説明

サーマルプリンタ

【課題】本発明は、透過型センサへの通紙を意識することなく、被印字媒体の装填を行っても、確実に透過型センサの発光素子と受光素子との間に被印字媒体を通紙することができるサーマルプリンタを提供することを課題とする。
【解決手段】プラテンローラ11が設けられている本体ユニット20と、サーマルヘッド12をプラテンローラ11に対して接離可能に支持する印字ユニット40とを有し、透過型センサ16の受光素子16bを本体ユニット20に設けると共に、透過型センサ16の発光素子16aを印字ユニット40に設け、印字ユニット40をプラテンローラ11にサーマルヘッド12を押圧する閉状態にすることで、発光素子16aと受光素子16bとが被印字媒体1の搬送路を挟んで対向されて透過型センサ16として機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラテンローラとサーマルヘッドとで被印字媒体を挟持搬送して印字を行うサーマルプリンタに関し、特に透過型センサを用いて印字タイミングを検出するサーマルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数枚のラベルが帯状台紙に仮着されているラベル連続体やタグが連続して形成されたタグ連続体を被印字媒体とし、プラテンローラとサーマルヘッドとで被印字媒体を挟持搬送して印字を行うサーマルプリンタにおいては、印字タイミング、すなわち印字開始位置を検出するためのセンサとして、発光素子と受光素子とからなる透過型センサを使用しているものが存在する(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかしながら、従来技術では、透過型センサの発光素子と受光素子とが被印字媒体の搬送路を介して上下に対向配置されており、透過型センサの発光素子と受光素子との間に被印字媒体を通紙しなければならないが、透過型センサは、一般的に小さく、且つ発光素子と受光素子との間隙が狭いため、透過型センサの発光素子と受光素子との間に通紙しづらいと共に、透過型センサへの通紙を忘れてしまい、透過型センサの発光素子と受光素子との間に通紙することなく、被印字媒体の装填してしまうことがあるという問題点があった。
【0004】
【特許文献1】2007−45543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、透過型センサへの通紙を意識することなく、被印字媒体の装填を行っても、確実に透過型センサの発光素子と受光素子との間に被印字媒体を通紙することができるサーマルプリンタを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、発光素子と受光素子とからなる透過型センサを用いて印字タイミングを検出し、プラテンローラとサーマルヘッドとで被印字媒体を挟持搬送して印字を行うサーマルプリンタであって、前記プラテンローラが設けられている本体ユニットと、前記サーマルヘッドを前記プラテンローラに対して接離可能に支持する印字ユニットとを具備し、前記透過型センサの一方の素子は、前記本体ユニットに設けられていると共に、前記透過型センサの他方の素子は、前記印字ユニットに設けられており、前記印字ユニットを、前記プラテンローラに前記サーマルヘッドを押圧する閉状態にすることで、前記発光素子と前記受光素子とが前記被印字媒体の搬送路を挟んで対向されて前記透過型センサとして機能し、前記印字ユニットを、前記プラテンローラから前記サーマルヘッドを離した開状態することで、前記発光素子と前記受光素子とが離間されることを特徴とするサーマルプリンタに存する。
また請求項2記載の発明の要旨は、前記印字ユニットは、前記閉状態において搬送される前記被印字媒体の上面側をガイドするガイド手段を具備し、前記透過型センサの他方の素子は、前記ガイド手段に設けられていることを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタに存する。
また請求項3記載の発明の要旨は、前記印字ユニットの開閉を検出し、前記閉状態において、前記透過型センサへの通電をオンし、前記開状態において、前記透過型センサへの通電がオフする開閉検出スイッチを具備することを特徴とする請求項1又は2記載のサーマルプリンタに存する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のサーマルプリンタは、プラテンローラが設けられている本体ユニットと、サーマルヘッドをプラテンローラに対して接離可能に支持する印字ユニットとを有し、発光素子と受光素子とからなる透過型センサの一方の素子を本体ユニットに設けると共に、透過型センサの他方の素子を印字ユニットに設け、印字ユニットを、プラテンローラにサーマルヘッドを押圧する閉状態にすることで、発光素子と受光素子とが被印字媒体の搬送路を挟んで対向されて透過型センサとして機能し、印字ユニットを、プラテンローラからサーマルヘッドを離した開状態することで、発光素子と受光素子とが離間されるように構成することにより、印字ユニットとプラテンローラとの間に被印字媒体を装填することで、透過型センサの発光素子と受光素子との間に被印字媒体を通紙することができるため、透過型センサへの通紙を意識することなく、被印字媒体の装填を行っても、確実に透過型センサの発光素子と受光素子との間に被印字媒体を通紙することができるという効果を奏する。
【0008】
さらに、本発明のサーマルプリンタは、透過型センサの他方の素子を、搬送される被印字媒体の上面側をガイドするガイド手段に設けることにより、透過型センサの他方の素子への引っかかりを極力防止することができるという効果を奏する。
【0009】
さらに、本発明のサーマルプリンタは、印字ユニットの開閉を検出し、閉状態において、透過型センサへの通電をオンし、開状態において、透過型センサへの通電がオフする開閉検出スイッチを設けることにより、開状態において、被印字媒体の装填やサーマルヘッドのメンテナンスを行う際に、安心して発光素子の清掃を行うことが可能になるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態の構成を示す概略側面図であり、図2は、本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態の閉状態を示す外観斜視図であり、図3は、本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態の開状態を示す外観斜視図であり、図4は、図3に示す印字ユニットの構成を示す斜視図である。
【0012】
本実施の形態のサーマルプリンタは、図1を参照すると、印字部10として、プラテンローラ11と、複数の発熱体が幅方向に形成されている面(以下、印字面と称す)がプラテンローラ11に対向するように配置されたサーマルヘッド12とを有し、複数枚のラベルが帯状台紙に所定の間隔で仮着されているラベル連続体やタグが連続して形成されたタグ連続体等の被印字媒体1とインクリボン2とを重ねてプラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に挟持搬送し、サーマルヘッド12の発熱体を選択的に発熱させることにより、被印字媒体1にインクリボン2からインクを転写させて印字を施すように構成されている。
【0013】
被印字媒体1は、紙管等の筒状体にロール状に巻き回された状態、すなわちロール紙3として供給部13に回転可能に支持され、供給部13からプラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に供給される。また、インクリボン2は、プラテンローラ11に連動して回転駆動されるリボン巻き取り軸14と、リボン供給軸15との間に架け渡され、リボン供給軸15にロール状に巻き回された状態で支持されたインクリボン2が、プラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に被印字媒体1と共に供給され、転写後のインクリボン2が、リボン巻き取り軸14によって巻き取られるようになっている。
【0014】
供給部13から印字部10に至る被印字媒体1の搬送経路には、発光素子16aと、受光素子16bとからなる透過型センサ16が設けられており、透過型センサ16の検出結果に応じて、印字タイミングが制御されるように構成されている。例えば、被印字媒体1がラベル連続体である場合には、透過型センサ16によって、ラベルの先端や、ラベルと同一ピッチで帯状台紙に形成された切り欠き等を検出することで、印字タイミングが制御される。また、被印字媒体1がタグ連続体である場合には、透過型センサ16によって、タグに形成されたセンタホールやタグ間に形成されたミシン目等を検出することで、印字タイミングが制御される。
【0015】
また、本実施の形態のサーマルプリンタは、プラテンローラ11および供給部13が設けられ、上部が解放された本体ユニット20と、本体ユニット20の上部を覆う上蓋ユニット30と、サーマルヘッド12、リボン巻き取り軸14およびリボン供給軸15が設けられ、本体ユニット20と上蓋ユニット30との間に配置された印字ユニット40とからなり、上蓋ユニット30と印字ユニット40とは、本体ユニット20の奥側に設けられている支持軸18によって、回動自在に支持され、印字済みの印字媒体が排出される排出口17が設けられている手前側から開くように構成されている。
【0016】
図2は、上蓋ユニット30が閉じられた閉状態のサーマルプリンタが示されており、閉状態では、印字ユニット40が本体ユニット20と上蓋ユニット30とに挟まれて位置決めされ、図1に示すように、印字ユニット40に設けられているサーマルヘッド12が本体ユニットに設けられているプラテンローラ11に押し当てられて位置決めされる。なお、印字ユニット40は、上蓋ユニット30に嵌装可能に構成されており、図2に示す閉状態において、印字ユニット40は、上蓋ユニット30に嵌装された嵌装状態となっている。
【0017】
図3は、上蓋ユニット30が開けられた開状態のサーマルプリンタが示されており、上蓋ユニット30と、印字ユニット40とをそれぞれ独立して回転させることができるようになっている。上蓋ユニット30は、開閉ストッパ31によって、手を離しても図3に示す開状態に維持されるように構成されていると共に、印字ユニット40は、開閉ストッパ31の内側に突出する凸部31aにアーム部41が引っかかることで、図3に示す状態で上蓋ユニット30から独立して停止させることができるようになっている。
【0018】
印字ユニット40は、図3および図4を参照すると、一方端が支持軸18に支持されたアーム部41の解放端側に、リボン巻き取り軸14およびリボン供給軸15が回転可能にそれぞれ架け渡される右リボンフレーム42と左リボンフレーム43とが設けられている。右リボンフレーム42と左リボンフレーム43との間には、サーマルヘッド12が組み付けられており、サーマルヘッド12は、図2に示す閉状態において、バネ19の付勢力によってプラテンローラ11に押圧されるようになっている。
【0019】
また、印字ユニット40には、図4を参照すると、リボン供給軸15の下方側をカバーすると共に、図2に示す閉状態において、供給部13から印字部10に搬送される被印字媒体1の上面側をガイドするカバー部44が形成されており、リボン供給軸15に支持されたインクリボン2は、サーマルヘッド12の後端とカバー部44との間を通ってプラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に供給される。
【0020】
透過型センサ16の受光素子16bは、図3を参照すると、本体ユニット20に固設されていると共に、透過型センサ16の発光素子16aは、図4を参照すると、印字ユニット40のカバー部44に設けられており、図2に示す閉状態において、受光素子16bと発光素子16aとが被印字媒体1を挟んで近接対向し、センサレベルが確保されるように構成されている。従って、図3に示す開状態において、透過型センサ16への通紙を意識することなく、被印字媒体1を装填することができ、図2に示す閉状態にすることで、透過型センサ16の受光素子16bと発光素子16aとの間に被印字媒体1が確実に通紙されることになる。なお、本実施の形態では、図3および図4に示すように、受光素子16bおよび発光素子16aをセンタラインに配置するように構成したが、検出する対象に応じて受光素子16bおよび発光素子16aを近接対向した状態でセンタラインからずらして配置するようにしても良い。また、本実施の形態では、受光素子16bを本体ユニット20に、発光素子16aを印字ユニット40にそれぞれ設けるように構成したが、受光素子16bを印字ユニット40に、発光素子16aを本体ユニット20にそれぞれ設けるようにしても良い。
【0021】
また、図3を参照すると、本体ユニット20には、印字ユニット40の開閉を検出し、透過型センサ16への通電をオン・オフする開閉検出スイッチ21が設けられており、図2に示す閉状態において、透過型センサ16への通電がオンされ、図3に示す開状態において、透過型センサ16への通電がオフされる。これにより、図3に示す開状態において、被印字媒体1の装填やサーマルヘッド12のメンテナンスを行う際に、安心して発光素子16aの清掃を行うことが可能になる。
【0022】
以上説明したように、本実施の形態によれば、プラテンローラ11が設けられている本体ユニット20と、サーマルヘッド12をプラテンローラ11に対して接離可能に支持する印字ユニット40とを有し、透過型センサ16の受光素子16bを本体ユニット20に設けると共に、透過型センサ16の発光素子16aを印字ユニット40に設け、印字ユニット40をプラテンローラ11にサーマルヘッド12を押圧する閉状態にすることで、発光素子16aと受光素子16bとが被印字媒体1の搬送路を挟んで対向されて透過型センサ16として機能し、印字ユニット40をプラテンローラ11からサーマルヘッド12を離した開状態することで、発光素子16aと受光素子16bとが離間されるように構成することにより、印字ユニット40とプラテンローラ11との間に被印字媒体を装填することで、透過型センサ16の発光素子16aと受光素子16bとの間に被印字媒体1を通紙することができるため、透過型センサ16への通紙を意識することなく、被印字媒体1の装填を行っても、確実に透過型センサ16の発光素子16aと受光素子16bとの間に被印字媒体1を通紙することができるという効果を奏する。
【0023】
さらに、本実施の形態によれば、透過型センサ16の発光素子16aを、搬送される被印字媒体1の上面側をガイドするガイド手段であるカバー部44に設けることにより、透過型センサ16の発光素子16aへの引っかかりを極力防止することができるという効果を奏する。
【0024】
さらに、本実施の形態によれば、印字ユニット40の開閉を検出し、閉状態において、透過型センサ16への通電をオンし、開状態において、透過型センサ16への通電がオフする開閉検出スイッチ21を設けることにより、開状態において、被印字媒体1の装填やサーマルヘッド12のメンテナンスを行う際に、安心して発光素子16aの清掃を行うことが可能になるという効果を奏する。
【0025】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態の構成を示す概略側面図である。
【図2】本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態の閉状態を示す外観斜視図である。
【図3】本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態の開状態を示す外観斜視図である。
【図4】図3に示す印字ユニットの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1 被印字媒体
2 インクリボン
3 ロール紙
10 印字部
11 プラテンローラ
12 サーマルヘッド
13 供給部
14 リボン巻き取り軸
15 リボン供給軸
16 透過型センサ
16a 発光素子
16b 受光素子
17 排出口
18 支持軸
19 バネ
20 本体ユニット
21 開閉検出スイッチ
30 上蓋ユニット
31 開閉ストッパ
31a 凸部
40 印字ユニット
41 アーム部
42 右リボンフレーム
43 左リボンフレーム
44 カバー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と受光素子とからなる透過型センサを用いて印字タイミングを検出し、プラテンローラとサーマルヘッドとで被印字媒体を挟持搬送して印字を行うサーマルプリンタであって、
前記プラテンローラが設けられている本体ユニットと、
前記サーマルヘッドを前記プラテンローラに対して接離可能に支持する印字ユニットとを具備し、
前記透過型センサの一方の素子は、前記本体ユニットに設けられていると共に、前記透過型センサの他方の素子は、前記印字ユニットに設けられており、
前記印字ユニットを、前記プラテンローラに前記サーマルヘッドを押圧する閉状態にすることで、前記発光素子と前記受光素子とが前記被印字媒体の搬送路を挟んで対向されて前記透過型センサとして機能し、
前記印字ユニットを、前記プラテンローラから前記サーマルヘッドを離した開状態することで、前記発光素子と前記受光素子とが離間されることを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項2】
前記印字ユニットは、前記閉状態において搬送される前記被印字媒体の上面側をガイドするガイド手段を具備し、
前記透過型センサの他方の素子は、前記ガイド手段に設けられていることを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタ。
【請求項3】
前記印字ユニットの開閉を検出し、前記閉状態において、前記透過型センサへの通電をオンし、前記開状態において、前記透過型センサへの通電がオフする開閉検出スイッチを具備することを特徴とする請求項1又は2記載のサーマルプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−234120(P2009−234120A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84825(P2008−84825)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】