説明

サーマルプリンタ

【課題】プラテンローラおよび軸受の、切欠からの不測の抜け出しを防止し、サーマルプリンタの信頼性を向上させること。
【解決手段】本体フレーム2と、該本体フレーム2に揺動可能に取り付けられたサーマルヘッドと、該サーマルヘッドの印字面に対向して配置され、サーマルヘッドとの間に感熱紙を挟んで送りをかけるプラテンローラ6と、前記本体フレーム2に取り付けられた支持軸3回りに揺動可能に取り付けられ、前記プラテンローラ6を回転自在に支持する軸受9をサーマルヘッド側に押圧して、前記本体フレーム2に形成された切欠10との間でロックするロックアーム5とを備え、該ロックアーム5の先端部に、前記プラテンローラ6および前記軸受9が前記切欠10の開口に向かって移動した際に、前記軸受9の外周面と当接するとともに、前記ロックアーム5が閉じる方向の力を発生させる第1の傾斜面5dを形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサーマルプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、サーマルプリンタとしては、例えば、特許文献1に開示されているものがある。
この特許文献1に開示されたサーマルプリンタでは、本体フレーム側壁に形成された切欠とロックアームとの間に、プラテンローラを軸受け支持する軸受が挟み込まれることにより、プラテンローラが本体フレームに取り付けられた状態となる。
【特許文献1】特開2000−318260号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載されたサーマルプリンタでは、例えば、サーマルヘッドとプラテンローラとの間に配置された(セットされた)感熱紙が切断のために過大な力で引っ張られて、プラテンローラおよび軸受が支持軸と反対側に移動したような場合に、ロックアームが開く方向に回動して(開放して)、プラテンローラおよび軸受が切欠から外に抜け出し、以後印刷ができなくなってしまうといった問題点があった。
【0004】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、プラテンローラおよび軸受の、切欠からの不測の抜け出しを防止することができて、信頼性を向上させることができるサーマルプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明に係るサーマルプリンタは、本体フレームと、該本体フレームに揺動可能に取り付けられたサーマルヘッドと、該サーマルヘッドの印字面に対向して配置され、サーマルヘッドとの間に感熱紙を挟んで送りをかけるプラテンローラと、前記本体フレームに取り付けられた支持軸回りに揺動可能に取り付けられ、前記プラテンローラを回転自在に支持する軸受をサーマルヘッド側に押圧して、前記本体フレームに形成された切欠との間でロックするロックアームとを備え、該ロックアームの先端部に、前記プラテンローラおよび前記軸受が前記切欠の開口に向かって移動した際に、前記軸受の外周面と当接するとともに、前記ロックアームが閉じる方向の力を発生させる第1の傾斜面が形成されている。
【0006】
本発明に係るサーマルプリンタによれば、サーマルヘッドとプラテンローラとの間に配置された(セットされた)感熱紙が切断のために引っ張られて、プラテンローラおよび軸受が支持軸と反対側に移動したような場合でも、第1の傾斜面によって、ロックアームを閉じる方向の力が発生することとなるので、プラテンローラおよび軸受の、切欠からの不測の抜け出しを防止(プラテンローラの不測の開放を防止)することができて、信頼性を向上させることができる。
【0007】
上記サーマルプリンタにおいて、前記ロックアームの先端部に、前記プラテンローラおよび前記軸受が前記切欠の開口に向かって移動した際に、前記軸受の外周面と当接するとともに、前記ロックアームが開く方向の力を発生させる第2の傾斜面が形成されており、前記第1の傾斜面および前記第2の傾斜面が、前記ロックアームを閉じる方向の力が前記ロックアームを開く方向の力と同じか、あるいはそれよりも大きくなるように形成されているとさらに好適である。
【0008】
このようなサーマルプリンタによれば、プラテンローラおよび軸受が切欠の開口に向かって移動した際、ロックアームを閉じる方向の力がロックアームを開く方向の力と同じか、あるいはそれよりも大きくなるので、プラテンローラおよび軸受の、切欠からの不測の抜け出しをより確実に防止(プラテンローラの不測の開放をより確実に防止)することができて、信頼性をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プラテンローラおよび軸受の、切欠からの不測の抜け出しを防止することができて、信頼性を向上させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係るサーマルプリンタの第1実施形態について、図1から図4を参照しながら説明する。
図1は本実施形態に係るサーマルプリンタを示す斜視図、図2は図1のサーマルプリンタのプラテンローラを取り付けた状態を示す縦断面図、図3は図2の要部を拡大した図、図4はプラテンローラおよび軸受がシャフト側と反対側に移動した状態を示す図であって、(a)は図3と同様の図、(b)は(a)の要部をさらに拡大した図である。
【0011】
本実施形態に係るサーマルプリンタ1は、図1に示すように、本体フレーム2と、この本体フレーム2における共通のシャフト(支持軸)3回りに揺動可能に取り付けられたサーマルヘッド4およびロックアーム5と、このロックアーム5に支持されるプラテンローラ6と、このプラテンローラ6をサーマルヘッド4側に付勢する第1のスプリング7(図2参照)と、サーマルヘッド4をプラテンローラ6の方向に付勢する第2のスプリング8とを備えている。
【0012】
本体フレーム2には、シャフト3を掛け渡す側壁2aと、これら側壁2aを連結する背面連結板部2bとが備えられている。本体フレーム2の側壁2aには、後述するプラテンローラ6の軸受9を受け入れる切欠10が設けられている。また、本体フレーム2には、モータ11と、このモータ11の回転力をプラテンローラ6に伝達する回転伝達機構12とが備えられている。
【0013】
サーマルヘッド4は、図2に示すように、その一面側に設けられた印字面4aに対して背面側に配される側面を本体フレーム2の背面連結板部2bに対向させた状態で、本体フレーム2に取り付けたシャフト3回りに揺動可能に取り付けられている。サーマルヘッド4の印字面4aは、サーマルヘッド4の厚さ方向に、背面連結板部2bとほぼ対応する位置に配置されている。
【0014】
そして、このサーマルヘッド4の背面と、本体フレーム2の背面連結板部2bとの間に、第2のスプリング8が挟まれている。第2のスプリング8は、円錐コイルバネからなる圧縮コイルバネである。これにより、第2のスプリング8の付勢力により、サーマルヘッド4が印字面4a側に常時付勢されている。
【0015】
プラテンローラ6の両端には、このプラテンローラ6を回転自在に支持するための軸受9が取り付けられている。また、プラテンローラ6の一端には、軸受9が切欠10によって支持されたときに、回転伝達機構12のギヤ12aに噛み合うギヤ13(図1参照)が固定されている。
【0016】
ロックアーム5は、シャフト3により本体フレーム2に揺動可能に取り付けられた状態で、本体フレーム2の両側壁2aに沿ってそれぞれ延びる2枚の側板部5aと、これら側板部5aを連結する背板部5bとを備えている。
このロックアーム5には、本体フレーム2に取り付けられた状態で、サーマルヘッド4の印字面4a側に延びる一端に、本体フレーム2の切欠10に支持されたプラテンローラ6の軸受9を抱え込むようにして切欠10の開口幅を減少させ、プラテンローラ6の離脱を抑止する爪部5cが設けられている。また、この状態で、ロックアーム5の背板部5bは、サーマルヘッド4の背面側に対向して配置されている。
【0017】
また、第1のスプリング7は、図2に示すように、ロックアーム5の背板部5bとサーマルヘッド4の背面との間に挟まれている。第1のスプリング7は、円錐コイルバネからなる圧縮コイルバネである。
これにより、ロックアーム5は、第1のスプリング7により、プラテンローラ6の軸受9を本体フレーム2の切欠10に押し付ける方向に常時付勢されるようになっている。また、プラテンローラ6の軸受9が切欠10に押し付けられた状態で、爪部5cが切欠10の開口幅を低減し、軸受9が切欠10から離脱しないように支持されて、プラテンローラ6が本体フレーム2に対して位置決め状態にロックされるようになっている。
【0018】
なお、本実施形態においては、本体フレーム2の背面連結板部2bよりもロックアーム5の背板部5bが、ロックアーム5の揺動軸心であるシャフト3側に近い位置に配置されている。これにより、背面連結板部2bとサーマルヘッド4の背面との間に挟まれる第2のスプリング8よりも、背板部5bとサーマルヘッド4の背面との間に挟まれる第1のスプリング7の方が、揺動軸心に近い位置に配置されていることとなる。
【0019】
さて、本実施形態に係るサーマルプリンタ1の、切欠10および爪部5cはそれぞれ、図3に示すような平面視形状(輪郭)を有している。
すなわち、切欠10は、背面連結板部2bから所定の距離をあけて、背面連結板部2bの背面2cに対して平行(あるいは略平行)になるように形成された平行面10aと、この平行面10aに対して傾斜するとともに、平行面10aの終端(下端)からシャフト3の側に向かって延びる第1の傾斜面10bと、この第1の傾斜面10bに対して平行(あるいは略平行)になるように形成された第2の傾斜面10cと、これら第1の傾斜面10bの終端(下端)および第2の傾斜面10cの終端(下端)を連結する底面10dとを有している。また、これら第1の傾斜面10b、第2の傾斜面10c、および底面10dにより形成された空間内には、プラテンローラ6の軸受9が受け入れられる(収められる)ようになっている。
【0020】
また、爪部5cは、図4(a)および図4(b)に示すように、プラテンローラ6および軸受9がシャフト3側と反対側に移動した場合に、シャフト3と反対側に位置する軸受9の外周面と当接する第3の傾斜面(第1の傾斜面)5dおよび第4の傾斜面(第2の傾斜面)5eを有している。
第3の傾斜面5dは、プラテンローラ6および軸受9がシャフト3と反対側に移動し、軸受9の外周面が当接した場合に、ロックアーム5に対して、ロックアーム5が閉じる方向(図4(a)において半時計方向)の力を発生させる平坦面である。また、第4の傾斜面5eは、プラテンローラ6および軸受9がシャフト3と反対側に移動し、軸受9の外周面が当接した場合に、ロックアーム5に対して、ロックアーム5が開く方向(図4(a)において時計方向)の力を発生させる平坦面である。
【0021】
なお、第3の傾斜面5dと、シャフトの中心から延びる直線とのなす角度α、第4の傾斜面5eと、シャフトの中心から延びる直線とのなす角度β、第3の傾斜面5dの長さ(すなわち、第3の傾斜面5dと第4の傾斜面とが接する点(境界)から軸受9の外周面との接点までの長さ)、および第4の傾斜面5eの長さ(すなわち、第3の傾斜面5dと第4の傾斜面とが接する点(境界)から軸受9の外周面との接点までの長さ)は、プラテンローラ6および軸受9がシャフト3と反対側に移動しても、プラテンローラ6および軸受9が切欠10から抜け出ていかないような角度および長さに設定されている。例えば、第3の傾斜面5dと、シャフトの中心から延びる直線とのなす角度αが、第4の傾斜面5eと、シャフトの中心から延びる直線とのなす角度βよりも小さい場合には、ロックアーム5を閉じようとする力がロックアーム5を開こうとする力よりも大きくなる。また、第3の傾斜面5dと、シャフトの中心から延びる直線とのなす角度αが、第4の傾斜面5eと、シャフトの中心から延びる直線とのなす角度βと同じである場合には、ロックアーム5を閉じようとする力が、ロックアーム5を開こうとする力と同じになる。
【0022】
このように構成された本実施形態に係るサーマルプリンタ1の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係るサーマルプリンタ1において、サーマルヘッド4とプラテンローラ6との間に感熱紙(図示略)を挟んで印刷を行うには、まず、サーマルヘッド4の印字面4aに感熱紙を配置する。次いで、ロックアーム5に外力を加えて、爪部5cをサーマルヘッド4から遠ざける方向にロックアーム5を揺動させ、本体フレーム2の側壁2aに設けられた切欠10の開口幅を広げる。
【0023】
このとき、ロックアーム5の背板部5bとサーマルヘッド4の背面との間に配置される第1のスプリング7が圧縮され、ロックアーム5は、第1のスプリング7の付勢力に抗して揺動させられる。本体フレーム2の側壁2aの切欠10の開口幅を十分に広げるには、ロックアーム5の爪部5cを十分に揺動させる必要があり、これに応じて第1のスプリング7が圧縮される。
【0024】
本実施形態においては、第1のスプリング7は、ロックアーム5の爪部5cよりも、その揺動軸心であるシャフト3に近接した位置に配置されているので、爪部5cの変位量よりも十分に小さいストロークのものを使用することができる。その結果、サーマルヘッド4の背面側に配置される第1のスプリング7の設置スペースを低減することができる。
【0025】
第1のスプリング7としては、円錐コイルバネを用いているので、密着高さを低減することができ、その設置スペースをさらに低減することができる。
また、プラテンローラ6が取り付けられていない状態では、サーマルヘッド4が第2のスプリング8によって印字面4a側に付勢されることにより、シャフト3回りに揺動している。ロックアーム5が切欠10の開口幅を広げる方向に揺動させられる際には、プラテンローラ6が切欠10から取り外されているので、サーマルヘッド4が印字面4a側に揺動して第1のスプリング7のストロークが低減される。
【0026】
そして、開口幅が広げられた切欠10にプラテンローラ6両端の軸受9を挿入して支持させる。この状態で、ロックアーム5に加えた外力を解除する。これにより、ロックアーム5がプラテンローラ6をサーマルヘッド4に近接する方向に付勢し、本体フレーム2の切欠10の、第1の傾斜面10b、第2の傾斜面10c、および底面10dに軸受9を押し付けるとともに、その爪部5cが切欠10の開口幅を狭める方向に移動し、爪部5cによってプラテンローラ6の軸受9が切欠10から離脱しないように支持される。これにより、プラテンローラ6が本体フレーム2に位置決め状態にロックされる。
【0027】
本実施形態においては、第2のスプリング8により、サーマルヘッド4が印字面4a側に付勢されているので、ロックアーム5によるロック動作の途中位置において、プラテンローラ6がサーマルヘッド4の印字面4aとの間に感熱紙を挟むようになり、ロックアーム5によるロック動作が完了するときには、プラテンローラ6が感熱紙を挟んでサーマルヘッド4を押圧し、第2のスプリング8を圧縮する。
【0028】
この場合において、プラテンローラ6は、その軸受9を切欠10の、第1の傾斜面10b、第2の傾斜面10c、および底面10dに押し当てることにより位置決めされ、かつ、第2のスプリング8を支持する背面連結板部2bの位置は固定されているので、プラテンローラ6がロックアーム5によりロックされたときには、第2のスプリング8は常に同一の長さだけ圧縮される。したがって、感熱紙が、サーマルヘッド4とプラテンローラ6との間に常に同一の加圧力で挟まれるので、印刷条件を変動させずに、安定した印刷を行うことができる。そして、モータ11の作動により回転伝達機構12を介してプラテンローラ6が回転させられることにより、感熱紙に送りがかけられつつサーマルヘッド4による印刷が行われる。
【0029】
また、第2のスプリング8は、プラテンローラ6とサーマルヘッド4の印字面4aとの接触位置に対して、サーマルヘッド4を挟んで正対する位置に配置され、接触位置とプラテンローラ6の中心位置とを結ぶ延長線に沿って付勢力を加える。したがって、第2のスプリング8が発生する付勢力を効率的に印字面4aの感熱紙への加圧力として利用することができ、第2のスプリング8の寸法を最小限に抑えることができる。
さらに、本実施形態においては、サーマルヘッド4を押圧する第2のスプリング8は、ロックアーム5を復元するために使用されないので、大きなストロークを必要としない。したがって、ストロークを短縮してその設置スペースを縮小することができる。
【0030】
本実施形態に係るサーマルプリンタ1によれば、例えば、サーマルヘッド4とプラテンローラ6との間に配置された(セットされた)感熱紙が切断のために引っ張られて、プラテンローラ6および軸受9がシャフト3と反対側に移動したような場合でも、第3の傾斜面5dによって、ロックアーム5を閉じる方向の力が発生することとなるので、プラテンローラ6および軸受9の、切欠10からの不測の抜け出しを防止(プラテンローラ6の不測の開放を防止)することができて、信頼性を向上させることができる。
【0031】
本発明に係るサーマルプリンタの第2実施形態について、図5を用いて説明する。
図5は本実施形態に係るサーマルプリンタを示す図であって、(a)は図4(a)と同様の図、(b)は(a)の要部をさらに拡大した図である。
図5に示すように、本実施形態に係るサーマルプリンタ21は、切欠10の代わりに、切欠22が設けられているという点で上述した第1実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
【0032】
切欠22は、背面連結板部2b(図2および図3参照)から所定の距離をあけて、背面連結板部2bの背面2c(図3参照)に対して平行(あるいは略平行)になるように形成された平行面22aと、この平行面22aに対して傾斜するとともに、平行面22aの終端(下端)からシャフト3の側に向かって延びる第1の傾斜面22bと、この第1の傾斜面22bに対して平行(あるいは略平行)になるように形成された第2の傾斜面22cと、これら第1の傾斜面22bの終端(下端)および第2の傾斜面22cの終端(下端)を連結する底面22dとを有している。また、これら第1の傾斜面22b、第2の傾斜面22c、および底面22dにより形成された空間内には、プラテンローラ6の軸受9が受け入れられる(収められる)ようになっている。
【0033】
なお、本実施形態に係る第1の傾斜面22bおよび第2の傾斜面22cは、背面連結板部2bの背面2cとのなす角度が、第1実施形態に係る第1の傾斜面10bおよび第2の傾斜面10cと背面連結板部2bの背面2cとのなす角度よりも大きな角度を有するように形成されている。すなわち、本実施形態に係る第1の傾斜面22bおよび第2の傾斜面22cは、切欠22の開口が、切欠10の開口よりも前面側(背面連結板部2bの背面2cと反対の側)を向くように形成されている。
【0034】
本実施形態に係るサーマルプリンタ21の作用効果は、上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0035】
本発明に係るサーマルプリンタの第3実施形態について、図6を用いて説明する。
図6は本実施形態に係るサーマルプリンタを示す図であって、(a)は図4(a)と同様の図、(b)は(a)の要部をさらに拡大した図である。
図6に示すように、本実施形態に係るサーマルプリンタ31は、切欠10の代わりに、切欠32が設けられているという点で上述した第1実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
【0036】
切欠32は、背面連結板部2b(図2および図3参照)から所定の距離をあけて、背面連結板部2bの背面2c(図3参照)に対して平行(あるいは略平行)になるように形成された第1の平行面32aと、この第1の平行面32aに対して平行(あるいは略平行)になるように形成された第2の平行面32bと、これら第1の平行面32aの終端(下端)および第2の平行面32bの終端(下端)を連結する底面32cとを有している。また、これら第1の平行面32a、第2の平行面32b、および底面32cにより形成された空間内には、プラテンローラ6の軸受9が受け入れられる(収められる)ようになっている。
【0037】
本実施形態に係るサーマルプリンタ31の作用効果は、上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0038】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、適宜必要に応じて変形実施、変更実施、組合せ実施することができる。
【0039】
また、上述した実施形態では、第3の傾斜面5dと第4の傾斜面5eとが直接接続されるものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第3の傾斜面5dと第4の傾斜面5eとは、図示しない第5の傾斜面(平面あるいは曲面)等を介して接続されているものであってもよい。
この場合、第3の傾斜面5dと、シャフトの中心から延びる直線とのなす角度αが、第4の傾斜面5eと、シャフトの中心から延びる直線とのなす角度β以下で、第3の傾斜面5dの長さ(すなわち、第3の傾斜面5dと第4の傾斜面とが接する点(境界)から軸受9の外周面との接点までの長さ)が、第4の傾斜面5eの長さ(すなわち、第3の傾斜面5dと第4の傾斜面とが接する点(境界)から軸受9の外周面との接点までの長さ)よりも長い場合には、ロックアーム5を閉じようとする力がロックアーム5を開こうとする力よりも大きくなる。また、第3の傾斜面5dと、シャフトの中心から延びる直線とのなす角度αが、第4の傾斜面5eと、シャフトの中心から延びる直線とのなす角度βと同じで、第3の傾斜面5dの長さが、第4の傾斜面5eの長さと同じ場合には、ロックアーム5を閉じようとする力が、ロックアーム5を開こうとする力と同じになる。
【0040】
さらに、上述した実施形態の切欠10,22,32は、第1の傾斜面10b,22bと第2の傾斜面10c,22cとが平行(あるいは略平行)になるように形成されており、また、第1の平行面32aと第2の平行面32bとが平行(あるいは略平行)になるように形成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、開口方向に向かって開口幅が広くなるようなものであってもよい。
【0041】
さらにまた、上述した本実施形態に係るサーマルプリンタ1,21,31においては、第1のスプリング7および第2のスプリング8として、円錐コイルバネを採用したが、これに代えて、図7に示すような板バネ37,38を採用してもよい。
図7に示すように、ロックアーム5を付勢する第1のスプリング37と、サーマルヘッド4を押圧する第2のスプリング38とが別個の板バネにより構成されている。
【0042】
第1のスプリング37は、ロックアーム5を構成する背板部5bの一部を延ばすことにより構成されている。第1のスプリング37の他端を第2のスプリング38の背面側まで延ばすことにより、サーマルヘッド4をプラテンローラ6に向けて付勢する付勢力を増加させることができる。
【0043】
また、第1のスプリング37と第2のスプリング38に分離することにより、上述したように、サーマルヘッド4の背面側の設置スペースを低減し、コンパクト化を図ることができる。特に、板バネを採用することにより、狭い設置スペースでも、比較的大きな付勢力を発揮することができ、安定した印刷を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施形態に係るサーマルプリンタを示す斜視図である。
【図2】図1のサーマルプリンタのプラテンローラを取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図3】図2の要部を拡大した図である。
【図4】プラテンローラおよび軸受がシャフト側と反対側に移動した状態を示す図であって、(a)は図3と同様の図、(b)は(a)の要部をさらに拡大した図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るサーマルプリンタを示す図であって、(a)は図4(a)と同様の図、(b)は(a)の要部をさらに拡大した図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係るサーマルプリンタを示す図であって、(a)は図4(a)と同様の図、(b)は(a)の要部をさらに拡大した図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係るサーマルプリンタを示す図であって、プラテンローラを取り付けた状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 サーマルプリンタ
2 本体フレーム
3 シャフト(支持軸)
4 サーマルヘッド
5 ロックアーム
5d 第3の傾斜面(第1の傾斜面)
5e 第4の傾斜面(第2の傾斜面)
6 プラテンローラ
9 軸受
10 切欠
21 サーマルプリンタ
22 切欠
31 サーマルプリンタ
32 切欠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体フレームと、
該本体フレームに揺動可能に取り付けられたサーマルヘッドと、
該サーマルヘッドの印字面に対向して配置され、サーマルヘッドとの間に感熱紙を挟んで送りをかけるプラテンローラと、
前記本体フレームに取り付けられた支持軸回りに揺動可能に取り付けられ、前記プラテンローラを回転自在に支持する軸受をサーマルヘッド側に押圧して、前記本体フレームに形成された切欠との間でロックするロックアームとを備え、
該ロックアームの先端部に、前記プラテンローラおよび前記軸受が前記切欠の開口に向かって移動した際に、前記軸受の外周面と当接するとともに、前記ロックアームが閉じる方向の力を発生させる第1の傾斜面が形成されているサーマルプリンタ。
【請求項2】
前記ロックアームの先端部に、前記プラテンローラおよび前記軸受が前記切欠の開口に向かって移動した際に、前記軸受の外周面と当接するとともに、前記ロックアームが開く方向の力を発生させる第2の傾斜面が形成されており、
前記第1の傾斜面および前記第2の傾斜面が、前記ロックアームを閉じる方向の力が前記ロックアームを開く方向の力と同じか、あるいはそれよりも大きくなるように形成されている請求項1に記載のサーマルプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−143133(P2009−143133A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−323595(P2007−323595)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】