説明

サーファクタントタンパク質B(SP−B)およびサーファクタントタンパク質C(SP−C)の類似体を含有する改善された再構築サーファクタント組成物

本発明は、脂質担体、天然サーファクタントタンパク質SP−Cのポリペプチド類似体と天然サーファクタントタンパク質SP−Bの特定のポリペプチド類似体との組合せを含む、再構築肺サーファクタントに関する。本発明はまた、この再構築肺サーファクタントの医薬製剤、ならびにRDSおよび他の呼吸器障害を治療または予防するためのこの再構築肺サーファクタントの使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、呼吸促迫症候群(呼吸促迫症候群:RDS:respiratory distress syndrome)および他の呼吸器障害の予防および/または治療に適した再構築肺サーファクタントに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ヒト肺は、肺胞と呼ばれる多数の小さな空気嚢からなり、ここで肺の血液と気泡空隙との間でガスが交換される。健康な個体では、この交換は、息の吐き出し、すなわち呼気の終末に肺が虚脱するのを防ぐタンパク質含有サーファクタント複合体の存在により媒介される。
【0003】
肺サーファクタント複合体は、主に脂質からなり、少量のさまざまなタンパク質を含有する。十分なレベルのこの複合体が欠乏すると、肺の機能不全または障害をもたらす。この症候群は呼吸促迫症候群(RDS)と呼ばれ、は一般に早産児または未熟児(preterm infant)がRDSに冒されている。
【0004】
前記症候群は、Curosurf(登録商標)として知られるゴールドスタンダード製剤などの、動物肺から抽出された市販の修飾天然サーファクタント製剤で効果的に治療される。
【0005】
これらのサーファクタント製剤の主要成分は、リン脂質、ならびにサーファクタント疎水性タンパク質BおよびC(SP−BおよびSP−C)である。
【0006】
製造工程の複雑さ、ならびに起こり得るウイルス汚染および/または免疫応答の誘導などの、動物組織由来のサーファクタント製剤の短所のため、合成サーファクタントが当技術分野で利用されている。
【0007】
前記合成サーファクタントは、単に合成化合物、主としてリン脂質および他の脂質の混合物として形成可能であり、「人工」サーファクタントとして知られる。該サーファクタントは、長年にわたり臨床診療で使用されているが、この有効性は修飾天然サーファクタントの有効性には匹敵しない。
【0008】
サーファクタントタンパク質またはサーファクタントペプチドも含有する人工サーファクタントも、現在開発中である。これらの人工サーファクタントは、「再構築(reconstituted)」サーファクタントまたは「生物模倣(bio−mimetic)サーファクタント」のどちらかで呼ばれている。
【0009】
しかし、入手可能な文献によれば、これまでに開発された再構築サーファクタントはいずれも、肺コンプライアンス(肺での順応性)の観点では動物から抽出されたサーファクタントの有効性に匹敵する有効性を示していない。さらに再構築サーファクタントは、呼気の終末に不十分な肺ガス量の上昇とある程度の肺胞の開存を与えるが、修飾天然サーファクタントにより達成されるものに匹敵するin vivoでの活性を達成するには、呼気終末陽圧(PEEP)による換気が必要とされる(Johansson Jら J Appl Physiol2003年、95、2055〜2063頁;Davis AJら Am J Respir Crit Care Med 1998年;157、553〜559頁)。
【0010】
可能性のある説明は、開発中の再構築サーファクタントは1つのタンパク質(ペプチド)成分のみを含むことから、該サーファクタントは修飾天然サーファクタントの完全なタンパク質プロファイルを再現していないというものである。
【0011】
一方、良好な有効性に加えて、サーファクタント組成物は、水性媒体での濃縮懸濁液の製剤を可能にする低粘度を示す必要もある。
【0012】
少量で濃縮懸濁液を調製する可能性は、実際、きわめて低体重の新生児に投与するのに特に重要な特徴となる。
【0013】
ペプチド−リン脂質系は、リン脂質混合物の組成物および特定のリン脂質/ペプチドの組合せに特性が大きく依存する、やや複雑な混合物である。
【0014】
さらなるペプチドの存在は、組成物の流体力学的なレオロジー特性に影響を及ぼし、該系をさらにより複雑にするであろう。
【0015】
従来技術では、ヒトサーファクタントタンパク質に類似のSP−BおよびSP−C類似体の両方を含む再構築サーファクタントが、例えばWO 00/76535、WO 2008/011559およびWO 2008/044109に開示されている。
【0016】
しかし、これらに開示された組成物はいずれも、特定の粘度において、肺コンプライアンスおよびレオロジー特性の観点での最適特性を有することは示されていない。
【0017】
したがって、動物肺から抽出されたサーファクタントの有効性に匹敵する有効性、ならびに投与時に肺の気管支肺胞部分(broncho-alveolar part)への容易な送達および分布を可能にする最適レオロジー特性を有する再構築サーファクタント製剤が依然として必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】国際公開第2000/76535号公報
【特許文献2】国際公開第2008/011559号公報
【特許文献3】国際公開第2008/044109号公報
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Johansson Jら J ApplPhysiol 2003年、95、2055〜2063頁
【非特許文献2】Davis AJら Am J Respir Crit Care Med 1998年;157、553〜559頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、肺コンプライアンスおよび粘度の観点で改善された特性を有する再構築サーファクタント組成物を提供することにより、この問題に対処するものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
(発明の概要)
本発明は、
a)式:IPSSPVHLKRLKLLLLLLLLILLLILGALLLGL(配列番号:1)により表される配列からなる天然サーファクタントタンパク質SP−Cのポリペプチド類似体1.2重量%から1.8重量%と、
b)式:CWLCRALIKRIQALIPKGGRLLPQLVCRLVLRCS(配列番号:2)により表される配列からなる天然サーファクタントタンパク質SP−Bのポリペプチド類似体0.1重量%から0.5重量%と、
45:55から55:45の範囲の重量比でのモノ不飽和リン脂質と飽和リン脂質とを含み、前記量の全てが再構築サーファクタントの総重量に対して計算される、
再構築サーファクタントに関する。
【0022】
本発明はまた、本発明にかかる再構築サーファクタントを単独で、または1つもしくは複数の薬学的に許容される担体との組合せで含む医薬組成物も提供する。
【0023】
本発明はまた、本発明にかかる再構築サーファクタントの医薬品としての使用も提供する。
【0024】
さらなる態様では、本発明は、呼吸促迫症候群(RDS)および他の呼吸器障害を予防および/または治療するための本発明にかかる再構築サーファクタントの使用を提供する。
【0025】
さらに、本発明は、呼吸促迫症候群(RDS)および他の呼吸器障害を予防および/または治療する医薬品を製造するための本発明にかかる再構築サーファクタントの使用を提供する。
【0026】
本発明はまた、呼吸促迫症候群(RDS)および他の呼吸器障害を予防および/または治療する方法も提供し、この方法は、このような治療を必要とする患者に上述の再構築サーファクタントの治療的に有効な量を投与することを含む。
【0027】
さらなる実施形態では、本発明は、有害な物質および/または炎症性滲出液(inflammatory exudate)を除去する洗浄技術により、肺に本発明の希釈再構築サーファクタントを投与して、肺を拡張および肺機能を改善することを含む方法を提供する。
【0028】
最後に、本発明はまた、a)第1の単位投与形態における粉末形態での前述の再構築サーファクタント、b)第2の単位投与形態における薬学的に許容される担体、ならびにc)前記第1および第2の投与形態を含有するための収容手段(容器)を有する、キットにも関する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の再構築サーファクタント(N3)対Curosurf(登録商標)および未処置動物(n=動物の数)の時間/圧力の関数としての、1回換気量(ml/kg)に関する結果を示す図である。
【図2】本発明の再構築サーファクタント(N3)対Curosurf(登録商標)および未処置動物(n=動物の数)の肺ガス量(ml/kg)に関する結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
定義
サーファクタント製剤のための「サーファクタント活性」は、表面張力を低下させる能力として定義される。
【0031】
外因性サーファクタント製剤のin vitroでの有効性は、一般に、Wilhelmy BalanceおよびCaptive Bubbleサーファクトメーター(Surfactometer)などの適切な装置を用いて、表面張力を低下させる能力を測定することによりテストされる。
【0032】
外因性サーファクタント製剤のin vivoでの有効性は、一般に、2つのパラメータ、すなわち
i)肺コンプライアンスの指標である満杯量、すなわち1回換気量(1回呼吸量)および
ii)呼気の終了時における肺胞気拡張(alveolar air expansion)または開存(alveolar air patency)の指標、すなわち、呼気の終末に肺胞において安定なリン脂質膜を形成する能力の指標である肺ガス量、
を測定することによりテストされる。
【0033】
本明細書で使用される「治療的に有効な」量とは、内因性サーファクタントの欠乏または機能不全に関連した呼吸器疾患または障害を予防、回避、減少または除去することができる再構築サーファクタントの量を指す。
【0034】
用語「薬学的に許容される」または「生理学的に許容される」とは、望ましくない生理作用を生じることなくヒトに投与されることができる組成物、媒体、溶剤、塩を指す。
【0035】
用語「天然サーファクタントタンパク質SP−Cのポリペプチド類似体」は、リン脂質との混合物において、ポリペプチドが肺サーファクタント活性(in vitroおよびin vivoでの有効性アッセイにより実証できるような)を示す限り、天然SP−Cタンパク質と比べて、アミノ酸が欠損しているおよび/または他のアミノ酸に置換されているアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味する。
【0036】
用語「天然サーファクタントタンパク質SP−Bのポリペプチド類似体」は、リン脂質との混合物において、ポリペプチドが肺サーファクタント活性(in vitroおよびin vivoでの有効性アッセイにより実証できるような)を示す限り、天然SP−Bタンパク質と比べて、アミノ酸が欠損しているおよび/または他のアミノ酸に置換されているアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味する。
【0037】
例えば、細胞、または核酸、タンパク質、またはベクターに関連して使用される場合の「組換え」は、細胞、核酸、タンパク質またはベクターが、異種の核酸もしくはタンパク質の導入または天然の核酸もしくはタンパク質に変化による修飾がなされていることを示す。
【0038】
本明細書では、少数点に適用される用語「約」は、±1%の変動を示す。
【0039】
リン脂質は、1つの脂肪酸がリン酸基および単純な有機分子に置換されている脂質である。サーファクタント製剤で見出され得るリン脂質の最も一般的なクラスは、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジルイノシトール(PI)、およびホスファチジルセリン(PS)である。
【0040】
リン脂質のグリセロール部分は、長鎖脂肪酸により主にエステル化され、今度は飽和化(例えばミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸)、モノ不飽和化(例えばオレイン酸)または多価(ポリ)不飽和化(例えばリノール酸およびアラキドン酸)され得る。
【0041】
特に、本出願において考慮される化合物は、飽和誘導体であるジパルミトイル−ホスファチジルコリン(DPPC)としても知られる、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、およびモノ不飽和誘導体であるパルミトイル−オレイル−ホスファチジルグリセロール(POPG)としても知られる、1−パルミトイル−2−オレイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロールである。
【0042】
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを指すのに本明細書で交換可能に使用される。
【0043】
アミノ酸配列は、左末端(アミノ末端)に遊離アミノ基を保有するアミノ酸、および右末端(カルボキシル末端)に遊離カルボキシル基を保有するアミノ酸が1文字表記により示される。
【0044】
本明細書で特定される全てのアミノ酸残基は、天然のL体であり、本明細書で特定される配列は、アミノ酸残基の標準的な略語により記載される。疑いを避けるため、アミノ酸誘導体L−ノル−ロイシンは、本明細書ではnLeuと呼ばれ、L−オルニチンはOrnと略される。
【0045】
図面
図1は、本発明の再構築サーファクタント(N3)対Curosurf(登録商標)および未処置動物(n=動物の数)の時間/圧力の関数としての、1回換気量(ml/kg)に関する結果を示す図である。
【0046】
図2は、本発明の再構築サーファクタント(N3)対Curosurf(登録商標)および未処置動物(n=動物の数)の肺ガス量(ml/kg)に関する結果を示す図である。
【0047】
発明の詳細な説明
WO 2008/044109で一般的に開示されたサーファクタント組成物におけるリン脂質、ならびにSP−B類似体およびSP−C類似体の相対量によって、粘度がいかに影響されるか、ならびに前記成分が、再構築サーファクタントにおいて互いにいかに影響されるかを調べるため、多因子実験デザインが構築された。
【0048】
SP−B類似体の量は、サーファクタント組成物の粘度に対し有意な影響を有すること、故に再構築サーファクタントの粘度を許容される低レベルまで低下させるには、SP−B類似体の含有量を、治療有効性と適合する量で、できる限り低く維持する必要があることが見出された。
【0049】
WO2008/044109は、SP−B類似体の存在下で、好ましくは7:3に等しいか、または7:3より高いDPPC:POPG比の使用に関する。WO2008/044109は、このようなサーファクタント組成物の粘度に関して言及していない。現状では、サーファクタント中のSP−B類似体量が最小化される場合、DPPCなどのジ飽和リン脂質(disaturated phospholipid)とPOPGなどの不飽和リン脂質との高い比が、対応する組成物の許容し難い高粘度をもたらすことは見出されている。しかし、本発明者らは、飽和リン脂質に対する不飽和リン脂質の比が、従来技術において開示された比を下回る、好ましくは約1:1に低下された低SP−Bサーファクタントを調製してこの問題を克服し、およびこれらのサーファクタント組成物が驚くべき低粘度を有し、これが該組成物を全ての臨床適用に対して有用にすることを示した。
【0050】
1つの実施形態では本発明は、
a)式:IPSSPVHLKRLKLLLLLLLLILLLILGALLLGL(配列番号:1)により表される配列からなる天然サーファクタントタンパク質SP−Cのポリペプチド類似体1.2重量%から1.8重量%と、
b)式:CWLCRALIKRIQALIPKGGRLLPQLVCRLVLRCS(配列番号:2)により表される配列からなる天然サーファクタントタンパク質SP−Bのポリペプチド類似体0.1重量%から0.5重量%と、
45:55から55:45の範囲の重量比でのモノ不飽和リン脂質と飽和リン脂質と、を含み、前記量の全てが再構築サーファクタントの総重量に対して計算される、再構築サーファクタントに関する。
【0051】
本発明の再構築サーファクタントではSP−Cタンパク質類似体成分は、好ましくは再構築サーファクタントの総重量の1.4重量%から1.6重量%の間、およびより好ましくは約1.5重量%を占める。
【0052】
本発明の再構築サーファクタントではSP−Bタンパク質類似体成分は、好ましくは再構築サーファクタントの総重量の0.2重量%から0.4重量%の間、より好ましくは約0.2重量%を占める。
【0053】
本発明の再構築サーファクタントは、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)およびジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)などの飽和リン脂質、ならびにパルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)およびパルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(POPG)などのモノ不飽和リン脂質を有利には含むことができる。
【0054】
本発明による使用に好ましい飽和リン脂質がDPPCであるのに対し、好ましいモノ不飽和リン脂質はPOPGである。
【0055】
有利には、リン脂質の合計重量は、再構築サーファクタントの総重量の少なくとも90%、有利には少なくとも95%、好ましくは少なくとも97.7%、より好ましくは98.3%を占める。
【0056】
1つの実施形態では本発明は、
a)式:IPSSPVHLKRLKLLLLLLLLILLLILGALLLGL(配列番号:1)により表される配列からなる天然サーファクタントタンパク質SP−Cのポリペプチド類似体の約1.5重量%と、
b)式:CWLCRALIKRIQALIPKGGRLLPQLVCRLVLRCS(配列番号:2)により表される配列からなる天然サーファクタントタンパク質SP−Bのポリペプチド類似体の約0.2重量%と、
c)約50:50の重量比での1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)および1−パルミトイル−2−オレイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロール(POPG)と
を含み、前記量の全てが再構築サーファクタントの総重量に対して計算される、再構築サーファクタントに関する。
【0057】
1つの特定の実施形態では本発明は、
a)式:IPSSPVHLKRLKLLLLLLLLILLLILGALLLGL(配列番号:1)により表される配列からなる天然サーファクタントタンパク質SP−Cのポリペプチド類似体の約1.5重量%と、
b)式:CWLCRALIKRIQALIPKGGRLLPQLVCRLVLRCS(配列番号:2)により表される配列からなる天然サーファクタントタンパク質SP−Bのポリペプチド類似体の約0.2重量%と、
c)1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)の約49.15重量%と、
d)1−パルミトイル−2−オレイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロール(POPG)の約49.15重量%と
を含み、前記量の全てが再構築サーファクタントの総重量に基づいて計算される、再構築サーファクタントに関する。
【0058】
好ましい実施形態では、配列番号:2のポリペプチドは、分子内ジスルフィド結合が、1位および33位における2つのシステイン残基間、ならびに/または、4位および27位における2つのシステイン残基間にある、ジスルフィド結合分子の形態であることができる。
【0059】
配列番号:1のポリペプチドは、WO 2008/044109(参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる)ではSP−C33(Leu)と呼ばれているのに対し、配列番号:2のポリペプチドは、WO 2008/044109ではMini−B(Leu)と呼ばれ、およびこのジスルフィド結合形態はoxMini−B(Leu)と呼ばれている。
【0060】
さらにより好ましい実施形態では、本発明の再構築サーファクタントは、基本的に、請求項に記載された量での成分a)、b)およびc)、更には所望によりd)からなる。
【0061】
有利には両方のポリペプチドは、薬学的に許容される塩の形態で存在することができる。前記塩には、例えば、塩酸、酢酸、およびトリフルオロ酢酸の塩が含まれる。好ましくは両方のポリペプチドは酢酸塩の形態で組成物中に存在する。
【0062】
同様にPOPGも、有利には、薬学的に許容される塩の形態、例えばナトリウム塩(POPG Na)として存在することができる。
【0063】
配列番号:1および配列番号:2のポリペプチドは、当業者によく知られた合成方法または組換え技術により調製することができる。
【0064】
入手可能な多くの技術の優れた概要は、J. M. StewardおよびJ. D. Young、「Solid Phase Peptide Synthesis」、W. H. Freeman Co.、サンフランシスコ、1969年、ならびに固相ペプチド合成に関するJ. Meienhofer、「Hormonal Proteins and Peptides」、第2巻、46頁、Academic Press(ニューヨーク)、1983年、ならびに古典的溶液合成に関するE. SchroderおよびK. Kubke、「The Peptides」、第1巻、Academic Press(ニューヨーク)、1965年に見出すことができる。
【0065】
ポリペプチドは、好ましくは、J. Am. Chem. Soc. 85:2149〜2154頁(1963年)でMerrifieldにより最初に記載された固相合成技術を用いて調製することができる。他のポリペプチド合成技術は、例えば、M. Bodanszkyら、Peptide Synthesis、John Wiley & Sons、第2版、(1976年)および当業者に知られた他の参考文献に見出すことができる。
【0066】
このような合成で使用するための適切な保護基は、上記のテキストおよびJ. F. W. McOmie、Protective Groups in Organic Chemistry、Plenum Press、ニューヨーク、NY(1973年)に見出されるであろう。
【0067】
例えば、ポリペプチドは両方とも、WO 2008/044109に記載されているように調製することができる。
【0068】
RDSなどの疾患を治療するための本発明の再構築サーファクタントの有効量は、本明細書で記載されている通り、疾患のタイプ、投与の手段、患者の体重および生理学的状態、ならびに治療が予防的または治療的であるかどうかを含む、多くの種々の要因に応じて異なる。
【0069】
一般に、投与量は、体重1kgあたり0.01mgから10g、好ましくは体重1kgあたり0.1から1gが含まれ、投与の頻度は、治療が予防的または治療的であるかどうかに応じて異なり得る。典型的には約50mg/kg、100mg/kg、または200mg/kgの投与量が、1回の投与で投与される。新生児で使用するには、1回または2回投与が一般的に十分である。
【0070】
要求される量(ニーズ)は、呼吸器疾患の重症度および/または他の変数に応じて異なり得るが、有効投与量の最適範囲の決定は、当業者の技術範囲内である。
【0071】
本発明はまた、本発明の再構築サーファクタントを含む医薬製剤にも関する。
【0072】
前記製剤は、有利には、溶液、分散液、懸濁液または乾燥粉末の形態で投与される。好ましくは、前記組成物は、水または生理食塩水溶液(0.9%w/v NaCl)などの、適切な生理学的に許容される溶媒または再懸濁用担体に溶解または懸濁された再構築サーファクタントを含む。
【0073】
本発明の製剤は、pH緩衝剤、希釈剤および他の適切な添加剤を含むこともできる水溶液、好ましくは滅菌水溶液を含んでもよい。
【0074】
製剤は、単回(単位)投与もしくは複数回投与用の容器、例えば密封アンプルおよびバイアルで提供されてもよく、あるいは使用の直前に滅菌液体担体の添加のみを要する、凍結もしくは凍結乾燥された状態で貯蔵されたものでもよい。
【0075】
好ましくは、本発明の再構築サーファクタントは、使い捨てのガラスバイアル中の緩衝生理食塩水溶液中の滅菌懸濁液として供給される。
【0076】
医薬製剤は、製薬業界でよく知られた従来技術により調製することができる。このような技術には、有機溶媒の存在下でポリペプチドおよびリン脂質を混合するステップが含まれる。溶媒は、次いで透析もしくは窒素下での蒸発および/もしくは真空への曝露により、または凍結乾燥などの当業者によく知られた他の適切な技術により除去される。
【0077】
有利には、残留溶媒の量は、0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満、より好ましくは0.003重量%未満、さらにより好ましくは0.001重量%未満であってもよい。
【0078】
得られた粉末は、次いで液体担体もしくは微粉固体担体または両方と均一および密接に結合される。
【0079】
ポリペプチドおよびリン脂質の混合物は、溶媒を除去する前に例えば除菌用ろ過により滅菌することができる。特定の他の実施形態では、再構築サーファクタント組成物は、当技術分野でよく知られた方法により最後に滅菌される。
【0080】
本発明の再構築サーファクタントの投与は、例えば気管内設置(intratracheal installation)(点滴(注入)またはボーラス(急速血管注入)、あるいはカテーテル経由)、スプレー投与、または噴霧(nebulisation)による、当業者に知られた方法で実施される。
【0081】
本明細書に開示されている通り、本発明は、本明細書でさらに記載されるような特定の使用に応じて、濃縮および希釈サーファクタント製剤の両方の使用を企図する。濃縮サーファクタント組成物が、典型的には「ボーラス」型投与に使用されるのに対し、希釈サーファクタント組成物は、典型的には「洗浄」(lavage)型投与に使用される。
【0082】
有利には前記製剤の粘度は、当技術分野でよく知られた方法により、市販されている一般的な粘度計による判定時に、20cP未満、好ましくは15cP未満である。
【0083】
有利には、「ボーラス」型投与には、溶液または懸濁液(液体担体の添加後)1mlあたりの重量単位での再構築サーファクタント濃度は、約0.1mg/mlから約100mg/ml、好ましくは5mg/mlから80mg/mlの間の範囲である。
【0084】
本発明の好ましい実施形態では、再構築サーファクタントが、生理食塩水(水中0.9%w/v塩化ナトリウム)中の懸濁液として気管内注入により投与される場合、濃度は約80mg/mlである。
【0085】
したがって、本発明の好ましい実施形態は、
a)式:IPSSPVHLKRLKLLLLLLLLILLLILGALLLGL(配列番号:1)により表される配列からなる天然サーファクタントタンパク質SP−Cのポリペプチド類似体の約1.5重量%、
b)式:CWLCRALIKRIQALIPKGGRLLPQLVCRLVLRCS(配列番号:2)により表される配列からなる天然サーファクタントタンパク質SP−Bのポリペプチド類似体の約0.2重量%、
c)1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)の約49.15重量%、および
d)1−パルミトイル−2−オレイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロール(POPG)の約49.15重量%
(前記量の全てが再構築サーファクタントの総重量に基づいて計算される)から構成される再構築サーファクタント約80mg/mlを含む、生理食塩水中の水性懸濁液の形態での医薬製剤に関する。
【0086】
典型的には前記製剤の粘度は、市販されている一般的な回転粘度計を用いて判定された25℃で約9±3cPおよび37℃で8±3cPである。
【0087】
洗浄投与に使用される場合、典型的なサーファクタント濃度は、約0.120mg/mlから20mg/ml、およびより好ましくは約0.5mg/mlから10mg/ml(溶液または懸濁液1mlあたりmgサーファクタントの単位で)である。
【0088】
濃度に依存することから、希釈製剤の粘度はさらにより低くなるであろう。
【0089】
薬学的治療として使用される場合、本発明の再構築サーファクタントを含む製剤は、単独で、または場合により、呼吸器疾患もしくは障害の治療で使用される他の化合物もしくは組成物との併用のどちらかで投与することができる。例えば、対象者が、細菌感染により引き起こされた呼吸器障害のため治療されている場合、本発明の再構築サーファクタントは、抗生物質、抗菌剤など細菌感染を治療するのに使用されるもう1つの化合物と組み合わせて投与されてもよい。
【0090】
あるいは、特定のケース、例えば気管支肺異形成(bronchopulmonarydysplasia)などの合併症を予防するには、本発明の再構築サーファクタントは、ブデソニド(budesonide)およびジプロピオン酸ベクロメタゾン(beclometasone dipropionate)などのコルチコステロイドと併用して投与されてもよい。
【0091】
特定の実施形態では、本発明の再構築サーファクタント、および再懸濁担体は、適切な容器手段に同時に個別包装されてもよい。適切な容器手段における成分のこのような個別包装も、キットとして記載される。
【0092】
したがって、本発明はまた、a)第1の単位(単回)投与形態(unit dosage form)における粉末形態での本発明の再構築サーファクタント、b)第2の単位(単回)投与形態(unit dosage form)における薬学的に許容される担体、ならびにc)前記第1および第2の投与形態のそれぞれを含有するための容器手段を含む、キットにも関する。
【0093】
好ましくは薬学的に許容される担体は、生理食塩水溶液、より好ましくは滅菌生理食塩水溶液である。
【0094】
本明細書に開示されている通り、本発明の再構築サーファクタントおよびこの製剤を投与するためのさまざまな方法が利用可能であり、当業者によく知られている。
【0095】
疾患のタイプ(例えば、呼吸促迫症候群を有する乳児または成人)に応じて、異なる治療方法が適し得る。
【0096】
典型的にはサーファクタントは、持続的または間欠的な陽圧換気(IPPV:intermittent positive pressure ventilation)下で保たれる患者(例えば早産児:preterm infants)に気管内注入により投与される。
【0097】
あるいは、サーファクタントは、気管に留置された細いカテーテルの使用、および経鼻持続気道陽圧(nCPAP:nasal Continuous Positive Airway Pressure)として知られる方法によるマスク、プロング(prong)またはチューブなどの特別にデザインされた経鼻装置により支持された患者の呼吸により投与することができる。
【0098】
後者のアプローチは、高粘度が細いカテーテルを介したサーファクタントの通過をより難しくするであろうことから、低粘度を有するサーファクタントにより唯一可能となるであろう。
【0099】
患者が肺炎症、肺感染または肺挫傷に関連した呼吸促迫状態を患っている例では、特定の治療法が推奨され得る。1つのこのような治療方法では、本発明のサーファクタント組成物による患者の肺の洗浄が、単回または複数回治療として行われる。
【0100】
本発明の再構築サーファクタントは、呼吸器疾患に関連した症状または状態(体調)の発症または進行を予防、遅延、緩和、停止または抑制(阻害)するのに適している。
【0101】
特に本発明の再構築サーファクタントは、未熟児における呼吸促迫症候群(RDS)、あるいは、急性肺損傷(ALI:acute lung injury)、成人におけるRDS(ARDS)、胎便吸引症候群(MAS:meconiumaspiration syndrome)、および気管支肺異形成症(BPD:bronchopulmonary dysplasis)を含む、サーファクタント欠損もしくは機能不全に関連した他の疾患の予防および/もしくは治療に有用である。
【0102】
本発明の再構築サーファクタントは、慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)、喘息、呼吸器感染(例えば肺炎、ニューモシスティトス・カリニ(pneumocystits carinii)、嚢胞性線維症(cystic fibrosis)および呼吸器シンシティアルウイルス(respiratory syncitial virus))などの他の呼吸器障害の予防および/または治療、ならびに漿液性中耳炎(膠耳:glue ear)の治療にも有用である可能性がある。
【実施例】
【0103】
以下の例により本発明をより詳細に説明する。

例1 粘度に対する成分の影響
製剤に対する成分の影響を粘度に関して評価するために、多因子実験デザインが構築される。異なるパーセンテージのポリペプチドSP−C33(Leu)およびox−Mini−B(Leu)、ならびに異なる比のDPPCおよびPOPG Naをテストする。
【0104】
得られた混合物は全て、80mg/mlの濃度で生理食塩水溶液(0.9%w/v)に再懸濁する。
【0105】
粘度は、100r.p.m.の回転速度を適用するVISCO STAR Plus(Fungilab社)粘度計を用いて25℃および37℃で判定する。
【0106】
比較までに、Curosurf(登録商標)は、6から10mPas(1mPas=1センチポイズ)の間に含まれる粘度を示す。
【0107】
結果を表1に記載する。
【0108】
【表1】

得られた結果は、低濃度のox−Mini−B(Leu)で、およびDPPCとPOPGとの低い比(表1中のN3欄)の存在下では、混合物の粘度もきわめて低いことを示している。これらの結果は、サーファクタント中のSP−B類似体の量を最小化すること、および同時に不飽和リン脂質に対する飽和リン脂質の濃度を低下させることより、濃縮形態での使用を含む全てのサーファクタント適用に使用されるほど低い粘度を有する組成物が得られることを示唆している。
【0109】
例2 再構築サーファクタントN3の特徴付け
1:1比でのDPPC:POPG Na、例1の表1に組成物N3に関して報告されたパーセンテージ量でのSPC−33(Leu)およびox Mini−B(Leu)の混合物を、クロロホルム/エタノール98:2(v/v)に溶解する。
【0110】
溶媒を蒸発させ、得られた粉末はこの後、撹拌下、0.9%w/v NaCl水溶液で水和して80mg/mlのサーファクタント濃度を示す。
【0111】
単一の組成物としての組成を表2に記載する。
【0112】
【表2】

上記の製剤の粘度は、きわめて低い。例えば25℃で約9cPおよび37℃で7cPであることが確認される。さらに該粘度は、5℃での6カ月の貯蔵後でも変化しない。
【0113】
製剤は、6カ月の貯蔵後、化学的に安定であることも判明しており、HPLCにより検出されたリン脂質リゾ型(phospholipid lysoform)の全体量は1重量%未満である。
【0114】
例3 再構築サーファクタントN3のin vivoでの活性
例2の再構築サーファクタントは、妊娠在胎期間27日での子宮摘出により得られた早産新生児ウサギにおいてアッセイする。実験は、呼気終末陽圧(PEEP:positive end expiratory pressure)を適用せずに行う。
【0115】
Curosurf(登録商標)の投与を受ける動物は陽性対照として、および未処置同腹子は陰性対照としての役割を果たす。
【0116】
全てのサーファクタント製剤は、濃度80mg/mlおよび標準投与量2.5ml/kgで投与する。
【0117】
未熟新生児ウサギを、ピーク通気圧(peak insufflation pressure)の標準化シーケンス(standardized sequence)に連動して人口呼吸を行う。肺を切開するため、圧力は、最初は1分間、35cmHOに設定する。この補強処置(リクルートメントマヌーバ:recruitment manoeuvre)後、圧力を15分間、25cmHOに低下させ、さらに20から15cmHOに低下させる。
【0118】
最後に、圧力を5分間、25cmHOに再び上昇させ、この後肺をさらに5分間、窒素で換気し、次いでガス量測定のため切除する。
【0119】
1回換気量(1回呼吸量)および肺ガス量(ml/kgとして表される)の両方を測定し、結果(中央値として示される)をそれぞれ図1および2に示す。
【0120】
図1から、本発明の再構築サーファクタントで処置した動物は、Curosurf(登録商標)の投与後に達成されたものよりやや良好な1回換気量の改善を示すことが理解できる。この結果は、本発明の再構築人工サーファクタントが、当分野における現在のゴールドスタンダード(gold standard)より良好な臨床有効性をもたらし得ることを示唆している。
【0121】
肺ガス量に関する限り、図2は、本発明の再構築サーファクタントが、DPPCとPOPGとのより高い比(68:31)を含有するWO 2008/044109の例3でテストされた再構築サーファクタントの値に匹敵する値を生じさせることができることを示している。さらに本発明の再構築サーファクタントの肺ガス量値は、良い値であり、再現可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)式:IPSSPVHLKRLKLLLLLLLLILLLILGALLLGL(配列番号:1)により表される配列からなる天然サーファクタントタンパク質SP−Cのポリペプチド類似体の1.2重量%から1.8重量%と、
b)式:CWLCRALIKRIQALIPKGGRLLPQLVCRLVLRCS(配列番号:2)により表される配列からなる天然サーファクタントタンパク質SP−Bのポリペプチド類似体の0.1重量%から0.5重量%と、
45:55から55:45の範囲の重量比でのモノ不飽和リン脂質と飽和リン脂質と、
を含み、
前記量の全てが再構築サーファクタントの総重量に対して計算される、再構築サーファクタント組成物。
【請求項2】
a)式:IPSSPVHLKRLKLLLLLLLLILLLILGALLLGL(配列番号:1)により表される配列からなる天然サーファクタントタンパク質SP−Cのポリペプチド類似体の約1.5重量%と、
b)式:CWLCRALIKRIQALIPKGGRLLPQLVCRLVLRCS(配列番号:2)により表される配列からなる天然サーファクタントタンパク質SP−Bのポリペプチド類似体の約0.2重量%と、
c)約50:50の重量比での1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)および1−パルミトイル−2−オレイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロール(POPG)と
を含み、前記量の全てが再構築サーファクタントの総重量に対して計算される、請求項1に記載の再構築サーファクタント。
【請求項3】
a)式:IPSSPVHLKRLKLLLLLLLLILLLILGALLLGL(配列番号:1)により表される配列からなる天然サーファクタントタンパク質SP−Cのポリペプチド類似体の約1.5重量%と、
b)式:CWLCRALIKRIQALIPKGGRLLPQLVCRLVLRCS(配列番号:2)により表される配列からなる天然サーファクタントタンパク質SP−Bのポリペプチド類似体の約0.2重量%と、
c)1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)の約49.15重量%と、
d)1−パルミトイル−2−オレイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロール(POPG)の約49.15重量%と
を含み、前記量の全てが再構築サーファクタントの総重量に基づいて計算される、請求項2に記載の再構築サーファクタント。
【請求項4】
配列番号:2のポリペプチドが、1位および33位における2つのシステイン残基間、ならびに/または、4位および27位における2つのシステイン残基間の分子内ジスルフィド結合を有するジスルフィド結合分子の形態である、請求項1から3のいずれか一項に記載の再構築サーファクタント。
【請求項5】
POPGが薬学的に許容される塩の形態である、請求項1から4のいずれか一項に記載の再構築サーファクタント。
【請求項6】
塩がナトリウム塩である、請求項5に記載の再構築サーファクタント。
【請求項7】
前記ポリペプチドの各々が薬学的に許容される塩の形態で存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載の再構築サーファクタント。
【請求項8】
塩が酢酸塩である、請求項7に記載の再構築サーファクタント。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の再構築サーファクタントを含む医薬製剤であって、溶液、分散液、懸濁液または乾燥粉末の形態であり、場合により1つまたは複数の薬学的に許容される担体との組合せである医薬製剤。
【請求項10】
前記製剤が水性懸濁液の形態である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
再構築サーファクタントが、水性懸濁液の0.1mg/mlから160mg/mlの間の濃度を有する、請求項10に記載の医薬製剤。
【請求項12】
a)第1の単位投与形態における粉末形態での請求項1から8のいずれか一項に記載の再構築サーファクタントと、
b)第2の単位投与形態における薬学的に許容される担体と、
c)前記第1および第2の投与形態を含有するための容器手段と
を含むキット。
【請求項13】
医薬品として使用するための、請求項1から8のいずれか一項に記載の再構築サーファクタント。
【請求項14】
未熟児における呼吸促迫症候群(RDS)の治療もしくは予防、またはサーファクタント欠損もしくは機能不全に関連した他の疾患の治療もしくは予防に使用するための、請求項1から8のいずれか一項に記載の再構築サーファクタント。
【請求項15】
疾患が、成人におけるRDS(ARDS)、胎便吸引症候群(MAS)、および気管支肺異形成症(BPD)を含む、請求項14に記載のサーファクタント。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−528810(P2012−528810A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513503(P2012−513503)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【国際出願番号】PCT/EP2010/003293
【国際公開番号】WO2010/139442
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(304037234)シエシー ファルマセウティチィ ソシエタ ペル アチオニ (24)
【Fターム(参考)】