実施形態の作用について説明する。
【0037】
図3に示されるように、先ず、フロアパネル14に形成されたサービスホール16にサービスホールカバー50の折り返し部52及び収容凹部56を挿入し、当該収容凹部56内にバッテリユニット20のバッテリアッパカバー30からサービスホール16へ向けて突出された電源回路遮断装置40の上部を配置する。これにより、収容凹部56によって電源回路遮断装置40がフロアパネル14側から覆われる。
【0038】
次に、折り返し部52の上端部に形成されたフランジ部54をサービスホール16の縁部16Aに係合し、これらのフランジ部54及びサービスホール16の縁部16Aをボルト68及びナット70により接合する。これにより、フランジ部54の下面に設けられた第2シール部材72がサービスホール16の縁部16Aに押し付けられ、これらのフランジ部54とサービスホール16の縁部16Aとの隙間が塞がれる。また、サービスホールカバー50の延出部62の下面62Aに設けられた第1シール部材74がバッテリアッパカバー30の上面30Aに押し付けられ、これらの延出部62とバッテリアッパカバー30との隙間が塞がれる。
【0039】
一方、バッテリユニット20のメンテナンス時には、ボルト68からナット70を取り外してサービスホールカバー50のフランジ部54とサービスホール16の縁部16Aとの接合を解除し、サービスホール16からサービスホールカバー50を取り外す。次に、車室18内からサービスホール16を通して電源回路遮断装置40の操作部材(図示省略)を操作し、操作部材に連結された図示しないサービスプラグに、バッテリケース24に収納されたバッテリモジュール22の電気回路を電気的に遮断させる。これにより、車両12からバッテリユニット20を容易に降ろすことができるため、バッテリユニット20のメンテナンス性が向上する。
【0040】
このように本実施形態では、第2シール部材72によって、サービスホールカバー50のフランジ部54とサービスホール16の縁部16Aとの隙間を塞ぐことにより、例えば図1に矢印Wで示されるように、バッテリユニット20の車両前後方向の前側からフロアパネル14とバッテリアッパカバー30との間に浸入した雨水や埃が車室18内へ浸入することが抑制される。従って、車室18内の汚れ等が抑制される。
【0041】
また、第1シール部材74によって、サービスホールカバー50の延出部62とバッテリアッパカバー30との間の隙間を塞ぐことにより、前述した雨水や埃(矢印W)がサービスホールカバー50の収容凹部56内へ浸入することが抑制される。これにより、収容凹部56内に配置された電源回路遮断装置40の破損、損傷が抑制される。従って、バッテリユニット20の耐久性が向上する。
【0042】
更に、サービスホールカバー50の折り返し部52は、収容凹部56の内周壁部60の下端部60Lから延出部62を介してフロアパネル14側へ折り返されており、延出部62の外周側端部62Tを支点として収容凹部56側へ変形し易くなっている。従って、車両衝突によってフロアパネル14がバッテリユニット20に対して水平方向に変位し、サービスホール16の縁部16Aによってサービスホールカバー50の折り返し部52が電源回路遮断装置40側へ押圧されたときに、図3に二点鎖線で示されるように、折り返し部52が延出部62の外周側端部62Tを支点として収容凹部56側へ変形(弾性変形)し、折り返し部52と内周壁部60との間隔が狭くなる。これにより、バッテリユニット20に対するフロアパネル14の水平方向の変位が吸収されるため、電源回路遮断装置40に対する収容凹部56の水平方向の位置ずれが抑制される。従って、電源回路遮断装置40に対する収容凹部56の内周壁部60の接触が抑制される。
【0043】
更に、本実施形態では、前述したようにボルト68及びナット70によってサービスホールカバー50のフランジ部54をサービスホール16の縁部16Aに接合したときに、サービスホールカバー50の延出部62の下面62Aに設けられた第1シール部材74がバッテリユニット20のバッテリアッパカバー30の上面30Aに押し付けられ、第1シール部材74を介して延出部62がバッテリアッパカバー30に支持される。これにより、第1シール部材74とバッテリアッパカバー30の上面30Aとの間に発生する摩擦力によって、バッテリユニット20に対する延出部60の水平方向の位置ずれが抑制される。従って、サービスホール16の縁部16Aによって折り返し部52がバッテリユニット20の電源回路遮断装置40側へ押圧されたときに、折り返し部52が延出部62の外周側端部62Tを支点として収容凹部56側へ更に変形し易くなる。従って、電源回路遮断装置40に対する収容凹部56の内周壁部60の接触が更に抑制される。
【0044】
更に、収容凹部56の頂壁部58は、フランジ部54と同じ高さに配置されており、当該頂壁部58がフランジ部54から車室18側へ突出していない。従って、収容凹部56の頂壁部58がフランジ部54の上面54Aから車室18側へ突出した構成と比較して、サービスホールカバー50の見栄えが良好となる。更に、収容凹部56の頂壁部58がフランジ部54の上面54Aから車室18側へ突出した構成では、例えば、乗員によってサービスホールカバー50が踏まれたときに、当該頂壁部58がバッテリユニット20側へ押圧される可能性がある。これに対して本実施形態では、収容凹部56の頂壁部58がフランジ部54と同じ高さに配置されているため、乗員によってサービスホールカバー50が踏まれても、収容凹部56の頂壁部58がバッテリユニット20側へ押圧されることが抑制される。従って、サービスホールカバー50の破損等が抑制される。
【0045】
更にまた、本実施形態では、サービスホール16を塞ぐサービスホールカバー50にバッテリユニット20の電源回路遮断装置40を収容する収容凹部56を一体に形成したことにより、ブーツ部材とキャップ部材とを備える従来技術(例えば、特許文献1)と比較して、部品点数が減少する。従って、フロアパネル14に対するサービスホールカバー50の取付性が向上する。更に、フロアパネル14からのサービスホールカバー50の取り外しが容易となるため、バッテリユニット20のメンテナンス性が向上する。
【0046】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0047】
上記実施形態では、第1シール部材74をサービスホールカバー50の延出部62の下面62Aに接着剤等により接合したが、第1シール部材74はバッテリユニット20のバッテリアッパカバー30の上面30Aに接着剤等で接合しても良い。また、上記実施形態では、第2シール部材74をサービスホールカバー50のフランジ部54の下面に接着等により接合したが、第2シール部材74はフロアパネル14の上面14Aに接着剤等で接合しても良いし、フランジ部54及びフロアパネル14に接合せずに、フロアパネル14にサービスホールカバー50を取り付ける際にフランジ部54とフロアパネル14との間に配置しても良い。更に、第1シール部材74及び第2シール部材72は必要に応じて設ければ良く、適宜省略可能である。なお、第1シール部材74を省略した場合は、延出部62をバッテリアッパカバー30に接触させ、延出部62をバッテリアッパカバー30で直接的に支持することが望ましい。
【0048】
また、上記実施形態では、サービスホールカバー50における収容凹部56の頂壁部58をフランジ部54と同じ高さに配置したがこれに限らない。収容凹部56の頂壁部58は、フランジ部54よりも高い位置(車室18側)に配置しても良いし、フランジ部54の上面54Aよりも低い位置(バッテリユニット20側)に配置しても良い。なお、収容凹部56の頂壁部58をフランジ部54よりも低い位置に配置した構成では、上記実施形態と同様に、乗員によってサービスホールカバー50が踏まれても、当該頂壁部58がバッテリユニット20側へ押圧されることが抑制される。従って、サービスホールカバー50の破損等が抑制される。
【0049】
また、上記実施形態では、収容凹部56の頂壁部58を平板状に形成したがこれに限らない。例えば、頂壁部58を車両上下方向の上側へ凸状に湾曲させても良い。この場合、底壁部における最も車室18側に位置する部位が収容凹部56の頂部となり、この頂部をフランジ部54から車室18側へ突出しないようにすることで、サービスホールカバー50の破損等を抑制することができる。更に、固定部としてのフランジ部54の形状も適宜変更可能である。
【0050】
また、上記実施形態では、バッテリユニット20の操作部として電源回路遮断装置40を例に説明したがこれに限らない。バッテリユニット20の操作部は、サービスホール16を通して車室18側から操作可能な操作部材や交換可能な消耗部品等を含んで構成されていれば良い。
【0051】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものではなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
10 車両用電池搭載構造
14 フロアパネル(車両フロア)
14A 上面(車両フロアの上面)
16 サービスホール
20 バッテリユニット
22 バッテリモジュール
40 電源回路遮断装置(操作部)
48 サービスホールカバー取付構造
50 サービスホールカバー
52 折り返し部
54 フランジ部(固定部)
56 収容凹部
58 頂壁部(頂部)
60 内周壁部(収容凹部)
60L 下端部(収容凹部の下端部)
62 延出部
72 第2シール部材
74 第1シール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービスホールが形成されると共に、車両上下方向の下側に前記サービスホールに向けて突出する操作部を有するバッテリユニットが配置される車両フロアと、
前記車両フロア上から前記サービスホールを通して前記バッテリユニット側へ配置され、前記操作部を該車両フロア側から覆う収容凹部と、前記収容凹部の下端部から該収容凹部の外側かつ前記車両フロア側へ折り返され、該車両フロアに取り付けられる折り返し部と、を有するサービスホールカバーと、
を備えるサービスホールカバー取付構造。
【請求項2】
前記折り返し部が、前記収容凹部の下端部から該収容凹部の外側へ延出された延出部を介して前記車両フロア側へ折り返され、
前記延出部と前記バッテリユニットとの隙間には、該隙間を塞ぐ第1シール部材が前記延出部に沿って設けられている、
請求項1に記載のサービスホールカバー取付構造。
【請求項3】
前記サービスホールカバーが、前記折り返し部の上端部に設けられると共に前記車両フロアの上面に固定される固定部を有し、
前記固定部に沿って設けられ、該固定部と前記車両フロアの上面との隙間を塞ぐ第2シール部材を備える、
請求項1又は請求項2に記載のサービスホールカバー取付構造。
【請求項4】
前記収容凹部の頂部が、前記固定部と同一の高さ、若しくは該固定部より低い位置に配置されている請求項3に記載のサービスホールカバー取付構造。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のサービスホールカバー取付構造が適用された車両フロア及びサービスホールカバーと、
前記サービスホールへ向けて突出する操作部を有し、前記車両フロアの車両上下方向の下側に配置されたバッテリユニットと、
を備える車両用電池搭載構造。
【請求項6】
前記バッテリユニットが、バッテリモジュールと、前記バッテリモジュールの電気回路を電気的に遮断するサービスプラグと、を有し、
前記操作部が、前記サービスプラグと連結されると共に操作されることにより前記サービスプラグに前記電気回路を電気的に遮断させる操作部材を有する、
請求項5に記載の車両用電池搭載構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−107542(P2013−107542A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255321(P2011−255321)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】