説明

サービス診断システムおよびネットワーク中継装置

【課題】ネットワーク登録してサービスとの接続を行ないたいユーザが、ネットワークの不備でサービスを受けられない時、通信ができない時に、ネットワーク中継装置の問題でサービスを受けられないかどうかの診断方式を提供する。
【解決手段】ネットワーク中継装置は、パケットを廃棄する時、廃棄するパケットが診断用パケットかそうでないか判断し、診断用パケットであれば装置内の廃棄情報を収集する機能に廃棄パケットの出力元ユーザと、廃棄箇所を通知する手段と、通知された廃棄情報をユーザ毎に一括管理し、廃棄箇所別に集計する手段と、保守端末からの指示を受け、ユーザ毎に廃棄情報があるかどうか読み出す機能を備える。また、ユーザ情報を登録し、診断したいネットワークサービスについて、診断用パケットを使用して、ネットワーク中継装置に出力する事が可能なテスト端末を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービス診断システムおよびネットワーク中継装置に係り、ネットワーク中継装置に対して診断パケットを送信するテスト端末を用いたサービス診断システムおよびネットワーク中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク中継装置と接続し、ネットワーク上のサービスを受けるユーザ端末において、サービスが受けられない問題が発生することがある。その原因が、ネットワーク中継装置の問題と類推される場合、保守者は、以下の方法で調査し、対策を実施している。
【0003】
ネットワーク中継装置の保守者は、保守端末を使用して、ネットワーク中継装置を構成するハードウエア/ソフトウエアについて、装置故障が発生していないか調査する。保守者は、また、装置内部でユーザ端末からのパケットを廃棄していないかを装置の統計情報で調査する。保守者は、パケットの廃棄箇所を見つけ、その廃棄箇所から廃棄要因を類推し、対応を行なっている。
【0004】
また、ネットワーク中継装置の動作に問題がないかを確認するために、サービス接続確認用の端末を用意し、その端末を使用してネットワークが提供するサービスへの接続確認を実施する。ネットワーク中継装置の不具合で接続不能である場合、保守者は、ネットワーク中継装置内でのパケット廃棄箇所を調査し、廃棄要因への対応を行なっている。
【0005】
他の方式としては、特許文献1ではテスト用パケットを定義し、そのパケットをネットワークで通信させ、処理を行う装置においてそれぞれテスト用パケットに情報を設定していく方式を開示している。この方式を装置内での運用に限定し類推できる方式として、テスト用パケットを受けたネットワーク中継装置内で、パケットの処理を行う各所でパケットの通過情報をパケットに設定していく方式が考えられる。しかしながらこの方式では装置内に流通するすべてのパケットを監視する必要が有り、テスト用パケット以外のパケットに対する処理速度の低下を招く虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特願平6−137119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ネットワークに登録されたユーザが、ネットワーク上で提供されるサービスへの接続要求時にサービスを受けられない場合、その原因が接続回線の物理的な接続不備やサービス提供先の不具合によるものでなく、ネットワーク中継装置に要因があると推測される時、ネットワーク中継装置保守者は中継装置に対してサービス接続への阻害要因を調査する。保守者がネットワーク中継装置に対して行なう要因調査としては、ユーザとサービス提供者間で送受信するパケットが、中継装置内で廃棄されていないかの調査がある。ネットワーク中継装置は、複数のサービスを1つのネットワークで提供する場合、および通信のための複数のプロトコルを実装している場合があり、装置内部でユーザの出力したパケットが通過するルートは多岐に及び、廃棄される箇所も多数存在する。保守者はバケット廃棄箇所の調査時、ユーザが使用できなかったサービスについて、その処理ルートについて、順を追って調査、廃棄箇所を調べる必要があり、調査に時間がかかっている。
また、調査はユーザが使用できなかった結果に対して実施する場合と、実際の端末を使用して検証を行なう場合がある。
【0008】
ユーザの通信結果に対して調査を行なう場合、ネットワーク中継装置内で収集する統計情報は、問題発生時のみの情報でなく、ユーザへのサービス開始時からの累積した通信結果であるので、その中からサービス不可発生時の情報を判断し問題点を類推するのは不可能となる。
【0009】
実際のユーザ端末を使用して検証を行なう場合、全通信の中で特定ユーザを指定し、その処理状態を監視する必要があり、実際の運用中に監視を実行してしまうと通信に関する負荷が高くなり、装置の処理能力低下を生じる。また、ユーザを特定しないで監視を実施すると、大量の監視情報が必要となり、結果を収集しておくリソースを大量に使用してしまい、ネットワークの運用に影響を与えてしまう虞がある。
【0010】
本発明は、ネットワークの運用に影響のないサ−ビス診断システムおよびネットワーク中継装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題は、第1のネットワークを介してユーザ端末と接続され、第2のネットワークを介してサービス提供装置に接続されたネットワーク中継装置と、第1のネットワークに接続されたテスト端末とからなるサービス診断システムであって、テスト端末は、ユーザ端末に換わって、診断用パケットをネットワーク中継装置に送信し、ネットワーク中継装置は、第1のネットワークから受信したパケットを第2のネットワークに転送する転送手段と、受信したパケットを廃棄するとき、廃棄するパケットが診断用パケットかどうか判定し、診断用パケットであればユーザ情報と廃棄箇所を廃棄情報収集部に通知する第1の通知手段と、受信したパケットを第2のネットワークに転送するとき、転送するパケットが診断用パケットか判定し、診断用パケットであれば、この診断用パケットを廃棄して、ユーザ情報と廃棄箇所を廃棄情報収集部に通知する第2の通知手段と、ユーザ情報と廃棄箇所とカウント数とを収集する廃棄情報収集部とからなるサービス診断システムにより、達成できる。
【0012】
また、第1のネットワークを介してユーザ端末と、ユーザ端末に換わって、診断用パケットをネットワーク中継装置に送信するテスト端末と接続され、第2のネットワークを介してサービス提供装置に接続されたネットワーク中継装置において、第1のネットワークから受信したパケットを第2のネットワークに転送する転送手段と、受信したパケットを廃棄するとき、廃棄するパケットが診断用パケットかどうか判定し、診断用パケットであればユーザ情報と廃棄箇所を廃棄情報収集部に通知する第1の通知手段と、受信したパケットを第2のネットワークに転送するとき、転送するパケットが診断用パケットか判定し、診断用パケットであれば、この診断用パケットを廃棄して、ユーザ情報と廃棄箇所を廃棄情報収集部に通知する第2の通知手段と、ユーザ情報と廃棄箇所とカウント数とを収集する廃棄情報収集部とからなるネットワーク中継装置により、達成できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に拠れば、ネットワークの運用に影響のないサ−ビス診断システムおよびネットワーク中継装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】サービス提供システムのブロック図(その1)である。
【図2】廃棄箇所テーブルを説明する図である。
【図3】サービス提供システムのブロック図(その2)である。
【図4】サービス提供システムのブロック図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、実施例を用い図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実質同一部位には同じ参照番号を振り、説明は繰り返さない。
【実施例1】
【0016】
図1を参照して、サービス提供システムのハードウェアブロックを説明する。図1において、サービス提供システム500Aは、ユーザ端末20、テストユーザ端末40、保守端末50、ユーザ外部ネットワーク30、ネットワーク中継装置10、サービス外部ネットワーク60、サービス提供サーバ70から構成される。ネットワーク中継装置10は、ハードウェアインタフェース制御部11、ソフトウエアインタフェース制御部12、廃棄情報収集部13、廃棄情報収集設定部14から構成されている。
【0017】
ユーザ端末20は、ユーザ外部ネットワーク30を介してネットワーク中継装置10へ接続する。ネットワーク中継装置10の保守者は、ユーザ端末20について保守端末50を使用して加入者登録を行ない、サービス提供ネットワーク500Aのユーザとする。
【0018】
ユーザ端末20は、ネットワーク中継装置10を介してサービス外部ネットワーク60先のサービス提供サーバ70と接続する事ができ、サービス提供サーバ70からサービス提供を受ける。サービスの具体例としては、インターネット接続がある。
【0019】
ネットワーク中継装置10は、ユーザ端末20から、ユーザ端末サービス提供サーバ接続要求23を受ける。ネットワーク中継装置10は、装置内のハードウェアインタフェース制御部11、ソフトウエアインタフェース制御部12によりパケットを分析する。ハードウェアインタフェース制御部11、ソフトウエアインタフェース制御部12は、接続先を決定し、パケットを転送する。ハードウェアインタフェース制御部11、ソフトウエアインタフェース制御部12は、受信したパケット処理の結果、そのパケットを廃棄すると決定した時、そのパケットが診断用パケットであった場合、廃棄情報収集部13にパケット送出元ユーザと、廃棄ポイントを通知し、パケットを廃棄する。廃棄情報収集部13は、通知されたパケット廃棄情報をユーザ別、廃棄ポイント別に収集する。収集したパケット廃棄情報は、廃棄情報収集設定部14を介し、保守端末50から読み出す事が可能である。
【0020】
テストユーザ端末40は、ユーザ端末20と同様ユーザ外部ネットワーク30を介してネットワーク中継装置10と接続する。テストユーザ端末40は、ネットワークを介してサービスを受けるためのユーザ端末が実装するプロトコルについて、テストユーザ端末とネットワーク中継装置だけで認識可能な診断用IPパケットを使用し、送信する。ここで、診断用IPパケットとは、IPパケットヘッダのオプションエリアで定義されたパケットである。また、テストユーザ端末40は、サービス提供サーバ70との間で送受信されるパケットについて、出力パケット個別に診断用IPパケットである旨を設定する。
【0021】
次に、テストユーザ端末40から行なうサービス診断の処理動作について詳細に説明する。
ユーザ端末20がサービス提供者70からのサービスを受けられないとき、保守者は、テストユーザ端末40に対して該当ユーザの情報を設定する。つまり、テストユーザ端末40を実際のユーザ端末20と同等に動作する環境に設定する。テストユーザ端末40は、ユーザが使用できなかったサービスへの接続信号を診断IPパケット上に作成し、ネットワーク中継装置10に送出する。ユーザ外部ネットワーク30、ネットワーク中継装置10は、診断IPパケットであるという定義がIPパケットヘッダのユーザ任意設定エリアに定義されているが、通常のIPパケットとして処理を実行する。ネットワーク中継装置10の中で処理されたIPパケットは、問題が無ければサービス外部ネットワーク60に出力される。しかし、ネットワーク中継装置10は、装置外出力時に診断パケットは出力しない方針に則り出力を停止、パケットを廃棄する。このとき、パケットの廃棄が発生したので、ネットワーク中継装置10は、廃棄情報収集部13へ通知を行なう。廃棄情報収集部13は、廃棄されたパケットの出力元ユーザと、廃棄箇所を記憶しカウントする。
【0022】
テストユーザ端末40からの診断IPパケットが、ハードウェアインタフェース制御部11またはソフトウエアインタフェース処理部12内で廃棄される場合、ネットワーク中継装置10は、同様に廃棄情報収集部13へ通知を行なう。廃棄情報収集部13は、廃棄されたパケットの出力元ユーザと、廃棄箇所を記憶しカウントする。
【0023】
保守者は、パケットの診断結果について保守端末50から廃棄情報収集設定部14を介して廃棄情報収集部13から読み出し、パケット廃棄箇所について調査を行なう。パケット廃棄箇所が装置外へのパケット出力時廃棄であれば、保守者は、そのパケットについては装置内で正常動作したと判断する。一方、別の箇所でのパケット廃棄がある場合、保守者は、廃棄箇所別に要因を検討し、原因を突き止める事ができる。
【0024】
図2を参照して、廃棄情報収集部13が収集する廃棄箇所テーブル130を説明する。図2において、廃棄箇所テーブル130は、項番(#)131、装置内位置132、ユニット内処理部133、ユーザIPアドレス134、カウント135から構成される。ここでは、診断IPパケットを1000パケット送信し、装置内位置132がハードウェアインタフェース制御部のサービス外部ネットワーク出力で廃棄された950パケットは、正常処理である。しかし、ソフトウエアインタフェース制御部のハードウェアインタフェース制御部への出力部で50パケット廃棄されている。保守者は、この50パケットを詳細に分析し、エラー原因を究明する。
【0025】
実施例1によれば、ネットワーク中継装置に対して、実際のネットワークから入力された信号を使用し、サービス接続が不可であるユーザに模した端末からのサービス使用検証が可能となり、実運用に近い形で保守者がサービス接続不可要因を調査する事ができる。
【0026】
また、パケットの装置外出力時と、廃棄時のみ診断パケットかどうかのチェックでユーザごとの廃棄を監視できるため、全パケットに対するユーザごとの診断チェックを行なう処理方式よりも通信負荷が下がり、実際の運用中に使用可能である。
【0027】
さらに、ユーザ別の廃棄情報の読み出しについて一元的に読み出しが可能となるため、特に1つのネットワークで複数のサービスをユーザに提供するような場合、廃棄箇所が装置内部の多岐にわたり発生し、それらを一元的に監視する事ができる。
【0028】
さらにまた、ネットワーク中継装置へ出力した診断パケットは、ネットワーク中継装置外へ転送しないので、サービス提供中のネットワーク中継装置に対してもユーザ毎にサービス診断を行なう事ができる。
【実施例2】
【0029】
図3を参照して、メインのパケット転送処理を中心とし、別の複数のサービスを付加機能によって実現した統合ネットワーク通信装置を用いるサービス提供ネットワークを説明する。図3において、サービス提供ネットワーク500Bは、ユーザ端末20、テストユーザ端末40、ユーザ外部ネットワーク30、統合ネットワーク中継装置100、サービス外部ネットワーク60、3台のサービス提供サーバ70から構成されている。なお、サービス提供サーバ70について、区別するときサービス提供サーバ70−1のように記載する。区別しないときは、サービス提供サーバ70と記載する。これは、他の参照番号でも同様である。
【0030】
統合ネットワーク中継装置100は、メイン制御部120と、2台の付加機能制御装置130とから構成される。メイン制御部120は、外部ハードウェアインタフェース制御部121、外部ソフトウエアインタフェース制御部122、廃棄情報収集部123、廃棄情報収集設定部124から構成される。付加機能制御装置130は、内部ハードウェアインタフェース制御部132、内部ソフトウエアインタフェース制御部133、廃棄情報収集部134、廃棄情報収集設定部135から構成される。
【0031】
ユーザ端末20は、ユーザ外部ネットワーク30を介して統合ネットワーク中継装置100へ接続する。統合ネットワーク中継装置100の保守者は、ユーザ端末20について運用保守端末50を使用して加入者登録を行ない、サービス提供ネットワーク500Bのユーザとする。
【0032】
ユーザ端末20は、統合ネットワーク中継装置100を介してサービス提供サーバ70−1、サービス提供サーバ70−2と接続する事ができる。ユーザ端末20は、サービス提供サーバ70−1、サービス提供サーバ70−2それぞれのサービス提供を受ける。ここで、サービスとは、具体的にはインターネットプロバイダ、ケーブルTVなどのサービスである。
【0033】
統合ネットワーク中継装置100は、ユーザ端末20からのサービス接続要求を受けると、まずメイン制御装置120上の外部ハードウェアインタフェース制御部121、外部ソフトウエアインタフェース制御部122により受信パケットを分析する。外部ハードウェアインタフェース制御部121または外部ソフトウエアインタフェース制御部122は、接続先を決定する。メイン制御部120内で処理が行なえるパケットについて、メイン制御部120内部で処理を実行する。しかし、付加機能制御装置部130−1または付加機能制御装置部130−2で実現するサービスへの接続要求だった場合、メイン制御部120は、それぞれのパケットを付加機能制御装置部130−1または付加機能制御装置部130−2へ転送する。転送を受けた付加機能制御装置部130は、個別のサービス提供者への接続処理を行なう。
【0034】
外部ハードウェアインタフェース制御部121および外部ソフトウエアインタフェース制御部122は、受信したパケットの転送処理分析の結果、パケットを廃棄すると決めた場合、さらに、そのパケットが診断用パケットであった場合、廃棄情報収集部123にパケット送出元ユーザと、廃棄ポイントを通知し、パケットを廃棄する。廃棄情報収集部123は、通知されたパケット廃棄情報をユーザ別、廃棄ポイント別に収集する。
【0035】
付加機能制御装置130は、メイン制御装置部120から送られたユーザパケットについて、内部ハードウェアインタフェース制御部132または内部ソフトウエアインタフェース制御部133によって処理する。内部ハードウェアインタフェース制御部132および内部ソフトウエアインタフェース制御部133で受信パケットの廃棄が決定された時、内部ハードウェアインタフェース制御部132,内部ソフトウエアインタフェース制御部133は、障害情報収集部134にパケット送出元ユーザと、廃棄ポイントを通知し、パケットを廃棄する。廃棄情報収集部134は、通知されたパケット廃棄情報をユーザ別、廃棄ポイント別に収集する。
【0036】
保守端末50は、収集したパケット廃棄情報の読み出しを、メイン制御装置120の廃棄情報収集設定部124に指示する。廃棄情報収集設定部124は、メイン制御装置部120内の廃棄情報収集部123と、付加装置130それぞれの廃棄情報収集設定部135に対して廃棄情報の収集を要求する。廃棄情報収集設定部124は、収集結果の応答を受けメイン側の情報と共に保守端末50へ読み出した値を通知する。
【0037】
テストユーザ端末40は、ユーザ端末20と同様ユーザ外部ネットワーク30を介してネットワーク中継装置100と接続される。テストユーザ端末40は、診断用の端末である。テストユーザ端末40は、ユーザ情報を設定し、診断に使用する。テストユーザ端末40は、ネットワークを介してサービスを受けるためのユーザ端末が実装するプロトコルについて、テストユーザ端末とネットワーク中継装置だけで認識可能な診断用IPパケットを使用し、送信する。また、テストユーザ端末40は、サービス提供サーバ70との間で送受信されるパケットについて、出力パケット個別に診断用パケットである旨を設定する。
【0038】
次にテストユーザ端末から行なうサービス診断の処理動作について説明する。ユーザ端末20がサービス提供サーバ70−1との接続は可能であるが、、サービス提供サーバ70−2との間ではサービスを受けられないとき、保守者は、テストユーザ端末40に対して該当ユーザの情報を設定する。保守者は、つまりテストユーザ端末40を実際のユーザ端末20と同等に動作する環境に設定する。
【0039】
テストユーザ端末40は、ユーザが使用できなかったサービスについて、診断パケットを作成し、統合ネットワーク中継装置100に送出する。ユーザ外部ネットワーク30および統合ネットワーク中継装置100は、通常のIPパケットとして処理を実行する。統合ネットワーク中継装置100の中で処理されたIPパケットは、メイン制御装置120内で処理が完了せず付加機能制御装置部130−2に転送される。
【0040】
付加機能制御装置部130−2に転送されたパケットは、付加情報部の内部ハードウェアインタフェース制御部132、内部ソフトウエアインタフェース制御部133を介し、付加機能でサポートするプロトコル処理を実行する。この時、付加機能制御装置部130−2内でパケットの廃棄が発生した場合、付加機能制御装置部130−2は、廃棄情報収集部134に通知する。
【0041】
付加機能制御装置部130内でプロトコル処理を実施した後、付加機能制御装置部130は、パケット内容を加工し、メイン処理部120にパケットを通知、宛先サービス提供サーバへのパケット出力要求を行なう。この時、出力要求を行なうのはテスト端末から受信したパケットであり、診断パケットであるので、装置外出力要求時にパケットを廃棄する。この時、パケットの外部装置出力時のパケット廃棄であるので、メイン部の廃棄情報収集部123へ廃棄情報を通知し、パケットを廃棄する。
【0042】
保守者はパケットの診断結果について保守端末50から廃棄情報収集設定部124を介して廃棄情報収集部123から読み出すと共に、付加装置側の廃棄情報収集設定部135を介し廃棄情報収集部134からも廃棄情報を読み出し、表示する。
【0043】
保守者は、読み出したパケット廃棄情報について、特定ユーザのパケットが装置内のどの場所で廃棄されているかを一括で調査する事ができ、要因を特定する事が可能となる。
【実施例3】
【0044】
図4を参照して、他のサービス提供ネットワークを説明する。図4において、サービス提供ネットワーク500Cは、2台のユーザ端末20、テストユーザ端末40、ユーザ外部ネットワーク30、ネットワーク中継装置10A、保守端末50、サービス外部ネットワーク60、2台のサービス提供サーバ70から構成される。ネットワーク中継装置10Aは、ハードウェアインタフェース制御部11、ソフトウエアインタフェース制御部12、廃棄情報収集部13、廃棄情報監視部15から構成されている。
【0045】
ユーザ端末20は、ユーザ外部ネットワーク30を介してネットワーク中継装置10へ接続する。ネットワーク中継装置10の保守者は、ユーザ端末20について保守端末50を使用して加入者登録を行ない、サービス提供ネットワーク500Cのユーザとする。
【0046】
ユーザ端末20−1は、ネットワーク中継装置10を介してサービス外部ネットワーク60に接続されたサービス提供サーバ70−1と接続する。ユーザ端末20−1は、サービス提供サーバ70−1からサービス提供を受ける。ここで、サービス提供は、インターネット接続である。また、ユーザ端末20−1は、ネットワーク中継装置10を介してサービス外部ネットワーク60に接続されたサービス提供サーバ70−2と接続する。ユーザ端末20−1は、サービス提供サーバ70−2からサービス提供を受ける。ここで、サービス提供は、ケーブルTV接続である。
【0047】
ユーザ端末20−2は、ネットワーク中継装置10を介してサービス外部ネットワーク30に接続されたサービス提供サーバ70−2と接続する。ユーザ端末20−2は、サービス提供サーバ70−2からサービス提供を受ける。ここで、サービス提供は、ケーブルTV接続である。
【0048】
ネットワーク中継装置10は、ユーザ端末20からのサービス提供サーバ70への接続要求を受けると、装置内のハードウェアインタフェース制御部11またはソフトウエアインタフェース制御部12によりパケットを分析する。ネットワーク中継装置10は、接続先を決定し、パケットを転送する。ハードウェアインタフェース制御部11またはソフトウエアインタフェース制御部12は、受信したパケット処理の結果、そのパケットを廃棄すると決定したとき、かつ、そのパケットが診断用パケットであった場合、廃棄情報収集部13にパケット送出元ユーザと、廃棄ポイントを通知し、パケットを廃棄する。廃棄情報収集部13は、通知されたパケット廃棄情報をユーザ別、廃棄ポイント別に収集する。収集したパケット廃棄情報について、廃棄情報監視部15は、周期監視する。廃棄情報監視部15は、保守端末50から動作条件を設定され、周期監視するユーザ、監視周期、パケット廃棄通知閾値などを設定する。廃棄情報監視部15は、監視しているユーザの廃棄パケット数が閾値を超えた場合、保守端末50に指定ユーザのパケット廃棄警報を通知する。
【0049】
テストユーザ端末40は、ユーザ端末20と同様ユーザ外部ネットワーク30を介してネットワーク中継装置10と接続する。テストユーザ端末40は、ネットワークを介してサービスを受けるためのユーザ端末が実装するプロトコルについて、テストユーザ端末40とネットワーク中継装置10だけで認識可能な診断用IPパケットを使用し、送信する。また、テストユーザ端末40は、サービス提供サーバ70との間で送受信されるパケットについて、出力パケット個別に診断用パケットである旨を設定する。
また、テストユーザ端末40は、複数のユーザ毎のサービスへの接続情報を設定し、ユーザ毎にサービス提供サーバ70との接続診断を周期的に実施する。
【0050】
次にテストユーザ端末70が行なうサービス周期診断の処理動作について説明する。保守者は、テストユーザ端末40に対して、サービス周期診断を実施するユーザ、ユーザの使用するサービス情報、診断を行なう周期を設定する。テストユーザ端末40は、設定された周期が来ると、ユーザ情報と診断するサービス内容に従い、サービス接続のための信号を診断パケット上に作成し、ネットワーク中継装置10に送出する。ユーザ外部ネットワーク30およびネットワーク中継装置10は、診断パケットであるという定義がIPパケットヘッダのユーザ任意設定エリアに定義されているため、通常のIPパケットとして処理を実行する。ネットワーク中継装置10の中で処理されたIPパケットは、問題が無ければサービス外部ネットワーク60に出力される。しかし、ネットワーク中継装置10は、装置外出力時に診断パケットは出力しない方針に則り出力を停止、パケットを廃棄する。このとき、パケットの廃棄が発生したので、ネットワーク中継装置10は、廃棄情報収集部13へ通知を行なう。廃棄情報収集部13は、廃棄されたパケットの出力元ユーザと、廃棄箇所を記憶しカウントする。
【0051】
テストユーザ端末40からのパケットが、装置内のハードウェアインタフェース制御部11またはソフトウエアインタフェース処理部12内で、外部装置への転送でなく処理内部でパケット廃棄が発生した場合、ネットワーク中継装置10は、同様に廃棄情報収集部13へ通知を行なう。廃棄情報収集部13は、廃棄されたパケットの出力元ユーザと、廃棄箇所を記憶しカウントする。
【0052】
廃棄情報監視部15は、廃棄情報収集部13に対して周期監視を行ない、監視しているユーザの廃棄パケット数が閾値を超えた場合、保守端末に指定ユーザのパケット廃棄警報を通知する。
実施例3に拠れば、ユーザからの申告なしでも、自立的に特定ユーザへのサービス障害を監視することができる。
【符号の説明】
【0053】
10…ネットワーク中継装置、11…ハードウェアインタフェース制御部、12…ソフトウエアインタフェース制御部、13…廃棄情報収集部、14…廃棄情報収集設定部、15…廃棄情報監視部、20…ユーザ端末、30…ユーザ外部ネットワーク、40…テストユーザ端末、50…保守端末、60…サービス外部ネットワーク、70…サービス提供サーバ、100…統合ネットワーク中継装置、120…メイン制御装置、121…外部ハードウェアインタフェース制御部、122…外部ソフトウエアインタフェース制御部、123…廃棄情報収集部、124…廃棄情報収集設定部、130…付加機能制御装置、132…内部ハードウェアインタフェース制御部、133…内部ソフトウエアインタフェース制御部、134…廃棄情報収集部、135…廃棄情報収集設定部、500…サービス提供システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のネットワークを介してユーザ端末と接続され、第2のネットワークを介してサービス提供装置に接続されたネットワーク中継装置と、前記第1のネットワークに接続されたテスト端末とからなるサービス診断システムであって、
前記テスト端末は、前記ユーザ端末に換わって、診断用パケットを前記ネットワーク中継装置に送信し、
前記ネットワーク中継装置は、前記第1のネットワークから受信したパケットを前記第2のネットワークに転送する転送手段と、受信したパケットを廃棄するとき、廃棄するパケットが診断用パケットかどうか判定し、診断用パケットであればユーザ情報と廃棄箇所を廃棄情報収集部に通知する第1の通知手段と、受信したパケットを前記第2のネットワークに転送するとき、転送するパケットが診断用パケットか判定し、診断用パケットであれば、この診断用パケットを廃棄して、ユーザ情報と廃棄箇所を前記廃棄情報収集部に通知する第2の通知手段と、前記ユーザ情報と前記廃棄箇所とカウント数とを収集する前記廃棄情報収集部とからなることを特徴とするサービス診断システム。
【請求項2】
第1のネットワークを介してユーザ端末と、前記ユーザ端末に換わって、診断用パケットを送信するテスト端末と接続され、第2のネットワークを介してサービス提供装置に接続されたネットワーク中継装置において、
前記第1のネットワークから受信したパケットを前記第2のネットワークに転送する転送手段と、
受信したパケットを廃棄するとき、廃棄するパケットが診断用パケットかどうか判定し、診断用パケットであればユーザ情報と廃棄箇所を廃棄情報収集部に通知する第1の通知手段と、
受信したパケットを前記第2のネットワークに転送するとき、転送するパケットが診断用パケットか判定し、診断用パケットであれば、この診断用パケットを廃棄して、ユーザ情報と廃棄箇所を前記廃棄情報収集部に通知する第2の通知手段と、
前記ユーザ情報と前記廃棄箇所とカウント数とを収集する前記廃棄情報収集部とからなることを特徴とするネットワーク中継装置。
【請求項3】
請求項2に記載のネットワーク中継装置であって、
さらに、前記廃棄情報収集部の収集結果を定期的に監視する廃棄情報監視部と、保守端末とを備え、
前記廃棄情報監視部は、前記収集結果の前記カウント数が予め定めた閾値を超えたとき、前記保守端末に、パケット廃棄警報を通知することを特徴とするネットワーク中継装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−151470(P2011−151470A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9130(P2010−9130)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(504411166)アラクサラネットワークス株式会社 (315)
【Fターム(参考)】