説明

サーマルダイトランスファーに用いる受容素子

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はサーマルダイトランスファーに用いる色素受容素子、より詳細にはミクロボイドを保有する(microvoided)複合材料フィルムを含む受容素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、カラービデオカメラから電子的に形成された画像からプリントを得るためのサーマルトランスファーシステムが開発された。この種のプリントを得るための1方法によれば、電子画像をまずカラーフィルターにより色分解する。次いでこれらの色分解されたそれぞれの画像を電気信号に変換する。次いでこれらの信号を操作してシアン、マゼンタおよびイエローの電気信号を形成させる。次いでこれらの信号をサーマルプリンターへ伝達する。プリントを得るためには、シアン、マゼンタまたはイエローの色素供与素子を色素受容素子と向き合わせて配置する。次いでこれら両者をサーマルプリンティングヘッドとプラテンローラーの間に挿入する。ライン型サーマルプリンティングヘッドを用いて、色素供与シートの裏面から熱を付与する。サーマルプリンティングヘッドは多数の加熱素子を備えており、シアン、マゼンタおよびイエローの信号に応答して順次加熱される。次いでこのプロセスが他の2色について反復される。こうして、スクリーン上に見えた原画に対応するカラーハードコピーが得られる。このプロセスおよびそれを実施するための装置についての詳細はさらに、ブラウンシュタインによる″サーマルプリンター装置を制御するための装置および方法″と題する米国特許第4,621,271号明細書(1986年11月4日発行)に記載される。
【0003】サーマルダイトランスファーに用いる色素受容素子は、一般に基材または支持体上に被覆されたポリマー系の色素画像受容層からなる。サーマルダイトランスファーによるプリント法においては、最終プリントが画像の質に関してカラー写真プリントと比較して遜色のないことが望ましい。これを達成するためには、サーマルダイ受容体の基材は幾つかの特性を備えていなければならない。まず第1に、プリンターの送りは基材の特性に大幅に依存する。基材は低いカール性、および高すぎもせず低すぎもしない剛性を備えていなければならない。基材は画像の質に対して主要な影響力をもつ。画像の均質性は受容体基材のコンフォーマビリティー(coformability)に著しく依存する。供与体から受容体への色素の熱転写効率も、基材がその表面に高い温度を保持する性能により影響される。最終プリントの外観は基材の白色度および表面テキスチャーに大幅に依存する。プリントする前後の受容体のカールは最小限に抑えなければならない。セルロース紙、合成紙およびプラチックフィルムがすべて、これらの要件を満たすための色素受容素子用として提示されている。
【0004】米国特許第4,774,224号明細書には、表面あらさ7.5Raマイクロインチ−AA以下を有する樹脂被覆紙を用いることが記載されている。この種類の紙は一般に写真基材として用いられ、従ってそれは写真的な外観をもつ。この基材はプリントする前後において共に卓越したカール特性を備えており、かつその単純なデザインのため製造経費が比較的低い。しかしそれは必ずしも極めてコンフォーマブルでなく、プリントヘッドとプリンタードラムの間の圧力が低いプリント条件下では均質性の高いプリントが得られない(大部分の市販のプリンターは現在では経費の点でより効果的なものにするために、低いプリント圧力をもつものが製作されている)。また一定の濃度を達成するためには、より高い水準のエネルギーが必要とされる。
【0005】米国特許第4,778,782号明細書には、合成紙をコア材料、たとえば天然セルロース紙に積層することが示され、合成紙を単独で受容体の基材として用いた場合、いかにプリント後のカールを生じるかについて述べられている。合成紙は、たとえば米国特許第3,841,943号および米国特許第3,783,088号明細書に示されており、非相溶性の有機または無機充填材を含有する延伸性ポリマーを伸長させることにより得られる。この伸長により、合成紙内の延伸性ポリマーと充填材の間の結合が破壊され、これによりミクロボイドが形成されると考えられる。これらの基材は良好な均質性および効率を備えている。積層構造は確かにカール特性を改善するが、なおすべてのカール要件を満たすわけではない。さらに合成紙系の支持体はそのボイドを保有する紙様表面のため、大部分の写真プリントが備えている固有の光沢を生じない。
【0006】欧州特許出願第0 322 771号明細書には、ポリプロピレンを含有するポリエステルフィルムからなり、伸長に際して形成されたフィルム内の微細な独立気泡を含む、色素受容素子の支持体が示されている。
【0007】米国特許第4,971,950号明細書は、合成紙をコア材料の両面に積層した場合にプリント後に見られるカールの問題に対処するものである。それには、プリントされる側に熱緩和した(熱収縮がより少ない)合成紙、裏面側に緩和されていない合成紙を用いることが示されている。この基材は良好な均質性、効率およびカール特性を備えている。しかしこれも光沢のある表面を備えておらず、製造に際して追加工程を必要とするであろう。
【0008】米国特許第4,704,323号明細書には、本願に述べるものと類似するミクロボイド保有複合材料フィルムが記載されているが、サーマルダイトランスファープリントに対するそれらの適性については言及されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上の要件をすべて満たしうる受容体基材を開発することが要望されている。すなわち、それはプリントする前後の双方において平坦であり、均質性および色素濃度の高い画像を与え、写真的な外観を備え、かつ製造経費の低い基材である。従って本発明の目的は、低いカール性および良好な均質性を示し、かつ効率的な熱転写をもたらすサーマルダイトランスファー受容体用の基材を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のこれら、およびその他の目的は、色素画像受容層を上方に保有する基材を含むサーマルダイトランスファー用の色素受容素子において、前記基材が支持体に積層された複合材料フィルムを含み、前記色素画像受容層が基材の複合材料フィルム側にあり、そして前記複合材料フィルムがミクロボイドを保有する熱可塑性コア層および少なくとも1層の実質的にボイドを含まない熱可塑性表面(スキン)層を含み、かつ前記コア層および表面層の同時押出しとそれに続く二軸延伸によって製造されたものであることを特徴とする、サーマルダイトランスファー用の色素受容素子によって達成される。これらの複合材料フィルムは、それらの比較的低い価格および良好な外観のため、一般的に用いられ、商業的に“パッケージングフィルム”と呼ばれている。支持体には、セルロース紙、ポリマーフィルムまたは合成紙が含まれる。これらの基材上に多種多様な色素受容層を被覆することができる。
【0011】好ましい形態合成紙材料と異なり、ミクロボイドを保有するパッケージングフィルムは大部分の支持体の1面に積層した場合もなお卓越したカール性能を示す。カール性能は支持体のビーム強さ(beam strength)により調節しうる。支持体の厚さが低下するのに伴って、ビーム強さも低下する。これらのフィルムはかなり低い厚さ/ビーム強さの支持体の1面に積層した場合もなお最小のカール性を示す。
【0012】ミクロボイドを保有するパッケージングフィルムの比重が低いことにより(好ましくは0.3−0.7g/cm3)、極めてコンフォーマブルな色素受容体が製造され、トビアス・モトル試験機(Tobias Mottle Tester)などの計測器により測定して低いモトル指数値のサーマルプリントが得られる。モトル指数はプリントの均質性、特にプリントされない無数の小領域として現れる、ドロップアウトと呼ばれる種類の不均質性を測定するための手段として用いられる。またこれらのミクロボイド保有パッケージングフィルムは極めて断熱性が高く、低いエネルギー水準において高い色素濃度の色素受容体プリントを与える。ボイドを含まないスキンは光沢の高い受容体を与え、色素受容層と色素供与フィルムとの良好な接触を増大させるのに役立つ。これによりプリントの均質性および効率的な色素転写も増大する。
【0013】ミクロボイドを保有する複合材料パッケージングフィルムはコアおよび表面層の同時押出し、次いで二軸延伸により製造するのが好都合であり、これによりコア層内に含まれるボイド形成開始剤(void−initiating material)の周りにボイドが形成される。この種の複合材料フィルムは、たとえば米国特許第4,377,616号明細書に示される。
【0014】複合材料フィルムのコアはフィルムの全厚の15−95%、好ましくは全厚の30−85%とすべきである。従ってボイドを含まないスキンはフィルムの全厚の5−85%、好ましくは全厚の15−70%とすべきである。複合材料フィルムの密度(比重)は0.2−1.0%/cm3 、好ましくは0.3−0.7g/cm3 とすべきである。コア厚さが30%より小さくなるのに伴って、または比重が0.7g/cm3 より大きくなるのに伴って、複合材料フィルムは有用な圧縮性および断熱性を失い始める。コア厚さが85%を越えるのに伴って、または比重が0.3g/cm3 より小さくなるのに伴って、複合材料フィルムは引張り強さの低下のため加工性が低くなり、かつそれは物理的損傷を受けやすくなる。複合材料フィルムの全厚は20−150μm、好ましくは28−70μmとすべきである。28μm未満ではミクロボイドを保有するフィルムは支持体に固有の非平面性を最小限に抑えるのに十分なほど厚くなく、加工するのがより困難になるであろう。70μmを越える厚さではプリント均質性または熱効率の改善がほとんど見られず、従って余分な材料のため価格がさらに増加するのに対しほとんど弁明の余地がない。なお、以下において厚さの単位として“ミクロン”を使用するが、これは上記の“μm”に同じである。
【0015】″ボイド″はここでは添加された固体または液体物質が存在しないことを意味し、ただし″ボイド″は気体を内包すると思われる。最終パッケージングフィルムコア中に残留するボイド形成開始剤粒子は、目的とする形状および大きさのボイドを形成するためには直径0.1−10ミクロンとすべきであり、好ましくは丸い形状である。ボイドの大きさは、縦および横方向の延伸の程度にも依存する。理想的にはボイドは、対向しかつ端が接した2枚の凹形ディスクにより定められる形状をとる。すなわちボイドはレンズ様または両凸形の形状をもつ傾向がある。ボイドはこれらの2つの主寸法がフィルムの縦および横方向と並んだ状態で配向する。Z方向軸は副寸法であり、ほぼボイド形成粒子の直径に直交する大きさである。ボイドは一般に独立気泡となる傾向があり、従ってボイド保有コアの一方側から他方側へ開放した、気体または液体が横切ることができる通路は実質的には存在しない。
【0016】ボイド形成開始剤は多種多様な物質から選ぶことができ、コアマトリックスポリマーの重量に対して約5−50重量%の量で存在すべきである。好ましくはボイド形成開始剤は高分子材料からなる。高分子材料を用いる場合、コア材料が形成されているポリマーと溶融混合して、溶液が冷却するのに伴って分散した球状粒子を形成しうるポリマーであってもよい。この例にはポリプロピレン中に分散したナイロン、ポリプロピレン中に分散したポリブチレンテレフタレート、またはポリブチレンテレフタレート中に分散したポリプロピレンが含まれる。ポリマーが予備成形され、そしてマトリックスポリマー中へブレンドされる場合、重要な特性は粒子の大きさおよび形状である。球体が好ましく、それらは中空または中実のいずれであってもよい。これらの球体は下記よりなる群から選ばれる員子である架橋ポリマーから形成しうる:一般式Ar−C(R)=CH2を有するアルケニル芳香族化合物、式中のArは芳香族炭化水素残基、またはベンゼン系の芳香族ハロ炭化水素残基であり、Rは水素またはメチル基である;アシレート型モノマーには式CH2=C(R′)−C(O)(OR)が含まれ、式中のRは水素、および約1−12個の炭素原子を含むアルキル基よりなる群から選ばれ、R′は水素およびメチルよりなる群から選ばれる;塩化ビニルおよび塩化ビニリデン、アクリロニトリルおよび塩化ビニル、臭化ビニル、式CH2=CH(O)(COR)(式中のRは約2−18個の炭素原子を含むアルキル基である)のビニルエステルのコポリマー;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、オレイン酸、ビニル安息香酸;テレフタル酸およびジアルキルテレフタル酸またはそれらのエステル形成性誘導体を系列HO(CH2nOHのグリコール(式中のnは2−10の整数である)と反応させることにより製造され、ポリマー分子内に反応性のオレフィン性結合を含む合成ポリエステル樹脂、最高20重量%の第2酸またはオレフィン性不飽和を含むそのエステルおよびそれらの混合物、ならびにジビニルベンゼン、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジアリルフマレート、ジアリルフタレートおよびそれらの混合物よりなる群から選ばれる架橋剤を共重合含有する上記ポリエステル。
【0017】架橋ポリマーを製造するための一般的モノマーの例には下記のものが含まれる:スチレン、ブチルアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ビニルピリジン、酢酸ビニル、メチルアクリレート、ビニルベンジルクロリド、塩化ビニリデン、アクリル酸、ジビニルベンゼン、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ビニルトルエンなど。好ましくは架橋されたポリマーはポリスチレンまたはポリ(メチルメタクリレート)である。極めて好ましくはそれはポリスチレンであり、架橋剤はジビニルベンゼンである。
【0018】当技術分野で周知の方法により、幅広い粒度分布を特色とする不均質な粒度の粒子が得られる。得られるビーズは当初の粒度分布範囲にわたる生成ビーズを篩分けすることにより分類しうる。他の方法、たとえば懸濁重合は凝集が制限され、極めて均質な大きさの粒子が直接に得られる。
【0019】ボイド形成開始剤はボイド形成を促進するためにスリップ剤で被覆することができる。適切なスリップ剤または潤滑剤には、コロイドシリカ、コロイドアルミナ、および金属酸化物、たとえば酸化スズおよび酸化アルミニウムが含まれる。好ましいスリップ剤はコロイドシリカおよびアルミナ、極めて好ましくはシリカである。スリップ剤の被膜を有する架橋ポリマーは、当技術分野で周知の方法により製造しうる。たとえばスリップ剤を懸濁液に添加した通常の懸濁重合法が好ましい。スリップ剤としてはコロイドシリカが好ましい。
【0020】ボイド開始用粒子は無機物球体であってもよく、これには中実もしくは中空のガラス球体、金属もしくはセラミックのビーズ、または無機物粒子、たとえばクレー、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウムが含まれる。重要なことは、その材料がコアマトリックスポリマーと化学的に反応して下記の問題のうち1または2以上を引き起こすことのないことである:(a)マトリックスポリマーの結晶化動力学を変化させ、延伸を困難にする、(b)コアマトリックスポリマーの破壊、(c)ボイド形成開始用粒子の破壊、(d)マトリックスポリマーへのボイド形成開始用粒子の粘着、または(e)望ましくない反応生成物、たとえば毒性もしくは色濃度の高い部分(moiety)の生成。
【0021】複合材料フィルムのコアマトリックスポリマーに適した熱可塑性ポリマー群には、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、セルロースエステル、ポリスチレン、ポリビニル樹脂、ポリスルホンアミド、ポリエーテル、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ポリフェニレンスルフィド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアセタール、ポリスルホネート、ポリエステルイオノマーおよびポリオレフィンイオノマーが含まれる。これらのポリマーのコポリマーおよび/または混合物も使用しうる。
【0022】適切なポリオレフィンには、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテンおよびそれらの混合物が含まれる。エチレンおよびプロピレンのコポリマーを含めたポリオレフィンコポリマーも有用である。
【0023】適切なポリエステルには、炭素原子4−20個の脂環式ジカルボン酸、および炭素原子2−24個の脂肪族または脂環式グリコール類から製造されるものが含まれる。適切なジカルボン酸の例には、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタリンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ソディオスルホイソフタル酸およびそれらの混合物が含まれる。適切なグリコール類の例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、他のポリエチレングリコールおよびそれらの混合物が含まれる。これらのポリエステルは当技術分野で周知であり、周知の方法、たとえば米国特許第2,465,319号および米国特許第2,901,466号明細書に記載の方法により製造することができる。好ましい連続マトリックスポリエステルは、テレフタル酸またはナフタリンジカルボン酸、ならびにエチレングリコール、1,4−ブタンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールから選ばれる少なくとも1種のグリコール類からの反復単位を含むものである。ポリエチレンテレフタレート(少量の他のモノマーにより改質されていてもよい)が特に好ましい。他の適切なポリエステルには、適量の共重合酸成分、たとえばスチルベンジカルボン酸を含有させることにより形成される液晶コポリエステルが含まれる。この種の液晶コポリエステルの例は、米国特許第4,420,607、4,459,402および4,468,510号明細書に示されるものである。
【0024】有用なポリアミドには、ナイロン6、ナイロン66およびそれらの混合物が含まれる。ポリアミドのコポリマーも適切な連続相ポリマーである。有用なポリカーボネートの例はビスフェノール−Aポリカーボネートである。複合材料フィルムの連続相ポリマーとして用いるのに適したセルロースエステルには、硝酸セルロース、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、およびそれらの混合物またはコポリマーが含まれる。有用なポリビニル樹脂には、ポリ塩化ビニル、ポリ(ビニルアセタール)およびそれらの混合物が含まれる。ビニル樹脂のコポリマーも使用しうる。
【0025】複合材料フィルムのボイドを含まないスキン層は、コアマトリックスにつき上記に挙げたものと同じ高分子材料から形成しうる。複合材料フィルムはコアマトリックスのものと同じ高分子材料のスキン(1または2以上)で作成するか、またはコアマトリックスのものと異なる高分子組成物のスキン(1または2以上)で作成しうる。相溶性を得るために、補助層を用いてコアへのスキン層の付着を増大させることができる。
【0026】これらのフィルムの白色度を改善するために、コアマトリックスおよび/またはスキンに添加物を添加してもよい。これには、白色顔料、たとえば二酸化チタン、硫酸バリウム、クレーまたは炭酸カルシウムの添加を含めた、当技術分野で既知のいずれかの方法が含まれる。これにはUV領域のエネルギーを吸収して大部分が青色領域にある光を放出する蛍光剤、またはフィルムの物理的特性もしくはフィルム加工性を改善する他の添加物を添加することも含まれる。
【0027】これらの複合材料フィルムの同時押出し、急冷、延伸および熱硬化は、延伸フィルム製造に関する技術分野で既知のいずれかの方法により、たとえばフラットフィルム法またはバブルもしくはチューブラ法により行うことができる。フラットフィルム法は、スリットダイを通してブレンドを押出し、押出されたウェブを冷却されたキャスティングドラム上で、フィルムのコアマトリックスポリマー部材およびスキン部材(1または2以上)がそれらのガラス転移温度(Tg)未満で急冷される状態で急冷することによる。次いで急冷されたフィルムを、マトリックスポリマーおよびスキンポリマーのガラス転移温度より高い温度で、互いに直角の方向に延伸することにより2軸延伸する。フィルムは1方向に延伸したのち第2方向に延伸するか、または同時に両方向に延伸することができる。フィルムを延伸したのち、両方の延伸方向における収縮に対してフィルムをある程度拘束した状態で、ポリマーを結晶化させるのに十分な温度に加熱することによりそれを熱硬化させる。
【0028】これらの複合材料フィルムは、同時押出しおよび延伸処理ののち、またはキャスティングと完全延伸との間に、プリント性を含めたフィルム特性を改善するために、蒸気バリヤーを付与するために、それらをヒートシール性となすために、または支持体もしくは受容層への付着性を改善するために採用しうるいずれかの層数の被膜で被覆するか、または処理することができる。その例は、プリント性のためのアクリル樹脂被覆、ヒートシール性のためのポリ塩化ビニリデン被覆、またはプリント性もしくは付着性を改善するためのコロナ放電処理である。
【0029】ミクロボイドを保有するコア上にボイドを含まないスキンを少なくとも1層含むことにより、フィルムの引張り強さが増大し、かつそれがより加工性となる。これによって、すべての層がボイドを保有する状態でフィルムが製造された場合よりフィルムを広い幅および高い延伸比で製造することができる。これらの層を同時押出しすることによって、製造処理がさらに単純化される。
【0030】下記のミクロボイド保有パッケージングフィルムPF1−PF12は、押出し、プレスその他の方法で支持体、たとえばポリエステル、紙、合成紙または他のミクロボイド保有フィルムに積層した場合、本発明の実施に適切である。
【0031】PF1.バイコル・オパライト(BICOR OPPalyte)300 HW(モービル・ケミカル社)
複合材料フィルム(厚さ38μm)(d=0.64):ミクロボイドを保有する延伸ポリプロピレンコア(全フィルム厚の約77%)および両面に付与したミクロボイドを含まない延伸ポリプロピレンからなる;ボイド形成開始剤はポリ(ブチレンテレフタレート)である。
【0032】PF2.内部で製造したミクロボイド保有複合材料フィルム(厚さ89μm)(d=0.31):ミクロボイドを保有する延伸ポリプロピレンコア(全フィルム厚の約94%)および両面に付与したミクロボイドを含まない延伸ポリプロピレン層からなる;ボイド形成開始剤は、ジビニルベンゼンで架橋し、コロイドシリカで被覆したポリスチレンのマイクロビーズである。
【0033】PF3.内部で製造したミクロボイド保有複合材料フィルム(厚さ33μm)(d=0.33):ミクロボイドを保有する延伸ポリプロピレンコア(全フィルム厚の約91%)および両面に付与したミクロボイドを含まない延伸ポリプロピレン層からなる;ボイド形成開始剤は、ジビニルベンゼンで架橋し、コロイドシリカで被覆したポリスチレンのマイクロビーズである。
【0034】PF4.ハーキュレス(Hercules)315WT 503/2B(ハーキュレス社)
複合材料フィルム(厚さ33μm)(d=0.66):顔料を添加したミクロボイドを保有する延伸ポリプロピレンコア(全フィルム厚の約78%)および両面に付与された、白色顔料を添加した、ミクロボイドを含まない延伸ポリプロピレン層からなる;ボイド形成開始剤は炭酸カルシウムである。
【0035】PF5.ハーキュレス400WT 503/1B(ハーキュレス社)
複合材料フィルム(厚さ28μm)(d=0.59):顔料を添加したミクロボイドを保有する延伸ポリプロピレンコア(全フィルム厚の約85%)および1面に付与された、白色顔料を添加した、ミクロボイドを含まない延伸ポリプロピレン表面層からなる;ボイド形成開始剤は炭酸カルシウムである。
【0036】PF6.ハーキュレス325WT 502/1S(ハーキュレス社)
複合材料フィルム(厚さ35μm)(d=0.61):顔料を添加したミクロボイドを保有する延伸ポリプロピレンコア(全フィルム厚の約86%)および1面に付与されたコポリマーシーラント層からなる;ボイド形成開始剤は炭酸カルシウムである。
【0037】PF7.オパライト350 ASW(モービル・ケミカル社)
複合材料フィルム(厚さ30μm)(d=0.82):ミクロボイドを保有する延伸ポリプロピレンコア(全フィルム厚の約57%)および両面に付与したミクロボイドを含まない延伸ポリプロピレン層からなる;1面にポリ塩化ビニリデンのオーバーコート層がある;他面にアクリル樹脂層がオーバーコートされている;ボイド形成開始剤はポリ(ブチレンテレフタレート)である。
【0038】PF8.オパライト370 HSW(モービル・ケミカル社)
複合材料フィルム(厚さ28μm)(d=0.75):ミクロボイドを保有する延伸ポリプロピレンコア(全フィルム厚の約65%)および両面に付与したミクロボイドを含まない延伸ポリプロピレンからなる;1面にポリ塩化ビニリデンのオーバーコート層がある;ボイド形成開始剤はポリ(ブチレンテレフタレート)である。
【0039】PF9.オパライト350 TW(モービル・ケミカル社)
複合材料フィルム(厚さ38μm)(d=0.62):ミクロボイドを保有する延伸ポリプロピレンコア(全フィルム厚の約73%)および両面に付与された、二酸化チタン顔料を添加した、ミクロボイドを含まない延伸ポリプロピレン層からなる;ボイド形成開始剤はポリ(ブチレンテレフタレート)である。
【0040】PF10.オパライト233 TW(モービル・ケミカル社)
複合材料フィルム(厚さ63μm)(d=0.53):ミクロボイドを保有する延伸ポリプロピレンコア(全フィルム厚の約85%)および両面に付与された、二酸化チタン顔料を添加した、ミクロボイドを含まない延伸ポリプロピレン層からなる;ボイド形成開始剤はポリ(ブチレンテレフタレート)である。
【0041】PF11.オパライト278 TW(モービル・ケミカル社)
複合材料フィルム(厚さ50μm)(d=0.56):ミクロボイドを保有する延伸ポリプロピレンコア(全フィルム厚の約80%)および両面に付与された、二酸化チタン顔料を添加した、ミクロボイドを含まない延伸ポリプロピレン層からなる;ボイド形成開始剤はポリ(ブチレンテレフタレート)である。
【0042】PF12.オパライト250 ASW(モービル・ケミカル社)
複合材料フィルム(厚さ43μm)(d=0.72):ミクロボイドを保有する延伸ポリプロピレンコア(全フィルム厚の約62%)および両面に付与したミクロボイドを含まない延伸ポリプロピレン層からなる;1面にポリ塩化ビニリデンのオーバーコート層がある;他面にアクリル樹脂層がオーバーコートされている;ボイド形成開始剤はポリ(ブチレンテレフタレート)である。
【0043】本発明の色素受容素子の基材用としてミクロボイドを保有する複合材料フィルムが積層される支持体は、ポリマー、合成紙、もしくはセルロース繊維紙系の支持体、またはそれらの積層品であってもよい。
【0044】セルロース繊維紙系の支持体を用いる場合、ポリオレフィン樹脂を用いてミクロボイドを保有する複合材料フィルムを押出し積層することが好ましい。積層処理に際して、得られる積層された受容体支持体のカールを最小限に抑えるために、ミクロボイドを保有するパッケージングフィルムの最小張力を保持することが望ましい。紙系支持体の裏面(すなわちミクロボイドを保有する複合材料フィルムおよび受容体層の反対側)も、ポリオレフィン樹脂層で押出し被覆することができ(たとえば約10−75g/m2)、バッキング層、たとえば米国特許第5,011,814および5,096,875号明細書に記載されたものを備えていてもよい。高湿度の用途(>50%相対湿度)については、カールを最小限に抑えるために約30−約75g/m2、より好ましくは35−50g/m2の裏面樹脂付着量を付与することが望ましい。
【0045】好ましい1形態においては、望ましい写真性外観および感触を備えた受容素子を製造するために、比較的厚い紙系支持体(たとえば少なくとも120μmの厚さ、好ましくは120−250μmの厚さ)および比較的薄いミクロボイド保有複合材料パッケージングフィルム(たとえば50μm以下の厚さ、好ましくは20−50μmの厚さ、より好ましくは30−50μmの厚さ)を用いることが好ましい。
【0046】本発明の他の形態においては、普通紙に似た受容素子を形成するために、たとえば印刷された多頁文書に挿入するために、比較的薄い紙またはポリマー系の支持体(たとえば80μm以下、好ましくは25−80μmの厚さ)を比較的薄いミクロボイド保有複合材料パッケージングフィルム(たとえば50μm以下の厚さ、好ましくは20−50μmの厚さ、より好ましくは30−50μmの厚さ)と組み合わせて用いることができる。
【0047】本発明の受容素子の色素画像受容層は、たとえばポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ(スチレン−co−アクリロニトリル)、ポリ(カプロラクトン)またはそれらの混合物からなる。色素画像受容層は意図する目的に有効ないかなる量で存在してもよい。一般に約1−約10g/m2の濃度において良好な結果が得られた。色素受容層上にさらにオーバーコート層、たとえば米国特許第4,775,657号明細書に記載されたものを被覆することができる。
【0048】本発明の色素受容素子と共に用いられる色素供与素子は、通常は色素含有層を保有する支持体からなる。本発明において色素供与体には、熱の作用により色素受容層へ転写しうる限り、いかなる色素をも使用しうる。昇華性色素を用いた場合、特に良好な結果が得られた。本発明に使用しうる色素供与体は、たとえば米国特許第4,916,112、4,927,803および5,023,228号明細書に記載される。
【0049】前記のように、色素供与素子はダイトランスファー画像を形成するために用いられる。このプロセスは、色素供与素子を画像形成下に加熱し、色素画像を色素受容素子へ転写してダイトランスファー画像を形成することよりなる。
【0050】本発明の好ましい形態においては、シアン、マゼンタおよびイエローの順次反復領域で被覆されたポリ(エチレンテレフタレート)系支持体からなる色素供与素子が用いられ、各色について色素転写工程が順次実施されて、3色ダイトランスファー画像が得られる。もちろんこのプロセスを単色についてのみ実施した場合、単色のダイトランスファー画像が得られる。
【0051】色素供与素子から本発明の受容素子へ転写するために使用しうるサーマルプリンティングヘッドは市販されている。たとえば富士通サーマルヘッド(FTP−040 MCS001)、TDKサーマルヘッドF415 HH7−1089、またはローム・サーマルヘッドKE 2008−F3を使用しうる。あるいはサーマルダイトランスファー用の他の既知のエネルギー源、たとえば英国特許第2,083,726A号明細書に記載されるレーザーを使用しうる。
【0052】本発明のサーマルダイトランスファーアセンブリッジ(assemblage)は(a)色素供与素子および(b)上記の色素受容素子からなり、色素受容素子は供与素子の色素層が受容素子の画像受容層と接触した状態で色素供与素子と重ねられた関係にある。
【0053】3色画像を得たい場合は、サーマルプリンティングヘッドにより熱が付与される期間中に上記のアセンブリッジが3回形成される。第1色素が転写されたのち、これらの素子を引き離す。次いで第2の色素供与素子(または異なる色素領域を備えた供与素子の他の領域)を色素受容素子と位置合わせし、このプロセスを反復する。第3色も同じ様式で得られる。
【0054】
【実施例】以下の実施例は本発明をさらに説明するために提示される。
【0055】実施例1ミクロボイド保有複合材料フィルムをそれに押出し被覆した紙素材支持体からなる後記の各種基材の複合材料フィルム側に下記の各層を順次被覆することにより、サーマルダイトランスファー受容素子A−Kを製造した。
【0056】a)下塗り層:Z−6020(アミノアルケンアミノトリメトキシシラン)(ダウ・コーニング社)(0.10g/m2)、エタノールから;
b)色素受容層:マクロロン(Makrolon)5700(ビスフェノール−A ポリカーボネート)(バイエル社)(1.6g/m2)、ビスフェノール−Aとジエチレングリコールのコポリカーボネート(1.6g/m2)、ジフェニルフタレート(0.32g/m2)、ジ−n−ブチルフタレート(0.32g/m2)、およびフルオラド(Fluorad)FC−431(フッ素化された分散剤)(スリーエム社)(0.011g/m2)、ジクロロメタンから;
c)色素受容体オーバーコート層:炭酸、ビスフェノール−A、ジエチレングリコール、およびアミノプロピル末端基付きポリジメチルシロキサン(モル比49:49:2)から誘導されたと考えられる線状縮合ポリマー(0.22g/m2)、ならびに510シリコーン・フルイド(Silicone Fluid)(ダウ・コーニング社)、ならびにフルオラドFC−431(0.032g/m2)、ジクロロメタンから。
【0057】受容体A:支持体はビンテージ・グロス(Vintage Gloss)(70ポンド(約31.8kg)、厚さ76μmのクレー被覆紙素材)(ポトラッチ社)であり、これに前記のミクロボイド保有複合材料フィルムPF1が顔料添加ポリオレフィンと共に押出し積層された。顔料添加ポリオレフィンはアナターゼ、二酸化チタン(13重量%)およびスチルベン−ベンゾオキサゾール蛍光増白剤(0.03重量%)を含有するポリエチレン(12g/m2)であった。紙素材支持体の裏面は高密度ポリエチレン(25g/m2)で押出し被覆された。
【0058】受容体B:支持体は紙素材(厚さ81μm、漂白硬材クラフトパルプから製造)であり、これにミクロボイド保有複合材料フィルムPF1が顔料添加ポリオレフィンと共に押出し積層された。顔料添加ポリオレフィンおよび裏面ポリエチレン層は受容体Aの場合と同一であった。
【0059】受容体C:支持体は紙素材[厚さ120μm、ポンチアック・メイプル(Pontiac Maple)51(重量平均繊維長さ0.5mmの漂白メイプル硬材クラフト)(コンソリデイティッド・ポンチアック社)およびアルファ・ハードウッド・スルフィット(Alpha Hardwood Sulfite)(平均繊維長さ0.69mmの漂白レッドアルダー(red−alder)硬材亜硫酸パルプ)(ウェイヤーホイザー・ペーパー社)の1:1ブレンドから製造]であり、これにミクロボイド保有複合材料フィルムPF1が顔料添加ポリオレフィンと共に押出し積層された。顔料添加ポリオレフィンおよび裏面ポリエチレン層は受容体Aの場合と同一であった。
【0060】受容体D:支持体は紙素材(厚さ150μm、受容体C支持体の漂白硬材クラフトパルプおよび漂白硬材亜硫酸パルプの混合物から製造)であり、これにミクロボイド保有複合材料フィルムPF2が顔料添加ポリオレフィンと共に押出し積層された。顔料添加ポリオレフィンおよび裏面ポリエチレン層は受容体Aの場合と同一であった。
【0061】受容体E:支持体は紙素材(厚さ150μm、受容体C支持体の漂白硬材クラフトパルプおよび漂白硬材亜硫酸パルプの混合物から製造)であり、これにミクロボイド保有複合材料フィルムPF3が顔料添加ポリオレフィンと共に押出し積層された。顔料添加ポリオレフィンおよび裏面ポリエチレン層は受容体Aの場合と同一であった。
【0062】受容体F:支持体は紙素材(厚さ150μm、受容体C支持体の漂白硬材クラフトパルプおよび漂白硬材亜硫酸パルプの混合物から製造)であり、これにミクロボイド保有複合材料フィルムPF4が顔料添加ポリオレフィンと共に押出し積層された。顔料添加ポリオレフィンおよび裏面ポリエチレン層は受容体Aの場合と同一であった。
【0063】受容体G:支持体は紙素材(厚さ150μm、受容体C支持体の漂白硬材クラフトパルプおよび漂白硬材亜硫酸パルプの混合物から製造)であり、これにミクロボイド保有複合材料フィルムPF5が顔料添加ポリオレフィンと共に押出し積層された(フィルムPF5のミクロボイド保有ポリプロピレンコア側が顔料添加ポリオレフィンと接触)。顔料添加ポリオレフィンおよび裏面ポリエチレン層は受容体Aの場合と同一であった。
【0064】受容体H:支持体は紙素材(厚さ150μm、受容体C支持体の漂白硬材クラフトパルプおよび漂白硬材亜硫酸パルプの混合物から製造)であり、これにミクロボイド保有複合材料フィルムPF6が顔料添加ポリオレフィンと共に押出し積層された(フィルムPF6のコポリマーシーラント層側が顔料添加ポリオレフィンと接触)。顔料添加ポリオレフィンおよび裏面ポリエチレン層は受容体Aの場合と同一であった。
【0065】受容体I:支持体は紙素材(厚さ150μm、受容体C支持体の漂白硬材クラフトパルプおよび漂白硬材亜硫酸パルプの混合物から製造)であり、これにミクロボイド保有複合材料フィルムPF7が顔料添加ポリオレフィンと共に押出し積層された(フィルムPF7のポリ塩化ビニリデンオーバーコート側が顔料添加ポリオレフィンと接触)。顔料添加ポリオレフィンおよび裏面ポリエチレン層は受容体Aの場合と同一であった。
【0066】受容体J:支持体は紙素材(厚さ140μm、受容体C支持体の漂白硬材クラフトパルプおよび漂白硬材亜硫酸パルプの混合物から製造)であり、これにミクロボイド保有複合材料フィルムPF8が顔料添加ポリオレフィンと共に押出し積層された(フィルムPF8のポリ塩化ビニリデンオーバーコート側が顔料添加ポリオレフィンと接触)。顔料添加ポリオレフィン層は受容体Aの場合と同一であったが、25g/m2で被覆された。裏面ポリエチレン層は受容体Aの場合と同一であったが、12g/m2で被覆された。
【0067】受容体K:支持体は紙素材(厚さ185μm、漂白硬材クラフトパルプおよび漂白軟材亜硫酸パルプの1:1混合物から製造)であり、これにミクロボイド保有複合材料フィルムPF1がポリプロピレンと共に押出し積層された(15g/m2)。紙素材支持体の裏面には高密度ポリエチレンが押出された(13g/m2)。
【0068】対照の色素受容体C−1ないしC−8は本発明の色素受容体と同様に製造されたが、基材に関してミクロボイド保有パッケージングフィルムを含まなかった。
【0069】対照受容体C−1は、受容体Aに対して、受容体Aと同一の紙素材、ビンテージ・グロス、を用いて製造され、ただし複合材料フィルムPF1の代わりに合成紙が顔料添加ポリオレフィンと共に押出し積層された。合成紙はユポ(Yupo)FPG−60(オージ−ユカ・シンセティック・ペーパー社)(厚さ60μm)(d=0.75)であった:炭酸カルシウムを含有し、ミクロボイドを保有する延伸ポリプロピレンコア(全フィルム厚の約54%)および両面に付与された、炭酸カルシウムを含有し(コアより高い配合量の)、ミクロボイドを保有するポリプロピレン層からなる。裏面ポリエチレン層は受容体Aの場合と同一であった。
【0070】受容体Aに対する第2の対照受容体、C−2、は受容体Aと同様に製造され、ただし合成紙はユポSGG−80(オージ−ユカ・シンセティック・ペーパー社)(厚さ80μm)(d=0.80)であった:炭酸カルシウムを含有し、ミクロボイドを保有する延伸ポリプロピレンコア(全フィルム厚の約51%)および両面に付与された、炭酸カルシウムを含有し(コアより高い配合量の)、ミクロボイドを保有するポリプロピレン層からなる。
【0071】対照受容体C−3は、受容体Bに対して、受容体Bと同一の紙素材を用いて製造され、ただし複合材料フィルムPF1の代わりに対照C−1に関する上記の合成紙、ユポFPG−60(オージ−ユカ・シンセティック・ペーパー社)、が顔料添加ポリオレフィンと共に押出し積層された。
【0072】対照受容体C−4は、受容体Cに対して、受容体Cと同一の紙素材を用いて製造され、ただし複合材料フィルムPF1の代わりに対照C−2に関する上記の合成紙、ユポSGG−80(オージ−ユカ・シンセティック・ペーパー社)、が顔料添加ポリオレフィンと共に押出し積層された。
【0073】対照受容体C−5は、受容体D−Jに対して、受容体Dと同一の紙素材を用いて製造され、ただし複合材料フィルムの代わりにミクロボイドを含まないポリオレフィンフィルムが顔料添加ポリオレフィンと共に押出し積層された。ミクロボイドを含まないポリオレフィンフィルムはバイコル306−B(モービル・ケミカル社)、厚さ25μmの顔料を含まない延伸ポリプロピレンフィルムであった。
【0074】受容体D−Jに対する第2の対照受容体、C−6、は受容体Cと同一の紙素材(厚さ120μm)を用いて製造され、ただし複合材料フィルムの代わりにミクロボイドを含まないポリエステルフィルムが顔料添加ポリオレフィンと共に押出し積層された。ミクロボイドを含まないポリエステルフィルムは下塗りなしの延伸ポリ(エチレンテレフタレート)(厚さ6μm)であった。
【0075】対照受容体C−7は、受容体Kに対して、受容体Dと同一の紙素材(厚さ150μm)を用いて製造され、ただし両面にポリエチレンが押出された。前面(受容層)側はアナターゼ、二酸化チタン(13重量%)および蛍光増白剤(0.03重量%)を含有するポリエチレン(22g/m2)であった。紙素材支持体の裏面には高密度ポリエチレン(25g/m2)が押出された。
【0076】受容体Kに対する第2の対照受容体、C−8、は受容体Cと同一の紙素材(厚さ120μm)を用いて製造され、ただし対照C−1に関して上記に述べた合成紙、ユポFPG−60(オージ−ユカ・シンセティック・ペーパー社)が紙素材の両面に顔料添加ポリオレフィンと共に押出し積層された。
【0077】マゼンタ色素を含むサーマルダイトランスファー供与素子は、6μmのポリ(エチレンテレフタレート)製支持体上に下記を被覆することにより製造された。
【0078】a)下塗り層:タイゾー(Tyzor)TBT(チタン・テトラ−n−ブトキシド)(デュポン社)(0.12g/m2);1−ブタノールから;
b)色素層:後記のマゼンタ色素(0.12および0.13g/m2)およびS−363(シャムロック・テクノロジーズ社)(ポリオレフィンおよび酸化ポリオレフィン粒子の超微粉砕ブレンド)(0.016g/m2)を含有;酢酸プロピオン酸セルロース系結合剤(2.5%アセチル、45%プロピオニル)(0.40g/m2)中;トルエン、メタノールおよびシクロペンタノン溶剤混合物から;色素供与素子の裏面に下記を被覆した:a)下塗り層:タイゾーTBT(チタン・テトラ−n−ブトキシド)(デュポン社)(0.12g/m2);1−ブタノールから;
b)スリッピング層:エムラロン(Emralon)329(ポリ(テトラフルオロエチレン)粒子の乾燥フィルム潤滑剤)(アチソン・コロイズ社)(0.59g/m2)、BYK−320(ポリオキシアルキレン−メチルアルキルシロキサンコポリマー)(BYKヘミーUSA)(0.006g/m2)、RS−513(アミノプロピルジメチル末端基付きポリジメチルシロキサン)(ペトラーチ・システムズ社)(0.006g/m2)、S−232(ポリエチレンおよびカルナウバろう粒子の超微粉砕ブレンド)(シャムロック・テクノロジーズ社)(0.016g/m2);トルエン、n−プロピルアセテート、2−プロパノールおよび1−ブタノール溶剤混合物から被覆;マゼンタ色素の構造は下記のとおりである:

サーマルヘッドを用いた相対的プリント効率を評価するために、色素供与体を一定のエネルギーでプリントして、それぞれの色素受容体上に中間スケールの試験画像を形成した。一定のエネルギーで形成された色素濃度を比較することにより、転写の相対的効率を比較することができる。
【0079】約10cm×15cmの領域の色素供与素子の色素側を、同一領域の色素受容素子のポリマー系受容層側と接触させて配置した。このアセンブリッジを、モーター駆動式56cm直径のゴムローラーの頂部に留め付け、26℃に温度調節されたTDKサーマルヘッドL−231(No.6−2R16−1)を36ニュートンの力で、アセンブリッジをゴムローラーに押付けながらその色素供与素子側に向けてプレスした。
【0080】画像形成エレクトロニクスを作動させ、アセンブリッジをプリンティングヘッドとローラーの間で7mm/secにおいて引取った。同時にサーマルプリントヘッドの抵抗素子を33msec/ドットのプリント期間中、128μsec間隔でパルスさせた(29μsec/パルス)。非段階(non−graduated)濃度(0.5−1.0濃度単位)の″中間スケール″試験画像を約9cm×12cmの領域に形成するためにプリントヘッドに印加された電圧は約23.5V、電力は約1.3W/ドットおよびエネルギーは7.6ミリジュール/ドットであった。ステータスAグリーン(Status A Green)反射濃度を読取り、3回の反復の平均として記録した。
【0081】プリントの均質性を評価するために、第2の非段階濃度の試験画像をを形成し、ただしより一定の0.5−0.7の濃度を得るためにサーマルヘッドに付与する力を9ニュートンに調節し、エネルギーを変更した。得られたそれぞれの画像を、モデルMTIモトル試験機(トビアス・アソシエーツ社)で5cm×12cmの領域において読取ることにより均質性につき評価した。モトル指数を3回の反復試験から求め、後記の表に示す。数値が大きいほどプリント濃度の不均質性がより大きいことを示す。
【0082】プリントされていない受容体のカール性を評価するために、TAPPIユースフル・メソド(Useful Method)427の変法に基づいて、種々の試料サイズを用い、わずか50%の相対湿度(RH)におけるカールを測定するカール試験を考案した。各受容体の試料5個を21×28cmに切断し、その際長手を支持体の縦被覆方向に平行にした。試料を50%RHで24時間、平衡化した。カールが生じる場合、いずれの場合も直交−縦被覆方向に(縦被覆方向に垂直に)起こった。受容体の両端間の垂直距離を最近接の半ミリメートルまで測定した。試料が重なるほどカールした場合、重なりをマークし、測定した。重なりの距離を2倍にし、マイナスの数値を付与した。カール率%は下記により計算された:

式中のLは原長(この場合28cm)であり、Mは測定された両端間の距離である。重なり合う試料は100%を越えるカールを示すであろう;平らな試料は0%のカールを示すであろう。5%以下のカール値が望ましく、かつ均等であると考えられる。結果を下記の表1に示す:
【表1】


上記のデータは、ミクロボイドを保有する複合材料フィルムおよび内部ポリオレフィン層を押出し積層された紙系支持体からなる基材上に被覆された本発明のサーマルダイ受容体が、関連の先行技術による受容体に用いられる基材と比較して、転写色素濃度、プリント均質性、およびカール率%の組み合わせ特性に関して卓越していることを示す。
【0083】実施例2実施例1の記載と同様にしてサーマルダイトランスファー受容素子を製造した。ただし下記の受容体に用いる基材を製造するための支持体はポリ(エチレンテレフタレート)からなっていた。
【0084】受容体L:支持体は顔料を含まない透明なポリ(エチレンテレフタレート)フィルム(厚さ100μm)であり、これに上記のミクロボイド保有複合材料フィルムPF1が顔料添加ポリオレフィンと共に押出し積層された。顔料添加ポリオレフィンはアナターゼ、二酸化チタン(13重量%)およびスチルベン−ベンゾオキサゾール蛍光増白剤(0.03重量%)を含有するポリエチレン(12g/m2)であった。ポリエステル系支持体の裏面には受容層側と同じ顔料添加ポリオレフィン(25g/m2)が押出された。
【0085】受容体Lに対する対照受容体、C−9、は受容体Lのポリ(エチレンテレフタレート)支持体(厚さ100μm)を用いて製造され、ただし複合材料フィルムPF1の代わりに、対照C−2に関して上記に述べた合成紙ユポSGG−80(オージ−ユカ・シンセティック・ペーパー社)が顔料添加ポリオレフィンと共に押出し積層された。
【0086】受容体Lに対する第2の対照受容体、C−10、は受容体Lのポリ(エチレンテレフタレート)支持体(厚さ100μm)を用いて製造され、ただし合成紙ユポFPG−60(オージ−ユカ・シンセティック・ペーパー社)がポリ(エチレンテレフタレート)支持体の両面に顔料添加ポリオレフィンと共に押出し積層された。
【0087】実施例1に記載の方法で同じ色素供与体を製造し、転写色素濃度、プリント均質性(モトル)、およびカール率の評価に用いた。結果を下記の表2に示す:
【表2】


上記のデータは、ポリエステル系支持体を用いた基材を含む本発明のサーマルダイ受容体が、関連の先行技術による受容体に用いられる基材と比較して、転写色素濃度、プリント均質性、およびカール率の組み合わせ特性に関して卓越していることを示す。
【0088】実施例3実施例1の記載と同様にしてサーマルダイトランスファー受容素子を製造した。ただし下記の受容体に用いる基材を製造するための支持体は合成紙として知られるミクロボイド保有ポリマーフィルムからなっていた:受容体M:支持体は、米国特許第4,994,312号明細書の記載に従って製造された密度=0.70g/cm3の延伸したミクロボイド保有ポリ(エチレンテレフタレート)(厚さ100μm)フィルム系支持体であり(ボイド形成開始剤はコロイドシリカで被覆した架橋ポリスチレンのミクロビーズである)、これにミクロボイド保有複合材料フィルムPF9が顔料添加ポリオレフィンと共に押出し積層された。顔料添加ポリオレフィンはアナターゼ、二酸化チタン(13重量%)およびスチルベン−ベンゾオキサゾール蛍光増白剤(0.03重量%)を含有するポリエチレン(25g/m2)であった。合成紙系支持体の裏面には高密度ポリエチレン(25g/m2)が押出された。
【0089】受容体N:支持体はキムデュラ(Kimdura)FPG130(キンバリー・クラーク社)、すなわちミクロボイドを保有する延伸したポリプロピレンの合成紙素材(厚さ132μm)であり、これにミクロボイド保有複合材料フィルムPF1が顔料添加ポリオレフィンと共に押出し積層された。両面に押出されたポリオレフィン層は受容体Aの場合と同一であった。
【0090】受容体MおよびNに対する対照受容体、C−11、は受容体Nのミクロボイドを保有する延伸した合成紙素材を用いて製造され、ただし複合材料フィルムの代わりに、対照C−1に関して上記に述べた合成紙ユポFPG−60(オージ−ユカ・シンセティック・ペーパー社)が顔料添加ポリオレフィンと共に押出し積層された。顔料添加ポリオレフィン層および裏面のポリエチレン層は受容体Aの場合と同一であった。
【0091】実施例1に記載の方法で同じ色素供与体を製造し、転写色素濃度、プリント均質性(モトル)、およびカール率の評価に用いた。結果を下記の表3に示す:
【表3】


上記のデータは、ミクロボイド保有ポリマーフィルム系支持体を用いた基材を含む本発明のサーマルダイ受容体が、関連の先行技術による受容体に用いられる基材と比較して、転写色素濃度、プリント均質性、およびカール率の組み合わせ特性に関して卓越していることを示す。
【0092】実施例4実施例1の記載と同様にしてサーマルダイトランスファー受容素子を製造した。その際下記の受容体に用いる基材を製造するために、両面に追加のミクロボイド保有複合材料フィルムを押出し積層したミクロボイド保有ポリマー複合材料フィルムを支持体として用いた:受容体O:支持体はミクロボイド複合材料フィルムPF10であり、これに追加のミクロボイド保有複合材料フィルムPF10が両面に顔料添加ポリオレフィンと共に押出し積層された。顔料添加ポリオレフィンはアナターゼ、二酸化チタン(13重量%)およびスチルベン−ベンゾオキサゾール蛍光増白剤(0.03重量%)を含有するポリエチレン(25g/m2)であった。さらに下塗り層は用いなかった。
【0093】受容体Oに対する対照として、実施例3の対照受容体、C−11、を用いた。実施例1に記載の方法で同じ色素供与体を製造し、転写色素濃度、プリント均質性(モトル)、およびカール率の評価に用いた。結果を下記の表4に示す:
【表4】


上記のデータは、ミクロボイド保有ポリマー複合材料フィルム系支持体を用いた基材を含む本発明のサーマルダイ受容体が、関連の先行技術による受容体に用いられる基材と比較して、転写色素濃度、プリント均質性、およびカール率の組み合わせ特性に関して卓越していることを示す。
【0094】実施例5実施例1の記載と同様に紙素材系支持体を用いてサーマルダイトランスファー受容素子を製造した。ただし下記の受容体に用いる基材を製造するために、ミクロボイド保有複合材料フィルムを押出し積層するのではなくポリマー系接着剤を用いて加圧積層した:受容体P:支持体は紙素材(厚さ120μm、漂白硬材クラフトパルプおよび漂白硬材亜硫酸パルプの1:1混合物から製造)であり、これにミクロボイド保有複合材料フィルムPF11が加圧積層された。ゲルバ(Gelva)788(酢酸エチルおよびトルエンの溶剤混合物中におけるアクリレートコポリマーの20%溶液)(5.4g/m2)を紙素材上に被覆し、自然乾燥させた。上記のミクロボイド保有複合材料フィルムを紙素材の被覆面と接触させ、確実に接触させるためにこのアセンブリッジを一対のゴムローラー間に導通した。この紙系支持体上に下塗り層は用いなかった。
【0095】受容体Pと同じ紙素材(厚さ120μm)を用いて、受容体Pに対する対照受容体C−12を製造した。ただし対照C−1に関して上記に述べた合成紙ユポFPG−60(オージ−ユカ・シンセティック・ペーパー社)をポリマー系接着剤により加圧積層した。ポリマー系接着剤および方法は受容体Pに関して述べたものと同じであった。
【0096】実施例1に記載の方法で同じ色素供与体を製造し、転写色素濃度、プリント均質性(モトル)、およびカール率の評価に用いた。結果を下記の表5に示す:
【表5】


上記のデータは、ミクロボイド保有複合材料フィルムを加圧積層した紙系支持体を含む基材上に被覆された本発明のサーマルダイ受容体が、転写色素濃度、プリント均質性、およびカール率の組み合わせ特性に関して卓越していることを示す。
【0097】実施例6実施例1の記載と同様に紙素材系支持体を用いてサーマルダイトランスファー受容素子を製造した。ただし下記の受容体に用いる基材を製造するために、ミクロボイド保有複合材料フィルムを両面に実施例5の記載に従って加圧積層した:受容体Q:支持体はビンテージ・グロス(クレー被覆紙素材、70ポンド(約31.8kg)、厚さ76μm)(ポトラッチ社)であり、これにミクロボイド保有複合材料フィルムPF11が加圧積層された。ゲルバ788(実施例5に記載)を紙素材の両面に被覆し(各面5.4g/m2)、各面を上記のミクロボイド保有複合材料フィルムと接触させ、このアセンブリッジを一対のローラー間に導通した。さらに下塗り層は用いなかった。
【0098】受容体Qと同じビンテージ・グロス紙素材を用いて、受容体Qに対する対照受容体C−13を製造した。ただし対照C−1に関して上記に述べた合成紙ユポFPG−60(オージ−ユカ・シンセティック・ペーパー社)を支持体の両面にポリマー系接着剤により加圧積層した。ポリマー系接着剤および方法は受容体Qに関して述べたものと同じであった。
【0099】受容体Pに関して述べた硬材クラフトパルプおよび漂白硬材亜硫酸パルプの混合紙素材(厚さ120μm)を用いて、受容体Qに対する第2の対照受容体、C−14、を製造し、対照C−1に関して上記に述べた合成紙ユポFPG−60(オージ−ユカ・シンセティック・ペーパー社)を支持体の両面にポリマー系接着剤により加圧積層した。ポリマー系接着剤および方法は受容体Qに関して述べたものと同じであった。
【0100】実施例1に記載の方法で同じ色素供与体を製造し、転写色素濃度、プリント均質性(モトル)、およびカール率の評価に用いた。結果を下記の表6に示す:
【表6】


上記のデータは、両面にミクロボイド保有複合材料フィルムを加圧積層した紙系支持体を含む基材を用いた本発明のサーマルダイ受容体が、転写色素濃度、プリント均質性、およびカール率の組み合わせ特性に関して卓越していることを示す。
【0101】実施例7実施例1の記載と同様に、下記の受容体に用いる基材を得るために紙素材系支持体を用いてサーマルダイトランスファー受容素子を製造した:受容体R:支持体は紙素材(厚さ81μm、被覆硬材クラフトパルプから製造)であり、これにミクロボイド保有複合材料フィルムPF11が透明な中密度ポリエチレン(12g/m2)と共に押出し積層された。紙素材系支持体の裏面には付着量25g/m2の高密度ポリエチレンが押出し被覆された。
【0102】受容体S:受容体Rと同じ紙素材、ミクロボイド保有複合材料フィルム、および前面ポリオレフィン樹脂を用いた。ただし紙素材系支持体の裏面には付着量37g/m2の高密度ポリエチレンが押出し被覆された。
【0103】実施例1に記載の方法で同じ色素供与体を製造し、転写色素濃度、プリント均質性(モトル)、およびカール率の評価に用いた。カール率の評価は実施例1に記載したものと同じであったが、ただし相対湿度50%のほかに、試料を相対湿度20%および70%においてコンディショニングし、測定した。結果を下記の表7に示す:
【表7】


上記のデータは、ミクロボイド保有複合材料フィルムを押出し積層し、裏面ポリホレフィン樹脂付着量を増加させた紙系支持体を含む基材上に被覆された本発明のサーマルダイ受容体が、高湿度用途に対するカール特性に関して卓越していることを示す。
【0104】
【発明の効果】本発明による色素受容素子は、低いカール率および良好な均質性を示し、効果的な色素転写性を備えている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 色素画像受容層を上方に保有する基材含むサーマルダイトランスファー用の色素受容素子において、前記基材が支持体に積層された複合材料フィルムを含み、前記色素画像受容層が基材の複合材料フィルム側にあり、そして前記複合材料フィルムがミクロボイドを保有する熱可塑性コア層および少なくとも1層の実質的にボイドを含まない熱可塑性表面層を含み、かつ前記コア層および表面層の同時押出しとそれに続く二軸延伸によって製造されたものであることを特徴とする、サーマルダイトランスファー用の色素受容素子。

【請求項2】 前記複合材料フィルムの厚さが28〜7
0μmでありかつ前記複合材料フィルムのコア層がその複合材料フィルムの厚さの30〜85%であることを特徴とする、請求項1に記載のサーマルダイトランスファー用の色素受容素子。

【特許番号】第2735989号
【登録日】平成10年(1998)1月9日
【発行日】平成10年(1998)4月2日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−5960
【出願日】平成5年(1993)1月18日
【公開番号】特開平5−246153
【公開日】平成5年(1993)9月24日
【審査請求日】平成6年(1994)11月15日
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【参考文献】
【文献】特開 昭63−290790(JP,A)
【文献】特開 昭61−270192(JP,A)
【文献】特開 昭62−198497(JP,A)