説明

サーマルプリンタ

【課題】メンテナンスを容易に行うため、サーマルヘッドがプラテンローラから大きく離れるように構成した場合でも、開成状態におけるフックの位置がインクリボンの交換作業を阻害することがなく、インクリボンの交換を容易に行うことができるサーマルプリンタを提供する。
【解決手段】長手方向の先端部にフック41が設けられ、回動軸26を回動させると共に、回動軸26に対して長手方向に移動可能に取り付けられ、回動軸26とフック41との距離を変化させることができるヘッドロックレバー40と、回動軸26とフック41との距離を、サーマルヘッド12がプラテンローラ11に押圧される押圧状態よりもサーマルヘッド12がプラテンローラ11から離れる開成状態の方が短くなるようにヘッドロックレバー40を移動させる移動制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被印字媒体とインクリボンとを重ねてプラテンローラとサーマルヘッドとの間に挟持搬送して印字を施すサーマルプリンタに関し、特にヘッドロックレバーを操作することによってサーマルヘッドをプラテンローラに対して接離させるサーマルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
被印字媒体とインクリボンとを重ねてプラテンローラとサーマルヘッドとの間に挟持搬送して印字を施すサーマルプリンタにおいて、ヘッドロックレバーを操作することにより、サーマルヘッドをプラテンローラに対して接離(開閉)することができるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなサーマルプリンタでは、支持軸に揺動可能に取り付けられているヘッド支持手段によってサーマルヘッドを支持すると共に、ヘッド支持手段に当接する当接部材が取り付けられた回動軸の回動に伴ってヘッド支持手段を揺動させ、先端部にフックが設けられたヘッドロックレバーを操作することによって回動軸を回動させるように構成されており、サーマルヘッドがプラテンローラに押圧される押圧状態では、プラテンローラ側に設けられた被係止軸に係止されるようになっている。
【0004】
しかしながら、従来技術では、メンテナンスを容易に行うため、サーマルヘッドがプラテンローラから大きく離れるように構成する場合には、ヘッド支持手段の揺動角度を確保するために回動軸を上方に移動させる必要があり、回動軸とフックとの距離を長く設定しなければならなくなり、サーマルヘッドがプラテンローラから大きく離れた開成状態におけるフックの位置がインクリボン交換作業を阻害する虞がある。すなわち、リボン供給軸とリボン巻き取り軸が片持ち支持されている場合には、リボン供給軸およびリボン巻き取り軸の解放端側からインクリボンの交換作業が行われるが、インクリボンの交換作業が行われる開成状態において、解放端側から見てインクリボンの走行ルートを横切るようにフックが位置すると、インクリボンの交換作業時にインクリボンがフックに当たってしまい、インクリボンの交換作業が困難になってしまうという問題点があった。また、フックを避けてインクリボンの走行ルートを設定した場合には、インクリボンの走行ルートのスペースを確保しなければならず、装置が大型化してしまう。
【0005】
【特許文献1】特開平10−100493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、メンテナンスを容易に行うため、サーマルヘッドがプラテンローラから大きく離れるように構成した場合でも、開成状態におけるフックの位置がインクリボンの交換作業を阻害することがなく、インクリボンの交換を容易に行うことができるサーマルプリンタを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、片持ち支持されているリボン供給軸とリボン巻き取り軸との間に架け渡されたインクリボンと被印字媒体とを重ねてプラテンローラとサーマルヘッドとの間に挟持搬送して印字を施すサーマルプリンタであって、前記サーマルヘッドを支持し、支持軸に揺動可能に取り付けられているヘッド支持手段と、回動軸の回動に伴って前記ヘッド支持手段の揺動を制御する揺動制御手段と、長手方向の先端部に係止手段が設けられ、前記回動軸を回動させると共に、前記回動軸に対して長手方向に移動可能に取り付けられ、前記回動軸と前記係止手段との距離を変化させることができるヘッドロックレバーと、前記回動軸と前記係止手段との距離を、前記サーマルヘッドが前記プラテンローラに押圧される押圧状態よりも前記サーマルヘッドが前記プラテンローラから離れる開成状態の方が短くなるように前記ヘッドロックレバーを移動させることで、前記押圧状態においては、前記リボン供給軸および前記リボン巻き取り軸の解放端側から見て、前記インクリボンの走行ルートを横切って被係止軸に係止できる位置に前記係止手段を伸長させ、前記開成状態においては、前記リボン供給軸および前記リボン巻き取り軸の解放端側から見て、前記インクリボンの走行ルートを横切らない位置に前記係止手段を退避させる移動制御手段とを具備することを特徴とするサーマルプリンタに存する。
また請求項2記載の発明の要旨は、前記移動制御手段は、前記ヘッドロックレバーの可動範囲において、前記押圧状態の際に前記ヘッドロックレバーが位置する箇所から、前記開成状態の際に前記ヘッドロックレバーが位置する箇所に向かって、前記回動軸との距離が漸減する溝部と、前記ヘッドロックレバーに設けられ、前記溝部に緩嵌される突起部とからなることを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタに存する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のサーマルプリンタは、サーマルヘッドを支持し、支持軸に揺動可能に取り付けられているヘッド支持手段と、回動軸の回動に伴ってヘッド支持手段の揺動を制御する揺動制御手段と、長手方向の先端部に係止手段が設けられ、回動軸を回動させると共に、回動軸に対して長手方向に移動可能に取り付けられ、回動軸と係止手段との距離を変化させることができるヘッドロックレバーと、回動軸と係止手段との距離を、サーマルヘッドがプラテンローラに押圧される押圧状態よりもサーマルヘッドがプラテンローラから離れる開成状態の方が短くなるようにヘッドロックレバーを移動させる移動制御手段とを備え、押圧状態においては、リボン供給軸およびリボン巻き取り軸の解放端側から見て、インクリボンの走行ルートを横切って被係止軸に係止できるように係止手段を伸長させ、開成状態においては、リボン供給軸およびリボン巻き取り軸の解放端側から見て、インクリボンの走行ルートを横切らない位置に係止手段を退避させるように構成することにより、メンテナンスを容易に行うため、サーマルヘッドがプラテンローラから大きく離れるように構成すると共に、リボン供給軸とリボン巻き取り軸が片持ち支持され、リボン供給軸およびリボン巻き取り軸の解放端側からインクリボンの交換作業が行われる場合でも、押圧状態において、インクリボンの走行ルートを横切らなくては係止できない位置にある被係止軸に係止手段を係止させることができると共に、開成状態において、インクリボンの走行ルートを横切らない位置に係止手段を退避させることができるため、開成状態におけるフックの位置がインクリボン交換作業を阻害することがなく、インクリボンの交換を容易に行うことができるという効果を奏する。
【0009】
さらに、本発明のサーマルプリンタは、ヘッドロックレバーの可動範囲において、押圧状態の際にヘッドロックレバーが位置する箇所から、開成状態の際にヘッドロックレバーが位置する箇所に向かって、回動軸との距離が漸減する溝部と、ヘッドロックレバーに設けられ、溝部に緩嵌される突起部とで移動制御手段を構成することにより、電気的な制御を行うことなく、簡単な構成で回動軸と係止手段との距離を変化させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態の構成を示す概略側面図であり、図2は、図1に示す印字部シャーシの構成を示す斜視図であり、図3は、図1に示すサーマルヘッドがプラテンローラに押圧された押圧状態を示す要部側面図であり、図4は、図1に示すサーマルヘッドがプラテンローラから離れた開成状態を示す要部側面図であり、図5は、図1に示すヘッドロックレバーの構成を示す斜視図であり、図6は、図1に示すヘッドロックレバーの移動動作を説明するための説明図である。
【0012】
本実施の形態のサーマルプリンタ10は、図1を参照すると、印字部として、プラテンローラ11と、複数の発熱体が幅方向に形成されている面がプラテンローラ11に対向するように配置されたサーマルヘッド12とを有し、タグが連続して形成されているタグ連続体である被印字媒体1とインクリボン2とを重ねてプラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に挟持搬送し、サーマルヘッド12の発熱体を選択的に発熱させることにより、被印字媒体1にインクリボン2からインクを転写させて印字を施すように構成されている。また、印字が施された被印字媒体1は、印字部の後段に設けられたカッタ装置50によって所定の位置で切り離されて排出される。
【0013】
被印字媒体1は、紙管等の筒状体にロール状に巻き回された状態、すなわちロール紙3として供給軸13に回転可能に支持され、プラテンローラ11とサーマルヘッド12とで挟持搬送されることによって引き出され、供給軸13から引き出された被印字媒体1がプラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に供給される。なお、図1に示す符号14は、供給軸13に装着されたロール紙3をガイドするロール紙ガイド板であり、図1に示す符号15は、供給軸13から引き出された被印字媒体1をプラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に案内する案内ローラである。
【0014】
また、インクリボン2は、リボン供給軸16と、プラテンローラ11に連動して回転駆動されるリボン巻き取り軸17との間に架け渡され、リボン供給軸16にロール状に巻き回された状態で支持された未使用のインクリボン2が、プラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に被印字媒体1と共に供給され、転写後のインクリボン2が、リボン巻き取り軸17によって巻き取られるようになっている。なお、図1に示す符号18は、リボン供給軸16に支持された未使用のインクリボン2をプラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に案内する案内ローラであり、図1に示す符号19および20は、転写後のインクリボン2をリボン巻き取り軸17に案内する案内ローラである。
【0015】
供給軸13、案内ローラ15、リボン供給軸16およびリボン巻き取り軸17は、メイン側板21に片持ち支持されていると共に、サーマルヘッド12、案内ローラ18および案内ローラ20を支持する印字部シャーシ22がメイン側板21に片持ち支持されている。印字部シャーシ22は、図2を参照すると、メイン側板21に取り付けられる第1の側板23と、第2の側板24とが所定の間隔で対向して配置されている。第1の側板23と、第2の側板24との間には、被印字媒体1の搬送方向(以下、単に搬送方向と称す)上流側且つ下側の側縁部に案内ローラ18が、搬送方向上流側且つ上側の側縁部に案内ローラ20がそれぞれ架け渡されていると共に、比較的搬送方向下流側の下側に支持軸25が架け渡され、さらに、支持軸25よりも搬送方向下流側且つ上側に回動軸26が第2の側板24から延出するように架け渡されている。
【0016】
支持軸25には、サーマルヘッド12を支持するヘッド支持ユニット27と、ヘッド支持ユニット27、すなわちサーマルヘッド12を所定の押圧力でプラテンローラ11に押圧するための押圧ユニット28とが揺動可能に取り付けられており、押圧ユニット28の解放端側には、案内ローラ19が取り付けられている。
【0017】
回動軸26には、ヘッド支持ユニット27および押圧ユニット28の揺動を制御する当接部材29が取り付けられており、回動軸26を回動させることにより、図3に示すように、底面部30に取り付けられているプラテンローラ11にサーマルヘッド12が押圧された押圧状態と、図4に示すように、底面部30に取り付けられているプラテンローラ11からサーマルヘッド12が離れた開成状態とを切り換えることができるようになっている。
【0018】
回動軸26の回動は、回動軸26の第2の側板24から延出した解放端に取り付けられ、長手方向の先端部に係止手段であるフック41が設けられているヘッドロックレバー40によって行われ、図3(a)に示すように、ヘッドロックレバー40を回動させ、底面部30に取り付けられているプラテンローラ11と同軸に設けられた被係止軸11aに、解放端側から見てインクリボン2の走行ルートを横切ってフック41を係止させた状態では、図3(b)に示すように、回動軸26に取り付けられている当接部材29が押圧ユニット28を押し下げて、底面部30に取り付けられているプラテンローラ11にサーマルヘッド12が押圧された押圧状態となり、当該押圧状態で印字動作が行われる。なお、本実施の形態では、ヘッド支持ユニット27および押圧ユニット28は、サーマルヘッド12がプラテンローラ11から離れる方向、すなわちサーマルヘッド12が上方に移動する方向に、図示しないバネ等の付勢手段によって付勢されているが、フック41を係止軸11aに係止させることにより、押圧状態が維持される。
【0019】
押圧状態において、フック41と被係止軸11aとの係止を解除し、ヘッドロックレバー40を操作して、図3(b)に矢印Aで示す方向に回動軸26を回動させると、回動軸26の回動に伴って当接部材29が上方に退避されるため、図示しないバネ等の付勢手段による付勢力によって、ヘッド支持ユニット27および押圧ユニット28がプラテンローラ11から離れる方向に移動され、図4(a)および(b)に示すように、プラテンローラ11からサーマルヘッド12が離れた開成状態に移行される。開成状態では、プラテンローラ11からサーマルヘッド12が離れているため、インクリボン2の交換作業、すなわちリボン供給軸16およびリボン巻き取り軸17からのインクリボン2の取り外しや架け渡しが行われ、インクリボン2の交換作業は、リボン供給軸16およびリボン巻き取り軸17と、サーマルヘッド12、案内ローラ18および案内ローラ20を支持する印字部シャーシ22とがメイン側板21に片持ち支持されているため、リボン供給軸16、リボン巻き取り軸17および印字部シャーシ22の解放端側から行われる。また、開成状態では、プラテンローラ11およびサーマルヘッド12の清掃等のメンテナンス作業や、被印字媒体1の通紙作業を行うことも可能になる。
【0020】
また、開成状態において、ヘッドロックレバー40を操作して、図4(b)に矢印Bで示す方向に回動軸26を回動させると、回動軸26の回動に伴って当接部材29が下方に移動されるため、図示しないバネ等の付勢手段による付勢力に抗して、ヘッド支持ユニット27および押圧ユニット28がプラテンローラ11に押圧される方向に移動され、図3(a)および(b)に示すように、プラテンローラ11にサーマルヘッド12が押圧される押圧状態に移行される。
【0021】
このように、ヘッドロックレバー40の操作によって、押圧状態と開成状態との切り換えを行うことができるが、本実施の形態では、ヘッドロックレバー40の操作に伴って、回動軸26とヘッドロックレバー40のフック41との距離が変化するように構成されている。すなわち、図3(a)に示す押圧状態における回動軸26とヘッドロックレバー40のフック41との距離Lよりも、図4(a)に示す開成状態における回動軸26とヘッドロックレバー40のフック41との距離Lの方が短くなるように、ヘッドロックレバー40が回動軸26に対して相対的に移動する構成となっている。
【0022】
図5には、カバー42を取り除いた状態のヘッドロックレバー40が示されており、回動軸26の第2の側板24から延出した解放端に固定されたスライド受け部31に、スライド可能に取り付けられているスライド部43と、スライド部43に固定され、先端部にフック41が形成されている板状部材44とを備えており、スライド部43は、ヘッドロックレバー40の長手方向にスライドし、スライド部43のスライドに伴って、回動軸26とフック41が設けられている先端部との距離が変化する。
【0023】
また、図2を参照すると、印字部シャーシ22の第2の側板24には、ヘッドロックレバー40の可動範囲において、押圧状態の際にヘッドロックレバー40が位置する箇所から、開成状態の際にヘッドロックレバー40が位置する箇所に向かって、回動軸26との距離が漸減する溝部32が形成されていると共に、板状部材44には、第2の側板24に形成されている溝部32に緩嵌される突起部45が設けられており、溝部32と、突起部45とがヘッドロックレバー40を長手方向に移動させる移動制御手段として機能する。
【0024】
図6を参照すると、ヘッドロックレバー40の操作に伴って突起部45が溝部32に案内され、回動軸26と突起部45との距離が変化する。すなわち、図6(a)に示す押圧状態における回動軸26と突起部45との距離Mよりも、図6(b)に示す開成状態における回動軸26と突起部45とのとの距離Mの方が短くなり、従って、突起部45と一体で移動するフック41と回動軸26との距離が押圧状態よりも開成状態の方が短くなるように、ヘッドロックレバー40が回動軸26に対して相対的に移動する。これにより、押圧状態においては、解放端側から見てインクリボン2の走行ルートを横切って、プラテンローラ11と同軸、すなわちインクリボン2の走行ルートよりも下方に位置する図示しない被係止軸11aに係止できるようにフック41が伸長され、開成状態においては、回動軸26とフック41との距離が短くなり、フック41が、解放端側から見てインクリボン2の走行ルートを横切らない位置に移動されるように構成されている。従って、インクリボン2の交換作業をヘッドロックレバー40に邪魔されることなく行うことができる。なお、回動軸26の位置を下方にずらせば、回動軸26からフック41までの距離を短くでき、開成状態においても、解放端側から見てインクリボン2の走行ルートをフック41が横切ることを防止することが可能になるが、回動軸26を下方に下げることで、ヘッド支持ユニット27および押圧ユニット28の揺動角度を十分に確保できなくなってしまい、プラテンローラ11およびサーマルヘッド12のメンテナンス作業が困難になってしまう。
【0025】
以上説明したように、本実施の形態によれば、サーマルヘッド12を支持し、支持軸25に揺動可能に取り付けられているヘッド支持ユニット27および押圧ユニット28と、回動軸26の回動に伴ってヘッド支持ユニット27および押圧ユニット28の揺動を制御する当接部材29と、長手方向の先端部にフック41が設けられ、回動軸26を回動させると共に、回動軸26に対して長手方向に移動可能に取り付けられ、回動軸26とフック41との距離を変化させることができるヘッドロックレバー40と、回動軸26とフック41との距離を、サーマルヘッド12がプラテンローラ11に押圧される押圧状態よりもサーマルヘッド12がプラテンローラ11から離れる開成状態の方が短くなるようにヘッドロックレバー40を移動させる移動制御手段とを備え、押圧状態においては、リボン供給軸16およびリボン巻き取り軸17の解放端側から見て、インクリボン2の走行ルートを横切って被係止軸11aに係止できるようにフック41を伸長させ、開成状態においては、リボン供給軸16およびリボン巻き取り軸17の解放端側から見て、インクリボン2の走行ルートを横切らない位置にフック41を退避させるように構成することにより、メンテナンスを容易に行うため、サーマルヘッド12がプラテンローラ11から大きく離れるように構成すると共に、リボン供給軸16とリボン巻き取り軸17が片持ち支持され、リボン供給軸16およびリボン巻き取り軸17の解放端側からインクリボン2の交換作業が行われる場合でも、押圧状態において、インクリボン2の走行ルートを横切らなくては係止できない位置にある被係止軸11aにフック41を係止させることができると共に、開成状態において、インクリボン2の走行ルートを横切らない位置にフック41を退避させることができるため、開成状態におけるフックの位置がインクリボン交換作業を阻害することがなく、インクリボンの交換を容易に行うことができるという効果を奏する。
【0026】
さらに、本実施の形態によれば、ヘッドロックレバー40の可動範囲において、押圧状態の際にヘッドロックレバー40が位置する箇所から、開成状態の際にヘッドロックレバー40が位置する箇所に向かって、回動軸26との距離が漸減する溝部32と、ヘッドロックレバー40に設けられ、溝部32に緩嵌される突起部45とで移動制御手段を構成することにより、電気的な制御を行うことなく、簡単な構成で回動軸26と係止手段であるフック41との距離を変化させることができるという効果を奏する。
【0027】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態の構成を示す概略側面図である。
【図2】図1に示す印字部シャーシの構成を示す斜視図である。
【図3】図1に示すサーマルヘッドがプラテンローラに押圧された押圧状態を示す要部側面図である。
【図4】図1に示すサーマルヘッドがプラテンローラから離れた開成状態を示す要部側面図である。
【図5】図1に示すヘッドロックレバーの構成を示す斜視図である。
【図6】図1に示すヘッドロックレバーの移動動作を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0029】
1 被印字媒体
2 インクリボン
3 ロール紙
10 サーマルプリンタ
11 プラテンローラ
11a 被係止軸
12 サーマルヘッド
13 供給軸
14 ロール紙ガイド板
15 案内ローラ
16 リボン供給軸
17 リボン巻き取り軸
18 案内ローラ
19 案内ローラ
20 案内ローラ
21 メイン側板
22 印字部シャーシ
23 第1の側板
24 第2の側板
25 支持軸
26 回動軸
27 ヘッド支持ユニット
28 押圧ユニット
29 当接部材
30 底面部
31 スライド受け部
32 溝部
40 ヘッドロックレバー
41 フック
42 カバー
43 スライド部
44 板状部材
45 突起部
50 カッタ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片持ち支持されているリボン供給軸とリボン巻き取り軸との間に架け渡されたインクリボンと被印字媒体とを重ねてプラテンローラとサーマルヘッドとの間に挟持搬送して印字を施すサーマルプリンタであって、
前記サーマルヘッドを支持し、支持軸に揺動可能に取り付けられているヘッド支持手段と、
回動軸の回動に伴って前記ヘッド支持手段の揺動を制御する揺動制御手段と、
長手方向の先端部に係止手段が設けられ、前記回動軸を回動させると共に、前記回動軸に対して長手方向に移動可能に取り付けられ、前記回動軸と前記係止手段との距離を変化させることができるヘッドロックレバーと、
前記回動軸と前記係止手段との距離を、前記サーマルヘッドが前記プラテンローラに押圧される押圧状態よりも前記サーマルヘッドが前記プラテンローラから離れる開成状態の方が短くなるように前記ヘッドロックレバーを移動させることで、前記押圧状態においては、前記リボン供給軸および前記リボン巻き取り軸の解放端側から見て、前記インクリボンの走行ルートを横切って被係止軸に係止できる位置に前記係止手段を伸長させ、前記開成状態においては、前記リボン供給軸および前記リボン巻き取り軸の解放端側から見て、前記インクリボンの走行ルートを横切らない位置に前記係止手段を退避させる移動制御手段とを具備することを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項2】
前記移動制御手段は、前記ヘッドロックレバーの可動範囲において、前記押圧状態の際に前記ヘッドロックレバーが位置する箇所から、前記開成状態の際に前記ヘッドロックレバーが位置する箇所に向かって、前記回動軸との距離が漸減する溝部と、
前記ヘッドロックレバーに設けられ、前記溝部に緩嵌される突起部とからなることを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−196162(P2009−196162A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38698(P2008−38698)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【特許番号】特許第4252106号(P4252106)
【特許公報発行日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】