説明

サーマルペーパー

【課題】活性層から基材層への熱移動を軽減する断熱性を付与するベース層を含むサーマルペーパーを提供する。
【解決手段】(a)基材層、および(b)結合材と少なくとも1つの細孔度改良材を含んでなり、サーマルペーパー複合前駆体が細孔度改良材のないサーマルペーパー複合前駆体の熱浸透率よりも少なくとも約2%小さい熱浸透率を有する、基材層上に位置するベース層を含んでなるサーマルペーパー複合前駆体。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この特許出願は、2004年12月3日出願の、係属中の米国特許出願60/633,143の優先権を主張し、そしてその全体を引用により本明細書に組み込む。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般に、改善された熱的性質を有するサーマルペーパーに関する。特に、本発明は、改善された断熱特性を付与し、翻ってサーマルペーパーに多数の利点を提供するベース層を含有するサーマルペーパーに関する。
【背景技術】
【0003】
感熱印刷システムは、サーマルペーパーの特定の、かつ精確な領域を加熱して、読み得る文字あるいはグラフィックの画像をサーマルペーパー上に生じるようにエネルギーを与えられた感熱印刷要素を使用する。サーマルペーパーとしても知られる感熱紙は、印加される熱に反応性である材料を含む。サーマルペーパーは直接感熱式と呼ばれる内蔵型システムであり、インキを施す必要がない。これは、書き込み装置へのインキまたはマーキング材料の供給が必要でないという点で有利である。
【0004】
感熱印刷システムは、通常、ポイント・オブ・セールス(POS)装置、ファクシミリ機器、加算機器、現金自動預け払い機(ATM)、クレジットカード機器、ガソリンポンプ機器、電子黒板などを含む。上記に挙げた感熱印刷システムは既知であり、一部の分野では広く使用されているが、サーマルペーパー上の画像品質を改善することができれば、更なる開拓が可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
感熱印刷システムにより作製される一部のサーマルペーパーは、書き込み画像の分解能が低いこと、画像の耐久時間が制限されること(退色)、印刷前にサーマルペーパーが繊細であること(取り扱い、出荷および貯蔵時により多くの注意が必要である)などの欠点を有する。
【0006】
以下は本発明のある局面の基本的な理解を提供するために本発明の単純化された要約を提示する。この要約は本発明の広範な概観ではない。これは、本発明のキーとなる、あるいは決定的な要素を特定するように意図されているものでなく、あるいは本発明の範囲を線引きするように意図されているものでない。むしろ、この要約の唯一の目的は、以下で提示される更なる詳細な説明への前置きとして本発明の一部の概念を単純化された形で提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(a)基材層;および(b)結合材と少なくとも1つの細孔度改良材を含んでなり、サーマルペーパー複合前駆体が細孔度改良材のないサーマルペーパー複合前駆体の熱浸透率よりも少なくとも約2%小さい熱浸透率を有する、基材層上に位置するベース層;を含んでなるサーマルペーパー複合前駆体を提供する。
【0008】
本発明は、活性層から基材層への熱移動を軽減する断熱性を付与するベース層を含むサーマルペーパーを提供する。熱移動の軽減は改善された品質の画像の印刷を生じる。ベース層の断熱性は、サーマルペーパーの他の構成成分と比較して通常比較的高価である活性層材料の使用量の減少も可能とせしめる。
【0009】
本発明の一つの局面は、基材層;画像形成性構成成分を含有する活性層;および基材層と活性層の間に位置するベース層を含み、ベース層が結合材と特定化された熱浸透率を有する細孔度改良材を含む、サーマルペーパーに関する。この特定化された熱浸透率は、一部、サーマルペーパーの改善された断熱性を規定する。ベース層は活性層に含まれている画像形成性構成成分を含む必要がない。
【0010】
本発明のもう一つの局面は、熱浸透率を改善するのに結合材と細孔度改良材を含むベース層を基材層にかぶせて形成し;そして画像形成性構成成分を含む活性層をベース層にかぶせて形成することを含む、サーマルペーパーの製造に関する。
【0011】
本発明の更にもう一つの局面は、基材層、活性層および基材層と活性層の間に位置するベース層を含み、ベース層が結合材と細孔度改良材を含むサーマルペーパーの印刷であって、サーマルペーパープリンターを用いて局在化された熱を所望の画像のパターン中で加えて、サーマルペーパー中に所望の画像を形成することを含む印刷に関する。
【0012】
前出のおよび関連の目的の遂行のために、本発明は、以下に充分に説明されそして特許請求の範囲で特に指摘されている特徴を含んでなる。次の説明および付随する図面は、本発明のある例示的な局面および実施を詳細に述べる。しかしながら、これらは、本発明の原理を使用し得る種々の方法のほんの数例のみを示唆するものである。図面と関連させて考慮すれば、本発明の他の目的、利点および新規な特徴は、次の本発明の詳細な説明から明白になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
用語「細孔度改良材のないサーマルペーパー複合前駆体」は、これらのベース層中に少なくとも1つの細孔度改良材を含まないサーマルペーパー複合前駆体を意味する。
【0014】
一般的に言って、サーマルペーパーは、ベース層と、以降に熱を加えることにより画像を発現する無色の配合物(活性層)により被覆される。画像形成装置を通ると、印刷ヘッドにより加えられる精確な量の熱は、サーマルペーパー上に画像(通常、黒色あるいはカラー)を形成する反応を引き起こす。本発明のベース層は、サーマルペーパー印刷の品質および/または効率を改善する熱浸透率を有するように作製される。
【0015】
本発明の直接感熱式画像形成技術は、発生した熱がサーマルペーパーの活性層中のインキの放出を誘起する印刷ヘッドを使用し得る。これは、直接感熱式画像形成技術としても知られ、そして表面上の活性被膜中に実質的に無色の形でインキを含むサーマルペーパーを使用する。印刷ヘッド要素中に生じる熱はサーマルペーパーに移動し、そしてインキシステムを活性化して、画像を発現する。サーマルペーパーに加えて、感熱式画像形成技術は転写リボンも使用し得る。この場合には、印刷ヘッド中に生じる熱はプラスチックリボンに移動し、翻って、サーマルペーパー上に堆積するためのインキを放出する。これは、直接感熱式画像形成に対して感熱式転写画像形成として知られる。
【0016】
サーマルペーパーは、通常、基材層、画像形成用の活性層および基材層と活性層の間のベース層の少なくとも3層を有する。サーマルペーパーは、活性層にかぶさるトップコート層(時には、保護層とも呼ばれる)、基材層に隣接する背面バリア、画像増強層、または性能および/または取り扱い性を増強する任意の他の好適な層を含む、1つ以上の更なる層を場合によっては有する。
【0017】
基材層は一般にシートの形のものである。すなわち、基材層は、ページ、ウエブ、リボン、テープ、ベルト、フィルム、カードなどの形のものである。シートの形は、基材層が2つの大きな表面寸法と比較的小さな厚さ寸法を有するということを示す。基材層は、不
透明、透明、半透明、着色および非着色(白色)のいかなるものであることもできる。基材層材料の例は、紙、フィラメント状合成材料およびセロファンおよび合成ポリマー性シート(合成フィルムはキャスト、押し出し、あるいはそれ以外の方法で形成可能)などの合成フィルムを含む。この意味で、サーマルペーパーの紙という用語は元来限定的でない。
【0018】
基材層は、少なくとも活性層とベース層を支持するのに充分な坪量のものであり、そして場合によってはトップコート層および/または背面バリアなどの更なる、随意的な層を更に支持するのに充分な坪量のものである。一つの態様においては、基材層は約14g/m以上で、約50g/m以下の坪量を有する。もう一つの態様においては、基材層は約30g/m以上で、約148g/m以下の坪量を有する。更にもう一つの態様においては、基材層は約40ミクロン以上で、約130ミクロン以下の厚さを有する。なお更にもう一つの態様においては、基材層は約20ミクロン以上で、約80ミクロン以下の厚さを有する。
【0019】
活性層は、局所化された熱に暴露した後に人間の目または機器の読み取り機に見えるようになる画像形成性構成成分を含む。活性層は、染料、発色性材料、現像剤、不活性顔料、酸化防止剤、潤滑剤、ポリマー性結合材、増感剤、安定剤、湿潤剤およびワックスの1つ以上を含む。活性層は、ときには、反応性あるいは感熱性層と呼ばれる。活性層の構成成分は、通常、活性層にわたって均一に分布される。染料、発色性材料および不活性顔料の例は蛍光性、有機および無機顔料を含む。これらの化合物は白黒印刷またはカラー印刷を生じ得る。現像剤の例は、酸性フェノール系化合物および芳香族カルボン酸などの酸性現像剤を含む。増感剤の例は芳香族エーテル化合物などのエーテル化合物を含む。活性層構成成分のいずれかの1つ以上はマイクロカプセル化されても良く、あるいはされなくても良い。
【0020】
活性層は、最終使用者に対して可視の、検出可能なそして/あるいは望ましい画像をサーマルペーパー上にもたらすのに充分な坪量のものである。一つの態様においては、活性層は約1.5g/m以上で、約7.5g/m以下の坪量を有する。もう一つの態様においては、活性層は約3g/m以上で、約30g/m以下の坪量を有する。更にもう一つの態様においては、活性層は約5g/m以上で、約15g/m以下の坪量を有する。なお更にもう一つの態様においては、活性層は約1ミクロン以上で、約30ミクロン以下の厚さを有する。もう一つの態様においては、活性層は約5ミクロン以上で、約20ミクロン以下の厚さを有する。
【0021】
本発明の利点の一つは、この明細書中で述べられるように特定化された熱浸透率の性質を有するベース層を含まないサーマルペーパーと比較して、本発明のサーマルペーパーにおいては更に小さな活性層(または更に少ない活性層構成成分)しか必要とされないということである。サーマルペーパーの活性層は、通常、サーマルペーパーの最も高価な構成成分を含むので、活性層のサイズを減少させることは、本発明のサーマルペーパーの製造に関連する顕著な利点である。
【0022】
ベース層は結合材と細孔度改良材を含み、そしてこの明細書で述べるように特定化された熱浸透率を有する。熱浸透率値を維持する限り、ベース層は、分散剤、湿潤剤および他の添加剤を更に、そして場合によっては含み得る。一つの態様においては、ベース層は画像形成性構成成分を含まない;すなわち、ベース層は染料、発色性材料および/または有機および無機顔料のいずれも含まない。
【0023】
ベース層は細孔度改良材を保持するのに充分な量の結合材を含む。一つの態様においては、ベース層は約5重量%以上で、約95重量%以下の結合材を含む。もう一つの態様に
おいては、ベース層は、約15重量%以上で、そして約90重量%以下の結合材を含む。
【0024】
結合材の例は、デンプン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変成ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリルアミド/アクリル酸エステルコポリマー、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸ターポリマー、スチレン/マレイン酸無水物コポリマーのアルカリ塩、エチレン/マレイン酸無水物コポリマーのアルカリ塩、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、スチレン/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、アクリル酸メチル/ブタジエンコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマーなどの水溶性結合材を含む。結合材の更なる例は、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニルアクリロニトリルコポリマー、エポキシ樹脂、ニトロセルロースなどを含む。
【0025】
本発明の細孔度改良材は、層中に集合されると、高表面積、高細孔容積、狭い粒子サイズ分布および/または高細孔度の少なくとも1つを有する(そして高細孔容積を有するように見える)。細孔度改良材の例は、焼成カオリン、フラッシュ焼成カオリンおよび焼成ベントナイトなどの焼成クレイ、酸処理ベントナイト、高表面積アルミナ、水和アルミナ、ベーマイト、フラッシュ焼成アルミナ三水和物(ATH)、シリカ、シリカゲル、ゼオライト、ゼオタイプ及び他のモレキュラーシーブ、クラスラシル、ミクロ細孔性粒子、メソ細孔性粒子、マクロ細孔性粒子、アルミナホスフェート、金属アルミナホスフェート、マイカおよび柱状クレイなどの1つ以上を含む。これらの化合物は多数の供給源から市販されている。
【0026】
ベース層は、少なくとも1つの細孔度改良材、少なくとも2つの細孔度改良材、少なくとも3つの細孔度改良材などを含み得る。細孔度改良材はベース層の望ましい熱浸透率の性質に寄与する。少なくとも2つの細孔度改良材がベース層中に含まれる一つの態様においては、一方の細孔度改良材は焼成カオリンなどの焼成クレイであり、そして他方の細孔度改良材は、酸処理ベントナイト、高表面積アルミナ、水和アルミナ、フラッシュ焼成カオリン、フラッシュ焼成ATH、シリカ、シリカゲル、ゼオライト、ミクロ−、メソ−あるいはマクロ細孔性粒子、アルミナホスフェート、モレキュラーシーブ、クラスラシル、柱状クレイ、ベーマイト、マイカまたは金属アルミナホスフェートの1つである。
【0027】
他方の有用な細孔度改良材はゼオライトを含む。しばしばモレキュラーシーブとも呼ばれるゼオライトおよび/またはゼオタイプは、一次元、二次元あるいは三次元の細孔システムとシリカ、アルミノシリケート(天然および在来の合成ゼオライト)、アルミノ−ホスフェート(ALPO)、シリコン−アルミノホスフェート(SAPO)および多数のその他のものを含む種々の組成を持つミクロ−およびメソ細孔性材料の類である。これらの材料のキーとなる性質の一つは、これらが(多くの場合)大量の構造水を可逆的に吸着・脱着することおよび脱水状態で安定であるならば、これらは他のガスおよび蒸気も可逆的に吸着・脱着することである。このことは、これらの構造体がミクロ−およびメソ細孔性の性状のものであるために可能である。
【0028】
ゼオライトにおける細孔度は、より小さい窓により連結されたチャンネルまたはケージとしてもっともよく記述可能である。これらが交差するかどうか、そして交差する仕方に依って、これらは、細孔直径と細孔開口が約2.5オングストローム〜100オングストローム以上の範囲のサイズの一次元、二次元あるいは三次元の細孔システムを作り出す。結果として、これらは無視し得ない量の細孔容積を構造体中に含み、そして密度は非細孔性あるいは密な多形体のそれよりも低い。ある場合には、これらは少なくとも50%未満の低密度であることができる。細孔量は、細孔容積(cc/g)、または骨組み密度(F
D)として最も普通に記述される。密なシリカ構造体(石英)の参照FDはほぼ26.5である。表1は細孔特性を含む最も普通の構造体のいくつかの例を示す。
【0029】
【表1】

【0030】
焼成クレイ以外の細孔度改良材に対しては、本発明の細孔度改良材は、2ミクロン以下のサイズを有する少なくとも約70重量%の粒子、1ミクロン以下のサイズ、少なくとも約10m/gの表面積および少なくとも約0.1cc/gの細孔容積を有する少なくとも約50重量%の粒子の1つ以上を有する。もう一つの態様においては、本発明の細孔度改良材(焼成クレイ以外の)は、2ミクロン以下のサイズを有する少なくとも約80重量%の粒子、1ミクロン以下のサイズ、少なくとも約15m/gの表面積および少なくとも約0.2cc/gの細孔容積を有する少なくとも約60重量%の粒子の1つ以上を有する。更にもう一つの態様においては、本発明の細孔度改良材(焼成クレイ以外の)は、2ミクロン以下のサイズを有する少なくとも約90重量%の粒子、1ミクロン以下のサイズ、少なくとも約20m/gの表面積および少なくとも約0.3cc/gの細孔容積を有する少なくとも約70重量%の粒子の1つ以上を有する。
【0031】
焼成は含水カオリンまたはベントナイトの結晶性を壊し、そしてこのカオリン/クレイを実質的に非晶質とさせる。焼成は、通常、約700〜約1200℃の範囲の温度で充分な時間加熱した後に起きる。市販の垂直および水平ロータリー焼成炉を使用して、メタカオリン、部分焼成カオリンおよび/または焼成カオリンを製造することができる。酸処理は、クレイを実質的に非晶質とせしめる量の鉱酸とクレイを接触させることを含む。
【0032】
一つの態様においては、本発明の焼成クレイは、2ミクロン以下のサイズを有する少なくとも約70重量%の粒子、1ミクロン以下のサイズ、少なくとも約5m/gの表面積および少なくとも約0.1cc/gの細孔容積を有する少なくとも約50重量%の粒子の1つ以上を有する。更にもう一つの態様においては、本発明の焼成クレイは、2ミクロン以下のサイズを有する少なくとも約80重量%の粒子、1ミクロン以下のサイズ、少なくとも約10m/gの表面積および少なくとも約0.2cc/gの細孔容積を有する少なくとも約60重量%の粒子の1つ以上を有する。なお更に一つの態様においては、本発明の焼成クレイは、2ミクロン以下のサイズを有する少なくとも約90重量%の粒子、1ミクロン以下のサイズ、少なくとも約15m/gの表面積および少なくとも約0.3cc/gの細孔容積を有する少なくとも約70重量%の粒子の1つ以上を有する。
【0033】
上述のように、この非焼成クレイ細孔度改良材または焼成クレイ細孔度改良材は、少なくとも約0.1cc/gの、少なくとも約0.2cc/gの、あるいは少なくとも約0.3cc/gの細孔容積を有し得る。別法としては、この非焼成クレイ細孔度改良材または焼成クレイ細孔度改良材は、少なくとも約0.1cc/gの、少なくとも約0.2cc/gの、あるいは少なくとも約0.3cc/gの等価細孔容積を有し得る。この関連におい
て、個別の細孔度改良材粒子が必要とされる細孔容積を有し得ない一方で、層に集合されると、この細孔度改良材粒子は、細孔性の構造体(ベース層)を形成し得、そしてあたかもこの層が少なくとも約0.1cc/gの、少なくとも約0.2cc/gの、あるいは少なくとも約0.3cc/gの細孔容積を有する細孔度改良材からできているかのような細孔度を有する。すなわち、ベース層は、少なくとも約0.1cc/gの、少なくとも約0.2cc/gの、あるいは少なくとも約0.3cc/gの細孔容積を有し得る。このように、細孔度改良材は本来、そしてそれ自身細孔性であり得、あるいはベース層の細孔度を増進させ得る。
【0034】
表面積は、Nを吸着質として使用する当分野で認められているBET法により求められる。別法としては、表面積は、Gardner Colemanオイル吸収試験を用い、そしてASTM D−1483−84に基づき、カオリン100グラム当たり吸収されるオイルのグラム数を測定して求められる。細孔容積または細孔は標準的な水銀ポロシメトリー法により測定される。
【0035】
この明細書中で引用されるすべての粒子サイズは、Micromeritics,Inc.のSEDIGRAPH(登録商標)5100分析装置を用いる慣用の沈降法により求められる。ミクロンでのこのサイズは「e.s.d.」(等価球径)として示される。粒子は分散剤により水中でスラリーとされ、そしてゆるい凝集物を分散するために振盪しながら検出器にポンプ送液される。
【0036】
本発明の市販の焼成クレイの例は、Engelhard Corporation(Iselin,New Jersey)から入手し得るAnsilex(登録商標)93、Satintone(登録商標)およびTranslink(登録商標)などのAnsilex(登録商標)などの商品表示のものを含む。
【0037】
ベース層は、活性層中での高品質画像形成を促進する、有益な熱発散率などの断熱性をもたらすことに寄与するのに充分な量の細孔度改良材を含む。一つの態様においては、このベース層は約5重量%以上で、約95重量%以下の細孔度改良材を含む。もう一つの態様においては、このベース層は約15重量%以上で、約90重量%以下の細孔度改良材を含む。更にもう一つの態様においては、このベース層は約15重量%以上で、約40重量%以下の細孔度改良材を含む。ベース層は、活性層中での高品質画像形成を促進する、有益な熱浸透率などの断熱性をもたらすに充分な坪量のものである。一つの態様においては、このベース層は約1g/m以上で、約50g/m以下の坪量を有する。もう一つの態様においては、このベース層は約3g/m以上で、約40g/m以下の坪量を有する。更にもう一つの態様においては、このベース層は約5g/m以上で、約30g/m以下の坪量を有する。なお更にもう一つの態様においては、このベース層は約7g/m以上で、約20g/m以下の坪量を有する。もう一つの態様においては、このベース層は約0.5ミクロン以上で、約20ミクロン以下の厚さを有する。更にもう一つの態様においては、このベース層は約1ミクロン以上で、約10ミクロン以下の厚さを有する。もう一つの態様においては、このベース層は約2ミクロン以上で、約7ミクロン以下の厚さを有する。
【0038】
ベース層のもう一つの有益な局面は形成時に得られる基材層にわたっての厚さの均一性である。この関連において、厚さの測定のためにベース層の2つのランダムな場所を選択する場合、ベース層の厚さは約20パーセント以上は変わらない。
【0039】
層または被膜の各々は、随意的にドクターブレード、ローラー、エアナイフ、スプレー、押し出し、積層、印刷、プレスなどによる被覆を含むいかなる好適な方法によってもサーマルペーパー基材に塗布される。
【0040】
本発明のサーマルペーパーは、低必要量化された活性層材料、増強された画像強度、増強された画像密度、改善されたベース層コーティングの流動性、低磨耗特性および改善された熱応答の改良された性質の1つ以上を有する。細孔度改良材は、活性層の画像形成性構成成分の間の反応を促進する断熱材として機能し、低い温度での濃い、鮮明な画像および/または速い画像形成を提供する。すなわち、細孔度改良材はサーマルペーパー中の断熱性を改善するように機能し、それによって画像形成における活性層の効率を改善する。
【0041】
サーマルペーパーに対しては、熱感度は、サーマルペーパーの活性層が満足な濃さの画像を生じる温度として定義される。バックグラウンドは、画像形成前の、そして/あるいは画像形成されたサーマルペーパーの非画像形成領域中のサーマルペーパーの色合い/着色の量として定義される。バックグラウンド色合い/着色を低減する一方で、サーマルペーパーの熱感度を維持する能力は本発明の顕著な利点である。サーマルペーパーの活性層中の熱応答の有益な増加は、この明細書中で述べられているように細孔度改良材をベース層中に組み込むことにより達成される。
【0042】
類似の構成成分を持つサーマルペーパーを比較すると、一つ(本発明のサーマルペーパー)がベース層中で少なくとも1つの細孔度改良材を有するということを除いて、本発明のサーマルペーパー前駆体は、細孔度改良材のないサーマルペーパー複合前駆体の熱浸透率よりも約2%少ない熱浸透率値を有する。この2%は、前駆体シートの熱浸透率測定において観察される約0.5〜1%の標準偏差を含む。もう一つの態様においては、本発明のサーマルペーパー前駆体は、細孔度改良材のないサーマルペーパー複合前駆体の熱浸透率よりも約5%少ない熱浸透率値を有する。もう一つの態様においては、本発明のサーマルペーパー前駆体は、細孔度改良材のないサーマルペーパー複合前駆体の熱浸透率よりも約15%少ない熱浸透率値を有する。
【0043】
熱浸透率は与えられた材料中の熱分布に対する包括的な尺度である。熱浸透率は物質の熱インピーダンス(周囲と熱エネルギーを交換する能力)を特性化する。特に、熱浸透率は密度、熱容量および熱伝導率の関数である。熱浸透率は、熱伝導率(W/mK)かける密度(kg/m)かける熱容量(J/kgK)の平方根をもとめることにより計算可能である。熱浸透率は、異なる温度の2つの半無限の物体が触れる場合に界面の温度を規定する熱移動の性質である。
【0044】
熱浸透率は、改良熱線法を用い、一定電流条件下で操作されるMathis Instruments TC−30熱伝導率プローブを使用して、求めることができる。加熱要素の温度が試料試験時にモニターされ、そしてプローブと試料表面の間の界面における温度変化が試験時間にわたって連続的に測定される。
【0045】
一つの態様においては、ベース層により被覆された基材の熱浸透率(Ws1/2/mK)は約450以下である。もう一つの態様においては、ベース層により被覆された基材の熱浸透率は約370以下である。更にもう一つの態様においては、ベース層により被覆された基材の熱浸透率は約330以下である。なお更にもう一つの態様においては、ベース層により被覆された基材の熱浸透率は約300以下である。
【0046】
図面と関連させると本発明を更に理解することができる。図1を参照すると、3層構成のサーマルペーパー100の断面図が示されている。基材層102は、通常、紙シートを含む。基材層102の一方の側(書き込み側または画像側)にはベース層104がある。基材層102とベース層104の組み合わせは、本発明のサーマルペーパー複合前駆体の例である。
【0047】
ベース層104が基材層102と活性層106の間に位置するように、このサーマルペーパー複合前駆体を活性層106と組み合わせることができる。この組み合わせはサーマルペーパー複合前駆体の例である。ベース層104は、結合材中に細孔度改良材を含み、そして断熱性を付与し、書き込みあるいは画像形成過程時に感熱印刷ヘッドから活性層106を通って基材層102まで放散する熱エネルギーの移動を防止する。ベース層104は、また、活性層106材料が基材層102の中に流動しないようにもする。活性層106は、感熱印刷ヘッドからの熱または赤外線の区切られた送達に応答して特定の場所に画像を形成する構成成分を含む。
【0048】
図2を参照すると、5層構成のサーマルペーパー200の断面図が示されている。基材層202は紙のシートを含む。基材層202の一方の側(非書き込み側または背面)には背面バリア204がある。背面バリア204は、ある場合には、基材層202に更なる強度を付与し、ならびに書き込み側までクリープし得る基材層202の汚染を防止する。基材層202の他方の側(書き込み側または画像側)には、ベース層206、活性層208および保護コート210がある。基材層202とベース層206の組み合わせは、本発明のサーマルペーパー複合前駆体の例である。ベース層206は基材層202と活性層208の間に位置される。ベース層206は結合材中に細孔度改良材を含み、そして断熱性を付与し、書き込みあるいは画像形成過程時に感熱印刷ヘッドから活性層208と保護コート210を通って基材層202まで放散する熱エネルギーの移動を防止する。活性層208は、感熱印刷ヘッドからの熱または赤外線の区切られた送達に応答して特定の場所に画像を形成する構成成分を含む。保護コート210は以降に形成される画像に対して透明であり、そしてサーマルペーパー200との磨耗による活性層208構成成分の喪失を防止する。
【0049】
図示しないが、サーマルペーパー構造体は更なる層を含み得、そして/あるいはこのサーマルペーパー構造体は特定の用途には更なるベースおよび活性層を含み得る。例えば、このサーマルペーパー構造体は、ベース層、場合によっては背面バリア、3層の活性層と交互する3層のベース層および保護被膜を含み得る。
【0050】
図3を参照すると、サーマルペーパーを画像形成する方法300の断面図が示されている。基材層302、ベース層304および活性層306を含むサーマルペーパーが書き込み過程にかけられる。書き込み装置(図示せず)からの感熱印刷ヘッド308は、活性層306を有するサーマルペーパーの側の近い位置に、あるいは極めて近接した位置に配置される。ある場合には、感熱印刷ヘッド308はサーマルペーパーと接触し得る。熱310が発生し、そしてこの熱は活性層306中に画像312を生成、誘起あるいは出現せしめる。印加されるか、あるいは必要とされる熱の温度は、活性層中の画像形成性構成成分の内容を含む多数の要素に依存する。ベース層304が基材層302と活性層306の間に位置するので、ベース層304は、望ましい熱浸透率と断熱性によって感熱印刷ヘッド308から活性層306を通って基材層302までの熱エネルギーの移動を軽減する。
【0051】
熱浸透率試験方法:材料の熱的性質は、熱伝導率、熱拡散率および熱浸透率などの多数の特性により特性化可能である。熱伝導率は材料が熱を伝導する能力の尺度である(W/mK)。熱拡散率は、材料のエネルギーの貯蔵能に対する熱エネルギーの伝導能の尺度である(mm/秒)。熱浸透率は、材料の熱伝導率(k)、密度(ρ)および熱容量(cp)の積の平方根として定義される(Ws1/2/mK)。
【実施例】
【0052】
Mathis Instruments TC−30直接熱伝導率装置を用いて、被覆基材の熱浸透率を測定することにより、顔料の断熱性を特性化した。活性コートを塗布しなかった。通常、基材に5〜10g/mの顔料を含むベース層を被覆し、次にPrin
t−Parker−Surf(PPS)粗さ試験で測定してほぼ2ミクロンのほぼ同一の平滑性までカレンダー掛けした。次に、被覆基材のシートをTC−30検出器を覆うのに充分な大きさの片に切断した。センサーに対するベースコートの向き(一定に保たれるならば)は有用なデータを得るのに重要でないが、「センサーに向いた」(「センサーから離れた」と反対の)向きが好ましく、これを使用した。熱波が試料を確実に貫通しないとようにするために、試験においては約5〜10個の被覆基材片を層として、有用な試料断面を増加させた。各顔料に対して、最適化された試験時間、回帰スタート時間および冷却時間によってほぼ100回の測定を行い、そして測定にかけるベース層コート領域を最大とするために、12回の測定ごとに最下部の片を取り除いて、そして堆積体の最上部に置いた。これも測定の精度を著しく改善した。不均一な表面粗さによる層間のエアポケットはどのようなものでも熱浸透率測定の確度および精度にマイナスの影響を及ぼすので、カレンダー掛けが試料作製における極めて重要な段階となる。それぞれの測定の標準偏差よりの大きい、通常0.5〜1%のいかなる熱浸透率の差も真実のものと考え得る。
【0053】
ベース層により被覆された基材の熱浸透率値は、ベース層コートの重量およびこの配合、基材の性状、測定時の温度および湿度、カレンダー掛け条件、試験される紙の平滑性、装置の較正を含む多くのパラメーターに依存して変化することができるので、絶対的な熱浸透率の測定値を使用することによるよりも、顔料とこれらの熱的性質をコントロール(細孔度改良材を含まない)に対する比較基準で評価し、ランク付けすることが最良である。
【0054】
実施例1
ベースコートとして基材層上に被覆し、そして市販の活性層コートによっても被覆し2つの顔料を熱浸透率と画像品質についてそれぞれ評価して、画像品質(光学濃度および肉眼による品質/均一性の両方)に及ぼすベースコートの断熱性の重要性を評価した。この顔料の一方は市販の合成顔料(「合成顔料」)であり、他方は「100%焼成カオリン顔料」であった。3×3平方インチの紙を100℃に設定したオーブンの中に2分間入れることにより、両方の紙上の活性コートを発現させた。基材/ベースコート複合体の熱浸透率と対応する画像品質評価を表2に要約する。この合成顔料は低い熱浸透率を与え、そして高い光学濃度を有していた。肉眼的には、これは黒色に見え、極めて良好な画像均一性を有していた。焼成カオリン顔料により被覆した試料は、高い熱浸透率と低い光学濃度を示した。肉眼評価においては、この試料は灰色に見え、外観は極めて不均一であった。全体的には、このデータは、サーマルペーパー前駆体の熱浸透率とできあがったサーマルペーパーの光学濃度の間の逆の関係を示す。肉眼評価によっても、低い熱浸透率顔料が低いほど、画像品質が良好であることが示される。
【0055】
【表2】

【0056】
実施例2
2つの顔料を作製し、感熱ベース紙上に被覆し、ほぼ2μmのほぼ同一のPPS粗さにカレンダー掛けし、そして熱浸透率について評価した。Mathis Instruments TC−30熱伝導率/熱浸透率分析装置を用いて、紙/ベースコート複合体について熱浸透率を約22℃および約40%RHで測定した。
【0057】
次に、これらの複合サーマルペーパー前駆体シートを市販の活性コートにより被覆し、そしてエネルギー半値光学濃度を求める業界標準の装置を用いて評価した。この顔料はケイ酸ナトリウム(20lbs/トン・クレイ)により処理した市販の標準焼成カオリンと含水カオリンを含むものであった。これらの顔料とこれらの被膜の物理的特性を表3に要約する。ケイ酸ナトリウムにより処理した含水カオリンを実施例2の残りの部分では処理含水カオリンと呼ぶ。
【0058】
【表3】

【0059】
複合前駆体シートの熱浸透率測定とこれらのエネルギー半値での光学濃度値の結果を表4に示す。
【0060】
【表4】

【0061】
焼成カオリンを含む前駆体の熱浸透率は処理含水カオリンのそれの5%以上低かった。これは、予期したように、熱浸透率を低下させ、高光学濃度により測定されるように改善された印刷品質をもたらした。この焼成カオリンは、処理含水カオリンを比較して光学濃度の約8%の改善を示した。処理含水カオリンの場合には、サーマルペーパー前駆体の熱浸透率は、焼成カオリンのそれよりも高く、翻って悪い光学濃度を生じた。ベースコート層の、したがってサーマルペーパー複合前駆体の低い熱浸透率は、最終のサーマルペーパ
ーの画像品質にプラスの効果を及ぼすということを結論することができる。
【0062】
実施例3
サーマルペーパー前駆体の熱浸透率に及ぼすベースコート中の細孔度の効果を例示するために、4つの顔料を作製し、感熱ベース紙上に被覆し、ほぼ2μmのほぼ同一のPPS粗さにカレンダー掛けし、そしてMathis Instruments TC−30分析装置を用いて熱浸透率について評価した。この顔料は、市販の焼成カオリン、80部の市販の焼成カオリンと20部の市販のシリカゼオライトYのブレンド(「80カオリン/20シリカY」)、90部の市販の焼成カオリンと10部のEngelhard製のゼオライトYのブレンド(「90カオリン/10ゼオライトY」)およびケイ酸ナトリウム(20lbs/トン・クレイ)により処理された含水カオリン(「処理含水カオリン」)を含むものであった。ベース紙/ベースコート複合体について熱浸透率を約22℃および約40%RHで測定した;ベースコート層中の細孔容積を水銀ポロシメトリーから得た。これらの顔料とこれらの被膜の物理的特性を表5に要約する。
【0063】
【表5】

【0064】
それぞれのベースコート層中の複合シートと細孔容積の熱浸透率測定を表6に示す。
【0065】
【表6】

【0066】
結果は、この複合前駆体の熱浸透率がベースコート層中の細孔容積に逆比例すること、すなわち最高の熱浸透率の複合シートが最低の細孔容積を有し、そして最低の熱浸透率の複合シートが最高の細孔容積を有するということを示す。これは、また、ベースコート層中での細孔度改良材の存在がこの熱的性質にプラスの効果を有して、細孔度改良材を含まないものと比較して、サーマルペーパー複合前駆体の熱浸透率を低下させるということも示す。細孔度改良材を含み、そしてベースコート中で増加した細孔容積を有する前駆体は、低い熱浸透率を有し、したがってできあがったサーマルペーパーの改善された画像品質を生じるということを結論することができる。
【0067】
実施例4
サーマルペーパー前駆体の熱浸透率とできあがったサーマルペーパーの画像品質に及ぼすベースコート層細孔の増加のプラスのメリットを実証するために、2つの顔料を作製し、そして試験した。一つの顔料は、35〜55のムライト指数まで焼成した含水カオリン(「焼成クレイ」)であり、そして第2の顔料は80部の市販の焼成カオリンと20部の市販のシリカゼオライトYのブレンド(「80カオリン/20シリカY」)であった。両方の顔料を感熱ベース紙上に被覆し、ほぼ2μmのほぼ同一のPPS粗さにカレンダー掛けし、そして細孔容積と熱浸透率について評価した。熱浸透率と細孔容積の両方をそれぞれのサーマルペーパー前駆体シートで測定した。
このシートも市販の活性コート層によって処理し、そして画像密度用の業界標準の装置(Atlantek 200)を用いて試験した。両方の顔料とこれらのベース被膜の基本的な物理的特性を表7に要約する。
【0068】
【表7】

【0069】
複合前駆体シートの熱浸透率測定結果とこれらのエネルギー半値(〜7mJ/mm)における画像濃度値を表8に示す。
【0070】
【表8】

【0071】
このブレンドされた顔料の細孔容積は焼成クレイのそれよりも5%以上高かった。翻って、焼成クレイ含有前駆体と比較して約5%低い、ブレンドされた顔料ベースコートのこの増加した細孔は、全前駆体の熱浸透率にプラスの影響を及ぼした。最も重要なこととしては、ブレンド顔料含有サーマルペーパーの画像密度活性層は、最終使用者に対して可視の、検出可能なそして/あるいは望ましい画像をサーマルペーパー上にもたらすのに充分な坪量のものである。一つの態様においては、活性層は約1.5g/m以上で、約7.5g/m以下の坪量を有する。もう一つの態様においては、活性層は約3g/m以上で、約30g/m以下の坪量を有する。更にもう一つの態様においては、活性層は約5g/m以上で、約15g/m以下の坪量を有する。なお更にもう一つの態様においては、活性層は約1ミクロン以上で、約30ミクロン以下の厚さを有する。もう一つの態様においては、活性層は約が著しく改善された。これらの結果は、ベースコート中の細孔度改良材のメリット、前駆体の熱浸透率に及ぼす細孔度改良材のプラスの効果およびできあがったサーマルペーパーの画像品質に及ぼす細孔度改良材の強力なプラスの効果を示す。
【0072】
本発明をある態様に関連して説明してきたが、この明細書を読めば、当分野の熟練者にはこれらの種々の変形が明白になるであろうということは理解されるべきである。それゆえ、この明細書中で開示される本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入る変形を網羅するように意図されているということを理解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の局面にしたがったサーマルペーパーの断面図である。
【図2】本発明のもう一つの局面にしたがったサーマルペーパーの断面図である。
【図3】本発明の局面にしたがったサーマルペーパー中に画像を形成する方法の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)画像形成性構成成分を含有する活性層;および
(2)(a)基材層および(b)結合材、焼成カオリン、および少なくとも1つの細孔度改良材を含んでなる、基材層上に位置するベース層を含んでなるサーマルペーパー複合前駆体を含んでなり、サーマルペーパー複合前駆体は細孔度改良材のないサーマルペーパー複合前駆体の熱浸透率よりも少なくとも約2%小さい熱浸透率を有し、
ここで、
ベース層中の焼成カオリンは、少なくとも約70重量%の粒子は2ミクロン以下のサイズを有すること、少なくとも約50重量%の粒子は1ミクロン以下のサイズ、少なくとも約5m2/gの表面積および少なくとも約0.1cc/gの細孔容積を有すること、の少なくとも1つの特徴を有し、
少なくとも1つの細孔度改良材が焼成カオリンでない場合は、当該細孔度改良材は少なくとも約70重量%の粒子は2ミクロン以下のサイズを有すること、少なくとも約50重量%の粒子は1ミクロン以下のサイズ、少なくとも約10m2/gの表面積および少なくとも約0.1cc/gの細孔容積を有すること、の少なくとも1つの特徴を有し、
少なくとも1つの細孔度改良材が焼成カオリンである場合は、当該細孔度改良材は少なくとも約70重量%の粒子は2ミクロン以下のサイズを有すること、少なくとも約50重量%の粒子は1ミクロン以下のサイズ、少なくとも約5m2/gの表面積および少なくとも約0.1cc/gの細孔容積を有すること、の少なくとも1つの特徴を有する、
サーマルペーパー複合体。
【請求項2】
ベース層中の前記少なくとも1つの細孔度改良材が焼成ベントナイトである、請求項1に記載のサーマルペーパー。
【請求項3】
ベース層中の前記少なくとも1つの細孔度改良材がシリカ、シリカゲルおよびゼオライトからなる群から選択される、請求項1に記載のサーマルペーパー。
【請求項4】
サーマルペーパー複合前駆体が細孔度改良材のないサーマルペーパー複合前駆体の熱浸透率よりも少なくとも約5%小さい熱浸透率を有する請求項1に記載のサーマルペーパー。
【請求項5】
サーマルペーパー複合前駆体が細孔度改良材のないサーマルペーパー複合前駆体の熱浸透率よりも少なくとも約10%小さい熱浸透率を有する請求項1に記載のサーマルペーパー。
【請求項6】
サーマルペーパー複合前駆体が細孔度改良材のないサーマルペーパー複合前駆体の熱浸透率よりも少なくとも約15%小さい熱浸透率を有する請求項1に記載のサーマルペーパー。
【請求項7】
少なくとも1つの細孔度改良材がシリカである、請求項1に記載のサーマルペーパー。
【請求項8】
少なくとも1つの細孔度改良材がゼオライトである、請求項1に記載のサーマルペーパー。
【請求項9】
少なくとも1つの細孔度改良材がフラッシュ焼成カオリン、焼成ベントナイト、酸処理ベントナイト、高表面積アルミナ、水和アルミナ、ベーマイト、フラッシュ焼成アルミナ三水和物、シリカ、シリカゲル、ゼオライ ト、ゼオタイプ、非ゼオタイプモレキュラーシーブ、クラスラシル、ミクロ細孔性粒子、メソ細孔性粒子、マクロ細孔性粒子、アルミナホスフェート、金属アルミナホスフェート、マイカおよび柱状クレイからなる群から選
択される請求項1に記載のサーマルペーパー。
【請求項10】
ベース層の細孔容積が0.170−0.225cc/gである請求項1に記載のサーマルペーパー。
【請求項11】
ベース層中の前記少なくとも1つの細孔度改良材がシリカおよびゼオライトからなる群から選択され、細孔容積が約0.225cc/gである請求項1に記載のサーマルペーパー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−148570(P2012−148570A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−80090(P2012−80090)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【分割の表示】特願2007−544515(P2007−544515)の分割
【原出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(308009565)バスフ・カタリスツ・エルエルシー (10)
【Fターム(参考)】