サーマルプリンタ
【課題】プラテンローラの摩擦力を変化させることなく、印字濃度変化や印字カスレの発生を長期的に亘って抑制することができるうえ、経時的な印字品質の劣化を抑えること。
【解決手段】プラテンローラ10と、モータからの回転力をプラテンローラに伝達させ、サーマルヘッドとの間で記録紙を挟み込みながら紙送りさせる回転力伝達部材65と、を備え、プラテンローラが、プラテン軸部10aと該プラテン軸部の両端部にそれぞれ固定された一対のプラテン用歯車10cとを備え、回転力伝達部材が、プラテン軸部に対して平行に配設された状態で回転可能に支持され、モータからの回転力によって回転させられるシャフト73と、該シャフトの両端部にそれぞれ固定された一対の駆動歯車70と、を備え、一対の駆動歯車が、一対のプラテン用歯車に対して各別に噛合され、シャフトの回転に伴って一対のプラテン用歯車を同位相で回転させるサーマルプリンタを提供する。
【解決手段】プラテンローラ10と、モータからの回転力をプラテンローラに伝達させ、サーマルヘッドとの間で記録紙を挟み込みながら紙送りさせる回転力伝達部材65と、を備え、プラテンローラが、プラテン軸部10aと該プラテン軸部の両端部にそれぞれ固定された一対のプラテン用歯車10cとを備え、回転力伝達部材が、プラテン軸部に対して平行に配設された状態で回転可能に支持され、モータからの回転力によって回転させられるシャフト73と、該シャフトの両端部にそれぞれ固定された一対の駆動歯車70と、を備え、一対の駆動歯車が、一対のプラテン用歯車に対して各別に噛合され、シャフトの回転に伴って一対のプラテン用歯車を同位相で回転させるサーマルプリンタを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的にサーマルプリンタは、複数の発熱素子が一列に並んだサーマルヘッド(ラインサーマルヘッド)と、該サーマルヘッドとの間で記録紙を挟み込むプラテンローラと、を具備し、プラテンローラの回転によって記録紙を紙送りしながら発熱素子を適宜発熱させることで印字を行っている。
また、通常プラテンローラは、複数の歯車からなる輪列を介してモータからの回転力が伝達されるように構成されており、サーマルヘッドの駆動と同期して回転タイミングや回転速度等が制御されている。
【0003】
この点、図面を参照して簡単に説明する。
図19及び図20に示すように、プラテンローラ100は、軸部の両端部に取り付けられた軸受部101を介してケーシング等の支持部材102に軸支されている。軸部の一方には、プラテン用歯車103が固定されており、このプラテン用歯車103に駆動歯車104が噛合されている。この駆動歯車104は、図示しないモータ歯車(上記モータの出力軸に固定された歯車)に噛合された輪列機構を構成している歯車の1つである。
これにより、駆動歯車104を介してプラテン用歯車103にモータの回転力を伝達することができ、プラテンローラ100を回転させて記録紙Pを紙送りすることが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−118153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の構成では、印字濃度変化や印字カスレ等が記録紙Pの紙幅方向に発生したり、印字品質が経時的に劣化したりする可能性が高かった。
詳しく説明する。
図20に示すように、通常サーマルヘッド110はコイルバネ111等によって付勢され、サーマルヘッド110の外周面に対して一定の押圧力で押し付けられている。そのため、図21(a)に示すようにプラテンローラ100はその押圧力によって全長に亘って潰れ(図中の斜線領域)、その潰れた領域であるニップNの部分がサーマルヘッド110に対して密着している。
そして、サーマルヘッド110とプラテンローラ100とは、図示しない発熱素子のラインがこのニップ幅Wの範囲内に収まるように組み合わされている。
【0006】
ところで、プラテンローラ100は、上記したようにプラテン用歯車103に噛合する駆動歯車104からモータの回転力が伝達されることで回転させられるが、この際、図20に示すように、プラテン用歯車103における噛み合い部分には、駆動歯車104の回転方向に作用する応力F1と、駆動歯車104から受ける反発力F2と、の合力Fが回転力とは別に作用する。このとき、上記従来の構成ではプラテンローラ100の軸部の一方にプラテン用歯車103が固定されているので、上記合力Fがプラテンローラ100の片側にのみ発生してしまう。
【0007】
そのため、図22に示すように、軸受部101と支持部材102との間のガタや、軸受部101と軸部と間のガタ分だけ、プラテンローラ100は片側が持ち上がって傾き、サーマルヘッド110に対する圧力分布が長手方向に不均一(片当たり状態)になり易かった。これにより、図21(b)に示すように、プラテンローラ100の全長に亘ってニップ幅Wが一定とならず不均一になってしまう。
【0008】
その結果、上述したように、記録紙Pの紙幅方向に、印字濃度変化や印字カスレ等が発生する場合があった。また、この問題は初期的に発生しなくても、軸受部101の摩耗等によって、長期間の使用に伴ってサーマルヘッド110とプラテンローラ100との間の圧力分布が崩れる可能性が徐々に高まり易くなるので、生じ易くなってしまう。そのため、経時的に印字品質が劣化し易かった。
【0009】
ところで、サーマルプリンタの種類によっては、駆動歯車104がプラテン用歯車103に対して図23に示すように噛合する場合がある。この場合には、上記合力Fによってプラテンローラ100が傾くものの、図24に示すようにサーマルヘッド110の面内方向に傾くのでニップ幅Wが上述した場合に比べて均一になり易い。しかしながら、この場合であっても同様に、軸受部101と支持部材102との間のガタや、軸受部101と軸部と間のガタ分だけ、サーマルヘッド110の発熱素子のラインに対してニップNが傾いてしまうので、やはり同様の問題が生じ易かった。
【0010】
なお、プラテンローラ100に対するサーマルヘッド110の押圧力を強くして、ニップ幅Wをできるだけ幅広にすることも考えられるが、この場合にはプラテンローラ100の摩擦力による回転負荷が大きくなりすぎてしまう。そのため、プラテンローラ100を回転させるモータに脱調等の不具合が生じ易くなってしまい、モータサイズを大きくする等の設計変更が必要となってしまうものであった。
【0011】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、プラテンローラの回転負荷を増大させることなく、印字濃度変化や印字カスレの発生を長期的に亘って抑制することにより、経時的な印字品質の劣化を抑えることができるサーマルプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
(1)本発明に係るサーマルプリンタは、記録紙を紙送りするプラテンローラと、前記記録紙の紙幅方向に一列に配列された複数の発熱素子を有し、前記記録紙を挟んで前記プラテンローラに対して押し付けられたサーマルヘッドと、モータからの回転力を前記プラテンローラに伝達させ、前記サーマルヘッドとの間で前記記録紙を挟み込みながら紙送りさせる回転力伝達部材と、を備え、前記プラテンローラが、回転可能に支持されたプラテン軸部と、該プラテン軸部の両端部にそれぞれ固定された一対のプラテン用歯車と、を備え、前記回転力伝達部材が、前記プラテン軸部に対して平行に配設された状態で回転可能に支持され、前記モータからの回転力によって回転させられるシャフトと、該シャフトの両端部にそれぞれ固定された一対の駆動歯車と、を備え、前記一対の駆動歯車が、前記一対のプラテン用歯車に対して各別に噛合され、前記シャフトの回転に伴って一対のプラテン用歯車を同位相で回転させることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るサーマルプリンタによれば、モータを駆動させることで、回転力伝達部材のシャフト及び一対の駆動歯車を回転させることができる。これにより、一対の駆動歯車に対して各別に噛合されている一対のプラテン用歯車に回転力を同時に伝達することができ、これら一対のプラテン用歯車を同位相で回転させることができる。これにより、プラテンローラを回転させることができ、サーマルヘッドとの間で記録紙を挟み込みながら紙送りさせることができる。そして、この紙送りと同時に、サーマルヘッドの発熱素子を適宜発熱させることで、紙送りされている記録紙に対して印字を行うことができる。
【0014】
ところで、プラテンローラを回転させる際、上記したように一対の駆動歯車を介してプラテン軸の両端部に固定された一対のプラテン用歯車に対して同時に回転力を伝達している。そのため、プラテン用歯車と駆動歯車との噛み合い部分に合力が発生し、プラテンローラを押し上げるような応力が作用したとしても、その応力はプラテンローラの片側にだけ作用するのではなく両側に作用し、合力による負荷もほぼ半分になる。
従って、その応力によってプラテンローラが変位したとしても、従来のようにプラテンローラが傾くのではなく全体が平行に移動する。そのため、サーマルヘッドに対してプラテンローラが片当たりしてしまうことを抑制することができ、サーマルヘッドに対するプラテンローラの圧力分布を全長に亘って均等に維持することができ、均一なニップ幅を確保することができる。また、サーマルヘッドの面内方向にプラテンローラが傾いてしまうことも抑制できるので、発熱素子のラインに対してニップ幅が傾いてしまい難い。
【0015】
これらのことから、記録紙の紙幅方向に印字濃度変化や印字カスレ等が発生することを抑制でき、安定した印字品質を確保することができる。また、一対のプラテン用歯車の両方に負荷を均等に分散させることができるので、長期間の使用によって例えば一対のプラテン用歯車に摩耗が生じたとしても均等に摩耗し易い。そのため、長期間使用したとしてもプラテンローラが傾き難く、印字品質を長期に亘って維持し易い。
また、上記したように一対のプラテン用歯車の両方に負荷を均等に分散させることができることから、プラテン用歯車や駆動歯車等の摩耗を抑制でき、耐摩耗性や強度を維持することができる。従って、耐久性を向上でき、製品寿命の延命化に繋げ易い。
更に、プラテンローラに対するサーマルヘッドの押圧力を何ら変化させる必要がないので、プラテンローラの回転負荷を従来に比べて増大させる必要がない。従って、脱調等の不具合が生じ難く、従来同様のモータを使用できる。
【0016】
(2)上記本発明に係るサーマルプリンタにおいて、前記プラテンローラと前記モータとの間に前記回転力伝達部材を複数備え、複数の前記回転力伝達部材は、それぞれ前記一対の駆動歯車同士が噛合し合うことで互いに連結され、複数の前記回転力伝達部材のうち、前記モータ側に位置する回転力伝達部材の前記シャフトが前記モータからの回転力によって回転させられ、前記プラテンローラ側に位置する回転力伝達部材の前記一対の駆動歯車が前記一対のプラテン用歯車に対して噛合されることが好ましい。
【0017】
この場合には、モータを駆動させると、該モータ側に位置する1段目の回転力伝達部材のシャフト及び一対の駆動歯車が回転する。すると、この一対の駆動歯車に噛合している2段目の回転力伝達部材の一対の駆動歯車が回転し、続いて、3段目、4段目といったように次々と回転力伝達部材が回転する。そして、プラテンローラ側に位置する最後段の回転力伝達部材が回転すると、この回転力伝達部材の一対の駆動歯車が一対のプラテン用歯車に対して各別に噛合されているので、これら一対のプラテン用歯車を同位相で回転させることができ、これによってプラテンローラを回転させることができる。
特に、一対の駆動歯車同士が噛合し合うことで互いに連結されている複数の回転力伝達部材を介してモータからの回転力を伝達させるので、一対のプラテン用歯車に対してより均等な回転力をバランス良く伝え易い。従って、プラテンローラが傾いてしまうことを効果的に抑制することができ、先に述べた作用効果を顕著に奏効することができる。
【0018】
(3)上記本発明に係るサーマルプリンタにおいて、前記シャフトの中間部分には、前記モータからの回転力が伝達される伝達部材が取り付けられていることが好ましい。
【0019】
この場合には、伝達部材を介してモータからの回転力をシャフトの中間部分に伝えることができるので、シャフト自体の傾きを抑制することができると共に、シャフトの両端部に固定されている一対のプラテン歯車を介してその回転力を均等に他部材に伝え易い。従って、プラテンローラが傾いてしまうことをさらに効果的に抑制し易い。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るサーマルプリンタによれば、プラテンローラの回転負荷を増大させることなく、印字濃度変化や印字カスレの発生を長期的に亘って抑制することにより、経時的な印字品質の劣化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る実施形態を説明するための図であり、サーマルプリンタが組み込まれたケーシングが閉じている状態の全体外観図である。
【図2】図1に示す状態から蓋体が開いた状態の全体外観図である。
【図3】図1に示すサーマルプリンタを前方側から見た斜視図である。
【図4】図3に示す状態から着脱ユニットを分離させた状態を示す斜視図である。
【図5】本体ユニットと着脱ユニットとが組み合わさっている場合における内部構造の断面図である。
【図6】図5に示すA−A線に沿ったサーマルプリンタの断面図である。
【図7】サーマルプリンタを後方側から見た斜視図である。
【図8】図7に示す矢印B方向から見たサーマルプリンタの側面図である。
【図9】本体ユニットを後方側から見た斜視図である。
【図10】図7に示す矢印C方向から見たサーマルプリンタの側面図である。
【図11】本体ユニットの分解斜視図である。
【図12】図8に示す状態から、着脱ユニットを取り外している状態を示す側面図である。
【図13】本発明に係るサーマルプリンタの変形例を示す斜視図である。
【図14】図13に示す状態から着脱ユニットを分離させた状態を示す斜視図である。
【図15】図13に示すサーマルプリンタの断面図である。
【図16】図13に示すサーマルプリンタの側面図である。
【図17】本発明に係るサーマルプリンタの変形例を示す図であって、プラテンローラと回転力伝達部材との関係図である。
【図18】本発明に係るサーマルプリンタの別の変形例を示す図であって、プラテンローラと回転力伝達部材との関係図である。
【図19】従来のプラテンローラの取り付け構造の一例を示す図である。
【図20】図19に示す矢印D方向から見た側面図である。
【図21】プラテンローラのニップの状態を示す図である。
【図22】図19に示す状態からプラテンローラが傾いた状態を示す図である。
【図23】従来のプラテンローラの取り付け構造の別の一例を示す図である。
【図24】図23に示す状態からプラテンローラが傾いた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、サーマルプリンタの一例として、プラテンローラとサーマルヘッドとが分離可能に組み合わされたプリンタを例に挙げて説明する。
【0023】
(サーマルプリンタの構成)
図1及び図2に示すように、本実施形態のサーマルプリンタ1は、分離可能に組み合わされる本体ユニット2と着脱ユニット3とで構成され、記録紙Pが巻回されたロール紙Rを収容するいわゆるクラムシェル型のケーシング4内に組み込まれている。
【0024】
なお、本実施形態では、図1及び図2に示す状態において、紙面に対して左側を前方、右側を後方、上側を上方、下側を下方とする。そして、記録紙Pは前後方向L1に紙送りされるものとする。また、前後方向L1及び上下方向L2に対して直交する方向を左右方向L3とする。
【0025】
ケーシング4は、上記ロール紙Rを投入する投入口5aが上方に開口され、該ロール紙Rを載置するための載置台5bが形成されたケーシング本体5と、このケーシング本体5に対してヒンジ部7を介して開閉可能に連結された蓋体6と、を備えている。
これらケーシング本体5と蓋体6の先端部との間には、紙送りされた記録紙Pを外部に排出させる排出口8が画成されている。
【0026】
上記本体ユニット2は、ロール紙Rから引き出された記録紙Pを前方に紙送りするプラテンローラ10と、可動刃11と、を主に具備しており、ケーシング本体5に固定されている。具体的には、上記載置台5bの前方に形成された収納室5c内に固定されている。
上記着脱ユニット3は、記録紙Pを挟んでプラテンローラ10に対して適度な押圧力で押し付けられるサーマルヘッド12と、固定刃13と、を主に具備しており、蓋体6の先端側の内面に設けられている。そのため、この着脱ユニット3は、蓋体6の開閉動作に伴って移動することで、本体ユニット2に対して分離可能に組み合わせ可能とされている。
【0027】
なお、蓋体6が閉まることで本体ユニット2と着脱ユニット3とが組み合わされたときに、図1に示すように、プラテンローラ10に対してサーマルヘッド12が押し付けられると共に、可動刃11と固定刃13とが対向して配置される。また、可動刃11と固定刃13とでカッター機構14を構成している。
また、蓋体6には、本体ユニット2と着脱ユニット3とが組み合わされたときに、プラテンローラ10とサーマルヘッド12との間に水平に紙送りされるように記録紙Pをガイドするガイドローラ6aが取り付けられている。
【0028】
以下、サーマルプリンタ1の構成を詳細に説明する。
(着脱ユニット)
着脱ユニット3は、図3〜図6に示すように、上記サーマルヘッド12と、このサーマルヘッド12を支持するヘッド支持フレーム20と、サーマルヘッド12に対して記録紙Pの搬送方向下流側に配置された固定刃13と、この固定刃13を保持する固定刃ホルダ21と、この固定刃ホルダ21を支持するホルダ支持フレーム22と、ホルダ支持フレーム22の後方側を覆う着脱ユニット取付板23と、ホルダ支持フレーム22の前方側を覆うラッチレバー24と、このラッチレバー24をさらに覆う解除レバー25と、を備えている。
【0029】
上記固定刃13は、記録紙Pの紙幅方向である左右方向L3に延びた板状の刃であり、刃先が下方を向いて記録紙Pに対向するように固定刃ホルダ21に保持されている。固定刃ホルダ21は、固定刃13の刃先が可動刃11の刃先に対して所定の切断角θ(図5参照)となるように、可動刃11に対して固定刃13を傾斜状態で保持する部材である。
【0030】
ホルダ支持フレーム22は、固定刃ホルダ21の上面側に重ね合わされる部材であって、天壁パネル22aと、この天壁パネル22aの左右両側から下方に向けて屈曲された側面パネル22bと、天壁パネル22aの前方から下方に向けて屈曲された前面パネル22cと、で構成されている。
図5に示すように、天壁パネル22aには固定刃ホルダ21に形成されたボス21aに対向する位置に開口部が形成されている。そして、この開口部内にボス21aが挿通されると共に、このボス21aにワッシャ27を介して固定ネジ28が螺合されている。これにより、ホルダ支持フレーム22と固定刃ホルダ21とが連結されている。
なお、図示の例では、開口部内に該開口部の内周縁を保護するための樹脂製のカラー29が嵌め込まれている。但し、このカラー29は必須なものではなく無くても構わない。
【0031】
また、天壁パネル22aには、図5及び図6に示すように、左右方向L3に間隔を開けて複数(例えば3つ)の凸部30が形成されている。この凸部30は後述するコイルバネ31を位置決めさせるための突起部である。
【0032】
このように構成されたホルダ支持フレーム22の下方には、上記ヘッド支持フレーム20が配設されており、このヘッド支持フレーム20の下面にサーマルヘッド12が取り付けられて支持されている。また、ヘッド支持フレーム20は、左右両側が上方に向けて屈曲されたコの字形状の部材であり、側壁部20bがホルダ支持フレーム22の側面パネル22bの内側に位置するように取り付けられている。
【0033】
サーマルヘッド12は、記録紙Pの紙幅方向(左右方向L3)に延在するように形成され、その表面には左右方向L3に沿って多数の発熱素子(図5参照)12aが一列に配列されている。また、ヘッド支持フレーム20の上面とホルダ支持フレーム22の天壁パネル22aとの間には、サーマルヘッド12をプラテンローラ10側に付勢するコイルバネ31が配設されている。これにより、サーマルヘッド12は、本体ユニット2に着脱ユニット3が組み合わされたときに、記録紙Pを挟んでプラテンローラ10に所定の押圧力で押し付けられる。
【0034】
なお、上記コイルバネ31は、一端側が天壁パネル22aに形成された凸部30に外嵌され、他端側がヘッド支持フレーム20に形成された凸部20aに外嵌されている。これにより、コイルバネ31は、確実に位置決めされた状態でヘッド支持フレーム20とホルダ支持フレーム22との間に配設されている。
【0035】
図3及び図4に示すように、着脱ユニット取付板23は、左右両側が下方に向けて屈曲された断面コの字形状のカバーであり、ホルダ支持フレーム22の天壁パネル22aの後方側を上方から覆うと共に、側壁部23aがホルダ支持フレーム22の側面パネル22bの外方から被さるように取り付けられている。
そして、着脱ユニット取付板23の側壁部23a及びホルダ支持フレーム22の側面パネル22bを通して、これら着脱ユニット取付板23、及びホルダ支持フレーム22及びヘッド支持フレーム20を左右方向L3に貫くようにシャフト35が挿通されている。
シャフト35の両端部は、それぞれ着脱ユニット取付板23の側壁部23aよりさらに左右方向L3の外方に突出した状態となっている。
【0036】
ラッチレバー24は、着脱ユニット取付板23と同様に、左右両側が下方に向けて屈曲された断面コの字形状のカバーであり、ホルダ支持フレーム22の天壁パネル22aの前方側を上方から覆うと共に、側壁部24aがホルダ支持フレーム22の側面パネル22bの外方から被さるように配設されている。そして、このラッチレバー24は、シャフト36を介してホルダ支持フレーム22に連結されていると共に、このシャフト36を中心として前後方向L1に回転可能とされている。
【0037】
シャフト36は、ホルダ支持フレーム22の側面パネル22b、ラッチレバー24の側壁部24a及びヘッド支持フレーム20の側壁部20bの前方に設けられたガイド孔20c(図5参照)を通して、これらホルダ支持フレーム22及びラッチレバー24を左右方向L3に貫くように挿通されており、その両端部がラッチレバー24の側壁部24aよりさらに左右方向L3の外方に突出した状態となっている。そして、このシャフト36の両端部に円筒状のブッシュ37が被嵌されている。
これらシャフト36の両端部及びブッシュ37は、係合ピン38として機能し、該係合ピン38の軸線を中心としてラッチレバー24が前後方向L1に回転自在とされている。
【0038】
また、ラッチレバー24の側壁部24aには、左右方向L3に突出したロックピン39が一体的に形成されている。このロックピン39は、係合ピン38に対して平行に配設されたピンであって、ラッチレバー24の回転に伴って係合ピン38の軸線回りに回転移動可能とされている。
また、ラッチレバー24と着脱ユニット取付板23との間には、コイルバネ40が取り付けられており、ラッチレバー24を着脱ユニット取付板23側に引っ張っている。つまり、このコイルバネ40は、ロックピン39が後方側に向けて回転移動するようにラッチレバー24を付勢している。
【0039】
上記のように構成されたラッチレバー24は、さらに解除レバー25によって覆われている。
この解除レバー25は、左右両側が下方に向けて屈曲された断面コの字形状のカバーであり、ラッチレバー24及びホルダ支持フレーム22の前面パネル22cを上方から覆うと共に、側壁部25aが着脱ユニット取付板23の側壁部23aの外方から被さるように配設されている。この際、解除レバー25は、上述したシャフト35を介して着脱ユニット取付板23に連結されていると共にシャフト35を中心として回転可能とされている。
【0040】
なお、解除レバー25の側壁部25aよりも左右方向L3の外方に突出したシャフト35の両端部には、円筒状のブッシュ41が被嵌されている。そして、このシャフト35の両端部及びブッシュ41は、係合ピン38に対して平行に突出する補助ピン42として機能し、この補助ピン42の軸線を中心として解除レバー25が回転可能とされている。
【0041】
また、図4に示すように、解除レバー25の側壁部25aには、前縁側の一部が後方に向かって滑らかに湾曲しており、この湾曲によって爪部25bが前方に向かって突出するように形成されている。そして、この湾曲内にロックピン39が嵌り込むように、ラッチレバー24と解除レバー25とが組み合わされている。
特にラッチレバー24は、コイルバネ40によって着脱ユニット取付板23側に常時引っ張られているので、湾曲内にロックピン39が確実に嵌り込んでいると共に、該ロックピン39が爪部25bを下方側に押圧している。従って、解除レバー25は、ロックピン39からの力を受けて、常時ホルダ支持フレーム22の前面パネル22cを覆う前方側に回転するように付勢されている。
【0042】
(本体ユニット)
次に、本体ユニット2について説明する。
本体ユニット2は、図3、図4、図7〜図11に示すように、プラテンローラ10と、可動刃11と、これらを支持する本体フレーム50と、で主に構成されている。
【0043】
本体フレーム50は、金属や樹脂等によって概略箱型に形成されたフレームであって、上面50aが記録紙Pの通過面とされている。本体フレーム50の前壁部50b及び側壁部50cには、それぞれ前方カバー51a及び側方カバー51bが着脱自在に取り付けられている。
なお、側壁部50cは、本体フレーム50の内側に凹んでおり、この側壁部50cと側方カバー51bとの間に各構成品を収納することが可能とされている。
【0044】
図3及び図4に示すように、側壁部50cの上部には、上面50aよりも上方に突出すると共に、該上面50aを間に挟んで左右方向L3に対向する一対の対向壁部52が連設されている。
この一対の対向壁部52には、本体ユニット2に対して着脱ユニット3を分離可能に組み合わせるための複数の凹部が形成されている。即ち、前方側から後方側に向かって順に、第1の凹部55、第2の凹部56及び第3の凹部57がそれぞれ形成されている。
【0045】
第1の凹部55は、係合ピン38が離脱可能に嵌め込まれ、サーマルヘッド12とプラテンローラ10とを互いに接触状態で対向配置させるための凹部であって、対向壁部52の上端縁から前方下側に向けて斜めに開口するように形成されている。
第2の凹部56は、係合ピン38が第1の凹部55内に嵌め込まれた後に、ロックピン39が離脱可能に嵌め込まれる凹部であって、第1の凹部55の開口途中から後方下側に向けて斜めに開口するように形成されている。
【0046】
特に、ラッチレバー24はコイルバネ40によって後方側に回転しようとする力を受けているので、ロックピン39は自然に第2の凹部56内に嵌り込むことが可能とされている。なお、ロックピン39は、第2の凹部56内に嵌り込んでいる際、ラッチレバー24の側壁部24aに形成された湾曲内に同時に嵌り込んでおり、ラッチレバー24の爪部25bを下方に押圧している。
従って、着脱ユニット3を装着した後、解除レバー25はホルダ支持フレーム22の前面パネル22cを覆う前方側に回転するように付勢されている。
【0047】
また、図3及び図8に示すように、係合ピン38とロックピン39とがそれぞれ第1の凹部55及び第2の凹部56内に嵌り込んでいる際、第1の凹部55の開口方向に沿ってロックピン39が移動することを、第2の凹部56における内周縁の一部が妨げている。これにより、ロックピン39を第2の凹部56内から離脱させない限り、係合ピン38を第1の凹部55内から離脱させることができないように設計されている。
【0048】
一方、解除レバー25を補助ピン42の軸線を中心として後方側に回転させた場合には、図12に示すように、爪部25bによりロックピン39を上方に押し上げて、該ロックピン39をコイルバネ40による付勢方向とは逆方向に回転させることが可能となる。これにより第2の凹部56内からロックピン39を離脱させることが可能とされている。従って、このロックピン39の離脱時に、係合ピン38を第1の凹部55内から離脱させることが可能とされている。
【0049】
つまり、本実施形態の係合ピン38は、ロックピン39が第2の凹部56内に嵌め込まれているときに第1の凹部55内から離脱不能とされていると共に、ロックピン39が第2の凹部56内から離脱した後に第1の凹部55内から離脱可能とされている。従って、最初にロックピン39を第2の凹部56内から離脱させた後、係合ピン38を第1の凹部55内から離脱させるといった順番によってのみ、着脱ユニット3を本体ユニット2から分離できるように構成されている。
【0050】
また、第3の凹部57は、係合ピン38を第1の凹部55内に嵌め込むタイミングで、補助ピン42を離脱可能に嵌め込ませるための凹部であって、図3、図4及び図8に示すように、第1の凹部55の開口方向と同じ方向に開口するように形成されている。
従って、着脱ユニット3が本体ユニット2に装着されている際に、係合ピン38の軸線を中心にロックピン39を回転させて第2の凹部56内から離脱させようとする外力が着脱ユニット3の全体に作用したとしても、補助ピン42が第3の凹部57における内周縁の一部に接触するので、着脱ユニット3の動きを規制する。
従って、意図しないときに、ロックピン39が第2の凹部56内から離脱しないようになっており、着脱ユニット3の装着時における信頼性を高めることができると共に、着脱ユニット3のがたつき等を抑え易い。
【0051】
プラテンローラ10は、図11に示すように、記録紙Pの紙幅方向に沿って延在し、その両端部が軸受部材60を介して本体フレーム50の側壁部50cに軸支されたプラテン軸部10aと、該プラテン軸部10aに外装され、本体フレーム50の上面50aから露出するゴム等の弾性材料からなるローラ部10bと、プラテン軸部10aの両端部にそれぞれ固定された一対のプラテン用歯車10cと、を備えている。
なお、本体フレーム50の上面50a側には、プラテンカバー61が取り付けられており、該プラテンカバー61に形成された開口部を通じてローラ部10bが露出している。
【0052】
一対のプラテン用歯車10cは、共に同じ歯数で同径とされた歯車であり、軸受部材60の内側に位置している。これら一対のプラテン用歯車10cは、複数の回転力伝達部材65、66、67を介して図示しないプラテン用モータからの回転力が伝達されることで、同位相で回転させられる歯車とされている。これにより、プラテンローラ10の全体が回転し、サーマルヘッド12との間で記録紙Pを挟み込みながら下流側である前方に紙送りするように構成されている。
【0053】
本実施形態では、3つの歯車、即ち、4番歯車70、3番歯車71、2番歯車72からなる輪列によって、プラテン用モータの回転力がプラテンローラ10に伝達されるように構成されている。そして、これら4番歯車70、3番歯車71及び2番歯車72は、それぞれ上記回転力伝達部材65、66、67として機能する。
これら各歯車について詳細に説明する。
【0054】
4番歯車70は、一対設けられ、4番歯車用シャフト73の両端部にそれぞれ固定されている。4番歯車用シャフト73は、記録紙Pの紙幅方向である左右方向L3に延在したシャフトであり、本体フレーム50の両方の側壁部50cに形成された貫通孔内に挿通されることで、プラテン軸部10aに対して平行に配設されると共に回転可能に支持されている。そして、本体フレーム50の両側の側壁部50cよりも外側に突出した4番歯車用シャフト73の両端部に、一対の4番歯車70がそれぞれ固定されている。
そして、これら一対の4番歯車70は、図7〜図11に示すように、上記一対のプラテン用歯車10cに対して各別に噛合されており、4番歯車用シャフト73の回転に伴って回転し、一対のプラテン用歯車10cを同位相で回転させるように構成されている。
なお、4番歯車70と4番歯車用シャフト73とで、回転力伝達部材65を構成している。
【0055】
3番歯車71は、図9〜図11に示すように、本体フレーム50の一方の側壁部50c側に位置し、一方の4番歯車70に噛合した状態でこの側壁部50cに軸支されている。そして、2番歯車72が、この3番歯車71に噛合した状態で同様に側壁部50cに軸支されている。この際、2番歯車72は、本体フレーム50内に配設されたプラテン用モータの出力軸に固定されたピニオンギア75に対しても噛合している。
【0056】
このように構成されているので、プラテン用モータを駆動させると、その回転力はピニオンギア75から、2番歯車72及び3番歯車71を介して一対の4番歯車70に伝わり、さらに一対の4番歯車70から一対のプラテン用歯車10cに同時に伝わるように構成されている。
【0057】
可動刃11は、固定刃13と協働して記録紙Pを切断する部材であり、本体ユニット2に着脱ユニット3が装着されたときに、図1に示すように、固定刃13に対して向き合う位置に配設されている。この可動刃11は、例えば平面視略V字型に形成された板状の刃であり、図5に示すように本体フレーム50の前壁部50bの内側に、刃先を上方に向けた状態で配設されており、図示しないガイド手段によって上下方向L2に移動自在とされた可動刃ホルダ11aに固定されている。
これにより、可動刃11は記録紙Pの紙面に対して略直交する上下方向L2にスライド可能とされている。なお、可動刃ホルダ11aは、図示しない可動刃用モータからの回転力を利用して上下方向L2に往復移動可能とされている。
【0058】
(サーマルプリンタの作用)
次に、上述したように構成されたサーマルプリンタ1の作用について説明する。
はじめに、図1に示すように、ロール紙Rを投入口5aからケーシング4内に投入した後、蓋体6を閉じることで、着脱ユニット3が本体ユニット2に装着されて両ユニット2、3が組み合わさった状態となる。これにより、記録紙Pはプラテンローラ10とサーマルヘッド12との間に挟まれた状態になると共に、排出口8からケーシング4の外側に引き出された状態となる。
【0059】
ところで、蓋体6を閉めはじめると、着脱ユニット3の係合ピン38及び補助ピン42が、第1の凹部55内及び第3の凹部57内に侵入しはじめると共に、ロックピン39が第1の凹部55の入口である傾斜部に接触しながら滑り落ちていく。この際、蓋体6を押し下げる力の反力が、傾斜部を介してロックピン39を上方に押し上げるように作用する。そして、この反力がロックピン39を介してラッチレバー24に伝達されるため、該ラッチレバー24は係合ピン38の軸線を中心として前方側に回転する。つまり、ラッチレバー24は、係合ピン38の軸線を中心に前方側に回転しながら、蓋体6の閉動作に伴って下方に移動する。
【0060】
よって、係合ピン38及び補助ピン42は、同じタイミングで第1の凹部55内及び第3の凹部57内の最奥部に向かって徐々に侵入し、図3に示すように、蓋体6を完全に閉じた時点で第1の凹部55内及び第3の凹部57内に完全に嵌め込まれる。また、この時点で、ロックピン39は第2の凹部56の入口に達する。この際、ラッチレバー24はコイルバネ40によって着脱ユニット取付板23側に引っ張られているので、後方側に回転しようとしている。そのため、第2の凹部56の入口に達したロックピン39を、第2の凹部56内に直ちに引き込んで嵌め込ませることができる。
【0061】
その結果、蓋体6を閉めると同時に、着脱ユニット3を本体ユニット2に装着させて両ユニット2、3を組み合わせることができると共に、第1の凹部55内に係合ピン38を離脱不能にセットすることができる。
【0062】
次いで、蓋体6を閉めた後、プラテン用モータを駆動させる。すると、図10に示すように、その回転力は、ピニオンギア75から、2番歯車72及び3番歯車71を介して一対の4番歯車70に伝わるので、4番歯車用シャフト73及び一対の4番歯車70が回転する。
これにより、これら一対の4番歯車70に対して各別に噛合されている一対のプラテン用歯車10cに回転力を伝達することができ、一対のプラテン用歯車10cを同位相で回転させることができる。これにより、プラテンローラ10を回転させることができ、サーマルヘッド12との間で記録紙Pを挟み込みながら前方に紙送りさせることができる。
また、上記紙送りと同時にサーマルヘッド12の発熱素子12aを適宜発熱させることで、紙送りされる記録紙Pに対して各種の文字や図形等を明瞭に印字することができる。
【0063】
なお、印刷後、プラテンローラ10によってさらに紙送りされた記録紙Pは固定刃13と可動刃11との間を通過する。そして、記録紙Pが所定の長さ通過した後、可動刃ホルダ11aを作動させることで可動刃11をスライドさせることができ、記録紙Pを固定刃13と可動刃11との間で切断することができる。その結果、切断した記録紙Pをレシートやチケット等として使用することができる。
【0064】
ところで、プラテンローラ10を回転させる際、上記したように一対の4番歯車70を介して4番歯車用シャフト73の両端部に固定された一対のプラテン用歯車10cに対して同時に回転力を伝達している。そのため、プラテン用歯車10cと4番歯車70との噛み合い部分に従来同様の合力が発生し、プラテンローラ10を押し上げるような応力が作用したとしても、その応力はプラテンローラ10の片側にだけ作用するのではなく両側に作用する。
従って、その応力によってプラテンローラ10が軸受部材60と本体フレーム50の側壁部50cとの間、及び軸受部材60とプラテン軸部10aとの間で形成されるガタの中で変位したとしても、従来のようにプラテンローラ10が傾くのではなく全体が平行に移動する。そのため、サーマルヘッド12に対してプラテンローラ10が片当たりしてしまうことを抑制することができ、サーマルヘッド12に対するプラテンローラ10の圧力分布を全長に亘って均等に維持することができ、均一なニップ幅を確保することができる。
【0065】
その結果、記録紙Pの紙幅方向に印字濃度変化や印字カスレ等を発生することを抑制でき、安定した印字品質を確保することができる。また、一対のプラテン用歯車10cの両方に負荷を均等に分散させることができるので、長期間の使用によって例えば一対のプラテン用歯車10cに摩耗が生じたとしても均等に摩耗し易い。そのため、長期間使用したとしてもプラテンローラ10が傾き難く、印字品質を長期に亘って維持し易い。
【0066】
また、上記したように一対のプラテン用歯車10cの両方に負荷を均等に分散させることができることから、プラテン用歯車10cや4番歯車70等の摩耗を抑制でき、耐摩耗性や強度を維持することができる。従って、耐久性を向上でき、製品寿命の延命化に繋げ易い。
更に、プラテンローラ10に対するサーマルヘッド12の押圧力を何ら変化させる必要がないので、プラテンローラ10の回転負荷を従来に比べて増大させる必要がない。従って、プラテン用モータに脱調等の不具合が生じ難い。
【0067】
なお、本体ユニット2から着脱ユニット3を分離させる場合について簡単に説明する。
この場合には、図12に示すように、蓋体6の内面に取り付けられている解除レバー25が該蓋体6の開動作に伴って、補助ピン42の軸線を中心として後方側に回転しはじめる。そのため、解除レバー25は、爪部25bを介してロックピン39を上方に押し上げる。すると、この力はロックピン39を介してラッチレバー24に伝わるので、該ラッチレバー24は係合ピン38の軸線を中心としてコイルバネ40に抗する力で前方側に回転する。従って、ロックピン39は、ラッチレバー24の回転に伴って第2の凹部56内から離脱する。これにより、係合ピン38及び補助ピン42は、共に第1の凹部55及び第3の凹部57の開口方向に沿って移動可能な状態となる。
【0068】
そして、蓋体6のさらなる開動作に伴って、係合ピン38及び補助ピン42が同じタイミングで第1の凹部55及び第3の凹部57に沿って移動した後、第1の凹部55内及び第3の凹部57内から完全に離脱する。これにより、図4に示すように、着脱ユニット3と本体ユニット2との組み合わせを解いて両ユニット2、3を分離させることができる。
【0069】
上述したように、本実施形態のサーマルプリンタ1によれば、第1の凹部55内への係合ピン38の嵌め込み/離脱と、係合ピン38に対するロックピン39の相対的な移動による第2の凹部56内の嵌め込み/離脱と、を行うだけの簡単な操作で着脱ユニット3の着脱操作をスムーズに行える。従って、本体ユニット2と着脱ユニット3とを速やかに組み合わせたり、両ユニット2、3を速やかに分離して組み合わせを解除したりすることができる。
【0070】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0071】
例えば、上記実施形態では、ロール紙Rを投入して単に載置台5b上に置くドロップイン方式を例に挙げて説明したが、ケーシング4の内部にロール紙Rを軸支する軸支機構を設けた軸支方式のプリンタとしても構わない。
また、上記実施形態では、ケーシング本体5及び蓋体6からなるケーシング4の内部にサーマルプリンタ1が組み込まれている場合を例に挙げて説明したが、ケーシング4は必須な構成ではなく、設けなくても構わない。また、上記実施形態では、固定刃13及び可動刃11からなるカッター機構14を具備した構成としたが、これらカッター機構14は必須な構成ではなく、設けなくてもプリンタとしての機能を発揮することができる。
【0072】
また、上記実施形態では、本体ユニット2及び着脱ユニット3でサーマルプリンタ1を構成することで、プラテンローラ10とサーマルヘッド12とを分離可能な構成としたが、この場合に限定されるものではなく、プラテンローラ10とサーマルヘッド12とを分離不能(一体的)に構成しても構わない。
【0073】
特に、プラテンローラ10とサーマルヘッド12とを分離可能に構成する場合には、本体ユニット2側にサーマルヘッド12を設け、着脱ユニット3側にプラテンローラ10を設けても構わない。
この場合のサーマルプリンタの一例について説明する。なお、上記実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0074】
図13〜図16に示すように、この場合のサーマルプリンタ80は、本体ユニット81と、該本体ユニット81に対して分離可能に組み合わされる着脱ユニット82と、を備えている。
【0075】
本体ユニット81は、概略箱形状に形成された本体フレーム85と、ヘッド支持プレート20に固定されたサーマルヘッド12と、ヘッド支持プレート20をプラテンローラ10側に付勢するコイルバネ31と、を備えている。
着脱ユニット82は、プラテンローラ10と、該プラテンローラ10のプラテン軸部10aを軸支するプラテンフレーム86と、を備えている。プラテンフレーム86は、プラテンローラ10を上方から覆う天壁部86aと、その両端部が折曲された側壁部86bと、を有している。そして、この側壁部86bの外側で、一対のプラテン用歯車10cがプラテン軸部10aの両端部に固定されている。
【0076】
また、本実施形態のサーマルプリンタ80では、本体ユニット81側に設けられた2つの歯車、即ち、3番歯車71、2番歯車72からなる輪列によって、プラテン用モータの回転力がプラテンローラ10に伝達されるように構成されている。つまり、これら3番歯車71及び2番歯車72は、それぞれ回転力伝達部材66、67として機能する。
【0077】
3番歯車71は、一対設けられ、3番歯車用シャフト71aの両端部にそれぞれ固定されている。3番歯車用シャフト71aは、プラテン軸部10aに対して平行に配設されると共に、本体フレーム85に軸支されている。そして、本体フレーム85の両側の側壁部から外側に突出した3番歯車用シャフト71aの両端に、一対の3番歯車71がそれぞれ固定されている。これら一対の3番歯車71は、上記一対のプラテン用歯車10cに対して各別に噛合されており、3番歯車用シャフト71aの回転に伴って回転し一対のプラテン用歯車10cを同位相で回転させるように構成されている。
【0078】
2番歯車72は、本体フレーム85の一方の側壁部側に位置し、一方の3番歯車71に噛合した状態でこの側壁部に軸支されている。この際、2番歯車72は本体フレーム85内に配設されたプラテン用モータの出力軸に固定されたピニオンギア75に対しても噛合している。
【0079】
また、本体フレーム85には、本体ユニット81に着脱ユニット82が組み合わされた際に、プラテンローラ10のプラテン軸部10aをロックするラッチ機構87が取り付けられている。なお、このラッチ機構87は、解除レバー88によってロックが解除されるように構成されている。
【0080】
このように構成されているサーマルプリンタ80であっても、上記したサーマルプリンタ1と同様の作用効果を奏効することができる。
特に、この場合には、着脱ユニット82の着脱動作に伴ってプラテンローラ10をラッチ機構87でロックする構成であるので、ラッチ部分のガタや強度等の影響によってプラテンローラ10が変位し易い。しかしながら、一対の3番歯車71を介して一対のプラテン用歯車10cに回転力を同時に伝達するので、プラテンローラ10を傾かせるのではなく全体に平行移動させることができる。
【0081】
この際、図16に示すように、サーマルヘッド12とプラテンローラ10と3番歯車71との関係によって、従来同様の合力Fが作用した際にプラテンローラ10がサーマルヘッド12の面内方向に移動し易いが、上記したようにサーマルヘッド12の片側だけが移動するのではなく、全体を移動させ易い。従って、サーマルヘッド12の面内方向にプラテンローラ10が傾いてしまうことを抑制でき、発熱素子12aのラインに対してニップ幅が傾いてしまい難い。
従って、やはり、記録紙Pの紙幅方向に印字濃度変化や印字カスレ等が発生することを抑制でき、安定した印字品質を確保することができる。
【0082】
また、上記実施形態では、プラテン用歯車10cに噛合する4番歯車70だけを一対設け、これらを4番歯車用シャフト73で連結した構成としたが、3番歯車71、2番歯車72についても同様に構成しても構わない。
【0083】
即ち、図17に示すように、プラテン軸部10aに対して3番歯車用シャフト71aを平行に配設し、その両端部に一対の4番歯車70に対して各別に噛合するように一対の3番歯車71を固定する。この場合、これら3番歯車用シャフト71a及び一対の3番歯車71で回転力伝達部材66を構成する。
同様にプラテン軸部10aに対して2番歯車用シャフト72aを平行に配設し、その両端部に一対の3番歯車71に対して各別に噛合するように一対の2番歯車72を固定する。この場合、これら2番歯車用シャフト72a及び一対の2番歯車72で回転力伝達部材67を構成する。
なお、プラテン用モータの出力軸に固定されているピニオンギア75は、一方の2番歯車72に対して噛合している。
【0084】
上記したように構成することで、それぞれの回転力伝達部材65、66、67を、一対の歯車同士が噛合し合うことで互いに連結させることができる。この場合には、プラテン用モータを駆動させると、ピニオンギア75から回転力が伝達されて、プラテン用モータ側に位置する2番歯車用シャフト72a及び一対の2番歯車72が回転する。すると、一対の2番歯車72に噛合している2段目の回転力伝達部材66である一対の3番歯車71が回転し、続いて、最後段の回転力伝達部材65である一対の4番歯車70が回転する。
【0085】
そして、プラテンローラ10側に位置するこの最後段の回転力伝達部材65が回転することで、一対の4番歯車70に対して各別に噛合されている一対のプラテン用歯車10cを同位相で回転させることができ、これによってプラテンローラ10を回転させることができる。
特に、この場合には、一対の歯車同士が噛合し合うことで互いに連結されている複数の回転力伝達部材65、66、67を介して、プラテン用モータからの回転力を伝達させるので、一対のプラテン用歯車10cに対してより均等な回転力をバランス良く伝え易い。従って、プラテンローラ10が傾いてしまうことを効果的に抑制することができ、先に述べた作用効果を顕著に奏効することができる。
【0086】
更に、図18に示すように、2番歯車用シャフト72aの中間部分に、プラテン用モータからの回転力が伝達される伝達部材、例えばピニオンギア75に噛合する歯車90を取り付けても構わない。
この場合には、上記歯車90を介してプラテン用モータからの回転力を2番歯車用シャフト72aの中間部分に伝えることができるので、2番歯車用シャフト72a自体の傾きを抑制することができると共に、両端部に固定されている一対の2番歯車72を介してその回転力を一対の3番歯車71に伝え易い。従って、プラテンローラ10が傾いてしまうことをさらに効果的に抑制し易い。
【符号の説明】
【0087】
P…記録紙P
1、80…サーマルプリンタ
10…プラテンローラ
10a…プラテン軸部
10c…プラテン用歯車
12…サーマルヘッド
12a…発熱素子
65、66、67…回転力伝達部材
70…4番歯車(駆動歯車)
71…3番歯車(駆動歯車)
71a…3番歯車用シャフト(シャフト)
72…2番歯車(駆動歯車)
72a…2番歯車用シャフト(シャフト)
73…4番歯車用シャフト(シャフト)
90…歯車(伝達部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的にサーマルプリンタは、複数の発熱素子が一列に並んだサーマルヘッド(ラインサーマルヘッド)と、該サーマルヘッドとの間で記録紙を挟み込むプラテンローラと、を具備し、プラテンローラの回転によって記録紙を紙送りしながら発熱素子を適宜発熱させることで印字を行っている。
また、通常プラテンローラは、複数の歯車からなる輪列を介してモータからの回転力が伝達されるように構成されており、サーマルヘッドの駆動と同期して回転タイミングや回転速度等が制御されている。
【0003】
この点、図面を参照して簡単に説明する。
図19及び図20に示すように、プラテンローラ100は、軸部の両端部に取り付けられた軸受部101を介してケーシング等の支持部材102に軸支されている。軸部の一方には、プラテン用歯車103が固定されており、このプラテン用歯車103に駆動歯車104が噛合されている。この駆動歯車104は、図示しないモータ歯車(上記モータの出力軸に固定された歯車)に噛合された輪列機構を構成している歯車の1つである。
これにより、駆動歯車104を介してプラテン用歯車103にモータの回転力を伝達することができ、プラテンローラ100を回転させて記録紙Pを紙送りすることが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−118153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の構成では、印字濃度変化や印字カスレ等が記録紙Pの紙幅方向に発生したり、印字品質が経時的に劣化したりする可能性が高かった。
詳しく説明する。
図20に示すように、通常サーマルヘッド110はコイルバネ111等によって付勢され、サーマルヘッド110の外周面に対して一定の押圧力で押し付けられている。そのため、図21(a)に示すようにプラテンローラ100はその押圧力によって全長に亘って潰れ(図中の斜線領域)、その潰れた領域であるニップNの部分がサーマルヘッド110に対して密着している。
そして、サーマルヘッド110とプラテンローラ100とは、図示しない発熱素子のラインがこのニップ幅Wの範囲内に収まるように組み合わされている。
【0006】
ところで、プラテンローラ100は、上記したようにプラテン用歯車103に噛合する駆動歯車104からモータの回転力が伝達されることで回転させられるが、この際、図20に示すように、プラテン用歯車103における噛み合い部分には、駆動歯車104の回転方向に作用する応力F1と、駆動歯車104から受ける反発力F2と、の合力Fが回転力とは別に作用する。このとき、上記従来の構成ではプラテンローラ100の軸部の一方にプラテン用歯車103が固定されているので、上記合力Fがプラテンローラ100の片側にのみ発生してしまう。
【0007】
そのため、図22に示すように、軸受部101と支持部材102との間のガタや、軸受部101と軸部と間のガタ分だけ、プラテンローラ100は片側が持ち上がって傾き、サーマルヘッド110に対する圧力分布が長手方向に不均一(片当たり状態)になり易かった。これにより、図21(b)に示すように、プラテンローラ100の全長に亘ってニップ幅Wが一定とならず不均一になってしまう。
【0008】
その結果、上述したように、記録紙Pの紙幅方向に、印字濃度変化や印字カスレ等が発生する場合があった。また、この問題は初期的に発生しなくても、軸受部101の摩耗等によって、長期間の使用に伴ってサーマルヘッド110とプラテンローラ100との間の圧力分布が崩れる可能性が徐々に高まり易くなるので、生じ易くなってしまう。そのため、経時的に印字品質が劣化し易かった。
【0009】
ところで、サーマルプリンタの種類によっては、駆動歯車104がプラテン用歯車103に対して図23に示すように噛合する場合がある。この場合には、上記合力Fによってプラテンローラ100が傾くものの、図24に示すようにサーマルヘッド110の面内方向に傾くのでニップ幅Wが上述した場合に比べて均一になり易い。しかしながら、この場合であっても同様に、軸受部101と支持部材102との間のガタや、軸受部101と軸部と間のガタ分だけ、サーマルヘッド110の発熱素子のラインに対してニップNが傾いてしまうので、やはり同様の問題が生じ易かった。
【0010】
なお、プラテンローラ100に対するサーマルヘッド110の押圧力を強くして、ニップ幅Wをできるだけ幅広にすることも考えられるが、この場合にはプラテンローラ100の摩擦力による回転負荷が大きくなりすぎてしまう。そのため、プラテンローラ100を回転させるモータに脱調等の不具合が生じ易くなってしまい、モータサイズを大きくする等の設計変更が必要となってしまうものであった。
【0011】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、プラテンローラの回転負荷を増大させることなく、印字濃度変化や印字カスレの発生を長期的に亘って抑制することにより、経時的な印字品質の劣化を抑えることができるサーマルプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
(1)本発明に係るサーマルプリンタは、記録紙を紙送りするプラテンローラと、前記記録紙の紙幅方向に一列に配列された複数の発熱素子を有し、前記記録紙を挟んで前記プラテンローラに対して押し付けられたサーマルヘッドと、モータからの回転力を前記プラテンローラに伝達させ、前記サーマルヘッドとの間で前記記録紙を挟み込みながら紙送りさせる回転力伝達部材と、を備え、前記プラテンローラが、回転可能に支持されたプラテン軸部と、該プラテン軸部の両端部にそれぞれ固定された一対のプラテン用歯車と、を備え、前記回転力伝達部材が、前記プラテン軸部に対して平行に配設された状態で回転可能に支持され、前記モータからの回転力によって回転させられるシャフトと、該シャフトの両端部にそれぞれ固定された一対の駆動歯車と、を備え、前記一対の駆動歯車が、前記一対のプラテン用歯車に対して各別に噛合され、前記シャフトの回転に伴って一対のプラテン用歯車を同位相で回転させることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るサーマルプリンタによれば、モータを駆動させることで、回転力伝達部材のシャフト及び一対の駆動歯車を回転させることができる。これにより、一対の駆動歯車に対して各別に噛合されている一対のプラテン用歯車に回転力を同時に伝達することができ、これら一対のプラテン用歯車を同位相で回転させることができる。これにより、プラテンローラを回転させることができ、サーマルヘッドとの間で記録紙を挟み込みながら紙送りさせることができる。そして、この紙送りと同時に、サーマルヘッドの発熱素子を適宜発熱させることで、紙送りされている記録紙に対して印字を行うことができる。
【0014】
ところで、プラテンローラを回転させる際、上記したように一対の駆動歯車を介してプラテン軸の両端部に固定された一対のプラテン用歯車に対して同時に回転力を伝達している。そのため、プラテン用歯車と駆動歯車との噛み合い部分に合力が発生し、プラテンローラを押し上げるような応力が作用したとしても、その応力はプラテンローラの片側にだけ作用するのではなく両側に作用し、合力による負荷もほぼ半分になる。
従って、その応力によってプラテンローラが変位したとしても、従来のようにプラテンローラが傾くのではなく全体が平行に移動する。そのため、サーマルヘッドに対してプラテンローラが片当たりしてしまうことを抑制することができ、サーマルヘッドに対するプラテンローラの圧力分布を全長に亘って均等に維持することができ、均一なニップ幅を確保することができる。また、サーマルヘッドの面内方向にプラテンローラが傾いてしまうことも抑制できるので、発熱素子のラインに対してニップ幅が傾いてしまい難い。
【0015】
これらのことから、記録紙の紙幅方向に印字濃度変化や印字カスレ等が発生することを抑制でき、安定した印字品質を確保することができる。また、一対のプラテン用歯車の両方に負荷を均等に分散させることができるので、長期間の使用によって例えば一対のプラテン用歯車に摩耗が生じたとしても均等に摩耗し易い。そのため、長期間使用したとしてもプラテンローラが傾き難く、印字品質を長期に亘って維持し易い。
また、上記したように一対のプラテン用歯車の両方に負荷を均等に分散させることができることから、プラテン用歯車や駆動歯車等の摩耗を抑制でき、耐摩耗性や強度を維持することができる。従って、耐久性を向上でき、製品寿命の延命化に繋げ易い。
更に、プラテンローラに対するサーマルヘッドの押圧力を何ら変化させる必要がないので、プラテンローラの回転負荷を従来に比べて増大させる必要がない。従って、脱調等の不具合が生じ難く、従来同様のモータを使用できる。
【0016】
(2)上記本発明に係るサーマルプリンタにおいて、前記プラテンローラと前記モータとの間に前記回転力伝達部材を複数備え、複数の前記回転力伝達部材は、それぞれ前記一対の駆動歯車同士が噛合し合うことで互いに連結され、複数の前記回転力伝達部材のうち、前記モータ側に位置する回転力伝達部材の前記シャフトが前記モータからの回転力によって回転させられ、前記プラテンローラ側に位置する回転力伝達部材の前記一対の駆動歯車が前記一対のプラテン用歯車に対して噛合されることが好ましい。
【0017】
この場合には、モータを駆動させると、該モータ側に位置する1段目の回転力伝達部材のシャフト及び一対の駆動歯車が回転する。すると、この一対の駆動歯車に噛合している2段目の回転力伝達部材の一対の駆動歯車が回転し、続いて、3段目、4段目といったように次々と回転力伝達部材が回転する。そして、プラテンローラ側に位置する最後段の回転力伝達部材が回転すると、この回転力伝達部材の一対の駆動歯車が一対のプラテン用歯車に対して各別に噛合されているので、これら一対のプラテン用歯車を同位相で回転させることができ、これによってプラテンローラを回転させることができる。
特に、一対の駆動歯車同士が噛合し合うことで互いに連結されている複数の回転力伝達部材を介してモータからの回転力を伝達させるので、一対のプラテン用歯車に対してより均等な回転力をバランス良く伝え易い。従って、プラテンローラが傾いてしまうことを効果的に抑制することができ、先に述べた作用効果を顕著に奏効することができる。
【0018】
(3)上記本発明に係るサーマルプリンタにおいて、前記シャフトの中間部分には、前記モータからの回転力が伝達される伝達部材が取り付けられていることが好ましい。
【0019】
この場合には、伝達部材を介してモータからの回転力をシャフトの中間部分に伝えることができるので、シャフト自体の傾きを抑制することができると共に、シャフトの両端部に固定されている一対のプラテン歯車を介してその回転力を均等に他部材に伝え易い。従って、プラテンローラが傾いてしまうことをさらに効果的に抑制し易い。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るサーマルプリンタによれば、プラテンローラの回転負荷を増大させることなく、印字濃度変化や印字カスレの発生を長期的に亘って抑制することにより、経時的な印字品質の劣化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る実施形態を説明するための図であり、サーマルプリンタが組み込まれたケーシングが閉じている状態の全体外観図である。
【図2】図1に示す状態から蓋体が開いた状態の全体外観図である。
【図3】図1に示すサーマルプリンタを前方側から見た斜視図である。
【図4】図3に示す状態から着脱ユニットを分離させた状態を示す斜視図である。
【図5】本体ユニットと着脱ユニットとが組み合わさっている場合における内部構造の断面図である。
【図6】図5に示すA−A線に沿ったサーマルプリンタの断面図である。
【図7】サーマルプリンタを後方側から見た斜視図である。
【図8】図7に示す矢印B方向から見たサーマルプリンタの側面図である。
【図9】本体ユニットを後方側から見た斜視図である。
【図10】図7に示す矢印C方向から見たサーマルプリンタの側面図である。
【図11】本体ユニットの分解斜視図である。
【図12】図8に示す状態から、着脱ユニットを取り外している状態を示す側面図である。
【図13】本発明に係るサーマルプリンタの変形例を示す斜視図である。
【図14】図13に示す状態から着脱ユニットを分離させた状態を示す斜視図である。
【図15】図13に示すサーマルプリンタの断面図である。
【図16】図13に示すサーマルプリンタの側面図である。
【図17】本発明に係るサーマルプリンタの変形例を示す図であって、プラテンローラと回転力伝達部材との関係図である。
【図18】本発明に係るサーマルプリンタの別の変形例を示す図であって、プラテンローラと回転力伝達部材との関係図である。
【図19】従来のプラテンローラの取り付け構造の一例を示す図である。
【図20】図19に示す矢印D方向から見た側面図である。
【図21】プラテンローラのニップの状態を示す図である。
【図22】図19に示す状態からプラテンローラが傾いた状態を示す図である。
【図23】従来のプラテンローラの取り付け構造の別の一例を示す図である。
【図24】図23に示す状態からプラテンローラが傾いた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、サーマルプリンタの一例として、プラテンローラとサーマルヘッドとが分離可能に組み合わされたプリンタを例に挙げて説明する。
【0023】
(サーマルプリンタの構成)
図1及び図2に示すように、本実施形態のサーマルプリンタ1は、分離可能に組み合わされる本体ユニット2と着脱ユニット3とで構成され、記録紙Pが巻回されたロール紙Rを収容するいわゆるクラムシェル型のケーシング4内に組み込まれている。
【0024】
なお、本実施形態では、図1及び図2に示す状態において、紙面に対して左側を前方、右側を後方、上側を上方、下側を下方とする。そして、記録紙Pは前後方向L1に紙送りされるものとする。また、前後方向L1及び上下方向L2に対して直交する方向を左右方向L3とする。
【0025】
ケーシング4は、上記ロール紙Rを投入する投入口5aが上方に開口され、該ロール紙Rを載置するための載置台5bが形成されたケーシング本体5と、このケーシング本体5に対してヒンジ部7を介して開閉可能に連結された蓋体6と、を備えている。
これらケーシング本体5と蓋体6の先端部との間には、紙送りされた記録紙Pを外部に排出させる排出口8が画成されている。
【0026】
上記本体ユニット2は、ロール紙Rから引き出された記録紙Pを前方に紙送りするプラテンローラ10と、可動刃11と、を主に具備しており、ケーシング本体5に固定されている。具体的には、上記載置台5bの前方に形成された収納室5c内に固定されている。
上記着脱ユニット3は、記録紙Pを挟んでプラテンローラ10に対して適度な押圧力で押し付けられるサーマルヘッド12と、固定刃13と、を主に具備しており、蓋体6の先端側の内面に設けられている。そのため、この着脱ユニット3は、蓋体6の開閉動作に伴って移動することで、本体ユニット2に対して分離可能に組み合わせ可能とされている。
【0027】
なお、蓋体6が閉まることで本体ユニット2と着脱ユニット3とが組み合わされたときに、図1に示すように、プラテンローラ10に対してサーマルヘッド12が押し付けられると共に、可動刃11と固定刃13とが対向して配置される。また、可動刃11と固定刃13とでカッター機構14を構成している。
また、蓋体6には、本体ユニット2と着脱ユニット3とが組み合わされたときに、プラテンローラ10とサーマルヘッド12との間に水平に紙送りされるように記録紙Pをガイドするガイドローラ6aが取り付けられている。
【0028】
以下、サーマルプリンタ1の構成を詳細に説明する。
(着脱ユニット)
着脱ユニット3は、図3〜図6に示すように、上記サーマルヘッド12と、このサーマルヘッド12を支持するヘッド支持フレーム20と、サーマルヘッド12に対して記録紙Pの搬送方向下流側に配置された固定刃13と、この固定刃13を保持する固定刃ホルダ21と、この固定刃ホルダ21を支持するホルダ支持フレーム22と、ホルダ支持フレーム22の後方側を覆う着脱ユニット取付板23と、ホルダ支持フレーム22の前方側を覆うラッチレバー24と、このラッチレバー24をさらに覆う解除レバー25と、を備えている。
【0029】
上記固定刃13は、記録紙Pの紙幅方向である左右方向L3に延びた板状の刃であり、刃先が下方を向いて記録紙Pに対向するように固定刃ホルダ21に保持されている。固定刃ホルダ21は、固定刃13の刃先が可動刃11の刃先に対して所定の切断角θ(図5参照)となるように、可動刃11に対して固定刃13を傾斜状態で保持する部材である。
【0030】
ホルダ支持フレーム22は、固定刃ホルダ21の上面側に重ね合わされる部材であって、天壁パネル22aと、この天壁パネル22aの左右両側から下方に向けて屈曲された側面パネル22bと、天壁パネル22aの前方から下方に向けて屈曲された前面パネル22cと、で構成されている。
図5に示すように、天壁パネル22aには固定刃ホルダ21に形成されたボス21aに対向する位置に開口部が形成されている。そして、この開口部内にボス21aが挿通されると共に、このボス21aにワッシャ27を介して固定ネジ28が螺合されている。これにより、ホルダ支持フレーム22と固定刃ホルダ21とが連結されている。
なお、図示の例では、開口部内に該開口部の内周縁を保護するための樹脂製のカラー29が嵌め込まれている。但し、このカラー29は必須なものではなく無くても構わない。
【0031】
また、天壁パネル22aには、図5及び図6に示すように、左右方向L3に間隔を開けて複数(例えば3つ)の凸部30が形成されている。この凸部30は後述するコイルバネ31を位置決めさせるための突起部である。
【0032】
このように構成されたホルダ支持フレーム22の下方には、上記ヘッド支持フレーム20が配設されており、このヘッド支持フレーム20の下面にサーマルヘッド12が取り付けられて支持されている。また、ヘッド支持フレーム20は、左右両側が上方に向けて屈曲されたコの字形状の部材であり、側壁部20bがホルダ支持フレーム22の側面パネル22bの内側に位置するように取り付けられている。
【0033】
サーマルヘッド12は、記録紙Pの紙幅方向(左右方向L3)に延在するように形成され、その表面には左右方向L3に沿って多数の発熱素子(図5参照)12aが一列に配列されている。また、ヘッド支持フレーム20の上面とホルダ支持フレーム22の天壁パネル22aとの間には、サーマルヘッド12をプラテンローラ10側に付勢するコイルバネ31が配設されている。これにより、サーマルヘッド12は、本体ユニット2に着脱ユニット3が組み合わされたときに、記録紙Pを挟んでプラテンローラ10に所定の押圧力で押し付けられる。
【0034】
なお、上記コイルバネ31は、一端側が天壁パネル22aに形成された凸部30に外嵌され、他端側がヘッド支持フレーム20に形成された凸部20aに外嵌されている。これにより、コイルバネ31は、確実に位置決めされた状態でヘッド支持フレーム20とホルダ支持フレーム22との間に配設されている。
【0035】
図3及び図4に示すように、着脱ユニット取付板23は、左右両側が下方に向けて屈曲された断面コの字形状のカバーであり、ホルダ支持フレーム22の天壁パネル22aの後方側を上方から覆うと共に、側壁部23aがホルダ支持フレーム22の側面パネル22bの外方から被さるように取り付けられている。
そして、着脱ユニット取付板23の側壁部23a及びホルダ支持フレーム22の側面パネル22bを通して、これら着脱ユニット取付板23、及びホルダ支持フレーム22及びヘッド支持フレーム20を左右方向L3に貫くようにシャフト35が挿通されている。
シャフト35の両端部は、それぞれ着脱ユニット取付板23の側壁部23aよりさらに左右方向L3の外方に突出した状態となっている。
【0036】
ラッチレバー24は、着脱ユニット取付板23と同様に、左右両側が下方に向けて屈曲された断面コの字形状のカバーであり、ホルダ支持フレーム22の天壁パネル22aの前方側を上方から覆うと共に、側壁部24aがホルダ支持フレーム22の側面パネル22bの外方から被さるように配設されている。そして、このラッチレバー24は、シャフト36を介してホルダ支持フレーム22に連結されていると共に、このシャフト36を中心として前後方向L1に回転可能とされている。
【0037】
シャフト36は、ホルダ支持フレーム22の側面パネル22b、ラッチレバー24の側壁部24a及びヘッド支持フレーム20の側壁部20bの前方に設けられたガイド孔20c(図5参照)を通して、これらホルダ支持フレーム22及びラッチレバー24を左右方向L3に貫くように挿通されており、その両端部がラッチレバー24の側壁部24aよりさらに左右方向L3の外方に突出した状態となっている。そして、このシャフト36の両端部に円筒状のブッシュ37が被嵌されている。
これらシャフト36の両端部及びブッシュ37は、係合ピン38として機能し、該係合ピン38の軸線を中心としてラッチレバー24が前後方向L1に回転自在とされている。
【0038】
また、ラッチレバー24の側壁部24aには、左右方向L3に突出したロックピン39が一体的に形成されている。このロックピン39は、係合ピン38に対して平行に配設されたピンであって、ラッチレバー24の回転に伴って係合ピン38の軸線回りに回転移動可能とされている。
また、ラッチレバー24と着脱ユニット取付板23との間には、コイルバネ40が取り付けられており、ラッチレバー24を着脱ユニット取付板23側に引っ張っている。つまり、このコイルバネ40は、ロックピン39が後方側に向けて回転移動するようにラッチレバー24を付勢している。
【0039】
上記のように構成されたラッチレバー24は、さらに解除レバー25によって覆われている。
この解除レバー25は、左右両側が下方に向けて屈曲された断面コの字形状のカバーであり、ラッチレバー24及びホルダ支持フレーム22の前面パネル22cを上方から覆うと共に、側壁部25aが着脱ユニット取付板23の側壁部23aの外方から被さるように配設されている。この際、解除レバー25は、上述したシャフト35を介して着脱ユニット取付板23に連結されていると共にシャフト35を中心として回転可能とされている。
【0040】
なお、解除レバー25の側壁部25aよりも左右方向L3の外方に突出したシャフト35の両端部には、円筒状のブッシュ41が被嵌されている。そして、このシャフト35の両端部及びブッシュ41は、係合ピン38に対して平行に突出する補助ピン42として機能し、この補助ピン42の軸線を中心として解除レバー25が回転可能とされている。
【0041】
また、図4に示すように、解除レバー25の側壁部25aには、前縁側の一部が後方に向かって滑らかに湾曲しており、この湾曲によって爪部25bが前方に向かって突出するように形成されている。そして、この湾曲内にロックピン39が嵌り込むように、ラッチレバー24と解除レバー25とが組み合わされている。
特にラッチレバー24は、コイルバネ40によって着脱ユニット取付板23側に常時引っ張られているので、湾曲内にロックピン39が確実に嵌り込んでいると共に、該ロックピン39が爪部25bを下方側に押圧している。従って、解除レバー25は、ロックピン39からの力を受けて、常時ホルダ支持フレーム22の前面パネル22cを覆う前方側に回転するように付勢されている。
【0042】
(本体ユニット)
次に、本体ユニット2について説明する。
本体ユニット2は、図3、図4、図7〜図11に示すように、プラテンローラ10と、可動刃11と、これらを支持する本体フレーム50と、で主に構成されている。
【0043】
本体フレーム50は、金属や樹脂等によって概略箱型に形成されたフレームであって、上面50aが記録紙Pの通過面とされている。本体フレーム50の前壁部50b及び側壁部50cには、それぞれ前方カバー51a及び側方カバー51bが着脱自在に取り付けられている。
なお、側壁部50cは、本体フレーム50の内側に凹んでおり、この側壁部50cと側方カバー51bとの間に各構成品を収納することが可能とされている。
【0044】
図3及び図4に示すように、側壁部50cの上部には、上面50aよりも上方に突出すると共に、該上面50aを間に挟んで左右方向L3に対向する一対の対向壁部52が連設されている。
この一対の対向壁部52には、本体ユニット2に対して着脱ユニット3を分離可能に組み合わせるための複数の凹部が形成されている。即ち、前方側から後方側に向かって順に、第1の凹部55、第2の凹部56及び第3の凹部57がそれぞれ形成されている。
【0045】
第1の凹部55は、係合ピン38が離脱可能に嵌め込まれ、サーマルヘッド12とプラテンローラ10とを互いに接触状態で対向配置させるための凹部であって、対向壁部52の上端縁から前方下側に向けて斜めに開口するように形成されている。
第2の凹部56は、係合ピン38が第1の凹部55内に嵌め込まれた後に、ロックピン39が離脱可能に嵌め込まれる凹部であって、第1の凹部55の開口途中から後方下側に向けて斜めに開口するように形成されている。
【0046】
特に、ラッチレバー24はコイルバネ40によって後方側に回転しようとする力を受けているので、ロックピン39は自然に第2の凹部56内に嵌り込むことが可能とされている。なお、ロックピン39は、第2の凹部56内に嵌り込んでいる際、ラッチレバー24の側壁部24aに形成された湾曲内に同時に嵌り込んでおり、ラッチレバー24の爪部25bを下方に押圧している。
従って、着脱ユニット3を装着した後、解除レバー25はホルダ支持フレーム22の前面パネル22cを覆う前方側に回転するように付勢されている。
【0047】
また、図3及び図8に示すように、係合ピン38とロックピン39とがそれぞれ第1の凹部55及び第2の凹部56内に嵌り込んでいる際、第1の凹部55の開口方向に沿ってロックピン39が移動することを、第2の凹部56における内周縁の一部が妨げている。これにより、ロックピン39を第2の凹部56内から離脱させない限り、係合ピン38を第1の凹部55内から離脱させることができないように設計されている。
【0048】
一方、解除レバー25を補助ピン42の軸線を中心として後方側に回転させた場合には、図12に示すように、爪部25bによりロックピン39を上方に押し上げて、該ロックピン39をコイルバネ40による付勢方向とは逆方向に回転させることが可能となる。これにより第2の凹部56内からロックピン39を離脱させることが可能とされている。従って、このロックピン39の離脱時に、係合ピン38を第1の凹部55内から離脱させることが可能とされている。
【0049】
つまり、本実施形態の係合ピン38は、ロックピン39が第2の凹部56内に嵌め込まれているときに第1の凹部55内から離脱不能とされていると共に、ロックピン39が第2の凹部56内から離脱した後に第1の凹部55内から離脱可能とされている。従って、最初にロックピン39を第2の凹部56内から離脱させた後、係合ピン38を第1の凹部55内から離脱させるといった順番によってのみ、着脱ユニット3を本体ユニット2から分離できるように構成されている。
【0050】
また、第3の凹部57は、係合ピン38を第1の凹部55内に嵌め込むタイミングで、補助ピン42を離脱可能に嵌め込ませるための凹部であって、図3、図4及び図8に示すように、第1の凹部55の開口方向と同じ方向に開口するように形成されている。
従って、着脱ユニット3が本体ユニット2に装着されている際に、係合ピン38の軸線を中心にロックピン39を回転させて第2の凹部56内から離脱させようとする外力が着脱ユニット3の全体に作用したとしても、補助ピン42が第3の凹部57における内周縁の一部に接触するので、着脱ユニット3の動きを規制する。
従って、意図しないときに、ロックピン39が第2の凹部56内から離脱しないようになっており、着脱ユニット3の装着時における信頼性を高めることができると共に、着脱ユニット3のがたつき等を抑え易い。
【0051】
プラテンローラ10は、図11に示すように、記録紙Pの紙幅方向に沿って延在し、その両端部が軸受部材60を介して本体フレーム50の側壁部50cに軸支されたプラテン軸部10aと、該プラテン軸部10aに外装され、本体フレーム50の上面50aから露出するゴム等の弾性材料からなるローラ部10bと、プラテン軸部10aの両端部にそれぞれ固定された一対のプラテン用歯車10cと、を備えている。
なお、本体フレーム50の上面50a側には、プラテンカバー61が取り付けられており、該プラテンカバー61に形成された開口部を通じてローラ部10bが露出している。
【0052】
一対のプラテン用歯車10cは、共に同じ歯数で同径とされた歯車であり、軸受部材60の内側に位置している。これら一対のプラテン用歯車10cは、複数の回転力伝達部材65、66、67を介して図示しないプラテン用モータからの回転力が伝達されることで、同位相で回転させられる歯車とされている。これにより、プラテンローラ10の全体が回転し、サーマルヘッド12との間で記録紙Pを挟み込みながら下流側である前方に紙送りするように構成されている。
【0053】
本実施形態では、3つの歯車、即ち、4番歯車70、3番歯車71、2番歯車72からなる輪列によって、プラテン用モータの回転力がプラテンローラ10に伝達されるように構成されている。そして、これら4番歯車70、3番歯車71及び2番歯車72は、それぞれ上記回転力伝達部材65、66、67として機能する。
これら各歯車について詳細に説明する。
【0054】
4番歯車70は、一対設けられ、4番歯車用シャフト73の両端部にそれぞれ固定されている。4番歯車用シャフト73は、記録紙Pの紙幅方向である左右方向L3に延在したシャフトであり、本体フレーム50の両方の側壁部50cに形成された貫通孔内に挿通されることで、プラテン軸部10aに対して平行に配設されると共に回転可能に支持されている。そして、本体フレーム50の両側の側壁部50cよりも外側に突出した4番歯車用シャフト73の両端部に、一対の4番歯車70がそれぞれ固定されている。
そして、これら一対の4番歯車70は、図7〜図11に示すように、上記一対のプラテン用歯車10cに対して各別に噛合されており、4番歯車用シャフト73の回転に伴って回転し、一対のプラテン用歯車10cを同位相で回転させるように構成されている。
なお、4番歯車70と4番歯車用シャフト73とで、回転力伝達部材65を構成している。
【0055】
3番歯車71は、図9〜図11に示すように、本体フレーム50の一方の側壁部50c側に位置し、一方の4番歯車70に噛合した状態でこの側壁部50cに軸支されている。そして、2番歯車72が、この3番歯車71に噛合した状態で同様に側壁部50cに軸支されている。この際、2番歯車72は、本体フレーム50内に配設されたプラテン用モータの出力軸に固定されたピニオンギア75に対しても噛合している。
【0056】
このように構成されているので、プラテン用モータを駆動させると、その回転力はピニオンギア75から、2番歯車72及び3番歯車71を介して一対の4番歯車70に伝わり、さらに一対の4番歯車70から一対のプラテン用歯車10cに同時に伝わるように構成されている。
【0057】
可動刃11は、固定刃13と協働して記録紙Pを切断する部材であり、本体ユニット2に着脱ユニット3が装着されたときに、図1に示すように、固定刃13に対して向き合う位置に配設されている。この可動刃11は、例えば平面視略V字型に形成された板状の刃であり、図5に示すように本体フレーム50の前壁部50bの内側に、刃先を上方に向けた状態で配設されており、図示しないガイド手段によって上下方向L2に移動自在とされた可動刃ホルダ11aに固定されている。
これにより、可動刃11は記録紙Pの紙面に対して略直交する上下方向L2にスライド可能とされている。なお、可動刃ホルダ11aは、図示しない可動刃用モータからの回転力を利用して上下方向L2に往復移動可能とされている。
【0058】
(サーマルプリンタの作用)
次に、上述したように構成されたサーマルプリンタ1の作用について説明する。
はじめに、図1に示すように、ロール紙Rを投入口5aからケーシング4内に投入した後、蓋体6を閉じることで、着脱ユニット3が本体ユニット2に装着されて両ユニット2、3が組み合わさった状態となる。これにより、記録紙Pはプラテンローラ10とサーマルヘッド12との間に挟まれた状態になると共に、排出口8からケーシング4の外側に引き出された状態となる。
【0059】
ところで、蓋体6を閉めはじめると、着脱ユニット3の係合ピン38及び補助ピン42が、第1の凹部55内及び第3の凹部57内に侵入しはじめると共に、ロックピン39が第1の凹部55の入口である傾斜部に接触しながら滑り落ちていく。この際、蓋体6を押し下げる力の反力が、傾斜部を介してロックピン39を上方に押し上げるように作用する。そして、この反力がロックピン39を介してラッチレバー24に伝達されるため、該ラッチレバー24は係合ピン38の軸線を中心として前方側に回転する。つまり、ラッチレバー24は、係合ピン38の軸線を中心に前方側に回転しながら、蓋体6の閉動作に伴って下方に移動する。
【0060】
よって、係合ピン38及び補助ピン42は、同じタイミングで第1の凹部55内及び第3の凹部57内の最奥部に向かって徐々に侵入し、図3に示すように、蓋体6を完全に閉じた時点で第1の凹部55内及び第3の凹部57内に完全に嵌め込まれる。また、この時点で、ロックピン39は第2の凹部56の入口に達する。この際、ラッチレバー24はコイルバネ40によって着脱ユニット取付板23側に引っ張られているので、後方側に回転しようとしている。そのため、第2の凹部56の入口に達したロックピン39を、第2の凹部56内に直ちに引き込んで嵌め込ませることができる。
【0061】
その結果、蓋体6を閉めると同時に、着脱ユニット3を本体ユニット2に装着させて両ユニット2、3を組み合わせることができると共に、第1の凹部55内に係合ピン38を離脱不能にセットすることができる。
【0062】
次いで、蓋体6を閉めた後、プラテン用モータを駆動させる。すると、図10に示すように、その回転力は、ピニオンギア75から、2番歯車72及び3番歯車71を介して一対の4番歯車70に伝わるので、4番歯車用シャフト73及び一対の4番歯車70が回転する。
これにより、これら一対の4番歯車70に対して各別に噛合されている一対のプラテン用歯車10cに回転力を伝達することができ、一対のプラテン用歯車10cを同位相で回転させることができる。これにより、プラテンローラ10を回転させることができ、サーマルヘッド12との間で記録紙Pを挟み込みながら前方に紙送りさせることができる。
また、上記紙送りと同時にサーマルヘッド12の発熱素子12aを適宜発熱させることで、紙送りされる記録紙Pに対して各種の文字や図形等を明瞭に印字することができる。
【0063】
なお、印刷後、プラテンローラ10によってさらに紙送りされた記録紙Pは固定刃13と可動刃11との間を通過する。そして、記録紙Pが所定の長さ通過した後、可動刃ホルダ11aを作動させることで可動刃11をスライドさせることができ、記録紙Pを固定刃13と可動刃11との間で切断することができる。その結果、切断した記録紙Pをレシートやチケット等として使用することができる。
【0064】
ところで、プラテンローラ10を回転させる際、上記したように一対の4番歯車70を介して4番歯車用シャフト73の両端部に固定された一対のプラテン用歯車10cに対して同時に回転力を伝達している。そのため、プラテン用歯車10cと4番歯車70との噛み合い部分に従来同様の合力が発生し、プラテンローラ10を押し上げるような応力が作用したとしても、その応力はプラテンローラ10の片側にだけ作用するのではなく両側に作用する。
従って、その応力によってプラテンローラ10が軸受部材60と本体フレーム50の側壁部50cとの間、及び軸受部材60とプラテン軸部10aとの間で形成されるガタの中で変位したとしても、従来のようにプラテンローラ10が傾くのではなく全体が平行に移動する。そのため、サーマルヘッド12に対してプラテンローラ10が片当たりしてしまうことを抑制することができ、サーマルヘッド12に対するプラテンローラ10の圧力分布を全長に亘って均等に維持することができ、均一なニップ幅を確保することができる。
【0065】
その結果、記録紙Pの紙幅方向に印字濃度変化や印字カスレ等を発生することを抑制でき、安定した印字品質を確保することができる。また、一対のプラテン用歯車10cの両方に負荷を均等に分散させることができるので、長期間の使用によって例えば一対のプラテン用歯車10cに摩耗が生じたとしても均等に摩耗し易い。そのため、長期間使用したとしてもプラテンローラ10が傾き難く、印字品質を長期に亘って維持し易い。
【0066】
また、上記したように一対のプラテン用歯車10cの両方に負荷を均等に分散させることができることから、プラテン用歯車10cや4番歯車70等の摩耗を抑制でき、耐摩耗性や強度を維持することができる。従って、耐久性を向上でき、製品寿命の延命化に繋げ易い。
更に、プラテンローラ10に対するサーマルヘッド12の押圧力を何ら変化させる必要がないので、プラテンローラ10の回転負荷を従来に比べて増大させる必要がない。従って、プラテン用モータに脱調等の不具合が生じ難い。
【0067】
なお、本体ユニット2から着脱ユニット3を分離させる場合について簡単に説明する。
この場合には、図12に示すように、蓋体6の内面に取り付けられている解除レバー25が該蓋体6の開動作に伴って、補助ピン42の軸線を中心として後方側に回転しはじめる。そのため、解除レバー25は、爪部25bを介してロックピン39を上方に押し上げる。すると、この力はロックピン39を介してラッチレバー24に伝わるので、該ラッチレバー24は係合ピン38の軸線を中心としてコイルバネ40に抗する力で前方側に回転する。従って、ロックピン39は、ラッチレバー24の回転に伴って第2の凹部56内から離脱する。これにより、係合ピン38及び補助ピン42は、共に第1の凹部55及び第3の凹部57の開口方向に沿って移動可能な状態となる。
【0068】
そして、蓋体6のさらなる開動作に伴って、係合ピン38及び補助ピン42が同じタイミングで第1の凹部55及び第3の凹部57に沿って移動した後、第1の凹部55内及び第3の凹部57内から完全に離脱する。これにより、図4に示すように、着脱ユニット3と本体ユニット2との組み合わせを解いて両ユニット2、3を分離させることができる。
【0069】
上述したように、本実施形態のサーマルプリンタ1によれば、第1の凹部55内への係合ピン38の嵌め込み/離脱と、係合ピン38に対するロックピン39の相対的な移動による第2の凹部56内の嵌め込み/離脱と、を行うだけの簡単な操作で着脱ユニット3の着脱操作をスムーズに行える。従って、本体ユニット2と着脱ユニット3とを速やかに組み合わせたり、両ユニット2、3を速やかに分離して組み合わせを解除したりすることができる。
【0070】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0071】
例えば、上記実施形態では、ロール紙Rを投入して単に載置台5b上に置くドロップイン方式を例に挙げて説明したが、ケーシング4の内部にロール紙Rを軸支する軸支機構を設けた軸支方式のプリンタとしても構わない。
また、上記実施形態では、ケーシング本体5及び蓋体6からなるケーシング4の内部にサーマルプリンタ1が組み込まれている場合を例に挙げて説明したが、ケーシング4は必須な構成ではなく、設けなくても構わない。また、上記実施形態では、固定刃13及び可動刃11からなるカッター機構14を具備した構成としたが、これらカッター機構14は必須な構成ではなく、設けなくてもプリンタとしての機能を発揮することができる。
【0072】
また、上記実施形態では、本体ユニット2及び着脱ユニット3でサーマルプリンタ1を構成することで、プラテンローラ10とサーマルヘッド12とを分離可能な構成としたが、この場合に限定されるものではなく、プラテンローラ10とサーマルヘッド12とを分離不能(一体的)に構成しても構わない。
【0073】
特に、プラテンローラ10とサーマルヘッド12とを分離可能に構成する場合には、本体ユニット2側にサーマルヘッド12を設け、着脱ユニット3側にプラテンローラ10を設けても構わない。
この場合のサーマルプリンタの一例について説明する。なお、上記実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0074】
図13〜図16に示すように、この場合のサーマルプリンタ80は、本体ユニット81と、該本体ユニット81に対して分離可能に組み合わされる着脱ユニット82と、を備えている。
【0075】
本体ユニット81は、概略箱形状に形成された本体フレーム85と、ヘッド支持プレート20に固定されたサーマルヘッド12と、ヘッド支持プレート20をプラテンローラ10側に付勢するコイルバネ31と、を備えている。
着脱ユニット82は、プラテンローラ10と、該プラテンローラ10のプラテン軸部10aを軸支するプラテンフレーム86と、を備えている。プラテンフレーム86は、プラテンローラ10を上方から覆う天壁部86aと、その両端部が折曲された側壁部86bと、を有している。そして、この側壁部86bの外側で、一対のプラテン用歯車10cがプラテン軸部10aの両端部に固定されている。
【0076】
また、本実施形態のサーマルプリンタ80では、本体ユニット81側に設けられた2つの歯車、即ち、3番歯車71、2番歯車72からなる輪列によって、プラテン用モータの回転力がプラテンローラ10に伝達されるように構成されている。つまり、これら3番歯車71及び2番歯車72は、それぞれ回転力伝達部材66、67として機能する。
【0077】
3番歯車71は、一対設けられ、3番歯車用シャフト71aの両端部にそれぞれ固定されている。3番歯車用シャフト71aは、プラテン軸部10aに対して平行に配設されると共に、本体フレーム85に軸支されている。そして、本体フレーム85の両側の側壁部から外側に突出した3番歯車用シャフト71aの両端に、一対の3番歯車71がそれぞれ固定されている。これら一対の3番歯車71は、上記一対のプラテン用歯車10cに対して各別に噛合されており、3番歯車用シャフト71aの回転に伴って回転し一対のプラテン用歯車10cを同位相で回転させるように構成されている。
【0078】
2番歯車72は、本体フレーム85の一方の側壁部側に位置し、一方の3番歯車71に噛合した状態でこの側壁部に軸支されている。この際、2番歯車72は本体フレーム85内に配設されたプラテン用モータの出力軸に固定されたピニオンギア75に対しても噛合している。
【0079】
また、本体フレーム85には、本体ユニット81に着脱ユニット82が組み合わされた際に、プラテンローラ10のプラテン軸部10aをロックするラッチ機構87が取り付けられている。なお、このラッチ機構87は、解除レバー88によってロックが解除されるように構成されている。
【0080】
このように構成されているサーマルプリンタ80であっても、上記したサーマルプリンタ1と同様の作用効果を奏効することができる。
特に、この場合には、着脱ユニット82の着脱動作に伴ってプラテンローラ10をラッチ機構87でロックする構成であるので、ラッチ部分のガタや強度等の影響によってプラテンローラ10が変位し易い。しかしながら、一対の3番歯車71を介して一対のプラテン用歯車10cに回転力を同時に伝達するので、プラテンローラ10を傾かせるのではなく全体に平行移動させることができる。
【0081】
この際、図16に示すように、サーマルヘッド12とプラテンローラ10と3番歯車71との関係によって、従来同様の合力Fが作用した際にプラテンローラ10がサーマルヘッド12の面内方向に移動し易いが、上記したようにサーマルヘッド12の片側だけが移動するのではなく、全体を移動させ易い。従って、サーマルヘッド12の面内方向にプラテンローラ10が傾いてしまうことを抑制でき、発熱素子12aのラインに対してニップ幅が傾いてしまい難い。
従って、やはり、記録紙Pの紙幅方向に印字濃度変化や印字カスレ等が発生することを抑制でき、安定した印字品質を確保することができる。
【0082】
また、上記実施形態では、プラテン用歯車10cに噛合する4番歯車70だけを一対設け、これらを4番歯車用シャフト73で連結した構成としたが、3番歯車71、2番歯車72についても同様に構成しても構わない。
【0083】
即ち、図17に示すように、プラテン軸部10aに対して3番歯車用シャフト71aを平行に配設し、その両端部に一対の4番歯車70に対して各別に噛合するように一対の3番歯車71を固定する。この場合、これら3番歯車用シャフト71a及び一対の3番歯車71で回転力伝達部材66を構成する。
同様にプラテン軸部10aに対して2番歯車用シャフト72aを平行に配設し、その両端部に一対の3番歯車71に対して各別に噛合するように一対の2番歯車72を固定する。この場合、これら2番歯車用シャフト72a及び一対の2番歯車72で回転力伝達部材67を構成する。
なお、プラテン用モータの出力軸に固定されているピニオンギア75は、一方の2番歯車72に対して噛合している。
【0084】
上記したように構成することで、それぞれの回転力伝達部材65、66、67を、一対の歯車同士が噛合し合うことで互いに連結させることができる。この場合には、プラテン用モータを駆動させると、ピニオンギア75から回転力が伝達されて、プラテン用モータ側に位置する2番歯車用シャフト72a及び一対の2番歯車72が回転する。すると、一対の2番歯車72に噛合している2段目の回転力伝達部材66である一対の3番歯車71が回転し、続いて、最後段の回転力伝達部材65である一対の4番歯車70が回転する。
【0085】
そして、プラテンローラ10側に位置するこの最後段の回転力伝達部材65が回転することで、一対の4番歯車70に対して各別に噛合されている一対のプラテン用歯車10cを同位相で回転させることができ、これによってプラテンローラ10を回転させることができる。
特に、この場合には、一対の歯車同士が噛合し合うことで互いに連結されている複数の回転力伝達部材65、66、67を介して、プラテン用モータからの回転力を伝達させるので、一対のプラテン用歯車10cに対してより均等な回転力をバランス良く伝え易い。従って、プラテンローラ10が傾いてしまうことを効果的に抑制することができ、先に述べた作用効果を顕著に奏効することができる。
【0086】
更に、図18に示すように、2番歯車用シャフト72aの中間部分に、プラテン用モータからの回転力が伝達される伝達部材、例えばピニオンギア75に噛合する歯車90を取り付けても構わない。
この場合には、上記歯車90を介してプラテン用モータからの回転力を2番歯車用シャフト72aの中間部分に伝えることができるので、2番歯車用シャフト72a自体の傾きを抑制することができると共に、両端部に固定されている一対の2番歯車72を介してその回転力を一対の3番歯車71に伝え易い。従って、プラテンローラ10が傾いてしまうことをさらに効果的に抑制し易い。
【符号の説明】
【0087】
P…記録紙P
1、80…サーマルプリンタ
10…プラテンローラ
10a…プラテン軸部
10c…プラテン用歯車
12…サーマルヘッド
12a…発熱素子
65、66、67…回転力伝達部材
70…4番歯車(駆動歯車)
71…3番歯車(駆動歯車)
71a…3番歯車用シャフト(シャフト)
72…2番歯車(駆動歯車)
72a…2番歯車用シャフト(シャフト)
73…4番歯車用シャフト(シャフト)
90…歯車(伝達部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙を紙送りするプラテンローラと、
前記記録紙の紙幅方向に一列に配列された複数の発熱素子を有し、前記記録紙を挟んで前記プラテンローラに対して押し付けられたサーマルヘッドと、
モータからの回転力を前記プラテンローラに伝達させ、前記サーマルヘッドとの間で前記記録紙を挟み込みながら紙送りさせる回転力伝達部材と、を備え、
前記プラテンローラは、
回転可能に支持されたプラテン軸部と、
該プラテン軸部の両端部にそれぞれ固定された一対のプラテン用歯車と、を備え、
前記回転力伝達部材は、
前記プラテン軸部に対して平行に配設された状態で回転可能に支持され、前記モータからの回転力によって回転させられるシャフトと、
該シャフトの両端部にそれぞれ固定された一対の駆動歯車と、を備え、
前記一対の駆動歯車は、前記一対のプラテン用歯車に対して各別に噛合され、前記シャフトの回転に伴って一対のプラテン用歯車を同位相で回転させることを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のサーマルプリンタにおいて、
前記プラテンローラと前記モータとの間に前記回転力伝達部材を複数備え、
複数の前記回転力伝達部材は、それぞれ前記一対の駆動歯車同士が噛合し合うことで互いに連結され、
複数の前記回転力伝達部材のうち、前記モータ側に位置する回転力伝達部材の前記シャフトが前記モータからの回転力によって回転させられ、前記プラテンローラ側に位置する回転力伝達部材の前記一対の駆動歯車が前記一対のプラテン用歯車に対して噛合されることを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のサーマルプリンタにおいて、
前記シャフトの中間部分には、前記モータからの回転力が伝達される伝達部材が取り付けられていることを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項1】
記録紙を紙送りするプラテンローラと、
前記記録紙の紙幅方向に一列に配列された複数の発熱素子を有し、前記記録紙を挟んで前記プラテンローラに対して押し付けられたサーマルヘッドと、
モータからの回転力を前記プラテンローラに伝達させ、前記サーマルヘッドとの間で前記記録紙を挟み込みながら紙送りさせる回転力伝達部材と、を備え、
前記プラテンローラは、
回転可能に支持されたプラテン軸部と、
該プラテン軸部の両端部にそれぞれ固定された一対のプラテン用歯車と、を備え、
前記回転力伝達部材は、
前記プラテン軸部に対して平行に配設された状態で回転可能に支持され、前記モータからの回転力によって回転させられるシャフトと、
該シャフトの両端部にそれぞれ固定された一対の駆動歯車と、を備え、
前記一対の駆動歯車は、前記一対のプラテン用歯車に対して各別に噛合され、前記シャフトの回転に伴って一対のプラテン用歯車を同位相で回転させることを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のサーマルプリンタにおいて、
前記プラテンローラと前記モータとの間に前記回転力伝達部材を複数備え、
複数の前記回転力伝達部材は、それぞれ前記一対の駆動歯車同士が噛合し合うことで互いに連結され、
複数の前記回転力伝達部材のうち、前記モータ側に位置する回転力伝達部材の前記シャフトが前記モータからの回転力によって回転させられ、前記プラテンローラ側に位置する回転力伝達部材の前記一対の駆動歯車が前記一対のプラテン用歯車に対して噛合されることを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のサーマルプリンタにおいて、
前記シャフトの中間部分には、前記モータからの回転力が伝達される伝達部材が取り付けられていることを特徴とするサーマルプリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2013−52601(P2013−52601A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192789(P2011−192789)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
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