説明

サービングHS−DSCHセルの変更を実行するための方法および装置

【課題】ソースセルからターゲットセルへのサービングHS−DSCH(高速ダウンリンク共有チャネル)セルの変更を実行するための方法および装置を開示する。
【解決手段】RNC(無線ネットワークコントローラ)は、WTRU(無線送信/受信ユニット)に、ターゲットセルに関するHS−DSCH構成設定をプリロード(事前搭載)できる。WTRUは、このプリロードされるHS−DSCH構成設定を受信し、格納する。WTRUは、イベント1Dによって測定レポートがトリガされたという条件で、ターゲットセルに関するプリロードされたHS−DSCH構成設定を使用して、ターゲットセル上のHS−SCCH(高速共有制御チャネル)をモニタすることを開始することができる。WTRUは、そのWTRUがターゲットセル上のHS−SCCHをモニタすることを開始するときに、タイマを開始して、このタイマが満了すると、ターゲットセル上のHS−SCCHをモニタすることを停止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、無線通信に関する。
【背景技術】
【0002】
HSDPA(高速ダウンリンクパケットアクセス)は、3GPP(第3世代パートナーシッププロジェクト)規格のリリース5において導入された機能である。HSDPAは、以下の3つの重要な概念、すなわち、AMC(適応変調符号化)、高速物理層再送(すなわち、HARQ(ハイブリッド自動再送要求))、および高速Node Bスケジューリングを使用して最大のスペクトル効率を実現する。
【0003】
ハンドオーバは、WTRU(無線送信/受信ユニット)が、サービス中断なしに1つのセルから別のセルに切り換えるプロセスである。図1は、1つのセルから別のセルへの従来のハンドオーバを示す。HSDPAにおいて、WTRU102は、「サービングHS−DSCH(高速ダウンリンク共有チャネル)セル」と呼ばれる単一のセル内のチャネルをモニタする。ハンドオーバが起ると、WTRU102は、新たなサービングHS−DSCHセル(ターゲットセル106)に切り換え、古いサービングHS−DSCHセル(ソースセル104)との通信を停止する必要がある。この手順は、サービングHS−DSCHセルの変更とも呼ばれる。
【0004】
WTRUは、隣接セルの信号強度を継続的に測定する。隣接セルのモニタされるCPICH(共通パイロットチャネル)上で測定された信号強度が、サービングセルの信号強度を超えると(すなわち、イベント1D)、WTRUは、最良セルの変更についてRNC(無線ネットワークコントローラ)に知らせる。最良セルの変更は、RRC(無線リソース制御)測定レポートを介してWTRUからRNCに報告される。この測定レポートは、測定された値、およびセルID(アイデンティティ;識別子)を含む。次に、RNCが、サービングHS−DSCHセルの変更が行われるべきかどうかの決定を行う。
【0005】
サービングHS−DSCHセルの変更を開始するために、SRNC(サービング無線ネットワークコントローラ)は、RNSAP(無線ネットワークサブシステムアプリケーション部)メッセージおよびNBAP(Node Bアプリケーション部)メッセージを介して、ターゲットセル内のWTRUに対して、(H−RNTI(HS−DSCH無線ネットワーク一時ID)、HS−SCCH(高速共有制御チャネル)コード、HARQリソースなどの)HS−DSCHリソースを割り当てるように、CRNC(制御無線ネットワークコントローラ)に要求する。HS−DSCHリソースが予約されると、CRNCは、SRNCにすべての情報を提供し、次に、SRNCが、WTRUにRRCハンドオーバメッセージを送信する。このRRC(無線リソース制御)メッセージは、WTRUに対してサービングHS−DSCHセルの変更を知らせるのに用いることができるもので、以下に限定されずに、物理チャネル再構成メッセージ、トランスポートチャネル再構成メッセージ、無線ベアラ再構成メッセージ、およびアクティブセット更新メッセージを含む。
【0006】
RRCハンドオーバメッセージは、WTRUがターゲットセルのモニタを開始するのに必要な無線アクセスパラメータをWTRUに提供する。さらに、RRCメッセージは、ハンドオーバが行われるべきときのアクティベーションタイム(activation time: 機能有効化時刻、起動時刻、開始時間などともいう)を提供することもできる。
【0007】
以下の2つのタイプのハンドオーバ、すなわち、同期されたハンドオーバ、および同期されていないハンドオーバが存在する。同期されていないハンドオーバにおいては、ネットワークとWTRUは、リソースを同時に活性化して、切り換えることをしない。ハンドオーバコマンドの中で与えられるWTRUに対するアクティベーションタイムは、「現時点(now)」に設定される。このことは、ハンドオーバ手順に関連する遅延を減らす。しかし、このことは、データ損失の可能性を高める。
【0008】
同期されたハンドオーバにおいては、ネットワークとWTRUは、リソースを同時に活性化して、切り換える。ネットワークは、スケジューリング遅延、再送、設定時間(configuration time)などの、いずれの種類の遅延も把握した確実な値にアクティベーションタイムを設定しなければならない。同期されたハンドオーバは、データ損失を最小限に抑えるものの、より長い遅延をもたらす可能性がある。
【0009】
従来、RRCハンドオーバメッセージは、ソースNode Bを介してWTRUに送信される。サービングHS−DSCHセルの変更手順に関連する遅延が、ハンドオーバメッセージを失敗させて、許容できない割合の脱落した呼をもたらす可能性がある。サービングHS−DSCHセルの変更手順を最適化する、いくつかの提案がこれまでに発表されている。
【0010】
これらの提案によれば、WTRUとNode Bは、HS−DSCH関連設定でプリロード(事前搭載)されることができる。或るセルがアクティブセット(active set)に追加される際に、RNCが、そのセルが「HSDPAアクティブセット」に追加され得ると判定した場合には、WTRUおよびNode Bが、無線リンク再構成準備/レディ(準備完了)フェーズ(局面)で再構成される。最良セルの変更が起きると(すなわち、イベント(事象)1D)、ターゲットNode Bを、無線リンク再構成コミット/開始フェーズで、WTRUのスケジューリングを開始するように命令することができる。このことにより、WTRUおよびNode Bが、より速く通信を開始することが可能になる。
【0011】
WTRUは、ソースセルHS−SCCHとターゲットセルHS−SCCHを同時にモニタすることができる。最良セルの変更があるときには、WTRUは、測定レポート1Dメッセージを送信する。設定可能な時間だけ待った後で、WTRUは、ソースセルのHS−SCCHに加えて、プリロードされたターゲットセルHS−SCCHをモニタすることを開始する。このスキーム(仕組み)で、サービス断絶を減らすことができる。
【0012】
ターゲットNode Bは、第1回のスケジューリング出現(first scheduling occurrence)時に暗黙のうちに再ポインティング(re-pointing)されることができる。RNCは、そのハンドオーバを認可し、ターゲットNode Bが設定され、準備が完了すると、ターゲットNode Bは、WTRUによってモニタされるHS−SCCHの1つでWTRUをスケジュールすることが可能となる。ターゲットNode Bからの第1回のスケジューリング出現は、ハンドオーバの成功を暗黙に確認する。パケット損失を回避するために、ソースNode Bは、どれだけのデータがこれから先も伝送される必要があるかの状況をRNCに提供することができる。
【0013】
ハンドオーバ(または再ポインティング)指示は、HS−SCCHオーダー(指令)を介して、新たな物理層チャネルを介して、あるいはE−DCH(拡張専用チャネル)E−RGCH(拡張相対許可チャネル)およびE−HICH(E−DCH HARQ指標チャネル)と同一のチャネライゼーションコード(チャネル区分コードとも訳されている)を使用して、異なるシグネチャシーケンスを用いるSCCCH(サービングセル変更チャネル)を介して、ターゲットNode Bを通じて送信されることができる。WTRUは、アップリンクスクランブルコードを変更することによって、あるいはCQI(チャネル品質指標)の特別な値(例えば、31)を使用することによって、ハンドオーバ指示に確認応答する。
【0014】
別の提案によれば、前述の提案に従って、WTRUの要件を、イベント1Dをトリガした、事前に割り当てられた/非サービングセルの1つだけのHS−SCCHをモニタすることに制限させることができる。イベント1Aおよび1Bが、異なるパラメータ値で再使用されて、最良セルとほとんど同然であるセルのサブセットである、「HS−DSCHサービング候補セット」が作成されることができる。或るアクティブセット内の或るセルが、そのアクティブセットとほとんど同然になった場合、イベント1A*がトリガされる。ターゲットNode B構成が事前設定され、HS−SCCHコードが割り当てられる。リストの中の第1のHS−SCCHコードは、一次HS−SCCHコードと呼ばれる。その事前設定が、WTRUに送信される。イベント1Dが生じると、WTRUは、ソースNode BのHS−SCCHに加えて、ターゲットNode Bの一次HS−SCCHをモニタすることだけを開始する。ターゲットNode Bの第1のスケジューリングを受信すると、WTRUは、ソースセルからHS−DSCHを受信することを停止する。ターゲットNode Bは、WTRUから肯定的なACK(確認応答)の受信を、ハンドオーバの成功の表示(indication)とみなす。
【0015】
さらにまた別の提案によれば、ハンドオーバコマンド(すなわち、ハンドオーバメッセージ)が、既知の構成を有する共通チャネルを使用しターゲットセルを通じて送信されることができる。WTRUは、共通H−RNTI(HS−DSCH無線ネットワーク一時ID)を使用して、ターゲットセル上のHS−SCCHをモニタすることができる。共通情報は、SIB(システム情報ブロック)によってブロードキャスト(放送)される、または専用RRCメッセージを介して設定されることができる。ハンドオーバメッセージの信頼性を高めるために、ネットワークは、ソースセルとターゲットセルの両方を通じて、このメッセージを送信することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
CELL_DCH状態でのWTRUが、共通リソースを使用しターゲットセルを通じてサービングHS−DSCHセル変更メッセージを受信できるようにするためには、WTRUは、SIBを読み取って、HS−DSCHシステム情報を獲得することができなければならない。従来の3GPP規格によれば、WTRUは、CELL_DCHにある間では、必要なSIBを読み取ることを許されていない。さらに、SIBによるブロードキャストされたメッセージは、繰返し因数に従って繰り返されるだけであるので、WTRUは、その情報を獲得する十分な時間を与えられない可能性がある。このことは、ハンドオーバコマンドを受信できない結果となる可能性がある。さらに、専用のプリロードされたリソースが、サービングHS−DSCHセルの変更を強化するのに用いられた場合には、アクティブセットを外れた最良セルの変更は、そのような強化を使用しては実行されない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
ソースセルからターゲットセルへのサービングHS−DSCHセルの変更を実行するための方法および装置が、開示されている。RNCは、ターゲットセルに関するHS−DSCH構成をWTRUにプリロードすることができる。WTRUは、このプリロードするHS−DSCH構成を受信し、格納する。WTRUは、イベント1Dによって測定レポートがトリガされたという条件で、ターゲットセルに関するプリロードされたHS−DSCH構成を使用して、ターゲットセル上のHS−SCCHをモニタすることを開始することができる。WTRUは、ターゲットセル上のHS−SCCHのモニタを開始するときにタイマを開始し、このタイマが満了すると、ターゲットセル上のHS−SCCHをモニタすることを停止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
より詳細な理解は、添付の図面に関連して例示として与えられている、以下の説明から得ることができる。
【図1】1つのセルから別のセルへの従来のハンドオーバを示す図である。
【図2】一実施形態によるターゲットセルのモニタリング(監視)のプロセス(処理過程)を示す流れ図である。
【図3】例示的なWTRUを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以降、言及する場合、「WTRU」という用語には、UE(ユーザ機器)、移動局、固定加入者ユニットもしくは移動加入者ユニット、ポケットベル(pager)、セルラ電話機(携帯電話)、PDA(携帯情報端末)、コンピュータ、または無線環境において動作することができる他の任意のタイプのユーザデバイスが含まれるが、以上には限定されない。以降、言及する場合、「Node B」という用語には、基地局、サイトコントローラ、AP(アクセスポイント)、または無線環境で動作することができる他の任意のタイプのインタフェースデバイスが含まれるが、以上には限定されない。
【0020】
以降、言及する場合、「サービングHS−DSCHセルの変更メッセージ」という用語には、サービングHS−DSCHセルまたはターゲットHS−SCCHオーダーを変更するようにWTRUを再構成することが可能なRRC再構成メッセージまたはアクティブセット更新メッセージが含まれるが、以上には限定されない。以降、言及する場合、「HS−DSCHコマンドリソース」は、ダウンリンクメッセージを受信するのに1つの、またはグループのWTRUによって使用されることが可能なHS−DSCHリソース(すなわち、H−RNTI、HS−SCCHコード、HARQメモリ割り当てなど)のセットを言う。HS−DSCH共通リソースは、専用RRCメッセージを介してブロードキャストされる、または供給されることができる。以降、言及する場合、「HS−DSCH専用リソース」または「専用リソース」は、アクティブセット更新プロシージャの一部としてWTRUへ供給されるプリロードされたターゲットセル情報のセットを言う。
【0021】
HS−DSCH共通リソースを獲得することに関する実施形態を以下に説明する。
【0022】
一実施形態によれば、WTRUは、Cell_DCHにあるネットワークから、SIBにより、またはRRCシグナリングを介して、HS−DSCH共通リソースを獲得する。従来、WTRUは、CELL_DCHにある間にBCCH(ブロードキャスト制御チャネル)を通じて送信されたSIBを読み取ることを許されていない、またはそうするように構成されていない。拡張CELL_FACHのために使用されるHS−DSCH共通リソースは、SIB5/5bisでブロードキャストされ、アイドルモード、CELL_FACH、CELL_PCH、およびURA_PCHにあるWTRUだけが、そのSIB5/5bisを読み取ることができる。この実施形態によれば、WTRUは、CELL_DCHにある間、SIB5/5bis(またはHS−DSCH共通リソース情報が提供されるところの他の任意のSIB)を読み取ることを許される。
【0023】
サービングHS−DSCHセルの変更メッセージを受信するのに使用されることが可能なHS−DSCH共通リソースは、SIB5/5bisでの拡張CELL_FACHに使用されるリソースと同一であることが可能であり、あるいはサービングHS−DSCHセルの変更のために確保された情報の新たなセットであることが可能である。代替として、HS−SCCHコードおよびHARQメモリ割り当てだけが、拡張CELL_FACHの場合と同一であるとすることもできるが、共通H−RNTIのプールが、サービングHS−DSCHセルの変更メッセージ用にだけに確保されてもよい。サービングHS−DSCHセルの変更を送信するのに使用されるSRB(シグナリング無線ベアラ)のSRBマッピング情報(すなわち、論理チャネルIDおよび/またはこのIDをマップするキューID)はブロードキャストされるとしてもよく、あるいはWTRUがソースセル内にいる間に取得されたSRBマッピング情報を使用してもよい。
【0024】
SIBでブロードキャストされるシステム情報の繰り返しは、4フレームごとから4,096フレームごとまで様々に変えることができる。このパラメータは、マスタ情報ブロックの中で設定されてから提供され、また繰り返し因数に依存しているので、このことは、SIB獲得時間に遅延を生じさせる可能性がある。WTRUは、SIB上のHS−DSCH共通リソース情報を常時、読み取る必要はないとすることができる。WTRUは、ネットワークがターゲットセルを通じてメッセージを送信するよりも前に、または同時点で、WTRUがダウンリンクトラフィックを受信することを開始する準備ができているように、HS−DSCH共通リソース情報を読み取るように設定することができる。したがって、WTRUは、繰り返し因数、その情報を読み取るのにかかる時間、リソースを設定するのにかかる時間などを把握することができる。
【0025】
WTRUが、以下のトリガの1つ、または組合せで、システム情報ブロックを読み取って、HS−DSCH共通リソースを獲得することができる。
(1)WTRUが、イベント1Dがトリガされるとすぐに、イベント1Dをトリガした隣接セル(すなわち、モニタされるセットの中の最良セル)のSIBを読み取り、HS−DSCH共通リソース情報を格納することができる、
(2)WTRUが、隣接セルの品質がサービングセルの品質よりも良好になるとすぐに(すなわち、トリガする開始時刻(Ttrigger)に先立って)、HS−DSCH共通リソース情報を読み取り、格納することができる、
(3)WTRUが、隣接セルの品質がサービングセルよりも、事前設定されたヒステリシス値だけ、良好になるとすぐに、HS−DSCH共通リソース情報を読み取り、格納することができる、
(4)WTRUが、アクティブセットに追加されているすべてのセルのHS−DSCH共通リソース情報を、ACTIVE SET UPDATEプロシージャ(手順、手続き)を介してアクティブセットにセルが追加されるとすぐに、あるいは、イベント1AがWTRUによってトリガされるとすぐに、読み取り、格納することができる。WTRUは、セルのそれぞれに関連するセルIDおよびHS情報を格納しなければないかもしれない。最良セルの変更が生じる場合は、WTRUは、そのセルに対応するHS−DSCH共通リソース情報を抽出し、それに応じてHS−DSCHリソースを設定することができる、
(5)WTRUが、条件が持続する間、最良セルの変更以来、時間間隔Tnの後に、モニタ(監視)されたセット内の最良セルのHS−DSCH共通リソース情報を読み取り、格納することができる、
(6)WTRUが、イベント1Aのトリガ時に、アクティブセットに追加された新たなセルのHS−DSCH共通リソース情報を読み取り、格納することができる、
(7)WTRUが、イベント1Aがトリガされ、アクティブセットに追加された新たなセルがアクティブセット内での最良セルとなる場合に、その新たなセルのHS−DSCH共通リソース情報を読み取り、格納することができる、
(8)WTRUが、測定された品質(例えば、CPICH(共通パイロットチャネル)などの任意のダウンリンク基準チャネル上の受信された電力)が事前設定された閾値を超える、いずれの新たなセルのHS−DSCH共通リソース情報も読み取り、格納することができる、または
(9)WTRUが、測定された品質(例えば、CPICHなどの任意のダウンリンク基準チャネル上の受信された電力)が、事前設定された閾値の差だけサービングセルの品質に近づいた、いずれの新たなセルのHS−DSCH共通リソース情報も読み取り、格納することができる。
【0026】
代替として、HS−DSCH共通リソース情報は、専用RRCシグナリングを介してWTRUに送信されてもよい。例えば、HS−DSCH共通リソース情報は、アクティブセットに新たなセルが追加されるときに、WTRUに送信されるACTIVE SET UPDATEメッセージの中に含ませてもよい。
【0027】
複数のセルからのHS−DSCH共通リソース情報を格納するのに必要なメモリ容量を抑えるため、WTRUは、N個の最強セル、または上述のトリガ基準のいずれかを生じさせるM個の最新のセルに関するHS−DSCH共通リソース情報だけを格納するように構成してもよい。WTRUは、メモリ内に格納されているHS−DSCH共通リソース情報を定期的に削除し、モニタされた品質が或るしきい値を下回るようなセルに関するHS−DSCH共通リソース情報をメモリから削除し、あるいはWTRUのアクティブセットから取り除かれた任意のセルに関するHS−DSCH共通リソース情報を削除するように、構成されることができる。
【0028】
ターゲットセルをモニタすることに関する実施形態を、以下に開示する。
【0029】
WTRUは、以下の基準の1つ、またはその組合せが満たされることで、共通リソースまたは専用リソースを用いてターゲットセルをモニタすることを開始することができる。
(1)イベント1Dを示す測定レポートがネットワークに送信されるとすぐ、
(2)イベント1Aを示す測定レポートがネットワークに送信され、かつ最良セルの変更が検出されるとすぐ、
(3)イベント1Aまたは1Dがトリガされるとすぐ(すなわち、測定レポートを送信するのに先立って)、
(4)イベント1Dまたは最良セルの変更を伴うイベント1Aを示す測定レポートがネットワークに送信されてから、ある時間間隔(Tm)の後、
(5)測定レポートがネットワークによって成功裡に受信されたことを示すRLC層確認応答が、WTRUで受信されてから、ある時間間隔(Tn)の後、
(6)ソースNode Bからの明示的なシグナリングあったとき。この明示的なシグナリングは、ターゲットセルのモニタ開始をするようにWTRUに指示するソースセルを通じてのHS−SCCHオーダーであるとすることができる。代替として、この明示的なシグナリングは、WTRUへシグナリングされるE−AGCH(E−DCH絶対許可チャネル)における予約値であるとしてもよい(例えば、グラント(許可)=0、すべてのHARQプロセスの非活性化、またはこの目的のためだけに使用される予約値)。
(7)ソースNode Bのチャネル品質が、システムで設定された閾値を下回るとすぐ、または
(8)ソースNode Bにおいて無線リンク障害が検出されるとすぐ。
【0030】
WTRUは、以下の基準の1つ、またはその組合せでターゲットセルをモニタすることを停止することができる。
(1)WTRUがターゲットセルをモニタすることを開始してから所定の時間間隔(Tp)の経過した後で、ハンドオーバメッセージが全く受信されなかった後。ハンドオーバメッセージ(すなわち、RRCメッセージまたはHS−SCCH)が受信された場合には、WTRUは、オーダーについてターゲットセルのHS−SCCHをモニタすることを停止することができる、
(2)測定レポートを再送することに関する周期タイマが満了し、さらに/またはWTRUが、ネットワークへ別の測定レポートを送った後。ターゲットセルが最良セルのままであって、さらにターゲットセルをモニタすることを開始する基準が満たされている場合には、WTRUは、同一のターゲットセルを再びモニタすることを開始することができる。モニタされるセットの中の最良セルが変更された場合には、WTRUは、上記で開示した基準の1つに従って、その現行のセルをモニタすることを停止し、その新たなセルをモニタすることを開始しなければならない。
(3)ソースセルにおいて無線リンク障害が検出され、さらにある設定期間でターゲットセルからハンドオーバのメッセージまたは指示が全く無かったときにすぐ、
(4)受信されたハンドオーバメッセージが無効な構成結果を招き、さらにハンドオーバ障害が生じるとすぐ、または
(5)RRC測定レポートがネットワークによって成功裡に受信されなかったことを示すRLC層ステータスレポートが、WTRUにおいて受信されたとき。
【0031】
WTRUがハンドオーバメッセージを待っている間に無線リンク障害が生じた場合には、WTRUは、最新行われた測定と一緒に、その無線リンク障害よりも前に隣接セルで行われた測定を随意的に、報告することができる。この情報は、セル更新メッセージの中で送信されることができ、あるいはセル更新が送信された後に測定レポートメッセージとして送信されることもできる。このことは、ネットワークが、いかなるさらなる遅延なしに、ソフトハンドオーバ(瞬断の起らないハンドオーバ)でWTRUをCELL_DCHに移すのを許容することができる。
【0032】
図2は、一実施形態によるターゲットセルのモニタリング(監視)のプロセス(処理過程)200の流れ図である。WTRUが、サービングHS−DSCHセルおよび隣接セルをモニタする(ステップ202)。WTRUは、イベント1Dがトリガされたかどうかをチェック(点検)する(ステップ204)。イベント1Dがトリガされていない場合には、WTRUは、サービングHS−DSCHセルをモニタしつづける。イベント1Dがトリガされた場合には、WTRUは、タイマTpをセット(設定)し(ステップ206)、ターゲットセルのHS−SCCH(事前設定されている場合)をモニタすることを開始する(ステップ208)。WTRUは、ハンドオーバメッセージ(すなわち、RRCメッセージまたはHS−SCCHオーダー)が受信されているかどうかをチェック(点検)する(ステップ210)。ターゲットセルに関してハンドオーバメッセージが受信された場合には、WTRUは、サービングHS−DSCHセルの変更を実行する(ステップ212)。ハンドオーバメッセージが受信されていない場合には、WTRUは、タイマTpが満了しているかどうかをチェック(点検)する(ステップ214)。タイマTpが満了している場合には、WTRUは、ターゲットセルのHS−SCCHをモニタすることを停止する(ステップ216)。タイマTpが満了していない場合には、WTRUは、ターゲットセルのHS−SCCHをモニタしつづける。
【0033】
ソースセルおよびターゲットセルから受信している際のHARQプロセスの共有に関する実施形態を、以下に開示する。
【0034】
WTRUが、共通HS−DSCHリソースまたは専用HS−DSCHリソースを使用してターゲットセルをモニタすることを開始することを必要とされる場合、HARQプロセスの扱われ方に関して特別な配慮がなされなければならない。WTRUは、依然としてソースセルを通じてダウンリンクでデータを受信している可能性があるので、WTRUは、ソースセルから、使用されているHARQプロセスをフラッシュすることができない可能性がある。しかし、共通HS−DSCHの受信の場合や、あるいは専用メッセージがターゲットセルを通じて受信される場合に、少なくとも1つのHARQプロセスが、ターゲットセルからデータを受信可能とすることが必要とされる。
【0035】
一実施形態によれば、さらなる追加的なHARQプロセスが、ターゲットセルを通じてのハンドオーバメッセージを受信するために用意されているとすることができる。ターゲットNode Bは、WTRUが1つのHARQプロセスだけしか使用していないと分かっている。
【0036】
代替として、WTRUは、1組のHARQプロセスは、ソースセルを通じて受信するのに使用され、別の組のHARQプロセスは、ターゲットセルを通じて受信するように設定される、2組のHARQプロセスを有してもよい。HARQリソースのさらなるセットについてのHARQシステム情報は、HS−DSCH共通システム情報の一部として提供されることができる。このことは、ターゲットセルを通じてハンドオーバメッセージが待たれるたびに、新たなHARQプロセスのセットを、WTRUがセットアップすることを必要とすることとなる。
【0037】
代替として、WTRUがHS−SCCH上でそのH−RNTI(共通、サービングセルに特有、または専用のいずれか)を復号する際に、WTRUはソースセルと同じHARQプロセスを使用してもよい。この場合、WTRUは、ターゲットのHS−PDSCHを通じてデータを受信するのに先立って、HARQバッファをフラッシュしなければならない可能性がある。WTRUは、ターゲットセルからデータが受信されている間、ソースセルからデータが全く受信されないことを確実にしなければならない。ネットワークは、ターゲットセルがハンドオーバコマンドを送信している間に、ソースセルを通してデータが伝送されないことを確実にすることができる。このことは、RNCからソースNode BへのIub指示を介して行われることができる。オプションとして、WTRUは、データが依然としてソースセルを通じて伝送されているという事実を、ターゲットセルを通じて受信されるデータがWTRUの専用ではないという表れとして、使用してもよい。代替として、ソースセルは、データを伝送しつづけることができるが、WTRUは、ターゲットセルを通じてメッセージを受信している間、ソースセルのHS−SCCHをリッスンしないとしてもよい。
【0038】
代替として、HARQプロセスは、ソースセルとターゲットセルの間で分割されてもよい。例えば、WTRUがターゲットセルを通じてメッセージを待機している(すなわち、ターゲットセルをモニタしている)時間にわたって、HARQプロセスの半分は、ソースセルに専用であり、その他方の半分は、ターゲットセルに専用である。ソースセルに使うHARQプロセスと、ターゲットセルに使うHARQプロセスとの割合は、HS−DSCH共通システム情報の一部として提供される、システム設定値である、所定の値とすることができる。ネットワークは、Iubシグナリングを使用してソースセルに指示を送って、利用可能なHARQプロセスの一部分だけを使用して開始するようにソースセルを設定するようにしてもよい。
【0039】
代替として、WTRUは、WTRUがモニタしているターゲットセルについての新たな二次MAC−ehs(エンハンスド高速媒体アクセス制御)、あるいはMAC−hsサブエンティティを確立してもよい。
【0040】
WTRUは、ターゲットセル用に設定されたHARQプロセスのソフトバッファをフラッシュすることができる。このフラッシュは、WTRUがターゲットセルをモニタすることを開始する時点で、または予想される(expected)RNTIが、ターゲットセルのHS−SCCHで復号された時点で、行うことができる。
【0041】
WTRUは、ソースセルとターゲットセルの両方をモニタして、ソースセルのHS−SCCHで示されるHARQプロセスが、ターゲットセルによって使用されているHARQプロセスを干渉(妨害)している場合には、WTRUは、このことを、そのメッセージがそのWTRUに適していないという指示として使用することができる。この事例は、HARQプロセスがソースセルとターゲットセルの間で共有されていて、かつネットワークが、ソースセルにターゲットセルと同じHARQプロセスで伝送することを許すべきでない場合に、適用される。
【0042】
WTRUは、少なくとも、SRB(すなわち、RRCハンドオーバメッセージ)が受信されているキュー(待ち行列)をリセットすることを確実にしなければならない。WTRUは、並べ替え変数をそれらの初期値にだけリセットすることが可能であり、さらに、該当する場合には、残りの任意のセグメントを再組立てエンティティから破棄することができる。代替として、WTRUは、ターゲットセルに関連するHARQプロセス、またはソースセルにおいて使用された、これまでのすべてのHARQプロセスをフラッシュしてもよい。
【0043】
HS−DSCHサービングセルの変更手順の完成に関する実施形態を、以下に開示する。
【0044】
WTRUがハンドオーバを成功と見なすと、WTRUは、ソースセルからWTRUに割り当てられていたリソースを解放する。WTRUは、以下の場合の1つ、またはその組合せにおいて、ソースセル内のリソースを解放することができる。
(1)ハンドオーバメッセージが受信されて、そのメッセージの構成の検証が、RRCにおいて首尾よく完了した場合、
(2)ハンドオーバメッセージが受信されて、現時点とは異なるアクティベーションタイムが指定された場合(リソースは、所定のアクティベーションタイムに解放される)、
(3)WTRUが、ターゲットセルを通じて受信されたメッセージがそのWTRUに専用であることを気付くとすぐ、
(4)予想されるH−RNTIとともに、ターゲットセル上のHS−SCCHを復号するとき、または
(5)ソースNode Bから明示的なシグナリングがあるとき。このシグナリングは、ソースセルにおいてHS−SCCHオーダーを介して与えられて、ターゲットNode Bを復号化することを開始し、またソースNode Bへリソースを解放するように、WTRUに指示することができる。代替として、シグナリングは、E−AGCHにおける予約値(例えば、グラント=0、または、すべてのHARQプロセスを非活性化(動作停止)する)を使用して与えられてもよい。
【0045】
HS−DSCHサービングセルの変更手順の完了のとき、WTRUは、HARQプロセスと、ソースセルにおいて使用されていたHARQプロセスと関係するHARQメモリとをリセットすることだけを必要とすることができる。
【0046】
アクティブセット(active set:活性化セット)に入っていないセルへのサービングセルの変更に関する実施形態を、以下に開示する。
【0047】
一実施形態によれば、最良セルの変更が、アクティブセットの中に既に含まれるセルに対応しており、さらにHS−DSCH構成が、WTRUに既に与えられている(すなわち、プリロードされている)場合には、WTRUは、ターゲットセル上の、そのプリロードされたHS−DSCH構成を使用することができ、また新たな最良セルがアクティブセット内に含まれていない場合、あるいは、アクティブセット内の最良セルの変更が検出されたが、プリロードされたHS−DSCH構成が全く利用できない場合には、WTRUは、HS−DSCH共通リソースを使用して、ターゲットセルを通じてハンドオーバコマンドを受信することができる。WTRUは、測定レポートをトリガし、専用リソースまたは共通リソースのいずれかを使用して、上記に開示された実施形態の1つに従って、ターゲットセルをモニタすることを開始する。WTRUが共通リソースを使用するか、専用リソースを使用しているかどうかに依存して、WTRUは、(共通リソースを使用している場合に)、ターゲットセルを通じてRRC再構成メッセージを受信するか、もしくはアクティブセット更新メッセージを受信すること、または(専用リソースを使用している場合に)、ターゲットセルからハンドオーバの指示だけを受信することができる。
【0048】
別の実施形態によれば、WTRUは、ソースセルにおいて使用されているH−RNTI、および1つまたは複数のHS−SCCHコードが、ターゲットセルにおいても利用可能であろうと想定できる。WTRUは、WTRUがソースセルに関して使用しているのと同一のH−RNTI、および1つまたは複数のHS−SCCHコードを使ってターゲットセルをモニタする。ネットワークがWTRUを設定する際に、ネットワークは、ターゲットセルにおいて同一のH−RNTI、および/またはHS−SCCHコードが利用可能であるかどうかをチェックする。利用可能である場合には、ネットワークは、その同一のH−RNTIおよび/またはHS−SCCHコードを使用して、ターゲットセルを通じてWTRUにハンドオーバメッセージを送信することができる。
【0049】
代替として、HS−SCCHコードは、SIB上で供給されることができ、あるいはすべてのWTRUについて事前設定されることができる。HS−SCCHコードがターゲットセルにおいて利用可能である場合には、ハンドオーバメッセージは、ソースセルにおいて使用されるのと同一の専用H−RNTIを使用して、ターゲットセルを通じて送信されることができる。さもなければ、ハンドオーバメッセージは、ソースセルを通じて送信される。ネットワークは、ソースセルにおいて使用されるのと同一のH−RNTIを有するターゲットセルにおいてHS−SCCHオーダーを使用して、同一のH−RNTIがターゲットセル用に設定されていることを確認することができる。その後、WTRUは、同一のH−RNTIを用いてターゲットセルをモニタして、ハンドオーバメッセージを受信する。オプションとして、HS−SCCHオーダーが受信されていない場合、WTRUは、ターゲットセルにおける共通H−RNTIをモニタすることを開始する、またはソースセルだけをモニタするとしてよい。WTRUは、オプションとして、共通H−RNTIと、ソースセルにおいて使用される専用H−RNTIの両方に関して同時に、ターゲットセル内のHS−SCCHをモニタしてもよい。
【0050】
別の実施形態によれば、ソースセルのU−RNTI(UTRAN無線ネットワーク一時ID)、C−RNTI(セル無線ネットワーク一時ID)、H−RNTI、またはE−RNTI(E−DCH無線ネットワーク一時ID)でマスクされることが可能なSCCCH(サービングセル変更チャネル)が、ターゲットセル、および/またはソースセルを通じて使用されて、共通H−RNTIをリッスンするか、またはこれまでのソースH−RNTIがターゲットセルにおいても割り当てられていることを確認するかのいずれかをするようにWTRUに指示する。
【0051】
別の実施形態によれば、HS−SCCHオーダーまたはHS−SCCHが、ソースセル専用H−RNTIを使用してソースセルを通じて送信されて、ターゲットセルにおいて同一のH−RNTIが確認されていることをWTRUに知らせることができる。すると、WTRUは、ターゲットセルに移行し、ソースセルにおいて使用されているH−RNTIを用いてHS−SCCHをモニタすることができる。代替として、ソースセルにおけるE−AGCHでの特別な予約値が、同一のことを示すのに使用されてもよい。
【0052】
別の実施形態によれば、ハンドオーバコマンドは、HS−SCCHの特別なフォーマットを用いて、ターゲットセルを通じて送信されることができ、ここでWTRUのU−RNTIが、H−RNTIの代わりに使用されて、(すなわち、H−RNTIの代わりにU−RNTIでマスクして)、HS−SCCHにおいてWTRUをアドレス指定する。この実施形態は、アクティブセット内の最良セルの変更に関しても使用されることができる。
【0053】
別の実施形態によれば、デフォルトの設定は、最良セルの変更がアクティブセットの外側で生じた場合に使用するために、WTRUに対して与えられることができる。デフォルトの設定は、WTRUによって、ターゲットセルを通じてハンドオーバコマンドを受信することに限って使用される。一群のWTRUが同一のデフォルト設定を有する場合には、ネットワークは、その設定を、一度に1つのWTRUだけが使用するのを認めることができる。
【0054】
上記の実施形態は、E−DCHサービングセルの変更の場合に同一のE−DCHリソース(E−RNTI、E−AGCHコードなどの)が、ターゲットセルにおいても割り当てられることを確認するのに使用されることもできる。また、この確認は、これまでのソースセルE−RNTIでマスクされたE−AGCHの特別な予約値を使用して、ターゲットセル内に送信されることもできる。
【0055】
上記の実施形態に関して、WTRUが、ターゲットセルのHS−SCCH内のこれまでのソースH−RNTIを復号し、復号されたH−RNTIが、設定されているHS−SCCHオーダーに対応しない場合には、WTRUは、そのメッセージを受信しようと試みないとすることができる。同一のことが、これまでのソースE−RNTIでマスクされたE−AGCHに対して適応できる。特別な予約値が復号されない場合には、WTRUは、ターゲットセルにおいて示される絶対許可(アブソリュートグラント)を使用しないとすることができる。
【0056】
オプションとして、デフォルトの設定、または共通設定と一緒に、WTRUは、隣接セルの、F−DPCH(部分専用物理チャネル)情報、DPCCH(専用物理制御チャネル)情報、HS−DPCCH(高速専用物理制御チャネル)情報、およびE−DCHリソースのうちの少なくとも1つを供給されることができる。WTRUが、そのデフォルトの設定を使用することが確認された、またはリソースに唯一のアクセスを有する場合には、確認を得ると、WTRUは、電力制御ループを開始してターゲットNode Bに同期しようと試みるようにトリガされることができる。
【0057】
ソースセルとターゲットセルの両方から同時の受信することに関する実施形態を、以下に開示する。WTRUは、ターゲットセルとソースセルから同時にハンドオーバコマンドを受信する。このことは、ソースセルとターゲットセルから或るタイプのソフトハンドオーバを実行することによって達せられることができる。このことは、Node B内ハンドオーバまたはNode B間ハンドオーバに適用されることができる。
【0058】
ソフトハンドオーバを許可するためには、ソースセルとターゲットセルはともに、すべてのMAC−ehs PDU(プロトコルデータユニット)が同一のサイズであり、同一のTSN(伝送シーケンス番号)の番号付けが、異なるセルにおける両方のキューからもたらされるように、同期される必要がある。代替として、MAC−ehs PDUサイズは、同一でない可能性があるが、並べ替えPDU(対応するSRBを含む優先キューについての)のサイズ、および並べ替えPDUのTSN番号は、同一であるとすることができる。
【0059】
PDUのソフトコンバイニング(soft combining)は、WTRUの並べ替えキューにおいて実行されることができる。並べ替えキューは、ハンドオーバメッセージを送信するのに使用されるSRBのために蓄えておくことができる。TSN番号は、同期されなければならず(すなわち、0から始まる)、またはソースNode Bが、使用するTSN番号をターゲットNode Bに対して明示的に示さなければならない。このことは、ソースセルおよびWTRUが、SRBがマップされる並べ替えキューの並べ替え変数にリセットされることを必要とするであろう。両方のセルからのMAC−ehs PDUのスケジューリングは、ソースセルとターゲットセルの間の最大遅延が、対応する並べ替えキューのために設定されたT1タイマを超えるようにしなければならない。このことは、このデータおよび/またはWTRUを、他のいずれのデータおよび/またはWTRUよりも優先的に取り扱うことによって成し遂げることができる。
【0060】
同一サイズの並べ替えPDUの作成は、以下のオプションの1つ、またはその組合せを使用して成し遂げることができる。Node B内サービングセルの変更が存在する場合、ソースセルは、TTI(伝送時間間隔)ごとに、ソースセルがWTRUから受信するサイズ、および、オプションとしてCQIを、ターゲットセルに知らせることができる。第1優先スケジューリングを保証することにより、ソースセルとターゲットセルは、わずかに同期されることができる。TSN番号が、オプションとして、ターゲットNode Bに供給されることができ、あるいはソースセル、ターゲットセル、およびWTRUのすべてが、並べ替え変数をそれらの初期デフォルト値にリセットする。
【0061】
代替として、ターゲットセルは、WTRUによってソースセルに送信されたHS−DPCCHをモニタし、受信されたCQIに従ってMAC−ehs PDUを作成してもよい。代替として、ターゲットセルとソースセルは常に、同一サイズの並べ替えPDUを作成してもよい。事前定義された並べ替えPDUサイズが常に、ハンドオーバメッセージのために使用されるとしてもよい。オプションとして、WTRUは、1つのTTIにおける同一の並べ替えキューから2つ以上の並べ替えPDUを多重化することを許されることができる。より具体的には、並べ替えPDUサイズがxビットに事前設定され、さらに、選択されたトランスポートブロックサイズがyビットであり、ただし、y>xである場合、WTRUは、所定のトランスポートブロック内にINT(y/x)並べ替えPDUを含めることができる。各並べ替えPDUには、それらの並べ替えPDUが同一の並べ替えキューに相当する可能性があるとしても、TSN(伝送シーケンス番号)が与えられる。
【0062】
代替として、MAC−ehs PDUは、ソースNode BとターゲットNode Bの両方に無関係に(すなわち、異なるサイズ、異なるTSN、および異なる並べ替えキューで)作成されてもよい。これらのメッセージのソフトコンバイニングは、RLCレベルで実行されることができる。代替として、ソースセルとターゲットセルは、交互のTTIで伝送してもよい。
【0063】
ソースセルとターゲットセルの両方での同時の伝送のために、HS−SCCHが、単一のセルで、(ソースセルまたはターゲットセルのいずれかを通じて)、送信されることができるのに対して、HS−PDSCH(RRCハンドオーバコマンドを含む)は、両方のセルを通じて送信されることができる。この事例において、両方のセルにおいてHS−PDSCH情報を示す新たなHS−SCCHフォーマットが定義されることが可能であり、または従来のHS−SCCHフォーマットが使用されることが可能であり、WTRUは、このHS−SCCHフォーマットが両方のセルに適用可能であることを暗黙のうちに知る。代替として、HS−SCCHが、両方のセルで送信されることができるのに対して、HS−PDSCHは、1つだけのセルで、ソースセルまたはターゲットセルで、しか送信されることができないとしてもよい。代替として、HS−SCCHとHS−PDSCHの両方が、両方のセルで送信されることができるとしてもよい。
【0064】
ターゲットセルで受信するためのHS−SCCH低減動作に関する実施形態を、以下に開示する。
【0065】
ターゲットセルでのハンドオーバコマンドの受信は、HS−SCCHなしに成し遂げられることができる。このことは、専用H−RNTIまたは共通H−RNTIを、HS−DSCHを介する伝送において使用されるCRC(巡回冗長検査)を用いてマスクすることによって達せられることができる。このメッセージは、限られたHS−DSCH構成設定(configuration)(例えば、1つまたは2つのHS−PDSCHコード)を使用して、限られたトランスポートブロックサイズセット、ならびに限られた変調スキームおよびコーディングスキーム(コード体系)を使用して、送信されて、WTRUによるトランスポートブロックのブラインド検出を簡素化することができる。HS−PDSCH構成設定およびH−RNTIを含む「HS−DSCH」情報が、前段の実施形態において説明されたように決めることができる。
【0066】
代替として、ハンドオーバコマンドの受信のためのHS−SCCH低減動作が、ターゲットセルに加えて、またはターゲットセルの代わりに、ソースセルにおいて適用されてもよい。また、前述した実施形態は、HS−SCCH低減動作にも適用できる。HS−SCCHにおけるH−RNTIを復号することは、CRCにおいてH−RNTIを復号することと均等であるということになる。
【0067】
図3は、例示的なWTRU300のブロック図である。WTRU300は、受信部302と、モニタ部304と、メモリ306と、コントローラ308とを含む。受信部302は、HS−SCCHを含むチャネルを受信するように構成される。モニタ部304は、ソースセルで、および少なくとも1つの隣接セルで信号をモニタするように構成される。メモリ306は、ターゲットセルに関するプリロードされるHS−DSCHリソース情報を格納するように構成される。コントローラ308は、上記で開示された実施形態に従って、ソースセルからターゲットセルへのサービングHS−DSCHセルの変更に関する制御機能を実行するように構成される。例えば、コントローラ308は、ターゲットセルに関してイベント1Dを検出して、タイマを開始し、さらに測定レポートがイベント1Dによってトリガされているという条件で、ターゲットセルに関するプリロードされたHS−DSCHリソースを使用してターゲットセルでHS−SCCHをモニタすることを開始するように受信部を制御するように構成される。
【0068】
コントローラ308は、ハンドオーバメッセージがタイマの満了よりも前に受信されたという条件で、ターゲットセルへのハンドオーバを実行するように構成されることができる。コントローラ308は、ターゲットセルに関するハンドオーバメッセージを受信するよりも前にタイマが満了したという条件で、ターゲットセルでHS−SCCHをモニタすることを停止するように構成されることができる。受信部302は、ソースセルとターゲットセルから同時にメッセージを受信するように構成されることが可能であり、少なくとも1つのHARQプロセスが、ターゲットセルからのメッセージを受信するために用意される。受信部302は、ソースセルとターゲットセルから同時にメッセージを受信するように構成されることが可能であり、ソースセルで使用される同一のHARQプロセスが、ターゲットセルからのメッセージを受信するために使用される。コントローラ308は、ハンドオーバメッセージがタイマの満了よりも前にターゲットセルから受信されたという条件で、ソースセルにおけるHS−DSCHリソースを解放するように構成されることができる。コントローラ308は、予想されるH−RNTIとともにターゲットセル上のHS−SCCHが復号されるときに、ソースセルにおけるHS−DSCHリソースを解放するように構成されることができる。受信部302は、ターゲットセルにおいてだけHS−SCCHを受信するように構成されることが可能であり、さらに受信されたHS−SCCHに基づいて、ソースセルとターゲットセルの両方でHS−PDSCHを受信することが可能である。
【0069】
(実施形態)
1.ソースセルからターゲットセルへのサービングHS−DSCHセルの変更を実行するための方法。
2.WTRUが、ターゲットセルに関するプリロードされるHS−DSCH構成設定を受信し、格納することを含む実施形態1の方法。
3.WTRUが、ターゲットセルに関するイベント1Dを検出することをさらに含む実施形態2の方法。
4.WTRUが、タイマを開始することをさらに含む実施形態3の方法。
5.WTRUが、測定レポートがイベント1Dによってトリガされたという条件で、ターゲットセルに関するプリロードされたHS−DSCH構成設定を使用して、ターゲットセル上のHS−SCCHをモニタすることを開始することをさらに含む実施形態3〜4のいずれか一実施形態におけるとおりの方法。
6.WTRUが、ターゲットセルに関するハンドオーバメッセージが受信されたかどうかを判定することをさらに含む実施形態2〜5のいずれか一実施形態におけるとおりの方法。
7.WTRUが、ハンドオーバメッセージがターゲットセルに関して受信されたという条件で、ターゲットセル上のHS−SCCHをモニタすることを停止することをさらに含む実施形態6の方法。
8.ハンドオーバメッセージは、ターゲットセルHS−SCCHオーダーとRRCメッセージのいずれかである実施形態6〜7のいずれか一実施形態におけるとおりの方法。
9.WTRUが、ターゲットセルに関するハンドオーバメッセージを受信するよりも前にタイマが満了したという条件で、ターゲットセル上のHS−SCCHをモニタすることを停止することをさらに含む実施形態5〜8のいずれか一実施形態におけるとおりの方法。
10.WTRUが、タイマの満了よりも前にターゲットセルからハンドオーバメッセージが受信されたという条件で、ソースセルにおけるHS−DSCHリソースを解放することをさらに含む実施形態5〜9のいずれか一実施形態におけるとおりの方法。
11.WTRUが、予想されるH−RNTIとともにターゲットセル上のHS−SCCHを復号すると、ソースセルにおけるHS−DSCHリソースを解放することをさらに含む実施形態5〜10のいずれか一実施形態におけるとおりの方法。
12.ソースセルからターゲットセルへのサービングHS−DSCHセルの変更を実行するように構成されたWTRU。
13.HS−SCCHを受信するように構成された受信部を具備する実施形態12のWTRU。
14.ソースセル上、および少なくとも1つの隣接セル上の信号をモニタするように構成されたチャネルモニタ部を具備する実施形態12〜13のいずれか一実施形態におけるとおりのWTRU。
15.ターゲットセルに関するプリロードされたHS−DSCHリソース情報を格納するように構成されたメモリを具備する実施形態12〜14のいずれか一実施形態におけるとおりのWTRU。
16.ターゲットセルに関してイベント1Dを検出し、タイマを開始し、さらに測定レポートがイベント1Dによってトリガされたという条件で、ターゲットセルに関するプリロードされたHS−DSCHリソースを使用してターゲットセル上のHS−SCCHをモニタすることを開始するように受信部を制御するように構成されたコントローラを具備する実施形態15のWTRU。
17.コントローラは、ハンドオーバメッセージがターゲットセルに関して受信されたという条件で、ターゲットセル上のHS−SCCHをモニタすることを停止するように構成される実施形態16のWTRU。
18.ハンドオーバメッセージは、ターゲットセルHS−SCCHオーダーとRRCメッセージのいずれかである実施形態17のWTRU。
19.コントローラは、ターゲットセルに関するハンドオーバメッセージを受信するよりも前にタイマが満了したという条件で、ターゲットセル上のHS−SCCHをモニタすることを停止するように構成されている実施形態17〜18のいずれか一実施形態におけるとおりのWTRU。
20.コントローラは、タイマの満了よりも前にターゲットセルからハンドオーバメッセージが受信されたという条件で、ソースセルにおけるHS−DSCHリソースを解放するように構成されている実施形態17〜19のいずれか一実施形態におけるとおりのWTRU。
21.コントローラは、予想されるH−RNTIとともにターゲットセル上のHS−SCCHを復号すると、ソースセルにおけるHS−DSCHリソースを解放するように構成されている実施形態17〜20のいずれか一実施形態におけるとおりのWTRU。
【0070】
特徴および要素は、上記において特定の組合せで説明されているが、各特徴または各要素は、その他の特徴および要素なしに単独で使用されることが可能であり、あるいは他の特徴および要素を伴って、または伴わずに様々な組合せで使用されることもできる。本明細書で提供された方法または流れ図は、汎用コンピュータまたはプロセッサによって実行されるようにコンピュータ可読記憶媒体に組み込まれたコンピュータプログラム、ソフトウェア、またはファームウェアにおいて実施されることができる。コンピュータ可読記憶媒体の例には、ROM(読み取り専用メモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリデバイス、内部ハードディスクやリムーバブルディスクなどの磁気媒体、光磁気媒体、ならびにCD−ROMおよびDVD(デジタルバーサタイルディスク)などの光媒体が含まれる。
【0071】
適切なプロセッサには、例として、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、従来のプロセッサ、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアに関連する1つまたは複数のマイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、ASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)回路、他の任意のタイプのIC(集積回路)、および/または状態マシンが含まれる。
【0072】
ソフトウェアと関連してプロセッサは、WTRU(無線送信/受信ユニット)、UE(ユーザ機器)、端末装置、基地局、RNC(無線ネットワークコントローラ)、または任意のホストコンピュータで用いる無線周波数トランシーバを実施するのに使用されることができる。WTRUは、カメラ、ビデオカメラモジュール、テレビ電話機、スピーカフォン、振動デバイス、スピーカ、マイクロフォン、テレビトランシーバ、ハンズフリーヘッドセット、キーボード、Bluetooth(登録商標)モジュール、FM(周波数変調)無線ユニット、LCD(液晶ディスプレイ)ディスプレイユニット、OLED(有機発光ダイオード)ディスプレイユニット、デジタル音楽プレーヤ、メディアプレーヤ、ビデオゲームプレーヤモジュール、インターネットブラウザ、および/または任意のWLAN(無線ローカルエリアネットワーク)モジュールまたはUWB(超広帯域)モジュールなどの、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで実施されるモジュールと連動して使用されることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線送信/受信ユニット(WTRU)によってソースセルからターゲットセルにサービングHS−DSCH(high speed downlink shared channel)セル変更を行う方法であって、
前記方法は、
HS−DSCHターゲットセルの事前設定情報を前記WTRUによって受信し、および格納するステップと、
前記WTRUによってイベント1Dを判定するステップと、
前記イベント1Dに応答して前記WTRUによって測定レポートをトリガするステップと、
前記WTRUによってタイマを開始するステップと、
前記タイマの満了まで、セル変更情報について前記ターゲットセル上のHS−SCCH(high speed shared control channel)を前記WTRUによってモニタするステップと
を備え、
前記WTRUは、前記HS−DSCHセル変更の間、前記HS−DSCHターゲットセルの事前設定情報を使用することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記HS−DSCHターゲットセルの事前設定情報は、アクティブセット更新中にネットワークコンポーネントによって提供されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ターゲットセルについてのハンドオーバメッセージが受信されるかどうかを前記WTRUによって判定するステップと、
前記ターゲットセルについてのハンドオーバメッセージが受信されるという条件で、前記ターゲットセル上の前記HS−SCCHをモニタすることを前記WTRUによって止めるステップと
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−62881(P2013−62881A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−279790(P2012−279790)
【出願日】平成24年12月21日(2012.12.21)
【分割の表示】特願2011−500980(P2011−500980)の分割
【原出願日】平成21年3月20日(2009.3.20)
【出願人】(510030995)インターデイジタル パテント ホールディングス インコーポレイテッド (229)
【Fターム(参考)】