説明

サービス選択制御装置及びサービス選択制御システム

【課題】既存のサービスを提供するのに必要な処理の制御を変更したり、新たなセッションを増やしたりすることなく、サービスを選択することのできるサービス選択制御装置及びサービス選択制御システムを提供する。
【解決手段】SCIM26は、提供すべきサービスを特定した上で、そのサービスを提供するのに必要な処理の制御を行うべきASを決定する。そして、AS24を選択する際に、SCIM26が、S−CSCF23に対して、サービス起動信号として3XXレスポンスを返信する。続いて、S−CSCF23が、3XXレスポンスを受けとるとAS24を選択する。つまり、SCIM26は、AS24を直接選択せずに、S−CSCF23を介して間接的選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービス選択制御装置及びサービス選択制御システムに関し、特に携帯電話向けの各種のサービスを提供するのに必要な処理を制御するサービス制御装置から、提供すべきサービスを選択するサービス選択制御装置及びサービス選択制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
身近に使われている携帯電話向けのサービスには、留守番電話や転送電話のサービス等の従来から馴染みのあるサービスがある。近年では、これらのサービスの他にも、通話内容をそのまま翻訳してくれるサービスや、通話内容をメモ代わりに録音してくれるサービスといったような様々な便利なサービスが提供されようとしている。
【0003】
このような各種のサービスを提供するのにあたっては、事業者側で、ユーザーのサービスの契約状況やユーザーの現在のサービス活性状態等に応じて、サービスを提供するか否かを判断する等の制御が必要になる。ここでいう、ユーザーのサービスの契約状況とは、例えば留守番電話のサービスを契約しているか否かといったことである。また、ユーザーの現在のサービス活性状態とは、例えば留守番電話のサービスが利用開始状態であるか、または利用停止状態であるかといったことである。IMS(IP Multimedia Subsystems)の網におけるサービスを選択する上での制御に関することについては、例えば、下記に示す非特許文献1,2に記載されている。
【0004】
IMS網では、上記のサービスを提供するSIP(Session Intiation Protocol)のアプリケーションサーバー(以下、「AS」と省略する。)が、サービスを提供するのに必要な処理の制御を行っている。そして、サービスを選択する際には、SCIM(Service Capability Interaction Manager)が、ユーザー毎のサービスの契約状態や現在のサービス活性状態等を確認してから、対象のASのサービスを特定した上で、ユーザーに提供すべきサービスが選択されるように制御している。
【0005】
また、ASが複数存在する場合においては、サービスを選択する際に、Service Brokerが、ユーザー毎にサービスを適切な順序で起動したり、ユーザーの現在のサービス活性状態に応じてAS同士で動的に連携を行ったりするように制御している。
しかしながら、現状のIMS網では、サービスを提供するのに必要な処理の制御を行う全てのASのサービスが、SCIMによって選択されるように構築されていない。例えば、留守番電話や転送電話のサービス等といった既存のサービスを提供するのに必要な処理を制御するASが、自らのサービスを提供するのに必要な処理の制御に加えて、別のサービスを選択する上での制御を行うことがある。このため、既存のサービスのASの制御には、別のサービスを追加する度に別のサービスを選択する上での制御が追加される。各サービスのアプリケーションの汎用性を一層高めるためにも、理想としては、SCIMによってサービスを選択する制御を一元化して行えることが望ましい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP(Third Generation Partnership Project) TS23.002
【非特許文献2】3GPP TR23.810
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、サービスの中には、新たに提供されようとしている新規のサービスだけではなく、既に提供されている既存のサービスも数多くある。
例えば、図13に示すように、網100には、既存のサービスを提供するのに必要な処理を制御するサービス制御装置であるAS101と、その既存のサービスに続いて新たに提供されようとしている新規のサービスを提供するのに必要な処理を制御するサービス制御装置であるAS102とがある。そして、S−CSCF(Serving−Call/Session Control Function)104等の制御装置が、図13中の矢印M11で示すような流れでINVITEリクエストをAS101に対して出力する。これにより、AS101が、S−CSCF104によって直接選択される。
【0008】
また、図14に示すように、S−CSCF104が、図13中の矢印M12で示すような流れでINVITEリクエストをSCIM103に対して出力する。さらに、SCIM103が、図13中の矢印M13で示すような流れでINVITEリクエストをAS101に対して出力する。これにより、AS101が、SCIM103によって直接選択される。
【0009】
このため、全てのASのサービスをSCIMによって直接選択させるように変更する場合には、既存のASの処理を変更しなければならない。また、全てのサービスのASをSCIMによって直接選択させるように変更する場合には、SCIMで管理されるセッションが増えていくのと同時に、SCIMの処理負担が増える。このことから、SCIMの処理能力を低下させることが懸念される。
そこで、本発明は、上記の課題に鑑み、既存のサービスを提供するのに必要な処理の制御を変更したり、新たなセッションを増やしたりすることなく、サービスを選択することのできるサービス選択制御装置及びサービス選択制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるサービス選択制御装置及びサービス選択制御システムは、上記の目的を達成するために、次のように構成される。
本発明による第1のサービス選択制御装置は、少なくともユーザー毎のサービスの契約状況を管理する契約状況管理装置に対して、サービスの契約状況を問い合わせるサービス契約状況問合部と、前記サービス契約状況問合部による問い合わせによって得られたサービスの契約状況に基づいてユーザー毎に提供すべきサービスを特定し、サービスの提供に必要な処理を制御するサービス制御装置からサービスを選択するサービス選択部と、を備え、前記サービス選択部は、前記サービス制御装置と自制御装置との間の中間制御装置に対して、サービスを間接的に選択するために用いるサービス起動信号を出力することを特徴とする。
【0011】
上記の第1のサービス選択制御装置によれば、サービス契約状況問合部が、最初に、ユーザー毎のサービスの契約状態や現在のサービス活性状態等を判断する。その上で、サービス選択部が、提供すべきサービスを特定した上で、そのサービスを選択する。そして、サービス選択部が、中間制御装置に対して、サービス起動信号を出力する。具体的には、3XXレスポンスのリダイレクションを返す。そして、サービス制御装置を間接的に選択する。
これにより、既存のサービス制御装置の処理を変更したり、サービス選択制御装置で管理されるセッションをなるべく増やしたりすることなく、サービス選択制御装置はサービスを選択することが可能となる。
【0012】
本発明による第2のサービス選択制御装置は、前記サービス選択部により選択されたサービスの提供に必要な処理を、複数の所定の処理の中から選択して行うように制御するために用いる制御指示情報を生成する制御指示情報生成部を備え、前記選択するサービス選択部は、前記制御指示情報生成部により生成された制御指示情報が付加された前記サービス起動信号を出力することを特徴とする。
上記の第2のサービス選択制御装置によれば、制御指示情報生成部により生成された制御指示情報を用いることで、例えば、制御指示情報が付加されたサービス起動信号を受けとったサービス制御装置は、サービスを提供するのに必要な処理を、条件に応じて所定の処理に変更して行うことが可能となる。
【0013】
本発明による第3のサービス選択制御装置は、前記制御指示情報生成部は、前記サービス制御装置のサービスを順番に複数選択していくように処理を制御するための制御指示情報を生成することを特徴とする。
上記の第3のサービス選択制御装置によれば、制御指示情報生成部により生成された制御指示情報を用いたことで、例えば、制御指示情報が付加されたサービス起動信号を受けとったサービス制御装置は、サービスを提供するのに必要な処理を、条件に応じて所定の処理に変更して行う。さらに、そのサービス制御装置は、別のサービスを提供するのに必要な処理を制御するサービス制御装置を選択するための処理を行うことが可能となる。
【0014】
本発明による第4のサービス選択制御装置は、前記サービス選択部は、前記サービス契約状況問合部による問い合わせにより得られたサービスの種類に応じて、前記サービス制御部に対して前記サービス起動信号を出力することで、サービスを直接選択することを特徴とする。
上記の第4のサービス選択制御装置によれば、例えば、新規のサービスの提供に必要な処理を制御するサービス制御装置のように、自制御装置から直接選択されるサービス制御装置にあっては、そのサービス制御装置に対してサービス起動信号を直接出力する。これにより、サービス選択制御装置は、サービス制御装置で提供されるサービスを選択することが可能となる。
【0015】
本発明によるサービス選択制御システムは、サービスの提供に必要な処理を制御するサービス制御部と、少なくとも前記サービス制御部により処理を制御されるサービスのユーザー毎の契約状況を管理する契約状況管理部と、前記契約状況管理部に対してサービスの契約状況を問い合わせ、当該問い合わせによって得られたサービスの契約状況に基づいてユーザー毎に提供すべきサービスを特定し、当該特定されたサービスの提供に必要な処理を制御するサービス制御部からサービスを選択するサービス選択制御部と、を備え、前記選択制御部は、前記サービス制御部と前記サービス選択制御部との間の中間制御部に対して、サービスを間接的に選択するために用いるサービス起動信号を出力することを特徴とする。
【0016】
上記のサービス選択制御システムによれば、自制御システムを構成するサービス制御部や中間制御部等は、サービス選択制御部から出力されたサービス起動信号に従って、サービスを選択するための処理の制御を行う。これにより、サービス選択制御部にあっては、既存のサービス制御部の処理を変更したり、サービス選択制御部で管理されるセッションを新たに増やしたりすることなく、サービスを選択することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、サービス選択制御装置は、中間制御装置に対して、サービス起動信号を出力することにより、サービス制御装置を間接的に選択する。よって、サービス選択制御装置にあっては、サービス制御装置の既存のサービスを提供するのに必要な処理を変更したり、サービス選択制御装置で管理されるセッションを新たに増やしたりすることなく、サービスを選択することができる。また、別のサービスを追加する度に、既存のサービス制御装置の制御に別のサービスを選択する上で必要になる制御を追加する必要がない。
【0018】
このように、サービス選択制御装置が、サービスを選択するための処理の制御を行うことで、既存のサービスと新規のサービスとの管理・制御を一元化することができる。
また、サービス選択制御システムでは、サービス制御装置で提供されるサービスのアプリケーションの汎用性を一層高めることができる。新規のサービスの提供を始めようとする際に、従来よりも、サービスの導入に必要な期間を短縮すると共に、より安価にサービスを提供することができる。さらに、サービス選択制御システムでは、サービス選択制御システムを用いた網のトラヒック量を抑えることができると共に、網の既設の設備を最大限に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るSCIM26を用いて構成された網10の概略構成を示すブロック図である。
【図2】SCIM26の機能構成を示すブロック図である。
【図3】SCIM26におけるサービスを選択する際の制御の処理の流れを示す模式図である。
【図4】SCIM26が、S−CSCF23を介してASを選択する場合の網10の各制御装置の第1の処理の流れを示すシーケンス図である。
【図5】SCIM26が、S−CSCF23を介してASを選択する場合の網10の各制御装置の第2の処理の流れを示すシーケンス図である。
【図6】SCIM26が、制御指示情報を用いてASを選択する場合の網10の各制御装置の第3の処理の流れを示す第1のシーケンス図である。
【図7】SCIM26が、制御指示情報を用いてASを選択する場合の網10の各制御装置の第3の処理の流れを示す第2のシーケンス図である。
【図8】発信から応答までの間の発信側のユーザーに提供されるサービスと、着信側の端末のユーザーに提供されるサービスを示す模式図である。
【図9】第1の具体的なサービスを提供する際の発信側の網10と着信側の網50の各制御装置の処理の流れを示す模式図である。
【図10】第2の具体的なサービスを提供する際の発信側の網10と着信側の網50の各制御装置の処理の流れを示す模式図である。
【図11】第3の具体的なサービスを提供する際の発信側の網10と着信側の網50の各制御装置の処理の流れを示す模式図である。
【図12】発信側の網10と着信側の網50とにあるSIPセッションを示す模式図である。
【図13】背景技術におけるAS101を選択する場合の網100の各制御装置の第1の処理の流れを示す模式図である。
【図14】背景技術におけるAS101を選択する場合の網100の各制御装置の第2の処理の流れを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら、本発明のサービス選択制御装置を用いて構成された網の好適な実施形態を詳細に説明する。
(SCIM26を用いて構成された網10の構成)
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係るSCIM26を用いて構成された網10の概略構成を説明する。
【0021】
図1に示す網10は、IMS網の一部であり、P−CSCF(Proxy−Call/Session Control Function)21と、HSS(Home Subscriber Server)22と、S−CSCF23と、AS24,25−1,25−2と、SCIM26と、図では記載を省略している各制御装置とを備えて構成される。また、端末31は、例えばスマートフォン等の携帯端末である。なお、網10の概略構成を説明しているため、図1では説明の上で必要な制御装置だけを図示している。実際には、端末31とP−CSCF21との間には、図示しない無線基地局装置等が設けられており、それらの装置を介して端末31が、網10に接続されることになる。
【0022】
P−CSCF21は、網10に接続される端末31が接続される制御装置であり、SIPサーバとしてSIPメッセージの処理を行う。
HSS22は、ユーザーが契約しているサービスの内容に関する情報(ユーザープロファィル情報)等を管理する契約状況管理装置である。
S−CSCF23は、P−CSCF21と同様にSIPサーバとしてSIPメッセージの処理を行う。また、S−CSCF23は、HSS22からユーザープロファイル情報を取得する。その上で、S−CSCF23は、例えばユーザーのサービスの契約状態等を確認したり、ユーザープロファイル情報のiFC(Initial filter criteria)を参照してSIPメッセージを各SIP ASを経由するように変更したりする。
【0023】
複数のAS24,25−1,25−2は、携帯電話の各種のサービスを提供するのに必要な処理を制御するサービス制御装置である。
AS24は、既存のサービスを提供するのに必要な処理を制御するサービス制御装置である。既存のサービスとは、例えば、留守番電話や転送電話のサービスである。
AS25−1,25−2は、上記の既存のサービスに続いて新たに提供されようとしている新規のサービスを提供するのに必要な処理を制御するサービス制御装置である。新規のサービスとは、例えば、通話内容をそのまま翻訳してくれるサービスや、通話内容をメモ代わりに録音してくれるサービスである。
【0024】
なお、ここでは、既存のサービスを提供するのに必要な処理を制御するASは1つであり、また新規のサービスを提供するのに必要な処理を制御するASは2つであるが、ASの数はこれらに限定されるものでない。
SCIM26は、ユーザー毎のサービスの契約状況や現在のサービス活性状態をHSS22に問い合わせて、サービスを提供するか否かを判断する。その上で、SCIM26は、各ASのサービスを選択するための処理の制御を行う。
【0025】
なお、上記のAS24,25−1,25−2及びSCIM26の各制御装置から、SIPとしてSIP AS27を構成している。また、S−CSCF23やP−CSCF21等は、AS24,25−1,25−2とSCIM26との間の中間制御装置の一つであり、AS24,25−1,25−2とSCIM26とHSS22との制御装置の処理部からサービス選択制御システムを構成している。
【0026】
(SCIM26の機能構成)
続いて、図2を参照して、上記で説明した網10に用いられているSCIM26の機能構成を説明する。
図2に示すSCIM26は、サービス契約状況問合部26aと、サービス選択部26bと、制御指示情報生成部26cと、制御信号送受部26dと、サービス情報保持部26eとを備えて構成される。
サービス契約状況問合部26aは、HSS22に対して、ユーザー毎のサービスの契約状況や現在のサービス活性状態等を問い合わせる。
【0027】
サービス選択部26bは、サービス契約状況問合部26aによる問い合わせによって得られたサービスの契約状況や現在のサービス活性状態等に基づいて、AS24,25−1,25−2によって制御されたサービスを選択する。サービス選択部26bは、S−CSCF23に対して、サービスを間接的に選択するために用いるサービス起動信号を出力する。なお、このサービス起動信号には、後述するように、サービス選択部26bが、制御指示情報生成部26cによって生成される制御指示情報を付加することもできる。
【0028】
制御指示情報生成部26cは、ASに対して、例えば条件に応じて処理の内容を変更するように指示したり、ASのサービスを選択した上でさらに別のASのサービスをさらに選択したりする指示等を出す場合(図6及び図7の模式図を用いて後述する処理を行う場合)に必須な要部であって、ASに対して後述するような制御指示情報を生成する。この制御指示情報とは、例えば状態フラグや処理結果フラグ等のサービスの提供に必要な処理を制御するために用いる付加情報であり、上記のサービス起動信号の拡張領域等に付加される。
【0029】
制御信号送受部26dは、AS24,25−1,25−2によって制御されるサービスを選択したり、HSS22に対してユーザー毎のサービスの契約状況や現在のサービス活性状態等を問い合わせたりするために必要な各制御信号を、各ASとの間で送受する。
サービス情報保持部26eは、サービス選択部26bによって選択されたサービスを特定するための情報をサービス情報として保持する。サービス情報保持部26eによって保持されているサービス情報は、SCIM26の各処理部が処理を行う上で参照することができるようになっている。
【0030】
(SCIM26におけるサービスを選択する際の制御の処理の流れ)
続いて、図3を参照して、SCIM26におけるサービスを選択する際の制御の処理の流れを説明する。
以下の説明でユーザーに提供するサービスは、その処理がAS24で制御される既存のサービスである。既存のサービスとは、上記で説明したように、留守番電話や転送電話のサービスである。
【0031】
まず、図3に示すように、S−CSCF23は、iFCを参照して、SCIM26を接続することを決定する。S−CSCF23は、図3中の矢印M1で示すような流れで、SCIM26に対して、INVITEリクエストを出力する。背景技術で説明したように、従来の網では、S−CSCF23が、既存のサービスを提供するのに必要な処理を制御するAS24を直接選択していた。
【0032】
しかしながら、SCIMが、ユーザー毎のサービスの契約状態や現在のサービス活性状態等を確認してから、対象のASのサービスを特定した上で、ユーザーに提供すべきサービスを選択するように制御を行っている。このため、各ASの前段にSCIM24が設けられて、そのSCIM24がサービスを選択する制御を行うというSCIMの本来の機能を残しつつ、SCIM24が各ASを一元的に選択できることが好ましい。そこで、網10では、S−CSCF23が、AS24を直接選択せずに、以下に説明するようにしてAS24を選択する。
【0033】
まず、SCIM26は、ユーザー毎のサービスの契約状態や現在のサービス活性状態を確認した上で、ユーザーに提供すべきサービスを特定する。続いて、SCIM26は、そのサービスを提供するのに必要な処理の制御を行うべきASが、AS24であることを決定する。そして、SCIM26は、矢印M2で示すような流れで、S−CSCF23に対して、AS24を選択させるために、サービス起動信号として3XXレスポンスを返信する。
【0034】
S−CSCF23は、受信した3XXレスポンスに従って、AS24を選択することを決定する。そして、S−CSCF23は、矢印M3で示すような流れで、AS24に対して、サービスを提供するのに必要な処理の制御を行うように、INVITEリクエストを出力する。AS24は、その応答として、矢印M4で示すような流れで、S−CSCF23に対して200(OK)レスポンス等を出力する。その後、AS24は、サービスを提供するのに必要な処理の制御を開始する。
【0035】
以上のように、AS24を選択する際に、SCIM26が、S−CSCF23に対して、AS24を選択するようにサービス起動信号として3XXレスポンスを出力する。続いて、S−CSCF23が、AS24を選択する。従って、SCIM26が、AS24を直接選択することはない。このように、網10では、上記で説明したSCIM26の本来の機能を残しつつ、SCIM26が、サービスを選択する制御を一元化して行うことができる。
【0036】
(SCIM26がAS24を選択する場合の網10の各制御装置の処理の流れ)
続いて、図4〜図6を参照して、SCIM26がAS24を選択する場合の網10の各制御装置の主な処理の流れを説明する。
(第1の処理例)
まず、図4を参照して、SCIM26が、S−CSCF23を介してAS24を選択する場合の網10の各制御装置の処理の流れから説明していく。以下の説明でも、ユーザーに提供されるサービスは、その処理がAS24で制御される既存のサービスである。
【0037】
図4に示すように、まず、S−CSCF23は、図4中の矢印M101で示すような流れで、P−CSCF21からリクエストを受け取る。そして、S−CSCF23は、iFCを参照して、SCIM26を接続することを決定する(ステップS101)。S−CSCF23は、矢印M102で示すような流れで、SCIM26に対して、INVITEリクエストを出力する。
【0038】
SCIM26は、矢印M103で示すような流れで、HSS22からユーザープロファイル情報を取得する。そして、SCIM26は、ユーザー毎のサービスの契約状態や現在のサービス活性状態等を確認する(ステップS102)。ここで、SCIM26は、矢印M104で示すような流れで、HSS22と、例えばAS25−1と、INVITE,MESSAGE,INFO等のSIPメソッドのリクエスト/レスポンスを送受しても良い。これにより、例えば、SMS(Short Message Service)によるメッセージを送付する等のセッションと独立しているサービスを起動することができる。
【0039】
さらに、SCIM26は、ユーザー毎のサービスの契約状態や現在のサービス活性状態等に基づいて、ユーザーに提供されるサービスを特定する。さらに、SCIM26は、そのサービスを提供するのに必要な処理の制御を行うASが、AS24であることを決定する(ステップS103)。SCIM26は、矢印M105で示すような流れで、S−CSCF23がAS24を選択するように、3XXレスポンスを返信する。
【0040】
S−CSCF23は、3XXレスポンスに従って、AS24を選択することを決定する(ステップS104)。S−CSCF23は、矢印M106で示すような流れで、AS24に対して、サービスを提供するのに必要な処理の制御を開始するように、INVITEリクエストを出力する。なお、サービスを提供するのに必要な処理の制御を行うASがAS24であることを示す情報を3XXレスポンスに予め設定しておいても良いが、サービスを提供するのに必要な処理の制御を行うASがAS24であることをS−CSCF23で一意に特定することができるのであれば、3XXレスポンスに情報を設定しておかなくても良い。
【0041】
AS24は、INVITEリクエストを受けとると、矢印M107で示すような流れで、S−CSCF23に対して、200(OK)レスポンスを返信する。続いて、AS24は、サービスを提供するのに必要な処理の制御を開始する(ステップS105)。
【0042】
(第2の処理例)
続いて、図5を参照して、SCIM26が、S−CSCF23を介してAS25−1を選択する場合の網10の各制御装置の処理の流れを説明していく。ここでは、ユーザーに提供されるサービスは、AS25−1で制御される新規のサービスとして説明する。
図5に示すように、まず、SCIM26に最初の信号が入力されて、ステップS201〜S203の処理は、図4に示したステップS101〜S103の処理の流れと実質同じである。また、その処理を行うために、図5中の矢印M201〜M204で示すような流れで送受されるリクエスト/レスポンスも、図4中の矢印M101〜M104で示したような流れで送受されるリクエスト/レスポンスと同じである。
【0043】
但し、図4に示したステップS103の処理では、S−CSCF23は、3XXレスポンスに従って、AS24を選択していた。これに対して第2の処理例では、AS25−1は、新規のサービスを提供するのに必要な処理の制御を行うASである。このため、AS25−1は、SCIM26によって直接選択される。
従って、まずステップS203の処理で、SCIM26は、サービスを提供するのに必要な処理の制御を行うASが、AS25−1であることを決定する(ステップS203)。続いて、SCIM26は、矢印M205で示すような流れで、AS25−1に対して、サービスを提供するのに必要な処理の制御を開始するように、INVITEリクエストを出力する。
【0044】
AS25−1は、INVITEリクエストを受けとると、矢印M206で示すような流れで、SCIM26に対して、200(OK)レスポンスを返信する。続いて、AS25−1は、サービスを提供するのに必要な処理の制御を開始する(ステップS204)。
なお、ここでは、SCIM26によって選択されるASをAS25−1として説明したが、勿論、SCIM26によって選択されるASはAS25−2であっても良い。AS25−2を選択する場合にあっても、AS25−1と同様にSCIM26によって直接選択されるため、上記で説明した処理の流れ、その処理で送受されるリクエスト/レスポンスも実質同じである。
【0045】
(第3の処理例)
続いて、図6及び図7を参照して、SCIM26が、制御指示情報生成部26cで生成された制御指示情報を用いてAS24,25−1を選択する場合の網10の各制御装置の処理の流れを説明していく。ここでは、ユーザーに提供されるサービスは、その処理がAS24で制御される既存のサービスと、AS25−1で制御される新規のサービスとして説明する。
【0046】
図6に示すように、まず、SCIM26に最初の信号が入力されて、ステップS301〜S303の処理は、図4に示したステップS101〜S103の処理の流れと実質同じである。また、その処理を行うために、図6中の矢印M301〜M304で示すような流れで送受されるリクエスト/レスポンスも、図4中の矢印M101〜M104で示したような流れで送受されるリクエスト/レスポンスと同じである。
【0047】
但し、図4に示したステップS103の処理では、S−CSCF23が、3XXレスポンスに従って、AS24を選択していた。また、図5に示したステップS203の処理では、SCIM26が、AS25−1を直接選択していた。これに対して第3の処理例では、SCIM26が、AS24を選択するのに続いて、別のASであるAS25−1を選択することを決定する(ステップS303)。そして、SCIM26は、矢印M305で示すような流れで、AS24とAS25−1とを連続して選択するために必要な制御指示情報を3XXレスポンスに付加する。そして、SCIM26は、S−CSCF23に対してその3XXレスポンスを返信する。
【0048】
S−CSCF23は、iFCを参照して次のルーチング先をする際に、3XXレスポンスに付加されている制御指示情報を取り出し、その制御指示情報で設定されている条件等に合わせて、次のルーチング先を決定する。このようにして、S−CSCF23は、AS24を選択することを決定する(ステップS304)。
【0049】
なお、SCIM26によってAS24が選択された後、さらにSCIM26はAS25−1を選択する。この際、SCIM26によってAS24が選択された後、SCIM26に対してINVITEリクエストを出力するように要求すれば、SCIM26がAS25−1を選択するようになっている。このため、S−CSCF23は、矢印M306で示すような流れで、AS24に対してINVITEリクエストを出力する際に、INVITEリクエストに対して、SCIM26を選択することを示す制御指示情報を付加する。そして、S−CSCF23は、そのINVITEリクエストを出力する。
【0050】
以上説明したように、SCIM26を選択するための制御指示情報がリクエストに付加されているため、AS24は別のASであるAS25−1の存在を意識しないようになっている。
AS24は、S−CSCF23からINVITEリクエストを受けとると、サービスを提供するのに必要な処理の制御を開始する(ステップS305)。
【0051】
なお、上記で説明したように、制御指示情報に付加される情報は、AS24とAS25−1とを連続して選択するために必要となる制御指示に限定されない。例えば、サービスを提供するのに必要な処理を、予め決められている複数の処理の中から条件に応じて選択して、その選択した処理に変更するための状態フラグ等を、制御指示情報に付加することもできる。このため、制御指示情報に状態フラグ等が付加されていれば、AS24は、ステップS305で、状態フラグ等に応じて決まる処理が行われるように制御する。
【0052】
さらに、図7に示すように、AS24は、矢印M307で示すような流れで、INVITEリクエストを、S−CSCF23に対して出力する。このINVITEリクエストには、SCIM26を選択するための制御指示情報が付加されている。
S−CSCF23は、そのINVITEリクエストに付加されている制御指示情報に従って、SCIM26に接続することを決定する(ステップS306)。そして、S−CSCF23は、矢印M308で示すような流れで、SCIM26に対して、制御指示情報が付加されたINVITEリクエストを出力する。
【0053】
SCIM26は、INVITEリクエストを受けとり、後続の詳細な処理として、AS25−1を選択することを決定する(ステップS307)。そして、SCIM26は、矢印M309で示すような流れで、AS25−1に対してINVITEリクエストを出力する。
AS25−1は、SCIM26からINVITEリクエストを受けとると、サービスを提供するのに必要な処理の制御を開始する(ステップS308)。
【0054】
ここでは、SCIM26が、AS24とAS25−1とを順番に選択するように制御するものとして説明したが、必ずしもAS24とAS25−1とを連続して選択する必要はない。例えば、SCIM26が、AS24を選択して、状態フラグ等に応じて決まる処理が行われるように制御したら、ステップS306で後続の処理を行わなずに終了するようにすることも勿論可能である。また、SCIM26が、AS24とAS25−2とを順番に選択することも可能である。
【0055】
ここまで、SCIM26を用いた網10で行われる処理の制御について説明した。このSCIM26に相当するサービス選択制御装置は、発信側の網と発信側の網とにそれぞれ設けられている。そして、SCIM26によって提供されるサービスも、それぞれ異なっていても良い。そこで、ここからは、発信側の網の各制御装置と着信側の網の各制御装置の処理の流れを説明する。
【0056】
(発信/着信側の網で提供されるサービス)
まず、図8を説明して、発信から応答までの間の発信側のユーザーに提供されるサービスと、着信側の端末のユーザーに提供されるサービスとを説明する。
図8に示すように、発信側の端末31から発信して、着信側の端末71で応答するまでの間の各処理時に開始されたり、準備状態になったりするサービスには、発信側の網の処理の中で提供されるサービスと、着信側の網の処理との中で提供されるサービスとに分かれている。そして、その具体的なサービス例として、図8に示すようなサービスがある。なお、図8に示した各処理ステップに合わせて、実線で示されているサービスが既存のサービスであり、また点線で示されているサービスが新規のサービスである。既存のサービスについては、そのサービスを提供するのに必要な処理が、AS24において制御される。また、新規のサービスについては、それらのサービスを提供するのに必要な処理が、AS25−1,25−2において制御される。
【0057】
図8に示すように、ステップS401の発信側の端末31から発信の処理を開始した時に発信側の網で開始されるサービスには、既存のサービスとして、通話料の課金に関するサービスや発信者の電話番号を通知するサービス等がある。
その後で、ステップS402の着信側の網への着信の接続の処理を開始する前の準備段階で発信側の網で開始されるサービスには、新規のサービスとして、例えば通話内容を翻訳するサービス等がある。
【0058】
そして、ステップS403の着信側の端末71への着信の処理を開始する時に着信側の網で開始されるサービスには、既存のサービスとして、例えば発信者に公共等の場所にいることを知らせるサービス等がある。
次に、ステップS404の着信側の端末71を呼び出す処理を開始する前の準備段階で着信側の網で開始されるサービスには、既存のサービスとして、例えば留守番電話や転送電話のサービス等がある。
次に、ステップS405の着信側の端末71を呼び出す処理と並行して着信側の網で開始されるサービスには、既存のサービスと新規のサービスとがある。既存のサービスとしては、例えば呼出音を変えるサービス等がある。また、新規のサービスとしては、例えば新機能が追加された呼出音を変えるサービス等がある。
【0059】
次に、ステップS406の着信側の端末71の応答時処理での応答結果に基づいて行われる着信側の網で開始されるサービスには、既存のサービスと新規のサービスとがある。既存のサービスとしては、例えば圏外時の着信の有無を知らせるサービス等がある。また、新規のサービスとしては、例えば通話内容を録音するサービス等がある。
最後に、ステップS407の着信側の端末71の応答時処理での応答結果後に発信側の網で開始されるサービスには、新規のサービスとして、例えば相手の現在の状況等を知らせるためのプレゼンスのサービス等がある。
【0060】
上記の各タイミングで開始されるサービスの中には、例えば、複数のサービスを組み合わせて提供することが可能なものがある。例えば、ステップS401の処理時に既存のサービスとして、通話料の課金に関するサービスや発信者の電話番号を通知するサービス等があり、その直後のステップS402の処理時に新規のサービスとして、通話内容を翻訳するサービス等がある。これらの2つのサービスは、ステップS401,S402の処理時に組み合わせて提供することが可能であるサービスである。このため、SCIMは、既存のサービスと新規のサービスとを組み合わせて提供することができるように、サービスを選択する処理を制御する。
【0061】
また、ステップS405の処理時に既存のサービスとして、呼出音を変えるサービス等があり、新規のサービスとして、新機能が追加された呼出音を変えるサービス等がある。これらの2つのサービスは、サービスの内容が類似するサービスである。このため、SCIMは、ユーザー毎のサービスの契約状態や現在のサービス活性状態等に基づいて、既存のサービスと新規のサービスとのうちのいずれかのサービスのみを提供することができるように、サービスを選択する処理を制御する。
【0062】
(具体的なサービスを提供する際の発信/着信側の網の各制御装置の処理の流れ)
続いて、図9〜図11を参照して、具体的な幾つかのサービスを挙げて、そのサービスを提供する際の発信側の網10と着信側の網50の各制御装置の処理の流れを説明する。図9〜図11の模式図では、図1に示した網10をそのまま発信側の網とした上で、この網10と同じ構成を有する網を着信側の網50としている。よって、着信側の網50を構成する各制御装置は着信側の網10を構成する各制御装置に対応しており、例えば着信側の網10のSCIM26は着信側の網50のSCIM66に対応している。なお、処理の流れを説明するのにあたって、説明に関連する主要な信号のみを図中に各矢印で示している。
【0063】
(第1の処理例)
図9の模式図では、下記のサービスを提供する際の発信側の網10と着信側の網50の各制御装置の処理の流れを示している。
まず、発信側の網10では、SCIM26が、既存のサービスである通話料の課金に関するサービスを提供するのに必要な処理の制御を行うAS24を選択する。それに続いて、SCIM26が、新規のサービスである通話内容を録音するサービスを提供するのに必要な処理の制御を行うAS25−2を選択する。
【0064】
さらに、着信側の網50では、SCIM66が、既存のサービスである転送電話のサービスを提供するのに必要な処理の制御を行うAS64を選択する。なお、着信側の網50では、SCIM66は、既存のサービスのみを選択する。
つまり、発信側の網10で通話料の課金に関するサービスを提供するのに必要な処理の制御を開始したら、着信側の網50で着信呼を全て転送電話のサービスに転送した上で、さらに発信側の網10で転送電話のサービスに接続後の通話内容を録音する。
【0065】
図9の模式図に示すように、発信側の網10では、図9中の矢印501で示すよう流れで、発信側の端末31から発信の処理が行われる。S−CSCF23は、iFCを参照して、SCIM26を接続することを決定する。S−CSCF23は、矢印502で示すような流れで、SCIM26に対して、INVITEリクエストを出力する。
【0066】
SCIM26は、図9では図示しないHSS22からユーザープロファイル情報を取得して、ユーザー毎のサービスの契約状態や現在のサービス活性状態等を確認する。確認後、SCIM26は、ユーザーに提供されるサービスが、通話料の課金に関するサービスと通話内容を録音するサービスとであることを特定する。また、SCIM26は、それらのサービスを提供するのに必要な処理の制御を行うASが、AS24とAS25−1とであることを決定する。SCIM26は、AS24を選択するために、矢印503で示すような流れで、S−CSCF23に対して3XXレスポンスを返信する。
【0067】
S−CSCF23は、S−CSCF23から3XXレスポンスを受けとると、まずAS24を選択することを決定する。S−CSCF23は、AS24に対してサービスを提供するのに必要な処理の制御を開始させために、矢印504で示すような流れでINVITEリクエストを出力する。
AS24は、S−CSCF23からのINVITEリクエストを受けとると、サービスを提供するのに必要な処理の制御を開始する。
【0068】
さらに、AS24は、INVITEリクエストに含まれている状態フラグ等の制御指示情報から、AS25−1をSCIM26によって選択させることを判断する。このため、AS24は、矢印505で示すような流れで、AS24に続いてAS25−1を選択するための制御指示情報をINVITEリクエストに付加して出力する。さらに、S−CSCF23は、SCIM26に対して、制御指示情報が付加されたINVITEリクエストを出力する。
【0069】
SCIM26は、制御指示情報に含まれる状態フラグ等に基づいて、詳細な後続の処理を決定する。SCIM26は、AS25−2に対して通話内容を録音するサービスを提供するのに必要な処理の制御を開始させるために、矢印506で示すような流れでINVITEリクエストを出力する。
AS25−2は、SCIM26からINVITEリクエストを受けとると、サービスを提供するのに必要な処理の制御を開始する。さらに、AS25−2は、発信側の網10のS−CSCF23を介して、着信側の網50のS−CSCF63にルーチングするための処理を行う。このため、AS25−1は、矢印507で示すような流れで、SCIM26、S−CSCF23を介してS−CSCF63に対し、INVITEリクエストを出力する。
【0070】
また、ここから説明する着信側の網50の処理の流れにおいても、上記で説明した発信側の網10の処理の流れと実質同じである。
まず、S−CSCF63は、SCIM66を接続することを決定する。S−CSCF63は、矢印508で示すような流れで、SCIM66に対して、INVITEリクエストを出力する。
【0071】
SCIM66は、SCIM66は、ユーザー毎のサービスの契約状態や現在のサービス活性状態等を確認する。確認後、SCIM66は、ユーザーに提供されるサービスを特定して、そのサービスを提供するのに必要な処理の制御を行うASが、AS64であることを決定する。SCIM66は、AS64を選択するために、矢印509に示すような流れで、S−CSCF63に対して3XXレスポンスを返信する。
S−CSCF63は、S−CSCF63から3XXレスポンスを受けとると、AS64を選択することを決定する。S−CSCF63は、AS64に対してサービスを提供するのに必要な処理の制御を開始させるるために、矢印510に示すようにINVITEリクエストを出力する。
【0072】
AS64は、S−CSCF63からのINVITEリクエストを受けとると、転送電話のサービスを提供するのに必要な処理の制御を開始する。さらに、AS64は、矢印511で示すように、S−CSCF63,23を介してSCIM26に対し、183(Session Progress)レスポンスを出力する。このとき、183(Session Progress)レスポンスには、制御指示情報として、着信側の網50で起動中のサービスを示す情報を付与されている。そして、SCIM26は、183(Session Progress)レスポンスに付加されている起動中のサービスを示す情報を受けとると、通話内容を録音するサービスにおける通話内容の録音を開始する等といった後続の詳細な処理を判断する。
【0073】
(第2の処理例)
また、別のサービスを提供する際の発信側の網10と着信側の網50の各制御装置の処理の流れとして、図10に示す模式図では、下記のサービスを提供する際の発信側の網10と着信側の網50の各制御装置の処理の流れを示している。
まず、発信側の網10では、図9の模式図と同様に、SCIM26が、通話料の課金に関するサービスを提供するのに必要な処理の制御を行うAS24と、通話内容を録音するサービスを提供するのに必要な処理の制御を行うAS25−2とを選択する。
さらに、着信側の網50では、SCIM66が、既存のサービスである留守番電話のサービスを提供するのに必要な処理を制御するAS64を選択する。なお、着信側の網50では、図9の模式図で説明した第1の処理例と同様に、SCIM66が、既存のサービスのみを選択する。
【0074】
つまり、発信側の網10で通話料の課金に関するサービスを提供するのに必要な処理の制御を開始したら、着信側の網50で着信側の端末71で応答がないものとして留守番電話のサービスに接続するが、発信側の網10で留守番電話のサービスに接続されているため通話内容を録音するサービスにおける通話内容を録音を行わない。
図10中の矢印601〜610で示す各信号の流れは、図9中の矢印501〜510で示した各信号の流れと同じである。但し、第2の処理例では、着信側の網50で選択されるサービスが転送電話のサービスであるため、矢印608〜610で示すような各信号の流れで、SCIM26が、AS64の転送電話のサービスを選択する。
【0075】
AS64は、着信側の端末71で応答がない場合に提供する留守番電話のサービスを準備状態にしておく。そして、AS64は、矢印611で示すような流れで、S−CSCF63に対して、INVITEリクエストを出力する。さらに続いて、S−CSCF63は、SCIM66に対してINVITEリクエストを出力する。
【0076】
SCIM66は、矢印612で示すような流れで、着信側の端末71にルーチングするための処理を行う。このとき、SCIM66は、着信側の端末71が応答または無応答であるかの応答状態を判断する。そして、SCIM66は、着信側の端末71が無応答であると判断すると、矢印613で示すような流れで、S−CSCF63を介してAS64に対し、183(Session Progress)レスポンスを出力する。このとき、SCIM66は、183(Session Progress)レスポンスに、制御指示情報として着信側の網50で起動中のサービスを示す情報を付与している。そして、AS64は、留守番電話のサービスにおけるメッセージの録音を開始する等といった処理を開始する。
【0077】
続いて、AS64、矢印614で示すような流れで、S−CSCF63、S−CSCF23を介してSCIM26に対し、183(Session Progress)レスポンスを出力する。なお、183(Session Progress)レスポンスには、着信側の網50で起動中のサービスを示す情報が付与されているが、AS64は、その情報そのまま透過する。
SCIM26は、183(Session Progress)レスポンスに付加されている起動中のサービスを示す情報から、後続の詳細な処理を判断する。そして、矢印615で示すような流れで、AS25−2に対して、通話内容を録音するサービスが準備状態であったが、通話内容の録音を行わないようにINVITEリクエストを出力する。
【0078】
(第3の処理例)
さらに、別のサービスを提供する際の発信側の網10と着信側の網50の各制御装置の処理の流れとして、図11に示す模式図は、下記のサービスを提供する際の発信側の網10と着信側の網50の各制御装置の処理の流れを示している。
まず、発信側の網10では、図9及び図10の模式図と同様に、SCIM26が、通話料の課金に関するサービスを提供するのに必要な処理の制御を行うAS24と、通話内容を翻訳するサービスを提供するのに必要な処理の制御を行うAS25−1とを選択する。
さらに、着信側の網50では、SCIM66が、既存のサービスである着信音を変えるサービスを提供するのに必要な処理の制御を行うAS64を選択する。また、プレゼンスのサービスを提供するのに必要な処理の制御を行うAS65−2を選択する。
【0079】
つまり、発信側の網10で通話料の課金に関するサービスを提供するのに必要な処理の制御を開始したら、着信側の網10で呼出音を変えるサービスを提供する。また、着信側の網10でプレゼンスのサービスの状態を更新し、発信側の網10で通話内容の翻訳を行うための処理の制御を開始する。
図11中の矢印701〜710で示す各信号の流れは、図9中の矢印501〜510で示した各信号の流れと実質同じである。但し、第3の処理例では、発信側の網10で選択されるサービスは、通話内容を翻訳するサービスであるため、矢印705,706で示す各信号の流れで、SCIM26が、AS25−1の通話内容を翻訳するサービスを選択する。また、発信側の網50で選択されるサービスは呼出音を変えるサービスであるため、矢印708〜710で示す各信号の流れで、SCIM26が、AS64の呼出音を変えるサービスを起動する。
【0080】
AS64は、呼出音を変えるサービスを提供するのに必要な処理の制御を開始する。そして、AS64は、矢印711で示すような流れで、S−CSCF63に対して、INVITEリクエストを出力する。さらに続いて、S−CSCF63は、SCIM66に対して、INVITEリクエストを出力する。
SCIM66は、制御指示情報に含まれる状態フラグ等に基づいて、詳細な後続の処理を決定する。SCIM66は、プレゼンスのサービスを提供するのに必要な処理の制御を開始するために、矢印712で示すような流れで、AS65−2に対してNOTIFYリクエストを出力する。
【0081】
AS65−2は、矢印713で示すように、着信側の端末71にルーチングするための処理を行う。このとき、SCIM66は、着信側の端末71が応答または無応答であるかの応答状態を判断する。そして、SCIM66は、矢印714で示すように流れで、着信側の端末71が応答したと判断する。さらに、SCIM66は、矢印715,716で示すような流れで、発信側の網10のSCIM26に対して、200(OK)レスポンスを返信する。
【0082】
SCIM26は、例えば通話内容の翻訳を開始する等といった、AS25−1に対する後続の詳細な処理を判断する。
なお、発信側の網10と着信側の網50とで提供されるサービスの組み合わせは、上記の上記の第1〜第3の処理例で説明したサービスに限定されるものでない。図8の模式図で説明したような各種のサービス等を組み合わせても、上記で説明したSCIMはサービスを選択することができる。
【0083】
また、各制御装置から出力される信号は、上記の説明にあったINVITEリクエストや200(OK)リクエスト等の信号以外にも、提供すべきサービスや端末の応答状態等によって異なり、例えばSCIMから出力される180(Ringing)レスポンス等のような各種のリクエスト/レスポンスがある。このような場合であっても、上記で説明した処理の流れと実質同じ流れで、上記で説明したSCIMはサービスを選択することができる。
【0084】
(まとめ)
上記で説明したSCIMおいては、既存のサービスを提供するのに必要な処理の制御を行うASの処理を変更することなく、サービスを選択することができる。また、既存のASの制御には、別のサービスを追加する度に別のサービスを選択する上での制御を追加する必要がない。
また、SCIMにおいては、S−CSCFに対して3XXレスポンス等の信号を出力することでサービスを選択するため、SCIMとS−CSCFとの間にSIPセッションが確立しない。よって、図11の模式図に、第3の処理例で確立しているSIPセッションを重ねてみると、図12中に点線で示すSIPセッションのみである。よって、上記で説明したSCIMおいては、新たにSCIMで管理されるSIPセッションを増やすことなく、サービスを選択することができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明のサービス選択制御装置は、特にIMSを基盤とする網で、携帯電話向けのサービスを提供するASを選択するサービス選択制御装置及びサービス選択制御システムとして利用することができる。
【符号の説明】
【0086】
(発信側)
10……網
21……P−CSCF
22……HSS
23……S−CSCF
24……AS(既存のサービス)
25−1,25−2……AS(新規のサービス)
26……SCIM
26a……サービス契約状況問合部
26b……サービス選択部
26c……制御指示情報生成部
31……端末
(着信側)
50……網
61……P−CSCF
63……S−CSCF
64……AS(既存のサービス)
65−1,65−2……AS(新規のサービス)
66……SCIM
71……端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともユーザー毎のサービスの契約状況を管理する契約状況管理装置に対して、サービスの契約状況を問い合わせるサービス契約状況問合部と、
前記サービス契約状況問合部による問い合わせによって得られたサービスの契約状況に基づいてユーザー毎に提供すべきサービスを特定し、サービスの提供に必要な処理を制御するサービス制御装置からサービスを選択するサービス選択部と、
を備え、
前記サービス選択部は、前記サービス制御装置と自制御装置との間の中間制御装置に対して、サービスを間接的に選択するために用いるサービス起動信号を出力することを特徴とするサービス選択制御装置。
【請求項2】
前記サービス選択部により選択されたサービスの提供に必要な処理を、複数の所定の処理の中から選択して行うように制御するために用いる制御指示情報を生成する制御指示情報生成部を備え、
前記選択するサービス選択部は、前記制御指示情報生成部により生成された制御指示情報が付加された前記サービス起動信号を出力することを特徴とするサービス選択制御装置。
【請求項3】
前記制御指示情報生成部は、前記サービス制御装置のサービスを順番に複数選択していくように処理を制御するための制御指示情報を生成することを特徴とする請求項2に記載のサービス選択制御装置。
【請求項4】
前記サービス選択部は、前記サービス契約状況問合部による問い合わせにより得られたサービスの種類に応じて、前記サービス制御部に対して前記サービス起動信号を出力することで、サービスを直接選択することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のサービス選択制御装置。
【請求項5】
サービスの提供に必要な処理を制御するサービス制御部と、
少なくとも前記サービス制御部により処理を制御されるサービスのユーザー毎の契約状況を管理する契約状況管理部と、
前記契約状況管理部に対してサービスの契約状況を問い合わせ、当該問い合わせによって得られたサービスの契約状況に基づいてユーザー毎に提供すべきサービスを特定し、当該特定されたサービスの提供に必要な処理を制御するサービス制御部からサービスを選択するサービス選択制御部と、
を備え、
前記選択制御部は、前記サービス制御部と前記サービス選択制御部との間の中間制御部に対して、サービスを間接的に選択するために用いるサービス起動信号を出力することを特徴とするサービス選択制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−248932(P2012−248932A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116886(P2011−116886)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】